97/06/18 公衆衛生審議会難病対策専門委員会議事録                                                       公 衆 衛 生 審 議 会               成 人 病 難 病 対 策 部 会 難 病 対 策 専 門 委 員 会                  議  事  録         厚 生 省 保 健 医 療 局 疾 病 対 策 課         公衆衛生審議会成人病難病対策部会難病対策専門委員会議事次第        日 時 平成9年6月18日(水) 16:00分〜18:05分 場 所 厚生省特別第1会議室(7階)  1 開 会  2 議 事  (1)今後の難病対策の在り方について      (〜患者団体からの意見陳述を交えて〜)  (2)その他  3 閉 会                                          〔出席委員〕   黒 川 委員長   大 野 委 員  古 和 委 員  高 久 委 員  瀧 島 委 員    津久江 委 員  竹 澤 委 員  西 谷 委 員  堀 井 委 員 ○黒川委員長 定刻となりましたので始めたいと思います。  これは今年度2度目でございますが、難病対策の専門委員会ということでしておりま すが、最初に委員の出欠状況についてお願いいたします。 ○荒川補佐 本日は委員の先生、全員御出席でございます。 ○黒川委員長 どうもありがとうございました。そういうことでございますが、議事に 移りたいと思いますが、その前に資料の確認をお願いします。 ○荒川補佐 本日、配付しております資料は、本日の議事の次第、委員会の名簿。それ から、本日お呼びをしております各患者団体の参考人の氏名及び所属。また、資料とい たしまして、特定疾患の治療研究対象疾患の一覧表をお配りしてございます。これは本 年の3月31日現在での患者数が新たに明らかになりましたので、それを添付させていた だいております。  患者の総数、これは医療受給者証を交付している患者の総数でございますが、35万 8,839 ということでございまして、昨年の3月末の32万人に比べまして約12%の増とい うことになっております。  それから、本日お越しをいただいております各患者団体のプロフィールについて、そ れぞれ1枚ずつ資料を配付させていただいております。以上でございます。 ○黒川委員長 どうもありがとうございました。  それでは、前回アナウンスさせていただきましたが、きょうはこの3つの患者さんの 団体の方からいろんなお話を伺って、先生方といろいろ質疑応答をしてみたいと思いま す。時間としては、御案内のように2時間の予定をとっておりますが、1つの団体を大 体30分ということで、その後30分の残りの時間を先生方といろいろとお話をさせていた だければと思っております。多分事務局の感じでは30分ということですから、10分から 15分ぐらい向こうから話をしていただいて、15分ぐらいこちらからいろいろお話を伺っ て質疑応答させていただきたいと思います。  それではいかがいたしましょうか。この順番でよろしいですか。日本患者・家族団体 協議会から始めさせていただきますが、御出席をお願いします。          (日本患者・家族団体協議会の代表者の入場) ○黒川委員長 まず伊藤たてお様と小林孟史様です。お忙しいところどうもありがとう ございます。よろしくお願いいたします。事務局の方からということではなくて、そう いうことですので、大体10分ぐらいでしょうか。いろいろお話を伺いたいと思います。 よろしくお願いいたします。                 (団体意見陳述) ○伊藤 日本患者・家族団体協議会の伊藤です。どうも先生方、いろいろお世話になっ ております。  私どもの意見につきましては、お手元資料として配付させていただきました。若干不 十分なところがあるのですが、補足しながら説明をさせていただきたいと思います。  時間が余りないのでちょっとはしょりたいと思いますが、この難病対策につきまして は、患者の状態やさまざまな問題あると思いますけれども、1つは大変社会的に大きな 役割を果たした事業であると受けとめております。特に現行の各医療関係の法律、福祉 関係の法律等に欠落している部分をこの難病対策が補い、患者・家族にとっても、社会 的にも大きな影響を与えたものと受けとめております。  以下、難病対策に関する施策、課題の順番に沿って意見を述べたいと思います。  1つは重篤な患者の在宅療養支援及び入院施設の確保についてということですが、私 どもの考え方としてですが、「重篤な」ということをどんなふうに定義されるのかとい うことで、対象となる疾患、状況がいろいろ変わってくると思います。人工呼吸器をつ けたものを重篤とするのか、そうでなくて、もっと幅広くこの重篤というものを考えら れるのかという問題が1つにはあるのではないかと考えております。  もう一点は、人工呼吸器の装着そのものですけれども、先生方御存じのように、今の 時代になりましても、なおALS等では人工呼吸器を装着できない、あるいはしていた だけないということで、これは医師・医療機関の判断ということなのか、本人の選択が きちんとされるのかという問題があるかと思います。そういう意味でも希望する患者が 装着をされないということがあってはならないと思いますので、そういう点についても 御指導いただければと考えております。  この件に関していろいろな患者会の意見を集めて我々も検討したのですが、一番多か ったのは在宅療養ということの強調が病院追い出しになるのではないだろうか。現在で もなかなか病院に入れない状況があるのですから、そういう病院追い出しになりはしな いかという懸念が大変多かったということをお伝えしておきたいと思います。それらに はいろんな原因があると思うのですが、とりわけ治療での医療と保健、福祉の連携、専 門医療と地域医療の連携が、地域に行けば行くほど不十分であるというところに問題が あると思っております。  また、在宅療養を希望する人ももちろんいますが、その前提となるのは、必要なとき にはいつでも入院できる、そういう保障、あるいはそういう心理的支えが必要であるこ とは言うまでもないことで、是非国レベルでそういう事業を展開していただきたい。例 えば統廃合の件で対象となっている国立療養所や病院の問題がありますが、こういうと ころを難病やリハビリを中心とする地域の核病院として、そのモデルを示していただけ れば、地域の中での体制づくりにもまた大きな役割を果たすのではないかと考えており ます。  あと、これらの課題で、医療保険点数の問題も大きな要因の1つかと考えております これは必ずしも医療機器だけに限らず、現在患者さんから寄せられているのは、機材、 消耗品、電気料金から介護全般にわたる問題ということですので、そういうトータルな 援助体制の確立を急ぐ必要があるのではないだろうか。必ずしも現在の障害者プランや 介護保険構想等には、難病患者への在宅の介護あるいは介護支援は満たされないのでは ないかと考えております。また現在、訪問看護ステーションやさまざまな事業体があり ますが、小さな地域になればなるほどそういうものの連携や人材の確保が困難になって おりまして、そういう面についても総合的な難病対策ということで明確な位置づけが必 要だということが患者・家族の強い希望となっております。  2番目の特定疾患の治療研究事業対象疾患の検討ということでありますが、現在のと ころ多くの患者・家族の意見としては、対象疾患の取捨選択では同意は得られないと私 どもは受けとめております。これは前項で述べたように、この対策が始まってから既に 25年以上経過して、我が国の医療体制、保健業務、福祉の中にしっかりと根をおろし、 かつ地域では今日なお浸透拡大、充実を続けている実態があります。  この中で、この対策を整理・縮小と印象づけることは、地域の自治体や福祉事業全体 に冷水を浴びせるというか、途端に後退に結びついていく影響を与えかねないものでは ないかと考えます。とりわけ本年9月から実施される医療保険制度の改革や介護保険の 創設問題、4月からの消費税率の引き上げ、更に予定されている年金制度の改革等相ま って、国民の社会保障費負担の増大と国の社会保障政策の後退の中で、この難病患者た ちが、この対策からも切り離されることになれば、一気に莫大な費用負担になっていく と。徐々にではなくて、離されることによって一気に負担が増大するということだと思 いますし、更に自治体独自の単独事業による援助・助成からもこれは切り離されること になりますので、患者の経済的、精神的負担は一気に高まると想像することはかたくな いと思います。  また、この対策から疾病ごと切り離されることになりますと、現在保健所や市町村の 保健婦さん等による精神的な支援とかアドバイス、さまざまな事業からも切り離される ことになるので、是非この委員会でも慎重に考慮していただきたいと考えます。  また、この報告の中にあります「奨励的補助金」という規定ですが、私ども26年この 対策を見てまいりまして、初めてこういう言葉に突き当たりまして、「奨励的補助金」 というのはどういう意味かということが患者・家族の中から出ておりまして、これにつ いてもどういう意味か、もう少し分かりやすく御説明いただければと思います。  あと、国庫補助金の整理・合理化の推進方向としての縮減方向ということですが、そ れはさまざまな事情でそういうこともあろうかと思いますけれども、国民の生活や生命 にかかわるものまですべて一律にということについては、是非厚生省やこの委員会とし ても抵抗していただきたいとお願いしたいと思います。  更にこの制度は全国的に展開するのですが、地域での特別な事業ということの面と、 あるいは全国で格差なく進めていただきたいという面と多面的なものになると思います が、そういうところにおける分権化との問題も分かりやすくしていただければと考えま す。  3番目ですが、難病患者等の居宅生活支援事業の問題ですが、私どもの受けとめ方と しては、3級以下の身体障害者福祉法の対象者がこの対策の対象にならないとは受けと めていなかったんです。実際にそういうことがあると聞いてびっくりしているのですが ただ、身体障害者福祉法というのも、それぞれの事業、施策内容によって、級とかさま ざまな制限によって対象が異なるのですから、この部分で3級以下はこの事業の対象と するとなっていても特に問題はないのではないかと考えておりまして、是非事業の対象 としていただきたい。というか、3級以下が対象にならなければ、この事業が生きてこ ないのではないかと考えます。また、18歳以上とした点につきましても、18歳以下の患 者がなぜ対象にならないかという問題がありまして、これは制限は行っていただきたく ないと考えております。  また、ここで、この事業がなかなか浸透しにくいことについて、我々もいろいろ考え てみたのですが、1つはここで「欠陥」というちょっと失礼な表現をしてしまったので すが、これは具体的にどういうことか、若干述べております。1つには地方公共団体と 国の間の行財政配分ということの問題があるのではないだろうか。つまり自治体の負担 を伴うことで大きな障害があるのではないか。