98/02/20 9年度第2回光感受性発作に関する臨床研究班会議 平成9年度厚生科学特別研究 第2回 光感受性発作に関する臨床研究班会議 議事録 厚生省大臣官房障害保健福祉部 精神保健福祉課 第2回光感受性発作に関する臨床研究班会議議事次第 日 時:平成10年2月20日(金) 15:00〜17:05 場 所:永田町共用第3会議室 1.厚生省田中精神保健福祉課長の挨拶 2.山内班長挨拶 3. 中間発表会(司会:山内班長) ・各分担班持ち時間30分、全体討議約30分 ・各分担班の班長が進捗状況と研究成果の概要を述べ、ついで各班員が補足し、 討議し、残された期間にすることの予定を明らかにする。 【プログラム】 (1)実態調査班 研究目的: アニメ番組「ポケットモンスター」による症状の発生頻度とその 背景因子の解明 分担班長 江畑 敬介 八木 和一 鴨下 重彦 牛島 定信 三浦 寿男 西浦 信博 (兼)満留 昭久 (2)症例検討班 研究目的:症状発現者についての医学的検討 分担班長 山内 俊雄 高橋 剛夫 岡 次 渡辺 一功 満留 昭久 (兼)八木 和一 (3)基礎検討班 研究目的:光感受性発作を誘発する光刺激の物理的特性と生体に与える影 響の検討 分担班長 黒岩 義之 杉下 守弘 飛松 省三 4.総括(山内班長) 5.厚生省挨拶 ○山内班長 それでは、ただいまから平成9年度の厚生科学研究第2回光感受性発作に関する臨床 的研究の会議を開催したいと思います。 年度末でいろいろとお忙しい中、しかも雨の降るところ、分かりにくい場所で皆さ ん迷ってお着きになったと思いますけれども、どうもありがとうございました。 それでは最初に、厚生省の田中精神保健福祉課長さんから一言ごあいさつをお願い します。 ○田中精神保健福祉課長 厚生省の精神保健福祉課長の田中でございます。 本日はお足元の悪いところ、この第2回研究班会議に御出席いただきまして大変あ りがとうございました。 昨年の12月16日に事件は起きた訳でございますけれども、直ちに私どもこの研究班を 設けさせていただいて、先生方におかれましても、予算的な問題もある訳ですけれど も、ほとんど準備期間がないというところで無理を申し上げまして、多大な理解と御協 力を賜って、迅速に研究を開始することが出来たことは、班長初め皆様方のおかげだと 思っております。大変ありがとうございました。 しかも、3か月以内に結論を出していただくという制約もございまして、一応実態 把握と症状を起こした人に対する分析、それからその原因の究明という3本柱で一応 総合的な研究ということになっているのではないかというふうに自負はしております 。まだ2か月経っておりませんけれども、中間的な報告を今日はまとめていただきま して、これからどういうふうな保健医療対策をする必要があるのかというようなこと について示唆がいただけるのではないかというふうに考えております。 私どもの研究のほかに郵政省とか、あるいは民放の放送各社におきましても同様の 技術的な研究、検討が行われておりまして、海外視察などもされているというふうに 聞いております。私ども関係機関、関係省庁とも十分連絡を密にして必要な情報を提 供していきたいというふうに考えているところでございます。マスコミの報道も落ち ついてきたとはいえ、依然として非常に関心は高いということでございまして、一日 も早く、この光感受性発作の原因の究明、そして適切な保健医療対策が行われますよ うにしたいというふうに考えておりますので、引き続き特段の御協力をお願いしたい と思います。 本日は大変ありがとうございます。よろしくお願いします。 ○山内班長 どうもありがとうございました。 それでは今日はたくさんの資料、あるいはデータがございますので、要領よく時間 の範囲で進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 本日は班員14名で、高橋先生が遅れているようでございますが、ほかの皆さんは全 員御出席いただきまして、また、実務担当の方も後ろの方の席にお着きになっていま すので、データについての御意見があれば、また順次お話を伺いたいと思います。 お手元に配布資料がございまして、一番上にあるのが「第2回光感受性発作に関す る臨床研究班会議の議事次第」でございます。次に、光感受性発作に関するこの会議 の座席表というのがございますが、今日は分担班長にいろいろお話をいただきますので、順序を少し変えさせていただいております。その次に班員名簿がございます。 それから資料No1というのが、前回の第1回光感受性発作に関する臨床研究班会議の 議事録でございまして、この会議は全て議事録をとりまして、それを公開するというこ とでインターネットにも載っております。本日も議事録作成のために記録がとられてお りますので、発言の場合には名前を言っていただく方がよろしいかと思います。後ほど その議事録はごらんになっておいてください。 それから資料No2が『「ポケットモンスター」に関する関係機関の動向について』 ということで、先ほど少し田中課長さんの方からお話がございましたが、それぞれど んなふうな審議会、あるいは会議が行われているかということが載っております。1 ページ目の日本民間放送連盟放送基準審議会というところの第1回の日に ちが間違っておりまして、「平成9年12月16日」となってますが「26日」の誤りであ ります。3番目のところにある日本民間放送連盟の第1回の会議は9年12月26日です ので御訂正しておいてください。 その次にNo3です。「研究計画書の概要」がございます。これは以前お配りしたも ので、今日はこれに従ってどの程度皆さんの研究が進んでいるかということをごらん いただくことになります。 No4というのが実態調査班から出されております資料でございます。 それからその次に、それと関連して、江畑先生の方からFAXできたもののコピー があると思いますが、その大ざっぱなデータのまとめでございます。 そのほかに番号のついていないので岡山大学・小児神経科、あるいは満留先生のと ころ、飛松先生のところ、カラーのは基礎研究班といったようなことでいろいろござ います。お手元にない場合には、またそろえますので、順次おっしゃっていただけれ ばというふうに思います。 では、岡山大学の小児科をNo5といたします。それから同じ症例検討班の満留先生 のものをNo6にさせていただきます。それから臨床研究の飛松先生のものをNo7、そ して基礎研究班がNo8ということでよろしいかと思います。 進行状況と配付資料について」という症例検討班の資料なのですが、一応No9にさせ ていただきます。よろしいでしょうか。 それでは早速、中間発表会ということにしますが、各分担班の持ち時間は30分とし て行いたいと思います。先ほどの資料No3の研究計画概要にどんな研究をするかとい うことを書いてある訳ですが、それに従って各班でどのくらい実現したかという進捗状 況、それから現在までのところで大体どんなような結果が得られているかというお話 と、今後残された3月の末までの間に、補足あるいはこういうことをやる予定であると いったようなお話も併せてしていただきまして、その後、分担班の班員から追加がござ いましたらお話をいただいて終わりにするというふうに考えておりますので、よろしく お願いいたします。 では最初に、症状の発生頻度とその背景因子の解明ということで、実態調査班の方 、初めに分担班長の江畑先生お願いします。 ○江畑委員 資料No4をごらんいただきたいと思います。持ち時間は30分ということなので、私は 15分から20分ほど話させていただいて、他の実態調査班の班員から御意 見をいただくという形をとりたいと思います。 全国で調査地域は東京、神奈川、大阪、福岡の4都道府県で行うことが出来ました 。小学校が9校、中学校が5校、高等学校5校の合計19校で行われました。質問紙の 総配布数は1万1,368 通、回収されたのは9,350 、回収率は82.2%でした。そのうち 無効回答が141 ありましたので、解析することが出来た資料は9,209 ありました。 1ページ目の下の方にありますのは実態調査票として用いた14の質問項目です。性 、年齢とともにテレビを見ていた部屋の暗さ、テレビとの距離、1人で見ていたか、 だれかほかの人と見ていたか、見ていた人のうち何人具合悪くなったか、具合が悪く なる前にどんな気分の状態であったか、9番目にどんな症状が出たのか。そのことで 医者に行ったかどうか。11番目として以前にも同じようなことになったことがあるか どうか。12番目として一緒にテレビを見ていた人の中でほかにも具合が悪くなった人 がいるかどうか。13番目として、その人がかつて、けいれんやひきつけを起こしたこ とがあったかどうか。最後に、その調査票を記入した人という調査内容です。 解析の方法は3ページの半ば以降に記しまして、いろんな要素を掛け合わせた解析 を解析の業者に依頼しました。調査が行われたのは1月の下旬から2月の初旬にかけ てで、業者にすべての資料が渡ったのが2月10日ごろです。したがって日数が非常に 少なかったので、本日ここでお見せ出来るのは、それらの結果の単純集計のみです。 そこにお配りした資料の単純集計が5ページ以下に載っていますのでごらんください 。 解析総数9,209 のうち、6歳から18歳までの年齢分布が載っています。6歳は比較 的少ないのですが、7歳から18歳まで大体6%から8%、16歳、17歳では12%という 率を占めています。 それから男女差では、男性は4,526 、女性は4,683 と男女差は余りなく、ほぼ同じ 数の調査が行われました。 9,209 人のうち、12月16日にポケモンを見ていた人、それが4,026 人、43.7%でし た。その4,026 人のうち、「電気のついた明るい部屋」で見ていた人が3,783 人、 94.0%、「電気のついていない暗い部屋」で見ていたという人が184 人の4.6 %という ことでした。 