第3回介護関連事業振興政策会議議事録
1 |
日時: 平成11年12月10日(金)15時00分〜17時15分 |
場所: 厚生省7階特別第1会議室 |
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出席メンバー(五十音順) |
池田(茂)、池田(省)、市原、川瀬、近藤、佐久間(大井氏の代理)、桜井、菅原、田中(尚)、坪井(田澤氏の代理)、寺田、中井、中熊、長橋、東畠、松永、村尾、吉岡の各メンバー |
(敬称略) |
3 |
議題 |
(1)介護関連事業振興策への提言(会議メンバーからの発言)
池田省三: |
龍谷大学社会学部助教授 |
大井祥史: |
第一生命保険相互会社生涯設計企画室長 |
川瀬健介: |
生活・福祉環境づくり21事務局長 |
近藤 茂: |
三井海上火災保険株式会社傷害長期保険部長 |
菅原弘子: |
福祉自治体ユニット事務局長 |
田澤友康: |
(財)日本住宅リフォームセンター専務理事 |
田中尚輝: |
NPO事業サポートセンター事務局長 |
中井幹爾: |
保健医療福祉情報システム工業会福祉検討プロジェクトリーダー |
中熊 靖: |
(有)みらいの福祉研究所代表取締役 |
長橋 茂: |
(社)シルバーサービス振興会常務理事 |
東畠弘子: |
環境新聞社月刊ケアマネジメント編集顧問 |
村尾俊明: |
(財)テクノエイド協会常務理事 |
吉岡大忠: |
(財)長寿社会開発センター専務理事 |
(敬称略、順不同)
(2)これまでの議論の整理と振興施策についての検討(討議)
政策課企画官
- ただ今より、第3回の介護関連事業振興政策会議を開催いたします。
本日は、大井委員の代理として佐久間さんが、田澤委員の代理として坪井さんが出席されております。北委員、田中滋委員はご欠席でございます。
本日は、前回申しあげましたとおり、第1回、第2回にいただきましたご意見を踏まえまして、資料2及び資料3のとおり、これまでの論点を整理いたしております。また、資料4のとおり、これら論点に沿いまして、厚生省として考えております介護関連事業振興のための施策体系をとりまとめて提出いたしております。これらの資料は事前に委員の皆さま方に送付申しあげているところでございますが、これに基づき、本日の会議の後半でご議論いただきたいと考えております。
それに先立ちまして、前回に引き続き、各委員からひとわたりご意見を承ることといたしておりますので、順次、コメントをお願いしたいと思います。
なお、介護保険制度の施行準備状況につきましては資料7、資料8のとおりでございますが、時間の関係で説明は割愛させていただきたいと思います。
では早速、池田委員からコメントをお願いいたしたいと思います。時間の関係上、お一人、4分程度でお願いいたしたいと思います。
池田(省)委員
- お手元の資料の中、大変たくさんございますが、「介護サービス事業の形成に関する提言」という1枚もののメモがございます。
まず、介護保険の最も大きな特徴、狙いは、介護サービス市場、マーケット形成というところがいちばん重要だと思いますが、介護サービス市場の行動のとらえ方を単に介護保険給付サービスだけに限定しては、市場はなかなかつくりにくいということで、全体の構造としては、保険給付サービスを軸にしながらも、その上に追加されるハイクオリティサービス、あるいは補完的な福祉サービス、そしてリバースモーゲージや民間介護保険のような費用調達サービス、こういった4象限に分けてそれぞれのサービスの関係と整備をはかっていく必要がないか、ということが第1点であります。
第2点は、サービス市場形成のために非常に重要なポイントは、適正な労働市場が形成されるか否かというところにかかっていると思います。そこで、適正な労働市場の形成のために、大きく三つの点について配慮すべきではないだろうかということです。
まず第1は、在宅介護サービスの軸をなすケアマネジャーでございますが、現在のところケアマネジャーは、残念ながらケアマネジャー見習いがほとんどでございまして、そこに高い資格を与えることが困難であることは十分承知しておりますが、中期的に考えれば、ケアマネジャーにキャリアアップシステムというものを入れて、その専門性を高めることが必要ではないか。
それから、在宅介護サービス中心でございますが、常勤職員については人事院が福祉給与表をつくりました。一つの社会的基準としてこれを定着させていくことは、適正な労働市場の形成につながるであろうし、多くのパート職員が登場するのは避けられない必然だと思いますが、従来のような使い捨てパート職員ではなくて、あくまでも時間給において公正な賃金水準、そういった意味では介護報酬のたとえば65%であるとか、家事援助の場合ですと75%であるとか、そういった賃金の社会的公正さの確保が必要になってくるのではないかと思います。
在宅ケアサービスの基盤整備につきましては、既存資源の活用な公設民営の推進というものが必要であることは言を待ちませんが、もう一つ気になりますのは、デイケアとデイサービスとどこが違うのか。はやてのようにあらわれて、はやてのように去っていっても、医者がいればデイケアなのかということもございまして、ここのところは、自立した高齢者に対するクラブデイ、それから要介護高齢者のリハビリデイ、重度のナーシングデイ、こういうきっちりとした区分をしないと、市場が混乱するおそれがあると思います。
三つ目には、ホームヘルパーサービスは、おそらく介護保険が4月に始まって、ただちにニーズが急速に立ち上がるとは考えられません。むしろ1割自己負担が影響して、いったん下がる可能性もある。そして、一定の期間をおいて急速に立ち上がるというJカーブを描くことは間違いないだろうと思っているのですが、そのJカーブの最初の1年とか2年については、なんらかの支援対策は必要なのではないかという気がいたします。
たとえばドイツのノルトラインベストファレン州では、在宅介護については、1時間提供すると5マルクという形で投資費用、基盤整備という名目なのですが、実質上は補助金です、そのような形で支援をしていたということもございますが、それらの問題も検討されてしかるべきではないかということであります。
最後に、これは問題の指摘にとどめさせていただきますが、介護保険施行以後の重点施策として、痴呆性高齢者、そして居住環境の整備、評価システム、これが重要な課題となっていると思います。
以上でございます。
政策課企画官
- ありがとうございました。
続きまして、本日は大井委員の代理で出席されています佐久間委員からお願いいたします。
大井委員(代理・佐久間)
- 第一生命より参加いたしております大井の代理で、今回出席させていただいております佐久間と申します。要介護状態になったときに、お客さまをファイナンス面から支援する生命保険会社の立場として、介護関連事業振興策に関して2点、提言を申し述べさせていただきたいたいと思います。
まず、当社の介護市場並びに公的介護保険に関する基本的な認識について述べさせていただきます。
生命保険会社は従来、お客さまが要介護状態になられた際に必要な諸費用を保障することを目的とした商品や、契約後、介護保障に移行できるような制度を、昭和62年ごろから開発しております。しかし、販売状況は総じて不振でございました。
これは一つには、商品の仕組みや内容が十分にお客さまのニーズを吸い上げるレベルに達していなかったと認識しておりますが、より重要な問題背景といたしまして、日本社会における介護サービスの外部化が十分に進んでおらず、お客さまが給付金をサービスに変えることができる介護サービス市場が未成熟であったために、保険会社がファイナンス面からの介護ニーズが掘り起こせなかったものと考えております。
お客さまが多様なサービスをご自分の状態や嗜好に合わせて自由に購入できるような、種類・量ともに豊かな良質な介護市場があって、初めて民間介護保険市場の伸長が期待できるものと考えております。この点、公的介護保険制度は、お客さまの介護に関する経済的ニーズの基本的な部分を保障するものでございまして、また、サービス選択を助けるケアマネジメントの仕組みを導入するという点で、介護サービスの健全な発展を助長するものと考えております。また、公的介護保険制度の対象とならない若年者や、いわゆる上乗せ横出し部分へのファイナンス機能を担う民間保険会社の介護保険市場の成長の基盤となるものと考えております。その円滑な実施と定着を心より期待するものであります。
次に、介護関連事業振興策に関して、当社の要望を2点申し述べさせていただきます。
第1に、公的介護保険制度の保険料算出や要介護度判定にかかわる諸データの早期開示をお願いいたします。公的介護保険制度を間近に控え、お客さまの介護に寄せる関心は増す一方でございます。生命保険会社のほうにも、介護に関する商品、サービス面における取り組みの強化を求める声が多く寄せられております。これに応えまして、当社は今年の4月に、要介護状態になった場合に一時金をお支払いする特約を開発しております。この特約は、今年の上半期で21万を超える契約に付加されておりますが、これは当社の主力商品の約半数に介護保障が付加されていくことになりまして、介護保険に関するお客さまのニーズの強さをうかがわせております。
また、間接的に介護を保障する商品としまして、要介護状態となる主要な原因である脳卒中やがん、心筋梗塞になった際に給付金をお支払いする特約は、80%を超えるきわめて高い付加率を示しておりますし、また、若年者が要介護状態となる主要な原因の一つである神経難病を含む厚生省指定の難病に罹患した際に給付金をお支払いする特約も、販売好調であります。
こうした旺盛な介護・医療保障ニーズに、当社は今後とも積極的な商品開発によりお応えしていきたいと考えております。
介護に関して、従来、生命保険会社は、比較的重度の要介護状態のみ支払い対象としておりましたが、制度施行後は公的介護保険の給付基準がナショナルスタンダードとなることを踏まえまして、これに即した商品開発を行っていきたいと考えております。しかし現時点では、そのために必要な要介護度別の発生率や平均生存期間等の統計諸データが存在しないために、商品開発がきわめて困難な状況にございます。制度施行後、できるだけすみやかにこれらの諸データの開示をいただきますようにお願いをいたします。
また介護は、これまで生命保険会社が取り扱っておりました生存、死亡、病気、身体障害等の状態に比べ、状態の客観的評価が技術的に困難であるという特質がありまして、これが商品開発上の課題となっております。そこで、公的介護保険における要介護度判定のノウハウを活用できるような方策の実施についてご検討を賜りますよう、特段のご配慮を併せてお願いいたします。
第2に税制に関する要望で、現行、年間5万円限度となっております生命保険料控除の増額をお願いいたします。生命保険会社の介護保険は、介護のみを対象とする商品もございますが、今では、死亡、病気、身体障害等を1契約でカバーでするタイプの商品に特約として付加する例が一般的となっております。そこで、生命保険料控除の増額をはかることによって、介護を含め、生命保険商品へのお客さまの加入負担を軽減し、自助努力を促すことが期待できると考えております。
このことにより、公的介護保険でカバーされない部分への経済的準備が進み、周辺サービスを含めた介護関連市場の成長に寄与するものと考えております。
当社といたしましては、以上2点を提言させていただきます。
政策課企画官
- ありがとうございました。
続きまして、川瀬委員からお願いいたします。
川瀬委員
- 私どもの生活福祉環境づくり21という団体が、まだそれほど認知度が高くないことを自覚しておりますので、私どもの団体がどういう動きをしてきたかというペーパーもまとめてまいりましたが、これは後ほどごらんになっていただければと思います。東京商工会議所が昨年、産業界に呼びかけて立ち上げた団体ということで、これまでは任意団体として動いてまいりましたが、つい先般、東京都からNPO法人の認証が下りたばかりでございます。さまざまな事業展開をしているのですが、今日は、第1回目のときにも申しあげました高齢社会でのさまざまな場面での人材不足といった問題を、住環境の整備という観点から1点、問題提起をさせていただきたいと思います。
