99/12/21 食品衛生調査会毒性部会・添加物合同部会議事録 食 品 衛 生 調 査 会 毒 性 部 会 ・ 添 加 物 合 同 部 会 議    事    録 厚生省生活衛生局食品化学課         食品衛生調査会毒性部会・添加物合同部会議事次第         日 時:平成11年12月21日(火) 10:00〜11:45         場 所:東條会館本館5階 クリスタル 1 開会及び配布資料確認 2 食品化学課長挨拶 3 議題  (1) 指定品目の整理検討について  (2) その他 4 その他 ○田所補佐  それでは、定刻となりましたので、食品衛生調査会毒性・添加物合同部会を開催いた します。  本日は毒性部会の委員8名中7名、添加物部会の委員9名中5名、出席いただいてお りますので、本日の毒性・添加物合同部会は成立いたしますことを御報告申し上げま す。  また本日は、臨時委員といたしまして、山田委員、林委員、藤森委員に御出席いただ いております。  なお、本部会は平成9年の常任委員会決議に基づきまして公開となっております。本 部会の議事録は公表される予定でございます。  まず初めに、食品化学課長よりごあいさつ申し上げます。 ○食品化学課長 おはようございます。食品化学課長の内田でございます。本部会の開催に当たりまし て一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、年末の慌ただしいところにもかかわりませず、先生方、本部会に御出席いた だきまして誠にありがとうございます。また、平素から各専門分野におきまして、食品 衛生行政に関しましていろいろと御協力をいただいていることを、この場をかりてお礼 申し上げます。  本日は、食品添加物の整理検討について御審議をお願いすることになっております。 現在、厚生大臣が食品衛生法の6条に基づき定めています食品添加物は、本年7月にス クラロースが指定されておりまして、全部で352 品目ございます。これらの品目の中で 食品加工などの進歩によりまして、流通及び使用実績の確認されない品目がございまし て、それらを削除することについて、それから同一化合物の結晶物、無水物がそれぞれ 指定されている品目を化合物名で統合することについて御審議を賜りたいと考えており ます。 また、今年の4月に第7版の食品添加物公定書が公表されたことに伴いまして、食品 中の食品添加物の分析法についても見直しを検討してまいりましたが、その進捗状況に ついて御報告をさせていただきたいと思います。それから、ステビア抽出物の安全性評 価につきましても事務局より御報告をしたいと思っております。  国民の健康の確保という、生活衛生行政の所期の目的を達成するため、先生方の忌憚 のない御意見を賜りますようお願い申し上げます。今後とも食品衛生行政の推進に御協 力をいただきますようお願い申し上げまして、私のあいさつとさせていただきます。本 日はよろしく御審議のほどをお願いいたします。 ○田所補佐  それでは、合同部会の座長は、通例により毒性部会長であります戸部部会長にお願い したいと存じます。よろしくお願いいたします。 ○戸部部会長(座長)  おはようございます。寒い朝早くからお越しいただきましてありがとうございまし た。  それでは始めさせていただきます。  事務局から資料の説明をお願いします。 ○田所補佐  それでは、配布資料について御確認をお願いいたします。  資料につきましては、あらかじめ送付させていただいておりますが、まずは議事次第 で、議題、委員名簿及び資料一覧等が記載されております。続きまして資料1でござい ますが、「食品添加物の整理検討について(案)」、資料1−1でございますが、「指 定削除対象品目の選定について」、資料1−2でございますが、現在の食品衛生法施行 規則の別表第2の写し、資料1−3でございますが、第7版食品添加物公定書より抜粋 した「食品添加物統合対象品目の規格」、資料1−4でございますが、平成元年以降の 「食品添加物削除一覧」、資料2でございますが、指定食品添加物の整理検討(案)に より改正した場合の別表第2の新旧対照表となっております。また資料3でございます が、「食品中の食品添加物分析法について」の1枚紙で、別添といたしまして、「食品 中の食品添加物分析法」の分厚い冊子がございます。目次につきましては、本日お手元 にお配りさせていただいております。資料4でございますが、「ステビア抽出物の安全 性評価について」で、別添といたしまして「ステビア抽出物概要」がございます。資料 4−1は、平成8年度厚生科学研究林班報告書のステビア抽出物に関する部分。資料4 −2でございますが、ステビア抽出物の日本食品添加物協会の自主規格、資料4−3で ございますが、英文の資料でございますが、ステビオサイドについてのJECFAの報 告書、資料4−4も同じく英文の資料でございますが、ステビオサイドについてのEU 委員会の報告書でございます。  配布資料といたしましては以上でございます。不備等がございましたらお知らせくだ さい。 ○戸部部会長  たくさん資料がございますので、欠落がございましたらどうぞお申し出ください。  それでは、まず議題1でございますけれども、事務局よりいきさつを御説明いただき たいと思います。どうぞよろしく。 ○田所補佐  それでは、資料1「指定食品添加物の整理検討について(案)」に基づきまして御説 明させていただきます。  資料1は、前回10月25日の合同部会におきまして御意見をいただきました指定食品添 加物の整理検討につきましての事務局案でございます。 現在、厚生大臣が食品衛生法第6条に基づき定めている食品添加物は 352品目であり これらの品目は食品衛生法施行規則第3条に基づき、別表第2に記載されております。  これらの指定食品添加物の整理検討につきまして、 (1)食品加工技術の進歩等により 指定食品添加物のうち、現在、流通及び使用実績が確認されず、指定しておく必要性が ない品目について指定の削除の検討。   (2)食品添加物としての規格の整備等に伴い、化学物質として同一化できる品目につ いて、統合の検討。  (3)食品添加物の指定及び削除に伴い、枝番号の増加、削除品目に対応する番号の欠 落等により別表第2は複雑化しているため、番号の整理の検討の3点を整理検討案とし て取り上げさせていただきました。  1点目の指定食品添加物のうち、現在、流通及び使用実績が確認されない品目といた しまして、チューインガム基礎剤のアセチルリシノール酸メチル、合成清酒製造用剤の コリンリン酸塩、鉄強化剤のピロリン酸第一鉄の3品目を指定削除対象品目として選定 させていただきました。  選定の経緯につきましては、資料1−1「指定削除対象品目の選定について」を御覧 ください。  平成10年度厚生科学研究「食品添加物の規格基準設定等に関する基礎的調査研究」の 分担研究「生産統計を基にした食品添加物の摂取量の推定」におきまして、日本で製造 されておらず、流通及び使用実績がないと考えられる指定食品添加物として32品目が報 告されております。これら32品目につきまして、製造実績、添加物としての輸入実績、 輸入加工食品への使用実績及び諸外国での使用状況等から総合的に検討いたしました結 果、下の表に示しましたとおり、流通及び使用実績が確認されない品目といたしまして アセチルリシノール酸メチル、コリンリン酸塩、ピロリン酸第一鉄の3品目を指定削除 の対象品目として選定いたしました。  資料1にお戻りください。2点目の食品添加物としての規格の整備等に伴い、化学物 質として同一化できる品目についての統合の検討につきましては、第7版食品添加物公 定書におきまして、規格は一つでございますが、同一化合物の結晶物及び無水物の両者 が指定されている品目を対象品目といたしました。  