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医療保険福祉審議会 第23回運営部会議事要旨


1.日時及び場所

平成11年12月13日(月)13:30〜15:30
特別第一会議室

2.出席した委員等

塩野谷、見坊、下村、中西、村上、青柳、喜多、山崎、柳、水野、堀江、野中、成瀬、蒲生の各委員

3.議題

(1) 検討案について
(2) その他

4.審議の概要

1)はじめに事務局より、議題「検討案について」に関する資料の説明があり、その後、発言及び質疑応答が行われたが、その概要は以下の通りである。

(塩野谷部会長)

○ 本日は検討案に数値的推計を課されたものが、提出された。これをもとに厚生省は平成12年度の予算編成に向け必要な法改正を行うことになっている。本日は出来るだけ多くの人から多くの意見を聞きたいので、簡潔に意見を述べていただきたい。

(成瀬委員)

○ 検討案の項目1つ1つの中味について、賛成反対それぞれあるとは思うが、自民党の「基本的な考え方」との関係により、これだけ議論しても仕方がない。抜本改革の基本的な理念は何処へ行ったのか。単なる数字合わせになったのか。
(事務局 柴田保険局企画課長)
○ 検討案の中で1、2、4、5、6の項目は抜本改革を行う上で自民党から出された「基本的な考え方」の中で取り上げられている項目である。
○ 1番目の薬剤別途負担の廃止は、「基本的な考え方」の中では薬価制度の見直しの中で掲げられていることから、おそらく、薬価制度の見直しと併せて提案されたものであると考えている。しかしながら、薬剤一部負担を廃する場合には財政影響があり、結局、保険料や国庫にかぶることになるので、他の、老人一部負担や高額療養費や入院に係る患者負担や現金給付といった項目は、その影響を出来るだけ小さくしよう、吸収しようということもあってあげられている。自民党でもそのように議論されていると思う。
○ 理念はないのかというご指摘について、例えば、老人の一部負担については、高齢者と若人の間での負担のバランスをどうするのかといったことや、コスト意識をどのように持っていただくかという議論がある。また、高額療養費については、所得の高い方には別の負担をしていただこうということや、かかった医療費にリンクした負担をしていただこうといった議論が含まれており、薬剤別途負担廃止による影響額の単なる穴埋めというわけではなく、次の医療制度を考えていく上での、新しい切り口も盛り込んだものが並べられているということでご理解頂きたい。

(村上委員)

