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医療保険福祉審議会 第21回運営部会議事要旨


1.日時及び場所
平成11年12月1日(水)16:00〜18:00
特別第一会議室

2.出席した委員等
塩野谷、見坊、下村、中西、村上、青柳、喜多、野中、山崎、柳、水野、堀江、蒲生の各委員
平井、三尾の各参考人

3.議題

(1) 検討事項について
(2) その他

4.審議の概要

1)はじめに事務局より、議題「検討事項について」に関する資料の説明があり、その後、発言及び質疑応答が行われたが、その概要は以下の通りである。

(塩野谷部会長)

○ 本日の説明に含まれている問題は、非常に広範囲であり、議論の異なるものであると思われるので、以下の3つの問題群に分けてご議論頂きたいと思う。1つ目は、新しい問題提起となり、最後に、国保課長の方から説明のあった、海外療養費と住所地特例の問題及び国保財政に関して、2つ目は資料069の最初にある抜本改革と運営部会の関係に関して、3つ目は本運営部会が直接に審議を求められている諸問題に関してである。まず、一つ目の国保課長の扱われていた問題についてご意見を頂きたい。

(下村委員)

○ 国民健康保険財政について、平成11年度予算状況とか、平成12年度見込みについては、資料がないのか。

(事務局 渡邊保険局国民健康保険課長)

○ 本日ご説明致しましたのは、平成10年度の決算見込み。平成11年度、12年度の資料がないかとのことであるが、3200余りの市町村保険者の予算等のとりまとめは行っておらず、恐縮ながらそういった資料は現在持ち合わせていない。

(下村委員)

○ 何もないというのは困る。資料によれば、平成9年、10年と国保は保険料を上げており、平成11年度も多少上げているのだろう。平成12年度は介護の保険料の徴収が始まるのだが、これに際して一般の保険料を引き下げる余力があるかどうかが12年の見通しとしては重要。保険料は上げるつもりなのか否か。老人拠出金が減るので引き下げられないという発言が以前あったが、国保課としてはどのような判断をしているのか。

(事務局 渡邉保険局国民健康保険課長)

○ 資料の071を再度見ていただきたい。5頁には平成6年以降これまでの財政状況の推移が示してある。平成10年度の見込みは平成7年度8年度と同様に推移するというトレンドが見て取れるかと思う。
○ 6頁には、平成元年以降の市町村国保の収納率の推移が示されている。市町村国保は事業主から頂くというわけにはいかないので、普通徴収という形で一戸一戸頂くことになる。ここ数年、経済上、家計上の困難があり収納率は低下傾向にある。11年度、12年度に関しても介護保険の導入に当たり、この収納率の低下傾向の改善の見込みがない中、収入面で大変厳しい財政運営ということになろうかと思われる。その意味でも介護保険の円滑導入に当たって、国保における収納率の確保の面で一定の対策を講じているところ。
○ 11年度、12年度の支出面については、抜本改革の議論の中で当部会で審議頂く内容も含めた個々具体的な議論の整理を頂いているところ。その中で、市町村に対しては早急に財政展望を予算編成基準と併せてお示ししたいと考えている。いずれにしても、財政状況については、非常に厳しい展望を持っている。

(堀江委員)

○ 住所地特例の見直しについてだが、介護保険制度においても施設地ではなく当初住所地とすることで結果として保険財政の収支を図っているということであり、医療施設への入院も入所前の住所地とすることを特例ではなく、原則とすることが現段階としては適当なのではないか。

(事務局 渡邉保険局国民健康保険課長)

○ 住所そのものは住民基本台帳法上の原則に従うことになる。一方長期入院になるかどうかは入院を決める際の医師の判断に基づくことであり、住民基本台帳法の運用通知上も、医師の判断により1年以上の長期入院となる場合には、住所を移すこととされている。国民健康保険の運用上の原則と住民基本台帳法上の原則を切り離して接合し、実務上混乱なく行うよう検討する必要がある。
○ 医師の判断が長期入院ということであれば、住民票は転居していても、もとの被保険者証は返還せず、医療保険の給付はもとの被保険者証で受けるという点では正しくご趣旨の通りであるが、短期の入院に関しては、住民票の移動もなく、それについても原則をひっくり返すということは、法律上も実務上も整合性がうまくとれないと思われる。

(堀江委員)

○ 今の説明で結構。長期入院者の住所の変更等に伴う、市町村保険者としての保険財政上の支障を勘案すると、説明にあったように住民基本台帳との整合性をとっていただいて整理していただくよう重ねてお願いしたい。

