99/09/13 第3回精神保健福祉法施行のための専門委員会(医療) 第3回精神保健福祉法施行のための専門委員会(医療分野) 議 事 録  厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課   第3回精神保健福祉法施行のための専門委員会(医療分野)議事次第 日 時 平成11年9月13日(月) 16:03〜18:00 場 所 通産省別館833会議室  1 開 会  2 議 事   (1)移送に伴う行動制限について   (2)応急入院指定病院の指定基準について   (3)その他  3 閉 会 〔出席委員〕   吉 川 座 長   荒 井 委 員  浦 田 委 員  金 子 委 員  佐 伯 委 員 末 安 委 員 滝 澤 委 員  西 島 委 員  野 中 委 員   山 崎 委 員  山 角 委 員 【中村補佐】  それでは定刻を過ぎましたので、ただいまから、「第3回精神保健福祉法施行のため の専門委員会(医療分野)」を開催させていただきます。  本日は、まず前回からの検討事項である移送の際の行動制限に関する政省令事項につ いておまとめをいただきたいと思っております。次に応急入院指定病院の指定基準につ いてご検討をいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。  引き続き、本日の委員の出席状況をご報告いたします。本日は委員の皆様全員ご出席 の予定でございます。西島委員おくれていらっしゃいますけれども、ご出席の予定でご ざいます。  それでは、これより吉川所長に座長をお願いし、議事進行をしていただきたいと思い ますので、よろしくお願い申し上げます。 【吉川座長】  それでは、これから議事に入りたいと思いますが、議事に入ります前に、まず委員の 交代について皆様にご紹介させていただきたいと思います。神奈川県の衛生部長でおら れました松原委員の後任として、滝澤秀次郎委員が9月10日付で発令されましたのでご 紹介させていただきます。 【滝澤委員】  ただいまご紹介いただきました滝澤でございます。どうぞよろしくお願いいたしま す。 【吉川座長】  それでは、事務局より本日の会議資料の確認をお願いしたいと思います。 【中村補佐】  それでは配付資料についてご確認をお願いいたします。  資料No1、「第2回専門委員会(医療分野)平成11年8月30日の議事録のまとめ」で ございます。  資料No2、「法第37条第1項に規定する入院中の者の処遇の基準について」。  資料No3、「移送の流れ整理図」。  資料No4、「移送の際の行動制限に関する政省令事項について(意見のまとめ)」で ございます。  資料No5、「応急入院指定病院の指定基準について(検討ペーパー)」。  以上、資料5点でございます。ご確認よろしくお願いします。 【吉川座長】  いかがでございましょうか。お手元に手渡っておりますでしょうか。  それでは、本日は傍聴に何人かの方がおいでになっておられます。このことをご紹介 した上で議事を進めたいと思います。小林信子さん、よろしくお願いします。それから 広田和子さん、よろしくお願いいたします。  それでは、前回の議事録のまとめを資料No1としてお配りしてありますので、お目通 しをいただいて議事に入りたいと思いますが、何か修正がございましたらば、後ほどで も結構でございますので、事務局までお申し出いただきたいと思います。 【中村補佐】  今の議事録の資料No1の3ページでございますけれども、「遵守事項」の項目の(3)に つきまして、佐伯委員の方から修正をしていただきたいということで、以下のような修 正を入れていただければというふうに思います。(3)でございますが、「開放処遇の制限 を行うのは、治療の必要性から正当化されるので、同意を条件にしなくても良い」とい う文章でございますが、「同意を条件にしなくても良い」という前に、「入院自体に同 意があれば」という文言を入れてほしいと。以上でございます。 【吉川座長】  先ほど申しましたように、ほかの先生方で、ご自身のご発言関係で訂正を必要とする ということがおありになりましたらば、もちろん今でも結構ですし、また、後ほどでも 結構でございます。特にないようでございましたらば、後ほどまたお申し出をいただく ことがあるかもしれませんけれども、とりあえずは先へ進ませていただきます。  お手元に資料No2としてお配りしてございます。これは前回の委員会で検討していた だきました「法37条第1項に規定する入院中の者の処遇の基準について」でございます が、ご議論いただいた結果をこのような形でまとめてみましたので、事務局からご説明 いただきましょうか。 【中村補佐】  それでは、資料No2をごらんいただきたいと思います。  前回、ご議論いただきまして、修正を加えた点について説明をさせていただきたいと 思います。2点ございまして、まず1点目でございますが、1の「基本的な考え方」、 修正前の項目では、(8)というところで、「任意入院の幅を広くとらえるべきあり、開放 処遇の制限が必要であるからといって安易に医療保護入院へ入院形態を変更してはなら ない」という記載がございましたが、この記載につきましては、法22条3のように、任 意入院に努めるべきというようなご意見もありました。また一方で、開放処遇の制限と いうことから、入院形態を変更してはならないという規定は非常に重要であるというご 意見もありましたが、それぞれの立場で、なかなかこの分があることによって意見の解 釈の違いが生じることもありますし、基本的な考え方では皆様方合意を得られていると ご理解をさせていただきまして、ここは削除をするということでまとめさせていただき ました。  次、2点目が2ページの3の「遵守事項」の (1)のところでございますけれども、 「開放処遇の制限を行うに当たっては、医師は当該患者に対してその制限を行う理由を 文書で知らせ同意を得るとともに」というところが前回の記述でございましたが、ここ を「理解を得るとともに」ということで改めさせていただきました。これは任意入院を するということで、入院治療を行うことについては既に同意を得ているということでご ざいまして、その上であれば、その治療について、医師が必要とあれば、そのことをま た同意をとるというのも二重の同意ということになりまして、法的にも、最初の同意と の関係が難しいというご指摘もありまして、かわりに「理解」という言葉で置きかえさ せていただいたということでございます。 【吉川座長】  前回のご議論の中でいただきましたご意見を踏まえまして、このように変えさせてい ただきました。いかがでございましょうか。 【荒井委員】  よろしいですか 【吉川座長】  どうぞ。 【荒井委員】  法論理というか、本当にそういう論理的な論法はわかるのですけれども、やはり「文 書で知らせ同意を得るとともに」という、いわば任意入院で自由な環境で治療がされる という前提で入院したわけですので、それから、治療の方針とはいえ開放を制限すると いうことですから、やはりより厳しい条件になるわけで、「文書で知らせ同意を得ると ともに」というのをぜひ入れてほしいという意見を前回も申し上げましたけれども、変 わっておりません。ご検討いただきたいと思います。 【吉川座長】  どうでしょうか。先ほど「同意」から「理解」へという言葉の変更は、主として佐伯 先生の方から、二重の同意ということではないかということでお話をいただいたような 気がするんですが、佐伯先生そうでしたよね。 【佐伯委員】  はい。 