ヒト組織の移植等に関する専門委員会第1回議事録            厚生科学審議会先端医療技術評価部会        ヒト組織の移植等への利用のあり方に関する専門委員会                  第1回議事録              日時 平成11年12月21日(火)                 17時16分〜19時12分              場所 弘済会館「椿の間」 出席者(○:委員長 敬称略) 位田 隆一  糸満 盛憲  鎌田 薫   北村 惣一郎 佐多 徹太郎 篠崎 尚史  柴田 鐵治  島崎 修次 ○野本 亀久雄 早川 堯夫 松村 外志張  1.開 会 2.議 題   (1)ヒト組織の移植等への利用のあり方に関する         専門委員会の設置について      (2)各組織バンクの現状について      (3)各界における取組みについて      (4)その他  事務局   お待たせいたしました。定刻を少し過ぎましたけれども、ただいまより、厚生科学審 議会先端医療技術評価部会、ヒト組織の移植等への利用のあり方に関する専門委員会を 開催いたします。  先生方におかれましては本日、お忙しい中をご出席いただきましてありがとうござい ます。本日は第1回目の会議でありますので、事務局の方から先生方のお名前を紹介を させていただきたいと思います。大変恐縮でございますが、お手元にお配りの資料、の ちほど資料確認はさせていただきますが、資料の2頁目に先生方のお名前、1頁飛びま して4頁目にこの座席図というふうな形になってございます。  正面に九州大学生態防御医学研究所の野本先生。あと順次、50音順になっております けれども、京都大学大学院法学部、位田先生。北里大学医学部、糸満先生。早稲田大学 法学部の鎌田先生、ご出席の予定をいただいておりますけれども、まもなく到着されよ うかと思います。国立循環器病センター、北村先生。国立感染症研究所エイズ研究セン ター、佐多先生。  正面の方になりますが、角膜センター・アイバンクの篠崎先生。株式会社朝日カルチ ャーセンター、柴田先生。杏林大学医学部、島崎先生。国立医療薬品商品衛生研究所、 早川先生。お名前は国立がんセンター、廣橋先生が名簿、順番になってございますが、 本日、ご都合により欠席というふうになってございます。次に日本組織培養学会倫理問 題検討委員会、松村先生。先生方、以上でございます。  事務局の方、厚生省の担当者を紹介させていただきます。真ん中におります篠崎保健 医療局長でございます。右にいきましてエイズ疾病対策課長、麦谷でございます。左に まいりまして臓器移植対策室長の朝浦でございます。室長補佐の山本でございます。一 番右にまいりますが、室長補佐の阿萬でございます。出席、以上でございます。  なお、本会議におきます委員長でございますが、選任につきましては厚生科学審議会 の専門委員会ということになってございまして、厚生科学審議会の会長の方から野本先 生とのご指名をいただいておりますので、野本先生に委員長をお願いいたすことになっ ておりますので、よろしくお願いをいたします。  続きまして篠崎保健医療局長から一言、ご挨拶を申し上げます。  篠崎保健医療局長  保健医療局長の篠崎でございます。本日は師走の大変お忙しい中を委員の先生方には ご参集いただきまして誠にありがとうございます。  ヒト組織の移植等への利用のあり方に関する第1回の専門委員会でございまして、今 司会の方からご紹介申し上げましたように厚生科学審議会に属する専門委員会でござい ます。臓器移植に関する法律が施行されまして以来、国民の移植に関する、移植医療全 体に関する理解も高まってきたようでございまして、皮膚、骨などのヒト組織の提供も 増加しているというふうに聞いておるわけでございます。近年、スキンバンクですとか あるいは骨バンクなどのそういう組織バンクの活動も拡大組織化されているというふう に聞いておるわけでございます。  ただ、今、こういう問題が持ち上がりますと、どうしても倫理的な問題ですとか、あ るいはそれの取り扱いに関する例えば感染の予防等の取り扱いに関するような問題もい ろいろと起きてくるのではないかと考えまして、ある程度の厚生省としてのルールづく りも必要なのではないかと、このように考えている次第でございます。  そういう中で今日は各組織バンク等でご経験されておられる先生方もおられますので そういう現状のご紹介もいただいて、それに基づいてでき得れば、大変お忙しい中、申 し訳ないのですけれども、年度内ぐらいにある程度の指針ができればと、このように思 っております。先生方、それぞれのお仕事で大変お忙しいところ、誠に申し訳ございま せんが、こういうような状況に鑑みましてご審議を精力的にお願いいたしたいと思いま す。そして何とか指針をまとめていただければと思うわけでございまして、どうかよろ しくお願いいたします。  事務局   それでは続きまして資料等の確認をさせていただきます。大変資料膨大ですのでひと つひとつ説明は省略させていただきまして、各先生方がのちほどご説明いただく際にお 間違いのないようにしていただければというふうに思います。  資料でございますが、まず最初に議事次第というものがございます。本日、議題、4 点、予定しておりまして、議題1としてヒト組織の移植等への利用のあり方に関する専 門委員会の設置について、2といたしまして各組織バンクの現状について、3といたし まして各界における取組みについてと、4、その他ということで4点の議題を予定して おりますのでよろしくお願いいたします。次、さきほど見ていただきました名簿でござ います。  その次に資料一覧がございますが、資料1から11までクリップで綴じたものがござい ます。読み上げは省略させていただきます。一番最後に別添資料として3頁ものがござ います。それからあと、もうひとつ綴り、違うクリップで留めてございます。参考資料 ということで資料をお配りさせていただいております。また、のちほどご説明の際等に ご覧いただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  非常に雑な資料等の確認でございましたけれども、時間の関係で省略させていただき ますけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。  それでは野本委員長、よろしくお願いいたします。  野本委員長  議題に入ります前に一言ご挨拶させていただきます。  この組織の移植に関しては、移植の利用に関しては3つぐらい大きな流れがあるかと 思います。非常に医療に近いひとつの流れと、もうひとつはむしろ研究、非常に研究に 近い流れと、そして実際のいろいろな企業開発に近い流れが出てくるわけですが、その 全体をまたカバーする基本的なルールも必要になろうかと思います。  したがいまして、すべてを今回の3月までぐらいの間にしてしまうというのは不可能 でございますので、やはりここの専門委員会ではおそらく医療に近い線のところに中心 を置いて考えていけばいいのではないかと考えております。  これはご参加の先生方のご意見を聞きながら、事務局とも相談しながら方向性を定め ていくということになろうかと思いますけれども、一気に全部を満足する形のものより は、出発点を明確にしたいというように私自身、委員長としては考えておるところでご ざいます。  いずれよせよ、全体をカバーする基本的なルールといろいろな問題を、3つの問題を それぞれ捉えるルールと、さらにその3つの流れの接点を決めるルールが必要になって まいりますけれども、今回はどこの線で引けばいいかということも先生方と事務局で話 し合って決めていきたいと、このように考えております。何分、どうぞよろしくお願い します。 それでは議事に入っていきますが、議題の1はヒト組織の移植等への利用の あり方に関する専門委員会の設置について、この設置の趣旨を事務局から説明をお願い します。  山本補佐  お手元の資料の1でございます。まず、資料の一番後ろの方にクリップのもの凄い固 いのを取っていただきますと一番後ろの方に別添資料ということで、意思表示カードに 関連したドナー情報というものもついてございます。  資料1でございますけれども、今、ヒト組織の移植への、移植等というのは移植医療 に係る研究等も入りますけれども、そういう医療に係る背景につきましてはこれまで大 学病院ですとか、各医療機関におかれまして移植医療、もしくは移植医療研究に利用す ることを目的としまして、主に亡くなられた方から組織、皮膚ですとか、骨等をご提供 いただきまして、当初はその施設内でクローズドで利用していた、移植等に利用されて いた。それが近年、徐々にそれぞれの医療機関毎がネットワーク、連携を組み、各施設 毎に共有する、もしくは共同利用していくというようなことが始まっております。  もう一方のトレンドとしましては、お手元の別添資料のところにちょっと書いてござ いますけれども、現在の臓器移植法に基づきまして意思表示カードというものを配付し 臓器その他の提供に対しての意思表示というものを進めているところですけれども、現 在、そちらのグラフにございますように実際には情報が来る時期が心停止後の情報とい うのがまだ多ございまして、そうなりますと現実的には他の臓器は移植のための提供等 ができませんで、結果的に心停止後にご提供いただける組織というものの提供が実はこ こに来て急に増加しておる状況にございます。  お手元の別添資料をめくっていただきますと、脳死下での臓器提供意思表示をいただ いた方、現時点でのこの時点での89名のうち、心停止後の連絡をいただきましたので、 この89名のうち、40名は現実的には組織提供に結びついているというのが別添資料の2 頁目の数字でございます。  また、次の頁にございますけれども、今度は心停止後の臓器提供に意思があると、脳 死下では嫌だけれども、こちらでというふうなご意思をいただいた方もそのうちの25名 のうちの20名までは、実際には腎臓の提供には至らなくても組織の提供に至っていると いうことで、こういうアクティビティが非常に広がっているというのももう一方の方の 現状の背景としてはございます。こういう中でヒト組織の移植への利用というのはさら に拡大していくだろうということも予想しているところでございます。  資料の1に戻りますが、それではさきほど、野本委員長先生の方からお話しいただき ましたけれども、厚生科学審議会先端医療技術部会の下にこの専門委員会を設けまして ヒト組織の、さきほど野本先生のお話では移植医療、医療に近い部分での利用のあり方 について議論していくということをお願いしております。  次の頁でございますけれども、我々、現在、事務局の方で取りあえず視野に置いてい る検討課題といたしましては2頁目にございます手続の倫理上の問題、これはレシピエ ント側、ドナー側、両方ともございますでしょう。それから組織を介した感染症の伝播 の問題、これの防止の問題というものもございます。また、感染症のみならず、安全性 もしくは組織の処理過程における有効性の担保というものもございます。また、その他 公平な選択、患者の利用というようなことも視野に置いた上でこの中で一定の指針を取 りまとめていただければというふうに思います。  なお、今日、実はこの後、プレゼンテーションがあると思いますけれども、まず、1 点は平成12年度ミレニアム・プロジェクトという政府全体プロジェクトの実施にあたり まして、生命倫理ですとか個人情報の保護の観点から守るべき条件ということで、別途 の審議会での議論というものも進んでおりますし、その他、各界での議論も進んでおり ます。医薬品の製造等につきましての指針もございますので、それらとの整合性も取り ながら前に進めていただければというふうに存じます。詳細はこの後に譲りたいと存じ ますが、この会の設置の趣旨というのは以上でございます。  