99/10/01 第4回精神保健福祉法施行のための専門委員会議事録 第4回精神保健福祉法施行のための専門委員会 (医療分野)議事録 厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課 第4回精神保健福祉法施行のための専門委員会(医療分野)議事次第  日 時  平成11年10月1日(金) 15:30〜17:27  場 所  通産省別館共用第10会議室  1 開 会  2 議 事   (1)参考人からの意見聴取   (2)その他  3 閉 会 〔出席委員〕                                    吉 川 座 長   荒 井 委 員  浦 田 委 員  金 子 委 員  佐 伯 委 員 末 安 委 員 西 島 委 員  山 崎 委 員 山 角 委 員 【滝川補佐】  ただいまから、「第4回精神保健福祉法施行のための専門委員会(医療分野)」を開 催させていただきます。  本日の委員の方々の出席状況をご報告いたします。滝澤委員と野中委員がご欠席との 連絡をいただいておりまして、ほかの委員の方々は皆さんご出席であります。  それから、事務局の異動がございましたので、この場をおかりして紹介させていただ きますが、中村補佐の後任で重藤が担当することになりました。 【重藤補佐】  重藤でございます。よろしくお願いいたします。 【滝川補佐】  本日は、今までこの専門委員会で検討していただいた項目について、4人の方からご 意見をお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、これより、吉川所長に座長をお願いし、進行をしていただきたいと思いま すので、どうぞよろしくお願いいたします。 【吉川座長】  それでは、第4回の専門委員会を開きたいと思います。本日の委員会には、例会のご とく事前に傍聴をご希望なさっている方がお見えになっております。ご紹介させていた だきます。  都立松沢病院の益子茂さん。国立医療・病院管理研究所の伊藤弘人さん。神奈川県衛 生部・助川征雄さんです。  参考人の方々からご意見をお伺いする方法として、お一人当たり15分程度のお話をい ただくつもりでおります。順番にご意見を述べていただくことになっています。その後 委員の皆様方から参考人の方々へのご自由なご質問等をさせていただきたいと思ってお ります。  参考人の方をご紹介させていただきます。  山本参考人はまだお見えではないですが、東京精神医療人権センターの小林信子さん 全国精神保健相談員会長の天野宗和さん、日本精神神経学会副理事長の森山公夫さん、 よろしくお願いします。  それでは、最初に小林さんからお話しいただけますか。よろしくお願いします。 【小林参考人】  ただいまご紹介にあずかりました精神医療人権センターの小林と申します。お招きい ただいて大変感謝しておりますけれども、このようにすでにテーマが設定された場です が、患者の権利擁護団体として、権利が制限されていることに対する不服申し立てと患 者さんの自己決定の権利を保障することをぜひとも法に盛り込んでいただきたいと思っ ております。  テーマに沿って話してみたいと思います。まず1の処遇についてなんですけれども、 私たち人権センターが考える入院というのは、お手元にある資料の、国連の「原則」を 支持しております。そして原則3(地域での生活)原則7(地域と文化の役割)原則9 (治療 1)などに基づき、入院自体が規制であると考えております。  また、WHOの発行しております10の基本原則でも、これもお手元の資料にあります けれども、「施設内での治療は規制が最小の環境で提供されなければならない」とあっ て、私たちはこれに依拠しております。  ゆえに、自発的入院に行動制限、つまりこの場合の閉鎖処遇を認めるということは、 国際的な処遇基準からますます遠ざかっていることになって、とても我々としては認め られないわけです。  しかしながら、国内の状況はもちろん認識しております。しかし、なぜそのような状 況が生じてきているのかということを誰もが考えます。問題点は審議会でもこの委員会 でも既に指摘し尽くされていると思います。私たちはまず、その環境整備が先なのでは ないか、その環境整備をするためにも十分な予算を獲得したり、スタッフのトレーニン グをしたりして医療の質を変えることをまず先にしてから、残された唯一の最後の手段 としての行動制限を考えることが順序なのではないかと思っています。この順序が逆に なっていると考えています。  今回はどういう行動制限が許されるのかというようなことが前提になっているわけで すけれども、行動制限を最終手段として行う場合には医師の独断ではなくPSWや看護 職との協議がぜひ必要であると思います。その上で患者さんの自己決定と原則11にあり ますインフォームド・コンセントの 1〜 5の項目をぜひ尊重していただきたい。閉鎖処 遇という行動制限に対する患者の人権保障のためにも、インフォームド・コンセントは 不可欠なので、先進国では一般的になっています第三者機関で患者の立場から、法律の ことや心理的なことも含む種々の援助を提供する患者の権利擁護者制度などの精神科患 者に援助を提供する仕組みをぜひスタートさせていただきたいと思っています。  この委員会の中で、前々回などに委員から出ていた病院に都合のよい患者の自己決定 例えば、任意入院の患者が閉鎖病棟を希望する場合もあるからという話がありました。 実際は任意入院で開放処遇を希望し、それを受け入れてもらえないという不服の方が何 十倍も多いはずです。このような病院にのみ都合のよい患者の自己決定というのも、患 者の権利擁護者がいて適切なアドバイスをしたりすれば随分少なくなるのではないかと 私たちは思っています。そういうことからも、行動制限が医師の裁量のみで行われるこ とは認めるべきではないと思っています。  2.移送に関してですけれども、この制度自体に私たちは反対せざるを得ません。私 たちセンターにも、この1年間だけでもガードマンによる医療保護入院の不当性を訴え る相談は3件あります。過去にさかのぼりましても数多くありまして、裁判で争ったこ ともありますが、みんな負けました。患者さんの経験の現実を知った上で、当事者の相 談を私たちは受けるわけですから、この制定そのものにどうしても反対せざるを得ませ ん。  原則の7(1)“すべての患者は、できる限り、自らが居住する地域で治療を受け、ケア される権利を持つ”、こういう国連の原則が日本の地域の精神医療ではまだ依然として 満たされてない現状であることを感じておりますし、国の統合的な精神保健施策の欠如 がこの移送という不幸な形で出現してきたと私たちは思っております。実際は、国は精 神障害者援助の重要な地域資源である保健所の統廃合を一方で進めながらも、地域ケア をどのように展開しようとしているのか。この政策の矛盾は私たちにとても理解できる ことではありません。  患者さんの保護者(家族)は必要とする援助を受けられないまま追い詰められ、患者 さんは家族と精神医療への不信をつのらせている現状は国の責任でもありますし、精神 保健サービスの欠陥の犠牲者であると思っています。  そして移送ということは、身体の自由の拘束、たとえ一時的にせよ、あるわけですか ら、いわゆる国連の自由権規約の9条の保障が及ぶべきであると私たちは思っていま す。  今回の法改正においては、行政措置として移送を行うということと私は解釈している のですが、例えば、政府が6月に批准した拷問等禁止条約の「拷問」の定義の中に「公 的資格で行動する者」には指定医も含まれることになりますから、場合によっては、こ の条約にも該当し、行動制限はもちろんのこと、納得のできない移送は「非人道的、品 位を傷つける行為」に当たるのではないかと思っています。  患者さんから見れば、公的な誘拐と思ってもしようがないわけで、物理的な抵抗は当 然予想されるわけです。その場合には注射をするとかそういう医療行為ではなくて、あ くまでもプロとしての説得が唯一の手段であってほしいと願っています。  ともかく、どのように手続きが整備されていても、この移送方法は、当事者にとって は納得のできないものだと思っています。  そこでぜひ、お願いしたいのは、移送から医療保護入院のケースにおいては、その不 服申し立てのために精神医療審査会とは別の不服申し立て制度を設立してほしいと思っ ています。その理由は、現状では不服申し立てをしても、その機関である精神医療審査 会が実質的にほとんど機能してないということは皆さんおわかりいただいていると思い ます。  精神医療審査会では、そもそもが、例えば国連の自由権規約第9条4項の「合法性」 であるかどうかについて、遅滞なく審査が行われる必要性の保障が欠けています。いわ ゆるタイムリーな、2〜3日以内に審査という、そういう機能を審査会自体は持ってな いわけです。そして、他の救済手段としての人身保護法の請求は行ったことがあります けれども、これは手続きの合法性のみの審査しかないわけです。また、自由権規約の9 条5項の拘束が不必要であった場合の保障に関する規定も我々の法律にはないわけで す。  このように患者への権利の侵害は明らかでありますから、患者の権利の保障のために も、また1で述べましたような、患者さんは自己決定を援助される権利があるわけです から、法的代理人や患者権利擁護者の立会いという制度をこの機会にぜひ導入して、情 報公開とともにこれを保障する制度をぜひ創設していただきたいと思っています。  そして、ここで1つ現実的な代案を私たちは提案してみます。移送の場合、その対象 には受診歴のある人と全くない人とを同じように扱うべきではないと思っております。 その対象の人が一定期間医療にかかったことがあって、医療中断者であった場合には、 例えば保健所を介入させて、直前までかかっていた医療機関から当事者へ直接のアクセ スをまずさせる。スタッフが出かけて行って様子を聞くとかということを義務づける方 法はどうかということを私たちは提案したいと思います。  応急入院の設備の見直しについては、ほかの方にお任せします。  ともかく急性期医療を保障するスタッフの配置と早期退院を保障するようなシステム をつくっていただきたい。というのは、現状の措置指定病院の力量がすごく落ちている わけです。東京などにおいても精神病院全体の基準より指定病院の方が質が落ちている という現状があります。