99/10/25 食品衛生調査会毒性・添加物合同部会議事録 食品衛生調査会 毒性部会・添加物合同部会 議  事  録                            厚生省生活衛生局食品化学課                           食品衛生調査会毒性部会・添加物合同部会議事次第         日 時:平成11年10月25日(月) 10:00〜11:53         場 所:厚生省別館7階共用第13会議室 議  題  (1) 新規食品添加物(アセスルファムカリウム)の指定の可否について  (2) その他 ○田所補佐  それでは、定刻となりましたので、食品衛生調査会毒性・添加物合同部会を開催いた します。  本日は毒性部会が委員8名中6名、添加物部会が委員9名中6名の出席をいただいて おりますので、本日の合同部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  また、本部会は平成9年の常任委員会決議に基づきまして公開となっております。本 部会の議事録は後日公表される予定でございます。  まず初めに、生活衛生局長よりごあいさつ申し上げます。 ○生活衛生局長 おはようございます。生活衛生局長の西本でございます。食品衛生調査会毒性・添加 物合同部会の開催に当たり一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、委員の先生方にはお忙しい中を食品衛生調査会毒性・添加物合同部会に御出 席いただきまして誠にありがとうございます。また平素は、各専門分野におきまして、 食品衛生行政に関し多大なる御尽力をいただいておりまして、この場をかりてお礼を申 し上げます。  本日は、新規の食品添加物の指定の可否について御審議をお願いしたいと考えており ます。新規食品添加物の指定につきましては、平成8年の通知に基づいて行われている ところでございますが、今般新たにアセスルファムカリウムについて、本通知に基づく 指定要請がなされ、食品添加物の指定に関する分科会において審議が行われてまいりま した。本部会でさらなる御審議を賜りたいと考えております。  国民の健康の確保という生活衛生行政の所期の目的を達成するため、先生方の忌憚の ない御意見を賜りますようお願い申し上げます。今後とも食品衛生行政の推進に御協力 をいただきますようお願い申し上げ、私のあいさつとさせていただきます。  なお、所用のため、途中で退席することをあらかじめお断り申し上げます。よろしく お願いいたします。 ○田所補佐  それでは、合同部会の座長は、通例によりまして毒性部会長であります戸部委員にお 願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○戸部部会長(座長)  おはようございます。よろしくお願いいたします。  審議に入ります前に、資料の確認をいたします。事務局の方からどうぞ。 ○田所補佐  それでは、配付資料について御確認をお願いいたします。  本日は、あらかじめ送付させていただいた三つの資料及び本日お手元にお配りいたし ました資料を用意しております。  具体的に申し上げますと「議事次第」と書かれたものが一つでございまして、委員名 簿及びこれまでの経緯等が記載されております。これにつきましては、本日も改めてお 配りしております。二つ目は、きみどり色の表紙で「アセスルファムカリウム要請書」 と記載されたものがございます。この中に資料概要として、発見の経緯や国際機関の評 価、有効性、安全性に関するデータの概要が記載されております。もう一つは、「食品 添加物の指定に関する分科会報告について」という報告書でございます。以上三つの資 料は事前に送付させていただいております。  また、本日お配りさせていただいておりますものが、一日摂取量の推計に関する1枚 紙の追加資料及び座席表となっております。追加資料につきましては後ほど御説明させ ていただきます。  配付資料といたしましては以上でございます。不備がありましたお知らせください。 ○戸部部会長  ありがとうございました。  それでは、審議に入らせていただきますが、あらかじめ部会宛に報告書をいただいて おります。その資料に従いまして審議を進めていきたいと思います。従前この合同部会 では規格基準、それから安全性に関する資料を一括して自由に御発言いただいて審議を 進めてきたところでございますけれども、今後は少しそのスタイルを変えまして、まず 物理学的性質あるいは規格などについて審議をしていただき、それから安全性の問題と いう段階を経まして審議をお願いしたいと思います。と申しますのは、この添加物とい うのは安全性はもちろん重要でございますけれども、それ以前に有用性、なぜ添加物と して新しい化学物質を取り上げなくてはならないかという問題が本来の趣旨でございま す。その問題を片づけてから、安全性の問題というのが正しい順序かということで、事 務局の御意向もございますので、そういう順序にさせていただきたいと思います。  そういうことで、最初に山崎先生の委員会の問題について御審議をいただく。したが いまして、山崎先生にその間座長をお願いして審議を進めていただきたいと思います。 ○山崎部会長  審議経緯の説明は。 ○戸部部会長  その前に、事務局の方から経緯を説明していただきます。 ○田所補佐  それでは、新規添加物の指定についてと、これまでの経緯について御説明させていた だきます。議事次第の3ページをご覧下さい。  現在、食品添加物は食品衛生法により規制されておりまして、厚生大臣が人の健康を 損なうおそれのないものとして、食品衛生調査会の意見を聞いて定める場合を除いては 添加物の使用、販売等は禁止されております。食品添加物の新規指定要請の手続等につ きましては、2にありますように、平成8年の指針に基づき要請することとされており まして、今回のアセスルファムカリウムにつきましても指針に従い資料等が提出されて おります。  これまでの経緯ですが、平成11年1月18日に指定の要請がありまして、平成11年1月 20日付で食品衛生調査会へ諮問されております。平成11年2月4日に食品衛生調査会毒 性・添加物合同部会が開かれまして、分科会で検討することとなりました。平成11年3 月5日及び5月26日の合計2回、食品添加物の指定に関する分科会が開催されておりま す。本日は部会からの付議によりまして行われました分科会における審議が終了いたし ましたので、本部会でさらに御審議を承ることとなったものです。 以上でございます。 ○山崎部会長 それでは、まず戸部部会長の方からお話がありましたように、物理学的な性質、規格 等についての審議を行いたいと思います。 まず、事務局の方から御説明をいただきたいと思います。 ○田所補佐  それでは、報告書に従いまして、物理学的性質、規格等について御説明させていただ きます。資料「食品添加物の指定に関する分科会報告について」の3ページの指定につ いての1というところから始めていきたいと思います。 まず品目名は、アセスルファムカリウムというものであります。構造式はそこに記載 のありますとおりで、オキサチアジノンジオキシド誘導体でございます。  用途といたしましては甘味料でございます。アセスルファムカリウムは飲料、菓子、 ジャム類等100 品目以上の食品に甘味料として使用されるものであります。  起源または発見の経緯及び使用状況等でございますけれども、アセスルファムカリウ ムはジケテンとスルファミン酸を適切な条件で反応後、三酸化硫黄との環化反応を経て 水酸化カリウムで中和し結晶化することにより合成されるものです。発見の経緯でござ いますけれども、1967年にドイツ、フランクフルトのヘキストAGの研究者がハロゲン 化スルホニルイソシアネートとブテンとの反応実験中にオキサチアジノンジオキシドが 甘味を持つことを発見し、その後オキサチアジノンジオキシド誘導体について検討をさ れた結果、合成が比較的容易で、水に対する溶解性が高く、甘味度も高い本品が発見さ れたものであります。FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、ア セスルファムカリウムについて安全性の評価を行っておりまして,1983年の第27回会合 においてADIを一日当たり0〜9mg/kg体重と設定しました。その後1990年に第37回の JECFAの会議において再検討された結果、ADIは一日当たり0〜15mg/kg体重と設 定されております。添加物として使用している国々は、平成11年8月現在、EU、米国 カナダなど90か国以上で食品添加物甘味料として使用されております。 次に有効性でございますけれども、アセスルファムカリウムは甘味料としてさまざま な食品に使われております。我が国で既に甘味料として添加することが認められている ものには、食品衛生法施行規則の別表第2において、アスパルテーム、キシリトール、 グリチルリチン酸二ナトリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクラロース、 D−ソルビトール等があり、また厚生省告示第120号の既存添加物名簿におきましては、 N−アセチルグルコサミン、カンゾウ抽出物、D−キシロース、ステビア抽出物等がご ざいます。