97/06/03 第1回厚生科学審議会研究企画部会 第1回厚生科学審議会研究企画部会 1. 日  時:平成9年6月3日(火)  14:00〜16:00 2.場  所:厚生省特別第1会議室 3.議  事:(1)委員紹介        (2)厚生科学審議会研究企画部会について        (3)厚生科学研究について        (4)先端的厚生科学研究について        (5)部会の公開の在り方について        (6)その他 4.出席委員:矢崎義雄部会長       (委員:五十音順:敬称略)          柴田鐵治 寺田雅昭       (専門委員:五十音順:敬称略)          杉田秀夫 高久史麿 土屋喜一 寺尾允男 初山泰弘 真崎知生           宮本昭正 柳澤信夫 山崎修道 ○事務局 定刻となりましたので、ただいまから第1回厚生科学審議会研究企画部会を開催いた します。 まず初めに、委員及び専門委員の御紹介をさせていただきます。お名前を名簿順に読 み上げさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 まず、部会長であります東京大学医学部教授の矢崎委員です。工業技術院生命工学工 業技術研究所の大石委員は、本日は御欠席でございます。朝日カルチャーセンター社長 の柴田委員でございます。国立がんセンター研究所長の寺田委員でございます。国立精 神・神経センター総長の杉田委員でございます。自治医科大学学長の高久委員でござい ます。早稲田大学理工学部教授の土屋委員でございます。国立衛生試験所の寺尾所長で ございます。国立身体障害者リハビリテーションセンター総長の初山委員でございま す。国立公衆衛生院水道工学部長の眞柄委員は、本日御欠席でございます。国立循環器 病センター研究所長の真崎委員でございます。国立相模原病院名誉院長の宮本委員でご ざいます。信州大学医学部教授の柳澤委員でございます。国立感染症研究所の山崎委員 でございます。以上、14名の方に本部会への所属をお願いいたしております。 ここで、審議官からご挨拶を申し上げたいと思います。 ○伊藤審議官 科学技術担当審議官の伊藤でございます。一言ご挨拶を申し上げたいと思います。 現在、科学技術の振興は、政府全体にとりましても最重要施策の1つでございまし て、御案内のように昨年、科学技術基本法の制定を受けまして、科学技術基本計画が閣 議決定された訳でございます。私ども厚生省といたしましても、近年のこのような政府 全体の科学技術政策の振興を受けて、厚生省としてどのように対応するかということが 非常に重要な課題になっております。特に、科学技術分野の中でも人の健康なり病気、 更に生活衛生の分野におきまして、いろいろな問題がある訳でございまして、そういう 問題に対してどう厚生省として対応していくかということが大きな課題になっておりま す。 更に最近、非常に先端的な医療が社会に適用されるときに、どのように私たちが考え ていったらいいのか、こういう科学技術、とりわけ病気なり生命を取り巻く科学技術の 問題というのは非常に大きなテーマになっておりまして、もっと根本的な在り方から議 論していくべきではないかということで、本年度より従来は厚生大臣の私的懇談会でご ざいました厚生科学会議を正式な審議会といたしまして、厚生科学審議会が新たに設置 された訳でございます。 今般、第1回の厚生科学審議会が19日に開催された訳でございますが、その第1回目 の会合におきまして、研究企画部会と先端医療技術評価部会、この2つを設置するとい うことが決まった訳でございます。そして、本日は第1回の研究企画部会でございます が、委員の皆様方及び専門委員の各位の皆様方におかれましては、御多用中にもかかわ らず本部会の委員をお引き受けいただきましたことを、まず厚く御礼を申し上げたいと 思います。 この厚生科学審議会の会長は、19日の総会におきまして豊島委員が会長に 選出された訳でございまして、各部会の部会長は会長の御指名ということになっており ます。そのような経過で、矢崎委員に部会長をお願いするということになった訳でござ います。 したがいまして、今日これから御審議をいただきたいと思いますが、厚生省といたし ましては先ほど申し上げましたように、政府の科学技術基本計画を視野に入れまして、 平成9年度、今年度から脳科学研究、遺伝子治療研究など、6つの分野におきまして重 点研究課題として設定をいたしまして、従来のがん・長寿に加えまして総合的なプロジ ェクト研究として進めていくというようなことにさせていただいた訳でございます。 そのほか、基礎分野におきます保健医療の基礎的な分野の研究の推進でございますと か、幾つかのことが課題になっておりますが、本部会におきましてはこのような状況を 踏まえまして、この重点研究分野の推進体制の在り方でございますとか、重点研究分野 におきます公募研究課題、または研究評価の在り方等、諸々の問題につきまして幅広く 突っ込んで御議論をいただきたいということでお願いした訳でございます。 大変お忙しい先生方でございますが、どうか厚生科学研究の一層の推進のために御尽 力いただくことをお願い申し上げまして、ごあいさつに代えさせていただきたいと思い ます。 ○事務局 次に、事務局の紹介をさせていただきます。厚生科学課の下田課長でございます。同 じく厚生科学課の西沢研究企画官でございます。同じく厚生科学課の依田補佐でござい ます。同じく茂木補佐でございます。  それから、保健医療局疾病対策課の遠藤課長でございます。同じくエイズ・結核感染 症課の岩尾課長でございます。薬務局研究開発振興課の平井課長でございます。  本日、司会を進行させていただきます厚生科学課主任科学技術調整官の私、矢島でご ざいます。よろしくお願いいたします。 それでは、まず当部会の部会長についてでございますが、厚生科学審議会の規程によ りまして会長が指名することとなっております。会長より矢崎委員が指名されておりま すので、矢崎委員に本部会の部会長をお願いしたいと思っております。 以後の議事運営につきましては、部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたし ます。 ○矢崎部会長 ただいま御紹介にあずかりました矢崎でございます。それでは、座って議事の進行を させていただきたいと思います。 ただいま、厚生科学の推進を担う研究企画部会の部会長という大役を仰せつかりまし て、大変微力で、また先輩の先生がいらっしゃる中、先生方の御支援を得て、この研究 企画部会を円滑に運営することに全力を挙げて努めてまいりたいと思いますので、今後 とも何とぞよろしくお願いいたします。 それでは、この議事次第に従いまして議事を進めてまいりたいと思いますので、よろ しくお願いいたします。 本日は第1回の会合でございますので、まず初めに厚生科学審議会研究企画部会、本 部会でございますが、その組織及び運営につきまして関係法令などに基づいて事務局か ら、この部会の成り立ちについて御説明いただければ大変ありがたいと思います。よろ しくお願いいたします。 ○事務局 それでは、お手元の資料に厚生省組織令というものがございます。先ほど、審議官か らのあいさつの中にもございましたように、この厚生科学審議会は厚生省の組織令、法 令に基づいて設置された審議会ということでございます。その所掌事務としましては、 この表のところにございますように「厚生大臣の諮問に応じて、厚生省の所管行政に関 する科学技術に関する重要事項を調査審議すること。」、このような形でその役割が明 示されておるところでございます。この厚生省組織令に基づきまして、厚生科学審議会 令というものがございます。ここにございますように、最初に組織ということがござい ますけれども、第2項に「審議会に、専門の事項を調査審議するため必要があるとき は、専門委員を置くことができる。」ということで、委員と専門委員によってこの審議 会が構成をされているということでございます。第5条というところに部会の規程がご ざいます。第5条の1項に「審議会は、その定めるところにより、部会を置くことがで きる。」ということで、先月の19日の厚生科学審議会におきまして、当審議会に研究企 画部会と先端医療技術評価部会という2つの部会が設置されているところでございま す。 2項にございますように「部会に属すべき委員及び専門委員は、会長が指名する。」 ということがございます。 6項をごらんいただきますと「審議会は、その定めるところにより、部会の決議をも って審議会の決議とすることができる。」ということで、案件によりましては当部会の 決議をもって審議会としての意見ということにすることが出来る形になっております。 続きまして、資料4「厚生科学審議会運営規程」という規程がございます。この規程 は19日の審議会で、審議会として運営についての取り決めをしたものでございます。 第1条をごらんいただきますと「会議」というふうに書いてございますが、部会にも この規程が準用されておりますので、基本的にはこの条項が部会にも適用になるという ことでございます。他の審議会と同様でございますけれども、第3項でございますが 「審議会は、委員の二分の一以上が出席しなければ、会議を開くことができない。」と いう定足数について、それから5項に「議事は、出席した委員の過半数をもって決し、 可否同数のときは、会長の決するところによる。」といったような、運営に関すること がこの中で定められておるところでございます。 続きまして、第4条に「会長は、厚生大臣の諮問を受けたときは、当該諮問を部会に 付議することができる。」ということで、諮問案件については部会に付議をされ、そこ で審議をしていただくということがあり得るということでございます。 それから、8条でございますけれども「審議会及び部会における議事は、次の事項を 含め、議事録に記載するものとする。」ということで、毎回の部会の会議につきまして は議事録を作成して、それを作成するということでございます。 