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平成10年度前期
予防接種後健康状況調査集計報告
(平成10年4月1日〜平成10年9月30日)
予防接種後副反応・健康状況調査検討会
厚生省保健医療局結核感染症課



照会先
厚生省保健医療局結核感染症課予防接種係
TEL 03(3595)2263
FAX 03(3581)6251

 

I.総 論

 予防接種の副反応調査は二つの方法で実施されている。則ち、「予防接種後・健康状況調査」と「予防接種後・副反応調査」である。本報告は前者で、定期接種のワクチン個々について、あらかじめ各県単位で報告医を決めておき、それぞれのワクチンについて接種後の健康状況を前方視的に調査したものである。ちなみに後者は、予防接種後の異常な副反応を後方視的に報告していただいたものをまとめたものである。

 今回は、平成10年度分前期(平成10年4月〜平成10年9月)をまとめたものである。

1.本調査の目的は国民が予防接種を正しく理解出来るよう、接種前に個々のワクチンの接種予定数を報告医毎に決め、接種後一定期間それぞれのワクチン接種後の健康状況調査を実施し、その結果を報告し有効かつ安全な予防接種の実施に資することである。

2.調査対象としたワクチンは、予防接種法で定期接種として実施されたジフテリア、百日せき、破傷風三種混合ワクチン(DPT)、ジフテリア、破傷風二種混合ワクチン(DT)、麻しん、風しん、日本脳炎、ポリオと結核予防法で実施されているBCGである。

3.健康状況調査の実施期間及び対象者数は、DPT(DT)、麻しん、風しん、日本脳炎については、各四半期毎に都道府県、指定都市当たりそれぞれ40名を対象とし、接種後28日間を観察期間とした。

 ポリオについては、半年毎に第1期(4〜9月)、第2期(4〜9月)各100名を対象として35日間観察、BCGは接種数が年間一定でないことから第1期(4〜9月)は300名(内乳幼児100名、小学1・2年生100名、中学1・2年生100名)、第2期(10〜3月)は乳幼児のみ100名を対象とし、観察期間は4カ月間とした。

4.報告定点の医師は、各予防接種の接種当日に保護者に対して、事業の趣旨を十分説明の上健康状況調査に協力する旨の同意を得た後、台帳に登録するとともに保護者に健康状況調査表(ハガキ)を渡し、記入要領を説明し返送されたものを、カルテと照合しまとめたものである。

5.本調査は健康状況調査のため、何もなくても返送を依頼し、かつ通常の副反応(発熱、発赤、発疹、腫脹)や、稀におこる副反応(アナフィラキシー、脳炎、脳症等)に加えて、これまで予防接種の副反応として考えられていない接種後の症状についても報告できるように設定した。

6.登録者全数からの回答が必要のため、返送についての意味を本人又は保護者へよく説明し、同意を取っていただくよう先生方にもお願いした。

7.調査医師から回収された調査表は、厚生省結核感染症課で集計し、予防接種後副反応・健康状況調査検討会において、医学的、疫学的見地から解析・評価を行った。

8.まとめた予防接種後の健康状況の調査結果は、都道府県・指定都市、 日本医師会、地域医師会及び報告医に還元するとともに、広く国民に公表する。

9.各ワクチンによって少し内容は変わるが、接種例数、年齢、発熱、局所反応、けいれん、じんましん、嘔吐、下痢、せき鼻水、リンパ節腫脹、関節痛等について集計した。

10.同一種類のワクチンでも製造に用いたウイルス株、含有成分比、添加剤等が異なるため、副反応にも当然差異が生じることはあり得る。従って、各ワクチンの製造会社別に接種後の健康状況をまとめる必要がある。現在はまだ製造会社間に接種ワクチン総数の差があるため、個々にまとめず全体のまとめを報告する。今後接種母数が増えて来た時点で比較検討を正しくしてゆく必要がある。


II.各論

DPT・DT 


1.DPT1期初回1回目

 対象者は895人で、この内868人(96.9%)が生後3ヵ月から3歳未満であった。何らかの症状を呈したのは346人、542件であった。男女間に差は認められなかった。症状とその発現日、年齢の関係をみると次のとおりであった。