野本委員長  設置の趣旨でございますが、何かどうやってもわからないというようなことがありまし たらお聞きしたいのですが、よろしゅうございますね。今のところは。それよりもあと でいろいろ議論をしていただいた方がいいと思いますので、それでは次の議題に入りた いと思います。  議題の2は各組織バンクの現状についてでございます。とにかく現在はこの委員会、 実をいうと多様なものが含まれておりますし、対応の仕方も多様すぎるぐらい多様なわ けで、ぼんといろいろなことを議論してもお互いの話が通じないと。これは自信を持っ て言うことができるわけで、そこでまず、委員の方々に共通の理解を持っていただかな ければ話になりません。  そこでまず順番でお願いしたいのですが、いずれせよ、私の個人的理由もありまして 時間をお守りください。各バンク7分というように決めております。おそらく7分を過 ぎると山本補佐が机を叩くということで警告をするというようにしてあると思います。  まず、スキンバンクの現状、島崎先生。  島崎委員  はい。簡単に私の方から最初、紹介いたしまして、実際に現場をやっております田中 に説明、田中助教授から説明していただきますが。  広範囲熱傷の救命には皮膚移植というのは欠かせないわけでありますけれども、広範 囲熱傷であれば自分の皮膚が移植する皮膚がないということになりますし、広範囲熱傷 でなくても重症の熱傷ですと、移植をする場合に火傷があって、しかも火傷の移植のた めに自分の皮膚をそこから取るということになりますと、それだけシンシュウが大きく なります。そういう意味もありまして、できるだけ他の皮膚、あるいは死体の皮膚、他 人の皮膚で一時的に熱傷面を覆って救命を行いたいというのがそもそものスキンバンク の発想でございます。  幸いなことに広範囲熱傷というものは免疫機能が落ちておりますから、他人の皮膚が 1か月ぐらい生着するということで、それをある程度、メディカルに利用した治療法で あると言えると思います。チュウセイシフガクの現在、患者さんも今日、田中の方が法 医研の方で行って医科研の方で、今から説明しますスキンバンクのスキンを使って移植 を行ってきたということでございます。  そういう皮膚を、死体皮膚をタイミングよく、しかもいつでもデリバリーできるよう に保存、凍結保存しておくのがスキンバンクシステムと言えると思います。具体的なこ とは今から田中君の方に、田中助教授に。ではよろしくお願いします。  田中助教授  今、ご紹介いただきました田中でございます。島崎が2分、話しましたので5分で終 わりたいと思いますが。  今、お話があったようにスキンバンクという作業は採皮、保存、パッキング、搬送と 4つの作業がひとつになったものを指しております。システムを簡単にお話しさせてい ただきますと、事務局が現在、東京と近畿にございまして、ドナーの発生に対して医師 の派遣並びに採皮、保存を行っております。そして、レシピエントの発生とともにド ナー情報を送付し、その必要に応じて皮膚を供給するというのが大まかなスキンバンク のシステムでございます。  採皮の方法といたしましては、この図にございますようにご遺体の背面から家族の承 諾を得た部分だけを採らさせていただいております。この書いてある部分でおよそ40枚 から45枚ぐらいの約100 cm3の皮膚がいただくことができます。  実際に採皮をしているところですが、皮膚を採ると言いますとまるで丸々皮膚を採っ てしまうように思われるのですが、ご覧のように約0.2 mm以下の厚さの皮膚でして、若 干、皮膚が白くなる程度にわかるかどうかという程度でございます。背部、臀部、そし て両肩というのが主な採皮部分となります。お棺に入りますと着物を来てしまうと外か ら見ただけでは採皮をしたことはわかりません。  これが採皮した皮膚であります。一時保存をするために滅菌カップにこのように入れ まして、この培養液に一晩、漬けておきます。同時に4℃で冷却をいたしまして、約一 晩の保存の後に翌日、パッキングを開始いたします。これが簡単な今の手順でございま すが、3回リンスをいたしまして、抗生物質を入れ、そして4℃で再度、パッキング、 そして凍結保存となります。  これが実際に作業をしているところですが、すべての作業はクリーンメンチの中で完 全に滅菌状態を作りまして行っております。真ん中のボールは洗浄のためのボールで、 3段階の濃度の抗生物質をブンジョウしております。  これが実際の採皮した皮膚です。大きさをきちんと測るために横幅7.5 ×約13cm、だ いたい100cm3になるようにカットをいたします。その皮膚を畳みましてまず透明のパッ クに入れ、その後に液体窒素に十分耐えられるような冷却用のパックに移し替えます。 これはプログラムフリーザーに入れたところでして、ここまでの作業をすべて滅菌状態 で行った後にこのようにフリージングを行います。−80℃まで緑のカーブでずっとフ リージンクをしていきまして、80℃以下になりましたら液体窒素の中にポンと投げ込み ます。実際に液体窒素内に入れていくところであります。  もう一度、お話しますが、皮膚の採皮、凍結保存、その後に保存期間ののちにレシピ エントの発生に応じて皮膚を供給するというシステムがスキンバンクですが、実際に オーダーが入りますと、そのオーダーに基づきまして皮膚を選定いたします。血液型並 びに皮膚の厚さ並びに皮膚の大きさを注文に応じてこちらで選定いたします。  現在、東京スキンバンクには23の施設が入っております。熱傷治療を行っています関 東近域の施設がほとんど参画しております。実際に採皮の件数ですが、年間約20例、今 年はだいたい25例となっております。赤で書いてありますのが、出張採皮と言いまして 自分たちのネットワーク外からの、いわゆる一般の心停止後の腎のドナー等が皮膚を提 供したいといったときに応じた件数でありまして、その割合はさきほど山本補佐がお話 になったように96、97、98と徐々に増えてまいりまして、今年は約半数以上がこのネッ トワーク外からの皮膚の提供であります。  一方、植皮回数ですが、人数といたしましては年間15名、回数としましては25回から 30回でほぼ推移しております。実際には年間おそらくこの10倍近いレシピエントと植皮 回数が日本では必要とされると思いますが、残念ながら東京だけでは日本全国をカバー できるだけの数は満たしておりません。  実際の臨床成績でありますが、簡単にお話しますと、左側の青いバーが過去10年間の 同じ東京都内の熱傷専門治療施設での熱傷面積、3度の熱傷面積が50から60の方が亡く なった死亡率が70%、同じ施設内で死体の皮膚を供給し始めてからの死亡率が37.5%と 著明な改善を認めております。  問題となりますインフォームドコンセントの取り方なのですが、これは本人の生前の 意思、あるいは家族への説明によっていただいた承諾書によって同意書をいただいてお ります。実際の同意書類は手元の方は資料に入っておりますが、これは関東の組織移植 のグループが作りました組織移植承諾書という形になっておりまして、この裏面にはこ の生体から取り出す組織を図示し、説明をした内容を記載できるような承諾書に昨年度 から変わっております。組織を提供する家族には組織の提供についてという説明書きを 後でゆっくり読んでいただくことにしまして、この説明をした者が署名、捺印をするよ うにしております。  また、レシピエントの方には植皮承諾書というふうな書類をいただいております。こ れは凍結同種死体皮膚の利点と欠点を説明した後に、その上で皮膚移植を受けるという ようなことの承諾でございます。  ドナーの適応でありますが、これは年齢は14歳から75歳。異常死体の場合、検視が終 了しているもの。そしてスクリーニング検査が終了しているものであります。スクリー ニング検査は通常の一般の血液輸血と同等の検査を行っております。  ひとつだけ7番目に採皮皮膚の細菌培養とございますが、これは当然で、採取した皮 膚が細菌によってコンタミネーションしていますと感染を媒介いたしますので、この場 合は細菌が陽性となったロットはすべて破棄をするような形になります。その他は一般 の臓器組織移植と同じ検査を行っております。  これは現在、臓器組織移植の現況で、各全国のブロック毎に分けた図でありますが、 東京と近畿の2か所しか現在、スキンバンクのネットワークがございません。しかしな がら、日本熱傷学会を中心としまして北海道、東北、中四国、九州というように来年度 の5月に向けましてこのネットワーク化を今、準備している最中でございます。そのネ ットワーク化にあたりましては熱傷学会がそのスキンバンクを行うテクニシャン、その 他の技師等を認定する形で講習会を開くことを考えております。  以上、簡単ですが、スキンバンクの現況をお話しさせていただきました。  島崎委員  最後にお手元に緑の紙が置いてあると思うのですが、これ、東京スキンバンクネット ワークでドナーの方々にぜひとも皮膚の提供をご理解いただきたいということで作った パンフレットでございます。これがネットワークのここに書いていただくという意思表 示カードにあるのですけれども、これは特別、皮膚だけのものということです。以上で す。  野本委員長  何か先生方ご質問。やはり話をお伺いして良かったと思うのですが、私、免疫学のプ ロのつもりなのですけれども、熱傷の方には当たり前ですけれども、免疫機能が落ちて いると。だから、感染が起こりやすいと。しかし、一方ではそれが貰った皮膚の生着を 助けてレスキムを促進するということですので、お話を聞かなければいけないとしみじ み思っていたところであります。  どなたか何かございますか。よろしければ次を。後で時間がございますので、それで は次は糸満先生、骨の方。  糸満委員  それでは骨バンクの現状についてのお話をさせていただきたいと思うのですが、まず 私どもの北里大学病院の骨バンクの話をさせていただく前に日本全国でどれぐらい同種 骨移植が行われているかというのをまず、この資料には入れてございませんけれどもち ょっとお話をしたいと思います。  実は、整形外科学会で1995年に調査しましたところ、全国で125 施設で同種骨、ある いは同種腱、靱帯などの同種組織が移植に使われておりまして、それまでの1990年から 94年までの5年間の間にだいたい年間500 数十例の同種移植が行われている。これは死 体から採った組織を使っているのはほとんどございませんで、死体から採取した組織を 使っているのは私どものところと愛知ボーンバンクというのがございます。地域バンク ですけれども、その2か所だけでありまして、その他は生体ドナーであります。  骨の場合には生体ドナーがあり得るというのは、人工関節をするような場合に人工関 節、人工骨頭を入れるような場合に大腿骨の骨頭を切除いたします。その切除された大 腿骨頭が移植用の組織として非常に有効に使えるということで、これが骨移植において 他の組織移植とは大いに違うところでありまして、生体ドナーが非常に大量に使われて いるというのが現状であります。  そういうことを踏まえてお話をしたいと思うのですが、我々の組織バンクというのは 1971年に大学病院が開設したときに−20℃、1972年に−80℃の冷凍庫を購入いたしまし て、それで開設いたしました。当初はやはり生体ドナーだけのバンクであったわけです けれども、1978年の暮れから供給が間に合わなくなったということでいろいろ法律家と 相談いたしました結果、死体骨採取が可能であるという結論に達しまして1978年から死 体骨採取を細々と始めております。  いろいろなスクリーニング、その他については今、田中先生がお話したような状況が 現在の状況ですけれども、また、1992年に実は同種骨移植を行った、あるいはマルチフ ローガンドのドナーからの臓器移植、あるいは組織移植を行った患者さん、レシピエン トにエイズが発生したという報告がアメリカからございまして、その後、非常に組織の 滅菌、あるいはウイルスの賦活化というのが強く欧米で叫ばれるようになりまして、私 たちも1994年から日本原子力研究所高崎研究所との協力研究という形で凍結乾燥骨を作 ってγ線滅菌をするという方法を取り入れて現在に至っております。  