99/12/07 眼球・アイバンク作業班 第6回議事録         公衆衛生審議会疾病対策部会         臓器移植専門委員会         第6回眼球・アイバンク作業班会議                議 事 録                      日時:平成11年12月7日(火)                         19:00〜21:00                      場所:虎ノ門パストラル 松の間 出席者 (○:座長 敬称略)   金井 淳  鎌田 薫  ○木下 茂  佐野 七郎  篠崎 尚史     眞鍋 禮三 丸木 一成  八木 明美 横瀬 寛一 1.開 会 2.議 題      (1)強角膜切片作成における技術指針(案)について      (2)移植に用いる強膜切片作成における技術指針(案)について      (3)アイバンクにおけるレシピエント登録・選択の実態について      (4)多臓器と併せて、眼球提供がある場合の対応について      事務局  お待たせしました。只今から第6回公衆衛生審議会疾病対策部会臓器移植専門委員会 眼球・アイバンク作業班を開催いたします。  本日はご出席いただきまして大変ありがとうございます。日程調整の関係でこのよう な遅い時間になりまして、大変申し訳ございませんでした。  本日の委員の出席の状況でございますが、小口委員から欠席のご連絡をいただいてお ります。あと、鎌田委員が少し遅れるということでございます。佐野先生がまだお見え でございませんが、間もなく到着されるかと思います。  続きまして、本日お手元にお配りいたしております資料の確認をさせていただきま す。まず最初に議事次第がございます。本日の議題、4点ほど予定をいたしておりま す。資料は3点ございます。左の上がクリップで止めてございますが、ちょっと複雑に なっておりますので、クリップをとっていただいたほうがよろしいかと思います。  資料1は「眼球のあっせんに関する技術指針の位置づけについて」ということで、こ れは一枚紙でございます。  次に少し厚いものがございますが、これはページの振り方がちょっと複雑になってお ります。資料2「眼球のあっせんに関する技術指針(案)」ですが、5ページまでがひ と区切りです。6ページから16ページまでが参考資料となっております。そのあとは 別添資料ということで、2枚ほどついております。若干ページの関係が複雑になってお りますけれども、これがひとつで資料2でございます。先ほど1枚、お手元にお配りし た分が、この中にまた、途中に入るようでございますので、それはまた事務局からご説 明させていただきたいと思います。資料3といたしまして、レシピエント登録等の実施 について、ということで、4ページございます。資料につきましては以上でございま す。あとは先生方のお名前、それから座席配置表でございます。よろしいでしょうか。  それでは、よろしくお願いいたします。 木下座長  どうもありがとうございました。それでは早速議事に入りたいと思います。  議題の1の、眼球のあっせんに関する技術指針(案)につきまして、それから強膜 (眼球)提供者の適応基準について、ということは、多少オーバーラップするところが ありますので、これは合わせてお話を進めていきたいと思います。  前回のこの作業班でご審議いただきました技術指針ですが、これを我々のほうで作業 をさせていただきまして、そしてまた各委員からのご意見を承りまして修正しましたも のが、本日の資料となっております。  まず、この技術指針の案に関して、事務局からご説明をいただきまして、それから、 この技術指針の案の中に、強膜ということも視野に置いたドナー適応基準が引用されて おりますので、このへんについてどのように検討していくか。前回決めました角膜移植 のドナー適応基準というところとの整合性も含めてご審議いただければいいかなと思い ます。  先ほど、今日の技術指針案について少し見ていたわけですけれども、9割方のところ はいいでしょうが、この中で修正をしていく必要のある場所もあるかと思いますので、 そのへんにつきましては、是非、各委員の先生方のご意見を盛り込んでいきたいと思い ますので、忌憚のないディスカッションをしていただきたいと思います。  それでは、事務局からまず資料のご説明をお願いいたします。 山本補佐  お手元の資料1でございます。資料2として「眼球あっせんに関する技術指針」の案 がございますけれども、この位置づけということを確認のためにまとめさせていただき ました。  まず1つ目ですけれども、各アイバンクは提供者の善意を生かして、安全かつ適切な 眼球あっせんを行うということが義務づけられておりますので、この「眼球のあっせん に関する技術指針」というのは、その業務に係る技術的なものを指針としてまとめたも のであります。  手続き論ですけれども、本指針は、眼球・アイバンク作業班において検討していただ いてとりまとめ、さらに、この親委員会であります公衆衛生審議会臓器移植専門委員会 のほうに、ここでまとまったものを上げていただきまして、そこでもさらにご審議をい ただく。眞鍋委員がそちらの委員になっておられます。  その上で、厚生省といたしましては、臓器移植専門委員会の審議を踏まえまして、そ こで了承された場合には、全国の各アイバンクに対して、この指針を通知し、眼球のあ っせんを行う場合にはこの指針に準拠するように求めることとしております。準拠とい うのは、寸分たがわずこの指針どおりやれ、という意味ではなくて、この指針どおりか もしくはそれと同等の医学的な水準もしくは安全水準を保ったようなやり方でやってい ただきたい、ということを求めていくということにしております。  また、強膜移植につきましては、先日来、この作業班のほうでご審議いただきまして 強膜のあっせんも行っていける、ということが決まりましたけれども、現時点でのアイ バンクというのは、角膜移植を前提とした眼球のあっせんの厚生大臣の許可をとってい るという形になりますので、強膜のあっせんを行う場合には、別途、厚生省から強膜あ っせんに関する通知を出させていただく予定にしております。それを出させていただい た上で、各アイバンクが、この技術指針の中の、特に強膜の部分は、保存の部分ですと か記録の保管・管理の部分を、長期保存ができるということから、加えておりますけれ ども、その体制を整えた上で、あっせんをする事前に厚生大臣に届出を出していただく ということで、私どもで届出を受理し、許可したアイバンクにおいては、強膜あっせん も行える、という形をとらせていただきたいと考えております。  今のが位置づけの確認ということでございますけれども、次に資料2でございます。  座長の木下先生のご指示で、1パラグラフずつ、ひとつずつご説明させていただいて ご審議いただいては、ということですので、最初のところですけれども、本指針につい て、特に該当法令を書き込みました。これは、案をお送りした時には必ずしも完全では なかったのですけれども、法に決められているところは、ここで審議して、やらなくて もいい、やってもいいという議論ではないと考えます。それ以外の部分でも、安全かつ 適切な眼球のあっせんということから、先ほど申しましたように、準拠していただくと いうことが必要だということで、指針が整理されております。  実際にアイバンク自らが強角膜切片等の眼球の処理を行うことができない場合には、 医療機関に委託することも可能ですけれども、その際には、委託先の医療機関において も、同等の水準を満たしていただくように求めるべきである、ということが書いてござ います。 1番です。眼球提供に係る承認手続きについてでございますけれども、眼球 提供に係る家族の承諾書については、眼球摘出記録書に添付することになっておりま す。臓器移植法施行規則第6条第2項及び第3項、ならびに同附則の第3条第2項及び 第3項ですけれども、そうなっておりますので、すべての場合において、すべての場合 というのは、前もって献眼登録をしている場合でも、していない場合でもですけれど も、ご遺族から眼球提供に係る承諾書をいただくことが必要になります。  参考資料1−2、1−2は、先ほど資料説明の時にご説明させていただきましたが、 例えば、その書式例といたしまして、こういうのがあるのではないかということで、こ れも事前に先生方に見ていただきまして、眼球の書式例としてはこういうのがあるので はないかということで添付させていただいております。具体的には6ページ及び7ペー ジ、脳死下での摘出承諾書と、心停止後の摘出承諾書ということで書いてございます。 実際に臓器移植法の規定に基づいて、脳死下で眼球を提供いただく場合には、まず脳死 の判定に従うことと、眼球を提供をするという本人の事前の書面による意思表示が必要 になるわけですが、現実的には、脳死下の提供の時には、眼球以外の臓器もございます ので、脳死判定の説明と、脳死判定に従うことについては、日本臓器移植ネットワーク のコーディネーターがやることになりますので、実際にアイバンクは、家族が眼球摘出 を承諾するということを確認していただくということになろうかと思います。また、心 停止下で眼球をご提供いただく場合には、本人の書面による意思表示は必ずしも必要で はございませんので、ご家族の書面での承諾をいただくということになります。法の附 則の第4条第1項というのが書いてありますが、これは削除で、実際引いてあるのは必 ずしもこれだけではないので、これは削除させていただきます。ただ、*印のところに ちょっとございますが、現在、眼球以外の臓器が併せて提供される場合、脳死下での臓 器提供もしくは心停止後でも腎臓と併せて提供される場合には、ご家族のご負担を少な くするという観点から、日本臓器移植ネットワークがご家族の承諾を、眼球部分も併せ て取るということも検討中でございますので、その結果によっては変わってこようかと 存じます。ただ、眼球だけの提供のほうが、数が多うございますので、そこの部分につ いては、上記のとおりとなります。1番は以上です。 木下座長  1番のところについて、まず、最初にお断わりしておかないといけないことは、てに をはとか、言葉、そういうことにつきましては、再度よく見直すということですので、 内容として見ていただければというふうに思います。  1番のところはよろしいでしょうか。家族とか遺族とかというところを統一するとか そういうところはいいでしょうか。 眞鍋委員  参考資料の1−1、1−2も、説明者というところにアイバンクと書いてありますけ れども、脳死下の場合は、アイバンクが説明することはまずないんじゃないかと思いま すので、ネットワークのコーディネーターというふうに書いておいてもいいんじゃない かと思いますが。 木下座長  1−1の、説明者のところですね。 眞鍋委員  それから、1−2の心停止下では、アイバンクの人がやるでしょうけれども、この場 合の、文書の中に、眼球の摘出をすることに異存はありません、と脳死の場合と同じよ うに書いてあるんですけれども、法律を見ますと、心臓死下の場合には、同意します、 あるいは承諾します、と書いてあるんですね。それは合わせておいたほうがいいんじゃ ないかなと思うんですがね。提供することを承諾します、とか、同意します、というこ とに文章を直しておいたほうがいいと思います。 山本補佐  これは単純に、ネットワークでこれと同じような文章を議論した時に、家族が拒否し ないことになっているものですから、承諾というのはかなり積極的なので、拒否しませ んというより、異存かな、とかいうことで、そこは、表現として、承諾します、という ことでよければ、それでいいかと思います。  眞鍋先生のおっしゃった、参考の1−1なんですけれども、法的脳死判定を受けるこ との承諾ももちろんネットワークが説明するんですが、現時点では、脳死判定の後、眼 球の摘出承諾をするということについては、過去の4例の事例でも、地域のアイバンク がもう一度出て行って、眼の部分は説明して承諾をとり、というようなことがありまし たものですから……。 