品目といたしましては、亜硫酸ナトリウム(結晶)・亜硫酸ナトリウム(無水)、ク エン酸(結晶)・クエン酸(無水)、酢酸ナトリウム(結晶)・酢酸ナトリウム(無 水)、水酸化ナトリウム・水酸化ナトリウム(結晶)、炭酸ナトリウム(結晶)・炭酸 ナトリウム(無水)、ピロリン酸四ナトリウム(結晶)・ピロリン酸四ナトリウム(無 水)、硫酸アルミニウムアンモニウム・硫酸アルミニウムアンモニウム(乾燥)、硫酸 アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムカリウム(乾燥)、硫酸第一鉄(乾燥)・硫 酸第一鉄(結晶)、リン酸水素二ナトリウム(結晶)・リン酸水素二ナトリウム(無 水)、リン酸二水素ナトリウム(結晶)・リン酸二水素ナトリウム(無水)、リン酸三 ナトリウム(結晶)・リン酸三ナトリウム(無水)でございます。  資料1−2、別表第2の1枚目を御覧ください。番号では17と18でございますが、亜 硫酸ナトリウム(結晶)と亜硫酸ナトリウム(無水)の両者が指定されております。  続きまして資料1−3、第7版食品添加物公定書より抜粋した食品添加物統合対象品 目の規格の2枚目を御覧ください。亜硫酸ナトリウム(結晶)と亜硫酸ナトリウム(無 水)は、第7版食品添加物公定書におきまして規格は一つとなっております。他の品目 につきましても同様となっております。  再び資料1にお戻り願います。3点目の別表第2の番号の整理につきましては、枝番 号の品目例といたしまして、資料1−2、別表2の5枚目、左側に405 とページを振っ ているところです。上の段中ほどに本年7月に指定されました番号168-2 、スクラロー ス等の12品目ございます。  削除品目に対応する番号の欠番の例といたしましては資料1−2、別表第2の2枚目 の上の段、左から4番目の54削除とある項でございますけれども、平成7年4月に削除 されましたオキシエチレン高級脂肪酸アルコールの該当番号等を含めまして6項目とな ってございます。  なお、資料1−4に、平成元年以降の食品添加物削除一覧を示してございます。すべ て使用実態、流通実態がないため削除された品目でございます。  また資料2は、以上述べました食品添加物の整理検討案により、改正した場合の別表 第2の新旧対照表を参考として資料とさせていただいたものです。  以上でございます。 ○戸部部会長  ありがとうございました。  ただいま御説明がありましたように、3つの観点からこれまで食品添加物に指定され た物質の整理をさせていただこうということでございます。この点については前回の合 同部会で話がございまして、その後事務局の方で検討を加えていただいたといういきさ つでございます。  いかがでしょうか。ただいまの説明の中でおわかりにくい点、あるいはこういう点は どうかというようなことがございましたら御発言をいただきたいと思います。かなりす っきりした感じになろうかと思います。最終的に 352品目が337品目ということですね。 ○田所補佐  この案を基にしますとそういう形になります。 ○戸部部会長  何か御発言ございませんでしょうか。 ○山崎部会長 ひとつよろしゅうございますか。資料の1−1で製造実績と輸入実績、諸外国での使 用状況という表がございます。それで、製造実績があって、輸入実績と外国での使用状 況が空欄になっているところがあるんですが、これは製造実績と我が国における使用実 績というのが同等というふうに考えて理解してよろしいでしょうか。 ○田所補佐  我が国での製造実績があるものにつきまして、外国で使用実績等が詳しく確認されな かったものについては○印をつけないで、そのまま我が国の製造実績優先という形で省 いてございます。 ○山崎部会長 わかりました。 ○田所補佐  製造されて使用されております。 ○山崎部会長 使用されているということでいいわけですね。 ○戸部部会長  よろしゅうございますか。 ○山崎部会長 結構でございます。 ○戸部部会長  ほかにはございませんでしょうか。 ○林(裕)委員  わかりやすくまとめられているので、よく理解できますけれども、ここで一つだけ確 認させていただきます。削除の理由は、すべて使用実態、使用実績、あるいは流通実態 がなかったためであって安全性に懸念があったためではありませんね。 ○田所補佐  はい。 ○戸部部会長  ほかにございませんでしょうか。  それでは、本件についてはこの案を部会として了承してよろしいというふうにお考え でございましょうか。  ありがとうございました。それでは、この件は終わらせていただきます。  それでは議題の2に移らせていただきます。  事務局から説明をお願いいたします。 ○田所補佐  先ほどの削除、その他整理の品目につきましては、今後の予定といたしまして、パブ リックコメント、WTO通報等をいたしまして、外国もしくは国内等から製造実績、使 用実績等について確認等とれない場合につきまして、削除、整理等を進めさせていただ きたいと考えております。  では、続きまして、議題2はその他となってございますが、「食品中の食品添加物分 析法について」及び「ステビアの安全性」に関して御報告させていただきます。  まず、食品中の食品添加物分析法について御報告いたします。資料3「食品中の食品 添加物分析法について」、1枚紙のものですけれども、御覧ください。  食品中の食品添加物分析法とは、食品中に含まれている食品添加物を簡便で高精度に 分析・定量するための方法を示した指針でございます。  厚生省では、昭和56年から食品中の食品添加物分析法を公表いたしまして、科学技術 の進歩等に対応するため、逐次見直し改正を行っておりますが、近年では、平成元年に 本としてとりまとめ公表しております。  本年4月には、第7版食品添加物公定書が公表され、食品中の食品添加物分析法につ きましても見直しが検討されてきました。  今般、国立医薬品食品衛生研究所、地方衛生研究所、大学等の専門家により改良・開 発された分析法をとりまとめまして、「食品中の食品添加物分析法」を新たに公表する こととしたものでございます。  本分析法は、都道府県、指定検査機関、検疫所等において用いられまして、使用基準 への適合性、あるいは食品添加物摂取量調査等に利用することができるものと考えてお ります。  分厚い冊子と本日お配りしました目次がございますけれども、そちらに食品中の食品 添加物分析法が記載されております。詳細につきましては、山田委員より御説明をお願 いいたします。 ○山田委員  お手元の厚い冊子でありますけれども、いま御説明がありましたように、以前の本が 約10年ほど前に出ましたこともありまして、それからいろいろ器具なども発達しまして 特に前回のものでは、ほとんどの方法がガスクロマトグラフィーを使っていたのが、最 近では高速液体クロマトグラフィーを使うような方法が一般的に行われるようになった とか、そういうことを踏まえまして、新しい分析法を収載したものが幾つかあります。  それから今回の特徴といたしまして、この目次を御覧いただきますと、3枚目にあり ますけれども、目次の357 の第19章「既存添加物」とありますけれども、従来の本には 既存添加物の分析法というのは、ヘキサンその他、ほんの少しだったのですが、今回新 たに既存添加物の分析法も徐々に入れていこうということで、まだ数は少ないのですが このように既存添加物の分析法が入りました。  