【吉川座長】  この議論の中では、佐伯先生の議論が正当であろうということで、事務を担当する者 と私との間では、ここで「理解」という言葉に、あのときも言葉として出てきたそれを 使わせていただいたのですけれども、いかがでございましょうか。いずれ、議事録はす べて公開されていますので、今の荒井先生のご発言は当然のことながら議事録の中に残 っていきますけれども、それで処理をさせていただいてよろしゅうございますか。  はい、どうぞ。 【佐伯委員】  1つだけ、荒井先生のご懸念、大変もっともだと思いますが、もし閉鎖処遇にどうし ても納得できなくて退院を求めるのであれば、それは当然のことながら入院に同意があ りませんので、退院ということになるかと思いますので、あくまで最終的には同意が必 要であるということは間違いないかと思います。 【荒井委員】  精神障害の人たち、家族も含めて非常に弱い立場にあります。入院形態が制限される ことに納得できなければ退院すればいいと言いますが、今の医療関係の中ではどうして もできないというようなところがあります。やはり文書の契約があるということが、 我々とすれば対等な関係の根拠になると思いますけれども、それはユーザーの1つの感 情であるというようなことと言えるかもしれませんけれども。 【吉川座長】  何かご意見ございますでしょうか。 【山角委員】  趣旨は非常によくわかりますし、それに異論を挟むものでは全然ないのですけれど も、いわば法的な意味が1つあるのと、この制限を行う上あるいはその場合に指定医と いう1つの枠組みができていると。指定医の診察を概ね72時間以内にしてくださいと。 それと同時に院内に、いわば制限に対する不服申し立て、これに対する申請ができるよ うに院内に、これは現状では院内に掲示しろということはないわけですけれども、これ も含めて人権を守る方策を院内でも周知してやろうというところが担保されているので はないかというふうに思うんですね。ですから趣旨は当然そのとおりなんですけれど も、言葉の上で言えば、「理解」という言葉でも十分それを表現しているのではないか と思います。 【野中委員】  おっしゃることはごもっともで、「理解を得るとともに」でよろしいのかもしれませ んけど、私はこの前も「同意を得るとともに」というのが、二重になるかもしれません けれども、やはり欲しいなというように主張したと思います。できますれば、やはり 「文書で知らせ、また再度の同意を得る」というような人権上の配慮が必要かなと思い ます。いかがでしょうか。 【吉川座長】  ちょっと議論が戻りましたけれども、それはそれとして結構だと思いますので、この ところをどうすればいいか、お考えいただけますでしょうか。 【末安委員】  先生がおっしゃるように戻るのには少し迷うところもあるのですけれども、前回お話 したように、私たちがこの夏に行った調査で、完全な閉鎖病棟、24時間かぎが閉まって いる病棟から開放病棟もしくは時間的な開放病棟へ移れる可能性がある病棟はどれくら いあるかということをやりましたら、15%くらいしかこのチャンスがない、可能性がな いというふうに看護士が答えているんですね。そうすると今の閉鎖状況を勘案すると、 今後、開放病棟が増えていったり、任意入院の開放処遇が確実に増えていくという方向 が予測されるのであれば、ある程度の文言上の正確さをもって取り組んでいくというの もわかるのですけれども、現状ではより厳密に、言葉の意味の厳密ではなくて処遇の意 味での厳密さを要求する方が方向性としては正しいのではないかなというふうに思いま す。  先週、私アメリカの病院、東海岸が閉鎖病棟が増えているという噂がずっとありまし て、実際に幾つか行ってまいったのですけれども、やはりどんどん閉鎖病棟が増えてま して、病床数は極端に減ってきているんですけれども、閉鎖病棟は増えているのです。 入院をより厳密にやると。それから、法的な規制をどう、ただ、医療上の入院の必要性 だけでなくて処遇上の同意を必ずとるというような別な問題になっているんです、どこ の病院でも。州立病院でも民間病院でも別になっていまして、やはりそれを考えると二 重拘束をかけるようになるかもしれませんけれども、今の日本の精神病院の現状と将来 の予測という2つの点で考えていくと、どうも必要なのではないかなというふうに思い ました。 【吉川座長】  一応2つの意見、この前のときも多少このことはあったわけですけれども、どちらか といえば、「理解」という言葉で進もうというふうに話が進んできたと思いますけれど も、そのためにこういう言葉に変えさせていただきましたが、少し議論が戻ったという のは決して悪いことではなくて、やはり深めておいた方がよろしいかと思いますので、 ほかに何かまだご発言になっていただいてない先生方いかがでしょう。金子先生、何か ありますか。 【金子委員】  非常に難しい点があると思います。確かに法文上では二重の同意ということにはなる かと思いますが、ただ、解釈としては入院治療に同意をするということと、閉鎖処遇に 同意をするという点では違う案件に対しての同意ですから、それをとることは決して二 重ではないと私は思います。ただ、「理解」ではいかんかというと、そんなこともない のだと思うんですね。むしろ、先ほど山角先生がご指摘なさったように、自分の意に反 して行動制限をされたときにきちんと不服申し立てのシステムがあるのだということを 患者さんに周知していただく方が大事な要件なのかなと思いますね。以上です。 【吉川座長】  ありがとうございました。ほかに、山崎先生何か。 【山崎委員】  「理解」と「同意」ということなんですけれども、「理解」という表現の方がやわら かいような感じがするんですね。「同意」ということになると、同意をしない場合はど うするのかとかというふうな話になりますので、どうしても固くなってしまうような感 じがしますので、少しぼかしておくというと変ですけれども、そういうふうにやわらか い表現の方がいいと思います。 【吉川座長】  「同意」というときは、荒井先生、「同意の文書を交わす」という意味で、さっきは おっしゃいましたよね。 【荒井委員】  そうですね。この事務局の原案のところにはそうなっていますね。これでいいと思い ます。医療保護入院というのはいわゆる報告義務とかいろんなことで手数がかかり大変 なわけですよね。開放処遇で困難があったときに医療保護入院にするというのも、医療 側とすれば大変なことに切りかえる可能性もあるのですが、患者の人権がより守られれ ばそのような手続きを踏んできりかえてもらってもよいのではないでしょうか。一番最 初に私が発言したように、とにかく10年間で閉鎖病棟の処遇が減ってはいないというよ うなことに対してこのような規定をつくるとともに、政策として開放化を推進してほし いと思います。(8)はきちんとした表現をしておいた方がいいのではないかと私は思うん です。 【吉川座長】  私が今質問申し上げたのは、「その制限を行う理由を文書で知らせ」の後の「同意を 得る」という意味は、同意書を交わすという意味だとして、さっき発言されましたね と、こういうふうに確認したのです。 【荒井委員】  そういうことです。 【吉川座長】  どうでしょう、佐伯先生、もう一度そこのところお話しいただけませんか。 【佐伯委員】  私も開放処遇に進んでいくべきだという点に全く異論はございませんし、「同意」と いう言葉を書くことによってより患者さんの人権が保障されるのであれば、それはそれ で強く反対する意図はないので非常に言いにくいのですけれども、全く法律的に考えま すと、本当に患者さんの同意があるのであれば、わざわざこういう非常に厳格な限定を 何のためにつけているのかということを説明しにくいように思うんですね。