99/12/24 第17回厚生科学審議会研究企画部会議事 第17回厚生科学審議会研究企画部会議事次第 1.日  時:平成11年12月24日 (金) 10:00〜12:00 2.場 所:中央合同庁舎第5号館 共用第9会議室 3.出席委員:矢崎義雄部会長 (委員:五十音順:敬称略) 寺尾允男 (専門委員:五十音順:敬称略)         菊地 眞  高久史麿  東條 毅  中村隆一  埜中征哉         眞柄泰基  眞崎知生  柳澤信夫 4.議  事:(1) 審議事項          平成12年度厚生科学研究費補助金公募研究課題について        (2) 報告事項         (1)遺伝子解析による疾病対策・創薬に関する研究等について         (2)国立試験研究機関及び国立医療機関と一体化した研究機関の評価          について         (3)厚生科学研究費補助金による研究事業の評価結果の通知等につい           て         (4)その他 5.資  料:(1) 平成12年度厚生科学研究費補助金公募研究事業の方針 (案) につい て        (2) 平成12年度厚生科学技術関係予算 (案) の概要        (3) 遺伝子解析による疾病対策・創薬に関する研究等について        (4) 「遺伝子解析による疾病対策・創薬等に関する研究における生命倫 理問題に関する調査研究」の実施等について        (5) 機関評価厚生科学審議会報告        (6) 厚生科学研究費補助金による研究事業の評価結果の通知等について ○事務局  定刻でございますので、ただいまから第17回厚生科学審議会研究企画部会を開催させ ていただきます。 本日は、大石委員、柴田委員、竹田委員、寺田委員、黒川委員の5名が御欠席でござ います。  最初に、配付資料の御確認を申し上げます。 (以下、資料の説明と確認) よろしければ、開会にあたりまして、厚生科学課長の岩尾より一言御挨拶申し上げま す。 ○岩尾課長 年末のお忙しいときに御出席いただきまして、ありがとうございます。 平成12年度の政府予算 (案)が12月20日に内示されました。本日、閣議決定というこ とで進んでおります。厚生省関係の科学技術予算は、一般会計の科学技術振興費が 848 億円、対前年度比で 5.1%、41億円の増でございます。このうち厚生科学研究費が 285 億円ということで 5.7%の増、対前年度におきまして15億円の増となっております。厚 生科学審議会から5月に答申をいただきました。その中で幾つかのことを言われており ましたが、遺伝子の分野、それから再生医療、骨関節疾患、アレルギー、EBMなど、 必要な予算を確保できたと思っております。  また、総理提唱のミレニアム・プロジェクトがございましたが、総額 100億円を確保 いたしました。内容といたしましては、遺伝子解析による疾病対策・創薬推進事業、自 己修復能力を利用した再生医療、バイオテクノロジー応用食品の安全性確保を3つの柱 として取り組んでいくという予定にしております。  本日は、平成12年度の厚生科学研究費によって公募する課題について審議いただくと いうことでございます。よろしくお願いいたします。以上でございます。 それでは、矢崎部会長、よろしくお願いします。 ○矢崎部会長  それでは、本日の研究企画部会を開始させていただきます。 年末のお忙しいところ、委員の先生方には、お集まりいただきましてありがとうござ いました。 今、岩尾課長がお話のように、厚生科学に関する研究費が全般的に5%以上伸びてい るということは、担当の課の方の御奮闘に私どもも感謝申し上げたいと思います。  それでは、議事に入らせていただきます。まず最初は審議事項で、平成12年度におけ る厚生科学研究公募研究課題につきまして、資料 (1)にございますように、厚生大臣か ら諮問され、研究企画部会に付議されております。これにつきまして御審議をお願いし たいと思いますので、まず事務局から説明をよろしくお願いいたします。 ○事務局 それでは、最初の議題につきまして御説明を申し上げます。  まず資料 (2)をごらんいただきたいと存じますが、これが内示がございました12年度 の科学研究費補助金の予算 (案) の概要でございます。総額を申し上げますと、 285億 1,900万円ということで、対前年度15億 4,000万円の増、比率にいたしますと5.7%の増 でございます。ここの研究費をご覧いただきますと、最初に※がございます「ヒトゲノ ム・再生医療等研究経費」でございますが、次のページをご覧いただきますと、「12年 度予算 (概算要求) 」と書いておりますけれども、これは平成11年度と同じ仕組みでご ざいます。この中から、先ほど課長の挨拶の中でも申し上げましたミレニアム・プロジ ェクトに関係する部分を従来から厚生省としては手がけてきておりましたので、その部 分を統合して一本化したというのが12年度予算(案) の「ヒトゲノム・再生医療等研究 経費」でございます。すなわち、これはミレニアム・プロジェクトの関係でございま す。 最初のページに戻らせていただきまして、主な項目を御説明申し上げますと、IIの2 番目にございます「長寿科学総合研究経費」が1億 2,000万円、 7.3%伸びておりま す。主に骨・関節疾患の研究でございます。次に、III「高度先端医療研究経費」でご ざいますが、これは先ほどご覧いただきましたミレニアム・プロジェクトと関係したも のですが3億円ほどの伸びになっております。更に、一つ飛んで下の「感覚器障害・免 疫アレルギー等研究経費」でございますが、アレルギー関係の研究を中心に2億円の 増、19.7%の増という形になっております。その次に、IV「生活安全総合研究経費」で ございますが、この一部はミレニアム・プロジェクトにいった訳でございますが、それ でも1億円の増ということで、環境ホルモン、あるいはダイオキシンを除く化学物質、 生活環境中の化学物質についての研究費が伸びております。最後に「医療技術評価総合 研究経費」でございますが、これが4億 2,000万円、58.8%の増と著しい増を示してお りますが、先ほど課長の挨拶でも触れましたとおり、ここはEBMの研究を中心に伸び ている訳でございまして、総体で申し上げますと、本年5月にいただきました答申を踏 まえたものになっているかと存じております。  資料 (1)に戻らせていただきますけれども、資料 (1)は、この予算(案)を受けまし て、来年度に新たに発足をする公募研究課題の選定でございます。すなわち、厚生科学 研究の中には、先生方ご存じのように、2年計画であるとか、3年計画であるとか、そ ういう来年度も前年度から引き続いて行われるものもある訳でございますが、そういっ たものに要する予算を取り除いた部分、すなわち新たに公募する課題について本日、御 議論をいただく訳でございます。  右隅にページ数が振ってありますが、資料の2ページをごらんいただきますと、各研 究費について述べられておりますけれども、具体的には、7ページから各研究費ごとに 公募する課題の内容が述べられておる訳でございます。昨年度と比較しますと、公募す る課題をより具体的に記載をする。これによりまして、厚生科学研究の目指している方 向性を明らかにするとともに、研究者の方々に、より具体的な研究計画をつくっていた だけるよう配慮させていただいております。  2ページに戻らせていただきまして、各研究費について、特に大きな変更がございま した部分について御説明を申し上げたいと思います。  まず、1番目の「政策科学推進研究事業」でございますが、これにつきましては、特 に社会保障関係業務従事者による実践的研究、あるいは多職種による共同研究を評価す るという方針を出しております。  2番目の「統計情報高度利用総合研究事業」でございますが、これにつきましては、 個人医療情報の保護、あるいは厚生統計の国際間比較、こういうところに重点を置いて おります。  1つ飛びまして、「がん克服戦略研究事業」でございますが、これは昨年度、公募が なかった訳でございますけれども、本年は新たにまた公募をするということにしており ます。  次に「脳科学研究事業」でございますが、これにつきましては、12年度採択方針 (案) のところにございますように、具体的にどういう事項を考えておるのかというのを書か せたものを案とさせていただいております。  次に「新興・再興感染症研究事業」でございますけれども、これも他の研究と同様 に、具体的な研究課題を挙げております。  11番の「エイズ対策研究事業」でございますけれども、これにつきましては再整理を いたしておりまして、案の方を見ていただきますと、研究費の規模のところで1(1) と か、いろいろ出てまいりますが、これにつきましては22ページをご覧いただきたいと思 います。資料の22ページをご覧いただきますと、大きな柱として4本に統合し直して、 それぞれの柱の中に具体的な研究課題を書いていったというように再整理をさせていた だいております。これが「エイズ対策研究事業」でございます。  4ページに戻らせていただきまして、一番下にございます「免疫・アレルギー等研究 分野」でございますが、ここは、先ほど申し上げましたとおり、ミレニアム・プロジェ クトのところに一部、すなわち、具体的に申し上げますと、移植医療の基盤整備という のがミレニアム・プロジェクトの方に移っておりますので、これを除いて、更に、アレ ルギー疾患の環境因子の解明というのが研究課題として新たに付け加わっております。  13番「特定疾患対策研究事業」でございますけれども、これにつきましても、具体的 な事項を再整理しております。 以上が今回大きく変更させていただいた点でございますが、具体的なものにつきまし ては、7ページからの参考資料をご覧いただいて、御審議の参考にしていただければと 考えております。よろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。これは、多年度にわたる研究の応募の中で、12年度 に新規公募できる領域の内容を詳しく記載した公募課題の明細についてでございます。 今ご覧になっても大量な内容でございますので、すぐにはコメントいただけないかもし れませんが、もし何かございましたら、詳しい内容についてまた事務局の方にお問い合 わせいただければと思います。最初の事業の方針について、今、事務局から説明があり ましたが、これについて何かコメント、御意見ございますでしょうか。 資料2で先ほど事務局から説明がありましたように、多くの分野がIIの5「ヒトゲノ ム・再生医療等研究経費」、すなわちミレニアム・プロジェクトに統括されて小さな項 目になっていますが、研究の規模としては実際には大項目に匹敵するほどの規模である ということになるかと思います。その内容につきましては、研究企画部会をはじめ、多 くの部会の答申に沿って研究費を獲得していただいたということで、大変ありがたく存 じております。 ○眞崎委員 質問ですけれども、資料2の対照表のIVの5のEBM関連の内容について御説明いた だきたいと思います。 ○事務局  資料1の31ページ、最後のページをご覧いただきたいと思います。31ページの左側が 本年度の公募研究課題、右側が来年度の案ということになっておりますけれども、一番 下、本年度で申し上げますと5番、来年度の案で申し上げますと6番というところにE BMを掲げておる訳でございますが、大きく分けまして2つ。医療情報の体系的整理に 関する事項と、ここに書いております白内障、慢性関節リウマチ、脳梗塞、くも膜下出 血、腰痛、胃潰瘍などの診療情報の整理に関する研究ということで、どういうエビデン スがあるのかという観点から整理をしていただいて、その上で現状をまとめていただこ うという研究経費でございます。以上でございます。 ○矢崎部会長  そのほかいかがでしょうか。  それでは、大変分厚い資料ですので、もし何かございますれば事務局の方に御連絡い ただいて、御意見があればまた検討させていただきたいと思います。  大変恐縮ですが、次の報告事項に係る議題に移らさせていただきます。まず初めに 「遺伝子解析による疾病対策・創薬に関する研究等について」、事務局より説明をお願 いします。 ○事務局  それでは、資料 (3)及び資料 (4)に基づきまして、御説明を申し上げたいと思いま す。  資料 (3)が、本年の12月19日に内閣総理大臣によって決定されましたミレニアム・プ ロジェクトの全体像から厚生省に関係がある部分を抜粋したものでございます。先の10 月の研究企画部会で御報告させていただきましたとおり、総理のミレニアム・プロジェ クトにつきましては、10月19日に基本方針が決定、公表された訳でございますが、12月1 9日に具体的な研究方針が示されたわけでございます。 まず、この研究というのは、1ページにございますとおり、情報化、高齢化、環境対 応、この3つの分野を取り上げております。手法といたしましては、産学官共同のプロ ジェクトです。また、省庁横断的な取り組みを行うというのがその特徴であろうかと思 います。厚生省が関連する部分は、この中の高齢化に関わる訳でございますが、この内 閣総理大臣決定の文書は総論と各論からなっておりまして、各論の関係部分を御説明を したいと思います。  まず、4ページが「高齢化社会に対応し個人の特徴に応じた革新的医療の実現(ヒト ゲノム)並びに(イネゲノム)」ということで、ここからがヒトゲノム、イネゲノムの 説明に入っております。  5ページをご覧いただきますと、枠囲みした目標が示されておりまして、5年後、200 4年度を目標に、痴呆、がん、糖尿病、高血圧等の高齢者の主要疾患の遺伝子解明に基づ くオーダーメイド医療、あるいは画期的新薬の開発着手というのが目標の1つ。2番目 の目標といたしましては、自己修復能力を利用した骨、血管等の再生医療の実現。アレ ルゲンフリー等高機能食物などの実現というのが3番目の目標で、大きな目標として掲 げられているのがこの3つでございます。  そのために具体的な目標と申しますか、ここでは実現目標という言葉を使っておりま すけれども、まずヒトゲノムのところから述べられている訳でございます。5ページの 下から4行目から、具体的な、特に疾患に関わる部分が出てまいる訳でございますが、 6ページに具体的なものが出てまいります。10月25日に開催させていただきました前回 の研究企画部会で、厚生省としてのプロポーザルを御報告申し上げた訳でございます が、その中にございました目標が全面的にここで取り上げられ、政府としての目標とし て位置づけられております。すなわち、(1)痴呆等神経疾患から(5)気管支喘息等免疫・ アレルギー疾患まで、疾患関連遺伝子、あるいは薬剤反応性関連遺伝子の何個以上とい う目標、あるいは、それに基づきます個人の特性に応じました最適な投薬あるいは治療 法の実施、更に、画期的な新薬の開発というのが、大きく分けますと、それぞれの分野 の目標になっておるかと思います。  6ページの下から4行目から「再生医療」になっておりまして、7ページをご覧いた だきますと、(1)骨・軟骨分野、(2)血管分野、(3)神経分野、(4)皮膚・角膜分野、(5)血 液・骨髄分野、(6)移植技術・品質確保技術ということで、大きく分けますと、5つの分 野と移植技術・品質確保技術という形の組み合わせになっております。  また、8ページをご覧いただきますと、いわゆる食品に関係する部分が出てまいりま して、(1)機能性作物・食品等の実現目標として、いわゆるアレルゲンフリー等の機能を 有する食品の開発というのが挙げられております。  更に、全体に係る部分といたしまして、安全確保・国民理解の増進ということで、ま ず1つには、99年度、すなわち本年度末を目途に、個人情報の保護、生命倫理の確保を 図るためのガイドラインを策定すること。(2)といたしまして、2004年度までに、バイオ テクノロジー応用食品等につきまして、安全性関連データの整備、あるいは、その評価 手法の高度化、ガイドラインの作成が出てまいります。また、(3)にはDNA検出技術の 高度化というのが出てまいる訳でございます。  その推進体制につきまして9ページから出てまいる訳でございますが、10ページをご 覧いただきますと、ちょうど中ほどのところに「疾患・薬剤反応性遺伝子の解析と治療 応用」とういうことで、これも前回の当部会で御報告したのが出ております。すなわ ち、痴呆につきましては国立精神・神経センターを中心に行う。がんにつきましては国 立がんセンター、糖尿病につきましては国立国際医療センター、高血圧につきましては 国立循環器病センター、喘息につきましては国立小児病院、薬剤反応性につきましては 国立医薬品食品衛生研究所となっている訳でございます。また、ここにいろいろな大学 が出ておりますが、これらの大学につきましては、文部省等の研究費によって研究費が 配分される予定であると聞いております。 また、バイオインフォマティクスにつきまして、データベースの整備が出ておる訳で ございますが、11ページをご覧いただきますと、ちょうど中ほどに疾患データベースと いうことで国立がんセンターという形になっておりますが、これについは後でまた御報 告申し上げます。 (2)「再生医療」ということで、痴呆をもたらす脳梗塞、あるいは寝たきりに伴う床ず れ等々につきまして、その方針が12ぺージに具体的に示されております。すなわち、 骨・軟骨につきましては北里大学ほか、ここに書いてあるようなところで、あるいは血 管につきましては国立循環器病センターほか、ここに書いてございます大学、神経につ きましても、同じく国立精神・神経センターほかで、皮膚・角膜につきましては杏林大 学、血液・骨髄につきましては、国立がんセンター、あるいは名古屋大学を中心に、移 植技術・品質確保技術につきましては、国立医薬品食品衛生研究所、九州大学等々にお いてということで、ここにつきましては、ほとんど厚生省が従来から厚生科学研究費補 助金を用いまして、再生医療の実現ということで研究を進めてきた分野でございまし て、今後ともこのような形で行いたいと考えております。 全体像といたしましては、21ページをご覧いただきますと、政府としての取り組みに つきましての全体像が掲げられております。ミレニアム・プロジェクトのヒトゲノム、 イネゲノムの分野を総括的に示しておる訳でございますが、大きく分けると5つの分野 に分かれる。まず最初が「ヒトゲノム多様性解析」ということで、ヒト完全長cDN A、あるいは標準SNPsの解析ということが東京大学医科学研究所を中心に実施され ます。厚生省が担当いたしますのは「5大疾患の疾病対策」と書かれております疾患・ 薬剤反応性遺伝子の解析と治療応用ということで、先ほど申し上げとおり6分野につい て行います。また、右上にございます「ヒトゲノム関連データベース整備」というのが 行われますし、厚生省としては、がんセンターを中心に疾患データベースを立ち上げる ということでございます。また、「再生医療」につきましても、基礎的な研究でござい ます発生・分化・再生が一番下にございますが、これを入れますと7分野、疾患関係で 申し上げますと6分野について研究が行われるということでございます。  また最後に、「イネゲノム」のところでイネゲノム、食品関係が述べられておりま す。  具体的に厚生省としてどういう形で進めていくかということにつきまして、22ページ から御説明を申し上げたいと思います。22ページをご覧いただきますと、総額 100億円 ということで厚生省の分野について簡単に述べられておりますが、分野として申し上げ ますと、ヒトゲノム関係、再生医療関係、食品関係という3つに分かれるかと思いま す。 