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医療保険福祉審議会 第22回運営部会議事要旨


1.日時及び場所
平成11年12月8日(水)13:00〜15:00
特別第一会議室

2.出席した委員等
塩野谷、見坊、下村、中西、村上、青柳、喜多、山崎、柳、水野、堀江の各委員
高梨、赤司の各参考人

3.議題

(1) 検討項目について
(2) その他

4.審議の概要

1)はじめに事務局より、議題「検討項目について」に関する資料の説明があり、その後、発言及び質疑応答が行われたが、その概要は以下の通りである。

(塩野谷部会長)

○ 1の薬剤一部負担の廃止に伴う負担をどこでまかなうかということで、2「老人一部負担」でまかなうというものと、4、5、6の若人あるいは一般の人の給付費削減でまかなうというものと大きく2つの枠組みが考えられると思う。個別の議論にあたっては、この枠組みを念頭においてお話頂きたい。

(青柳委員)

○ 議論を進める上で、薬剤一部負担廃止による影響額の粗い試算(平成12年度概算要求ベース)である4,900億円について、詳しい説明をお聞かせ願いたい。以前、厚生省からは8,100億円という数字が出され、私どもはこれに対し、3,900億円+αという数字を示したが、なかなか理解を得られなかった。1週間前から新しい数字が出され、これにあたっては、推計の仕方、方法論等変わっていることと思うが、まず、確認であるが、 8,100億円のうち、実質部分が3,200億円、波及効果部分が4,900億円ということでよいか。

(事務局 畑保険局調査課長)

○ 8,100億円の内訳については、青柳委員のおっしゃる通りであるが、端数処理の関係で給付費の波及効果の部分は5,000億円となる。

(青柳委員)

○ 前回推計と今回推計の老人、若人別の実績部分と、波及部分の数値をそれぞれ呈示していただき、後日わかりやすく絵柄として書いた資料を提出願いたい。また、前回推計と今回推計の根拠となる論理構成と方法論の概略について、説明して頂きたい。

(事務局 畑保険局調査課長)

○ 資料についてはわかりやすい形で整理した上、次回の運営部会で提出することとしたい。
○ 前回推計では、給付費の増加額は老人が3,500億円、若人が4,600億円であり、波及効果を含むトータルの増加額は、8,100億円であった。このうち、一部負担の額そのものを除いた給付費の波及効果全体としては5,000億円であり、そのうち老人が2,300億円、若人が2,700億円であった。今回の推計では波及効果分は全体として1,700億円であり、このうち、老人が800億円、若人が900億円である。
○ 波及効果を見込む上での考え方であるが、まず、平成9年健保法改正の医療費縮減効果を説明すると、平成7年度〜8年度の2年間の1人当たり老人外来医療費について、医療費改定や休日の多寡の影響を除いた平均の伸び率が3.9%であり、平成9年9月の健保法改正実施後の平成10年2月まで半年間の医療費の伸び率が▲1.4%だから、医療費の縮減効果は▲5.1%となる。平成9年改正では老人外来一部負担が1月1,020円の負担から、1回500円で4回までの負担に改正されると同時に薬剤一部負担の導入もあり、2つの一部負担の見直しが同時に行われた。平成9年9月から半年間の、高齢者の患者負担の増加幅は外来定額負担の見直しで、0.3%、薬剤一部負担導入で2.5%であることから、9年改正の老人外来における医療費縮減効果▲5.1%をそれらの計数で按分して、▲4.5%を薬剤一部負担導入による医療費縮減効果と算定した。

(青柳委員)

○ 申し訳ないが、口頭での説明では分からないので、詳しいことは後日資料をもとに説明していただきたい。

(事務局 畑保険局調査課長)

○ そのようにさせて頂くが、先ほどの説明の続きを簡潔に申し上げる。従来の推計では、先ほどの薬剤一部負担導入による縮減効果の逆として、医療費の波及増は4.7%と見込んでいた。実績としては、11年7月は患者負担が軽減されたことについての患者等への浸透度の低さから波及増が低く出ており、8月は波及増が相当程度出ている。先の予測は非常に困難であり、今回の推計に当たっては、11年7月〜9月の実績値を単純平均した医療費の伸び率と平成10年9月〜11年6月までの10ヶ月間の実力ベースでの医療費の伸び率から波及効果を算出した。その結果が1.6%と3分の1程度に小さくなり、波及分の5,000億円は1,700億円に縮小することとなった。