この状況を業界横並び体質による応急入院指定病院の新たな基 準の引下げによって、指定病院と同じような状況が生み出されないことを願っておりま す。  この間、部会や専門委員会を傍聴させていただきました。その流れというのは、とも かくずぶずぶの現状をただただ是認していく医療サービスの提供者中心の、いわゆる利 潤追求の業界論理が全く圧倒しているという印象を持っています。いろいろ世の中昨今 の出来事を見ましても、精神医療の対象も関心も大きく変わってきていることは皆さん も痛感していると思います。精神医療もそろそろ「利用者中心の医療」を目指す時期に きていることをぜひ理解していただきたい。そして、精神医療という権利制限のあると ころ、その不服申し立ての保障は患者さんの権利擁護として不可欠ということを認めて もらいたい。 その一番具体的なこととしては、何度も述べましたように患者の権利擁護制度の創設、 いわゆるペーシェント・アドヴォカシー・システムといって、先進国ではすでに多く実 践されているのです。この制度は患者さんたちの大きな働く資源にもなるわけですが、 そのパイロットケースがさまざま行われています。行政はまずそういうパイロットケー スの支援から始めてもらいたいと思っています。  何度も何度も法改正が行われても、相変わらずスキャンダルは起こる。このようなこ とはなぜなのかというと、非常に場当たり的な改正だからである。国は精神医療をどう しようとしているのか、そういうポリシーが私たちには全く見えないわけです。そうい うポリシーをぜひ国として高く掲げていただくと同時に、具体的なこととしてはWHO のメンバーなのだから情報公開も含む国際的基準に一歩でも近づいた精神保健政策をぜ ひ遂行していただきたい。我々が今ここで討論していることは国際的な基準からますま す離れているということだけをぜひ皆さんには知っていただきたいと思っています。  どうもありがとうございました。 【吉川座長】  ありがとうございました。小林参考人からのお話でございました。  それでは、続きまして、天野参考人からお話をいただきたいと思います。 【天野参考人】  レジュメを読ませていただきたいと思います。  本日は、公衆衛生審議会の医療分野専門委員会にお招きいただきましてありがとうご ざいました。私は、全国の保健所、精神保健福祉センター、病院などで専任で精神保健 福祉相談業務に従事するPSW、保健婦、心理などを会員とする公務員の会の天野と申 します。  私たち会員は、この専門委員会での論議を注目しております。参考人としていくつか 意見を求められている課題がありますが、私たちにとって最も関心の高い法34条の移送 の問題に限らせて発言させていただきたいと思います。  会員全体の意見を代表するところまでは至っていませんので、個人的な意見となりま すが、移送の問題にまつわる現場での状況の一端や考え方を述べたいと思います。 1.今回の法改正で34条を新設した理由は以下の3点に集約できると認識しています。  1)患者を抱えた家族が高齢化等、家族のサポートが脆弱化しており、病状が悪化した 時の医療へのアクセスが非常に困難となっており公的な責任で移送してほしい。 (家族会からの要望) 2)移送を民間救急車に依頼した時、強引な移送を行っており人権上問題がある。 (関係者、マスコミ等から問題提起があり社会問題化した) 3)保健所は土日、祭日、夜間休んでおり、平日を含めあまり頼りにならない。( 家族、 医療関係者。熱心な先生方がドクターカーなどで地域に出かけていらっしゃる先生がい らっしゃることを指していますが、関係者等からの指摘ということで3点あったと思い ます)。 2.34条の新設は基本的には賛成です。しかし、上記3点の理由からではありません。 政省令や通知などで示され、施行される内容によっては非常に危惧する状況になると思 っています。  以下、上記3点について見解を述べたいと思います。 1)について…家族が高齢化しており、患者さんを抱える家族が大変な苦悩を背負って生 活されていることは、私たち精神保健福祉業務に従事する人間としては痛いほど身にし みています。しかし、患者さんが悪化したときの家族の大変さの相談を受けている立場 で、あえて発言させていただくと、非自発的入院の移送を公的に行ってほしいという願 いは原則的には賛成ですが、強制的な移送を行った患者さんのほとんどが、再燃・再発 した時に強制的な手段でしか医療にアクセスできないという体験を統計的な数字を持っ ていませんが、この業務に携わる私たちの実感です。 強制的移送を望む家族に、是非、1回目の入院をどうやってアクセスしたか確認しを してみてほしいと思います。私たちは、再燃・再発をした患者さんが医療アクセスが困 難になる理由としては、 1強制的移送の体験  2病院のアメニティの悪さ  3主治医・ 患者関係の未成立  4本人−家族関係の悪化  5に 4とも関連しますけれども、本人に 信頼できる相談者の欠如の5点が主に悪化した時に医療から遠ざかる要因と考えていま す。  私たちは、高齢者だから、単身者だから移送業務をしないということを言っているの ではなくて、やむを得ないと判断される場合は現在でも現場で苦悩しながら強制的な移 送も行っております。  「いかに医療といい出会いができるか」人間不信と医療不信の悲劇の再生産をする可 能性の高い強制的な移送ではない、言い換えれば本人の自己決定をあくまでも期待する 努力を私たちはできるかぎり試みたい、と思っています。  再発・再燃時の苦悩のを「直ちに」で医療にアクセスすることは長い目で見れば家族 にとっても不幸であると信じています。私たちは、十分な関わりや見立てが保障さた34 条(移送)の実施であってほしいことを願っています。  家族会には、「強制的な移送」のリスクを十分理解していただいた上で受診の問題を 一緒に考えていただきたいし、もっと重要だと思われるキチッとした保健所等の地域の 相談体制を確立することや、(これは保健所に限ったことではありませんけれども、今 回の生活支援センターなど社会資源を含めて、精神保健福祉士の配置とかをきちっと言 っていってほしいんですけれども)医療中断をした時は、すぐに主治医や往診や訪問看 護を実施してもらえる体制を求める運動を是非展開してほしいと思います。 2)について…民間救急車の問題点は、適切な判断(診断)がなされていない人を強制的 に(拘束を含む)移送することの人権上の問題だと思います。保健所等の行政職員が情 報を収集したり関わった結果、精神保健指定医を依頼する判断をして、指定医が移送を 決定した場合、行政が民間救急車の費用を負担したりすることで、救急車自体が悪いと いうことは当たり前なんですけれども、そう問題とは思っておりません。独自に自治体 が移送車を持つか雇い上げかは、国の予算の内容や額によって対応は自治体によってさ まざまになると考えています。 3)について…保健所が頼りにならないということですけれども、昭和40年の精神衛生法 改正で精神衛生の第一線機関となった保健所の体制が、「精神衛生相談員を配置するこ とができる」規定があり、全国の自治体での取り組みには、ばらつきがあります。平成 10年の当会の調査でも、県型保健所では約半数がまだ専任者さえ配置されていません。 つまり、保健所の精神保健福祉業務は全国的にまだ十分確立されていない体制であるこ とが問題の根幹にあります。 自傷他害でない事例には手出しが出来ないことを原則に、今現行法の中でも、専任者 が配置された保健所では、多少の差はあれ、家族の手助けとして非自発的移送も行って います。また、原則やマンパワーの不足を盾に、関わりを避けてきた保健所もあり、家 族や近隣のニーズに応えてこなかったことが今回の家族や医療機関の苛立ちの背景にあ ることも十分認めます。私たちは会としては常に専従者の配置を求めてきましたし、各 自治体においても会員は働きかけ続けてきました。 しかし、時代の趨勢は逆に推移しており、地域保健法で保健所の数は激減している現 状に加え、14年度には市町村に業務の一部が移行していくため、県型、中核市型、政令 都市型と業務内容の違いは加速度的に変わらざるを得ず、「精神保健福祉法」や「保健 所及び市町村における精神保健福祉業務運営要領」の同じ文言では同様な業務を行って いくことが困難な状態にもなってきています。特に県型と政令都市型は非常に違ってき ています。 先日(9月16日、17日)行われた日本精神科救急学会の政策委員会で精神科救急シス テムは全国一律ではなく地方と都会とは区別して実施されるべきだとの提言がありまし たが、移送の問題も体制ができているところ(できてないところ)で移送業務が位置づ けられ、厳密な運用が通知等で示されないと安易な強制的移送が行われる(事務的に行 われてしまう)ことを非常に危惧いたします。保健所は多くの専門職がいる職場ですが この業務に専従している職員以外が同じ意識で精神保健福祉業務を考えているとは決し て言えないのが現状です。現場で私どもは保健所内の組織の人たちを信じてはいませ ん。  当会の理事会で、今回の34条の対象となる事例を想定したところ、23条、24条と一般 の救命救急を使う以外で自傷他害がなく医療保護入院の対象で「直ちに」という事例は ソフトな救急システムがあれば本人や家族の不安や緊急事態は相当おさまり、34条適用 事例は非常に限定されるだろうという結論が出ました。  今回の法34条は、精神科救急の問題とは別の受診援助の移送の問題として私たちは認 識しています。今田部長が国会答弁の中でお話になられましたように、「そういう場合 に当然家族の説得とかあるいは主治医の協力を得ることになるわけでありますが、それ でもなおかつ努力を尽くしても本人が受診に同意しない、(努力を尽くしてもというと ころが、私どもは非常に強調したいのですけれども)しかも医療はどうしても必要なん だということについて指定医が判断した場合に、保護者の同意を条件に適切な医療機関 にこれを移送する、こういう仕組みでございます。……」とお答えになっていますけれ ども、保健所の体制の充実がなければ、努力を尽くすこともできないし、前述のように 再燃・再発の時の医療アクセス困難事例を減少させることにはなりません。  土日、祭日、夜間の体制を保健所に求めることは各自治体は非現実的だと思われ、日 中は保健所、土日、祭日、夜間は、今回提案されている精神科救急情報センターの適切 な運営(精神保健福祉士の24時間必置体制)で平日の保健所や医療機関等に相談を相当 振り向けることができると考えています。  