○ 今回の検討事項が、抜本改革の切り口であるとは到底思えない。一口で言えば、薬剤別途負担の穴埋めを行い、抜本改革はしないいうことでしかないではないか。
○ 薬剤別途負担廃止については、どこで決まったのか。正式な機関決定はなされていないと聞く。自民党の社会部会の動向だけで決めて我々に議論を求められても、そういうことでは我々としても責任のとりようがない。
○ 老人の一部負担について、制度企画部会では、抜本改革の中で行われるべきとされたのであり、これだけを取り出して、議論するのはおかしい。
○ 老人保健・退職者医療拠出金の問題については、負担の押し付け合いはやめようということで、抜本改革をお願いしたのに、これが出来ないために出てきた問題である。
○ 高額療養費については、柳委員の言われたように、保険制度の根幹に関わる問題である。健保では98万円を上限に保険料の部分で高額所得者も相応の負担をしている。それを給付の部分とダブルで取るというのか。年金は58万円という低いところに抑えられている。金額そのものを標準報酬の22%から25%にするということは便宜的な変更でしかなく、考え方の変更ではない。医療費に応じた1%の負担の問題は、1回2回の議論で解決出来るものではない。これこそより幅広に検討すべきであり、大きな問題を含んでいると思われる。
○ 入院食事療養費の引き上げはルーティンワークによる変更には反対しないが、整理した議論なく、100億円稼ぎたいからということで範囲を広げるということでは納得できない。
○ 傷病手当金や埋葬料についてだが、困った人間に、一方で年金給付の削減案を出しながら、一方では死者にまで鞭打というもの。省として医療、年金、介護を通じてどういう考え方をしているのか。どのように整理しているのか。
○ 保険料の上限については、介護保険の導入時、抜本改革をやるから保険料等でご迷惑をかけませんということだったが、抜本改革はうまくいかず、結局保険料の上限に引っかかるから、上限を引き上げると言っている。当時、介護と医療の保険料は別途でとるべきという意見もあったのに、厚生省が一緒にとりたいというので、無理矢理今の法律をつくった経緯がある。それを今頃になって便宜上別々にと言われても納得できない。
○ 年金改正関係だが、年金の総報酬制は我々も賛成したが、医療についても同様にやるかどうかは別個の問題を検討すべき。医療は98万円、年金は58万円であり、保険料の算定根拠が全く異なる。通勤定期代や昼食補助が標準報酬に含まれている点等、先に改正すべき点はある。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 老人一部負担について、審議会等で議論され、意見書の中に含まれた経緯としては、現在若人に偏っている負担を高齢者にも1割程度負担頂こうということと、その際効率化のインセンティブが働く仕組みという観点から定率負担がいいのではというのが大方の意見であった。したがって高齢者の一部負担は抜本改革の流れに沿ったものであり、そこを離れたものではないと考えている。本日、いろいろな案を出したのは、そうした経緯を踏まえたものである。
○ 拠出金については、制度企画部会の中では、そもそも制度自体を廃止した方がいいという議論であった。2年前、抜本改革までの当面の措置ということで現在の仕組みが決まったが、制度そのものを来年直ちに廃止することが難しい中で、果たして今のままでいいのか、若干でも手直しが可能であろうかということをご議論頂きたいと考え、お出ししたものである。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 保険料を所得に応じてとっているのだから、給付は一律でいいのではないかということと、医療費はかかった時に保険で給付するものだから、医療費リンクというのはどうかという議論があるのは確かだが、現在でも低所得者と一般とでは給付に差がついており、一般と高額所得者の間でも刻みを付けられるのではないかと考えた。かかった医療費に応じた負担というところだが、財源や自己負担の伸びが限られる中で、今後の医療費の伸びを勘案し、給付のあり方を考えると、このような仕組みも考えられるのではないか。医療費にリンクといっても、最低水準の1%であり、可能なのではないか。
○ 介護保険を導入した当時は、一般保険料率が下がり、医療保険と一緒に上限を定めても十分と考えられていたが、その後経済状況が悪化したため、保険者財政が悪化したことや、40才から64歳までの被保険者や本人・家族の構成が各保険者間でばらついていること、介護保険料率はいわば医療保険制度の外から決められる介護納付金により決められること、一般保険料率だけ上限を設け、介護保険料率については介護納付金を確実に納める意味からも上限から外すことにしてはいかがか、と考えたのが今回の提案の理由である。

(村上委員)

○ 経済状況が悪いことを理由にしているが、厚生省がやるべきことをやれていないのが原因であると思う。それに加えて薬剤一部負担の廃止ということまで請け負ってくるから、ややこしくなるばかりで、そもそものルール立てがなく、努力したけどダメだったので議論して下さいと言われても困る。診療報酬のマイナス改定を行えば簡単に原資が出てくるのに、それを全然言わずに、改革なき負担増給付削減のみを我々に押し付けようとする。事務方の責任を我々に転嫁されても納得できない。

(下村委員)