以上でございます。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 それでは、先ほど審議官からお話いただきましたように、いかに厚生科学の研究を推 進するかということで、本日のこの審議に入らせていただきたいと思います。 それでは、まず初めに政府全体の計画であります厚生科学技術の基本計画及び厚生省 の科学研究全般につきまして、今までの経過をまた事務局からお話いただけますでしょ うか。 ○事務局  まず、今回の厚生科学審議会の前身にあたります厚生科学会議というものがございま して、厚生科学会議が昭和61年11月から平成9年3月まで31回開催されております。こ れは、厚生大臣の主催する懇談会という形で厚生科学全般にわたる研究の基本戦略の策 定ですとか、中・長期的な重点研究課題の設定ですとか、研究の評価というものに関し てのいろいろなことについて御議論いただいております。 主な提言につきましてはここにございますように、昭和63年9月に「厚生科学研究の 基盤確立とブレイクスルーのために」という形、これは具体的にその内容については参 考に資料を付けさせていただいておりますし、それからそのほかにもいろいろな研究の 基本的在り方ですとか、ゲノムの研究の推進ですとか、遺伝子治療に関する中間意見で すとか、このようないろいろな御意見等、御提言等をいただいておったところでござい ます。それが、一応今年の3月まであった訳でございますが、今年の4月から厚生科学 審議会という形で新たにこのような形で発足させていただいている訳でございます。 このような流れと、政府全体の科学技術に関します大きな流れといたしましては、ち ょうど1年半ぐらい前になるんですけれども、平成7年11月15日に科学技術基本法 というものが政府として制定された訳でございます。その中で科学技術基本計画という ものを定めるということで、ちょうど1年前でございます平成8年7月2日の閣議決定 で科学技術基本計画というものが定められました。これは、我が国のこれからの科学技 術の在り方というものについて計画を定めたものでございまして、平成8年度から12年 度までの5年間の計画を策定いたしまして、おおむね今の研究費の2倍にするという目 標を掲げまして、総額で17兆円の規模にするというようなことの計画でございます。 そのために具体的にどういうことをするかということで、研究開発推進の基本的な考 え方ですとか、研究の適正な評価の仕方というものが提言されております。具体的には そのシステムの中で、例えば研究につきましては、競争原理を導入するということで公 募課題を公募するような競争原理を導入するような考え等、そういうものがこの中に示 されておる訳でございます。厚生省といたしましても、このような研究基本計画の流れ に沿いまして、省庁連携ということで今年新たな予算の要求を進めてきた訳でございま す。 一例を申し上げさせていただきますと、資料に省庁間連携という形で脳科学研究とい うものを1つ具体的な例示で挙げさせていただいております。これは、ディケード・オ ブ・ブレインですけれども、脳の10年、アメリカが進めております大きな動きがある訳 でございますけれども、日本といたしましても関係省庁が連携する中で科学技術庁、通 産省ですとか、農林水産省ですとか、そういうふうな省庁が省庁の壁を取っ払いまして 研究項目の分担の調整を行いまして、その中でお互いに連携をとって概算要求、予算要 求をしていく。それで、またお互いの研究機関の研究者同士の交流を促進するというよ うなことをしまして、各省連携をとりながら予算を要求していった訳でございます。 厚生省もそういう中で、後ほど御説明をさせていただきますが、脳科学研究という形 で15億円の予算を獲得した訳でございますが、この脳科学研究につきましては、脳を知 る、脳をつくる、脳を守るという3つの分野について研究を省庁連携という形で進めて おる訳でございますけれども、厚生省はそのうちの、脳を守る、疾病に着目した対策研 究という形で分担をしておりまして、そのような中で連携を保ってやっていくという形 になっております。 政府全体といたしましても、一応、科学技術庁等が中心になりまして、現在ですとラ イフサイエンス基本計画というようなものも具体的には政府の中で議論されている訳で ございます。本日、お手元にまだ資料がない訳ですが、近々科学技術庁を中心にライフ サイエンスに関します基本的な計画というものが定まるというふうに聞いております。 本日、御参加の中でも、寺田委員が確かその科学技術庁の委員会の委員を務めておら れるというふうに聞いておりまして、近々そういうものがまとまると聞いております が、そのような大きな政府全体の計画の中で、やはり厚生省としてもどのような役割を 担っていくのかということが今後、重要な課題だというふうに考えております。 この脳の研究を見ますと、省庁連携というんでしょうか、それぞれの役割というもの がかなり整理されておる訳でございますが、今後このような形で政府全体として各省庁 と連携を保ちながら、競争原理というんでしょうか、なるべく透明な手続の中で公募と いうものを中心に、研究者の方々が活力のあるような研究を進めていただくような場を これからも提供していく必要があるのかと思いますので、そういう観点から厚生省とい たしましてもいろいろな形で今後、施策を進めていかなければいけないのではないだろ うかというふうに考えさせていただいているところでございます。 大ざっぱに説明をさせていただいて、これはまた後ほど御説明をさせていただきたい と思っていますが、具体的には先端的厚生科学研究というものを一応考えております が、全体といたしまして、厚生省といたしましてはそのような流れの中で研究費という ものをとらえておるところでございます。 以上でございます。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 厚生科学会議が昭和63年から本年の3月まで31回の会議をされ、その積み重ねにより まして基本的な今、御説明いただいたような大筋が決まったと同時に、このような研究 費の成果を得られたということで、私ども大変感謝を申し上げたいと思っております。 今、お話がございましたように、1つは厚生省という立場で省庁間の先端研究の連携 といいますか、それと研究配分の透明な過程と競争の原理で公募を主にするというよう なお話をいただいたかと思いますが、ただいまの事務局からの御説明に関しまして、先 生方何か御意見あるいはコメントをいただければ大変幸せに存じますけれども、いかが でございましょうか。 大変参考資料が分厚いので、すぐにはなかなかコメントいただけないかもしれません けれども。 ○高久委員 1つよろしいですか。 公募は非常に結構なんですけれども、どういう形で公募するかはこれから相談をする ということになりますか。 ○矢崎部会長 はい。そういうことになるかと思います。 ○寺田委員 公募についても厚生科学としての指定研究的な計画研究をどのようにして立ち上げ、 研究を促進させるのか、計画研究と公募研究の間をどういうふうな形でうまくミックス して、厚生省の厚生科学らしさを出すかというところが問題になる、これは今後の重要 な議論だと思います。この科学技術基本法は科学全般にわたっていることでその中で厚 生科学としてどのようにあるべきかということが重要であるという立場からの質問で す。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 大切な御質問をいただきまして、これは今すぐには結果は出ませんけれども、恐らく 次年度ぐらいからは重点的な領域をどういうふうに定めて、どういうふうに具体的に絞 っていくかということを、この部会で議論することになるのではないかと思います。そ れは是非、寺田委員にはその計画研究の立案も含めて、御提言を今後いただければ大変 ありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。 それでは、貴重な御意見をいただきましたが、この問題に関しましては、また改めて 審議を進めたいと思いますので、次の議題に移らせていただきます。 今ございました厚生科学研究につきましても、重点研究分野というものをどういうと ころに置くべきかということを事務局で案を用意されておられますので、まずそれにつ いて御説明をよろしくお願いいたします。 ○事務局 では、説明させていただきます。 これは、平成9年度の厚生科学技術関係予算の全般の一覧表でございますが、これは 先ほど御説明をさせていただきました科学技術基本計画に基づきまして、厚生省といた しまして、まずどういう分野が先端的厚生科学研究というふうなことでやればいいかと いうことで、一応厚生科学会議の先生方等もいろいろ御指導をいただきながら、私ども 厚生省といたしまして6本柱と我々は称しています。 脳科学研究、ヒトゲノムも入れまして遺伝子治療でございますけれども、そういうよ うな遺伝子治療研究、それから高度先端医療研究、これは人工血液ですとか、医療機器 ですとか、そういうものも含まれております。それから、新興・再興感染症研究、それ からエイズ研究、感覚器、免疫・アレルギーという形で、この6本柱をつくらせていた だきました。 脳科学研究は15億円です。これは全く新規という形になっております。 遺伝子治療も、同じく15億円です。 高度先端的医療研究、これは一応10億円弱です。 新興・再興感染症は15億円です。 エイズ対策研究は、従来からのエイズ研究があった訳でございますが、それに金額を プラスしまして28億円です。 感覚器、免疫・アレルギーは、従来考え方によっては分けた方がいいのではないかと いうこともありまして、個別には分けて考えさせていただいていますが、このようなQ OLというんでしょうか、そういうものに着目いたしまして、今までの考え方とは違っ た形で1つ柱を立てたということで、11億円の柱を立てさせていただきました。 