精神科救急情報センターと精神科救急システムは是非早急に充実させていただきたい と思いますが、34条の運用において、精神科救急情報センターで取り扱われなければな らない事例は例外的問題で、日頃の保健所等の職員の受診援助活動の関わりが行き詰ま った事例に対して行われるという考え方を前提にして組み立てていただきたいと思いま す。  保健所の受診援助の活動は、単に医療にアクセスすることだけを目的とせず、本人や 家族への社会復帰や社会参加の相談を支援する連続性のある活動の中での医療アクセス を考えているわけで、精神科救急システムや精神科救急情報センターが充実しただけで は解決しない、車の両輪のような関係だと考えています。 3.具体的な要望 1)法34条は申請に基づいて行う 原則として、家族が申請者となり、民生委員や警察官も申請者になることもなりうる 内容で、統計的なご説明もあったと思いますが、法23条が現状利用されてないことに隣 人などが、自分らの名前で申請するのは嫌だという統計がありますけれども、そういう ことも踏まえ、また、単身者などのことも考えて、あるいは家族会の言うように、保健 所の判断で必要だというときがあると思うので、職権で知事(保健所長) も申請者とな れる項目を入れてほしい。 2)申請に基づいて指定医を呼ぶ判断基準を細かく通知等で示してほしい。 先ほど言いましたように、保健所の職員も基準がないと、基準があれば、その基準ど おりで動くということもありますけれども、指定医を呼ぶ判断基準というのが今回一番 大事な問題であると私どもは考えています。 日中と精神科救急情報化センターを区別して、日中においては、34条適用に際して保 健所内で管理職を含めた担当職員のカンファレンスを義務づけてほしい。これは担当者 がひとりの責任で結構判断を任せられてしまっていることがありますので、これを通知 か何かで運用のときに県知事の仕事であるということをきちんと組織的に位置づけてほ しいためにカンファレンスをぜひ入れてほしいということです。精神科救急情報セン ターにおいては、対象となる人を取り巻く環境的状況(ソーシャル的要素)と疾病的経 過と状況(メディカル的要素)、主治医との連絡有無などがチェック項目になっており 保健所の関わりの経過なども記述する欄があり、指定医に状況がすぐ把握できる状況説 明書(34条申請書?指定医依頼書?)を作成ほしい。書類の様式は日中も夜間、休日同 一でも問題はないと思います。 3)診察の告知と移送の告知は必要で、警察と救急車の連携も位置づけてほしい。 行政権力の発動なので吏員の立会い、付き添い、告知は必ず必要です。また、状況 によっては「警察官の協力」は不可欠なため、法施行前に厚生省は警察庁と消防庁の調 整を行いどこかに文言化してほしい。 といいますのは「都道府県知事は」となっていても、警察は県ではないかということ があるのですけれども、全然県知事の方を向いていません。そういうことで、今までス ムーズに警察と連携できていた保健所が、34条の成立で協力してもらえないこと、それ は県の仕事だろうということで、連携がうまくいっているところが実際あるわけですけ れども、協力してもらえなくなるのではということを会員は非常に危惧しています。救 急車の所管も市町村などて同じ心配をしています。 4)移送を判断した医師と受け入れ先の医師の判断の食い違いがあると現場は困る  理想的には、移送を判断する指定医のほかに入院予定先の指定医も駆けつけていただ いて判定していただきたい。それが無理な時は、(現実的ではないということでした ら、)移送の判断をした指定医は移送に付添い、入院予定先の主治医と十分話し合って いだたきたい。医師の判断が異なったときは、医師の立場で移送した患者と家族に説明 していただきたい。これは当たり前のように思えるんですけれども、そこら辺のことを 指定医の職務として移送の判断基準とともに文言化しておいてほしい。 なぜなら、この当たり前のようなことが現状の法施行業務の中で、「措置には該当し ないが、入院治療が必要である」と判定だけして、指定医の先生が帰られることがよく あります。その後の治療への導入への説得とか説明が患者に対してなされなくて帰られ て、私どもの会で業務研修会などをやりますと、立ち会った職員がそこら辺の説明を家 族や本人にしなくてはならず苦慮しているといった状況をよく聞きます。そういうこと に対して、きちんと指定医の職務として判定だけでなくて、医療が必要である説明、い わゆるインフォームド・コンセントをきちんとやってほしいと思っています。 また、医療委員会の先生のご意見にもありましたように、72時間に限り移送れてきた ときの入院形態で受け入れて、その後再判定は私もやってほしいと思っています。アル コール等の依存症の事例は治療方針からもこのことが必要かと思われます。 法34条の対象には、極度の自傷他害行為のないことが想定されているので、必要最小 限度の拘束は必要かもしれませんが、移送中の医療行為は受入れ病院の治療関係を形成 するためにもしてほしくないと思っています。 5)法34条で移送した場合は、経過を精神医療審査会の審査の対象としてほしい。 人権上問題が起こり得る可能性があり、チェックは必要です。審査は、移送された後 になるので、精神医療審査会としては審議の結果問題があると思われる事例について、 同じことが行われないようにするという立場で、関係した指定医や立会い吏員などの職 員の弁明を聞いたり、指導や注意を行ってほしいと考えています。 以下、今話したようなことを図式化しているのですけれども、時間がまいりましたの で省きますけれども、特に3枚目のペーパーなどは、受診できない状況をパターン化を して文言化したのですけれども、今回移送が34条の適用になるのは、状況4、5が問題 になるのかなと思います。地域の状況は様々ですので指定医を呼ぶ前にいろんな調査や かかわりをすることが、最も重要で、そのことがぜひ保障される34条の施行になってほ しいということを願っております。 【吉川座長】  どうもありがとうございました。天野参考人からのお話でございました。 それで は、森山参考人からお話をお伺いしたいと思います。森山先生よろしくお願いします。 【森山参考人】  精神神経学会の立場から一言申し上げたいと思います。  私たちの基本的な立場は、日本の精神医療もかつての社会防衛主義に基づく収容所医 療というものから、ノーマライゼーションに基づく地域ケア体制、地域精神医療へとい う大転換を行いつつある今移行期だというふうに認識しております。移行期ではありま すが、これからいよいよその真価が試される時代に入ってきておりますし、私たちとは して、この日本の精神医療をあるべき姿に向けてきちんとぜひ転換させていっていただ きたいし、私たちもそれを担っていく責務を持っている重大な時期に当たっているとい うふうに考えておりますので、そういう立場から申し上げたいと思います。  今回、出されている3つの点は、言ってみれば、その移行期の中における3つの局面 といいますか、それをあらわしているのかなというふうに考えます。  第1の問題は、既に言われている日本の収容所性、閉鎖性というものに対してどうや って風穴をあけて、それを当事者の自覚に基づく開かれた医療の場へと転換していくか という点で極めて重要な課題だというふうに考えます。  第2の移送問題は、いまだ極めて未熟である、言ってみれば地域医療体制、地域保健 医療福祉体制の問題をこの契機にどうやって新たに方向をつくっていくか、そういう課 題として考えたいと思っております。  第3の問題は、今まで言ってみれば、低レベルに押しやられてきた日本の精神病院、 入院医療のあり方をどうやって高レベルなものに転換していくか、そういう課題として 考えたいと思います。  そういう立場から、一応資料を配付しておりますので、要点だけ述べさせていただき たいと思います。まず、任意入院者の行動制限の問題についてですが、これは既に周知 のように、現状としては多くの者が原則的に任意入院という名のもとに閉鎖病棟に安易 に場合によっては長期間入れられている。こういう状況をどう打破して、精神病院を開 放的で、しかも当事者の自覚に基づく、そういう場にどうつくり変えていくかというふ うな課題かと思います。  この点では、任意入院、開放処遇の規定をきちんとして、一方では指導をきちんとし ていただくことが必要で、それと併せて、先ほども出されていましたけれども、院内ア ドヴォカシー制度といったものを通して、院内にどう風穴をあけるか、これがやはり不 可欠かと思います。  具体的に申し上げますと、精神医療における任意入院治療は利用者の自由選択とイン フォームド・コンセントを前提でありますから、当然本人の理解と同意に基づく任意入 院が原則となるべきであります。  その場合に任意入院者の処遇形態は、原則として開放処遇である。これは当然のこと であると考えます。では開放処遇とは何かという点では、ここに書いておきましたけれ ども、「少なくとも生活時間帯に自由に病院敷地外への外出が可能である」、これを外 してはいけないというふうに考えております。  ところが現状はそうでないわけですが、それを差し当たり覆すためにはどうするかと いう点で、確かに入院者の中にも、場合によって精神症状の動揺等、あるいは治療構造 上の問題等で一部制限を行わざるを得ないことが現実にはあります。その場合は原則的 に患者本人の理解と同意が得られる場合に限る。しかもそれをきちんと診療録に記載す ることが厳密に守られなければならないと考えます。  逆に、場合によって精神症状により病識が不十分なため、行動制限について理解・同 意が得られない場合は、むしろ医療保護入院をきちんと適用すべきであろうと考えま す。  さらに処遇形態ということで、これは入院形態と同様に極めて重要なことですから、 この処遇形態、つまり開放処遇か閉鎖処遇等に関して、この2ページに書いております ような具体的方策をとる必要があるだろう。  入院時ないし形態変更時にはそれをきちんと当事者に書面で告知すること。  その担保として、告知した旨を診療録に記載する。  入院形態について入院時告知文書や入院診療計画書に記載すること。  患者さんの権利周知の一環として、各処遇形態に関して、告知文書などを病棟内に掲 示すること。  これらをきちんとやる必要があるだろうと考えます。  また一方、問題になるのが、特に長期間、漫然と任意入院者に対して行動制限がなさ るることが非常に多くあります。