97/06/02 第4回医療用医薬品再評価の在り方検討会議事録           第4回医療用医薬品再評価の在り方検討会                  議 事 録                       日時:平成9年6月2日(月)                          15:02〜17:03                       場所:法曹会館 高砂の間 植木安全課長 本日はご多忙のところご出席をいただきましてありがとうございます。  ただいまから第4回医療用医薬品再評価の在り方検討会を開催いたします。  私は、事務局を務めます安全課の植木でございます。  本日は黒川委員、菅谷委員のお二人が御欠席でございます。また、大内委員は少し遅れ るという連絡が入っております。  それでは前川座長、よろしくお願いいたします。 前川座長 ただいま課長からご紹介のとおり、ご欠席は黒川委員と菅谷委員でございます まだお見えになっておりませんが、鎌田委員はまげて出席の予定ということで、大変あ りがとうございます。また、清水先生がご都合で4時にご退席ということでございます。 よろしくお願いいたします。  それでは事務局から本日の資料の説明をお願いしたいと思います。 植木課長 それでは本日の配布資料を確認していただきたいと思います。 ・議事次第 ・座席表 ・既承認薬の見直しの今後の在り方(資料1、資料2)・論点整 理メモ ・本検討会の具体的意見(第1回〜第3回の委員の先生方のご意見でございま す) ・第3回医療用医薬品再評価の在り方検討会議事録  以上が配布資料でございます。 前川座長 はい、いかがでございましょうか。お手元に資料1、資料2はございますか。 ないようでしたら事務局に申し出ていただきたいと思います。  それから、第1回からの第3回までの本検討会の具体的意見及びそれらを項目ごとに整 理した論点整理メモを配布してございます。それもお手元にございましょうか。  それでは本日の議題に入らせていただきます。  まず冒頭、前回の宿題事項がございますので、それについてご説明をいただき、その後 資料1及び2について事務局からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいた します。 植木課長 それでは、まず宿題事項についてご説明をいたしまして、次いで資料1及び2 についてご説明をしたいと思います。  前回、何点か委員の先生方からのご質問にお答えできないものがございました。 事務局としてはできる限り調査をしたわけでございますが、必ずしも十分にお答えできる ような調べはできなかったわけでございます。お答えできる範囲で申し上げたいと思いま す。4点ございます。  1点は、英国において製造業者が再評価を受けずに承認を整理した、取り下げてしまっ たという、その理由はどういう内容か、という質問がございました。  これについては調査をいたしましたが、わからなかったという結果でございます。 2 点目、アジアにおけるPSURはどのようになっているか、というご質問がございました  アジアの各国はICHには加盟しておりませんが、独自に定期的に最新安全性情報の報 告を求めているという情報を得ました。大韓民国、フィリピン、台湾、タイ、これらの国 が制度的にそういうものを求めている。ただし、PSURそのものではございません。そ れに類似した制度を設けているということです。  3点目、古い医薬品の見直し、その組織はどのようになっているのか、というご質問が ございました。  アメリカについて調べましたら、米国化学アカデミー、国立研究委員会という、FDA 以外の外部の組織がこういった見直しの委員として、その任に当たっているということで す。そして、このような外部の組織が見直しをしたあと、FDAがその調査結果をさらに 評価して最終的な決定をするということです。  ドイツでは、治療分野ごとに政府により任命された委員会が評価を行っているようです  イギリスでは、再評価委員会が臨時に設置され、その委員会が見直しを行っているとい うことです。  フランスは、政府のいわゆる外庁の医薬品庁が審議会を設けて見直しをしている、とい うことであります。  4点目は、更新制はいつ頃から始まったか、というご質問がございました。  イギリスについては、5年ごとの更新義務というものは、1968年に薬事法を改正し て、その1968年から更新制がスタートした、ということでございます。 フランスに ついては1976年、ドイツについては1978年以降から更新制を導入している。すな わち、それぞれそれ以前の医薬品については、承認の見直しがすべて終ってから有用性が 認められた品目を再登録して、その時点から更新制に入るということになっております。 また、新薬については、いま申し上げました1976年、あるいは1978年以降に承認 されたその日から5年毎の更新制に入ります。  続いて、資料1及び資料2のご説明に入りたいと思います。  まず、資料1の1です。同時に資料2の1ページをご覧いただきたいと思います。 資料2の1ページは、我が国とEU各国及び米国における既存薬の見直し制度の比較です 前回も類似の資料をお出ししてご説明いたしましたが、復習の意味をかね てご覧いただいております。 1.は古い医薬品の見直しです。日本とEU各国及び米国の比較です。  日本は、第一次再評価、第二次再評価が古い医薬品の見直しに当たるということです。 第一次再評価では、1967年9月30日以前のすべての承認薬について見直しをしたわ けです。また、第二次再評価では、、1967年の10月1日から1980年の3月31 日までに承認された医薬品について、必要性の高いものを選定し、再評価に指定して再評 価を行ったわけです。  EU各国の既存薬の見直しは、1968年以前に市場にあった約39000品目を対象 として見直しを行った。  フランスは、1976年12月以前の既存薬について薬効群毎に見直しを行っておりま す。  アメリカの場合は、DESI−I、DESI−IIということで、DEDI−Iでは、19 38−1962年の医薬品を対象として見直しを行い、DESI−IIでは1962年以前 の市販薬でDESI−Iの対象外のすべての処方箋薬、この中にはグランドファーザー薬 という古典的な薬を含めて、その見直しも併せて行っております。 2.は既存薬の見直しの中で、疑義が生じた医薬品の随時の見直しです。  日本の場合、現行の再評価制度に基づく随時の再評価がこれに当たると思います。EU 各国も随時の見直しは行っておりますし、アメリカも随時の見直しを行っております。米 国の場合は、企業による自主的な見直しが相当行われているようです。 3.は定期的な全面的な見直しです。  我が国の場合は、定期的な全面的な見直しは実施をしておりません。  EU各国の場合は、5年毎の定期的な更新制度をとっております。米国の場合は、ペリ オディック・レポートという形で定期報告による毎年の見直しを実施しています。年1回 の定期報告により、重篤既知の副作用など安全性情報、その他試験の進捗状況などについ て報告をさせ、それによる評価を行っているようです。 4.はEUにおける既存薬の見直しと更新制について  先ほどもご説明いたしましたように、EUの更新制については、詳細な調査はあまりで きておりませんが、私どもが把握した限りで、その大枠を示しますと、次にあるようなこ とになると考えております。  イギリスでは、1968以前の品目で見直しをされ再登録(リレジストレーション)さ れた医薬品は5年毎の更新制に入る。さらに、1968年以降承認された医薬品、すなわ ち新薬は承認されたときから5年毎の更新制に入ります。そのときの更新はリニューアル という言葉を使っています。  フランスでは、1976年以前の品目で見直しをされ再登録された医薬品について5年 毎の更新制に入る。さらに1976年以降に承認された新薬についても5年毎の更新制に 入る。 ドイツでは、1978年を基点にして同様の取り扱いを行っている。  EUは、1995年以降に中央審査方式による手続きを経て承認された医薬品はEUの 5年毎の更新制に入るということです。  資料2の3ページは、各国における医療用医薬品の定期的な全般的な見直しを詳細に比 較したものです。定期的な全面的な見直しは、日本は実施していません。 EU各国は5年毎の更新制。アメリカは定期報告による毎年の見直し、ということです。 5.は定期的な全面的な見直しの時期は、  日本の場合は、厚生省が文献スクリーニングで問題点を把握して、必要な場合には有用 性確認のために中央薬事審議会に諮問し、必要な資料を明示して再評価に指定をする。  EU各国の場合は、更新時の見直しが自動的に開始される。  アメリカの場合は、定期報告による見直しが毎年行われ、企業は定期報告の義務がある ということです。 6.は定期的な全面的な見直しの必要資料の準備  我が国の場合は、再評価指定の公示により、企業は再評価に指定された成分、必要な提 出資料をその時点で知って、必要資料の収集等を開始する。  