それから、見ていた時のテレビまでの距離は、「1メートル以内」の距離で見てい たという人が818 人の20.3%、「1〜2メートル」の距離で見ていたという人が 2,015 人の50.0%、これが最も多い数字です。「2〜3メートル」という人が935 人、 23.2%、「3メートル以上」という人が236 人、5.9 %という結果でした。 次に、ポケモンを一緒に見ていた人がいたかどうかということですけれども、「1 人」で見ていた、ほかに見ている人がいなかったという人が1,083 人の26.9%、残り が「兄弟」、「母親」、「父親」、「友達」等とごらんになっていました。 次に、ポケモンを見ていて具合が悪くなったという人が、このテレビを見ていた 4,026 人のうち426 人、10.6%でした。 具合が悪くなった426 人のうち、具合が悪くなるまではどんな気持ちで見ていたか ということをみますと、「夢中だった」という人が167 人、39.2%、「面白かった」 という人が117 人、27.9%、「心配だった」という人が18人、4.2 %、「恐かった」 という人が20人で4.7 %、「いつもの通りだった」で特に変わりはなかったという人 が155 人で36.4%といった数字です。これは多重選択の質問になっています。 具合が悪くなったという人の426 人がどんなふうに具合が悪くなったか答えを寄せ ていますが、「目が痛くなった」という人が169 人、39.7%、これが最も多い訳で す。それから次に多いのが「気持ちが悪くなった」137 人の32.2%、その次が「頭が ぼーっとした」というのが120 人で28.2%。そのほかに「画面が目にこびりついた」、 「まばたきを繰り返し、次第に強くなった」、「目が一瞬見えなくなった」、そうい ったのは大体8%から10%ぐらいございました。それから、最も明らかな身体的な症 状としての「手や足が震えたり、ひきつけたり、けいれんした」という人が29人で 6.8 %いらっしゃいました。 このように具合が悪くなった人のうち、このために「医者に行った人」が24人、 5.6 %ということでした。 それから、以前にも同じような状態がテレビを見ていて起こったという方が85人、 20.0%ございました。 ほかにも具合が悪くなった人がいたかどうかということで、「ほかにだれも具合が 悪くならなかった」という人が59.7%ということでした。一緒に見ていた「兄弟の具 合が悪くなった」という人が34人、12.2%。そのほか「父親」、「母親」、「友達」 の中で若干ありました。 それから、ひきつけとか、けいれんの既往歴の「あった」人が58人で13.6%。そう いったものが「なかった」と答えた人が330 人で77.5%でした。調査票の記入者は本 人が341 人、80.0%、家族が41人、9.6 %大体そんなようなところです。 次に、最後から4枚目になりますけれども、左側に細長い表ですが、これは時間がな かったにもかかわらず、クロス集計の一部をやったものなのですけれども、これを男女 別に分けて、具合が悪くなった人がどれだけいたかというふうに見たんですけれども、 具合が悪くなった人は426 人、10.6%でしたけれども、そのうち、男性が249 人、11.4 %、女性は177 人で9.6 %、男女差はなかったということになります。 男性の6歳から18歳までの具合が悪くなった人を見ると、6歳で13.2、7歳で 2.7 、8歳で7.3 、9歳で12.3といった数字ですが、14歳、15歳、16歳と、むしろ、そ ういった数字が増えています。17歳で10.6%と減りますが、18歳で再び37.1%と増えて います。女性でも、男性ほど顕著ではありませんが、年齢が高じることによって減少 するとは言えません。やや増加の傾向があります。 そのグラフの一番下に小学校、中学校、高校の人を分けてありますけれども、小学 生で具合の悪くなった人は271 人、9.2 %であるのに対して、中学生で具合の悪くな った人は96人、13.1%と小学生より増加しています。更に高等学校では59人で17.0% と更に増加しています。 次に、最後から3枚目ですけれども、その大きな表の一番下、小学校、中学校、高 校を見ていただきたいんですけれども、それの一番頻度の高かった症状として、「目 が痛くなった」という項目を見ていただくと、小学生では36.9%、中学生では46.9 %、高校生では40.7%、そういった数字で大体小・中・高とも40%前後を占めていま す。 同じ表の右から3列目に、ひきつけやけいれんを起こした人について記してありま すが、小学生では1.8 %であるのに、中学生では11.5%、高等学校では22.0%。比較 的身体的な症状として著名なものでも、年長者の方がむしろ率としては高く出ている という結果になりました。 その次のページをごらんになっていただきたいと思います。 このことで病院に行ったかどうかということを学校別に見たんですけれども、一番 下の学校別でごらんになりますと、そのことで病院に「行った」人は小学生では2.6 %、中学生では9.4 %、高等学生では13.6%、やはり年長者の方がたくさん病院に来 ていると思います。 それから、最後のページですけれども、以前にテレビを見ていて同じようなことに なったかどうかという質問について、小学生では14.4%が「ある」と答えています。 それから中学生になると27.1%と増加し、高等学校では更に33.9%と増加したという 結果が得られました。 以上、大体報告させていただきました。この調査結果は昨日ようやく出来てきて、 昨夕、実態調査班員にFAXで送ったところなので、調査班員の他の先生方でまだ目 を通されていない先生もいらっしゃるかもしれませんが、もし目を通されている先生 がいらっしゃったら御意見、コメントをいただけばと思います。 ○山内班長 どうもありがとうございました。 ただいまは主に単純集計ということでアウトラインが示された訳でございますけれ ども、これを見て、今後はいろいろなクロス集計といいますか、関係を解析していく ことになると思いますが、その際にこういう点も見た方がいいのではないかとか、こ ういうことはどうなのかといったようなことで御意見があればお伺いしたいと思いま す。いかがでしょうか。 ○岡委員 岡山大学小児神経科・岡でございます。 問9に異常の生じた症状がいろいろ列挙してございます。これはあらかじめこうい う内容をつくって選ばせたものでしょうか、それとも自由に記述したものをまとめら れたものでしょうか、どちらでしょうか。 ○江畑委員 最初に記述して、それを選んでいただいたものです。その内容はお配りした資料4の 2ページ目にある問9です。 ○岡委員 例えば頭痛というのがありませんですね。そうすると、これは「目が痛くなった」方 に入ったでしょうか。 ○江畑委員 それはちょっと何とも答えられませんが、「頭がぼーっとした」、「気持ち悪くなっ た」等、類似の質問としてはございます。 ○山内班長 今のものに関係して、恐らく解析して読み取る時にそれぞれの症状の意味を考える必 要があるかもしれませんね。その辺は解釈の時に入れないと、ここに挙げてある症状全 部で何%となかなかいきにくいところはあるかもしれませんね。 ほかにいかがでしょうか。 ○黒岩委員 黒岩でございます。 質問でございますが、例えば、けいれんとか意識障害を起こした方に関して、テレビ を見ている距離によって、その頻度が変わるかどうかとか、あるいは、けいれんとか意 識障害の頻度が部屋の明るさ、すなわち周りが明るいのと暗いのとで差があったかどう かとか、そこら辺のことは今後の解析でございますか。 ○江畑委員 クロス集計の中ではそれも解析される予定になっていますので、今日、資料が間に合 わなかったので、失礼いたしました。 ○三浦委員 ただいまの岡先生の質問に関連するんですが、「その他」という項目がございます ね。そこに具体的に書いてくださいということなんですけれども、例えば、どんなよう なことが書いてあるか、現時点ではまだ分かりませんか。 ○江畑委員 昨日、最初に業者が持ってきた時点では、そこの部分についての打ち合せはまだ行う ことが出来ませんでした。今後そちらの方も見ていただきたいと思います。 ○三浦委員 これを見ますと割と多いですね。ですから、その内容がどんなことか興味深いと思い ます。 ○山内班長 ほかにいかがですか。 ○牛島委員 牛島でございます。 この中から精神的なものがどのような形で介入しているかというのを推測するのは 非常に難しいと思いますけれども、恐らくそのヒントになるのが、問6と8と9、こ れをかけ合わせると大体というか、ある程度は推測出来るのではないかという気がい たしておりますけれども、いかがでございましょうか。 ○江畑委員 問6、8については、牛島先生のそのような示唆に基づいて設定された質問でもあ り、今後その方向で解析していきたいと思っています。 ○牛島委員 よろしくお願いいたします。 ○山内班長 実際に調査を担当されたり、あるいは集計に関係された方で、こういう点は注意した 方がいいとか、読み取る時の参考になるようなことがございますか。 西浦先生、特にございませんか。 ○西浦委員 小・中・高というふうに並べて、これで数字だけ単純に比較すればいいのか、その理 解度ですね。あるいは高校生というのは深読みしているというか、自分の症状を強く出 してしまう。小・中・高を同じレベルというか、同じように判断できるのか。かえって 高校生の人の方がこういう調査をされるということで敏感になって、起こっている現象 よりも観察は鋭くなっている。小学校の人は案外、事実だけをぽっと答えているという ことは、小学校の人たちの方が多いかなと思っていたのが、中・高と非常に高頻度にな っていっているのは、今、牛島先生おっしゃるように、こういう調査をされるというこ とでの態度みたいなものもあるのかなと。 ○江畑委員 その可能性は勿論あると思いますし、その方面の解析も今後注意してや っていきたいと思いますけれども、先ほどお話ししました資料にありますように、そ ういった精神的な影響は比較的少ない症状であると思われるひきつけ、けいれんとい うのは年長者に多い、それから医者にかけ込んだ人が、やはり年長者に多いというよ うなことからいうと、その説明だけではなかなか出来ないのではないかと今のところ 思っています。 ○西浦委員 分かりました。 ○山内班長 今の問題に関連して、14番にだれが書いたかというような問題がありますので、そう いうところから層別解析をするというのも必要かもしれませんね。 ちょっと内容的な ことになりますが、例えばけいれんを起こしたというのは6.8 %ですが、けいれんと か、ひきつけの経験がある人は13.6%で、それ以前にもテレビで具合が悪くなったのは 20%、そういうふうになっていますので、そういう人たちがどういうふうに重なり合っ て関係があるかといったようなことを解析すると、その意味がもうちょっとクリアにな るかというふうに思いますので、その辺も解析する時に、ある程度どういうことを明ら かにしようかといったような目標を立ててやってもらえるといいかなという気がするん ですけれども。 ○西浦委員 小学校の方が多くなってしまったんですが、この個数は関係ないのでしょうか。多分 小学校の人たちの方が影響があるだろうと、数字が高く出るだろうということで、私も 小学校を4つ選んでしまっているのですが、中学校、高校は1つ、1つ。それの選び方 には問題なかったのでしょうか。小学校を重点的にというか、たくさん選んだ。中学、 高校は余り選んでいない。それは問題ないのでしょうか。 ○江畑委員 母集団の数としては中学校、高校は小学校に比して少ない訳ですが、中学校でも 733 、高等学校でも347 と少ない数ではないので、その数によって、そういったバイア スがあらわれることは多分ないと思います。 ○山内班長 まだまだこれから解析して読み込んでいかなきゃいけないので、今の段階ではアウト ラインのアウトラインということなのですが、特に発言ございますか。 ○八木委員 高橋先生に聞きたいですけれども、この質問項目の問9の中で、Photosensitivityに 非常に関連すると思われる項目というのは、けいれんは勿論ですけれども、どういうも のがあるでしょうか。 ○高橋委員 左からずっと見てきて、確かに目が痛くなるという方は、こういうふうな方にありま すね。あと、画面から目をそらすことが出来なかったというのは目がどっちかに偏して いる。画面見た後でも、それが続いたというのは光過敏性の一つの特徴です。その次の 「画面が目にこびりついた」、次にここに書いてある「目が一瞬見えなくなる」、「ま ばたきを繰り返し、次第に強くなった」とか、「目が上にあがった」というところまで は、従来の光過敏てんかんの患者さんが示すような症状にかなり似ているような感じが いたします。ですから、特に率の高い「目が痛くなった」39.7%という数値はやはり意 味があるように思いますが、脳波上での光突発反応、実際は際立った発作症状はないけ れども、潜在性と思われる人を詳しく調べてみると、頭痛だとかに相関する場合がある ものですから、この辺でどれが特異的ということははっきりとは言えないんです。です けれども、この質問の左半分ぐらいにあるような質問事項が、私は従来のその概念にか なり当てはまるものでないかというふうに思います。 ○渡辺委員 今の件ですけれども、私は意外と後頭葉発作が多いと思うんです。目が痛くなったと いうよりは、この中には「目が一瞬見えなくなった」という項目がありますけれども、 これはネガティブな症状なんですが、むしろ刺激症状として目がチカチカとか、キラキ ラとか、そういったものを「不明」の中から拾っていただくということが必要かと思い ます。本来から言えば、項目もあってもよかったかと思うんですけれども、頭痛も非常 に相関があるんです。頭痛はほかのことでも出てきますので、むしろ今の後頭葉の刺激 症状といいますか、そちらを入れていただくと非常にいいかと思います。 ○満留委員 今と大体同じようなことなのですが、データを見せていただいて視覚の異常というの がほとんど性差がないんですね。けいれんだけが男の子が断然多いということで、視覚 発作とけいれんの中に、もう一つ何か違うものがあるのかなということを感じておりま す。 ○山内班長 恐らくこれを読み込んで解析していくと、いろいろそういう問題点をどう考えるかと いうことが起こるので、出来れば、分析が終わったところで一度皆さんにお配りいただ いて、またそのコメントをいただいて、もう少し解析を詰めていくというような手順が ないと、次回の時に、その解析の結果だけ出ると解析の方法をもうちょっと詰めなけれ ばということになるので、ちょっとその段階を途中に入れていただいて、膨大なデータ ですから、どう読むかまた皆さんのお知恵を借りるということにしたいと思います。 またあれば後でということにして、時間ですので、次に進みたいと思います。 次は症例検討班ですが、No.9という資料をごらんいただきたいと思います。 進行状況について書いてあるものでございます。私が先に報告させていただきます が、進行状況のところの1番、2番と書いてありますが、2番の方から先にいきます と、問診票がありまして、これは症状把握が主体。先ほどのアンケート調査よりは少 し精度を上げて、医者、専門医が直接本人に会って問診票に基づいて症状の把握をす る。あるいは既往歴などの医学情報を得るということで、その時には8施設あったも のですから、大体10名から20名を各施設でしていただいて、トータル80から160 名の 問診票を得たいというふうに考えた訳であります。 しかし放映されない地域も班員の中にございまして、収集が多少困難なことが予測 されたものですから、今年の1月7日付で厚生省側から日本てんかん学会に依頼文を 出していただきまして、八木理事長の方から、1月13日付で実際に症例を持っている 人で協力をいただける人をお願いしたいという旨の声がけをして問診票を集めている ところであります。現在の状況はそこにも書いてありますが、班員による問診票は50 例分が収集されておりまして、あと各班員のところで60例ぐらい予想されております ので、110 例分ぐらいは班員の中で集まるというふうに思っております。 それから、学会にお願いして協力したものについては、協力していいというご返事 をぼつぼついただいておりまして、これの方でどのくらい集まるか分かりませんが、 一応予定した症例数は得られるだろうというふうに考えております。これについては 細かないろいろな解析項目がありますので、今日は主として2番目の方の、これでい くと1番にある特殊賦活脳波検査の結果を御説明したいと思っております。 検査は30名から50名を目標として始まったことでありますが、2枚目を見ていただ きますと分かりますように、ケース記録は問診票も含めてですが31例分が私どものと ころに集まっておりまして、岡山、名古屋、埼玉、福岡が主体です。静岡と仙台は放 映されていないものですから、静岡1例のみということになります。性別は男性15 名、女性16名ということで、ここでも余り性差はございません。 その内訳は、その次にケース記録一覧と細かい表が載っておりまして、それぞれの ケースが性別、年齢、起こった時間帯、映像視聴時の症状、既往歴、脳波所見という ような形で一覧表が並んでおりますが、これではちょっと大変なので、次の資料3を 見ていただきたいんですが、この年齢分布でいきますと、10歳から12、13歳が多く、 そのほかには、7歳から17歳ぐらいまでの年齢層で分布していることが分かります。 それから症状出現時間が非常に特徴的でありまして、次の資料4を見ていただくと 分かりますが、「18:50〜18:59」というところがピークでありまして、我々のとこ ろで調べたのは、ほとんど判で押したように18時50分というふうに言うんですね。で すから、これはかなり特徴的な出来事であります。ただ、中に始まりの6時半ぐらい とか、それより10分ぐらい遅れたぐらいのところで起こっている人もおりまして、こ れもまたそれなりの意味のあることだというふうに考えておりますが、7時とか、そ れ以降7時9分までの人がおりますが、こういう人たちについては、今後内容を問診 票と当たりまして検討したいというふうに思っております。 資料1のところに帰っていただきますと、症状は映像視聴時の症状が複数選択です が、何と言っても多いのは「強直、強直・間代発作」らしいというのが31例中の23例 、「特定できないけいれん発作」というのも入れれば24例ぐらい。「欠伸発作」が1 で、「意識減損のみ」は1例です。それから「頭痛のみ」というのは2例、「嘔吐の み」は1例、ほかの症状とみんなくっついている。そのほかに3例が「目がチカチカ して画面が真っ白」、「意識減損とめまい」、「めまいの後で声を出し横になった」 とかというふうな供述があるということです。 この人たちの中で「非熱性けいれんの既往があった人」は7名、「熱性けいれんの 既往のあった人」は10例ということになりまして、両方を組み合わせて持っている人 もございまして、それは先ほどのケース記録一覧をごらんいただければ分かると思い ます。 脳波所見ですが、安静時の突発性の異常波を持っていた人が7例、過呼吸時に突発 波があった人は8例、睡眠時であった人は14例というふうにありまして、光刺激時の 突発波があった人は31例中の25例で非常に多いことになります。 これは非常に複雑なので、組み合わせをつくったのが配付資料の5でございます。 配付資料の5と6を見ていただきたいんですが、5というのは「発作性の症状があっ た26例について」ということでまとめたもので、次のものは「発作性の症状か非発作 性症状か検討を要する5例」というようなことで多少分けてあります。この中身をは っきりした発作性の症状のあった26例で見ますと、自発発作があったかどうかを見て いる訳です。「非熱性けいれん」、あるいは「熱性けいれんのみ」、「けいれん発作 なし」というものです。 