それは入院 自体には同意があるけれども、閉鎖処遇であることについては必ずしも同意が得られな くても、治療上の必要性と指定医の診察とか、あるいは不服の申し立ての機会の保障と か、そういう限定を加えることによって、少し自由を制限することができるのだという ことを規定しようとしているのではないかと理解するものですから、「同意」という言 葉を避けた方がいいのではないかというのが私の提案の趣旨です。 【吉川座長】  精神保健福祉課として何かお考えありますか。ここに関しては特別なかったような気 がしますけれども、要はここでの議論をこんな形にまとめさせていただいたわけでござ いまして、今、これだけの議論を聞いた上で何かお考えありますか。 【山角委員】  このベースになっているのは、いわゆる医療的な意味があって制限せざるを得ないと いう、そこがまずあると思うんです。ただ、任意入院の人をただ閉鎖病棟に入れて、た だ、処遇するよと、こういう意味ではなくて、その意味が必要な人を制限せざるを得な いと。その際にどうするかの問題ということになってくると思うんですね。ですから、 私はいわゆる先ほど金子先生がおっしゃったように、そういうものに対する不服とか、 いろんな申し立てがどうやったらできるかということを周知徹底することが非常に意味 があって、この入口論というんですか、これは当然、前回もありましたけれども、趣旨 としてすぐ同意しない。それでは医療保護入院に切りかえればいいではないか、あるい は退院させればいいじゃないか、こういう意味とは全然違うと思うんです。 【吉川座長】  そのとおりですね。先回もその話は確かに出ましたし、その上でこんな形にさせてい ただいたので、どうでしょうか、ここのところは内容的な意味から考えれば、さまざま ここまで議論されたことが実現できるような、そうした病棟の運営なり、患者さんに対 しての説明ができるような状態を私たちは期待しながら、言葉の上では「理解を得ると ともに」ということでまとめさせていただきたいと思いますけれども、いかがでござい ましょうか。 【浦田委員】  私もこの文案でよろしいかと思います。やはり既に任意入院そのものが、例えば、こ ういう処遇の変更に対して不服があれば、退院を請求するというか、退院そのものを申 し出ることができるし、もし、医療側でこの状態でという問題があれば、逆に72時間の 退院制限の問題もあるわけですから、余りこれをきつくするとかえって窮屈になった り、あるいは患者さんに対する制限が強くなるような私は気がするので、むしろ大事な ことは、さっき山角先生や金子先生が言われたように、この患者さんに対して、その処 遇に関する明示をするということ。  それから、もう一つ、あえて言えば、実地指導等でそういうことがきちんと実行され ているかどうか。それから、患者さんのこういう処遇に対する不服等がきちんと受けと められて処理されているかどうか等を点検していただくというようなことが重要ではな いかというふうに思いますので、私はこれでよろしいのかなと思っております。 【吉川座長】  ありがとうございました。それでは、この形で進めさせていただきます。何か問題が あれば、もちろん座長の責任ということがありますから、そんな気持ちで、その上で、 十分に現場でもって理解を得る努力をすると。その上でこうしたことが行えるような形 にしたいと思います。  それでは、次の議題に進みます。 【中村補佐】  よろしいですか。座長のご発言の後で、こういうことを言うのは蛇足になりますが、 現行の37条第1項の規定に基づく処遇の基準の中で、身体拘束及び隔離についてもこの ように知らせなければならないという規定があるのですけれども、そこの規定の仕方で は、「知らせるように努めなければならない」という規定になってまして、それに比較 しますと、ここは「理解を得るとともに」ということで非常に明確に、前の身体拘束や 隔離を規定したときよりも、はっきり理解を得るように努めなければならないという言 い方よりは、明確に「理解を得る」というふうに言い切っておりますので、そこはかな り、開放制限が行われるというところについての理由を患者さんにわかってもらうとい うところを強く書いたというふうに事務局としては整理をしているということでござい ます。 【吉川座長】  ありがとうございました。  それでは、先ほど申しましたように、この基準についての検討ぺーパーについては一 応議題を終わらせていただきます。  では、次の議題でございますけれども、「移送に伴う行動の制限について」、事務局 からご説明をいただきたいと思います。 【中村補佐】  それでは、移送に関してご説明をさせていただきたいと思います。資料No3と資料No 4を一括してご説明をさせていただきます。  資料No3でございますが、措置入院と医療保護入院について、今回の法改正に伴う移 送の流れについて図に示したものでございます。  まず「措置入院のための移送の流れ」をご説明させていただきたいと思います。  まず(1)でございますが、それぞれの申請形態がございますけれども、これに基づきま して都道府県知事が申請を受け付ける。これに基づきまして、(2)知事は指定医を指定し (3)また保護者に対して診察の通知を行うということが行われます。  措置の場合には措置診察をする場合にも措置診察を行うところまでの移送が現行で行 われておりますので、(4)その移送に関する書面通知を措置診察をするということで行い ます。(5)診察のための移送を行い、そこで(6)診察、措置入院の要否の判定が行われま す。これは要措置というふうになりますと、(7)判定結果の報告と、波線でございます けれども、ここは、特に法律の中に規定はございませんが、制度上必要な手続きという ことで波線で示してございます。これを受けまして、(8)知事が措置入院の決定、書面 通知を行い、精神障害者が病院に入院をするということになりますが、その際、(9)入 院のための移送を行うと。また行動制限ができるということを通知することになりま す。  これが「措置入院における移送の流れ」でございます。  次に2枚目をおめくりいただきたいと思いますが、医療保護入院のための移送の流れ でございます。まず、(1)保護者から知事に対して、連絡、相談、依頼が来るということ になります。ここは措置入院のような申請の手続きにつきましては特に規定はございま せん。(2)これ受けまして、知事が精神保健指定医に対して診察等の指定をするというこ とでございます。(3)この場合、指定医は当該精神障害者がいらっしゃる場所まで行くと いうことになりますが、その患者宅で、移送の要否、また医療保護入院の要否を判定を することになります。(4)この判定結果を知事に伝えます。(5)それにつきまして、保護 者が移送してもよいということを同意をしていただければ、知事が当該精神障害者に対 して(6)の移送の書面通知を行うことになります。これを受けまして、(7)精神障害者の 方を病院まで移送することになります。その際、行動制限をすることもあり得るという ことも併せて書面通知をするということでございます。  ここの病院に運ぶところまでは知事の責任で行うところでございますが、真ん中に 「応急入院指定病院」という枠がございますけれども、病院に運ばれまして、応急入院 指定病院に患者さんがたどり着きますと、そこで(8)医療保護入院の判定を応急入院指定 病院の方で行うことになります。(10)医療保護入院の決定し、書面通知をすることにな ります。