EUの場合は、企業が自主的に更新の資料を準備する。  アメリカの場合も、企業が自主的に定期報告の資料を準備する。 7.は定期的な全面的な見直しの結果と措置  我が国の場合は、厚生省が提出資料を評価し、有用性を確認できなければ承認の取消等 を行う。  EU各国の場合、イギリス、フランス、ドイツにおいては、更新時の資料を評価し、有 用性を確認できない場合は、自動的に失効する。  アメリカの場合、FDAが提出資料を評価し、有用性が確認できなければ、承認の取消 等を行う。 8.は定期的な全般的見直しにおける網羅性、見直しの対象薬はどういうことかという点 です。  我が国の場合は、有効性、安全性に疑義が生じ、再評価指定されたものが再評価の対象  EU各国の場合は、すべての医薬品が更新の対象。  アメリカの場合も、すべての医薬品が定期報告の対象になっています。 9.は定期的な全般的見直しの恒常性、すなわち恒常的な見直しが行われているかどうか という観点です。  我が国の場合は、有効性、安全性に疑義があるか否か、5年毎の文献スクリーニングに よる検索を行っておりますが、5年毎の再評価とは少し異質のものです。  EU各国の場合は、5年毎の更新時に恒常的に医薬品の有用性を確認をしている。  アメリカの場合も、毎年恒常的に定期的な評価を行っている。 10.は定期的な全般的見直しの公平性ということで、  我が国の場合は、有効性、安全性に関して、文献的なスクリーニングに基づいており定 期的にシステマティックに見直しを行うという観点からは、公平性に若干問題点があると いうことです。  EU各国の場合は、見直しの公平性は担保されている。  アメリカの場合も見直しの公平性は担保されていると考えていいのではないかと思われ ます。 11.は、定期的な全般的見直しの業務量等ということで、  我が国の場合は、文献的なスクリーニングに基づく再評価ということで、業務的には非 常に多いというほどではありませんが、見直しそのものがあまり効率的な見直しではない のではないか、ということが言えると思います。  EU各国の場合は、5年に1回PSURを評価し、更新手続きを行うということで、業 務量はかなり多くなります。  アメリカの場合は、年1回の定期報告に基づく評価で、業務量としては非常に膨大にな ると判断されます。  次に、資料2の4ページをご覧いただきたいと思います。ここに各国の制度のメリット デメリットを比較しております。 12.は、現行制度を維持した場合、現行の臨時の再評価を充実・強化し、定期的な文献 スクリーニングによる再評価を廃止した場合、EUの例のように更新制をとった場合、ア メリカの例のように定期報告制をとった場合、それぞれのメリット・デメリットを比較し ています。  まず、現行制度を維持した場合。いままでの制度をそのまま、変えないということです  メリットは、制度改正は不要である。  デメリットとしては、・網羅性、恒常性は担保できない。・企業の不公平感は大き い。・不利益処分として再評価が行われるので、メリットの付与ができにくい。・企業は 再評価に対して事前に十分に備えることができない。・自然淘汰の促進は期待できな い。・国(行政)が主体である。企業はあくまで受身である、といったことがあります。 13.は、現行の臨時の再評価を充実・強化した場合。  メリットとしては、・行政指導で対応が可能である。・再評価指定検討開始基準を明確 化することにより、不公平感が改善され、再評価をするかどうかという判断も恣意的に流 れることなく行政の透明化が図れる。・定期的な文献スクリーニングに基づく再評価の廃 止による業務の合理化を図れる。  デメリットとしては、現行制度を維持した場合と同じです。 14.は、EUの更新制をとった場合。これは現行の臨時の再評価の充実・強化を併せて 行い、さらに更新制を採用するということです。  メリットとしては、・現行再評価制度の欠点である、網羅性、恒常性、公平性が担保で きる。・企業は予め更新に備えて準備が可能である。・PSURを利用した質の高い審査 が可能となる。・定期的な文献スクリーニングに基づく再評価の廃止による業務の合理化 が図れる。・自然淘汰が促進される。・メーカーの第一義的な安全確保義務が明確化され メーカー主体の見直しになるのではないか。・更新時に必要な調査等の実施を指示し、そ の結果によりメリットの付与が可能となる。 デメリットとしては、法改正が必須です。 既存薬の全面的な見直しを行ってはじめて更新制のスタートが可能になるので、直ちにこ の制度の導入はできないため、かなりの時間がかかる。・5年毎の更新制のためのPSU Rの評価及び更新証書の発行手続き等の人員が必要である、といったことです。 15.は、米国の定期報告制度を採用した場合で、現行の臨時の再評価の充実・強化を併 せて行うこととしています。  メリットとしては、現行再評価制度の欠点である網羅性、恒常性、公平性が担保でき る。・企業は予め定期報告に備えて準備が可能となる。・PSURを利用した質の高い審 査が可能となる。・定期的な文献スクリーニングに基づく再評価の廃止による業務の合理 化も図れる。  デメリットとしては、・法改正が必要である。ご案内のように、今年の4月から安全性 定期報告制度を導入しております。これは従来の再審査制度の年次報告を発展的に改正し 新薬を対象として、再審査期間中のみならず、再審査後も行政指導で安全性定期報告を求 めております。後発品についても全般的にPSURを求めることになりますと、全面的な 薬事法の改正が必要になるわけです。そういう意味で法改正は必須です。・PSURの評 価及び臨時の再評価指定にかなりの人員が必要となる。・自然淘汰の促進は更新制に比べ てそれ程期待できない。・国(行政)が見直しの主体である。ということです。  以上でございます。 前川座長 どうもありがとうございました。それでは、ただいま事務局から、宿題事項と 資料1、2の説明をいただきました。  まず、宿題事項について質疑がございましたら、お聞きしたいと思います。 第1番は木村委員からの宿題ではなかったかと思いますが、不明という答えです。第2番 は寺尾委員からでなかったかと思いますが、アジア各国の状況について、これについては 森岡委員から同じようなお話がありました。調査結果を事務局が説明されましたが、何か ご発言ございますか。よろしゅうございますか。 3番目は、古い医薬品の見直しと組織に関するもので、山口委員からかと思いますが、よ ろしゅうございますか。 4番目は、上田委員かと思いますが、更新制の開始の時期。 上田委員 ご説明いただきましたことですと、実際には、イギリス、フランス、ドイツで は更新制で取り消された例が、可能性はあるんだと思うんですが、それはいかがでしょう か。例えば、英国で1968年以来更新制を採用してるとしますと、いままでの経緯があ るのではないかと思いますが。 植木課長 更新制に入る前に見直しをされて自動的に取り下げたものもありましょうし、 また、更新時に認められないとされ取り消されたものもあると思いますが、その品目はど れぐらいの数かといったことは一切わかりかねます。 上田委員 ありがとうございました。 前川座長 よろしいですか。それでは、資料1及び2についての質問に移らせていただき ます。  資料1のシート11まで、資料2の3ページまでは、ご説明の折にご指摘くださいまし たように、これは前回までに事務局からご説明くださった事項の取りまとめでございまし て、いわば復習的な部分かと思います。シート12以降、並びに資料2の最後のページは 本日の討議の主要部分の取りまとめとも考えられます。そこで、これらはひとまずおきま して、復習的な前半部分についてのご質問をお受けしたいと思います。いかがでございま しょうか。 木村委員 3点ほど質問させていただきます。第1点は、資料2の4ページの上から2番 目の「現行の臨時の再評価の充実・強化」のところです。メリットのところに、再評価指 定検討開始基準の明確化、とありますが、これはどういうことなのかということをまず教 えていただきたいと思います。2番目に……。 植木課長 4ページについてのご質問ですか……。 前川座長 あ、4ページ、4ページは後で。復習的な部分を先に。いままで個々別々にご 説明いただいたのを巧みに取りまとめて、我が国とEU各国並びに米国との比較が鮮明に なっております。 梅田委員 資料1の4番「EUにおける既存薬の見直しと更新制」というところで、ちょ っと教えていただきたいんですが、再登録ということをイギリスでもフランスでもドイツ でもされているわけです。それと更新制ですが、再登録しないものは自動的にアウトにな っていくのか。また5年毎の更新制ですが、登録したものだけが更新されるのか。承認さ れたものの再登録というのは、日本ではどういう形になるのか、それを教えてください。 前川座長 再登録というのは、更新されてから登録されるということだと思っております が、いかがでしょう。 