(野中委員)

○ 住所地特例の見直しの問題は介護に一番大きな問題を与える。例えば、養護施設から特養にいわゆる措置替えがあった場合、特養のある市町村の方で重度心身障害者認定を含む介護認定が発生することになる。これでは大都市周辺の市町村の負担が増え、大都市を逆に助けてしまうことなる。原住所に一回返した上で再度措置替えをしないと市町村の負担は膨れるばかり。特養の問題は50年後半から60年にかけて出てきたが、介護と特養の問題は連携させて対処しないと、施設を持つ市町村に負担のしわ寄せが来ることになる。そういった点を十分検討して欲しい。
○ 抜本改革の問題については、審議会や運営部会で12年度の実施に向けて議論されているところだが、自民党では、薬剤別途負担の廃止という決定がなされたと新聞紙上では当然のように書かれている。財源確保の方策が決まってのことなら理解出来るが、それも明確にならないのに、薬剤別途負担の廃止だけが独り歩きするのは如何か。我々は審議会で聞かれている立場でもあり、薬剤別途負担の廃止という結論は、誰が何処で出したのか聞かせて欲しい。

(塩野谷部会長)

○ その問題については後ほどしかるべき時刻にふれさせて頂きたい。海外療養費について、何か意見はありませんか。

(堀江委員)

○ 当然導入すべきだと思う。制度的に抜け落ちていたのだろうと思う。是非取り扱いを変えて頂きたい。

(見坊委員)

○ 海外療養費の件は当然導入すべきだと思う。実際に困っている。
○ 国保財政について、保険料収納率が平成元年から一貫して低下しているとの説明があったが、これは全国的な数字なのか。都市部と町村部では地域差はあるのか。国保の収納率の低下の問題は、介護保険の導入との関係で重要になってくる。高齢者の介護保険の保険料徴収は1年から1年半の間猶予されるが、本来的には、介護保険料は納めるものと理解している。1号被保険者の殆どが国保の被保険者であり、高齢者は、今後、国保の保険料と合わせて介護の保険料についても納めなければならないということで、国保の財政について、かなり不安に思っているところである。国保の収納率は、所得階層によって差が生じているのか、また、若年層と中高年層では事情が異なり、中には意識的に納めない層がいるのではないかと思うが、収納率の低下についての原因や事情を分析し、わかりやすく説明して欲しい。

(事務局 渡邉保険局国民健康保険課長)

○ 収納率については、関係資料を改めて整理し、お渡ししたい。
○ 人口規模で見ると、全体的には収納率の若干の低下が見られるが、その中でも100%収納を維持しているところや、収納率が上昇しているところもあり、さまざまであるが、収納率の低下については重大な問題であると考えている。
○ 所得階層で見ても、失業によって国保に入られる方については、保険料の徴収が容易でない等の問題があり、一概に所得の多寡だけでは判断できない面がある。

(塩野谷部会長)

○ 次に、資料069の1〜4について、審議を行う。

(村上委員)

○ 資料069の1.薬価制度の見直しについて、自民党の方針に従って中医協で検討を行うのか。
○ 資料069の3.高齢者医療制度の見直しについて、前回の運営部会では、制度企画部会で検討する、という話であったのに、今回の資料では、それが落ちている。また、次回の制度企画部会の日程についても未定であると聞いている。検討をしないで、実現が難しいとはどういうことか。

(塩野谷部会長)

○ 高齢者医療制度の見直しについては、制度企画部会では議論を終えており、厚生省に案を作るよう申し入れているところである。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 薬価制度の見直しについては、資料069の1.1)R幅方式の見直し、2)先発品・後発品の薬価算定ルール、3)画期的新薬、希少疾病用医薬品等の薬価算定ルール、については、自民党の方針と方向性は一致している。これをどのように進めていくかについて、現在中医協で議論を行っている。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 公費負担の在り方、保険者の在り方等、大きな論点があり、今の段階ではまだ成案を得るに至っていない。これについては引き続き努力を続けていきたいと考えている。ただ、当面の対策として、来年度から一歩でも改革の歩みを進めるということで、経過的な措置もあわせて考えていくということである。

(村上委員)