これに対してどうきちんと対処するかということが問 われてきます。これに対しては、精神医療審査会への処遇改善要求などの不服申し立て や、実地指導なとで処遇の実態確認と改善指導が行えるような方策が必要であると考え ます。これらを通して、将来的には、先ほど申し上げましたアドヴォカシー制度をきち んと確立する方向をやっていかないといけない。  なお、こういうことをやりますと、書類をいっぱい書かなければならないので、ただ でさえ医者は書類書きに追われて、診療する時間がむしろ非常に少なくなってきている という、言ってみれば危機的な状況で、そのためにはもっとマンパワーを上げていかな いといけない。少なくとも精神医療の特例などは外していかないといけないということ があります。それが前提になります。それが差し当たりどう精神医療の閉鎖性に風穴を あけていくかということです。  次に、移送制度の運用に関してですが、基本的立場といたしましては、先ほどもちょ っと申し上げましたが、現在地域ケア体制が非常に未熟であり、そのために生じている 矛盾を当面34条、移送制度ということで肩代わりせざるを得なかったと理解しておりま す。  その事情は理解できるわけですが、これをそのままずっとこういう形で置いておくと いうことではなくて、将来的にはこれを地域ケア体制の充実ということの中に吸収して いくことが必要でありますし、恐らくこの移送制度の実現をめぐって各地で現在大混乱 が起きていますし、非常にいろんな問題が出てくると思います。その問題が起きたこと をきっかけにその地域の地域ケア体制をどうつくっていくか、これを機にやっていって いただきたいというふうに考えます。それが大前提です。  一応、総論的なものと各論的なものと2つに分けまして、初めに総論的なものとして 5点ほど申し上げたいのですが、第1点は、ただいま申し上げましたように、警備保障 会社などによる精神障害者の強制移送の社会問題化とか家族形態の変化等をもとにした 問題が起こってきているわけですが、そういうものを背景にして、こういう制度がつく られたという事情については私たちとしては当然理解するわけです。  2番目に、ここで大前提として、やはり精神医療の基盤は精神障害者の人権尊重に基 づくというごく当然のこと。同時に治療者、患者間の信頼関係の形成がなくてはならな いということ。このことを大前提として考えたい。  3番目として、こうした視点からしますと、先ほどもちょっと申し上げましたけれど も、この制度自体を取り上げますと、その運用をめぐっていろんな矛盾や問題点が出て くると思いますが、当面はこの移送制度は、従来行ってきたさまざまな手段による受診 不可能な場合にのみ限定的に運用させるべきです。これは先ほど天野さんも申しておら れることと共通する問題です。それから、従来の地域精神保健活動とか医療機関の訪問 看護・往診等のざまざまな地域ケア活動を決して阻害してはならないものである。そう いう形で限定的に運用されるべきであると考えます。  4番目が、一方で、この制度に関してはかなり地域差があると思います。いわゆる大 都市では確かにこういう問題が出てきている。ところがいわゆる郡部地域ではこういう 問題を出されるとかえって当惑するという地域もあります。その辺を踏まえて大都市型 中小都市型、あるいは郡部型といった地域差を十分に考慮しながら運用していく必要が あるだろうということです。  最後に、先ほど申し上げましたけれども、この制度は地域ケア体制の未成熟をカバー するものでありますけれども、将来的には2次圏域を中心とした地域医療における救急 医療、往診体制の一環として見直されていくべきだろうということであります。  次に具体的問題点。いろいろ前提は申し上げましたけれども、既に法ができておりま すし、具体的にやられるわけですから、それに当たっての問題提起をしておきたいと思 います。  実施に当たっての問題点としては、事前と現場、事後(入院の問題)、その3つに分 けられるわけですが、まず事前に当たっては3つほどの提起をしておきたい。まず、第 1に、先ほどから繰り返し語られていますようにほかに方法はないか。もっと慎重に、 あるいは本人がとにかく自発的にいけるような方法がないか、さまざまな試みを尽くす というのがまず大前提であります。  次に2番目に、担当職員は必ず十分な事前調査を行うということが必要でありますし その内容に関してはここに書いてありますが、事前調査票の様式設定も必要であるとい うことになります。言い換えると、例えば、夜間急に家族が依頼してきた。だから、こ れを即発動するというようなことは決してあってはならないということでもあります。  3番目が、最終的にこの発動を決定する決定の恣意性を避ける。あるいは長期的な治 療的視点からこの制度を活用するためにも、関係職員や場合によっては家族とかさまざ まな人たちを含めた受診援助会議というふうなものを設定する必要があり、その場で最 終決定を行うことが必要です。いずれにしても慎重に事を運ぶ必要があるということで あります。  次に、現場での問題ですが、ここでも4点ほど申し上げたいのですが、第1点が、指 定医が派遣されるわけですが、指定医が現場で強制移送の妥当性を判断する判断基準の 設定が重要となります。一種の危機的状況に指定医が立ち会うわけですから、その場の 空気の中で指定医がきちんとして判断行為を行わないといった危険もないわけではない と思いますので、判断基準の設定が必要となります。そのためにも指定医の診察票の様 式設定が必要となってくると思います。  2番目、指定医はここで判定行為のみを行うべきで医療行為はするべきではない。当 然注射などはするべきでないということになります。  3番目、移送に関しての行動制限、身体拘束などは当然最小限にとどめるべきである ということでございます。  4番目に、これが特に強調されたことなんですが、現場では当然職員の身体的危険と いうこともあるわけで、そういうことに配慮を含めて、その状況に応じて、この場合は 特に警察官との協力体制をきちんとできるよう、もちろん地域での協力体制もさること ながら、本庁でぜひその協力体制をつくるように合意形成をぜひお願いしたい。こうい うことがないと現場は恐らく不安で動けない、あるいは混乱することになると思いま す。  この場面とは違ってきますけれども、救急車の問題も含めると消防庁との関係もあり ます。この問題をむしろ契機に、地域でも本庁レベルでも、警察庁、消防庁との協力体 制をぜひこれからつくっていくようにお願いしたい。これは今後地域ケア体制をつくっ ていく上で不可欠の問題でありますし、私ども日夜いろいろやっていると協力が十分得 られないために非常に苦しんでいることが多いということで、この点はぜひお願いして ほしいということを強く要請されてきました。  最後に、事後の問題、送られた後の問題は、3番目の応急指定病院の問題とダブりま すので、そちらにいきます。応急指定病院の問題ですが、簡単に言ってしまうと、現行 の応急指定病院の基準を下げるべきでないと。この移送制度による移送先の病院の基準 を絶対下げるべきではないということです。現在応急入院指定病院が62病院あるわけで すが、当然これでは十分とは言えません。したがって、各都道府県で行っている現行の 精神科救急ブロックに各1カ所の指定を行う。あるいは各都道府県の現状に即した2次 精神医療圏域に1カ所の指定を行うことが当然必要となってくると思いますが、その場 合に応急入院指定病院の質の低下を招かない。  これは先ほど小林参考人の話にもあったと思いますが、それが絶対必要であると考え ます。当然それとの関係で輪番制は避けるべきであろうと思います。  また、本制度による医療保護入院患者の医療の質を担保する施設基準が必要であり、 原則的に現行の応急入院指定病院の施設基準を踏襲する基準とする。  これをきっかけに、特にいわゆる強制入院の場合の病院の施設基準は厳密に洗い直す 必要があるだろう。それを通して病院の医療の質を徹底的に上げていかないといけな い。それがなければ、日本の精神医療は国民の信頼を得られるものにはなり得ないと思 いますので、ぜひ、これを機にそういうふうにしていただきたいと思います。 【吉川座長】  ありがとうございました。 【滝川補佐】  ちょっとよろしいですか。 【吉川座長】  どうぞ。 【滝川補佐】  事務局でございますが、きょう山本参考人がお見えになるというふうにご連絡いただ いていたのですが、急遽体調が不良のため欠席させていただきたいというご連絡が先ほ ど入りました。そのかわりに意見書を皆様方にお配りしていただきたいというお話伺っ ておりますので、ただいまから配付させていただいて、後ほどご一読いただければと思 います。               (山本参考人意見書配付) 【吉川座長】  事務局としては、これは読み上げていただけるのですか。 【滝川補佐】  きょうは参考人の方々に委員会の先生方がいろいろとご質問していただくと。そのた めの参考資料として何かお配りするものがあれば配っていただくということになってお りましたので、きょうは山本参考人ご本人がお見えになっていませんので、意見書のこ とについてもお伺いすることもできませんので、委員の先生方、お持ち帰りいただいて ご一読いただければと思います。 【吉川座長】  わかりました。事務局から、ただいまの話がありまして、山本深雪参考人は、本日体 調が不良ということでご欠席でございます。そこで今申し上げましたように、意見書が 届けられております。皆様方、後の議論の中でもちろんそれらをお読みいただきまして また議論を深めていただくことも結構でございますし、また、後でゆっくりとこれを読 んでいただくことでもよろしいかと思います。  それでは、ただいま三参考人方から、それぞれご意見をいただきました。私どもの専 門委員会が今後議論を行う際に参考にさせていただきたいと思います。ぜひ、皆様方の ご質問なりご意見なり、それぞれの参考人に対してぶつけていただければと思います。 いかがでございましょうか。特に順序は問いませんので。 【浦田委員】  先ほどの天野参考人のお話の中で、2点ほど気にかかるところがありましたのでお尋 ねさせていただいて、ご意見をお聞かせいただきたいと思うんですが、まず、その前に 移送という制度は私は極めて限定的に発動されるべき制度ではないかと認識しておりま す。余りこれが拡大解釈されて、例えば救急システムに取ってかわるなんていうような ことになると大変な問題になります。  