○ 前回も伺ったが、その後何らかの進展があったのかどうかお伺いしたい。健保法の9年改正以降であるが、経済が悪くなっただけではなく、その後の手入れも仕方も悪かった。見通しもついていない、薬剤一部負担の廃止を行いその影響をどうするかということはいいが、そもそもの構造改革はどうなったのか。
○ 政管は今日挙げられている対策を全部をやったとしても、2年程度でいきづまることになる。構造改革をやらないのなら、いつまでにやるというのか。このような環境の中、医師会は1兆円もの負担増をもたらす診療報酬の引き上げを要求しており、これは当然保険料引き上げに繋がる。個々の項目について、方向性があるとは言え、全体の組み合わせとして見たときに、保険料や自己負担が際限なく上がるようでは、我々は非常に苦しいと言っている。
○ 薬剤一部負担の廃止だけを決めてきて、その財源をどこからかかき集めてきて穴を埋めるとの議論には我々は反対である。構造改革をやめるなら、薬剤別途負担も廃止しない。そこで止まってもらっても困るが、保険料だけ穴をあけるというやり方はどうか。厚生大臣に直接来ていただくようなことが出来るのだろうか。このままでは法案の形にするのは難しい。自民党でもこのままでは出せないと思っているのではないか。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 診療報酬と薬価制度については、中医協の中で審議が行われ、診療側、支払い側双方で歩み寄れるところは歩み寄って、徐々に形が出来てきていると考えている。
○ 高齢者医療制度については、抜本的な改革案を提示するまでに至っていなので、何とか現行の拠出金制度の見直しで対応出来ないものかと思い、本日具体的な案を提示させていただいているところ。医療提供体制は医療審議会で平行して議論が行われて、徐々に整理がついているところだと聞いている。
○ そういう意味では、抜本改革は少しづつではあるが、進んでいると私どもは思っている。

(青柳委員)

○ 村上委員の方から過去に3回以上騙されたとの発言があったが、私どもも過去に3回以上細かい点も含めて騙された経緯がある。そもそも薬剤別途負担が導入された時には、薬剤使用の適正化等を図る観点から薬剤の支給に着目して別途負担を行うこととされた。その目的をお忘れの方が多いのではないか。高薬価シフトや多剤併用の元となる薬価差こそが諸悪の根元であり、その解消こそが薬価制度の改革の大前提であるとの指摘を受け続けてきた。これを受けて中医協では集中的な審議をしている。平成9年9月の改革ではそういった4つの大きな柱の一つの方向性がある程度ついたものであると言えるのではないか。
○ 問題となるのは、老人保健制度について。老人1割負担は、そもそも老人の医療はどうすべきかという議論が制度企画部会で行われ、改革の方向性として示されたもの。財源だけの議論ではないはず。それをパッチワークの1つとして、平成4年からの負担増の1つであるというのであれば、改革の方向性に沿っているものとは考えられない。
○ 過去に出された負担増による影響額8,100億円の結末に当たっての考え方は分かった。しかしこれが正確な推計だとは考えていない。2,700億円と2,200億円という老若の内訳が出されたが、さらなる内訳として、実質と波及効果の部分があるはず。財政中立とされているものはともかく、今回出された負担増を求める検討項目についても、実質部分と波及効果の部分と両方が提示されるべきなのではないか。
○ 保険課に質問だが、我々は、健保組合の財務状況について、個々の健康保険組合のデータはもっていないが、まるめで、平成8年平成9年度の決算で3兆5千億円の法定準備金と積立準備金を併せてあったと推計しているが、平成10年度の決算ではどうなっているのか。法定準備金は何らかの法律的なものがあって納められているものと思うが、積立準備金の法律的な根拠は何か。個別組合の事情があることは我々もよく理解しているが、法律上、1800の健康保険組合間で財政調整は出来ないのか。2週間ほど前、関西の経営者団体が出した社会保障についての提言の中に、数多い組合健保を整理合理化すべきだとあったが、これについて、どう考えるのか。必要であれば資料を取り寄せてでも中味を吟味して欲しい。

(事務局 間杉保険局保険課長)