眞鍋委員  それに対してクレームが出たわけでしょう。 山本補佐  そうですね。それは、先生のおっしゃるとおり、そこの体制をとれた段階では、つま り臓器移植ネットワークのほうが、他臓器と一緒に眼球の提供がある場合には、ネット ワークのほうが承諾書をとる、ということになった場合は、ここは先生のおっしゃった ようにしたいと思います。 木下座長  よろしいですか。他にどなたか。 金井委員  資料2の、立会人というのは、もしいなかった場合は、これは記載する必要はないわ けですね。必ず立会人を書かなきゃいけないというわけではないですね。 山本補佐  はい。 木下座長  消してもいいと。 篠崎委員  過去、臓器移植法施行前のアイバンクでは、厚生大臣の許可をいただく際に、書式ま で一応出していると思うんですね、定款と一緒に。それで許可をいただいているんです が。承諾書なり何なりというのをある程度一緒に出している。うちなんかもそうやって 出したことがあるんですが、そういったものも、結構、書式例ですから、それに準じた 項目が書いてあればいいという概念もあるんでしょうが、それで継続して構わない、内 容さえ漏れていなければ、ということでよろしいんですか。 山本補佐  昭和40年代のアイバンクに書式例まで出していただいたかどうか、必ずしも疑問が ございますけれども、そうだと思います。実は、他臓器の時も同じ質問が出ましたので 基本的には、求める情報がきちっと入っていれば、その各アイバンク独自の書式で結構 かと思いますので、これにせい、という意味ではないということを、どこかに明記して これは単なる例示だということに。おっしゃるとおりだと思います。 木下座長  よろしいですか。では、2番目に移らせていただきます。ドナー適応基準です。よろ しくお願いします。 山本補佐  ドナー適応基準につきましては、現時点では、以前ここでご議論いただきました角膜 移植における提供者、ドナー適応基準というのがございますので、これを遵守すること になっておりますけれども、強膜の適応基準も同じでよければ、これは眼球提供者の適 応基準になるでしょうし、そうでなければ強膜も別途通知をさせていただき、ここにつ け加えることになろうかと思います。  お手元の別添資料、今の資料の一番最後の2ページですが、1枚目は通知文の紙です ので、最後のページですけれども、角膜移植におけるドナー適応基準については、以前 このように決めていただきました。実は、感染症検査なんかはほぼ同じかなと事務局は 思っていたのですが、2のところの(2)の、屈折矯正手術の既往歴みたいなものが、 強膜の場合にも要るのかどうかということが疑問に思いまして、併せて、強膜に特に入 れるべき項目があるか、もしくは要らない項目があるのかどうかということがございま す。  非常におまけ的な議論なんですが、ヤコブの問題なんですけれども、ヒト硬膜のヤコ ブの感染の議論をした時に、硬膜の処理について、水酸化ナトリウム処理、5%アルカ リ処理というのをやるということで、プリオンが凝縮して感染しない、というような報 告があったものですから、強膜について、角膜は絶対ないと思いますけれども、アルカ リ処理というのが可能なのかどうか、今全然エビデンスがなければ、それは適切ではな いかと存じますけれども、併せてご議論いただければと思います。 木下座長  ドナー適応基準についてですけれども、角膜移植におけるドナー適応基準をそのまま 強膜にも移行させるか、あるいは強膜独自のものを考えるかというところですね。もし も強膜も併せてということになれば、ここは、摘出眼球における、というようなことに することが可能です。屈折矯正手術の既往眼というのは、ちょっと関係ないということ になりますけれども、最近、老眼の手術で強膜を手術するというようなこともないこと もないし、入れておいても、同じものであればわかりやすいかなとは思うんですけれど も。いかがでしょうか。 金井委員  確かに先生が今おっしゃった、強度近視や何かの短縮手術もありますからね、強膜 は。だから、一応入れておいたほうが無難じゃないですか。 木下座長  もしもよろしければ、角膜移植と同じものを使う。そうすると、ここを読み替えると いうことですね。 山本補佐  そうですね。他の臓器ですと、例えば心臓提供者適応基準とかいうふうになりますの で、何か考えます。 木下座長  よろしいですか。アルカリ処理というのは、基本的には、強膜の補強をしていく時に アルカリ処理をされた強膜は多分使えないと思うんですね。だから、ここは少し無理か なというふうに思います。  では次に移らせていただきます。3番目。 山本補佐  次のページに移りまして、移植眼球組織取扱い施設についてですけれども、摘出した 眼球から強角膜切片、強膜、もしくは強膜片を作成する場合には、バイオハザードレベ ルのクリーンベンチ等の無菌操作を実施できる設備の完備されたところで処理する。ま たこの設備については、定期的に検査をし、クリーン度を検査するということですが、 その結果を記録する。この記録について、括弧に書かせていただきましたのは、法的根 拠はないんですが、この記録も、眼球のあっせんの記録の保存と併せて5年間ぐらい残 しておくというのがいいのではないか、というご意見もありましたので、ここは望まし いという書き方にしておりますけれども、括弧がなくてもいいのかなと。望ましいなら なくてもいいのかなと思いますけれども。そこの迷った気持ちが表れています。 木下座長  3番目ですけれども、バイオハザードレベルのクリーンベンチ等ということですけれ ども、いかがでしょうか。ここでもし問題になるとすれば、定期的に検査を行って、記 録を保存するかどうか、ここまで書くかどうか、ということだけですが。どなたかご意 見ありますでしょうか。 金井委員  定期的という意味が、どのくらいかというのが、ある程度書いておかないと、1年に 1回、定期的にやってる、ということだってありうるんでね。毎月やらなきゃいけない のか。ある程度、大雑把でもかまわないと思いますけど、もしやっていても、それが定 期的でなかったんじゃないかとか、もっと間隔を短くしなきゃいけなかったんじゃない か、ということになった場合に困る。定期的にという言葉ではあまりにも抽象的すぎる かな、というふうに思います。 篠崎委員  厚生省のほうで、生体材料なりをいじるところのフィールドに対するこういったレギ ュレーションはないんでしょうか。 山本補佐  ありません。少なくともクリーンベンチの定期的な検査って、週のオーダー、月の オーダーはちょっと……。 篠崎委員  でも、多分、やり方じゃないんでしょうかね。中の細菌培養とかいうレベルから、全 体的な換気を含めた、それは多分年に1回レベルになるんじゃないかと思うんですけれ ども。だから、ここに具体的に書くべきなのかどうかというのは、どうでしょうね、毎 週細菌検査しろというと、年に3回しか使わないクリーンベンチは検査代が大変かなと 思うんですけれども。 山本補佐  クリーンベンチは基本的には、薬事法上の医薬品を扱っている、血液製剤等を扱って いるところはかなり厳しくいっていると思います。臍帯血が、私どもの所管していると ころがありますけれども、これは、確認しますけれども、多分、週のオーダーでの細菌 培養と、当然そこでは換気のレベルから、部屋のクリーン度のレベルまで求めてますの で、それは必ずしも一緒にはならないかなと。それ以外の部分で、例えばすべての生物 生体なり材料を使う場合のクリーン度はこのぐらい、というような指針は、現時点では まだ我が国ではできていないというふうに理解しております。 眞鍋委員  実際使うのが、例えば、年に10枚しか扱っていないアイバンクに、毎週やりなさい というのは、漫画みたいなことになりますね。ひと月に1眼もないようなアイバンクに 対して毎週検査しなさいというのは、ナンセンスな感じもせんでもないですね。実際、 これを書くと、また恥さらしみたいなことになるかもわかりませんけれども。普通であ れば、ポジティブではないこと、もちろんポジティブなことが出た日から、すぐに何回 も検査しなければいけないでしょうけど、今までどおりちゃんと無菌でありますという ことが証明されれば、僕は月に1回でもいいんじゃないかなという感じがしますけれど も。もし、それで菌が出てきたら毎週やると。 横瀬委員  初歩的な質問なんですけれど、クリーンベンチは、要するに角膜の移植のための、角 膜の摘出とか、そういったことだけに使用されるんですか。それ以外の形でクリーンベ ンチ等を使用するということはないんですか。 木下座長  これは、アイバンクによって違うと思います。例えば、我々のところとか、篠崎先生 のところは、それだけのクリーンベンチを使っていますし、年に4つとか5つとかだけ の眼という場合には、もちろん細菌だとかウイルスを使っているところは使ってないで しょうけれども、一応、実験室クリーンベンチを共用で使っているということはあると 思います。 横瀬委員  したがって、頻度の問題で、検査とかそういったものの基準が決まってくる、という わけにはいきませんか。そういうふうな状態というふうに考えたほうがいいんじゃない でしょうか。 金井委員  僕の理解しているところだと、多分、このエアクリーンベンチで行わなきゃいけない ということが決まりましたよね、指導が行きましたよね。ですから、各アイバンクはク リーンベンチを持ってるんじゃないかな、という理解です。だから、一応アイバンクの 専用という形で行われているかなと。 木下座長  51ありますので、全部かどうかということはあれなんですけどね。  いかがでしょうか。少なくとも、ここの文章の中で、記録するという、「また」以降 をちゃんと残しておくかどうかですね。単に、クリーンベンチ等無菌操作を実施できる ものであり、その設備自体は、自助努力で無菌である、というふうに考えれば、「ま た」以降を、次の技術指針を検討する時に具体性を持たせて書いていくというのもひと つでしょうし。それでなければ、これはこの文章のままと。これを採用するかどうかと いうことだろうと思いますけれども。  私自身の考えでは、定期的というところとか、あるいはどれくらいのレベルのチェッ クをするのかということが記載されていませんから、できれば、「また」以降は外して もいいかなと思いますけれど、今回についてですね。 篠崎委員  ちなみに、アメリカのアイバンク協会では、毎日の細菌検査、頻度が多いですから、 そういうことと、全体的な換気なんかは年に1回、業者が入ってやらないとできないの で、それは年に1回を義務づけています。過去の経験から言うと、使用頻度の高いク リーンベンチほど安全なんですね、毎日揚圧になっていますので。使用頻度が低いもの は逆に危ないということがありますので、そのへんも、今後の検討課題として、我々が 検討すべきではないかという気がします。 眞鍋委員  ファクスでもちょっと書いたんですけれども、眼球あっせんの適応基準についての通 知ですけれども、665号ですか、これの一番最後のところに、当基準については、少 なくとも年1回見直しを行うと、ちゃんと明記してありますので、これにつきましても 今みたいに、どんどん世の中変わっていくだろうと思いますので、それに応じた見直し をしていかないとすぐに遅れてしまうのではないかと思いますので、是非、どこかに、 この基準そのものも見直すんだ、ということを明記していただけばいいんじゃないかと 思います。 木下座長  よろしいですか。では、平均値というか、最低点のところのレベルアップをまず目指 すような第1弾の技術指針というふうに理解すれば、いま眞鍋先生がおっしゃられまし たように、適宜、少なくとも年に1回見直しをするということで、「また」以下はでき れば削除させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。  