その人たちが一般脳波、睡眠・過呼吸も含めた一般脳波で突発性の異常波があった かないか。これは基礎波も検討しているのですが、複雑になるので、この際は突発性 異常波のみを出してあります。それぞれのグループに「有」、「無」で分けてある。 その人たちがこの特殊賦活法でやった時に突発性の異常波を出したかどうかというの を、また「有」、「無」で書いてあります。 それと同じようにして、2枚目の方には、今回「視聴時の症状が発作性症状か非発作 性症状か検討を要する5例」というのも出してある訳ですが、この組み合わせをどうい うふうに考えるかということですが、ちょっと私の独断ですけれども、この辺について は今回、あるいは次回に皆さんと議論する必要もあるかとは思うのですが、これは「て んかんの人と呼ばざる得ない」というのが※1つ、それから「かなりてんかんの可能性 あり」というのが※2つ、それから「光に非常に感受性が高くて、それで引き起こされ たのではないか」と思うのが※3つと書いてある訳です。そうやって見ますと、1番上 の非熱性けいれんが過去にある。つまり自発発作があって、一般脳波でも異常があっ て、今度は光刺激賦活脳波での突発波も出ている。1人は出ていない人がいますが、こ れは縦縞でもって出ておりまして、一応ありとして考えると、これは自発けいれんも既 にあった人ですから、てんかんと診断されるべき人たちがポケモンを見て発作を起こし たのではないかというふうに思います。 それと同じように、今回の視聴時にどういう発作症状か分からなかったという2枚 目の中でも同じように自発性の発作があって、一般脳波でも、光刺激の賦活脳波でも 症状が出ているこのグループ、一例は頭痛のみだったんですが、クロナゼパムですで に治療を受けているグループだったということで、これも入れますと、この2例と5 例で7例は、いわゆるてんかんと診断される人たちが、ポケモンで発作を起こしてい るというふうに考えられました。 その次の熱性けいれんが過去にあった人で、一般脳波で突発性異常波がある4例、 その中で1例だけは光でなぜか突発性の異常波は出ていませんけれども、一般脳波で突 発性異常波のある4例はかなりてんかんの可能性が高いのではないか。それから今まで 発作がなかったんだけれども、一般脳波で突発波のあった5例というのがそこにありま すが、この人たちも、かなりてんかんの可能性が高いのではないか。いわゆるlatent caseというふうな意味合いになるかと思うのですが、2枚目の方にも熱性けいれんのみ で、ほかの発作はないのだけれども、一般脳波では既に異常波が出ているといったこの ケースも、てんかんに限りなく近い人たちが今度の映像で誘発されて出てしまったケー スというふうになると思います。そのほかにけいれん発作はなかったのだけれども、脳 波をとってみたら異常波が一般脳波の時からあって、光でも起こったという1枚目の5 例と2枚目の2例というのは、そういう部類に入る。 結局てんかんの可能性が高いものというのはこうやって考えると12例ある訳ですが 、ある意味では、こういう表現が穏当かどうか分かりませんが、ラテントケースをあ あいう光の映像でみんな誘発してしまったというような言い方も出来るのかもしれない。光誘発発作だけで症状が出た可能性の高いものは、その※3つというので熱性けい れんが過去にあって、一般脳波では突発波はなかったけれども、光刺激で賦活された2 例については、これはちょっと微妙なところでディスカッションを要すると思います が、1枚目の紙の下にあるけいれん発作もなくて、一般脳波でも異常はなくてという ケースで光刺激だけで起こったケースというのは、光感受性のかなり高いケースという ふうに考えるべきかなといったようなことで、こういうケースは全部で10例ということ になります。そうなりますと、てんかん絡み、非常に疑いの濃厚なものが61.3%で、光 感受性が非常に高くてああいうもので起こったのは38.7%といったような、そういう データになるのかと思います。この辺については診断に当たっては、今までのいろいろ の状況とか、現在の状態について個別の判断が必要なので、今のところは大体そんなふ うなまとめ具合ということであります。 これが症例班の症状把握と検査の結果についての概要ということになりますが、中 心になってやった相川先生、ほかに何か追加ありますか。 ○相川 特にありません。 ○山内班長 それでは、各研究班の皆さんがそれぞれデータをお持ちいただいておりますので、そ ちらのお話をしていただいた後で総合的に議論をしたいと思います。 最初に、岡山の資料No5をごらんください。では、よろしくお願いします。 ○岡委員 岡山の岡でございます。 それでは簡単に、このプリントに付け加えさせていただきますが、既に11例ケース をしておりますが、研究班のプロトコールが出来る前に2例してしまったものですか ら、規定の流儀のものがここにお示しします9例であります。いろんな病院で事件の 後、脳波検査を受けた人も多いのでありますが、光刺激で出ていない人が非常に多い のであります。ところが、私どものところで通常の光刺激装置でしましても、やはり 出たのは1例にすぎませんが、グラス社の強度4をもって行いますと大半出てくる訳 でありまして、刺激装置によって診断が明確になったように思われました。私のプリ ントの右から3列目がPS33と書いてありますのが、これがグラス社のフォトシミュ レーターの意味でありまして、例えば上から2番目の12Hz(4) と書いてある、この(4 ) がグラス社の刺激装置の強度4という、この班会議で決められておる光の強さを示 しています。下から2段目に8というのがありますが、これも班会議の規定によりま して、強度4で全く出なかった場合には8にした訳で、1番上のケースはマイナスに なっておりますが、これは4及び8の強度で出なかった人でありまして、そうしてみ ますと、テレビの映像の方が更に強かったかと思った次第であります。 私どものケースには図形はありませんでしたので、図形は関係ないかと思っており ましたが、先ほどのお話を聞きますと縦縞で出たということですから、ひと様々かと 思っております。大半がけいれん例でありますが、頭痛としばらくコンフュージョン の起きたケースがありまして、その場合もPhotosensitivityは脳波上明確に出ており ました。 以上であります。 ○山内班長 どうもありがとうございました。 今ほかの分担班の方で御存じないかもしれませんが、刺激装置が従来日本で使って いたのと違う、アメリカ・グラス社の刺激装置をかねてより購入して、みんなで共通 の刺激方法をとっていた訳ですが、お話のように従来のものでは出なくて、グラス社 で最初8という強度を考えていたのですが、これでは危なくてけいれんになりそうな 感じなので、途中から4に切りかえさせていただいたのですが、それでも賦活効果は 非常に強いということで、もしかしたらグラス社と今度のポケモンとの解析もいろい ろお願いした方がいいかもしれません。 そうしましたら資料のあるものからいきたいと思いますが、資料No6の満留先生お 願いいたします。 ○満留委員 資料6をごらんいただきたいと思います。 5つの病院と相談いたしまして、症例を集めた結果が今お手元の資料でございます 。17例の症状の内容と、それぞれの病院で行いました通常の脳波、この中には通常の 光刺激の結果が入っておりますけれども、その結果の一覧をここに示しております。 この中から、先ほどの特殊賦活脳波のために大学に来ていただいて検討を加えている 訳ですけれども、現在まで3枚目のリストの中に書いております上段の3例のみが検 査を行うことが出来ました。今後、症例の番号の7、8、9、10、この4例について は既に行う予定で検査日の予約をしておりますけれども、そのほかの患者さんがなか なか応じていただけないということで、恐らく7例あるいはもうちょっといって10例 までいくかというのが今後の見通しでございます。 それからこの17例は、全例初めての発作なのですけれども、一部私どものところで 、もともとEpilepsyで治療していた患者さんが起こっている例がありますので、この 例はまた別個に最終的にドロップしたいと思います。 以上でございます。 ○山内班長 中には熱性けいれんというケースがありますけれども、自発発作を持っていた人は1 人もいなかった訳ですか。 ○満留委員 この17例の中には熱性のものは入っておりません。 ○山内班長 11から下は光刺激をやっているけれども、出ていないということですか。 ○満留委員 それぞれの病院でグラス以外の国産のものでやっておりますけれども、引っかかって いないということです。 ○山内班長 その次にあるのが脳波ですね。 ○満留委員 これはサンプルとして一応付けさせていただいています。 ○山内班長 お手元に資料を用意することが出来なかったんですが、名古屋大学からありますの で、渡辺先生お願いします。 ○渡辺委員 まず症例検討の方ですけれども、現在のところ7例行っておりまして、先ほど満留教 授も言われましたけれども、なかなか一般の方といいますか、全く初めての方が検査に 応じていただくということはなかなか難しい面がありまして、てんかんでたまたま通院 中だったという方が多いので、7例中4例がもともとてんかんで通院中であったという ような方が入っておりますけれども、検査はルーチンでもやっておりますが、私どもの ところではバイオロジック社のものを用いておりまして、従来の日本光電のものよりは コードは強いと思うんですけれども、グラス社のよりはかなり弱いというふうに思って おりますが、大体ルーチンのとグラス社では結局同じ結果でした。7例中の5例でルー チンの検査をPhotosensitivityがございまして、それが同じくグラス社のものでも同じ intensity 4で同じ例と、Photosensitivityがなかった、intensity 4がなかったもの を、更に8に上げましても結局は出ておりませんので、最終的にはルーチンのものと同 じ7例中5例がPhotosensitivityがあったということになっております。