○ 薬価については、自民党の案以外の案については考えていないということか。
○ 高齢者医療制度については、制度企画部会において4つの案が提示されたが、その後、厚生省において具体的にどのような検討を行い、どういった経緯で今に至っているのかを説明してもらいたい。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 薬価については、今年の4月に自民党において案が白紙に戻され、その後、10月に自民党の考え方が示された。このような経緯を踏まえると、現行の公定価格制を前提として、最大限改革を行うものと受け止めているが、公定薬価制を前提として検討する限り、結果としては目指す方向は自民党の考え方と一致している。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 昨年の11月の制度企画部会の意見書では、突き抜け案と、高齢者の単独の保険制度についての案という2つのご意見をいただいた。その後、財政試算や実務面での詰めを行うために、本年の1月から議論を行い、8月に再びご意見をいただいたところである。
○ このような経緯を経て、制度企画部会での議論を踏まえた厚生省でのとりまとめのご指示をいただき、私どもとしてもこれまで真剣に検討を進めたが、さまざまな論点があり、また、状況の変化もあって、いまだに明確な方向性が打ち出せない状態である。
○ 当面のところ、抜本改革の思想に沿うような形でできるところから進めていくということで、今回議論の進め方をお示ししたところである。

(村上委員)

○ 資料069の2ページの3.2)と、同9ページの5.(3)との関係はどうなっているのか。資料を素直に読めば、抜本改革を行うまでは、3.2)に書いてあるような修正はできないということではないのか。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 法律の条文の中の時期については、参議院で修正が入ったものであり、抜本改革を早急に行うべきとの趣旨ととらえている。法律の趣旨に照らして、抜本改革までの間という形で措置した制度についても、もう一度、見直すことが必要であるのではと考えた次第である。

(村上委員)

○ 附則に反しても見直しを行うということか。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 抜本改革が行われるまでは、現行の制度が存続するものと考えているが、そうであったとしても、その制度が適切かどうかについてもう一度見直しを行う余地があるのではないかと考えている。

(村上委員)

○ 抜本改革が実現するまでは、附則の規定を修正することはできないという趣旨ではないのか。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 修正すべきではないというご意見もあるとは思うが、さらに経過的な拠出金の合理化についてご議論いただけないかと考えている。

(村上委員)

○ 当時修正を行った参議院の議員は、そのような趣旨ではないと言っている。それを行政庁が勝手に趣旨を判断して、措置を講じるというのは問題である。

(下村委員)

○ 高齢者医療制度の問題は、制度企画部会ができる前から検討課題に上がっていた。それなのに未だに成案が得られないのは、本当にまとめる気があったのか。そもそも、問題を整理せずに議論しても、まとまらないのは当たり前であって、それを盾にとって結論が得られないというのはおかしいのではないか。
○ 現在の老人保健制度は、財政調整の要素が大きくなりすぎて、保険の機能が果たせなくなっている。
○ 3年前に介護保険の議論をしたときに、厚生省は、介護保険制度を突破口として、高齢者医療制度の改革も行うと約束した。今になって介護保険制度はできたが、医療保険制度の方は全く進んでいない。一体どうなっているのか。
○ 国保の12年度の財政状況についての試算を出していただきたい。12年度の姿が見えないのに、対策は立てられない。

(野中委員)

○ 高齢者の保険料負担が軽すぎるのではないか。若者との負担の公平ということを言うのなら、介護保険と同じように、医療保険についても高齢者に一定の保険料負担を求めるべきである。
○ 高齢者医療制度については、本当に意見を一つに集約できるのか。今回の当面の対策というのは、問題の先送りではないのか。
○ 新しい制度の実現のためには相応の時間が必要とは、どういうことか。もし、制度企画部会の意見がまとまらないというのなら、審議するのをやめてしまえばいいのではないか。いつまでも問題を先送りにすれば、結局住民が保険料の負担増で困るという事態になる。
○ 医療保険制度を支えていくためには、結局は公費、保険料、拠出金のどれかで負担していかざるを得ない。今回の高齢者医療制度の見直し案の中で、保険料と拠出金だけに触れて、公費について何も言及がない。正面から、公費でこれだけ拡充します、だから保険料・拠出金や患者負担も引き上げて下さいと言えば良いのではないか。

(下村委員)

○ これまでの経緯を振り返れば、保険財政が危うくなると保険料が上がり、またしばらくして財政危機になると保険料上げを要求されるという繰り返しである。大切なことは、将来の展望であり、それを作るようにするのが抜本改革ではないのか。
○ 抜本改革ができないとすれば、それから先のプランを示す必要がある。抜本改革ができるようなことを言って、結局保険料だけを上げるという話になるのは納得ができない。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 負担について公費で支えていくにしても、財源の問題もあり、はっきりした形で示せないというのが現状である。
○ 当面の対応については、まさにこの場でさまざまな改革案をご検討いただきたく、お願いしているということである。