とりあえずこれで厚生省といたしまして、先端的厚生科学研究ということで予算要求 をしましたところ、これがすべて認められまして、今回の審議会にお諮りをさせていた だいて、これから厚生省としてどういう方向に向かってこれらの研究を展開していった らいいんだろうかということを、まさにこの部会の中で先生方に御議論、御審議いただ いてお決めいただければというふうに考えておるところでございます。 これがちょうどこの研究分野を予算要求するときに、どういうふうな必要性があって これを考えたかということをまとめた紙でございます。脳科学研究、先ほども御説明さ せていただきましたけれども、脳の10年の中で脳を知る、脳をつくる、脳を守るの3つ の分野がある訳でございますが、厚生省といたしましては脳を守るということに重点を 置いた疾患に対する対策研究というものを主にターゲットにしておるということの必要 性を、ここで説明をさせていただいております。 それから、ヒトゲノム・遺伝子治療につきましても、基本的にはいろいろ世界で進め られておりますゲノム構造の解析ですとか、そういうことに着目いたしまして、厚生省 といたしましては、成人病ですとか、そういう難病というもののゲノムの遺伝子の解 析、遺伝子の構造というものを解明する必要がある。また、その遺伝子レベルでの治療 というものを進めていく必要があるということで、このような研究項目を立てさせてい ただいている訳でございます。 そのほか、そういうことの研究に不可欠なリサーチリソースバンクというんでしょう か、そういうものの研究資源というものも一応念頭に置いて研究をしていただくという 形でとらえております。 高度先端医療技術でございますが、これは人工臓器を始めといたしまして、厚生省と いたしましてエイズのときの反省も踏まえまして、人工血液というものの開発を積極的 に進めていく必要があるのではないだろうかということがございましたので、このよう な観点からそれらのものの必要性を訴えさせていただきました。 新興・再興感染症、ちょうど昨年はO157ですとか、新たな感染症というものがす ごく話題を呼んでおりまして、このような新たに起こった感染、それから再び起こって きて注目されている感染症というものを対象にいたしまして、これは本当は新興・再興 ですので、エマージング、リエマージング・ディジィーズという形で書くべきですが、 分かりやすくエマージング・ディジーズという形で簡略化させて資料をつくらせていた だいておりますが、これは新興・再興感染症という形で大きくとらえておるものでござ います。世界的な規模でも議論されておりまして、例えば日米の包括経済協議の中で も、そのコモン・アジェンダの中でも、このようなものが注目されているということで ございます。 それから、エイズにつきましては引き続き世界的に注目されている疾患であるという ことで対策が必要だということでございますし、感覚器障害、免疫・アレルギーにつき ましても、やはりQOLというものに着目いたしまして、生活の質の向上という観点か ら、このような研究というものを今後とも進めていく必要があるという形で、感覚器障 害及び免疫・アレルギー等の研究につきましても柱を立てさせていただいたところでご ざいます。 次を御説明させていただきますが、これは誠に事務局としてまずおわびを 申し上げなければいけないんですけれども、実はこれらのものにつきましては予算要求 のときの経緯もございまして、なるべく早目に研究者の方々に研究費の概略を御説明を させていただいて、なるべく研究に時間を取っていただきたいということもございまし て、広くどのような課題でも救えるように、それから今、御説明をさせていただきまし たいろいろな必要性等もこの予算要求のときの厚生省の関係各局、各課の色々なところ からの具体的な政策的課題等の注文等もございましたので、そういうことも踏まえまし て、とりあえず官報にこのような形で公募をさせていただいています。 我々はあくまでも、今回このような審議会をつくらせていただいたものですから、厚 生省といたしましては、この厚生科学審議会の研究企画部会に、これらの重点研究分野 の策定につきましてまず御相談をさせていただいて、どういうふうな重点研究分野が必 要か。それから、研究の評価等いろいろな審査が必要になってきます。ピア・レビュー ですとか、そういうことが必要になりますので、そういうふうな研究の事務局というん でしょうか、いろいろな研究申請書、研究計画書を審査したりする施設をお決めいただ いて、そういうふうな議論を踏まえた上で研究方針というものを、どういうような課題 が必要かということをそういうところでつくってもらった上で、具体的にこの審議会で 研究基本方針の調整とか策定をしていただいた上で答申をいただいて官報に告示すると いう形を我々は考えておりましたけれども、今年度だけは初年度だということで、どう しても立ち後れてしまいます。 来年度以降につきましては、この作業を今年の秋にさせていただくという形で、なる べく早目にこういうような形をさせていただくということで作業をさせていただけれ ば、平成10年度の官報告示は年明けにでも出来るという形でございますが、今年度はこ のような議論を踏まえていますと遅れてしまうという事情もございまして、大変委員の 先生方には申し訳ないんですが、このところは何とぞ御理解をいただいて、今回やむを 得ず、先ほどのような形で官報に出させていただいたということを御理解いただければ ありがたいと思います。 これは特に、それぞれの分野の重要な課題を示したというよりも、むしろ項目を羅列 的に示させていただいて、いろいろなものが研究出来るというふうな形でさせていただ いたものですから、今回官報の課題であれば、我々はいろいろなものを網羅出来るとい うふうに考えております。 ですので、今回の第1回の議論と、次回の第2回の議論の中で、今後これらの中でど ういうふうな分野を重点に採択していくべきだとか、研究の採択の基本的な考え方、採 択の方針ですとか評価の方針というものを、この審議会の中で御議論いただきながら、 最終的に公募の中の研究課題を採択していただければと思っておりますし、先ほど寺田 委員からも御指摘がありましたように、公募以外にももしするものがあるならば、そう いうものもこの中で御議論いただければありがたいというふうに思っておるところでご ざいます。 資料にありましたような課題につきまして、それぞれの分野ごとに研究の拠点となる 機関というものを定めました。それは一応事務局になる訳でございますが、出てきまし た公募の研究の課題に関しまして、具体的に色々な事務的な審査をしていただいて点数 を付けていただいたり、取りまとめをしていただく。それから、最終的には報告書の評 価もしていただくような、研究の拠点となるような機関というものを考えたいというふ うに思っている訳でございます。これは、それぞれの研究分野について考え方がまちま ちだと思いますが、一概に決めることは出来ないかとは思いますけれども、1つ代表的 なところから御説明をさせていただきますと、例えば脳科学研究というのがある訳でご ざいますが、これは我が国で言えば国立の精神・神経センターがある訳でございますの で、出来れば国立の精神・神経センターにそのような研究に関します色々な研究の審査 ですとか、事務局をしていただくようなこともやっていただけないだろうか。ほかにも 勿論、長寿科学センターとか、要するに国立療養所中部病院のことですけれども、国立 療養所中部病院・長寿医療センターのように勿論そういうようなところもございます。 そういうところとも連携を保ちながら、やはり脳科学研究というものをひとつしていた だければありがたいと思ってます。 遺伝子・ゲノム治療に関しましては、これはなかなか一概に施設を限定することは難 しいと思いますけれども、例えば次の高度先端医療ですと、国立循環器病センターとい うものは医療工学の関係ではかなりいろいろな分野でやっておられるということでござ いますし、国立大阪病院などもそういう意味では近くで連携もしやすいのではないだろ うかというふうに考えていまして、出来れば国立循環器病センターにそのような事務局 等をお願い出来ないだろうか。 それから、新興・再興感染症につきましても、これは4月に国立の感染症研究所が発 足した訳でございますので、新興・再興感染症については、そういうような形でさせて いただきたい。 エイズにつきましても同じでございますし、あと感覚器障害、免疫・アレルギーにつ きましては、例えば感覚器障害は国立身体障害者リハビリテーションセンターですと か、免疫・アレルギーに関しましては、例えば国立相模原というようなものもあるのか なというふうに考えております。 例えばでございますが、そのようなことで考えておりますので、そのようなことも含 めて御議論いただければありがたいというふうに考えております。 このような形でいろいろな形を官報で告示しまして、公募のチェック等いろいろなピ ア・レビュー、採択候補者の作成、委員長会議、これは横の連絡でございますけれど も、採択の会議をさせていただいて、審議官に御報告いただいて、厚生省で最終的に採 択を決定する。そして通知をして、その報告書を受け取って、最後にまたピア・レビ ューによって評点を付けていただいて、それを厚生省として報告書を受け取るというよ うな大きな流れというものを、とりあえず私ども考えさせていただいたんですが、この ような考え方でよろしいかどうかも含めて、先生方に御議論をいただければと思ってお ります。 大変、短い時間でかなり飛ばして説明をさせていただいたので、もし御不明な点がご ざいましたら御質問等いただければありがたいと思います。どうぞ、よろしくお願いい たします。