大腿骨頭については現在でもたくさん使っておりまして、1997年からこれは大腿骨頭 専用のウイルスの賦活化を目指した加温処理機を使って加温処理を行った後に使うとい う、要するに安全でなおかつ同種骨移植の骨として利用できる方法を取り入れるという ことであります。  骨移植の特徴はできるだけ細胞が死んでいて骨組織が全部除去されている方がずっと いいわけでありまして、これは移植用の組織と言えども、その組織そのものが生きてい るのではなくて、移植された骨から出るグロスファクター、BMPというグロスファク ターが回りを刺激して移植骨を吸収しながら新しい骨に置き換えていくという、そうい うふうな過程を経ていく骨誘導という過程を経ていく非常に特殊な組織でありまして、 ですから膠原線維の素になる細胞成分はできるだけ取り除いた方がいい。そしてなおか つ、滅菌処置をした後でもその骨誘導が残っている必要があるという意味で、それがな くなりますと人工材料と同じに全くなるわけでありますから、そういうふうな意味で非 常に加温処理にしても放射線にしてもクリティカルポイントが非常に狭い場所にござい ます。そういうところを使って滅菌処理をして使っております。  骨組織の採取、保存の作業についてですけれども、現在、生体から採取する場合には もう術前検査でほとんどのスクリーニングは済んでいますけれども、その他のウイルス の検査を行います。死体ドナーの場合には心臓採血をいたしましてすべてのスクリーニ ングをやった上で無菌的に採取して、それを第1次冷凍庫に保存して、そしてスクリー ニングが済んだものを永久保存用の冷凍庫に移すというふうにして使います。  我々のバンクには特に専任の職員はございません。医師と我々が訓練した実験助手が 1人いるだけであります。どれぐらい使われているかと言いますと、年間の数、正確な 数はここには出しておりませんけれども、生体ドナーからの採取保存がだいたい年間100 件程度、要するに大腿骨頭が100 件程度。切断肢は3乃至4件程度と。死体ドナーは 大腿骨と脛骨を採取するのですけれども、だいたい年間、1乃至2件というふうであり まして、提供としては年間、だいたい50件以上の同種骨移植が我々の北里大学の整形外 科だけで50件以上の手術が行われておりまして、他の組織、施設にも時に頒布すること があるという程度であります。  これはインフォームドコンセント、その他、この骨バンクのマニュアルについては19 94年に北里大学病院骨バンク倫理規定と、マニュアルというものを作りまして、病院医 学部の倫理委員会を通して、それに則って現在のバンクが運営されております。  インフォームドコンセントに関しましては後ろに資料をつけてございますけれども、 患者さん、生体ドナーでは患者さんと家族、死体ドナーの場合にはご遺族からインフ ォームドコンセントの書式に則って説明をして組織をいただくと。採取範囲は死体の場 合、だいたい腸骨の一部と大腿骨全部と脛骨全部、腓骨全部と、下肢のチョウカン骨全 部をいただくということになります。ぐらぐらになりますので、もちろん非常に適切に 再建をしてご遺体をお返しするということをしております。日本では火葬しますから、 火葬した場合に残るような再建材料は使いません。したがって、木であるとか、あるい は竹を使って、その回りにさらに綿を巻いたりして足の形を作って皮膚を戻すというこ とをして再建をいたします。そうしますと割りと綺麗に修復ができます。  感染症の伝播が一番問題でありまして、これに関しては後ろの資料にもつけてありま すが、マニュアルの一部をつけてありますけれども、ドナーの選択の基準というものを 作ってありまして、さらにさきほど申し上げましたような危険な技術の検査、感染症の 検査というものは確実にやることにしております。  そしてそれらの記録をコンピューターにドナー情報として入れておきまして、それが 冷凍保存、加温処理の骨になるか、あるいは放射線滅菌する骨になるか、そういうふう なPROCESS LISTというものを作ってありまして、そのPROCESS LISTの後ろの方にどの患 者さんにレシピエントに使われたかというのがわかるようになっております。  これが資料の一番後ろをちょっとご覧いただきたいのですけれども、この一番後ろの PROCESS LISTというものの左側にProduct IDというものがありますが、採取日、採取部 位、どういうところが採られた。これは死体骨の例ですけれども、滅菌された日、さら に滅菌方法、Radiation 、形状、使用日ということで、後ろの方に患者さんのどういう 患者さんにどこに使われたかというのがわかります。したがいまして、この患者さんに 術後に何か合併症が起こった場合にはこのリストからトラッキングができるシステムを 作り上げておりまして、すべてそれで管理がされていると。記録の保管というものは非 常にこのティッシュバンクにおいては大切なものでして、安全性の担保になる一番重要 な部分ではないかなと思うことで我々はそういうふうな使い方を現在しております。以 上、簡単に骨バンクの話をさせていただきました。  野本委員長   ありがとうございました。どなたか。  糸満先生。私もちょっと勉強したいので教えていただきたいのですが、細胞を殺さな ければいけない。それで膠原線維がなくなると言うのですが、一方では骨誘導という生 物的な活性を残しておかなければいけない。それは非常にトリポイントがあると。厳密 でなければいけないということはよくわかったのですが、こういう性格を維持しながら 保存できる期間というのはどれぐらいなのでしょうか。  糸満委員  これははっきりしたことはよくわかっていませんけれども、アメリカのアソシエイシ ョンティシュバンクスでは冷凍保存骨は5年までは使っていいというふうなことを言っ ておりまして、これははっきりしたデータがあるわけではありません。  野本委員長  感覚的にはセミパーマネントということですね。  糸満委員  ということです。そういうことです。  野本委員長  性格が要求する機能が非常に生物学的な意味があって、センシティブな割りになかな か変化しないという利点が大きいですね。  糸満委員  はい、そうですね。  野本委員長  というのが私、今、私自身の今、勉強になったことなのですが、どなたかおられます か。よろしゅうございましょうか。それでは北村先生、心臓弁・血管組織バンクについ て。  北村委員  スライドで全体、どんなことをしているのかを見ていただこうと思います。 ネット ワークはこの心臓弁・血管のバンクなのですけれども、近畿地区ではスキンのバンクも 保存施設がスキンバンクは持っておりませんので、このネットワークと一緒の保存施設 つまり国立循環器病センターとなっております。  心臓弁と血管に関しましては世界から言いますと大動脈弁、肺動脈弁、僧帽弁の3つ の弁が行われているのですけれども、我が国ではまだ僧帽弁の利用がされておりません で、主に肺動脈弁と大動脈弁、それに続く血管系ということでなっております。  近畿地区でのネットワークのあり方ですが、これはこういう医療を行うことに倫理委 員会の承認を貰っておる施設ということに限定しておりますので、主にネットワークは 近畿では大学病院を中心としたところになっています。最近、死体腎、ほとんどの場合 は死体腎提供に伴って心臓弁の提供がございますので、臓器移植のコーディネーターが 関与しておりますので、そのコーディネーターが組織移植も一括して説明するというこ とに近畿地区ではなっておりまして、その連絡網が循環器病センターの方に来て、各地 区のドナーの最も近い病院のところの先生は一緒に参加して、それを行う。各施設はし たがいまして倫理委員会が通りまして、各組織を採取する器具並びにその能力を持って おるというところがネットワークを組んでおります。  循環器病センターでは新しく今年になりましてから倫理委員会の再承認を得まして循 環器病センターの組織保存バンクというものを設立しておりまして、これは心臓の弁は 皮膚と多少違いまして体の中へ入ります。したがいまして滅菌とか感染性物質を除くこ とが極めて重大な問題であると同時に、皮膚のように脱落して自分の皮膚に入れ換える というのではございませんで、自分の弁ができあがってくるわけではございませんので それが長期に動いてくれなければいけません。そういう点で多少違いがございます。  完全な無菌室化になってくる、100 の高度の無菌室化にされておりまして、中にはそ ういう器具を完備しているのですが、この施設は、自慢になるかもしれませんが、世界 でもトップレベルにある組織の施設になっております。日本では最もいいと思います。  コーディネーションですが、今、申しましたように死体腎提供に続く場合が多いで す。その場合には日本臓器移植コーディネーターが一括してするということになってお ります。そのインフォームドコンセントのあり方は後でまた厚生科学の方でまとめてま いりましたことに基づいて循環器病センターの中で承認を得て規約を経て作成したもの を一応、用いるという形になっております。それは先生方にお配りしました用紙の中に 入っております。  連絡網を1本化して循環器病センターの心臓移植対策室という部屋があるのですが、 組織なのですけれども、そこに受け付けるということで各地区とネットワークを組んで います。機材を持っていくということですね。  それからインフォームドコンセントは多少、組織については決まったものが臓器移植 とは異なりまして違いますもので、各施設のネットワーク施設が別種のものを作ってお りますけれども、そこで既に採取されたもので、それが規約に合っているものであれば それを代用しようということで、コーディネーターも2種類、3種類のインフォームド コンセントがないようにということのためにそれに合わせるようにはしておりますけれ ども、他のものでも代用可能ということであれば規定はしておりません。  感謝状等々も一応、保存施設、あとで申しますが、配分を行うときに感染性の問題の クリアというのが非常に神経質になってきました。ですので各施設が自分のところで保 存したものをよそに送りだしたときに感染症が発生したというときの対応の責任のあり 方が非常に難しいために、保存、シッピッグするには保存を要しないという施設が多く なりまして、一応、循環器病センターでやってみようという形になって、あとでちょっ と申し上げますが、一切、お金はいただいておりませんが、感謝状を出すようにしてお ります。  この情報はホームページで載せるようにして利用者がそれを索引して依頼を受け付け るということになっていますが、どういうふうにしたかと言いますと、一切、お金が出 ておりませんし、採取に伴う人件費並びに保存に伴う種々の費用がございませんので、 自分の施設のお金でやるということになります。それで配分を公平、公正に行うにあた ってはまず、4か月間、実質的には細菌培養の結果などが出ますのに1か月近くかかり ますので、3か月間の使用優先権を保存施設と採取施設が持ちます。両施設間で両方あ ります場合、下の順位に従って検索しますし、あるいは話し合いを行いますが、それ以 外、4か月を経た後の組織については広く近畿地区に配分をするという形を取っていま す。  その順位なのですが、それは主に感染性の心内膜炎という病気がこの同種弁、ホモグ ラフトが最適の治療になる病気でございますので、そういったことで医学的な面からそ の選択基準を作っております。  それに送るときにはこういった機材、丸いタンクに入れて送りだすわけです。これは もう宅急便の会社がレッテルを貼って配送してくれるようになっています。比較的安い です。  