99/12/14 食品衛生調査会バイオテクノロジー特別部会議事録           食品衛生調査会バイオテクノロジー特別部会 議事録 日 時    平成11年12月14日(火)10:00〜12:00 場 所    通産省別館833号会議室 出席委員   寺尾允男、大井玄、近藤雅臣、澤宏紀、澤田純一、塩見一雄、  細谷憲政、山崎幹夫(敬称略) オブザーバー 宇理須厚雄、小関良宏、熊谷進、河野陽一、豊田正武(敬称略) 厚生省    西本生活衛生局長、喜多村企画課長、内田食品化学課長、坂本、桑崎、        木村、高橋、宇山、福島、坂谷内 「組換えDNA技術応用食品・食品添加物の安全性確認の法的義務化について」 ○ 事務局(木村)  定刻となりましたので、ただいまから食品衛生調査会、バイオテクノロジー特別部会を 開催したいと思います。本日はご多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがと うございます。当特別部会の委員11名中、8名にご出席いただいておりまして、過半数 に達しておりますので、本日の当特別部会が成立しておりますことを、ご報告申し上げ ます。 なお、本日は分科会のほうから宇理須委員、小関委員、熊谷委員、河野委員、豊田委員 の5名の委員に、オブザーバーとして参加いただいております。よろしくお願い申し上 げます。まず開会に当たりまして、西本生活衛生局長より、ご挨拶申し上げます。 ○ 西本生活衛生局長  年末の大変お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。前回 の食品衛生調査会常任委員会において、遺伝子組換え食品の安全性について、法的な義 務化をするという方向をお示しいただいたわけです。これを受けて私ども事務局といた しましては、それまでに寄せられた消費者の一般の方々のパブリックコメントの分析、 あるいは各部会へのいろいろな仕事の依頼等を進めてまいりました。また、それと並行 して、産業界の代表的な分野の方々を個別にお呼びいたしまして、消費者動向や市場の 状況等について、現場の感覚を勉強させていただきました。学識経験者につきましても 個々にご意見を伺ってまいったわけです。  11月末には、シアトルで行われたWTO会議に企画課長を、ワシントンで行われた コーデックスの関連会議に食品保健課長を派遣し、世界の状況等についても調査してま いりました。また私自身、たまたま来日されていたWHOのブルントラント事務局長に もお会いして、来年3月に我が国が議長国として行います、コーデックス委員会につい ての協力を要請し、併せてWHOそのものも食品保健の安全性について、全面的に推進 していただくよう、ご要請申し上げたところです。1カ月という短い期間で、慌ただし い作業をしてまいったわけですが、その結果、本日お示しておりますような案を作らせ ていただいたわけです。  本日ご審議いただきますポイントの1つは、いままで私が局長通知で行っていた安全 性の手続につきまして、告示という国民にわかりやすい形で明確にお示ししたいという ことと、安全性の評価基準につきましても、いろんなことをやっておりましたが、どう も一般の方々にはあまり理解されておりませんので、実際にどれだけ幅広く、いろんな 所に目配りをしてやってきたかを知っていただくためにも、告示の中でお示ししたいと いうことで、その告示案です。 第3点は、新しい告示を出しますまで、現在行っております審査については、少し凍結 してはどうかという案です。第4は、これらはいずれ施行される段階において、厚生省 として何らかの表示を行う必要があるのではないかということです。以上、4点でござ います。十分ご審議をいただきますよう、お願い申し上げます。 ○ 事務局(木村) では議事の進行を、寺尾部会長よりお願いしたいと思います。 ○ 寺尾部会長 先生方にはお忙しい中、食品衛生調査会バイオテクノロジー特別部会にご出席いただき まして、ありがとうございます。本日審議する内容は、平成11年11月12日に厚生大臣よ り諮問された、組換えDNA技術応用食品・食品添加物の安全性確認の法的義務化につ いてです。これは、今年11月15日に行われた常任委員会でご議論いただいた結果、今後 バイオテクノロジー特別部会でご審議いただくことになったものです。それでは最初に 事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○ 事務局(木村) 資料1から4まで、また参考資料の1から2までを準備させていただいております。資 料1は、「遺伝子組換え食品の安全性確認の法的義務化」です。資料2は、「遺伝子組 換え食品の安全性確認の義務化に係る規格基準等の仕組みイメージ図」です。資料3は 厚生省の告示案ということで、これには3つございます。その1つが、「食品、添加物 等の規格基準の改正告示案」です。2として、「安全性確認の手続に関する告示案」で す。3として、「製造基準に関する告示案」です。資料4は、「指針に基づく適合確認 に係る審査基準(案)」です。以上が資料です。また参考資料として、従来からありま す「安全性評価指針」、ならびに「製造指針」をそれぞれ付けております。 ○ 寺尾部会長 では早速、審議に入りたいと思います。資料の内容につきまして、ご説明いただけます か。 ○ 事務局(木村)  それでは資料1から3について、一括してご説明申し上げます。まず資料1につきま しては、11月15日の常任委員会で諮問されたその趣旨と、主な論点です。「諮問の趣 旨」としましては、現在、食品衛生調査会におけるご審議を経て、厚生大臣が組換えD NA技術応用食品・食品添加物について個別に審査し、安全性の確認を行っているとこ ろですが、法律に基づかない任意の仕組みとなっていることから、これを法的に義務化 することについて、ご審議いただくということです。  2点目は、「法的義務化の必要性」です。従来も十分な安全性の評価が行われている ので、これで足りるとしてきたところですが、近年、国際的にも遺伝子組換え食品の開 発が非常に進んでいるということもあり、安全性確認を行う制度を法的に確立しておく 必要があるのではないかという意見がありました。また農林水産省の日本農林規格によ る表示の法的義務化というものが、いま現在進んでおります。それは厚生省の安全性確 認を前提としていることもあり、安全性確認についても法定化を図る必要があるのでは ないかという議論もあり、このような必要性が問われているところです。  