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 厚生科学の研究をどのような展開をもって進めるべきかということで、事務局がいろ いろ原案を考えていただきまして、最後のページがフローチャートですけれども、本来 は研究企画部会、そして厚生科学審議会を通して最終的な案が出来上がっていく手順で ございますが、時期的な予算の関係もあって、官報にこの重点分野について載って既に 報告されているということで、先ほど寺田委員からの御指摘の問題も十分今後考えてい かなければいけないことではないかと考えております。今年は予算の関係で、期限とい うふうなお話でございますが、これは予算が来年度も同じように付くという前提であれ ば、ここで先生方はある程度御納得いただけるかと思うんですけれども、もし来年度、 また先ほどの御意見にございましたような新たな計画研究とか、そういうことは可能で あるというふうに事務局の方で考えていただいてよろしいでしょうか。 ○西沢研究企画官 寺田委員御指摘のとおり、なかなか公募という仕組みを単純に実行した場合には手間 ばかり多くて、行政の必要とする研究は着実に実行されないきらいがあるということで ありますので、まさにこの部会並びに審議会におきまして行政が今、必要としているも の、それから研究者の方々からどこを伸ばすべきかということについて御議論をいただ いたものを踏まえて、研究費の進め方を決めていただきたいというふうに考えておりま す。 そのような中で、一方では政府全体の科学技術の進展に関します科学技術会議、そこ を別としました科学技術基本計画では、原則として公募型、競争型の研究費を伸ばすよ うにという大命題をいただいておりますので、形式としましては公募ということにいた していくことが中心になろうかと思いますが、手続は手続とし、適切なものが応募され るよう積極的な御指示を、こういった部会や審議会での御意見をベースに示していくと いうことで、実際的に実の上がる研究を実行いたしたいと考えております。よろしくお 願いいたします。 ○矢崎部会長 そうしますと来年、平成10年度はこのフローチャートに従って計画を進めていって遺 漏のない運営をしていくというお話でございますね。 ○伊藤審議官 ちょっと今、事務局の説明の補足というか、言い訳するつもりはないんですが、1つ は従来から研究費の関係の手続が非常に遅いという御批判がございました。それは私の 方から、とにかく出来るだけ急ぐようにという指示をしておったんです。 それからもう一つは、お手元の官報告示の研究の課題につきましては、厚生省の中だ けで勝手につくったものではなくて、それぞれの分野ごとに専門家の作業の御協力をい ただいてつくったものでございまして、そんなに的外れな、そういうふうに言うと御協 力いただいた専門家に失礼に当たると思うんですが、そうではないと思っている訳で す。 従いまして、手続的な面で若干問題があったかなと思いますけれども、この際そうい うことはさておきまして、9年度はこういう形で具体的に何をやるかということを議論 していただきたいと思いますし、更にこれについてこういうテーマでやるとしても、今 年度、更にこの点についてここがいいとか、ここが悪いとか、更に10年度はどうすべき かということが何かありましたら、忌憚のない御議論をお願いしたいと思います。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 私も細かな項目を見ましたけれども、随分いろいろ配慮されて構成されているという ことが分かりました。今のお話で、本日は初回の会議でありますので、内容について細 かく随時議論するというのは、資料も出たばかりでございますので先生方にお持ち帰り いただきまして、次回の研究企画部会で具体的に今、公募が始まっている訳ですので、 それをどのように審査し、どのような方に審査をお願いし、そして今6本の重点領域の 分野がございますけれども、その中でどのようなところに重きを置いて審査を進めてい くかというようなことも次回までにお考え、御検討いただければ大変幸せに存じる訳で あります。 そういうことで、大変御多忙の先生方に恐縮でございますけれども、締切りが6月23 日でございますので、後で御相談申し上げますが、応募が終わった段階でまた先生方に お集まりいただいて、どういうふうに審査をしていくかということを考えていただくと いうことになるかと思います。それまで、恐らく具体的なお考えをお持ちいただくこと になるかと思いますので、また後で御相談したいと思います。 今、御説明がございました研究分野の大きなくくりの中に幾つかございます。それ で、本来は事務の取りまとめ、あるいは審査その他、厚生省の厚生科学課でやっていた だくのが一番我々としては安心出来るところでございますけれども、具体的にはなかな か難しいということと、それぞれの専門の施設でお願いすれば事務的なものと審査の面 と両方御配慮いただけるのではないかということで今、提案がございました。それにつ きまして、先ほどお伺いしますと、この拠点施設というのはメインはこういう大変な研 究費の色々な取りまとめ、その他の事務的な負担がものすごく掛かる大変な仕事である ということで、余りメリットはなさそうな感じもするんですけれども、こういうような 大変なお仕事を、それぞれの研究施設の先生方がお引き受けいただけるかどうかという ことが1つのポイントでございます。 事務的なことと、専門的な分野での優秀な人材が集まっている施設にお願いするのが 本来の筋だと思います。そういうことで先ほど事務局からお話がございましたけれど も、何か先生方で御意見いただければ大変ありがたいんですが。 ○宮本委員 先ほど、最後の免疫・アレルギー研究の評価云々のところに、国立相模原病院という 名前が出てまいりました。私は国立相模原病院で結構であると思うんですが、ただ、メ ンバーの数がほかのセンター、例えば循環器病センターであるとか、医療センターと か、がんセンターなどに比べるとかなり少ない訳です。 そういう点を考えますと、可能であるのであれば、例えば予算を少し付けるとか、人 員を少し配分するというような御配慮をいただければ十分にこなせるんじゃなかろうか というふうに考えております。その辺りはいかがなものでございましょうか。 ○矢崎部会長 よろしくお願いします。 ○事務局 一応、研究費という形で出来る範囲で考えさせていただきたいというふうに思ってお ります。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 そういうことでよろしいでしょうか。 ○寺田委員 この研究拠点の考え方は、おっしゃったように厚生科学課では先端的厚生科学研究全 てをとてもじゃないけれども無理で、これだけのお金で支援するものですし、いい考え だと私も本当に思うんです。特に、今度大きな80億円から90億円出ましたのは、メディ カル・リサーチあるいはパブリック・ヘルスに焦点を合わせてくださって大変ありがた いと思いますし、また、世の中の人は随分これに着目していると思うんです。 そういたしますと、そこの拠点のところでイメージ的なところもいろいろ出てきま す。各拠点の機関が事務的なものだけなのか、そうではなくて厚生省としてセンター的 にやるのか、あるいは今やらなくても将来的にそちらへ持っていくのかということの概 念で話を進めないといけないと考えます。ただの事務的なことだけというのでは世の中 の期待にも反しかえって御迷惑を掛けるというようなこともあるかと思います。 そういうことも考慮して、研究の内容によりましてはそういうことがはっきりするま で、もし可能でありましたらですけれども、厚生省の厚生科学課の預かりということも あり得るんじゃないかという感じはちょっとしているんです。無理してまである機関へ 研究領域の拠点を持っていくと。何も相模原病院のことではないんですけれども、人員 とか問題が出てくる、もし出来るものであれば、そこのところへ持っていったらいいで すが、余りそうでないのに全部一括に今年から各拠点でばっとやるということは必ずし もやらなくてもいいのではないか。そういう例は少ないかも分かりませんが、ちょっと そういう感じがいたしました。 厚生科学課も大変忙しいので、事務局側はそれはとてもじゃないけれども勘弁してく れとおっしゃるかも分かりませんが、意見として申し上げます。 ○宮本委員 その辺りについて、私は応募件数によりけりだと思うんです。非常に数が多いと、こ れは大変な作業になりますけれども、それほど多くなければいろいろな施設で十分にこ なせるんじゃなかろうかというふうに考えております。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 私個人的には、いろいろな財団で100 万円単位の研究費の募集の審査をしていますけ れども、ものすごい応募数でございます。ですから、数が少ないということはあり得な いのではないかというふうに思います。この厚生科学研究費が、どれほど皆さんに知れ 渡っているかどうかにかかっておりますが、皆さんが御存知であれば、皆さんが応募す る大変なパニック状態になるのではないか。 少なくとも、今年は余りキャンペーンがいっていないので、今年出した人は幸運であ る。それで、来年ぐらいから物すごく大変な激戦になるのではないかというふうに私個 人では想像しています。 そうしますと、先ほどのお話でございますが、事務量がものすごく多くなって、もし 厚生省ではなくて各施設にお願いすると、先ほど寺田委員がおっしゃられたように、や はり研究拠点機関となりますと世間の見る目が少し違ってくるのではないかということ も配慮していただきたいというふうなお話でございました。そのほかの委員の先生方で 何かございますか。 例えば、脳科学研究みたいに名実ともにぴたりといった杉田委員のようなところもあ りますけれども、なかなかぴたりといかないところもあるような感じもいたしますの で、その点につきましてはいかがですか。 ○杉田委員 脳の方は長寿医療センター、柳澤教授もよろしいんでしょうか、中部病院の院長がお られますので、長寿と連携をとりながらやりたいというふうに思っております。 