それが症例検 討の方であります。 それから第1回の時に麻生が既に報告したかと思うんですけれども、私どもの方で は、この事件が起きまして直ちに調査を開始しております。年が明けますとかなり記 憶も薄れるのではないかということで、第1回の時にお配りしたような調査票で調査 を開始しておりまして、現在のまでのところ61例ぐらいが集まっておりますが、更に 愛知県でやっておりますので、一応名古屋大学の関連病院と市立大学の関連病院にも 、名古屋市立大学を通して御依頼をしております。最終的には 100例ぐらいになるの ではないかと思いますけれども、現在までのところの61例で申しますと、大体ピーク が11歳でありまして、9歳から14歳ぐらいのところに集まっておるというふうに思い ます。レンジは3歳から24歳でした。これは病院小児科ということですので、内科の 方の調査はしておりません。女性対男性の割合が大体1.3 対1ということで女が多い ということです。 それから、もともとEpilepsyのある人が大体4分の1ぐらい、26%です。それから 熱性けいれんの既往歴がある者が18%、それから出現時刻ですけれども、18時50分と いうのが圧倒的に多くて、17時20分から19時30分まで広がっております。視聴距離は 大体2メートルというが1番多いのですが、これは、ばらつきがありまして大体2メ ートル以下のものが多い。それから画面の大きさは、距離とかいろいろありますし、 視野の問題もあるし難しいのですが、29インチのものが一番多かったようでございま す。部屋の明るさは普通というのが圧倒的に多い。ルーチンの各病院で行った脳波で 光過敏性のあるものは46.3%ありました。いわゆる突発波が見られたものは42%であ ります。主治医の診断では、てんかん発作とするものが56例中37例でしたけれども、 一応病歴等を検討いたしまして推定いたしましたところ、てんかん発作と考えるもの が59例中50例ということで、かなりの例がてんかん発作と考えられるということであ ります。大体そんなところでしょうか。 ○山内班長 八木先生何か追加ございますか。 ○八木委員 僕らのところはほとんど来なくて1例だけケースがあって、このケースは変わってお りまして、そこに書いてありますけれども、光刺激では余り出なくて、縦縞で出たケー スなんです。グラスで光刺激をやってから赤のフィルターを付けても出ない。縦縞で出 ている。もう一つ独特なのは明瞭テストを同時にやると出てくる。発作がアブサンスみ たいな症状もあるんですが、myoclonic seizure もあるという形で、どっちかというと 少しJMEに近いような形のものでないかというふうに考えています。この人はもとも とのEpilepsyですので、そのほか初発で、このポケモンの既往があって我々のところに 見えた人は基本的にいないんです。治療中の人でも、この1例だけです。 ○山内班長 高橋先生何かございますか。 ○高橋委員 お聞きしていて一番重要だと思ったのは、グラス社の機械が非常に効果があったとい うことですが、私、今までそれに対して異論を差しはさむような仕事を続けてきたので す。今回の問題を考える場合に大事なことは、私の画面の輝度計測では大体100 〜120 、130ぐらいのカンデラなのですけれども、そうすると、これは低輝度の概念に属する ものであって、ストロボというと大体5,000 、強いのだと6,000 カンデラぐらいいきま すから、そうするとグラス社のデータ、ストロボがきくということは分かるのですが、 今回の50分ごろにピークがあって、しかも画面を見ると赤の強烈な刺激があったという ことで、赤の点滅、そうするとやはり低輝度で赤の点滅でどうなのかというふうなこと が、もしケースの中で今後検査を行えればよろしいのではないかと思います。赤と言っ ても、たとえば、グラス社のフィルターについている赤は、私たち使っているDプレー トではないです。 あともう一つ大事なのは、輝度を一定にして比較しないと、私はすべて20カンデラ でやるんです。色効果、パターン効果、めちゃくちゃになってしまうものですから、 ぜひ輝度を同一にしてやる。パターンは今回外しておいて、赤の点滅刺激となれば、 やはり100 カンデラ、200 カンデラというふうになるとちょっと危険性を伴う場合が あると思うので、私は低輝度にして15Hzの点滅刺激をやることが可能であれば、それ が今回の事件の解明につながるものだというふうに思います。 ○山内班長 どうもありがとうございました。 それでは、数分ぐらいですけれども、何か今の各班員からの報告、あるいはまとめ のものについて、あとこんなことをした方がいいのではないかとか、こういう点はど うかということがあれば、渡辺先生どうぞ。 ○渡辺委員 今、山内先生の御報告で「てんかん」というのと「てんかんの可能性があり」、「光 感受性が高い」というふうに分けられましたけれども、これは「てんかん発作」と言わ れた方がいいのではないかと思います。「てんかん発作」と「てんかん」を明確に区別 しないと混乱が生ずると思いますので、てんかん発作というのは、決しててんかんの発 作ではなくて、てんかん性の発作といいますか、いわゆる脳のニューロンの過剰の興奮 によって生ずる発作ですから、これは別に髄膜炎でも低血糖症でも起こり得る訳です。 例えばハイポキシアでは起こらないという意味で、やはり過剰なニューロンで起こった ものをてんかん発作というべきであって、それを反復して繰り返し起こる慢性の疾患を てんかんという訳です。 ○山内班長 僕の言っているのは、むしろEpilepsyのことを意図しているんです。 ○渡辺委員 この「てんかんの可能性があり」というのは今回1回だけしか起こっていない訳で す。ですから、これはてんかん発作である可能性はあるけれども、反復はしていません ので、てんかんとは言えない訳です。 ○山内班長 1番目の方は、診断として「てんかん」という言葉を使っている訳です。 ○渡辺委員 もともとてんかんがあって、てんかんを何回か繰り返せばてんかんでもいいのです が、今回初めて発作を起こしたもので、脳波に突発性異常があるというのは、これは latent epilepsyというてんかんではなくて、やはりてんかん発作である。 ○山内班長 先生のおしゃることはよく分かるのですが、僕が意図していたのは、ラテントケース で将来黙っていてもてんかん性の反復性の発作を起こす可能性がある人を、こうやって 引き出しちゃったという意味で、てんかんの可能性あり、そういう言い方をしているの で、これはちょっとスペキュレーションというかサスペクトしているだけなので、先生 のおっしゃる意味もよく分かります。 ○渡辺委員 脳機序の発作とか、そう言うべきでありまして、ただ、今の先生の御発言は非常に重 要なことでして、厚生省の班会議は、例えば4月3日で終わりというのではなくて、今 のお話で長期的な展望といいますか、フォローアップスタディといいますか、それは非 常に重要だと思いますね。それがないとしり切れトンボで終わりということになってし まいます。 ○高橋委員 そのことに関して、私、大事だと思うので、ちょっと発言させてください。私はこの 事件が起きて、マスコミの方から集中的な質問にあってきている。私は一貫して視覚誘 発発作(Visually induced seizure)しかも極めて特異な人工的な刺激によって誘発さ れたというふうに考えて、このことは前回、初めにお話ししたんですが、今日内情をお 聞きしていますと、その中にかなり光過敏てんかんというふうに従来の概念で言われる ケースもあるということが分かって、いろんな症状を持ったかなりの数の患者さんなも のですから、この光過敏てんかんという固定の従来の概念ではなくて、私は広くとらえ る視覚誘発発作、そのほかの表現でもいいと思うんですが、それを私は一貫して Visually induced seizure という形で、恐らくその中には光過敏てんかんもあるとい うふうに考えてきたんですが、何かその辺で光感受性発作という言葉があるんですが、 訳語を見るとPhotosensitivity Epilepsyになる。そうするといろいろと矛盾が生ずる ように思うものですから、私自身の考えをまた再度説明させていただきました。 ○山内班長 予測してきたんですが、この議論になるとこの時間内に終わりませんので、改めてそ ういうセッションを設けて議論をしなければいけませんので、今日はそういう発言にと どめさせていただきます。 ○渡辺委員 あと一般の方への影響が非常に大きいものですから、そういう意味では私も「てんか ん」という言葉を使うべきではないような気がするんです。例えば熱性けいれんは、て んかん性機序で起こっていますね。ところが憤怒けいれんは違う機序ですよね。ですか ら、そういう分け方は絶対必要だと思います。 ○山内班長 この問題は重要なことですので、どこかでそういう検討をしたいと思います。 ほかにいかがでしょうか。 ○牛島委員 資料の5の発作性症状のあった26例についてなのですけれども、これによると、いわ ゆるてんかん性の発作ではないかと思われるのが14例、光感受性が10例とありますね。 残りの2例というのは、ごく常識的な意味では説明がつかないというふうに受け取って よろしゅうございますか。 ○山内班長 資料の9ですね。 ○牛島委員 No 9のNo2の配付資料5ですね。けいれん発作なし、一般脳波の突発波もなし、光 刺激賦活脳波もない2例です。 ○山内班長 これはちょっと不思議なケースで、実際に症状がどんな症状だったかとかをもう一度 検討しないといけないかなというふうに思っております。こういうケースはあると思い ますし、さっきのアンケート調査の中には、随分こういうようなケースも入っているの ではないかというふうに思います。その辺は今後の検討だと思います。 ○黒岩委員 黒岩でございます。 先ほどの18時50分に多いというデータは最も重要なデータかと思って関心を持って おりますけれども、意識を失ったような患者さんなどの場合に、その18時50分という情 報は目撃者から得られるのか、それとも本人から得られるのか、その辺の時間に関する 情報はだれから得られるのかというのをお聞きしたいと思います。 ○山内班長 ほとんどはお母さんとか、兄弟とか、そういうことなんです。うちで調べたのはほと んどお母さんでしたか。 ○相川 大体目撃者がいて、観察したものです。ただ、たまに1人で見ていたので、おおよそ の時間しか分からないというのがありますので、時間のずれは観察の情報が漏れたの か、あるいは記憶違いなのかとか、いろいろあるのですが、はっきり見ていた方は50分 からということのようです。 ○黒岩委員 それと、グラス社と国産の違いというのは光の強度の違いということが一番大きいの でしょうか。 ○高橋委員 私がよく知っている日本光電社の場合ですと、ストロボの大きさがこんな不自然な形 になっているんですね。それに対してグラス社ですと13センチの円形になっている。あ ともう一つはグラス社のストロボというのは一見均質な画面のように見えるんですが、 日本光電社の場合ですと、中の金属の網目が透けて見えるような、いずれにしても不自 然な形です。 ○飛松委員 実際にグラス社の強度の8とか4というのは輝度では幾らぐらいなのですか。 ○高橋委員 intensity 4は3,950 、約4,000 カンデラ。それはあくまでも平均輝度であって、そ のintensity 8になると6,000 幾らかでなかったかと思います。輝度単位で言うとけた 違いに強い光です。余りにも強いため私は開眼してそのストロボを正視することは出来 ないのですが、それを目を開いた状態、目をつぶった状態だとかで非常に複雑な要因が 入るものですから、検査の場合、弱い光を使って見える状態で検査するということが非 常に大事だと思っています。 ○飛松委員 ちなみに日本光電はどのぐらいなんですか。 ○高橋委員 光電の場合、約4,000 カンデラです。 ○山内班長 同じ明るさですね。 ○高橋委員 4,000 よりもちょっと低いですね。4,000 に近いと思いました。その計測はジュール 単位であらわしていたりするものですから。 あともう一つはちょっと細かい問題になってしまいますが、光電の場合、intensity 4よりもちょっと弱いと思います。 ○山内班長 これは静岡でも両方の比較研究というのをしましたよね。 ○八木委員 やはりグラスの方が高いんですか。 ○山内班長 もし差支えなければ、黒岩先生の方も必要かと思いますので後で教えて下さい。 それでは、いろいろまだ議論のあるところかと思いますが、次に進めさせていただ きます。 3番目が基礎検討班ということで黒岩先生お願いします。 ○黒岩委員 基礎研究班でございますが、資料の8、カラーの資料をごらんいただきたいと思いま す。最初の5枚につきましては、第1回の研究会で御説明してありますので、次の6枚 目をごらんいただきたいと思います。テレビ東京にいろいろ調査いたしましたところ、 ハロゲンランプからフィルターを介した光がセル・アニメという手書きのアニメが通過 したものをシネマカメラで撮影する訳でございますが、これが1秒間24コマですが、そ れをテレビ画像1秒間30コマに変換するために2−3pull-down systemというものが使 われます。 次の紙でございますが、私どもは視覚刺激用のビデオを編集いたしまして、それをV HSのビデオデッキに入れる訳でございます。画像信号の方がテレビの方にきまして、 音声信号の方にトリガー信号を入れました。こうして視覚刺激を行いまして、脳波信号 から誘発電位を測定しました。 次のページにいっていただきたいと思いますが、具体的にはテレビ東京からポケッ トモンスター38週のデジタルテープ(D2テープ)を取り寄せまして、そこから青の 30分の1秒、赤の30分の1秒をデジタルで切り出しました。それと同じ輝度の灰色の 15分の1秒も作成しました。ちょうど18時50分のところの刺激から1秒間の実像も切り出しました。これらをD2テープの上で編集いたしまして、トリガー信号を挿入、さらにD2テープから最終的にVHSに変換いたしました。 次の紙をごらんいただきますと、f-MRI測定用の検査プロトコールでございます が、これは東大の杉下教授のところで検査が行われます。rest・task・rest・taskということで、taskの部分では青/赤の5Hz刺激、15Hz及びその実像刺激を用いました。 次のプリントでございますが、視覚誘発電位並びに脳磁図を測定するための刺激条件 を説明します。波長といたしましては、青/赤刺激と灰色の繰り返しによる刺激と灰色 と黒の繰り返しによる刺激、それぞれを青/赤刺激及び灰色刺激というふうに呼びます が、その2種類を用いました。周波数は1、2、5、10、15Hzの5種類といたしまし た。安全性を確保するために1秒間の刺激後に必ずrestを入れました。 最後のプリントでございますが、視覚誘発電位の記録条件といたしましては、現在の ところ、1チャンネルでMOから40ないし50回の加算の2試行を行います。フィルター 分析時間などはこの紙に記したとおりでございます。 それではスライドをお願いいたします。 これは先ほど御説明したものでございますが、セル・アニメを通したものをシネマカ メラで撮影してテレビ画像に変換するということでございます。 次、お願いします。これが実際の2−3pull-down systemであります。シネマでは 赤/青/赤/青がそれぞれが24分の1秒ずつ来る訳でございますが、それをテレビに変 換すると、それぞれが60分の1秒でございます。60分の1秒が1フィールドでありまし て、1フィールドが2つになって1フレーム30分の1秒のなります。最初は赤/赤とい う1フレームで、次は赤/青という少しまだらなワンフレームです。次は青/赤という 少しまだら1フレームで、次は赤/赤という純粋に真赤なフレームになります。次が純 粋な青のフレーム。こういうふうになりまして、所々でこのようなまだらな赤/青のフ レームが出てまいります。 次のスライドをお願いします。そして12Hzの刺激となる理由でございますが、赤/ 赤/赤・青/青、それぞれのフィールドが60分の1秒でありますので、これが5つで12 分の1秒です。12分の1秒が1セットということで12Hzとなります。 次のスライドをお願いします。このような実際の画像となります。38週のポケットモ ンスターのアニメの18時50分のところの特徴でございますが、こういう絵のついたもの ではなくて、次のスライドに示すごとく、絵が入らない、画面を100 %近く色が占有す るようなシングルフレームが多いということが特徴でございます。それから青/赤が2 秒間、即ち120 フールド連続で続いたというところが37週までになかった、18時50分の ところでの特徴でございます。 次のスライドお願いします。ちょうど見ておりますと吸い込まれるような感じにな るのでありますが、これは右上の部分が矢のようになっているものですから吸い込まれ るような感じになります。 次のスライドをお願いします。これは視覚誘発電位と脳磁図の測定用の検査プロト コールでございますが、刺激を1秒、次にrest、刺激1秒、rest、刺激1秒、restとい うふうに繰り返されます。restは倫理的に安全を保つためでございますが、多くは1秒 とか2秒とかにしました。15Hz刺激では安全性を確保するため10秒の休みを途中で置い ております。 次のスライドをお願いします。これが実際の青/赤刺激で、実際の刺激の1秒間のと ころを見たところでございます。青/赤、これ両方で15分の1秒でございますが、1秒 間に1回だけ出てくるのが1Hz刺激。青/赤のセットが1秒間に2つ出てくるのが2Hz 刺激、青/赤が5回出てくるのが5Hz刺激、10回出てくるのが10Hz刺激、15Hz刺激は青 /赤の連続刺激です。この白の部分はrestに相当し、等輝度の灰色の刺激でございま す。 次のスライドお願いします。今度は灰色刺激でございますが、先ほどの青/赤の代 わりに等輝度の灰色を入れまして、この部分は真っ黒いものを入れたものでございまし て、1Hz、2Hz、5Hz、10Hz、15Hz刺激を作成しました。 今の青/赤刺激、あるいは灰色刺激が100 回繰り返されるビデオを編集しているので ございますが、実際には大体40回ないし、50回の加算回数で記録しております。 次のスライドをお願いします。1Hzで視覚誘発電位を調べますと、300 ミリセカンド の分析時間の中に、このように青/赤刺激ではシャープなピークを有する誘発電位が得 られます。それに対して等輝度の灰色刺激では、もう少し潜時の遅いなだらかな反応で ありました。これが2Hz刺激でございますが、青/赤刺激では、このように1Hz刺激と 同様、シャープなピークの反応が正中後頭部に出てまいります。そして灰色刺激では白 のような、もう少しなだらかな反応でございます。 次に5Hz刺激でございますが、やはり青/赤刺激では同様にシャープな反応でござい ます。10Hz刺激になりますと、シャープな反応が連続して出てまいります。そこで2 Hz、5Hz、10Hz、15Hzを重ね合わせて見ますと、青/赤刺激ではいずれの刺激でも、 このようにシャープな反応が出てまいりますが、この灰色刺激ではいずれの刺激でも 、このようになだらかな反応でございます。いずれの周波数におきましても、青/赤刺 激と灰色刺激でかなりの差があるということでございます。これが大体の概要でござい ます。 この18時50分のところの重要性というものは、青/赤の波長であるということと、単 色がテレビ画面に占める占有面積が非常に大きいシングル刺激であるということでござ います。それから周波数が12Hzで非常に早いということ。