2頁の「義務化の具体的手段」につきましては、現在の食品衛生法第7条、「食品添 加物等の規格基準」という中で、遺伝子組換え食品の審査の法的義務化が対応できるの ではないかと言われておりますので、この方法でしてはどうかということです。ちなみ に波線で、食品衛生法第7条についての記述がなされております。  3頁では、先ほどの規格基準がなぜ食品衛生法の一部改正ではなく、現行の規格基準 の改正で対応が適当かというところを、記載させていただいております。1点目としま しては、食品に関するさまざまな成分規格、製造基準等がこの規格基準に定められてお りまして、安全性確認を受けていない遺伝子組換え食品の販売、輸入、製造等を禁止す ることは、この規格基準に馴染みやすい内容であるというのが1点目です。またバイオ 技術、科学技術の進展は非常にすさまじく、今後も多種多様な技術が実用化されてくる ことは予想されております。こういったものに機敏に対応していくという観点からも、 逐一の法律改正ではなく、規格基準のいわゆる告示の改正により、対応するのが妥当で はないかということです。3点目としては、さまざまな遺伝子組換え食品以外の食品が ありますが、遺伝子組換え食品のみ法律上、特別扱いするということは、条文に設ける ということは、バランスを欠くのではないかという観点もあります。  4頁は、「安全性確認のポイント」です。現行は「安全性評価指針」というもので、 任意で行っておりますが、その観点はそこに2つの・印でありますように、食品の構成 成分が同程度とか、組換えによりアレルゲンや有害物質が産生されていないこと、その 他、挿入する遺伝子が病原体由来でないことなど、実に多くの基準やいろいろな項目を 設けて、現在もやっているわけです。これについては、基本的な考え方は変わらないの ではないかと。すなわち現行の水準で、まずは法制化が必要ではないかということを指 摘させていただいております。  5頁は「輸入時の検証方法」です。もし義務化すると輸入時の届けのときに、遺伝子 組換え食品の安全性確認について、特に未確認の物が含まれていないことを示すような やり方は、どうあるべきか、あるいは現在でも遺伝子組換え食品以外の他の食品につい て、抜き取り検査等のモニタリング検査を行っているわけですが、遺伝子組換え食品に ついても、これがどうあるべきかという問題点がある、という指摘があります。  最後の6頁は、「表示」問題です。現在は農林水産省のいわゆるJAS法、品質表示 として消費者の選択という観点から、表示が行われて進んでおります。この審査が義務 化した場合、安全性の観点と申しますか、公衆衛生上の見地から、食品衛生法において 表示をすることが必要になってくるのではないか、という問題提起をさせていただいて おります。 資料1の説明は以上です。  いまの問題提起を受けまして、もし具体的にやるとしたら、特に規格基準についてど ういうイメージになるかというのが、資料2です。大きく分けて3つの柱から成り立っ ていると考えております。1点目は「規格基準」そのものです。2点目は「安全性確認 の手続」です。3点目が「製造所の基準」です。このように3つに分けてやるのが適当 ではないかということです。まず1点目の「規格基準」につきましては、中身が大きく 2つに分かれるかと思います。まずその1つ目が、「組換えDNA技術によって得られ た生物、又はこれを含む加工食品」です。これについても植物の形状の変わらない食品 とか、植物の形状が残らない加工食品というように、また細分化されると思います。い ずれにしても食品が組換えDNA技術によって得られた生物の全部、または一部を含む 場合には、当該生物は厚生大臣が、食品としての安全性の確認をした物でなければなら ないという基準を設けて、対応できるのではないかということです。  2つ目の「製造工程において、組換えDNA技術によって得られた生物を利用した食 品、又は食品添加物」においても、食品と食品添加物に分かれるかと思います。食品の 安全性の観点、製造所毎の基準適合ということで、先ほど申しました規格基準の考え方 で、それぞれ対応していけるのではないかということです。なお(1)と書いてありますの は、いま考えている「安全性評価指針」に対応しております。(2)につきましては、「製 造指針」に対応しております。  2頁では、安全性確認の手続について記述しております。「厚生大臣はこれらの食品 又は食品添加物について、開発者、その代理人等から申請があったときには、食品衛生 調査会の意見を聞いて、品種品目ごとに安全性確認を行うこととし、その手続きを定め る」ということで、ここでは手続きについてのものを告示する必要があるということで す。本日は、申請時に提出すべき資料の内容を記述したものを出しております。  3点目の「製造所の基準」は、遺伝子組換えの技術を応用した食品、または食品添加 物を製造する場合の基準を定める要件です。これについては施設、設備基準、運営上の 遵守事項、職員および組織の事項という3点について基準を定め、それに適合する物を 許可するという形を考えております。なお3頁にまいりますが、併せてそれらについて は告示レベルではなく、もう少し下のレベル、いわゆる局長通知レベルで安全性確認の 義務化の施行通知というものを出して規格基準の体制、安全性確認の手続き、製造基準 の3点について、通知を出すことを考えております。また、併せて安全性確認の審査基 準というものを、別表として添付させていただいております。従来から審査はやってお りましたが、その具体的な判断基準等がやや不明確だというご批判もありましたので、 この際、これを非常に明確化するという観点で、審査基準というものを作りまして、こ ちらに添付するということを考えております。以上が資料2のご説明です。 次に、資料3−1から3−3までのご説明をいたします。これは資料2の「規格基準」「安 全性確認の手続き」「製造所の基準」のそれぞれに対応したものです。3−1は、「規格 基準」についてのもので、資料2にあるものを実際にもう少し告示案に沿った形で書い たら、このようになるのではないかというイメージです。3−2につきましても同様で、 これは「安全性確認の手続」に関する告示案です。このように適用、定義、安全性の確 認、再評価、後代交配種の取扱いについて、記載させていただいております。