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第1回「国家試験の業務等に関する検討会」議事要旨


1 日 時 平成11年12月17日(金) 10:00〜12:00

2 場 所 厚生省共用13会議室(別館7階)

3 出席者
(委 員) 藍、井部、上田、内山、川並、行天、小泉、高橋、長南、中島、長谷川、福井、細田、松嶋、宮下、柳澤
(厚生省) 伊藤健康政策局長、松谷医事課長、黒川試験免許室長、瀧口歯 科保健課長、田村看護課長、中島看護職員確保対策官、中原保健医療局生活習慣病対策室栄養指導官、高山医薬安全局企画課長

4 議 題
 (1)国家試験・免許登録業務の実施主体の在り方について
 (2)その他

5 議事の概要
 冒頭、細田委員が座長に選任された。
 公開について、本検討会は非公開、議事要旨公開、資料については、検討会で非公開とされたもの以外は公開とする。
 添付資料について、事務局から説明が行われ、続いてフリートーキングが行われた。
 以下はその概要。

・行政改革と医師国家試験改善検討委員会の提言を踏まえ、現在、国が直接行っている12職種の国家試験事務と16職種の免許登録事務の充実及び効率化を図る観点から、今後の実施体制の在り方を検討していただきたい。
○国が資格を与え、社会に公にすることによって、国として社会に医療関係者の資質・水準を保証しているということが一番大事である。
○国家試験の在り方は国民の信頼性と結び付いている。国家試験の実施主体を変えることにより、その分野の社会的評価が変わる。そういう問題も考えなければならない。
○ある意味で国がお墨付きを与えたものに対する国民の信頼が社会を動かしている。
 日本の医療構造では、法制度により医師が医療及び保健指導を行い、その他の医療職種については診療の補助とか医師の指示の下に業務を行うこととなっているので、少なくとも医師のライセンスに関しては国が絶対的な責任を持つべきである。
○国がライセンスの最終的責任を持つことは当然であり、社会ニーズもそこにある。
 アメリカの例からみても、試験事務は専門性が高く、卒前教育から卒後教育まで一連のものとして取扱いができる国以外のところで行い、合格者の決定と登録は国が責任を持つべきである。
○国家試験の基本は国が保証したうえで、日常の試験業務は専門のところで行う方が良い。ただし、各職種の職能団体で自分たちの都合でやるのは非常に困る。
○医療関係者のレベルをどうすれば上げられるか、社会に対して何を担保したら良いのかという視点からも、どのような機構が良いかを議論すべきである。
○いままでの国家試験では、学識は評価できるが、医療人しての人間性・適性がなかなか評価できない。これは教育の恒久的な課題であるが、少しでも改善がみられる方向で議論すべきである。
○医師国家試験改善検討委員会では、国家試験をどういう形で行えば知識以外の評価ができるかを大学側へも提言している。国家試験の委員も文部省の委員会の委員も医学教育学会の人もこうなったら良いというが、どうしてもそれを全部一致してやろうというところまでならない。
○アメリカではナショナル・ボード・メディカル・エグザミナーという大学、医師会等いろいろな団体が集まった第三者機関がある。専任の職員は300人前後であるが、サイコメトリシャンとか統計学者などもおり、試験問題の作成と評価の仕方についての専門知識が深く、本当にプロフェッショナルがやっているという印象を非常に強く受けた。
○今回の医師国家試験改善検討委員会でも、アメリカの状況を参考にして試験内容、方法の変更を提案した部分がかなりある。我が国自体の独自性も十分発揮できるような専門性を持ったグループができないと、試験でさえ、何時まで経っても欧米の真似をしながらやっていく状況が続く。
○我が国では、試験問題の質の向上、特に評価の仕方について非常に手薄である。その方面の専門家が養成され、働ける場所が必要である。
○非常に多数の人間と専門家を集めて、相当の予算を持った組織でなければ試験問題の質の向上とか社会のニーズに応えるということは出来ない。民間に委託した場合、その予算をどこから得るのか。受益者負担ということで試験料や登録料を上げる位ではとても追いつかない大きな問題である。それこそ国がやらなければいけない。
・国が直接やるものを国に代わって、直接試験の業務なり登録をやってもらう方向へいくというのは、国全体の方向として検討しなければならないが、いま医療制度の抜本改革の中で、特に医療関係職種の資質の向上が1つの大きなテーマになっている。本検討会においては、医療人としての適性を判断する試験ができるような指定機関を職種ごとに設けるのかもう少し包括的にした方が良いのか。今かなり問題となっている試験問題なり、試験そのものの評価なり、研究もできるような指定機関を考えるべきではないかという観点も含め、資質の向上という原点に立って、今後、どういう指定機関の在り方がよいかを検討していただきたい。
○国家試験のレベルアップを考えると、現在の厚生省でのやり方では限界がある。やはり、第三者機関的な国家的な規模のものであれば、社会的な保証というか、安心というものが得られる。
○直接国民の医療に関係のあることは、行政改革とか効率とかの次元ではなく別の次元で考えなければならない。医者もレベルが下がった、最後の枠組みの国家試験も外されたということでは国民は不安に思う。
○業務委託先として、1つの権威を持ちながら、国の責任のある資格者の基準をきちんと保証できるものということであれば、大学入試センターのような機能を持つほどの組織・規模を考えて良いのではないか。
○厚生省との関係の中で何々協会に国家試験を行わせるということはあまり妥当ではない。国家資格として維持すべき水準を担保しながら、民間委託を考えないと社会的権威も何もなくなる。このへんはよほど配慮する必要がある。
○指定機関で国家試験を代行してやったら国が直接やるよりも質が落ちるということには必ずしもならない。ただし、イメージとしてどのように国民が受けとるかという問題はある。
○厚生省がライセンスを与えたというイメージは、医療にとっては決定的なものである。皆保険を維持するためにも、医療の中核である医師とその周辺を固めている職種は絶対に国が守らなければならない。
○試験機関は細かいジャンル別ではなく、全職種を1つにした試験機関とし、あらゆる角度の研究部門を核にして、それなりにプロジェクトを設けていけば非常に理想的になる。小さく分類して、医師は医師の試験機関、歯科医師は歯科医師の試験機関となってしまうと、いわゆる『専門ばか的』になってしまう。人間としての共通の基盤の上に立ったそれぞれの専門職種として、民間機関ではあるけれど、独立行政法人みたいな形での研究機関をつくるのが望ましい。
○医師国家試験改善検討委員会の報告書の「将来的な改革の方向」という所で示されていることは現体制での国家試験問題の作成には困難がある。質の向上、今後の医療というものを考えた上で、それを国がどう保証するかということに基づいた試験制度の業務等をこれからどのようにしていくかという観点が一番大事である。
○大学入試センター試験というのは相当国家的な事業だと思うが、同じような組織ができて、国家的な事業として国が保証した形で、医療関係の国家試験が行われることが可能になるような方向へ進むべきである。
○電子カルテ化が急速に進んでいるので、それをベースにした試験の在り方についても考えなければいけない。欧米ではもう現実のものになっている。そういうものを実態に即して試験をすることになるので、現在のような出題方法ではどうにもならない。

問い合わせ先 厚生省健康政策局医事課試験免許室
担 当 岡田(内2572)
電 話 (代)[現在ご利用いただけません]


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