それから120 フィールドたて 続けに刺激があったという繰り返し回数の数、それらの問題が重要かと思います。 これから杉下班員と飛松班員から追加のデータをお示しいただきますが、今後は例 数を増やすということと、今1チャンネルでございますが、多チャンネルによるトポグ ラフィー検査も行いたいと思います。それから実像刺激は18時50分のは12Hzでございま すが、今やったのは1、2、5、10、15Hzでございますのて、実際の12Hzという刺激を デジタルテープでポケットモンスターのアニメから編集し直して実際のものに近い人工 的な刺激をつくって、青/赤と灰色との比較をしてみたいと思います。 それから実際にシャープな反応が後頭部に出てくる訳でございますが、それがどうし ててんかん様の発作、即ち中心脳の過剰反応につながるのかという意味では、将来的に は中心脳の興奮を反映する事象関連電位であるP300 を見てみるのもおもしろい かと思っております。即ち赤をターゲットとした時の事象関連電位のP300 とそれ以外 の色をターゲットとした時のP300 を同じ輝度でもって比べてみるというのも、厳密に やったスタディはこれまでないようでございますので、今後重要かと思います。 それでは、杉下班員よろしくお願いします。 ○杉下委員 私どもは機能的MRIをやりまして、その成績をお示ししようと思います。 まず最初に、機能的MRIというのはどういうのかと言いますと、酸素化ヘモグロ ビンの濃度を見ている訳です。脳が活動すれば酸素化ヘモグロビンの濃度が上昇する ことを利用して脳の活動を測定します。 それでは、スライドをお願いします。 脳が活動すると酸素化ヘモグロビン濃度が上昇する。脱酸素化ヘモグロビンの濃度が 低下する。実際にMRIがとらえる信号は、この脱酸素化ヘモグロビンの濃度の低下を みています。 次のスライドお願いします。私どもは、実際にポケットモンスターに使われた刺激 というのは、白/赤/白/赤/赤/黒/赤/赤/赤/とか、かなり複雑な刺激です。そ れをそのまま取り出した刺激を最初に用いました。どんなふうに行ったかといいます と、テレビでは2秒ぐらいしか出ていなかったのですが、それを実験では32秒出しま す。その後でほぼ同じ輝度の灰色の背景を32秒出します。それで引き算をする。した がって、普通の明るさの刺激を見ているよりも、このポケットモンスターのパカパカ刺 激というのはどのぐらい脳に影響を及ぼすかを見ようというのが目的であります。 次のスライドお願いします。こちらが左半球で左半球の外側からずっと深く入ってい きまして、今度は右の半球の外側に至るという18枚の画像です。両半球の後頭葉の内 側面に非常に強い活動があり、ほかには余り影響がないという結果です。このうちの2 枚だけ取り出してお見せします。 次のスライドお願いします。こんなふうになりますが、両側頭葉の内側面が普通の 光を見ているよりよほど刺激されている。前頭葉の内側面に少し出ておりますが、こ れは何を意味するのかはよく分かりません。 次のスライドをお願いします。これは今、班長が述べた刺激、つまり赤と青だけに 絞って検査したものです。そうしますと、普通の灰色刺激を見ているのと比較して後頭 葉の内側面が強く活動しております。しかし、被験者は違うのですけれども、先ほどの 複雑な黒が入ったり、灰色が入っていた刺激に比べると刺激が弱い印象を受けます。こ れについてはさらに検討したいと思っています。 次のスライドをお願いします。後頭葉に焦点をおいた一部を広げた画像です。後頭葉 の内側面に普通の刺激よりずっと強い脳の活動を与えるというのが、この刺激の特徴の ようであります。 以上です。 ○黒岩委員 それでは、飛松先生よろしくお願いいたします。 ○飛松委員 先ほど黒岩先生が編集されましたビデオテープを使いまして、視覚誘発電位VEPと 脳磁図による視覚誘発脳磁界を、大学生ですが、19から22歳の人4名で測定いたしまし た。 視覚刺激とVEPの関係は刺激のパラメーターに影響されていることを研究しており まして、先ほど高橋先生が言われましたように、単に明るさだけの問題なのか。あるい は色の問題なのかということに興味がありますので、まず実験に使いました視覚刺激の パラメーターというのを測定いたしました。一応ビデオモニターの画面は1メートルの 距離で23.1×17.4度、輝度はそこに書いてありますように、大体赤/青120 〜160 カン デラということでございまして、実際の問題になりました画像の時のピカチューも120 〜160 カンデラということで、グラス社製のものに比べますと30分の1から40分の1と 非常に暗い状態で発作が起こっているということになります。ですから、光過敏性なの か、あるいは波長過敏性なのかというのは今後検討を要するものだと思っております。 そこでVEPの測定ですが、視覚刺激としては黒岩先生と若干視点を変えまして、 一応高頻度刺激と思われる5Hz、10Hz、15Hz、それから問題になった画面の時のを使 って記録いたしました。図の1に波形と分析結果を示しておりますが、反復刺激をいた しますと、波形がこういうふうに融合してまいります。一応こういうふうになる状態を 定常状態型(steady-state型)と呼んでおります。これは工学的な言葉でございます が、先ほど黒岩先生がお示しされたような分析時間を短くして分析するのではなくて、 刺激が続きますと、脳がそれに対応してだんだん定常状態になる、そういう考え方が使 われている分析方法ですが、それでフーリエ分析をしますと、たとえば5Hz赤/青刺激 では、いろいろな成分が出てまいりますが、20Hzのところで一番大きく出てまいりま す。ところが5Hz灰色にしますと、5、10、15、20Hzとピークが出てまいりますが、5 Hzのところで大きい。それから10Hzの赤/青と灰色を比較いたしますと、10Hzでどちら もピークが出てまいりますが、どちらかというと赤/青の方が振幅が大きい。そういう ふうにいたしまして、周波数分析をすると、その時のある刺激頻度に対応する脳の反応 が見れるということで、この4名で測定いたしました。実際の実像はテクニカルには 12Hzということですが、被験者に見せましても12Hz、あるいは24Hzという反応が出てま いりますので、反応から見ても、実際に使われた刺激というのは12Hzの刺激になってい るということであります。 そこで、この研究班は原因の解明も必要ですが、予防手段というのも講ずる必要が あると思いまして、よく言われていることは、明るい部屋でテレビ画面をなるべく離 れて見る。そうすると予防出来るということが書いてありますが、実際に文献を調べ ますと余り詳しいことが書いてないので、これをVEPで定量化することが出来ない かということを考えました。そこで部屋の照明が明るいという状態と、蛍光灯を消し た薄暗い状態、画面との距離が1メートルと2メートルという4条件下でVEPを記録 したのが図2の結果です。 私の予測としてはテレビ画面が近くて薄暗い部屋で見ると、より刺激効果が上がる と思っていたのですが、2例は全部フルスタディをやっているんですが、実際にはそう ではなくて、明るくて反応が大きくなる人もいれば、逆に暗い部屋で大きくなる。まだ 例数が少ないので何とも言えませんが、健康人では一定の傾向がまだ認められておりま せん。 その次に脳磁図、これは脳に電気現象が起こった時の微弱な磁場を測定する訳です が、大体地磁気の10億分の1から1億分の1という非常に小さな磁場を測定いたしま す。そこで磁気シールドルームという特殊な部屋で被験者に視覚刺激を見せないとい けないものですから、視覚の実験をする場合に非常に困難であります。特にこうい ったビデオ出力を液晶プロジェクターに入れまして、それを鏡に反射させて磁気シー ルドルーム内の被験者に見せないといけませんので、輝度が10分の1ぐらいになりま した。そういった条件下で脳磁図を測定しました結果が図の3でございます。一応、こ れは後頭葉を中心にして37チャンネル、37か所から磁場を測定いたしました。この脳磁 図の測定のメリットと言いますのは、ある電気現象が起こった時に、仮に1つの電流双 極子が発生した場合には、単一電流双極子パターンというのをとるんですが、それは磁 界の吹き込みと吸出口が1か所であるという磁場の分布がないといけないのです。今度 の刺激方法では、テレビは両目で見ますので、両側の後頭葉が活性化されるということ で、当然ダイポール、電流双極子は2つの後頭葉から出るために2つのダイポールが出 来ないといけません。実際に測定いたしますと、いわゆる1つのダイ ポールパターンをとらずに2つのダイポールパターンをとる。2つのダイポールパター ンをとるとワークステーションのプログラムの制限がございまして計算出来なくなる。 そういうことで実際に脳磁図がこのスタディに有用かどうかは分かりません。ただ、患 者さんで、もし仮に刺激を見せた場合に発作波が出現すれば、仮にそれが焦点性の発作 がもし出現すれば、その時は脳磁図によってスパイクの電流双極子の位置が推定出来ま すので、それが例えば後頭葉のどの辺から起こっているかとか、そういうことは可能で すので、そういった状況を想定した場合のプログラムは一応作成いたしました。 ということで、これが今の現状でございます。一応視覚誘発電位を使って、ある程 度定量化を試みたというところであります。 ○山内班長 どうもありがとうございました。 それでは、ただいまの話に御質問、あるいは残された時間、こういうことも検討願 いたいということがあればどうぞ。 ○高橋委員 画像の内容をきちんと表示していただくということがこの事件の解明に非常に大事だ と思うんです。先ほど来、50分のところということで、そこに焦点を合わせての今の御 説明だというふうに私はお伺いしたのですが、私も実際、画像を静止させて詳しく調べ たんです。50分前後から大体持続にして0.5 秒、長いので4秒、点滅の強く感じるもの が数回にわたってあったと思うんです。