 37.5℃以上、38. 5℃未満の発熱は合計54人(6.0%)であるが、接種後7日目までの小計は27人(3.0%)である。7日目までをみると、接種後2日目の7人(0.7%)が最大である。3歳までをみると3〜11ヵ月に多く見られる。38.5℃以上の発熱は合計80人(8.9%)であるが、接種後7日目までの小計では28人(3.1%)である。接種後2日目が7人(0.7%)で最大であった。年齢には有意の差は認められない。

 局所反応は合計151人(16.8%)であるが、接種後7日目までの小計では112人(12.5%)である。接種後1日目の29人(3.2%)が最大である。また、7日目には21人(2.3%)、8日目には23人(2.5%)に局所反応が認められ、2つのピークがみられた。年齢に有意の差は認められない。

 けいれんは、9日目に1人みられたが、1歳以下で37.5℃以上の発熱を伴なっていた。

 嘔吐は合計31人(3.4%)であるが、接種後7日目までの小計では20人(2.2%)である。

 下痢は合計70人(7.8%)であるが、接種後7日目までの小計では29人(3.2%)である。接種後1日目の9人(1.0%)が最大である。

 せき、鼻水は合計155人(17.3%)であるが、接種後7日目までの小計では74人(8.2%)である。接種後1日目及び2日目の11人(1.2%)が最大であった。



2.DPT1期初回2回目

 対象者は727人で、この内704人(96.8%)が生後3ヵ月から4歳未満であった。何らかの症状を呈したのは374人、537件である。男女間に差は認められなかった。症状とその発現日、年齢の関係をみると次のとおりであった。

 37.5℃以上38.5℃未満の発熱は合計41人(5.6%)であるが、接種後7日目までの小計は26人(3.5%)である。接種後1日目の12人(1.6%)が最大である。38.5℃以上の発熱は合計62人(8.5%)であるが、接種後7日目までの小計は25人(3.4%)である。年齢別に有意の差は認められない。

 局所反応は合計260人(35.7%)であるが、接種後7日目までの小計は252人(34.6%)である。接種後1日目の159人(21.8%)が最大である。年齢別に有意の差は認められない。

 けいれんはみられなかった。

 嘔吐は合計21人(2.8%)であるが、接種後7日目までの小計では12人(1. 6%)である。接種後4日目の4人(0.5%)が最大である。

 下痢は合計45人(6.1%)であるが、接種後7日目までの小計では26人(3.5%)である。発生日に一定の傾向は認められない。

 せき、鼻水は合計108人(14.8%)であるが、接種後7日目までの小計では54人(7.4%)である。発生日、症状発現日に一定の傾向は認められない。


3.DPT1期初回3回目

 対象者は643人で、この内625人(97.2%)が生後3ヵ月から4歳未満であった。何らかの症状を呈したのは284人、426件であった。男女間に差は認められない。症状とその発現日、年齢の関係をみると次のとおりであった。

 37.5℃以上38.5℃未満の発熱は合計43人(6.6%)であるが、接種後7日目までの小計は22人(3.4%)である。接種後1日目の9人(1.3%)が最大である。38.5℃以上の発熱は合計56人(8.7%)であるが、接種後7日目までの小計は20人(3.1%)である。接種後2日目の4人(0.6%)が最大である。1歳以下に頻度が高い。

 局所反応は合計162人(25.1%)であるが、接種後7日目までの小計は162人(25.1%)である。接種後1日目の99人(15.3%)が最大である。

 けいれんは接種後26日目に1人みられ、1歳で37.5℃以上の発熱を伴なっている。

 嘔吐は合計20人(3.1%)であるが接種後7日目までの小計では9人(1.3%)である。発生日に有意の差はない。1歳以下に頻度が高くみられる。

 下痢は合計35人(5.4%)であるが、接種後7日目までの小計では17人(2.6%)である。発生日に一定の傾向は認められない。

 せき、鼻水は合計109人(16.9%)であるが、接種後7日目までの小計では44人(6.8%)である。発生日に一定の傾向は認められない。


4.DPT1期追加

 対象者は807人で、この内763人(94.5%)が1歳から4歳であった。何らかの症状を呈したのは489人、709件であった。男女間に有意の差は認められない。症状とその発現日、年齢の関係をみると次のとおりであった。