あるいは自治体の事業においても、従来 の保健衛生サイドの取り組みの中では、福祉的な発想が余りなかった訳ですから、そこ とが突然ドッキングするということで、さまざまな迷いや問題が出ているのではないか と受けとめております。  4番目の、都道府県別難病センターの開設についてですが、私どもは是非お願いした いと考えております。私どもの団体では「総合的な難病対策の確立を要望する」という 国会請願をしておりまして、この中に全都道府県に難病センターを設立し東京に全国患 者会館を設立するということを要望しておりまして、これは衆参両院において2年連続 で採択されております。きょうもしも採択されていれば、3年連続になりますが、是非 そういう状況を加味していただきたい。  難病センターの機能やイメージについてはさまざまありまして、専門病院あるいは研 究施設というイメージもあると思いますが、私たちはむしろ患者・家族・医師・医療機 関・自治体・保健所・施設などへの分かりやすい情報の提供と患者・家族の実態の把握 を行なう機能、具体的な患者支援を行なう機能、患者・家族の自立支援を行なう業務と いうものの性格の方が急ぐものではないかと考えております。  また、この難病センターの役割については、ある意味では地域格差解消のためのオン ブズマン的性格も全国都道府県に設置されるとなれば、そういうことは十分期待しうる あるいは現在公的助成や福祉の制度はさまざまありますが、不服申し立てという、そう いう支援体制が実は法制度的にも確立していないのです。それが各都道府県に難病セン ターがあれば、とりあえずそこが窓口となって患者の相談を受け、あるいは行政や関係 機関と連絡をとるということで、そういう不服申し立ての支援機関ということにもなり 得るということを補足しておきたいと思います。  そういう事業で、この難病センターの全国的な展開は、我々にとっては難病対策の今 後の展開あるいは難病対策だけではなくて、国民全体の保健・福祉の効率的な利用、制 度の充実にとって非常に有効な手段ではないかと考えます。  したがって、この難病センターは特定の医療機関や行政機関、福祉施設等への併設で はなくて、あくまでも独立した民間機関であるということが重要な前提だと考えます。 また、この機能を十分に生かすため、あるいは人材育成等を含めまして、都道府県だけ ではなくて、統括、指導センターとしての全国的センターあるいは全国会館と言っても いいかと思いますが、それも同時に重要な課題ではないかと考えます。  また、難病情報センターへの期待が高いという認識が持っておられるようですが、私 ども患者会の中では、今のところ限られた一部の人しか利用できないという現状で、そ れほど期待は高くないのではないかと認識しております。  また、疾病に対する情報提供や相談事業は、本来フェース・ツー・フェースで行われ るもので、一方的に情報だけ引き出すということでは誤解や自分に都合の悪い情報だけ 都合のいい情報だけを受けとめるということで、療養指導にとっては必ずしも有効では ない。むしろ弊害となる場合もあり得るのではないかと考えております。しかし、この フェース・ツー・フェースすべてできる訳ではありませんので、そこのところとの兼ね 合いが必要かと思います。  また、HIVの被害者の方々が、被害者救済センターというのを設立しましたけれど も、社会的偏見や活動力の不足から、現在機能としては設立しましたけれども、いまだ に場所というか、部屋を借りられないと。不動産業者を通じて申し込んでもHIVとい うことを聞いただけで断られることが続いております。あるいはスモン等の薬害、医療 災害のことも含めましても、併せて全国会館というものをつくって患者さんあるいは被 害者の方々の拠点にしていくことが必要なのではないだろうかと思います。  5番目の総合的な難病対策の必要についてですが、非常に大きな成果を上げてきた難 病対策が予算の削減を求められていることは大変残念なことだと思います。可能な限り 従来の制度を維持することに全力を挙げていただき、更に充実・発展させていただきた いことを患者・家族は強く願っております。  また、最近身体障害者プランの進め方やさまざまな障害者団体の動きの中での影響を 受けまして、身体障害の定義をWHOの定義に近づけていくという動きがあります。ま た、障害者団体にも、私どもが受け入れていただきまして、総合的な福祉法の提起とい うものも行われていると。つまり保健・医療の分野だけではなくて、新たに福祉分野と の接近といいますか、ドッキングが1つの時代の流れになっているかと思います。そう いう意味でも、総合的な難病対策においては、保健・医療の面だけではなく、そういう 視点も持っていただければ大変ありがたいと思います。  難病センターの運営あるいは患者・家族団体の存在は、現代では我が国の福祉の仕組 みにおいて重要な社会資源の1つとして定着しつつあるように思っております。福祉先 進国に見習って、国においても重要な社会資源として位置づけをしていただき積極的な 育成・助成を行っていただきたいと思います。とりわけ難病対策諸施策の展開にあって は、厚生省を初めとする行政・医療機関・専門家とともに、この患者・家族団体もその 一翼を担わせていただき、事業展開をする体制を目指していただきたくお願いしたいと 思います。  資料どおりでなく申し訳ありませんでした。説明を終わりたいと思います。 ○黒川委員長 どうもありがとうございました。  これに基づいていろんな問題があることは我々も認識しておりますが、御質問、御意 見ありましたら是非お願いしたいと思います。  行政的なことですが、3番目の3級以下の身体障害者福祉対象者について、ここのと ころを説明していただけますか。 ○荒川補佐 現在の居宅生活支援事業の要項の中では、ここにJPCさんの方からお出 しいただいたペーパーに書いてありますように、身体障害者福祉法、高齢者の福祉施策 の対象とならない者、という要件にしております。そうしますと、障害者法の適用によ ってホームヘルパーの派遣ですとか、短期入所、日常生活用具の給付等が受けられるも のについてはその施策の対象としないということなんですが、基本的に1級、2級に限 って、事実上ヘルパーの派遣等が行われているというのは、それは基本的には障害者と して認定した以上は、障害施策の中で取り込んで実施をすべきなので、それは障害施策 の問題ではないかという解釈が1つございまして、障害者と認定された以上は、居宅生 活支援事業の対象はしないというのが現在の解釈になっております。  このことについては、各都道府県等からも、事実上3級以下の者が身障法の対象にな っていないという現状から見ると、現状にそぐわないのではないかという意見などもい ただいているところでございます。 ○黒川委員長 よろしいでしょうか。その辺と18歳以上としたところは、またカバーす る法律が少し違うというようなところだったと思いますが、そうですか。 ○荒川補佐 そうです。 ○西谷委員 いろいろ触れられている問題は、我々も実はいろいろ論議をし尽くしてい るといってもいいような問題が多いんですけれども、ただ、問題は、先ほどの奨励的補 助金ということを1つ取り上げても、これは新しい概念であらゆる補助金を見直すとい う立場から出てきている整理の方法だろうと理解しているんですけれども、それはとも かくとして、したがって、ここに取り上げられている問題は全部非常に重要な問題だと は思うんですけれども、しいてお尋ねしたいのは、全部やれと、あるいは全部について ポジティブに進めるということは不可能だろうと思うんです。そうした場合に、JPC としては、その中でこの点を取り上げれば、こういう突破口ができるのだとか、こうい う新しい面が出るのだとか、そういう意味での考えを何か教えていただけるとありがた いと思います。 ○伊藤 私ども状況がこんなふうになるというところまで把握しておりませんでしたの で、団体の中で十分討議しておりませんので、きょう私、伊藤と事務局長の小林が来て いますので、2人だけで答える問題かどうかというのは難しい点があると思います。  全国の患者さんの期待を受けてというか、委嘱を受けて団体の代表をしている以上、 どれかは引っ込んでもいいということは言いにくいことだと思います。ただ、現実とし てどこまでが限界かというところになったときに、その中で多少どこかでがまんをして も、ただ将来的に患者さんたちの生活を守っていく部分、あるいは機能として代弁して いける部分は、これは今の時代はやはり必要なのだろうと思います。制度的にも外され そういう声を届けたり、患者さんたちの相談に応じることもできないことになりますと これは大変大きな問題ではないかと思います。ただ、私たちいろんな患者さんたちいる 中で、どこがよくて、あなたのところはだめよ、というようなことは、公的にはなかな か言えないことだと思います。  先生にお願いしたいのは、大変なことはあるのでしょうけれども、可能な限り続けて いただきたい。だけれども、どこまでが限界なのかということも、また率直にお尋ねい ただければ、その中で私どももみんなと知恵を絞っていきたい思います。 ○西谷委員 立場はよく分かりましたけれども、結局論議をこの前のときもいろいろし ていますけれども、何もかも今までどおり守っていけと言われても、恐らく難しい状況 は国の財政上あるのだろうという推測も我々もしていまして、その場合に効率よくとい うことにやっぱりなっていくと思うんです。効率よく、より難病対策を進めるためには どの点が特に強調されるべきか。そういう質問にかえてもいいと思うんですけれども。 ○小林 事務局長です。お答えになるかどうか分かりませんけれども、それが突破口か どうか分かりませんけれども、私どもの団体の中で、常日ごろかなり論議になるのは、 必ずしも私ども幹部と意見が一致しないところなんですが、この後、全難連からも発言 がありますようですが、今、伊藤からの報告の中では十分そこのところは伝えてない、 合意されてないので余り伝えてないのですが、やはり一番の突破口となる可能性のある のはやっぱり法制化の問題だと思います。法律的にどこでどういう位置づけるか。  これは我々幹部段階で10年来、この議論を続けてきていることなんですが、難病対策 が、いわば法的な位置づけを持たないままに予算措置、通知行政だけで行われてきたと ころに常にこういう状況になりうる不安感をずっと持ってきた。身体障害者福祉で見て みますと、身体障害者福祉法があり、年々それなりに拡充され、一方で国際障害者の意 向が影響受けて障害者基本法というものが新たにつくられて、更に拡充されて、それに 基づいた障害者計画がつくられたという経過がありますが、それと同じような経過をた どってこないで、むしろ予算の面で見られて削られてくるというところがあるのです。  ただ、我々役員段階で、私どもJPCの中での議論で、そこのところをいつも抵抗す るのは、結局また新たな線引きをそこで求めることになるのではないか。今の特定疾患 対策も何疾患、何疾患、何疾患と毎年1疾患ずつ増で続けてきて38疾患、来年39疾患で すか。ということになってくると、結局病名を特定していくことでの線引きがある。身 体障害者福祉施策でいっても、上肢、下肢、視力何々ということで必ず線引きをしてい く。