責任範囲ということをどう取り決めたかということですけれども、こちらの保存施設 はそれに伴う患者の個人ドウテイにつながる以外のすべての医学的資料をつけます。つ けましてそれを組織とともに依頼があれば送りだしますが、その使用の決定は使用施設 が行います。その後の責任、いろいろなことが起こりましたということはすべてその施 設が責任を取って保存施設がその責任を被ることはもうないですよということに決めて おります。 報告義務はそれを使用した場合はその次のすぐの早い早期の感染症の発生 と保存の状況等を報告していただきまして、その後、定期的に報告する用紙を作成して 義務づけるという形でネットワークをしております。  現在のところ、この1個の弁を6か月保存するのに25万円程度かかりますが、実際、 費用は全くできませんが、事務の方とも相談いたしまして費用の分担をやはり将来はや っていくべきであろうという話し合いになっていまして、現在はその方向で検討すると いうことになっています。一般の方々にはこういうパンフレットを広く配付して協力を 依頼してまいりました。  外国の状況は日本でこういった組織の弁を使うことができます。これはアメリカでは これはすべて既に販売のような形になっておりまして、我が国のあり方とは少し変わっ てきております。これはアメリカ最大のプライオライフという会社なのですが、この弁 ヒトの心臓弁が約80万円ぐらいで入手が可能になっておりますし、その他、もっと始め はノンプロフィットの色を濃くしておりましたライフネット社もつい最近、セントジ ュードメディカルという会社と提携いたしまして販売網を作っておると。さらにレッド クロスというような組織までがバクスターという販売をしてやっているというふうに、 既にアメリカからは医療材料としてのノンプロフィットの色合いが薄れてきておるとい うことが状況であります。こういうことが今後、どのように日本では使うかというのが この会でいろいろ決めていただけるのではないかというふうに思っています。どうもあ りがとうございます。  野本委員長  先生方、何かございますか。随分、勉強に私自身はなりましたが、いらんことのよう ですけれども、私の感じたところはちょっとご質問、おそらく皆さん、同じことだと思 いますけれども、先生、これ拒絶反応は普通。  北村委員  起こります。  野本委員長  同じように起こるわけですね。  北村委員  当初、非常に組織自身が小さいということと、凍結保存に伴う免疫機能の低下、特に 内皮細胞は保存し得ない状況にありまして、生存しているのはカンヨウ細胞、フィグロ グラストを中心とした構造、フレームワークを作っている細胞なのですね。しかし、そ のフレームワークを作っている細胞も徐々に拒絶反応を受けますが、臨床的ないわゆる 臓器の拒絶反応のようなことはほとんど認められません。  野本委員長  免疫抑制剤は。  北村委員  免疫抑制剤は使いません。  野本委員長  使わないのですね。そこが大きく違うところ。  北村委員  ただ、血栓という人工弁に伴う問題が全くありませんのと、当初、細胞が生きている せいかどうかもわかりませんが、少しサイトカンリのブンピツノウも保っているせいで はないかとも言われていますが、ばい菌に対して抵抗性が人工弁よりはるかに良好であ ります。そのために感染性心内膜炎に対してファーストチョイスの弁になって、アメリ カから買ってやっておられる方々もほとんどがその適用になっていると思います。  野本委員長  先生の方式をお伺いした、やはり臓器移植に割合近い流れで方式を作られている。  北村委員  やはり誰がコーディネーションするかということが従来は救急病院等で提供病院の人 がやってくれる以外は組織移植をする医師たちがやってまいりました。しかし、そのあ り方は適切ではないというのに加えまして、近畿の臓器移植ネットワークの人たちが私 たちがやりましょうということを提案されまして、それにお願いして、それの書式に合 わせて、彼らがやりやすいように作ってきたという経緯があります。  野本委員長  ちょっと僕が気になったのは、先生のところは採取施設と保存施設が優先権を。これ は皆、努力するのは非常にいいことになるのですが、3か月と後とで、保存している弁 や血管の質の低下というのはどこかでこうなるというわけではないのですね。  北村委員  いえ、それはほとんどないです。だいたい10年。  野本委員長  はい。わかりました。そこだけが例えば4か月以後、地域でディスクルードしたとき は質が落ちているのだということですといろいろ問題が起こるので。わかりました。と にかく3か月というのはよく頑張ったからご褒美にというだけの意味合いですね。とい うことを私の感じで知りたかったことで。先生方、よろしいですか。  島崎委員  エコノミカルな問題とかは後の取り組みのところで話が出るのでしょうか。 野本委 員長 そうですね。どうしますか。今、議論していただきますか。今、費用の話がちょ っと出ましたが。  山本補佐  事務局の方で各先生方にお願いしましたのは、費用負担の問題、各バンクとも非常に 大きな問題だというので今日、非常に強いアピールがあったのですけれども、基本的に 今回、誰が金を保障してあげるということ、なかなかここで決めるということは非常に 難しい問題がありますけれども、今日は特に各先生方には今回の最初の資料1でお示し しました課題の中での倫理の問題、感染症伝播の問題、安全性有効性の問題、その他、 この枠組みにこういうことを守った上でやっていただきたいという枠組みに沿って資料 をまとめてくださいということになりましたので、そこは抜けていますが、各バンクと も手弁当でやっているという強烈なアピールはあります。ここでそのアピールをしてい ただくのはいいのですが、その後、では誰が払うのかということ、ここで決めると、今 日、決めるというのはほとんど難しいという。  島崎委員  それの話はなしですね。わかりました。  野本委員長  やはり実情を我々が把握して認識を共有して。  島崎委員  ではちょっと実情を北村先生にお聞きしたいのですが、外国のプライドの会社とか、 あるいはプロフィットですよね。  北村委員  プライオライト。ほとんどプロフィットと言いきっていい。  島崎委員  ですよね。日本の中でのシェアは全体の心臓弁の移植のどれぐらいを向こうに頼って いるのでしょうか。  北村委員  もうほとんどではないですかね。  島崎委員  90%超えているのですか。  北村委員  ただ、アンケートを取りましてももう回答率が極端に悪くて30%ぐらいしか返ってき ませんですが、それで見ました限りではだいたい五分五分でした。  島崎委員  五分五分ですか。先生のところもそれぐらいですか。  北村委員  私どもは意地でも買わないでいこうという形で、自分のところだけでやる基盤をまず 作ろうというので今は買ってまで使用しようということはやっておりません。  島崎委員  買った場合はそうするとその費用は。どうしても金が。  北村委員  いや、皆さん、おっしゃりたがらないのですけれども、患者さんに請求することはコ ンゴウ診療に引っ掛かりますので、研究費だと思います。  島崎委員  持ち出してやるわけですね。  北村委員  ええ。ですから、できるのは当然、大学病院、限られてくるということになりますで すね。実際、やっておられるのは大学病院です。関東地方にその購入者が多いですね。  野本委員長  金のこと、費用のことはじっくり別にやってくれるのでしょう。室長、いかがです か。この委員会ではもう金のことは考えないで、別なところで押しつけますか。  山本補佐  課題の整理をさせてください。  野本委員長  はい。わかりました。ということでございます。まず、実情とあるべき姿を議論して 要望としてお金もきちんと考えろというぐらいのところでしょうかね。他に何か。どな たでもあれしてよろしゅうございますが、はい、どうぞ。  佐多委員  感染症研究所の佐多ですけれども、私の方としては移植のドナー側からレシピエント に入るときの組織の詳細というのをもうちょっと知りたいのです。要するに感染症の関 わる部分だと思うので。  例えば皮膚はさっき0.2 mmというふうにおっしゃっていましたけれども、例えば背中 だとか、足だとか、全部皮膚の厚みは違いますね。どこまで採られるのでしょうか。実 際は。  田中助教授  厚さでしょうか。  佐多委員  細胞だというとどこのものでも。  田中助教授  解剖学的には真皮層まで、表皮と真皮層。  佐多委員  真皮まで入る。  田中助教授  はい。  佐多委員  骨の場合はもうほとんど死んでいるということです。  糸満委員  はい。  佐多委員  軟骨と骨の部分と細胞、骨髄の細胞は全部ウオッシュアウトしちゃうということです か。  糸満委員  全部採れるわけではないのですけれども、可能な限りウォッシュアウトします。  佐多委員  小さいのは切っちゃうのですね。  糸満委員  使う使い方によって例えば大腿骨の下半分全部、そのまま丸ごと使うとか、腫瘍で切 除した場合にはそこを修復するためにそういう使い方もありますし、通常はもっと小さ なブロックにして適当なサイズと言いますか、使うサイズに切って使うわけですね。で すから、そのときにさんざん洗ってウォッシュアウトして最後に抗生剤の液に浸して、 さらに感染のコンタミネーションを可能な限り、減らそうというふうなことに。  佐多委員  そうすると全部、洗いきれない場合も残っちゃう。骨髄の細胞は少し残るという。  糸満委員  残ります。もちろん残ります。でも死んでいます。冷凍保存してあります。  佐多委員  心臓弁の場合はそこの付着部のマスのところまで採るのですか。  北村委員  ええ、心臓の筋肉の一部を採ります。  佐多委員  どうもありがとうございました。  野本委員長  そこらあたり、先生、感染のことにつながる、ひとつ今後、いろいろ考えてくださ い。他に。  松村委員  よろしいですか。松村でございますが、臓器移植については試料に使わなかったもの は破棄ということを聞いておりますけれども、これはやはり例えば研究分野の方からこ ういったもので研究したいというようなときには供給されるというようなケースはある のでしょうか。それともそれはやはり治療とははっきり区別してされているのでしょう か。  北村委員  臓器移植の場合は採取されて搬送されて使用されなかった場合等はすべて焼却という ことが法律で決まっておりますので、我々からすると患者さんのご意思を判明するには 組織移植、あるいは細胞移植への転用の道を開いていただきたいという気持ちはござい ますけれども、現在ではできません。  島崎委員  皮膚もシッピングしてしまえば、もしそれで使えない場合は基本的には全部破棄す る。他の目的のためには使用しないということに。  松村委員  はい。ありがとうございました。  柴田委員  今、3つのバンクの説明がございましたけれども、まだ先に続きますか。続くならも っと後でもいいのですけれども。とりあえずこれについてよろしいですか。3つに関し て。  私、全く素人でわからないことで、おそらく根本的なことを教えていただきたいので すけれども、おそらくヒトの臓器について移植の問題についてはいわゆる人工のもの、 これで言えば人工皮膚、骨、人工の弁というようなものがそれぞれあって研究が進んで いると思うのですね。  だけれども、やはりヒトの組織の方が多分、いい、まだそこにとても及ばないのが現 状だと思うのですけれども、ちょっとそれぞれについて人工臓器と言いますか、人工組 織と言った方がいいですか、それとの研究が現在、到達している部分と今の生体を利用 するものとの距離と言いましょうか、つまりもう少し進めば人工物で代替ができるよう になるのか。いや、とてもとてもそんなものはとても先の話で、当分、無理なことなの かという根本的なことをそれぞれその3つについてご説明いただけたらありがたいと思 うのですけれども。  