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HIV診療支援ネットワークシステム部会
(第7回)議事概要


1.日時: 平成11年11月8日(金)13:00〜16:00

2.場所: 厚生省別館第二会議室(5階)

3.出席者:  (厚生省) 小田政策医療課長、塚原政策医療課高度・専門医療指導官、
山本運営企画課補佐、井口エイズ疾病対策課補佐、
三森医薬安全局医薬品副作用被害対策室補佐
(国際医療センター) 木村ACCセンター長、岡臨床研究開発部長、
秋山情報システム部長
(国立大阪病院)白阪臨床研究部ウィルス研究室長
(原告団・弁護団)東京4名、大阪2名
*青木、安岡委員欠席

4.議題: (1)管理要綱(案)、運用管理細則(案)の取扱いについて
(2)A−net参加(第4次募集)に対する説明会について
(3)拠点病院への拡大スケジュールについて
(4)A−net試験運用に関する評価について
(5)その他

5.議事要旨

(1)管理要綱(案)、運用管理細則(案)の取扱いについて

○管理要綱(案)については、平成10年11月16日から施行し、今後、この要綱を改訂するときはA−net部会において行い、運営協議会に報告する。また、運用管理細則(案)についても、平成10年11月16日から施行とすることについて、事務局より説明(資料1)
→特段の意見なく、原案について了承された。

○疫学的研究等申請取扱細則(案)について、平成11年7月1日から施行とすることについて、事務局より説明(資料1)
→特段の意見なく、原案について了承された。

○運用管理細則(案)の一部改正(資料6)について、パスワード変更を3か月行わなかった利用者の取扱いについて、従来は研修会におけるセキュリティ対策10か条で説明しているが、明文化して細則に盛り込むことと及びこれにより登録を削除された者の再登録について、事務局より説明(資料6)
→特段の意見なく、原案について了承された。資料6の運用管理細則(案)の変更部分を含め、平成10年11月16日からの施行とし、以後は変更する毎に改訂としていくことについて了承された。

(2)A−net参加(第4次募集)に対する説明会について

○11/4、5の両日に厚生省所管国立病院以外の拠点病院に対する説明会を開催した。利用者としては、21施設29人が受講したが、今週、模擬データの入力等を実施し、本日の部会において了承されれば、来週にも合否判定を通知したい。まだ回線が繋がっていない施設については、接続次第、研修会以外の3点セットを実施して参加させたいということについて、事務局より説明(資料2)
→特段の意見なく、原案について了承された。

(3)拠点病院への拡大スケジュールについて

○厚生省所管国立病院以外の病院については、10月5日から北海道のブロック拠点病院が加わり、一応全てのブロックに拡大された。10月19日に今後の希望調査を実施したが、11年度中に導入を希望している施設は20か所、12年度中は25か所であった。今後は、11年度で機器整備が終了したところは、12年4月以降のA−net参加を考えているということについて、事務局より説明(資料3)
→特段の意見なく、原案について了承された。

(4)A−net試験運用に関する評価について

○試験運用を開始してから約1年が経過したこともあり、A−netについての評価をまとめた。事務局として総括的なまとめを発表。(資料4のP2〜3)

○診療側委員からA−net利用者としての評価を発表。(資料4のP4)この資料の他、患者さんは個人情報を入力されることに依然不信感を持っている人や患者さんのメリットが解りにくいため、参加を保留される方もいる。

○A−netシステム管理者としての評価を発表。(資料4のP5〜6)参加者数が最初は少なく20%位しか合格しなかった時もあったが順調に増加してきた。登録者が減少しているのは3か月ルールで削除されたため。利用者からの苦情もあったが、そこは厳密に対処した。名寄せの数が増えないのは、セカンドオピニオン的にして欲しいという利用者からの声が寄せられいる。患者さんからは、データをプリントアウトして欲しいという要望があると聞いており、そこは今後の課題だと思う。

原告団:

試行期間中に検証すべきことは事務局が総括したとおりだと思う。試行期間中だけではなかなか評価しきれないところもあり、今後拡大してからの問題もある。ハード面については皆さんの評価で良いと思うが、施錠できるところにきちんと保管されているかどうか定期的な検証は必要だと思う。本運用すること自体は問題ないが、今後のフォローアップは必要。

原告団:

この部会の中でプライバシーの問題がきちんと担保できないとだめだと思う。定期的なフォローアップはやはり必要だと思う。プリントアウトは患者の間でも可能にして欲しいという話はあるが、今後の検討課題として、十分な議論が必要。

原告団:

1年位試験運用を行ってきたが、何の役にたっているのかはよく解らない。セカンドオピニオン的な話は直接医師から聞いたが、そうなったら使いやすいシステムだと思う。また、A−netと電子カルテのことは一番最初に議論していたとおりであり、同じに論じられては困る。

厚生省:

電子カルテは当初議論していた時と情勢が変わり、厚生省として本年の4月に一定の基準を満たせば電子媒体による保存を認めることとなった。そのため、選択するかどうかは病院側の裁量であり、今までみたいに紙でなければいけないというものではなくなったことは理解していただきたい。

厚生省:

セキュリティはハードと運用との両方で担保すべきものであり、現状では院内LANすら引けないところもあり、早急に導入するとセキュリティが落ちる可能性がある。従って、大学全体、病院全体で行っていくという意識になった時点で拡げていくことが重要である。

原告団:

セキュリティについて拠点病院がどのレベルに達しているかの認定が重要であり、審査する場が必要となってくる。

原告団:

国立病院は良くても、多くの拠点病院はA−netと院内LANをつなぎ得ないだろうから、A−netの普及に大きくかかわってくるのではないか。

厚生省:

オーダリングシステムをA−netに接続する場合には、A−net以上のセキュリティレベルが必要であると考えている。オーダリングシステムと接続する前提でA−netを設計しているが、つなぐことが完全に決まっているわけではない。手で二度入力する代わりに検査データ等をコピーする機能はあっても良いが、A−netの方に情報をいつでもとりにいけるというのは本末転倒であると考えている。

厚生省:

現状のA−netのシステムで誰がプリントアウトしたのか解るようにはできる。それに医師が印鑑を押して患者さんに渡せば誰が情報を漏らしたのかは解る。 原告団:個人的には、外来の診察時に(A−netの画面を)見ていると、治療歴とかはすぐ見られるので利用者にとって有益だと感じる。全体としての評価は、まだまだ時間がかかる。

厚生省:

実際に診察をしていて、前回の治療内容や患者さんの状態が画面で把握できるので診察が正確になってくる。利用者にとっては、入力にかかる時間負担があるから、利用者にとって有用というよりは、正確な診療となることが、ひいては患者にとってのメリットであると考えている。

厚生省:

医者が行う記録は様々であるが、エイズ診療についてどの範囲まで記録すべきかをA−net上で示していることから、利用者に対する教育となる。それがA−netの目的でもある。

原告団:

今後どうやって加入者を増やしていくのかは問題だ。診療がきちんとできるということが重要だと思う。

原告団:

以前に名寄せの話をしていたが、患者が同意をするのか医師が患者に同意を求めるのかどちらだったか。

厚生省:

以前、事務局より考え方を示しており、原告団が持ち帰って検討することとなっていたと思う。

原告団:

通常のセカンドオピニオンについてのリクエストについて、診療をする立場からの意見はどうか。以前、セカンドオピニオンを依頼された側が責任問題で窮地に陥ることになるのではないかという議論があったと思う。そのあたりを厚生省で整理することとなっていたのではないか。

厚生省:

遠隔医療に関する参考資料として、平成10年12月24日付の健康政策局長通知を提示した際、道義的にはコンサルテーションを依頼された側に責任はあるが、最終的な責任は相談した側に責任があるという整理をしていた。   

原告団:

以前の議論でセカンドオピニオンを受けるのは患者ではなく、主治医であるという整理になっていたと思う。主治医が他の医師に意見を聞くということであるから、本来の意味  でのセカンドオピニオンではない。

厚生省:

現在、FAXやe−mailによる限られた情報の中で相談を受けることはある。A−netで名寄せを行うことによって、今よりは情報量が多くなる。

厚生省:

コンサルテーションはテンポラリーなものであり、1週間程度の必要な期間だけ名寄せをしたら良いと考えている。

厚生省:

名寄せについては多くの課題があるため、次回、コンサルテーション用の特例としての名寄せについて議論していくこととしたい。資料は事務局で作成するが、主治医が患者の了解をとった上で名寄せを行うということで整理する。

原告団:

厚生省所管の国立病院以外の施設に対して、A−netの運用を一度認めてしまったら、以後はそのままというのは良くない。査察のようなものではなく、実態について何かしらの調査をすべきだ。調査の枠組みは、この部会で詰めるとして、A−netを活かすような調査をすべきであると考える。

原告団:

役所は、予算執行してしまうと安心してしまうところがあるから、フォローアップは必要。

厚生省:

A−net部会の事務局をエイズ疾病対策課に移すという話があるから、恐らく、調査はエイズ疾病対策課が行うこととなるが、国立病院部から所管の国立病院にトップダウンで指示するのと違い、エイズ疾病対策課から厚生省所管以外の拠点病院には、調査する権限がないから、調査は困難であり、むしろ拠点病院による研究会のようなもので調査することが考えられるのでは。

厚生省:

A−netの試験運用について、この部会としてのとりまとめをしていただきたい。

原告団:

政策医療課の総括は、うまくまとめてあるが、今の議論を踏まえて結論部分を修正したら良いのではないか。

原告団:

試験運用期間で確認すべき事項について、現行システムの問題点が整理できること、というのは強すぎないか。「現行システムの問題点」を「現行システムの利用上の課題」とした方が良い(了承)。

原告団:

利用性に関する評価で、「入力の手間、名寄せが少ない、疫学的研究の利用がない等、現行システムの問題点が整理されつつあり、今後、セキュリティ対策とのバランスを勘案しながら対処していくことが適当と考えられる」とあるが、セキュリティに重点を置いていくことは変わらないため、「バランスを勘案しながら」というのはおかしい。「現行システム利用上の課題が指摘されているところであるが、今後セキュリティが損なわれないことを前提として対処していくことが適当と考えられる」としたらどうか(了承)。

この他、資料4のP.2のうち、4.結論部分に、「なお、総括管理者は、本ネットワークシステムが適正に運用されるべく定期的な調査を行い、当部会に報告する。調査のあり方については当部会で決定する。」を追加すること、及び資料4のP.2の政策医療課作成の総括をA−net部会の総括とすることについて了承。

(5)同意の取り直しについて

○事務局から資料の説明(資料5のP2〜3)。現在は試験運用期間中について患者から同意をとっていることから、本年の12月1日からの本格運用に伴い改めて患者から同意を取り直す必要がある。また、同意の取り直しは、患者の来院時に行うが、病院に来ない患者については、確認がとれないことから、期限を切って、本格運用への同意が得られないものとして見なすことについて説明。

厚生省:

実際に診療する立場から言えば、名寄せをしている患者さんで、あまり来ない人がいるので、平成12年3月1日までという期限は短すぎる。3か月間では来院しない人が確実にいるから、期間を1年間として欲しい。

原告団:

診療する医師から該当する患者に連絡をとっていただけないか。

厚生省:

患者さんに郵便物を送って良いかどうかというプライバシーの問題もあり、連絡をとることについては約束できない。

原告団:

本格運用への移行に伴う同意はとるべきだが、見なし撤回は意味がないのではないか。

厚生省:

試験運用に受けた同意を、本格運用に対する同意とすることはできないことから、期限を切って整理することとした。

原告団:

今まではあくまでも試験運用に対する同意であるから、本格運用に対する同意とインフォームドコンセントの中身が違う。同意はFace to Faceによる説明によることが必要だ。

厚生省:

患者さんの来院時に本格運用に関する説明を行い、1年間、来院されない患者さんについては同意がなかったものと見なすこととして良いか(了承)。

この他、患者への説明時に使用する「患者のみなさまへ」のうち「2.システムに参加することのメリット」について、「具体的には、試行期間中の利用者から、前回の受診時の状況や図表化された治療歴の情報が活用できるため、適切な診療に役立っているという評価をいただいております。」を追加すること、本格運用へ移行する際、患者の同意が得られなかったものと見なす期限を「平成12年3月1日」から、「平成12年12月1日」とすることが了承された。

○今後、次の3点について議論をしていく。

1.コンサルテーション用の名寄せについて
2.A−netの検証、定期的な調査のあり方について
3.A−net上のデータのプリントアウトについて

以上

問い合わせ先
厚生労働省健康局国立病院部政策医療課企画第一係
電話 03−3595−2274
FAX 03−3595−1939


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