当然ながら、高齢者の在宅での生活、その自立を進めていくという方向であるわけですが、その基盤というべき住環境整備に関する施策、この辺が立ち遅れているのではないかという思いが非常に強くしております。基本的に住環境の整備がきっちりできれば、介護をするほうも非常にしやすくなるということもございますし、この辺が今後、非常に大きな問題になってくるのではなかろうかと考えます。
実はもう一つのペーパーとして、「福祉住環境コーディネーターについて」というものがあります。これは資格制度ではなくて、商工会議所で実施している珠算とか簿記とかいう検定制度と同様のものなのですが、福祉住環境コーディネーターの検定試験を行ったところ、東京だけで2回行ったのですが、第1回目で全国から約1万人、第2回目もほぼ同数の方が受験された。これは、東京商工会議所のこれまでやっていた珠算、簿記、その他の検定試験の中でも突出した数字でございます。
このコーディネーターにつきましては新年度から全国展開をしていくということで、来年の7月には2級まで進めていく予定です。
基本的には、生活者の方がたの声もいろいろ聞いているのですが、住宅改修、あるいは福祉機器を使いたいといったときにも、どこにどういうふうに相談をしていいのかわからないというような問題もあります。その辺をきっちりと、その方の症状に合わせる形でご紹介してあげられるという、いってみれば、建設、建築といったハード部分と、医療、福祉といったソフト的なところをつなぐような人材という形で立ち上げたわけですが、結果をみますと非常に建築関係の方の受験者が多くなっています。
これはいろいろヒアリングをしているのですが、現場サイドの工務店さんあたりで実際に仕事がきたときに、トイレ、あるいは浴室といった水回り等の小規模な住宅改修を依頼されても、その方の症状によって、たとえば手すりの位置一つとってもすべて違ってくるわけです。その辺の知識がないと、なかなかきっちりとした仕事もできないといった形で、建築関係の方のニーズが非常に強くなっているということでございます。
そんなこともありまして、今後のいろいろな施策の中で、住宅改修といいますか住環境の整備といったところにもお力を入れていただければという形で、1点、問題提起をさせていただいた次第です。
以上でございます。
政策課企画官
- ありがとうございました。
続きまして、近藤委員からよろしくお願いいたします。
近藤委員
- 三井海上の近藤でございます。
まず、私ども損害保険業界の考えております今後の展望、あるは新たな役割について申しあげたいと思います。今日配布しておりますA4版の「公的介護保険制度に関する損害保険業界の取り組み」という資料の1ページ「損害保険業界のこれまでの今後の展望」をごらんになっていただきたいと思います。
2.として「今後の展望」と書いてございますが、大きく分けて3点でございます。
第1に挙げられますのは、新しい介護保険商品の開発と販売をしていくというところでございます。私ども損害保険業界では、平成元年から介護費用保険を発売いたしまして、現在の契約者数は約100万件に達しております。
現行の商品の内容につきましては、2ページの「損害保険会社の介護保険商品」というところをごらんになっていただきたいと思います。私どもの商品では、15歳からということで若年層も含めた幅広い年齢層を対象に、現金給付という形でカバーしてまいりました。今後は公的介護の内容をにらみまして、上乗せあるいは横出し部分のカバーという新たな役割も担ってまいりたいと考えております。
このように、利用者が自己負担に備える自助努力の手段として、また現金給付ニーズに応える手段として介護保険制度をサポートしていくことが、民間の介護保険が担う役割だと考えております。実際には、介護費用保険以外にも、居宅介護支援事業者の賠償資力を裏付ける賠償責任保険といった介護保険制度を側面から支える保険商品、これらについても充実してまいりたいと考えております。
2点目は介護の基盤整備への取り組みということで、3ページ、損害保険会社が行っている契約者サービスというところをごらんになっていただきたいと思います。これまで私どもでは、保険商品の契約者の方がたにサービスとして、介護情報サービスとか、あるいは全国の介護事業者と連携いたしまして、紹介を通じた現物給付的なサービスを行ってまいりました。
さらに次のページで、介護・福祉・医療分野の関連会社にありますとおり、一部の会社では関連会社を設立いたしまして、ホームヘルパーやケアマネジャー等の養成、あるいは介護専用型有料老人ホームの運営、訪問介護事業などの展開も行っております。こうした関連会社の中には、今般の指定居宅介護支援事業者として都道府県の指定を受けたという例も出てきております。今後、こうした基盤を広げて、関連会社に限らないで、損害保険会社本体での居宅介護支援事業への参入、こういったことで、さまざまな方法で介護サービス基盤の整備に力を尽くしてまいりたいと考えております。
1ページに戻りまして役割の3番目でございますが、民間介護保険の普及促進とともに、公的介護保険制度の理解の促進に向けても尽力をしてまいりたいということでございます。このたび私どもでは、パンフレットとリーフレットを作成いたしました。とりあえず二つ合わせまして約48万部を、各社のお客さんあるいは代理店に配布しております。今後とも、このようなツールとかあるいは各種のセミナーを通じまして、介護保険制度の浸透に尽力をしてまいる所存でございます。
以上、当業界の新たな役割についての考え方、あるいは取り組み状況を述べてまいりましたが、新たな制度ができてそれを円滑に運営していくためには、限られた財源、資源の中で、既存の経営資源、とりわけ民間の資源を有効に活用していく民間活用が大きなポイントになってくるものと考えております。
わが業界においても、長年培ってきました損保の経営資源を有効に活用することが私どもの使命だと存じております。そこで、その実現のために、以下の項目で要望を申しあげたいと思います。資料の5ページ、「介護に関する要望事項」というところをごらんになっていただきたいと思います。
大きなくくりの一つでございますが、民間介護保険の普及促進に関する要望でございます。
具体的には、まず介護費用保険を初めとした高齢社会対応商品を対象とした新たな損害保険料控除制度の創設をお願いしたいということでございます。この点につきましては毎年お願いをしているところでございますが、ただ今、鋭意ご検討中ということでございますが、引き続きお願いをする次第でございます。
さらに、新たな民間介護保険の商品設計のために、公的介護保険を中心とした介護に関する統計データの早期開示をお願いしたい。先ほど、生命保険会社からおっしゃられた部分でございますが、同じく早期開示をお願いしたいということでございます。
大きなくくりの二つ目は、よりよい介護サービス基盤の整備、促進に関する要望でございます。公的介護保険制度の創設によりまして、国民の介護サービスに対する期待は大変大きくなっております。より一層の介護サービス基盤の充実は必要不可欠であると考えております。したがいまして、より多くの民間事業者が介護サービス事業に積極的に参入できるように規制の緩和を要望したいと思います。
具体的に申しあげますと、施設サービスへの民間事業者の参入、さらには制度施行後の課題として介護支援専門員の資格の取得要件の見直しをお願いしたいと存じます。
さらに、損害保険業界といたしましては、保険業法の一部改正に向けてご支援をお願いしたいと存じます。なぜかと申しますと、現行の保険業法には他業制限の規定がございまして、損害保険会社の本体での介護関連事業を行うことはできません。損害保険会社ならではの経営資源である全国にたくさんある拠点を有効活用しまして、全国レベルで居宅介護支援事業を行う道を開いていただきたいと思いまして、金融当局にもお願いをしてまいる所存ですので、ご当局におかれましても、ご支援、ご理解のほどをよろしくお願いしたいと思います。
以上、意見を申しあげさせていただきましたが、公的介護保険は21世紀に向けた社会保障改革の先鞭をつける制度だと思います。なんとしてでも成功をさせなければならないものであります。損害保険業界といたしましては、そのためにはできる限りの尽力をしまして、新たな役割を積極的に担ってまいりたいと改めて申しあげまして、意見陳述を終えさせていただきます。ちょっと長くなりまして申し訳ございません。
政策課企画官
- ありがとうございました。
続きまして、菅原委員、よろくしお願いいたします。
菅原委員
- 私は、介護関連サービスの多様なメニューを短期間に整備した自治体を参考にして介護関連サービスの振興策を考えさせていただきました。サービス振興策については、新たなネットワークなどをもって自治体で何ができるかということも考えられるのですが、ここでは、既存のものを有効に生かす町にある財と福祉サービスを組み合わせる、あるいは地域にある財の使い方を工夫するということを主眼に置いて考えてみました。
あくまでも自治体として何ができるか、つなぎをつくるという視点になるかと思います。まず1番目に指定基準の違反の特例的容認。これは、全国一律的な指定基準違反であっても、介護サービスの状況からみて不適当でないものは、県あるいは市町村などによる個別認定により、指定をする。あるいは特例的容認のシステムが優れている場合は、指定基準に反映させることにより、より質の高い、または効率的なサービスの提供の誕生を支援することができると考えます。
たとえば3人の看護職が必要な場合でも、看護職2人、あと1人は理学療養士だとかでよいサービスが提供されていれば個別認定により指定する、こういったことはデンマーク等でも行われていることかと思いますが、特別的容認システムが優れている場合は、指定基準に反映させる。これによって介護関連サービスがかなり幅広く整備していかれるのではないかと考えられます。
2番目に、他の産業との抱き合わせ提供の支援。介護保険対象サービスとほかの生活サービスと効率的に組み合わせて提供することを支援する。基本的には、指定基準上の問題が生じないと考えられますが、これらの考えられる事例や留意点について厚生省から例示することにより、民間事業者が安心して事業を展開することができるようになるのではないかと考えます。これは、利用者の利便性の向上につながるし、また多様な事業者の参入、新たな介護サービスの展開が期待できるものと思われます。
3番目は、既存産業または取得資格のセット化の支援。既存産業と福祉サービスを結びつけてセットでサービスを提供する。あるいは、有資格者、専門職が福祉資格を取得することを支援していく。
4番目に、既存産業を活用したシルバーマーケットの開拓を支援する。高齢者の外出の機会を増やし、人生を楽しむためにお金を使ってもらうという方法を、行政や商工会が連携してつなぎを支援して、業者の目を高齢者に向けていくということです。
その町に合った託老所のいろいろなスタイルを既存の産業と結びつけて、タウンモビリティとまではいかなくても、そこへいけば非常に有意義に1日過ごせるというような一つのものをつくり出していくための支援。
5番目に、65歳以上の雇用を支援していく。定年後の高齢者が、半日は生きがい等の要介護を楽しみ、半日は働いて収入を得て、有意義な老後が送れるような支援をしていく。この場合も、障害者の雇用枠があるように、高齢者の雇用枠というものがつくられてもいいのではないかと思います。
6番目に、県あるいは市町村などに一定の制限のもとで、介護サービスに対する独自の加算を、横出しとは別に、法定給付の枠内で認める。介護保険認定外の人に対する必要なサービスの財源の持ち方です。このことで負担の割合が小さくして、負担感を少なくして、サービスを使いやすくしていくということです。
以上をご提言させていただきます。
政策課企画官
- ありがとうございました。
続きまして、田澤委員の代理として本日ご出席の坪井さん、よろしくお願いいたします。
田澤委員(代理・坪井)
- 財団法人日本住宅リフォームセンターでございます。本日は、委員の田澤が欠席でございますので、坪井が代理で出席させていただきますおります。
私どもは、リフォームの名前が示しますとおり住宅関連の財団でございまして、介護保険に関連いたしましては、在宅の要介護者のための住宅改修という部分で参加をさせていただいております。