島崎委員  皮膚に関しては人工皮膚というものとこういうアログラフとの臨床的には現在、実情 としてはほぼ並行して進んでおります。  シェアと言いますか、だいたい使っているのも半々ぐらいではないかと思うのですが ただ、人工皮膚の場合はどうしても感染の問題とか、そういうものはやはり生体と比べ てやはり少し弱いというような気がいたします。実際、そういうデータも出ておりま す。  広範囲の熱傷になりますとどうしても人工皮膚だけではとても生命予後は改善できま せんので、広範囲になってきますとどうしてもアログラフの方が有意だと。  ただ、今、コンバインというのですか、人工皮膚の中にこういう生体の一部を入れて 組み込んで、例えば真皮の一部、コラーゲンの一部を組み込んで、しかも死体皮膚の本 人の皮膚を培養して、それと一緒にするとか、そういうコンバインしたやり方もいろい ろ工夫されております。  距離は結構、人工のものとの距離は他の臓器と比べて意外と近い、近くなってきてい るのではないかという気がします。  野本委員長  結局、移植した皮膚に依存するのではなくソンカンを守ると。  島崎委員  そういうことですね。  野本委員長  それでは先生。  糸満委員  骨に関しては人工材料が非常に大量に使われておりまして、実はさきほど言いました 年間500 件ぐらいアログラフ等がやられているというお話をしましたけれども、それの 6倍ぐらいの量の人工材料が使われております。人工材料というのは主にハイドロキシ アパタイト、要するに骨を焼いた場合に残るミネラル成分のフレームワークです。それ だけで、あるハイドロキシアパタイトが主に使われておりまして、それにさらに最近は グラセラミックが使われるようになってまいりました。  そういう人工材料の欠点と言いますか、欠点は申し上げましたようにハイドロキシア パタイトの骨のフレームワークだけになりますので、さきほど申し上げたような同種骨 にある骨誘導ノウというのは全くない。ほとんど吸収されないので、永久にそこに残っ てしまう。ですから、大きなブロックを例えば脛骨なら脛骨の真ん中にボコンとはめ込 むわけにはいかない。いずれ材料疲労を起こして壊れていきますので、ヒトの組織のよ うにずっと置き換わっていくわけではありませんから、そういうことはできない。  ですから骨の一部の欠損、例えば病巣を掻爬したような一部の欠損を充填するのには 十分使えるというふうな状況です。そういう使い方でたくさん今、使われております。  もうひとつは、今、島崎先生からのお話もございましたように、そういうハイドロキ シアパタイト、あるいはコラーゲン、あるいはフィグリノリといった、そういうものと 骨髄のステムセルを一緒に培養したいわゆる人口骨、コンバインドグラフト、そういう ふうなもの、あるいはコラーゲンメッシュ、あるいはコラーゲンスポンジにさきほど申 し上げましたような細胞ではなくて、BMPであるとか、TGLβといった、そういう ふうなグロースファクターを入れて回りに急速に骨を作らせようというふうな、そうい うふうな使い方も研究は始まっておりますけれども、それはまだ臨床例はできていな い。非常にいい骨ができます。吸収性の材料をフレームワークに使えばいい骨ができま す。  ただ、ハイドロキシアパタイトに細胞ステムセル、あるいは骨髄細胞を乗せるという 方法は早く骨はできるのですけれども、やはりハイドロキシアパタイトが吸収されない という欠点がありまして、これはやはり回りの骨の中にそのまま埋もれて残っていきま すので、それがちょっと具合が悪いところがある。  さきほど申し上げましたようにアログラフトのほぼ5〜6倍ぐらい使っておりますけ れども、ハイドロキシアパタイト、ちょっとお金の話、またしていいですか。1g1万 円なのですね。アメリカから今、売られているクライオネットから売られている大腿骨 頭、1個70g、60gぐらいですけれども、それがだいたい650 ドルから750 ドルです。 ですから、同種骨が大量に使えないという日本の現状がこれだけ人工骨を大量に使わせ るということにひとつは結びついている。  もちろんもうひとつは感染症に対する危惧というのと、手が後ろに回るのではないか と怖がっている整形外科医がたくさんいますので、ヒト組織を法律で認められていない ので私は使わないという人はたくさんおられるわけです。そういうデメリット、人工材 料のデメリットを十分承知の上でたくさん使われているということだろうと思います。  柴田委員  距離はどうでしょうか。  糸満委員  距離はかなり近くなっていると思いますが、というのはさきほど申し上げましたよう なコラーゲンジェル、あるいはスポンジ、骨を作る細胞を生やして移植材料として使う というふうな、そういう方法はかなり近くまできていると考えていいのではないかと思 います。ただ、現在のところはそれがまだ臨床的に使える段階ではありませんので、や はりアローはどうしても捨てられないところです。  野本委員長  今、糸満先生が説明されたハイブリッドオウダンというのは、これはよく人工臓器と いうような言い方をしますけれども、これは間違いでして、あくまでヒトの組織を、細 胞を利用しているというようなことで、先生の質問されたものとはまた違うもので、先 生のご質問の方はまだまだどうも遠いような感じが。  島崎委員  そういう意味ではもう全然。  柴田委員  はい、わかりました。  野本委員長  北村先生。  北村委員  人工の弁、世界で使われている、我が国でも使われておりますが、ひとつはプラスチ ックの弁ですね。パールライトカーボン性の弁と豚、あるいは主に豚の心臓弁を化学処 理いたしまして使われている生体弁と言われる弁が2種類あります。  いずれの弁を用いましてもワーファリンという薬を一生、飲み続けることになりま す。したがいまして例えばワーファリンは再奇形性がありますし、75歳以上の方に使っ ていますと小さな脳梗塞が脳出血に変わったり、いろいろな問題があるわけなのですけ れども、特にしたがいましてこういう生体弁ですと全く血栓ができませんので、ワーフ ァリンを使わなくてよい人、つまり妊娠を希望しておる若い女性とか、別に子どもさん など成長するときには自分の肺動脈を大動脈に移してなくなってしまった肺動脈にヒト からの弁を入れるロスの手術というのが行われているのです。そのとき一番優れた代用 弁がヒトの肺動脈弁なのですね。  ですから、そこの人工弁を使いますと当然、赤ちゃんのときから、あるいは子どもの ときからワーファリンを使わねばならないとか、そういうものが月1回の採血を必ず必 要としますので、病院から結局、離れられないのですね。  ところがこういった弁を利用してあげますと、コウギョウギョ療法というのが不要に なりますので、ほとんど何ら問題が起こらない限り、病院からは無縁の状態になりま す。そこが素晴らしいところでして、心臓に関しますと、まずコウギョウコセイという 問題でまだ人工弁が追いついておらないということ、特に右心系肺動脈弁、そういうと ころの人工弁、あるいは豚の弁は非常に圧力の差がまだ固いのですね。ヒトの弁に比べ ますと。そういったケッコウドウタイ的な意味合いでもまだ追いついてないというとこ ろがありますが、しかしながら、実際、成人の病気ではもうほとんどすべてが人工の 弁、あるいは豚の弁で手術されているような状況です。  野本委員長  結局、それで凌いでいるということですね。  北村委員  凌いでいる。それとさきほど申しましたばい菌感染による心臓弁膜症に対してこちら の方が優れていると。ヒトの組織の方が優れていると。  野本委員長  そういう実情をお伺いしたところでもうひとつ次の議題に入っていきたいと思いま す。各界の取り組みについてお話をいろいろな分野から検討もしております。我々だけ が勝手に方向性を決めるわけにはいきませんので、そういう話もお伺いしていかなけれ ばいけない。  まず、厚生省の研究事業で取りまとめられておられる北村先生、「屍体からの人組織 採取・保存・利用に関する取扱い基準」ということの方を説明をお願いします。  北村委員  それもすべて先生方の資料の中に入っておりますが、概略だけ見ていただいた方が。  さきほどこの組織移植、法律がないと糸満先生、おっしゃいましたけれども、法律は ありまして、この臓器移植の法律の中のガイドラインの中でしっかりとしたインフォー ムドコンセントにおいては行ってもよい医療として認められているわけでやっておりま すが、これを基盤にいたしまして、そうしたらどういうものをすれば整理すればいわゆ る国民から疑義を挟まれることがなく医療として成り立つかということで、これにはも ちろん今日、来られています糸満先生、島崎先生にもご参加いただきまして、厚生科学 の方と委員長が議長を務めておられる野本先生、移植学会のワーキンググループ、共同 いたしまして作成してきたわけですけれども、これだけぐらいの組織が今、日本で行わ れています。  下の方の3つはまだ研究段階ですが、世界ではもちろん始まっています。使われてお ります。これは組織以外に細胞も入っていますけれども、上の5つぐらいは日本で細々 ですが実施されて、最近になって臓器移植法とともに連なりまして組織提供が増えたよ うな状況で少し活発化してきております。  これにはかなりのお金がかかります。保存もします、配分ができますということで、 こういった設備を整えるということ、あるいはそのお金の問題ですか、場所と能力、ノ ウハウも必要としますので、これをどこまでいろいろな病院でやれるようにするかとい うことには疑問がありますし、クオリティコントロールと感染症対策からはやはりある 程度、施設を絞る、どういう施設に絞るのかということは、この委員会で決めていただ いたらいいと思いますが、かなりたくさんの金がかかってまいります。  さきほどこれも申し上げましたが、こういう機械で保存セットをやっていくわけです が、やはり数千万の設備を整えるにはお金がかかると思います。実際、こういうすべて 滅菌下で弁、これは大動脈弁ですが、これはパッキングする。あるいは赤いのは血液で ありませんで、これは細胞培養の液の中に漬け込む形を取るわけですね。  こういうことのノウハウ、医療上の面、これは実際、凍結している間はこのような形 でしますが、実際、使用する場合にはこれを解凍いたしまして、レトルト食品のような 感じですが、解凍いたしまして処理いたしまして手術場でこういう弁を出してきて使う という形を取っています。  これらのことと、ガイドラインの中には結局はこの提供する施設も提供する患者もご 遺族も心臓死からの提供が主体になりますので、死体臓器というのは死体腎移植、死体 の腎ですけれども、それと組織と細胞が一連の流れを持って言われるのが望ましいわけ なのです。コーディネーションもそのとおりなのですけれども、現状では死体腎とは臓 器提供になります。組織、細胞は今のように法律はないということになるわけで、切れ てしまっているところにまた非常に日本では問題があります。世界ではもちろんこれは 一連の流れに今、なっておるわけです。  これはそこにおられますアイバンクセンターの篠田先生の絵ですけれども、結局、や っと近畿地方でも一番左側の縦の臓器移植のコーディネーターが引き続き行われる組織 移植もコーディネーションするというふうになっていますが、臓器提供のない組織提供 というのはかなりあります。そのような場合にはコーディネーションする人が現在、い ませんので、従来どおりの移植医、あるいは提供側の医師がやる。それでも第三者的に 立会人を置いてコーディネーションし、あるいはインフォームドコンセントをしなさい というようなことを決めてきておりますが、だいたい島崎先生とスキンバンクのやつは 読ませていただきまして我々のところを見ましても、この報告書に矛盾するところは全 くないように思いますが。  感染性の問題が医療面で非常に重要ですけれども、まず、心臓弁に限って血管等に限 って言いますと、全体的に問題がありますが、まず、ドナーそのもののセレクションが あります。