99/09/24 内分泌かく乱化学物質の健康影響検討会第8回議事録      内 分 泌 か く 乱 化 学 物 質 の      健 康 影 響 に 関 す る 検 討 会 ( 第 8 回 )                議  事  録 厚生省生活衛生局食品化学課        内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会(第8回)議事録 日  時  平成11年9月24日(金) 13:00〜16:00 場  所  中央合同庁舎第5号館別館8階共用第23会議室 1 開会 2 生活衛生局長挨拶 3 資料確認 4 議題   (1) 平成10年度厚生科学研究成果について   (2) その他 5 閉会 〔出席委員〕  伊 東 座 長  青 山 委 員  井 口 委 員  岩 本 委 員  押 尾 委 員  黒 川 委 員  紫 芝 委 員  高 杉 委 員  田 中 委 員  津 金 委 員  寺 尾 委 員  中 澤 委 員  西 原 委 員  藤 原 委 員  松 尾 委 員  安 田 委 員  山 崎 委 員  和 田 委 員 〔事務局〕  西本生活衛生局長、内田食品化学課長、村上生活化学安全対策室長、  他課長補佐以下13名 〔オブザーバー〕  環境庁、通商産業省、農林水産省、文部省、科学技術庁 ***********照会先***********  連絡先 厚生省 食品化学課(額田)  TEL:03−3503−1711(内線2487) ○内田食品化学課長 ただいまから内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会を 開催いたします。本日は各先生方、お忙しいところご参集いただきましてまことにあり がとうございます。  本日は本検討会の委員26名のうち20名の先生方にご参加いただくことになっておりま す。ただいま15名の方がお見えになっております。おっつけほかの先生もお見えいただ くことになるかと思います。  なお、今回の検討会から、食品衛生調査会の委員であります星薬科大学の中澤裕之先 生にもご議論にご参加いただいております。  まず、開催に当たりまして生活衛生局長からごあいさつをちょうだいいたしますが、 8月31日付をもちまして、新局長といたしまして西本生活衛生局長が就任されておりま す。  では、よろしくお願い申し上げます。 ○西本生活衛生局長 生活衛生局長の西本でございます。大変お忙しいところご参集い ただきましてまことにありがとうございます。開会に際しまして一言ごあいさつを申し 上げます。  委員の諸先生におかれましては常日ごろ食品衛生行政の推進に関しまして多大なるご 指導、ご協力を賜りまして、この場をおかりをいたしまして心から厚くお礼を申し上げ ます。  さて、内分泌かく乱化学物質の問題は単にわれわれの世代の問題というだけではござ いませんで、将来の子どもや孫までへの影響が考えられるのではないかということで、 国民の関心も非常に高くなっているところでございます。  もちろん内分泌かく乱化学物質問題は新しい問題でございまして、科学的にも未解明 の部分がまだ多く残されております。そこで国際動向も踏まえた今後の検討課題の整理 あるいは調査研究のあり方など具体的な対策の方向性が重要になってまいります。  本検討会はこうした観点に立ちまして、専門的な見地からいろいろ総合的に検討して いただくために昨年4月に設置をさせていただき、11月には中間報告書を作成していた だいたところでございます。  厚生省といたしましては、この問題の解決のために、中間報告書で示されました各種 研究を今後さらに推進することとしておりまして、平成10年度の補正予算として10億円 の厚生科学研究費を確保し、食品等からの暴露実態の調査研究あるいは繁殖影響に関す る研究など種々の研究を実施し、本年8月2日、3日両日におきまして各研究者より、 その成果についてご発表をいただいたところでございます。  そこで本日の検討会でございますが、先月ご発表いただきました研究成果につきまし て検討会としてご議論を願いたく、各委員にお集まりをいただいた次第でございます。 国民の健康確保という観点から、今後とも厚生科学研究をより一層推進するために、先 生方の忌憚のないご意見を賜りますようお願いを申し上げます。  まことに簡単でございますが、開会のごあいさつとさせていただきます。  なお私、ちょっと所用がございますので、このまま退席をさせていただきますが、ご 了承願います。                  (局長退席) ○伊東座長 ありがとうございました。それでは新しくメンバーにお願いすることにな りました中澤先生から一言ごあいさつをお願いいたします。 ○中澤委員 ご紹介いただきました中澤でございます。星薬科大学で分析を担当してご ざいますが、昨年度の厚生科学研究で内分泌かく乱化学物質の胎児、成人等の暴露に関 する調査研究の主任をさせていただきました。改めて内分泌かく乱化学物質の分析のむ ずかしさというものを認識しております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○伊東座長 ありがとうございました。次に事務局から配布資料の確認をお願いしたい と思います。よろしくお願いします。 ○池田補佐 それでは配布資料のご確認をお願いいたします。先生方のお手元に事前に お送りした資料がございます。議事次第と資料のIとIIとございまして、資料のIが6冊 になっております。資料I−1、平成10年度の補正予算研究の「内分泌かく乱物質の食品 、食器等からの暴露に関する調査研究」ほかI−6までございます。資料のIIといたしま して、99年のTOXICOLOGICAL SCIENCESの50巻に掲載されましたビスフェノールAの暴露 によりますマウスの発達影響等の実験というものがございます。  それから本日の配布資料ということで、お手元に「配布資料一覧」の紙とともに参考 資料の1と2ということで、ただいまのビスフェノールAの実験の先に実施されており ます2報の論文をお配りしてございます。  以上でございます。 ○伊東座長 ありがとうございました。本日の議題でございますけれども、先般ご報告 いただきました平成10年度の厚生科学研究のデータにつきましてご議論いただくという ことにいたしたいと思います。概要などにつきましては事務局側からご説明をいただき たいと思います。 ○池田補佐 それでは簡単にご説明いたします。先ほど局長のあいさつの中にもござい ましたように、先月8月2日及び3日の2日間にわたりまして、平成10年度の厚生科学 研究の内分泌かく乱化学物質関係の発表会をさせていただきました。  そのときには各発表者と検討会メンバーとの間で質疑等がございましたが、本日は改 めまして、平成10年度の厚生科学研究の中で特に緊急に実施するということでお願いい たしました、10億円の補正予算で実施していただきました各研究成果につきまして概要 を私どものほうからご説明をした上で、検討会として、今後の研究の進め方等について ご検討いただくということを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。 ○伊東座長 ありがとうございました。それではご議論いただきますけれども、まず最 初に「内分泌かく乱物質の食品、食器等からの暴露に関する調査研究」につきましてご 議論いただきたいと思います。  それでは事務局より、論点案についてご説明ください。 ○池田補佐 それでは資料のI−1を使いまして、何ぶん時間も一月以上たちましたの で、この研究がどのような研究だったかという概略を事務局のほうから簡単にご紹介さ せていただきましてご議論いただければと思います。  お手元の資料のI−1でございますけれども、こちらは「内分泌かく乱物質の食品、 食器等からの暴露に関する調査研究」ということで、前の国立医薬品食品衛生研究所副 所長斎藤先生が主任研究者として研究されたものでございます。  この研究は幾つかの分担研究に分かれておりまして、内分泌かく乱作用の疑い等が指 摘されておりますいろいろな物質、たとえばフタル酸エステル類とかビスフェノールA 等のフェノール化合物、あるいはポリカーボネート製の食器や食品缶詰等からの溶出、 肥育ホルモンの暴露とかトリブチルスズ、PCB、DDT等の魚介類経由の暴露とか、 スチレンダイマー、トリマーのポリスチレン製の食器等からの溶出あるいは食品経由の 暴露、有機塩素系化合物とか植物エストロジェン、こういったものを取り上げまして、 分析法の確立並びに食品等からの暴露量、こういったものを研究した成果でございます 。  具体的には資料I−1の4ページをごらんいただきますと、こちらはおもちゃあるい はポリ塩化ビニール製の食器等からのフタル酸エステルの溶出に関する調査研究という ものでございまして、ポリ塩化ビニール製のおもちゃを乳幼児がどの程度の時間、口に 入れているのかを研究して、それからフタル酸エステルが口の中にどのくらい溶け出す かということを、種々の条件を使いまして研究をしたというものでございます。さらに はポリ塩化ビニール食器等からのフタル酸エステルの溶出に関する調査研究等を実施し たものでございます。  内容は、資料の6ページ以降をごらんいただきますと研究の結果等が載ってございま す。  次の研究ですが、10ページからの研究でございますが、こちらは「ポリスチレン食器 等からのスチレンダイマー、トリマー等の溶出に関する調査研究」ということでござい まして、ポリスチレン製の食品の容器から、内分泌かく乱作用があるのではないかと言 われておりますスチレンダイマー及びトリマーにつきまして、どの程度残存しているの か、それから溶出がどの程度あるのかということを検討した結果でございます。  結果につきましては11ページから載ってございますけれども、やはり溶媒の種類を脂 溶性の溶媒に変えていきますとより溶出量がふえるといったような検討結果でございま すが、11ページの最後のところ「今後の展望」にもございますように、これらのスチレ ンダイマー、トリマーにつきましては、内分泌かく乱作用については否定的な研究が最 近そろってきたというようなことで、今後はこういった研究は必要に応じてやればよろ しかろうというような研究成果でございます。  続きまして13ページからでございますが、「フタル酸エステル類等の暴露に関する調 査研究」ということで、食品由来のフタル酸エステルにつきまして、まず分析方法の検 討等を行いまして、食品中からの汚染実態の調査を実施したというものでございます。  この場合、環境由来あるいは周辺の器具等からの汚染等がございまして、分析法の開 発というのに大変ご苦労されているという結果でございまして、汚染実態調査も実施し ておりますが、結果としては16ページのところに検出量等が出てございます。市販の弁 当等からもフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)が検出されているといったような研究成果 でございます。  17ページからは「食品中のアルキルフェノール化合物等の含有量に関する調査研究」 ということで、米とか畜産物、水産物等々の対象食品を使いまして実態調査を実施して おりまして、その結果、幾つかの食品からノニルフェノール等が検出されているといっ たような結果でございます。  次は20ページからでございますが、「魚介類中のトリブチルスズ、PCB、DDT等 の汚染に関する調査研究」ということでございまして、これは国内のいろんな地域、北 陸とか東北、北海道海域とか東京湾等々の魚介類を対象にいたしまして、トリブチルス ズとかジブチルスズ等のスズ化合物、その他ポリ塩化ビフェニールとか有機塩素系農薬 等について分析をしたというものでございます。  結果については20ページ右側の中段以降でございまして、天然の魚ではトリフェニル スズが検出され、養殖の魚ではトリブチルスズが検出されたとか、21ページではPCB がほとんどの検体から検出されていたとか、有機塩素系の農薬でも検出はされているけ れども、濃度的にはおおむね過去に調査した魚の分析値と大差のないレベルだったとい ったような結果が得られてございます。  結論といたしましては、21ページの下のほうにございますように、すべての化合物濃 度は、おおむね過去に調査した魚の分析値と大差のないレベルだったといったような結 果でございました。  23ページからが「食品中の有機塩素系農薬に関する調査研究」ということで、動物性 の食品、液卵とかバター、ウナギ等で、バターとウナギにつきましては輸入品等を選び まして、対照の国産品と比較して有機塩素系の農薬が検出されるかどうかということで 検討した結果でございます。  合わせまして陰膳方式ということで、食事からの有機塩素系の農薬の摂取量について も調査をいたしております。  結果としては25ページのところにございますけれども、畜水産食品中の濃度といたし まして、クロルデンとかヘプタクロルエポキシド、DDT等が検出されたというような ことでございます。陰膳中の残留濃度につきましてもDDEという、DDTの代謝物で ございますが、これらが検出されているといったような研究成果でございます。  