それ から、今年どのくらい応募があるかということで考えないと、なかなか具体策が出てこ ないんです。特に、脳の場合は官報をごらんになりますように、9つのプロジェクトを 立てておりますけれども、これはイーブンにアプライしてくるとは到底思えないので、 あるところに猛烈にたまるだろう。そうすると、行政的に見た場合には、出来るならば イーブンに9つのプロジェクトに出した方がいいし、しかしサイエンティフィックには どうかと、いろいろな問題がある訳で、これらは今年はテストケースと思いまして一回 やってみて、そこでいろいろ反省しながら来年度に考えるということでよろしいのでは ないかというふうに思っています。 ○矢崎部会長 確かに先生のおっしゃるように、恐らくたくさんの応募がアンイーブンに来る可能性 がございますので、各専門委員会でその辺のところを十分考慮しながらピア・レビュー を進めていただくということになるかと思います。そういう意味で、平成10年度はもう 少し議論を詰めて、もう少し的を絞って、ほとんどの公募の項目にイーブンに応募が来 るように、あるいは研究者が少ないけれども、重要な領域であれば計画研究として御提 案いただいて、それに対応していくというふうなことになるかと思います。今年はどれ くらい集まってどういう偏りで来るかというのが分かりませんので、その辺は、次回、 恐らく応募の結果が分かりますので、その上でまた具体的な議論を詰めさせていただけ ればと思います。 先ほど事務局からお話いただきましたが、一応今回の拠点機関のお願いはパーマネン トということではなくて、今年一応お願いするということで、そういう背景で御説明が あったのではないかと思います。もし先生方でまた御意見があれば、最終的には詰めさ せていただくということになるのではないかと思います。 今、お話がございました脳科学は杉田委員がおっしゃられたとおりで、先生のセン ターと、それから長寿科学の研究所とタイアップしながら、ピア・レビューの委員会を 十分に配慮して構成していただければ大変ありがたいと思います。 先生のところは今、宮本委員が言われたような御要望がございますでしょうか。 ○杉田委員 企画室が中心にやるとは思いますけれども、何とかやれるかなというふうに思ってお りますけれども、これも実際転がしてみないと、どのくらい負担が掛かるか分かりませ んが、やれるかなという感じはしてます。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 国循の真崎委員、いかがでしょうか。 ○真崎委員 先ほどから問題になっておりますが、事務量がどのくらいかということによると思う んですけれども、国循の中で今ここに書いてあるようなテーマにぴったりの人というの はそんなに多くない訳です。 ただ、ここに書いてあることを広く解釈させていただいて、それぞれの専門家が審査 にあたらせていただくということであれば、あるいは将来に向けて来年度以降にこうい うものも柱の中に入れたらいいんじゃないかというような意見が入るような、そういう 審査の仕方があると思いますので、そういうことが出来るようにさせていただくならば いいんじゃないかと思いますけれども。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 先ほど事務局のお話がございましたように、これは研究すべてをカバーするとか、審 査をカバーするということではなくて、恐らくそこが中心となって審査委員とか、そう いう構成をしていただくということで、センターがカバーする領域から選ぶということ ではございませんし……。 ○真崎委員 要するに、ここに書いてございます専門委員会というのと評価小委員会というのはど ういうふうに解釈したらよろしいんでしょうか。 ○事務局 資料の枠の右の方に書かせていただいているんですが、専門委員会の方で例えば研究 の企画ですね。どういうふうなテーマとか、そういうことも含めまして企画というんで しょうか。それから、課題の検討ですね。それから、どういうふうに評価をしたらいい かとか、具体的に採択候補のリストをつくったりということを考えています。それで、 評価小委員会の方がまさに研究の申請書の点数付け、採点というものですね。それか ら、最後に出てきました報告書の評価というものを実施していただく。 ですから、上の専門委員会でいろいろな評価の基準みたいなものをつくっていただい て、それを受けて下の小委員会で具体的な作業の点数付けをしていただく。その点数を 受けて、また上の方の専門委員会で例えば研究者をどういう方に採点していただくかと いうことの採択候補リストをつくっていただくという流れになります。 ○真崎委員 そういたしますと、例えば国循でお引き受けするとなると、どの部分をやらせていた だくことになるんですか。 ○事務局 例えば、そういう分野で例えばこういうふうな委員会をやろうとすると、事務局とし てどういう方々を、例えば自分の施設はどの方に入っていただいて、例えば先ほどの人 工血液ですと、それにふさわしい人をどなたか委員にお選びいただく。それから、そう いうふうなことの申請が上がってきたときに、それを評価する評価委員をまた選んでい ただく。これはまた担当の部局がございますので、厚生省の例えば高度先端医療研究で ございますと薬務局の方の、今ですと医療機器開発課ですとか、血液事業対策室ですと か、そういうふうなところがいろいろと御相談に乗らせていただけると思いますので、 そういうところと色々御相談をさせていただきながら、多分、先生の方に御相談をさせ ていただくという形になると思います。 ○真崎委員 どうもありがとうございました。 ○矢崎部会長 そのほか、よろしいでしょうか。 ○山崎委員 少し話題が飛んで悪いんですけれども、感染症のことです。今日議論されているの は、厚生科学研究費だけのことだと思うんです。 しかし、実際にはエイズのことでも、新興・再興感染症のことでも、例えばほかのヒ ューマンサイエンスだとか、医薬品機構だとか、いろいろある訳です。この研究企画部 会というのは、厚生科学研究費のことだけを考えればいいのか。それとも、そういうほ かのリソースとの兼ね合いでちゃんと全体的に見なければいけないのか。その辺の基本 的な考え方をお聞かせ願いたいんです。 つまり、課題がダブることもかなりありますし、それからこれで十分出せないからこ っちで出そうというようなこともありますし、そういうことまでここで考えるのかどう か。そのところの基本的な我々の役目を教えていただきたいんですが。 ○西沢研究企画官 先ほど事務局の御説明で、部会での御審議をお願いしたい事項を極めて簡単に御説明 しておりますけれども、今、山崎委員から御指摘のとおり、厚生省でほかに直接ではな いにせよ、医薬品機構による大型の研究費等、あるいは他の省庁における大型研究費等 で関連の分野というのがあるではないかというのは御指摘のとおりでありまして、これ らについては、ここで主に見ていただくのは確かに厚生科学研究をどう進めるべきかと いうことでございますけれども、当然、分野あるいは採択にあたりまして、今、御指摘 のような大型の研究費、他省庁の研究費等の採択状況等を勘案いただきながら、では厚 生省はどこをカバーしていくのかという形の御意見を是非いただいていく。 また、ここで採択候補のショートリストをつくっていただくにあたりましては、既存 の類似の制度における採択候補リストと突き合わせながらお決めいただくということに なろうかと思いますし、私ども行政としても行政間の連携といたしまして、そういった 類似の制度間の内定候補等については十分連絡を尽くすようにということが、政府部内 でも奨励されておりますので、その辺は御了解いただきたいと思っております。 ○山崎委員 それと関連してですが、私がなぜそういう質問をしたかといいますと、今日の資料の 中に「エイズ対策研究」という項目をまとめていらっしゃるんですけれども、もしこの 表現について私どもの研究所のだれかにお問合せがあったのならば失礼な発言になるか もしれませんが、御存じのように、現在エイズの対策研究で一番大事なのは、日本がア ジアに位置しているという認識だと思うんです。世界のグローバルな観点から見て、ア ジアが今、一番HIVポジティブの人が増えている。そこに日本は位置している訳です から、アジア対策を考えずして日本のエイズ対策はあり得ない訳です。そうしますと、 この表現を読みますと、エイズ治療研究をより一層推進させるということしか書いてい ない。 ところが、2週間前のクリントン大統領の演説にもありましたように、アメリカはエ イズワクチンの開発だけでも150 億円を出そうというような時代です。日本はそれに対 して、予防ということが基本的な対策の研究の中に一言も出てこない。私はこれは間違 いであって、やはり抗HIV薬は幾ら開発が進んでも、あれでエイズが治ると考えてい る人は専門家の間には一人もいないと思います。それは延命効果はあるかもしれないけ れども、エイズは決して治せない。ですから、いかに新しい感染者を防ぐかということ が一番国のエイズ対策研究では重要だと思います。 それで私は、ここの厚生科学研究ではそういう予防という言葉がどこを見ても出てこ ないので、医薬品機構とか、そういうところに大きな予算を持っていかないといけない のかなと、そういう意味で今、お尋ねした訳なんです。 ○伊藤審議官 今日、たまたま6つの重点研究課題の具体的な手続などがちょっと議論になって、非 常に話が現実的になっておるんですが、厚生科学審議会の研究企画部会というのは、い わゆる狭い意味での厚生科学研究費だけではなくて、厚生省の科学技術研究政策の基本 的な事項の中で、どういう研究を厚生省はすべきかという観点から、当然御議論いただ かなければいけない訳です。 ですから、基礎研究出資事業ですとか、狭い意味でのいわゆる予算上厚生科学研究費 となっているもの以外も含めて、どういう研究課題に取り組んでいくべきかという観点 から御議論いただきたいと思うんです。 