しかしながら、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、カンゾウ抽出物に は特有の苦み、渋味があります。また、アスパルテームは中性あるいはアルカリ性水溶 液中での保存安定性や加熱安定性が劣っております。  今回申請のありましたアセスルファムカリウムにつきましては、ショ糖の約200倍の甘 味度を持ち、耐酸性や耐熱性等に優れ、安定性の高い物質であると報告されておりま す。例えば0.05%のアセスルファムカリウム水溶液は20℃、pH=2.6 という条件下に おいて、12カ月後においても89.7%が残存しており、また加水分解を受けた場合には、 主分解物として、アセト酢酸アミドが生成しますが、40℃、pH2.6 、85日間という条 件下においても、その生成率は5%以内だったと報告されております。 次に、成分規格につきましてですが、分科会において安定した品質の確保という観点 から、成分規格を設定することが適当とされまして、報告書の別紙に、これは21ページ にございますけれども、別紙2のような含量、性状、確認試験、純度試験、定量法など の規格が設定されております。この規格につきましては、報告書の別紙3、一番最後の 24ページに対比表を収載してありますが、JECFAやアメリカの規格でありますFC C等と同等のものとなっております。分科会で設定されました規格案につきましては、 山田委員より補足説明をお願いいたします。 ○山田委員 ただいまお話にありましたように、この21ページから23ページまでにその規格があり ます。先ほどお話がありましたように、24ページの国際規格との対比というところを見 ていただきますと、JECFA及びFCCの規格とほぼ同じということであります。多 少違いますところを2点ほど申し上げますと、22ページのフッ化物というところで、こ れは規格としては、同じフッ素として3.0μg/g以下、アメリカはこの10倍の規格になっ ています。JECFAの規格と同じ規格なんですけれども、JECFAの試験法は検量 線をとってやるようになっているのを、簡単化のために、この規格では1点と比較して それよりも(6)のところの一番最後の行でございますが、「検液の電位は比較液の電位 以上である」、こういうことにいたしました。この表現がちょっと間違えやすいかなと 思いますのは、この検量線が右下がりと申しますか、フッ素の濃度が濃いほど電位が低 くなる。それらの比較液の電位以上であるとフッ素が少なくなる訳なんですけれども、 ちょっと普通の検量線が右上がりなので、これを読んであれと思われる方がいらっしゃ るといけないので、その点が国際比較と表現が違っているということを申し上げておき ます。 それから次の(7) の「他の紫外線吸収物質」というところですけれども、これは、目 的としてはアセスルファムカリウムの塩化物のような、余計に塩素が入っているような ものがあるのを除外しようというための規格なんですけれども、このところで、3行目 に「メインピークの保持時間の3倍の時間以内に他のピークが現れるとき」という表現 がございます。これはJECFAやアメリカのFCCの規格では20分以内となっていた んですけれども、使用します液体クロマトグラフィーのカラムによりまして、そのリテ ンションタイムがかなりずれることがあるので、あるいはリテンションタイムが長いも のですと、クロル化されたアセスルファムが20分以上のところに出てくる場合があり得 ますので、ピークの保持時間の3倍時間以内、そういう表現にいたしました。 それからあと、これは国際規格と同じ表現をとっているんですけれども、ここの同じ ところの5行目です。検液で得られた3Rt以内にあるメインピーク以外の全ての面積の 合計、それがある比較液のピークを越えないものとする。そういう表現になっていて、 これは国際規格と同じなんですけれども、実際にやってみますと液体クロマトグラフ ィーに注入してしばらく経つとマイナスのピーク、屈折率が違うので一度線が下がりま して、それからパンとはね上がる、そんなようなことが時々ございます。これはアセス ルファムによるものじゃなくて、水を注入しても出てくるピークでありますので、普通 これは多分面積のときに合算しない、あるいは合算しても越えることがないというよう なことなんですけれども、何かの場合で越えることがあるかなという危惧があったんで すけれども、そのようなことでトラブルが増えたということもないということですし、 アメリカの規格もJECFAの規格も、このような表現になっておりますので、これで よいのだろうと思いました。 大体のところは以上のような点で、あとのところは国際規格と同じでありますので 省略させていただきます。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  事務局の方はそれでよろしゅうございますか。どうもありがとうございました。いろ いろと御苦労いただきまして、分科会の方から報告書をいただいておりますが、よろし ゅうございますでしょうか。何か御意見ございましたら伺いたいと思います。 ○高仲委員  今御説明いただいた中で、他の紫外線吸収物質何が入っているのですか。 ○山田委員 合成の途中で塩素が入ったような、塩化物があるといけないというのが規格の主な目 的だと思います。ただ、そのほかにも何か意外な有機物がありましても、このリテンシ ョンタイムのところに出てくるものだとすべて引っかかってということはあって、余計 なものが入っていてはいけないだろうということはありますけれども、具体的には塩化 物です。 ○高仲委員  実際に測定の場ではどれくらいの値が出ますか。ものによっては安全性の面にも絡ん でくると思いますので、実際に測定された場合どの程度出てくるか、もしデータをお持 ちでしたらお教えいただきたいと思います。 ○山田委員 ごくわずかということですが、計量したデータはどこかに、修正のときに出された データがあるかとも思いますが。 ○高仲委員  ごくわずかでしたらよろしいです。 ○山田委員 修正されたときのデータはございませんですけれども。 ○田所補佐  緑の冊子の19ページに試験結果が載っております。他の紫外線吸収物質という形で す。 ○高仲委員  これは基準ですね。実際にお測りになったときにどの程度の値が出ているかというこ とです。 ○山田委員 ここで何μg以下としか出ていないので、実際にどのぐらい出たかはここに書いていな いですけれども、合格したということしか書いていないのですが。 ○高仲委員  ほかとの関連性を考えますと、もし測定数値その他の情報をお持ちでしたら後の議論 も関連すると思いますので、伺いました。結構でございます。 それからもう一つですが、我が国の場合、一番最後の24ページを見ますと、pHがF CCでは6.5となっております。JECFAでは出ていないようですが、我が国で5.5 、 酸性側の幅を広げているようですが、これは何か理由がございますか。 ○山田委員 申し忘れましたというか、これはJECFAには規格がありませんで、あとこれは試 験法の違いによるものだと考えております。具体的に申し上げますと、FCCの規格、 pH6.5〜7.5となっておりますが、これは溶かすのに脱炭酸した蒸留水を用いておりま す。すなわち煮沸して、それから冷やすときに炭酸ガスを吸収しないような管をつけて 冷やした水を使っておりまして、それですと、そのもののpHが6.5 以上ぐらいの値な んですけれども、日本の規格が21ページのところの(2) にただ水に溶かすと書いてござ いますように、これは精製水に溶かしております。脱炭酸していない水でありますので これは低いときにはpHが5.5 ぐらいになりますので、酸性のものが入っていなくても こういうようになります。これは試験するときに、やたらな手間をかけないということ で精製水、普通の脱炭酸しない水を用いるということになっているせいで、このように 低い値になっております。 ○山崎部会長 よろしゅうございますか。  そのほかに何か御意見ございますでしょうか。先ほどのフッ化物の検液の原因のとこ ろは、山田委員の方からも、ちょっと誤解を招くかもしれないという御意見がございま したけれども、これは右肩下がりというカーブからすると、一瞬あれっと思っても、す ぐ分かることとしてこの表現でよろしゅうございますね。 ○山田委員 あれっと思われても分かるんだろうと思います。 ○山崎部会長  測定すればすぐ分かることであるというふうに理解してよろしゅうございますか。 ○山田委員 そう思います。 ○山崎部会長  よろしゅうございますか。  それでは、割合と安定な化合物のようでございますので、もしよろしければ、それで は物理学的な性質と規格に関する審議はこれで終了ということにいたしたいと思いま す。あと戸部先生よろしくお願いいたします。 ○戸部部会長  ありがとうございました。 それでは、引き続きまして、毒性に関する審議を進めてまいりたいと思います。まず 事務局から概要を御説明いただいて、その後、毒性問題の座長をなさいました林先生か ら追加を少しお聞かせいただきたいと思います。 ○田所補佐  それでは、報告書に従いまして、体内動態、安全性等につきまして概要を説明させて いただきます。 