このセレクションはほとんど臓器提供のドナーの場合と一緒です。ですから 実際にこの心臓弁、血管のドナーは死体腎提供の患者さんがほとんどの現状でありまし た。  したがいまして、こういうヒストリーから取るもの、あるいはいろいろな検査からす る感染症すべて除去した上に心疾患等を持っておる患者さんは除外していくわけですけ れども、その感染の方法はかなり厳密にやる必要があります。  さきほど申しましたように人間の体の中に入ってしまいますので、まず、第1に採取 したとき、滅菌処理をした後でサンプルを取りましてかなり既存のものはすべてするよ うになっておりますし、組織の培養も保存液の方に菌が出てきているかどうか、組織も 3分割いたしまして、それもホモジナイズ方法、直接にそのものを培養する方法、綿棒 で塗布する方法、いろいろな方法の方法を用いてこの流れでいたします。これが非常に お金がかかりますが、とにかく既存の、知らないものがあると言われればそれまでなの ですけれども、既存のウイルス性感染症、あるいは細菌性感染症は除去していくという 形を取るということです。  ですから、書類の書き方、その他を一応、決めてきまして、それに則って近畿の心臓 弁のネットワークもさきほど申しましたように多くなっておりますし、こういう用紙類 様式類、あり方などをきちんとやってきております。以上です。  野本委員長  先生のところはだいたい、主に技術面のことを。  北村委員  あとインフォームドコンセントは詳細にその紙に載っておりますが、それに則ったと いうので、あとでインフォームドコンセントはカードを持っておる患者さん、意思表示 カードを持っている患者さんから丸をつけた場合、つけていない場合、どのように取り 扱う、それは神戸大学の町田教授、法律の教授とご相談いたしまして。  野本委員長  だいたい方式は臓器移植の方式に非常に近いという方針ですね。  北村委員  そうです。様式とか、採取するまでは撤回ができますとか、さらにごく僅か、限られ た研究への転用を認めておりまして、それは例えば心臓弁ですとその中におけるケッセ ンイ細胞の生存を見たり、顕微鏡的に、あるいは電子顕微鏡的に見たり、あるいは細菌 の除去法の検討にその一部を用いるというようなことの研究、倫理委員会で承認された 研究には組織の残り、組織の一部を使ってするというのを認めてきております。  野本委員長  だから、直接、移植医療に直結するような研究テーマというように。  北村委員  あと細胞培養したり、増やしたり、遺伝子操作を加えてみたらどうなるかという研究 はしておりません。  野本委員長  はい、わかりました。今の仕組み、何かご質問ございますか。全体、あと聞いた方が よろしゅうございましょうから、次は松村先生、順番は松村先生ですね。よろしくお願 いします。  松村委員  松村でございます。スライドでなくてお手元にあります資料で説明させていただきま す。2番目の綴りの参考資料2というのに日本組織培養学会のペーパーがあるのですけ れども、これは相当量がありますので、これを要約いたしました11月に行われましたシ ンポジウムでの要約版、これが今、添付してお手元にある資料でございます。  まず、この委員会のこと、ちょっとご紹介いたしますと、日本組織培養学会はヒトの 組織・細胞を主に研究分野で使っている、実際に扱っている研究者が中心になっている 会であります。委員も私を含めてそういう意味でありまして、ただ、宇都木先生の方、 医事法学の専門の方にいろいろご示唆をいただきながら、こういった実務者が最小限知 ってなければいけないこと、それぞれの事業所で例えば自主ルール等を構築するための 参考資料、あるいはその委員会からの提案と、こういったものを提示したものでござい ます。  さきほど野本先生が最初に言われたように、この委員会では医療、研究、企業開発と 3つの大きな分野があることは承知しているのだけれども、医療のところをまず中心に スタートすると、研究、企業開発については今後の課題としてということを言われまし た。ですから、私の申し上げますのは、この研究、企業開発に重点がございますので、 こういう分野もあるのだと、こういう分野とある程度、整合性を持ってこちらでご議論 いただければというふうなことではなかろうかと思います。  今、お渡しいたしましたのは、私もこういった会では全く、いつもは企業の研究所で 実験なんかをしている者でございますということと、ちょっとひとつの委員の背景とし て、こういうことをやっているのだということでご紹介させていただきますと、今、お 渡しいたしましたもので、もう25年ぐらい前にスタンフォード大学でヒトの2倍性細胞 で細胞の老化の研究をするというようなことから、私はこのヒトの細胞を扱うようにな りまして、私自身、PHDでございますので、ヒトの細胞、それまで扱うことはあまり なかったのですけれども、ここ米国では当時、NIH、NCIから培養ヒト2倍性細胞 が研究者にシステマティックに供給されておりまして、膨大な研究が蓄積されつつあっ たわけですね。  その当時、このヒト2倍性細胞はワクチンに使えるということがわかりまして、この ワクチンの実用化はヨーロッパで、実はアメリカを追い越してアメリカの資源をヨーロ ッパが使うことになったのですけれども、資源が使われるようになって、この資源を開 発したドクターヘブリックという人が最初のベンチャーの設立を試みたのですが、この ときにアメリカの政府と非常に対立しまして、10年間、闘いがあったけれども、これは 米国における現在のベンチャーの時代の到来の先駆けであったのです。  当時、私は日本に戻ってまいるときにやはり2倍性細胞のストックを供与を受けまし て日本の癌研究グループを中心にこれを頒布したというようなことから、こういった研 究に携わりまして医科学研究所に戻って引き続き細胞老化を研究していたのですけれど も、特に成人性早老症という早く年を取ってしまう、見かけ上ですが、老化症候を示す そういった遺伝子疾患がありまして、この皮膚培養細胞のコレクションを作りまして、 当時、ありました研究グループ、太田先生を中心とした研究グループにこれを提供する と。自分も研究しましたけれども、それと同時に公共的バンクにこれを提供するという ことを試みまして、もちろん病理のお医者さんや様々なお医者さんとグループでしたの ですけれども、残念ながら日本にはそういった公共バンクがありませんで、米国のキャ ムデンにありますIMRというところに提供いたしました。  この提供されたものは日米両方での早老症の遺伝子決定の資源になりまして、これは 2年ぐらい前に決定されました。ここはもう私の手を離れてございます。1986年に私、 企業の研究所に移りまして、そこで多分、日本の企業では最初の倫理審査委員会の創設 に携わったと思うのですけれども、ここではそういった研究資源として一番倫理的にも 得やすい、同意書も得やすいと思われました臍帯からの内皮細胞の培養バンクを作りま した。この同意書においてバイオテクノロジー分野で使っていいよということを倫理委 員会にかけまして、こういったバンクを作りました。  この研究所ではその後、医薬品開発、ヒトの肝臓培養細胞等を使ってワクチンを作る というようなことに成功いたしましたけれども、現在、さらに研究を進める必要上、扁 桃腺のリンパ組織のバンクをこれは国立小児病院を中心として私たちが様々な形で協力 いたしまして構築すると。これも公共的なバンクということを目指しておりまして、私 たちは例えばそのひとつのユーザーであるというふうな形での働きを進めております。  日本組織培養学会の倫理問題検討委員会はこういったようなことをやっているメン バーが中心でございまして、既に10年ぐらいの時間が経っているのですけれども、次の 頁をご覧いただきたいと思います。  基本的にはこの会員に対してヒト組織・細胞を取り扱うための基本的な情報を提供す ると。委員会でそういった内容を分析して提案するというふうなことをやってまいりま した。この報告書自身はお手元にコピーがございますが、現在、インターネットで日本 組織培養学会のところでサーチエンジン見ていただきますと全部、リリースされており ます。  その中で特に国、要するに法律、あるいはヘルシンキ宣言のような国際法もありま す。国の法規、この委員会の報告、事業所で自主ルールを作った場合、その相互関係は どういうふうになっているということはしばしばたくさん質問を受けることでございま して私たちはここに書いたように簡単にしておりますけれども、ぜひ委員会でこの関係 はこんなだよということはお話しいただければありがたいと思いますが、ここで私たち が簡単に考えておりますのは法規、これはもう絶対遵守しなければいけないと。  ただし、法規に触れてない点がたくさんございまして、この辺については国の委員会 の見解というのが非常に尊重される。ただ、国の委員会の検討は例えば国のプロジェク トに直接関係する場合、そうでない場合等によって多分、いろいろ拘束性も違うかと思 います。学会等の委員会の報告は私たちの場合には全く拘束力がないという立場でやっ ておりまして、場合によっては学会のこういった倫理委員会等で検討事項が会員に対し て拘束する場合もあるのですけれども、私たちの場合にはそれはなしと。参考資料とい う形で言っております。  事業体に自主ルールを私たちは提案をしておりますけれども、これは法規と整合性が あることと法規が十分でないところを補うものと。事業体内では拘束性、当然、ある と。国の委員会とか、学会の委員会等の報告書と相違がある場合には納得できる可能な 説明があるというふうなことが求められるかなと思っております。  この報告書、あるいはサマリーの版、さらにそれを縮めますとここに書いてあるよう な6つぐらいの点でございまして、まず、ヒト組織・細胞を取り扱って研究をするもの これはその課題を一人で勝手にやらないで必ずある別の立場の者に審査を依頼すると。 これは機関の中にそういう審査機関があれば当然そうですし、なくても必ず客観的な立 場の人に見てもらうということをまず提案しております。  記録を必ず保持をして、これは何かもしトラブルがあったときに記録ということが取 り扱う立場の者のディフェンスに大きく働きますので記録を保持する。  守秘と情報公開を明確に区別して情報公開できるものはすると。どうしてもヒト組 織・細胞を取り扱った研究をするとなりますと、提供者への守秘義務とか、そういうこ とから研究をやっていること自身を全部隠してしまうというようなことがあり得ますが やはりこれは非常に社会の受容性を得るのには却ってマイナスということで、そういう 研究をしているということをできるだけオープンにしていくと。しかし、守秘義務は守 るという、そこのところにポイントを置くと。  法を遵守していくときにどうしても法律でどうしたらいいのというところがわからな い。しかし、研究は日進月歩でございますので、これを進めていくためにはどうしても 事業体でルールを作っていく必要があると。このルールを作るにつきましてはそれぞれ の事業体でどうしてこういうルールでやるのだというようなことを当然、理由づけとか 他のルールとの整合性があるわけですけれども、この辺のことにつきまして報告書にか なりいろいろな具体的な例をあげて自主ルールの構築のための参考資料を提供してござ います。  権利・責任関係についての共通認識としまして、やはり組織・細胞、あるいは細胞株 を提供する者は無償での提供を求めると。これはやはり人体組織の売買という非常に倫 理的に受け入れ難いことに対するやはり拒否ということがあると思います。  そうなのですけれども、ちょっと3番に飛びますが、これに付加価値を設けてこれを さらに発展、社会的に発展させるということについてはどうしても知的所有権の保護と いうことが必要だというふうに考えまして、この知的所有権を付与することを妨げない と。