それでは4番目、お願いいたします。 山本補佐  4は「眼球の摘出・保存」です。4の(a).眼球の摘出。死体から眼球を摘出する 際には、滅菌された摘出キット等を用いて、細菌等による汚染に細心の注意を払う。摘 出した眼球は、滅菌生理食塩水や抗生物質の溶液で十分洗浄し、滅菌された専用の保存 瓶に入れて、固定器等で瓶内に適切に固定する。眼球の摘出を行った医師については、 眼球摘出記録を作成しなければならない、ということで、これは参考資料の2−1、2 −2に書式例がございます。資料の8ページ及び9ページが脳死下での摘出を行った場 合。それから心停止後の摘出を行った場合が10ページ、11ページです。何が違うか と言いますと、本人の生前の意思ですとか、脳死判定書の交付を受けたかどうかという 脳死判定に関わる部分が違うだけで、あとはほとんど同じです。これにつきましては、 以前お配りしたものに対して、委員の先生方から、いろんな項目について、まさに眼球 の摘出に必要な項目だけに、スリムにしてほしいということで、感染症検査の記録だけ を残し、その他の検査結果についても、特記すべきことがあれば書く、というような形 で、書式例を添付させていただいております。  また2ページに戻りまして、(b)の摘出眼の保存ということで、眼球の保存におい ては、その乾燥を防ぐよう十分留意する、ということで、保存液に浸して眼球を保存す る場合には、ドナー角膜の細菌汚染の予防について十分な配慮を払う、とございますが ここについて、非常に多くのご意見をいただきまして、湿箱への保存というようなご意 見から、溶液、我が国で開発された溶液もあるようですが、その溶液への保存について のご意見等、多数いただいておりますので、そのままの形で提出させていただいており ます。 (c)眼球の搬送ですけれども、眼球保存瓶に入れた摘出眼球をアイバンクに搬送する 場合には、氷もしくは保冷剤を入れたアイスボックスを用い、4℃前後の温度で、可能 な限り短時間で搬送する。搬送中に眼球が凍結したり、5℃以上にならないように注意 する。この5℃についてもご質問が出ておりましたが、このまま載せさせていただいて おります。以上です。 木下座長  ありがとうございました。4番目ですが、山本さんからのご指摘がありましたように (b)の眼球保存液に浸して眼球を保存する場合には、という1行ですが、ドナー角膜 の細菌汚染の予防について十分な配慮を払う。これをこのまま置いておくか、あるいは これも削除するのがいいのか、というようなご意見がかなり寄せられている、と理解し ております。  4の(a)についてはいかがでしょうか。問題ないでしょうか。先ほどの眞鍋先生の ご意見から行きますと、参考資料の2−2、11ページのところに、遺族が眼球摘出を 拒否していない、とかいう、この拒否という言葉も、承諾している、承諾していない、 というふうに先ほどと合わせると、整合性がいいように思います。4の(a)そのもの については問題はございませんでしょうか。 眞鍋委員  前のものとは違うね。送られてきたのと。 木下座長  あれからかなりの修正、修文をさせていただきました。 眞鍋委員  最後のほうに、強角膜片作成のところで、僕は、医者または医者以外に熟練した人、 というような書き方にしたらどうか、と提案したんですが、眼球摘出をするのは医者で なかったらいけないんですね。眼球摘出者は医者でなければならないということを書い ておかなければならないのではないか。それを書いておけば、次の、眼球を処理して、 強膜を取ったり、強角膜片をつくったりするのは、医者の指導の下に、熟練した技師が できる、というふうに書けるんじゃないかなという気がします。 木下座長  眼球の摘出を行った医師は、ということで、ここで医師と書いてあるんですけれども もっと明確に書いたほうがいいということですか。 眞鍋委員  そういうことが法律で決まってるんだったら、ここにもちゃんと書いておいたほうが はっきりするんじゃないかなと思うんですね。そうしておいたら、摘出した眼球をいろ いろ操作するのは、医師の指導の下にと、また医師がするんだったら問題ないんですけ ど、医師が忙しくなってくるでしょうから、医師以外の人がやってもいいと。病理解剖 のものとか何とかは医師がやってますけれども。法律の下でもできるんじゃないかと。 山本補佐  違っていたら訂正してくれると思いますが、摘出は確かに、死体損壊罪との関係で、 医師がやる。摘出した後は、別に医師の指導がなくても、誰がやってもいい。熟練した ほうが望ましい、医師の指導があったほうが望ましいということは、ひとつの見識です けれども、法律上は誰がやってもいいという理解です。 眞鍋委員  前に配ってくれたものは、非常に丁寧に、熟練を要するとか何とかいうようなことが 書いてありましたね。あれを生かして、熟練をした者が、できたら指導の下にと。 木下座長  このことは、後ろのほうに出てきますので、その時にまた議論するとしまして、まず 4の(a)のところに、摘出は医師が行うこと、というのを一番最初につけるかどうか ということですね。  ここに、眼球の摘出を行った医師は、というふうに書いてありますので、これは医師 以外の人は摘出できないことをここに規定してあり、また施行規則等を引いてあります から、それで何とか。丸木委員、いかがですか。 丸木委員  そうですね、確かに、医師が行うことと、と言えば、明確にはなりますけれども、こ の表現でも、僕は個人的にはいいんじゃないかと思っています。摘出を行った医師は、 ということで、医師以外はできないというニュアンスはこれでも出るという感じがしま す。 木下座長  それでは、この4(a)につきましては、今のことは理解できるということで、この ままで出していただきたく思います。  4の(b)「眼球の保存においては、その乾燥を防ぐよう十分留意する」ここにつき ましては、アメリカのアイバンク協会では、モイストチェンバーがいいんだ、という考 えが非常に強いですし、日本では、EP2などの眼球保存液に抗生物質を入れて、それ で保存する。そして、強角膜片にする時にまた保存液を替える、というのがいいんだ、 という考えで、多少ニュアンスが違います。そのちゃんとしたコントロール・スタディ というのは、日本ではされてないんですね。ですから、科学的データがあるようでない というのが現状です。そういうところを踏まえますと、いずれの場合についても、細菌 汚染の予防について十分な配慮を払う、ということですね、結局。ですから、眼球保存 液に浸して眼球を保存する場合には、という文章をとって、「眼球の保存においてはそ の乾燥を防ぐよう十分留意する。ドナー角膜の細菌汚染の予防について十分な配慮を払 う」というところでいかがかなと。第1回目の技術指針ということでご理解いただいて そのうちに科学的データを積み重ねていけばどうかな、というふうに思いますが、いか がでしょうか。 眞鍋委員  実際、湿箱というか、湿室を使ったアイバンクはありますかね。 木下座長  モイストチェンバーを使っているところもあります。これもまた51ありますので、 それを一気にすべて統一するというのはなかなか難しくて、どこのアイバンクにとって も十分にやれると。何に配慮しなければいけないかというのは、細菌汚染の予防という ことをちゃんとしてください、というところでまずスタートしてはどうか。 眞鍋委員  そのためには、抗生物質の入った液につけるというのが、一番いいように思います ね。湿室では消毒できないもんね、実際問題として。 木下座長  そうなんですね。 眞鍋委員  全体として、高濃度の抗生物質の中につけておくのが一番安全ですね。 木下座長  いいはずなんですけれども、ただ、データが、それがいいということを必ずしも示し ていなくて、今度は結膜の細菌が眼球保存液を介して角膜に、というようなこともあり 得ると、これはアメリカなんかでは結構言っていることになりますので、どっちが正し い、というような議論はまだできないんですけれども。これからデータを積み上げてい くということですね。  いずれにしましても、ここでは、どちらの方式を使わないといけない、ということを 規定するわけではありませんので、眼球が乾燥しないように注意をして、細菌汚染の予 防に十分な配慮を払う、ということで。 眞鍋委員  何か矛盾してるような感じですね。液体につけるのに乾燥を防ぐ、というのが書いて あったらね。これははっきり分けて、湿室保存と液体保存と、そういう言葉をちゃんと 出したらいいんじゃないですかね。 山本補佐  はっきり言いまして、湿箱保存と溶液保存の議論が、ずいぶん意見が分かれまして、 それで、いずれにしても、何にも入れないで、乾燥の瓶の中にポコッと入れておくのは 駄目だ、というのが、最初の、当然と言えば当然なんですが、後段のところは、どっち が細菌汚染のリスクが高いかというのはこの委員の中でもずいぶん意見が分かれまして それで、私ども、迷って、このままにさせていただいたんですが、木下座長がおっしゃ ったが、全体のいろんな意見が出た、真ん中みたいな感じなんですけれども。 眞鍋委員  何か非常に中途半端な感じがするんですが。乾燥を防いで液体に保存をするというの は。 木下座長  いや、もう一度確認させていただきますけれども、「眼球の保存においては、その乾 燥を防ぐよう十分留意する」。その次は、「ドナー角膜の細菌汚染の予防について十分 な配慮を払う」としてはいかがか、ということなんです。ですから、「眼球保存液に浸 して眼球を保存する場合には」を削除する。ですから、湿箱とか、保存液とかいうこと については、どこにも入らない。いずれの場合についても、細菌汚染されないように、 そして乾燥を防ぐように。その方法としては、湿箱を使う人もあるし、眼球保存液の中 に浸ける場合もある。 横瀬委員  八木さん、具体的にはどうですか。 八木委員  木下先生がおっしゃられたように、両方どちらもやっていらっしゃるところがあるか ら、どっちでも行けるように、今先生が言われたように書いておくのが一番いいような 気がします。 木下座長  これは1年ごとに見直すということであれば、いや、別に逃げるわけではないんです けれども、まず51のアイバンクで、こういうことでやろう、ということでやっていっ て、どこがどういうシステムを使ってるかということがだんだんはっきりしてきますか ら、その中で、自ずと優劣というか、いいほうへ傾いていくと思いますので、そういう 時間のファクターも入れて、ここは小修正をお願いします。 金井委員  うちは、やっぱりEP2が日本にあるので、それを使って保存してるんですけれども それで保存していてもあとの保存液を培養すると出てくることがあるんですよね。モイ ストチェンバーで果たしてどうなったかと、1年間、データをお互いのところに出して それで、リスクの少ないほうに決められていく。これはせっかく眞鍋先生が研究されて つくられたし、例えば、前紡錘の変性が、果たしてどっちのほうが少ないのか。眞鍋先 生、もしわかれば。そこらへんが少ないのであれば、内皮への影響というのは、保存液 EP2を使ったほうが少ないのであれば、それのほうがベターではないか。アイバンク としては、EP2を使わなきゃいけないし、また強角膜片の保存液を使わなきゃいけな いということで、コスト的にはかかりますよね。そういう問題もある。 眞鍋委員  どっちも、技術的にしっかりした人がすれば問題ないんですが、湿室の場合でも、ち ょっと慣れない人だと、冷やすと、上に、飽和水蒸気になってるわけですから、冷やせ ば必ず水滴ができる。その水滴は必ず蒸留水なんですね。蒸留水が、もし上皮なんかに 当たると、必ず角膜に浮膜ができますし、そういう点では非常に危険なものをいつも上 に置いたままでやっている、という状態です。