まず、4ページ後半からでございますけれども、7番の「体内動態」につきまして(1) の吸収排泄について、経口投与した場合に、種によって若干の違いがございますけれど も、ほぼ90%〜100%は尿中に排泄され、吸収率は80%〜100%と推定されております。 経口投与の場合には、投与後30分〜1.5時間ほどで血漿中の濃度は最大に達するという成 績が出ておりまして、アセスルファムカリウムの血中での半減期は1.3 時間〜4.8 時間 と報告されております。 (2)の分布につきましては、消化管と腎臓及び膀胱が主体でございますけれども、24時 間後には投与量の0.1〜4%程度となり、10日間の反復投与を行った場合におきましても 最終投与の1〜3日後には、消化管・腎臓・膀胱いずれの組織におきましても検出限界 以下になると報告されております。 (3)の代謝につきましては、ほとんどが未変化体の形で尿中あるいは糞中に排泄され、 代謝物は認められなかったと報告されております。 (4)のその他につきまして、ヒトにおいてアセスルファムカリウムはインスリン分泌及 び血糖値には影響を与えないと報告されております。 次に、5ページでございますけれども、8の「安全性」につきまして、(1)の急性 毒性試験ですが、これはラットとマウスで行われておりまして、経口投与した場合にL D50がラットで約5.5 〜7.5g/kg 、マウスでは約7g/kgと報告されております。 (2)の亜急性毒性試験ですけれども、ラットで90日間混餌投与した試験において死亡例 は見られず、一般状態に異常は認められなかった。本試験における無毒性量は3%、 1,500mg/kg体重/dayであると報告されております。 (3)の反復投与毒性試験及び発がん性試験については、ラットにおける交配時より混餌 投与した親動物から得られた子動物に2年間混餌投与した試験において、一般状態、死 亡率等に変化は見られなかった。剖検あるいは病理学的検査においても特筆すべき所見 は見られなかった。発がん性はみられない。本試験における無毒性量は3%混餌濃度、 1,500 mg/kg体重/dayであると考えられる。また、マウスに80週間混餌投与をした試験に おいて、死亡率に対照群と有意な差は認められず、一般状態においても投与に起因した 変化は観察されなかった。病理学検査においても特筆すべき所見は認められず、発がん 性は認められない。本試験における無毒性量は3%、4,200mg/kg体重/dayであると考え られる。さらに、イヌに2年間混餌投与した試験において、一般状態、死亡率、体重に 有意な影響は認められなかった。病理学的検査においても特筆すべき所見は認められな かった。本試験における無毒性量は3%、900mg/kg体重/dayであると報告されておりま す。 (4)の繁殖試験及び催奇形性試験につきまして、ラットの3世代の繁殖試験や妊娠ウサ ギについての試験等が行われておりますが、いずれも繁殖毒性は認められず、催奇形性 はないと判断されたと報告されております。 (5)の抗原性の試験につきましてですが、ウサギ及びモルモットを使った試験で、感作 性は認められなかったという成績が報告されております。 (6)の変異原性試験につきましては、Ames、染色体異常、小核試験等はすべて行われて おりますけれども、いずれの成績も陰性でありまして、変異原性について特段の問題は ないと報告されております。 (7)の一般薬理試験につきましては、イヌ、マウス、モルモット、ラットで試験が行わ れておりますけれども、特に問題はないと報告されております。 (8)といたしまして、そのほかの毒性試験としてアセスルファムカリウムの主分解物で あるアセト酢酸アミドについても種々の毒性試験が行われていますが、試験結果による と、その摂取量から考え、問題となる所見は認められないと報告されております。 続きまして、一日摂取許容量(ADI)の設定につきましては、分科会において報告 書の9〜10ページに示しますように、アセスルファムカリウムとして15mg/kg体重/dayと 評価するとの御結論をいただいております。体内動態、安全性、ADIの設定につきま しては、分科会座長の林委員より補足説明をお願いいたします。  以上です。 ○林(裕) 委員  アセスルファムカリウムについて、評価に必要な一連の毒性試験の成績が報告されて おります。試験の実施については特に問題はないと考えられました。内容ですけれども 今御説明がありましたように、全体を通じて特に問題がございませんので、重要なとこ ろだけ何カ所か繰り返させていただきます。まず体内動態では、食品添加物として、特 に甘味料として問題があっては困るという点について注目してみていた訳でございます けれども、半減期は短い、少なくとも長くはない、従って、蓄積性はないといえますし 代謝物は認められないと報告されています。この点はイヌ、ブタ、ラット、ヒトに共通 とのことです。また、インスリン分泌あるいは血糖値にも影響を与えないということ、 これはやはり重要な項目でございますし、それの点もクリアされていると考えておりま す。  それから安全性についても、急性毒性、反復投与毒性試験、発がん性試験は特に問題 ございませんけれども、多分これをお読みになってお気づきになると思いますのは、例 えば6ページの下から2番目のパラグラフの盲腸の肥大と盲腸の重量の増加がラットに 見られたということで、これは厳密に言いますと、こういことが起こる作用機序は分か らない面もありますが、現在いろいろな物質の効果を総合してみますと、このような反 応は、げっし類だけに特異的に起こるということが、分かっております。従って、この ような変化は、ヒトでは起こらないということがWHO、特にJECFAで確認されて おります。次に繁殖毒性試験、生殖毒性試験、変異原性試験についても特に問題はござ いません。  最後に、一般薬理試験として、機能的な面からの毒性、有害作用の検討も行われてお りますけれども、これについても、先ほど御説明がありましたように特に問題はないと いうことで、ADIの設定は、これでよろしいのではないかと考えております。 ○戸部部会長  分科会での結論をまとめていただきましてありがとうございました。  毒性に関する問題で何か御意見がございましたらどうぞ。 ○長尾委員  質問なんですが、3ページにADIが0〜9とか、0〜15、これはどういう意味なん ですか。今回の結論は15ですね。でも、これは0〜15という。 ○林(裕)委員  これは約束事なんです。JECFAではこれは必ず、例えば9mg/kg体重としないで、 0〜9mg/kg体重という形になっています。 ○長尾委員  それからもう一つなんですが、9ページの3番目のパラグラフで、下から4行目です が、「14C−アセスルファムカリウム10mg/kgを経口投与し」ということなんですが、こ れはやはり比活性を書いておかないと、その意味がちょっと。 ○林(裕)委員  どうもありがとうございました。これはやはり書いておくべきですね。 ○戸部部会長  ほかによろしいでしょうか。 ○高仲委員  5ページを御覧いただきたいのですが、これの急性毒性試験、下の方に両括弧でござ います。これを読みますと、この2行目に「/kg体重の用量で14日間強制経口投与した試 験において」とございます。急性毒性ですから1回投与だと思うのですが、これは14日 間の投与したデータでしょうか。 ○戸部部会長  急性の試験としては、14日間の経口投与というのは、これですと連続反復投与みたい な印象ですが、1回ですね。 ○林(裕)委員  1回で観察が14日間という文章に変える必要がありますね。 ○戸部部会長  表現をちょっと変えましょうか。 ○林(裕)委員  そうですね。14日間の観察期間ですね。 ○林(裕)委員  そうですね。ありがとうございました。 ○戸部部会長  5ページの急性毒性のところに、二つ雌ラット、雌ラットという試験が続きますね。 雌だけで雄の成績はないというふうに理解出来るかと思いますが、なぜ雌だけを使った のか何か理由があるんでしょうか。 ○林(裕)委員  何ページになりますか。 ○戸部部会長 今の5ページのところです。最初のパラグラフと次のパラグラフ、いずれも雌ラット なんです。雄もやっているけれども、雌にこういう所見があったということでしょう か。 ○高仲委員  先生、御覧になると分かるように、上の試験は4,000mg/kg体重からですね。下の方は 500mg/kg/体重からなので、これは追加でやってという発想の試験だろうと思うんです。 ですけれども、いずれにしても、雌ラットを使ってやったんだから、記述としてはこれ でよろしいとは思います。 ○戸部部会長  雄はどうなったのかというのがちょっと。 ○高仲委員  雄はその下にあるのではないですか。 ○池田補佐  最初に雌ラットを使いまして試験をやりまして、その後雌雄でやり直しをしておりま す。それを順番に書いただけです。こちらの資料ですと、50ページあたりにそうなって いるんですが。 ○戸部部会長  はい、分かりました。 ○高仲委員  その場合、5ページの下から4行目にいきますと、生存例には特筆すべき異常所見は 観察されなかったといっており、上の方には死亡例の状態が書いてあります。ところが この中にある自発運動のデータとかは生存例には全然見られなかったのでしょうか。生 存例の2,000 、2,500 、3,000mg/kgの中には全然見られなかったのですか。