 37.5℃以上38. 5℃未満の発熱は合計50人(6.1%)であるが、接種後7日目までの小計は35人(4.3%)である。接種後1日目に17人(2.1%)と最大数がみられた。38.5℃以上の発熱は合計64人(7.9%)であるが、接種後7日目までの小計は35人(4.3%)である。発現日は接種後1日目の8人(0.9%)が最大である。

 局所反応は合計379人(46.9%)であるが、接種後7日目までの小計では376人(46.5%)である。接種後1日目の249人(30.8%)が最大である。年齢が増す毎に発症頻度が高まる傾向がみられる。

 けいれんは接種後15日目、22日目に1例ずつみられ、いずれも1歳で発熱は37.5℃以上であった。

 嘔吐は合計16人(1.9%)であるが、接種後7日目までの小計では9人(1.1%)である。発生日に一定の傾向はない。

 下痢は合計49人(6.0%)であるが、接種後7日目までの小計では33人(4.0%)である。接種後2日目の9人(1.1%)が最大である。

 せき、鼻水は合計149人(18.4%)であるが、接種後7日目までの小計では88人(10.9%)である。接種後1日目の19人(2.3%)が最大である。発症年齢には一定の傾向は認められない。


5.DT初回接種、追加接種は対象者が少ないので省略する。


6.DT2期

 対象者は1,096人であった。何らかの症状を呈したのは281人、315件であった。症状と発現の関係をみると次のとおりであった。

 37.5℃以上38.5℃未満の発熱は、合計11人(1.0%)であるが、接種後7日目までの小計は4人(0.3%)である。接種後2日目の2人(0.1%)が最大である。38.5℃以上の発熱は合計6人(0.5%)であるが、接種後7日目までの小計は3人(0.2%)であった。

 局所反応は合計247人(22.5%)であるが、接種後7日目までの小計は247人(22.5%)である。接種後1日目の139人(12.6%)が最大である。11歳と12歳に有意の差は認められない。

 嘔吐は合計6人(0.5%)であるが、接種後7日目までの小計は2人(0.1%)である。11歳と12歳での差は認められない。

 下痢は合計11人(1.0%)であるが、接種後7日目までの小計は9人(0.8%)である。接種後3日目の3人(0.2%)が最大である。

 せき、鼻水は合計34人(3.1%)であるが、接種後7日目までの小計は22人(2.0%)である。接種後1日目の6人(0.5%)が最大である。発症年齢に有意の差は認められない。



麻しん

 対象者は、1歳2,261人(男1,195人、女1,062人、不明4人)2歳 265人(男147人、女118人)3〜7歳半140人(男77人、女63人)の計2,666人であった。

 観察期間中(0日〜28日)に初発した発熱は、621人(23.2%)にみられ、そのうち最高体温が38.5℃以上であった者は、352人(13.2%)であった。そのうちで、接種後6日までの発熱者は202人(7.5%)(38.5℃以上は116人(4.3%))であった。接種後7〜13日の発熱者は305人(11.4%)(38.5℃以上159人(5.9%))であった。0〜13日に初発した発熱を合わせると507人(19.0%)(38.5℃以上は275人(10.3%))であり、発熱のほとんどは0〜13日に初 発した。

 観察期間中に発疹が出現した者は263人(9.8%)であった。そのうち6日以内に出現した者は、84人(3.1%)、従来から麻疹ウイルス増殖に伴う発疹の出現する時期といわれている7〜13日に出現した者は、138人(5.1%)であった。

 局所反応は108人(4.0%)に認められた。そのうち、64人(2.4%)は3日以内の局所反応であった。

 けいれんが出た者は13人(0.4%)で、発症日は0〜6日が4人、7〜13日が4人、14〜20日が3人、21〜28日が2人 であった。2日目の1人及び14日目の1人以外はすべて熱性けいれんであった。いずれもワクチン接種との因果関係は不明である。

 じんましんは、91人(3.4%)に認められ、発症日が0日から18日までが85人と全体の93%を占めた。ワクチンに対する即時型アレルギー反応と考えられる1日以内のじんましんを認めたものは16人(0.6%)であった。