26ページからは「食品中の植物エストロゲンに関する調査研究」ということで、大豆 の加工品等につきまして、ダイゼインとかゲニステイン等の植物エストロジェンがどの 程度入っているかというようなことを、対象食品としては大豆煮豆、豆腐等々の大豆及 び大豆加工品につきまして分析をいたしまして、ヒトでの一日摂取量等についても考察 をいたしているという結果でございます。  結果的には、摂取量としては、従来の研究の成果の範囲内にあったというようなこと で発表されてございます。  31ページからは「肥育用ホルモン等の畜水産食品中の残留に関する調査研究」という ことで、牛肉中の天然型ホルモン、エストラジオール-17 βとかプロジェステロン等の 分析をしたという結果でございまして、結果は33ページのところに表になってございま すけれども、今回、国内産、輸入牛肉中の分析をしたけれども、いずれも文献調査結果 のホルモン濃度に比べるときわめて低かったというような結果でございました。  次は34ページからでございますが、「ポリカーボネート食器、食品缶詰等からのビス フェノールA等フェノール化合物の溶出に関する調査研究」ということで、一般の食器 具、給食器、ほ乳びん等からのビスフェノールA等の溶出についての検討、それからエ ポキシ樹脂の塗装されています食用缶詰におけるビスフェノールAの溶出というような こと、それからプラスチック製品のノニルフェノールの溶出等が検討されてございます 。  結果といたしましては、通常の一般食器等からの溶出量については、従来のデータと は大差ないデータでございますけれども、36ページのところで食用缶詰等で固形の食品 の一部、魚肉とかミートソース、カレー等の缶詰食品からビスフェノールAが480ppbま での範囲で検出されたというようなデータとか、コーヒーの飲料について 35ppbまでの ビスフェノールAが検出されたというようなデータがございます。ノニルフェノールに つきましても、プラスチック製品から検査をした結果で、一部の検体から検出されてい るというようなデータでございました。  大体以上概略をお話ししたような格好で、資料のI−1にご紹介した研究成果でござ います。これらの内容につきまして、この後ご意見等をいただきまして、今後の研究の 方向等ご意見をいただければ幸いでございます。よろしくお願いします。 ○伊東座長 ありがとうございました。多くの発表の成果をサマライズしてご発表いた だいたわけでありますけれども、それでは先生方から、ただいまのご報告の内容につい て何かご意見ございましたら、どうぞ。  寺尾先生、何かございませんか。 ○寺尾委員 内容ではないんですけれども、報告書の書き方なんですけれども、用語の 使い方が非常にわかりにくいと思います。  というのは、これがオープンになったとき一般の方がごらんになるんですよね。そう しますと、専門の人はたぶんわかるんだろうと思うんですけど、いままでいろいろな議 論の中で、少なくとも一般の方にわかるような説明の仕方をしないといけないという話 があるんですけど、いきなり略語で出てきて、それが何を意味するかというのは、専門 の人はたぶんわかると思うんですけれども、わからないようなところがあるし、また略 語でも人によって使い方が違いますので、なるたけそういう略語を統一するということ と、いきなり略語、DDTとかPCBでしたら構わないと思うんですけれども、あまり 一般の方が慣れていないような言葉でいきなり略語というようなことはなるたけ避けた ほうがいいと思いますので、そこだけちょっと申し上げます。 ○伊東座長 ありがとうございました。山崎先生、何か。 ○山崎委員 書き方については、私もいまの寺尾先生のご意見と同じような感想を持ち ました。用語の問題と同時に形式がバラバラで、主任研究者と分担研究者の間の関連と いうか、これがとりにくいですね。  たとえば研究要旨があって、分担研究者のリストがあって、その後にいろいろなコメ ントが出されているんですが、分担研究者のところも研究要旨があって、協力研究者の リストがあって、その後ありますね。ちょっと細かいことを申し上げて申しわけないん ですが、主任研究者のところで、分担研究者のリストと同時に、分担研究課題がやはり 記述されるべきだと思うんです。  それぞれの分担研究の内容というのは大体わかるんですけれども、この結果が羅列さ れていると、この研究自体が非常に各論的で、言葉がちょっとまずいと思うんですが、 単発的というか刹那的というか、連脈がうかがえない。  たとえば山田先生のところのスチレンダイマー、トリマーのところで、スチレンダイ マー、トリマーに関しては、その内分泌かく乱作用に関して否定的な研究が最近そろっ てきた、一応今回の研究で終了するというようなことが記述されているんです。  これは11ページのところですが、こういうような結論が出たようなことが少なくとも 主任研究者のところに反映されていると、われわれはこれを読んでわりあいと、何をや って、どういう結果が出て、どう考えたらいいかということがわかりやすいんですけれ ども、その連脈が私にはあまりないように思われて、たとえば2ページのところを拝見 すると、スチレンダイマー及びトリマー、ポリスチレン製品中の残存量が平均云々、疑 似溶媒への溶出量は云々、溶出は見られなかったと、これだけなんですね。  そうすると、せっかく分担研究者のところでの結果が、この研究全体としてどういう ふうに反映されてどういう結論が出たのか、結果の数字の羅列はあるんですけれども、 ここでおそらくわれわれが一番知りたいというか、これが公表されていく。皆さんがこ れを読まれるわけですから、少なくともそういう意味では、何をやって何が出て、どう いうふうにわれわれがそれを受けとめたらいいかというところまでを書いていただけた らと思うんですね。  非常に短期間の間の研究で、これだけおまとめになるということは相当の努力をされ たし、これは評価にたえる内容ではあると思うんですが、何しろ非常に注目されている 課題ですし、それなりのかなりの研究費を使った研究でございますので、そこまでの結 論というか、われわれが受け取りやすいような書き方というところまで工夫していただ けたらというのが率直な感想でございます。 ○伊東座長 山崎先生のご指摘のとおりだろうと思うんですけれども、少し事務局側の 立場に立ちますと、この間の発表された内容の報告書というか、そういうものを中心に サマライズしていますので、ご存じのように食品化学課というのもたくさんいるように 見えて実際、これをやっているのは1人か2人でやっていますので。  本当はそういうふうにサマライズして、きょう出すときに、皆さんに聞いていただい たときに、なるほど、こことこことここかというようにまとめればいいんですけれども 、きょうもまだ暑いですけれども、ここには暖房が入っているのかなと思っているんで すが、そういうところでやっていまして、きょう皆さんご専門の立場で指摘していただ いたところでもう少し、いま言われたような点をつかまえてふるいにかけていこうと。  ですから、お気づきの点があればいま賜ろうというようなことでございますので、そ の点、特に池田補佐、それから田中さんとかみんな非常に苦労していまして、短期間に これをまとめる。8月2日から、きょう9月の終わりということになりますと非常に短 期間でございました。その間にやったということもお考えいただいて、皆様方にもう少 しサマライズして、同じようなポイントで、これとこれとこれとこれとが問題で、ここ のところはクリアしたんだというようにしたいと思うんですけれども、そこまでの時間 がなかったということもあるとご理解願いたいと思うんですね。  私がこの人たちと一緒にディスカッショするとつくづくそれを感じますので、厚生省 の人員削減ということではなくて、余っているところを厚生省の食品化学課に回してほ しいというぐらいな気持ちでおりますが、そういうことは別として、何かもう少し。  高杉先生、何かないですか。 ○高杉委員 短い期間にずいぶんお仕事をされて非常に評価しておりますけれども、検 査している物質が少ないわけです。検査した範囲で、過去にたとえば食品、魚介類とか 乳製品、肉類はこれこれといって、各個に少ない、少ない、少ないといきますと、みん な大丈夫なんだということになってしまう可能性があるので、検査した範囲で結構なん ですけれども、一体検査した範囲で得た結果がたとえばDESにどのくらいのエクイバ レントになるのか、またわれわれはそれをとっているのか、さらに平均的な日本人がと っている食事とか飲み物とかで、検査した範囲の中ではトータルでこのくらいのエクイ バレントになるというふうなことをまとめていただければ大変ありがたいと思いますね 。検査していくにしたがってふえていくであろうと思いますけれども。  今回は範囲が狭いですけれども、それでも合わせますとやっぱりちょっとふえてくる 。その点、将来お願いしたいと思います。 ○伊東座長 DESにイクイバレントでどれくらいかというような検討が必要だという ことは私も全く同感でございまして、まだこの会も研究費も続きますので、そういうこ とを当局にお願いしていきたいと思います。  紫芝先生、何か。 ○紫芝委員 いまのところは別にございません。 ○伊東座長 井口先生、何かありますか。黒川先生、いいですか。  いまご指摘のようなことのほかに何かご意見ございましたら。 ○津金委員 特に、ヒトに関してですけれども、こういう暴露量を測定するときに非常 に大事なのはサンプリング、どういうふうにサンプリングしたかということがものすご く重要だと思うんですね。報告書の文章を見ていると、メソードのところでサンプリン グをどういうふうにしたかということが比較的サラッと書かれてしまっているので、そ こらへんをもうちょっとキチッと書いていただく必要があるんじゃないかと考えていま す。  特にキャンディデートがどのぐらいあるのか、どのぐらいキャンディデートがある中 でどのぐらいのサンプリングをしているのかとか、そういうような情報が必要なのでは ないかと思います。  たとえば缶コーヒーでも、いろんなメーカーでいろんな種類のものがあって、たとえ ばミルクが入っていたりとか、温まっていたりとか、いろんなものがあると思うんです けれども、このぐらいある中で、このぐらいをサンプリングしたというようなこと、こ ういう形でサンプリングしたというようなこともキチッと書いておかないと、特に日本 人の摂取量を推定したい場合、最終的にはそこに到達しなければいけないので、サンプ リング法についてキチッとこの中に書くことを心がけられたらいかがかなと考えました 。  もう一つ、平均値だけがポンと出ていますけれども、平均値というよりも、むしろど のぐらいの変動があるのかというような情報も示していくというような姿勢も大事なの ではないかなと思います。 ○伊東座長 ありがとうございました。そのことも非常に大事ですので、次にそういっ たことについての要求を研究者の先生方にもしていくということにさせていただきたい と思います。 ○藤原委員 先ほどおっしゃられたご意見に少し似ているんですけれども、サマリーの ご苦労はあったと私も思いますけれども、やや表現がわかりにくいというところがたく さんございまして、たとえば過去の文献調査の濃度に比較してきわめて低かったと。  きわめてというのが一体どれぐらいなのかというようなことは、パッと読んだときに はわかりにくくて、これはよく数字を原文に当たればわかることなんでしょうけれども 、それらについてもう少し踏み込んだ表現をしていただけたらいいなと、私も伺ってい て思ったんです。  それから問題のあるレベルではないというようなことについても、先日も畜産関係の 方に肥育ホルモンの影響についてちょっとお話を伺う機会がありまして、やはりそこで も同じく、一般の消費者の方は心配することはないというような結論ではありましたが 、それじゃ、それらを日本人の消費量で食べ続けていったときの蓄積はどうなるのかと か、複合的な影響はどうなるのか。これはいろんな食品に関連するわけですので、そう いったことが大変気がかりになってきているという時代ですから、個々のこういう結果 について、たとえば過去の分析値と大差のないレベルであったということについても、 じゃ、過去の分析値がそんなに権威のある、安心な、寄りかかり得る基準なのかという ようなこともわかりませんので、そこらへんについても少しイメンションしていただけ たらと思いました 。  以上でございます。 ○内田食品化学課長 先ほど伊東先生から簡潔にサマリーしていただいたのでつけ加え ることもないんですが、私たち事務局の立場からすると、ここでのご意見を、この研究 をやっていただいた先生につなぐとしても、たとえば津金先生がおっしゃったような、 方法をもうちょっときちんと書くとか、実際研究をやった方が書けるところで、過去で は、いま藤原先生がおっしゃったような話、あるいは山崎先生がおっしゃっていたよう なご意見というのは結果の評価に踏み込んでしまいますので、その部分は伊東先生が言 ったことと同じになりますが、むしろここでお願いして、これを見て、でも、ここの検 討会はどう考えるか、これを読む人たちにどう考えてもらうかというのをぜひお願いし たいなと。  