○ 積立金合計は平成8年で3兆2,358億円、平成9年で3兆5,516億円となっており、この間、3,158億円増加している。増加要因としては3つの要因がある。まず、新設組合による増加分である。特に平成9年度には旧3公社の健康保険組合を設立するということで、2,200億円という大きな金額が積立金として新たにたった。これも含めて2,214億円の積立金増となった。2つ目は、黒字組合では決算剰余金が生じるので積立金が増え、赤字組合では積立金を取り崩すという構造にあり、8年度から9年度にかけては、811の黒字の組合の積立金増が1,678億円、715の赤字の組合の積立金の取り崩しが▲715億円、相殺して963億円の積立金の純増となる。3つ目は組合の解散等によるもので、これにより、▲19億円となり、合計して3,158億円の積立金増となる。
○ 平成10年度の決算見込みは、10月に経常収支ベースでの中間的なとりまとめを健保連の方で行い、最終的な計算をやっているところであるが、私共の集計によると3兆6,247億円の積立金となり、計7,341億円の増加となる。この増加分の構造は上記と基本的には同じである。
○ 法律上基本的には、法定給付費の3ヶ月分を準備金という形でもっていただくことになっている。これは、健保組合は常に2ヶ月間の負債を抱えており、解散に備える意味と医療費の増加に備える意味からである。それ以外にも任意で別途積立金を持つことになる。赤字の健保組合は別として、法定準備金も法定給付費の何ヶ月分という形で決められており、この法定給付費が増加しているため、積立金も増加するという状況が見受けられる。
○ 健保法が規定しているのは、それぞれの組合の独立採算。それぞれが料率を決め収支採算を図ることになっている。例外としては、一部保険料をプールし高額療養費や財政窮迫組合に対して行っている共同事業があるが、基本的には独立採算である。但し、別途、老健法等の規定により、老健拠出金といった共同事業持ち合いの事業を行っているというのが制度上の仕組み。
○ 中小の保険組合の整理統合については、私どもとしても、今の健保組合1,800がそのままでいいとは思っていない。これまで解散については抑制してきたが、そうもいっていられないのが現状。但し、健保組合も生身であり、無理やりこれとこれをくっつけてとかこれは解散していう訳にはいかない。そのような状況の中で、私どもとしても、健保組合として立っていく基盤が難しいものについては、解散ということも視野に入れた指導を行っているところ。

(喜多委員)

○ 1つづつの検討項目について審議せよということであるが、審議に入れる状況にはない。自民党の「基本的な考え方」があったという説明があっったが、私はそんな方向には動いていないと思う。薬剤別途負担については、そもそも安易に負担だけ拡げて後でどうするのかという問題もあったが、それを保険料につけ回せと言われても保険者としては、到底賛成できない。ましてや、財源の見通しが立っていないまま保険料にツケ回ししようというするものには保険者として反対せざるを得ない。
○ 拠出金に関してだが、これを検討しろということになれば、市町村側としては、算定に当たっての上限の撤廃については当然であり、退職被保険者も2分の2頂きたいと言わざるを得ない。しかし、2年前、保険者間での無益な議論はやめようということになり、2年後の本日までに抜本改革の何らかの対案が出されるはずであった。それが提出されず、さらにまた、これらと相反する拠出金の算定範囲から退職被保険者を除外するという案までが出てきている。これは老健制度の理念からおかしいのではないか。
○ 老人一部負担についてだが、介護保険も1割の定率負担であり、いろいろな議論があっても1割の定率負担はやむを得ないのではないかというのが我々の気持ちであった。しかし、1割だけをここで取って、他の検討項目と併せた、薬剤別途負担の廃止の影響を埋める為の帳尻合わせとすると言われても我々は賛成できない。また、1割負担はその上限の設定によっては、市町村に加重な事務量の負担がかかる可能性もある。事務量負担を市町村に押し付けるはやめて頂きたい。抜本改革の実現が最も必要であることを改めて主張したい。
○ 埋葬料・葬祭費は国民もマスコミも帳尻合わせと取るに違いない。やるとすれば、抜本改革の中でやるものであり、廃止の代わりに出来るだけ安い保険料で充足した医療保険を提供することを実現していくべき。基本的にどうしていくのかという見通しははっきり立てて欲しいものであり、そういうことをやるのが、制度企画部会であったはずであるが、老人保健制度についても、3案プラス1案で4案が出たものの、その後の見通しが立っていないことは非常に残念に思う。

(村上委員)