そのことに関しては、事件間もなく1週間後だ ったでしょうか、NHKの「クローズアップ現代」で以前のポケモンと比較してこうだ ということをヒストグラムのような形で出して、あのことが私は非常に分かりやすく思 ったものですから、50分の問題の画像だけでなくて、ヒストグラムのような形でもよろ しいのですが、あの辺のシリーズでくるものを一度提示していただけるともっと理解に 役立つのではないか。 あともう一つは、シリーズできたものを一々分析すると12Hzだけでなくて、15Hzで ないかというふうに思えるようなやつだとか、あと10Hzのように思えるような成分も あったのですが、そういうふうなことはなかったものなのかどうか。その辺のことは いかがでしょうか。 ○黒岩委員 その前後のところはもう少しこれから検討してみたいと思います。18時50分の方につ きましては、赤/赤/赤/青/青というのが規則正しく続いておりまして、12Hzと言っ てよろしいかと思います。 ○高橋委員 それが4秒ですね。 ○黒岩委員 2秒ぐらいだったような感じがしたんです。4秒より短かった印象があります。 ○高橋委員 はっきり時間がどのくらいだったかということを教えていただければありがたいで す。 ○黒岩委員 はい。 ○山内班長 飛松先生、我々も部屋の明るさというのは非常に関係あると思っているんですが、先 生のデータは、今のところ、どちらとも言えないのですが、コントラストが強いという のは、輝度が高くなるとか、そういうふうに単純に考えてはいけない訳ですか。 ○飛松委員 確かに実際部屋を暗くすると心理的には明るく感じるのですが、機械的にはかると変 わらないんです。 ○山内班長 案外これも我々に学問的なバックグラウンドを与えるという意味で大事な問題かと思 いますし、先生のおっしゃった光に過敏なのか、波長に過敏なのか、そういう問題も大 事なことです。 ○飛松委員 図2のJTというのは女性の方ですが、明るい状態で1メートルの時に振幅が6μV と非常に大きいのですが、暗くすると逆に抑制されて3μVぐらいになっています。で すから正常な方はひょっとしたら、かえって嫌な感じというか、非常に強い刺激を与え ると、かえって抑制をかけるのかなと。ただ患者さんは抑制機構を外れているという か、ディスインヒビッションみたいなことが起こって、かえって発作を起こすのかとも 考えておりますが、何せ健康人でありますので、それがどういった意味を持つのかまだ 分かりません。患者さんと対比しないことにはデータは出ないと思います。 ○山内班長 その辺は同じ九州で満留先生のところでだれか参加してくれるような人がいて、 ちょっと検討出来ればいいかと思うんです。 ○高橋委員 もう一つ、黒岩先生に確認の質問なのですけれども、問題の場面は一般的な言い方を して、12Hzの赤の点滅刺激というふうに受けとめてよろしいでしょうか。 ○黒岩委員 そうですね。赤/赤/赤/青/青ですので、赤が12回繰り返させるというふうに考え て、正確に言うと赤は60分の1秒が3つですので、赤が20分の1秒で青が30分の1秒、 合わせて12分の1秒ということになる訳でございます。 ○高橋委員 もし今のことを大ざっぱに赤の12Hzの点滅となると、私が前からやっていってのDプ レートを使っての赤は、15Hzが一番発作を誘発するものですから、そういうこともあっ てか、映像はいわゆる赤の点滅、非常に賦活効果の強いものが今回放映されたのかと考 えたんですが、そのような解釈はいろいろ問題はあるかもしれませんが、大ざっぱにそ ういうふうに考えてよろしいものでしょうか。 ○黒岩委員 周波数としては、1Hzでもああいうシャープな反応が出る訳でございますので、それ がたて続けに4Hz以上で出てくれば、いずれにしても、かなり強い後頭葉へのニューロ ンへの刺激になるかと思います。特に12Hz、15Hzというのが重要な数字なのかどうかは 分かりませんけれども、3Hzまでは安全であるけれども、4Hz以上は危険であるという 英国での基準もあるようでございますので、今回は4Hzをはるかに上回る12Hzというこ とで、その点が問題だと思います。 ○山内班長 まだいろいろと議論はあるかと思いますけれども、お話を聞いていても厚生省の班会 議の1年分を短期間に皆さんにやっていただいているということで非常に中身も濃いで すし、実際に我々はデータの意味をもうちょっと検討したいという気持ちが強いのです が、とにかく今回は、みんながこれまでやってきたことのアウトラインをお互いに確認 するといった意味にしていただきまして、またさっき渡辺先生の方からお話がありまし たように、フォローアップスタディというような長期的な問題もある訳で、これも重要 な問題だというふうに思いますが、今回はとにかく最初の予定どおり年度内にある程度 の結論を出してまとめるということになるかと思いますので、今後の予定の話をしたい と思います。 3つの報告についての総括的なディスカッションをしたいと思いましたけれども、 ちょっと時間がなくなってきましたので、先送りということにしたいと思いますが、 1つはお金のことで、今回皆さん出張旅費などについても自己負担でやっていただい て申し訳ないのですが、実は1月の29日付で971 万5,000 円が平成9年度の厚生科学 特別研究事業ということで交付されることになりました。これについては各分担の班 員に何がしかのお金を、まだ実際にお金がおりてきていないものですから払い込めま せんが、口座番号もお知らせいただいているので、私どもが払い込めるようになった 段階で払い込みいたします。旅費などについても、お借りしている分についてはお払 いしたいというふうに思っております。各分担班員のお金のほかに、例えば今回の実 態調査班の解析にかかるお金というのも結構ございまして、そういうお金とか、最終 的な報告書を出すお金といったことも含めて中央経費も取るということでしておりま すので、必ずしも各班員にたくさんのお金を差し上げる訳にはいきませんけれども、 通信費とかいろいろなことにかかっているお金がございますので、そのお金は班長の 権限で分配させていただきます。これについてはお金が出た段階で事務局から配付し ますけれども、相川先生一言お願いします。 ○相川 実際に予算がおりるのは、厚生省の担当者の加藤さんからは2月末か3月初めぐらい だろうというふうに伺っております。大変ご迷惑をおかけしますけれども、お金がおり ましたら、それぞれの先生方の口座に振り込ませていただきます。同時に厚生省の今ま での班研究の事務処理要綱がありますので、それも一緒に送らせていただきます。ただ し今回、中央の方でかなりデータ解析等にかかるものですから、各班員の先生方に配分 されるお金の額は少なくなることは予想されます。 以上です。 ○山内班長 では、そのことをよろしくお願いします。改めて御連絡いたします。 それから次回なんですが、次回は4月3日の金曜日ということで予定しておりまし て、厚生省の7階の特別第1会議室ということですが、そこがどうしても2時半から しか時間がとれないということなんです。ただ、この時間が今日お話を聞いても分か りますけれども、かなり議論を要する問題もあったりするものですから、一応5時半 という予定でしたけれども、もし差し支えなければ6時ぐらいまで延ばしていただい て、本当は半日か1日必要ではないかという感じもするんですけれども、十分時間を かけて余り不消化にならないような形にしたいというふうに思っております。年度初 めの早々で申し訳ないですが、よろしくお願いします。 ただ、まとめの問題がございまして、一応関係省庁もここでどういうふうな結果が 出るかということについて待っていまして、それをもとにしていろいろなことで動き 出したいということもあるものですから、いつまでも報告を手控えている訳にいかな いので、私の案としては、まず速報版をつくりまして、4月3日に最終的な検討をし たら、直ちに各分担班長に大体こういうようなことが分かったといった意味合いの速 報版を出していただきたい。それまでに分担班の中でいろいろと協議してコンセンサ スを得ておいていただきたいと思います。それを3日の日にいろいろと議論したもの をまた訂正していただいて、提出いただきましたら、私の方である程度まとまりのあ るものとして、4月の中旬ぐらいまでに速報版を出したいと思います。 決定版につきましてはゴールデンウィーク明けになるかと思いますが、そこではも う少し細かく、いろいろな各研究者の研究成果も踏まえたもので報告書を書きたいと 思っています。 このお金の件と予定について何か御意見ございましょうか。 それをその先どういうふうにつなげていくかというのは、いろいろなところで御相 談したいというふうに思っていますし、御意見があれば、またお聞かせいただきたい というふうに思います。 皆さん不消化で、いろいろな疑問や問題点をお感じになっているかもしれません が、ありましたら、私の方にFAXをお送りいただければ、また各分担班長と相談い たしますので、その辺はよろしくお願いいたします。 それでは、時間になりましたので、もう一回、田中課長さんからごあいさつをお願 いしたいと思います。 ○田中精神保健福祉課長 大変お忙しいところありがとうございました。私なども何にも消化が出来なくて非常 に困っておりますけれども、また4月の初めに、是非ある程度のめどを立てていただき ますようにお願いしまして御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。 ○山内班長 それでは、これで第2回の研究班の会議を終わりにしたいと思います。いろいろと御 無理なことばかり申し上げてFAXを毎週送ったりしておりまして、恐縮ですが、もう あと少しですので、どうぞよろしくお願いいたします。どうも御苦労様でございまし た。 照会先 厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課 阿部(内線3066)、齋藤(内線3055)