植木課長 梅田先生のご質問でございますが、イギリスの場合は1968年以前の品目に ついて、全部見直しをいたします。その中で有用性が実証されるというか、医療上もこれ は有用性あり、というものを再登録、リレジストレーションをいたします。その再登録し たものについて、そのときから5年毎の更新制に入っていく。したがいまして、再登録さ れなかったものは、承認が消失するわけです。そして、1968年以降に新たに認められ た新薬については、その承認のときから5年毎の更新制に入るということです。以下、同 じでございます。 梅田委員 ありがとうございました。 寺尾委員 資料15ですが、デメリットとして、自然淘汰の促進は期待できない、と書い てありますね。これはそうなんでしょうか。というのは、確かに、再登録はしないけれど も……。 前川座長 シート15は後で。 吉田委員 聞きそびれてしまったんですが、再登録する、しないは、行政とかコミッティ とか、そこで再登録する、しないを判定されるんですか。自己申告ですか。 植木課長 イギリスの場合ですと、1968年以前のものをすべて見直しをして、行政庁 のほうが評価して、再登録するものと、再登録しないものとを分けるような形で、再登録 した時点から更新制に入っていくということです。 清水委員 更新とか再登録というのは、医薬品としてですか、それとも効能・効果として でしょうか。 植木課長 更新制というのは、見直しは有効成分で見直しをしておりますが、実際は銘柄 毎に更新をするということで、品目の登録をするという意味でして、効能別ではございま せん。品目毎に登録をする、ということです。 清水委員 日本ではいま再評価というのは、効能または効果それぞれについて評価するの がございますね。そういうのとは根本的に違うわけですね。 植木課長 この場合は、効能・効果毎に見直しをしておるわけではございませんで、品目 全体について、その有効性と安全性について見直しをして、有用性があるものを再登録す るという手続きをとっております。個々の効能・効果についての見直しをやっているわけ ではございません。その品目が持つすべての効能、あるいは用法・用量についての総合的 な評価をしている、ということです。 大石委員 米国の定期報告のことをお伺いしたいんですが、これは1年のうちの4月なら 4月というように決めているのか、それとも、薬が承認された日から1年とするのか、そ れはどうなのでしょうか。 植木課長 アメリカの定期報告ということでございますが、これは承認時点から毎年定期 的に報告を求めております。最初の3年間は3カ月毎に、それ以降は毎年の報告というふ うになります。 大石委員 そうしますと、同じ化学物質で違う製薬会社がそれぞれ出しているようなもの は、それぞれの会社がそれぞれについて出すんですね。 前川座長 製品毎であるか、成分毎であるかというご質問だと思いますが、これはいかが なんでございましょう。 植木課長 詳細になかなか調べることができなかったものですから、あやふやな答えをい たしましても……。 前川座長 改めて調べさせていただきます。 山崎委員 確認させていただきたいんですが、資料1の4枚目の英・仏・独とEUとの関 係ですが、1995年以降は中央審査方式というのがあって、これはEUでやるわけです ね。そうしますと、1995年以降の英、仏、独、それぞれの国の5年毎の更新というの は、ここに含まれている形になるわけですね。 植木課長 EUの更新制というのは、EUで中央審査方式によって見直しをされたものが EUの更新制に入るわけです。それ以外はすべて各国の更新制だと、こういうことです。 前川座長 それは重複する? 植木課長 いえ、重複はいたしません。 前川座長 承認がEUから出ている薬はEUで更新制になるし、承認がそれぞれの国で出 ている薬はそれぞれの国で。 植木課長 そうです、重複はいたしません。 前川座長 それでは前半はこのあたりで打ち切らせていただきまして、後半の部分に入り たいと思います。  本日の検討項目であります「既承認薬見直しの今後の在り方について」、自由なご発言 をいただくことにしたいと思います。  この会は医療用医薬品再評価の在り方検討会でありますが、見直しとあえて言わせてい ただきましたのは、従来の再評価にまつわる思い過ごしから脱却したいということもござ いますし、再審査、再評価、承認更新など、医薬品の市販後サーベイランスに関するお互 いに関連の深い事柄を個別縦割り的ではなく、包括的に扱いたいという思いが私にあるか らでございます。  これからの議論をするわけですが、これまでの重複を避ける意味で、事務局でこれまで 3回の検討会の論点を整理したメモがございますので、それをまず読み上げていただきま して、それと重複等がないような議論をしたいと存じますので、よろしくお願いいたしま す。 田中査察官 それでは、本日配布資料の「医療用医薬品再評価の在り方検討会」論点整理 メモを朗読させていただきます。  大変失礼でございますが、本日配布の論点整理メモの2ページ目が欠落しているものが ございますので、ご確認いただけますでしょうか。もし欠落しておりましたら、挙手をし ていただけますと事務局でお持ちいたします。  お手元に届きましたでしょうか。それでは朗読させていただきます。 ・既存薬の見直し体制全般について  (1)−3 (1)−3というのは、第1回目の検討会の要約メモの3項目めということです (1)−3.現行再評価の趣旨、目的に照らして、定期的に何回も見直しをするのは如 何なものか。適当なタイミングが必要ではないか。 (1)−4.すべての薬について再評価を何回も定期的に行うのではなく、もう少し能 率的なシステムを考えるべきではないか。 (1)−5.現行の再評価は、文献スクリーニングに始まり、問題があれば再評価に指 定するというモグラ叩きの不利益処分であり、その枠組みを超える運用には限界があるの ではないか。 (1)−6.メーカーが自主的に承認を取り下げるケースも相当あると思料されるが、 「毒にも薬にもならないもの」、すなわち、あまり話題にならない薬については、文献ス クリーニングが主体である現行の再評価システムでは、本来の見直しの役割を果たしてい るとはいえないのではないか。 (1)−7.臨床の場での使用実態を考えると、13,568品目はあまりに多すぎる 。本来はメーカーによる自浄作用によるべきであろうが、自主規制の基準については、制 度的にシステマティックに見直し仕組みをつくることが先決ではないか。 (1)−12.薬漬け医療の実態に鑑み、毒にも薬にもならないような薬は自然に淘汰さ れていくか、あるいは何かインセンティブのようなものが働く仕組み、または、行政施策 が必要ではないか。 (2)−5.定期的な文献スクリーニングに基づく再評価は、第1回目の会合で指摘さ れたとおり、網羅性、恒常性、公平性の確保を考慮した際には、かなりの限界かあるので はないか。 (2)−6.医学、薬学の学問レベル向上に対応して医薬品の再検討が常時実施できる ような体制を整備していく必要があるのではないか。  また、そのためにも、再審査期間が過ぎた後も、定期的にPSURを求めるような仕組 みを考えるべきではないか。 (3)−1.承認の更新制を採用した場合、医薬品の自然淘汰が加速されるというメリ ットもあるのではないか。 (3)−4.市販後調査のデータを有効に評価、活用して、再審査や再評価において効 能・効果の追加を認めるというケースがあってもよいのではないか。 (3)−5.承認時に、本体当該医薬品の薬理作用からその有用性が類推できるものに ついては、承認条件を付し、再審査期間中に必要な調査、試験を行わせ、再審査で効能・ 効果を揃えさせることが必要ではないか。 (3)−6.米国の定期報告に基づく医薬品の見直しは、更新制こそとっていないが、 見方をかえると、毎年定期的に見直しをしていると考えることもできるのではないか。 (3)−7 医薬品の安全性確保の観点から、更新制という形をとるか、再審査後、1 年なり2年のインターバルでPSURを報告することを義務づけるべきではないか。 (3)−8.EU各国の定期的な登録制度と、日本の再評価制度の相違点は、当該医薬 品の見直し、再検討を国(行政)と製薬企業のいずれが主体性をもって行うかという点に あるのではないか。また、更新制に基づく見直しは、製薬企業のほうが5年の更新期間中 に自主的に常にそれに備えることができる利点もあるのではないか。 (3)−10.更新制をとっていくのなら、制度的にしっかりしたものにしていかないと 永続性に欠けるのではないか。 (3)−12.新薬について、再審査後、行政指導でPSURを5年毎に求めるという制 度が仮に導入されたとしても、更新制の果たす代替物にはならないのではないか。 ・再評価指定基準等について (2)−7.市販後調査検討会で提言されている「再評価検討開始のパターン」は、臨 時の再評価とともに定期的な文献スクリーニングに基づく再評価の際にも適用できるもの であり、今後より基準を明確化していく必要があるのではないか。 (2)−8.医薬品の見直しにおいて、製薬企業の自主性、主体性が発揮できるよう、 予め医薬品の評価基準や条件等を公表し、業界の自主的基準になるようにすべきではない か。 ・医療機関における安全性情報の取り扱い (1)−11.収集した安全性情報を医療機関にフィードバックしていく仕組みを制度と してつくっていく必要があるのではないか。 (2)−9.市販後調査を適正かつ円滑に実施するためには、医療機関の協力・支援が 不可欠である。  安全性情報が適切に収集されるよう関係者に働きかけるともに、医療機関に対する啓発 に努めるべきではないか。 (2)−11.市販後調査の第一義的責任はメーカーにあるが、安全性情報の発生源であ る医療機関における情報の収集システムが未だ確立していない。  このシステムの確立が最重要課題ではないか。 (2)−15.副作用情報の収集における病棟薬剤師の積極的な関与とともに収集した安 全性情報を薬剤部(DI室)が管理して、情報の収集、評価、提供、伝達に迅速性と正確 性をもたせるべきではないか。 (3)−11.ジェネリックについても情報の提供については、必要不可欠なものであり、 基本的には新薬と同様に扱うべきではないか。 ・PSURについて (2)−1.定期的安全性最新報告(PSUR)を再評価に導入し、スクリーニングの 対象の一つにして再評価を充実し、強化すべきではないか。 (2)−2.安全性定期報告制度が我が国において導入され、PSURが利用できるよ うになると安全性情報(副作用)の収集の面から企業の負担は相当軽減されるのではない か。 (2)−3.PSURがうまく機能するなど内外から収集する情報が質量共に増えてく ると臨時の再評価指定の機会の増加が見込まれるのではないか。 (2)−6.医学、薬学の学問のレベル向上に対応して医薬品の再検討が常時実施でき るような体制を整備していく必要があるのではないか。  また、そのためにも再審査期間が過ぎた後も、定期的にPSURを求めるような仕組み を考えるべきではないか。 (3)−7.医薬品の安全性確保の観点から、更新制という形をとるか、再審査後、1 年なり2年のインターバルでPSURを報告することを義務づけるべぎではないか。 (3)−9.新薬について再審査期間後も行政指導でPSURを求めるのであれば、ジ ェネリックについても求めるべきではないか。 (3)−12.新薬について再審査後、行政指導でPSURを5年毎に求めるという制度 が仮に導入されたとしても、更新制の果たす代替物にはならないのではないか。 ・再評価の方法論について (1)−1.我が国の市販後調査は、有効性が再評価される点でユニークであり、外国 の評価も高い。問題はその有効性をどのような方法で評価していくかではないか。 (1)−8.抗がん剤の再評価を意義あるものにしていくためには、市販後調査、特に 精密かつ客観的な臨床試験を行う必要があり、メーカーが第一義的な責任を持つ必要があ るが、国自らも行政の一環として市販後臨床試験をプライオリティを持ったものにすべき ではないか。 (1)−9.抗がん剤のようなライフセービング的な意味を持っている薬剤と、生命と 直接関係を有する機会の少ないアレルギー剤のような薬剤とでは、有用性の評価方法や評 価基準はかなり異なるので、その点を踏まえて議論すべきではないか。 (1)−13.慢性疾患の薬、急性疾患の薬、体質改善の薬、ライフセービング的な薬な ど、さまざまな医薬品をその特性に応じてグループに分けて見直しすべきではないか。 (2)−4.市販後調査において有効性を検討する場合には、二重盲検による比較試験 の実施が要求されるが、公的な機関で薬効評価を臨床疫学的に支援するシステムを考える べきではないか。 (2)−10.市販後調査、特に市販後臨床試験でプラセボを対照薬として行う二重盲検 比較試験はその実施が非常に難しくなっている。何らかの工夫が必要ではないか。 (2)−12.真のエンドポイントを検証する市販後臨床試験は、薬物治療の質的向上の ために必要である。  そのためには、製造物責任としてすべて企業に押しつけるのではなく、厚生省や医薬品 機構などの公的機関が関与するか、もしくは、第三者機関を設立して市販後臨床試験の基 盤を整備するなど、再評価を活性化すべきではないか。 (2)−13.市販後の臨床試験に代る新しいコホート(PROBEスタデイ)など、真 のエンドポイントを検証する他の方法論も今後は考える必要があるのではないか。 ・その他 (1)−2.我が国で使用している「副作用」という用語を改め、ICHで使われる「 薬物有害反応」という国際的に整合性のある用語を用いるべきではないか。 (1)−10.新薬の承認に際し、薬理作用等から考えられる副作用については必ず承認 条件をつけ、市販後に調査させることが必要ではないか。  また、承認条件が付されたことを添付文書や使用上の注意に反映させ、公表扱いとする ことが肝要ではないか。 (2)−14.市販後調査が円滑に実施できるよう医療機関における受託契約の規約や報 酬等の明確化については、早急に国レベルで解決する必要があるのではないか。 (3)−2.医薬品の売り上げが少なくなってきたという理由で製造販売を止めてしま う企業があるが、何らかの対応、措置をとるべきではないか。 (3)−3.申請主義にあまりにもとらわれている現在の医薬品の承認審査には、同種 薬剤であるにもかかわらず、効能・効果に差が生じるという問題があるのではないか。  以上でございます。 前川座長 どうもありがとうございました。これからこの項目にしたがって討議をしたい と存じますが、清水委員はご退席されますので、何か。 清水委員 特にありませんが、先週の再審査・再評価特別部会の時に、委員の方からこの 中に盛り込まれたような質疑がずいぶんございまして、紺野先生が部会長で事情をよくご 存じでいらっしゃいますので、今日はとくにございません。 前川座長 どうもありがとうございました。それでは項目にしたがって討議をしたいと思 いますが、最初の見直し体制全般については、これを最後にまわして、まず2ページの再 評価指定基準等についてから始めたいと思います。ご訂正あるいはご追加がございました ら、お願いいたします。この項目は2つだけで少ないようですが、ほかのところに関連の 部分もちりばめてございますので、それを踏まえてご意見いただければと思いますが、い かがでございましょうか。  ないようでございますので、その次に、・医療機関における安全性情報の取り扱いにつ いて、訂正あるいは追加がございましょうか。よろしゅうございましょうか。 それで は、・PSURについて、に移らせていただきます。いくつか載っていますが、ご発言さ れた方のご訂正、あるいは追加、質問等ございましたら。 本間委員 4ページの、「再審査後、1年なり2年のインターバルでPSURを報告する ことを義務づけるべきではないか」というご意見ですが、PSURというのは、ずっと続 くということではないんですか。それはいかがなんですか。これは何か決めないといけな い。 前川座長 要するに、安全性定期報告という日本の形がどうなるか? 本間委員 いえ、PSURというのは、その薬がなくなるまでずっと続いて報告が続くと いうことではないんですか。 植木課長 そうです。PSURですが、EUの場合には、はじめの2年間は半年毎、その 後はずっと1年毎で、5年を過ぎれば5年毎ということです。 本間委員 その薬がある以上はPSURは続く。 植木課長 ずっと続きます。 本間委員 そうすると、再審査後、1年なり2年のインターバルでPSURを報告する、 というのは、日本でもしこれをやるとすれば、何か変えなければならないということです か。 植木課長 そういうことです。いまの日本の場合には、法制度上、再審査期間中について 最初の2年は半年毎に、あとの再審査期間中は毎年、安全性定期報告を求めておりまして この安全性定期報告の中にPSURも入ってくるわけですが、再審査期間が切れますと、 その後、法制度上のものはないわけですから、委員のご指摘の中にもし更新制というもの を採用するのであれば、PSURという制度もきちっと取り込んで制度的に行う必要があ るのではないか、というご指摘もございますので、再審査期間が切れた後、いまは行政指 導で、新薬については5年毎に求めておりますが、それは法制度的なものに改めるべきで はないか、とそういうご意見かと思ってここに入れております。 前川座長 我が国の安全性定期報告が再審査期間の終った後どうなるかというのは非常に 問題でございまして、いま課長からお答えがありましたように、行政指導で求められると いうことでございますが、行政指導で求められるというところを少し調べてみますと、ど うも外国でPSURを求められるような薬については、それを翻訳して日本の行政当局に も提出しろというようなことでございまして、外国に売れないような新薬ということにな りますと、あえて行政指導で求めるつもりは現在のところはないようでございます。