(9)その間、保護者から医療保護入院の同意を得ることも行われるということで ございます。  この入院の受け入れ決定につきましては、従来と同様に医療保護入院の手続きを踏ん でいただくということで図で示したものでございます。  このように、措置入院又は医療保護入院それぞれ移送が法的に定まりまして、その際 の行動制限を告知をするということを踏まえまして、その告知の際にどのような内容に したらよいかということをまとめたものが資料No4でございます。  1番目が「措置入院、医療保護入院のための移送の際の告知事項について」というこ とで、まず1)が、措置入院の場合でございます。  (1)措置診察を行うため、移送措置を採る旨。                    この移送措置の措置というのは行政処分としての措置ということで、措置入院の措 置ではないとご理解いただきたいと思いますが、同じような言葉を使って紛らわしくて 恐縮でございますが、そういう言葉を使わせていただいております。  (2)当該入院措置(措置入院)を採ることとなったときは、移送先(指定病院)まで移 送する旨を伝える。  (3)といたしまして、移送時に行動制限をすることがあるということを伝えるというこ とでございます。  2)医療保護入院の場合でございます。  (1)当該入院措置(医療保護入院)をとる必要が生じたため、移送措置を採る旨を伝え ます。  (2)移送先でありますが、(応急入院指定病院)。  (3)移送時の行動制限に関する事項を伝えるということになります。  次に2でございますが、「移送の際に指定医の診察を経て行える行動制限の内容につ いて」でございます。  これは「厚生省告示第 129号の2で定められている事項を適用する」と書かれており ますが、具体的には小さい字で書かれてございますが、「身体拘束」ができるというこ とを行動制限の内容として記載をするということでございます。  以上でございます。 【吉川座長】  どうもありがとうございました。  今回、移送の制度が創設されました。従来からの制度との整合性を図るということが 前回にも議論されたところでございますし、どのように考え方を整理すればよろしいの かということで、事務当局と一緒にいろいろと検討した結果がまず資料No3で示された ような図になったということでございます。その図をまず見ていただきまして、こうい う図で理解をしていいのかどうかということをちょっとご議論あるいはご検討をいただ きたい。それで資料No4の中身に、先回もちろん資料No4もご提出してありますし、ご 議論いただきました、それをまたまとめた形、少し修正してありますが、それをお出し していますので、後でまたその方の議論をしていただきたいと思います。  とりあえず資料No3を見ていただいて、現在の法の体系の中で、これがこうした整理 でよろしいかどうか、あるいは実態の上でどうかということも含めてお考えいただけれ ばと思います。はい、どうぞ。 【金子委員】  法律の条文にはない部分としてはこの波線のところが書かれているわけですが、先回 の委員会のときにもお話しさせていただきましたが、事前の調査が地域の精神保健活動 を阻害しないという意味で非常に大切だと思うのです。現在の措置入院の場合でも都道 府県職員による事前調査が行われていると思うんですね。これは今回の移送制度の場合 にも非常に大切な部分になると思いますので、ぜひ、そこを波線の形でも結構ですので 入れていただきたいということです。この図だけ見ると、相談をされたらすぐに診察に 行くように見えてしまいますし、あともう一つは、それをだれが行うのかというのをあ る程度明示しませんと、都道府県は動けないと思いますので、それをここでご議論いた だいた方がよろしいかと思います。それが第1点。  第2点目は「医療保護入院のための移送の流れ」のところで、先回の議論を反映して だと思うのですが、(3)のところには「医療保護入院の判定」と書いてございまして、 (10)には「医療保護入院の決定」と書いてございますが、この判定と決定はどういうふ うに違うのか。つまり(3)は医療契約ではなくて(10)は契約であると。となりますと、 (3)は医療保護入院がそこで決まっているわけではないという解釈になりますでしょう か。そうなりますと、法文上、34条に書いてございます医療保護入院のための移送とい うのがどういうふうに解釈すればいいのかというのが疑問が残るところでございます。 以上です。 【吉川座長】  今、金子先生がおっしゃいました前半の方でございますけれども、前半の方に関しま しては、確かにそのご議論いただいておきながら、私どもが少々ミスをしたと思います ので、これに関しましてはもう一度この図を少しふくらませる形で考えたいと思いま す。  ただ、今ちょっと言われました、実はだれがということになると、今までの制度上の ことを書くしかないのかなと思いますけれども、金子先生、何かご意見そこのところで ありますか。 【金子委員】  地域でということを考えますと、ぜひ精神保健福祉相談員の方に頑張っていただけれ ばなと思うのですが。 【吉川座長】  それは恐らく書き込むことができると思います。後半にお話になられたことですけれ ども、中村補佐の方から、医療保護入院のためという、そのことに関してこの前も議論 したことを整理してお伝えいただけますか。 【中村補佐】  ご質問のところについて、今現在の33条の規定の仕方をよくよく見ると、指定医が医 療保護入院を判定できるというふうに書かれておりまして、病院の管理者と指定医は独 立した関係にあるということで医療保護入院ができるということですので、今回の移送 についても、移送する前の段階で医療保護入院が必要だと指定医が診断した場合には、 現在の入院の規定と同様な形で、医療保護入院をさせることができると法律で同じよう な並びで規定されたというふうに考えます。  ただ、実際の運用では、病院に入院をされる場合に、ほかの指定医の方が、この方は 入院が必要だと判断をして、そのまま病院が患者さんを診察をしなくても、法文上はそ のまま受け入れることができるわけなんですが、実質的にはそこの病院の管理者が責任 持って治療する立場から報告書も出さなければいけないですし、治療計画も立てられて いるということもありますので、そこの指定医の方が判定をして、さらにこういう医療 保護入院になりましたよという書面通知から治療に入るという形態がとられているとい うことを踏まえまして、今回の移送の場合であっても、同様の措置を踏むことになると いうことで理解いたしましてこのような図になったということです。 【吉川座長】  おわかりいただけましたか。 【山角委員】  前回も、私、そこの辺のことをお話して、多分前回のお話では、私の理解では、佐伯 先生の方で、現場で医療保護入院が仮に必要であると判断すれば、これはこれで1つの 判断であると。実際に入院するときに、入院形態が変わる場合もあるし、もちろん入院 しない場合もあると。これは病院での判断があると。これはおのおの独立してよろしい のではないかというようなお話と理解しておりますけれども、特にこれは昼間の日中の 形態では実際、先ほどの金子先生のお話しのように、事前調査あるいは入院への働きか けその他が行われた上での移送処置ということで、ある意味で言うと非常に準備状態が 整った中での1つのシステムですので、これ自体可能かなと思うのですが、夜間緊急 時、こういう場合に事前調査、あるいは入院への働きかけ、こういうことができない中 で、例えば、仮にこういう移送システムが働いたときに、しばしば今言ったようなこと も含めて、現場では混乱する可能性があるかなというふうなところが非常に懸念してい るところなんですね。