最後に資 料3−3につきましては、「製造基準に関する告示案」です。やはり適用、定義、製造基 準、製造所の基準適合確認、報告・立入検査等、変更の届出、確認の失効といったもの について、記載させていただいております。以上が資料1から3までの説明です。 ○ 寺尾部会長 法的義務化の制度案の概要につきまして、資料1、2、3に基づき、ご説明いただきまし た。これからは規格基準の改正で対応していこうという趣旨ですが、大体の論点は資料 1の2頁、3頁辺りに書いてあります。前から議論はされておりますが、遺伝子組換え だけに限って、特別な条文を設けるというのは、ほかの食品とのバランスを欠くという ことで、むしろ規格基準で対応したほうがいいと。規格基準というのは、資料1の3頁 にもありますように、抗生物質の含有の禁止とか、放射線照射の食品の禁止とか、ほか にいろいろなものがありますので、そういうものと同じ並びでやっていったほうが、バ ランスがいいという考えだろうと思います。これにつきまして何かご質問、ご意見はご ざいますか。 ○ 近藤委員 資料3−3の3頁、第5条の2ですが、「厚生大臣は関係者に質問をさせることができ る」とあります。これは一種の査察みたいなことだろうと思いますが、これは適宜とい うことか、年に1回査察するということを指すのか、どちらですか。 ○ 事務局(高橋) 必要に応じてやっていきます。これは法律に基づく立入り権限ではないので、いわゆる 強制力を持った立入りではありません。製造工程が当初の安全確認の申請どおり、適正 に行われているかどうかを時々見に行くことは、必要ではないかということで、こうい う条文を起こしたわけです。 ○ 近藤委員 時々ということですね。 ○ 事務局(高橋) 必要に応じて、やはり行かなければいけないだろうと。 ○ 寺尾部会長 資料2の2頁の3に、「製造所の基準」という項がありますね。これは新しく基準を作 るのか、あるいはすでにあるものを手直しするのか、そこら辺はどうなるのでしょう か。 ○ 事務局(高橋) 現在、「製造指針」がございます。たまたま国内では製造事例がありませんので、該当 して確認したケースはありませんが、現在、局長通知である「製造指針」をベースに、 そこで書いてあることを製造所の基準とし、その基準に適合していることの確認という 形で置き換え、大臣告示に引き上げたものです。 ○ 寺尾部会長 わかりました。ほかにどなたかご質問、ご意見はございませんか。法的義務化をします と、今度は遺伝子組換えかそうでないかを確認する試験法も、一方で大事になってくる と思うのです。そこもちゃんと出来るようにしていかないと、いけないということはあ ると思いますが。 ○ 大井委員 規格基準に合っている食品であるという表示をするときには、それは組換え体であって かつここに定められているような食品基準に適合した物である、という表示になるわけ ですか。具体的にお聞きしたいと思います。 ○ 事務局(木村) 表示については別途、表示部会でご議論いただくことになると思います。安全性の確認 の義務化をした場合、食品衛生法上の何らかの表示が必要ではないかという点がありま す。 また、表示を議論する場合、農林省が先行している品質表示との関係もありますので、 具体的な内容につきましては、これからできるだけ早期に、調査会でご検討いただきた いと思っております。 ○ 寺尾部会長  表示の特別部会のほうで、まだ議論が続いていますよね。ですから一旦はそちらにお 願いすると。そのほかに、どなたかございませんか。 よろしければ、これまで安全性の確認というのは、任意の「安全性確認のためのガイド ライン」に則って行われてきたのですが、今後、法的義務化をするに当たりましては、 ただいまご説明、あるいはご議論がありましたように、現行の食品衛生法7条に基づき 厚生大臣の告示による規格基準の改正で、対応するということでよろしいですか。 ○委員一同 (異議なし) ○ 寺尾部会長  異論がなければ、そのようにさせていただきたいと思います。どうもありがとうござ いました。では議題の1は、一旦終了したことにさせていただきます。 次は安全性確認の審査基準です。これは資料4というなかなか長いもので、今日皆様の ご意見をいただきたいと考えておりますので、まずこちらに移りたいと思います。これ につきましては、これまでに分科会で4回ほど議論いたしましてまとめたものです。こ こにあります資料4が、それです。ではご説明いただけますか。 ○ 事務局(木村)  この資料は、事前に各委員の方々に配布させていただき、意見をすでにいただいてお ります。その集約が本日出てきたものです。したがいまして委員の方にお配りしている ものは、1つ古いバージョンといいましょうか、意見が全て記載される前のものになっ ていますが、その点についてはご了承いただきたいと思います。なお、これにつきまし ては参考資料1と比較しながら見ていただくと、分かりやすいかと思います。参考資料 1に記載されております現行の「安全性評価指針」に従って審査を行ってきているわけ です。しかしタイトルを見ていただければおわかりになるかと思いますが、中に記述の ある場合であっても、抽象的といいますか、まだ分かりづらい部分があるということで 従来からも中身が十分には分かりにくいという批判もありました。したがって今回、中 身のレベルは同じレベルにさせていただきながら、見やすさ、資料が要求している範囲 要求する資料を明確にしたのが、資料4の新しい審査基準(案)です。  非常にかい摘んでご説明申し上げますが、まず第1章は「総則」です。従来、ここは 「目的」「用語の定義」「適用範囲」という形になっておりましたが、ここは「目的」 「安全性確認を行う食品及び食品添加物の範囲」と、新たに「組換えDNA技術によっ て得られた種子植物安全性評価の考え方」と、第4として、「非病原性の微生物を利用 して食品又は食品添加物を製造する場合の安全性評価の考え方」ということで、それぞ れの考え方に合わせて、「総則」に持ってきて作らせていただいております。  第2章は、従来は「製造過程に関する安全性評価」でしたが、ここを「組換えDNA 技術によって得られた種子植物の全部又は一部を食品として用いる場合の安全性確認の 審査基準」という形にいたしました。その中には「生産物の既存のものとの同等性に関 する事項」、3頁にありますように、「組換え体の利用目的及び利用方法に関する事 項」、4頁にありますように「宿主に関する事項」、5頁にありますように「ベクター に関する事項」、6頁にありますように「挿入遺伝子及びその遺伝子産物に関する事 項」というように、分けさせていただいております。