(青柳委員)

○ 99年1月21日に臨時特例措置が決定され、この7月から実際に施行されているが、その際の国庫による1270億円の算出根拠は何であるのか。また今までの説明によれば、当時の予算措置とは違うものとなっていると理解しているが、それについてどう考えるのか。依然として生かされているのか。

(事務局 畑保険局調査課長)

○ 当時の予算編成時の波及増の見込みと8,100億円の算定時の波及増の見込みは老人について4.7%と同率である。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 当時の数字は古い推計であるので、来年度予算要求に当たっては、新しい推計に置き換え、波及増の数字についても見直していきたい考えている。

(青柳委員)

○ 実質今年の7月から国庫から支出がなされているわけであるから、当然、算定が置き換えられてしかるべきだと考えるが、古い数値計算のまま予算執行すると考えていいのか。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 老健拠出金の賦課額は予算で決めており、4月の段階で賦課し、その後実績が出てくるが、これについては、平成13年度の予算の中で、精算という形で事後的に調整されることになる。

(青柳委員)

○ 何故、算定根拠なり方法論について詳しく聞いたかと言えば、我々が目にする資料や数値が安易につくられる傾向があるからだ。これらに基づいて我々は何ヶ月も議論するわけであり、数値計算が曖昧であるなら、議論しない方がいいぐらいだ。算定根拠等を明確化した上で議論をすることが必要である。
○ 昭和58年に老健法が施行されて以来、平成4年以降6年間にわたり、毎年自己負担増はあるものの、それ以外の根本的な改正を伴わない改正が続いている。これがまた今年も続くのかという憂いがある。
○ 高齢者については、来年4月1日からは介護保険が施行され、施設における長期療養については、医療と介護が一体的に受けられることになる。しかし、在宅療養に関しては、一定のインセンティブを与えないと、皆施設介護に移ってしまうことを危惧している。高齢者の一部負担の問題を考える際には、在宅療養における介護保険と医療保険の併給という問題を根っこにおいて頂きたい。

(堀江委員)

○ 一保険者として申し上げるが、薬剤一部負担の廃止については、政党側で廃止したからそれを前提として議論してくれということであるが、政治的な決定事項と行政対応は別物であるのではないかと考える。薬剤一部負担の廃止を議論するのであれば、そもそも、平成9年改正時の附則に戻るべきである。そこでは「保険財政等を配慮して3年以内に見直す」とあるが、薬剤一部負担を廃止できるような財政状況の変化などあったであろうか。むしろ逆ではないか。私は、薬剤一部負担の廃止を前提としての議論はそもそも必要ないものであり、議論すべきというなら合理的な根拠を示して欲しい。また、薬剤一部負担の廃止の影響は保険者に求めるのではなく、国庫負担で責任をとるというような政策決定がなされるべきである。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 薬剤別途負担が導入された当時の趣旨は、薬価制度の抜本的な見直しについて具体的な方策がない中で、薬剤使用の適正化を行うというものであった。自民党の「基本的な考え方」の中で、薬剤一部負担の廃止は、薬価制度の見直しの中に位置づけられ、R幅の廃止や先発品と後発品の薬価算定方式の見直し等のセットになっており、これらの方策により薬剤使用の適正化が図れるという趣旨により、廃止が決定されたものと理解している。
○ 保険者財政が決して良くなっていないことも承知しているところであり、薬剤一部負担をただ廃止するというのではなく、保険料への影響を如何に吸収できるかという観点で他の項目についても検討項目としてあげさせて頂いている。趣旨として、薬剤一部負担の廃止をして、その後放置して、それをそのまま保険料の上昇に繋げようというつもりは我々は決してないし、自民党の方もそのような発想ではないのではないかと思う。

(堀江委員)

○ 政党政治が最終的に決めるということについては、私としては疑念のないものであるが、前回にも話があったが、審議会は厚生大臣に対し、行政的な在り方について議論をし、答申することになっている。そう考えると、政党政治が決定した薬剤一部負担の廃止に当たっての財源問題を議論することについては、合理性が認められない。

(村上委員)