私どもの財団は、住宅リフォームの人材育成ということを主たる業務の一つとしてございます。具体的に、高齢化対応の住宅リフォームへの取り組みといたしまして、増改築相談員制度、マンションリフォームマネジャー制度というものを現在、推進してございます。
住宅のリフォームを実施する際に、どこに頼んだらいいのかわからない、費用がどれくらいかかるのか不安であるといった消費者に対して、主に戸建て住宅について適切な助言、指導ができる人材として、昭和60年に増改築相談員制度というものを発足させました。平成11年度4月1日現在、その数は全国に1万2000名の資格者が登録されてございます。
増改築相談員の資格は建築に関する実務経験が10年必要でございまして、その10年の資格がある方が、私どもの2日間のリフォームの研修を習得して考査に合格することによって取得できる資格でございます。その教育カリキュラムの中には高齢化対応住宅リフォームの研修を実施してございまして、高齢化に対応した住宅リフォームについていつでも相談に応じられる人材を育成してございます。
また、マンションリフォームマネジャーに関しては平成4年度から実施してございますが、これは最近、都市部が増えております集合住宅に対応する資格でございます。これは試験制度により、マンションリフォームマネジャーの養成を実施しておりますが、平成11年4月1日現在では約5500名の資格者が登録されてございます。
こういう人材を活用いたしまして、介護保険制度の住宅改修への取り組みを現在行ってございます。具体的には、増改築相談員、マンションリフォームマネジャーを対象といたしまして、新たに一つ目に介護保険制度の概要、二つ目に介護保険にかかわる住宅改修、三つ目に介護保険と福祉用具、四つ目に部屋別リフォームという内容のテキストを作成することによりまして、介護保険制度研修会を実施することとしております。
今年度中に47都道府県すべてにおいて4000人程度の受講者を目標に研修会を実施し、この研修会を受講した方がたの名簿を作成する予定でございます。
その履修者名簿は全国3300の市区町村の福祉担当窓口に配布して、介護保険制度の給付対象サービスの住宅改修を実施する方がたが閲覧できるようにすること、また、通常の生活者から住宅改修事業者の紹介に対応できるようにしようと考えてございます。
また名簿は、当財団のホームページからも当然検索できるようにする予定でございます。
以上、こういう取り組みを実施してございますが、その中で3点ほど要望事項を述べさせていただきたいと思います。
まず一つ、当財団が実施いたします介護保険制度研修会の履修者名簿は、高齢化対応リフォームに精通した施行技術や実務経験を有する事業者の名簿であって、市区町村の福祉窓口への配布、活用については徹底したご協力をお願いしたいと考えてございます。
次に、住宅リフォームに精通した当財団が実施する介護保険制度研修会の履修者を、特に介護保険制度の中心となるケアマネジャーの方がたに対して積極的にPRを実施してまいりたいと考えておりますので、ケアマネジャー名簿をいち早く開示していただくことをお願いしたいと考えてございます。
3番目に、介護保険における住宅改修を実施した消費者の住宅改修業者への保険金による工事代金の立替払いをなくすため、住宅改修業者に直接、保険金を給付することをお願いしたいと思います。これによって事務の簡便化をはかってまいりたいと考えてございます。よろしくお願いいたします。
政策課企画官
- ありがとうございました。
続きまして、田中委員、よろしくお願いいたします。
田中委員
- NPO事業サポートセンターの田中です。
NPOというのは、ここにいらっしゃる事業者の役割も果たしますし、他方、要介護者の立場も代弁するという二面性をもっていますので、これから4点述べますが、二つの立場から述べております。
一つは評価機関。これは厚生省でも評価のシステムをおつくりになるということで、大変いいことだと思いますが、どちらにしてもこれは複数なければいけませんし、かなり地域密着型のものもいろいろつくっていく必要性があるかと思います。公益性に裏付けされたNPO系が、評価機関として独自に乗り出すことは当然なのですが、そういうことについての環境整備を行うことが必要なのではないかということです。
2点目は、指定居宅サービス事業者の新設、運営支援についてでございます。これは、隣にいらっしゃる寺田さんのニチイ学館のように大資本があるところは全然問題がないのですが、私どもにはNPO、草の根型のボランティア団体だけではなくて、地場企業、商工会に属されている方とか、個人事業主がものすごくたくさんみえます。
考えてみますと、これまでの介護保険のサービスは、行政が直接やるか、行政系といいますか社会福祉法人がやっていたのが中心ですから、情報とか実際のマネジメントについての参入障壁が、法的にはべつにないわけですが、実際にはあると考えたほうがいいわけで、言葉の単語、用語の解釈からなにから、基礎レベルのところがなかなか理解されていない方が多くて、悪戦苦闘しながらご説明をしているわけです。
これは、事業主体は私が関係しております社団法人長寿社会文化協会、ワックというところがやっているのですが、非営利組織の指定居宅サービス事業者の新設運営研修というのを全国3ヵ所でやっておりまして、100人ずつ計300人ほど出席されてます。その中で約100事業者ぐらいが進出できることになってきているのですが、これはかなりていねいにやっています。2泊3日で基本研修をやって、フィールドワークを3ヵ月ぐらいやってもらって、そしてまた集めて、反省と問題点をやって個別のコンサルティングをやっているのですが、そういうことを一定程度支援しないと、参入がなかなか難しいという面が現実的にあると思います。
後ほど、指定業者の数などが厚生省がお思いになっていらっしゃる程度に出てきているということであれば、あまり気にされることはないのですが、地場企業とかNPO系の団体については、そういう必要性があるかなと思います。
3、4が当事者の立場に立ったことでありますが、介護保険だけでは人間的に生きていけるサービスができないのは明確ですから、いろいろ厚生省も案をおもちなのはわかっておりますが、その枠外サービスを強化する。特に介護保険は受給しないほうがいいわけですから、受給しない人をどうやってつくっていくかという予防措置とか健康増進のところが必要であります。それは、介護保険をスタートする前後を通じて、そういう形の政策展開が行われるべきでありますし、われわれNPOとしては、そういうところを民間の営利事業者と違いますので、大いに頑張ろうと思っておりますので、その点の配慮が必要かと思います。
4点目は、自治体とNPOとの共同。これは、べつに厚生省にここでいうべきことではないかと思いつつ書いたのですが、実はNPOのマターは都道府県ベースが認証するわけで、市町村へいきましても、NPOといってもなにかさっぱりおわかりにならない担当者が多くて、NPOの説明からしているという状況があります。
これは半面、われわれの活動も大したことがないのでそういう状況があるわけですが、われわれはわれわれで一生懸命頑張りますので、自治体とNPOの共同、コラボレーションかうまくいかないと、介護保険そのものの基盤が壊れていくと思いますので、そこら辺についてのご配慮をお願いをしたいということであります。
以上、4点であります。
政策課企画官
- ありがとうございました。
続きまして、中井委員、よろしくお願いいたします。
中井委員
- 保険医療福祉情報システム工業会の中井でございます。情報システムベンダーの立場から提言いたします。
一つは、介護保険料及び本人負担の軽減によりまして情報システムの構築に大きな影響が出ており、それについての提言でございます。今回の介護保険制度の施行上の変更の中で、介護保険料の徴収基準、軽減のほうですが、それから介護報酬の本人負担率の軽減が行われていると聞いておりますが、情報システムの構築に大きな影響を及ぼします。
まず一つは、一部の被保険者に対する介護報酬本人負担率の軽減でございますが、これは、認定が伴うとか、そのためにチェックを行わなければならないとかそういったことがあって、予定外の作業が追加されるわけですが、その影響として、現在、開発の終盤にかかっている情報システムに仕様の追加、変更があらわれてきます。保険者事務システム、または事業者のシステム、国保連のシステムと、ほとんどすべてにわたって追加変更が起こってまいります。
もう一つは、一部の被保険者に対する保険料の徴収に関しての軽減でございますが、これは本人負担率の問題ほどには大きくないのですが、システム開発が大詰めにさしかかっているだけに、大きな影響にならざるを得ません。これも、介護保険者だけでなく、医療保険者に対しても影響してくるということでございます。
複雑な社会システムである今回のシステムを全面的に情報システム化して最初から動かすというのは非常に画期的な事例で、その意義は十分に認識し、私どもは対処しておりますが、ただ、今までのところ、制度の決定が遅れたりしたために仕様の開示が遅く、日程が非常に切迫しております。私どもは、このような制度の円滑な運用のために、重要な役割を担う情報システムの提供を担当する情報システムベンダーとして全力で円滑なシステム稼働に邁進してまいりますが、政府としてもできるだけのご尽力をお願いしたいと思います。
以下、3点申しあげます。
システム開発費用でございますが、これは今まで、開発時期が切迫したり、あるいはいろいろな仕様変更で大変コストがかかる形になっておりますが、今回の変更が非常に大規模なものでございますので、自治体でも原資の点で困難を感じておられるように感じております。したがって、政府のほうから十分な補助をお願いしたいと思います。
また、介護報酬表ですが、こういったものを初めとして、システムの仕様にかかわる事項につきましては、時間が切迫しておりますため、1日も早く開示をお願いしたいと思います。
それから、小さな事業者の方まで非常にたくさんの方がかかわって、たとえば電子請求を行うとか、いろいろな情報システムの取り扱いが必要になってくるわけですが、そのために国保連と事業者とのあいだの、たとえば電子請求のテスト等についても、もう時間がない。非常に切迫した状態でございますが、これも最終的には情報ベンダーにかかわってくるわけですが、テスト環境の整備を早急にお願いしたいと感じております。
もう一つは少し長期的な面で、ケアマネジャーサポート情報システムにつきまして私どもは検討してきておりますが、ケアマネジメントのために情報システムの果たす役割は大きくなり得ると思っておりまして、いろいろな面から検討しております。今回は2点につい要望したいのです。
一つは、介護分野の個人情報保護の標準化という点でございます。一般の事業者における個人情報保護につきましては、JISがようやくできました。まだ法律にはなっていませんが、標準化の方向で動いております。
介護にかかわる個人情報につきましては、自治体ごとに条例等で決まっている面もあり、標準化とはいいがたく非常にバラツキがあって、そのために私どもが情報システムでサポートする面でいろいろな困難を感じております。この点、厚生省から、介護に関しての個人情報は取り扱いが標準化されるような方向でご努力をお願いできればと思っております。
もう一つはケアマネジャーの報酬の点でございます。私どもが申しあげるのはおかしいかもしれないのですが、ケアプランの作成、ケアコーディネーションというのは、在宅介護の質の向上のために非常に重要ではないかと思っておりますが、そのケアマネジャーに対する報酬が少ないと、結局は介護サービスそのものを提供する事業者の方がついでにケアマネジメントをするということになっていって、ケアマネジメントの質の向上があまりうまくいかないのではないかと、僣越ながら懸念しております。この点をよろしくお願いいたします。
以上でございます。
政策課企画官
- ありがとうございました。
続きまして、中熊委員、お願いいたします。
中熊委員
- ペーパーは用意してなくて申し訳ありません。大きく二つ提言したいと思います。一つは痴呆症対策を急ぐべきであるということ、二つ目は利用者が多様な選択肢の中からサービスを選べるようにすべきだ、という点を申しあげたいと思います。
痴呆症対策を急ぐべきという中では、ハード面とソフト面と権利擁護面の三つについて触れたいと思います。