それに対して、あれはフールプルーフと いいますか、とにかく、少し結膜なんかの菌が入ったとしても、抗生物質を非常に高濃 度に入れておけば、それで洗浄効果もあるだろうということで、いわゆる研修医とか、 あんまり慣れてない人が眼球を扱う場合には非常にいいのではないかということで進め てきたんです。実際問題として、いちいちモイストチェンバーとか何かについて菌を調 べてどうこうというデータはありませんけどね。 木下座長  それでは、4の(b)の「眼球保存液に浸して眼球を保存する場合には」というのを 削除するということで行きたいと思います。よろしいですね。  次に、4の(c)についてですけれども、いかがでしょうか。ここにつきましては、 搬送中に眼球が凍結したり5℃以上にならないよう、というのは、搬送中に眼球が凍結 しないように注意する、というようなところで十分ではないか、と思います。搬送は4 ℃前後の温度で可能な限り短時間で行い、と書いてありますので。 眞鍋委員  後ろのほうに、どこかで8℃というのがあったでしょう。 木下座長  3ページの真ん中のあたりですね。 眞鍋委員  8℃というのと4℃というのは、ちょっと整合性がないですね。どっちかにしたほう がいいと思いますね。 木下座長  いかがですか、これは「搬送中に眼球が凍結しないように注意する」ということで。 眞鍋委員  ひとつは、今のEP2のほうは、いわゆる重炭酸が抜けておりますので、温度が上が りますと、例えば20℃以上なんかになったら具合が悪いんですね。だから10℃以内 ぐらいに保っておくことが望ましいということはありますけれども。まあ、凍結するよ りは、割と危険度は少ないと思いますけれども。全然、アンプルを持って行って、常温 でポンと開けて、夏の暑い時、30℃ぐらいの液の中にポンと浸けられると逆効果にな るということはあります。温度は低温、4℃前後、それにプラスマイナスなんぼにする かですけれども、5℃というのはちょっと。後ろに8℃というのがあるんだったら、そ れを引用してもいいかなというふうに思います。 木下座長  搬送は、というところは、基本的に4℃というのを、昔から、テンパーチャーリバー サル云々の時にも実験してますから、4℃でいかがでしょうか。「搬送は4℃前後の温 度で可能な限り短時間で行い、搬送中に眼球が凍結しないよう注意する」というところ でいかがでしょうか。  そういうことで、4番はお認めいただいたということにいたしまして、5番ですが。 金井委員  その前に、5番とちょっと絡んでるんですけれども、5番の上のところで、眼球摘出 あるいは強角膜片摘出、と書いてあるんですよね。そうすると、強角膜片の摘出を、最 初から眼球をいただかないで、上だけをとるという時は、上の眼球摘出、全部これが入 らないんです、保存の方法とか。 木下座長  それで、5番との間に、是非ひとつ入らないといかんのじゃないか、ということであ りまして、山本さんのほうからご提出いただきましたので、まずこれをご検討いただき たいと思います。 山本補佐  事務局の不手際で、いま金井先生にご指摘いただいたことを失念しておりまして、手 書きの紙がございますけれども、日本語は練れておりませんが、場所もずいぶん議論が あったのですけれども、4の下の5として、強角膜片の摘出、つまり、先生がおっしゃ った、死体から眼球を摘出しないで、直接強角膜片をとる場合の手順についても書くべ きだ、ということで、ここに入れさせていただいております。こういう言い方がよかっ たかどうか。細かく書くか、それとも、本指針の4番、つまり今の眼球の摘出・保存、 及び7−1、今の紙で行きますと6−1ですが、6−1全体に準じて、ということで、 ちょっと乱暴すぎるんじゃないかと、今読みながら思っておりますが、その際、一番多 くの方からご指摘いただきましたのは、この際、特に摘出の際の細菌等の汚染、全眼球 を摘出するよりもなお十分な留意が必要だということで、多くのご指摘をいただいてお りますので、書き方も含めてご指示いただければ、この4の後あたりに入れるのがいい のではないかということで、その後の番号が1個ずつずれて、5は6、6は7、という ことでずれていく、ということになっております。 木下座長  ありがとうございました。これはいかがでしょうか。どこに入れるかというところも あるんですけれども、5番の、摘出後のご遺体の処置という、これが非常に大事なとこ ろになってきますので、是非それの前に入れたい。全眼球で眼球摘出するところがほと んどでしょうけれども、強角膜片で、これも機械でとったりしてくるアイバンクも現実 にありますし、これを、今現在の4と5の間のところに入れてはどうかということで す。細かく書くのもいいですし、基本的には、摘出と、それから強角膜片切片作成のと ころに書いてあることに準じて行ってください、というようなことです。よろしけれ ば、そこに挿入させていただいて、以後番号をひとつずつずらすということにしたいと 思います。  基本的にはいいということで、ご理解いただいたと考えさせていただきます。それで は、ここからは6と読んでいきましょうか。6番、お願いします。 山本補佐  6番、眼球摘出後のご遺体の処置、ということで、これは、特に臓器移植ネットワー クから非常に強い要望がございまして「眼球摘出あるいは強角膜切片摘出を実施した場 合に、出血や眼球内容物の漏出がないように十分配慮し、また義眼を挿入して、ドナー のご尊顔が変わらないように十分配慮していただきたい、ということで、摘出処置後に 眼球摘出あるいは強角膜片摘出に関わったアイバンク担当者は、ご遺族にドナーのご尊 顔のご確認いただき、満足いただけるように努める。」ちょっとくどいんですが、日本 の場合は、ご遺体にとりすがって泣かれたり、ご自宅に戻られて、またどこかに運んだ りと、いろいろあると、十分血管を縛っていないと血がダラッと出たり、特に先ほど5 に挿入いたしました、強角膜片を摘出した場合に、時間がたった時に内容物が出てくる という問題、そのままの処置ですと出てくるという問題がございますのと、お顔がお変 わりになっていないかどうか、ご遺族にきちんと確認をいただくことが重要かと思い、 入念に書いてございます。 木下座長  よろしいでしょうか。今の前後の文章とはかなり、客観的なものと主観的なものとが 混ざってはいますが、非常に重要なところですので、是非こういう文章があればいいか な、ということです。よろしいですか。  それでは、7番、摘出眼球の処置について。 山本補佐  7.7−1.強角膜切片の作成でございます。まずa、強角膜切片作成の準備ですけ れども、搬入した保存瓶は、蓋を開けないで、その外部をエタノールで消毒して、ク リーンベンチの無菌操作設備内に入れて、その後は滅菌的に無菌的操作を行う、という ことでございます。  b.全眼球から強角膜切片を単離する際には、まず全眼球を生理食塩水、それから抗 生物質の溶液で洗浄し、さらに再度生食で洗浄した後で、結膜等の余分なのを除去し、 ここはかなり具体的かつ細かいんですけれども、再度洗浄した後で、角膜輪部より1. 5mm程度の外側の部分の強膜にメスで穴をあけて、そこから強膜を全周にわたり切開し そのあと鑷子で切片の縁を軽く持ち上げて、内細胞に角膜変形による損傷を与えないよ うに注意しながら先端の丸いブレードなどで虹彩をゆっくり押し下げて、単離してい く。この時に角膜のほうを引っ張って虹彩を取ると、内皮細胞に損傷を与えることがあ るので、細心の注意が必要だ、ということでございます。  c.強角膜切片の保存ですけれども、これは眼球保存液の入った専用の保存器のほう に、角膜上皮細胞側を下向きにして置いて、素早く蓋をして封印する。その評価後に4 ℃の冷蔵庫内で保存する。この保存している際に、ここで8℃が出てくるわけですが、 凍結、あるいは8℃以上の状態にならないように注意する。48時間以上保存する場合 には、その保存液を横向きにして、老廃物による影響を最小限にする、ということでご ざいます。また、この保存液に保存した強角膜切片には、抗生物質が有効に作用するよ うに、冷蔵保存する前、最低2時間は室温で静置する。この際、冷蔵保存された保存液 を直後に使用する場合には、液音が20℃に達するまでの時間も考慮する。細かくなっ ております。  d.強角膜切片の評価について。強角膜切片を作成した直後に、スリットランプ、ス ペキュラーマイクロスコープ等を利用して、詳細に検査し、結果を所定の様式に記入す る。この時点で移植に不適合と判断された切片につきましては、不使用記録を作成の上 で、焼却処分にする、ということになります。  e.強角膜切片保存液について、ここも多くのご意見をいただきましたが、原文のま まになっております。保全液については、当分の間、アメリカアイバンク協会で承認さ れるものと同等とする。保全液の名称、ロット番号の記録、保管についても求めており ます。 f.保存期間ですが、保存より10日以内に移植に用いる。有効期限内にあっ せんできない等の理由により移植に用いられなかったものについては、凍結に耐える保 存容器にて−80℃で凍結保存し、将来的な角膜表層移植もしくは緊急の手術に用いる ために、無菌的に保存する。この保存期間は特に定めない、ということになっておりま す。  強角膜切片保存瓶中の組織を移植医療に用いる場合には、保存液、それから角膜輪部 の一部の組織の細菌培養を行うことが望ましい。あっせんしたアイバンクは、その医療 機関から、培養の結果について手術から15日以内に報告を受けること。その記録を、 あっせん台帳とともに記録、保管する。この15日という日にち等につきましても、こ こまでかということで、ご意見をいただいております。  g.角膜と角膜輪部の使用について。前回、相当ディスカッションいただいた件です けれども、ひとつの強角膜切片をあっせんして、医療機関において、角膜移植と輪部移 植を2名以上の患者に施行する場合については、移植を行った医療機関が、あっせんを 受ける際にアイバンクにその旨を報告して、手術に関する記録を作成して、アイバンク にまた手術後報告していただく。その際に、医療機関が開封後の強角膜切片の全部また は一部に細菌汚染が起こらないように細心の注意を払うよう要請する。ということで、 一度医療機関で開けたものをもう一度詰め直してアイバンクに戻すということはしない ということの議論かと存じます。以上です。 木下座長  ありがとうございました。まず、多少修正の必要なところがあるかと思いますが、7 −1のa.強角膜切片作成の準備。ここは特に問題はないと思います。よろしいでしょ うか。 眞鍋委員  これも、施行者は医者でなければいけないということは、書く必要はないんでしょう か。 木下座長  それは、どこに書くかなんですけれども、現在の8.あとで9になるところに書いて あるんです。強角膜切片又は強膜の切片作成の施術者、というところ。ですから、一応 最初のほうで、プロセスのところをずっと書きまして、その責任の所在というか、誰が やるかということについては、後ろにまとめようということにしております。 眞鍋委員  わかりました。 木下座長  では、7−1のaはこれでいいということで、7−1のbですね。bのところはかな り細かく書いておりまして、ここまでするかどうかですけれども、例えば、1行目の後 ろの「さらに再度滅菌生理食塩水等で洗浄した後」というのを削除してもいいかなと。 全体のバランスから言ったら、ということですね。ちょっと読んでみます。「全眼球は 滅菌生理食塩水や抗生物質の溶液で洗浄し、余剰の結膜等を除去する。角膜輪部より… …」というふうにする。「再度洗浄した後」とかいうのは、これはしなければならない のは当然のことですけれども、文章上、そこまで入れると、他と比べて非常に細かくな ってしまいますので、この2つのところを部分的に削除するということ。それから、4 行目の「角膜鑷子で」というところだけ取ってしまえばどうかなと思うんですが。