○ 厚生省はがんばってきたというかも知れないが、今まで4年間抜本改革の問題に携わり3度、厚生省に騙された。最初は介護保険導入時で、当時の議論では、高齢者医療制度の抜本改革を行い皆様には迷惑をかけないということだったので介護保険の導入を認めたのに、現実は、保険料上限の問題にまで繋がってきている。2回目は、97年の2兆円の負担増を求めた改革であり、当時、2000年までに4本柱の抜本改革を絶対に行うということであったが、その道筋すら見えていない。3回目は2年前の予算編成時。退職者の老健拠出金の算定方法の見直しについてだが、ここでも改革なき負担増が行われた。金がないという割には、診療報酬は1.5%上がっている。今回も、前回同様、我々に改革なき負担増給付削減を求めている。仏の顔も3度までであり、4度目も同じことをするとはどういうことか、伺いたい。
○ 残念なことに我々被用者は、3年連続の年収減、失業者320万人、自殺者数3万人強という社会状況にある。失業者自身の給付日額も今年は歴史上初めて削減となった。このような状況の中で、予算編成のため、改革なき負担増給付削減を押し通そうというのは、基本的なものの考え方としておかしい。一方、日本医師会は3.6%の診療報酬引き上げ要求を中医協に提出したとのこと。我々はマイナス改定が必要だと当部会で何度も言っている。それなのに、医師会との調整がつかなかった時のために我々に改革なき負担増と給付削減を求めるのはどういうことか。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 改革なき負担増とのご指摘ですが、薬剤一部負担の廃止は薬価制度そのものの見直しの議論の中でセットで出てきたもの。ただ廃止をすれば保険料に跳ね返り、村上委員のおっしゃる通り、失業者も増え、賃金も下がる中で、保険料増を求めるのは大変困難であると思われる。そこで、老人一部負担や高額療養費の見直しについて、どこまで財政影響を埋められるのかを検討しているところである。老人一部負担には、若人と老人の負担の公平のあり方といった観点があり、高額療養費の見直しでは、負担に所得の多寡や医療費の大小といった切り口を導入するかといったことが入っており、長い目で見た場合の医療保険の在り方についての切り口になるようなものも入っている。よって、単なる穴埋めであり、改革なき負担増を求めているというわけではないと考えている。

(村上委員)

○ 長期的に見て重要な問題に繋がるというのであれば、何故こんな暮れの時期に出してくるのか。もっと前からきっちり議論すべき。予算編成のためとしか思えない。私どもは、これ以上、被用者保険と国保の間で押しつけ合いをしたくないと考えている。そんなことをしても抜本改革をしなければ結局は一緒。我々は2年前にも予算編成の為ということで騙された。2年前と同様、予算全体の中で何とかしたということにならないのか。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 予算編成の中でどこからかお金が出てこないかということだが、厚生省全体の予算の中から出すにしてもそう簡単に出せるものではないと認識している。

(村上委員)

○ 2年前も同じ答弁であった。我々にまた騙されろというのか。これ以上は我々としても責任が持てない。

(見坊委員)

○ 抜本改革については後ほど発言するとして、薬剤一部負担の廃止の影響を勘案して老人一部負担の水準を議論するというのは納得がいかない。平成9年の改正時において、老人の自己負担は外来でほぼ倍増したと同時に薬剤の別途負担についても課されることになった。我々は、やむをえないと考え、審議会の意見書にもその旨が記され、守ってきた。しかし、今回の薬剤別途負担の廃止は、審議会とは関係なく決めたことであり、負担増については国庫負担で行うのが筋ではないか。別途負担の廃止は我々の方からやってくれと言ったものではなく、決めたところで協議し、善後策を講じるのが筋ではないか。

(下村委員)