死亡例だけ には変化を記入して生存例には何も見られなかったということですが、普通は死ぬもの と生きるものとの間に出てくる症状には、それほど質的には変わらぬものが見られるよ うにも思うのですが、いかがでございましょうか。 ○林(裕)委員  「2,000mg/kg以上の用量に見られた死亡例においては」とすべきですね。 ○高仲委員  ここにまとめられた要約の方が非常に情報不足ですね。そのために、ここから転写し てこちらにもってくるときに、非常に苦労されているのはよく分かるのですが、今のよ うな形で「特筆すべき異常所見は観察されなかった」となりますと、特筆されない異常 所見はあったのか、さらに異常所見とは何だったかということになってきます。一般的 にこういう書き方を毒性試験結果でする場合は、毒性を不明確にするもので、現実に毒 性をきちんと表現するためには疑問の多い表現です。これは報告書を精査しての問題で しょうか。 ○事務局 実際に概要ではなくて、元データから全部拾い直して分科会で御審議をいただいた結 果、こういう表現になっているということでして、すべて元データに戻って審議をお願 いしております。 ○高仲委員  そうすると、その中ではこういう見方しか出来ないようなデータしかないという訳で すか。 ○食品化学課長 異常所見が見られないと書いてあるのは、緑の本ですと剖検所見なんです。ですから 観察全体に何もなかったというような印象の書きぶりになっているような気がするんで すけれども、そういう点ではないんです。 ○高仲委員  そうするとこれは、データはきちんと書き、独自に評価したものは、その評価部分が 分かるように表現した方がいいのではないでしょうか。 ○食品化学課長 ですから、私が今言いたかったのは、剖検所見においてという限定の話で、観察した ことはまたいろいろと。 ○高仲委員  しかし、トキシコロジーは剖検に依存する度合いが多く、病理中心に考える方式は過 去のものになっていると言われているぐらいです。現在のトキシコロジー学会では、こ ういう判断の仕方はしないだろうと思うんです。剖検所見のみに頼って書くのは、現代 でのトキシコロジーではデータ不足かもしれません。 ○戸部部会長  高仲先生から貴重な御意見を伺いました。その趣旨に沿って、今、林先生からも若干 訂正した方がいいという御発言もございましたので。 ○林(裕)委員  最初のところは、これはアセスルファムカリウムを雌ラットに4,000、6,300各々mg/kg 体重の用量で1回強制経口投与し、14日間に観察した試験においてと訂正すればよいと 思います。 ○高仲委員  一般的に急性毒性試験と書いてあれば、1回投与で14日間観察するという方法ですか ら、誤解を招くような表現でなければよろしいと思います。 ○林(裕)委員  その次の文章も「2,000mg/kg体重以上の用量において」、その次の「死亡例において は」というのを抜かして、やはりこれは自発運動の低下というふうにいきなり書いた方 が正しいですね。 ○高仲委員  あと二つ、三つお伺いします。飛ばして、7ページに移らせていただきます。7ペー ジの繁殖試験の直前のイヌの試験です。イヌの2年間混餌投与で、生化学的な、あるい は血液学的な変化が出ておりまして、「いずれも背景対照群の変動範囲内であり」とあ ります。この背景対照とは何でしょうか。それからここでは無毒性量は3%で900mg/kg 体重/日になっておりますが、これは今回設定した1,500mg/kg体重/日より低い量の無毒 性量が出ているのですが、これを用いなかった理由も併せてお伺いできればと思いま す。 ○林(裕)委員  まず背景対照という言葉を使っていいのかどうかが問題です。 ○高仲委員  背景データじゃないでしょうか。背景データを毒性試験の評価に使うときは幾つかの 要件があると思いますが、背景対照を評価に用いるならば、その毒性試験に同時対照群 はない訳ですか。対照群を置いて、それと比較するのが毒性試験の原則であると思いま す。そこに背景データを持ち込むと評価が困難になります。少なくとも評価に背景デー タを用いて有用なのは、その試験の対照群に対して、それが過去の試験のどの程度の位 置にあったかということであると思います。背景データを持ち出して云々することは、 同時対照群は要らないということにもなり、推計学的処理は困難になると思います。そ ういう点で「背景対照群の変動範囲内である」というのは非常に不適切な表現だと思い ます。 ○事務局 分科会の御議論では、もちろんイヌの2年間もコントロール群がございます。この実 験で見られたデータの範囲が対照群の変動内にあるということです。 ○高仲委員  要するに変動があるないの問題ではないと思います。有意差がないかがここの表現の 問題だろうと思います。コントロール群に対して有意差のあるものは、毒性学ではそれ は有意な変化としてとらえている訳でしょう。有意差がなければ、それは変化としてと らえないと思います。 ○福島委員  この字面から見ての解釈ですが、この実験の対照群は差があると思うんです。ただ、 問題は、GPTの値などを見ますと用量相関性がない。片一方は減少し、片一方は増加 するという訳ですね。全く相反した現象が出ている。それが用量相関性が認められない というふうになっていますし、そういう場合にもう一つ、今、先生がそういうバックの データを持ってくるのはサイエンスでないということを言われましたけれども、こうい うような現象が出たときには、もう一度そのラボが持っているコントロールのデータと いうものをずっとながめて見たときに、明らかにこの実験経緯では対照群に比較して有 意差は出ているけれども、全体をながめたときには範囲内にあるということになると、 それは毒性というふうにはとらえなくてもいいと思うんです。 ○高仲委員  反対のこともなさいますか。今、先生は差が出ていたけれども、背景データと比べた らなかったとおっしゃるなら、差が出ないものについても背景データと比べてやらない と平等ではないんでしょうか。 ○福島委員  そうでしょうけれども、一般的には。 ○高仲委員  もう一つ。どういうような推計学的な方法をとってそれを推測なさいますか、結論を 得ますか。日にちも違います。年齢も違います。条件も違います。そういうものを比べ てこの実験の結論を出す推計学は今の方法とは違いませんか。この試験が推計学処理に よる結論をとらないで、単なる観察記述だけの試験ならば、それでもよいかもしれませ んが、そういうあるところだけ、片側だけのことをやって、それがあたかも正しいよう なことをいうというのは少し行き過ぎだろうと思うのですけれども。  私はそういう場合には、なぜかということで、もう一回それを突き詰めた別の試験を あるいは繰り返しの試験、そういうものをやってこそ初めてサイエンスになと思いま す。御存じのようにガイドラインにも、これですべてが分かるとは書いてございま せん。ですから、こういう結果が出たときには、それの原因は何かということだと思い ます。御存じのように今医薬品の場合ではトキシコキネテックスが入ってきまして、血 中濃度その他を測って暴露量を見ています。その結果からすると、投与した量が暴露量 を反映していないデータが多く出てきています。現状を考えると将来は、この薬は反応 部位にどの程度いっていたかということが測定の対象になるかもしれません。ただ、ガ イドラインは、そういうものを全部細かく書いてはおりませんので、試験の共通の段階 だけを書いてあると私は理解します。ガイドラインの解説の中にもそう書いてあると思 いますがいかがでしょうか。 ○福島委員  先生が言われましたことは確かにそれは正しいと思います。しかし現実問題として、 あくまでそれで押し通せるかどうかという問題がやはりあると思うんです。 ○高仲委員  これは我々国民が生涯をかけて摂取する食品添加物でございます。現実問題というの はどこの現実か知りませんが、これは消費者すなわち、これを摂取する側の安全性を見 ているもので、それが現実問題だと思うのですが、いかがでございましょうか。 ○戸部部会長  非常に重要な御議論かと思いますが、少しこの中身を十分検討する必要があるかなと いうふうに思いますのは、細かい資料をじっくり拝見していないものですから、あるい は発言が不適切かとも思いますけれども、このin vivo試験については三つの用量段階を お使いになっている。0.3%でリンパ球の減少と好中球の増加、1%ではGTPの減少だ けです。3%になるとGPTの増加とリンパ球の減少、これらの変化がいずれも今の背 景データの範囲内だという表現かと思いますが、出てきた現象そのものの個々を通覧し て、本当に用量相関がはっきりしているものと、そうでないものがあるように思うんで す。そういう面もやはり一つの評価の観点でございますので、背景データの範囲内とい うことだけで、この評価の鑑定をするのは少し足りないかと思います。用量相関のある ものだけ、薬物投与にディペンドの現象を少し絞り込んで、そのことについてさらに、 高仲先生は非常に厳密に今の背景データとの比較をお話になったんですが、実際に生物 試験というのは、往々にしてそのときの対照群が非常にきれいに出過ぎて、処置した群 の有意差検定すると、有意差が出てくる例もかなりあるんです。そういうときに、その 評価にあたって、ラボの過去の成績、その動物種の過去の成績と比べてというのは、た またまこれまでもやっていますね。 ○高仲委員  がん原性と生殖毒性ではやっているようです。それに対する議論の中でも同時対照群 とを比べて、同時対照群がだめだったら、やはり試験はやり直すべきだと思います。た だ、私はこの表現を言っているのであって、データの内容を申し上げているのではあり ません。と申しますのは、多分ここで先生が今おっしゃったような形でデータをもう一 度精査すれば、別の表現で十分に安全であろうという結論が得られているのであろうと 思います。ただ、ここを読ませていただきますと今のような議論になると思います。そ して議論になったときに、委員会の御主張では通らない部分が出てくるだろうと思いま す。私はデータそのものを拝見していませんが、多分データの中で読めば、こういう書 き方ではなくて、きちんと分かるような書き方が十分出来るように資料が提出されてい るであろうと思います。ただ、申し上げると要請書の書き方と、要請書からまとめたも のの書き方とが少しずれている。ですから、報告書の方を見ればというお話がありまし たから、多分それをもう一度見て、この表現をもう少し読んで分かるように、と申し上 げました。 ○林(裕)委員  先程、福島先生がおっしゃったとおり、統計学的に検討すると確かに有意差はあるが 変動の大きさも小さく、かつ変動そのものに毒性学的意味があるものでないという考え にたっています。実験動物がイヌですから個体差もありますので、その差についても検 討する必要はあるなということです。ただ、用量相関性がないということと、変動の範 囲が大きくない。したがって、毒性学的な意味も乏しいだろうと考えられますし、それ をさらにバックグラウンドデータを比べてみると、やはりその変動範囲にあるというこ とで評価した訳です。 ○高仲委員  用量反応性があるとないというのはどういう推定をもってなさいましたでしょうか。 ○林(裕)委員  それは0.3%では起こっているけれども、1%、3%では起こらないとか。 ○高仲委員  ばらつきがあるデータですから、たまたまそこにそういうことが起きたときのことを 考えて、少なくとも推計学的な処理の上で用量反応性があるかどうかを考えるべきでし ょう。単に目で見ただけで、用量反応に関係があるとは言えないと思います。 ○林(裕)委員  トレンドで見ればいいですね。 ○戸部部会長  今、事務局の方から細かいデータを見せていただいているんですが、一つだけGPT の変動について申し上げますと、例えば検定で有意差があるものについて、0.3%ではな くて、1.0%であって、3.0%ではない。その場合の実際の値を見てみますと、コント ロールがGPTが28、それから0.3%が26、1.0%が17と差があります。3.0%では24、そ れからもう一つのグループでは15、20、16、21というよう数値であります。この21とか 17というのは対照群に比べると、計算しますと明らかに有意差がありますけれども、実 際の絶対的な評価でいいますと、GPTの21というのはそう大きな問題ではない。 ○高仲委員  GPTの変化にどういう意義を認めて、そのことを。 ○戸部部会長  それはもちろん意義は特にここでは分かりませんけれども。 ○高仲委員  GPTの場合は、先生も御存じのとおり、コントロールより上がっているときに問題 があるので、下がっているときには意味付けを持っていないと思うのですが、あるいは 病理的にみてそれを意味づけるようなデータをお持ちのうえそれを採用されているのか どうか。一般的には有意差があっても、下向きの有意差を取り上げている毒性のペー パーというのはほとんどないと思うのですが。 ○戸部部会長  もちろん、ありませんが。 ○高仲委員  それがもしここに記述されていることですと。 ○戸部部会長  現段階では毒性上の評価はできませんけれども、今後の資料としては、やはり下がっ たということは重要だと思うんです。いつの日か毒性上の意義が明らかになるかもしれ ません。そういう意味ではやはり有意差があるものは、上がりでも下がりでも一応の記 載はしておくということが。 ○高仲委員  それは現時点の科学で評価すべきではないんでしょう。 ○戸部部会長  もちろん評価はしていると思いますけれども。 ○高仲委員  今の時点の科学的な評価で、GPTが下がるということに対してどういう評価を持っ ているかというと我々手段はない訳ですから。下がっているものに対して、取り上げて 云々するということはかえって混乱を招くと思います。 ○戸部部会長  そういうことを申し上げているんじゃなくて、今の変動というのは、そのくらいの変 動だということで数を申し上げているんです。ですから、中身をよく見れば、表現と実 際の資料というのは、これだけ拝見しますといろんな問題があろうかと思いますが、よ く資料を細かく見れば、そう大きな問題はないのではないか。このことだけ今拝見した んです。  そういうことで、今、高仲先生がおっしゃった表現を少し変えれば、あるいは記述の 順序もあろうかと思います。そういうことで、それを改めさせていただくということで どうでしょうか。よろうゅうございますか。 ○長尾委員  今のワングループは何匹ぐらいのデータなんですか。 ○戸部部会長  4匹です。 ○長尾委員  それのバリデーションを計算した上で、それは有意だという計算がついている訳です ね。 ○戸部部会長  そうです。 ○福島委員  僕は前の審議のときに申し上げましたが、今回の要請書にデータが非常に不足してい ると思うんです。基本的に今のGPTの上がった下がったというデータもきちっと、こ ういうところに数値をリストとしてもらっていたら、ある程度解釈出来ると思うんで す。何もそういう数値が全然ないものですから、文章面だけ見てくると、そういうよう なディスカッションになると思います。 ○戸部部会長  高仲先生そういうことでよろしいでしょうか。 ○高仲委員  やはり有意差の問題にしても、今の状態でGPTが下がったら、これはどうかという ことは分からない。そして今それはほとんどの文献でGTPが下がったものに対して 云々という取り上げ方はしていない訳ですから、そういうものは無視していいのではな いかと思います。もう少しすっきりと。 ○戸部部会長  ですから、この表現には出ていないんですね。 ○高仲委員  今後の考え方だと思うんです。今のようなことが起きないように考えていただきた い。文章はもちろんきちんと正確に内容が理解出来るような範囲内の文章にしていただ くのが当然でございますけれども。 ○戸部部会長  ほかにはございますでしょうか。 ○福島委員  これは細かいことで字面の問題ですが、それをちょっと検討してもらいたいんですが 例えば6ページの亜急性毒性試験で、下から5行目の真ん中あたりから「また雄ではヘ モグロビンの」云々と書いてありますが、ここの変化が上の方から見てくると、何%で 起こった変化かというのがちょっと分からないと思うんです。ですから一つの提案です けれども、「また10%の用量の雄では」云々と、ここに10%を入れていただけるとはっ きりするんじゃないかと思うんです。それが一点と、それから下から3行目の後ろの方 に、「これらの所見は病理組織学的に」云々と書いていますけれども、これは「これら の所見が見られた臓器には病理組織学的に」云々だと思うんです。あと「病理組織学的 には」の「は」をとってもらったらどうかなということと、それからほかと統一する意 味から、無毒性量のところの1,500mg/kg体重/day、これを「日」というふうに変えたら ほかのところは、「日」となって、要するに「日」となっていたり「day」となっていた りということで、どちらかに統一してもらいたいということです。 ○戸部部会長  先ほどのイヌの900mg/kg体重の件はよろしゅうございましょうか。ADIで取り上げ た量よりも低いではないかという高仲先生の御指摘ですが、そのことをちょっと。 ○林(裕)委員  ラットでは急性、亜急性、慢性、生殖毒性、一連のものは行われて系統的に調べられ ているということです。イヌの場合には、これは3%の最大用量で何も起こっていない ということで、もっと上でも大丈夫だということなんですけれども、そこで問題になっ たのは、本当は一番低いのをとるのがいいのかもしれませんですけれども、系統的に調 べられてある動物がラットであったということで、ラットのデータを採用したと考えら れますが。 ○高仲委員  それはちょっとおかしいと思います。 ○林(裕)委員  900mg/kg体重というのがたしかあるからということなんですけれども。 ○高仲委員  少なくとも毒性試験の解説には、ヒトに近い動物種を使うと書いてありまして、系統 的に全部調べられている動物を使うとは書いてございません。 ○林(裕)委員  ヒトに近いという点では、少なくとも代謝という面では、問題ありませんね。タンパ ク結合についても大きな違いはありません。 ○高仲委員  ヒトに近いですよね。 ○林(裕)委員  イヌは48%、ラットは52%、ヒトは7.2 %ですね。ラットの方が低いということはな いですけれどもね。 ○高仲委員  その議論は通りますか。 ○林(裕)委員  それだけでは、イヌの知見を採用しなかった理由にはならないと思います。 ○高仲委員  これはJECFAでも、なぜこれを評価したか。JECFAではこのデータを見てい ませんか。 ○林(裕)委員  ラットでは見ていますね。 ○高仲委員  イヌです。 ○事務局 イヌも評価しております。ADIをイヌのデータから9mg/kg体重と評価しておりまして、 その後ラットの2年間のデータが出て、まずラットの2年間というのが、よりイヌより も寿命が反映しているだろうということと、それから匹数はラットの方が圧倒的に多い ということで、総合的に考えるとほかのデータとの兼ね合いで、JECFAとしてはイ ヌよりもラットの方を評価するということです。 ○高仲委員  今の説明をしていただければ分かります。おっしゃるように、ラットのデータが後か ら出てきて読み直している訳ですね。そこの説明をして、あるいはそれを書いておかな いと分からないと思います。ADIの設定のところに、そういう説明があればと思いま す。JECFAでも、多分その説明をしていると思いますが。 ○事務局 その点は最終的な部会の報告書にするときに、訂正して追記させていただきたいと思 います。 ○林(裕)委員  最初の報告に述べられてた歴史的な背景を今回の提出資料に省略したのは説明不足で すね。 ○池田補佐  要請書の2ページに今のJECFAでの経過が載っておりますので、それを反映する ようにいたします。 ○戸部部会長  そうですね、これを併記していただければと思います。ありがとうございました。  ほかには御指摘ございませんでしょうか。 ○鈴木委員  今までの御議論と違うところなのでございますが、10ページでADIをこのように決 められて、使用基準としてかくかくしかじかと11のところに書いてございますが、この くらい使用規準に決められているということは、ADIを上回らないということを想定 して決めているのか、それとも甘味料の甘さを他の甘味料と併用するところで、このく らいが妥当だという線も含めて考えられているのか。報告書の中で、この甘味はアスパ ルテームに比べて安定性があって、好ましいというような表現形になっていますけれど も、好ましさというのはどの程度の好ましさであったのかとか、例えば我々が砂糖とア スパルテームを比べたときに、単独でやったときに砂糖の方が好ましいというふうに感 じますし、その辺のところも含めて、使用基準というようなものの決め方というものは 何か背景にあるんでしょうか。 ○田所補佐  使用基準につきましてはまだ御説明申し上げていませんので。 ○鈴木委員  すみません。 ○福島委員  もう1点、7ページの上から6行目の中途から、「雄に脾臓の相対重量の減少等が観 察されたが、剖検あるいは病理組織学検査においても特筆すべき所見は認められなかっ た」ということですが、脾臓の相対重量の減少が認められたということですが、これは 明らかに先ほどのディスカッションではないですが、用量相関性はないというふうに見 てよろしいんですね。 ○戸部部会長  そうですね、1%ありません。 ○福島委員  そうしますと、そこの「剖検あるいは病理組織学的」というところ、「剖検あるい は」というのをとってしまって、「用量相関性はなく、病理組織学的にも」ということ で、単に病理組織学的に変化はなかったんだったらいいんだという議論にはならないと 思うんです。ですから「用量相関性」という言葉を入れていただけたらと思いますけれ ども。 ○高仲委員  用量相関性のありなしを検定した上での話ですか。 ○戸部部会長  そういう厳密な評価ではなくて、両側にあって真ん中がありませんね。 ○高仲委員  少なくとも検定をした上で、用量相関性ありなしはとるべきだと思います。というの は、実際にt-検定をやっている試験ですとしばしば出てくるのですが、t-検定の値が投 与量とは関係なく、反応を合ったようなデータが出てくることがあり、用量相関性とい うのは、単に数値が上がったとか落ちたとかいうことではなくて、最低限、t-検定をと っていない以上は、ここで推計学的な面でありなしということをいった上で使う言葉だ というふうに思いますが。 ○福島委員  ですから、最終報告書を見ていただければ、それは出てくるんじゃないですか。 ○高仲委員  計算してね。 ○戸部部会長  それはどういたしましょうか。 ○林(裕)委員  これはトレンドテストでやれば出るわけですからね。 ○戸部部会長  そしてそれが出れば、用量相関性がなくということでいいですね。 ○林(裕)委員  記載をしたならば、それに対する何らかの確認はしなければいけないということなの で、もし用量相関性がないというのなら、やっておいた方がいいですね。 ○戸部部会長  ほかにどうでしょうか。 ○高仲委員  あと生殖毒性試験のところで、一般的に要求されているのは、生殖に対する反応と、 それから一般的な毒性の記述も書くように言われているのではないかと思います。です から、妊娠している動物、あるいは保育している動物に対する、あるいはその新生児に 対する一般的な毒性症状もたしか調べるようになっていたと思いますが。ここは、生殖 に関する結論しか書いていないように存じますが、その点はもう一度御検討いただけれ ばと思います。 ○林(裕)委員  前の繁殖毒性試験のところには、7ページの一番最後の行に母動物については影響は なかったということは一応書いてあります。ただ、ほかのところについて書いてあるか どうかということですね。 ○高仲委員  妊娠しているときは御存じのように、ものによっては母親側の毒性の強さが変わりま すので、その点での一般症状も必要だと思います。 ○林(裕)委員  ウサギの方でも、8ページの2番目のパラグラフの2行目のところに、簡単ですけれ ども、「母動物の一般状態・摂餌量・体重に影響は認められなかった」と記載はしてあ ります。 ○戸部部会長  最初のラットの試験が少し不足しているかもしれませんね。あとはいいんじゃないで しょうか。足りない部分を少し入れていただくということで。 ○林(裕)委員  そうですね。 ○戸部部会長  ほかにはどうでしょうか。  表現方法で高仲先生から貴重な御意見をいただきまして、その点を改めて毒性の評価 をもう一度文章を改めていただきたいということでございます。ほかにはよろしゅうご ざいましょうか。  それでは、毒性の問題はこれで終わらせていただきます。  それでは、今の基準の問題ですね。 ○田所補佐  それでは、いただきました御意見に従いまして、表現等を変えていきたいと思いま す。  一日摂取量の推計及び使用基準等について御説明をさせていただきます。  まず最初に、一日摂取量の推計につきましては、平成8年の国民栄養調査により、甘 味料の推定一日摂取量をショ糖に換算して行っております。  本日お配りした追加資料及び報告書の10ページ及びきみどり色の表紙の資料概要の183 ページを御覧下さい。 まず最初に、分科会の報告書と資料概要で数字が異なっている部分につきまして御説 明をさせていただきます。報告書の10ページの「10. 一日摂取量の推計」の2行目で 「ショ糖の一日摂取量を推定すると27.13gとなる」。4行目及び5行目で、アセスルフ ァムカリウムにつきまして、「一日推定摂取量は136mgとなる。日本人平均50kgで除する と、一日あたり約2.7mg/kg体重を摂取すると推定される」と記載されておりますけれど も、きみどりの表紙、その使用概要183ページの表VI−1「アセスルファムカリウムの推 定一日摂取量」の一番下の行で、合計の欄ですけれども、砂糖に関するデータで、砂糖 の摂取量の一日推定摂取量が38.05、右から2番目のアセスルファムカリウムの一日推定 摂取量190.41mg、右端一日当たり3.808mg/kg体重との記載となっております。 本日お配りした追加資料、1枚紙の資料が御説明資料となっておりますけれども、当 初分科会に提出されました推定摂取量評価におきましては、アイスクリーム、氷菓、乳 飲料、乳酸菌飲料等が含まれておりませんでしたが、アセスルファムカリウムはこれら の食品に対しての使用が予想されることから、事務局におきまして、より厳密に摂取量 を推定するように指示を行いました結果、今回のこのきみどり色の資料概要に示されて いる摂取量が試算されたものでございます。 実際の摂取量につきましては、推定されている摂取量よりも低いものであると考えら れ、いずれにしましても、推定された摂取量はADIの値と比較いたしまして、3.8mg/ kgといたしましても、ADI比24%ぐらいですけれども、十分に低いものでありますこ とから安全性の点では問題ないと考えまして、一日摂取量の推定につきまして追加資料 に示したとおり、部会報告での改定案として提示させていただいた次第でございます。 次に、使用基準についてでございますが、申請者側からは使用基準を設けないという ことで申請がなされておりましたが、アセスルファムカリウムはその物理化学的性質か ら安定性が高く、加熱処理等を行う食品等に幅広く利用される可能性がありますことか ら、使用基準を設定した方が妥当ではないかという議論が分科会でございまして、報告 書の10ページの「11.