たまたまエイズのところは今、山崎委員がおっしゃるようなことでございまして、こ れは去年の予算要求のときの資料ですから、当然今のグローバルな状況を踏まえて、現 実的にどのように運用していただくかということを御検討いただければいいんじゃない かと思います。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 今、各省庁で大型の研究費が出ていますので、その情報を十分に収集しながら厚生科 学の研究をどういうふうに推進していったらいいか。今のお話のとおりに検討していか なければならないと思います。ほかの大型の研究のいろいろな審査でも非常にいい研究 課題といいますか、そういうところに比較的集中してしまいます。大型の研究費が有効 に実際に実績を上げるためにどういうふうに審査を進めていったらいいかということ で、それは大変大きな問題だと思います。 余り大局的ではありませんけれども、出来れば厚生科学の研究費が比較的時期的に早 目に決まればいい課題が拾えるという実際面もあるかもしれません。ですから、そうい う意味でも、なるべくコンパクトにスムーズにこの部会を運営して、なるべく早くいい 研究を推進するような方向に持っていきたいというふうに私ども、事務局も当然それを 考えておられると思いますので、よろしくお願いいたします。 山崎委員から、エイズについて大切な御指摘を伺いましたけれども、先程の拠点施設 として、先生の研究所である程度まとめていただくことは可能でございましょうか。 ○山崎委員 はい。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 あと、感覚器障害研究につきまして、初山委員はリハビリテーションセンターで。 ○初山委員 先ほど、厚生科学研究は比較的メディカルな点に重点を置いておやりになるという話 を聞きましたけれども、私どものセンターは障害ある人々がおります。特に視覚障害、 聴覚障害あるいはダブルのハンディー、そういう人たちの社会復帰あるいはQOLを向 上するためにどうしたらいいか、そういう点も私どものセンターとして進めていきたい と思うんですが、そういう課題も取り上げてよろしいかどうか。伺いたいと思います。 ○矢崎部会長 それは、先ほど事務局でお話をいただきましたように、これから21世紀の医療はQO Lが非常に大きなターゲットになるのではないかということで、先ほどのお話にありま したように、メディカル・アンド・パブリック・ヘルスリサーチということで非常に大 きな柱になっているということをお聞きしました。そういうふうに理解してよろしいで しょうか。それでよろしいでしょうか。 ○初山委員 ありがとうございました。 ○矢崎部会長 あと残りますのは、遺伝子治療のところをどこがまとめていただけるかということ で、それはこの場で決めなくてよろしいんでしょうか。事務局で何か……。 ○下田厚生科学課長 先ほどから15ページの図で、研究拠点施設についていろいろ議論が出ているところで ございますが、研究拠点施設につきましては2つの意味があるのではないだろうかと思 っております。 1つは、その研究所自体が非常に高度な研究をやっていて中心となってやっていける ところ、例えば脳神経センターをおっしゃいましたが、ここには出ておりませんが、が んセンターなどはがん研究の中心施設となり得るということでございます。 ところが、もう一つの意味といたしまして、先ほどから言っておりますように、公募 で上がってきましたたくさんの研究課題を整理していく事務局としての機能があるとい うことで、私どもとしては2つの意味を考えていた訳でございます。したがいまして、 それぞれ一致するところは比較的早くお決めいただくことは可能だと思いますけれど も、なかなかその辺が一致しない部分につきましては、今日のいろいろな御議論を踏ま えまして、また部会長と御相談をさせていただくというようなことでいかがかというふ うに考えておるところでございます。 ○矢崎部会長 今の課長の御説明でよろしいでしょうか。 それでは、一応そういう観点から施設に ついて考えさせていただきたいというふうに思っております。 そのほか、今日は初めてでございますけれども、これからこういうふうに進めたらい いのではないかという御意見もおいおいお伺いするところでございます。今日もし特に 何か御意見がございましたら、それをいただければ大変ありがたいと思います。 ○寺田委員 今回は確かにこれだけのお金をいろいろ取ってこられて、しかも新しいメディカルと いいますか、パブリック・ヘルスも含めての新しい研究が始まるのは大変厚生省の御協 力にはありがたいと思っているんです。 それで、認識といたしましては、今回は図の真ん中辺りの答申というところから官報 告示と、ここの線の告示を越えたところから始まっている訳ですね。だから、大切な左 側のところの議論は今年はなしというふうに理解してよろしゅうございますね。 ですから、注意すべきは来年度で、部会長がおっしゃいましたように、またシステム を変えるのか、研究というのは1年で終わるものではございませんから、スタートいた しますとそれが2年、3年の目で見ないと気の毒だと思います。しかも、回ってきた書 類によりますと、金額が1件が奨励で500 万円、片一方は5,000 万円単位と、それはい ろいろバリアブルはあるでしょうけれども、それだけの大きなお金でやりますと、1年 で変るという訳にはなかなかいかないと思います。今度審査をするときに何とか来年度 にもつながるような形で、しかも今までに公募してしまったシステムを生かしながら、 厚生科学として優れた研究を支援するようにすべき。公募と個別研究というのは別のも のだと思うんですけれども、今回の研究費は個別研究で個人で応募するのであるという 話もあり、混乱していました。それをどういうふうに、ここの会で、ある程度議論をま とめて各分野の専門委員の先生に統一した情報を与えるか問題です。 勿論、最終的には各専門委員の先生方が各専門委員会でやるんですけれども、大まか なところはこの会かどこかで統一見解を出していた方がいいんじゃないかという感じが しております。 ○下田厚生科学課長 ただいまの御指摘につきましては、先ほどから何回も申し上げておりますけれども、 研究者の方々に少しでも早く研究費をお渡ししたい。従来、年を明けて年度末近くにな ってお渡ししているという批判もございまして、私どもとしまして、なるべく早く手続 に入りたいというような若干焦りもございまして、今年度こういう格好で官報告示まで 至ったということにつきましては、おわびを申し上げたいというふうに考えておりま す。 ただ、寺田委員がおっしゃった研究の採択についてのやり方等については、若干工夫 があるのではないだろうかという気がいたしております。 と申しますのも、例えばゲノムの研究、こういったものにつきましては、長寿の研究 費から引き継いだ部分が若干ある訳でございます。それから、エイズにつきましても継 続研究がある訳でございまして、こういったものにつきましては当然のことながら公募 とはいえ継続という観点から、その辺は特別の配慮が必要ではないか。この辺は、それ ぞれの専門委員会で少し御議論いただければどうだろうかというふうに考えておりま す。 ただ、基本的に御理解をいただきたいのは、これからの研究というのはすべからく透 明性を高く、それから競争的研究というのがうたい文句でございますので、その辺も御 理解をいただければというふうに思っております。 ○高久委員 この官報には、ふさわしいテーマがたくさん並んでいまして、私もこういうテーマを 選ぶことには賛成です。 ただ、今日の読売新聞にも文部省と科学技術庁とが研究者を奪い合っているという事 が出ていました。一部正しい点があるし、一部は間違った点があると思うんですけれど も、こういうふうに科学技術基本法で大きな研究費が出るようになりますと当然批判も ある訳ですから、厚生省のやるべき研究、非常に厳密に区別することは難しいと思いま すが、厚生省はどういう研究をやるべきか、科学技術庁はどういう研究をやるべきか、 文部省はどういう基盤研究をやるべきかという基本的なことをはっきりしておく必要が あるのではないか。 出来れば、オーバーラップを少なくしてもらって、何も1人の研究者があちこちから たくさんもらうのはけしからぬということではなくて、厚生省のやるべき研究が私はあ ると思うのです。完全に分けるのは難しいと思いますが、課題の選択にあたってその事 を頭に入れておく必要があるのではないかと思っています。 それからもう一つ、研究費が大きくなると、先ほど課長さんがおっしゃったように透 明性ということを世の中の人は強く求めてくるようになると思います。従来、厚生省の 厚生科学研究に対する批判の1つとして応募を官報に載せる。官報をどれだけの人が見 るのだろうという議論があった。今は違うかもしれませんが、私が大学にいたときには 官報というのがあることさえも知りませんでした。 ですから、この官報に5月23日に発表して6月23日までに出せというとショートノー ティスです。国研の人達にはかなり知らされていると思いますが、大学の人には余り知 らされていない。そうすると、透明性という点で文句が出てこないのかということが心 配です。 例えば、さっき部会長が言われた民間の募集ではいろいろな雑誌に公募を広告します ので、研究者が見て一斉に応募してくる。余りたくさんあると審査が大変という気持ち もよく分かりますが、今年は結構ですが、官報でのノーティスだけでいいのかというこ とも少し考えておく必要があるのではないかというのが、私の感想でございます。 ○矢崎部会長 どうも貴重な御意見ありがとうございました。 ○下田厚生科学課長 ただいまの御指摘の部分につきましては、広く御理解をいただきたいということでご ざいまして、後でこの部会の公開につきまして、どのようにやればいいかということで 御審議を賜る中でも出てくるかと存じますが、官報に載せるだけでは当然一般の研究者 の方々はなかなか周知徹底が不可能でございますので、今回の官報に載せた部分につき ましては、インターネットを使って広く情報が入るような仕組みを取りましたり、ある いは厚生科学課の方で毎年編纂をいたしております『厚生科学要覧』というものがござ いますが、こういったものにも細かく載せながらやってまいりたいと思っているところ でございます。