実際に研究をやられた方は、その部分だけやっていますので、これの全体を、自分の 研究をどう評価すべきかというのは、つないでもなかなかいいご意見が出てこないんじ ゃないかということを思いますので、よろしくお願いいたします。 ○中澤委員 食品を少し分析している者から見ますと、非常によくやられたお仕事だと 思います。拝見していて、特におもちゃとか食品の容器包装材料で取り上げた物質とい うのはフタル酸のような、いわゆる内分泌かく乱物質としていま関心を集めている物質 を追っかけられているんですが、それももちろん大事なんですけれども、溶出試験等の 分析において、どういう物質であるかわからないものが出ていると思うんです。そうい う物質を検討されていきますと、今後また新たにそういう物質を見つけることもできる のではないかなと思いました。  それから複数の研究協力者の方が関与なさっていらっしゃると思います。それぞれの グループにつきまして、比較的高い数値が出ているものに関しては、このサマリーを見 る限りにおいては同じサンプルをクロスチェックしたのでしょうか。要するにデータの 信頼性に関して、ppbレベルの分析というのは非常にふらつきますので、数値だけがこ ういうふうに活字になりますと走り出しますので、できれば、そのへんを複数の機関で 同じサンプルを分析して確認されたのかというようなことが知りたいなと思いました。  以上でございます。 ○伊東座長 ありがとうございました。これは36ページの「食用缶詰などにおけるビス フェノールA含有量」というところで、かなり高い濃度のものが見つかっているという ようなことについても、いま先生がおっしゃったような立場でもう一度検討して出すと いうことにしないと、数字がひとり歩きする可能性は大いにあるのではないかなと思い ます。  そのほかに何かご意見ございませんか。 ○田中委員 細かいことで。たとえば1ページ目のサマリーのところの四角の中にある もので、素人から、もう少し丁寧に書いていただきたいなと思ったのは、たとえば植物 エストロゲンの摂取量 27.75mgというのを、単位を「/人/日」とか、あるいはその 次の下から3行目に「ADIから判断する」というADIが幾らなのかという数字も入 れていただくと、その数字と比べてどうかなという評価がやりやすくなると思いました 。  この中で、こういう環境ホルモンがデメリットと、あるいはメリットがあるという部 分がどこかにあったと思うんですけれども、3ページ目の左側に、食物エストロジェン にはこういう作用とこういう効果もある、このへんがあって、効果とデメリットも一般 の人に知らせるような情報発信が大事かなという感じがしました。 ○伊東座長 ありがとうございました。いま田中先生がおっしゃったことは至極もっと もでございますので、こちらのほうでこれを公表するときには、そういうことも参考に してやりたいと思います。  そのほか食品、食器からの暴露に関する調査研究について全体的なご意見がございま したら賜りたいんですが。 ○松尾委員 この調査は暴露の実態をお調べになったということで、非常に重要なデー タになるんじゃないかと思っています。システマティックに、これだけ大量のサンプル で、この数字を有効に使わせていただきたいと思うんですが、一つだけ、ppbとかpptオ ーダーになりますとコントロールをとるのが非常にむずかしいんですね。これをどうい うふうにされたのかというのをちょっとお聞きしたい。どこかで記述されておれば、数 字の信ぴょう性といいましょうか、そういうものが非常に上がるんじゃないかと思って おります。 ○池田補佐 直接の研究者が本日は参っていないんですけれども、当然分析の際には、 溶媒とかそういうものも注意したブランクを置いておりますので、また再現性とかも見 ているかと思いますので一応チェックはしているかと存じます。 ○伊東座長 よろしいですか。それでは、いまご議論いただきましたようなことを踏ま えて、事務局のほうで整理していただくということでよろしくお願いいたします。  では、次に「内分泌かく乱物質の胎児、成人等の暴露に関する調査研究」についての ご議論に入りたいと思いますが、論点について事務局側からご説明をお願いいたします 。 ○池田補佐 それでは資料I−2につきまして概略を再度ご説明いたします。  資料I−2につきましては「内分泌かく乱物質の胎児、成人等の暴露に関する調査研 究」ということで、主任研究者は星薬科大学の中澤教授でございます。  大きく四つの研究内容になってございまして、一つは母乳とか臍帯血、妊婦の血液等 を対象にした超高感度分析に関する測定法の構築ということ。それから実試料の分析。 二つ目は成人暴露等に関する調査研究のために、成人の血液、毛髪中の内分泌かく乱物 質と食生活要因等を探ることを目的に高感度分析を検討した。次は母乳中の物質と乳児 の健康影響に関する調査研究ということで、母乳中のダイオキシン類の濃度と乳児の甲 状腺機能の低下等について考察する。最後はヒトの解剖検体の脂肪とか血液等の臓器等 への分泌等に関する研究ということでございます。  資料の1ページ目をごらんいただきますと、こちらはそのうちの1と2のところでご ざいまして、ヒトの母乳とか血液、毛髪、臍帯血などの生体試料中の存在量を測定する というために研究をしておりまして、2ページの右側のほうに結果がございます。一つ は「胎児・乳児暴露等に関する調査研究」ということで、妊婦の母乳、臍帯血、血液及 び子宮内膜症患者の腹水を対象に分析法を検討したということでございます。  できました分析法によりまして、妊婦の血液とか臍帯血、母乳を分析しまして、2,4,- Dとか2,4,5-T のような除草剤については検出されなかったという結果が得られたという ことでございます。  16人の妊婦の臍帯血、それから妊婦本人の血液と母乳、これらを分析した結果、一部 から臍帯血、妊婦血液、母乳からp−ジクロロベンゼン、p−ヒドロキシ安息香酸及び HCBが微量検出されたといったような結果が出たということでございます。  二つ目は成人の暴露等に関する研究ということで、成人の組織等についての検出法の 検討を行ったということと、保存されております母乳、1973年から96年の大阪府下の授 乳婦の母乳中の有機塩素系化合物及びダイオキシン類の残留実態を調べたということで 、その結果、96年の母乳中のPCBとかHCH、DDT等は1973年よりもいずれも減少 していた。96年の母乳の脂肪中のダイオキシン類及びコプラナPCBは1975年に比べま すと、それぞれ46%及び28%に減少していたという結果等々でございます。こういった ような研究成果でございます。  次は6ページでございますが、6ページは「母乳中の内分泌かく乱物質と乳児の健康 影響に関する研究」ということで分担していただいていまして、母乳を栄養群として育 てた乳児、それからほぼ人工栄養のみで育てられた乳児について、生後1年における発 達、健康診査と、免疫機能、甲状腺機能を検討したということでございます。  結果といたしましては6ページの右側でございますけれども、両群を比較しますと、 血清甲状腺ホルモン値も正常範囲で差はなかったとか、推定ダイオキシン摂取量との関 係を見ても相関が認められなかったとか、免疫アレルギー機能等についても、ここでは Bリンパ球の割合が、母乳栄養群では、人工栄養群に比べると有意に低下していたが、 いずれも正常範囲だったというような結果とか等々の結果が得られておりまして、結論 といたしましては7ページでございますが、母乳からのダイオキシン摂取によりまして 、乳児への健康影響としては重大なものは認められなかったという結論になっておりま す。  それから8ページからが「ヒト解剖検体の肝臓、脂肪、血液等各種臓器、部位への内 分泌かく乱物質の分布に関する調査研究」ということでございます。こちらはインフォ ームドコンセントのもとに剖検された症例の主要臓器、血液、体重を採取して、これら についてPCBとかコプラナPCB、ダイオキシン、メチルスズ化合物、HCH等々を 測定したということでございます。  たとえば結果としては、PCBにつきましては剖検症例の肝とか腸間膜脂肪、腹膜脂 肪等について調査した結果がまとめられて数字も出ておりますけれども、まとめとして は9ページの左上のほうにございますが、mono-orthoPCBとかdi-orthoPCBの値と しては、従来報告された血液脂肪中の測定値とほぼ同レベルだったという結果でござい ます。 ダイオキシン、ジベンゾフラン類の剖検症例につきましても、胆汁とか肝臓、 血液での値等が報告されております。それから重金属、有機スズ化合物についても検討 されておりまして、肝臓中の濃度等がこのような記載になっております。  数字といたしましては9ページの右側の下のほうにあるんですが、PCB以外は、有 機塩素化合物については影響が懸念されるレベルではなかったということ、それから水 銀、鉛、カドミウムも影響が懸念されるレベルではなかったというようなことで、PC Bについては今後注意が必要なのかなというような結果でございました。  ここには載っておりませんけれども、TCPメタノールという物質が脂肪組織等から 検出されたというようなご発表もございました。  大体以上でございます。よろしくお願いします。 ○伊東座長 ありがとうございました。それでは皆様方から、この件につきましてのご 意見を賜りたいと思います。  黒川先生、何かないですか。 ○黒川委員 母乳中のダイオキシンの研究のところですけれども、よけいなことかもし れませんけれども、これは非常に、ダイオキシンのTDIのときなんかにも母乳栄養が 是か非かということまで言ったんですけれども、この結果で見ると、人工栄養と母乳栄 養で何も差がないぞという結論は明らかに出たように思うんですけれども、特に小児科 の先生が常々おっしゃっているように、WHOでももちろんそう言っているわけですけ れども、母乳栄養のほうのメリットというものが非常にある、だからますます、同じだ からどっちでもいいというんじゃなくて、母乳栄養で育てるべきである、そういうふう なことをここに書くべきかどうかわかりませんけれども、単に差がなかったことよりも 、ディスカッションですから、少しそういうところを書き込んでもよろしいのかなと思 いました。 ○紫芝委員 私も松浦先生のご発表のことで意見を述べたいと思うんですけれども、6 ページのサマリーのところには「TSH濃度は正常範囲であったが、母乳群で軽度高値 であった」という書き方をしておられます。8月2日の発表のデータをみると57名の中 の4人ぐらいが高い値を示していたと思います。  ダイオキシンのグループのほうで少なくともTSHが少し高い値が得られたというの は、私ども臨床の人間としてかなり重要なことで、それはなぜかといいますと、最近、 妊娠前半期の母体の甲状腺機能低下症が、子どもが7歳、8歳になってからもIQを少 し落とすということが欧米の内分泌学会で発表されまして、将来は妊娠すると同時にT SHをチェックして早く治療しないといけないんじゃないかというふうな考えも出てく るぐらいに注目されています。  それで、松浦先生のご発表のときに私は質問いたしましたが、4例ぐらいしか実際に TSHが上がった症例はないわけなので、その成果を出すときには生下時に測定したT SHと比較をして、また、その後のTSHのフォローアップも行って、本当にこれが母 乳の影響なのか、それとも何かほかにTSHが上昇してくるような原因があるのかどう かということを、まずチェックしていただいて、それから次の研究に進めていただくと 、非常に今後成果が上がることになると思います。  母乳のダイオキシンと、子どもの甲状腺機能を比較したデータというのは、アメリカ で二つとオランダで三つぐらいの成績がありますが、それら全部につきまして、今いろ いろなところから言われています。1例1例の追跡というのは非常に大事じゃないかと いうことも言われています。松浦先生のお仕事は非常に意義のあるお仕事なので、その ような方向づけでお願いをしたいと考えております。 ○伊東座長 非常にもっともなと申しますか、非常に重要なポイントのご指摘ありがと うございました。われわれの検討会でのご意見ということを踏まえて、これから事務局 としても対応していただきたいと思います。  そのほか何かございませんか。 ○田中委員 いまのところの関連ですけれども、6ページのところですが、母乳はダイ オキシンがある程度数字が出て心配だということで、これと比較されている人工栄養の 場合のダイオキシンの含有量というのがある程度あると思いますね。何をはかってもあ りますので、その数字があってそれでどうなのか、そういう論点が欲しいなという気が します。  それから、素人から見れば、TSHが軽度高値であったとか、Bリンパ球が有意に低 下であったというのがダイオキシンの影響かというのと、どの程度健康上心配しなくて はならないのかというのが知りたい点です。 ○寺尾委員 中澤先生に教えていただきたいんですけれども、有機スズを毛髪ではかっ ておられますね。毛髪ではかる理由というか利点というか、それはどこにあるんでしょ うか。 ○中澤委員 今回、サンプルのほとんどが血液、母乳だったんですが、たとえば長期間 の暴露を見るには、たぶん毛髪の分析が今後大事だろうということで、その中で有機水 銀に関して毛髪を分析している例というのはかなりございますが、有機スズについてど うかということで、今回チャレンジしてみたわけです。  