それぞれの3つごとに、23ページからの資料を用いて御説明をしたいと思います。1. 「プロジェクトの目標」というのは、先ほど御説明申し上げましたので省略させていた だきますが、24ページをご覧いただきますと、表になっておりますけれども、それぞれ の分野ごとに中心となる機関は、ここに書いてありますようなセンター、あるいは病 院、研究所でございまして、これらの研究を支える研究といたしまして、従来から厚生 科学研究費補助金でやってまいりましたバンク関係でございますとか、ファミリーディ ジーズの遺伝子の研究でございますとか、あるいは遺伝子治療でございますとか、こう いうものを併せて進めていくということでございます。 25ページをご覧いただきますと、それでは、これらの研究をどのような形で進めてい くかという観点から、遺伝子の解析を進めていくということになりますと、どうしても シークエンスの解析というのが出てまいる訳でございますけれども、シークエンスの解 析につきましては、集中して効率化を図るという観点から、26ページをご覧いただきま すと、国立がんセンターに設置されます疾病ゲノムセンター (仮称) にシークエンス解 析部門というのを置いて、そこに必要な機器を配置し、集中して効率的に実施をしてい きたいと思います。もちろん、それぞれの研究所にもそういったシークエンサーの機械 というのが必要になろうかと思いますけれども、大規模なものとしては、この疾病ゲノ ムセンター(仮称)に整備をしたいと考えております。 また、データベースにつきましても、まだこれは検討中の案ではございますが、同様 に国立がんセンターに設置されます疾病ゲノムセンターの中にデータベース部門という のを置いて、関係のセンター、あるいは研究所とオンラインで結ぶことによって、ここ にデータを集約する。また、そこから情報を公開していくというのを考えている訳でご ざいます。 25ページの(2)でございます。最初に申し上げましたとおり、ミレニアム・プロジェ クトというのは、官民共同、すなわち民間部門の参画というのを一つの特徴としておる 訳でございますけれども、これらの研究というのは非常に学術的な基礎研究に近いもの から実用化に近いものまで分かれる訳でございまして、学術的な研究に近いものにつき ましては、特定の企業のみを排他的に利することがないよう、医薬品機構と複数の民間 企業が設立した研究開発法人を通じて、それらとこれらのセンターが共同研究をすると いう形で進めていきたいというふうに考えております。また、実用化を前提といたしま した研究につきましては、民間企業が持っております知識・経験、蓄えを生かさないと なかなか前に進まないということがございますから、それは個別企業との共同研究契約 によって進めていくというのを考えている訳でございます。 最後に、これらの研究を推進していくための施設あるいは機器の整備につきまして は、11年度の第2次補正予算の中で既に手当てがなされておりまして、先ほど御紹介申 し上げました疾病ゲノムセンター(仮称)の新築、あるいは既存棟の改修等々、施設整備 として29億 6,000万円、必要な機器の整備といたしまして28億 9,000万円が計上されて おります。 以上、遺伝子解析による疾病対策・創薬推進事業につきましては、来年度予算で87.6 億円、第2次補正予算で60億円程度、合計いたしますと 140億円以上の額が確保された ところでございます。 29ページをご覧いただきますと、これも表形式で、どういう分野について、どういう 対象疾患をもとに、どういう機関でやるのかというのを掲げさせていただいておりま す。 例えば、骨・軟骨分野でございますと、ここに書いてあります3大学を中心に行って まいります。プロジェクト型の指定研究として実施をしてまいるということでございま す。また、血管につきましても、国立循環器センターほか、3大学を中心にプロジェク ト型の指定研究で考えております。これらの研究費が11億 4,000万円確保されておりま す。 30ページに民間部門の参画というのがございますが、これについては、基本的に先ほ どと同様なので省略させていただきます。 31ページにバイオテクノロジー応用食品について述べられておりますが、主な研究分 野といたしましては、2の (1)の(1)及び(2)に分けらせていただいておりますけれど も、(1)がいわゆる安全性確保の問題でございまして、ここは国立医薬品食品衛生研究 所、国立相模原病院、筑波大学、こういったところを中心に考えておりますし、具体的 な研究課題としては、ア、イ、ウの3つに分けて考えております。また、高機能食品に つきましては、(2)としまして、国立健康・栄養研究所を中心に開発を進めていくとい うことで、具体的な研究目標についてはア、イに述べられておるとおりでございます。  以上がミレニアム・プロジェクト全体並びに厚生省が関係いたします遺伝子解析、再 生医療等に関わる部分でございますけれども、これらの研究を進めていく上で、どうし ても個人情報の保護でございますとか、生命倫理の確保でございますとか、こういった 生体試料、サンプルを提供をしていただく方々の人権の保護という観点からの整備が求 められる訳でございまして、前回も御報告したかと思いますけれども、これにつきまし て資料 (4)に基づいて御説明をしたいと思います。  まず、資料 (4)の1ページが「『遺伝子解析による疾病対策・創薬等に関する研究に おける生命倫理問題に関する調査研究』の実施について」ということで、最初の粗ごな しをやっていただくために、厚生科学研究費補助金で国立がんセンター中央病院の垣添 忠生病院長を中心に調査研究を進めていただいているところでございます。  4番「実施体制」を見ていただきますと、検討委員会を設ける。また、その下に作業 委員会を設けて具体的な作業が進められております。  この研究成果というのは、5(2)にございますように、この研究班での終了後、厚生科 学審議会、具体的には先端医療技術評価部会になろうかと思いますけれども、ここで最 終的な御審議をいただき、また、一般からの意見聴取、いわゆるパブリック・コメント も聴して、厚生科学審議会としてのお考えをまとめていただいた後に、厚生省として、 それを踏まえて指針なり、ガイドラインなり、厚生省としての方針をまとめていきたい と考えております。  もう1つ、特に再生医療の関係で申し上げますと、ヒト組織の移植等への利用につい て議論を賜る必要があるということから、先端医療技術評価部会の中に専門委員会を設 置して、本年の12月21日から議論を進めさせていただいたところでございます。スケジ ュールといたしましては、先ほど申し上げました遺伝子解析の部分と同様に、今年度末 を目途に進めていくということでございます。 具体的な研究課題につきましては4ページ、また、メンバーにつきましては5ページ を御参照いただければと考えております。  最後に、6ページでございますけれども、これが厚生省としての動きでございます が、一方、総理の諮問機関でございます科学技術会議におきましても、クローン技術を 中心に検討が進められております。6ページにございますのは、11月17日に発表されま した科学技術会議の生命倫理委員会のクローン小委員会の報告書でございますけれど も、非常に詳しい報告書でございますから詳細は省略いたしますが、要点は、17ページ の中ほどに (2)「クローン技術の人個体の産生への適用についての規制」というのがご ざいまして、ヒトクローン個体の産生を禁止するというのが妥当であるというのが一つ の考え方でございますし、18ページの(6)「規制の対象」をご覧いただきますと、先ほ ど申し上げました人クローン個体の産生を禁止するために、人クローン胚の人または動 物の母体への胚移植を禁止するということがここに書かれております。 また、19ページの上から3段目のパラグラフ、「これらの意見について」というとこ ろですけれども、先ほど申し上げました人クローン個体の産生を禁止するのを、法律に よって禁止するということが妥当ではないかということが述べられている訳でございま す。  更に、4.「クローン技術以外の生命関係技術」の第2パラグラフを見ていただきます と、人と動物のキメラ個体、あるいはハイブリッド個体の産生は全面的に禁止する。更 に、個体を産み出さない人と動物のキメラ胚、あるいはハイブリッド胚を取り扱う研究 については、更なる検討が必要であるというようなことが述べられている訳でございま して、これらの方針に沿って法案の準備等が進められていると聞いております。  以上、御報告を終わらせていただきます。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。まず初めに、ミレニアム・プロジェクトの特に厚生 省関係、すなわち国立試験研究機関を中心とした研究の進め方について、その内容と予 算、あるいは各研究機関との連携などについて、まとめて資料 (3)に述べさせていただ いた訳であります。遺伝子解析その他、再生医療に関しましては、倫理的な問題が一番 注目されるところでありますので、本年度を目途に、生命倫理問題に関する調査研究班 の報告書を資料 (4)で今説明のとおり報告させていただいた訳です。先生方に、この2 点につきまして御意見、コメントをいただければ大変ありがたく存じますが、いかがで しょうか。 ○埜中委員  ミレニアム・プロジェクトで、例えば「疾患・薬剤反応性遺伝子の解析と治療応用」 で、痴呆などはナショナルセンターと文部省の大学、東京大学、新潟大学とございます ね。これは、なるべくなら共同研究で進めていくのか。この前のお話では、厚生省と文 部省はインディペンデントにやるというようなお話でしたけれども、その辺のところを どういうふうに進めるのか。