○ 平成9年度の改正時には、高齢者と若人の負担のあり方の議論があり、組合健保としても一挙に2倍の負担増はどうかという議論もあったが、取り敢えず財政状態が良くなり、介護保険の導入に併せて、抜本改革を行うということで納得したのだが、資料の中で「当面講ずべき措置」と書かれているところを見ると抜本改革はあきらめたのかと思わざるを得ない。
○ 抜本改革はやらないのか。4,900億円だけ埋めて欲しいということなのか。その辺の基本的な考え方について、示して頂きたい。4,900億円だけを埋めて欲しいということならば、議論に応じられないという議論も当然出てくる。ここではいろいろな検討項目が出されているが、それを全部実行しても、新聞によれば、2,000億円ほど足らないという。そこで足らない分を保険料を上げて対応するということであれば、そんなことが果たして抜本改革と言えるのか。
○ どこの保険者も保険料をあげ続けるしかないというのが現状。特に、平成12年度からは、介護保険の負担が出てくる。これに伴う地方の直接の財政負担は少ないとは言え、地方財政自体が大変厳しい状況にある。また、国保に関連する検討項目が少ないが、国保は保険料を引き上げればいいやと思っているのか。
○ 抜本改革はやめたのか。やめたのであれば次はいつやるのか。4,900億を埋めたとしてその後はどうなるのかといった抜本改革の全体として取扱いがどうなっているのかを明らかにして欲しい。
○ 検討項目については、別紙がついて具体性が若干増したが、財政影響の記載が抜け落ちている。このままでは前回の議論を蒸し返すだけだ。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 抜本改革全体との関係であるが、4本の柱については、診療報酬と薬価については、中医協でご議論していただいているところであり、高齢者医療については、制度企画部会での2つの意見をいただいたが、具体的な案の呈示には至っていない。医療提供体制は医療審議会でご議論していただいているところであると以前報告させて頂いた通りである。本運営部会は所掌上、現在の制度の運用上の問題について中心ご審議頂くこととなっており、制度の構造そのものの審議については、運営部会以外で行われている。本日示した検討項目だけを見ると、抜本改革に関する案が全くないように見えるが、我々としては、抜本改革の流れの全体の中での項目としてお示ししているわけであり、そういった点につき、ご理解頂きたい。
○ 本日の検討項目には、前回までの議論で具体的な話に入っていなかったので、数値を入れることはせず、議論の手がかりとなるべき考え方をお示しした。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 見坊委員のご指摘についてだが、制度企画部会では、薬剤の問題とは切り離した形で、老人については概ね1割程度の定率負担の導入を認めるということで、一部の委員から定額負担の可能性を含め慎重に検討すべきとの意見はあったものの、結論を頂いているところ。一方、これとは別に自民党の方では薬剤一部負担の廃止との関連で、高齢者1割負担の導入が決められた。今回はこの二つの流れを受けた形で提示させて頂いた。高齢者の定率負担については、運営部会では議論されておらず、これからご議論頂くこととなるが、審議会全体としては既にご議論いただいているものと認識している。
○ 拠出金の問題については、抜本改革までの間ということで、2年前に改正が行われたが、2年前と当時で状況が変わっていることや抜本改革の思想に合うような形でさらに改正すべき点もあるのではと考え、お示ししたものである。

(下村委員)

○ 抜本改革までというのが、いつまでなのかということを聞いている。本当に抜本改革をやる気があるのか。まずそれを明らかにする必要があるのではないか。
○ 見坊先生にしても、自己負担が今後2割や3割になるかもしれないという状況では、1割の負担を認めるにしても説明をするのに不安なのだと思う。保険料も同様のことが言える。当面介護のことがあるので、政管健保のことを考えると95パーミル位まで上げなくてはいけない。そしてその後はいくらまで上げればいいのか、展望が示されていない。こういったことが示されるのが構造改革であるが、示されないのでそれまでの間と言われてもどうしようもない。
○ 中医協でも言ったが、現在の状況は平成9年の予算編成時に非常によく似ている。当時も金がないということで、初年度500億、平年度で1000億円の国庫負担の肩代わりを我々は押して付けられた。これにより被用者保険の平成9年改正の効果は吸い上げられてしまった。しかし、その翌日、1,000億円ものお金を工面した。我々はあんなことをやって欲しくないと思っている。全体としての考え方が示されることなく、自民党が決めた4,900億円の負担増に対応するためお金を掻き集めることばかりを議論しようというものであり、4,900億円を埋めた後はどうなるというのか。また、足らない部分は保険料を引き上げればいいと考えているようにしかとれない。具体的な議論をするにも材料がそろっておらず、こんな状況で長々と議論しても意味がない同じことの繰り返しになる。

(喜多委員)

○ 抜本改革を行うと言いつつ、そのための案が一切出てきていないのがそもそもの問題であり、いままでの議論に繋がっているのだと思う。
○ 薬剤一部負担の財政影響を議論する前に、前回にも聞いたが、薬剤一部負担の廃止は誰がいつどこで決めたのか。これについてははっきりしていない。はっきりしていないものについての財政影響の対応策について我々に聞かれるより、厚生省がどう対応するのかということを示していただき、それについて、我々審議会は審議すべきであると思う。前回と重複するかも知れないが、問題があると言っているところだけを決めておいて、そのツケだけを保険料に回されては困るわけであり、制度をつくり、廃止を決めた者たち自身に、対処する責任があるはずだ。