確かに微量ではあるんですが、存在している可能性が示唆され、ほかに一緒にやって いた研究機関で2ヵ所ぐらいで実はクロスチェックしました。ここに書いてある結果は 一応間違いないだろうということで発表いたしましたが、ほとんどが検出限界あるいは それ以下ということで、ちょっとこれに関しては数をふやしていかなければいけないん ですが、分析に結構毛髪の量が要るものですから、今回そういう意味では十分なデータ ではございません。長期的な暴露という視点で、毛髪の取り扱いというのは、私ども分 析する立場としてはあまり経験がなかったものですから、まず有機スズで取り組んだと いうことでございます。 ○田中委員 7ページの一番最後に、ダイオキシンの摂取で健康影響は重大なものは認 められなかったと書かれているので、重大なものでなくて、軽微な健康影響が認められ たように見るんですけれども、6ページでは、いずれも正常範囲であったということで 書かれていて、後では重大な影響はない、そのへんがどうなのかなという心配があるん ですけど。 ○伊東座長 わかりました。そういうご指摘のことを考えて最終的なサマリーに持って いきたいと思います。よろしいですか。  それでは、この件はこれで終わりまして、また後ほどお気づきの点がございましたら 、活発なご意見を賜りたいと思います。  次に「内分泌かく乱物質の水道水からの暴露等に関する調査研究」についてご議論を いただきたいと思いますが、事務局側から論点についてご説明ください。 ○池田補佐 資料I−3でございますが、「内分泌かく乱物質の水道水からの暴露等に 関する調査研究」でございます。国立公衆衛生院の国包部長が主任研究者でございます 。  こちらの研究は水道水におけます内分泌かく乱化学物質等の存在状況を把握するとい うことで、代表的な水道として、25の浄水場についての実態調査をしたというのが1点 でございます。  もう1点は、内分泌かく乱作用をチェックするために、幾つかの試験法によりまして かく乱作用の評価を検討したということでございます。内容としては 蛍光偏光度法と か酵母Two-hybrid法、遺伝子導入ヒト乳がん由来細胞法の3法について検討したという ような内容でございます。  順番にご説明しますと、1ページ目のところで研究の全体が書いてございますけれど も、研究方法ということで、25の浄水場につきまして、水道原水、浄水、給水栓水から 水を取りまして分析をしたということ。もう一つは水道の資機材ということで22種39品 目を対象にして、水に対する溶出試験を行ったというようなことでございます。そのほ か室内・室外空気中のフタル酸類の調査も行ったという内容になってございます。  5ページを見ていただきますと、先ほど申し上げましたような水道水の内分泌かく乱 作用を検査するために、エストロジェン様活性試験法として三つの方法について、水質 管理評価手法に適用できるかどうかということを検討いたしまして、その後、ある浄水 場におけます原水、沈殿ろ過水、塩素処理済みの水道水につきまして酵母Two-hybrid法 によりまして比較検討をしたという結果でございます。  結果といたしましては6ページの右の上のほうでございますけれども、酵母Two-hybri d法によって検討した結果、原水中の有機物を 1,000倍以上に濃縮した試料についてエス トロジェン様の活性が見られましたが、それを凝集沈殿ろ過水について調べますと、原 水の半分に活性が落ちていた、さらには塩素消毒処理をした水道水では、1万倍の濃縮 試料でも活性が認められずに完全に消失させることができていたというような結果でご ざいます。  9ページは水道用の資機材からの内分泌かく乱物質の溶出量ということで、20種類36 品目、過去に使用実績のある2種3品目について水での溶出試験を行った結果、フタル 酸類とかアルキルフェノール類等17物質が、それぞれ低濃度ですが溶出することが認め られた。ただし、アルキルフェノール類等は残留塩素によって容易に分解されることが 確認されたという結果でございます。  これが要約でございまして、文中に出てきます別紙を参照ということで、ただいまお 手元に、別紙ということで取りまとめたものを別途配付させていただいてございます。 後ろにもう一つ別添ということで、2冊の資料を配付させていただいていますので、そ ちらも一緒にごらんいただければと思います。  簡単ですけれども以上でございます。 ○伊東座長 ありがとうございました。ただいまのご説明にご質問、ご意見など賜りた いと思いますが。 ○青山委員 個々の分担研究者の先生の報告も含めて、基本的にはすべて今後さらに調 査研究が必要であると考えられるという結論のようであって、ある面では非常に統一が とれた表現ではあるんですけれども、一体どういったことをどのように、あるいはいつ までにとか、どういう規模でというような、具体的にどういうことをする必要があると いうように、もしまとめていただけるんでしたら、われわれこういった分析に素人の立 場からしますと非常にありがたいと思います。 ○事務局 事務局をやらせていただいております水道整備課でございます。今後さらに 調査研究が必要ということで、全体的なお話といたしましては、今後、厚生科学研究で 3年間をかけて研究をさらに続けていきたいと思っておりまして、具体的には水道の施 設あるいは水道浄化過程におきます環境ホルモン様物質の挙動解析、あるいはその処理 可能性等について検討させていただきたいと思っております。  それから今後さらに調査研究が必要な、たとえば具体例でございますけれども、たと えば25の浄水場ではかりました例につきましては、これは1回しかはかっていないとい うことでございまして、たとえばさらに頻度をふやすとか、あるいはさらに経時的な変 化とか、そのへんをもうちょっとデータをふやしていかないといけないんじゃないかと 考えております。このへんにつきましては、また取りまとめる段階でもう少し具体性を 持たせるような方向で検討させていただきたいと思います。 ○田中委員 2点ですが、1点目は、溶出試験に用いている供試水ですね。水がどれぐ らい汚染があるかというか、エストロジェン様活性があるかどうかということですので 、溶出試験に使った水の面のデータが欲しいというのが一つです。  二つ目は、塩素消毒した水道水は活性は認められないという結論ですが、分析した結 果では原水で7物質、浄水場の出口で5物質、塩素消毒の後のほうでまだ2物質が検出 されているわけですね。その関係から、2物質出ているけれども活性は認められないと いうか、エストロジェン様の活性は消失しているという結論が出せるのかどうか。その へんは今後の検討になるのかと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。 ○藤原委員 これまでに言われたことと重なりますけれども、抽象的な文言を使うとき には、できるだけそれが具体的に何を示唆しているかということがわかるような言葉を 選んでいただきたいというのが私のいまの実感なんですね。  だから、「実態並びに挙動の解明のためには」というのが、後半の「調査研究が必要 」というのの前半もやはり同じ言葉になっているので、こういったことが、たぶん分野 によって濃淡の違いがあるんじゃないか。ある程度究明できたことと、まだ非常にわか らないところが残っているものとあると思いますので、できるだけ抽象化の段階で注意 をしていただければと思います。 ○寺尾委員 6ページの右側の一番下のところに、フミン質を塩化処理するとエストロ ジェン様活性物質ができてくるらしいということがございまして、これが何であるかと いうことを同定する必要があるようなことが書いてあるんですけれども、これをやると いうのはかなり専門的な知識を持った人がやらないとできないような気がするんですけ れども、これは将来もう少し専門の人を追加するとかそういうことを考える必要がある のではないかなと思いますけど、そういうことは可能なんでしょうか。  あるいはこれはそれほど問題になるようなことでないということであればよろしいの かもしれませんけれども、本気になってやろうかと思うと、かなりやらないとわからな いのではないかなという気がします。 ○伊東座長 ありがとうございました。この件はご意見を尊重させていただいて、事務 局で検討していただきます。  そのほかに何かご意見ございませんか。それではまた後ほどご意見がございましたら 賜るということで、次の「28日間反復投与試験等に関する調査研究」についてのご議論 をお願いしたいと思います。  では、論点につきまして事務局側からご説明ください。 ○池田補佐 資料I−4でございます。「28日反復投与試験等に関する調査研究 (OE CDテストガイドライン国際共同バリデーションプロジェクト)」ということでござい まして、主任研究者は国立医薬品食品衛生研究所広瀬部長でございます。  本研究は大きく三つに分かれておりまして、一つが「28日間反復投与試験」の関係、 次は「子宮重量等を指標とした生体試験」、もう一つは「子宮重量等を指標とした生体 試験による相加相乗効果の検討」と三つございます。  資料の1ページ目が「28日間反復投与試験等に関する研究」でございますが、こちら は内分泌かく乱作用を高感度に検出し得る新しい試験法ということで、OECDでいま 検討中の試験法の一つでございますが、"enhanced OECD Test Guideline 407"とい うものの有用性の検証ということで、この原案をもとにして、ラットの28日間反復投与 毒性試験を実施しております。  これはラットを使いまして非ステロイド性の抗アンドロジェン剤 Flutamide、それか ら合成男性ホルモンでありますメチルテストステロン、これらを強制経口投与いたしま して、28日間投与後に臓器重量とか性周期等々の検査をしたものでございます。詳しい 研究方法につきましては2ページのところにございます。  研究結果といたしましては3ページからでございまして種々の記載がございますが、 結論的には4ページの右上ぐらいでいいかと思いますが、今回の試験に採用した検査項 目のうちでホルモンに関連した作用を検出し得た項目としては、生殖器系組織の重量、 たとえば性嚢とか凝固腺、背側葉前立腺重量の減少とかそういったことでございます。  それから血中のホルモンレベル、生殖器系組織の病理組織所見及び雌の性周期であっ たといったようなことで、これらが検出感度のよい項目だったということですが、考察 といたしまして、さらに感度を上げるための事項があるということで、雄の場合には精 巣において精子形成サイクルを考慮した精上皮の定量的解析を行うことができる。この ことによって影響を詳細に解析できる。雌においては、卵巣における各成熟段階の卵胞 の数をカウントするといったようなことで定量的な解析ができる。  それから、卵巣、子宮及び膣の性周期に連動した組織図を示すことから、病理組織学 的な検索を、性周期を考慮したやり方で実施することで詳細な情報が得られるであろう というようなことがやられていまして、5ページにそのへんが結論ということでまとめ られてございます。  今回の実験では臓器重量とか血清ホルモンレベル、病理組織学的所見等が有効な指標 であったというようなことでございます。  次は6ページからでございますが、子宮重量を指標とした生体試験ということで、こ ちらもOECDで検討中の内分泌かく乱化学物質のin vivoスクリーニング法ということ で現在検討中でございますが、子宮肥大試験については国際的にも確立されておらず、 現在、複数の方式が知られているということで、わが国がリード国となりまして、どの 方法がいいのかということで、3種類のプロトコールを用意いたしまして各種データを 作成していくということになりまして、3種類のプロトコールといたしましては、7ペ ージの研究結果のところをごらんいただきますと、一つは未熟ラットを用いた子宮肥大 試験によって基礎的な実験を行っておりまして、21日齢の雌ラットにエストラジオール を3日、7日あるいは14日間皮下投与して子宮重量等々を検討した。  もう一つは下のほうですが卵巣摘出ラット、もう一つが卵巣摘出のマウスでございま す。この三つになるわけですが、卵巣摘出のラットあるいはマウスに3日、7日、14日 間、種々の量のエストラジオールを皮下投与して子宮重量等を調査したということでご ざいます。  これらの基礎的な実験の結果では、考察のところにございますけれども、未熟ラット の場合には投与期間は3日間程度が推奨される。それ以上長くなると系の感度が悪くな ってくる。卵巣摘出ラットの場合には感度は3倍ほど高い。ただし、手術が必要という ようなことで、場所とか時間がよけいにかかるとか、その他、子宮肥大には浮腫が影響 すること等々が結論として得られておりまして、これらの結果をもとにOECDに、子 宮肥大試験のプロトコールということで作成するための材料にしていくというようなこ とでございます。  三つ目は10ページからでございますが、「子宮重量等を指標とした生体試験による相 加相乗効果の検討」ということで、子宮肥大試験としての卵巣摘出、雌ラットを用いた 14日間の皮下投与実験等々、雄の場合には去勢成熟雄ラットを使ったハーシュバーガー 試験、それから一世代の繁殖試験、これらを使いまして各種物質の複合的な影響という ものを検討したということでございます。  