使用基準」に示しますように、「アセスルファムカリウムの使用量 は、生菓子、菓子及びあん類にあっては、その1kgにつき2.5g以下(但し、チューイン ガムにあっては、その1kgにつき5g以下)、ジャム類、漬け物、氷菓、アイスクリーム たれ及びフラワーペーストにあっては、その1kgにつき1g 以下、果実酒、雑酒、清涼 飲料水、乳飲料、乳酸菌飲料及びはっ酵乳(但し、希釈して飲用に供する飲料水にあっ ては、希釈後の飲料水)にあっては、1kgにつき0.5g以下、砂糖代替食品(コーヒー、 紅茶等に直接加え、砂糖に代替する食品として用いられるもの)にあっては、1kgにつ き15g 以下、その他の食品にあっては、1kgにつき0.35g以下とし、ただし、特別用途表 示の許可、または承認を受けた場合は、この限りでない」こととするように使用基準を 設けるという御結論を受けております。 以上でございます。 先ほどの御質問ですけれども、ショ糖、砂糖の総摂取量をアセスルファムカリウムに 置きかえまして計算しまして、使用基準いわゆるADI等を十分下回る量という形での 使用基準となっております。 ○鈴木委員  国民栄養調査の結果の183ページの、いわゆる各食品群別摂取量といったようなものの 平均値ではこんなものですけれども、例えばローカロリーであるといったようなことを 含めますと、安心して食べる、若者たちの嗜好飲料のジュースなんていうのは、一日に それこそ五、六本飲むということは、1.5kgぐらいを平気で飲んでいるというようなこと もありまして、いわゆるジュースとお菓子で暮らしているような若者たちがいる訳でご ざいますが、その辺の最大値みたいなものも含めて、恐らく今の御説明でADIを上回 ることはないかと思いますけれども、そのあたりも一応検討視野に入れてほしいと思っ たのと、それから私が好ましいか好ましくないかと伺ったのは、これがお砂糖と同じよ うにおいしければ、これはいろんなところに使われる可能性がある。ただ、砂糖とか、 アスパルテームとかというものと併用しなければ、いわゆるこれが従来の甘味として嗜 好性がないとすれば、それなりの規制が結果的には起こるであろうといったところで、 報告書の中に、このくらいの比率で、こういうものの料理に使ったら好ましいとか書い てありますけれども、いわゆる官能テストとしての科学的なデータが示されていないん です。これは直接関係ないのかもしれませんけれども、どの程度好ましかったかとか、 あるいは砂糖とこれとの識別が出来たのかとか、これを使ったときと砂糖だけのときの ジュースとか、菓子とかというようなものに、好ましさと識別が出来たかどうかという ようなものも一緒に併用してやっておられると思いますけれども、そんな数字が示され ていれば、結果的に製品にするときの使用限界みたいなものが見積もれるのかなという ことで考えましたので、いわゆる最大摂取量が起こったときの状況というのは、若い女 性たちなどが低カロリーだけにちょっと心配なんです。 ○田所補佐  甘さに関しましてはすっきりと割ときれのいい。ですから、ほかのものに比べますと 確かに後味が残る形ではないというような表現等はされております。 ○鈴木委員  甘味嗜好が強いと、カロリーがないから幾らでもこれは食べていいんだという発想で 量的に多く食べられる可能性が出てくるかなと。 ○田所補佐  資料概要の38ページ等に官能検査とその他のデータが示されております。 ○鈴木委員  これは識別閾値とか、呈味閾値とかというのは書いてあるんですが、いわゆる砂糖と いうようなものとの比較で、これらのものがむしろ嗜好性といったようなもので。 ○山田委員 あまり科学的表現じゃなくて恐縮でございますけれども、紅茶などに入れて飲んでみ ますと、やや後味が残りますので、実は余りおいしいものではございません。ただ、先 に指定になりましたスクラロースというのは非常に砂糖に近い甘味ということなのです が、これはややそういう癖はあるんですけれども、何かほかの高甘味度甘味料、例えば アスパルテームとかそういうのと組み合わせると非常に相乗効果があって、甘味の質も よくなるし、両方の使用量が減る。そんなような特徴があるようであります。そんなわ けですので、これが全部砂糖に置きかわるということもないんでしょうけれども、ここ には砂糖に置きかえたときだけの計算がなされておりますけれども、ほかのサッカリン とか、アスパルテームとか、そういうのと一部置きかわるということはあるのかとは思 います。 あと使用基準なんですけれども、これは初めには使用基準はなかったということなん ですけれども、使用基準で限度いっぱい使われたといたしますと、これはショ糖の約200 倍の甘さということで考えてみますと、めちゃくちゃな甘さになる量であります。だか ら、こんなに使われることはないんだろうから、こんな使用基準があってもあまり意味 がないのかなという気もしたんですけれども、工場などで間違えて入れられたり、ある いは何かの都合でたくさん入っているというようなものを規制を出来るという意味では 確かに決まっていた方が安全ではあるだろうと思いますけれども、この限度いっぱい使 われるということは余り考えられない量かなとは思います。 ○鈴木委員  例えば、あんを砂糖だけで味付けたときに、200 倍の甘さとしたときに、これだけで は甘味はつかないであろうと思いますので、当然砂糖と一緒に併用するだろうと思うん ですが、それがこれだけでやっても、これまでのあんと同じような形状に仕上がってし まうと、たくさん使われる可能性が出てくるんじゃないかというところで、やはりちょ っと好ましくないといったような状況がむしろあった方が、こういったようなものはい いのかなということだけでございます。 ○林(裕)委員  好ましくないという状況というのはどういうことですか。 ○鈴木委員  結局、砂糖と全く同じに使われるとすれば、ノンカロリーということであって、ふん だんに甘味嗜好、例えばアイスクリーム、お菓子にも使われてしまう。そうすると、こ のものの摂取量はかなり高くなる可能性を持っているような食生活をしている人がいる ということであります。特にアスパルテームと違って熱に安定性ということですから、 これまでの菓子よりも余計にこれらの甘味料は使われて、アスパルテームはその辺は菓 子類でも限界がございましたが、そういう意味でいろんなものに入ってくるこれからの 時代に、ジャムだの、アイスクリームだの、いわゆる生菓子だのというあたりの中で、 これはサッカリンみたいにちょっと入れると砂糖の使用量が減るといったような意味で 使われるのでしたら、それはそれでいいのかもしれませんという意味です。 ○戸部部会長  安全性のサイドからの計算としては、ショ糖がすべてこれに置きかえられた場合を想 定しても大丈夫だろうということがある訳です。ですから、今おっしゃられた特定の人 たちを対象にしても、今現在飲んでいる方も砂糖入りを飲んでいる。それがすべてこれ に置きかえられても大丈夫という、計算ではそうなっているんですが、もちろん人工の 添加物は少なければ少ないほどいい訳ですけれども、そういう意味で出来るだけ厳密な 基準を設けておくということが必要かと思います。この前のスクラロースのときにも使 用基準を設けなくてもいいのではないかという御意見がありましたが、その安全性の データからそういうことだったんですが、構造中にクロールが入っているという一点で やはり注意をしておいた方がいいということで使用基準を設けたという経緯もございま した。そういう意味で、このものも安全性のデータに関する限りは使用基準は要らない のではないかということですが、諸々のことを勘案して、使用基準を設けた方が安全だ ということで、御心配の点も当然でございますけれども、どうでしょう、そういうこと でよろしいですか。 ○林(裕)委員  結構です。 ○戸部部会長  そうすると、今の基準は当初おまとめいただいたものをショ糖の一日摂取量を少し変 え、それからさらに本品の計算も変わるということですね。 一つ伺いたいのは、ショ糖一日摂取量が38.05gとなりますね。これは一般的にこれま で私なんかが承知しているのは、大体日本人の平均は60gというふうにショ糖を考えてい たんですが、最近の国民栄養調査だとこういう値になるんですか。少な過ぎるというふ うに自分が甘味を好きなものですから思うんですが、どうでしょうか。 ○事務局 国民栄養調査は今手元にございませんけれども、以前よりも砂糖の摂取は低下してい る傾向にあります。それから38.05gというのは、前回のスクラロースのときに推定した 量とほぼ等しいものであるということになってございます。 ○池田補佐  そうすると砂糖全体の量なんですか、それとも使われる可能性のある範囲で集計して いるんですか。 ○事務局 これはもちろん、使われる範囲というか、これを対象にしたものということでござい ますので。 ○池田補佐  ですから、全部の砂糖の量ではないかもしれません。 ○戸部部会長  全ショ糖ではないんですね。 ○池田補佐  ちょっとそこは確認が必要ですけれども、多分そういうことではないかと思います。 ○戸部部会長  この表現だと、ショ糖の一日摂取量だということになると、そのアセスルファムが使 われない局面も含めて、ショ糖の全体量というように読めますけれども、どうでしょう か。 ○池田補佐  後ほど確認して、もし違っておれば訂正いたします。 ○戸部部会長  ほかに基準について御意見ございませんでしょうか。よろうしゅうございましょう か。 それでは、若干の訂正の御指摘をいただきましたが、それを訂正した上で、この分科 会でおまとめいただいた報告書を骨子として、合同部会での審議の結果として報告をさ せていただく資料ということでお認めをいただくということでよろしゅうございましょ うか。  