(見坊委員)

○ 高齢者に対して負担増の説明をするには不安があるだろうということだったが、不安どころかそもそも説明がつかない。日本全体で医療費が毎年1兆円づつ増加する中で、高齢者だけで年間5,000億円の医療費増をもたらし、抜本改革をやらないと若人に迷惑をかけているということで、高齢者にも負担増が求められてきた。これに対し、合理化する部分はないのか。今後は国民医療費がこの位の水準になるので、高齢者としてはこれぐらいの水準の負担が必要だということがないと、その都度その都度の理由付けではもはや納得できない。
○ 国民健康保険料を払っていないと言われたり、病院をサロン化している等、老人だけが甘えているかのような印象があるが、老人にも金を持っている人といない人がいる。高齢者医療制度の改革の行方について、ある程度説明がつかないことにはどうしようもない。

(下村委員)

○ 老人の一部負担について、1割を超えない負担と書いてあるが、これは老人の薬剤一部負担の廃止の分だけを補うという意味か、あるいはそれとは別に単に原則1割負担を求めるということか。
○ 高額療養費の引き上げについて具体的な説明を聞きたい。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 高齢者の一部負担の在り方については定率負担等複数案が考えられるが、負担上限を考える上では資料072の4.以下に示している、高額療養費制度や現行の高齢者の自己負担の水準等を勘案せざるを得ないのではないかと考えている。
○ 資料072の2.の二つ目の○の、財政影響を勘案してという意味には、高齢者の分だけを賄えばいいのか、あるいは全体として見るべきなのかといったさまざまな考え方があり、これと関連して月額の上限額をいくらとすればいいのか、といった点で議論をしている。
○ 高額療養費については、その金額は現行、平均標準報酬の22%の水準となっているが、これを25%に見直す。また、資料072の4.の2つ目の○については、所得の高い順から並べて20%までを対象とすると月収56万円が一つの区分となるが、これらの上位所得者については別の負担を求めることとするのか。さらに3つ目の○については医療費の大きさにかかわらず定額負担となる高額療養費にも医療費に応じて例えば最低率である1%の自己負担を上乗せすべきか、といったことを検討している。

(下村委員)

○ 上限を設定するということであるが、本当にできるのか。市町村や医療機関では事務的負担が増えるはずだが、これについては納得しているのか。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 限度額をどの程度にするかによって変わってくる。償還払いによる仕組みが可能なのかどうか等、実務上可能かどうかということも併せて今後ご議論をいただきたい。

(下村委員)

○ 今後議論する時間はあるのか。実務的に無理ではないか。資料067の2.の2つ目の○と、4.の2つ目との関係はどうなっているのか。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 資料067の2.の2つ目の○については、老人の一部負担によって、老人の薬剤一部負担の廃止の分だけを考えるのか、若人の分も含めて考えるのか、といった意味を含んでいる。

(水野委員)

○ 根本的なところでボタンの掛け違いをしているのではないか。
○ 経済が右肩上がりでないと社会保障は難しいということがあり、加えて現在景気が非常に悪いため、政治家も思い切った決断ができず、場当たり的な対応を繰り返すことになる。その場しのぎの対応でなく、21世紀の社会保障の姿を示すべきである。現在行われていることは、問題の先送りばかりではないか。
○ 薬剤負担の廃止が政治的に決まって、事務局としてはその穴埋めを検討せざるを得ない状況になっているというのが実際のところではないか。21世紀の社会保障の姿が示せないのであれば、問題を先送りせざるを得ないのではないか。
○ 今日は、検討案に対する答申案をまとめるのか。

(塩野谷部会長)

○ 今日は答申をまとめるつもりはない。

(高梨委員)