それから、目次でその次になりますけれども、従来の本には許可されている添加物の 分析法だけが載っていたのですが、実際に検疫所や、地方の衛生研究所などで分析され ますときには、許可されていないものが入っていてはいけないので、そういうものの分 析法も収載してほしいという要望がありましたものですから、そこに5つほどでありま すけれども、諸外国などでよく使われることのある不許可の添加物につきまして、分析 法を収載してあります。  それから以前の食品中の食品添加物分析法には、本をつくるときのコンセプトと申し ましょうか、それが現在と少し違いまして、とにかく分析法をすべての添加物について できるだけ載せようという方針だったものですから、中にはずいぶん難しくてやりにく い方法とか、実際にやってみるとなかなかやりにくいというような方法があります。そ のような分析法は、何か一応参考として今回は載せようということで、395 ページ以下 に参照法という形でまとめまして、こちらの部分はこれは単なる参考であって、食品衛 生法に合っているかどうかの実態を見るときなどの方法として、前半の方は使っていた だくのですけれども、後半の参照の方は、そういう枠組みからは外れて、単なる参照と して挙げるというような感じに挙げてあります。 それから、あと食品添加物公定書のときもそうでありましたように、単位を国際化に 合わせるというようなことの改訂を行っております。主なところはそのような点だと思 います。 ○戸部部会長  ありがとうございました。分析法のまとめを御報告いただきました。 新たにまとめられたわけですね。これはいつごろから、こういうまとめの作業を始め られて、今日の報告になったのですか。 ○田所補佐  前回のものが平成元年に作成されたものでございまして、その後、順次いろいろな分 析法等につきまして検討等を加えまして、今回の製本になっております。 ○戸部部会長  長い間、大部のものをありがとうございました。 分析法について何か御意見ございますでしょうか。 ○中澤委員 いま拝見していますと、よりどころになった分析法の出典として、オリジナルのレ ポートあるいは報告というものが記載されているものもありますし、山田先生、あるい は山田先生のグループのところで全く独自に開発されたものも含まれているというふう に認識してよろしいのでしょうか。そして特に提案されている方法について、先生のと ころで、いわゆる方法論としてのバリデーションみたいなことを実施なさったのかどう かということをお尋ねしたいと思いますが。 ○山田委員  方法のバリデーションということでございますけれども、AOACで求めているよう ながっちりしたバリデーションというような意味ですとやっていないかもしれませんが 10人ぐらいのいろいろな機関の方のグループでの御意見をいただきまして、それで実際 にどこかほかの機関でも追試してみて、うまくいくというような方法を取り入れるよう にはしてあります。それで統計的な数値はとっていませんが、一応他機関との間のバリ デーションというような意味では済んでいる方法があがっております。 もう一つ先におっしゃったのは文献でしたか。 ○中澤委員 文献等を引用されたと思われる方法が幾つかあるのですが、そういうのはいま先生が おっしゃったように、クロスチェックといいますか、追試をなさったりして、一応その 方法の妥当性みたいなものは評価されたのでしょうか。 ○山田委員  一応ほかの機関でやっていただきまして、その方法で市販の食品に応用してみて、う まくいくというようなところは見ております。 ○中澤委員 ありがとうございました。 ○戸部部会長  ありがとうございました。 ほかに何かございますか。 ○林(裕)委員  2点ほど教えていただきたいのですが、1つは、FAOとか、あるいはコーデックス での方法との国際的整合性はどうかということ。第2点は、既存添加物としてコウジ酸 等5つが記載されていましたが、既存の天然添加物はたくさんあると思いますけれども それは必要に応じていずれ収載していくおつもりなのかどうか今後の予定をお聞かせく ださい。 ○山田委員  国際的な方法との整合性ということですけれども、食品の分類が日本ではコーデック スやほかの西洋的な食品と違うのもかなりある関係もありまして、それから、JECF Aその他のところでは、食品中の食品添加物分析法というのは特にありませんので、A OACの方法などというのも、日本は添加物ごとに分析法をつくっているのに対しまし て、あちらは食品ごとにできていますので、なかなか整合性がとりにくい面がありま す。主な方法としてはそれほど違いはなく、原理としても違いはないのですが、あまり とれていないかとも思います。  それから、既存添加物については、むしろ厚生省の方にお答えいただくことかと思い ますけれども、私の方から付け加えておきますのは、1つは、既存添加物と申しますも のが、そもそも何を分析したらいいのか、その主成分というようなものがはっきりしな いものや、1つでないものもあって、なかなかやりにくいということが1つと、あと、 行政需要と申しますか、使用基準が決まっておるものですと需要があるのですが、既存 添加物の場合はほとんど使用基準がありませんので、行政的に見るところは、表示に合 っているかいないかというところで、定性試験が必要なだけということもありまして、 余り取り組みはやっていないというのが事実でありますが、今後どうするかというのは 多分厚生省のお考えがあると思います。 ○食品化学課長  既存添加物を今後どうしていくのかということですけれども、基本的に今回の第7版 の公定書でも、これは単品でございますけれども、単品について規格を整備していって 60品目+3製剤の既存添加物が公定書に入りました。既存添加物については今後規格な ども整備していかなければいけないと思っています。そういうことで、いま来年度の予 算案の中にも既存添加物の規格についての調査などを要求しているところでございま す。そういうことで、単品のものの規格を整備していきましたら、それに伴って、こう いう食品中に入っているものについてどうやって分析していこうかということもやって いけるのではないかと思っております。 ○戸部部会長  ありがとうございました。林先生よろしいですか。 ○林(裕)委員  大変な作業だと思いますけれども、よろしくお願いいたします。 ○福島委員  分析屋でない素人の質問かもわかりませんが、食品添加物の分析法という目次のとこ ろを見ますと、品目として全体的に百幾つ挙がっているわけですが、先ほどの議論で現 在食品添加物は352 品目ある。そうすると、ここに挙がっていない食品添加物というも のについてはどういうふうになっているのかということが1点と、もう1点は、先ほど 指定を削除するという3品目、その3品目はどのような対応がとられていますか。 ○山田委員  ただいまの初めの数の話ですけれども、この目次の方を見ていただきますと、例えば 安息香酸及び安息香酸ナトリウムというように、これは別表第2の方では安息香酸と安 息香酸ナトリウムと別項目になっておりますので、そういうふうに幾つか一緒になって いる、例えば6番、7番の方にいたしましても、2つずつ一緒になっているというよう なところがありますので、かなりの部分はカバーしています。三百幾つのうちで、例え ば塩酸や水酸化ナトリウムも食品添加物ですが、そのようなものの分析法というのは当 然入ってきませんので、食品中の食品添加物分析法の数が少ないものだと思います。  それから2番目におっしゃいましたのは何だったでしょうか。 ○福島委員  2番目は、先ほどの指定を削除する3品目ですね。 ○山田委員  アセチルリシノール酸メチルというのはガムベースで大変分析が難しくて、これは参 照法という一応方法はあるという中に記載されていると思います。  リン酸鉄の方は、これは多分鉄として分析するというようなことで、いろいろなもの と一緒に入っているかとは思います。  