(村上委員)

○ 厚生省のために保険があるのではなく、被保険者のために保険があるのであって、予算のつじつま合わせのために改革ができないというのはおかしい。
○ 介護保険導入のとき、また、平成9年の健保法改正のとき、抜本改革は平成12年までに行うという約束ではなかったのか。その約束を守らずに、予算を組めるように審議をお願いしたいといわれても納得できない。

(柳委員)

○ 高齢者医療保険制度の見直しが老人加入率上限だとか退職者医療拠出金の話になってしまうと国保とそれ以外の保険者に関する非常に小さな議論になってしまう。それを防ぐために、あのような附則が付けられたのではないか。附則の精神を是非尊重して欲しい。

(水野委員)

○ 何故うまくいかないのかという理由を皆が聞いているのに、役所は現状説明に終始しており、下村先生からも怠慢だと非難されている。金平部会長の制度企画部会においてもポシャっており、何かやろうとしても誰かが必ず反対する。これに加えて右肩上がりの時には楽でも右肩下がりの時には難しいという社会保障の本質論もある。しかし、ではどうするのか、こうやるんだ、ということが出てこないことが問題。
○ 豊かな老人から自己負担をとればいいという主張も分かるがそれだけではだめ。リストラや合理化等、いろいろなことをやらなければならない。国民にとっては喜んでもらえることもあるかもしれないが、結局のところ負担増となるのが21世紀の社会保障であろうと思う。これに対してこうやるんだと言う大物がいなくなったのもうまくいかない理由の一つだと思う。
○ 政治がやるんであれば、審議会のある意味がないとの意見書が当部会で出され、出したことについては、活字になることもあり、結構であるとは思うが、審議会は本来政治の前で無力である宿命であり、我々の心境を伝えるものにはなってもほとんど影響力のないもの。
○ 総論賛成、各論反対という人ばかりの中で、多くの問題を統合し、「やる」という人が見当たらないし、そういった人を探し出すのも困難。
○ 我々より遙かに頭のいい役人はそれも分かっている筈だと思う。確かにわかっていてもやらなければならないこともあろう。ただ、何をやってもうまくいかないということがありすぎで委員の皆さんの批判を買っているのだと思う。役所が「こうやってやろう」ということをすべき。
○ 前々回の運営部会で、近藤局長とはエール交換をさせていただいたところであるが、せっかく局長になったのだから、満身創痍、辞表を出すことになっても国民になるんだという案を出すべきである。そうでないなら、審議会など辞めて、政治の選択に従い、我々は次の選挙での投票で投票しないといった意志表示をするようにするべき。審議会にもその選択が問われている。
○ 医師会にしても健保連にしても国保中央会にしても反対することはある。しかし、何らかの改革を行わないと最期に割を食うのは国民であり、2010年にはお金がなければ医療も介護も受けられないという時代を迎えることになる。役所がやろうとしても世の中が応じていないという側面はあるが、空元気でも局長は決意を表すべきだ。

(事務局 近藤保険局長)

○ 高齢者医療については、私も1年半の間携わったわけであり、戦犯の1人。2年前の平成9年の改革の時に抜本改革を行おうと言った時に我々に嘘はなかったと思っている。財政改革法が成立した当時においては、財政改革を行うには社会保障を抑えるしかないという勢いであった。しかしその後、経済が急速に低迷し、財革法や介護保険法が成立した時には環境が変わってしまった。平成9年までは大改革に必要とされる大きなフォローの風が吹いていたのだが、それがなくなってしまった。この風は厚生省だけでは吹かしきれないもの。経済対策一辺倒となり、負担増が求められない中で老人医療費だけが伸び、我々は立ち往生しているというのが現状だろうと思う。
○ 一本にまとめろというお話ですが、これは財源の問題であり、税の問題である。我々に何処まで期待しているのか分からないが、厚生省で何とかできる問題ではない。
○ 老健局の企画課長が先程全体の見直しという発言をしたが、与党3党では2005年を目処に高齢者医療も含め、財源の2分の1を公費負担とすることで合意しており、これからは財源問題が焦点になるかと思う。財源問題が解決されれば保険者の問題も解決されるもの。これらは正に政治の世界で対処すべき問題であり、我々としては政府として協力し、事務的に遺漏のないようにしなければいけないと考えている。努力しても結果が出てないだけに努力しているとはいいづらいというのが、実態ではないかと思う。