という趣旨から考えますと、先ほど申請について、原則家族とおっしゃいまして、こ れは私はむしろそうだろうと思いますが、ただ、23条が利用しにくい現状に踏まえて、 職権で知事も申請者となれるということであると。これは拡大的になる可能性があるの ではないかというところで、ちょっとこの辺が気になります。むしろ27条、診察のため の通報そのものが、こういうことはないわけですから、もっと行政処分としては本来厳 しいものですらないわけですから、本来、移送というのは知事の命令によるわけでしょ うけれども、行政処分として本来行われるべき筋でないものをむしろ医療を円滑にする ために行政処分として行われる、そういうようなものではないかと私は理解しています ので、そうしますと余りこれを知事というか、知事といっても保健所長になるわけです が、保健所長も申請者となれるというようなことは少し拡大していく方向になるので、 申請者はやはり原則家族で余りそれが大きくなりすぎないように、こういう内容は私は 政省令の中で項目に入れない方がいいのではないか、そのように考えておりますが、い かがでしょうか。 【三觜課長】  座長、法律の運用解釈は、私どもの問題で、皆さん方で議論して決めていただく事項 ではないので、今の問題説明させますから。 【中村企画法令担当】  法令を担当しています中村と申します。よろしくお願いします。今、三觜から申し上 げましたように、法改正時に整備されていると思われる事項、今コメントいただいてい るお話について、私どもの方で整備をしてあると考えておる事項について述べさせてい ただきたいと思います。  今、浦田委員からご発言がありました申請人に関してなんですけれども、こちらは入 院措置の申請の法文上の関係でございますが、医療保護入院の移送に関しましては特に そういった申請に関する規定は法文上ございません。ですので、申請者がだれになるか というところはまたちゃんと整理していかなければいけない。これは前回も資料出させ ていただきましたけれども、そこで整理していかないといけないとは思っておりますが 職権で知事が申請できるというところは、片方は法文に書いていて、片方は運用上でき ると考えるのは適切ではないと思われますので、そこは入れないというふうに整理して ございます。  それから、あとほかの部分で、移送に関しまして、法施行前に厚生省が警察庁、消防 庁との調整を行い、文言にしてほしいという部分なんですが、これは調整は行う必要が あると考えてはございます。ただ、厚生省の省令又は通知で警察、消防を、こうしなさ いというふうに指示することは文言上は難しいのでちょっと困難であると考えておりま す。  あと、移送を判断する際の指定医についてですが、入院予定先の指定医が移送の判断 をする。この場合につきまして、患者への人権に対する人権の配慮という部分もありま して、これまでに患者側にという話もございまして、要は入院移送先の指定医が患者の 移送を判断した場合に全部自分のところの病院に呼んでこれるのではないかという話も ございますので、そこは慎重な取り扱いをしていかなければいけないのではないかと考 えています。  次に、精神医療審査会の審査の対象にしてほしい。移送の判断を精神医療審査会の対 象にしてほしいというお話ですが、こちらにつきましては、現在法文上で精神医療審査 会の審議事項というのは法定化されておりますので、そことの並びで考えますと、審査 内容は、あくまで法律内容によりまして、ここで新たに精神医療審査会の審査対象とし て盛り込むということであれば、それは法律改正事項であるというふうに考えておりま す。  以上です。 【三觜課長】  踏み込まない理由は。 【吉川座長】  ちょっと待ってください。これは専門委員会ですので、専門委員会の専門委員の先生 方がそれぞれ本日の参考人に対して質疑をしている最中です。今のご発言は少し先まで 踏み込んでいるようです。ずっと課の中で考えているということまで含めてお話をいた だいたようですからこの専門委員会の役割ではないような気がします。とりあえずはそ こでお座りいただいて、浦田先生が2点とおっしゃったもう一点の方を天野参考人の方 にご質問いただければと思います。 【浦田委員】  それでは2点目ですが、天野参考人のご意見として、5ページに「移送の判断をした 医師と受け入れ先の医師の判断の食い違いがあると現場は困る。」確かに現場としては 困られるかもしれません。ただ、私はこの委員会で申し上げたことは、これはむしろこ の制度に必要な安全弁ではないかと。1つは措置入院の場合ですと2人の指定医がいて 食い違う場合には措置決定にはならないわけです。それがスムーズに現場の判断と受け 入れ先の判断が常にきちんと一致させろと。食い違っではだめだというのはむしろ問題 がありまして、そんなにいつもあるとは思いませんけれども、私はこういうことがあっ てもいいのだと、原則で運用されて、それがこの制度の安全弁になると私は考えていま す。 【吉川座長】  参考人何か。 【天野参考人】  2番目の方からですけれども、今、浦田先生のおっしゃるとおりだと私は思います。 困っていることを私は主張したかったもので、私の文章の中でそのように書いてあるわ けですけれども、事前の調査やかかわりで指定医を呼ばなければという事例はこうだと いう結論を指定医の判断でありませんが、私どもがソーシャル的な意味や環境的なこと も含め、相当な判断をもって保健所が決定をしているという、本当は入院判断ではない んですけれども、そこのところも理解していただきたいという働きかけも、指定医の先 生に対してあるときもあると思いますし、当然、判断が食い違っていただいてもいいん ですけれども、その後、怒鳴り込まれたりとか、いろいろなことになってごちゃごちゃ するのがいつも保健所の現場ですので、指定医が食い違っている内容をきちっと、患者 や家族に説明していただきたいということが主旨です。私も先生がおっしゃったとおり 2人の指定医の判断があることは人権が守れることだと思います。  ただ、ここをちょっと感情的に「困る」という言葉で書いたのは、不適切だったとも 思いますので、それは趣旨をご理解いただいて訂正させていただければと思います。  前段の、保健所長職権でという言葉も、今、ご説明あったとおり法的に解釈できてな いままここに入れさせていただいていると思います。家族やら近隣やらの様々な相談事 例の中で、この人は医療につなげなければいけないという事態があり、現行法だけでは なくて、法34条を利用することもあり得るのかなと想定して発言してします。つまり保 健所内で、十分なカンファレンスをした上でいきづまる事例もあり保健所として法27条 では動けない(自傷他害が明らかでない。)事例を法34条に安易にもっていくことは少 し問題があるかもしれません。  私の発言は現場の大変さの思いが強いもので大変失礼をしていると思いますが、今後 も会として議論していきたいと思います。 【吉川座長】  ありがとうございました。ほかの委員の方々から参考人へのご質問ございますでしょ うか。 【山角委員】  天野参考人にまた1つお聞きしたいんですけど、現状の保健所の体制で、今まで出て いるように事前の調査、事前の働きかけを非常に重視している。これは当然だと思うん ですけど、現実的な問題として、今の現状の中で、相当地域差があるというお話がさっ きありましたけれども、事前の調査、働きかけがどの程度できるのか。非常に漠然とし た質問ですが、その辺が私も保健所に時どきおじゃましている中でいろんな話が出てき て、皆さん心配しているところだと思うんですね。これがスムーズにいくためにはいろ んな安全弁の中の1つとしてはそこが非常に大事になってくるのではないか。その辺に ついてご意見があればお聞かせ願いたいと思います。 【天野参考人】  現状は非常に厳しくて、多分政令指定都市とか、そういうところは専任の相談員も複 数配置が進んでいますし、結構ある程度の細かい先ほど言ったチェック項目などがあれ ばカンファレンスも充実できると思います。でも県型の保健所、今言いましたように、 市町村の広域的なこととか、業務も人が少ない上に広域化しているという中では現状は 非常に厳しいと思いますし、それ以上どうしていいかわかりません。  この業務を、法律が動き出すことによって、保健所長さんが業務をシフトしていただ けるかどうか。シフトするとまた今結核が増えたりとかで保健所は今ガタガタしていま すけれども、保健婦さんをもう少し専任化してくれるとか、それがないと、いろんなチ ェック項目設けても非常に薄いチェック、あるいは訪問活動も薄い段階で動く都道府県 は結構多いと思っています。  そういう意味でこの法が全国一律で動き出したときには、非常に状況として危惧しま す。ただ、ここで原則的には賛成ですという言葉を使っているのは、件数は少ないです が、非自発的移送を行っている現状があり、そのことが法的に位置づけられたという意 味でのことです。今の地域状況を見る限りは心配という言葉しか、私の立場では言えま せん。ただ、保健所が業務をシフトしてほしいという期待はあるんですけれども。 【山角委員】  ありがとうございました。 【吉川座長】  ほかに、どうぞ。 【山角委員】  森山参考人にご意見をお伺いしたいのですが、先生の応急入院指定病院の基準という ところでご質問なんですけれども、先生の質を落とさないという、精神神経学会ですか 先生のご意見。この趣旨はわかるんですが、「原則的に現行の応急入院指定病院の施設 基準を踏襲することが適当である」という言葉があるんですが、現行の指摘基準が果た して病院の質を述べている基準なのかどうかというところが1つ私疑問なんですね。と いうのは、施設としての基準というよりは応急入院に際して指定医を置きなさい。ある いは常時3名の看護婦あるいは看護士を置きなさいというような、そのほか4対1以上 とか施設基準はありますけれども、その辺が全体の施設としての質をあらわしているか どうかというところがあるのですけれども、先生のご意見がありましたら。 【森山参考人】  確かにマンパワー等が書かれていて、あれ自体では全体の基準を満たしているかとい うと決してそう言えないと思います。ですから、そういった意味でさらに論じていけば もっといろいろな条件を考えていかないといけないだろうなと思っているんですが、差 し当たりはあれだったんですけれども、先生、逆に何かその辺。 【山角委員】  よろしいですか。 【吉川座長】  はい。 