例えば、共同研究でどんどん進めるなら、しょっちゅう会 って皆さんとお話をしたり、いろいろしなくてはいけないと思うのですけれども、その 辺はどうお考えか、ちょっとお話を聞かせてください。 ○事務局  資料 (3)の14ページをご覧ください。一番下の(2)「推進体制」となっております。最 初に申し上げましたとおり、このミレニアム・プロジェクトというのは省庁横断的な取 り組みを図るというのが1つの基本方針にされておりまして、具体的には15ページでご ざいますが、各個別研究の研究代表者から構成するチームを、各省庁縦切りではなく て、テーマごとに横切りで設ける。具体的には、ここに書いてありますように、ヒトゲ ノムからイネゲノムまで5つのチームを設ける。ですから、先ほどの御質問で申し上げ ますと、例えば疾患遺伝子のグループとして、厚生省から研究費が交付される方々、あ るいは文部省から研究費が交付される方々、これらの方々にお集まり願って、研究状況 でございますとか、あるいは研究の今後の進め方でございますとか、こういうものを研 究者御自身が御議論願うというのがこのプロジェクトチームでございます。  一方、各省庁はどうするかということでございますけれども、あくまで各省庁がおも てに出るのではないという考え方から、15ページの (c)、上から3つ目の段落でござい ますが、これをご覧いただきますと、各省庁はこれらの実施会議、あるいは評価助言会 議、あるいはプロジェクトチームを事務的に支えるということで、あくまでプロジェク トチームというのは研究者が集まる会議。ですから、ここで情報交換でありますとか、 そういう形でやっていただくという形になろうかと思います。 ○矢崎部会長 そのほかどうぞ。 ○眞崎委員 教えていただきたいんですけれども、資料 (3)の20ページに図がございますけれど も、バイオテクノロジー応用食品関連のところで、左の方のイネゲノムというのは恐ら く農林省関連でやると思うのですけれども、右の方に疾患関連が入っていますね。しか も太い矢印が付いているんですけれども、これはどういう関係にあるのでしょうか。 ○事務局  左側のイネゲノムというのは、ヒトで申し上げますとヒトゲノムの解析に相対するよ うなことでございまして、右側のアレルゲンフリー等の機能性作物あるいは食品の開発 というのは、先ほど32ページの(2)でございますけれども、厚生省も一部やりますし、農 水省も同じような補助金を用いて研究を実施されると聞いております。 ○眞崎委員 矢印が付いているんですけれども、これはお互いに関連を持って研究を進めるという ことでしょうか。 ○事務局  これは、先ほど痴呆を例に御質問いただきましたところと全く同様に、ここはイネゲ ノムという分野でプロジェクトチームが組まれるという形になろうと思います。 ○柳澤委員  資料 (3)の10ページ、12ページに、それぞれの研究につきましての主たる実施機関が 列挙されていますけれども、具体的な構成について少し質問と意見を述べたいと思いま す。非常に基礎的な研究であるために、こういったところに集中して研究を委託すると いうことは適切だろうと思いますが、ただ、ヒトゲノムに関して、例えば疾病関連遺伝 子などを実際に検索する上では、どうしても元になる患者のソースをどうやって得るか という問題があります。一方で、厚生省としては、国立医療機関の政策医療ネットワー クをどういうふうにこのような研究の中に組み込んでいくのかということが大きな課題 だと思うんです。そうしますと、実際の研究の実施にあたっては、センター組織と、そ れから現場のネットワークとの関係ということも非常に重視しなければいけないと思い ますし、私が立場上気になっておりますのは、痴呆の研究の中で、国立療養所中部病院 長寿医療研究センターには痴呆疾患研究部があって、そこではかなり遺伝子に関する研 究から分子機構の研究まで精力的に行われて、評価が高いということもありますので、 そういったものも全体として組み込んだ研究体制をつくらなければいけないだろうと思 います。そういう場合に、どういうふうにして研究体制を作るか、こういった基幹施設 に加えて、効率よく研究を進めるためのネットワークをつくるかということについて、 現在、事務当局で考えておられることをお話いただきたい。それから、1つの要望とし ては、そういう研究連絡機関については、是非、政策医療ネットワークを考慮するよう にしていただきたいと考えております。 ○事務局  厚生省におきます、これらの個々の研究についてどのような形で進めていくかにつき ましては、事務次官を長といたしますバイオテクノロジー調整会議という組織をつくり まして、その中で本年の8月から議論してきたところでございます。  また、先生がおっしゃっていますように、例えば痴呆なら痴呆、がんならがんを進め ていく上で、説明し、更に同意、インフォームド・コンセントを得た中で生体試料を提 供していただいて、その解析を進めていくということがどうしても必要になってまいる 訳で、これらのセンターだけで足りるのかどうかというのは考えるところでございます し、具体的に各センターにおきまして今、研究計画を立案させていただいておるところ でございますが、当然のことながら、今御紹介のございました政策医療ネットワークで ございますとか、あるいは従来から関係を持っておる病院でございますとか、それらと 協力をしながら進めていくということを考えていただいているセンターもあるというふ うに聞いておりますので、今後の具体化の中で先生の御趣旨をまた生かさせていただき たいと思っております。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。各施設から患者さんの試料を集めるという意味で も、資料 (4)にあります生命倫理問題に関する調査研究のガイドラインというのが極め て重要になると思いますので、また後ほど議論していただければと存じます。  そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。  26ページにあります、がんセンターに設立する疾病ゲノムセンターは、国立の試験研 究機関の情報がそこに集約されるというふうに理解されますが、先ほどの御質問にあり ました文部省、科学技術庁関連のセンターとのコミュニケーションは我々はどういうふ うに捉えていったらよろしいんでしょうか。何かガイドライン的なもの、あるいはコン セプトはございますでしょうか。 ○事務局 基本的には、27ページの図でも書いていますように、他省庁データベースとリンクを していくというのが基本の発想としてある訳でございますが、今後詰めていかなければ ならない点といたしましては、先ほどの生命倫理ガイドラインとの関係もある訳でござ いますけれども、疾患関連の遺伝子関係の研究をしていただく。どうしても、そのとき には遺伝子解析の研究結果と、臨床情報と申しますか、診療情報と申しますか、どうい う状態なのか。どういう薬を使って、どういう反応があったのかというような情報も一 緒に解析を進めていただく訳でございまして、そういう意味で、どこまでの内容を他省 庁とリンクできるのか、あるいは一般に提供できるのかというのを、このガイドライン の中でも研究をいただいておりますし、我々としても、その議論を尽くさなければなら ないというふうに考えております。ですから、一般的な考え方としては、当然のことな がら、他省庁、あるいはそれ以外とリンクをする、あるいは統合するというのが基本的 な発想でございますが、個人情報、あるいは疾患情報の保護をどのような形で図ること ができるのかというのを今見定めておるところでございます。 ○矢崎部会長 その点がクリアできますれば、研究を効率よく進めるという意味で、他省庁と密に連 絡をとって、センター同士で検討するというふうに理解してよろしいでしょうか。 ○事務局 はい。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。 それでは、生命倫理問題に関する調査研究のガイドラインについて、何か御質問ござ いますでしょうか。特に最近、思いがけないいろいろなことが起こって、これに関する ガイドラインをきっちり定めようという流れになって、こういうものがつくられたと思 います。いかがでしょうか。 ○高久委員 こういうガイドラインはぜひ必要だと思います。このガイドラインは厚生科学審議会 の検討を経て、厚生省としての方針を取りまとめるということになると思います。前に 新聞で、ある大学からある大学に患者さんの了解を得ないでサンプルの細胞の遺伝子を 調べてもらったということを問題にしていましたが、このガイドラインは国立の研究所 の研究者を対象にするのか。あるいは、大学を含めたすべての研究者を対象にするの か、どちらですか。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○事務局  規制の対象と申しますか、ガイドラインの対象の範囲の御議論だろうというふうに考 えておりますが、まず、我々として一番目に対応しなければならないのは、今回のミレ ニアム・プロジェクトの円滑な実施、適正な実施という観点でございますから、そうい う面で申し上げますと、ミレニアム・プロジェクトの研究に参加していただく機関の 方々には厳に守っていただくというのがまず第1だろうと思っています。  次の問題といたしまして、先生、御指摘のとおり、厚生省傘下の研究所でございます とか、あるいは厚生省が研究費補助金を流すときの問題でございますとか、そういうと ころがある訳でございますけれども、そういう点については、また先端技術評価部会の 御意見を聞きながら、どの範囲まで適用するのがいいのかというのも御議論願いたいと 思います。 ○矢崎部会長  この委員会のガイドラインについては、インフォームド・コンセントをどのようにと り、遺伝子解析を患者さん側の理解を得て進めるかということに視点が置いてありま す。科学技術会議の生命倫理の基本的な考え方は、実際にそういう技術をどういうふう に応用したらいいかというように、趣旨が大分変わっているところがあると思います。  私、これを拝見していて、科学技術会議の方ですけれども、人のES細胞の取り扱い についてはなかなか議論があるところですが、まだ最終的な結論には至っていないよう な感じがします。と申しますのは、ES細胞は、先ほどミレニアム・プロジェクトにご ざいますように、いろいろな再生医療に関して極めて密な関連の領域であります。もち ろん、個体につながるような技術の開発、これ自身は禁止されるべきだと思いますけれ ども、ES細胞の培養とか、そういうものに関して、これは高久先生が一番お詳しいと 思いますが、何かコメントございますでしょうか。 ○高久委員  おっしゃるとおり、ES細胞については2つ問題がありまして、1つは、日本でES 細胞をつくるのを認めるのかという問題です。  もう1つは、既にできているES細胞を研究者が使うということについて、これを全 く自由にするのか。ガイドラインのようなもので規制をするのかということでして、ま だ結論は出ていません。ただ、将来の臨床的な応用ということを考えると、ES細胞を つくるのはよその国でつくってもらって、使うのだけは自分達というのはおかしいので はないかということで、恐らくES細胞をつくることとその使用についてのガイドライ ンができて、つくる場合にはある程度施設を限定して、多分、大学とか研究所になると 思うのですが、そこでできたものについては研究者の要望に応じて分配をする義務を課 すのではないか。使用に関しては、試験管の中で人のES細胞を分化させることまで 一々詳しく規制をするのはおかしいのではないかという議論もあるのですが、少なくと も研究の発展の初期の段階では、ガイドラインをつくって、そのガイドラインによる規 制をせざるを得ないのではないかという意見ですが、まだ確定はしておりません。 ○矢崎部会長  そうしますと、これからそれに関するガイドラインがまた設定されるということでご ざいましょうか。  それともう1つ、先般問題になりました人の核を動物の卵細胞に入れて研究を行った と。これは、クローンになる可能性は、現実的にはなかなかそういうことはないと思い ます。しかし、その定義がはっきりしません。今回は、人の核の移植は、種を超えた移 植も禁止するというふうに考えてよろしいんでしょうか。 ○高久委員  大体その方向にいくのではないかと思っています。ただ、それは、例えば法律で罰す るというような形にはならないと思います。しかし、一応禁止をするという形になると 思います。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。 ○眞崎委員  今のお話ですけれども、人の場合だけですよね。死を超えてというのは、ほかの動物 同士はいいんですね。 ○高久委員  それは問題にならないと思います。 ○矢崎部会長  その他いかがでしょうか。先ほど柳澤先生がおっしゃられた、患者さんの試料を患者 さんのインフォームド・コンセントをとって集めて、それを政策医療ネットワークを活 用して、厚生省としても効率よく研究を推進するという趣旨が生かされるように、この ガイドラインができたというふうにお話し申し上げましたが、遺伝子解析というのはイ ンフォームド・コンセントがなかなか難しくて、例えばAという国立病院でとった場 合、それを医療政策ネットワークでいろいろなところで解析するということができるか どうかというのは、医師と患者さんとのインフォームド・コンセントによるわけで、そ の辺は先生はどういうふうにお考えになりますでしょうか。 ○柳澤委員  私が先程申し上げました、試料を得るための政策医療ネットワークの利用というの は、具体的には、アルツハイマー病についての従来の我が国の経験からきたことなんで す。アルツハイマー病について治療薬の開発を我が国でも行いましたし、外国でも既に 行っておりますけれども、やはり日本において一番問題になったのは、きちんとした診 断基準に基づいて、プロバブル・アルツハイマー病という診断以上の患者さんを例えば 500名集めるということ自体が、今の日本の医療体制のもとでは非常に至難なんです。 それは、がんとか、ほかの領域とかなり違うのかもしれません。しかし、そういうふう に患者さんについて常時きちんとした診療を行っていて、必要とあらばその試料を研究 に持ち込むことができるというふうな体制をつくるということがこれからはどうしても 必要になる。そうしますと、むしろ今、部会長のおっしゃった意味では、得られた試料 について、どこでもが研究をするというふうなことは現実的ではないだろうと思うんで す。ですから、そういった研究体制をつくった場合には、試料は複数のネットワークに 属する医療機関から得るにしても、それをどのような方法で、何を調べるのかというこ とについては、患者あるいは家族からの了解を得て、そしてきちんとしたルートに乗せ て、あるところで計測するなり研究をするというふうなルートはきちんとつくらなくて はいけない。ですから、倫理的な面については、インフォームド・コンセントを得て、 試料をしかるべきルートに乗せて扱うということがどうしても必要だろうと思います し、その体制は、当然のことながら、ネットワークから試料を集めるときにはきちんと つくって明示されなくてはいけないというふうに思います。 ただ、問題は、そういうふうに集めた試料について、研究が進展するに従って、更に インフォームド・コンセントで得た内容以外のものに研究が進められるということが必 要になってきたときにどう扱うか、これは非常に難しい問題で、現在でもいろいろな現 場で直面している問題だろうと思います。その点については、しかるべきところで是非 検討して、ガイドラインを出していただきたいというふうに思っております。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。先日の国立試験研究機関の集まりでも、今まで十分 なインフォームド・コンセントをとって患者さんからいただいたDNAのサンプルで も、新しい研究の展開で、またもう一度とり直さないといけないということでなかなか 難しい問題が出てきました。基本的にはやはりインフォームド・コンセントをとり直す 方向でいかざるを得ないのではないか。ただ、コホートスタディによるような貴重な試 料に関しては、今後やはり柳澤先生が言われるように、どうしたらいいかということを 十分検討して進めなければいけないのではないかという結論ではなかったかと思いま す。何か御意見いかがでしょうか。 ○高久委員  柳澤先生がおっしゃったとおりです。しかし、かなり難しい問題があると思います。 新聞で問題になった健診のサンプルを他の大学に送ったという場合も、恐らく研究に使 うことがあるという程度の同意はとっておられたと思うのですが、DNAのアナルシス をやったので問題になったと思います。今度のスニップスの解析でも、スニップスの研 究が可能になり、その重要性が認識されてきたのはここ数年だと思います。そうする と、前に同意を得て得ていたサンプルももう一回とり直す。御本人が亡くなっている場 合や連絡がとれない場合にどうするのだ。せっかくの貴重な試料も、同意が物理的に得 られないような状態になっている場合にどうするのかというような問題は、ぜひ垣添先 生の委員会で十分に検討していっていただきたいと思います。それからテーマの追加の 問題もありますね。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。先生がおっしゃっていただいた、もう採れなくなっ たような症例とか、あるいは追加のテーマはどうするか、そしてもう1つは、東北大学 の問題は、東北大学でやるのではなくて、ほかの施設で解析するという問題もあって、 これはいろいろなケースを考えると極めて複雑になりますので、少しガイドラインでそ の辺を整理して最終的には作成していただくようにしたいと思っております。  そのほかいかがでしょう。 ○堺審議官  今、高久先生から、こういうことを垣添班でやっていただきたいという御要望が出ま したけれども、その点につきましては議論は出ておりますので、何らかの形でどうする かというのはあろうかというふうに思っております。  それから、私、前に地方医務局長もやっていた関係上、政策ネットワークというのは 十分活用しない手はないなというふうにも思っておりますが、ただ一方で、これはプロ ジェクト研究でございますので、一般研究と違いまして、一般研究はそれでいいと言っ ている訳ではありませんが、薄膜になって限られた期間内で目的が達成できないという ことにならないように、そこら辺は十分考えていっていただきたいというふうに思って おります。以上です。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。確かに、その点は十分留意していかなければならな い大切な点だと思います。そのほかいかがでしょうか。  それでは、また何かございますれば、御意見を事務局にいただければ大変ありがたく 存じます。  では、「国立試験研究機関及び国立医療機関と一体化した研究機関の評価について」 に移りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。 ○保健医療局国立病院部政策医療課  指導官の塚原と申します。資料 (5)でございますけれども、前回の当部会におきまし て、まだ御報告ができていませんでした2施設についての評価結果を簡単に御報告をさ せていただきたいと存じます。