ハード面は、適切な施設整備促進策を講ずべきだということです。痴呆症の方が入っておられる介護施設がありますが、現状のものは、ご家族の肩の荷を下ろすという役割は果たせているのですが、ご本人の尊厳のある生活を保障するのには不十分だと思います。そのためには、グループホームとか痴呆症対応のデイサービス、ショートステイ、そういったものを整備する必要があろうかと思います。これはありとあらゆる手段を講じて整備を進めていかなければいけませんから、補助金によって整備することは当然ですが、民間の自己投資を促進するための施策が必要であると考えます。そのためには、自己投資分の減価償却費相当額を介護報酬に上乗せする、いわゆるイコールフッティングの配慮が必要だと思います。
2番目にソフト面ですが、痴呆症介護についての専門教育を早急に確立して実施すべきだと思います。かなり福祉に力を入れている自治体でも、グループホームが一つもないというのはけっこうあるのです。なぜできないのかというと、痴呆症介護を担うスタッフが育成できていない。グループホームを作っても、ほんとうにそれを運営できるかどうか自信がないということでしり込みしている面があります。研究・研修センターの構想がありますが、各地区に幅広く教育ができるような体制を早急に整えるべきだと思います。
3番目は権利擁護面です。成年後見制度によって財産保全についての仕組みは来年の4月からスタートするわけですが、私が懸念しますのは身上監護についてのことなのです。どのような医療を受けるかとか、終末介護をどのようにするかということについて、事業者からすると、身内の方がいてきちんとご本人の能力を補完していただければいいのです。しかし、それがない場合、成年後見制度でもそれをカバーすることになっていませんから、事業者としては非常に困る状況になります。そういう意味で、身上監護について責任補完体制をどのようにするかということをぜひ考えていただきたいと思います。
大きな2番目は、利用者が多様な選択肢の中からサービスを選べるようにすべきであるという点です。運営基準では利用料金の不合理な上乗せは認めないことになっています。上乗せ価格を払わないと利用できないというのは、利用者にとって非常に不利だということの配慮だと思うのですが、たとえば特別養護老人ホームの個室の利用に差額の徴収を認めるという話もありますが、そこを差額を払わずに利用したいということについては認めないということになると思います。
それと同じように、標準より生活環境を豊かにするとか、人手を増やして個別対応力を高めるとか、あるいはスタッフの質を高めて、たとえば看護婦の数を増やして介護力を高めるというようないろいろな施策をやった場合、当然コストアップが起こるわけです。たしかな質の向上がある場合は、そのコストアップ分を料金に反映することについては十分合理性があると考えていいのではないかと思います。
ですから、利用料金の上乗せを一律に禁止したり、あるいは合理性があるかどうかという判断を行政が行うことについては、利用者の選択肢を狭めることにつながりはしないかと思います。したがって、サービスの質と価格の比較において値打ちがあるかどうかの判断は、基本的には市場、つまり利用者に任せるべきだと思います。値打ちがなければだれも利用しないはずです。
ただ問題なのは、そのサービスの提供が独占状態にあるとか寡占状態にある場合は、なかなか市場のチェックが働きませんから、その場合ある程度の行政の関与はしかたがないかもしれません。統制価格というかそういうものによってやることよりも、利用者がいろいろな選択肢の中からサービスを選べるようにすべきです。それは介護保険の趣旨にも合っていると思うのですが、ぜひそのような配慮をお願いしたいと思います。
以上です。
政策課企画官
- ありがとうございました。
続きまして、長橋委員、よろしくお願いいたします。
長橋委員
- シルバーサービス振興会でございます。資料が用意してございますが、4点ほどお願いをしておきます。
第1点はサービスの評価についてでございます。先般、全国の課長会議がありましたが、その中で、在宅福祉サービスの評価事業といったものを見直しまして、介護保険対象サービスについて評価基準を作成するということでございます。9月30日に中央社会福祉審議会から出されております社会福祉事業法等の改正についての答申の中で、福祉サービスの質の向上のための措置としまして、国は福祉サービスの質の公正かつ適切な評価の実施に資するための措置を講じるよう求めております。そういったことで、そこと今回出されております評価基準の関係につきまして、整合性を十分はかっていただきたいと思っております。
2番目は、税制等の格差是正の関係でございます。介護保険では、民間事業者は他の供給主体と同一要件で参入できるようになっておりまして、また、介護報酬も供給主体を問わず、同額となっております。しかし税制面でみてみますと、社会福祉法人あるいは医療法人などと比べまして、民間の場合、いろいろな税、たとえば法人税、事業所税、固定資産税、こいったことで著しくそういったところと格差が生じておりまして、民間活力の積極的な活用をはかることからも、また事業の運営面、あるいは適正な競争の確保といった観点からも、格差是正についてご努力をお願いしたいと思っております。
3番目は、民間参入にあたっての資金調達の問題でございます。社会福祉・医療事業団による融資の対象事業、先々回も振興課長からお話がありましたが、毎年拡大をされておりまして、非常にけっこうなことだと思っております。特に介護サービスを提供する民間事業者のあいだでは、実際にニーズがあっても、借入要件が厳しいために借入が行われていない状況がございます。事業団等からも聞きますと、ここ2〜3年、貸している実績が皆無なのです。それは、不動産担保をとるとか保証人の資産要件とか、こういった条件がかなり厳しゅうございますので、そういった面で要件の緩和をしていただきまして、民間事業者が借りやすい条件の整備をはかっていただきたいと思っております。
最後に、シルバーサービスの地方振興組織ということでございます。現在、地方振興組織をもっている都道府県は、準備段階を含めまして39県でございます。未だに設置されていない県とか、あるいは設置はされていてもなかなか機能していない県もございますので、民間事業者の健全な振興をはかっていくうえでも、また、民間事業者や事業者への情報提供といったことを行っていくうえでも非常に大事だと思いますので、できるだけ全県に設置されるよう、強くご指導をしていただきたいと思っております。
以上でございます。
政策課企画官
- ありがとうございました。
続きまして、東畠委員、お願いいたします。
東畠委員
- 資料はございません。私からは4点お話しさせていただきたいと思います。ただし、以下のお話はあくまでも私個人の意見でございます。ただそれは、11年間、現場の取材をしてきた、現場を見てきた者と利用者の視点ということから述べさせていただきたいと思います。
まず1点は、何人かの方がたがおっしゃっています評価システムです。これは、評価システムと情報開示、苦情処理、さらに利用者満足度をどう構築するか、この4点が一つのパッケージになるのではないかと私は考えております。その場合、国のレベルではたしかに中立公平なニュートラルな評価システムということになろうかと思いますが、その中に、利用者満足度の視点をぜひ入れていただきたいと思います。
医療評価機構、病院評価の中には患者満足度というのが入っておりません。それについても、利用者の視点は主観であるということから患者満足度というのはたぶん入っていないと思うのですが、介護保険の中では、利用者の満足度をどう構築するかということが第一に必要だと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
さらに言うなら、その場合の評価機関なのですが、これはNPO初め多様な評価機関であってほしい。ただし、その評価機関を評価する仕組み、これは前回も申しあげましたが、それが要るのではないかと思っております。
2点目は、福祉用具活用です。福祉用具の活用は、事業者団体からもお話があったかと思いますが、ケアプランの中にケアマネジャーの方の福祉用具の活用についてのご理解が少ないのではないか。現場を回っておりますと、たとえば要介護度3で自動的にベッドという感じで、参酌水準がそのままにいってしまうのではないかという心配をなさっていることも、一部伺っております。そういう意味では、ケアマネジャーにとって、福祉用具とマンパワーと両方使うことで有効なプランニングができるということをぜひ知っていただきたい。そのためのマニュアルみたいなものがあるといいのではないかと思っております。
3点目はケアマネジャーの研修です。これは現任研修という意味ではありません。現場に帰ってからの研修でも、もちろんどこの研修でもいいのですが、その中にケアプランとかアセスメント方式だけではなくて、ケアマネジャーの情報活用術あるいは社会資源との連携の組み方とか、そういうものの研修を組み込んでいただけないでしょうか。
私は、あるところでケアマネジャー70人ぐらいの方に社会資源のテーマで話をさせていただきましたときに、実際にご自分の地域の資源の中でどういう具体のサービスがあるかというのを挙げていただいたのですが、フォーマルなほうのサービスはご存じですが、インフォーマルなところが目が向いていないような気がいたします。そのあたりの研修という面も必要ではないかと思います。
最後に、これらを通じまして最終的には、利用者の方が選択できるという意味では、セルフケアプランみたいなことまでできるといいのではないかと思います。そういう意味では、一部でセルフケアプランを考えておられる地域もあるようですが、そういうところで何かモデル的にやれないであろうかと思います。
事業というのはいろいろな芽があると思います。たとえば地域性みたいなものが有為に働くような、札幌ですと持ち家率が低いので、高齢者のケア付きではなくて、高齢者の下宿というか高齢者のアパート、三食付きであるとか、いろいろなアパートの形態がたくさん出てきていると伺ったのですが、そういう地域のいろいろな芽をうまく育成、振興できるようにお願いできたらと思います。
以上4点です。
政策課企画官
- ありがとうございました。
続きまして、村尾委員、お願いいたします。
村尾委員
- テクノエイド協会の村尾と申します。福祉用具の関連につきまして、お手元の資料で5点ほど申し述べさせていただきます。
第1点は福祉用具情報の充実ということでございます。福祉用具専門のTAIS(タイス)という情報システムを始めさせていただいていますし、活字情報もかなり膨大な、現在、3300点入っておりますが、カタログを提供いたしております。もっとも、電子情報、活字情報とたくさんございますが、製品情報が中心でございますので、これからはニーズ情報とか使い方情報、事例情報、そういうものの情報のデータベースなりの充実が必要かと思います。
また、活字その他の情報提供ということで、介護保険の対象品目の情報というのも非常に必要性が高いと思っております。
さらに、もう少しわかりやすいCD−ROMとかビデオとか、時代遅れだという人もいらっしゃいますが、現場ではこういうものがまだまだ必要でございますし、さらに進歩しているという点では、バーチャル方式の仮想展示場というものをかつてつくっておりますが、大変評判がいい。いろいろな媒体物が必要ではないか。そんなものを開発させていただきたいと思っております。
情報発信の中心は、社会福祉・医療事業団が大変力を入れていただいていますWAMネットと密接な連携を保たせていただきたいと思っております。
2点目の福祉用具関連専門職の育成では、福祉用具の質の評価、質の判断ということでしょう、選択とか契約などがスムーズにいくためには、利用者のニーズと福祉用具のミスマッチをいかに防ぐかということに尽きるかと思います。利用者はいろいろなハンディをもっておりますから、ナマの情報ではなくて、その情報を詳しくいろいろ分解して転換をして伝達する必要性が高いと思います。
福祉用具専門相談員の研修が非常に進んでおりますが、さらにその人たちが専門的な相談を受ける方、福祉用具プランナーということを考えておりますが、そういう専門職の養成が重要ではないかと思っております。