風しん

 報告された総対象者数は2,785人(男1,345人、女1,432人、不明8人)で、内訳は6〜11カ月7人(男4人、女2人、不明1人)、1歳1,305人(男617人、女682人、不明6人)、2歳622人(男312人、女310人)、3歳235人(男113人、女122人)で3歳以下の対象者は2,169人(77,9%)であった。4〜7歳は419人(15.0%)、12〜15歳197人(7%)であった。何らかの異常を示した人は464人、537件で対象者の16.7%であった。男女差は認めなかった。表に見る如く、健康異常発生者数は1〜6歳は13.1〜19.2%、7歳は10.4%、12〜15歳は6.0%であった。

 発熱は310人(11.1%)にみられ、そのうち38.5℃以上は195人(7.0%)であった。接種後6日までの発熱者数は106人(34.2%)にみられ、38.5℃以上は61人(31.3%)、7〜13日までは83人(26.8%)、38.5℃以上は49人(25.1%)、14〜28日は121人(39.0%)、38.5℃以上は85人(43.6%)であった。発熱者の61%は13日以内のものであった。

 局所反応は54人(1.9%)にみられ、接種当日5人(9.3%)、1日目15人(27.8%)、2日目16人(29.6%)で0〜3日で36人(66.7%)に出現した。

 けいれんは2人で2日目(無熱)13日目(有熱)であった。

 じんましんは40人(1.4%)にみられ3日以内14人(35%)であった。

 以上において表より発生割合をみると発熱・局所反応・けいれん・じんましん・発疹等は3歳以下に多く認められた。

 発疹は79人(2.8%)に認められ、そのうち接種当日はなし、1日目9人(11.4%)、2日目6人(7.6%)、0〜6日37人(46.8%)、7〜13日20人(25.3%)、14〜28日22人(27.8%)であった。

 リンパ節腫脹は37人(1.3%)に認められ、0〜6日12人(32.4%)、7〜13日17人(45.9%)、14〜28日8人(21.6%)であった。

 関節痛については15人(0.5%)が報告された。年齢は1〜15歳にわたっていた。



日本脳炎


1.日本脳炎1期初回1回目

 対象者は1,159人で、年齢的には0歳〜7歳に接種された乳幼児である。発熱、局所反応、けいれん、じんましん、その他の発疹など何らかの健康異常を来した者(発生件数)は合計299人(339件)で対象者の25.7%を占め、男女に占める割合は25.8%:25.7%で男女ほぼ同数であった。

 接種年齢をみると、3歳が特に多く、3〜5歳で全体の92%を占めた。

 接種年齢別の健康異常発生者の割合をみると、健康異常は2歳以降各年齢にみられ、発生者数は対象者の11.7〜28.9%、平均25.7%であった。

 発現症状をみると、何れの年齢も37.5℃接種局所反応が最も多く、8.6〜19.5%、平均17.5%であった。37. 5℃以上の発熱は5.8〜13.0%、平均9.2%(38.5℃以上は6.0%)にみられ、2歳、3歳を除けば年齢差はなく、じんましんは3歳5人(0.6%)、5歳2人(1.7%)4、6歳それぞれ1人の合計9人みられた。その他の発疹は3歳で13人、4歳で4人、5歳で2人みられ、けいれんは3歳で1人37.5℃の発熱とともにみられた。

 症状の発現日を観察期間28日でみると、局所反応は接種後3日以内に多く、接種翌日にピークがあり、7〜8日後に6〜12人と第2のピークがあり以後は観察期間26日まで1〜3人程度の報告があった。発熱は28日の観察期間を通じて幅広く報告され、3日以内がやや頻度が高い傾向にあった。じんましんやその他の発疹については頻度が低いが観察期間を通じてときどき報告され、特定の傾向はみられなかった。


2.日本脳炎1期初回2回目

 対象者は0〜7歳782人で3歳が最も多く、接種後28日の観察期間中発熱、局所反応、けいれん、じんましん、その他の発疹など何らかの健康異常を来した者は210人(231件)で対象者の26.8%を占めた。男女別では29.1%:24.5%とわずかに男性に多かった。

 接種年齢別の健康異常発生者の割合をみると、11.1〜28.6%、平均26.8%で3〜5歳でやや多い傾向がみられた。

 発現症状をみると、何れの年齢も接種局所反応が11.1〜18.9%、平均18.0%で、7歳でやや少なかった。ついで37.5℃以上の発熱は5.5〜10.7%、平均9.5%(38.5℃以上は6.5%)であったが、その割合は局所反応と同様の傾向を示した。じんましんは3歳に2人、4、5歳にそれぞれ1人、合計4人みられ、その他の発疹は3歳に5人、4、5歳にそれぞれ2人、6、7歳にそれぞれ1人合計11人が報告されたが、けいれんはなかった。