「強 角膜切片の縁を軽く持ち上げ……」ということで。 篠崎委員  これ、実は叩き台をつくれと言われまして、私がこのようにやった記憶があるんです が、うちの膨大のマニュアルの一部分を抜粋してつけ足した結果、こういう形になって いるんですが、要点はすごく簡単でして、結局、感染の問題と組織へのダメージと、た った2つだけだと思います。そういう観点で、その点だけに言及する形にするというの はいかがなものでしょうか。これは、いかにもプロシージャー・マニュアルというか、 一歩一歩という感じなので、やり方が違う先生もいらっしゃると思うんですね。ですか ら、もうちょっと要点だけを、これだけは守ってくれ、という形ではいかがでしょう か。つくった自分が言うのも何ですけれども。 木下座長  これは各論から総論のほうへだんだん出来上がっていきましたので。もしもよろしけ れば、今の篠崎委員の趣旨のようなことで、ここをもう少しだけ丸めて、要点が明確に なるように書き換える、修文するということで、よろしいでしょうか。では、7のbは そういうことにさせていただいて、3行ぐらいでまとめることにさせていただきたいと 思います。お任せいただければ有難いと思います。  7のc.強角膜切片の保存。ここの3行目のところですけれども、これも先ほど眞鍋 先生からご意見がありましたように、強角膜切片が凍結しないよう注意する、というこ とで、8℃以上というのは削除するということではいかがでしょうか。「この際に保存 された強角膜切片が凍結しないよう注意する。また、48時間以上保存する際には、角 膜内細胞の老廃物による影響を最小限に止める努力をする」とか、そんなことでいかが でしょうか。上のほうを丸めるということですと、要はどういうことをしてほしいかと いうことだけを書く、ということですね。  次の4行は、そういう趣旨で行くとすれば、これは削除する、ということで。 眞鍋委員  横向きにしたら、なぜ老廃物が……。 篠崎委員  ベーイングチェンバーの話をしてるんです。これはスペキュラーで見るわけですが、 上を向けていますと、48時間以上置いたスタディがあるんですが、中心部の内皮で老 廃物が出て死ぬんです。セル・デスが真ん中だけ起こっている。横にしておきますと、 フラフラ冷蔵庫の中で動くらしくて、それが斜めに落ちるので、そういう影響が少ない ということです。 眞鍋委員  老廃物が重たいからですか。 篠崎委員  結構細かいんですが、ちょうど真ん中にみんな、スペキュラーで見ると、10から1 5、6個の、本当に真ん中なので、その影響は避けるべきだろうという意見がありまし て。 木下座長  組織培養と一緒で、アシリックになってくるということもあると思いますね。 眞鍋委員  液を替えればいいわけかな。 木下座長  48時間ごとに液を替えればいいかと思いますけれども、まあ、値段の問題とか。横 にしておくと、それが本当に下へ落ちていくということで、実際的な経験では確かに横 にしておかないと手術の時に角膜が壊死を起こしてきますね。 眞鍋委員  それなら、横にする、というのは残しておいたほうがいいんじゃないですか。 木下座長  ただ、瓶のようなものに入れる人がいるとすると、その場合には、液量がすごく多い ので、横にしなくてもまだ行く場合もあるんですね。このへんは、そうすると、bとc のところは、篠崎委員とまとめさせていただいて、趣旨がもう少しよくわかるようにさ せていただきたいと思います。そういうことでご了解お願いいたします。  7のdですけれども、何かありますでしょうか。強角膜切片の評価等。これは特に問 題ないんじゃないかと思いますけれども。  e.強角膜切片保存液。これについては、アメリカアイバンク協会で承認されたもの というのはちょっと抵抗があるかもしれませんけれども、もしも、商品名を出していい んであれば、現在、オプチゾールという商品名のものを、日本の中ではほぼ100%、 エクスクルーシブに使っていると思いますので、オプチゾールもしくはそれと同等のも のとする、とすればいかがかなと。「当分の間、オプチゾール(R)もしくは同等の保 存液とする」という表現。ご意見ありますか。 篠崎委員  固有名詞を果たして出すべきなのかどうかというのがあったものですから。うちでは 実は固有名詞が出ているんですが、それを、苦肉の策でこういう形にしたんですけれど も。どういう表現がよろしいのかなと。  もうひとつ、今、チェンズミディオムもオプチゾールよりもいいというスタディもあ るので、どちらがいいのかなということを考えたものですから。 木下座長  いかがでしょうか。 山本補佐  商品名はあまり適切ではないかもしれません。 金井委員  そうしたらこれを抜いて「保存に使用する保存液は、保存液の名称、ロット番号を記 録、保管する」にしてしまっても変わらないと思いますが。 木下座長  これを使いなさい、ということはなしにして。それはいいかもしれませんね。 金井委員  それは、眼球銀行協会では輸入してますよね、代表で。だから、皆さんそれを使って ると思うんですよね。 木下座長  そこまで書かなくても皆さんが全部使ってるという理解で。それでは「強角膜切片の 保存に使用する保存液は、その名称、ロット番号を記録、保管する」ということにさせ ていただきたいと思います。  それでは、7のfです。これにつきましては、前のほうはいいかと思うんですが、後 ろのほうのパラグラフで、「強角膜切片保存瓶中の組織を移植医療に用いる場合には、 保存液、並びに角膜輪部の一部組織の細菌培養を行うことが望ましい」と、ここまでは いいと思うんですが、そのあとが、少し現状としては厳しく思いますので、「アイバン クは、細菌培養の結果について、報告を求めることが望ましい。その際には、アイバン クはこの結果をあっせん台帳とともに記録、保管する」ということにさせていただいて はどうか。 金井委員  これは、細菌培養の結果というのは、法律で義務づけられているんですか。 木下座長  いや、ですから、ここでは細菌培養を行うことが望ましい。細菌培養を行った場合に は、その結果は、ちょっと文章を整理しないといけませんが、その場合には、アイバン クはその結果の報告を求めることが望ましい。そういう文面にとりあえずさせていただ ければと思います。  次に7のg.角膜と角膜輪部の使用について。このへんのことについては、全く明確 なことはなかったわけですので、これにつきましては、ここに掲げてありますような文 章があると明確ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。 眞鍋委員  これはどういう意味ですか。あっせんを受ける際にアイバンクに報告する、というの は、受ける際に、最初から2人待ってるんだぞ、ということをアイバンクに言わないと いけない、ということですか。アイバンクからもらう時にすでに、これは2人に使うん だぞ、ということを言ってくださいよ、ということですか。使ってから言ったのではい けないんですね。やってみたら、あ、これ使えそうや、ということで、というのは。あ らかじめ言っておかないといけないのかな。まあ、アイバンクとしては、両方使うんだ ったら、もっと若い人のほうがいいかな、とかいうような選択も生まれるんだろうと。 木下座長  ですから、使う予定、ということでいいんですよね。これを言っていませんと、アイ バンクが把握することなく、もらった医療機関がどんどん2つずつ使っていくとか、何 かこう、記録にないところで角膜移植が行われていくような、変な形が出てきますので アイバンクとして把握する必要がある、ということがここに書かれているということで す。それから、細菌汚染云々については、アイバンクはひとつの強角膜片の最初のとこ ろについては責任が持てますけれども、次以降は医療機関が責任を持って対処してくだ さいということが記載されていると思います。よろしいでしょうか。 金井委員  ここの言葉で、僕もまだちょっと理解してないんですけれども、移植を行った医療機 関というのは、これだと、単一という意味には取れないでしょうね。一部真ん中を取っ て、別な医療機関に、というのは。 木下座長  それはできないということですので。 金井委員  それはどこに書いてあるんですか。最初に書いておかないと、ただここだけの文面だ と、ちょっとそういう、2つの医療機関でもいいような感じですよね。同一とかそうい うふうなことにすればいいと思うんですけれども。 眞鍋委員  「行った」としないで「行う」というふうにする。 木下座長  「移植を行う医療機関があっせんを受ける際に……」。ここはちょっと文章的に整理 させていただきます。今言われました趣旨を十分に含めたいと思います。 山本補佐  ちょっと確認したいんですけれども、実際に移植する先生方は、強角膜切片を1人に 使うつもりで提供され、結果的に2人に利用することになるのか、当初から2人に移植 することと想定しているのでしょうか。前者の場合は事前にバンクに言っておくことは 無理かと思います。でもその時でも、2つ使いましたよ、ということの報告は、事後に は求めなければいけないと思うんですが、現場で実際にどっちなのかで、ここの確認を ……。 木下座長  それは、フレキシビリティを持たせておいてもらうほうが有難いのは有難いですね。 ただ、それが許されることなのかどうか、ということです。 眞鍋委員  これを「行った機関」というふうにすれば、報告する義務を負うというふうにしてし まったらいい。 金井委員  例えば、角膜中央部を使おうとして、患者さんを呼んでますね。それでまた急患で、 周辺部の潰瘍を起こして穴が空きそうな患者さんが来れば、あ、これだったら使えるか ら使おう、ということで使う。 山本補佐  事後報告ということもあり得るということですね。 眞鍋委員  事後報告を義務づけたらいいんじゃないですかね。これも、要請しなければならない というのもおかしい話なんです。どっちかといったら、医療機関に対して、報告しなけ ればならない、というふうにすべきではないですか。 山本補佐  要請という言葉よりも適切な表現があるかと思うんですけれども、基本的にこれはア イバンクに出す技術指針だったものですから、アイバンクがどういうふうにするのかと いうような視点で書かせていただいたので、医療機関が何をしなければいけない、とい うような形になっていないので、これは、言葉を選ぶということはあろうかと思います けれども。 木下座長  佐野先生、いかがですか。 佐野委員  個々にはあれですけれども、全体に、指針というのは、あまり手かせ足かせをかけな いほうがいいんじゃないか。木下先生が進行しているような感じのほうがよろしいんじ ゃないでしょうかね。 木下座長  では、7のgにつきましては、誤解がないように、そして、できれば事後でいい、と いうような。ただ、これは法律との絡みがありますから、その中でかなりフレキシビリ ティを持たせていただけるように、努力してつくっていただいていますので、そのへん のところで少し整理させていただきたいと思います。  次の7−2.移植用強膜の作成、お願いします。 山本補佐  7−2のa.強膜の単離ということで、強膜から眼球の内容物、この括弧の中の記載 についてはご意見をいただいて、すべて網羅させていただきました。を内容物を滅菌し た鑷子により除去する。除去した内容物は礼意に反しないよう処理する。  b.強膜の洗浄については、付着している脈絡膜や血管等を滅菌された綿球、もしく はガーゼ等にエタノール等を浸したもので十分拭き取る。  c.強膜保存については、滅菌された溶液に入れ、95%エタノール、グリセリン等 の中で適切に保存する。ここは、意見で、一回落ちて、事務局の気持ちでまた復活した ところですけれども、前もって保管する際に、将来2分の1もしくは4分の1あっせん するのであれば、事前に分割しておいてほしい、開けて千切って、また入れる、という のはやめていただきたいという趣旨で書いてございます。  