そういうことではない、どこか違うところで書いてありましたけれども、まさに総 合的な対策を法的に裏づける形で対応していただくような施策が我々としては求められ ているということです。  ただ、現場の患者さんといいますか、各地域の患者さんから言わせますと、いつも私 どもの会議、集会などでは必ず大きなテーマになるのは、法律がないために、ついでみ たいな感じで受けとめられているというところだと思います。それが今の状況の中で可 能なのかどうか。それが果たして患者あるいはその家族のために好ましいことなのかど うかということで言われると、これはまたもう一つ議論のあるところだと考えておりま して、JPCレベルでは結論の出ない問題です。  しかし、この中で触れていますように、そういう要求が常に多くの患者から出されて いるのもまた事実です。この中では難病基本法か、条例か、そういうものになるかは別 として、という形で最後の方に触れていますけれども、そこのところは大きな課題の1 つではないかと思います。 ○荒川補佐 この法制化の問題についてはたびたび厚生省内でも検討の対象になってお りまして、何年か前にも各団体に御意見を伺ったことが、非公式だったかと思いますが あろうかと思います。法制化に当たって一番問題になるのは、難病の概念をどこで線引 きをするか。難病そのものについての明確な法律的な概念規定ができるかという問題と それから、今おっしゃられた線引きの問題。  特に研究という視点でとらえるか、福祉という視点でとらえるかという問題がありま して、福祉という視点で難病対策法的なものを考えるとすると、今我々が行政上取り上 げている難病、それ以外の疾患、非常に難治性の高い疾患がたくさんございますので、 しかし、どこかで線を引かないと法律の対象にはできないということがありまして、そ の辺がいつもネックになって法制化の検討が前へ進まないという点はございます。 ○遠藤課長 主として何を法律の対象にするかということで申し上げたと思いますけれ ども、もう一つ、財政的な面で義務的な負担金にするのか、それとも予算で定められた 範囲という補助金にするのかということが出てきて、なかなか義務的な負担金にしてい くのは財政的には非常に難しい話だろうと。予算の範囲内で補助をするということでや ると、結局最終的には法律にするメリットがなくなってしまうというか、現行のままで やれてしまうという感じのところもあってなかなか法制化をしなければ進まないという ところまでいかないという事情はあると思います。 ○黒川委員長 その辺はかなり議論しているんですけど、確かになかなか結論が、そち らもそうだと思うんですけど、結論が出にくい問題です。 ○西谷委員 私の個人的な考えではありますが、別に難病対策だけでなくて、医療全体 について今非常に大変な時期に入っているので、その中でいろんな医療の質を落として はいけないだろうという考え方の中に難病も入ってくるべきだろうと思うんです。量の 問題ももちろんですが、難病対策というものの精神的な意味での本質的な問題といいま すか、そういうものが保たれるような形でなるべく効率化するというか、そういう方向 性を考えるとすると、この中にも出ているような、広い意味での情報といいますか、難 病の情報センターというか、そういうものは今までは言われながら全然試みられていな いというか、あるいは一般に各府県レベルでぽちぽちとやっているけれども、もう少し 本当の意味で研究グループをも含めてトライアルがされてないので、そういうことが今 までよりはかなり、ほかのところを削ったとしても画期的なといっていいような予算配 分とか、そういうことも恐らく新しい事業という意味で要求することができるのではな いかという感じが私は個人的にはしています。そういう点で、余り望まれないという意 味も分かります。しかし、それは非常に画一的な情報であればそうでしょうけれども、 そういう意味では問題になってくると思うんです。  それで1つ質問は、民間レベルで、どこかに出ていたと思いますが、最後から2ペー ジ目あたり、病院とか、そういうところへ併設ではなくて、独立した民間機関であるこ とが重要である。こういう表現をされていますが、これは確かにそういうものもありま すし、活動しているのはよく知っておりますけれども、一般的には今一番活動的な組織 はやはり病院であって、しかも難病を熱心にやっている病院とか、そういうところが同 時に持つ方が、例えば24時間対応なんていうものは民間がやったとしてもできないだろ うし、効率性という点で見ても、個別性もまた難しい。例えば、おっしゃるように、情 報は提供できたとしても、それがフェース・ツー・フェースでできない、この問題があ る。それは病院とか、そういうところに、病院に限りませんが、医療に非常に近いとこ ろに置けば、よりフェース・ツー・フェース的になるのではないかという気がする。ち ょっとこの前後が違っているというか、少し矛盾しているような気がします。そこまで 詰めてお考えになってない可能性もありますけれども。 ○伊藤 それは表現の能力の問題がありまして、実は先生がおっしゃっているところが 大変大事かと思っております。1つには、前段先生がおっしゃったように、医療費の公 費負担という分野で行けば、疾病数を削るとか、削らないとか、いろんな問題になると 思うんですけれども、こういう難病センターなり情報センターのような役割は、疾病数 に限定がある訳ではなくて、かなり幅広く展開することができますので、今後ともそう いう点では大変重要な対策になるのではないかと考えております。  ただ、私どもがここで民間でと言っているのは、1つは、今まで患者さんたちが得て きた経験からでしかないというのが事実あります。例えば大きな病院にはソーシャル ワーカーが配置されてないとか、公的なところのワーカーといいますか、相談員の対応 がやはりけ患者寄りではなくて、どうしても公式的なものになりがちだという中で、民 間でという発想が1つは根底にあります。  不足の部分につきましては、先ほどここに出ていますような情報センター的なもの。 例えば24時間待機ということではなくて、部分的には電話なりインターネットを使った ようなものでの情報引き出しなり、さまざまなものをミックスしていくことでカバーで きるものはたくさんあるのではないかと考えております。  ただ、民間でと断っているのは、この中に書き漏れていたので、先ほど口頭で補足し た部分ですけれども、1つは病院で十分相談受けられなかった、先生や医療機関との関 係調整がうまくいってないとか、いろんなもの。制度がうまく活動できない。あるいは 行政の窓口で否定されてしまって、それからの足掛かりが得られないといった、これ、 また私たちはたくさんぶち当たる相談を考えると、むしろそれは民間であるべきだ。つ まり、先ほど言いました福祉施策に関する不服申し立て機能というものが1つ必要だと いうことと、あとはオンブズマン的性格というのはあると思うんです。医療に対しても 地域の福祉いろんなものに対しても。  そういう意味では、「民間」と書いたのは不適切なのかもしれませんけど、ある意味 で独立したといいますか、第三者的な機関といいますか、そういうものでなければ、ど こかの今の機能の拡大にしかならないのではないか。  難病対策というのは、そもそも今まで行われているいろんな医療の体制や制度、福祉 の体制や制度から欠落した部分、そこから落ちこぼれた部分を支えてきた訳でして、そ ういう役割は今後ともあるのではないかということを考えますと、このところ患者に実 際にやるとなったら難しいこといっぱいあると思うんですけれども、せめて精神として は、今後ともどんな対策つくっても落ちこぼれていく部分があるだろう。そこの部分の ところを支えるものでほしいという意味です。表現力がちょっと問題かと思います。  先ほど小林事務局長の方から言った点についてちょっと補足したいと思うんですが、 それは私どものペーパーの一番最後の部分の真ん中あたりに書いていますが、先ほど言 った法制化ということについてはいろんな議論があって全然まとまらないところなんで すが、ただ、何らかの工夫によってさまざまな制度に乗っかりきらない部分を、それも 何か乗せてやってほしいみたいな表現で裏支えしていくことは可能なのではないか。例 えば公営住宅などですと、高齢者とか身体障害者は優先入居権があると書かれています けれども、それに「難病患者」と一言書くとか、あるいは「それに類する者」と書くと いうことで可能なことがたくさんあるかと思いますので、ここのところは、私たちもこ れから研究していく課題だと思いますが、そういう方法もあるのではないかということ をちょっとつけ加えさせていただきます。 ○黒川委員長 それはかなり前向きに今のところ動いているところですよね。訪問看護 にしろ何にしろ。ほかに何か。どうぞ。 ○竹澤委員 在宅療養のことで少し基本的な考え方をちょっとお聞きしたいんですが、 最初在宅療養が病院を追い出すというようなことでちょっとインパクトが強かったもの ですので、基本的に在宅ということはやはり住み慣れた地域だとか、住み慣れた自分の 家庭の中で家族とともに普通の生活を送るということで在宅が望まれている方いらっし ゃる訳なんですが、在宅においてはそちらの方からも問題提起が連携が不十分。地域格 差があるとか、緊急のときに入院ができないとか、そういうような課題がたくさん提示 されていますけれども、基本的にはそちらの団体としては、こういうような体制整備が あれば、どんどんやはり在宅の中で生活をしていく方が望ましいと考えておられるのか ○伊藤 これは私どもいろんな患者さん、団体に接している中で感じているのは、病気 の種類によって要求の度合いが違ってきているんですが、おおむね基本的には住み慣れ た家で、住み慣れた地域で療養できればと、大部分がそうだと思うんです。  ただ、これは病気の特性からいって、家族だけでは支えきれない。特に核家族化して きたり、患者さん自身の高齢化あるいは介護者の高齢化とか、さまざまな問題、家族が みんな病気になっているという家庭も結構ありまして、その中で一律に「在宅」と言わ れたら困るなという危惧といいますか、それはたくさんの患者さん持っておられるんで す。  それと今でもなかなか重い病気ほど入院できないというか、手間かかる患者さんほど うまく病院につながらないということも時どきあるものですから、そうなったら困ると いうような危惧は地域の中にはあるんですね。それに対して、それは単なる危惧だけな のか、実際あるかという問題ありますが、そういうことはないという保障がないと難し い。  特に患者さんたちがそのことを考える前に、やはり医療機関やワーカーなりいろんな 方々から、ここの病院は長くいられないんですよということを最近は入院のときに言わ れるんですね。そのことだけで精神的にパニックになってしまう方が結構ありまして、 なぜ長くいられないのかということを抜きに、ただ、長くいられないんですよ、と言わ れただけでびっくりしてしまうという状況などから見れば、もう少し説明を十分にして いくとか、大丈夫だよ。地域へ戻ってもこういう病院が支えてくれるよ、というような 情報なり、そういう指導がなければ、やはり患者さんたちは、「在宅療養」という言葉 にそういう反応をどうしても持ってしまうのではないかと思います。 ○黒川委員長 そういう点では共通の問題点が、あとの2つの団体からも聞けると思い ますので、時間が参りましたから、ここで一応終わります。  本当にありがとうございました。これからもいろいろ参考にさせていただきたいと思 いますので、よろしくお願いいたします。             (日本患者・家族団体協議会退場)            (全国難病団体連絡協議会代表者入場) ○黒川委員長 次に全国難病団体連絡協議会ということで、お名前は八宗岡(やすお か)様、坂本様、よろしくお願いいたします。                 (団体意見陳述) ○坂本 早速私の方から、皆様のお手元に届いておると思いますけれど、発言要旨に沿 って御説明させていただきたいと思います。  全体4点に一応分かれております。4点の柱立てでお話しをさせていただきたいと思 います。まず最初に行政改革の問題。この委員会の中でも論議をされていると思います が、この行政改革の問題につきまして、私たち全国難病団体連絡協議会がどのような形 の考え方を持っているかについて簡単に説明させていただきます。  ここに記載してありますとおり、行政改革でありますけれど、行政の簡素化の問題、 効率化の問題。同時に地方分権の問題ということで、国からの権限の委譲や財源の委譲 こういう問題につきましては、私たち全国難病団体連絡協議会としても一般論の問題と しては反対するものではありません。しかし問題は、私たち難病患者にとっての難病対 策の問題について行政改革としてどうなのかということについて問われましたら、ここ に書いてありますとおり、難病対策という、そういう性格上の問題からして、やはり地 方ではなくて国が責任を持って、また民間ではなくて国が責任を持って執り行うべき施 策ではないかとこのような形で考えております。  それから、2番目の点でありますが、難病対策の到達点に対する私たちの考え方、評 価の問題であります。前回の委員会での資料について事務局からいただきまして読まさ せていただきました。ここに記載してありますとおり2点にわたって御意見を申し上げ たいと思います。  1点目の問題につきましては、現在の難病の到達点について、私たちは高く評価をし ているという問題であります。先生方に大変御協力をいただきまして、また厚生省の皆 さんにも御協力いただきまして、この間の難病対策の問題についてはかなりのところま で到達をしているのではないかという形に考えております。  専門委員会の最終答申にもありましたとおり、実態の解明の問題、また診断基準の確 立の問題、病体の解明や治療指針の進歩の問題、こういう点では一定の水準を確保して きている、こういう形に私たちはとらえております。そういう点では高く評価しており ます。 その後段に書いてありますとおり、この間、難病問題につきましては、原因や 治療法が分からないということで一般的にはふたをされる、そういう傾向にあったもの に対して、科学的メスを入れ、そして、今日の到達点を築いたという点で評価している こういう形で記載しております。  同時に、「しかし」というところに記載しておりますけれど、現実の問題として、難 病の問題については解決をしたのかということを聞かれますれば、いまだ原因や治療法 は確立している訳ではありませんから、1日も早い形で原因の究明や治療法の確立のた めに、更に難病対策の拡充や強化を図ってほしい、このように考えております。  ここに記載をしておりますとおり、この間の成果の問題、到達点の問題として非常に 好ましいことであると私たちはとらえております。ここに「対象疾患検討部会」での報 告ということで、一部の疾患においては、病院としての遺伝子の同定の問題、また、一 部同定された疾患等についてここに記載をされる形になっております。そういう点では 大変好ましいことでありますけれど、しかし、これで全部が解決をしたのかということ につきましては、ここに書いてありますとおり、発症機序(メカニズム)がまだ未解明 の疾患であるという問題。また、重症筋無力症を初めとした後段の疾患につきましても まだ根本的な有効な対処療法が開発されきれていない。こういう点から見まして、到達 点としては、私たちは評価をし喜んではいますが、引き続き手を緩めることなく対策等 の問題について強化をしていただきたい。このような形で考えております。  そういう点で括弧に書きましたとおり、いまだ原因や治療法が確立してはいないんだ ということについて、委員の皆様の御認識をよろしくお願いしたい、このように考えて おります。  それから、3点目の問題としまして、この委員会の中で中心的に論議をされておりま す治療研究事業の位置づけの問題についての考え方の問題であります。この問題につき まして、対象疾患選定基準の見直しとの関係で、治療研究事業の位置づけについてどの ように位置づけるかという問題について討議をされてきた問題につきましては、資料を 通じて、私たちも読まさせていただきました。  私たち患者会から、全国難病団体連絡会から見た場合については、ここに記載してあ りますとおり、患者の願いとして、基本的な問題につきましては、1日も早い原因の究 明と治療法の確立というのが私たち患者・家族の根源的な願いだとこのように考えてお ります。そういう点からすれば、検討されてきています治療研究事業の位置づけにつき ましては、私たち患者会としては、治療研究の促進という医療的な側面が基本だと、こ のように形で考えております。そういう点で結果的には協力金のための謝金ということ で公費負担制度がありますが、このことが結果的に医療費負担の軽減ということで患者 の経済的な大きな支えになっている。こういうことの側面は否めないことは私たちは認 めておりますけれど、根本的な性格としては、治療研究の促進のための制度であるとい う形で私たちは認識しておりますので、そういう点で今後見直し等の問題に当たっての 精査につきましては、できる限りこのような考え方で御精査をお願いをしたい、このよ うに考えております。  そういう点で、その後段の最後のところに書いておきましたが、これまで指定された 疾病を削減しないでほしい。そして少しずつであっても新たな疾患・疾病を追加してく ださるよう改めて要望申し上げますという形になっております。  最後の4点目でありますけれど、今後の難病対策に関します要望事項につきまして6 点ほど記載してあります。  1点目の問題につきましては、患者・家族のQOL、福祉の向上の施策につきまして 更に拡充をしていただきたいという形であります。この間、厚生省にもお願いをしまし て、厚生省の方でも新たな福祉の施策ということでホームヘルプサービスや短期入所事 業、日常生活用具等の給付事業の新たな事業が開始をされてきております。私たちは大 変喜んでいる訳ですけれど、まだまだ新しい事業であるということもありまして、患 者・家族の中にも理解しきれてない部分もありますし、なかなか地方自治体の中でも受 け入れてくれていない地方自治体もありますし、実態に合ってない部分もあるのかなと いう感じは受けとめております。しかし、いずれにしても、新たなそういう福祉施策が 始まったということで私たちは高く評価をしておりますので、更に改善、拡充、強化の 法等をとっていただきたいのが1点目になっております。  それから2点目の問題としまして、先端医療情報の提供できるような体制を確保して いただきたいという体制整備の問題であります。新たな事業として難病情報センターと いう事業が始まりました。この難病情報センターの事業が更に前進できるような形でよ ろしくお願いをしたい、こういうことが書いてあります。  ここに記載してありますとおり、保健所、医療機関、とりわけ大きな病院での医療相 談室等の果たす役割が大変が大きなものと私たちは認識しております。そういう点で、 高度医療や先端医療の情報が患者や家族のところに提供できるように、保健所や医療機 関での体制整備強化等をよろしくお願いしたいというのが2点目の問題であります。  同時に、3点目の問題としましては、情報だけではなくて、具体的なケアシステムの 構築をお願いしたいという形になっております。具体的なケアシステムの構築の問題に つきましてはここに記載しましたが、平成9年度から保健所法が変わりまして地域保健 法に変わることを通じまして、難病対策が保健所の仕事に加わりました。既に幾つかの 保健所の中では、難病患者の実態調査をしながら在宅ケアシステムづくりを進めている そういう保健所もあらわれております。難病患者の在宅ケアシステムを構築していく上 では市町村や病院との連携は欠かせないものになっております。そういう点で厚生省と しましても、全国的に保健所での在宅ケアシステムが実態調査と併せて展開できるよう に指導・援助をよろしくお願いしたいというのが3点目になっております。  それから4点目に、国立病院、国立療養所での難病患者等の受け入れ態勢の整備の問 題であります。地方にいてもそうですけれど、高度な先端医療が受け入れられるように 体制整備をお願いしたいと思います。  それから5点目に「中央、地方に難病センターの設置」ということを書いてあります けれど、ここのところに括弧書きに「ボランティアセンター」ということが記載してあ りますけれども、これは削除をお願いしたいと思います。  難病センターの設置の問題につきましては、私たち難病患者は難病という病気を抱え て一生生活をしていかなければいけない、こういう形になっております。そういう点で 医療の情報だけではなくて生活面での具体的なサポートが必要になってきます。その面 で是非支援をしていただけるようなボランティアの方も集えるようなそういう難病セン ターを設置をしていただきたいという要望であります。  最後にここに書いてありますけれど、難病についての正しい知識の普及の問題。先ほ どお話をしましたが、難病にかかわる対策の問題について前進をしてきておりますが、 この成果の部分につきましてもきちんと国民的な形で普及啓発を図っていく、このよう なものを必要だと考えております。そういう点でまだまだ地方に行きますと、難病がう つる病気ではないかという、そういう誤解や偏見が見られる形になっております。そう いう点で、国民的にそういう難病に対する正しい知識を普及をするという問題。また、 誤解や偏見を取り除いていく、こういう点でも難病情報センターの役割があればという ことで考えております。  最後に「難病患者救済基本法(仮称)制定の問題」であります。当初、医学的な視点 から出発した難病対策の問題でありますけれども、現在は福祉という問題につきまして も対策が講じられる形になっております。今後国民的なレベルで難病患者の救済を図っ ていく上で、私たちは難病患者救済基本法という法律そのものの制定が必要になってい るのではないか、このように考えております。以上であります。 ○黒川委員長 どうもありがとうございました。ただいまいろいろお話を伺いましたが これにつきまして、何か質問、御意見ありましたらお願いしたいと思います。先ほどと かなり共通している部分もありますけれども、いかがでしょうか。 ○大野委員 最初に、調査研究事業の研究面の評価がかなり高いが、まだまだ進めてほ しいというのが1つ目のポイントだと思います。その次が治療研究事業の話で、この事 業そのものには治療研究の促進という目的があり研究協力のために謝金化をして公費負 担制度があるという御認識は確かに正しいことであります。  治療研究の対象になっている人たちの協力を得て、研究の方を推進するということを 考えますと、治療研究事業の対象疾患の患者さんを全国的に登録して、いろんな情報を 患者さんから提供していただくというシステムをつくるとしたら、どういう対応がなさ れるかということについて、ちょっとお尋ねしたいと思います。 ○坂本 御質問に合っているかどうか、ちょっと定かではないんですけれど、いずれに しても患者会から見た場合、そこに現実に生活している患者さんがいる訳なので、患者 さんをある面では救済をすることが当然具体的に必要になってくるだろうと思うんです ね。ですから研究だけではなくて治療、また生活をサポートする、そういう側面と連係 した形でその事業が進められていくことが基本ではないかと私たちは考えております。  その中で、プライバシー等の問題があれは、それは個別の問題とし検討し整理をして おく必要があるのではないかと考えております。 ○大野委員 実は情報収集システムができないかということを若干考えておりまして、 もちろんその中にはいわゆる原因究明のためのいろんな要因を尋ねたりする部分もあり ますし、現在行われておる医療・福祉政策に対する希望と不足面、QOLなど、患者さ ん全体のことも含めてインフォメーションを御提供願えるようなシステムをつくろうか と考えております。  もし、そういうようなシステムが何かの形で具体化してきたときには、是非御理解を いただけると有難いと考えています。 ○坂本 そういう要望もこの中に含めて保健所を核にした難病患者の在宅ケアシステム という形で、調査のための調査だけではなくて、具体的に調査を通じて在宅ケアが進む ような形のものに是非していただきたいというのが私たちの要望でありますし、患者は 重症度が高くなればなるほど声すら挙げられない実態にありまして、実態が把握をされ ていないというのが実は患者会の中にもあります。 ○八宗岡 それで今度膠原病友の会では、患者と家族の実態調査を今年度やりまして、 今1万 5,000人ほどの保健所とか先生方を通しまして実態調査にかかっている最中なん です。そういうことも今まで何もない訳です。膠原病だけしかまだできていませんで、 全難病連ではほかの団体がこれからみんなでやっていこうという話になっておりますの で、それをも含めて、これから今この時期にやらなければいけない。大金を投じて、私 どもも今やっておりますので、その辺はこれからも御協力をお願いしたいと思います。 ○大野委員 是非そういった結果が出ましたら、こちらの方にも、お知らせ願って、ど んな実態か、何を患者さんが望んでいるのか、どうしたらいいのか、などのインフォ メーションを福祉面と研究面の両方に役立つようにしたいと考えています。保健所を ベースにした全国的なシステムができると患者さんの声もかなり吸い上げられるだろう と思っています。 ○黒川委員長 それは、例えば膠原病、それに関係ある治療研究ではなくて、もう一つ の調査研究班がありますよね。実際の今の問題がどうなのか。そういう先生たちとも連 絡をとりながらやっている訳ですね。 ○八宗岡 先生も入っていただいております。 ○黒川委員長 そこの事業の一環としてやっていただければいいのではないですか。 ○八宗岡 はい。 ○黒川委員長 そうすると、報告書も出るし、よろしいですね。 ○高久委員 難病センターの設置というのがございましたが、これは先ほどの患者・家 族団体協議会の方と同じように民間事業ということをお考えですか。それとも必ずしも 民間事業ではなくて、特定のところにつけ加える。どちらをお考えになっているんです か。 ○坂本 このあれは、2番目のところに先端情報を提供できるような体制の整備をとい うのは、これはあくまでも厚生省主導なりでお願いをしたいという思いがあるんですけ れど、こちらの難病センターの関係は、先ほど「ボランティアセンター」ということを 消していただきましたが、イメージ的にはそういう方たちも含めて、そこでいろいろ交 流できるということが当然ある訳ですから、形態の問題としては、民間も含めた形で救 済ができるような、そういうイメージということでは考えていますけれども、民間がい いのか、公設がいいのかということについてはまだ検討は十分しきれていませんけれど そういう交流等も含めた形でできるようなイメージで全難連ではとらえています。 ○黒川委員長 ほかにいかがでしょうか。 ○西谷委員 今の高久先生の御質問とも関連するのですが、現実にいろんな形でほとん どの県に幾つかの病院ないし組織がこういうふうに動きかけていると思うんですね。そ ういう意味で言うと、画一的な形は難しいと思いますが、最近御存じのようにALSに 関して、佐藤先生の班を中心にして、各府県に少なくとも1つぐらいはALSを受け入 れていろんな仕事をするとか、特にALSの場合は非常に手がかかって家族も困られる そういう観点から今進んでいるのは御存じかと思いますが、そういうイメージ。それに プラス情報。各種の難病に関する情報。そういうものが1つイメージができると思うん です。  一方、ボランティア団体を含めて、民間ということになると、ただでさえ補助金の問 題は難しい。なおのこと難しい状況が起こってくると私は思います。何もかも望まれる と難しいのではないかという気がします。 ○坂本 確かに先生の言われたとおり、難病患者の中の置かれて状況、疾病によっても 違いますし、同じ疾病の中でもそのときの状況によっていろいろ状態が違ってくる形に なってくるだろうと思います。そういう点からすれば、必ずしも民間でいいのかどうか という問題も当然ありますし、医療情報の取り扱いの問題等も出てくるだろうと思いま す。そういう点では、そこら辺の関係についてよく交通整理をしながら検討していかな くてはいけない、このように考えております。 ○黒川委員長 こちらもいろんな御要望あるいは問題点をかなり把握していきたいと思 っておりますし、確かに難病という1つのくくりで、1つ1つ疾患がほかの病気と何が 違うんだと言われると非常に困るところもありまして、みんなでない知恵といいますか 知恵を絞っているところで大変参考になりました。どうもありがとうございました。            (全国難病団体連絡協議会代表者退場)                    (あせび会(稀少難病者全国連合会)代表者入場) ○黒川委員長 次に、あせび会、佐藤様ですが、よろしくお願いしたいと思います。 ○黒川委員長 どうもありがとうございます。よろしくお願いします。                 (団体意見陳述) ○佐藤 佐藤でございます。本日はお招きいただきましてありがとうございます。  資料を読ませていただきまして、いろいろ御検討いただいて大変感謝しております。 具体的に、今後の難病対策にどういう意見があるかと言われたら、難病対策を充実して いただきたい、それはみんな患者の願いだと思います。そのことに異論はございません し、当然そうあってほしいと願います。  ただ、予算的に見直さなければならないという今の社会情勢の中で考えると、これか ら予算の伸びが大変厳しい。どこを見てもそう書いてある中で、一体どうしたらいいの だろうかと思います。ですから新しい答申で、最終報告を読ませていただきまして、中 間施設とか、そういう介護施設の問題など、あるいは福祉的な視野に立ってということ で、それも大変ありがたいと思っておりますけれども、今度 118疾患が在宅ケアの対象 となったことで、1人の患者会の活動している者の立場で、治療研究の対象になってい る疾患と調査研究の対象の違い、それをどういうふうに患者に説明したらいいのか、大 変戸惑っております。  地域の保健婦さんなどに会うと、やはりどうして、これ急に増えたんですか、どうい う理由ですか、なんて言われて、どうぞ、行政の方に伺ってください、先生方に伺って ください、と言わざるを得ないので、その辺をこれから治療研究の対象にしていく過程 において明確になっていくのだろうと思いますけれども、もし、この場で御説明いただ けるなら、簡単に御説明いただきたいと思います。  それから、治療研究事業につきましては、やはり全体的な流れとして、二十何年間、 1疾患ずつ増えていくのはおかしいと提起されまして、それも本当にそうだと思います し、 118疾患との兼ね合いもございますので、その辺は何か新しい施策をしていただか なければまずいのではないかと感じます。それには患者の立場からみますと、1人1人 20年たっていますと、新しい患者は治療研究事業ということを自覚しておりません。み んな福祉だと思っていますから、その辺を各都道府県によって難病の申請用紙も違うと 思いますけれども、1人1人の患者が、これは治療研究事業なんだということを自覚で きるような方法というか、啓発というか、そういうものをお願いできたらいいなと思い ます。そうすれば、皆さん1人1人の患者が福祉ではないんだということで自覚でき、 自分の病気が研究されているのだということが明確に分かるのではないかと思います。  それと、よく感じますのは、身体障害者の1〜2級の方の障害者医療と治療研究の金 額が伸びると言われますので、お金の方から見ますと、マル障医療というのが各都道府 県にありますけれども、マル障医療は風邪から下痢まで全部包括して治療を受けられま すけれども、その辺と治療研究対象疾患の方が障害の1〜2級になったときの、そのお 金はどういうふうに、同じ厚生省から支出される訳ですけれども、障害者として出てい るのか、治療研究として出ているのか、その辺の違いも明確に分かればなと思います。  他方優先ということになってくると、身体障害者の1〜2級になった場合には、障害 者福祉法の方が優先されて、治療研究からは外れるのが普通だろうと思いますので、そ の辺で、医療費の、同じ省内でどう分けられているのか。これはむしろ行政の方にお尋 ねすべきことだと思いますけれども、そんなふうに感じました。  特に神経難病もそうですし、網膜色素変性症なども、失明した後の網膜色素変性に関 しては、全く失明同然になったときの医療は一体何があるのかということでも、最近の 特定疾患認定を見てますと、そう医療費は増えないのではないか。せめて検査料かなな んていうふうにも感じる部分もありますので、そのことも、この際明確に御説明いただ ければ、納得ができるかなと感じました。  それから、何らかの形で見直さなければならないということで、ずっとお話を伺って きたり、私がまた感じることを申し上げたりしてまいりましたけれども、福祉施策とこ の治療研究の中で、大きな難病対策というのと、調査研究と治療研究という研究の目的 研究がイコール難病対策の中の福祉に行くのはどうかなと感じますので、その辺の私た ち素人が素人に説明するときの分かりやすさですか、そんなものも伺いたいと思いまし た。  