 症状の発現日を観察期間28日でみると局所反応は接種後3日以内に生じ、1日目にピークがあり7日以降は見られなかった。発熱は全観察期間にわたってみられ、接種後一定の傾向はなかった。じんましんは接種後2日、14日、17日目にみられ、その他の発疹は観察期間10日以内に少数ながらみられた。


3.日本脳炎1期追加

 対象者は0〜7歳639人で4歳が最も多い。接種後28日の観察期間中、発熱、局所反応、けいれん、じんましん、その他の発疹など何らかの健康異常を来した者は159人(174件)で対象者の24.8%を占め、男女の占める割合は22.9%:26.7%と女児がやや多かった。

 接種年齢別の健康異常発生者の割合をみると、12.9〜40.0%、平均24.8%であった。

 発現症状では、何れの年齢も接種部位の局所反応が目立って多く、9.6%〜25.0%、、平均17.0%にみられた。ついで37.5℃以上の発熱は3.2〜15.0%、平均8.6%(38.5℃以上は4.5%)にみられ、3、4歳にやや多くみられた。じんましんは3、5歳にそれぞれ2人、4,6歳に1人ずつみられた。その他の発疹は5歳2人、4、6歳にそれぞれ1人ずつ合計4人みられたが、けいれんの報告はなかった。

 症状の発現日を観察期間28日でみると局所反応は接種後3日以内に集中し、1日目がピークであった。発熱は接種後2日目までがやや多いが、全観察期間にわたってみられた。じんましん、その他の発疹は散発的にみられ一定の傾向はなかった。


4.日本脳炎2期、3期

 2期、3期の結果は同じ傾向を示すのでまとめて報告する。


 対象者は2期は9〜12歳284人、3期は14〜15歳70人であった。接種後28日の観察期間中発熱、局所反応、けいれん、じんましん、その他の発疹など何らかの健康異常を来した者はそれぞれ、65人(74件)、4人(4件)であった。

 健康異常発生者の割合をみると、それぞれ22.8%、5.7%であった。男女別ではそれぞれ23.2%:22.4%、5.5%:5.8%であった。

 発現症状では、何れも接種局所反応が多く、20.0%、5.7%あった。その他2期では発熱12人、じんましん3人、その他の発疹2人が報告されたが、3期では局所反応のみ4人報告された。

 症状の発現日を観察期間28日でみると局所反応は接種後3日以内に限局して生じ、2期では接種当日3人、1日目41人、2日目10人、3日目に3人みられ、3期では1日目4人のみみられた。発熱は2期では7日以内にやや多くみられたが3期目では報告がなかった。2期ではじんましん、その他の発疹がそれぞれ3人、2人報告されたが、3期では報告がなかった。


ポリオ

1.ポリオ1回目

 接種対象児数は1,877人(男957、女920人)で内訳は3〜5カ月578人(男281人、女297人)、6〜8カ月777人(男413人、女364人)、9〜11カ月336人(男161人、女175人)、1歳159人(男88人、女71人)、2歳以上27人(男14人、女13人)であった。

 何らかの健康異常を示した人は404人(21.5%)551件で、年齢別では3〜5カ月106人(18.3%)、6〜8カ月161人(20.7%)、9〜11カ月91人(27.0%)、1歳42人(26.4%)で、接種数の比較的多い1歳以下では9〜11カ月人が最多であった。

 発熱は253人(13.4%)で、年齢別発熱者数は、9〜11か月59人(17.5%)、1歳31人(19.4%)、2歳2人(12.5%)であった。接種後の日数別発熱率は1〜3日が高く、1.0〜1.3%であった。38.5℃以上の発熱は144人(7.7%)で、接種1日目、2日目が0.7%で最高であった。

 けいれんは1歳に1例認められ37.5℃以上の発熱をともなった。

 嘔吐は76人(4.0%)にみられ、接種当日は最高で0.4%であった。

 下痢は221人(11.7%)に認められ、1歳が25人(15.7%)で最高値であった。下痢は、全観察期間を通じて認められているが0〜3日目は0.8〜1.8%で他の時期に比して高値であった。