グリセリンのご意見も非常にございまして、グリセリン中に保存する場合には、組織 を不可逆的に硬化させる恐れがあるため、十分留意する。このご意見もいただきました が、一部の委員からは、グリセリン保存というのもまだやられているのではないかとい うことで、ここの書きぶりについては、複数のご意見をいただきました。  d.強膜の使用。保存された強膜を使用する場合には、あらかじめ滅菌生理食塩水も しくはBSS(Balanced Saline Solution)等により十分に洗浄してから使用すること が望ましい、ということになっております。  e.細菌培養。強膜の使用に際して、その一部並びに洗浄した生食もしくはBSSを 培養して、細菌の有無を確認する。ここはまた同じ議論ですが、アイバンクは、移植を 実施した医療機関から、細菌培養の結果について、使用から15日以内に報告を受け る。これも、先ほど同様のご意見をいただいております。  f.強膜切片の評価。移植に不適合と判断された強膜は、不使用臓器記録を作成の上 焼却処分する。  以上です。 木下座長  今のところまでですけれども、7−2のa、bについては特に問題はないかと思いま すので、7−2のc、強膜の保存ですね。ここにつきましては、先ほどの山本さんから のお話にもありましたように、グリセリン保存のことについて、まだまだそれをやって いるところをあるように聞きますので、「なお」以下のところは削除してはどうかなと 思います。ですから「アイバンクで保管する際に、使用上の利便性を考慮して半割、1/4 割にしておく事も可能である」ということで、グリセリン保存がいいか悪いかというこ とについては、いいと思っている先生もいらっしゃるかもわかりませんので、これはこ のままと。「エタノール、グリセリン等の中で適切に保存する」ですから、現実には眼 球保存液の中にそのまま入れて凍結しているところもたくさんあるかと思いますので、 このままで、「なお」以下を削除するということでいかがかなと思いますが、よろしい ですか。 眞鍋委員  これも、エタノール、グリセリンというのであれば、今言ったように、保存液そのも ので凍結しているという、そういうのも……。 木下座長  入れておきましょうか。 眞鍋委員  これは凍結ということは全然考えてないわけですよね、エタノールとかそういうの は。だから、−80℃の凍結設備を持っているアイバンクもあるわけですよね。そうい うようなところでは、そのままポンと凍結したら非常に簡単に保存できますから。その ほうが後でずっと使いやすい、解凍したらすぐに使えるということで、グリセリンやエ タノールは洗わないと、残ったら大変ですから非常に困るんですけれども。保存液のほ うは、凍結しておいたら、非常にあとが楽だということで、この頃ほとんどの人がそう していると思います。だから、非常に昔の考え方でやっているのが、グリセリンなんか が残ってるんだろうと思いますが。 篠崎委員  うちは、アメリカのやつをそのまま移してるんですが、向こうでやられているのは、 今全部室温なんですよ。95%のシカクスリュートのエタノールで室温。 眞鍋委員  だから、これは室温と書いておかないといかんかもわからんね。 篠崎委員  いや、ただ、凍らせて悪いということは決してないと思うので、−80℃もあるのか な、という気がしたので、ある程度併記しておく必要があるのではないか。逆に、まだ 室温で強膜の保存をやっているアイバンクはないはずなので、全く知らない中で、これ を急に出すわけですから、ある程度、こんな方法もあるんだ、というのは、これに書く べきかどうかは別として、先ほど佐野先生もおっしゃったように、あまり詳しいことを 書くのかどうかということとは別に、もう少し具体的なマニュアル的なものは学会か何 かでつくる必要があるのかなという気はします。 木下座長  とりあえず、今回のについては、2つの方法を、もうひとつ書いておきましょうか。 眼球保存液の中で保存する場合には−80℃で保存するということで、エタノール、グ リセリンの場合は室温で保存する、というようなことで、ここは一文追記するというこ とで。 眞鍋委員  −80℃と常温というのがあるということね。 木下座長  そういうふうにさせていただきたいと思います。  それでは、7−2のe.細菌培養。これも先ほどの角膜のことと整合性を持たせるに は、後ろの文章を「アイバンクは、移植を実施した医療機関から、細菌培養の結果につ いて報告を受けることが望ましい」ということにしてはどうか。先ほど、15日云々と いうのは削除しましたので、そういうふうにしたらいかがかと思います。よろしいでし ょうか。 7−2のfは法律のことで、このまま行きたいと思います。  では、7−3、よろしくお願いします。 山本補佐  7−3ですが、表層角膜移植用の全眼球の摘出・保存ということで、これも前回ご議 論いただきましたけれども、医療機関のほうから、表層角膜移植に使用するために全眼 球であっせんを受けたい、という要請があった場合には、全眼球のままあっせんするこ とも可能である。その際には、角膜内皮細胞の評価を除いて、他の取り扱いについては 前述のものを遵守する。また、全眼球の提供を受けて移植を実施する医療機関において は、表層角膜移植を行った残りの眼球の部分については、焼却処分を行う。法の第9条 及び施行規則の第4条、ということでございます。 木下座長  ありがとうございました。7−3、これも焼却処分等のことです。特に問題はないか と思いますので、次、8と9について。 山本補佐  8.記録の保管です。これは、あっせん記録を作成し、5年間保管する。  9.術者の議論ですけれども、強角膜切片等を作成する施術者、「等」というのは、 強膜切片もありますので、その術者については、十分な知識と技術が要求されるため、 この作業について十分な研修を受けていることが望まれる、ということで、法律上、摘 出以外の術者については、医師でなければならないという規定はありませんので、誰が やってもいいということですが、十分な技術が必要だということです。  実は、冒頭お話がありましたように、10もしくは補足の形で、この技術指針につい ては、必要に応じて、とおっしゃった先生と、最低1年に1回はとおっしゃった先生が おられますが、いずれにしても見直すということを中に明文すべき、ということがござ いました。 木下座長  8番、記録の保管、これはよろしいですね。  9番は「強角膜切片等作成の施術者には」ということですが、ここで、医師でなくて いいということが明記されている、ということになります。よろしいでしょうか。  10番に、ドナー適応基準の時と同じように、「この指針は適宜(少なくとも年1 回)見直されること」というようなことになればいいだろうということです。そして参 考資料。 ということで、技術指針、これでもかなり細かいところまで踏み込んだ技術 指針でありますし、不明瞭であった部分がそれなりに明確になっていますので、ガイド ラインとして、第1回目のものとしては十分に有用なものになり得るんじゃなかろうか と思っております。各委員、ここまでのお話で、何かコメント等ありましたらお願いし たいと思いますが、横瀬委員、いかがでしょうか。 横瀬委員  十分だと思います。それと、やはり、1年に一遍見直しをするということが付記され ておりますので、それでいかがでしょうか。ただ、趨勢としては、アイバンクの運営と もども、もっとお医者さんの手を離れて、ある程度まで高度の技術を持った者が専任さ れていくというような趨勢には持って行くべきではないかということは感じます。 木下座長  ありがとうございます。八木委員、いかがでしょうか。 八木委員  全く同じです。 丸木委員  私もこれでいいと思います。 眞鍋委員  参考資料はまた別にね。 木下座長  参考資料の内容につきましては、何か先生、もしも、先ほど……。  では、ちょっと先生に見ていただいている間に、金井委員、いかがでしょうか。 金井委員  1年に1回見直したほうがいいと思います。時代とともに変わってきますから。  それから、うちはやったことはないんですけれども、強角膜を上から取るような方法 がありますね。あの場合、眼球のところにフタをするみたいな、プラスチックのができ ていて、その上から義眼が入れられるんですが、乗せられるんですか。外国のを見てま すと、プラスチックのフタをただしめるだけなんですよね。日本みたいに、外見上のこ とを厳しくするような時に、義眼が入ってないとまずいと思うんですよね。 木下座長  強角膜を取って義眼を入れてないところはないんじゃないですか。広島とかですよ ね。 山本補佐  入れないのでしょうか。 木下座長  義眼を入れない。 金井委員  プラスチックのフタがあるんですよね。それをポンと乗せるような格好だけなんです よ。僕は外国で見たことがあるんですけど。ただそれだけなんですよ。 眞鍋委員  しかもそれが白か何かですよね。透明だったらまだいいと思うんですけど。 金井委員  その上から義眼が入れられればいいんです、薄い義眼でも。 眞鍋委員  透明だったら、プローブ、虹彩は残りますからね。 篠崎委員  実は、今使ってるのは、アメリカなんかでもインサイチューと呼んでますが、強角膜 摘出の時には、プラスチックでトゲが出ているものをキャップをかけるだけしかできな いんですね。日本の場合はちょっと向かないと思うので、おそらく、水晶体を取って、 ある程度落として、みたいな処置が加わってくるのかなと。そうすると、逆に、本当に その後の処置が、アメリカのように棺に入れてそのまま誰も触らない葬儀とは違います から、そのへんの配慮というのは非常に重要なのかなという気がします。 金井委員  もし必要であれば、今の義眼の薄いのをつくってもらわないと、大至急。 眞鍋委員  コンタクトレンズみたいなね。 金井委員  そうですね。そうしませんと、内容物が出てきますから。 眞鍋委員  バイオグルーというか、アロンアルファみたいなやつでパッと接着してしまうわけで すから。 木下座長  6のご遺体の処置という中に、義眼を挿入して、ということがガイドラインに書いて ありますから、これは強角膜片摘出を行った場合でも、それなりにちゃんと義眼を入れ てご尊顔をご確認いただく、ということになっておりますので、これは、今回以降は明 確になるかと思います。 佐野委員  先ほど申し上げましたように、今回はできるだけ簡便なほうがいいんじゃないかとい う気がしますね。そして、1年ごとの見直しですから、角膜移植学会で運用基準とか、 そんなものを出しながら変えていったらいいと思います。 篠崎委員  結構です。 眞鍋委員  最後の参考資料のところで、最初に言いましたように、心臓死下でのところでは、 「異存ありません」が、「同意いたします」か「承諾します」とかいうのに変わるとい うことですね。  それから、これは確認ですけれども、9ページのところの、遺族が拒否しているとか 何とかいうところに、角膜強膜あっせん者というのがあって、氏名、住所というのがあ るけど、あっせん者というのは、アイバンクと違うんですかね。アイバンク以外ではあ っせんできないですね。だから、氏名というのはおかしいと思うんですけれども。理事 長の名前か何か書くんですか。アイバンクの名前でいいんじゃないか。だから、あっせ ん者はアイバンク名を書くようにしたらいいんじゃないかと思うんです。法人の場合は 名称とか何とかって書いてあるけれども、法人でないアイバンクもありますから。アイ バンクと書いておいたらいいんじゃないですかね。あっせん者はアイバンクに決まって るんですから、アイバンク名を書いてもらったらいい。  その次の11ページにもあっせん者というのがあります。これも先ほど言ったように あっせん者は個人名で書くことはなくて、アイバンク名を書いたらいいのではないか。  それから、あっせんを行った相手方の住所というのは、これも病院のことですね、相 手方というのは。