ここがこのシステムそのものが働いてくれるかどうかというよう なことが非常にあるわけなんです。 【吉川座長】  私も含めて、先回の議論を踏まえながらこんな形でまとめてきたわけで、やはり移送 に関しての判断と入院に関する判断とは別個独立したものとして考えよう、それが前回 のご議論の中の結論ではなかったかと判断をして、こんな形で、今改めて指摘していた だきましたように、(3)のところでは、医療保護入院の必要性ということで送るというと ころまでの判定をすると。そして、医療保護入院にするという判断あるいは診断という のでしょうか、決定をするのは病院側の判断である。そういうような整理をしてみて、 こんな形にまとめてみたのです。  今、山角先生からちょっと話出た、それは昼間はともかくとして、夜になるとそれが 難しいかもしれないということ。その辺のところを現実を踏まえて考えたときに、こう いう整理だけでいいのかどうかということの今懸念ではないかと思うのですが、皆様方 いかがでございましょうか。 【浦田委員】  山角先生の懸念ごもっともだと思うのですが、むしろ、私はこの制度がそう発動され る制度ではないのではないかと思うんですが、といいますのは、確かに夜こういうこと で問題が起きた場合には、というより、そこまで長引いてしまうというようなケースが あるのかどうかということにちょっと私は疑問持っているし、昼間だって、この制度自 体の利用がそう多いとまたむしろ問題ではないか。本来は、例えば、救急とか非常に問 題があって自傷他害のレベルにある。そういう緊急の方は、これは措置入院にひっかか るわけですし、それ以外の場合でも、少なくとも現場におりますと、大抵何らかの方法 で病院に来られると。むしろ、どうもこの制度でひっかかりそうな患者さんというの は、必ずしも緊急性を要しないような、非常に何というか、グレーゾーンにあるよう な、緊急性が高いのか高くないのかという妙なところで非常にご家族が困られてるとい うことで、むしろ割に少ない方、絞った方へ絞った方へ持っていかないと、こういう発 言はひょっとすると私はご家族からは反発買うのかもしれませんが、逆にこれを広げま すと、要するにご家族ができるだけ、この制度のもとで運んでしまおうなんていうよう なことで、患者さんに対する、言ってみれば、さまざまな少なくともご家族としてやっ ていただくべき努力や病院への道をつけていく努力というのがうっかりするとここで落 ちてしまう可能性があるのではないかと。  実はきのうある会、ケースワーカーたちの会で、今回の法改正についていろいろ話を 聞いていたんですけれども、その中で非常にケースワーカーだとか精神保健相談員の危 惧しているところは、これが拡大されるとそういうことになりかねないのではないか と。ですので、むしろ夜間これを緊急に使うという事例は考えにくいので、今のような 問題が起きるかどうかということは私想定しにくいのですが、ただ、少なくともこの制 度は、私は二重の制度だと思っていますので、1つは現場での判断と、それから、もう 一遍病院へ来ての判断と。この2つがある以上は、この間に必ず意見の食い違いが起き ないことはまれなケースの中のまれなケースとしてあるのではないかと。これは前回も 申し上げていますし、その場合、入院をどうするかは最終的には2番目の病院の決定に なるのではないかというふうに私自身は考えています。  そのくらい、少し齟齬はありそうなくらい二重になっていた方がむしろ安全弁も高い のではないか。金子先生がおっしゃっていた、さっきの事前のしっかりした調査とか、 実は私なんかはこの議論の前に、できれば指定医は、それこそ措置並みに2人した方が いいかなと思うくらいだったんですが、できるだけ多くの安全弁をつけておいた方がい いと。その安全弁になるのではないかというふうに考えています。 【吉川座長】  どうぞ、西島先生。 【西島委員】  今の議論、前回もあったと思うんですが、やはり「夜間緊急」という「緊急」という 言葉が非常に気になるわけでして、ですから気になる言葉はきちんと整理をしておかな ければいけないと思うんですね。ですから緊急というのは、私どもとか周辺とか家族の 方、本人にとってみても、緊急という考え方は、自傷他害ということを前提にしなけれ ばいけないのではないかと。そうするとこれは緊急措置という形で私は考えるべきであ って、緊急では事前調査もできませんし、これは移送制度にそぐわないのではないかと いうふうな気がするんですけれども、特に夜間でございますから、日中でしたら、十分 にマンパワーもございますし、時間もかけられますけれども、そういうふうに考えま す。そういう整理はやはりしておいた方がいいのかなと思います。 【山角委員】  今、西島先生のはそのとおりだと思うんですけれども、私は従来、夜間、いわば自傷 他害あるいは自傷他害に準ずる状態と言ってもいいかもしれませんけれども、そういう ような状態があると思うんですね。これはやはり緊急措置鑑定という形で入ると思いま す。ただ、そこで緊急措置になる場合と非措置の場合が出てくるわけです。ただ、非措 置の場合の中の一部分が医療保護入院としての医療は必要であろうと、こう判断される ことがあると思うのです。その人に対する移送が今回法的に可能になったというのです か、こういうふうに私自身理解していますね。  まず、医療保護の入院が前面にあるのではなくて、その流れの中で、1つは病院まで 連れていく法的な根拠があると。そこが保障されたというふうに、特に夜間の場合は考 えています。だから、そこのレベルで、ある意味で言うと、それ以上の広さではないと いうふうに考えます。 【金子委員】  先生方のご意見に賛成なんですけど、ちょっと論点はずれるかもしれませんが、まず は精神科救急が24時間といいますか、夜間、休日、全時間帯をやっている都道府県がい かに少ないことかというのが一番の問題点ではないかと思うのです。時間外に安心して かかれる都道府県というのはほとんどないのが現状ですね。それが一番の問題なのであ って、何とか精神科救急の窓口が開いてさえいれば、家族の方のご努力で連れていける 場合もあるでしょうし、また、今、山角先生がおっしゃったように、緊急措置になる要 件を満たしている方は、その方をきちんと使うべきだと思います。確かに浦田先生がお っしゃったように、安全弁は高くというのは、安易にこの制度が使われないためにも必 要なことだと思います。以上です。 【吉川座長】  ほかにご意見は。どうぞ、荒井先生。 【荒井委員】  この制度の創設は、家族の側からすればぽつんと明かりが見えてきたという感想があ ります。少数かもしれないけれど、本当に困っている部分は事実あります。この問題が 出てきたとき、いわゆる搬送会社を使わなければならないという苦渋に満ちた悲鳴があ るわけです。法改正の際、この件で我々自治省に行って、救急担当課のところに交渉し ました。だれでも救急で運びますよと。それは患者さんの了解があればというようなこ とですね。これが不可能な場合があるから家族は苦労しているのです。  もう一つは、医療保護入院は日本だけの制度です。さらに保護者制度があって、家族 は医療にかけなければいけない、極めて重要な縛りがある中で全国の家族は本当に悲鳴 を上げていたわけです。我々の例会でも、10年前にはこの話がいわば愚痴の話になって いた。公にし、制度化の高まりまでになっていなかった。これが全家連の施策要求にな ったのは本当につい最近の話なんですね。そういう意味では理解をしていただきたい。  