しか しジェネリックも含めて、現在市場にある医療用医薬品についてはPSUR的なものを求 めていくのが法規定であるべきだと思いますし、なければ行政指導でもお願いすればいい よというような、これは座長としての意見ではなくて、一委員としての私見でございます  よろしゅうございますか。ほかに。それでは、PSURはこのぐらいにしまして、・再 評価の方法論について、どうぞ。有効性をどのように評価するかということは、ご指摘い ただいたとおり問題でございますが、ほかに。 高橋委員 先ほどの清水委員の質問もこれの趣旨があると思うんですが、日本の再評価に は、いわゆるカテゴリーIIというのがありますね。多分、薬効については認められないと いう再評価が行われますが、先ほどの課長のご答弁ですと、EUなんかの再評価は、もの を決めてしまう、あるいは薬効薬としての存在を認めるか否定するかということになるか と思うんですが、僕は、日本のいまの再評価のカテゴリーIIというのは非常に意味がある と思うんですね。そういう意味で、そういうものを残した再評価制度を日本でも考えるべ きではないかと思うんですけど。 植木課長 ちょっと誤解が生じているようでございますが、日本の再評価の見直しという のは品目毎に総合的に見直している場合と、この効能だけを、すべての薬効群、いろんな 品目について全部見直す、その効能だけに限定した横断的な見直しも一方でやっておりま して、更新制の場合はそういう見直しはしていない。すべて品目毎にその品目全体として とらえて、その品目に有効性、有用性があるかどうかということを評価しています。その 中では、この効能については有用性がないということで削られている場合もあると思いま す。しかし、ある効能に限定した再評価はやっていないということです、外国は。 前川座長 カテゴリーIIというのは、私の理解によれば、一部を修正すればなんとか生か していかれるというような意味でありまして、非常に厳しいのはカテゴリーIIIであると 思います。そのへんで、一つの効能についての指摘でございますカテゴリーIIというのは 技術論になりますが、あとで討論したいと思います。 植木課長 更新をする場合に、ある品目についての総合的な評価をするのでありますが、 その中ですべての効能の有用性が認められる場合と、一部効能が削除される場合ももちろ んあるわけです。 高橋委員 それができるんだったら、問題ないんです。 植木課長 もちろん、それはできます。 前川座長 それでは、その他の項目に移らせていただきます。ほかに分類できないという ことでここにありますが、どなたか、ご訂正などございませんでしょうか。  ないようでございましたら、一番問題の既存薬の見直し体制全般について、どなたかご ざいませんか。  論点整理メモについては、委員のご意見も出尽したように思いますので、このへんから 資料1、2のあとの部分、すなわち、現行制度を維持していく場合と比較して各制度のメ リット・デメリットについてのご論議をいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願い いたします。  現行の臨時の再評価の充実・強化であるとか、EUの更新制、あるいは米国の定期報告 制度、それぞれについて、その特徴、問題点、あるいは得失について自由にご論議をいた だければと存じます。  木村委員が最初に聞いて来られた問題があったかと思いますが。 木村委員 3点ほど質問をさせていただきます。資料2の4ページ、現行の臨時の再評価 の充実・強化について、・再評価指定検討開始基準の明確化による、とありますが、これ は具体的にはどういうことなのか。果たしてどの程度可能なのかということを教えていた だきたいというのが第1点です。 植木課長 現行の臨時の再評価の充実・強化の再評価指定検討開始基準ということでござ いますが、これはどういう条件が整えば、再評価に指定をするかどうかという時のスタン ダードといいますか、判断基準というものを明確化することによりまして、ある程度、こ ういうことで再評価に指定されたのだったら仕方がないかと申しますか、企業としても納 得ができる、その基準を事前に明確化しよう。それによってある程度は不公平感というか 行政が恣意的に再評価に指定しているのではないということの証といいますか、そういう 意味でこの明確化を図ろうということです。 木村委員 具体的に教えていただきたいんですが、文献スクリーニングは廃止というふう に書いてありますけれども、検討開始基準の明確化でどの企業がみてもこれなら仕方がな いな、というような基準をおつくりになるというのは理解できますが、具体的に果たして どの程度可能なのかというのがよくわからないところがありまして。 前川座長 これについては、市販後調査検討会が基準を出しておりまして、その基準にし たがってやるということなんですが、この基準が明確であるか、明確でないかという議論 は当然あるわけでして、伺っておりますのは、有効性については、諸外国で製造、輸入承 認取り消し、販売停止があった場合、あるいは学会、文献、定期的安全性報告等から有効 性評価の必要性が示唆された場合、あるいは、評価ガイドラインの制定で有効性評価が必 要と考えられたような場合、というような項目が上がっています。そのほかに、安全性あ るいは品質についての再評価の指定基準が出ておりますが、それが明確であるか、明確で ないか、あるいは具体的であるか、具体的でないかという判断は一様ではないと考えてお りますので、そのへんでいかがでございますか。これでよろしいかという質問かと思いま すが。 植木課長 いま座長がご紹介になったのは、市販後調査検討会における判定基準の一部で ございまして、この前のご議論ではそういうものが既にあるという前提で、さらにもう少 し明確なものにすればどうか、ということでございました。これにつきましては、100 %完璧な再評価指定基準というのはとてもできないわけでございまして、そういうことを 狙っているのではなくて、最低限こういうことが満たされれば、それは再評価に指定すべ きではないかというようなところを基準化していこうという趣旨でございます。 木村委員 ありがとうございます。2番目ですが、再評価とか調査実施のときに、メリッ トの付与ができるか、できないかというのがありますが、これも具体的にはどういうこと なのか教えていただきたいと思います。 植木課長 いまのご質問は、不利益処分として再評価が行われるので、メリットの付与が できない、ということで、これは具体的でどういうことかといいますと、再評価というの は、現に承認を受けている効能・効果、あるいは用法・用量について、その時点での医学 薬学のレベルで見直しをするというものです。新たな効能とか用法・用量というものは、 治験を新たにやって、それによって付与するものですから、再評価のもっている本来的な 趣旨からいってメリット付与というのは不可能である。そういう意味でございます。 木村委員 3番目ですが、EUの例のデメリットで、制度の導入に時間がかかる、とあり ます。これがどれぐらいの期間なのか、ということです。  ちょっとコメントをつけ加えさせていただきますと、素人の感覚からいくと、どうして 制度改正が不要なことがメリットで、法改正が必要なことがデメリットになるかがわから ないんです。 植木課長 別に急いでいるわけではないんですが、更新制に移行するためには時間的な余 裕といいますか、時間がかかるということです。それはどうしてかといいますと、いまま での既存の13000品目を全部見直しをして、有用性を確認したものを再登録する。そ こから5年毎の更新制に入るということですから、13000品目について、全面的な更 新制に入っていくのはどれぐらい時間がかかるか。それは見直しのやり方によっても違っ てくると思います。 前川座長 よろしいですね。とりあえずは3つで。ほかにこちらから二、三声が上がって いましたが。 山中委員 EUの例と米国の例で、新しい制度をつくるとか、更新制にした場合には人員 が必要だ、ということが書いてありますね。これはEUの方法と米国の方法でどのぐらい の違いがあるのか。このくらい、とは出ないでしょうけれども、大体のところ、かなりと 人数がいまよりは要るんだろうと思うんですが、現行よりはどのくらい人数が要るのか。 そして、EUと米国でどのぐらいの違いがあるのか。わかっていたら教えてください。 植木課長 どれぐらいか、具体的になかなか申し上げられないんですが、アメリカの見直 し、EUの見直しの人員を大雑把に比較しまして、アメリカのような毎年の定期的な報告 を評価し、結論を出すという形のほうが、EUの5倍程度は人員を要しているのではない かというように思います。  それから、先ほど、更新制にかなりの時間がかかるということを申し上げましたが、も う一つ、見直しをしたものから更新制に入るということも可能です。