あとは対象疾患を増やしていただきたいというのは、これは認定されていない患者の 人は皆そう思っているのだろうと思いますけれども、どういう視点から特定疾患に選ん でいくのか、その辺はやはり大変難しいと思いますし、それからどんどん金額が増えて いく中で、どれを削るのかというのは、古くて新しい問題でも、どんなことにも既得権 の問題なども絡んでいますけれども、私のところには具体的に緩解期と言われているけ れども、やはり保健所に行って申請しなければいけないのか、あるいは全然1年間治療 を受けてないけれども、これは東京に多いんですけれども、先生のところに行って検査 しないと手当がもらえないから、やはり診断書書いてもらうのには病院に行かなければ いけないかとか、そんな問い合わせもあって愕然とすることもあります。  その辺でもやはり福祉、治療研究ということがはっきり患者さんに分かっていただく ような、大変病院の現場で先生方のお忙しいことを考えると、そんなこと説明している ひまがないというのは重々分かりますけれども、その辺の問題もどうしたらいいのか、 きちんとやっていただけたらいいななんて感じております。  特定疾患であっても、医療が非常に中心的になるものと、福祉的なケアが中心になる ものとがあるような気がいたします。その辺でも、これからの政策の中で、お医者さん 治療に関して研究していただく部分と、福祉的な側面をどなたが、難病患者の福祉、今 は私は大変少ないと思うんですね。難病患者の福祉ということで専門的に御研究いただ いている方というのは。そういう方々も、在宅介護研究班というのがございましたけれ ども、あれはあくまで厚生省の研究班で、社会に広がっていない気がいたしますので、 福祉のQOLという立場からすると、そういう方を広くこれからすそ野を広げていただ かないととても大変じゃないかということを考えております。  上限を設けるという御提案がありましたけれども、流動性という意味ではいいのでは ないかなというふうにも考えております。問題は研究班の先生方の限られた人数で、病 気に対しての研究が進んでいくのだと思いますけれども、地方というか、地域の先生方 にその病気もどこまで広がっていくか。3万人も4万人もいる患者さんですと、割合地 域の先生方にも浸透していっているかと思いますけれども、患者の相談に、あるいは保 健所の問い合わせなどを伺っていますと、やはり大都市圏と地域では大変違うように感 じられますので、末広がりに研究班というか、関心を持っていらっしゃる先生方。病院 へ行って患者さんは必ず専門の病院を紹介してほしい。保健婦さんからも専門の病院を 紹介してほしいと来ますけど、確かに循環器センターとか、何々センターというものは そうだと思いますけれども、やはり熱心なお医者さん、そういうお医者さんを私は是非 患者の相談に応じている立場で教えていただきたい。それは神経難病の先生方だったら 神経疾患ならどの地域のどこだったら、どこのだれ先生に行くといいという、そういう 情報を私は切に希望しております。  最近、先生方の研究によって、どんどん病気の状態も変わってきて、ミトコンドリア 関係などですと、大変幅広い問い合わせがあって、一体どこの何科の先生にお願いした ら、地域でケアしてもらえるのかとか、具体的に大変難しいです。きのうなどですと、 ジストニア関係の方からで、やはり新しいオーハンドラッグで認められた薬を使ってほ しいと思うけど、どこに行けばいいのか、そんな問い合わせがありまして、せっかく立 派な先生方が御研究いただいていても、それが地域に広がっていっていないと、大変患 者にとっては、治療研究にすら協力できていない。そんなふうに感じますので、そんな ことを、私は新しい難病対策の中に願っております。  大変簡単でございますけど、私はそのぐらいでございます。申し訳ございません。 ○黒川委員長 いろいろ示唆に富むお話を伺いましたたが、佐藤さんのお話については いろいろまたコメント、ご質問、また、そちらから何かお返事することありますか。 ○塚原補佐 いろいろ御質問がありましたので、どの程度お答えになるか分かりません が、お答えを簡単にしたいと思います。まず調査研究事業と治療研究事業の区別がどう なっているのかという御質問がありましたが、基本的に調査研究事業は原因不明で難治 性の高い疾患が調査研究事業の対象になっていますが、その中で特に重症度が高いとか 認定をするための診断基準がほぼ固まってないといけないというような2つぐらいの要 件があって、調査研究事業の中から治療研究事業が選ばれることになっています。福祉 の方は基本的には難病、全体的な難病の範囲が 118疾患という整理をしていますので、 これが難病福祉の対象にもそのままなるという整理をしております。 ○佐藤 難病福祉。 ○塚原補佐 居宅生活支援事業ですね。ホームヘルパーさんの派遣とか、あちらの方は  2番目に、たしか障害者に対する制度と治療研究事業どちらが優先するかということ だったと思いますが、これはやはり他方優先ということで障害者医療の方を優先します ただ、福祉制度の方ですと、所得によって多少自己負担が発生したりすることがあると 思いますので、その場合の発生した自己負担の残りは難病の方で見るという仕切りに多 分なると思います。所得の多い世帯では身障の手帳を持っていながら難病の手帳も持つ 必要になるケースもあると思います。それから、網膜色素変性症で、これは失明した後 医療費がかかるのかということになりますと、データは持っていませんが、恐らく失明 してしまえば、治療法は基本的にはないはずなので、医療費は余りかからないというこ とに実体としてはなろうかと。そういう意味で、認定患者が多くても網膜色素変性症は 余り医療費がかかってないのではないか。というのは、調査をしてみれば、そういうこ とが分かるかもしれません。ただ、データとしては、私ども持っておりませんので何と も言えません。  それから、 118疾患のうち、被認定疾患が治療研究事業の対象にどういうふうになっ ていくかというお尋ねが1つあったと思いますが、これは先ほど調査研究事業と治療研 究事業の違いを言いましたように、基本的には調査研究事業の対象疾患になって、なお かつその中でも特に難治性が高くて重症度が高くて一応診断基準がかたまっているとい うものから順次追加をしていく。 追加をしていくに当たっては、特定疾患対策懇談会を開催させていただいて、そちら の方で、例年9月ぐらいに開催をさせていただいて、1月に追加をいたしますので、11 月ぐらいまでに疾患を決めて、それから診断書の様式をつくって都道府県に通知をする というような流れでやってきております。  一応、それで全部お答えになったかどうか、ちょっと分かりませんが、ということで 御理解をいただきたいと思います。 ○佐藤 ただ、治療研究とい名目ですと、身障1〜2級になったから、治療研究から外 れるのかという考え方を変えると、そういうとらえ方もあるかなと思ったんですね。治 療研究だったら、重症になった場合に、この治療研究から外れることになるんですね。 その病気の人が障害が重度化したときにマル障医療対象になると治療研究からは外れて しまう。なぜ、重症者は治療研究から外れるんだということになると、私はちょっとそ の時点で、治療研究という名目にはそぐわないのではないかなと感じたから、そういう 質問をしたんですけど。 ○塚原補佐 なかなか厳しいというか、お答えしづらい御質問なんですが、制度上はそ れぞれの制度がそれぞれの理屈があって、制度として動いておりますので、やはり制度 上の整理からいくと、重症になってすべて自己負担がなくなるような形の障害者制度で きちんと医療が無料化されると。自己負担が発生しないということになった方は、治療 研究の必要がないということではありませんけれども、治療研究事業を受けてもメリッ トがないという意味では対象になってこないということだろうと思いますけれど。 ○佐藤 私はなぜそういう質問を申し上げたかというと、治療研究というものをもう少 し明確にしていただきたいと思うんですね。ただ、医療費の公費負担をすることが治療 研究となると、一般の庶民はそれは福祉だと思ってしまうんですね。だから治療研究を 明確にするとなれば、今申し上げたような問題がひっかかってくるのではないかという ことで申し上げました。 ○黒川委員長 それは実はかなり議論されておりまして、おっしゃるように、治療研究 になると患者さんの自己負担は国が持ってくれるよという感じで受けとられているのか なという気もしておりまして、先ほどの大野先生のもそうですが、これはあくまでも治 療研究ですから、調査研究をやっている先生たち、グループでもいろいろ協力してほし いと。それをするのには毎年毎年の地方自治体ごとのフォーマットを共通してとおっし ゃったけど、それはそのとおりだと思いまして、こちらも実はそういうふうにしたいと 思っているんですが、行政も心配しているのは、患者さんの団体の方からプライバシー の問題とか、がちゃがちゃいろんなことを言うんじゃないのなんていうことをかえって 心配しているんですね。気を遣いすぎて実は誤ったんでしょうかね。むしろ、やった方 がいいんですね。 ○佐藤 プライバシーは、私も全患者さんつき合っていますと、基本的に病気以外の問 題を抱えた人たちがプライバシーとかなんか言ってくるんですね。本当に家族なり、本 人の病気だけを何とかしてほしいと願っている人はプライバシーやっていたら救われな いんですね。私は決して希望してやっているのではないんですけれども、何とかしよう と思えば、プライバシーに入り込まざるを得ないという現状なんですね。  むしろ治療研究だったら、反対にインフォームドコンセントだったら、これは治療研 究ですから、あなたは受けますか、受けませんかという選択があっても理論的にはおか しくないんじゃないか、そう思うんですね。 ○黒川委員長 おっしゃるとおりだと思います。是非、その辺の連携プレーをもっとよ くしたいということはすごく今考えておりまして、大変きょうの3つの団体ともそうい う趣旨のことを言われたので、大変私どもとしては、インフォームドコンセントをした 上で、両方がすごく納得できるようで格好で進めるといいと思います。おっしゃるとお りだと思います。 ○大野委員 佐藤さんの立場からいくと、多分首都圏ならいいんでしょうけれども、全 国のいろんな地域から御相談があって、どこにどういう熱心な専門医がいるのか、この 病気には、どの先生などと紹介依頼があるのでしょうね。私は多分一番切実なことをお っしゃったんだろうというふうに聞いていたんですけれども、これなどもゆくゆくは難 病情報センターで情報が得られるといいですね。最初の第一歩としての情報は、各疾患 毎の研究班の名簿なんでしょう。研究班の先生方の関連病院でこういう病気に関しては こういう先生が専門でやっていますよという情報を、アンケートの形でとってみれば、 結構インフォメーションは集まってくるでしょう。全国レベルでのアンケートであると 何々市のどの辺にこういう人がいますというインフォメーションをうまくとれるかもし れませんね。多分これが一番切実なことだろうと思っております。 ○佐藤 はい。日々悩んでいました。せっかくCDに入れていただいて、難病情報セン ターのを引いても、私には全く活用できないんですね。それだったら文書で書類で持っ ているということで、各地域の保健所からの問い合わせですと、むしろ保健所で、あな たの県で調べてほしいと申し上げたいような感じなんですね。  