それともう一つは、措置入院は、法律的には市民の通報、警察官の通報とか、そうい う通報があって行政機関が出てくるわけですけれども、今回の場合は保護者が通報とい うか、申し立てになっているわけですよね。この34条の法律というのは、「知事は」と いう主語であって、本条では主語は「保護者は」ということは書かれてないわけです ね。「医療保護入院の同意があれば」という、専門職による入院の必要性の判定があっ て非常に弱い側面で「同意があれば」というようなことになっているわけです。家族と しては治療に結びつけるための様々な困難について悲鳴を上げたのであって、こういう 形で、家族の都合で入院させるようなイメージの図の書き方というか、これは非常に誤 解を招くのではないか。  「都道府県知事が診察を行わせることが必要かつ相当であると判断した場合」という ような形で、精神保健福祉関係者を含めて、そういう判断があり、入院の必要が示さ れ、もちろんケースワーク関係とか事前の訪問や指導とかあった中で最後の手段とし て、どうしても入院させる必要があるが本人の理解を得られない場合、家族が承諾す る。ぜひ表現を変えてほしいと思います。 【吉川座長】  ありがとうございました。今、荒井先生が言われたことに関しての議論、ちょっと待 っていただいて、三觜課長がお見えになりましたので、ご紹介だけしておきます。今ま で何か待機ですか。 【三觜課長】  どうぞ、続けてください。 【吉川座長】  よろしいですね。待機でちょっとおくれていらっしゃいましたけど、また、立たなく てはいけないことがおありになるようですけれども、よろしくお願いします。  それでは、荒井委員のお話に戻りますが、荒井委員が言われたのは、例えば、「医療 保護入院のための移送の流れ(未定稿)」と書いてある2枚目の方で言えば、保護者か らの、「連絡、相談、依頼」という 1だけではなくて、保護者のほかにも要るじゃない かということですか。 【荒井委員】  そうです。 【吉川座長】  そうですね。 【荒井委員】  ここには「等」というふうに入っていましたけれども。 【吉川座長】  ここを、そのほかの人も含めて、枠のところを書けてということ。単純に言うとそう いうことですか。 【荒井委員】  あと承諾というところは、ここの法律ではそうなっちゃっています。なっちゃってい ますというのは申しわけないですけど。 【吉川座長】  同意はね。 【荒井委員】  ええ。 【吉川座長】  ですから、この大きな枠の中に、保護者も両方入っているけれども、入院に関しては 同意の部分とか、あるいは移送の同意も保護者がするわけですから、そうですね。た だ、最初の相談、依頼ということは保護者だけではないじゃないかというご議論ですよ ね。 【荒井委員】  はい。 【吉川座長】  いかがでございましょうか。そんなふうに、今、ご家族の方からのご意見といいます か、長い間の悲願であったということも含めてお話を今いただいたわけでございますけ れども、この図は決して特別に意図あってつくったわけではございませんで、ご意見が あれば、それはそれで。ただ、単純に考えると、ご家族が苦しんでおられたから、その ご家族のご希望で動くという、そうした図をつくったことでありまして、特別に意図が あるわけではございません。 【西島委員】  医療保護入院を行うための同意というのは、これは保護者、その他にございますです か。 【吉川座長】  それはありません。 【西島委員】  となると、これは医療保護入院のための移送ですから、医療保護入院を同意するのは 保護者しかいないということになるとこの図しかないのではないでしょうか。つまり、 これはよくあるんですけれども、きょうだいが言って、保護者が反対をするというケー スは結構あるんです。 【吉川座長】  ありますね。 【西島委員】  ですから、やはり保護者からの依頼という、保護者にもいろいろちゃんとございます ので、そういうことをきちんと押さえておかないと、いろんな人がいろんな形で相談を してというようなことが起きるのではないかなという気がするんですけれども。私ども も決してこれを否定するわけでも何でもないのですが、医療保護入院の1つの人権の担 保として保護者があるのだろうというふうに思うんですけれども。 【吉川座長】  それについては、荒井さん何かお考えありますか。 【荒井委員】  保護者、後見人、配偶者、親権者、扶養義務者の中で裁判所で選ぶというようなとこ ろが保護者ですよね。ただ、繰り返して言いますけれども、「知事は」ということで、 やはり治療が必要だということで入院、そこにいろんな問題があって、権利を担保する ということはあるかもしれませんけれども、我々からすれば、やはり治療の目的で、医 療の診断をすることが主であって、人権上いろんな問題等が、日本の法律の現実から言 うと、今の法律形態からすれば承諾しなければいけないというレベルであって、逆に保 護者が入院させるというような表現は、これからいろんな入院形態の議論もすることに なると思うんですけれども、いわゆる保護義務者問題でいろんな形で、ああいう理解 を、段階的に変わってきたような段階では非常にきつ過ぎるというか、前回も申し上げ ましたけれども、非常にきつい表現だなというような感じです。 【山角委員】  これは多分前回か前々回、荒井先生からもお話があったと思うんですが、ここでいわ ゆる判定をした際に、精神保健指定医が医療保護のため入院が必要であると現場で判定 する。ここの際に、例えば、保護者の方が、あなたは入院依頼しているから、あなたは 入院が必要ですよ、とこういう説明をするわけではないですね。ここでは、指定医が、 あなたの症状からいって医療保護入院が必要ですから、当該病院に入院するように移送 しますよと、そこのいわば指定医の責任のもとで判定しているわけで、荒井先生の懸念 されていることが、図表のこの保護者をすごく重視して考えるとそうかもしれないので すが、私は入院の直接の状況については、指定医なり、これは指定医というのは知事の 命ですから、知事名ということにもなるかもしれませんけれども、ここがやはり入院に ついての要件として強調されているのではないかと思いますけれども。 【吉川座長】  どうでしょう。はい、どうぞ。 【金子委員】  本法改正のときの専門委員会で、たしか全家連関係の委員の先生からは、医療導入入 院というような入院形態を提示なさったと思うんですが、そのように別の入院形態であ れば、また考え得ることもできるかもしれません。ただ、現法の医療保護入院をある意 味で流用するのであるとすれば、入院時に必ず保護者、つまり後見人、配偶者、親権 者、扶養義務者の中から選ばれた方の同意を必要とするわけですから、その方の名前を 全く抜きにはできないことと、申し立て、相談、連絡等がどなたからもできるようにな ってしまいますと、では病院へ行った後でどうするのだということになります。どなた とどなたが契約を結ぶのかできなくなってしまいますので、いいことか悪いことかは別 として、「保護者」という名前を欠くわけにはいかないだろうと思いますし、あと、例 えば、「精神保健福祉関係者等」と書いておきましても、「等」と書きますと、ご近所 の方まで入ってしまいますから、それはやはりいかんだろうと思います。  特に、精神保健や精神医療に関係する者が頑張りどころがあるとすれば、そのご家族 の方の相談に乗って、どうやったらスムーズに医療と結びつけられるのかどうか。その 障害に対して援助できるのかどうかという方策を練るところだろうというふうに思いま す。 