3点目は福祉用具開発支援体制でございます。いろいろな機器の開発が進んでおりますが、実用化ということがなかなか難しいと思います。特にプライバシーの関係がありまして、どうしても実用化に必要なモニターとかフィールドテスト、こういうものは非常に難しくなっているのだそうでございます。さらに、相当入念に周辺のものを整備しないと製品化して市場に乗りませんので、そういう面の単なる開発ではなくて実用化の周辺の支援体制、そういう仕組みがこれから重要になってくるのではないかと思っています。ユニバーサルデザインとか、リモデリングとか、こういうものも並行して実施する必要があると思っております。
4点目は住宅環境のことで、いろいろ既にお話が出ておりますが、福祉用具と総合的に考えることが重要だと思います。住宅改修というのが大変インパクトが大きくなってくると思います。単なるリフォームという視点ではなくて、また、財産形成にはつながりませんから、しかも現時点の状態ではなくて、少し将来を見据えた改善、そういう視点が必要ではないかと思います。家族環境とか生活環境、地域環境、そういうものとの一体的な促進が重要だと思います。特に介護機器ということから、社会参加の機器という面でのとらえ方の利用者が多くなっていると聞いております。
5点目、福祉用具活用支援センターと書いてありますが、既存の介護実習・普及センターや在宅介護支援センターの機能の強化ということにもなるかと思いますが、情報や人材、評価、展示、工房等による製作、改修、修理、こういうものを専門的また総合的にできる支援のセンター的なものがどうしても必要ではないか。各県で相当充実したところはモデル的にできておりますが、この辺の機能の充実は重要になってくるように思います。
もう一つは、介護保険の大きな目標でございましょう予防とリハビリテーションという面で、地域のリハビリテーション、そういうものの支援との関係を視野に入れていく必要があるように思っております。
以上でございます。
政策課企画官
- ありがとうございました。
続きまして、吉岡委員、お願いします。
吉岡委員
- 資料はございませんので、口頭で発言させていただきます。
私どものセンターは、高齢者の生きがい健康づくりを支援する、これは老人福祉法の規定に基づきまして、こういった事業をやることを目的にいたしました財団でございまして、こういった観点から、いくつか提言、要望等をさせていただきたいと思います。
大きくいえば、老後の生活にかかるリスクとしては、経済的なリスクや身体的なリスク、それに併せて精神的なリスクというのもあると思うのです。経済面は年金でありますとか、身体的なリスクは今回の介護保険とか医療保険とかである程度カバーできる。残された精神的なリスクにどう対応していくか。基本的には個人の問題かもしれませんが、何かこれを公的に軽減をしていく、そんなことが考えられないかというので、生きがい健康づくりというのが行政を含めての大きなテーマになっておるわけでございます。
一つ例示を申しあげたいのですが、私どもがやっておりますねんりんピックという事業の中で、高齢者の「私の主張」という作文コンクールを行っております。12回目になりますが、今年、第2席である知事賞を受賞した方のタイトルは「最後のボランティア」ということで、内容は、死んだあとの献体を希望するというお年寄りの作文でありました。この方は、この作文を書いて提出されたあとにお亡くなりになりまして、ご遺族が福井県での表彰式におみえになりましたが、このように体が弱って人生の最期を迎えようとしておられても、なんとか社会のお役に立てる方法はないかということをいっておられる、大変感動的な作品だったわけです。
審査員によりますと、初めのうちはお年寄りの主張というのは、世の中に対する不平、不満型の主張が多かったのだそうですが、このところ、こういう形で、なんとか社会の役に立ちたいという社会貢献型の作文をお出しになる方が目立って多くなってきているそうであります。
また、元気なお年寄りの方からは、長年、医療保険のお世話にならないで長寿を全うしている。こういう高齢者には、なんらかの表彰ですとか顕彰を行ってもらってもいいのではないかという主張、これもよくあります。
それから、お年寄りがリタイアしますと身分証明書がなくなる。会社などで発行しておりますああいうものがなくなるということで、これは生活上、非常に困ることが多いので、福祉の立場から、これに代わるような公的な身分証明書を発行できないか、こういった声もあるわけです。
いずれも高齢者が老後も生きがいのある生活を送りたいという切実なメッセージを出しておられるということで、医療保険の顕彰の問題などは、メリット性ということで昔からいわれておることですが、なかなかこれは難しいということでありますが、介護保険、いろいろな老後の生活の安定ということで幅広く考えながらシステムをつくっていただくわけですから、元気なお年寄りも、不幸にして介護を要する状態となったお年寄りも、生活に張り合いと生きがいを感じられるようなきめ細かい配慮を行いながら、制度の運営の工夫をしていただければと思います。これは要望でございます。
私どもの財団の事業に関連していくつか要望したいのですが、今日の資料の中にも来年の予算要求資料が出ておりますが、こういった中に、介護保険の認定基準で自立と判定された高齢者に対するいろいろな生活支援を行っていくということが出されておりまして、大変けっこうなことであると思っております。高齢者の生活の質を高めて、精神的にも身体的にも自立した人生を送ってもらうための環境整備に、ぜひ力を入れていただきたい。
私どもセンターは、都道府県レベルの実施機関として都道府県の明るい長寿社会推進機構というのがありますが、これと一緒に国の助成をいただきながら、高齢者の生きがい健康づくりのためのいろいろな事業を行っておるわけでございます。これからは介護保険の保険者であります市町村が中心となりまして、介護予防の観点から生きがい健康づくりに関する事業に積極的に取り組んでいただく必要がありますが、これまでの、特に都道府県の長寿社会推進機構、いろいろな事業をやってきました蓄積やノウハウをもっておりますので、大いにこういうことを活用していただくようにお願いをしたいと思います。
先ほどからいくつかの団体でもご提言がありましたが、市町村などの公的な主体にとどまらずに、介護サービスを供給する民間の事業者でありますとか民間の企業、あるいは非営利団体、こういったものを含めまして、生きがい健康づくりに関する幅広いエルダー市場への参加を促して、活性化をはかっていただきたい。具体的には、民間の知恵、工夫を吸い上げていくことになると思いますが、ぜひ行政においても検討をお願いしたいと思います。
スポーツ活動などを例にとりますと、ねんりんピックの参加者は、都道府県での予選レベルの参加者も含めますとおそらく100万人を超えるオーダーになると思います。こういった高齢者のスポーツへの取り組みは、たとえば医療費の削減にも効果があがっているということが調査研究でも示されておりますし、高齢者にふさわしいニュースポーツの開発・普及なども大変意義のあることと思いますので、ぜひ振興していただきたい。
まとめますと、官民あげての生きがい健康づくりへのいろいろな取り組みをさらに積極的に支援をしていただくこと、介護予防という見地から、元気な高齢者だけでなくて、虚弱な高齢者も視野に含めた高齢者の生きがい健康づくり対策を一層推進していただきたい、この2点を要望をしたいと思います。
以上でございます。
政策課企画官
- どうもありがとうございました。各委員からのコメントにつきましては、当方で、本日もお配りしておりますが、それぞれの論点を整理いたしました資料2及び3に再整理いたしまして、次回に改めて提出をいたしたいと考えております。
本日は、前回までのご意見の整理をいたしておりますので、これを簡単にご説明いたしまして、その後、全体で議論ということにいたしたいと思います。では、説明を簡単にお願いいたします。
老人福祉振興課長
- 資料3が、これまでのご意見に沿った今後の方針を具体的に書いたものでございます。資料4が、この政策会議におけるご意見を踏まえて、介護保険法の円滑な実施をはかる観点から、民間事業者の参入促進のために今後、講じる施策を体系的にとりまとめたものでございますので、資料4に沿ってご説明いたします。
1番目に「利用者本位の介護サービスの実現」でございます。介護サービスの利用が措置から契約に移行することに伴いまして、利用者が適切に介護サービスを選択し利用することができるような環境づくりを進める必要があります。
まず「サービスの評価」です。現在でも在宅福祉サービス評価事業を行っておりますが、これを見直しまして、新たに介護保険対象サービスについて評価基準を作成いたします。これが介護保険対象サービス評価事業で、来年度の予算要求を行っております。具体的には、評価の項目、基準の検討、評価方法、評価機関のあり方などもここで検討していきたいということです。
これは市町村の事業としてということですが、在宅介護支援センターなどにおきまして、利用者がケアプランやケアマネジャー、サービス事業者などを評価するために必要な情報提供を行う。これが、ケアプラン及びケアマネジャー評価事業でございます。
2番目に「選択に必要な情報の提供」です。これは、社会福祉・医療事業団のネットワークであるWAM NETや、在宅介護支援センター、介護実習・普及センターなどによりまして、利用者が自分自身のニーズに合ったケアマネジャーやサービス事業者、福祉用具を選定するために必要な情報を提供いたします。WAM NETは指定事業者情報を既に提供を開始しておりまして、そのインターネットの番号がここに書いてございます。
次に介護給付対象福祉用具情報提供事業は、11年度の2次補正予算案で入れている事業で、何が介護保険の福祉用具になるかというのが具体的によくわからないというご指摘がございますので、介護給付の対象となる福祉用具の事例を作成して、これを冊子及びホームページで、利用者やケアマネジャーにわかりやすくするように情報提供をはかっていきたいということです。
次に、介護サービス情報整備事業(平成12年度予算要求)でございます。これは、幅広く県、市町村がさまざまな情報を提供していきます。事業者の皆さま、利用者の皆さまに役に立つような役に立つような情報を提供していく事業です。
それから、介護実習・普及センターのブランチの増設も予算要求いたしております。
3番目が「重要事項説明・契約の適性化」。適正な利用契約がなされるように、契約書に盛り込むべき事項について通知でお示しすることを予定いたしております。それから、都道府県等において、具体的には在宅介護支援センターなどでも行うことになりますが、契約の中で留意すべき着眼点などの情報提供や相談などを行いたいということです。
これが、適正サービス契約指導事業として来年度、予算要求を行っております。
資料3の4ページの右側の上の欄に、現在までに標準契約書を作成した団体を列挙しております。いろいろなところで作成をしておりますが、こういうものも参考にしていただき、情報も提供しながら、適正サービスの契約の盛り込むべき事項について早急に通知していきたいと考えております。
4番目が「苦情対応」でございます。利用者の苦情に適切に対応し、事業者における適正なサービス契約を確保するために、事業者における苦情対応、市町村国保連における苦情対応を的確に実施する、と書いてございますが、これはまさに運営基準で苦情対応が要請されておりますので、これをきちっとやっていきたい。
それから、実質的にこれを確保するために、担当職員の研修会も実施していくということでございます。
2番目に「事業の健全な振興」でございます。
まず、事業者への情報提供が重要です。まず、在宅介護支援センターなどにおいて、ケアマネジャー、サービス事業者等に対する相談、支援を行う。これは介護サービス情報整備事業といっておるもので、県や市町村をあげて行いたい。
また、新規参入の検討段階で必要となる情報を提供するために、制度、概要、資金調達、人材確保、市場の現状等についてマニュアルを作成する。これは先ほど、制約はないけれど、実質的にはなかなか参入できないというお話がございましたが、まさに参入のマニュアル、体系的に情報を一冊の冊子にしてわかりやすくしたいということでございます。これは今年度の事業として今、作成中でございますので、よろしくお願いをしたいたいと思います。