ただ、見直しをして これから更新制に入るということを法制度上、きちっと法改正をして、そういう宣言をし ないと更新という新たな制度には入れないんじゃないか。これははっきりしたことは申し 上げられませんが、事務当局としてはそういう考えでおります。 前川座長 山中先生は、具体的な人数のご質問であったかと思いますが。EUに比してア メリカのほうが5倍ぐらい要るというんですが、EUというのはどのぐらいなのか。この 前の回で確か人数が出ていたと思うんですが。 山中委員 いまの質問の趣旨は、新しい制度、更新制とか何か、そういう方向にあるよう に、私は理解しているんですが、そういうことになったときに、いまの人員ではおよそで きない、ということをおっしゃりたいのか、どういうことで人員のことをいわれたのか。 FDAの調査員は日本の何百倍、までいかなくても、かなり多いですね、問題にならない ほど多いと思うんですよ。だけども、新しく我々が更新制というものに移行させようとし たときに、制度上は法律を変えればいいかもしれない。それ以外に、実際にやるときに、 人間の数、人力がかなり要るわけですね。いま人の問題は非常に厳しいですね、国でもど こでも。そういうときに、こういうことが果たして……、こんなことを言っちゃうと変な 話になりますけど、参考までに教えてください。 植木課長 私どもがこのように書きましたのは、まだ具体的に、英、仏、独、それぞれの 更新制というものも、一体どういう資料を求めて、どういう体制で、どういう見直しの仕 方をしているかということは、はっきり申し上げて、大枠を把握しているだけで、詳細に ついてはまったくわからないのです。そういうことを把握しないと、どれぐらいの人員が 必要だとか、どれぐらい期間がかかるかとか、なかなか申し上げられないということです 山口委員 医薬品というのは医療の中で非常に重要な部分を占めると思います。私もこの 審議会でいろいろ勉強させていただいておりますが、米国にしろ、EUにしろ、欧州各国 にしろ、医薬品の再評価ということに人員とコストをかけてるなと思います。最後におま とめいただいた各制度のメリット、デメリットの比較でもそれがわかります。私は前々か ら思っていたんですが、前回も質問させていただきましたが、こういう再評価にはどうい う方が当たっていらっしゃるか。専門家というのはどういう人なのかということを伺いた い。私の言う意味は、医薬品の再評価を専門にやる方なのか、あるいは私どものように、 ほとんどの日本の薬事審議会の委員の方がそうですが、本職を別に持っていて、その専門 性を買われて審議会の委員になっているのか私にしても、配合剤の委員をずっとしていま すが、本職は医療機関の医師でありまして、審議会の委員になっていますと、膨大な資料 を勉強しなければならない。審議会の委員に委嘱されましたものですから、一生懸命やっ ているつもりですが、別に本職がありますから、どうしても、片手間にならざるを得ない そういうことをひしひしと感じておりますので、例えば、米国とかEU各国の再評価をす る人、あるいは薬事の審議にかかわる方の専門性というか、それのみに従事しているのか どうかということを伺いたかったのです。  聞くところによりますと、アメリカなんかでは、非常にお金をかけて、例えば、新薬開 発時の治験なんかも、医療機関の中にそれ専門の医師を入れて医薬品の治験を行っている とか、審議なんかも公開されて活発に行われている。それに非常にお金がかけられている ということを常々思っておりました。日本の現行制度では、網羅性、恒常性、公平性は担 保できないとしてある。それを担保するには、どんな制度をもってくるか。それには人員 とコストが非常にかかると思うが、それは是非やらなければいけないことではないかと思 います。各国の薬事審議会の委員はそれを本職にしてやっているのかどうかということを 是非伺いたい。日本でもそれを本職とする方に審議会の委員になっていただきたいと思い ます。 植木課長 こういう再評価を専門職としてやっているかどうかということですが、先ほど もちょっと申し上げましたが、アメリカの場合は、米国科学アカデミー、あるいは国立研 究委員会というところが外部組織としてやっているようですが、それを専門にしているか どうかということになりますと、ちょっとよくわからない。そして、ドイツもイギリスも そういった委員会を設けて専門的に評価をしているわけですが、それが専門かどうかとい う点についてはわかりません。 前川座長 よくわからないと。新薬の審査はFDAがやっているというような話を私は伝 え聞いておりますが。 鶴田審査課長 新薬の審査は、大きく分けて2つの方式がございまして、我が国のように 外部の専門家の協力を得ながら申請内容の審査を行う方式と、もう1つは米国方式で、事 務局審査により承認審査の判断内容を固めた上で外部の専門家を集めてアドバイザリーコ ミッティを構成し、公開の場で承認をするに当たっての意見を聞く。 それから、FDA は全部で1万人ぐらいの人がおりますが、新薬審査の担当者は1500人近くおります。 前川座長 専任の職員がそれだけいる? 鶴田課長 専任の職員です。 前川座長 それが1次審査をやって、その後アドバイザリーコミッティに……。 鶴田課長 最後の段階でアドバイザリーコミッティにかけて意見を聞き、FDAが最終的 に承認の可否を決定しております。審査員は医学、薬学、トキシコロジー、生物統計学者 等、多方面にわたっております。  そして、英国のMCAでも規模は小さいけれども、同じような内部審査方式を採用して います。  フランスは、我が国と同じように、外部審査方式を中心とするやり方で、事務局審査と ともに外部の専門家を集めて、その意見を聞きながらやっております。 前川座長 ドイツはわかりますか。 鶴田課長 ドイツについては、研究所の中に審査機関をおいてやっております。どちらか というと、内部審査方式に近いのではないかと思っております。ドイツについては、情報 があまりないので、詳しく申し上げられませんが。 前川座長 それに引き換え、日本は何人になるんですか。 鶴田課長 日本も今年の7月に審査体制を強化しようとして「医薬品医療機器審査センタ ー」を国立衛生試験所の中に設けまして、基礎的な承認審査の評価、判断を行うため、今 年の7月1日45名で発足します。一方、調査会レベルの審査を終った段階から、厚生省 の審査管理課がそれを受けて、中央薬事審議会の特別部会、常任部会の諮問答申を行うこ ととしており、こちらが31名となっています。また、申請資料は2メートルに達するほ どの膨大なものでありますが、その資料の信頼性が確保されているかどうかについては医 薬品機構で調査しております。その3ヵ所を合わせて大体120名近い者が審査に携わる ことになります。3年計画で審査担当官を増やして200名を超える審査体制にしていき たいと考えています。しかし、これはアメリカの1300名、英国の500名には遠いの ですが、フランスが200〜300名ぐらいですので、とりあえずフランスを目指して体 制整備の強化を図っていきたいとのことです。 前川座長 いま200名とおっしゃったのは、医薬品機構の120名と、厚生省と、審査 センターと全部合わせると、現在196名ですから、200名にあと4人? 鶴田課長 いえ、そうではございません。7月1日現在で3つの機関合わせて120名弱 ということです。 前川座長 120名というのは医薬品機構だけじゃなくて、全部を合わせて。 鶴田課長 はい、医薬品機構と厚生省と審査センターを合わせた数です。それを3年計画 で、倍近い数にしようということです。 山崎委員 資料2の4ページの表は、縦軸に4つの制度があって、それぞれのデメリット が書いてあるんですが 「国(行政)が主体」というのが3つあるんですね。この「国 (行政)が主体」というのが決定的なデメリットなのかどうか。もしそうだとすると、取 り上げられるのはEUの更新制しかなくなってしまうわけです。  今日の論点メモを見ましても、行政制度がきちっとしなければいかんという意見がある わけで、これがどういうことでデメリットの中に入っているのか、少し具体的に説明して いただきたいんですが。 植木課長 決定的なデメリットとして挙げているわけではございません。デメリットの一 つであろう。逆にメーカーが主体となった見直しということになりますと、主体性を持っ ていただける。更新制ということになると予め準備が十分できる。更新制でなくても、定 期的な報告でもいいんですが、そういう意味で、メーカーが主体となってやる。いまは再 評価に指定する必要があるかどうか、ということを国が決断をし、告示によってやっと メーカーがそれを知って、それから動き出すということですから、準備も十分でない。そ して、なぜ指定されたか、というようなこともありますし、どちらかというと、国が主体 というのはメリット・デメリットでいえば、やはりデメリットのほうであろうということ です。 山崎委員 そうしますと、ここで言うデメリットは、国が勝手に決めることがデメリット で、企業が主体性を持って予め準備ができるのは国が主体ではない、とそういう意味にな るわけですかね。 