【荒井委員】  そのことを言っているのであって、事前にさまざまな指導やアプローチがあるという 中で、どうしても搬送制度を使わなければいけないというような状況の中でこの制度が 立ち上がる。その関係をこの図表で言いますと、やはり「保護者が」という形になるの で、ある程度その辺の障害者自身に関する専門職のかかわりとか、そういうものがあっ て、そして、どうしてもという必要性から、この制度が立ち上がるということ打と思い ます。初めに保護者ありきというような形で表現されると、いささか我々からしても、 本当に悩みながら、苦しみながら、そういう搬送制度を使うのであって、その辺の配慮 はしていただきたいなというような気持ちですけれども。 【西島委員】  確かに荒井委員のそういうご心配はよくわかるのですが、でも実際には、一般の人も 含めて通報もできますし、相談もできるんですね、保健所に対して。その中で、アプ ローチは当然保護者の方へ保健婦は今までも行っているわけでございますから、その中 で、患者さんの拒否等があれば、初めてこの移送の中に入ってくるわけでございますの で、そこからのスタートはあくまでも保護者でないとあり得ないと思うんですね。です から、そういう意味で、いろんな制度の中のものを駆使してやるべきであって、これは これとして1つに考えて、だからいろんな人が連絡したり相談したりできるのだという ことになりますと、やはり人権の担保というのが非常に難しくなるのではないかなとい う気がするんですけれども、いろんなことをやる制度上の中に入っておりますから、そ れをうまく利用すればいいのではないかなという気がいたします。 【吉川座長】  佐伯先生、何かちょっと助けていただけます。 【佐伯委員】  (1)の部分は法律上の制度ではございませんで、事実上こうなるだろうということです ので、荒井先生のご懸念を考慮するのであれば、この図の中で「保護者」の位置をもう 少し、何というんでしょうか、都道府県知事をもう少し中心に据えて、移送の手続き を、あくまで図のイメージの問題だろうと思いますので、少し図の書き方を考慮すると いうことでよろしいかと思います。 【吉川座長】  保護者から発している形にはもちろんなっていますけれども、当然それ以前の働きか けはいろんな形であるわけでして、ここは確かに「医療保護入院のための移送の流れ」 という表現をとっていますので、こういう図しかちょっと書きようがなかったのですけ れども、荒井委員からかなりのご指摘がありましたし、今、佐伯委員からもお話があり ましたので、少し図の、大きさを変えるというだけではないですけれども、あるいは位 置を変えるというだけではないですけれども、何かちょっとそこのところを工夫させて いただきたいと思っていますが、どうでしょう、事務局の中村補佐。 【三觜課長】  よろしいですか。 【吉川座長】  どうぞ。 【三觜課長】  荒井委員の意見は、医療保護入院を否定した観点からの意見であって、今回の法改正 の中でそういうことも議論されましたが、一応医療保護入院というのは従前どおり残す ということで合意されているわけですね。  それとこの移送の制度をつくった趣旨から申し上げると、あくまでもやはり医療にか けようとしても、保護者が高齢等でなかなか病院に連れていけないという、そこからス タートした制度ということをまず考えていただきたいと思うわけです。  したがって、私どもとしては、見ず知らずの一般人が、やたらと、あそこにおかしい 人いるから、都道府県知事に何とかしてくれということよりも、やはり身近におられる 保護者等の方々から、最初のスタートが始まることが望ましいという観点から、まず一 義的に保護者というものを位置づけているわけでございまして、それは何も保護者に100 %全責任負わせるという観点からではなくて、こういう実態を踏まえて、この制度をい かに人権等も配慮した形の中で、現行システムの中でいかにアクセスさせるかというと ころにこの制度をつくった経緯がございますので、ここに「保護者」と書いてある字の 大きさが問題なのかどうかは別にしまして、この制度を、私どもとしては限定的に使っ ていきたいと。一方で乱用されると患者の人権侵害にともすると陥る可能性もあるとい う制度でございますので、そういった趣旨でこの制度を考えておりますので、その辺は ご理解をいただきたいと思います。 【吉川座長】 先ほど西島委員からお話が出たのもそこのところで、人権をむしろ担保する制度とし て、これを考えているので、保護者から出発するのは医療保護入院ということを頭に置 いた上でのことだろうということだったものですから、一応この形で進めさせていただ きます。図の大きさや何かちょっといろいろ工夫したいと思いますし、また、事前に保 護者に対していろんなアプローチがあるという、そうしたあたりのところも、どんな形 で表現をするかはまた考えさせていただきますけれども、考え方としてはこれで進みた いと思っています。 【荒井委員】 おわかりだと思うんですけど、やはり親子関係とか保護者と患者との関係は、治療的 関係であるわけですけれども、非常に厳しい状況が生まれます。医療機関にかかるとい うことと、これを納得できず拒否している患者との関係の中で、あるときには非常に険 悪の関係になるということも含めて、我々としては、入院や診察に結びつける新しい入 院制度の創設が必要であるのではないかというふうに主張しているので、その辺も十分 含んでいただきたいと思います。 【吉川座長】 わかりました。それは前回のといいますか、法改正前の専門委員会の中でも議論され たことでございますし、今回のこの議論の中でも、先ほど来、話をいたしましたよう に、やはり議事録はきちんと残っていきますので、その主張はその主張として受けとめ たいと思っています。 それでは、資料No3に基づきます議論を一応ここまでにさせていただきまして、引き 続き資料No4の方に移りたいと思います。ここでも前回ご検討いただきましたので、こ のような形で一応まとめさせていただきましたけれども、政省令の項目をこんな形の中 から選ばれるのではないかと思いますので、ぜひご意見をまた加えていただければと思 います。先ほど中身については、中村補佐からご説明をいただいたわけでございます が、いかがでございましょうか。  先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、1の1)措置入院の場合というときの 1 のところ、「措置診察を行うため、移送措置を採る旨」と書いてある、「措置」という 言葉が二重になることについては、先回も話が少し出ましたけれども、どうもこれしか 言葉がないのではないかということでこんな形にさせていただいています。どうでしょ うか。中村補佐から、何か補足的に説明されることありますか。 【中村補佐】  いえ、特別にございません。 【吉川座長】  前回のご意見を一応踏まえた上で少し手直ししてありますけれども、こんなことです が、もし、これでよろしければ、これを基盤にしまして、政省令をつくっていくことに なると思います。 【浦田委員】  ちょっと念のために。 【吉川座長】  どうぞ。 【浦田委員】  ごくプリミチブなことをお聞きするのですが、これは措置のときの、措置入院の告知 は当然県が行うわけですよね。通常、都道府県知事が措置入院をさせる旨のことは県が 行うわけですね。 【中村補佐】  はい。 【浦田委員】  そうしますと措置入院の移送も含めて、それから、医療保護入院の移送についても、 そのときの行動制限についても、これはすべて知事が行うものですから、当然県が告知 する内容ですね。指定医の告示ではないですよね。 【中村補佐】  行政処分としての位置づけです。 