国民に対する介護保険制度の広報の一つの柱として、事業者参入促進のためのPRを行っていきたい。これは今年度の第二次補正予算案でも、介護保険制度広報活動事業として予算を確保しておりますので、頑張ってまいりたいということでございます。
グループホームや福祉用具、住宅改修について、これも情報提供を狙った事業でございますので、来年度予算で措置しております。
2番目が「事業者への資金援助」でございます。これは融資でございますが、社会福祉・医療事業団の融資対象の拡大をはかっていきたいということで予算要求をいたしております。従来から、訪問介護、訪問入浴、デイサービス、ショートステイ、福祉用具貸与、販売、有料老人ホームについてありましたが、これにさらに痴呆性老人、グループホームなどを対象に追加したい。
それから、措置を受けておる既存の事業者が、移行に伴ってそのつなぎの経費が非常に必要だという議論がございますので、そのための経営の財源も確保しようとしているところでございます。
3番目が「税制面での支援」です。所要の税制上の優遇措置を要求中でございまして、1番目が、介護保険の給付対象事業、過疎地域における国税特別焼却制度や地方税の課税免除、不均一課税の特例の対象として追加を要望いたしております。現在、過疎地域活性化特別措置法が期限が今年度で切れまして、その見直しの時期でございますので、これは今、要求をしておるところです。
これは従来、製造業と旅館業が優遇されておりましたが、これに介護サービス事業も加えてほしいという要求です。
先ほど、生保協会、損保業界からございましたが、民間介護保険加入者にかかる所得控除の創設も要望いたしております。
3番目に「民間介護事業振興のための体制整備」としまして、現在、自主的な取り組みとして、シルバーサービスの地方振興組織が設けられておりますが、都道府県が広域的な観点から民間事業者の振興のために事業を実施するにあたりまして、これらの組織を活用し、体制を整備することが望まれております。先ほどいろいろご紹介しました情報提供などを実施するにあたりまして、これの経費が予算で措置されておりますが、その活動の受け皿として地方振興組織が期待されておるということでございます。
市町村におきましては、在宅介護支援センターなどに地域における多様な事業者間の連絡協議会を置いて、これを事業者間の連携や情報交換の場として活用することを考えております。
実はこれは、11月29日の都道府県の担当課長さんを集めた場で周知いたしております。
以上、簡単にご説明いたしました。
福祉人材確保対策室長
- 介護保険法の施行により、福祉サービスの提供方法が利用制度に移行すること併せて、痴呆性の高齢者等、判断力の低下した者等が、福祉サービスを適切に利用することができるよう支援するために、利用者保護の仕組みを導入する予定です。そのために、以下のような検討を行っています。
1点目は、福祉サービスの情報提供のあり方についてです。
利用者の選択に資するために、社会福祉事業の経営者に対し、情報提供の努力義務を課す及び誇大広告を禁止する、また、社会福祉法人に事業報告書等の開示を義務づける等により、利用者が必要な情報得たうえで適切な選択行動が確保することができるよう支援することとしています。
2点目は、地域福祉権利擁護事業の制度化についてです。
具体的には、平成11年10月から、都道府県社会福祉協議会が実施主体となり、市町村社会福祉協議会及びNPO法人等と協力して、生活支援員等が、判断能力が不十分な者の日常生活を支援するという仕組みを実施しているところです。社会福祉事業法等の一部改正後には、さらに普及を図っていきたいと考えています。
3点目は、苦情解決の仕組みの制度化についてです。
利用者にとっては利用する福祉サービスの信頼性が向上する、事業者にとっては提供したサービスの妥当性が点検できるという、双方にとって有益な仕組みとなっています。社会福祉事業法の一部改正案においては、社会福祉事業者に苦情解決の努力義務を課すとともに、都道府県社会福祉協議会に運営適正化委員会を設けて、事業者段階では解決困難な苦情について、中立・公平な解決を図ることとしています。
4点目は、福祉サービスの第三者評価についてです。
介護保険法の対象サービスについては、事業者は自ら提供したサービスの質の評価を行う必要がありますが、併せて、サービスの質を第三者が客観的に評価する仕組みを設けることについて検討しています。平成11年度においては、福祉サービスの評価基準のあり方や、実際に評価を行う機関が備えるべき要件等について検討しています。平成12年度においては第三者評価事業をモデル的に実施し、具体的な問題を把握し、その解決方法を検討することとしており、必要な予算を確保しております。
政策課企画官
- 前回から各委員からいろいろとコメントをいただきまして、ほんとうにありがとうございます。各委員からのコメント、あるいは前回までの議論を踏まえて整理をいたしました当方での整理と資料、全体を含めまして、これからご自由にご議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
寺田委員
- 前回お話ししまして、それが本日の資料3の中に整理されておりますが、その中で若干補足説明をさせていただきたいと思います。
まず資料3の1ページ、評価方法の中に「サービスの評価は市場が行うべきものである」というような表現をしましたが、これは簡潔にここにこのように記載されておりまして、この趣旨についてもう一度ご説明したいと思います。
このたび4月から実施されます介護保険制度下におきましては、サービスの供給が契約に基づく制度下で、サービスを利用される側の自由な評価にいちばん重きをおくのが原則である、そういうことで、これは原則論でございます。対等の契約で利用者が自由に業者を選択する場合というのは、原則論としては市場が評価を決めるものである。これは原則論をいったものであります。
そのためには、先ほどから何人かの方がたが発言されておりますように、適切かつ詳細な情報が提供されなければ自由な選択はされませんから、情報の提供、それもなるべくきめ細かな情報の提供が必要であろうと思います。そういう点で、右側に今後の方針という中にございまして、利用者のサービスの選択に資するためにいろいろやって、評価基準を策定したり、必要な情報を提供するというのは、しごくもっともなことであると考えております。
それに関連しまして、資料3、2ページの3第三者評価機関に「評価の仕組みに公的な関与を行うことは避けるべき」と記載しておりますが、これは意味が誤解される可能性がございますので、補足説明をさせていただきます。
これは私が前回、オンブズマン制度などに関連しまして、その中で言及した内容でございまして、本日も第三者評価機関、これは重要である。しかしながら、これからは第三者評価というのはきわめて慎重に検討しなければいけないと考えております。評価機関としましては、きちんと国民の負託を受けていないような、たとえば市民団体に安易に行政機関の代理的な立場を与えたりしますと、公的に関与させるようなことになって、ゆがんだ評価システムが生まれてくるので、こういうものに公的に関与させるのは十分に配慮してほしい、そういう観点で申しあげたのでございます。この辺をもう一度補足説明をさせていただきます。
また、先ほど東畠さん、冒頭に池田先生からも、第三者評価についていろいろな意味から発言かございましたが、私はできれば、これから各地域にまだまだ誕生されるでありましょう市民団体のオンブズマン、こういう方がたにはチェックの機能を重点に役割を果たしてほしいと思っております。チェック機能と第三者評価機関というのは区別したほうがいいのではないかと思います。第三者評価機関というのは文字どおり第三者的な評価をするわけですから、前回も発言しましたように、純粋な第三者評価をするという検討を慎重にするべきだと思っております。
それだけ補足説明をさせていただきます。
これが送付されてきまして、担当の者にこれを見せましたら「社長、こんなことを言ったんですか」というから「そうじゃないんだ」といって。さらにつけ加えますと、私はほんとうに純粋な第三者機関をつくるには、積極的に公的機関が関与しなければいけないと思っております。
政策課企画官
- かなり簡略化して書いてしまったもので、大変申し訳ございませんでした。以降は注意して書きたいと思っております。
論点整理のペーパーも、上から評価から始まって、情報提供、順番にいって事業者振興となっておるのですが、今、評価の話なので、わりと評価の関係でご議論いただいて、だんだん下のほうに降りていったらどうかと思うのですが、評価の関係でご意見はございませんでしょうか。
池田(省)委員
- 評価の場合、いったい何を評価するかということで、一つはサービスの効果に対する評価の仕方があると思うのです。提供されたサービスが、ADLをどの程度回復させたか、もしくは悪化をどの程度防いだかという観点から。それと、利用者の満足度とは必ずしも同じものではないわけです。したがって、その二つの点を分けて評価のシステムをつくることが重要ではないかということが1点。
もう一つは、要介護認定のシステムそれ自身が、常に73項目のチェックを最低6ヵ月に1回は行うわけですし、それに対するサービスの提供、すなわちケアプランもコンピュータに入力されるということになると、その相関関係においてサービスの効果の測定が一定程度、科学的に標準化できるのではないかと、これは残念ながら私はその問題についてはしろうとでございますから、その程度しか言えないのですが、それが一つ。
それから、満足度というのはわがままから苦情まで非常にバラツキがあるので、これを標準化することは簡単にできるのだろうか。むしろ多様な利用者の満足度評価みたいなものをさしあたってやって、あまり標準化を急ぐとゆがむのではないか、そういう感じを受けます。
東畠委員
- 評価のことなのですが、私も、利用者満足度はぜひ織り込んでいただきたいのですが、ただ、満足度というのはたしかに統一基準のできにくいものだと思うのです。非常に主観的なものがあります。といって、ここであくまでハードな、たとえば人員基準であるとか、そういう非常にニュートラルでわかりやすいですけど、その分、そこに利用者の主観が入りにくいようなものだけ評価基準を作成していいのかというと、これもやや違うのではないか。
ということを考えると、利用者満足度というのは、むしろいろいろな満足度の、たとえばの話が、はがき1枚置いておいて、それでいかがでしたかと感想を聞くというような、いろいろな指標があってもいいのではないか。その中で、満足というのがプラスアルファの要素としてこういうようなことができるという指標が出れば、そのモノサシを使っていったらいいのではないか。
要は、利用者の視点ということを外すわけにはいかないというのが、私の申しあげたい点です。補足させていただきました。
寺田委員
- 今おっしゃられた内容とほとんど同様なのですが、利用者満足度だけに固執しますと、サービスを提供する側としましては、利用者のやってほしいことをなんでも迎合してやってしまう。ほんとうはそれは、中長期的にみれば利用者の自立支援にはむしろマイナスになるようなことも、利用者がこれをやってほしい、あれをやってほしいというと、それに迎合してしまうような傾向も生じるのではないかと思うのです。
ですからおっしゃられるように、利用者の満足度というのはむしろ一つの材料としまして、本質的にはこれは難しいのですが、専門家の視点を交えましたほんとうの意味の第三者評価というものは那辺にあるのか、これは十分検討すべきだと思います。
中熊委員
- 論点を変えてもよろしいですか。
政策課企画官
- どうぞ、下のほうでもけっこうでございます。
中熊委員
- 今日配られた資料で、契約書とか重要事項説明書の部分がありました。私は日ごろから気にしている部分なのですが、分厚い本になっている資料の6ページから7ページにかけてあるところなのですが「特別養護老人ホーム入所者が病院、診療所に入所した場合、契約を解除できるかどうか」という部分です。ここでは「契約者が連続して〇日以上、病院または診療所に入院すると見込まれる場合、もしくは入院した場合、契約を解除することができる」となっています。こういう入所型の施設、特養に限らず老健も、あるいはグループホームでも同じことが言えますが、こういうことだと、安心して適正な医療が受けられない可能性があるわけです。ですから、そのあたりをどうするのか。