○ 医療費の伸びを国民所得の伸びの範囲内に抑えるという閣議決定はどうなっているのか。
○ 老人拠出金の問題であるが、国保法の平成10年改正附則については、抜本改革なくして条文に触れることはできないはずである。都合のいい解釈は認められない。
○ 国保組合についての資料がない。国保組合には年間3,000億円の国庫補助をしているということだが、その内訳はどうなっているのか。また、経営状況についての資料も出してもらいたい。
(事務局 柴田保険局企画課長)
○ 閣議決定であったかどうかについては確認が必要であるが、医療費の伸びを国民所得の伸びの範囲内に抑えるという政府の方針については、未だ変更しておらず、現在でも生きているものと考えている。しかし、経済が非常に厳しい状況の中にあっては、これは、一年一年で見るのではなく、やや中期的な長さで見るべきであると考えている。

(事務局 渡邉保険局国民健康保険課長)

○ 国保組合は、国保制度の中にあり、定率32%を基礎に、財政力に応じて最高20%までの上乗せを行い、傾斜的な国庫負担の投入を行っている。国保組合については、現在の国保制度以前のさまざまな経緯の中で、現在も続いているものである。
○ 資料については、必要とあらば出していく。

(村上委員)

○ 中期的に見ても医療費の伸びが国民所得の伸びの範囲内に抑えられているとは思えない。抑えられていないからこそ、保険料率や一部負担がこれまで上がってきたわけである。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ ここ数年は、経済の低迷もあり、医療費の伸びが国民所得の伸びを上回っていることは事実である。医療費の伸びは、人口増や高齢化によって、2%程度はどうしても伸びる部分があり、一方で国民所得は2%も伸びていない状況であるので、今現在をとってみれば、医療費の伸びを国民所得の伸びの範囲内にとどめることは難しい状況である。

(村上委員)

○ 経済が厳しい中で、3年連続で年収は下がり、失業保険日額も今年マイナスとなった。我々の懐も大変厳しい状況にあるわけであり、経済が厳しいから保険財政が苦しく、だから保険料を上げますというのはおかしい。診療報酬を引き下げることで対応すべきである。

(堀江委員)

○ 今回の検討項目については、薬剤一部負担廃止の穴埋めだけではなく、新たな切り口を提示したということである。これについては一つの前進である。
○ 医療保険財政の厳しさを考えれば、個別の改革について、データを示した説得的な説明があれば、各事項についてはやむを得ないものと考える。
○ ただし、老人拠出金については、従来より保険者間の利害が対立するところであるにも関わらず、数字を示して、いくつかの案を出すのは不謹慎ではないか。国保財政の厳しい現状を前提として、どういう改善策があるのかという案を出し直して頂きたい。

(野中委員)

○ 財源の見通しがつかない中で、薬剤一部負担は廃止すべきでない。薬価制度見直しの中で並行して進めるべきである。
○ 老人一部負担についてはやむを得ないものと考えるが、負担増を求めるのであれば、しっかりとした理由付けが必要である。
○ 事務負担はどこが負うのかを明確にすべきである。これについては、改革で恩恵を被る医療機関がすべきではないか。
○ 老人の加入率制限については、現状を考えると即刻廃止すべきである。また、拠出金については、老人医療費を平等に負担するという理念からすれば、2分の2をお願いしたい。
○ 現在国保の被保険者の55%が無所得者である。国保の無所得者対策を考えるべきである。
○ 診療報酬については、医師会は3.6%の引き上げを要求しているということであるが、それは無理である。医療費はこの場で議論すべきではないというのはおかしく、医師会の要求には保険者として応じられないということをはっきり申し上げておく。
○ 先程国保組合の話が出たが、共済組合についても、2分の1の財政補助が入っているわけであり、メスを入れるべきではないか。

(柳委員)

○ 拠出金については、2年前の経緯や法の趣旨からして、抜本改革なくして条文を改正するのはおかしい。
○ 高額医療費については、見直し案は給付と負担の両方を所得にリンクさせるということであり、もっと議論が必要である。