ありがとうございました。それでは、この分科会報告に基づいて訂正をした上で報告 書とさせていただきます。ありがとうございました。 何か全般的に甘味の添加物についてございますか。 ○成田委員  細かいことですけれども、資料の22ページの「移動相」のところですけれども、アセ トニトリル/0.01mol/lのリッターは要らないんじゃないかと思うんです。 ○山田委員 mol/l は昔の記載ですと大文字のMにあたるものです。 ○成田委員  このmol のときは要るんですか。 ○山田委員 このmol というのは分子の数というか、そういうことです。 ○成田委員  通常molというと、1リットル当たり幾つでmolですので、要らないんじゃないかと思 ってしまったんですけれども。 ○山田委員 大文字で以前書いたMに当たるのが、このmol/lという表現にするということに計量法 かなんかの関係でそうなりました。 ○成田委員  前のMのときは、たしかパーリッターは要らなかったので、すみません、ちょっと勘 違いしました。 ○戸部部会長  そういうことで、このアセスルファムカリウムの審議は終わらせていただきます。あ りがとうございました。  それから次は、最近食品添加物についてお読みになった方もおられるかと思いますけ れども、一般に出ております書物でベストセラーになっている本があるということで、 いろんな論議を呼んでおりますけれども、その件に関して何か御発言がございますでし ょうか。『買ってはいけない』食べ物ということで、あれを読むとすべて何も食べられ なくなるんじゃないかという御懸念もありますし、分からしていただいてありがたいと いう御意見の方もおられると思うんです。 ○田所補佐  『買ってはいけない』もそうですけれども、『買ってはいけないを買ってはいけな い』という本とか、『買ってはいけないは嘘である』とかというような本も、いわゆる 3部作というような形で、反論、反論という形の出版等もされております。 ○池田補佐  発端の方は、週刊金曜日という雑誌に掲載されていた記事をまとめた本なんですけれ ども、市販されている食品とか、医薬品とか、そういったものをやり玉に挙げまして、 その中に含まれている、例えば食品添加物の毒性の一部のデータを、いってみれば消費 者を脅かすような表現ぶりで、例えば味の素のグルタミン酸ソーダについては、昔「チ ャイニーズレストランシンドローム」という言葉があったぐらい、中華料理屋さんでた くさんそれが入ったものを食べたら具合いが悪くなったと。今では特段の問題というふ うにはなっていないんですけれども、それはその後の実験なんかで否定されている訳で すが、そういったものを引用して、そういうことがあるから買ってはいけないんだとい うことで、たくさん売られている有名な商品をやり玉に挙げて、しかも根拠があまり明 確でない古いデータの一部を引用したりして、誹謗中傷と言っちゃいけないんですが、 そういうような表現で本を出していまして、今聞いている範囲では180万部を超えたとい う話になっています。  その中では大きな部分が食品添加物を扱っていまして、例えば亜硝酸ナトリウムとか そういったものとほかの添加物を一緒に食べると相乗毒性があって大変危険だとか、そ ういうことで私どもの方にもいろいろと読んだ消費者の方々から問い合わせ等が来てい まして、実はその本については、今申し上げたように反論の本が出ていまして、今お話 ししたようなちょっとデータの取り扱い等で問題点がある。単なる企業に対する脅かし にしかなっていないというような反論も出て、交互に水掛け論みたいなことをやってい るんですけれども、そういったところで一般の方が添加物についての安全性に疑問がか なり出てきているということで、実はいろんなところからも指摘を受けて、私どもとし ても食品添加物を担当をする部署として何らかの対応が必要ではないかということを今 少し考えているところなんです。そのあたりについては、先生方から何か御指摘とかあ れば、今後の対応として考えたいなと思います。 ○林(裕)委員  全部読んだ訳ではないですけれども、あの本の中で問題の取り上げかたを見ますと、 本の内容の性格が理解されるような気がします。即ち、添加物の安全性評価の場では、 例えばJECFAとか、厚生省では安全性を重視した論議が行われ、の中には、例えば これは大丈夫であろうということは分かっていながら、やはり特殊な条件を考えて、こ このところは検討すべきであるとのコメントが加えられ、最終的には、これは大丈夫だ という結論になっている例がかなりあります。この本では、このような議論の前半部分 が蒸し返されているだけのように思います。全部見た訳ではないですけれども、例えば ソルビン酸カリウムによる肝腫瘍の発生とか、グルタミン酸ナトリウムを大量に与えた 場合の肥満マウスが取り上げられています。しかし、これらの問題はそれぞれの会議で 時間をかけて評価され、安全性が確認されているのです。 ○林(真)委員  私も全部読んだ訳ではなくて、本当に二、三項目しか見ていないんですけれども、そ の中で感じたのは、変異原性というか、遺伝毒性があったものについて、それをそのま ま発がん性があるというような結論に短絡的に用いて、それでこれは危ないというよう な結論を出していたような項目があったように思います。 ○林(裕)委員  ですから結論的にいいますと、先ほど高仲先生も言われたように、安全性についての 評価の考え方及び方法が以前に比べて進歩していますが、あの本の中では、その点が取 り入れられていないことが問題だと思います。 ○山崎部会長  その本も、その本を買ってはいけないという本もまた両方ともベストセラーになって いるという今の御説明もありまして、それはそれで出版業界の事情のことなんかもある んだと思うんですけれども、この部会としては、そういう関心が高まったということに ついて、それが指定食品添加物として承認されているという根拠が、今、林先生がおっ しゃったように、こういう論拠に基づいて安全性というものがここでは結論付られてい るんだという説明がいつでも出来るような体制をきちんととっておくということは必要 なんじゃないかと思うんです。 それからもう一点は、やはり安全性の評価についてかなりそういう技術が進歩してい ると思うんです。それから食品の加工技術についても、やはり進歩しておりまして、指 定食品添加物というものの内容が、これは日々変わってきているんじゃないか。そうい うことで必ずしもずっと、ずっとというのは語弊がありますが、ある期間以上を放置し ていいものでもない。したがいまして、現在の指定食品添加物の内容をもう一回整理し て、きちんと国民の皆様が納得出来るような形というのをとるというのも、この部会の 役割じゃないか。これは事務局の方でお考えになっていると思いますけれども、その内 容について逐次ここの部会で検討させていただくという形がよろしいんじゃないかとい うように思うんです。ですから、結論としては本は本で置いておいて、部会としてきち んと検討出来るところは検討して体制を整えておくということが必要じゃないかと思い ます。 ○山田委員 今の山崎先生のお話に追加なんですけれども、この4月に食品添加物公定書第7版が 出まして、それのときに規格をいろいろ見させていただいたんですけれども、そうしま すと確かに添加物の規格はあるけれども、この添加物は今も使っているのかなというの もありました。それからあと、亜硫酸ナトリウムとか、クエン酸とかそういうものは無 水物と結晶水を持ったものとが、これは当然科学的には同じものですから、規格として は一つで出ているんですけれども、いわゆる別表第2といわれますものの中には、別項 目としてある。そんなのがいろいろありますので、その辺のところはいつか何かで整理 していただけたらなという気がしております。 ○長尾委員  例えば今日の8ページのところで、3%の用量を用いたときにいろいろな催奇性が出 ているんですけれども、結論はネガティブということになっているんですが、こういう ところの記載は、判断の根拠がはっきりするようにすることがそういう問題への対処だ とも思うんです。 ○高仲委員  今、長尾先生もおっしゃったように、公開するときに、少なくとも誤解を受けないよ うな表現にしたい。欲を言えば、この情報を読むことによって、そういう本が本当に正 しいことを言っているかどうかということが理解出来るようなものにすべきではないか と思います。 ○戸部部会長  それぞれ貴重な御意見をいただきました。 ○田所補佐  御意見をいただきました指定品目等についての検討につきまして、事務局の方で情報 等を収集いたしまして、また次回の部会開催時等に論点整理等をさせていただきたいと 考えております。よろしくお願いいたします。 ○戸部部会長  熱心な御議論をいただきましてありがとうございました。一般の方々にもいろんな情 報を正確に分かりやすく提供するということがますます重要かと思います。部会もその 線に沿って仕事をさせていただくということでよろしくお願いいたします。それでは、 本日はありがとうございました。                                     (了) 厚生省生活衛生局食品化学課 電話03−3595−2341(田所、高橋、宇山)