特別養護老人ホームの場合は入所率を95%にみたということですが、それは入院などを想定しているというよりは、むしろ退去者が出て次の人が埋まるまでのタイムラグをある程度想定していることではないかと思います。私も有料老人ホームを経営していたので、そういうことを想定して5%ぐらいの空室率をみて事業計画を立てるということをやっていました。
グループホームの場合は、規模が非常に小さくて入居者は5人ないし9人ですから、1人抜けて入院すると1/5とか1/9という効きになります。そのあいだ、介護報酬が入らないことになれば、事業収支にものすごく大きな影響を与えるわけです。したがって、即契約を解除するということになれば、それこそ入居している人にとっては大変な事態であって、安心して医療も受けられないということになってしまいます。
そういう人たちが安心して医療を受けることを保障するための仕組みを作らなければなりません。介護保険の報酬の出し方、医療保健の報酬の出し方の論理でいえばそういうことにならざるを得ないのでが、もう一つ、それを超える何かの仕組みが用意されないと、ここは大きな問題になるところではないかと思っています。現在、グループホームの入居契約書のひな型を検討しているのですが、そこをどうするかの結論が出ずに、そこでとまってしまっているところがあります。何かご意見があればお聞かせいただきたいと思います。
老人福祉計画課長
- 特養の関係、中熊先生から前からずいぶんご質問いただいて、回答できていませんが、介護報酬で95%の利用率を特養で見込んでいますのは、3ヵ月以内の入院も見込んだうえで実態を調べまして、それぐらいかなということで見込んでいます。
今、現実に特養を、先生が言われたように入院に関係なく単なる入れ替えでという面のベッドの利用率をしますと、特養は大変高くて、98%から99%あります。介護保険に変われば、これも当然変化はしますが。そのうえで99%なり98%で計算しますと、おっしゃったとおり、病院に入っている3ヵ月ぐらいの短期入院ですか、そのあいだの分が、今度は介護保険ですから収入になりませんから、ベッドに出すわけにいきませんから、当然、施設のほうで困りますので、今回の介護報酬の計算上は、95というのはそこを見込んだ形でとらえているわけです。
問題は、施設の面ですが、3ヵ月後にもちゃんと戻っていただけるようなベッドを用意してくださいということを運営基準で義務づけていますので、逆にそれを経済面で保障したいという面がありますから、一つは介護報酬で保障する。
もう一つは、ある程度、空いているあいだのベッドを、ショートステイといったほかにも活用してもいいですよ、そういうことも併せてやろうと思っています。
そういう格好で、施設側に不安を与えない。ひいては結果として入所者も安心して短期入院して、また特養に戻ってこられる、こういう形を目指したいと思っております。
したがってそこは、最後は報酬のレベルの話になりますが、全体としては見込んでいる形で考えていきたいと思っています。
中熊委員
- グループホームの場合はどうですか。
老人福祉計画課長
- 結局は利用率でして、前から先生に単価が低いとずいぶんお叱りを受けていますが、結局、今回のわれわれの実態調査でいっても、たしかに利用率が、当初私どもが考えているグループホームの利用率より低いのです。先ほど言ったように、病院に入ったりいろいろなケースがあったり、その辺は今後、これは介護報酬そのものをどうするかというのを、実態調査を踏まえて今、検討しておりまして、結局はそこの利用率を少しきつい面があると見込むのであれば、単価も少し引き上げるとかなにかしないといけないかなと考えていますが、これは今、とりまとめている最中ですので、もうちょっと待っていただければ、私どもとしてのその辺の考え方をまたご説明できると思っています。
田中委員
- 一つは質問なのですが、資料7で、11年10月末現在の指定事業所申請受付というのがあるのですが、ぼくは全国的なことでよくわからないのですが、このペースでほぼ大丈夫なのでしょうか。家族介護の現金給付といったらおこられますが、それがあるから大丈夫なのか、特に地方の人口数が少ないところをぼくはだいぶ歩いているのですが、ほんとうにこれで大丈夫なのかとびっくりするようなところがまだまだありますので、そこら辺の予測をお聞かせいただけないかということが一つです。
2点目は、池田委員から出されています介護報酬との絡みがあるもので、これは今議論してもどうかなと思いますが、介護職の社会的地位をそれなりにしっかりしたベースになる収入を得られるようにしないと、いい人材が集まりませんから、率直にいいますと、現在の介護報酬ではだいぶ低いなと思っています。
そして、池田委員が言われるように、たとえば65%も出したとしたら、専任でやっていらっしゃる方の給料は、かなりの線出せないということになるわけで、そこらは人事院の勧告の問題とも併せて、介護職の方がたの社会的地位をどうするのかということをはっきりしていく。できれば、看護婦に近い給与所得がとられるような構図にするためにはどうするのかという視点があっていいのではないかと思います。
評価の件なのですが、私どもNPO側で心配しているのは、寺田さんの第三者、第三者と言われるのは何かよくわかりませんが、かつ、あまり行政は出るべきではないと思います。基準等をおつくりになるのはいいですけれども、そもそもこれ以上にならないと指定しませんよという基準を出されているわけですから、そのうえ、あれもこれもといわれると民間の側は大変困りますので、そこは節度をもって行政側は対応されるべきであると思います。
私どもがNPOとして困っているというか大変だなと思っていますのは、ある民間営利事業者がホームヘルパーの研修会で、できるだけ要介護度が多くなったほうが収入が高くなる制度である、よくなった人は、公園に連れていって後ろから蹴飛ばして要介護度を高めるなどと、そういうことを公然とおっしゃっているわけです。そういうことのチェックを早くぼくらはしなくてはいけないと思うし、医者ではないしリハビリ専門でもないわけですから、要介護度をよりよくできるといふうには思いませんが、できるだけサービスをちゃんとして人間的な生活を送れるようにするのはあたりまえのことなのであって、そういう角度から多くの評価委員会が出てきていいと思いますし、そいうところが巷にたくさん出てきて、その評価が間違いであったら間違いで、東畠委員のおっしゃるように、もうちょっと基準をどうするかということを勉強すればいいわけですから、当初はあまりああだこうだといわないで、できるだけ多くの評価委員会が出てくることが重要なことだと思います。意見です。
老人福祉計画課長
- 最初の介護サービスのサービス料といいましょうか、当然、介護保険ですからそれに見合ったサービス料を確保することはいちばん大事になってきますが、おっしゃるとおり、介護保険自体、介護サービスをつくりながら進んでいく面がありまして、たしかに地域別からいうとすべて100%というわけにもいっておりません。
この前、全国集計をしてみたのですが、ホームヘルプぐらいで利用希望者の利用希望料を100とすると、全国平均で80数%ぐらいが準備できるだろう、こういう感じで4月も見通しています。その80数%というのは、平均的というよりはかなり地域性がございまして、おっしゃるとおり離島とか、どうしても採算性の面でつらいところがありますから、そこは民間事業者の方も出づらいという要素を感じております。
私どもは、介護報酬の面でも加算を考えたりいろいろやっておりますが、これはもともと介護保険以前の問題として介護サービスのあり方にかかわってくるテーマだろうという気持ちもありまして、そういう地域型の在宅サービスとは何か、真剣にいっぺん考えないと、今のを訪問系といっていますが、訪問型ばかりで支えきれないような地域がたくさんあるのです。北海道などは住む場所も考えている、そういう実態もありますから、地域社会づくりも一緒にやらないと、単純にお金を出したらそこにサービスが展開するかというと、そうもいかないというのが正直なところです。
もちろんバックアップしていきますが、加えて住まい、地域づくりも介護を通じて必要だなという気持ちはありますし、それはぜひ支援していきたいと思っています。
加えて、民間事業者も大事ですが、行政として市町村がやっている部分がありますから、これも当然展開していただかなければならない地域はまだまだたくさんあるという気持ちをもっております。
施設人材課長
- 介護職の地位を向上させるために以下のような取り組みを行っています。介護福祉士の養成施設の教育課程については、人権尊重等、社会福祉の理念に関する教育を強化する等、介護専門職の資質の向上のために所要の措置を講じたところです。
福祉職俸給表の創設については、福祉職の専門性が評価され、国家公務員に適用が予定されています。地方公共団体における導入ついては、地方公務員法をふまえ、人事委員会において検討のうえ、適切な対応がされると考えています。民間社会福祉法人に働く職員への適用については、民間の給与に関することであり、基本的には労使の合意によって決定されるものと考えていますが、この福祉職俸給表を考慮した俸給表への円滑な移行が図られるよう、所要の財政措置を講じているところです。
寺田委員
- 田中さんが冒頭に、どのくらいの介護サービスの供給量が今後達成されるのかという観点で、資料7の表で質問されましたが、資料7の1ページ、2−1の「居宅サービス種類別申請受理件数の内訳」に営利法人という欄がございます。これが、訪問介護ではこの10月末現在で918。これが、推測でございますが、本年度3月末までには営利法人のほうは2000を超すのではないかと思います。
と申しますのは、それまでに設置をしましても、固定費用が発生するだけでなんにもならないのです。ですから、4月からスタートを切れるぎりぎりまで待って申請をして、という業者がほとんどでございますので、これは少なくとも現在の倍にはなると思います。私はもうちょっといくのではないかと思っています。ニチイ学館自体でもこれから300カ所につくりますので、業界全体としては軽く2000は超すのではないかと思っております。その理由は、先ほど言ったように、今つくりましても一銭の収入も発生しませんから、3月になってというところが多いと思います。それだけご報告しておきます。
菅原委員
- 池田さんのペーパーの中でJカーブ対策としての支援という形で出ておりますが、自治体で要介護認定の申請・認定が始まっていますが、必死でサービス提供事業者を誘致をしてきて、これで大丈夫だというところが、申請受付等をやってみたら現段階では予想よりも申請が少ない。ニーズが立ち上がってこないために、サービスの提供事業者が撤退しかねないという状況が起きているところがあるのです。それの対策をしないと、さて、ニーズが立ち上がったときにサービスの取り合いになるという状況は起きないかなという心配なのですが、ニーズの立ちあがりがどの辺で見通しができるのか、どう予測されているのか教えていただければと思います。
老人福祉計画課長
- 答えになっているかどうかわかりませんが、ある種の消費者教育というとおかしいですが、新聞等で介護保険のことはずいぶんある面で広報していただいているわけですが、介護保険もあるのですが、先ほど家族介護の話がありましたが、介護というものをどう考えるか、国民がそういったことを考えやすい場所をどうつくるのかということに尽きるのかなという感じがしています。
ただ、市町村で今、大変一生懸命やっていらっしゃいますから、日本の国民は非常に情報伝播力が強くて、隣の人が使い始めて、なかなかいいものだと思えば、かなりの勢いでそこは広まっていくのではないかと期待しているところなのですが、何か別のできる手があればそれはぜひとも考えたいと思うのですが、なかなかこれといったものがなくて、少し模索している状態なのです。
桜井委員
- 評価の満足度のところで、ひとり暮らしのお年寄りと家族がいる場合と、かなりあらわれ方が違ってくると思います。私も現場で聞いていまして、非常に難しいお年寄りがひとり暮らしでおられて、私どものヘルパーも、あそこは行きたくないねとみんな言っているのですけど、その方が亡くなられたら、日記の中で「今日はだれだれさんが来てくれ、感謝、感謝」とずうっと書いてある。ホームヘルパーが受けとめているのはいつも叱られているという感じで、ご本人は、亡くなられたあとで日記の中にそういうものがありましたということで、遺族の方からお話があるというケースがあります。