この1と3の両立ということが具体的にどういうふうにされるかということはさき ほどちょっとありましたけれども、今後、個々のケースで議論されていくことかなと思 います。  2番目ですけれども、この無償提供ということで実際、進めたとしても、なかなか歯 車が回っていかないということは考えられまして、ただし、例えば100 人の人から組織 提供を求めて、1人の人から得られたものだけが医薬品の製造の役に立ったといたしま しても、その人に利益を還元するということは、これは倫理的でないということで、利 益を得るエンティティから提供に関わるエンティティへ自発的に個人的というよりも社 会的な利益還元のルールが必要だという提案をしております。  もうひとつ、どうしてもお医者さんでない人が研究開発に携わる機会がますます増え ております。これについてはこの病原、微生物の取り扱いについて十分、非常にお医者 さんよりもさらに、ある意味ではこれはお医者さんと違いまして実験室の中でする作業 なので、物理的な設備等をしっかりすることができますので、そういう意味で配慮を十 分にすると。こういった点を挙げておりまして、報告書の中ではその各々についてかな り詳細なことを例を挙げておりますけれども、概要はそんなことでございます。  野本委員長  松村先生のアクションに私もずっといろいろ協力をさせていただいてきたのですけれ ども、このグループのお仕事は非常に我々、臓器移植のように純粋、医療に直結した話 と、もうはっきり開発目的でいった話と両方、ちょうどブリッジをする性格の分野だと 思うのですね。  先生の出しておられるこの6つの原則提案というのは非常にどこでもリーズナルブル に受け入れられるような話だと思うので、やはりこれは次の段階にぜひこういう基本 ルールができるように、あとで議案の中にも、新しい議案に私も提案したいと考えてお りますので、そういうことでひとつ。ちょっと自分の考えていることと比べてこの委員 会は幅が狭いなとお考えでしょうけれども、それは始めからある程度、覚悟で私も考え ておりますのでお許しください。  それでは次に早川先生、細胞工学技術を用いた医療技術・用具の有効性、安全性、品 質評価方法に関する厚生科学研究班の報告をお願いしたいと思います。  早川委員  早川でございます。この報告書の全体像は参考資料3というところにフルペーパーが ございます。本日はこのフルペーパーをサマライズしたものが資料の11とかなり後の方 でございますが、資料11というのがございます。これはサマライズしたものになりまし て、報告書のそれぞれの頁にどういうことが書いてあるかということを書いてございま して、多分、最後から見て10数枚目ぐらいからスタートするあれだと思うのですが、こ れに沿って簡単なご説明をさせていただきます。  この研究班の背景、目的というのはヒトの細胞組織や器官を利用した製品、医療用具 等の企業開発が品質安全性、有効性を確保しながら同時に社会的認知を得ながら健全に 遅滞なく発展するためにはそういうものを正当に評価する制度であるとか、体制である とか、ガイドラインであるとか、支援技術などが整備される必要がある。こういう認識 を背景にして主に製品の品質有効性、安全性確保に関わる規制の枠組み、あるいは基本 要件、品質保証体系について検討することを目的として研究したものであります。  本研究の範囲としましては、薬事法と申しましても先生方、直接ピンと来るかどうか わかりませんが、薬事法というのは要するに医薬品であるとか、医療用具を言わば規制 する法律というふうに簡単に考えていただければよろしいかと思いますが、そういう範 疇に含まれるものを対象として検討したということであります。  しかしながら、こうした範疇に属さないバンク事業でありますとか、その他の今もお 話がございましたヒト組織・細胞を研究、教育に利用しようと、こういうことと共通の 技術的な、あるいは倫理的、法的、あるいは安全性上の課題も多いということで、こう いうことも視野に置きながら検討をしたということでございます。  中身でありますけれども、実際にヒト組織・細胞の医療用具などでどういう医療行為 が利用されようとしているのかということをまず整理をいたしまして、その整理をした 上で規制の枠組みというのはいったいどうあるべきかということを考えました。  それのサマライズしたものが今、資料11の5枚めくっていただきすと、6頁目からフ ローチャート、流れ図がございます。図1と書かれてある。5枚というのは後ろに5 枚。フローチャートが。全体の後ろから5枚という。6頁です。これでございます。  これに規制の枠組みというのを一応、前提として書いてございますけれども、簡単に 申しますといずれにしてもヒト由来の細胞組織というものを採ってきて、それを採取し て管理・利用するという場合に、これは目的がその治療であれ、研究・教育利用であれ 何か基本的な必要な案件があるだろうということで、まず、それを取り決めないといけ ないということがございます。  それをまた後で3.3 項というところに出てまいりますけれども、そういうものをこの 研究班で一応、定めまして、それから次に実際にヒト組織・細胞の方に利用するという 場合にいったいどういうふうに考えればいいかということで、まず、そのものがAUTOLO GOUSのものであるという場合に、AUTOLOGOUSのものでかつ横に走るのですが、BANKING であるとか、そのPROCESSINGであるとか、SHIPPINGというのをやらないという場合には これはもうNO REGULATION ということであります。  AUTOLOGOUSでないもの、あるいはAUTOLOGOUSであっても何かBANKING とかSHIPPING等 をやるという場合には、その取り扱いをする上で何か共通の取り組み、ルールが必要な のではないかと。それを仮に我々はGOOD TISSUE PRACTICES というふうに呼んでよりま すけれども、そういう取り組みに従って取り扱うのがいいのではないかというふうに考 えます。 そこまで基本でありまして、その後、組織・細胞を洗浄だとか、滅菌だとか 非常に最小限の処理をする。MINIMALLY MANIPULATED と書いてありますけれども、これ が必要最小限でYES という場合で、しかもさきほどちょっと出ておりましたが、細胞等 を他のコラーゲンとか、そういうものと一緒にして加工しないというような場合、しか も次の頁に移っていただきまして、そのものが骨とかそういうものがあって代謝性の細 胞でない場合、しかも、その骨の本来の機能を用いるという場合には、これは申請は国 の承認、審査は必要ではないと。  しかしながら、そのもの自体がALLOGENEICなものであった場合には、YES であった場 合には各種自主ガイドラインを作って、今、骨髄バンクとか、そういうような形で、骨 髄というか、骨バンクとか、そういうのを作っている、自主ガイドラインを作って対処 すればいいのではないか。そのときにもちろん感染症に関しては厳密な管理をすべきで はないか。それ以外の何らかの加工をするというようなケースには、しかも加工するに 加えて企業として製品として開発しますよというときには、これは国の承認、審査とい うものを必要とするのではないかと。だいたいの骨子はそういうふうな考えでまとめた ものでございます。  あと、元の頁に3頁程戻っていただきまして、私の資料11の頁で申しますと3頁にな ります。3頁のところから4頁にかけましてさきほど申しました、これは研究用であれ あるいは商品化を目指すことであれ、いずれにしても前提として守らなければならない 要件はこういう基本要件があるのではないかというふうなことをまとめて3頁から4頁 に示して、これは項目だけを書いてます。中身を書いてございません。多分、さきほど の組織学会とほとんどオーバーラップするような話ということでございます。  あとはさきほど申しましたGOOD TISSUE PRACTICES というのがどういうものであるべ きかということを一応、試案として出しました。個別のガイドライン、例えば人工皮膚 というふうに非常に個別のガイドラインというのがさらにその一般論よりも特化したも のがありますので、それについても試案を出して報告書にまとめてあるということでご ざいます。だいたい以上でございます。  野本委員長  お伺いしてだいたい様相がわかってきた感じがします。こういうものをどのようにイ ンテグレートしていくかというものに関して私なりにまた後でむしろ議題の追加という ところで提言をしてみたいと。山本先生、よろしくお願いいたしますということであり ます。  それではむしろご説明というのが今の部分の狙いでしたので、事務局から資料の7、 8、9の説明を。  山本補佐  はい。他の資料も膨大な資料、冒頭、お詫びしたいと思いますけれども、まず、電話 帳並の分厚い資料をお持ちかえりいただいて大変恐縮いたしますが、さきほどから参考 資料、参考資料と言っておりますのは各種研究報告書の原文全文が委員の先生方にはコ ピーがついております。後ろの方の傍聴してくださっている方にはこれはもう既にパブ リッシュされているもの、その他、発表資料ですので、お手元についておりません。ぜ ひとも原文を読みたいという方は当室の方にご紹介いただければ現物がございます。  また、なお、今から申し上げます資料としましては、今、厚生科学研究の報告、別の 学会の報告をいたしましたが、それ以外にこの関連しそうな分野でここ1〜2年の間に いろいろな提言がなされておりますので、その会の責任者の方々とお許しいただきまし てご報告させていただきます。  まず、資料7でございます。資料7、8、9、またまたお詫びなのですが、あまりに もコピーが膨大なので、これも傍聴の方にはついておりません。というのはこれももう 既に厚生省のホームページに載っておるものですとか、既に別のところでプレスリリー スしているものですので、敢えて再度、再掲しておりませんが、これもぜひにというこ とであれば当室の方までお寄りいただければよろしいかと存じます。  資料7ですけれども、一般名に黒川報告とも言われているものですけれども、平成9 年の12月に諮問されてまとめたもので、これも同じ厚生科学審議会の先端医療技術部会 において議論されたもので、「手術等で摘出されたヒト組織を用いた研究開発の在り方 について」ということでございます。  まとめていただいた報告書は平成10年の12月に出ておりますけれども、基本的な考え 方としては移植で採られた臓器組織等については今は焼却処分ということに、臓器につ いては焼却処分と決まっておりますが、手術で採った場合のヒトの肝細胞、その他の細 胞について医薬品の開発等の研究に利用できるにはどういう枠組みが必要なのかという ことをまとめたものでございます。  今、多くの先生方、発表したのとかなりオーバーラップするものでございますが、こ の中では一定の倫理規定、もしくは安全性、研究の妥当性等を鑑み、利用していいので はないかという報告になっております。これを受けまして我が国では細胞バンクという 形でバンクを設立し、研究等への供与ということも試みて開始しているということの報 告でございます。  次、資料8でございますが、厚生科学審議会でこれと全く同時並行で位田先生、何か 先生、位田先生には共通してご参画いただいておりますけれども、「遺伝子解析による 疾病対策・創薬等に関する研究における生命倫理問題に関する調査研究」。これもまた 同じように審議会で議論して専門会で議論していくことになるかと思いますけれども、 ミレニアム・プロジェクトでゲノムの解析というのをやっていく際に、そのゲノムの解 析した情報の、主にその情報をどう取り扱ってどういうふうに共有していくのかと。ま たそれを承知の上でどういう形で生体試料を提供いただくのかと。  