例えば四国の人が大阪に行って大阪大学で診断受けて四国に帰った。だけど地域の病 院はどこかということになって、私は大学の先生から地域の先生を紹介していただけな いか。いや、専門医じゃない、ということになるんですけれども、これは私の全く独断 と偏見なんですけれども、地域で患者さんを診てくださる先生が、必ずしもその病気の 専門の先生でなくていいときもあるのではないか、日ごろ診るのは。どうも今は専門専 門ということで専門志向ですけれども、実際は私は地域で受けてくださる先生がいれば 専門医の先生と地域の先生がもっと連携をとっていただければ、十分専門の先生でなく ともケアできるのではないか。その辺の問題は大変私たち患者の願いとは逆で、私も現 実にそのことでやってますけれども、専門の先生は、こちらから資料出しましょうと言 ってくださっても、地域の先生がそれを余り歓迎して受けてくださらないんです。  その辺は、ここで申し上げる言葉と違うかもしれないんですけれども、やはり「開か れた大学」という言葉が最近聞かれますけれども、大学の方が開いても入ってくるお医 者さんがいなければ、幾ら玄関あけてもだめではないかと思いますので、若い先生方と いうんでしょうか、大学を出て地域で開業なさっている先生方なんかにもやっていただ きたいと思います。  それともう一つ、私は万事休すで、私のところに、例えば本当に数少ない病気ばかり ですので、その患者さんから主治医が全部病院と何科にかかっているか分かる訳です。 その先生方に手紙を出して、ここの病院のこの先生が同じ患者を抱えています。先生方 情報交換してくださいと言ってもぶっつけ本番でやろうかというぐらい、今私は考えて います。だから患者を抱えた先生が、果たして研究班につながっているかというととて も疑問に思えるんですね。だから情報というのは、やはり患者を抱えた先生に行かなけ れば、余り意味がないのではないかということを感じております。大変生意気な発言な んですけれども、そういうことも今後の視野に入れていただければと思います。 ○遠藤課長 今のお話に関連して、1つは難病情報センターというのをことしの3月か ら立ち上げているんですけれども、今年度の事業として、今一応全病院を対象だったと 思いますけれども、難病を診療してくれるか、相談に乗ってくれるかというアンケート をとろうということになっています。それでインターネットというのは病院の宣伝をや ってもいいと健康政策局が言っておりますので、病院のどういう難病を診てくれるんだ ということを載せてもいいという病院についてはとりあえず載せてみようかと。また、 津久江先生のところに御相談に参りますが、津久江先生のところでも、また医師会のイ ンターネットなどもあって、少しまた何か御相談できればと思っておりますが、そうい ったことで、どちらかと言えば、やや専門的な医療機関をリストアップするという作業 になるかもしれません。  それから、さっき西谷先生がちょっとおっしゃったALSの方の話では、各県で窓口 になる病院を1つはリストアップしていますが、もう一つは幾つかの県で、県内くまな く専門病院だけではなくて、少し地域の中核的な病院、更には地元の主治医、そういっ たところまでうまくお互いに連絡ができるような仕組みというものを、差し当たりはA LSに限ってつくろうということをやっておりまして、そういったことはほかの難病に とってもモデル的なことになっていくのではないだろうかと期待はしております。 ○佐藤 あともう一つ感じましたのは、やはり 118疾患あって、38疾患だけが入院も外 来も全部丸抱えというのは、私の立場ではとても情けないんですね。それで、同じ病気 で原因が不明で、治療法が未確立で重度化すると脅かしがいっぱい前にある訳ですから それだったら、自分で病院に行って外来で待ってみて思うんですけど、外来の治療が本 当に治療研究になっているのだろうかということを思うんですね。 やはり検査のデータとか、そういうのは十分治療研究になるのだと思いますけれども せっかくある難病対策を本当に難病に苦しむ人みんなに分けるためには、先ほど申し上 げましたように、医療と福祉で担う分野が違うから、同じ対応の仕方でなくてもいいの ではないか。ある疾患は入院に関して治療研究にする。ある疾患は外来、例えば色変の ようなのですとほとんど外来な訳ですから、外来をやる。 それと私はそれを考えたときに、今度健康保険の2割負担にもなった訳ですから、難 病患者でも就職して働けるような状態になった緩解期は少なくとも外来は自己負担にす るとか、いろんな意味で知恵を出し合って、みんなが協力して、もう少し 118疾患の中 には日の当たらない疾患がたくさんあるはずですから、やはり何とか対応すべきではな いかと思いました。 ○黒川委員長 そのとおりだと思います。私どもも実はそのことをすごく頭悩ませてお りまして、確かに病気によってはALSみたいにどんどん悪くなる方もいる一方で、今 かなり治療法もあってよくなっている人もいるんですよね。確かに入院しているような 状況のときはすごくかわいそうですけど、退院して普通に生活している人幾らでもいま すから、そういうときも自己負担はちょっと納得いかないなということがありまして、 そうしたいなと思っているんですけど、患者さんの団体は、先ほどほかの2つの団体で も言われましたけど、既得権を放すのは嫌な人もかなりいるのではないかと、かえって こちらが気を遣い過ぎですかね。 ○佐藤 それは反対はどんないいことやっても反対起きると思います、私は世の中は。 ○黒川委員長 いいことというか、より適正なことをやって、と思っているんですけど ○佐藤 私は既得権、先生方の研究班にもあると思うんですね、私は、はっきり申し上 げて。 ○黒川委員長 否定はできないですね。 ○佐藤 ですから、私は事情をきちんとそれを説明して、だから治療研究とは何が対象 か、どういう目的か。目的を明確にすればいいのではないかという気がしますね。それ と入院だけにした場合には、今度退院しないで長引くということが、また問題が出てく るだろうなと思ったんですね。それが疾患によっては、退院して2カ月ぐらいは通院が 大変だから治療研究の対象にするからいいとか、発病して3年ぐらいは非常に病気が移 動したり、緩解したりする変化の激しい病気もありますから、そういうものは3年間は 外来の治療研究にするとか、そういう疾患による個別対応があってもいいのではないか などとも考えていました。 ○黒川委員長 きょうの話を聞いていると、むしろ患者さんの団体の方々ともよくお話 をして、コミュニケーションをよくするというのはすごく大事なのではないかという気 がします。 ○佐藤 それは治療研究ということを明確にすることのような気がするんですね。治療 研究が既得権ということはあり得ないような気が私はするんです。研究は私たちがやっ ている訳ではないですから、患者はその研究の対象に、自分が協力するか、しないかの 選択のような気がするんですね。 ○黒川委員長 ほかに御質問ありますか。いつもその話随分しているんですけど、治療 研究と調査研究をもうちょっとタイアップして、患者さんの理解を深めたいということ を随分考えていますので、是非やってみたいと思っています。そうすれば、本当に必要 な人に、同じ資源といいますか、それを分け与えることができるというか、分かち合う ことができるのではないかと思っております。  ほかによろしいですか。  ありがとうございました。前回もそうですが、大変示唆に富むお話で役に立ちました いつも御苦労さまです。 ○佐藤 とんでもない。よろしくお願いします。ありがとうございました。          (あせび会(稀少難病者全国連合会)代表退場) ○黒川委員長 3つの患者さんの団体から大変貴重な御意見をいろいろ伺ったのですが これの施策がここ2〜3年で随分変わってきまして、福祉、QOLなどに注目した施策 を随分入れてきていただいて、対策としては、どこの団体からも非常に評価をされてい ますし、より一層の充実、もちろんそうだと思いますけれども、やはり認識している問 題点はここで話していることと非常にオーバーラップしているというか、我々が考えて いるようなことと非常に似ているのではないか。これの施策としては、いかに効率がよ くて、効果があるような施策をしていくと、恐らく受け入れてくれるのではないかと、 私は感じました。  情報センターは、情報が十分に行き渡るかどうかは、前も伺ったときも同じように気 にしていて、難病の情報センターを充実することが結構大事ではないかという話と、そ れから報告書がCD−ROM化などされまして、もっともっとインターネットその他で アクセスができるようになってきますから、その辺の情報の充実も大事ですね。専門医 あるいは専門の病院がどういうところにあるのかということがもっともっと難病セン ターの方にアクセスすれば、保健所経由なり何なりに幾らでも情報がとれることはすご く大事なのではないかという気もいたしました。  それから違った法律で身障の問題もそうですが、そういうことも充実させていただい ていますが、先生方、少し時間がありますのでフリートーキングよろしくお願いします ○西谷委員 私の方も、最近、県立尼崎病院の中に相談室というのをつくったり、各地 域ごとに非常にバリエーションといいますか、地域の特殊性をスタートしているので当 然そうなってくるんですけれども、非常に多様な難病相談を中心にしましたいろんな形 のものが今生まれていると思うんですね。これが情報センターの1つの基盤になりうる のではないかと思いますが、1つは自然発生的にできているものだけに、形態、運営団 体、どの程度の規模であるかとか、非常に違いがある。  もう一つは、知っているのはよく限られたところであって、この辺を今後この問題を 少し煮詰めるためには、そういうところの情報というか、そういうところの実態を知る 必要があるので、そういうことを事務局の方で大変恐縮ですけれども、調査していただ いて、1つの資料にそろえていただけると非常にありがたい。 ○黒川委員長 堀井委員いかがでしょうか。 ○堀井委員 きょう私聞いておりまして、皆さんが非常に、難病センター、情報セン ターという声が出てきて、患者会の方たちの話も聞いたんですけど、余り医療というも のが表に出てこない。自分たちの仲間をお互いに支えて、勇気づけていこうというセン ターだなあということを感じたのが、きょうの私の実感です。だから、私たちが思って いる、もうちょっと医療の面でもいろいろなことの新しい情報、例えば地区の医師会と か、そういうところにも質問されたらいつでも答えられるような、そういうものを持っ てきて、保健所の保健婦たちももうちょっと、こういう患者さん持っちゃったけど、こ れのこと詳しく知りたい、今大阪の場合は実際は聞いていますけれども、そういうセン ターということではないんだなと。だから並行して、同じような言葉が使われているも のですから混乱をいたしました。 ○黒川委員長 竹澤委員いかがでしょう。 ○竹澤委員 私は、これは是非と思ったのは、地域の先生方が、特に専門医でなくても 連携とればできるだろう。あそこは是非というような印象を受けました。 ○黒川委員長 それをある程度の学会などの認定とか、認定専門医の先生であれば、か なりカバーできるのではないかという気がしますけれども、そういう意味から言うと、 学会の認定委員の情報もすごく大事かもしれないなという気がします。  津久江委員 いかがでございましょうか。 ○津久江委員 日医でホームページの担当をしているんですが、アメリカのホームペー ジをこちらで開いてみますと、65万人の会員のデータが全部入り込んでいるんですね。 だれでもアクセスできるようになっていて、地域を選んで、そして、専門医、難病の専 門になると全部ずらっと出てくる。顔写真まであって、どこで勉強して、何歳でという ような、地図まで出てくるような、すごく進歩しているんですね、そういう意味では。 ですから当然我々は、せめて難病のそういうインフォメーション、国民がアクセスでき るような方法でやっていくべきではないかと思います。 ○黒川委員長 そうですね。1つはホームページの充実ということがありますね。  瀧島先生、いかがでしょう。 ○瀧島委員 一番最後の3人目の方、佐藤さんておっしゃいましたかね。お話に大変感 心して伺って、的を得たお話しじゃなかったかと思うんですけれども、そこのところが 一番私もいつも問題にして発言させていただいているので、これだけ予算がといいます か、お金の問題が問題になってきているということからすると、特に福祉的な問題をう まくやるということよりは、基本的な原則をもう一度立て直す時期に来ているのではな いか。  特に現時点で、スモンから出発したいきさつがあって、今の状態になっていると私思 うんですけれども、特に治療研究について非常に感心して伺いましたが、それと今の情 報センターのことですが、仙台市で去年でしたか、市の行政改革の一端として衛生局と 福祉が一緒になって健康福祉局になったんですね。それでこういう問題も、私も聞いて みたんですけれども、保健と福祉とが非常にうまくできる素地といいますか、窓口も含 めて、そういう基盤はできている。また、相談業務もきちんとできるようになっている ということなんですが、ですからそういうことで、地方の方もそういう受け入れ態勢を これは厚生省もよく御存じだと思いますが、受け入れ態勢を着々を進めていると思うん ですね。  それをいかに活用していくかということで適確な情報をそこに与える。例えば、先ほ ど問題になりましたけど、 118に増えた難病の調査研究にも入っていなかった部門につ いて、どれだけそこのところに、窓口のところ、あるいは健康福祉局に情報が行ってい るか。そこのところが是非これからやらなければいけないことだと思います。 私不満があるのは、 118の疾患の中に私の専門の病気の中でも聞き慣れない病名があ るんですね。ですから私はかなり専門にしている領域でも、そういう病名が出てくる選 定の過程が私にも分からない。私に分からないから多分胸部疾患学会の専門医に分から ないのではないかと思いますけれども、そういう病名がどういう過程で選定されてきた のか。そういうことも含めて、例えば、そういうことを窓口に情報を流されるときに、 どういう情報を流されるのか、ちょっと興味がありますけれども、感想です。 ○黒川委員長 古和委員。 ○古和委員 今、瀧島先生がおっしゃったような広い範囲の疾患でなくても非常に限ら れた、いわゆる難病と言われる患者の情報をどうしても民間の団体に頼らなければなら ないという現状にやっぱり大きな問題があるのかなと思っています。普通はどこへ電話 をすれば、これに対する確実な情報を得られるだろうかということが皆さんに分かって おれば、こんな混乱もないかもしれないと感じています。 そういう意味では、情報センターが立ち上がるということは非常にいいことであり、 それを通じて、どこかよりどころがあれば、今、佐藤さんが話されたようないろんな県 に1つセンターがあれば、そういうことも解消されていくのだろうと思っています。ち なみに神奈川県の場合には4つの大学に設置されております難病センターの総合相談室 が十分ではないかもしれませんけど、一応の対応はできる体制にして、それから横浜市 は各区の区役所の中に、今先生もおっしゃられた仙台の話、それと同じように、保健と 医療と福祉が一緒になった総合相談部というようなものが区ごとにできましたので、そ ういうところが少しは患者さんの不満を受け入れる場所になっているかと思っておりま す。 ○黒川委員長 大野先生、いかがでしょうか。 ○大野委員 結局は福祉対象の数と治療研究の数とに、いろいろ違いがあるので混乱を 起こしていると考えられます。その混乱の中で、選定基準がどうかということを明確に するわけですが、やはり関心は治療研究にお金がついてくることでしょう。お金がつい てくるという経済的な面が、なぜそうなっているのかということを患者自身、治療して いる先生方も、いわゆる治療研究だということを忘れてしまっている。そのために混乱 が余計ひどくなっているんじゃないかと思います。そこのところをもう一度徹底するこ とが必要でしょう。  そのためには、情報収集システムをつくって、システムから研究にも、福祉にも役立 つような情報を提供してゆけば、協力謝金だということが患者自身にもお医者さんにも 分かれば、混乱も若干解消されてくると思います。 ○黒川委員長 どうもありがとうございました。先生方のお話を伺っていますと、恐ら く患者3団体もそうですが、全体としての今までの施策としては正しい方向に向いてい ると。全体として国の予算も非常に厳しい状態ではありますが、それをいかに利用する かということから言うと、将来的には情報センターのより一層の充実ということが大事 ですが、充実したことをみんなに分かるようにすると。一発の紙切れ出せば、やったよ という訳にはいかないという話をもっと充実させることをよく考えた方がいいなという ことですよね。せっかく保健所などが中核になっているのですから、是非そういう話が そこに行けばだれでも分かるようにするとか、いろんなことが必要と。  それから、班会議は公開してやっていますので、その辺も患者さんの団体に十分に分 かるようにしていただいた方が、そうすると班会議の研究発表会にも来ていただけるよ うな気がいたしました。また、班会議のレポートからどうするか。前からこれにも出て いますけど、暗くなるような本を幾ら配ってもしようがないので、むしろ納税者に分か るような一般の先生にも分かるような10ページぐらいの少し読みやすい報告書が是非1 万か、2万ぐらいつくっていただいて、それにお金をかけた方がよほど役に立つのでは ないかという気がしました。一般の人に分かりやすいのを出す。それをまたホームペー ジですぐにアクセスできるようにしている方が恐らくいいのではないか。  それから、学会認定医などの利用も、津久江先生おっしゃったように非常に大事で、 すべてやっていることはいいんだけど、それをいかに分かってもらえるかという情報の 提供の仕方に問題があるのかなという気がしたんですね。そうすることによって、患者 さんの理解をもっと深めることができて、いちいち団体の代表が、私だけでは決められ ません、と言っていますけど、十分に患者さんの方にインフォームされてないのではな いかという気がしました。  それから、福祉の対象疾患が急に増えて、実を言うと、腎臓関係も腎臓学会の先生も えっ、そんなことになっているのを知らなかったという人がほとんどで、せっかくやっ ている施策が患者さんにも、実際その患者さんを診ているドクターの方にも全然行って ないというところにまた問題があって、せっかくいい施策を行政も頑張っているのです から、やはり霞が関からの情報発信というのは、もっと草の根の情報の拡大というか、 それを是非考えてみたいと思います。  ほかに何かよろしいでしょうか。 ○西谷委員 先ほどの瀧島先生の御質問、まだ事務局からお答えにはなってないんだと 思うんですが、多分あれは班長さんに聞かれて、その班長から出てきた答えを全部積み 重ねられたんじゃなかったかなという気がしています。 ○荒川補佐 そのとおりでございまして、基本的には調査研究の対象につきましては、 特定疾患対策懇談会の意見を聞きまして、研究課題であるとか、研究班の編成とか、そ ういうものを決めてきた経緯がございます。   118疾患という整理は実は、瀧島先生の御指摘のとおり、最近まとめたものです。そ の間少しずつ研究対象が広がっていったものを、居宅生活支援事業の対象にするために 昨年まとめまして、これは各研究班の先生方に御報告をいただいてまとめたというのが 実態でございます。 ○西谷委員 もう一つ、今黒川先生がおっしゃったことですけれどもアメリカの、 NIHなどでは、大抵の病気に関するパンフレットを頼めば割に適当な大きさで、いわ ゆる研究でなくて、きちんとまとまって一通り勉強ができるようなそういう冊子が必ず 送られてきます、割に安くて。ああいうものがやはりこのごろ要るようになってきた。 これは医者でもアクセスできるし、患者もアクセスできるというある種のレベルがある のではないか。このごろの患者さんは非常に勉強していますから、ただ、非常に細かな 報告は、これは医者でも読めない、おっしゃるとおりで。そういうのではなくて、もう 少し概観的な疫学から始まって、一通りの治療法に至るまでのものをそれぞれについて つくっていただくことを、これは各研究班の班長さん方にお願いするのはどうなんでし ょうか。せっかく研究費を出していただくのだから。 ○荒川補佐 実はそれにつきましては、 118疾患につきまして、診断基準と治療指針と いう本をまとめて、これも昨年出したものなんですが、これは高くて、上下だとたしか 2万円ぐらいするんです。実はそれを全部インターネットに載せちゃうかという話もあ ったんですが、そうすると売れなくなって、本屋の方がつぶれてしまうのではないかと いうのもありまして、版権の問題等もありまして、ただ、そういうときにそういうのが あったらいいなと思いますので、研究してみたいと思います。 ○黒川委員長 これも議論続けてみたいと思いますから、また次回伺うことにいたしま して、事務局から次回のことをお願いします。 ○遠藤課長 実は大変せかせて申し訳ないんですが、7月2回予定をとらせていただい ておりますが、4日と16日に開いて、可能であれば、その2回である程度の報告を取り まとめていただきたいと思っておりまして、次回7月4日14時から、この建物の向こう 側になりますが、別館の5階共用第2会議室、昔の家庭裁判所の建物の5階ですが、そ ちらの方で予定をしております。  そのときには黒川先生と御相談をさせていただいて、少し議論のメモをつくって、あ らかじめお送りをさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いをします。 ○黒川委員長 それでは、きょうの会議は終わらせていただきたいと思います。大変時 間をとらせまして申し訳ありませんでした。また、よろしくお願いします。どうもあり がとうございました。 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課    担 当 荒川(内2354)    電 話 (代)03-3503-1711        (直)03-3595-2249