(下村委員)

○ 負担増は求められないと言いつつ、検討項目として挙げられているのは負担増の話。これは一体どう考えているのか。見坊さんが1割ぐらいの自己負担は辛抱しようと仮に老人クラブの人に言うとしても、抜本改革はどうなったのか、保険料を上げなければいけないといった何らかの説明が必要。検討項目だけを示すのではなく、仮に実施した場合にはどのような効果が現れるかといったことや、やれないならこの後はどうするのかということを示すべき。今後、政治任せで厚生省は一切イニシアチブをとることはないというのであれば、審議会などやめて、国会議員と話したほうがいいということになる。いずれにしてもこれだけでは、議論のしようがない。

(事務局 近藤保険局長)

○ 検討項目には、薬剤別途負担の廃止に伴う患者負担の問題は当然入っている。野中委員は「薬剤別途負担の廃止はとんでもない」とおっしゃっているが、現実問題として、薬剤別途負担の廃止の方針は与党の決定事項として出てきたもの。これに対しては政府与党との関係上、対処せざるを得ない。最終決定ではなく、十分な協議が行われるべきではあるが、このような政府としての立場を踏まえて申し上げているのであり、抜本改革について、我々は全く努力しないと言っているわけではない。

(村上委員)

○ 97年の負担増を決めた時は自社さ政権であった。その時に抜本改革の大枠が示され、それに基づいて議論がされてきた。そして現在は3党合意であるというが、2005年まで政権が続くということは誰が保障するのか。政権が続けばやりますけど、続かなければやらないというように近藤局長の先程の答弁は聞こえるが、行政の責任というのは何なのか。行政としてやるべきことはやらなければいけないとはよく言うが。2005年までは我々としてはどんな審議をしても意味がないとなるわけであるが、97年に自社さが決めたことはできない2005年まで待ってくれと言われても我々としてはどうすることも出来ず、その間に保険はパンクする。

(喜多委員)

○ 私も役人をやっていたことがあり、局長が本心をそのまま述べているとは考えないが、税の問題については厚生省ではどうしようも出来ないと言ったことは気にかかる。どんな制度でもお金の問題は関わっているわけであり、大蔵省がお金をくれないから仕方がないという意識を持ってもらっては困る。事実介護がそうであり、与党三党が公費の投入を突然決め、市町村は大混乱に陥った。当初全て国の責任で対処するはずであったが、家族介護の10万円の給付も半分は市町村が負担させられるようになるようだ。これは市町村に悪役になれというもの。厚生省は勇気を持って案を示し、我々と力を結集して政治家を洗脳することが必要。水野委員が厚生省がイニシアチブをとってがんばってやれよと言っているが先程からの返事は元気がない。
○ 野中委員の質問の答弁が残っているが私からも質問したい。薬剤別途負担の廃止は何処で誰が決めたのか。財源の目処はたっているのか。私はたっていないと思う。財源の目処がたっていないのに、ツケだけを保険者に負担しろと言われても困る。影響額の試算の結果の説明があり、老人については、自己負担の引き上げで対応するかもしれないが、若人についてはどうするのか。保険料を上げるのか。お金の問題はきっちりしておくべきだ。臨時特例措置を導入した時もほとんどの委員は将来大丈夫なのかと反対したが、この段階で保険者の方で料率を上げるなりしてなんとかしろと言われても我々にそんな能力はない。国のやったことのツケだけ回されてものめない。

(平井参考人)

○ 役人の経験がないので局長の答弁は素直に受け止めさせて頂いた。冒頭の課長の説明で、今回の改革と抜本改革との関係について話があったが、改革の機運のあった平成8年当時とでは状況が違うのだということ、自民党から出された費用増の案に対して負担増の案を作成したと局長の答弁は率直なものであると思う。但し、抜本改革の問題を曖昧にしたままでは無理があるということを日経連としては、申し上げておきたい。

(見坊委員)