このように中身の大きなフレーム は、なるべくそのまま使いながら作らせていただいております。また8頁から10頁にか けては、いままで既存の中にあった事項である、「発現部位、発現時期、発現量に関す る事項」、「抗生物質耐性マーカー遺伝子の安全性に関する事項」、あるいは9頁の 「オープンリーディングフレームの有無とその転写や発現の可能性に関する事項」とい う、従来項目の中にあった事項を引き出した形で、より明確に記載した形になっており ます。  13頁の第3章ですが、。これも同じように、先ほどと同じような形での項目の大きな フレームは変わっておりません。また、従来は21頁にありますように、毒性試験の試験 結果などが、ほかの所にも重複しているということがありましたが、そこについてもダ ブらないような形で1つにまとめさせていただいて、より整理され、より透明化された 形でまとめさせていただいているのが特徴です。 ○ 寺尾部会長  これはだいぶ長いものですので、細かいことも書いてありますが、今日はざっとご意 見をいただき、また次回にでも詳しく議論いただくことになるのではないかと思いま す。いずれにしろ、いままではガイドラインで安全性の確認を行ってきたわけですが、 これから法的義務化ということになりますと、基本的なことは変わらないのですが、詳 細な審査基準というものを、明確にしていく必要があるということで、こういう審査基 準案を改めて作ったわけです。今日は非常に大雑把に、大きな細かい所は脇に置きまし て、ご議論いただきたいと思います。これは3章までありますが、まず1章は、1項目 と2項目に書いてあります「目的」とか、「安全性確認を行う食品及び食品添加物の範 囲」「安全性評価の考え方」とか、いろいろございましたけれど、ここら辺りで何かお 読みいただいて、ご意見がありましたら、おっしゃっていただきたいと思います。  第2章の第1、「生産物の既存のものとの同等性に関する事項」3頁の第2で、「組 換え体の利用目的及び利用方法に関する事項」、4頁から5頁にかけて、「宿主に関す る事項」という辺りで、どなたかご意見、ご質問がございますでしょうか。ここは従来 と考え方が変わった所ではないのですが、従来から非常にわかりにくいという議論があ りましたので、ここで明確にしたということです。4頁の第3「宿主に関する事項」が ありまして、ここにいろいろな条件が付いておりますが、ここら辺りでは何かございま すか。5頁の中ほど第4、「ベクターに関する事項」、6頁の中ほど「挿入遺伝子及び その遺伝子産物に関する事項」、10頁の最初の辺りまで続いていますが、この辺りでど なたか、何か意見はありますでしょうか。10頁の上のほうの第6、「組換え体に関する 事項」がありますが、これが13頁まで続いていますが、これについて何かございます か。  13頁の中ほどに第7というのがありまして、第1から第6までの項目で、安全性の知 見が得られない場合には、安全性の試験をやってくださいということが書いてありま す。そして1から7まで試験法が書いてあります。これは従来から同じことが書いてあ りますが、7の括弧の中には「腸管毒性試験、免疫毒性試験、神経毒性試験、栄養試験 等」ということで、追加になったものがありますが、必要ならば従来からそういう毒性 試験をやることになっておりますので、本質的には変わっておりません。ここらにつき まして、何かご意見はございますか。 13頁の下のほうには第3章として、「組換えDNA技術を応用して得られた生物を利用 して製造された食品又は食品添加物の安全性確認の審査基準」というのがあります。こ れは第1、第2と、大体の構成は似たようなものですが。 ○ 山崎委員 14頁の第1の下から3行目に、「全体として?同等性を失って」とありますが、基準に クエスチョンマークが入るのはおかしいと思うのです。 ○ 寺尾部会長  分科会で議論をしてきたときに、ちょっと議論を要する所にクエスチョンマークが入 ったり、いろいろなコメントが入ったりしたのですが、これは消し忘れです。  第2は少し長くて、20頁の上までございます。ここら辺りで重要なことが落ちている とか、こういうことを考えたほうが良いというのがございましたら、どなたかお願いい たします。では20頁の第3から最後の21頁の第5までで、何かございませんか。この第 3章というのは、微生物を使って食品や食品添加物を製造する場合を想定しております ので、「組換え体以外の製造原料及び製造器材に関する事項」というのが入っておりま す。ですから何も遺伝子組換えの安全性だけをチェックするだけではなくて、製造方法 に起因するような問題点についても、安全性の観点から議論をしようということで、第 3が入っているわけです。これも以前から、ガイドラインではそういうことになってお りましたので、特段新しいことではないのですが、ここに詳しく基準が示されておりま す。 非常に速足で最後まで行ってしまいましたが、全体的なことで、どなたかご意見はござ いますか。 ○ 塩見委員 11頁の注に、主要アレルゲンがいくつか並んでおりますが、この中で「魚介類」とか 「ナッツ類」と言うと、非常に曖昧な感じがするわけです。魚介類でも魚もあり、エビ やカニの類いとか貝類などによって、アレルゲンが違うのです。こういうことだと、全 部やりなさいというように取るのか、あるいはどれかをやっておけば良いというように とらえるのか、そこら辺がちょっと曖昧ではないかと思います。 ○ 寺尾部会長 これは全部というわけではなくて、非常に有名といいますか、よく起きやすいものをや ればよろしいのですね。河野先生、何かご意見はございますか。 ○ 河野委員 小児ですとタラなど、いくつかの魚がアレルギーの原因として挙げられておりますが、 魚のアレルゲンの場合、かなり共通抗原性が高いので、全てではなく代表的な魚につい て検査を行うことでよいと思います。これは、疫学的なデータからそのような魚類を挙 げることは可能だと思います。 ○ 寺尾部会長 ナッツについては。 ○ 河野委員 ナッツ類においても、かなり共通抗原性が高いですから、主にピーナッツ、ピーナッツ バター等を含めて、子供がよく食べる物と、成人が一番よく食べる物で代表できるので はないかと思います。 ○ 塩見委員 魚は共通抗原性が高いというのはよろしいのですが、エビ、カニになると、だいぶ違う とか、その辺も区分しなければ。 ○ 河野委員 エビ、カニもかなり強いアレルギーが出ます。また、エビ、カニに対するアレルギーは 治りずらくて、非常に長く続きます。ですからエビ、カニのアレルギーの人が、もし共 通の抗原性を持った食物を摂取すると、症状が出る可能性は、頻度としては高いだろう と思います。そういった意味ではエビ、カニも入れておいたほうがいいのではないでし ょうか。 また、大人においては、エビ、カニに対するアレルギーの頻度が非常に高いのも特徴で す。 ○ 寺尾部会長 そうしますと、ここは「魚介類、ナッツ」としないで、具体的な名前に変えますか。前 のほうが全部具体的な名前ですから、そうしましょう。では、また河野先生にご意見を いただきまして、変えたいと思います。そのほかの点でどなたか、何かございますか。 ○ 宇理須委員  10頁の「遺伝子産物のアレルギー誘発性に関する事項」の(1)、「食経験に関する 事項」の・印の1つ目に、挿入遺伝子の供与体の病原性及び毒性素産生性というのが述 べられていると思うのですが、これは直接的にアレルギーには関係しないですね。しか しこの項目は非常に大事なので、落としてはいけないと思うわけです。ただ、ここに入 れておけば良いのか、あるいはもう少し病原性及び毒素産生性に関係するような所があ れば、そちらに移動するという作業をなさってはいかがでしょうか。 ○ 寺尾部会長  当然、ほかに移動できる場所があるはずですよ。おっしゃるように、直接アレルギー には関係ないので、然るべき所に移すようにいたしましょう。 ○ 事務局(高橋) 6頁の第5の1の(2)、挿入遺伝子の供与体に関する事項の所に、一応書いてありま す。先ほどの10頁はアレルギー誘発性として、一応トータルに見るということで、この 項目の中にも同じことを重ねて書いてあるという関係になっております。現在の指針で も、本文と付表で2カ所に書かれていますが、いかがしましょうか。 ○ 寺尾部会長 いまの指針に則って作っているから、ここに書かざるを得ないという格好ですか。 ○ 事務局(高橋) 2カ所に出ておりますが、6頁にあれば10頁には要らないということなら、それはそれ で、ご検討いただければと思います。 ○ 大井委員 14頁に、「全体として同等性を失っていないと客観的に判断される」とあります。この 「客観的に」というのは、ある種の評価基準に照らし合わせてという意味だと思います が、「全体として」というのは、もうすでに主観的な判断が入っているわけです。です から論理として、この「客観的に」というのは、おそらく取ってしまったほうがいいの ではないかと思います。 ○ 寺尾部会長 分かったような気はするのですが、主観と客観がここに同時に入っているから、確かに おかしいですね。いまは指針がありまして、それに則って資料4を作っておりますので 先ほどのような問題が出てくるわけですが、いずれにしましても遺伝子組換え食品の範 囲が広がってきたら、当然指針の改正が必要になってきますから、そのときに今のよう な問題を整理し直せばよろしいと思います。それまでは、このままいくようにしたいと 思いますので、よろしくお願いいたします。そのほかの点で何かございませんか。 ○ 細谷委員 11頁の、「遺伝子産物が1日の蛋白摂取量の有意な量を占めるかに関する事項につい て」という所で、「原則として」当該摂取量の有意な量を占めていないこととあります が、原則として占めないというよりも、当該摂取量の限界の一覧表を出せば良いのでは ないか、原則でない場合というのは、どういうことを言うのですか。 ○ 事務局(高橋) 「原則として」とありますが、その後に「有意な量を占めている場合には、安全性に問 題がないと判断できる合理的な理由があること」と書いてありまして、まず客観的に原 則としてこうでなければいけないとした上で、ただ例外的に、それでも安全な場合があ り得るので、それについては個別に、なぜ安全かという論拠を詰めた上で、安全性に問 題がないと判断できる合理的な理由があれば、よろしいということで書いてあります。 ですからそれは、個別に審査いただく必要があるということです。 ○ 細谷委員 あまり細かく言っても問題ですが、例えば小麦や卵などを、私たちは常食しています ね。遺伝子組換えが入っていても入っていなくても、卵や小麦やソバでアレルギーが起 こっている人はいるわけでしょう。それはどこで区別するのか、後で検討していただけ ればと思います。 ○ 寺尾部会長 これは別に、有意な量を占めていてはいけないというわけではなくて、当然占めている 場合も起こり得るわけですから、文章を変えたほうが良いのかもしれませんね。ただア レルギーの話ですから、遺伝子組換えによって新しい蛋白がうんと入ってきてしまった ときに、アレルギーが起きる可能性があるという考えから、こういう文章になっている のだろうと思うのです。もしかしたら小麦でも米でも、主要蛋白を少し変えることも起 こり得ますね。それをやってはいけないという話ではなくて、アミノ酸などを変えたり したがために、安全性に問題があるかどうかをチェックして、問題がないということで あれば、よろしいという説明なのです。これはちょっと検討してみましょう。 ○ 事務局(木村)  安全性に問題がないというのは、いろいろ総合的な観点だろうと思います。例えば卵 であれば、卵アレルゲンというのはもともとあるわけですから、卵の蛋白質を検査した 場合には、アレルゲンが存在するのは当たり前です。こういう場合にはもともとそうい う物を食べているわけですから、卵アレルギーの人は注意するのでいいだろうと。そう いう点でアレルゲンを含有しているから、即駄目ということではありません。ただ全く 新しい物で有意な量を占めるほどの改変が行われたら、いろいろ問題が起きるのではな いかということです。また、例外的な事項は個別判断になるだろうと思います。 ○ 寺尾部会長 資料4はこの部会でもう1回、最終的に議論するという考えでよろしいのですね。 ○ 事務局(木村) 本日で終わるわけではなくて、もし検討事項があれば、次回も議論していただきたいと 思います。 ○ 寺尾部会長 ですから今の問題は、もう少し文章を考えさせていただくことにしたいと思います。そ のほかに何か表現がわかりにくい、あるいは少し間違っているのではないかという所が ございましたら、ご指摘いただきたいと思います。資料4で示されている内容は、これ まで安全性確認をしてきたことと、基本的な考え方は変わっておりません。