1施設が国立療養所中部病院長寿医療研究センターでご ざいまして、もう1つが国立循環器病センターでございます。  まず、国立療養所中部病院長寿医療研究センターでございます。外部委員による委員 会の評価ということでございまして、ここに書いてありますように、10名の委員の先生 方で評価をしていただいております。 評価の対象でございますが、実は年度計画で部を増やしてきておりまして、現在、8 部の研究部がございますが、でき上がりましてまだ期間の短い部もございますので、研 究対象といたしましては、平成8年度までにできました、6つの部と1つの共同利用室 でございます。この組織におけます研究成果、4年ないし3年という期間の研究成果に ついて評価をいただいております。  次に評価の経緯でございますけれども、12月7日にこのような日程で御議論いただき まして、最終的には12月13日に報告書という形で評価をいただいております。 評価結果の概要について、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。3.1.1「調 査・研究の実施状況と成果について」ということでございますが、特に御評価をいただ いておりますのが、「特に痴呆疾患研究部の実績は」というところでございますけれど も、アルツハイマー病の全貌にせまる努力が形となってあらわれてきているということ で、非常に高い評価になるというような御評価をいただいております。そのほかにも、 老人医療研究部におきます骨粗しょう症の研究でありますとか、疫学研究部におきます 長期縦断研究というようなところをかなり高い評価をいただいているということでござ います。一方、問題点でございますが、下から7行目ぐらいになりますが、「一方」と いうところで御指摘をしていただいておりますけれども、組織規模が限られており、こ の点は行政側の理解と援助の強化が期待されるというような御指摘をいただいておりま す。こちらの資料には載せてございませんが、国立療養所中部病院につきましては、本 年3月に国立病院療養所の再編成計画というものを見直しまして、その中で将来的には 長寿医療のナショナルセンター化を図っていくということを決定しておりますので、そ の中で研究組織のあり方ということについても今後詰めていくことになろうかと思いま すので、併せて御報告をさせていただきたいというふうに考えております。  3ページ以降は定められた様式によりまして評価をしていただいた概要をまとめてご ざいますので、お目通しいただきたいということで御説明は省略をさせていただきたい と存じます。  続きまして、国立循環器病センター研究所でございますが、委員の先生方の評価をい ただいておりますが、2−2にございますように、8名の委員で評価をしていただいて おります。外部の先生が6名、松尾先生は名誉所長でありますので、内部といいます か、外部といいますか、内部的な御指摘ということもありますけれども、松尾先生、そ れから研究所長の合計8名ということで評価をしております。そのもとに、評価小委員 会という組織を設けまして、より具体的な議論をしていただいたようでございます。  評価対象年度でございますけれども、2−3にございますように、現在、国立循環器 病センター研究部が14ございますけれども、14の部すべてにつきまして平成8年度から 平成10年度の3年度にわたります研究成果について評価をいただいております。  評価の経緯でございますけれども、12月3日に評価委員会を開催させていただきまし て、そちらの方で評価をしていただいたということでございます。  9ページをご覧いただきたいのですが、調査・研究の実施状況と成果につきましての 評価を御説明したいと思いますけれども、7行目ぐらいに括弧で書いてあります。非常 に突出した研究業績ということで、生体内情報伝達、それから制御機構の解明でありま すとか、人工心臓の開発と臨床応用というような研究につきまして非常に高く評価をし ていただいているということでございます。その他、いろいろ各研究所の研究活動につ いてもいろいろな形で評価をしていただいているようでございます。一方、どんな御指 摘をいただいているかということでありますけれども、下から3行目、4行目に書いて ございますように、循環器病ということに着目をしていただいたようでありますが、健 康な老人社会の構築のために、今後の研究テーマをより一層明確化する必要があるとい うことと、これも私どもに対する御指摘とも受けとめさせていただかなくてはいけない と思うのですが、人員増あるいは予算規模を拡大すべきというような指摘をいただいて いるようであります。  以下につきましては、様式に従いましてまとめさせていただいておりますので、お読 み取りいただければと思います。以上でございます。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。 ○事務局  引き続きまして、国立身体障害者リハビリテーションセンターについて御報告申し上 げます。 ○障害保健福祉部企画課国立施設管理室 三枝室長  障害保健福祉部の三枝でございます。国立身体障害者リハビリテーションセンターの 研究所の評価結果につきまして御説明をいたしたいと思います。  まず、評価委員会は平成11年2月に発足いたしまして、座長は順天堂大学の山内先生 にお願いしているところでございます。外部委員は10名になっておりまして、医学系が 4名、工学系が3名、福祉系が2名、それから有識者が1名の構成でございます。  次に評価対象年度でございますが、平成10年度ということで機関全体の評価を行って おります。平成11年度以降につきましては、研究所全体の評価が3年で1回回りますよ うに定期的に実施したいと考えております。  それから、評価結果でございますが、時間もございませんので、要点だけ御説明させ ていただきます。まず、3−1の「研究・試験・調査の状況と成果に係る評価結果」に ついてでございますが、本研究所は我が国の身体障害者に対しますリハビリテーション に関する総合的な研究のリーダーとして、そういうふうな役割が課されているところで ございます。これは、身体障害者の社会復帰なり、あるいは社会参加のためのリハビリ における問題解決というような使命を持っている訳でございますが、研究部門は医学系 が2部門、工学系2部門、それから社会心理学系1部門の5研究部門と、製作部門とし て補装具製作所が設置されております。所長以下33人で構成されている訳でございます が、少人数で広範な研究をせざるを得ないというのが現状でございます。評価において は、少ない人数にもかかわらず、限られた予算の中で、広範かつ身近なものから高度な 研究まで幅広く行われ、成果を上げており、高く評価できるというような評価をいただ いたところでございます。 それから、14ページに入りまして、3−2の「研究開発分野・問題の選定について」 でございますが、先ほど申しましたように、本研究所の使命としましては、高度な技術 を利用する研究なり、あるいは地道ではありますが基礎的で極めて重要な研究の実施な ど、テーマ設定が非常に幅広になるというような状況がございます。しかしながら、各 研究部門では、それぞれの目的に合った研究テーマを選定しており、妥当というような 評価を得たところでございます。  次に、3−3「研究資金等の研究開発資源の配分について」でございますが、研究資 金についてはほとんど国家予算というようなことで、特別研究費によりまして経常研究 費が賄われているという実態にございまして、全体で約2億七、八千万円というような 状況でございます。そういう意味で、今回の御報告の中では人当研究費がございません ものですから、人当研究費の獲得が課題というふうな御指摘をいただいたところでござ います。  それから、3−4「組織・施設整備・情報基盤・研究及び知的財産権取得の支援体制 に係る評価結果」でございますが、5研究部門、それから補装具製作部門が設置され、 組織体制は整っているが、社会経済学分野、あるいは情報システムに関する分野、身体 障害に対する新医療技術の研究など、今後の新しいニーズの発生に対して臨機に対応で きる弾力性が必要であるというような指摘。あるいは、今、内部に臨床サービス部門と いうことで、更生訓練所なり病院が設置されておりますが、これらとの有機的な連携が 必要だというような指摘を受けたところでございます。  それから、施設・整備につきましては、機能的画像診断装置、あるいは脳磁場計測装 置、こういうものが整備され、新しい研究設備の整備が評価されております。また、研 究員によって十分活用されているという指摘も受けたところでございます。  それから3−5「外部との交流」の関係でございますが、センター内の各部門との共 同研究に関しては、先ほど申し上げましたように、特に臨床部門との有機的な連携が課 題であるというふうな指摘を受けております。また、現在、流動研究員あるいはリサー チ・レジデントということで14名が在籍している訳でございますが、流動研究員等を受 け入れて、研究が更に活性化できるようというような指摘も受けているところでござい ます。これら若い世代は研究所の活性化につながるということもございますので、今後 とも拡大の方向で臨むこととしているところでございます。 それから、国際協力につきましては、途上国の若手研究者の受け入れにも力を入れる べきという御指摘を受けたところでございますが、センター全体で見ますと、平成10年 度実績で国外研修生の受け入れは16ヵ国、26人で、海外からの視察も61ヵ国、 200人を 超えるというような状況にございます。これは今後とも推進していきたいというふうに 考えておるところでございます。 それから、3−6の倫理規程の整備状況の関係でございます。