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 ○柳澤委員 ただいまの件でありますけれども、実は科学技術基本計画が制定されてから恐らく国 立大学はどこでもそうだと思いますけれども、かなり高額の研究費がいろいろな形で配 分されるだろうということで、例えば私たちの大学では研究協力室というのを新しくつ くりまして、研究協力課というのを申請するということをして非常に多くのインフォ メーションを伝えるというふうな努力をしております。したがって、私自身が直接関係 していた訳ではないんですけれども、この官報も1週間以上前にすべての教室に配布さ れたということがあります。 ただ、やはりこういう大型のプロジェクト研究を我が国で効率よく進めるためには、 それぞれの省庁がどのような目的でどういうことを具体的にやろうとしているかという ことを、出来るだけ研究者の間にインフォメーションとして流す必要があるだろうと思 うんです。ですから、従来の厚生省でいろいろな印刷物に載せているようなものだけで はなくて、もっと研究者にアペタイトを起こさせるような印刷物、それからそのほかの メディアを使ったインフォメーションというのは是非考えていただきたいと思います し、あるいは先ほどからの御議論にありますような、こういった研究企画部会というの がどのようなことを議論して、どういうふうな方針でこれからの研究を進めていくかと いうことについてのインフォメーションも出来るだけ広く伝えるようなことを是非お考 えいただきたいと思います。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 厚生省らしい厚生科学の研究推進ということで、先ほど審議官からお話がありました ように、ヒトゲノムでも何とか疾患と結び付くような研究を進めてほしいというお話が ございましたので、採択に関してはなるべくそういうような方向でお考えいただければ 大変ありがたいと思います。 柴田委員から何かございますか。 ○柴田委員 先ほどから議論も出たのでかなり氷解はしたんですけれども、まだちょっと素朴な疑 問が残るのは、先ほど御指摘もありましたが、やはり他省庁のいろいろな研究とのオー バーラップというんでしょうか、どういうふうに仕分けていくのか。 特に脳研究のことで、さっきもいろいろな省庁の関係の話がありましたが、その仕分 けはある程度出来るような気もしますし、厚生省らしいのは十分可能だと思うんですけ れども、多分文部省の科学研究費との間というのはなかなか難しいテーマだと思うんで す。恐らく研究者側から見たときに、これは厚生省に申請しようか、科学研究費に出そ うかというような形で、先ほど部会長は先に厚生科学研究が決まればいいんじゃないか というふうにちょっとおっしゃられたので、そういう新しいシステムが今回導入される のかなということをちょっと思ったんですが、そういういわゆる省庁間のいろいろなと ころへいろいろなふうに応募するだろうし、応募する側からすれば、片一方が採択が分 からなければ、もう一つの方にも出しておこうと当然なる訳です。そうしたら両方入っ てしまうということもあるでしょうし、そういうことの調整というものに何か新しいシ ステムが実際に各省庁間で動き始めたのかどうか。 これはこれまでずっと前からのテーマですから、初めてのことではないでしょうけれ ども、ただ、こういう研究費が大きくなればなってくるほど、その問題が大きくなって くるし、そこのシステムの導入が新しい方式を導入しないといけないのではないかとい う気がするんです。そういうところで、何かもし動きがあれば、事務局の方からお聞き したいと思って、半分質問なんですけれども。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 私ども、本当に研究費が欲しい研究者のレベルですと、今までいろいろ研究費の獲得 がなかなか難しくて、大型の研究費を取るのは勿論、至難の業でした。昨今、こういう 厚生省や各省庁の御努力によって予算が獲得されたということで、ですから私は実際に 研究している立場に立ちましてもこれは比較的新しい事態でありまして、伝統的にずっ とつながっていればこういう議論は余り起こらないのではないかと思います。 したがいまして、これから、やはり議論を積み重ねて、厚生省らしい公募をどうした らいいか、あるいは研究の絞り込みをどうしたらいいかということを、これから先生方 にいろいろ御議論を伺って進めていきたいということで、とりあえずは私は運営的なこ とだけでということで前提を申し上げました。今の状態は、各省庁で恐らく大型の、高 久委員から先ほど1か所に幾つも、いい研究でそれぞれの省庁に合った研究をしていれ ば与えてあげてもいいのではないかという、非常に重要なサジェスチョンだと思います けれども、今のところはどういう方がどういうふうに取っているかということを事務局 の方が情報を集められて、なるべく1か所に集中しないように配慮されているのが現状 だと思います。これから本当に我が国の研究というのをどういうふうに持っていくかと いうことは是非、柴田委員を含めていろいろ考えていただければ大変ありがたいと思っ ています。 事務局の方で、特にございますでしょうか。 ○西沢研究企画官 典型的な例といたしましては、柴田委員御指摘のとおり、脳研究につきましては科学 技術庁を中心に7省庁が合同してということで、本日委員として御参加の杉田委員も御 参加いただいております専門家グループによります脳研究委員会が科学技術会議の下に 作成されて、専門家同士はそこで意見を交流していただく。 並行いたしまして、行政側の連絡会議もそこに設けられまして、両方の立場から情報 の交換、それから専門家グループによる分担ということの整理がなされていっている。 これが1つのモデルケースになっておりまして、省庁連携型の大型の研究については、 そういったものをモデルにして連携をとるようにということで進めていくことが基本に なっております。各先生方の御指摘にありました厚生省らしさを、是非この部会で御意 見でいただければありがたいと思っております。 ○柴田委員 今の話ですと、脳科学は1つのモデルとしてというと、ほかのいろいろなテーマにつ いて、少なくともこんなたくさんの省庁は要らないでしょうけれども、文部省との間に は何か新しい組織が出来ると考えてよろしいですか。 ○事務局 この科学技術基本計画を契機にいたしまして、特に今回の予算の中で連携を保った省 庁連携会議を4月から2回既にしておりまして、今後とも文部省も含めていろいろな分 野で調整をさせていただいているところでございます。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 そうしますと、この厚生科学の研究企画は非常に大きなタスクフォースになっている というふうに今、先生方の御指摘で私自身としても実感しました。それで、なるべく多 くの先生方と情報を交換しながら、この厚生科学の研究の推進に努めていきたいと思っ ておりますので、今後とも先生方にいろいろな御意見、コメントをいただければ大変あ りがたく存じております。 それでは、先程寺田委員から御質問、御意見がございましたけれども、真ん中の官報 の告示から今回始まった訳ですが、事務局の方もいろいろな先生方に御意見をお聞きし て原案をつくっていただいて、今年、平成9年だけでということではございませんで 今、事務局のお話では平成10年、その後も続くことを考えて基本的な大筋をつくられた ということでございます。先程のことも踏まえまして、一応先生方お認めいただけます でしょうか。もし何か問題がありますれば、また事務局と相談の上、遅滞なく先生方に 御報告申し上げまして御承認をいただきたいと思います。よろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○矢崎部会長 ありがとうございました。 それでは、事務局で作成いただきました原案をこの部会でお認めいただいたというこ とで、そのように対応させていただきたいと思います。 それでは、最後にこの部会の公開の在り方について、事務局の方から御説明いただけ ますでしょうか。 ○事務局 それでは、資料7というのをごらんいただきたいと思います。 厚生科学審議会の公開につきましては、19日の厚生科学審議会におきまして、ここに 掲げてございます4点について、一応審議会としてお決めいただいております。ござい ますように今、審議会の公開については、これは政府としてもなるべく審議会における 議論というものを公開していこうという方針がございますし、厚生省におきましても平 成7年に「審議会等会合の公開に関する指針について」というものを策定いたしており ますが、ここにございますものは、そこの指針に沿ったものであります。 1番目にございますのは、「委員及び専門委員の氏名及び職業については、公開する ものとする」。 また、「審議会及び部会の開催予定に関する日時、場所及び議題については、あらか じめ公開するものとする」。 3点目に「審議会及び部会については、それぞれ会長及び部会長の決するところによ り、会議又は会議議事録を公開するものとする」。 4点目に「審議会及び部会の提出資料については、公開するものとする。」というこ とでございます。 この3点目に書いてございますのが、会議における議事の公開ということでございま すけれども、ここにございますように、会議または会議議事録を公開するということで ございますが、総会につきましては、会長の方から「会長の決するところにより」の運 営につきましてお話がございまして、そこでは議事の公開の方法については議事録の公 開を基本とし、案件により特に必要な場合には、事前に委員の皆様に御連絡し、御了解 を得た上で会議を公開することとしてはどうかという御説明があったところでございま す。 