【山角委員】  例えば、設備基準の中でCTあるいは基礎的な血液検査の設備を有するとか、脳波、 あるいは救命救急に対する酸素吸引の装置、こういう基準があるんですが、例えば、今 現状で基礎的な血液検査を要するというのは、これは地域などにおきますと外部委託し ているところが結構多いんですね。その方が正確により迅速に結果が出ているというよ うなことを言えるように思うんです。こういう基準がどうして必要なのかどうかと。あ るいはCTは今度提携病院があって速やかに検査が必要に応じてできればよろしいと。 こういう趣旨ではわかるんですが、院内にすべてを持ちなさいというのはある面で言い ますと、大病院とか総合病院の中では確かに共通で持っていますけれども、単科のいわ ゆる中小病院の中ではそういう設備がなくてもそれなりの質を保っている病院がたくさ んあるように思うんですね。ですから、こういうものが質をあらわしているのかどうか というようなこともあるように思うんですね。 【森山参考人】  今おっしゃられた面に関しては私も賛成なんです。 【吉川座長】  ありがとうございました。ほかの委員の方々、どうぞ。 【荒井委員】  天野さんにですけれども、我々は家庭をはじめいろんなところで治療というか医療に 結びつけることの困難な状態に悲鳴を上げたというか、家族として訴えたということで あって、そのさまざまな援助なり医療にアクセスする方法はまさに専門職に考えてほし いし、現場で一番近しい専門職はそれぞれの具体的な提言があるかと思うんですね。  1つだけお尋ねしたいのは、前の委員会でもいつも言っているんですけれども、家族 の同意なり家族の申請でなければこの制度は動いていかないのかと。今の日本の精神保 健福祉法の制度の中では家族の同意という形が非常に重要なんだと認めつつも、もっと 公的な判断で医療に結びつけるということですね。そういう方法ができないのか。家族 は不服があれば納得できないときには意見を述べるというようなことで、家族の判断と 家族の申請と同意でなければ、医療に関して移送制度もできないのか、その辺のご意見 をお伺いします。 【天野参考人】  今の日本の家族制度の中でというか、もし公的な判断だけで、そういう移送や医療が 行われること自体が物すごく怖い社会になるのかなと思います。家族は患者さんにとっ ての協力者であるし、私ども相談を受ける側にとっても欠かせない協力者でもありま す。避けられることの方が逆に私どもはわからない。そこで一たん避けても、そのとき の一時的な苦悩は解決したとしても、必ずそのとばっちりは、とばっちりというのか、 患者さんの社会復帰なり社会参加を支援できる、本人が一番頼りにするところが身を引 いてしまうと、行政的に関われないと思います。病院に連れて行ったのは保健所で自分 は知らないよといったとしても保健所にだれが連絡したのかという形とかいろいろ、そ こで逃げても必ず本人たちは鋭いと私は思うんですね。いい医療との関係というのは、 どうして医療が必要なのかということを家族、本人、主治医含めて、あるいは私らの関 係者含めて、やはりそこでみんなが納得しながら、入院が必要だったら入院と言うこと が必要で、家族が避けると、その後のことが全てうまくいかないということは、多分ご 家族自身が一番よくご存じかなと思うし、家族抜きで何かできないかというのは、精神 保健福祉法の保護者制度の問題はあるとしてもこの問題は別だと思います。  荒井先生のご意見と食い違うのかもしれませんけれども。 【荒井委員】  おっしゃることはわかりました。 【吉川座長】  ほかの委員の先生方から、末安委員。 【末安委員】  小林参考人に1つ伺いたいんですけれども、先ほど省の方からの説明の中にもあった んですけれども、精神医療審査会で移送に対する不服の申し立てをするときに、審査会 で扱うのではなくて別の機関を持って直ちに検討できるようにしてほしいというのがあ ったんですけれども、それは具体的に何かイメージを持たれて、審査会の法定事項では ないところで、新たなものでやるのか、それとも既にある何か機関を使って検討する方 がいいのか、どう考えておられますか。 【小林参考人】  大変難しい質問だと思いますけれども、ただ、審査会の法定事項にはないということ は、さっき課長が言葉途中で終わっちゃいましたけれども、対象にしない理由があると いうふうにおっしゃっていました。それであれば、本来なら、当人にとって納得のでき ないことをされたわけだから、不服を聞く機関を設けるのが民主主義の国の当然のルー ルだと私は思っています。  具体的にどうするのかと言われれば、第三者が聞いていくような制度を創設しなけれ ばならないと思います。だから、今どこでだれができるのか。日本全国的に一律的にで きるのかと言われてしまえば、それはないと言えます。でも、私たち人権公的機関が指 示をしてセンターとかが意見を聞きにいくようなことを本人に、例えば告知のところで 情報を、医療者が患者さんに与えてこういうケースがあるからぜひ患者の意見を聞きに いくようにというようなことを我々ができるだけ行く。夜中に駆けつけることはできな いかもしれないけれども、通常は少なくとも民間のレベルで、最初法律がない訳ですか ら、やっていって数を重ねて作り上げていくしかないのかなと思います。  ともかく審査会での取り扱い、不服申し立てがないということは大きな問題だと私は 思っているんですね。それは今回の法律の改正のときからそうなってしまっていたわけ で、今この場で私が言ってもとても手おくれなことなんですけれども、それはやはり非 常にフェアではない。そのような権利を制限されることに対して不服申し立てを受け入 れないというのはとても考えられないことです。それは今回の法改正の大きな欠陥だと 私は思っています。 【吉川座長】  ありがとうございました。ほかにご意見ございますでしょうか。あるいはご質問です ね。 【山角委員】  質問よろしいですか。厚生省の方にお聞きしたいんですが。 【三觜課長】  私どもの方に、今、参考人から出されているので、ちょっと説明させていただきたい んですが。 【吉川座長】  わかりました。それは結構です。できるだけ、今質問されていること、それに関した ところだけに絞っていただければ結構です。 【中村企画法令担当】  不服申し立てのことでお話がございましたけれども、不服申し立てはもともと現処分 と言っていますけれども、行政処分をもう一回棄却して考え直しなさいですとか、その まま容認するですとか、そういったことを不服申し立ての中では検討する事項になって ございます。例えば、措置入院につきましても、不服申し立ての制度がございまして、 措置入院の行政処分に対する不服申し立ての中でも、患者ご本人が退院された場合にお きましては、行政処分の状態とかでなくなってしまっていますから、不服申し立てをい ただいていても、訴えの利益がなくなったということで、そこで不服申し立ては終わっ てしまうということになってございます。  これを移送について考えますと、移送は行政処分で行われた内容が既に移送が終わっ た段階で終了していますので、そこが完了した時点の後に不服申し立てをされても、そ の処分は終わってしまっていますから、そこは不服申し立てという手続きではなくて、 国家賠償の手続きで裁判で争うような形になると考えております。 【小林参考人】  いいですか。 【吉川座長】  どうぞ、小林さん。 【小林参考人】  実はそのことは私たちも存じております。ただ、国賠の場合はほとんど効果はないし それは我々も裁判でやって負けています。ですけれども、ぜひ法律家の先生にお伺いし たいわけですけれども、とにかく移送という一瞬の行為だから、いざ訴えるときには法 律的にはそれはなくなっているわけですけれども、やられた方としてはたまらないんで すよね。 【佐伯委員】  国賠は当然いけると思います。もし、国賠で負けるのであれば、それは、そもそも訴 えられないということではなくて、違法性の個別の判断の問題だと思います。 【小林参考人】  ただ、国賠ということを患者さんたちがどのくらい理解できるかということです。サ ポート・システムがなければ不可能ということなんです。 【佐伯委員】  それから、先ほどのご説明で、不服申し立てというのは精神医療審査会のことを念頭 に置いて言われたのか、それとも行政訴訟、どちらですか。 【中村企画法令担当】  それは再審査請求の方で、措置入院の方はいわゆる行政不服審査法に基づく不服申し 立てでございます。 【佐伯委員】  これは裁判所の解釈を最終的には待たなければいけませんけれども、移送が違法であ れば、移送の結果の措置入院についても違法が承継されて措置入院の決定が違法になる という解釈はあり得ると思います。 【中村企画法令担当】  移送の部分だけで考えた場合にということで言及していただければと思います。 【佐伯委員】  違法な移送に基づく措置入院の違法性を争うということは可能かもしれません。 【中村企画法令担当】  それはあると思います。ただ、医療保護入院のための移送という部分で考えました場 合には、その移送というのは、移送が終了した段階でその行政処分は終わっているとい うふうに理解しております。 【佐伯委員】  移送自体はそうかもしれません。 【末安委員】  何でそういうことを聞いたのかといいますと、諸外国の権利擁護制度などの場合には 治療に悪影響を与えるという入院手続きを患者の利益に基づいて運用を見直していま す。今の話もそうなんですけど、現在の法的手続きのことは理解できるのです。あちら にきょう益子先生がお見えになっていますけれども、実際に私も東京都の救急医療のス タッフで働いていましたときに、ほかの病院に入院していて外泊中とか休日でたまたま 外出したときにトラブルがあって来院したというような場合に、家族なり本人なり、ど ちらの立場でもあり得るんですけれども、本人の意思に反して連れて来られたようなと きですね。ほかの病院に入院しているから、当然その病院にお帰りいただかなければい けないんですけれども、でもそもそも連れて来られたことそのものに、内容ではなく て、連れて来られたことそのものに対する不服とか不満、なぜ、そういうことが自分に だけ起こってしまったのかという、持って行き場のない憤りとか、そういうことが、私 は手続きのことも重要だと思うんですけれども、その人のその後の治療に著しく影響を 与えるのではないかということを危惧するわけです。  