動物実験に関する倫理 規程は欠けている訳でございますが、これを機会に、医学研究に限らず、関連する各分 野の研究における倫理規程につきまして検討を進めるというふうにしているところでご ざいます。 以上、指摘を受けたところでございますが、制度的な問題もありまして、一気に改善 するということは困難ではございますが、いただいた評価を踏まえまして、前向きに受 け止め、改善に努めることとしているところでございます。以上でございます。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。今、3つの研究機関の評価について御報告いただき ましたが、何か御質問、あるいはコメントございますでしょうか。眞崎先生、柳澤先 生、何かコメントございますでしょうか。 ○眞崎委員  特にございませんけれども、よろしくお願いいたします。 ○柳澤委員  長寿医療につきましては、私が直接関係している機関でありますけれども、生育医療 の場合も共通の問題があると思います。発達、加齢、老化というものは、非常に多くの 疾患とか、あるいは基礎的な領域を含んでいるということで、既に疾患オリエンテッド のナショナルセンターとして、存在する組織との共同研究体制とか、いわゆるすみ分け をどうするかというのは、これからもいろいろ考えていかなければいけない点ではない かと思います。私自身の考え方としては、国として非常に大事なテーマにアプローチす るという点では、多面的なアプローチが必要でありますので、余りすみ分けということ に神経質にならないで、むしろそれぞれのところで発展してきた研究領域を、できるだ け協力をして更に発展させるという視点が非常に大事ではないかというふうに思ってお ります。そういう点では、私どもは外部評価委員にいろいろな領域の方をお願いいたし ましたけれども、その方々の御意見もやはりそういう方向でお考えいただいているとい うふうに理解しております。以上です。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。 ○寺尾委員  厚生省の外部の評価委員会のメンバーというのは、分野が全く違う人を入れるという ルールになっていたような気がするのですけれども、違いましたか。それは、これから メンバーを変えていくのか、あれはあくまでも原則であって、必ずしも必要ないのか。 そこら辺はどういうふうにお考えでしょうか。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○眞崎委員  構成員はものすごく悩んだところです。それで、私どもは、やはり専門的な業績の評 価はピアレビューが絶対必要だと思いまして2段構えにしたんです。最初の段階でピア レビューを行って、そのほかに親の委員会は外部の方を入れる。ただ、その外部で入れ る方も、人文系の委員を入れるという意見はたしかございましたが、それは、かなり躊 躇いたしました。やはりおわかりにならないんじゃないかと思いまして、その辺は厚生 省の方針とちょっと違うところがあるかもしれないですけれども、今回はそのようにさ せていただきました。それを本当にそうお考えになるのかどうかということを、いつ か、どこかでお聞きしたいと思っているのですけれども。 ○矢崎部会長  何か事務局で説明がありますか。 ○事務局  規定だけ簡単に御説明申し上げますと、「評価委員会の委員は以下の者とする」とな っておりまして、「当該研究機関に所属していない者で、当該研究機関の行う研究分野 の指導的研究者から選任する」。すなわち、外部の人で、その分野の指導的研究者とい うのが基本。それで、必要に応じてということになっておりまして、今、御質問のあっ たような人文系の人を読むのだろうと思いますけれども、「専門分野以外の分野の有識 者」というのがここにございます。ですから、あくまでそれを入れろという規定には今 のところなっておりません。 ○堺審議官  ここで私から言うのが適切かどうかわかりませんが、それほど遠くない将来の方向性 としては、丸っきりの専門外の方に、研究所なり何なりがどういうことをやっているの か、どういう成果を上げているのかということをわかっていただく努力というのは必ず 必要なはずでございますので、そういう方向に向けて努力していただければ幸いでござ います。 ○柳澤委員  ここは研究企画部会ですから、具体的な個々の評価の内容に立ち入るということは余 り適当ではないかもしれないですが、私どもの長寿センターについての外部評価委員の 名簿を見ていただくとおわかりいただけると思いますけれども、今堀委員とか、あるい は寺田委員、大石委員というような方々は、長寿科学あるいは長寿医療についての研究 ということよりは、むしろ厚生科学研究といいますか、厚生省としての研究のあり方と いう観点で見ていただくということで入っていただいた訳でございますので、恐らく全 くの素人の方というものもこれからそれぞれの研究機関の評価に関わっていただくのは 必要だというお考えもそのとおりだと思います。やはり厚生科学全体として、個別の機 関のあり方というものについてきちんと評価していただくということも当然必要なこと なので、今後ともにこのような形の構成は必要だというふうに思っております。 ○矢崎部会長  そのほかいかがでしょうか。 ○菊地委員  直接的な質問というよりは、むしろ間接的な質問で恐縮でございますけれども、今 日、御報告いただいた3つの施設は、いずれも民間資金の導入状況というところに、い わゆる文部省の奨学金といいますか、ああいうようなものがないということで、なかな か導入が難しいといいますか、制度上難しいということの指摘がある訳でございます。 実は私自身が防衛庁の医学部ということもございまして同じような立場に置かれており まして、厚生省として今後こういった制度をどういうふうにお考えになるのか。もし何 か見通し等がありましたら教えていただけますと、防衛庁にとっても大変参考になると いいますか、1つの突破口になるという気もいたしますけれども、そこら辺はどのよう な基本的なお考えがあるのか、もしお漏らしいただければありがたいと思います。 ○事務局  文部省の科学研究費のお話と思うのですが、厚生省として、文部省の科学研究費が、 確かに国立病院部の中でも科学研究費に申請したい、申請できるようにしてくれという 意見もあります。例えば医療職の先生方がたくさんおられる訳で、そういう声は伺って おる訳でございますが、では厚生省としてどうするのかという点については未だ議論を していないところでございます。 ○菊地委員  文部省の科学研究費ではなくて、民間資金の導入という点ではいかがでございましょ うか。 ○事務局  民間につきましては、先ほどミレニアム・プロジェクトの中でも御報告申し上げまし たとおり、民間との共同研究を進めていくということで、既に共同研究契約の様式でご ざいますとか、手続きでございますとか、そういうものを通知いたしておる訳でござい ます。そういう点から申し上げますと、今後とも、特にミレニアム・プロジェクトもそ のきっかけといたしまして、そういう方向というのは進めていきたいというふうに考え ております。 ○高久委員  菊地先生が御質問になったのは、文部省の場合、委任経理という制度があります。厚 生省の場合には、ヒューマンサイエンス振興財団を通じてのものはありますが、文部省 の委任経理では民間からの研究費を受けやすい体制になっているので、国立試験研究所 でもそういう制度を考えていただくと民間のお金が入りやすい、共同研究がしやすいの ではないか、そういうことですね。 ○菊地委員  そうです。 ○事務局  少し勉強させてください。申し訳ございません。 ○矢崎部会長  これは文部省系と厚生省系の研究機関で一番大きな相違なので、法的にいろいろ考え ていただければずいぶん違った展開になると思いますので、今後とも御検討いただけれ ばというふうに思います。  先ほどの評価の部分ですけれども、やはりピアレビューが必要だということと、それ から、今、研究自体、特にゲノムプロジェクトを含めて、研究者の中だけの進め方でい いかどうかということも、社会の中での研究でありますので、そういう意味でいろいろ な視野から研究所を評価していただくというのがこれからの道筋ではないかと思いま す。ですから、もう少し広く構成について考えていただければ、私が言う立場ではあり ませんけれども、そういう方向に向かっているんじゃないかという感じがします。先ほ ど審議官もそういう趣旨でおっしゃられたのではないかと思います。  それでは、次の事項に移らせていただきます。厚生科学研究費補助金による研究事業 の評価結果の通知等について、事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局  資料 (6)に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。  平成10年1月28日に告示させていただいた「厚生科学研究に係る評価の実施方法に関 する指針」については、厚生科学審議会で御議論を賜り、その御議論を踏まえて告示さ せていただいた訳でございますが、その中に、事前評価でございますとか、事後評価、 あるいは中間評価、その評価結果を、研究者あるいは申請者に通知すべしというふうに なっている訳でございます。しかしながら、その具体的な手続き、あるいはどういった 内容を通知するのかというのが規定されてなかった訳でございまして、その標準的な取 り扱いについて、平成11年12月22日付で通知をさせていただいたということでございま す。 簡単に御説明申し上げますと、まず、第1「個々の研究申請者に通知する事項」とい うことで、「事前評価」の(1)「全員に通知する事項」と書いてありますけれども、 (a) から (l)まで、例えば全部の平均点でございますとか、全部の件数を通知しましょう と。