コリンリン酸塩は参照法にも入っていませんね。製造用剤にも入れていないので、こ れは最初からなかったのかもしれません。実は分析法をつくるときに、よく使用されて いるものからつくるというようなこともありまして、今回削除するようなものについて は実は余り力を入れていなかったので、どうなっているかも余りつかんでいないような 状況です。 ○田所補佐  現時点では、まだあくまで提案でございまして、削除と決まったものではございませ んのでご注意願います。 ○食品化学課長  ちょっと説明しますと、先ほど手順を御説明したと思いますが、ここの部会でお決め いただいて、その結果をWTOに通報するとか、いろいろな意見を求めて、最終的な決 定は常任委員会で決めることになりますので、そういう意味では、この部会でお決めい ただいたという状況でございます。 ○戸部部会長  福島先生よろしいですか。 ○福島委員  はい、結構です。 ○戸部部会長  ほかにはいかがでしょうか。 ○山崎部会長 概要と改正の要旨というところのページ、一番最初のところですが、収載は、前書き 目次、通則、各条の順になって、参考文献について記載したというふうになっています が、これはまだこれからつくわけですか。 ○田所補佐  まだ製本途中の下刷りの段階でございまして、そちらの部分がまだ記載されていない 部分でございます。 ○山崎部会長 このあとに参考文献がつくわけですね。 ○田所補佐  参考文献、その他いわゆる編集等に関わっていただきました先生方のお名前等も記載 されると思います。 ○山崎部会長 それが空欄になっていますね。通則何条というところの?印も埋まるわけですね。 ○田所補佐  そうです。 ○山崎部会長 ここで言う参考文献というのは、さっき中澤先生から御質問があった各条の方法を引 用した出典とかそういうものとは別にまとまった書物になるわけですね。 ○事務局  参考文献については、公表されている論文、あるいは雑誌等に収載されたものは原則 としてすべて載せようということで参考文献をいま作成しております。  あとは厚生省から事業として独自にお頼みしたもの等がございまして、まだ公表され ていない試験法で、なおかつ、先ほどございましたように、幾つかの衛生試験所あるい は大学等でバリデーションをやっていただいた試験というのがございますので、そうい うものについては解説をなるべく書くということで対応させていただいております。 ○山崎部会長 わかりました。  それからもう一つ、概要と改正の要旨のところなんですが、先ほどから先生方から御 質問があった、例えばこの改正作業の経緯とか、この後に協力された方のお名前などが 列挙されるようですが、どういうような経緯で作業が進められたということや、国際的 に通用している方法論との関連とか、先ほど御質問があった文献等をどういうふうな形 で引用しているかとか、そういったことももう少し一番最初のところで説明していただ くと、この本を利用する方の利用の便宜がさらに上がるのではないかというふうに思い ます。その辺もちょっと工夫していただけたらと思います。 ○戸部部会長  ありがとうございました。 ○事務局  それについては、今後これから校正をかける段階でなるべく反映していきたいと思い ます。先ほど少し国際的な状況ということがございましたけれども、いまコーデックス の方では分析サンプリング部会というところで主に検討されておりまして、ある一定以 上のレベル、その一定以上のレベルを何と定義づけるかというのがまだ議論のあるとこ ろなんですけれども、それ以上のレベルであれば、各国が基本的に分析法を作成して対 応するというところに現在は落ちついているわけです。これからはいろいろな分析法を コーデックスとしてどういう位置づけをするかということを盛んに議論しておりますの で、日本でこういうものができたということであれば、逆に提案していって、国際的に どういう評価をしていただくかということが今後の課題になるかというように思いま す。 ○戸部部会長  よろしいですか。 ○山崎部会長 結構だと思います。 ○戸部部会長  ありがとうございました。 ○中澤委員 只今の山崎先生のお話とも関連すると思うんですが、全体をながめていますと、試料 調製のところでは、比較的有害な有機溶媒というものはかなり避けていらっしゃるよう に見えますし、そういう点は最初の方で少し強調されたらいいのではないかなと思いま す。  それから、先ほど林先生の方からもお話がありましたように、この分析法は実際に分 析される方にとって非常によりどころになる試験法だと思います。そのときにコーデッ クスなどの国際的な分析法というのはなかなか現場の方には届きません。ですから、参 考資料として入っていれば、そういうものに関心のある方は見ることができるだろうと いうように思います。  それから、先ほど事務局の方から、これから校正をかけるということなんですけれど も、ちょっと見ていまして単純な誤植がありますので、これは是非形にされる前に直さ れた方がよいかと思います。 ○戸部部会長  ありがとうございました。事務局の方でよろしくお願いいたします。  ひとつ伺ってよろしいですか。その他の分析法というところに、不許可添加物という のがありますね。これは以前添加物に指定されていたけれども、主として安全性の問題 があって取り消されたものばかりでしょうか。 ○田所補佐  両方ございます。 ○戸部部会長  そうするとそれを一括して、先ほど林先生から、今回のものについて安全性の視野で 省いたものではないということの確認がございましたが、そういう安全性の観点からと そうでないものが一括してありますと、不許可添加物という用語が果して日本語として 妥当かなというように思います。やはり最後に添加物と書いていると、国が認めている ものという感じがちょっとするんですよ。不許可添加物とは何事かという感じがするの ですね。こんなものは添加物ではないんじゃないか。添加物と国が言う限りは、許可し たものだけが添加物であって、不許可のものは、むしろ国が許可していない化学物質と いう感じが私はするのですが、例えばこれを英語に直すようなときに、どういう言葉を 使うか、そういうことも含めて、不許可添加物について少し説明が要るのではないかと いう気がするのですが、どうでしょうか。 ○山崎部会長 その点についても、先ほどの概要のところをもう少し親切にした方がいいということ は、いま不許可というのは、不許可になった添加物を取り締まりの対象とするときに分 析法がないと困るから、ここに掲載したという御説明がありましたよね。そういう趣旨 がここにきちんと書かれていないと、いま戸部先生がおっしゃったような誤解が生まれ て、これは何だということになると思います。ですから、この言葉遣いと同時に、この 本に、不許可になった添加物の分析法までが掲載されている趣旨とか、そういうものを もう少し最初のところに親切に記載すべきだというように私は考えております。 ○戸部部会長  ありがとうございました。山崎先生のおっしゃるとおりだと思います。その辺は事務 局の方で工夫をお願いします。 ○田所補佐  不許可につきましては、未指定のもの、もしくは削除されたもの、その他、校正をか ける段階で語句等につきまして検討させていただきたいと考えております。 ○山崎部会長 目次のところの言葉もそういうふうに変えた方がいいかもしれませんね。ただ不許可 という言い方だけではなくて。 ○成田委員  保存料、酸化防止剤、防カビ剤とか同時分析できるものがいろいろあるのですが、よ く読むとわかりますが、そういう同時分析のものの液体クロマトグラフィーのチャート をどこかにまとめて載せていただけるといいんじゃないかなと思いますが、いかがでし ょうか。 ○山田委員  例えば18ページを見ていただきますと、ここのところにはパラオキシ安息香酸を一斉 にやっているのが出ております。できるだけ入れるようにはしました。 ○成田委員  保存料などでソルビン酸、安息香酸などの同時分析ができるのですが、そういうもの もぜひチャートとして載せていただけると、助かると思います。 ○山田委員  十分にチャートが集まらなかったのもあって載せていないんですけれども、確かにお っしゃるとおりだと思います。 ○成田委員  大体できるものは同時分析をやると思いますので、よろしくお願いします。 ○田所補佐  別途ですけれども、食品衛生検査指針というものの検討をいま現在いたしておりまし て、解説にプラスいたしまして、山田委員ともご相談いたしまして可能ならばチャート 等の記載も、検討していきたいと考えております。 ○成田委員  ぜひお願いします。 ○戸部部会長  ほかにはいかがでしょうか。 ○中澤委員 事務局の方にお伺いすればよろしいのかもしれませんが、今後のスケジュールとして これが社会的に一般の方が参考にできるような状況になる、つまり公表される形という のは、いつごろ、どういう形になりますでしょうか。 ○田所補佐  いま現在、まだ語句等のチェック等も終わっていない段階ですけれども、そちらを行 いまして、きちんと製本されました段階で、都道府県、指定検査機関、検疫所あてに通 知という形で出したいと考えております。できるだけ早めに出したいとは考えておりま すが、作業の進展ぐあいによって若干遅れる可能性もございます。 ○戸部部会長  中澤先生よろしいですか。 ○中澤委員 ありがとうございました。 ○戸部部会長  ほかにはいかがでしょうか。 それでは、御意見も出尽くしたかと思います。この議題についてはこれで終わらせて いただきます。ありがとうございました。  今後の取扱いを事務局からお願いします。 ○田所補佐  先ほど申し上げましたとおりです。 ○戸部部会長  それではもう1点、ステビアの件でございますが、事務局から説明をお願いします。 ○田所補佐  それでは、次にステビアにつきまして事務局より御説明申し上げます。  資料4「ステビア抽出物の安全性評価について」という1枚紙に、箇条書きになって ございますけれども、経緯、概要等を示してございます。  ステビア抽出物につきまして、平成10年6月、第51回JECFA(FAO/WHO合 同食品添加物専門家会議)におきまして、ADI設定のための評価が行われておりま す。  平成11年6月には、EU委員会におきまして、新規添加物としての評価が実施されて おります。その評価結果が平成11年10月に「甘味料としてのステビア抽出物に関する意 見」という形でインターネット等に公表されました。  平成11年11月、一部のマスコミ等でステビア抽出物について取り上げられ、安全性を 疑問視する内容等が報道されました。  概要といたしまして、第51回JECFA会議及びEU委員会におきまして、ステビア 抽出物に関する評価が行われたのですが、現時点では資料が不足しており、ADIを設 定することはできなかったとされており、EUでは新規の添加物として承認することはで きない、という結論が出されております。  本件につきまして、事務局で入手した資料等に基づきまして、現時点での考え方及び 今後の対応等につきまして検討いたしましたので、御報告いたします。  別添をご参照ください。ステビア抽出物につきまして我が国の取扱いでございますが ステビア抽出物及びステビア末につきましては、既存添加物名簿に収載されておりまし て、使用が認められております食品添加物でございます。  ステビア抽出物とは、キク科ステビアの葉より、室温時もしくは熱時水で抽出し、精 製して得られたものであり、ステビオサイド及びレバウディオサイドAを主成分とする ものであります。ショ糖の約200 倍の甘味を有しまして、菓子、飲料等に用いられてお ります。 このステビアにつきましては、平成8年、林班の厚生科学研究報告書「既存添加物の 安全性評価に関する調査研究」、ステビア抽出物についての安全性評価結果が公表され ております。こちらは資料4−1で示してございます。  また、規格につきましては、第7版の公定書等には記載されてございませんけれども 日本食品添加物協会で自主規格が設定されております。この食品添加物協会の自主規格 につきましては、資料4−2にお示しいたしております。  先ほど経緯のところで申し上げましたJECFAの第51回会議、1998年6月に開催さ れたものですが、こちらでのADIを設定するための評価といたしまして、ADIを設 定するためには現時点では資料が不足している。そのADI設定のための再評価を行う に当たりましては、「規格の設定と、人での代謝試験、ステビオールに関するin vivoで の変異原性試験が必要である」とされており、さらなるデータの提出が求められており ます。 また、本年6月のEU委員会の評価におきましては、試験に使用されたステビアの純 度等が明確でない。代謝物であるステビオールについて、in vitroでの変異原性が陽性 との結果がある。小核試験においては陰性との結果もありますが、代謝試験、さらなる 変異原性試験が必要である。 雄精巣への影響が認められ、発がん性試験については、提出された試験に用いられた 系がF344系のラットを用いられた試験でしたが、それ以外のラットを用いた評価が必要 である。 また、代謝物であるステビオールで繁殖毒性、特に雄精巣への影響が認められており ステビアの純度等を明確にした上で再試験が必要であるとされまして、試験に用いられ た試料の規格が不明確であり、また、得られた実験結果としましても、現時点で新規の 添加物として指定することはできないという評価を受けてございます。 EU委員会の評価につきまして、本年11月ブラッセルで会議がございまして、参りま した時点で、この評価等についてどういう形であったのか照会を行いましたところ、ス テビア抽出物につきましては、イタリア企業から提出された資料をもとにEU委員会が 評価したものであり、現時点では食品添加物として許可するために必要なすべての資料 が提出されないという認識であって、ステビア抽出物の安全性を疑問視しているもので はない、との回答を得ております。 また、EUの評価につきまして、各専門家の御意見をお伺いいたしましたところ、E Uの指摘事項の中には、日本ですでに評価された資料等の評価も行われていない部分も あり、また、事実誤認等も認められ、現時点でステビア抽出物につきまして毒性学上問 題となる知見が認められないとの御意見をいただいております。 今後の対応といたしまして、EUの指摘に直ちに対応する必要はないと考えておりま すけれども、JECFAの指摘を考慮いたしまして、ADI設定等に向けて、今後規格 の設定、in vivo での変異原性試験、代謝試験等を行うことを検討する必要はあると考 えております。 また、あわせて平成8年の厚生科学研究報告で評価を行いましたが、それ以降発表さ れている論文等もございますので、そちらの論文情報等も収集いたしまして、安全性評 価等を加えることは必要だとは考えております。  以上です。 ○戸部部会長  ありがとうございました。  それではそれぞれ専門の方から御意見を伺いたいと思います。 ○田所補佐  では林(眞)先生、変異原性の試験につきまして補足説明をお願いできますか。 ○林(眞)委員  それでは、ステビアの変異原性関係について若干追加の説明をさせていただきます。  林裕造先生が班長でまとめられました平成8年の報告書、資料の4−1の2枚目、66 ページのところを御覧になっていただきたいのですが、その(4) のところに変異原性に ついて記載がございます。