それで、諸外国の例を見ますと、そういう治療に影響を与えるような法的手続きに関 しても、言葉は悪いですけど、第三者が監視をするような意味で、権利擁護制度が部分 的に成り立っているものがあるというふうに聞いたり勉強したりしますので、その点に ついて、何か直接当事者の方からのご意見があるのかなと思ってさっきお聞きしたんで す。 【小林参考人】  よろしいですか。 【吉川座長】  どうぞ。 【小林参考人】  そういう法律的な手続き云々に関してみれば、これは弁護士である代理人が主にやる ことだと思います。私たち患者の権利擁護者というのはまさに末安委員が言ったように 非常に矛盾した気持ちとか何かを聞くことが大事なわけで、もちろんそれは医療者もや っていただくことだと思いますけれども、その医療者はあくまでも入院させたり治療す る側ですから、なかなか気持ちが正直に言えるかどうか。また言ってはいけないという そういう自己コントロール規制も随分かかっております。ですから、そういう気持ちを 聞くことによって我々は医療を否定しているわけではないんです。よい医療関係をつく っていくために、そういう気持ちを受けとめて、理解して身についてもらって、そして いい医療関係をつくって、入院が必要であれば医療を受けていただきたい、そういう部 分のことが全く配慮されてないのではないかと思うんです。  ですから、患者の権利擁護というのは、単に法律的な手段だけでなくて、それは第一 義的には代理人である弁護士の仕事だと思いますけれども、そういうエモーショナルな ものとか、そういうものをこちらが受け入れて、いわゆる医療と患者さんとの仲介者に なるような制度をぜひつくらなければ、医療に対する恨みつらみが重なっていって、そ れは結局最後に爆発するというようなことになっていく危惧を私たちは持っているわけ です。 【吉川座長】  山角委員、何か先ほど。 【山角委員】  移送の不服申し立てのことで、先ほど説明があったので、そのことをちょっとお聞き したかったのです。 【吉川座長】  それではいかがでございましょうか。移送の問題に議論が集中しているようでござい ますけれども、ほかで結構でございますが。 【金子委員】  質問というより感想に近いんですけれども、お三方のご意見を伺って、小林参考人の ご意見は、将来的な課題を明確にあらわしていると思います。ただ、今回の政省令の検 討においては、小林参考人のご意見の趣旨をなかなか活かしきれないのではないかとい うことも感じました。  また、もう一つ、感じたのは、現場の方である天野参考人、森山参考人のご意見も基 本的な部分ではやはり一致しているということです。確かに相違点ということを指摘し て質問することも大切だとは思うんですが、我々がここで認識しなければならないのは 現場のご意見、または医学者としてのご意見が基本的には一致し、そこを中心として政 省令の根幹を考えていけるのではないかと感じました。  以上です。 【吉川座長】  金子委員から感想をお話をいただきましたけれども、ほかに参考人に対するご質問ご ざいましたらばいただきたいと思います。もしないようでございましたら、ここでちょ っと事務局の方から、今まで検討してきた内容も含めて、先ほど私の方でとめてしまい ましたけれども、今までの経過等をお話をいただいて、また少し議論が進めばと思いま すが、いかがでございましょうか。よろしければ、課の方からご説明いただけますか。 先ほど途中でとめてしまいましたので。 【中村補佐】  先ほどご説明した点は、参考人の方々からいただいたご意見の中で、法律の手続きの 規定の仕方として、特に今回の政省令でご議論をいただくものとそうでないものという 区別を少し明確にしたいということでご発言させていただいたということでございます ので、これまでの議論でご説明は事務局としてはさせていただいたと考えております。 【吉川座長】  それではそういうことに受けとめたいと思います。西島先生、何か。 【西島委員】  きょうはお聞きするという立場でございますので。 【吉川座長】  山崎委員の方から何か。 【山崎委員】  私も特別ないんですけれども、今までの意見をお聞きしまして感じたのは、大和川病 院の問題が1つ問題になったときに、テレビで報道していたんですけれども、取材をし たテレビがありまして、そのときに家族の人が、多分お母さんだと思うんですけれども ほかの病院はどこもうちの子供を入院させてくれなかった。ここの病院だけがうちの子 供を入院させてくれたのに、あなたはどうしてじゃまをするんですか、というふうな報 道がありました。結局、精神医療の闇というのは多分そういうところが根本的にあるの ではないかという感じがするんです。  したがって、今度法律できちんとした整理をしても、それを実際運用する病院がどう いうふうに運用してくれるのかというふうな問題の方がずっと大事なのではないかとい う感じがしていまして、実際ここでこういうふうにいろんな大切な議論をして決めたも のを現場に振った場合に、現場としてどれだけの整備ができるのかといった危惧を非常 に感じたんですけれども。 【吉川座長】  幾つかご意見をいただき、ご質問いただきましたけれども、いかがでしょうか。もし 参考人の方からそれぞれ先ほど言い足りなかったというようなことがおありになればお 話をいただいても結構だと思います。森山さん何か。 【森山参考人】  言い足りなかったということよりも質問よろしいでしょうか。三觜課長に。さっきも ちょっと言ったことなんですが、地域ケア体制で消防庁、警察との協力がこれからます ます必要になってきて、これが動かないと、今も私たちの地域でもいろいろちょっとや っているのですか、なかなかうまく動かないという現実があって、これをきっかけに何 とか、この場合は本庁間の話し合いというのはどの程度可能かということをちょっとお 聞きしたいのですが。 【三觜課長】  森山参考人がおっしゃっている点につきましては、先ほど政省令的な文書として、そ ういう高いレベルでの文書化はできませんということは事務局から答えさせていただい たわけでありますけれども、当然私ども中央省庁同士の担当レベルで、警察庁なり消防 庁なりの担当部局についてはこの制度の円滑な運営や協力について、法律をつくるとき から十分話し合ってきております。具体的にこの政省令をつくるときにもこういうのを 流したということで、後づけという意味も含めまして、それぞれの現場、都道府県レベ ルに意見が一致したところについての協力の具体的な中身について、それぞれの部局で 裏打ちしていただくという方向で当然考えています。 【森山参考人】  これからもぜひ推進していただければと思います。 【吉川座長】  ありがとうございました。 【小林参考人】  よろしいですか。 【吉川座長】  どうぞ、小林参考人。 【小林参考人】  佐伯先生にお伺いしたいのですけれども、実はさっきのことですけれども、多分違法 な手段、本人が違法だと思って34条の移送による医療保護入院をさせられた場合に、今 の方法だと精神医療審査会に不服申し立てをするのが唯一の手段なのではないかと思う んです。行政不服はできないわけですから。ただ、ご存じのように、精神医療審査会自 身がタイムリーなものではなくて、大体東京都で審査に来たりなんかするのが早くて2 カ月ぐらいかかるわけですけれども、2カ月たってからしっかり治療もされて、いろい ろされて拘束もされるかもしれない、電気ショックも受けるかもしれない。  その中で、あなたになされた手段は違法でした。だから退院請求をしなさいというよ うなことが法律的に許されることなのかどうか、私はすごい疑問なわけです。 【佐伯委員】  精神医療審査会の審査対象ではないのだろうと思います。たとえ移送が違法であって も、精神医療審査会の審査対象は入院の必要性とか処遇の適切さですので、入院が必要 であるということであれば、移送の違法、措置入院、医療保護入院の決定の違法性自体 を判断しているわけではないのだろうと思います。その点は最終的には裁判で争うこと ができるのではないでしょうか。 【小林参考人】  措置入院の場合は私たちも経験があるんですけれども、精神医療審査会が見に来て、 これは手段が違法だったからと言ってすぐ退院になったことがあるんです。措置入院は 東京では。 【佐伯委員】  手段というのは。 【小林参考人】  ガードマンによって連れて来られた。 【佐伯委員】  そういう違法性を理由に。 【小林参考人】  はい。 【佐伯委員】  そうですか。 【小林参考人】  それが決定だったんです。実は東京では何年か前にありました。だけど、今度34条の 場合は、措置入院ではなくて医療保護入院だから、また要件も違うし、とにかくしっか り治療させられた後でした。本人に問題はありましたが、とにかく患者さんとしてはた まらないんですよ。 【佐伯委員】  移送自体の違法性だけを争いたい。現在入院していること自体については不服はない ということであれば、それはもちろん先ほどおっしゃったように、法律的な専門家の援 助がなければなかなか患者さんが争うのは難しいということは当然あるし、考えていか ないといけないと思いますけれども、移送にだけ不服があるのであれば、その争い方は 法律的には国家賠償の問題しかないと思います。 【小林代理人】  ない。 【佐伯委員】  そこに不服があるのであればですね。 【吉川座長】  課の方として何か今の議論に参加されることありますか。  それでは、今のことは両者の間での議論ということで終わらせていただきます。  ほかにご意見ございますでしょうか。あるいはご質問ございますでしょうか。  もしよろしいようでしたら、私の方から幾つか参考人の方々にご意見を伺いたい点が ありますけれども、よろしゅうございますでしょうか。  森山参考人にちょっとお伺いしたいんですけれども、言われていることは全く全体と してそのとおりだと思いますけれども、まだちょっと難しいかななんて思うことが幾つ かありました。それをもし実現するとすれば、どんな手段を考えたらいいのかというこ とが私の方の疑問でございました。少しそのことについてご質問させていただきます。  例えば、地域ケア体制を全面といいますか、ベースにした上で移送の問題も考えなけ れはいけない。すなわち地域で精神障害者が生活をしていくときに、生活がしやすくな るような条件の中で医療へのアクセスということでお話になられたのは全くそのとおり だと思いますし、それは理解します。ただ、それを2次医療圏ごとということになると 現在でもいろいろと問題があるところですけれども、一体それだけの整備がどれぐらい 出てきそうか。