この研究につきましては現在継続中ということで、最終的な結論までは至っておりま せんけれども、試験系をいろいろ組み合わせることで、その試験系の違いによって反応 の差とか相加的な効果とか、あるいは相殺的な効果等が示唆されるような結果が現在集 積されつつある状況ということでございます。  以上3点の研究でございます。よろしくお願いします。 ○伊東座長 ありがとうございました。それではどなたからでもご意見を賜りたいんで すが。  高杉先生、このあたりはご専門だろうと思うんですが。 ○高杉委員 28日反復投与試験なんですけれども、これは未熟ラットでもマウスでも、 卵巣を取ったのをやるのをメインにすべきだと思うんですね。面倒くさいということが 短所ですから、このぐらいは面倒くさくてもやらざるを得ないと思うんですね。自分が 出ているエストロジェンに上乗せして、いろんな内分泌かく乱物質が乗っかってきまし ても引っかかってこない可能性が高いものですから、短所じゃなくて、これがメインで あるべきだと思います。  これは28日反復投与で大人の場合ですけれども、もっと未熟な場合ですね。前のお話 にもありますけれども、胎児期または新生児期という特別な臨界期でありますと不可逆 的になる可能性があります。ですから、28日間の場合は可逆的である可能性があるわけ です。一番大事なのは不可逆的なことですから、それをやはりやらないとバランスがと れていないなという感じがいたしました。 ○伊東座長 そのほか何かご意見ございませんか。それでは、ただいまのご意見など、 また研究者のほうに申し上げていきたいと思いますが、そのほか何もなければ次に入ら せていただきます。  それでは次に「ビスフェノールA、ゲニステイン等の繁殖影響及び体内動態等に関す る調査研究」についてのご議論をお願いいたしたいと思います。 ○池田補佐 それでは資料I−5でご説明します。こちらも研究内容が多岐にわたりま すのでちょっとお時間をいただきますけれども、「ビスフェノールA、ゲニステイン等 の繁殖影響及び体内動態等に関する調査研究」、大阪市立大学医学部の福島教授が主任 研究者でございます。  1ページ目をごらんいただきますと、一つ目が「スチレン等の内分泌かく乱物質の発 がん性と閾値に関する調査研究」ということでございます。研究内容といたしましては 、スチレン、ビスフェノールA及びディルドリンの肝発がん性の有無を中期肝発がん性 試験法(伊東法)を用いて検討するという内容でございます。  実験1といたしましては、スチレンモノマーとビスフェノールAにつきまして胃内投 与6週間という形で試験をいたしております。もう一つは無処置の動物で、スチレンモ ノマー 1,000mg、ビスフェノールA160mgという大量投与での実験も行っておりま す。  実験2といたしましては、実験1と同様の方法でスチレンモノマーの低用量における 影響ということで、非常に低用量、0.0006とか 0.006、 0.6mgといったような低用量 での実験でございます。  実験3と4は、1と2と同じようにディルドリンの高用量と低用量での発がん性等に ついて検討してございます。  結果といたしましては2ページのほうになりますけれども、実験1では、スチレンモ ノマーでは体重増加の抑制とか軽度な肝重量増加等がありましたけれども、肝臓のGS T−P陽性細胞巣の個数及び面積が下がった、低値を示したということでございます。 ビスフェノールAにつきましても体重増加抑制はありましたが、肝のGST−P陽性細 胞巣の定量値は対照群と比較して差がなかった。実験2は現在途中ですけれども、体重 増加等に関しては差が見られていないという結果。実験3では、 10ppm以上で、対照群 に比較して肝臓のGST−P陽性細胞巣発生の増加が認められたということ。実験4で は、この発生についてはディルドリンの0.3ppmを頂点として逆U字型になったというよ うなことでございまして、結論としては2ページの下のほう3分の1ぐらいのところで すが、この試験ではスチレンモノマーは投与量と関連してGST−P陽性細胞巣の発生 抑制を示したということで、高用量のスチレンモノマーは肝発がんを抑制することを示 唆している。ビスフェノールAについては対照群と差がなかったということで、長期投 与によって肝臓の発がん性は示さないという結論でございます。ディルドリンについて は高用量では発がん性を示しますけれども、低用量では無処置群と差がなくなるという ことで、無作用量が存在するというようなこと。ただし、GST−Pの値での低用量の 反応曲線は統計学的に有意差はないけれども逆U字型だったということでございます。  次は6ページでございますが、ビスフェノールA、それからゲニステインにつきまし ては二世代にわたる繁殖試験を行いまして、雌雄の親動物の受胎能、それから子どもの 世代、F1動物の生殖器の形態とか生殖機能、ホルモン動態等を調べるということでござ いますが、こちらはビスフェノールAのF0世代、親世代については一般状態については 皮下の結節形成が1例見られた以外は特段影響はなかった。体重変化については、雄で 20及び 200μg分で体重低下が認められたけれども、雌では特段影響はなかったとか、 そういったような実験結果が得られておりますが、これらについては結論は、8ページ の下のほうのところに考察ということになっていまして、ビスフェノールAの投与によ りまして、親の世代で0.2 μg/kg用量群で精嚢の萎縮が1例見られた。雄のテスト ステロン濃度が0.2 μg/kg用量群で有意でないが低下しており、雌のT3及びT4濃度 が 200μg/kg用量群で有意に低下したというような結果。肛門生殖器間距離は一定 した傾向はないが、雄で有意な短縮等が得られたということですが、これらはビスフェ ノールAの影響によるものかどうかはまだ途中ということで、F1世代の成績が整うのを 待って判断する。現在実験を継続中ということでございます。  次が10ページからでございますが、「ビスフェノールAのラット及びサルにおける体 内動態試験」ということで、これはラット及びサルを用いましてビスフェノールAの体 内動態を見てございます。  結果といたしましては15ページの下のほうからでございますが、ラットの場合には経 口投与いたしますと、投与後4時間以降に血中濃度が再び増加するというようなことで 、腸肝循環があるということが予測された。それから生物学的利用能が雄で54.6%、雌 で47.6%というような結果でしたということで、ビスフェノールAは乳汁中にも排泄さ れるという結果が得られています。サルにおきましてはどうも腸肝循環が明確には認め られてないということと、生物学的利用能が98%ということで、ほとんど吸収されてい るようだというような結果が得られているということでございます。体内分布について はまだ実験中ということでございます。このような実験結果でございます。  続きまして17ページでございますが、「内分泌かく乱物質の行動影響に関する調査研 究」ということで、ベンゾ(a) ピレンとビスフェノールA、フタル酸ジ-n- ブチル、こ ちらの投与によりまして、一般行動とか自発運動、葛藤に及ぼす影響、学習・記憶に及 ぼす影響、運動協調性に及ぼす影響等を見ております。この結果、単回投与では特段の 影響は見られていないということでございますが、ただし、ベンゾ(a) ピレンにつきま しては初期投与によりまして自発運動量が有意に増加したという結果がございます。  18ページの左側の実験結果の2のところでございますが、これは28日間連続して、そ の中にベンゾ(a) ピレンあるいはビスフェノールAを与えた後で、それだけでは特段自 発運動には変化はなかったんですけれども、28日間投与した後で3mg及び10mg/ kgを経口投与して自発運動を測定したところ、ベンゾ(a) ピレンとフタル酸では影響 が見られなかったけれども、ビスフェノールAの10mg/kg投与群で投与後30分間の 自発運動量は有意に増加したという結果が得られたということでございます。  次は19ページでございますが、「ゲニステインの生体影響及び体内動態に関する研究 」ということで、大豆イソフラボンでございますゲニステインを妊娠ラット、授乳ラッ トのえさに与えますと、胎児数や乳児数の低下が見られた。それから胎児や乳児への移 行が見られたということでございます。  骨粗しょう症のモデルマウスで、ゲニステインを皮下投与することで骨密度の改善が 得られた。ただし、その量は明らかなエストロジェン様作用の見られる量の10分の1で 得られたというようなことでございまして、20ページの考察のところでございますが、 研究結果によりますと、妊娠期、授乳期におけるゲニステインとかダイゼインといった ようなイソフラボンを大量に与えると、妊娠、出産への影響とか、胎児、乳児への移行 が見られた。ただし、この量はかなり多量でありまして、日本人の血中濃度から見て通 常摂取量の10倍に当たる量だろうというようなこと。もう一つは骨粗しょう症モデルマ ウスでは骨密度の改善が見られて、その場合は、先ほど言いましたが、エストロジェン 様作用の見られる量の10分の1程度で起こっていたというようなことで、今後もリスク 等について慎重かつ詳細に検討する必要がある。このような結果でございます。  次は21ページからでございますが、「ビスフェノールA、ゲニステインの胎仔期暴露 の雄性生殖機能への影響評価」ということでございまして、妊娠ラットにビスフェノー ルAを経口投与して胎児への移行を調べました。  その結果、21ページの下のほうですが、ビスフェノールAが10mg/kg経口投与し たラットで1時間後に血漿中、親ラットのほうでは 33ppb、胎児では約 12ppbというこ とで、母親の血漿中のビスフェノールAはすぐ減っていきますが、胎児では24時間後で も9ppb 存在していたというようなデータでございます。胎児の雄性生殖器への影響に ついては現在解析中ということでございます。  ビスフェノールAのin vitroの精巣培養細胞への影響を見たところでは、テストステ ロンの産生には影響を与えなかったということでございまして、同時に比較したダイオ キシンの場合には、低濃度でテストステロンの産生を抑制したということでございます 。  その他、ゲニステインにおきます妊娠期摂取の子どもの雄性生殖器への影響というの を見ております。これは先ほどの研究との共同でございます。大体そのような結果です ね。  最後が24ページからでございますが、「ビスフェノールA、ゲニステイン等の生殖、 免疫機能への影響及び代謝に関する研究」ということで、実験としてはラット、ニワト リの胚を用いたin vivo 暴露実験ということで、生殖・発生に関する影響を見た。神経 系の影響は、ラットの脳の海馬スライスのin vitro培養組織ということで見たというこ と。それから免疫等の影響について、ヒト単球系培養細胞、ヒトTリンパ球系培養細胞 等で見た。最後に組換え体のヒト薬物代謝酵素等におきまして相互作用とか代謝を検討 したということでございます。  結果は24ページの下のほうでございますが、まずラットの生殖関連行動、それから生 殖機能に対する影響ということで、ビスフェノールAまたはゲニステインを皮下投与い たしまして、生後10週齢の雄と同居させまして、交尾行動とか妊娠率等々を見たという ことですが、生まれた子ども、帝王切開後の子どもの胎児数とか胎児体重等々を観察し たがコントロール群とは差がなかったということで、いずれも妊娠行動、交尾行動等々 も、それから子どもにも影響がなかったという結果でございます。ニワトリの胚の発生 につきましては、結論としては、今回の用量では、トリの胚の発生に著明な影響を及ぼ さないというようなことでございます。  脳組織のin vitro培養系に対する影響につきましても、結果としてはビスフェノール Aは有意な影響は認められなかったということですが、ゲニステインでは有意なシナプ ス活動の促進効果が見られたという結果でございまして、これがどういう影響、有益な 作用なのかどうかというのは今後検討が必要だということです。  ヒトの培養細胞についてもやられておりまして、ヒト単球系培養細胞U937 、それか らヒトのTリンパ球系培養細胞について、ビスフェノールAとかゲニステインの存在下 で継代培養して見てきましたが、ゲニステインの最高濃度では細胞増殖の抑制効果が明 らかなものが認められたけれども、ビスフェノールAや低濃度のゲニステインでは明ら かな影響は認められなかったということでございます。  ただし、アポトーシスの誘導剤のエトポシドで誘導されたアポトーシスについて、こ れらを 100nM以上の濃度で与えたところ増強効果を示したということで、弱いアポトー シス誘導作用があるのかというようなことが言われています。  その他、ヒト培養乳がん細胞のエストロゲン依存性の情報伝達系に対する影響を見て も、これは影響は認められていないというような結果でございまして、結論的には27ペ ージの真ん中へんにあるんですが、ビスフェノールAとかゲニステインの影響はin vitroでは認められやすいけれども、in vivoではなかなかあらわれにくいような結果で あったというのが結論でございます。  