ステビオサイドの方につきましては、純度等の問題で若干陽 性になったようなものもありますが、ほとんどの試験で陰性の結果が報告されておりま して、そのもの自身にはまず問題ないというふうに考えております。  それから、腸内細菌で代謝されてできますステビオールにつきましては、これについ てもかなり広範囲な試験が行われております。この場合には、ここにもありますように 細菌を用いた前身突然変異、フォワードミューテーションの系で変異原性が認められて おり、それのベースシークエンスの結果から、ベースチェンジ型というか、点突然変異 ではなくて、一部が傑出するような形の変異であるというようなこともわかっておりま す。  それと同時に、染色体異常も代謝活性化の系を含めた場合に出るというようなことが in vitroでわかっているわけですけれども、それのin vivo での試験もございまして、 一番はっきりしていますのがマウスを用いた小核試験というものがございます。そのマ ウスを用いた小核試験の場合にも、この場合にはMS/Aeという変異原性物質に非常に感受 性の高いとされている特殊なマウスの系統を用いた試験が行われておりまして、それも 十分高用量まで試験されております。その結果が陰性ということですので、このin vivo でのネガティブの結果というのは、かなり信頼性の高いものと考えておりまして、結果 として、林班の方で結論されましたように、このものの生体にとっての遺伝毒性という のはそれほど問題とすべきようなものではないと現在では考えております。 以上でございます。 ○戸部部会長  ありがとうございました。 藤森先生、代謝の件でお願いいたします。 ○藤森委員  代謝に関しての補足説明をさせていただきます。 まず資料4−1では、代謝に関して特に検討しておりません。4−3はJECFAで 評価、4−4はEUで評価しているわけですけれども、先ほど説明があったように、資 料に不備があるということから、ヒトの代謝試験が必要であるというようなことが言わ れています。その根拠については、われわれも一応検討いたしました。このステビオサ イドに対する代謝試験をかいつまんで説明いたしますと、一つにはステビオサイド、4 −2の資料の121 ページに構造が載っておりますけれども、こういうグリコシド配糖体 になっております。先程少し触れられたように、いろいろな規格の問題があり、これは 植物成分ですから、ステビオサイド、レバウディオサイドと、ズルコシドというものが 混じっているということです。これらの差は真ん中のアグリコンがステビオールに当た るわけですけれども、その配糖体の糖の数が変わるだけであります。 そういうことで、いままでにこれらのグリコシド結合がマウス、ラット、ヒトとイヌ というものの糞の懸濁したような状態で、腸内細菌によって切れてステビオールになる ということを報告しております。 それから、ラットに経口投与しますとほとんどは糞中にくるわけです。ほぼ100 %糞 中にきまして、そのほとんどかステビオールであったということが言われています。 ただ、幾つかの問題点というのは、この糞のこした状態のものを使って、かなり長い 間インキュベーションしているわけですけれども、そのときにマウスとヒトの糞ではエ ポキシドが若干できているらしいということがあります。その辺が代謝物の上で疑問視 される一つであると思います。 それから、このデータの中では胆管を縛ってしまうとほとんどが尿中に出てくるとい うようなことから、これは胆汁排泄をするということ、それからステビオシドを静注す るとほとんど分解しないとか、あるいは論文によっては、若干ステビオールとして出て くるとか、その辺で代謝試験のデータに若干の疑いというよりも、これは当時の測って いた方法としては、HPLCでUVという方法でやっていたわけですが、そういう面で 十分でないということがあります。 本来こういう食品添加物でヒトで代謝物を測れということは、まずは言わないんです けれども、ただ、現代の測定条件で少なくともステビオール、ヒトでもステビオールし かできないというならば、これは動物試験での毒性試験で十分に安全性を確認できると 考えられます。 それから、エポキシドができるという程度の経路の代謝ならば、in vitroでは変異原 性で陰性というのは見られていたと思うので、あとin vivo をやれば十分に安全性は確 保できるというふうに考えております。 このステビアというのが食品添加物としてかなり使われて問題になってくるというな らば、現代の定量の感度からいって、より安全性を確保するということは非常にいいこ とです。ですから通常問題とされない、そこまでは見ない、ヒトの代謝に関してもやる ことは意義があるということから幾つかのヒトの代謝試験を行うということになってお ります。 その一つとして、まず、ヒトの糞でやっておりますけれども、これをさらに ヒトの腸内に近い条件で、現在の非常に感度のいい測定法で実際にステビオールだけな のか、ほかにも出来るのかということを検討してみようと。それによっては、その次の 試験としてヒトでの代謝というものをヒトのミクロソームを使う、最新の方法がありま すから、それでさらに検討してみようと。通常そこまで要求はしていないはずですが、 そこまでやってみようということになっております。 一応それがこれからやる試験として確定しているところであります。その結果によっ ては、吸収をin vitroでやってみるというようなメカニスティックなところも考えては いるわけですけれども、いずれにしろ、データとして十分でないところは足そうという ことです。  いままでのラットのデータについては、通常の試験、現代の測定感度を用いてラット の試験でステビオールだけであれば、ほぼ問題はないと思っております。ラットとヒト の代謝もミクロソームで比較検討する予定であります。  以上です。 ○戸部部会長  ありがとうございました。 ○長尾委員  その排泄がラットの場合には、ステビオールとして 100%糞に見られたというのは、 100%というのは、排泄されたものだけを 100%としてという意味ですか、それとも与え たものを100%にしたのですか。 ○藤森委員  与えたものからです。測定の仕方としては、先ほど言ったHPLCのUV法なんです けれども、投与したものがほぼ 100%回収されております。ただ、先ほど言ったように HPLC法ということで、まだある程度のばらつきが当然あると思うわけですよね。で すから、その感度いかんによっては、若干のほかの代謝物、非常に微量なものがあるか もしれない。それからもう一つは、データによってはステビオールの、これは恐らく抱 合体だと思うんですけれども、そういうピークも見つかっているわけなんです。それも 足すと、間違いなくほぼ100%になっています。 ○長尾委員  そうしますと、例えば先ほどエポキシドができているとしても、先ほど非常にマイ ナーでネグレジブルだということですか。 ○藤森委員  そう思います。 ○長尾委員  そうしますと、先ほど藤森先生がおっしゃったなかに、これはin vitroで変異原性が あって、in vivo の骨髄に限って小核試験を見た場合にはネガティブということですの で、その辺、言い間違いかもしれませんけれども、先ほどin vitroで変異原性が見つか らないとおっしゃったんですが、それは訂正された方がいいと思います。 ○藤森委員  わかりました。 ○長尾委員  それで、ただ、in vivo は変異原性の試験はほかに方法が、現在はアベーラブルにな っていますので、in vivo で変異原性がないというのは、骨髄だけで小核試験というの はちょっと不安な感じがしますので、スタンダードの方法としては採用されていません が、調べる方法はあるので、その辺をどうお考えになっていますか。 ○林(眞)委員  それにつきましても、これから実際にもう少しデータを集めようというような話が進 んでおりまして、in vivo につきましては、一応コメットアッセイで、各臓器から細胞 を採取して調べてみようというふうに考えております。確かにトランスジェニックのよ うな動物を使うというようなことも考えられるのですが、in vitroで見られた変異の型 から欠失型変異をきちんと検出できて、かつバリデーションされた系というのがいまの ところまだありませんので、gptデルタのスパイアッセイにしても、まだちょっとバリ デーションがはっきりできていないというところもあり、より初期のDNAに対する反応を コメットアッセイで見てみようというふうに考えております。 ○長尾委員  欠失型変異というのはバクテリアで見られたんですよね。 ○林(眞)委員  はい。前進突発変異検出の系で欠失型変異がシークエンスを行った結果見つかってい ます。 ○長尾委員  どのくらいの長さですか。 ○林(眞)委員  長さははっきり覚えていないんですけれども、かなり長い欠失型変異だったと覚えて います。 ○長尾委員  例えば活性酸素などで誘発される欠失型変異というのは、結構lacIなんかでも見れる んですね。ですから、コメットアッセイでまずは御検討になるのがいいと思いますが、 一応御参考までに。 ○林(眞)委員  ありがとうございます。 ○戸部部会長  ありがとうございました。 ほかにこの問題について。 ○鈴木委員  大変初歩的な質問をいたしますが、ステビアという植物は、どこに生えて、どのよう な栽培をしているんですか、野生のものかというのと、それからもう一つは、すでに使 用が認められている食品添加物であるということですので、私どもが実際に使用してい る食品にこれが入っている可能性があるのですか。それから入っていることの表示とい うものはすでにされているのですか。 ○田所補佐  ステビアにつきましては、南米等の原産で、いま現在、日本、中国、東南アジア等で 栽培されてございます。いま現在、ステビアの抽出物等につきましては、菓子、先ほど 申し上げました飲料等に結構幅広く使用されてございます。表示はすべてきちんとされ ております。 ○鈴木委員  甘味料として使うためにかなり栽培をして、それで事業化できるようになって栽培さ れているという意味ですね。 ○田所補佐  そうですね。  林先生、藤森先生に補足説明していただきましたけれども、先ほど申し上げましたと おり、JECFA、EU等の指摘につきましても、現時点で安全性につきまして言及し ているものではなく、申請の状況によりまして、資料等が不足なので追加試験等が必要 であるとの評価を得ておるものでございます。ただし、ADI等の設定等につきまして JECFA等の指摘も踏まえまして、でき得る限りの試験等について研究その他を検討 していきたいと考えている次第でございます。 ○福島委員  藤森先生にもう一度確認の意味でお聞きいたしますが、先ほどの代謝でエポキシドが できるということで、その場合にヒトとマウスができるということですが、それは量的 に同じなのかということ、さらにラットと比較して、どの程度エポキシドの、ラットの 場合 100%ということで、先ほど微量という言葉を最後言われたんですが、比較します と、ヒト、ラット、マウスでの代謝、そこでのヒトにマウスは一番似ているというふう に言っていいのかどうか、その点についてお聞きします。 ○藤森委員  実はこのデータ、文献はそれほど信頼できるとは言えないんですね。それは、実験条 件として何日間という好気的な条件でインキュベーションしているんですね。だから、 本当にマウスとヒトだけにできたのかどうか。同じ条件でやったのかどうか、その辺が あやしい。ラットとイヌの方には全く検出できていないわけなんですけれども。  これはタイのヒトの文献でして、そのデータを見る限りではリカバリーとすると、ヒ トの場合で大体8分の1ですから十数%です。マウスで30%近くできているようなんで すが、ラット、ハムスター、イヌではなくてハムスターです。ハムスターには全くでき ていない。それともう一つは、インキュベーションの日にちでヒトでも全く見えなくな ってしまう、6日間やると全然見つからなくなるとか、このデータそのものは、実際に は恐らくEUの方では余り信頼していないと思います。そういうこともありまして、も っとヒトの腸内条件に近い条件でわれわれは検討する予定であります。 ○福島委員  ありがとうございます。ぜひヒトをもっと追加して実験をやっていただきたいと思う んです。といいますのは、いまのデータでヒトで十数%、マウスで30%、ハムスターで はラットと似ていないということですけれども、安全性試験の方のデータを見ますと、 一般毒性、発がん性、繁殖試験、いずれもラット、ハムスターということで、いまで言 う、いわゆるエポキシドが全然できていないと思われるようなデータばかりと解釈でき ると思うんですね。そういう意味で、ハムスターのデータがどこかにないかと文献的に 調べまして、マウスのデータがあれば非常に役立つなと思ったものですから。 ○藤森委員  マウスの文献はほかにありません。 ○福島委員  もう少しヒトの代謝を調べていただいて、ヒトがどれに似ているかということでまた 決めればいいかと思います。 ○藤森委員  それから、先ほどエポキシドということを言っていましたが、エポキシドも放ってお くとステビオールになってしまうわけなのです。 ○戸部部会長  福島先生よろしいですか。 ○福島委員  結構です。 ○戸部部会長  ありがとうございました。  ほかに何かありませんか。 ○林(裕)委員  平成8年の厚生科学研究報告、「既存添加物の安全性評価に関する調査研究」は、平 成8年の食品衛生法の改訂に伴う食品添加物の取扱いの変更に対応して実施された研究 です。改正の結果、天然添加物も合成添加物と同じ取扱いにするというようなことから 端を発した研究なわけです。その時点まで、特別の調査、研究なしに使われていた天然 添加物を合成添加物と同じ立場でもって評価しようとした場合に、その安全性をどのよ うに考えていくべきかが調査研究の目的だったわけです。二つの考え方があります。全 く新規な物質を食品添加物として扱う考え方と、いままで日本では問題なく使われてい たという使用経験を加味して評価するという考え方です。  そういう立場でみると、いろいろな物質が評価の対象となります。ステビアの抽出物 もその一つです。そこで資料の収集から始めましたが、国立衛生試験所が2年間のラッ ト長期試験、そのほか様々なデータが出たわけですね。それを専門の先生に評価してい ただいて、ここにあるような、特に安全性に積極的に懸念をもたせるような知見はない ということで、安全であると判断しました。この見解はEUの考えと全く一致していま す。  ただ、現状でのJECFA、EUの基準の制度によって新規の合成甘味料としての審 査をする立場になりますと、従来の方式に従った考え方とデータに基づいて評価しなけ ればならないことになります。そういう立場から見ますと、先ほど御説明がありました ようないろいろな不足の部分があるということになります。不足分の追加は、ADIの 設定、安全性の更なる確認に必要なので、この点を追加させていただきました。 ○戸部部会長  ありがとうございました。  これまで我が国で対応してきている様相が林先生のお話で非常によくわかったかと思 います。