そんな予測も含めてお考えをお知らせいただけるとありがたいんです。 例えば、この中でも、今までも多少議論はいたしましたけれども、その実現性というこ とに関して幾つかの議論がありますので、もしご意見があればお伺いをしたいのです が。 【森山参考人】  2次医療圏における応急指定病院の問題。 【吉川座長】  応急入院指定病院です。 【森山参考人】  冒頭にいろんな問題点の矛盾が現実に出てくるだろうというふうに申し上げたのです が、1つは、応急指定病院は、例えば2次医療圏に1つ準備するというのは結構大変な ことだと思います。今、例えば地域での輪番制の問題も出ていると聞いているのですが あえて私たちが敷居を高くしておかないといけないと考えますのは、先ほどたしか小林 参考人の方からも出ましたけれども、現行の措置入院制度がありまして、措置指定病院 が東京レベルで考えてみましても、言ってみれば劣悪な病院も指定病院になっている と。これが精神医療に対する国民的な不信を招く非常に大きな原因の1つにはなってい ると思うんですね。確かに現状は劣悪なところも多い。  では、措置に関しては措置指定病院を東京の場合絞ったらどうなるかとなると、これ は言ってみれば制度自体がパニックになりかねない状況にあるわけです。それほどつま りこの問題は非常に深刻な問題なので、だから措置指定病院みたいに基準を下げてやれ ばいいかというと、結局またこの制度が安易に運用されて不信の種になるということに なりかねないということで、学会としては、あえてこれは非常に難しい課題だというこ とは承知した上でハードルを下げないようにする。そのために応急指定病院の条件を満 たす病院ができるような補助制度なり、そういうものを国あるいは自治体レベルできち んと考えていただきたい。その上でこういう制度を発足させないとまずいだろう、そう いう意味を込めて言っているわけなんです。 【吉川座長】  ありがとうございました。 【森山参考人】  具体的には補助金制度とか診療報酬のいろんな手当てを考えるかと、その辺が具体的 な問題にはなってくるかなというふうに思います。 【吉川座長】  ありがとうございました。  小林参考人にちょっとお伺いしたいんです。お伺いをしていて、非常に筋が通ったご 意見をいただいたような気がしますけれども、ただ、現実面と筋の通った理想的な考え 方との間をどんなふうに埋めていったらいいのかということ。すなわち途中で小林参考 人は、現実がそうではないことはよくわかっているとおっしゃってはいましたけれども 現実にどう合わせていかなければいけないのかということを、例えば移送問題でもどれ でも結構でございますが、何か取り上げて、もしよろしければお話をいただけるとあり がたいのですが。 【小林参考人】  確かに私はここに来て場違いな感じがするんですけれども、私たちの存在自身がまず 精神医療の今の状態には非常に異端なものですし、それから権利擁護団体としてはとも かくこういうことしか言えないということは事実です。本来なら人権擁護団体が出すべ きことではないのかもしれないんですけれども、私は近ごろのお医者さんたちの、待っ ていて、患者が来れば診てあげるという態度には大きな疑問を感じます。というのは、 それは地域医療ではないからです。地域医療というのは病院を閉鎖して、小さくして、 そしてお医者さんたちが地域へ出て行く。地域へ出て行くということは診療所で待って いることでもないわけです。  私はヨーロッパの精神医療改革を実際1年間見てきたわけですけれども、本当にお医 者さんたちが地域へ車に乗って出て行く。1日も何百キロも走ったというようなことが イメージにありますから、そういうような今のお医者さんたちの傾向というのに対して ある程度の疑問を感じます。  ただ、同時に宇都宮病院みたいに注射して連れてきちゃうということも日本にはあり ますから、それの間をどうとるのかということは難しいことだと思います。人権保障の デュープロセスが絶対条件ですね。ただ、やはりいろいろな地域で、我々みたいな団体 を入れてくれるような病院を1つでも増やしてもらって、患者さんたちの意見が幾らか でも聞かれるようなことを法律でなくても、そういう病院をどんどんつくってもらうよ うな、国や自治体がそういうことを指示してくれる中で、風通しをよくする中で医療が 変わっていってもらいたいと思うわけです。  さっきの話に戻しますけれども、移送の問題でも受診歴が全くない人をどう連れてく るのか、移送にするのかということに関しては人権擁護団体としては何も言えません。 私が言えることではない。ただ、地域医療の問題からしまして、受診歴がある人が医療 中断をしたときに、この場合にはもちろん権利擁護がちゃんとしているということが前 提ですけれども、医療機関がやはり自分の患者さんが医療中断をしたことに対して事情 を聴取するとか、来てくださいと言うとか、出かけて行く、そういう医療者としての義 務というか、職業的な義務というか、医者としての倫理的な義務というのでしょうか、 そういうものが私はあると思うんですね。デイケアとか何とかということではなくて、 医療中断をした方をなぜ中断したのかわかろうとすること。もちろんお医者さんとうま くいかなかったからやめたんだということがわかればわかったで、それはそれでレポー トを出させればいいわけです。やはり2次医療圏とか何とかということはともかくとし て、日本の現状は、医療機関を中心に依存していることは認めざるを得ないわけですか ら、そういうところにやはり医療中断を特にした人に対してはフォローアップの訪問を する。まず相談に行く中で納得させられるし、移送という最終的な手段をとらなくても もしかしたら、また医療につながるのかもしれないと私は思うわけです。  ともかく移送から入院ということよりも、入院は規制なわけですから、地域で少しぐ らい不自由だとしても、やはり入院よりはいいというような考え方をお医者さんも、ま た我々も持っていくべきだと思っているからです。やはり入院を防ぐためには、地域で 今ある各医療機関がもう少し責任を持って医療中断者をなくしていったりするようなこ とはぜひ1つの案として必要なのではないかと私は思っています。 【吉川座長】  ありがとうございます。  天野参考人に。お願いをしたいと思いますけれども、保健所がこれからも担わなけれ ばいけない役割はたくさんあると思いますし、精神保健福祉相談員がその中でも非常に 重要な役割を果たすであろうことは一応私たちは理解はしているつもりですけれども、 その中にきょうお話をいただいたものはかなり自分の思いも含まれているという表現が ありましたように、この思いだけではどうもなかなか役所はうまく進まないんですが、 この思いをどんなふうにして、もう少し文章化するなり、あるいはそれを整理して、も っと伝わるような形にできないものかどうか、天野参考人にお伺いしたいと思います。 【天野参考人】  私どもは厚生省の方に毎年、精神保健福祉相談員を必置してほしいという要求を出し 続けてはきました。精神保健福祉課からも、今の時代に必置、そんなこと、もうちょっ と考えてみたらと言われたこともあります。それがまたわかってしまうというか、地方 分権の大きな流れを知っているだけに、だんだんこのごろは必置、うーん……と思いが 腰くだけになるくらい国の状況が変わっていっているのかなというのが本音です。  とにかく地域保健法の流れで業務が市町村におりていくというか、基本的にはそうだ ろうなと思いながら、余りにも体勢がとれなくてどんどん行くことを非常に危惧してい ます。基本的にそれがだめと言えない流れの中で、私どもとしては、それを整えていく ためにどうしていくかに考え方も業務も追われてしまいます。とても流れを押しとどめ られるような理屈は組み立てれない実感もあり、公務員的過ぎるのかもしれませんけれ ども、流れが大きすぎて、現場からの方策はそれに添ってどうしようかという以外に発 想が出てきません。  その中で、さっきの荒井委員のお話でも、家族は非常に大事だし、家族会活動も大事 だという立場を思いながら、あえてああいう発言をせざるを得ないというのは、そうい う中で一緒に、大きな流れのところではなかなか言い尽くせないけれども、大事なとこ ろは一緒に頑張ってふんばりましょうということが言いたかったわけです。  具体的にというときは、いろんなことが現状での問題点があり、その対応が大変なの に厚生省からの出てくる文書のスピードに対応しきれなく、どうすればいいのか、現場 での大事な視点を見失ってはいけないということだけに追われています。  今、小林さんがおっしゃったような大事にしなければいけないところとか、それの中 でも、後半部分というのは非常に私も同感なんですけれども、今できることの何かを見 つけていく作業ということに必死で目が向いてしまって、今、先生おっしゃっているよ うな大きなところ、もっとしっかりというときには、こういう大きな行政の方針を決め る場面で少しぎちっと決めていただかなければ、私たちの会や現場のレベルではだめな のかなというふうにも思っています。お答えになっているかどうかわかりませんけれど も。 【吉川座長】  ありがとうございました。  私の方から幾つか参考人の方々にお話を伺ったわけですけれども、ほかに何かござい ますでしょうか。  もし、よろしければ、そろそろ時間が来ましたが、きょうの参考人からの公聴に関し ましては、これで終わらせていただきます。大変ありがとうございました。本日、参考 人の方々からいただきましたご意見、私ども専門委員会は今後まだ議論しなくてはいけ ないのですが、その中で参考にさせていただきたいと思っております。本日、参考人の 方々にご出席いただきましてまことにありがとうございました。  あと、この場で事務局から連絡事項があると思いますので、そちらの方をお願いいた します。どうぞ。 【滝川補佐】  次回の日程でございますが、10月6日(水曜日)15時30分からを予定しておりますの で、どうぞよろしくお願いいたします。  以上でございます。 【吉川座長】  何か内容的なお話ありますか。 【滝川補佐】  ご検討していただきたいことが大体済んだと思っておりますので、全般的にまたご検 討していただく、そういう機会にしたいと思います。 【吉川座長】  それでは、本日はこれをもちまして専門委員会を終わらせていただきます。どうもあ りがとうございました。 照会先 障害保健福祉部精神保健福祉課 医療第一係 床枝(内3057)