病院以外のことはちょっとあり得ないという気がします。医療機関と いうふうに書いたほうがいいかと思います。  それから、具体的手段というのは、何を書けということなんですか。僕は、搬送方法 とか何か、そんなものを書くのかなと思ったりするんですが、何ですかね、これは。あ っせんを行った具体的手段というのは、書きようがない。手数料というのも決まってい るような気がしますが。  その次の13ページにも、やっぱりあっせん者というのが出ていますけれども、これ もアイバンクと書いておいていただければいいかと思います。  それから、一番最後のところ、移植を受けた者、というのは、「者」という書き方で はなしに、「患者」か何かにしたほうがいいんじゃないですかね。結局、受けるのは、 角膜の病気がある人以外は受けることはないと思いますので、患者と書いたほうがわか りやすいんじゃないでしょうか。それから、移植した臓器の名称、というのがここにあ るんですけれども、それは角膜に決まってるのであれば、角膜か強膜か、移植した臓器 のところには、角膜左右、強膜左右というのを書いてやって、その次も、最後のところ に、あっせん者はやっぱりアイバンク、ということでいいと思います。以上です。 木下座長  貴重なご意見ありがとうございました。あと、感染症検査で、マストというか、禁忌 のもの、HIV、HTLV−1抗体、HBs抗原、HCV抗体とありますけれども、梅 毒は、一応、保険では、検査・チェックせよと書いてありますから、その他の検査の結 果も書くんであれば、一応書いておく……。 山本補佐  もしくは感染症のところに入れるかですね。 木下座長  入れるか、どっちかにしておいたらいいかと思いますね。  それでは、かなり時間を使いましたが、この議題の1と2のことについては、しっか りとした議論とともに、いい技術指針が大体まとまってきたのではないかと思います。  これからのプロセスのことですが、この12月13日に臓器移植専門委員会が開催さ れますので、様々な、保険改定のことも含めまして、できれば、12月13日の臓器移 植専門委員会に、本作業班の報告として、この技術指針を提出させていただきますと、 運がよければ運がいいことにもなる、と思いますので、あと、修正ですね、大体今のご 意見を承りましたので、この修正を私のほうにお任せいただきまして、そしてそれを提 出させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。 各委員  はい、結構です。 木下座長  では、そういうことにさせていただきます。今回の技術指針をつくるに当たりまして は、篠崎委員の大変なご努力の中で、これがこういう形になりました。感謝の言葉をつ け加えさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。  それでは、3番目のレシピエント登録等の実施について、ということについて、ご討 論願いたいと思います。これは、資料3がありますけれども、何回か本作業班でご審議 いただきました。要するに、アイバンクによる公平な眼球のあっせんを行っていくため の、レシピエントの登録、あるいはルールづくり、眼球の配分法などについては、それ なりにまとめていかないといけない時期になったかと思います。事務局で、今までこの 作業班で審議を行いました内容をまとめてありますので、その資料についてご説明いた だきます。 山本補佐  お手元の資料3でございます。まず1ですけれども、これまでの審議経過ということ で、あまり変わってない資料で、6月ぐらいからこの作業班に何度も出させていただき ましたが、現時点での議論といたしまして、臓器移植法の下では、以前の角腎法とは異 なって、公平かつ適正な眼球のあっせんを行うということが明文上定められておりま す。そういうことが違いが出てきているということと、併せて、一般的に移植医療のシ ステムの透明性の確保が社会的には求められている状況にございます。  ただ、一方、現状を踏まえますと、角膜移植を希望する患者数が、提供される眼球数 をはるかに上回っているという現状でございますので、公平・公正な移植医療を推進す る観点から、例えばレシピエント登録を行い、一定の公平なルールに基づいてレピシエ ントを選択する、もしくは眼球の配分を行っていくということが望ましい、ということ が言われておりますし、一方、移植医療においては、移植を待つ患者をはじめとして、 国民から見ても公平・公正であるというようなシステムを構築する必要がある、という ことについては、この作業班でも概ね合意を得ているところであろうかと思います。  ただし、そのレシピエントの登録及び選択をアイバンクが行うのか、あるいはあっせ ん相手の医療機関までをアイバンクが選定して、その後の個々の患者の選定は医療機関 が行うのかについては、現状の実態とか、実現可能性、それから将来のあるべき姿とい うことについては、いろいろなご意見が出されました。  また、もう1点としまして、歴史的に、一医療機関にのみ眼球をあっせんするために 設立されたアイバンクがございますけれども、角膜移植がこれだけ広がった医療になっ てきた現在においては、地域の中で移植を実施する複数の医療機関に眼球をあっせんし ていくということが求められますし、ここでご指摘にあったところは、当面、最も重要 なこととしては、どこからも眼球をあっせんしてもらえないというような移植医療機関 が我が国にないように体制整備が必要である、というご意見も出されました。これは6 月に出された資料とほとんど変わっておりません。  参考1ですけれども、法に求められたあっせん業の範囲ということで、これも第4回 第5回とお出しした資料と全く同等でございます。法律の、角腎法第8条、それから次 のページですけれども、臓器移植法の第12条を引いてございます。その他、あっせん 業の許可についても同様で、あっせんというのは、臓器の提供者の募集、登録、それか ら移植を希望する者の募集、登録、それから臓器の提供者、提供施設、及び移植施設等 の連絡調整の、全部又は一部を行うこと、というふうに定義していただいております。  次のページですが、アイバンクの現状につきましても、実態調査をすべきだという6 月のご意見で、実は、研究班の報告で、かなりの実態が明らかになっているということ も、前回のこの作業班で提示させていただいたかと存じます。現在、全国51バンクの うち、いくつかのアイバンクは、眼球の提供をいただいて、またそれを提供していく、 というあっせんを行えるんですが、ほとんどアイバンクは、提供のあっせんのみ、つま り献眼登録のみの範囲ということで、その体制しか整備されていない状況でございま す。  下に書いておりますのは、前回、グラフ等でご提示させていただいた結果ですけれど も、職員数についても、必ずしも常勤の職員がいない状況でございますし、書面の承諾 書についても、アイバンク自らやるというよりは、アイバンクの委嘱を受けたというこ とになるかもしれませんけれども、摘出医が得ている場合、もしくは移植医が得ている というようなバンクもございました。  レシピエントの登録をアイバンクとして行っているのが18カ所で、残りは医療機関 が登録を行っている、ということですとか、レシピエントの選択を自ら行っているアイ バンクは大変少数でございました。  ただ、この時、レシピエントの選択基準が明文化されているかというところで、レシ ピエントの選択基準というのは何かというご指摘をいただいたので、(注)のところに 書いてございますが、レシピエントの選択基準というのは、眼球のあっせん業たるアイ バンクが、臓器移植法の基本理念に基づいて、移植を受ける物を公平かつ適正に選択す るための基準のことであって、患者にとって角膜移植が必要かどうかという、いわゆる 医学的な適応基準とは異なる、ということで、一部のバンクではここは誤解があったと いうご指摘があったので、さらに書かせていただきました。  3以降が、前回の議論を踏まえて、ということですが、今後のアイバンクのあり方と して、当面の対応、それからその後ろには、将来的なあり方を書かせていただきまし た。(1)の当面の対応ですが、現在のアイバンクの多くは、眼球の提供のあっせん及 び提供を受けることのあっせんを併せて行う体制が整備されていないが、アイバンクと してレシピエントの公平な選択を担保するために、当面、以下の対策を講ずることが求 められる、ということで、前回ご提言いただきました(1)、(2)、(3)を書いてございま す。  (1)は、眼球の提供者の募集及び登録のみを行っている、献眼登録のみを行っている アイバンクにおいては、あっせんを行った相手方の医療機関においてのレピシエントの 登録状況ですとか、レシピエントの選択基準、選択状況について把握し、その医療機関 の協力を得る必要がございますけれども、求めに応じて、レシピエントの選択基準です とか選択状況を開示できるように、ということを考えてはどうか、ということです。  (2)は、眼球をあっせんしている地域内の関係医療機関、アイバンクを支援してくだ さっている団体の方々、その他、関係者により構成される委員会などによって、レシピ エントの選択に関する連絡・調整及び評価を行うことなどによって、移植医療に対する システムの公平性、透明性の確保に努める、ということを書いてございます。  (3)に、アイバンク間の協力により、当面の間ですが、どのアイバンクからも眼球の あっせんを受けることができない移植医療機関が生じることのないように体制を整備し ていく必要があろうかと思います。  また、これとは違う視点ですけれども、先程来議論がありました、アイバンクにおい て、臓器提供に関する説明書ですとか、家族の承諾書等、必要な書類が多々ございます が、これをきちっと整備し、保管・管理する体制をアイバンクが整える必要がある、と いうことでございます。 (2)将来的なアイバンクのあり方ということで、移植を受ける機会の公平性を担保し 適正かつ透明な移植医療システムを確立する観点から、将来的にはアイバンクが眼球の 提供者の募集、登録を行うのみならず、提供施設や移植施設から中立的な立場にあるア イバンクが、眼球提供に係る家族への説明を行い、承諾書を得、さらにレシピエントの 募集、それから明確な基準に基づく選択についても行っていくことが望ましい。  2番目の○で、アイバンクは、移植を実施している医療機関に設置しその医療機関に 対してのみ眼球をあっせんするのではなく、原則としてその地域の中で移植を行ってい る医療機関全体に対して眼球をあっせんしていく役割を担っていくことが望ましい。  今までの議論を踏まえて、このようにまとめさせていただきました。 木下座長  ありがとうございました。当面のアイバンクの対応の仕方と、将来の対応の仕方とい うことで、明確にまとめていただきました。これは、今までの我々の議論を通じて、と いうことなんですけれども、あと10分ほど時間がありますけれども、アイバンクのあ り方を含めて、レシピエントの登録、透明で公平なものであること。ある種の基準をも ってすれば公平であるということが開示されるようなものでないといけないと、そうい う観点になっておりますけれども、横瀬委員、何かご意見ございますでしょうか。 横瀬委員  この問題については、6月頃に私も提案させていただいたことだと思うんですが、大 変明確に、全国の組織づくりを含めて、こういった形で皆さんが歩調を合わせることが できるということになっていただいたことは、大変結構なことだと思っています。  ただ、相変わらず、格差が非常に大きくて、これを同一視するような形で運営されて いくということが非常に難しい現状からすると、献眼者が出た時の配分の問題も、多少 力関係とか、地域差というものを考えながら、公平にそれが配分される、ということを 考えていかないと、非常に難しいことだと思います。  