○ 薬剤別途負担の廃止が前提になっているが、そもそもの別途負担の導入の目的を思い出すべきである。薬剤使用の適正化という役割が、今の段階では達成されているとは思えない。
○ 仮に廃止するとしても、4,900億円の財源探しという問題に議論を矮小化すべきではない。抜本改革に向けての議論をすべきである。
○ 抜本改革については、他の審議会で方向を出しているということであれば、この場では財源の話に限って議論してもよいが、そうはなっていない。
○ 制度企画部会の意見では、老人について定率一割負担にすると書いてある。また、平成8年の医療保険審議会の検討の際も、定率で行うと書いてあるのに、今回の提案では「一割を超えない負担とする」とは、厚生省の抜本改革に対する姿勢に疑いを持たざるを得ない。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 薬剤の一部負担廃止については審議会の外で決まったことは確かである。ただ、それであるにも関わらずご議論をお願いしているのは、現行制度では政府と与党が一体となって案をまとめる必要があり、そういう意味で一から審議をお願いするという通常の審議会の手続きとは異なっているけれども、厚生省としては自民党から示された基本方針を踏まえて具体案を作る段階にあり、また、来年早々には制度改正案を諮問し答申をいただくという手続きも必要となるので、できるだけ早めにご審議いただきたいということで、ご理解をいただきたい。

(村上委員)

○ 社会部会の決定をもって自民党の決定と見なすのか。また、与党は自民党だけではないが、その自民党の合意をもって与党全体の合意とするのか。
○ 介護保険では社会部会の決定と行政の決定が食い違っているが、その整合性はどうなっているのか。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 自民党において最終的に決定が行われるのは総務会であるが、それは一番最後の段階であって、それまでの過程においてはそれぞれの部会において議論を行っている。現在我々が置かれている状況は、案を煮詰めている段階であり、そういった意味では、部会で出された方針を踏まえて検討を行うということについてはやむを得ないものと考えている。

(村上委員)

○ 2年前も同じような状況であったが、結局その時の約束は反故になってしまった。今回はどうなるのか。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 今回の審議会の運営は、2年前の反省を踏まえて行っているつもりである。当時間際になっていきなり案を出されても議論できないということであったことを反省し、できるだけ早く皆様にご議論いただきたいというスタンスで臨んでいる。

(下村委員)

○ 抜本改革については自民党でも必要性を認めているはずであり、その基本的な考え方をはっきりさせる必要があるのではないか。厚生省として、どのような方針で臨むのかを示すべきである。
○ 保険者としては、現実的に平成12年の運営をどうするかという問題が生じてくるわけであり、基本的な方針を決めてもらわないと困る。
○ 早めに示したいということであるが、予算の内示が12月20日頃にあるとすれば、既に間に合わないという段階である。厚生省として、この事態にどう対処するのかという方針を示してもらわなければ、議論できない。

(山崎委員)

○ 国民が納得できる理由のない負担増は賛成しかねる。
○ 根本的な理念の議論なくして、財源捻出のための負担増の話だけをするのでは国民も納得できない。
○ 議論するとしても、具体的な資料やデータがなければ議論できない。

(堀江委員)

○ 保険者として、財政収支の健全性確保という観点から考えると、老人一部負担については他の部会で示されているように定率一割負担という案が採用されるべきではないか。
○ 高額療養費については、国保財政上は大きな負担となっており、仮に所得との関連で給付と負担の公平性が確保できるという案が示されるのであれば、議論の対象としてしかるべきである。
○ 入院医療に係る患者負担については、議論の材料となるような具体的な案を示すべきである。

(柳委員)

○ 本日の提案については、現行制度をどう改めるかという観点から行われている。高額療養費の見直し案については、給付を所得に応じて見直すということであり、現行制度における、所得に応じた保険料負担と給付の平等という理念に反するものではないか。これについては、むしろ制度全体の見直しの中で議論すべき問題と考える。

(村上委員)

○ 2年前とどう違うのかという答えがない。中医協と併せて議論しなければ、結局2年前と同じことになってしまうのではないか。
○ 高額療養費や食事負担の見直しについては、規模は小さくても考え方の変更を伴うものであり、さらに議論が必要である。
○ さまざまな方策で財源をひねり出しても、その先にあるものが見えない。

(塩野谷部会長)

○ 本日の検討案については継続審議とする。
○ 各項目を議論せよというならば、もう少し具体的な数字を入れた案を出していただきたい。
○ 問題設定自体がおかしいという意見を考慮に入れて、全体の問題の構造についてもう一度整理してもらいたい。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 次回は12月13日、午後1時30分から3時30分までご議論いただければと考えている。

(塩野谷部会長)

○ それでは本日はこれで閉会とする。

(了)

問い合わせ先 保険局企画課 北波(内線3228)


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