以上が概要でございます。よろしくお願いします。 ○伊東座長 ありがとうございました。それではただいまの件につきましてどなたかご 意見ございましたら、どうぞ。 ○押尾委員 二つですが、7ページの川島先生の研究報告のところで、精子に関する検 査成績というのが出ておりまして、これはたぶん精巣上体から取った精子の数とかを数 えられたり、運動のことをはかられているということになると思うんですけれども、こ こではかっている精子の数と、先ほどの国際共同バリデーションという、I−4のとこ ろの2ページのところでやはり同じように精子の数を、運動性はもちろん精巣上体の精 子からやっておりますので同じようなソースから取っていますけれども、精子数は、前 の国際共同バリデーションの関係のところでは、精巣あるいは精巣上体をホモジナイズ するという方法で精子の数をとらえておりますので、そのへんを川島先生のグループの 研究でも同じような方法で精子の数についても、もし仮に片方の精巣でも凍結して取っ てあればはかれますので、それで見れば両者をキチッと比較することができると思いま す。  たぶん後でいろいろ出てくる、きょうの参考資料の精子のこととかの論文も全部、こ の関係のデイリースパンプロダクションというので比較していますので、後でたぶんご 紹介があるんでしょうけれども。  ですから、この場合の精子の数というのも、普通のいわゆる精巣上体のだけじゃなく て、精巣全体をホモジナイズしてみるという方法もぜひ採用されて検討されたほうが、 結果の信頼性が増すのではないかと思います。 ○伊東座長 ありがとうございました。非常に貴重なご意見を賜りまして。 ○岩本委員 ヒト精子数問題に関して、例えば、精液1cc当たり精子が平均1億あった ものが7千万に減少したときに妊孕能が低下したと言うわけにはいかない判定の難しさ があります。精子運動率についても同じことが言えます。そこで動物実験を行っている 先生方に是非ともEDsの造精機能への影響に関して精子数及び運動率と妊娠との関係を お示しいただくと参考になると思います。動物において精子数減少と運動率低下のどち らが妊孕能に影響するのか興味があるところです。 ○伊東座長 ありがとうございました。それも非常に大事なデータですけれども、ネズ ミの妊孕度というか、そういうものをやる人はおもしろくないんじゃないかと思うんで すよね。それは私の感想ですから。だけど、それは先生おっしゃるように重要なことだ ろうと思います。 ○青山委員 たとえば2ページのディルドリンの投与によって、少しGST−P陽性細 胞巣の増加がいろんなドーズで出たという点でありますとか、あるいはちょっと飛びま すけれども、18ページの行動に関する研究のほうでは、たとえばビスフェノールAの暴 露で何か変化が出たというようなことがありまして、非常に私としても注目しているん ですが、一つ、こういうときにこういった作用が本当に内分泌かく乱を経て出てきたも のであるのか、あるいは特に、この場合ですと自動的にエストロジェニックなイフェク トによって出たのかなとわれわれとりやすいんですけれども、本当はそういうところと は関係ない一般的な問題なのかというようなところをぜひいろいろ検討していただけた ら非常に有効だと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。 ○伊東座長 ありがとうございました。先ほどの岩本先生のお話を含めまして、この研 究がファイナルな研究ではなくて、まだ途中の仕事ですから、研究者のほうに、事務局 なり適当なところから、こういった仕事についてのご意見があったから、結論を出され るまでにはきっちりこういうふうにしてほしいというように申し上げるということでよ ろしゅうございますか。  そのほか何かご意見ございませんか。 ○安田委員 最後の説明にありましたように、in vitroの研究と in vivoの研究の両面 からの研究比較が必要である。まさにそのとおりなんですけど、そういう点では、21ペ ージからございます武田先生の研究は非常に重要だと思いますが、ただ21ページの右下 に書いてあります「ビスフェノールAの胎児への移行」というので、妊娠19日でやって おられます。  もちろんこれはいろんな技術的な問題から、これぐらいの、つまり胎児がかなり大き くなって分娩に近づいたところが使いやすかったということはあろうかと思いますけれ ども、一般的に生後の雄の生殖機能への影響を見るようなときにはもう少し早い時期の 投与も使われておりますので、そのへん、妊娠時期の違いによって、こういうものに違 いがないかというふうなところもお確かめいただけると、より意義が大きくなるんじゃ ないかという気がいたしました。 ○伊東座長 ありがとうございました。貴重なご意見でございますので、事務局のほう から研究者のほうに、あるいは主任研究者のほうにご意見としてお伝えするということ でよろしゅうございますか。  そのほか何か。それでは特にないようでございますので、次の「内分泌かく乱物質の 超高速選別法の開発・検証に関する調査研究」についてのご議論に入らせていただきた いと思います。 ○池田補佐 それでは資料I−6でございます。「内分泌かく乱物質の超高速選別法の 開発・検証に関する調査研究」、こちらは大きく二つに分かれておりまして、主任研究 者は国立医薬品食品衛生研究所毒性部の菅野先生でございます。  1ページからの研究につきましてはバイオフィールド3次元定量的構造活性相関(3D- QSAR)ということですが、非常に言いにくい、むずかしい言葉ですけれども、これが既知 の化学物質の化学構造と生物活性をモデル化して関連づけることで、生物活性がわかっ ていない化合物の生物活性を予測する手法ということでございまして、現在、医薬品を 新しくつくるような場面なんかでは薬理活性の可能性のある物質を選定するといったよ うなことで、電子計算機による化学物質の選定ということが行われてきているというこ とでございます。  こういった方法を使いますと、生物活性のわかっていない物質についても、その化学 物質の構造とホルモンレセプターの構造等から関連づけを行って、動物実験とか試験管 内の実験系の前に構造だけで研究ができるのではないかというようなことでございまし て、内分泌かく乱作用のスクリーニングをするための有効な手段になるであろうという ことでございます。  この研究といたしましては3次元構造活性相関によりますエストロジェン受容体の各 種の環境化学物質の結合とかそういったものを、機能発現などのシミュレーション、そ ういったことがどのくらいできるかということを調査研究したものでございます。研究 方法としては、アメリカのナショナル・センター・フォー・トキシコロジカル・リサー チというところのエストロジェン・ノーリッジ・ベース・プログラムを指揮しています ドクター・シーハンのところのグループでやっております研究等について情報収集をし たということでございます。  結果といたしましては1ページの下のほうにございますけれども、エストロジェンレ セプターに対する化合物の結合に関する3D-QSAR ということで、CoMFA (Comparative Molecular Field Analysis) という方法、それからHQSAR 、Hologram QSAR ですけれ ども、こういった方法、それからPharmacophore という方法、これらの三つの方法につ いて検討しておりまして、2ページの上のほうでございますが、最初のCoMFA ですが、 これについて3次元格子の空間にリガンド分子を置きまして、格子点にプローブ原子核 を置いたときのリガンドとの立体的及び静電的な相互作用をシミュレーション計算する という方法ということで、非常にむずかしいんですが、そういう方法だということでご ざいます。  HQSAR については、化学物質の構造を部分ごとに分解して、その構造を数値化するこ とで化合物を数式で表記するというようなことでございます。  Pharmacophore というのはモデル分子の特徴的な構造部位を3次元の球、ボールのよ うな形で代表させて、その配置と生物活性を連関させる方法ということで、定性的な判 断に使われるという、3種類のむずかしい方法をいろいろ検討されております。  下のほうにある「板井らの方法」ということで、ドッキングモデルというものでござ いますが、これは上の三つの方法とは逆に考えるということで、受容体分子の結合ポケ ットを構成するアミノ酸等の構造をもとにして、そのポケットの立体的な構造とか静電 的情報を計算して、それに対してのリガンドの相互作用を計算して出してくるというこ とでございます。  したがいまして、リガンドとなる化学物質の構造そのものを用いないということで、 構造的にバラエティーに富んだリガンドがピックアップされるというようなことでござ います。  結論といたしましては、今回調査検討した方法の中では、最後のドッキングモデルと いうのが最も応用性と柔軟性に富んでいて、生体分子側の構造変化にも高度に即応でき る面があるだろうということですが、いずれにしても精度向上のためには、生物学的な 活性データとかによってシミュレーションプログラムをどんどん教育していく必要があ るというようなことでございます。  次は4ページからでございますが、「超高速選抜法の検証の評価に関する調査研究」 ということでございます。こちらは世界的にといいますか、いま世の中では非常に莫大 な数の化学物質、いろんな種類の化学物質が利用されておりまして、そうした化学物質 が内分泌かく乱作用を有するかどうかということを早急に調べるための方法ということ でございまして、ヒトの培養細胞系を用いた方法で有用性の検討と必要な改良等を行っ たということでございます。  アメリカにおきまして化学物質の内分泌かく乱作用をも見るということで、High Throughput Screening 法ということで検討されておりましたけれども、わが国におきま しては、この研究班におきまして、通産省の外郭ですが、NEDOと共同研究をしてお りまして、受容体発現がもともとほとんどないヒーラ細胞に受容体分子を強制発現させ た上でホルモン応答性を持たせたような培養細胞核というのを、これは住友化学で開発 しておりまして、それをもとに、先ほど言いましたHigh Throughput Screening ロボッ トというものを使いまして、このスクリーニング系を開発したというものでございます 。  この研究では、アメリカが提案しておりました方法が、第1段階としてはうまくいっ ていないということでございますが、わが国の場合にはこの方法によりまして、60ほど の化学物質について選択いたしまして、延べ 350測定以上を行ったということでござい ます。5ページからが研究結果でございますけれども、ヒトのホルモンレセプター発現 遺伝子及びホルモン応答配列を持つレポーター遺伝子を組み込んだ細胞を用いまして、 17βエストラジオールとかビスフェノールAなどを使いまして、ERα非代謝アゴニス ト測定系を用いて感度及び再現性を検討したということでございます。  結果としては17βエストラジオールとビスフェノールAがグラフ上では3×10-11 M と3×10-7Mというような濃度で反応が行われたということでございまして、受容体の 競合試験や酵母を用いた応答試験と同等または若干感度がいい結果になったということ でございます。  ただし、一定の条件でやるものですから、多くの検体について検出感度の問題が出て まいりまして、EC50が多くの場合、算出不能になったということでございまして、それ にかわる指標ということでPC50という値、それからThreshold という値を提示してそれ ぞれ検討してございます。  結果としては、今回開発したシステムでは多くの場合はPC50あるいはThreshold しか 求まらないということがわかりましたが、そのうちのPC50の値は、EC50値の代用とし ては使用可能だろうと。ただし、Threshold 値ではPC50とかEC50と同等には扱えない だろう、定性的あるいは上限を規定する指標にすぎないだろうということでございます 。  結論としては、ほ乳類の由来培養細胞を用いたホルモン応答性試験の開発ということ で、初期の成果は得られた。今後この方法によりましてエストロジェンのα受容体に関 して比較的満足のいくシステムができたということで、他の受容体等に関しても細胞株 を含めた改良等が必要になってくるであろうというような結果でございます。  以上、この研究班の概要でございます。 ○伊東座長 ありがとうございました。それでは、ただいまのご報告に対しまして何か ご意見、ご質問がございましたら、どうぞ。  寺尾先生、ボスとして何か一言。 ○寺尾委員 ございません。こういう予測の研究というのは非常に重要だとは思います けれども。 ○伊東座長 よろしゅうございますか。  それでは、いままでご発表いただきましたので、これからの研究の方向性というよう なことについて、来年度の研究費の配分等々も含めまして、こういうふうな研究には研 究費を出してもいいけれども、こんなのはやめだとか、そういったことで。  これは和田先生、何か。消費者の立場で。よろしゅうございますか。 ○寺尾委員 この研究、非常に多方面、暴露量の調査的な研究から生物影響までいろい ろ広いんですけれども、本来ですと暴露量がどのくらいあって、その暴露量ですとどの くらい生物影響が出るかというようなことを調べていろいろ判断をするというのが大事 だと思うんですけれども、いままでですと、影響が出そうなドーズを使ってその前後を 調べる。  一方で暴露量は暴露量ではかったけれども、それがまるで、数字はこうですと言うけ れども、それが果してどういう影響があるかというところではあまり生かされていない ような気がするんですね。これは仕方がないとは思うんですけど。まだ始まったばかり ということですから。  ですから、今後やるとしたらば、暴露量がどのくらい、全体で、水の中あるいは食品 の中からどのくらいわれわれは摂食していて、一日にどのくらい暴露されているかとい う、その値に基づいて生物影響も調べるということが必要ではないかなというような気 がするんですね。  もちろん影響が出るぐらいの量を与えるということも大切だろうとは思うんですけれ ども、世の中が求めているのは、本当にわれわれは大丈夫なんだろうかということに応 える意味では、暴露量のセッティングというのを、この研究班の中の全体のデータから 求めていく、考えていくというのが必要ではないかなと思うんですけれども。 ○伊東座長 全くそのとおりだろうと思います。私もそのように思っております。  生物実験をしておりますと、なるべく変化の来る量をやりたいんですね。何もないよ うな量をやって、1年もかけて実験をして何もデータが出なかったというふうなことで はがっくりとくるわけですね。変化の出るような大量をやる。しかし、実際上の暴露量 から考えるとアンビリーバブルな量であるというようなこと。  これが、私も長い間、発がん実験をやってきましたから、がんのでき得る量というか 、マキシマムトレーテッドのドースレベルで最高量を決めて、動物が耐え得る最大量と いうやつをやって、そしてどういう変化が出るかということで実験してきました。しか しながら、そんな大量では意味がないというような意見が出てきたのがリスクアセスメ ントであろうというふうに思うんですね。  ですから、環境中にどれくらいわれわれは実は暴露されているのか、その量では、そ れなら生物学的な何分の一の危険性を持っても安全だというようなことを、国民の方々 、一般の消費者の方は求めていると思いますので、そういった意味での研究というのは 次のステップというか、あまりゆっくりとはできませんけれども、なるべく早く出して いくという方向は厚生省のほうでも出していただきたい。そして研究者のほうに話をし て、それに沿った研究をする。  そうでないと、どこかに何かが出てきた、それは非常にすばらしい測定方法というか 、そういった技量を自慢するだけのことであって、国民の不安に応えることにはならな いと思いますので、そういったことはこれからも研究者のほうに事務局から言ってくれ ますよね。 ○内田食品化学課長 はい。 ○伊東座長 でなかったら研究費は出さないというようなことじゃないんですけれども 、そういったことで、本当に皆さんが心配しておられることに対する回答をするという ことが大事だろうと私も思っております。私もそのように努力いたします。  高杉先生、どうぞ。 ○高杉委員 伊東先生がおっしゃるとおりでありますけれども、私は今回の研究の中で 資料のI−2「内分泌かく乱物質の胎児、成人等の暴露に関する調査研究」、これは大変 重要であろう、そして、最もわれわれの未来にかかわっていることに直結する研究であ ろうと思うんです。  その資料の6ページですけれども、大変一生懸命おやりになっていただいてありがた いと思いますが、生後1年児の発達というだけで終わってしまわないで、少なくとも性 成熟ぐらいまでは追跡調査していただきたい。生後1年では何でもないかもしれないけ れども、3歳、5歳、10歳、15歳、あるいは性成熟したころに何か出てくる可能性があ りますので、ぜひこれは追跡調査していただきたいと思います。 ○伊東座長 幸いここに、この問題についての班長の主任研究者の中澤先生がいらっし ゃいますので、中澤先生、篤といまのご意見をお聞きいただいて、研究者に叱咤激励し ていただく。でないと研究費が出ないということになりそうだということでやっていた だけたら非常にありがたいと思います。 ○中澤委員 私のところは、先ほど事務局からご説明がございましたように、大きく4 人の分担研究者でやっていただきました。いま松浦先生のところのお仕事に関してはい ろいろご指摘いただいたとおりだと思っております。  当初、主任研究者としてこのお仕事を承ったときに、いわゆる内分泌かく乱物質とし て疑われている67物質というものについて、行政サイドのほうから測定の依頼を受けた わけであります。  その時点で、私の関係する研究協力者の間では血液中の内分泌かく乱化学物質の分析 をやっておりませんでしたので、ノーということが言えませんでした。いまでしたら、 これを感度的に測定不可能な物質もあるというふうに自信を持って言えるんですが、私 の個人的な結論としましては、実際、暴露量の多いものを測定対象として最優先すべき かと思っております。これは必ずしもまだ内分泌かく乱作用が明らかになっていない化 学物質であっても、例えば血液を分析したときに、ほとんど一般の方からかなり有意な 値で検出されるものというのを、この報告書の中でも報告してございます。防虫剤等が 、これはたまたま血液を分析しておりまして、見つけてきた物質です。クロマトグラム 上で物質を同定できていないピークというものがかなりございます。  それが何であるかということに関して、途中から方針を変えまして分析した結果、一 つがそういった防虫剤であることを確認しました。それから行政のほうからパラベンと いう食品添加物等で使われている物質に内分泌かく乱作用があるというようなことで、 調べていただきたいとのご依頼がありました。  これについても報告書の2ページに書いてございますように分析してみましたところ 、われわれの血液中からはパラベンそのものは全く検出されてまいりませんでした。し かし、その代謝物ではないかと思われるパラヒドロキシ安息香酸というようなものが多 くの方の血液中から検出されています。  これについてはいわゆる植物、野菜なんかもそうだと思いますが、そういうものの中 にも存在するというふうに言われておりますし、アミノ酸の代謝過程において存在する ということも言われておりますので、このものに関してはもっと慎重に見ていかなけれ ばいけないのではないかと思っております。 ○伊東座長 ありがとうございました。このあたりで私が何か申し上げないと、中澤先 生まだまだ話をされるんじゃないかなと思いまして。  われわれすでに2時間、ここで、この暖房の部屋でがんばっておりますので、ぼつぼ ついままでのご議論を終了して、事務局側として、ご提出いただいた資料についてのご 意見を賜りたいと思いますので、新しい資料についてよろしくお願いします。 ○池田補佐 それでは資料のIIでございますけれども、トキシコロジカル・サイエンス9 9年の50巻に掲載されました、ビスフェノールAのマウスでのリプロダクティブテストの 結果でございます。この結果につきましては、きょうお配りしました参考資料1と2と いうのが先行して実施されている実験でございまして、こちらの試験の結果で、ビス フェノールAの低用量の投与によりまして、前立腺の重量の上昇が見られたとか、子ど もの精子形成能が低下したとか、そのような結果が先行して得られていたということで ございます。  お手元の資料IIの2枚目のところにそのあたりの記載がございます。37ページという ところの左側の上から二つ目のカラムのあたりでございますが、97年のナーゲルさんら の実験、それから98年のボンサールらの実験によりまして、低用量のビスフェノールA の経口投与で、妊娠マウス5匹から7匹について、妊娠11日から17日に投与した結果と して前立腺等の組織の重量低下とか、子どもの精子形成の低下が見られたといったよう な結果があったということでございます。  これらを受けまして今回行われた新しい実験は、先行する実験につきまして、より明 確に結果を出すために一部やり方を変えておりまして、その内容は同じく37ページの左 下のところ、スタディ・デザインというのがございますけれども、ここで(1)から (7)まで書いてあるような変更を加えています。  見やすいのは、同じことが42ページの上のほうに載っているんですけれども、(1) から(7)ということになっていまして、一つは動物の匹数をふやした。先ほどの実験 では5から7だったものを1群28匹にしたということ。二つ目は投与レベルを4点にし たということで、今回はビスフェノールAを 0.2、2、20、 200と、いずれもμg/ kg/日の投与量で4点採用しております。三つ目は精子のカウントの仕方を二通りで やっているということでございます。四つ目は子動物の剖検時期を90日から 180日とい うことで延ばしているということですね。  5番目は、この試験をアメリカEPAのTSCAに基づきますGLPスタンダード、 それからFDAのGLPのレギュレーション、こういったものにのっとって実施をした ということ。使用する動物を市販のCF−1マウスということで、系のはっきりした動 物を使っているというようなこと。それから動物の飼い方を、影響が出にくいように改 良したというような形で、一部方法は変更してございますが、37ページの右上のテーブ ルにありますような群構成で、1群28匹の母動物を使いまして実験をしたということで ございます。  結果は中に詳しく載っていますが、概要は一番最初の36ページの左下のほうで簡単に まとめてございますけれども、結果としてはビスフェノールA、それからDES、いず れも投与による影響というのは親でも子でも見られていないという結果でございます。  36ページの左下のところに、精巣の病理組織所見とか一日の精子形成量、それから精 子数、それから前立腺、包皮腺、貯精嚢、副睾丸等の重量における影響、こういったも のについても影響は出ていないという結論でございます。  詳しい内容は見ていただければと思うんですが、37ページの下のほうから、試験の詳 しいやり方が載っておりまして、結果は39ページからでございまして、母動物について の体重変化といったものが対照群と差がないとか、右側はF1動物、子どもの動物の体重 の変化、これも*が少しついていますけれども、ほとんど差がないということ。それか らリッターデータということで、各動物の同腹胎児数とかいろんなものを見ていまして 、ところどころマークはついてございますけれども、基本的には影響は出ていないとい うことでございます。40ページからは臓器重量、41ページの下のほうでは剖検所見等も 載ってございます。  以上のようなことで、結果としては先行します先ほどの参考資料1と2で見られたよ うな結果が、今回の投与実験結果では見られなかったという結果が99年、ことしのトキ シコロジカル・サイエンスというものに掲載をされたということでございます。  簡単でございますが、以上です。 ○伊東座長 ありがとうございました。どうぞ。 ○高杉委員 いまの論文ですけれども、読ませていただきました。これを見ますと、ボ ンサールの言っているのと違いまして、ボンサールが間違っているのかどうかわかりま せんが、新しい資料IIの論文の中で気になることが二つだけございます。  一つはえさのことが書いてないですけれども、このえさがチョウ#5002ですね。 よく使うプリナのえさでございますが、これは国立環境研究所の米元先生が、環境ホル モン学会のニュースに書かれていますが、チョウの中にはダイゼインとゲニステインと いう大豆の粉に由来する植物性のエストロジェンが含まれている。これをDESに換算 しますと、4ppb /kgのDESにエクイバレントのエストロジェンがネズミのえさに まじっているということでありまして、えさの問題はボンサール先生も、この99年の論 文でも、その点に関しては全然触れておりません。したがって、植物性のエストロジェ ンというのは両方のどちらの研究においても除外されていないということが一つ。  もう一つは、ボンサール先生は3匹一緒に飼っているが、この論文ではけんかするか らということで、1匹1匹分けているんですね。外から買ったネズミですから、一緒に やればけんかすることになるわけですけれども、しかし、これはリッターメイトですか ら、リッターの雄はけんかしないんです。3匹飼っても。  この場合1匹1匹分けているということはアイソレーションストレスということがあ りますから、それがどうなるのか。その2点がこの論文で気になったところでございま す。 したがって、非常によくやられている論文でございますけれども、これでもって ロードース効果はないと言うのは、もうちょっとよく調べないと言い切れないんじゃな いか。  いずれにしても、ボンサール先生と、こちらのほうの研究との論争は大変興味がある ところでございます。 ○伊東座長 動物の数が圧倒的に違いますから、そういうふうなところからはボンサー ルたちのデータは非常にクエッショナブルであるということは間違いないだろうと私は 思っていますけれども、これは高杉先生といささか違うところであります。  