また既にあるいろいろなマテリアルがどういうふうに利用できるのかということで、 これもかなりコンプリケートな議論をしていただいて、これもまた既にオンゴーイング ですので、これもここの審議会とほぼ同じようなペースで進んでおりまして、年度内に は一定のまとまりというものになりますので、この1頁目に書いてございますけれども この際にはこちらでの議論、こちらというのはこの専門委員会での議論とかなり共通す るところもあろうかと思いますので、両方お互いに整合性を取っていくべしということ でございます。こちらにおられます島崎先生、位田先生はこちらの委員にもご参画をい ただいているところです。  次に資料9でございますが、担当官の方に来ていただいておりますけれども、今度、 医薬安全局の方で「中央薬事審議会における細胞・組織利用医薬品等の調査審議」とい うことで資料ついております。  今、早川先生の方からお話をいただきました研究等の成果もこういうところに反映さ れるのかと思いますけれども、細胞・組織を利用して医薬品を開発した場合、もしくは 医療用具を開発していく場合にどういう枠組みでやるべきかというようなことで、これ も現在、審議中と承っておりますので、ここでも指針が作成されるということで、これ もまた非常にダブルところが多いという、いろいろなところで今、まさにこの議論が成 されているという現状をご報告させていただきました。以上でございます。  野本委員長  今のこともこれ我々、今日はそういうメンバーに集まっていただいておるわけですの で、非常に実情がよくわかったと思います。それぞれの代表的な組織の扱い、実務の扱 いと、それに対するいろいろなものと、これが同時進行型で動いておるということであ ります。  最後の議題に移る前に何か今までのところでちょっとこういうところもチェックして おきたいということがございましたらどうぞ。  よろしゅうございますか。今日はどちらかと言いますとお互いの理解だということで すが、はい、どうぞ。  位田委員  いろいろなところが同じような問題を、特に倫理の問題を議論しているのですけれど も、それをひとつにまとめると言いますか、調整をするような仕組みは何かございます でしょうか。  つまり別々に例えばガイドラインが出てきて、それを一本化すると同時に、共通する 部分はかなり多いと思いますけれども、特殊専門化している部分もあると思うので、そ うした整理・調整です。  野本委員長  それを私、議題の最後に追加したいというのはそこなのでございまして、むしろそこ は議題として事務局に少しいろいろなプロセスをしていただかないと、今、どうですか と言われてもちょっと答えにくい面がありますので、ちょっとそれはむしろ最後に検討 していただきたいということとして追加をしたいなと私は今、考えております。そのと きまたそういう先生、もう1回。よろしゅうございますね。  それではこの議題の4ですが、本委員会で検討すべき課題の整理というのは、さきほ ど言われた何枚目ですかね。  山本補佐  資料1です。  野本委員長  1の2枚目ですね。組織提供及び移植等の手続における倫理性等の確保と。2番目が 組織を介した感染症の伝播の防止。3番目は安全性、有効性の確保。4番目はその他で すけれども。  これ以外に私として今日のお話から要望したいと、事務局で検討していただきたいの は今のインテグレーションの方針をぜひ、ご検討ください。これはここの部局だけで勝 手に決めるということはできないというのはよく承知をしております。厚生省内部でも いくつかの流れがありますし、さらにこれに絡んでは研究色彩が強い文部省、科学技術 庁、さらに物の生産というものに視点を置いておる通産省、農水省、いずれも大きな関 心を持っていろいろなガイドラインづくりや検討に入っておられるというわけですので こういう広い領域と相談しながらやる仕組みをぜひ、ご検討を願いたいと。  訳のわからない頑固な人が多い省庁もありますけれども、場合によると私、殴り込み に行ってもも結構でございますので、そういうものをぜひ、作っていただきたいと。そ うしないと今、位田先生もおっしゃった、いろいろなものがほぼ90%共通していても、 むしろ95%共通しておっても5%の食い違いのところで食い違いを以て国民の不信を招 くというようなことがないように我々は仕上げていかなければいけないというように考 えております。  ひとつはだから、大つかみにつかまえるような捉え方を、言わばバイオマテリアル基 本法的な捉え方というのがひとつありますし、それぞれのもうひとつはそれぞれのシス テムで検討してきたことのちょうど接点のところがうまくがっちりかみ合って、ガクガ クと喧嘩がないようにしなければいけないというのは、これはあれだと思います。  私、以前は位田先生、こんなに考えていたのです。もっと前、松村先生と話していた 数年前はむしろ最初にバイオマテリアル基本法を作ってもらう。というのは体から離れ た細胞にせよ、臓器にせよ、組織にせよ、これは本人にはもはや帰属しない。提供しま すと言ったら、それは社会がそれをありがとうございますと受け取る。  そしてその社会を通して必要な患者さんであるとか、開発に必要な研究者、そこから もう一歩大きく企業として利用する企業体へもお渡しすると。やはり社会を代表する極 めてフェアな第三者機関がそれを代行すると。さらにそこから利益を得た、それは研究 者がだって特許を取ったら利益が出ますから、研究者も当然のことですし、企業も当然 ですが、その利益は社会に還元していくというものがまず作りたいなということを2人 でよく考えてきたのですが、今、おわかりのようにそれぞれの分野からもう既にそれぞ れの立場でルールが作られてきておりますので、むしろ人の医療というのに近い面も一 応の骨格をここで作って、それでその次の段階としてすり合わせをした方がいいのでは ないかと。  私は最初は基本法を最初に作って、各省庁に持ちかえって内部分けをした方が楽かな と思っていたのは昔のことです。昔のことです。今はもうちょっとその方式では無理だ というように考えます。いずれにしても厚生省の方でお願いいたします。  山本補佐  実は今回の、他の委員会もそうかもしれませんが、この委員会、各先生方に委員のご 就任をお願いしたときに非常に強いそういうご意見をいただきました。  ここから先、厚生省の公式発言と言われても困るのですが、室長と課長が後で訂正し てくるでしょうけれども、バイオマテリアルの基本法、もしくはもうちょっと大きな枠 組みはもう作る時期ではないかというご指摘も正直、多くの委員からいただきました。  一方で、行政としてさきほどの先生方の位田先生のご質問にミニマムのお答えができ るのは、それぞれ医療に非常に近い分野、研究に非常に近い分野、もしくは製造に近い 分野、それぞれに出されているガイドラインの相互に矛盾がないということを調整する ことはできるのだと思うのです。それは行政は得意とする分野なのですが、それを包含 した概念を作り得るのかどうかというのは、さきほどの先生が助けてくださいましたけ れども、それぞれがまず自分たちのスタンスと現実に即して提言して、それが長期的に それだけでいくかどうかわかりませんけれども、その上で広い視点に立ってインテグ レートする時期が近い将来というご指摘は省の意見ではなくて、多くの委員の先生方か らいただいた次第です。  ただ、一方、それでもなお非常に限定的にヒト組織の移植等という、等というのは移 植医療の研究というところを視野に置いておりますけれども、そこまでもなお、専門委 員会を立ち上げた理由は冒頭、切れが悪くて申し上げましたけれども、実際にもう組織 の移植に限った利用が非常に多く広がってきているので、このまま枠組みを全くなく病 院の自主規制に任せていくということもいかがなものだろうかと。  ただし、それを決めていくときに先生方、多くの方がご指摘いただく近い将来の展望 もきちんと見ながら一定程度、まとめればということで発足したのですが、やはり今日 の議論を聞いていて問題が露呈したという感じがいたしますが、当面、ここの範囲では その部分をまず整理していただくことを第一のお願いとしたいと思います。  野本委員長  私もそれが一番早道だと思うのですね。せっかく、臓器移植法に関して国民の支持が 得られて症例数は少ないとは言え、非常にうまくいって、支持を得られる状況になって おりますから、やはり組織移植もやはり日本の医学界、さらにそういう関連する社会と きちんと国民のサイドに立ってものを考え、正当に行動しているという姿を早く、まず 確立すると。そうしますと次のステップで全体像を把握することができるというように 思いますので、今は却ってそちらの方が安全であろうと私も判断をしておるところで す。  本来は私の方は以前、3年も前ですとそうしたかったのですけれども、あの当時はむ しろ臓器移植等の方でこちらまで到底、回りませんし、臓器移植法が成立する前にこの 話を持ち込んでもなかなか社会全体がそれだけの関心を持ってくれないということがあ りましたので、やはりまず医療に極めて近いところのルールをこの委員会で作って、そ の作り得るプロセスの中で他の分野の進み方をいかにうまく融合していくかというのが 視野に入れながら検討していくと。さらにそれはむしろこの委員会の提言というよりは いろいろな答えというよりはいろいろな社会へこういう可能性を考えてほしいというタ イプの要請であり、提言であるという形にはまとめられると思うのですね。  これは非常に大きな、私はもうひとつの役割だと思うのです。少なくとも医療に関し てはこうしたいと。しかしちょうと接点部分に関してはここの専門委員会としてはこう いうことを検討していただきたいというのはぜひ、まとめてみたいなと考えています。  これはいろいろな社会があることですから、この委員会でこうしたいというような話 ではありませんけれども、やはり要請するのは権利であり、義務であろうと考えており ますので、そこらあたりがこの委員会の役割で、それを今、さきほど局長が言われたよ うに年度内に基本的なルールを作るということにちょっとしばらく力を投入させていた だきたいと思います。  いかがでしょうか。その方が無難なようでありますが。担当の課長さん、室長さん、 よろしゅうございますか。今の考え方で。何かあと、事務局の方で追加しておくことあ ったらお話しください。  山本補佐  はい。大変お忙しいところ恐縮でございます。最後に資料の10ということで、資料に 入れるほどのものではないですが非常に重要なことで、今後の予定ということで完璧に 3月まで予定を入れております。  第2回、1月14日の時間、第3回、第5回、第6回ということです。なお、冒頭、失 礼いたしましたが、この会議そのものは公開ということですので、出された資料、その 他、議論そのものすべてが公開で行われるということになりますし、非常に限定的な範 囲にしろ必要であれば、今後の議論ですけれども、パブリックコメントを求めた上でま とめるというようなことの手続を考えまして、年度内ということでこういうスケジュー ルを組ませていただきましたので先生方、今のうちに手帳にチェックをいただきまして どうぞよろしくお願いいたします。  野本委員長  慎重にやらなければいかんことですけれども、時間かけるのが慎重ではございませ ん。これ、3月まで6回というのは相当無理なスケジュールなので、大いに働いていた だいきたいと、普通ですと6回やるのに1年ぐらいかかるのですが、今回は3か月で6 回をやると。特に一番きついのは担当する事務局の方々と思いますけれども、ひとつそ このところ、課長さん、迷惑かけます。すみません。事務局の方もよろしく。それから 委員の先生方も無理を言ってすみませんけれども、何とか時間やり繰りしてご参加くだ さい。  今日はこれで終了させていただきます。ありがとうございました。 問い合わせ先  厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当  山本(内2361)、木村(内2364)    電 話 (代)03−3503−1711