その次のページでございますが、個々の研究申請者については、その採否の結果、 これは当然だろうと思いますけれども、それと、指針で定められたそれぞれの指標ごと の採点結果を通知をする。すなわち、申請した方については、その方の評価結果と平均 点がいくということでございます。様式を参考までに示しておりますけれども、そこか ら2枚めくっていただきますと、別表1というのがございますが、「事前評価結果(研 究者通知用)」となっておりますけれども、個々の申請者については、その方の研究計 画に対する点数と、その分野の平均点数並びに全体の申請の点数の分布を通知をすると いうことで整理をさせていただいております。  以下、「中間評価」、「事後評価」についても、基本的な発想としては同じでござい まして、本人の部分については、本人の評価結果と全体がわかるように全体の平均点並 びに分布を通知をするということにさせていただいております。以上でございます。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。個々の研究者に対しては、評価委員会の個別的なコメント はできるだけお知らせするというのが評価のあり方の答申のメインポイントだったと思 います。何か御意見、あるいは御質問ございますでしょうか。 ○眞柄委員  大したことではないんですが、学術的評価点数と行政的評価点数の最高点が違うの で、これは何か特別な意味があるのかないのかというところをお話ししていただければ と思います。 ○事務局  学術的評価点数というのは、3つの分野、すなわちその研究の重要性、発展性、独創 性・新規性等々について、それぞれ一定の点数で評価する。行政的な課題につきまして は、行政課題との関連性、あるいは行政的な重要性等々を評価する訳でございますが、 そもそも決めていただいた指針の中で行政の方が評価する項目が少のうございます。そ の項目を反映しておる訳でございます。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。大型の研究費については、事前・中間・事後に加えて、ヒアリ ングの評価が今実施されている訳ですね。何か御質問ございますでしょうか。 ○寺尾委員  これは、評価する方の氏名は公表されているのでしたか。そこは非公開ですか。 ○事務局  公表されていると思います。 ○寺尾委員  そうすると、いろいろ厄介な問題が発生してくるのではないかという心配もあるので すけれども。 ○矢崎部会長  これは、評価委員会の委員の氏名は公表されますけれども、個々の研究者に対するコ メントについては表記しないということになっていると思います。 ○事務局  個々の申請者の点数であるとか、あるいは、だれがコメントしたのかというのは当然 公開する考えを持っておりませんが、全体として何点というのは公表させていただくと いうのが今回の本旨でございまして、それにたえ得るような立派な有識者の方々が評価 委員になっていただいておりますので。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。よろしいでしょうか。 ○柳澤委員  先ほどの機関評価のところでちょっと言い忘れたので、申し訳ないですが追加してお いていただきたいのですが、特に外部委員による機関評価をするときに、その評価に係 る費用をどうするかということは、前に評価に関する大綱的指針のことを当部会で議論 したときにも問題になったと思いますが、どういう費目から出すかということがなかな かはっきり決まっていないということがあります。そのために、我々の組織では実際に 機関評価が、計画は既に1年以上前にできているのに実施できなかったという経緯があ ります。この点についてはどういうふうな取り扱いをするのか。現在の段階における事 務局のお考えを聞かせていただきたいと思うのですが。 ○矢崎部会長  お答えできますか。今のお話は財源的な問題ですね。 ○柳澤委員  そうです。財源の点です。 ○事務局  どうも予算上の細部の話のようでございまして、私、承知しておりませんので、少し 勉強させていただいた上、また個別に御回答させていただきたいと思います。 ○柳澤委員  済みません。事務的に処理していただければいいことなんですが、前回議論したとき にかなりそれが問題になって、実際上なかなかきちんとした形で費用を出すことができ ないという実情があるようなんです。ですから、それはぜひ事務的に対応していただき たいと思います。指針におきましては、3年ごとに評価をするということがきちんと決 まっている訳ですから、場合によっては、それに関する予算を独自に計上するというこ ともしていただいた方がやりやすいということがあるかなというふうに思います。ぜひ その点、御検討いただきたいと思います。 ○事務局  正直申し上げて、厚生省傘下の研究所というのは、私ども厚生科学課の所掌しており ます国立感染症研究所であるとか、国立医薬品食品衛生研究所であるとか、そういうも のもございますし、国立病院で運営されておりますナショナルセンターを中心とした研 究所がございます。また、先ほど御紹介申し上げた国立身体障害者リハビリテーション センター研究所がございまして、委員の皆様方よくご存じのとおり、それぞれ予算が別 立てでついておりますので、今お答えするという訳にはなかなかまいりませんし、関係 機関とも相談をして対処したいと思っております。 ○寺尾委員  資料 (3)に関することですけれども、国立がんセンターにゲノム解析センターができ ますね。全体の機能というのはまだよくわからないんですけれども、資料 (3)を見ます と、少なくとも1つは遺伝子の解析の部門、もう1つはデータベースがありますけれど も、その他何かまだ機能はあるのでしょうか。この2つでよろしいんでしょうか。 ○事務局  当然のことながら、国立がんセンターが中心となってやられます、がんの分野の遺伝 子解析の研究というのが一番のメインとしてあるものだろうと思っております。各機関 共用と申しますか、共同利用的な色彩で考えておりますのは、今のところこの2つでご ざいます。 ○寺尾委員  わかりました。ありがとうございます。 ○眞崎委員  1つ気になっていることがあるんですけれども、生命倫理のガイドラインについてで す。高久先生もいらっしゃるのでちょっとお聞きしたいんですけれども、科学技術庁が ワーキンググループをつくって検討を始めたと新聞に出ておりました。厚生省の生命倫 理は人に関するものを扱うと思うのですけれども、科学技術庁はどういうところを議論 なさっているのか、もしお聞きできたらありがたいと思います。 ○高久委員  まだ正式には委員も決まっておりませんし、どういうことをその中で議論するのかは まだ決まっていないと思うのですけれども、恐らく垣添先生の委員会よりは、もっと幅 の広い問題を議論するのではないかと思っておりまして、恐らく垣添先生の研究班で出 てきた内容も当然含まれるので、十分に参考にして、もう少し幅の広いものになるんじ ゃないかというふうに個人的には考えておりますし、予想としては、この研究企画部会 の委員会の結果の方が早く出ると思いますので、それを踏まえたものになるのではない か。ですから、重複はあるとしても、内容が違ったものになるということはあり得ない というふうに考えています。 ○矢崎部会長  その他よろしいでしょうか。  それでは、そろそろ時間も迫ってまいりましたので、事務局から今後の日程について 連絡をよろくしお願いします。 ○事務局  次回の研究部会は来年の3月頃、開催していただきたいと考えております。そのた め、御予定を記入していただく文書を配付させていただいておりますので、御記入の 上、送付していただきますようお願い申し上げます。開催日時につきましては、改めて 決定次第、通知させていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  それでは、本日の研究企画部会は本年最後になります。堺審議官に出席いただいてお りますので、何か一言御挨拶いただけますでしょうか。 ○堺審議官  一番最初の議題で御説明させていただきましたように、今回、ミレニアム・プロジェ クトということで、厚生省としては大きな予算が頂けた。それは補正と合わせてでござ いますが。ですから、先ほど途で申し上げましたように、いかにこれの成果を具体的に 出していくかというところに各研究機関の皆様方、精力を集中してやっていただきたい ということと、もう1つは、先ほどから議論に出ておりますように、これの遺伝子を取 り扱う手続き、いわゆる生命倫理ということで、できるだけ世の中の人々に納得してい ただけるような手続きでやりたい。そのために垣添先生を中心とした研究班で検討して いただいているということであります。  ただ、これは表現の仕方が非常に難しい訳ですが、極端に難しいガイドラインをつく って研究が全くできないということではいけませんし、だからといって、現状がこうだ からと、それに流され過ぎてもいけないという、まさにそこら辺は人知を尽くしてやっ ていただきたいと思っております。成果が出次第、また厚生科学審議会の方に御審議を お願いして、また、パブリック・コメントもいただいてということでやっていきたいと いうふうに考えております。以上、そういうことで新しい千年紀を迎えるにあたっての 私の言葉とさせていただきます。本日はありがとうございました。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。それでは、本日の研究企画部会をこれで終了させて いただきます。お忙しいところ、どうもありがとうございました。 <了> 問い合わせ先 厚生省大臣官房厚生科学課 担 当 新木(内線3806) 電 話 (代表)03-3503-1711 (直通)03-3595-2171