もちろん、この安全性については、その時その時の新しい科学的知見が出てく ることによって変わっていくし、まさに時代的なものが伴うわけですが、これまで我が 国ではずっと長く使っていて、8年にこういう評価をしていただいて使ってきたという ことですが、ヨーロッパなんかで新たにこれを添加物として申請するということで、E U委員会で評価したことが一つの問題を振り返る要因になっているということでありま すけれども、いまお話がございましたように、これから多少実験を加えて、さらにその 安全性の確認をしていくということでございますが、現時点でこういう対応でやってい っていいかどうかということを部会でお認めいただけるかどうかということが本日の報 告の趣旨でございますけれども、いかがでしょうか。 ○三森委員  今回のステビア抽出物について、さらなるデータ評価という面から代謝試験、あるい は変異原性試験を追加することには賛同いたします。このEU委員会の評価のところを 見てみますと、それに付け加えまして、精巣障害性ということが強調されております。 EUの概要書だけで評価はできないんですが、このステビアの抽出液のかなりクルード なものを投与すると、確かに精巣障害が発現するというデータがありますが、JECF Aの方でも評価されていないようですし、日本の林先生の研究班においても、その辺に ついての解釈がないようですので、純度の高いものについては問題はないと思いますが クルードなものや代謝物についても、EU委員会では、繁殖毒性があると言っておりま すので、さらに日本としてももう少しその辺を追求しておいた方がよいかと思います。 ○林(裕)委員  EUが触れているのは、1960年代に「サイエンス」に出ている論文だと思います。そ れでは非常にクルードなものを使ってそういうような作用があるということを言ってい るわけです。ところが、JECFAでは、それは多分ステビオサイドによるものではな いだろう、別のものによるのだろうという結論になっております。 ○事務局  繁殖毒性ということは、林先生がおっしゃったように「サイエンス」でプラナスらが 報告したものが発端になっておりますが、その後様々な角度から、例えば日本で追加試 験をやられた経緯とかがありまして、再現性が確認されていないというのが現在の実情 であります。それで、繁殖毒性についても、専門の例えば鈴木勝士先生とか、実際に集 めた文献を御覧いただいて、いま現時点でEUが指摘しているようなことについて問題 となるような知見は認められないという御意見をいただいております。今後さらにまた 情報を集めて評価をしていただければというふうに考えております。 ○林(裕)委員  おもしろいのは、この物質を避妊に使っているという人々がいることが、研究の発端 になっているようなのですね。ですから、逆に、ステビオサイドの安全性の問題から有 用な研究対象になるように思います。 ○事務局  事務局からもう一言だけ付け加えさせていただきたいと思いますが、今回のステビア の一つの原因としては、クルードなものということで、かなり混乱した結果が得られて いるということもありまして、JECFAが指摘しておりますように、規格の整備とい うこともこの問題の中で重要かと思いますので、規格の設定等については、事務局サイ ドの方で検討させていただいて、また先生方の御意見を伺って、いい方向というか、規 格を設定するということで検討させていただきたいと思います。 ○戸部部会長  ほかにはございませんでしょうか。  さらに検討を加えていくということですね。よろしいでしょうか。  ありがとうございました。  それでは、ステビアについてはこれで終わらせていただきます。  以上で予定したものは終わりでございますが、1点、アセスルファムカリウムの方の 提案を私の方からさせていただいてよろしいですか。 ○事務局  いま資料をお配りいたしますけれども、先日、アセスルファムカリウムという新規の 添加物について部会報告書をまとめさせていただいたのですが、その後また先生方の御 意見等がございまして、一部で訂正をしてはどうかというお話もございますので、戸部 先生の方から経緯について御紹介いただければと思います。 ○戸部部会長  アセスルファムカリウムの報告書の件でございますが、前回の委員会で安全性の動物 実験の成績の文章、文言について御意見がございまして、動物実験で出てきた所見から 見て、この結論として問題がないであろうという評価をしたということについて、その 問題がないという理由づけが、当初報告書で盛られた文章ですと、若干将来疑念を残す という御指摘がございました。  その一つは、この成績は、対照群に比べて処置した群で差があるけれども、過去の データ、つまりヒストリカルデータと比べて問題がないと。したがって、この所見は毒 性上問題にする必要はないだろうというのがございました。このヒストリカルデータに ついて、そういうものと処置した群の数値、成績を比較するのは、本来おかしいのでは ないかという御指摘でありました。結論として問題がないということには異論はないけ れども、その理由づけがおかしいという御指摘でございました。  そういうことで、若干の文章の修正をさせていただこうということで、修正をさせて いただいて、本日この2枚の印刷物にそれを盛り込んであるわけですが、さらにこの中 で、8ページというふうに振ってございます2枚目でございますけれども、中ほどにア ンダーラインが引いてあるのがあるのですが、ここがいま申し上げましたように、読み ますと、「リンパ球の減少が認められたが、用量相関性がなく毒性学的意義は乏しいも のと判断された」というふうに当初修正をさせていただきました。しかし、最高用量の この場合はイヌの成績でございますけれども、3%のところで変化が出ているというこ とがございまして、そういう意味で、最高用量だけに変化が認められているものを「用 量相関性がなく」というふうに判断するのはやはり間違っている。つまり、もっと高い 用量を使った場合に、3%で若干変化が出、さらにその上で強くというふうなことが仮 に起こり得るというふうに考えますと、「用量相関性がなく」というのも文章として非 常におかしいことになる。  したがって、当初、ヒストリカルデータに比べて問題がないということを、言葉を変 えますと、「生物学的変動範囲内であり」という言葉の方が妥当であろうというふうに 判断されました。この点については、この議論のときに御意見を伺った福島先生に文章 についてお考えをいただいて、「生物学的変動範囲内」という文言が妥当であろうとい うことで、こういうふうに修正をさせていただきました。最初にお手元に届いたものと 違っておりますので、この点を御報告して、御了解を得たいと思いますが、何かこの点 について、「生物学的変動範囲内」もどうだろうかというような御意見がございました ら、お聞かせをいただきたいと思います。いかがでございましょう。  よろしゅうございましょうか。「毒性学的意義は乏しいもの」というのは前にも御承 認をいただいているところであります。御異論がございませんようでしたら、このよう な修正をさせていただいて、お認めいただくということにさせていただきたいと思いま す。よろしゅうございますか。福島先生何かございますでしょうか。  ありがとうございました。それでは、アセスルファムカリウムの報告書の訂正案はお 認めをいただくということになりました。  以上でしょうか。 ○田所補佐  それでは、御指摘のとおり、部会報告書を訂正させていただくということでよろしい ですか。 ○戸部部会長  はい。 ○田所補佐  訂正させていただきます。 ○戸部部会長  以上で全部終わりですね。長時間どうもありがとうございました。                                     (了) 厚生省生活衛生局食品化学課 電話03−3595−2341(田所、高橋、宇山)