もう一つはベーサルダイエットの問題ですけれども、これは同じのを使っていると聞 いているんですけれども、このことについて事務局は何か。 ○池田補佐 いま調べているんですけど、ボンサールともう一人のデータを、参考資料 1と2というところで配らせていただいています。本日お配りしたやつでございます。 それの、たとえばえさについては記述が、たとえば資料1ですと72ページのあたり。 ○伊東座長 それはいいですよ。これがまだ完全に否定されたわけではないという高杉 先生のご意見ですけれども、肯定されたわけでもないわけでありますし、初めにポジテ ィブのデータを出したのをネガティブと言うのは大変な作業でありまして、あれもいけ ない、これもいけない、これをやってないということがありますから、いずれまたその 問題は出てくるだろうと思いますけれども、現在の時点で、これについて何かご意見ご ざいましたら、どうぞ。  安田先生、何かないですか。 ○安田委員 確かにこの論文を拝見する限りでは、当然後から出てきたほうが数も多い し、そういう点では信頼性も高いというふうな言い方はできるかと思いますけれども、 同じ動物を使っているといいましても、片やコマーシャルで買ってきたもの、片やクロ ーズドコロニーで飼っていたものということになりますとかなり違っている可能性もあ ろうかと思います。  私、うろ覚えですけれども、比較的最近のサイエンスにシオジノラブラックとCD− 1でしたか、を比較したものがございまして、コマーシャルに生殖性の高い、つまりリ ッターサイズなんかの大きい動物は感受性が低い、シオジノラと、たしか見方にもより ますが、エンドポイントにもよりますが、二けたぐらい違うようなデータが、こういう 内分泌かく乱物質に対する影響という点でデータも出ておりましたので、なかなかこう いうものの追試といってもむずかしいなという印象を持ちました。  むしろこのへんは井口先生のほうがご専門で、よくご存じかと思いますけれども。 ○伊東座長 ただ、よくわかりませんけれども、ボンサールたちは、またこういうふう なことが出たので、それをさらに実験してデータを出しているということがあるんです か。  同じような実験に対してこういうネガティブなデータを出しているということについ て、さらにボンサールたちが新しいデータを出しているんですか。 ○青山委員 逆にエンドクライン・アンド・エストロジェン・ニューズレターという向 こうの情報によりますと、ボンサールたちはもはや自分の系統の動物でも再現できなく なった。その理由はジェネティックドリフティングが起こったんじゃないかというふう に説明しているというニュース記事は読みましたけれども。 ○内田食品化学課長 えさのことなんですが、一生懸命探しているんですけど、たとえ ば参考資料2のほうは 243ページのジェネラルメソッドのところのアニマルズの4行目 のところにPurina breeder chow とあって、この番号が資料IIの新しいほうには、37ペ ージの下から3行目あたりに、Diet food でやっぱり番号がちょっと違って、同じもの かどうかわからないんですが、似たようなものじゃないかなと。  ごらんいただければと思います。 ○高杉委員 もう一つは、ボンサールが間違っているかもしれないんですけれども、低 濃度効果というのはないと断言できるかどうかもわからないと思います。  と申しますのは、東大の産婦人科の堤治先生のところでおやりになっている仕事がご ざいまして、非常に低濃度で10億分の1、要するに1ナノモルレベルで2細胞期にビ スフェノールAを与えますと増殖を促進する。また、100マイクロモルレベルでは8 細胞から胚盤胞のあたりで増殖を抑制するという報告をされています。これはin vitro の研究でございます。  そうしますと、妊娠11日から17日の間に処理したということですけど、もうちょっと 前だったらどうなのかなと。堤先生のことを考えますと、妊娠のもっと初期なら、もし かしたら何か変化が出るかもしれないという気がいたしました。 ○伊東座長 ありがとうございました。いろいろなご議論をいただいたわけでございま すが、わが国からもビスフェノールAのデータは、いま実験されているのもたくさんご ざいますので、そのデータをおいおいと待つわけにもいきませんけれども、まず一応新 しいデータが否定されたという事実について、高杉先生ご指摘のように、試料が違う、 わからないじゃないかと。  それはわからないです。同じ試料を実験することはおそらく不可能ですから、それは できない。同じ試料で実験することはできませんし、動物だって変わってまいりますか らできない。そうすると、この問題は永久に結論が出ないということにもなりかねませ んけれども、新しくデータが出てまいりますので、そのデータを踏まえますと、現時点 ではそれほど心配する状態ではないのではないかなと私は思っておりますけれども、こ れについてご意見がございましたら、どうぞ。 ○事務局 私、OECDのところでウテロトロフィックの裏方をやっていた都合で、O ECDのウテロトロフィックで使うえさのときに、やはりまさしくファイトエストロジ ェンのことが問題になりました。当座の段階ではそこまでは要求しないということで、 えさは不問に付しているわけですが、検討は続けるということで、当所で、えさの中の ファイトエストロジェンのことをキチッとしようという研究をスタートさせていただい ております。そのプレリミナリーデータですが、ゲニステイン及びダイゼイン包合体ひ っくるめて、NIHのオープンフォーミュラーで大体100ppmぐらいずつ入っています。  ですから、いま現在検討してしようとしているのは、そいつのオープンフォーミュラ ーですから組成がおおっぴらになっておりますから、そこから、それを持ち込んでいる であろう素材を抜きまして、かわりに同じ分のたんぱくをカゼインか何かで置きかえた えさをいま調整中です。そいつにわかった量のゲニステインとダイゼインを加え直した えさと比べてみるというところまで詰めようかなと計画しております。  ですから、そのえさが出て、たとえばウテロトロフィックで走らせてみてどのくらい 差が出るかということで、いまの疑問の一つはある程度解決するのではないかと思って おります。  以上です。 ○伊東座長 ありがとうございました。もうだいぶ時間もたってまいりましたので、こ れで、ご議論というのはまだまだあるだろうと思いますけれども、一応終わりにしたい と思います。  本日の検討会の結果を、ぜひとも本年度の研究などに反映していただくということを 事務局からお願いしたいと思っております。  また、この研究成果につきましてですが、昨年度の研究成果及び今回の検討会の各委 員よりいただきましたご意見などを公表するということをご提案したいと存じますが、 いかがでございましょうか。公表についてはよろしゅうございますね。 ○山崎委員 公表される前に、これは検討会の委員として不適切な質問かもしれないん ですが、この研究結果の評価について、前回と今回とあったわけですね。だけど、その 前に、ここで研究課題の取り上げ方について検討する機会はなかったように思うんです ね。  ですから、これを公表するに当たって、どういう形でこの研究課題が選ばれたかとい うことが疑問というか、われわれ自体が、私以外の先生方は了解されているのかもしれ ないんですが、少なくとも私自身はそのへんがよくわからないので、それを伺ってから 公表していただいたほうがいいかなと。  というのは、特にこの中が主任研究者が決まって、その主任研究者が、その課題につ いて分担研究者を決めてまとめられているように私は理解していたんですが、きょうの まとめを読みますと必ずしもそうじゃない。  多岐にわたって、特に資料のI−5を拝見しますと大変いろんな課題が入ってきて、 この主題とあまり脈絡がないというか、そういうものも入っているわけですね。これが ずっと引き続きこのままいくのかどうかということについてもちょっと疑問があるんで す。そのへんをちょっと伺ってからにしたいと思います。 ○内田食品化学課長 山崎先生のご意見よくわかりました。冒頭に私のほうからお話を させていただいたと思うんですけれども、昨年度の補正予算でお金が10億円ついて、そ れで研究を実施したということでございます。  現時点では、たとえば研究費につきましては課題を公募いたしまして、評価委員会と いうところで、その課題が、大きな課題に対して適切かどうか、研究のテーマが課題に 対して適切かどうかということを専門の先生が議論していただいて研究を採択するとい うシステムが確立しています。  ただ、この時点は補正予算ということもあって、年度途中から研究を実施する必要が あったということで、実際には関係の先生と相談しながら、事務局のほうがいろいろこ ういう研究をお願いするというしくみで進んできた。  ただ、その過程につきましては、昨年度の検討会を何回か開催する中で、補正予算に ついてはこういう研究をお願いしたいと思っているということを、たぶん詳細なリスト をつけて何回も、たしか数回、先生方にお示ししているかと思います。  そのときに選択というか、どういう研究をやるかについては指定研究のようなものだ からしょうがないけれども、結果については厳しく吟味するというようなことを座長も おっしゃっていたので、今回そういう場を提供したわけですね。  そういう意味で、いまあるような研究の仕方とやり方が若干変わっているということ は正直なところでございます。  ただ、今後、研究の課題の設定についてどうかということについては、今後は課題を 公募して、それを評価委員会、研究とは別の専門家の先生方に吟味していただいて、よ り適切なものを選択して研究をお願いするというシステムが確立しているということを 申し上げたいと思います。  以上でございます。 ○伊東座長 山崎先生、ご了解いただけましたでしょうか。 ○寺尾委員 報告書を書かれた方の了解というのはとる必要はないんですか。 ○内田食品化学課長 これからお話し申し上げたいと思ったんですが、最終的にこの報 告書、いまから資料をどういう形で公表するかという議論になると思いますけれども、 基本的にはこれは各研究者の方が責任を持って書かれた文章になると思うんですね。  たとえば中間報告をおまとめいただいたときには、検討会全体が責任を持つという格 好だったと思うんです。ただ、今回は研究者の方が責任を持つという格好で、たぶんこ の研究班がこれを全部まとめて書くということにはどうしてもならないものですから、 そういう意味で、できるだけ私どもは先生方のご意見を忠実に、これを書かれた各先生 におつなぎして、できるだけご了解をいただいて適切な形にしていくのが一番いいので はないかと、いまそのように考えております。 ○伊東座長 寺尾先生、中間報告を出しましたよね。前のときに。ああいうふうな形の ものはもう少し後にするべきではないかなと思っているんですね。まだ補正予算での研 究も進行中のものもたくさんございますし、それからいろいろの新しいデータが諸外国 で出てまいりますので、そういうものを踏まえて、次の中間報告という形のものはもう 少し時間をいただいて出したいということでございます。  したがって、この報告書というのは、いま課長が話されましたような形で、やはり各 研究者が、主任研究者ですか、その方の責任においてきっちりまとめていただいたもの を出していく。そのときには、この検討会でディスカッションされた内容も各主任研究 者のほうに伝えて、そういうことをもう少し配慮した記述について出していただきたい というような形でまとめたらどうかなと思っております。  よろしゅうございますか。 ○内田食品化学課長 はい。 ○伊東座長 それでは事務局から意見がないということですから、村上室長から何か。 ○村上生活化学安全対策室長 本日は長時間にわたりましてご議論いただきましてあり がとうございました。本検討会でございますけれども、今後何か新しい治験などが得ら れて、皆様方のご意見をお聞かせ願いたいという場合に適宜必要に応じて開催をすると いうことにさせていただきたいと考えておりますが、いかがでしょうか。 ○伊東座長 よろしゅうございますか。新しいデータ、治験などが得られたときには随 時このような会を開かせていただく。あまり頻繁にはやらせていただかないように私も 願っておりますけれども、そういうことでやりたいと思っております。 ○内田食品化学課長 先ほど言いそびれて恐縮でございますが、報告をまとめるに当た りまして、研究をやっていただいた先生のご協力も絶対必要なんですけれども、先生方 のほうで、たとえば構成とかいろんなことを事務局のほうでいろいろやりますが、事務 局のほうはとても気づかないだろうなというような問題がございましたら、ファックス でも何でも、先生方のほうから私どものほうにご指導等をいただければありがたいと思 います。 それから、ある程度原案のようなものができましたときには先生方にいろい ろご意見をお聞きしたいと思いますし、それから座長と相談をさせていただきたいと思 っています。よろしくご協力のほどをお願いいたします。 ○伊東座長 それでは長い間ご協力いただきましてありがとうございました。本日の検 討会はこれで終了させていただきます。  連絡先 厚生省 食品化学課(額田)  TEL:03−3503−1711(内線2487)