○ 私がここでYESと言えば良さそうな意見が多いが、そう簡単に言えるものでもないことはご理解頂けていると思う。10年来の拠出金の分担の問題があり、抜本改革も言われ出したのは大分前になる。以前は与党三党にも呼ばれて我々としての考え方をきちんと言った。現在は制度としての姿が見えず、全国の高齢者に対する説明も出来ない。特に介護保険については、180度の転換である。高齢者も若年者も生活は厳しいのであるが、介護の保険料と医療の保険料は別々ではなく、一緒の財布から出ていく。そんな中、抜本改革の方向性ぐらいは出ないものかと思う。
○ 高齢者医療制度は制度企画部会では意見がまとまらず、厚生省にて一本化に向け検討を行うということで下駄を預けられたのであるから、回答はまず制度企画部会に対して行ってはどうか。事務局の腹とはいえ、全体の改革案を出さずに検討項目だけを今ここに出すのはどうか。老人の一部負担も両論併記となっているのであり、企画部会で基本的な制度のあり方について、中立公平な意見をもとに諮るべきである。部会の役割分担も曖昧になってきている。基本的な制度の有りようが示されないと筋として通らず、私としても説明がつかない。所得の多い高齢者も出し渋っているわけではなく、きちっと筋がとおり条件が通れば出すと言っている。
○ 高齢者も国民健康保険その他の保険料を支払っている筈。高齢者が何か得をしているかのごとく言われているが、保険料というより国保税になるが高齢者の支払い状況について説明した資料を提出して欲しい。
○ 尚、各保険制度の共同事業として高齢者保健制度があるわけだが、各制度における扶養家族の保険料はどうなっているのか。介護では1人残らず保険料が課されることになったが、医療も今後そうなっていく。年金にも関わることだが、ある程度の資料を出して欲しい。そういった筋が通れば我々としての意見を出したい。

(野中委員)

○ 診療報酬体系の見直しのところで、12月15日、17日の中医協総会で平成12年度の診療報酬改定の方向性について審議するとあるが、改定の方向性としては下げることもあり得るものと捉えたい。経済がこれだけ疲弊している中で、医師会だけが錦の御旗のように引き上げを要求していることは時代錯誤も甚だしい。我々も我慢しようということで引き下げを提案するぐらいの謙虚さが医師会には欲しい。引き下げもあり得るということで厚生省も腹を括り、皆で痛み分けするということでないと医師会だけが1人勝ちということでは我々も保険者を返上していく決断をせざるを得ない。
○ 冒頭に申し上げ、先程喜多委員の方からもお話があったが、薬剤別途負担廃止の影響が保険者に跳ね返り、被保険者の保険料増や負担増を求められても、我々に事前に何の相談もない話であり、到底受け入れられない。

(堀江委員)

○ 医療制度の抜本改革の話とは別に、運営部会の論議の生産性について申し上げたい。検討項目があがっているのはいいが、政治的な決定事項にについては、その枠内で議論するということなのか、それとも政治的な決定事項とは別に、我々としての方向性を出そうということなのか。薬剤別途負担の廃止は既に決定事項だとの局長の発言があったが、これと平成9年改正の附則との整合性はどうなるのかという議論までするのかということ。いずれにしてももう少し具体的な案を示して頂き、それに対して是か非か、行政に対して言うのが部会長の前回の発言にもあったが、我々の役割であると思う。

(下村委員)

○ いずれにせよ、項目だけ出されても何とも議論が出来ない。項目を出したということは厚生省としてもそれなりに何かがあってのことだと思う。薬剤別途負担の廃止に関しては、先程の野中委員の意見に全く同感だが、これをやればどうなるかという検討がつかないと議論が出来ない。今のところは、抜本改革はやらないのか、医療保険はそのまま潰れるに任せるのかという質問をしたぐらいの状況だ。将来を見据えての考え方について説明が必要。

(塩野谷部会長)

○ 皆さんの発言はもっともであり、基本的に同意見。審議会の役割は厚生大臣に対して政策立案に当たっての知恵を授けること。厚生大臣は一方で国会や政党との関係で政策をつくっている。我々は我々としての考え方をまとめるればいい一方、出された意見や発言への具申も行うものである。幸いにも当部会は公開されているので、問題点をパブリックにお伝えする役割も持っている。そのような大きな次元の中で政治や行政があるわけであり、我々としては未だ希望を失ってはいないし、失うべきでもない。次回は今日とは違うと言えるような資料が出てくることを期待する。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 本日の議論を踏まえ、これだという決めうちのものが出せるかどうかということはありますが、皆様が議論しやすいような材料を最大限努力してご用意させていただきたいと思います。次回の日程は12月8日13:00から、次々会の日程は12月13日13:30から15:00を予定しています。

(塩野谷部会長)

○ 本日はどうも長時間ありがとうございました。

(了)

問い合わせ先 保険局企画課 北波(内線3228)


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