(下村委員)

○ 今回の対策は、例えば12年度と13年度のための対策であるということを明確にすべきである。その上で、構造改革の基本的な考えを同時に明らかにすべきである。
○ 老人保健拠出金に関する3つの見直し案については賛成である。ただし、拠出金についてはゼロサムゲームであるから、見直し案が実行可能になるような、特別調整措置を国において同時に講じてもらいたい。
○ 構造改革の方向性が明らかになることが前提である。拠出金や老人の一部負担についても、その中で議論していくべきである。
○ 高額所得者への給付削減については、柳委員の考えに賛成である。
○ 高額療養費の見直しについては、老人には3,000円の限度を設けているのに、現役世代の高額療養費をこれ以上上げるというのは、いかにも不公平である。
○ 国保組合については、資料をもっと出してもらいたい。医師国保の給付水準はどうなっているのか。

(青柳委員)

○ 医師国保の問題については、自家診療ができないという前提の下で、導入したといういきさつを考慮してもらいたい。

(成瀬委員)

○ 5年ほど前に老人保健制度の見直しを論議したとき、老人保健制度の抜本改正については、全体の抜本改正の中で議論する、ということになった。しかし、その改正案については未だに明らかになっておらず、今日の議論についても、結局議論の幹の部分が見えてこない。今回の提案については、いずれも枝葉の部分であり、根幹の議論がない中で枝葉の議論をするのは生産的でない。

(中西委員)

○ 個別のパッチワーク的な対応でなく、抜本改革を優先して考えるべきである。
○ 高額療養費や、現金給付の見直しは、弱いものいじめではないか。また、介護認定されたら医療保険からの給付を受けられない等、介護保険との整合性を考えるべきである。

(野中委員)

○ 住所地特例の見直しについて、養護老人ホームから同じ区内の特養に移った場合に、養護老人ホームの前に住んでいた居住地を引き継げるように対処してもらいたい。

(水野委員)

○ 資料074の1ページ、検討案として「老人の一部負担その他の給付と負担の見直しと併せ、薬剤一部負担を廃止する」とあるが、これは今回の検討項目が全て「老人の一部負担その他の給付と負担の見直し」に含まれているということか。
○ 高額療養費制度は、社会保障の根本的要素の一つである。家計の崩壊を防ぎ、国民が安心して暮らしていくことができるという点できわめて意義が大きく、見直すのであればしっかりとした論理が必要である。財源を捻出するという意図で安易に見直しをすれば、社会保障制度の根幹を揺るがしかねない。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 資料074の1ページの、「老人の一部負担その他の給付と負担の見直しと併せ、薬剤一部負担を廃止する」という考え方は、薬剤の一部負担廃止による保険料あるいは公費の負担の増加、という影響をなくすという観点から示したものである。

(塩野谷部会長)

○ 問題の設定は、自民党における薬剤一部負担の廃止という決定を前提として、その財源をどのように賄うことができるか、ということを皆様におたずねしたわけである。それに対し、多くの委員は問題の設定自体に不満を持っており、問題の設定を前提とすれば、その実現が不可能であるから、前提自体を見直すべきであるということが当審議会の結論であるということも成り立つ。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 今回の審議については、厚生省としては自民党の方針に沿って案をまとめていく段階にあるということで、その際に注意すべき点をご指摘いただきたいということでお願いしてきた。これはゼロから議論を積み上げて意見書を頂くという通常の形とは異なっており、委員の皆様には申し訳ない点もあったかと思う。また、これまでのご議論で注意しなければならない点やその前提問題についてご議論いただいてきた。そういった点も考えれば無理に意見書を書いていただくということはお願いできないと思っている。
○ 今後、12月の予算編成まで時間的にはわずかであるが、これまでのご議論やご指摘を踏まえ、対処していきたい。

(塩野谷部会長)

○ それでは本日の運営部会はこれで閉会とする。

(了)


問い合わせ先 保険局企画課 北波(内線3228)


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