さらに詳し く書いたところです。これから法的義務化をするに当たりましては、詳細な審査基準を 明確にしていくことが必要だと思いますので、こういうものを作ったわけですが、先生 方にもう一度お読みいただき、何かご意見がございましたら、事務局に寄せていただけ ますか。そして次回にもう一度、議論をして結論を出すようにしたいと思いますので、 よろしくお願いいたします。その後、「その他」という所を今やっているのですが、 「輸入時の検証方法」というのは、何かご説明いただけるのですか。 ○ 事務局(木村) では資料1の5頁、「輸入時の検証方法」について、ご議論いただければと思います。 ○ 寺尾部会長 「輸入時の検証方法について」というのは、なかなか難しい問題もありますが、やらな ければいけないものです。これにつきましてどういうご意見でも結構ですが、ご意見を いただきたいと思います。ここに書いてあるモニタリングというのは、検疫所でやるの ですか。 ○ 事務局(高橋) 現在は通常の輸入品について、検疫所で抜き取りをして検査をしています。今回の物に つきましても、同様の手法が考えられるのではないかと思います。穀物類などは大量に 輸入して流れておりますので、なかなか止め置いて検査をするわけにはいかないのです が、その中で抜き取りをしてモニタリングするという手法が、1つ考えられるのではな いかと思っております。 ○ 寺尾部会長 いま実態として、PCRで検知できるのはどのくらいあるのですか。どなたかご存じあ りませんか。あと、検査できるといっても本当にできるかどうかというのは、怪しげな キットだとちょっと困るわけですから、ちゃんとバリテーションをやらないといけない ような気がするのですが、何かご意見はございますか。 ○ 豊田委員  数や種類と言われても、少し困るのですが、大豆は一応検知できるだろうという状況 にはなっていると思います。あと、とうもろこしにつきましては、検討中ということで 早々に検知できるようにしようと考えているところです。 ○ 山崎委員 5頁の下に、「見知可能範囲」というのがあります。当然のことながらPCRというの は、分かっていなければできないわけで、マーカー遺伝子と全く未知のものは、検知不 可能ですよね。また「体制整備を図る必要がある」ということですが、体制の問題につ いてもPCRというのは、どこでも誰でもできる問題ではないので、これを誰がどこで やるのか。医薬品・食品衛生研究所が当然指導されると思うのですが、この体制整備が どういう形で可能性があるのか、またマーカー遺伝子が未知のものという検知不可能と いうことで、この対応がどうなるのかというところが、これだけではちょっとよく分か らないのです。 ○ 事務局(木村) まさにそこは、今後検討していかなければならないことですが、まず体制につきまして は、ここにも書いてありますように、いま現実には神戸と横浜の2つの検疫所に、輸入 食品検疫検査センターというのがありまして、そこで検疫関係の集中検査をやっている わけです。ここにはすでにPCRの機器が置いてありまして、検査をしております。も ちろんPCRにも、通常の方法や特別なPCR法など、精度や感度にかかわるいろいろ なやり方がありますので、それをどこまでするかというのは今後、国立医薬品・食品衛 生研究所等のご指導を仰いでやらなければならないと思っております。体制としては、 そういうところでやれるのではないかと思います。この度の資料にはPCRだけが書い てありますが、ELISA法など、他の手法もございます。ELISA法は未加工品には有効であ るけれど、加工品にはあまり有効でないとか、逆にPCRは加工品にも非常に検知能力 が高いというように、いろいろな特性もありますので、今後はそういうことも踏まえて どういう技術でどういう範囲でやっていくかを、検討する必要があるのではないかとい う認識を持っております。 ○ 寺尾部会長 ここには検疫所だけが書いてありますが、指定検査機関でやれるという体制は取れない のですか。 ○ 事務局(木村) これも今後の検討事項ですが、一種の行政検査的な扱いになってまいりますので、それ にふさわしい検査場所はどこかというのは、議論していく必要があるのではないかと思 います。 ○ 大井委員 資料1の6頁で、表示についておまとめいただきまして、第2パラグラフの下から2行 目に、「予防的観点から表示が必要とする意見もあり」とまとまっております。「予防 的観点」というのは、確かにそういう意味合いもございますが、私が表示委員会につい て述べましたのは、消費者の選択の観点からというほうが、むしろふさわしいのではな いかと思います。ご存じのとおり、安全というのは非常に大切なことですが、それ以外 の価値基準によって、消費者は選択しておりますので、やはり「予防的」というより、 「消費者の選択の観点から表示は必要」としていただいたほうが、適切ではないかと思 います。 ○ 寺尾部会長 「予防的」と並列で書きますか。 ○ 大井委員 それでも結構です。 ○ 事務局(高橋) この6頁の記述は、11年3月の表示部会の調査会で両論並記になっていたものが、その まま書いてあります。まさに予防的という論理構成が、ちょっとおかしいという議論も ありますが、書いてありました。実際にそのときには消費者に、公衆衛生面からも安全 性の点からも、食品の内容を理解していただく、そういう一種の公衆衛生面からの情報 提供という考え方もあります。そういう点で食品衛生法上、表示を行うとする場合の考 え方につきましては、また調査会でよくご検討いただく必要があるのではないかと思い ます。 ○ 山崎委員 6頁のいちばん上の行に、「消費者の選択の観点から」という文言が入っていますね。 多分それを受けて、食品衛生法上の観点から言うとどうだろうということで、表示問題 の委員会の報告書では、予防的観点というようになったのではないかと記憶しておりま す。 確かに大井先生からそういう発言があったことは、私も記憶しております。 ○ 寺尾部会長 確かに消費者の選択というのは、予防的な観点に含まれるのでしょうね。しかし「予防 的」と言うと、何を予防しているのか分かりにくいですよね。いまのお話ですと、これ は表示特別部会の中間報告の文章を、そのまま取ってきたという意味ですね。 ○ 事務局(高橋) 中間報告をそのまま、この点線の中に抜き出したものですので、さらにその議論を詰め ていただく必要があるのではないかと思います。 ○ 寺尾部会長 最終的に表示特別部会の報告書がいつ出るかは、ちょっと分かりませんが、とにかくそ のときには、そういう趣旨のものを入れたほうがいいという話ですね。それから先ほど のモニタリングの体制の話ですが、これはかなり早急に体制を整えてやらないと。少な くとも義務化したときと、ほぼ同時にスタートしないといけないような問題だろうと思 うのです。 ○ 山崎委員 法制化は告示のようなことで出来ると思いますが、体制というのは、人と金が要りま す。ですから体制化は、やはり早く具体的に行う。例えば指定機関とか、少なくとも各 都道府県の衛生研究所で、PCRの検査が出来るような所をネットするとか、そういう 体制化が整わないうちに告示が出たときには、混乱が起きる可能性があります。 ○ 事務局(高橋) 民間では例えば流通業者が、自分の売っている商品に本当に混じっていないか確認する ということが、すでに民間の検査機関でもビジネスベースで、かなり進んでおります。 検疫所で検査をする場合には、行政の責任として最もハイレベルの検査方法を開発して やる責任があるだろうと思います。そういう点で研究所の検査センターの検査機器や検 査の手法という点につきまして、いま鋭意研究に取り組んでいるところです。できるだ けレベルを引き上げてやっていきたい。 ○ 寺尾部会長 もう1つ、これは豊田先生がよくご存じだと思いますが、検査法にどの程度の精度があ るかという問題があります。試験法のバリテーションみたいな話、精度管理みたいな話 がありますが、そういうものはどうしたら良いでしょうか。 ○ 豊田委員 いま現在、食品に入っている化学物質等については、精度管理的なものを必ずやること になっておりますので、だいぶ進んできました。そういうことを受けて、こういった検 知方法につきましても、いまは検知方法をどうしたら良いかという段階ですが、その次 のすぐ近い将来には、精度管理的なことをなるべく早く、同時進行的な形でやっていっ たほうが良いのではないかと思います。特に検知につきましては、会社等でいろいろな 方法が開発され、実際上、感度的にかなり違うもの、あるいは食品によって測りやすい 物、測りにくい物といろいろございますので、バリテーションしていくことが必要かと 思います。 ○ 山崎委員 農水のほうの表示義務が出ていますね。これは多分、食品原料として、農産物そのもの の表示義務だと思いますが、この輸入時の検証というのは、食品衛生法上の安全衛生に かかわる表示に派生する検証と、どういう関係にあるのでしょうか。 ○ 寺尾部会長 あれはJAS法に基づくのですか。 ○ 事務局(木村) おっしゃるとおりです。消費者の選択の観点である、JAS法の表示に基づく観点とし て、検査をしているということです。そのレベルは、精度等については問わないという 形で、農水省としては今のところ、定める予定はないというお考えのようです。 ○ 事務局(高橋) 農林省の表示の仕組みは、生産・流通過程において分別したかどうか、組換えた物と組 換えていない物とをIPハンドリングを、種子の生産者の段階からずっとやって流通し てきたかどうかです。そしてIPハンドリングをやって、非組換えであれば非組換えと して表示してよろしいという考え方です。ですから実際に測って入っているか入ってい ないか、何パーセント以上であれば駄目というような基準の仕方ではありません。IP ハンドリングをやったかどうかでやりますから、一定の割合で混入率が生じるのではな いかという議論については、混入率の数字がいくつまでだったらよろしいというのを決 めるのは、難しいと聞いております。農水省のほうでは、安全性については厚生省のほ うでということですので、確認されていない物は輸入してはいけないというのは、農水 省の法体系ではありませんので、こちらのほうでやる必要があるのではないかと考えて おります。 ○ 寺尾部会長 農水の場合、それはどこで検査をするのですか。 ○ 事務局(高橋) 農水省もいろいろな研究所で、自らやっているものもありますし、各企業が購買者から 消費者から求められたときに、実際に検証してみることがどうしても必要に求められて くるという観点から、ビジネスベースでいろいろ行われている検査方法について、何か 方法を統一することが必要ではないかという議論はありますが、それにつきましては研 究中ということになっております。 ○ 山崎委員 その間の調整というのは、やはり必要になってきますよね。 ○ 寺尾部会長 それは、やはりやらないと駄目でしょうね。 ○ 山崎委員 抜けてもいけないし、ダブってもいけないということはあると思うのです。 ○ 寺尾部会長 あと1つ、先生が先ほど言われましたが、遺伝子のシーケンスをPCRでやるにしても シーケンスの情報は表に出ないでしょう。あれが大問題ですね。 ○ 山崎委員 はい、そうですね。特に特許でがんじがらめになって、中の詳細がわからないというの では、方法論的にはPCRが確立していても、手の付け様がないという問題が出てきま す。 ○ 寺尾部会長 どういう遺伝子が入っているかが分かれば、かなりの部分は。 ○ 山崎委員 探っていけば、不可能ではないと思うのです。 ○ 寺尾部会長 ただ、どういう特許の取り方をしているのかはよく知りませんが、その情報を基にして PCRのキットを開発したら、特許に引っかかるのですか。小関先生、そこら辺でどう いう特許を取られているか、何か知らないですか。例えば食品に組み込む遺伝子の構造 を使って、検査用のキットを開発しても特許に引っかかるのですか。 ○ 小関委員 引っかからないです。どういうことにするかという目的の問題だと思います。 ○ 寺尾部会長 検査という意味では、別に問題はないですよね。出来た物が安全であればいいわけです から。簡単に「検証」と言いますが、何か考えていきますと、いろいろな問題がありま す。 全部ちゃんと議論して詰めていかないと、うまく回転しないのではないかという気がい たしますので、どうか、よろしくお願いしたいと思います。また、先ほど表示の問題が 一部議論されましたが、表示につきましてどなたか、さらにご意見はございますか。 ○ 澤委員 表示についてですが。最後の7頁の「今後の検討」というのは、食品衛生調査会表示特 別部会で報告された件ですが、作れない所で作れるとか、あるいは量を多くするという 観点で、遺伝子組換え食品の安全性が証明されれば、表示をどうするかという議論があ るわけですが、「今後の検討」の第2パラグラフにあるように、「遺伝子組換え技術に よって、特定の栄養成分を高めるなど」ということになってくると、きちんと表示して おく必要があるのではないでしょうか。