2.ポリオ2回目

 接種対象者数は1,662人(男868人、女793人、不明1人)で、内訳は3〜5カ月18人(男12人、女6人)、6〜8カ月117人(男57人、女60人)、9〜11カ月420人(男207人、女213人)、1歳970人(男512人、女457人、不明1人)、2歳96人(男56人、女40人)、3歳以上41人(男24人、女17人)であった。

 何らかの異常を認めた人は418人(25.2%)で、年齢別発生割合は3〜5カ月3人(16.6%)6〜8カ月28人(23.9%)9〜11カ月114人(27.1%)、1歳251人(25.8%)であった。

 発熱は312人(18,7%)にみられ、日数別では2〜3日に多く1.1〜1.3%であった。38.5℃以上の発熱は199人(11.9%)で、接種2日目が22人(1.3%)で最高であった。年齢別では9〜11カ月55人(13.0%)が最高値であった。

 けいれんは4人(0.2%)に認められすべて有熱時であった。

 嘔吐は66人(3.9%)で投与1〜7日にわたって0.1〜0.3%の頻度で見られた。

 下痢は216人(12.0%)で6カ月〜1歳代にわたって見られた。下痢の出現日は7日以内に多く、投与1日目は1.3%で最高であった。1〜2日に多く認められた。



BCG

 総数8,385人について接種後観察が行われた。接種対象別に見ると、0〜3歳2,574人(30.6%)、小学1年生2,645人(31.5%)、中学1年生2,496人(29.7%)、小学2年生336人(4.0%)、中学2年生334人(3.9%)であった。0〜3歳の中では0歳が87.3%を占め、次いで1歳、2歳の順に多かった。

 これらの中の197人、2.2%に何らかの異常が見られた(延べ件数は201件、被接種者対2.3%)。健康異常発生者の割合は接種対象年齢別にみると小学校2年生(3.2%)、小学校1年生(2.9%)、が多く、中学校1年生は1.9%、0〜3歳は2.0%と少なかった。性別にみると男女ともに2.3%で性差はなかった。対象年齢別に見ても0〜3歳で男1.9%、女2.0%、小学校1年生でそれぞれ2.9%、3.0%、また中学校1年生で2.0%、1.7%と明らかな性差はみられなかった。

 異常の種別にみると、「局所の湿潤」が144人(被接種者の1.7%)、「リンパ節腫脹」が56人(0.6%)であった。

 局所の湿潤の頻度は接種対象年齢別にみると小学校2年生で3.2%、小学校1年生で2.3%、中学校2年生で2.0%と比較的高く、0〜3歳で1.3%、中学校1年生で1.2%と少ない。その発生の時期は接種後0日〜5ヵ月にわたるが、接種後1ヵ月以内に18.0%、3ヵ月以内に70.8%が発生し、残り29.1%は3ヵ月以後に発生していた。

 リンパ節腫脹の発生率はは対象年齢別にみると、0〜3歳、小学校1年生、中学校1年生でいずれも0.7%であった。小学校2年生、中学校2年生は観察数が小さいが、それぞれ0.2%、ゼロであった。その発生の時期は接種後2日から6ヵ月以上にわたるが、55.3%が1ヵ月以内に、82.1%が3ヵ月以内に発生し、残りの17.9%は3ヵ月以後に発生していた。

 接種局所の針痕に関する観察は7,643人(被接種者総数の91.1%)について行われた。全体では15〜18個(記載上19個以上とされている者を含む)の者が多く(38.5%)、4個以下の者は13.6%と少なかった。平均個数を対象年齢別に見ると、0〜3歳で12.0個、小学校1、2年生で9.7個、中学校1、2年生で8.8個となっている。何らかの健康異常の有無別にみると、全対象では「異常あり」で13.8個、「異常なし」で10.4個であり、「異常あり」の方が多かった。これは年齢別にみても0〜3歳で14.8個対12.0個、小学生で12.9個対9.5個、中学生で13.6個対8.8個と同様の差がみられた。

 対処法をみると、医師に受診した者が131人(被接種者総数の1.6%、異常発生者総数の66.5%)で、うち入院した者は10人(それぞれ0.1%、5.1%)であった。

症状別グラフ


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