前川座長 どちらかというと、そうだろうという印象を私も持つわけでして、要するに、 国がスクリーニングをやって、お宅のこの薬はちょっと問題があるから指定するよ、とい う体制がデメリットに数えられている。 山崎委員 制度そのもので国が主体なのがデメリットだというのはおかしな話で。 前川座長 制度をつくるに際しては、これが網羅性を確保するようなものであれば、別に デメリットとしてあげつらう必要はないわけです。 土井審議官 ここに書いてある意味は、いま座長がおっしゃったように、どちらが立証す る責任を負うかということで、医薬品の承認申請の場合には、製薬企業が主体なわけでし て、あくまでも製薬企業がその薬の有効性、安全性というものを立証するデータを出す責 任がある。それを国側が判断する。ここで書いてある、国が主体というのは、例えば、再 評価の場合には、既に承認が与えられている薬について、こういう点に有効性、安全性で 問題があるおそれがあるということを国が立証してはじめて指定できる。そういう意味で す。ですから、更新制の場合は、黙っていても5年経てば期限が切れてしまいますから、 これはメーカーが自分の薬は現時点においてもなお有効性、安全性がありますということ を立証する責任が常に企業側にあるという意味でメーカーが主体という、そういった違い です。 山崎委員 わかりました。私もそうじゃないかなと思ったんですが。 前川座長 4つの柱がございますが、その中で米国の例の最後のところにも「国(行政) が主体」と書いてある。この表現がちょっと具合が悪い。 山崎委員 この表は行政でおつくりになったのでそうかと思いますが、表現がちょっと。 前川座長 それと2番目の「国(行政)が主体」というのは、表現していることが違いま すよというふうにご理解いただければよろしいかと思います。 山崎委員 ここでデメリットというのは、行政側から見たデメリットが主に書いてあるん じゃないかなという気がするんですよ。 前川座長 おっしゃるとおりでございますね。 山崎委員 ですから、法改正が大変だと。そういうのは別にそんなにデメリットではない んだろう。逆にいいますと、3番目の更新制のところで、これは企業が主体になるんです が、企業にとってのメリット・デメリットというのは、ここではわからないんですよね。 おそらく、企業の負担はかなり増えてくるんだと思うんです。全般的にみるとそれもデメ リットの中に入ってくるかなあ。ただ、全体的にデメリットをカバーするようなメリット があれば、更新制は日の目をみていくんじゃないか。そのときに、じゃあ、5年というの はどういう意味があるのか。そのメリットとデメリットのバランスの中でほんとにこの5 年という年月がいいのかどうかというようなことも議論に入ると思うんですね。  したがって、私が言いたかったのは、このメリット・デメリットをもう少し広い範囲か らきちっとした表現で書いていただかないと誤解を生じるおそれがあるということをちょ っと申し上げたかったんです。 前川座長 そのへん、これは行政側がおつくりくださいました資料ですから、どうしても 行政側が見たデメリットが表に出ちゃうんですが、この委員会は行政側というよりはむし ろ評価する側、あるいは製造する側が加わっているわけですから、そういう方から、この メリットはおかしい、デメリットはおかしいというご指摘をいただくのが今日の討論の趣 旨でございますので、どうぞご遠慮なく。 森岡委員 4ページですが、これを大きく分けますと、現行制度、あるいは現行制度を強 化したもの、それと更新的なもの、2つに区分されるように感ずるのですが、現行制度の 問題点については、現在行われているわけですし、いままでの議論を通じて大体わかって きたのではないか、というように思えるのですが、外国の制度については、文章上ではわ かりましても、先ほどもちょっとご意見ございましたように、現在ヨーロッパでやられて いる更新制の内容、どういう資料で、項目はこの前ご説明ございましたが、どういう程度 の内容の資料が更新制度の基礎になっているのか。あるいは、人員の問題、費用の問題、 審査機関の問題などがいまのところ全くわからないという状態のように思うんです。です から、私どもとしては、どういう制度がいいかということになりますと、そういう点もも う少しお調べいただいて、本席でいろいろご意見ございましたことを踏まえて、もう一遍 それを総合的に検討する機会をもっていただいたほうがよろしいんじゃないかなというよ うな感じがするのでございます。 上田委員 資料2の4ページですが、この表の中で、EUの更新制のデメリットの中に、 法改正が必要(全面的な見直しの後、はじめて……)と書いてあります。確かに、資料1 の4ページに、英、仏、独ではすべてある時点で全部見直しをして、それからスタートし ておりますけれども、私は必ずしも全部見直しをしなくても、どうせ5年間で全部見直す わけですから、これが絶対的な必要条件にならないんじゃないかと思うんです。ただ、5 年としますと、5分の1ずつ見直していくわけですから、どういう順番にするとか、そう いう意味での決定が必要かと思いますが、必ずしも全面的な見直しの後でなくてもスター トできるのではないかと思いますが、いかがでございましょう。 植木課長 先生おっしゃるとおり、見直しをしたものから更新制に入っていけばいいので すが、ある時点で更新制に入るぞ、ということを予め法律によって宣言をして、全面的な 見直しをして、これから更新制に入りますよ、と言ってから入らないといけないんじゃな いか。私はそういうように思うわけですが、そういう意味で、全面的な見直し、というよ うに書きました。個々の医薬品については見直しをしたものから更新制に入ることもでき るわけでございます。おっしゃるとおりでございます。 上田委員 法改正をするわけですから、既承認の薬は今後こういう形で見直しをします、 ということを決めれば、その時点では数を絞ってやる必要はないんじゃないかと思います 前川座長 はい、わかりました。乳井委員からは今日ご発言がなかったと思いますが、お 立場が独特でございますので、メリット・デメリットということで。 乳井委員 見直しの比較を見ても、論点整理のメモを見ても、再評価の在り方についての わかりやすさ、公開性というものがないような気がします。私も、どこまで、どういう点 まで公開するかというのはすぐには言えないんですが、このご時勢でこういうテーマを議 論するときにそういう項目があればと思います。  もう一点、質問ですが、業務量のところで、先ほどもほかの委員の方から質問がありま したので、繰り返しになりますが、マンパワーはある程度少なくても可能な業務量はこの 範囲であると。これはなかなか言いづらいでしょうけれども、先ほど数字が出ていますね 例えば、7月1日に120人の体制でスタートして、順次増やしていって200人を目指 すと。そういう数字との絡みでいえば、ある程度少なくても、というのは、どのあたりを 指しているのか、もし感触が得られるのであれば、お願いします。 植木課長 いまご指摘になったのは、資料2の3ページの一番下ですね。業務量のところ に「マンパワーはある程度少なくても可能な業務量の範囲であるが、効率的な、レベルの 高い審査業務は困難」という、この部分だと思います。これは、現行の日本の定期的な文 献スクリーニングによる再評価というようなことをやっておりますが、この点については 業務量はそれぼど多くはないけれども、あまり効率的なやり方ではないのではないかとい う、定期的な文献スクリーニングに基づく再評価の部分だけを取り出して言った言葉でご ざいます。 伊賀委員 先ほども出たと思いますげど、企業サイドから見たメリット、デメリットとい う点を含めて、例えば、現行制度とその次のやり方は、企業としてはデメリットで、なん となく評価を受けて、それによって何かされるというイメージが強いんですが、私は、申 請のときは即メリットがあるから、企業が相当な負担をしますよね。ところが、再評価に なると、企業というのは、現行制度の中ではほとんど負担をしないということになってい て、文献スクリーニングも企業サイドはなんらかの指示を受けてから出してくるという姿 勢ですね。ところが、EUを見るとメーカー主体と入っていますし、「企業は予め備える ことが可能」となっていますが、この表だと上のほうは企業がわからないからデメリット になりますね。ということではなくて、再評価についても、企業が市場に出している以上 は、効能・効果の評価も、ある程度義務づけて、きちんと出すような姿勢を持つ、そうい った制度にしていくべきじゃないかなと思います。いま、業務量の問題、費用の問題、人 の問題、たくさん出ましたが、あくまでも、行政当局ではある規範をつくるということと 企業サイドには甘いと思うんですね、どちらかというと。