これは特定用途食品みたいな形になるのか。 ○ 事務局(木村) この部分につきましては現在、例えばアメリカにおいても、栄養成分が非常に変わった 物につきましては、遺伝子組換え食品ですという表示ではありませんが、変わった結果 成分がどうだとか、あるいは数字で示したりという形での表示は行っております。これ については遺伝子組換え食品の技術を適用したかどうかに着目するのではなく、やはり 変わった結果について、何らかの形で消費者に情報を与えておく必要があるだろうとい う観点から、すでにやっております。そういう意味でも必要なことではないかと認識し ております。 ○ 事務局(高橋) 7頁の「今後の検討」のあたりも、3月の中間報告に入っている内容を、そのまま書き 写したものです。その後、半年ほどで国際情勢も、あるいは国内でも情勢がいろいろ変 わってきたようですので、現時点においてもこういうスタンスで検討していくのかとい うのは、また検討していかなければいけません。栄養成分が変わった物だけ表示すれば という議論かどうかという点は、また改めてご議論いただかなければいけないのではな いか、という気がしています。 ○ 西本生活衛生局長 表示部会というものがございまして、表示というのは、本質的にはそこで検討いただく ことですが、平成11年3月の時点では、あくまでも義務化しておりませんし、法的な関 与があまりなかったということで、こういう表現になっております。やはり法的な義務 化をすることになりますと、それをした証といいますか、何かの形で示さないといけま せん。 これは表裏一体のものではなかろうかと考えております。ご参考までに3月時点のもの を出させていただいておりますが、やはり我がほうとしては、これは何らかの形でやっ ていく。いろいろな段階がございましょうから。とりあえずどのレベルでするのかとか 農水との整合性をどうするのかなど、いろいろな問題はありましょうけれど、やはりこ れはせざるを得ないと考えているわけです。具体的なことにつきましては、やはり表示 部会のほうでご検討いただいたら、いかがかと思っております。 ○ 寺尾部会長 わかりました。どなたか何か4つの資料につきまして、さらにご意見、ご質問はありま すか。では、事務局から何かございますか。 ○ 事務局(木村) 今後のスケジュールの点ですが、先ほど資料4でも、いくつかご意見をいただきました ので、次回は1月に部会を開催させていただき、一応ここで取りまとめをお願いしたい と思っております。もしそれが出来ましたら、すぐにその報告書案をパブリックコメン トという形で、一般の国民に公開しまして、ご意見をいただきます。併せてWTO通法 という形を取る必要があろうかと思いますので、WTO通法をさせていただき、その結 果を踏まえ、3月下旬ぐらいの常任委員会に報告書案を上げさせていただき、諮問に対 する答申案を固めさせていただく、というスケジュールを考えております。 ○ 寺尾部会長 それでよろしいですか。次の部会は1月ですから、できましたら1月までに決着を付け たいと思います。特に資料4につきまして、どなたかご意見がございましたら、事前に そちらにお送りいただくことにさせていただきたいと思います。パブリックコメントと いうのは、いつも何カ月ぐらいやるのですか。 ○ 事務局(木村) 通常1カ月を考えております。 ○ 寺尾部会長 ほかに何かございますか。 ○ 事務局(木村) あと、義務化後の申請の取扱いの件ですが、これまで厚生省が安全性確認をした物と、 現在申請中の物と、今後新たに申請したい物という、それぞれ3つに細分化されるかと 思います。それぞれどのような扱いをしたら良いかについて、若干部会のご意見を伺っ ておければと思っております。例えば1つの事務局案としましては、安全性確認の新し い手続きや審査基準につきましては、来年4月から施行予定と考えております。すなわ ち平成12年3月までは、現在の局長通知の指針による新たな安全性の確認は行わない。 また平成12年4月以降につきましては、安全性確認の新しい手続きに基づいた審査を開 始します。そして平成13年4月以後、安全性確認を受けていない物については、輸入や 販売等を禁止するということで、やらせていただいてはいかがかと考えているわけで す。 ○ 寺尾部会長 いま継続審議のものはどうなるのですか。あれはまだ継続して審議をするのですか。ス トップしてしまうということではないのですか。 ○ 事務局(木村) 継続につきましては、凍結するといいますか。 ○ 西本生活衛生局長  安全性の基準につきましては、資料4でいろいろご説明いたしまして、基本的な路線 は変わっておりませんが、やはり手続き等が入ってまいりますので、それが出来ますま で、わずか3カ月ほどの予定ですので、ちょっと待っていただいてはいかがかと思いま す。では今まで認めた物はどうだったかということですが、基本的な基準はそれほど変 わっておりませんので、もし追加的な資料があれば、これについても然る後に、また追 加として出していただく形になる可能性はあると思います。そういう形にするのがいか がかと思っております。 いろいろな体制の問題等についても、ご質問がございましたが、これはどちらかという と、行政が中心になってやるべき分野です。それと予算要求の絡みなど、いろいろ出て まいりますので、検査機関や器機等につきましても、どういう形でやれば良いかは、検 討させていただきたいと思います。 ○ 寺尾部会長  審議を一時ストップして、新しい考え方で再開するということについてはよろしいで すか。 (異議なし) ○ 寺尾部会長  もし、そういうことで特に反対がないようでしたら、そのようにさせていただきたい と思います。よろしくお願いいたします。義務化の制度ができるのは来年4月を予定し ておりますので、それまでは審議を行わないということにしたいと思います。そのほか に何でも結構ですが、バイオ食品に関してご意見があれば、おっしゃっていただきたい と思います。 特にないようでしたら、これで閉会いたします。まだ正確な日にちは決まっておりませ んが、次回は1月に行うということですので、よろしくお願いいたします。どうもあり がとうございました。 連絡先:厚生省生活衛生局食品保健課     中村、井関、根岸、福島(内線2454、2447、2453)