地域というものを無視すると、非常にコストも高くなるでしょうし、それからもうひ とつは、公平というのは、何が公平かということが基本的な問題になると思うんです。 それぞれの地域にアイバンクがある限りにおいては、なるべくその地域内で処理をした い、というお気持ちが非常に強いんだと思います。それを、ある程度まで、他県にも配 布されるという形で行くことが一番望ましいんですが、ただ、各県で、アイバンクに対 する予算的な制約とか、そういうものもありますので、全部他県へ行ってしまうという 形になると、予算的にも非常に難しいという問題も出てくるでしょうし、これは多面的 に少しずつ改善していかないと、いっぺんにすべてのものが公平にという形にはなかな かなりにくいのではないかなという気がします。少し長い目で見ていただければ、極め て公平な形で、献眼者もたくさん出てくるような状況であれば、それが少し問題になっ てくると思いますけれども、今の段階では、八木さんもいつかおっしゃっておられまし たけれども、なるべくそれが有効に使われる方法というのが、今の時点では極めて公平 だというふうな考え方で、しょうがないのではないかという気がいたします。 木下座長  ありがとうございました。八木委員、いかがですか。 八木委員  資料3の1ページの「レシピエントの登録及び選択はアイバンクが行うのか、あるい はあっせんの相手方の医療機関の選定までをアイバンクが行い……」という、ここのと ころで、様々な意見が出されている、となってますよね。ここがすごくわかりにくいと いうか、様々な意見が出されていて、結局どうしたらいいのか、というか、それによっ てアイバンクの対応も変わってくると思うんですね。 木下座長  これは法律との絡みがありますから、本音と建前がちょっとここに混ざっているとい うことですね。丸木委員、いかがでしょうか。 丸木委員  八木さんがお話になったことももっともだと思うんですけれども、今まとめていただ いたものを読みまして、やっぱり当面と将来と、2つに考えざるを得ない状況であろう と。これはまず皆さん異論はないと思います。そうした場合に、全国的なところでの平 等とか何とかじゃなくて、当面は地域差というのは無視できないだろうと思います。  ただ、この「当面」の中で、レシピエントの登録状況、レピシエントの選択基準、選 択状況について把握し、レシピエントの選択基準、選択状況を開示できるようにする、 というのは、これは非常に重要なことではないかと思います。だから、是非こういうの が、バンクによって実績差があるのは、それはもう言うまでもないことなんですけれど も、できるところから、こういう形の情報開示について、もっと積極的に取り組めるよ うな行政指針なり何なりを期待したいと思います。 木下座長  一般の方、あるいは待機患者さんに、どのようなシステムで公平性を保っているのか ということが開示できるようなことができれば、一応、当面の目標は達成できるという ことですね。 丸木委員  徐々にそういった形でやっていかざるを得ないという状況じゃないかなという感じが します。とりあえずできるところから、という考え方で。 眞鍋委員  今ので尽きると思います。とにかく、各医療機関が、表に出して開示して恥じないよ うな、そういう基準をちゃんと持っており、それをまたアイバンクもつかんでいる、と いうことが大事になってくると思いますので、是非、モデルをつくって、それと同じよ うな基準を各アイバンク及び各医療機関が持つように、お願いしなければしょうがない と思いますね。 木下座長  ありがとうございます。金井委員、いかがでしょうか。 金井委員  今ここに出席しているアイバンクの先生方は、アクティブなところが多いと思うんで すね。現実には、地方の本当にわずかなところのアイバンクというのが結構あるんで す。そういうところの意見も是非、こういう内容で一度聞いていただいて、そういうと ころの意見も吸い上げていかないと、なかなか対応するのは難しいのではないか。  それから、あとひとつ、ここに出ていないんですけれども、いわゆる輸入角膜の問題 全然タッチされてないんですよね。だから、それとの公平性がどうなっているかという のは、これを入れるんだったら、これをちゃんと入れていかないと、輸入角膜だけ別な ところに走ってしまう可能性があるんですよね。だから、それはここにちゃんと入れる べきじゃないかなと思っています。 佐野委員  私は、これまでもいろいろお話申し上げてきましたけれども、レシピエントの代表、 そういう方も混ぜて、少し広範囲に優先順位を討論していけばいいんじゃないかという 気がしております。  横瀬委員のお話にもありましたように、確かに当面は地域性もあると思います。この 間も申し上げましたけれども、静岡がたくさんドナーを抱えていらっしゃる。そうする と、それを公平に、全国どこでも、ということになると、静岡県の行政とか、あるいは ライオンズクラブとか、いろんなところが努力した、努力賞がない、というような感じ になりますので、当面は地域性も考えていく。  私、一番最初に申し上げたかもしれませんけれども、アイバンクは、全国にいろいろ 行政ブロックがありますけれども、ブロックとか、あるいは交通機関とか、県を越えて ある程度の範囲内でまとまっていろいろ議論をされていくのもひとつの方法ではないか というふうに思っております。あくまでも、優先順位というのは、公平で、申し込み順 にやるというのが大原則じゃないかと思うんですね。後はインフォームド・コンセント で、緊急性があれば、その順位の人たちに理由を説明していく。レシピエントの意向を 尊重しなければいけない。そういうふうに考えております。 篠崎委員  将来像というところを含めて、角膜移植は永久に臓器移植と一緒にやっていくのかど うかというあたりも含めまして、そのへんが一番大きな議論になっていくのではない か。臓器移植で角膜移植をやっているのは日本だけだと思いますので。  それに絡みまして、今後、テクニシャンという意味で組織をいじる、医師以外の者が この業界に生まれてきますので、そういった人たちの教育とか、あるいはコーディネー ションする場合でも、例えば臓器でもすべて共通フォーマットで認定していただけるの か。例えば、我々アイバンクのコーディネーターが、医師でもなくて行って、カルテを 見ていいのか。そのへんも詰めていただいて、国で考えていただかないと、問題になっ てからでは遅すぎるのではないかなという気がするので、共通項であるコーディネーシ ョンの部分のコーディネーターと、技術者、テクニシャンとしてのコーディネーターの 部分を明確に分けていって、もう少し具体的にやるべきではないか。  いずれにしても、一番大きな問題は、今アイバンクが這い上がっていけない原因はお 金だと思いますので、4年前の角膜移植学会で発表したんですが、4年前の状態でも、 今角膜1個について、各アイバンクさん、人件費を省いても35万円かかっている。プ ラス検査費用がかかっている現状がありますので、そのへんはちょっと考えていただい て、それを1眼9万円であっせんしているアイバンクが、安全基準なり、こうやって指 針をつくられるということで、かなり苦しいということも、一般の皆様にご理解いただ きながら、世の中の協力を得ながらやっていきたいと思っていますので、よろしくお願 いします。 木下座長  ありがとうございました。篠崎委員の非常に適切なポイントで、指針ができても、そ れをサポートするお金がないと実際には動かないよ、ということですので、是非、この へんのことは当局の方々にもご理解いただきたいと思います。 佐野委員  眞鍋先生、今9万円ですか、それを上げるような運動をしてらっしゃるんですか。 眞鍋委員  もちろん、ずっと。 佐野委員  要望書は出してるんですか、厚生省に。 眞鍋委員  お願いしております。 佐野委員  文書で。 山本補佐  来年度の診療報酬改定に際しては、関係学会のほうから強いご要望をいただいており ますし、バンクのほうからも強い要望はいただいております。 佐野委員  影響率が少ないですよね、すごく。1,500かそのぐらいですよね。それで、35 万とすると3万5千点ですか。それをやったって、医療費に対する影響は少ないですか らね。眼科医会のほうから要望しておきます。本当に影響率少ないですからね。 木下座長  ありがとうございました。一応、このレシピエント登録等の実施について、アイバン クのあり方についての案となっておりますけれども、作業班として検討をしてきた現在 までのまとめは、こういうようなことでよろしいでしょうか。 山本補佐  ちょっとこちらで気がつきましたのが、まずタイトルが、レシピエントの登録という 非常に狭いタイトルになっておりますので、公平なあっせんについて等の方が適切かと も思います。  それと、八木委員にご指摘いただきました、1ページ目の4つ目の○は、前回までの 議論、将来方向が出ない時に、いろんな議論があるということになっていて、今のとこ ろ、ここの中では、将来のあるべき姿というのはそれほど異論がなくて、ただ現状を十 分踏まえて、ステップバイステップだということなので、確かに「様々な意見が出され ている」というだけの記載は、ちょっと議論を踏まえておりませんので、少し整理させ ていただきたいと思います。  今後のアイバンクのあり方につきましては、再三にわたり、すべての委員から、個々 のアイバンクのアクティビティを尊重して、全国一律一括してしまうのではなくて、そ れぞれ地域地域で実情に応じてルールを決め、全体的な足並みが揃っていけばいい、と いうご指摘をいただいておりますので、それぞれのアイバンクにおいてそれぞれの対策 をとれるように、ということがもう少しはっきり出るように、地域の実情を踏まえた形 での書きぶりにさせていただきたいと思います。 木下座長  ありがとうございました。実際、ここまでがとりまとめということなんですけれども このまとめを踏まえまして、今後、どういうふうな考えで進めていくということになり ますでしょうか。 山本補佐  当室のほうでこれを受け取りまして、これを踏まえて、各アイバンクに、例えばこう いう考え方をお示しして、それぞれのバンクの対応状況ですとか、十分な時間を置いて 将来の計画なり対応計画なりを出していただくなど、各アイバンクの対応については十 分フォローしていきたいと思っております。 木下座長  ありがとうございました。  それでは、大体定刻になりましたが、何か他にありますでしょうか。 佐野委員  あと何回ぐらいやる予定ですか。 山本補佐  最大のテーマの輸入角膜問題が次回に控えておりまして、これは一定程度の見解を示 さないと、相当量の角膜が輸入されている状況でございますので、実は、我々もまだ腰 が座ってないんですが、この議論を次回以降させていただきます。日程調整は、併せて このあと、また先生方にお願いしたいと存じます。 佐野委員  ちょっと提案なんですが、今、我々同じ立場に立って議論してるんですけれども、私 もちょっと呼称で考えちゃうことがあるんですけれども、皆さん、委員で統一されたら いいんじゃないですかね、先生とかいうのはやめてね。そのほうがすっきりするような 気がしますね。木下座長、呼ぶたびに相当苦労されてお考えになって「眞鍋委員」と言 ったり「眞鍋先生」と言ったり……。 木下座長  眞鍋先生は私の師匠ですから。 佐野委員  ですから、統一して。八木先生も先生かもしれないし、地域から言えば。ひとつ、そ ういうふうにされたらいかがでしょうか。 木下座長  以後、そういうふうにさせていただきます。  では、本当に夜遅くまでありがとうございました。                                     (了) 問い合わせ先  厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当  山本(内2361)、木村(内2364)    電 話 (代)03−3503−1711