そのあたり、基本的な制度の中 には載っておりませんが、企業サイドに立ったメリット、デメリットということもそうで すが、公平な負担というあたりを踏まえて、これからの制度をどんなふうにお考えか、ち ょっとご意見を賜りたいと思います。 前川座長 優秀な医薬品を常時市場に供給するべきであるというのは企業の倫理観でござ いまして、そのためには多少の手間は厭わないというのがおそらく森岡さんのご意見だろ うと忖度しておりますが、よろしゅうございますか。 吉田委員 変わりに、といってはなんですが、私は薬剤メーカーじゃないんですが、私が 危惧してるのは、例えば、更新制でも定期報告制度でもいいですが、そういったことをし たときに、企業としては当然コストがかかるわけで、これが薬価にはね返って、薬価の話 は前回出ていますが、薬価の問題になって、企業としてはやろうと思ってもできないとい うことなのかどうか。例えば、ここに各制度のメリット、デメリットが挙げられています が、EU型にしても、米国型にしても、この会でこっちをとるべきだといったときに、厚 生省としてできるだろうか、薬剤メーカーとしてできるのだろうか、という話が実際に見 えてないんですね。理想的なことを言えば、この形ですごくいい形を在り方として出した としても、かけ声倒れになってしまうということにもなるでしょうし、だといって、最低 限のレベルを出せばいいのか、ということもありますし、そのへんの見える部分が少なく て、ディスカッションが空回りしているような気がしてしょうがないんです。 前川座長 例えば、現行の再審査、再評価制度に問題点があるという指摘は皆さんのご承 認をいただいたと思うんです。じゃあどういう制度にしたらいいかというところで、一つ の模範としてありますのが、EUとか米国ですが、そこが実際どういうふうに言われてい るのか、詳細がわかりませんので、じゃあ、それに倣ってやりましょうということは、企 業側の代表者として発言しにくいだろうと思います。そういうことで、このまま議論を続 けていきますと堂々めぐりになる可能性があろうかと思います。  そういうことで、そろそろ予定の時刻が近づいて参りましたので、本日の議論はこのへ んまでにしたいと思います。 本間委員 4ページを拝見しますと、定期的な文献スクリーニングはやめると。それで、 現行制度を維持するんだけれども、透明性を確保するために、再評価開始基準を明確にし て、それで進めばなんとかまとまったような気がするんですけれども、この全面見直しも やめる、やれないと。しかし、それはスクリーニングをやめたことによってマンパワーが 少し余るというようなことがあったりしまして、結局、全面見直しは日本ではやれないと いうことなんですが、医薬品の品目数がEUと米国の場合と比較して、日本が見直しをす るときにはいくつぐらいの品目になるんですか。そこらへんだけちょっと教えていただき たいんですが。 植木課長 日本はいま銘柄で13000ぐらいございます。英国は更新制に入ったときに 39000ございました。品目の数からいくと、英国のほうが多かったわけです。ですか ら、品目の数だけで私どもそういう判断をしているわけではございません。 本間委員 このメリット・デメリット論で、日本はマンパワーが少ないんだというお話が ありましたものですから、実際、見直しをするときの基準とか、作業量と人数というふう なことで比較して、現時点でどういうふうな制度で進めていくのが一番よいかということ を判断するために知りたいと思って。 前川座長 そのへんが、どうも米国やEUの状況がわからないんですね。 本間委員 案外簡単にやっているんじゃないんでしょうかね。 前川座長 アメリカ並みがいいとか、イギリス並みがいいとか、簡単に言えない段階まで 来てしまったとも、思います。今日はメリット、デメリットについて相当突っ込んだご検 討をいただきましたし、厚生省薬務局の安全課とか、あるいは業界からも短期間にかなり の情報をよくお調べいただいたわけでございますが、各国の更新制の内容、どのぐらいの 予算、人手が必要か、またどの程度の提出資料を評価しているか等々について、さらに実 際に更新制をとっているイギリス、フランス、ドイツ、及び定期報告制を採用しておりま すアメリカの実情について、つぶさに実態調査をすつ必要があるように思えるのですが、 委員の皆様方いかがでございましょうか。 高橋委員 私も実は更新制というのは非常に魅力があるように思うんですが、いま座長も ご指摘のように、各国の提出資料、そしてそれをどういう角度から再評価しているのか、 そのへんがわからないであやふやなままで更新制賛成というわけにもいかないものですか ら。それから、ちょうど今、再審査期間を終って後発品が出てくる。こういったものの情 報収集を全く同じと見て、同一視していいのか。これは俗な話ですが、同一視するとすれ ば、薬価基準制度にもかかわってくる。そうすると、医薬品のライフサイクルというもの にこの再評価制度は非常に大きくかかわると思うので、あまり早急な結論はいまの時点で は出しにくいと思います。EUがほんとに統一的なやり方がとれるのか、イギリス、フラ ンス、ドイツの承認資料の内容、そういったものを是非精査して提出していただきたいと 思います。よろしくお願いいたします。 前川座長 ありがとうございました。最後に紺野副座長から。 紺野副座長 もう皆さんがおっしゃられたことで十分だと思いますし、私自身も森岡委員 のご意見を聞くまでもなく、もう少し具体的に、ヨーロッパやアメリカで現実にどういう 資料を用意しているのかということが出てこないと、これから先の論議はできないと思う んですね。それはある一定の期間をかけて少し調査をしていただいて会をもしやるならば その上でやるべきだろうと思います。  ただ、先ほど清水委員から私の名前を名指しでございますので、一つだけ伝えますと、 それから、伊賀委員からも、何かメリットがなければと。いままでの再評価はみんなただ 形だけなんですね。削ることはあっても増やすことは絶対ない。ですから何をやるにして も重くて、メーカーはすぐにうんとは言えないということなんだと思うんですね。いまま での論議の中でもありましたように、再審査、再評価の段階で当然効くべき効能を持って いない薬剤については、その片側で認めるというようなメリットがない限り、これはなか なか先に進まないと思うし、実際の医療の現場に即さないと思うんですね。医療の現場に 即することが一番重要なことなので、そういう意味でも、見直しをしていくということを 前提においてこの論議をしていかないと、ただ後ろに下がっていくだけで、重い重い荷物 を背負っていくだけになると思いますので、ぜひ調べるのはそういう意味でももう少し実 情を調べていただきたいと思います。 前川座長 どうもありがとうございました。ただいま高橋委員並びに紺野副座長から、も う少し詳細な実態調査が必要とのご意見を伺いましたが、実は私自身も全く同感でござい ます。  さて、本検討会は夏前に報告書をとりまとめる方向で進めて参りましたが、ただいまの ご議論でおわかりのように、これまでの各委員のご提言の内容は、(1)法改正を要せず実 効可能なもののみならず、(2)大幅な法制度上の改正を要するものがあり、そのため欧米 各国の更新制、あるいは定期報告制度について、さらに詳細な調査をし、検討を加える必 要があると考える次第でございます。したがいまして、次回6月23日で最終回という予 定で進めて参りましたが、さらに調査すべき事項や、もっと時間をかけてご審議していた だく必要のあるものが多々ございますので、私からご提案申し上げたいのでございますが 本検討会の審議はとりあえず今回をもって一旦中断したいと思います。したがいまして、 23日の会議はキャンセルさせていただき、本検討会のテーマでございます「再評価制度 の在り方及び既存薬の見直しの在り方」につきましては、今後海外の既存薬見直しの制度 や仕組みをつぶさに精査し、その調査の概要を本検討会にご報告していただいて、その上 でさらに審議を続けていくというようなことをご提案申し上げたいのでございますが、い かがでございましょうか。   (異議なしの声)  どうもありがとうございました。  それでは、本検討会を継続して行うということについてご了解をいただきましたが、本 検討会は本日の開催をもって、少し早いのですが、夏期休暇に入りたいと思います。  本検討会の中断の間は、事務方にはまことにご苦労様でございますが、欧米の各制度の 調査を継続していただくことをお願いする次第であります。  委員の先生方、これまで大変ご熱心にご討議をいただきましてありがとうございました  以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。                                  (了) 問い合わせ先 厚生省医薬安全局審査管理課    担 当 田中(内2741)    電 話 (代)03−3503−1711        医薬品医療機器審査センター    担 当 石井(内232)    電 話 (代)03−5403−1411