ですから、満足度は非常に大事だと思うのですが、長い目でみていかなければいけない部分と、家族がいる場合は、女性のネットワークの中でも、あそこはこうよ、という話がサッといきますので、それによる牽制がかなり働くのではないかという感じがします。
現状、私も周辺で聞いていましても、うちのおじいちゃんなりおばあちゃんの要介護認定はどれぐらいになるか、それは主婦のあいだで共通の話題になっています。男はほとんどわかっていないのですが、女性の中ではごく一般的な話になっていて、それで牽制がかかってくるのではないかと思います。老人保健施設などでも、私もかなりいい老健だと聞いて見にいっているのですが、あそこへいったら、車椅子で歩けなくなって帰ってきた、こういう情報を全部主婦はもっているのです。ですから、そういうものが徐々に表に出てくるのではないかという感じはします。
今日のテーマと離れるかもしれないのですが、心配していますのは、介護関連事業振興ということもあるのですが、来年4月の施行でうまくいけるのかなという心配があるのです。私も現場から聞いていますと、要介護認定で問題が出るといわれていた痴呆のところがやはり問題が出てくる感じがあって、そのことを通じた不満といいますか、おかしいじゃないかという声がかなり出ている感じがあります。
もう一つは、先ほどどなたかからお話がありましたが、ケアマネジャーのところで福祉用具がほとんどわかっていない。そうしますと、私は厚生省にぜひそういう指導をお願いしたいと思うのですが、福祉用具についての研修を早くセットしてやるような取り組みをしないと、福祉用具でかなり助かると聞いているわけで、その辺をフォローしないと、厚生省が示した参酌基準でやってこうですというだけの話になってしまうので、現在進行している中でものごとがうまく動いていくためのフォローのところをぜひ早くやっていただきたい。
もう一つは、先ほどもありましたシステムのところで、これも厚生省は非常にご苦労されて、現金給付になってしまったので、先ほどのようなお話だと思うのですが、ここのところも非常に大事な話なのですが、みんな様子見にならざるを得ないようなところが。私も現場からはケアプランとの関係ではいろいろなところから働きかけがあるので、どうするかという話になっているのですが、当面、相当膨大なむだが出るような感じもします。その辺も、なかなか決まらないでずれ込んできているところがあると思うのですが、現実の進行の中で皆さん徹夜されてご苦労されていると思って、あまり無理いえないかなという感じがするのですが、急がないことには間に合わなんなという心配をちょっとしているという感じなのです。
菅原委員が言われた関連でいいますと、農村部で私どものいちばんの問題は、家族が面倒をみるものだという意識が非常に強くて、表に出てくるのに相当時間がかかるのです。ですから、たぶん半年で需要が表に出てくるとは思えないのです。ですから、1年とかそれぐらいのタームはかかるのかもしれないのですが、そういう問題があります。
もう一つは、山崎課長からお話があった新過疎法などと関連もあるのでしょうが、住まい方をどうしていくか。デンマークあたりは住宅法でかなり高齢者問題もやられていますが、トータルの仕掛け方をそろそろ考えていただきたいと思います。それから社会資源という点では、都市部を中心にして賃貸住宅の空室という問題もあって、一部、それは厚生省と建設省と組んでやられているところもあるのですが、高齢者優良賃貸住宅など、私どもも現場でいくつかやっているところがあるのですが、行政の補助金が非常に大きいので、行政の今の財政事情で手が出せないという状況にあります。
ですから、住宅問題が非常に大事だというのはある意味ではわかっているのですが、これならいけるぞという施策がまだできていないので、そういった点も含めて、現実の問題との関連でどうするか、それから来年4月にスタートするので、どんどん課題があがってくると思いますので、それを早く解決する作業をぜひお願いしたいと思います。
東畠委員
- 福祉用具とマンパワーのことで2点ほど。
一つは、今お話が出ましたケアマネジャーと福祉用具の関連なのですが、これは、介護サービスか福祉用具かという二者択一的なとらえ方ではなくて、むしろ双方が補い合ってできるというそのイメージが、今のケアマネジャーの中ではなかなかつかみにくいのではないかと思うのです。そういう部分で、これだけ使うと効果があるよとか、あるいはマンパワーにもこれだけ有効であるという、何かイメージできるようなマニュアルみたいなものが必要なのではないだろうか。
もう1点は、社会福祉士と介護福祉士の時間数ですね。増えたと思うのですが、その実習の部分でかなり強化なさっていると思うのですが、中のカリキュラムにそういう福祉用具の活用みたいなことがもう少し増えることができるのかどうかというご質問と併せて、この二つとも福祉専門職ですが、ただ、現場で求められているのは福祉の専門職だけではなくて、むしろ応対であるとか接客であるとか、たとえば総合的なマネジメントとかそういうトータルな、一般企業でしたら企業の社員教育の中でやったりとか、人材教育があると思うのです。そういうもう少し広い視点のカリキュラムみたいなことを組み込むことが可能なのかどうか、できればあればいいのかなということを思いました。
3点目は、介護実習を強化すると、施設のほうでまた現場実習というのを受け入れるのが、大変お忙しい中で困難になってきているような話も聞いております。その手立てがあるのかどうか。
4点目は、特に社会福祉系四大ですが、現状は景気が厳しいので、3年生の後半から就職活動がもう始まっております。そうしますと、社会福祉士を目指す学生たちが、その試験を待つあいだ、就職活動ができないわけです。社会福祉士の試験は4年卒業見込みということでやりますから。これは私自身、解決策のイメージなしに申しあげているのですが、現状では、介護に直接就くたとえばヘルパーさんとか介護福祉士さんは就職率はいいのですが、四大の方の場合ですと、就職活動が今厳しい状況にありますので、その辺、どういううまい手立てがあるのか。なかなか大学のほうに民間の企業の情報はなくて、従来型の就職で社協であるとか施設の生活指導員みたいなところだけですと、どうしても今後も限定されるのではないかと思うのです。
政策課企画官
- 順次、簡単にコメントをお願いします。
施設人材課長
- 社会福祉士及び介護福祉士に関する要望について、以下のように回答します。介護福祉士の養成施設のカリキュラムの中に、福祉用具の活用に関する事項を追加しました。今後も、実際のニーズに合った教育ができるよう、必要に応じた見直しを行いたいと思います。
4年制大学を卒業見込みで社会福祉士国家試験を受験する者の就職活動については、卒業し試験に合格する前提で就職活動するしかないと考えています。
老人福祉振興課長
- 福祉用具の関係でございますが、たしかにホームヘルプの方がた、福祉の専門職の方がたとのネットワークというのでしょうか、連携が必ずしも今は十分ではないという問題があることを私どもも認識しておりまして、各方面の専門家、住宅関係の専門家も集めて、問題点をまずきちんと把握して有効な対策を早急に出そうということで、年内にもその検討の場を設けたいと考えております。
それから、たとえばケアマネソフトの中に福祉用具が入っていないものもあるという問題もありまして、そうすると、たしかに有効に活用されないということもありますので、そういうところからまず改善していきたいと考えております。
先ほどの話ですが、なかなかホームヘルパーの需要が立ち上がらないのではないかということです。これは前回も申しあげましたが、過疎地域のモデル事業というのを私どもはやっております。その結果をみましても、過疎地においては食わず嫌いという状況があります。ただ、その中でも、実際にサービスを受けてみると非常にいいということがわかって波及して、徐々に需要が増えてきているということもありますので、市民一般への介護サービスについての広報がまだまだ必要かなという認識はもっております。
そこで、補正予算も来年度の予算も使って広報活動を積極的にやっていくしかないなと。事業者の皆さま方にも積極的にPRしていただき、行政のほうでもこの制度の意義をPRしていくしかないのではないかと考えております。
菅原委員
- 広報はよくわかりますし、今はそれしかないだろうということも非常にわかるのですが、広報して、こういうサービスがありますよといっても、たぶんニーズはそんなに立ち上がらないのではないか。サービスがみえないとたぶんニーズはあがってこないのではないかと思うのです。サービスがみえたときに一気にあがる、それまでサービスの提供事業者の方がどこまで我慢して準備して待っていていただけるのか、そちらのほうが問題だと思うのです。
介護保険は理解したとしても、実際に使ってみるか・みないかというのは、具体的なサービスを入れた人が増えてきて初めて、先ほどおっしゃったように、うちも、うちもという形になるのではないかとみているのですが、そこまでの我慢をどう支援できるのかということもサービス振興策の一つだと思います。
池田(茂)委員
- 介護保険の問題は多くあります。このような状況の中で積極的な事業展開は難しい。
従って、当社は一部の地域では撤収しています。それは、要望書を出していますが、これをみても採用してもらえないようですから。現実に厚生省の皆さん方、一生懸命、来年4月から施行できるよう、やっていると思うのですが、介護機器のレンタル事業者に於いては、たぶん全国で誰もやらない地域がたくさんでてくると思うのです。
私共の会社へ是非やってくれと来ていますが、制度上の運営基準で全てを満たすことは実際面で難しいと考えています。先ほど菅原委員からもあったように、運営基準を満たさなくても保険料を払ってくれる制度があれば、要するに知事とか市長との契約でやってくれと来たら、「ではやります、だけど保険は払って下さいよ」と言う仕組みが何かないと、今も話がありますが、やってくれと言われてもやれないのです。
過疎地とか離島については、宅急便等を利用して配送する仕組みが必要です。そういう方法をとらないと、それらの地域にいらっしゃる、高齢者への方々へのサービス提供ができません。
私共の会社もやりたいのですが、それが基準外だと言われると出来ないです。そこに市長なり県知事の、違反だけどとりあえずやってくれと言う、覚書かなにかがあって、「こういうふうになっているのだからやっているんですよ」というものがないと怖くて出来ないです。こういう考え方をしないと、今後も問題が沢山でてくると思います。
政策課企画官
- いろいろとご意見をいただきましたが、なかなか答えにくいところかもしれませんが……。
寺田委員
- そういう面はたしかに存在します。ただ、民間事業者はかなり考えていまして、先ほども、3月に設置しないと固定費用がいっぱいかかってしまうので、ぎりぎりまで待って戦略を踏んで設置していくのだと。今の介護サービスと福祉用具の関係も、水面下ではどんどん融合が進んでいます。これが表面化してくるのは2月か3月です。そして、かなりやったなという部分も出てくると思います。
ですからこの辺については、厚生省もこまめにその関係者を招いて、状況がどこまで進んでいるかというのを確認されたほうがいいと思います。進むことは絶対です。ただ、完璧にいくかどうかはわかりません。
政策課企画官
- 時間も超過をいたしております。今回の議論はこれまでにしたいと思います。
当初の資料にもございましたが、この会議の整理といたしましては、論点ペーパーを整理しつつ、施策体系として整理している2〜3枚の紙をこれからどんどん充実していきたい。たとえば施行までにとるべき措置で今やっていないことがあれば、ここにどんどん盛り込んで具体的にご説明していくことにしたいと思います。
次回は1月に開きたいと思いますので、それまでの間にわれわれといたしましても、いろいろなコメントを踏まえまして、できるところ・できないところを整理いたしまして次の資料を出したいと考えておりますので、ご協力をよろしくお願いしたいと思います。
本日は、お忙しいところをほんとうにありがとうございました。これで会議を終了させていただきます。
−了−