以上でございます。 ○矢崎部会長 ただいま、この部会の公開性についての原則をお話いただきましたけれども、当部会 につきましても審議会と同様の方法で運営したいと考えますが、よろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 この部会の在り方は最初に御説明がございましたけれども、厚生科学審議会の運営規 程の第5条に「部会の決議は、会長の同意を得て、審議会の決議とすることができる」 ということがございます。原則としては、なるべく早く部会の決議をして、それを審議 会で御承認いただくということに今後していきたい。今回は、先ほど何回も御説明申し 上げましたけれども、時間的なタイムスケジュールで、一応部会でこのような大筋を決 めさせていただいた訳ですが、よろしくお願いいたします。 それでは、一応1回目の部会ということで、余り実は細かい議論まで踏み込んだ話は ないということだと思っていたんですが、先生方に非常に具体的な御意見をいただきま して、次回からの部会の運営に大変参考になる御意見をいただいたと思います。 以上、予定しました議題でございますが、その他に事務局から何か追加することはご ざいませんでしょうか。 先生方で何か更に御追加はございますか。 ○杉田委員 今、官報告示している訳ですが、これが最終的に採決、決定されるのは大体いつごろ か、どういうフローチャートになっているか教えていただければと思います。 ○事務局 これは、次回のときに御審議いただく形になるんですが、後でまた部会長から御紹介 をさせていただくつもりですが、次回のときに公募研究課題の評価方法等を御議論いた だいたときに、大体1か月ぐらいで出来ればと思いますが、そのときまでに大体数がつ かめますので、概略の数も見て、どれくらいの期間でというのは多分そのときに御議論 出来るのではないかと思っておりますが、出来れば7月中に全部最終的に御決定いただ くと、8月中に我々は課題の決定を各研究者の方々に出来るのかなと。 なるべくそういうふうにしたいなという思いでおりますが、どれだけ公募が来るかと いうことは次回までには大筋、概略だけつかめるのではないかというふうに考えており ます。 ○杉田委員 私が質問申し上げたのは、先ほど御質問もありましたように、ほかの省庁の同じよう な課題が走っている訳です。そことのダブりがあり得るので、これは大体いつごろ決ま るということがなるべく早く分かった方がいいように思います。それだけです。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。その点は、十分勘案しながらやっていきたいと思い ます。 それでは、先ほどお話がございましたように、公募の締切りが6月23日でございます ので出来るだけ早くに結論を持っていきたいということで、翌日の6月24日火曜日の15 時から2時間の予定で、別館の特別会議室で2回目の会議を開催させていただきます。 そのときには、公募研究課題の評価方法、審査方法などについてお話すると同時に、時 間があれば平成10年度の予算要求について、また重ねて御議論いただければありがたい と思います。それまでに、一応先ほどの御質問もありました専門委員会は大体何名ぐら いで構成されるんでしょうか。 ○事務局 おおむねですけれども10名から20名と、分野によっても多少入れ替わりがあるかと思 いますが、専門委員会の方は大体10名で、評価小委員会の方は20名とか、そういうふう なレベルではないだろうかと考えておりますが、それは個別の案件によって多分変わる んじゃないかというふうに理解しております。 ○矢崎部会長 これは、専門委員会の先生と評価小委員会の先生は重ならないというふうに原則とし て考えてよろしいんでしょうか。 ○事務局 はい。 ○矢崎部会長 分かりました。そうしますと、公募の題数によって違いますけれども、今お話になっ た基準としては専門委員会が10名内外、そして評価小委員会、すなわち点数し、実際に ピア・レビューをする先生方が20名ぐらいということになるということでございますの で、話を早く進めるためには出来れば先生方に、実際の題数がどうなるか分かりません けれども、大体こういうような先生で専門委員会を構成される、あるいは評価小委員会 を構成されるというような腹案でも、それを次回持っていただければ大変ありがたく存 じますので、是非お考えいただきたいと思います。 そのほか、何かございませんでしょうか。 ○高久委員 次回は、私はちょっと厚生省の別の会議の座長をしなければならないので出られない んです。そのときには、あらかじめ……。 あれは、たしか塚原さんのですね。 ○矢崎部会長 ちょっとまずかったですね。済みません。 ○土屋委員 私は1人エンジニアかもしれないですけれども、2年前から私は通産省の大型の審議 会に関与していまして、今年だったか、成果発表会をやったんです。こちらはいかがな んでしょうか。レポートを出せばよろしいのか、社会に対してといいますか、あれは3 日間だったか、200 ぐらいの研究分野がありまして大変だったんですけれども、非常に 有意義だったと思いますので、やはり透明性という面で、どんなテーマでどのくらい成 果が出たかというのを1テーマ15分ぐらいですけれども、そうしますと研究者の側もや はり頑張るし、いいかげんなことは出来なくなるし、非常にいい試みだと思っておりま す。まだ来年、再来年でいいと思いますが。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。その成果の公開でございますね。 それと、もう一つは実際に研究費がいかにうまく使われているかという評価をするに は、外国ではサイトビジットで、日本でも文部省の特別推進などをやっていますね。で すから、出来るだけそういういいシステムを是非今後は取り入れていかないといけない んじゃないかと思います。 そのほか、何かございますでしょうか。 ○寺田委員 私ばかりですが、もう1つだけ発言します。 先ほどのオーバーラップの話ですけれども、がんの場合も先ほどの脳の場合と同じ で、10数年ほど前から真ん中にある中枢の企画評価組織があって、そこで各省庁の持ち 味を重視しながら、また行政の各省庁の問題だけではなくて研究者の間でも、これは文 部省が得意な問題だとか、これは余りにも技術的だから科技庁で支援してもらった方が いいという交通整理もやりましたから、極めてうまく運営されていると考えます。今日 議論することではありませんが、このようなもし大型の金で同じ分野領域・研究を支援 する場合、研究者間もがん研究の場合のような調整機能をつくるような形をやればいい と思います。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 ○柳澤委員 もう一つ、念のためにお伺いしたいんですが、この専門委員会と評価小委員会のメン バーは実際にアクティブに研究をしている人でもよろしいんですか。その辺についての ポリシーをちょっと教えていただきたいと思います。 ○事務局 評価小委員になられる方は研究を申請していただいても結構なんですが、専門委員に なられる方は公募していただいてはまずいという仕分けを考えております。 ○柳澤委員 そうしますと、例えば厚生省の場合、ここの部会の専門委員になる方は、簡単に言っ てしまうとある程度、御自分で実際には研究していないような、もうちょっと年配の方 を考えた方がいいのか。例えば、この研究に対してだけ申請が出来ないということで、 現実にアクティブな研究をやっている人を入れてもいいのか。その辺についてのお考え はどういうふうにしたらいいのか伺いたいんです。 これは、部会長のお考えでも結構ですが。 ○矢崎部会長 これは私個人の考えですけれども、研究というのは余り暦の年齢と限らずに、非常に アクティブな先生はいつでもアクティブにいいアイデアを出されますし、これはどうで しょうか。こういう委員会だったら公募出来ないとかではなくて、例えば審査にはその 人が公募したら審査には加わらないとか、公募出来ないというのはちょっと寂しい感じ もするんです。 外国では、例えばドクターチャンスなどというのはノーベル賞を2回取りましたし、 80歳でも非常にアクティブなディスカッションをしますし、日本もだんだんこうなった ら、というのは私も委員であれば決して公募に加われないということになると、私自身 も何となくやる気がだんだんなくなってくることもありますので、出来れば事務局の方 でその点は十分御配慮いただければありがたいです。 それでは、その件についても次回に、今すぐ事務局に結論付けていただくのもお気の 毒に感じますので、広く考えていただければというふうに考えております。 そのほか、何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。 それでは、本日は大変お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございま した。私、初めての司会で不慣れなところございまして御迷惑をお掛けしたかと思いま すけれども、厚生科学の研究というのはこれから我が国で非常に重要な位置を占めてい く、21世紀の医療を目指した非常に大切な部分ではないかというふうに感じております ので、私自身も努力していきたいと思います。先生方、今後とも何とぞ御指導いただき ますようによろしくお願いします。 事務局の方からは、もうよろしいですか。 それでは、第1回目でございますけれども、研究企画部会を終了させていただきたい と思います。本日はどうも御協力ありがとうございました。 問い合わせ先 厚生省大臣官房厚生科学課    担 当 岡本(内3806)    電 話 (代)03-3503-1711 (直)03-3595-2171