【浦田委員】  そうですね。 【吉川座長】  行政処分だという考え方ですね。 【中村補佐】  そうです。 【吉川座長】  何か。 【中村補佐】  よろしければ、次の応急入院指定病院の話をご説明させていただきたい。 【吉川座長】  そうですね。 【浦田委員】  吉川先生、もう一つよろしいですか。 【吉川座長】  はい。 【浦田委員】  当然行動制限の内容は、ここに「身体拘束」と書いてある。これ以外の行動制限はな いということですね。いわゆる薬物による制限。 【中村補佐】  それは診療行為というふうに位置づけたいと思います。 【浦田委員】  なるほど。といいますのは、さっきの実は2つの関門をめぐって非常にここでややこ しい問題が起きると思うんですよ。薬物を使われたりすると、よくこれは現場である話 なんですが、移送のために薬物を使って、例えば患者さんを寝かせて沈静しますと、移 送先で、極端なことを言えば診察ができなくなるということが起こり得るんですね。そ うすると応急入院の指定病院へ行ったけれども、実際にそのとき、その指定医は、その 人の病状を見て判断することができなくなるという混乱が起きかねないということもあ りますので、確かに診療上の問題なんですけれども、そういう2つの関門の中で、次の 関門で、診察というか病状の確認ができなくなったりする問題が出てきます。  一番たしか問題になるのは、例えば我々人格障害と呼ばれる病状だとか、そういうの で、この制度が適用された場合、割にこういう摩擦は起きやすい可能性があるわけで す。その場合、薬物で、言ってみれば拘束されている患者さんが搬送された場合には非 常に問題になりやすいのではないか。その辺がちょっと懸念があるものですから、念の ためにこれをお聞きしたんですけれども。 【中村補佐】  そこはそういう混乱が起きないように、指定医ということで、移送をするかどうかの 判定、また応急入院指定病院に運ぶかどうかという判定を指定医にしていただくという ことでご理解いただきたい。 【吉川座長】  いずれにしても、これは政省令をつくるための大きな枠でございますので、枠の中 で、今のご意見は後でまた活かさせていただければいいと思いますが、それでよろしい ですよね。 【中村補佐】  行動制限には位置づけないというふうに考えております。 【吉川座長】  そうですよね。 【中村補佐】  はい。 【吉川座長】  だから、そういうふうに言っているわけですから。 【金子委員】  事務局案に賛成なんですが、移送までは行政処分だと先ほどおっしゃった、そのとお りだと思いますので、行政処分の中に一部診療行為が入り込むことはないはずですか ら、この書き方はそのとおりにしていただければよろしいと思います。 【吉川座長】  措置入院というのも行政処分ですから。ですから措置入院の後の治療行為というのが ありますね。それを前提にして行うこともあると思いますから、今のような言い方でス パッと割り切れないことは割り切れないでしょうね。ただ、今もここで言っているのは 移送のためにはそうした薬物を使う行動制限を含めるとは考えてないということをまず ここで明確にしているわけで、そこから出発した政省令をつくるということでいかがで しょうか。それでいいですね。 【中村補佐】  指定医が現場で医療行為として、何らかの措置が必要だという判断は、何もここでは 規定をしておりません。 【吉川座長】  規定してない。 【中村補佐】  はい。ですから、現場で指定医の判断として、医療行為が必要であれば、それはあり 得るというふうに考えています。 【吉川座長】  だから、行動制限として考えているわけではないと。 【中村補佐】  ないです。 【吉川座長】  私が言っているのは、そうでしょう。 【中村補佐】  はい。 【吉川座長】  要するに行動制限として薬物による行動制限をするということはしないという、そう いうお考えですね。 【三觜課長】  薬物によるものは行動制限のジャンルに入らないと申し上げているんです。 【吉川座長】  それはそういうふうに考えてもいいです。 【三觜課長】  座長のおっしゃり方は、薬物によって行動制限をかけるというおっしゃり方されてい るから。 【吉川座長】  それは違います。私は浦田委員が言っている言葉をそのまま今使っているだけの話で 浦田委員が心配されているのは薬物による行動制限というのがあり得ると考えて発言を されたから、そうではないということを今ここで明確にしていると言っているだけで す。それと治療行為とは別だというふうな、今、課が。 【山角委員】  これは金子先生がおっしゃったとおりだと思うんですね。行政処分としての移送する と。あるいはその際の身体的な拘束、これには当然身体的拘束というものがあり得るわ けで、医療行為とは別個に考えていくということではないかと思いますね。この法律の 中に医療行為を含めて書くわけではないと思うんですね。 【吉川座長】  私はそういうふうに考えているんですけれども、それではいけませんか。むしろ、浦 田先生のご心配に対してきちんとお答えするには、その方が私は明確だと思っています けれども。 【西島委員】  私も混乱し始めたんですが、身体的拘束だけでいくということでしょうか。要は当然 私ども医者でございますから、そういう治療的行為を行う必要がある場合に治療的行為 を行わなければいけないわけですね。となると、非常に興奮が強い場合、それは決して 自傷他害に当たらないわけですね。治療に対して拒否をされていて、要するに無理やり 連れていこうとするわけですから、そこに対しては当然興奮状態が起きてくると。その 興奮状態を沈静するという役割は医者としてあるのではないか。指定医はちょっと横に おいて。その場合にどう考えるのかという整理をしておくということだろうと思うんで すね。「イソミタール」なんかを当然使いますと、行ったらば、何時間か、数時間は眠 ったままの状態でありますので、その場合に、例えば1つの考え方として、病院に何時 間置けるのかと。要するに病院に何時間か置いて、覚醒後診察をして決定するというよ うな手順もきちんと明記しておけば、今、先生のおっしゃったようなものは解決するの かもしれないなと思うんです。 【浦田委員】  こういう混乱があり得るのだという想定のもとに少し議論して、これは多分無理だろ うなということで今まで何も言わなかったのですが、実際にこの指定医が移送が必要で 入院が必要だと認めて、しかも、かつ実は即診療行為をしなければならないようなとき に備えて、そういう可能性が高い場合にはもう一人、応急入院の指定病院の指定医がそ の現場におれば、これは解決するであろうというような我々は極端なことを1つ考えた こともあるのですが、つまり、そこに県知事が指定した指定医ともう一人応急入院の病 院の指定医がおれば、この問題は、それはもはや入院が必要でということを応急入院指 定病院の側も判断できて、そして、そこからさっきから言われている診療行為としての 行為も同時に行えるということはあり得るわけですが、少なくともこっちに待ち受けて いる場合だと、それはこの間だけはちょっと違うものだろうと、私はそういう考えを持 っています。 【西島委員】  ただ、先生、事前にその人が興奮するかどうか想定できないわけですから、となる と、原則として、要は2人いなければだめだという話になっちゃいますね。 【吉川座長】  救急の問題とは違っています。 【三觜課長】  もう一つ、法が予定しているレベルでちょっと議論していただきたい。今、臨床的な 感覚だけでケース的に検討されているのですが、法が予定している建前論で私は議論し ていただきたいんですよ。今、先生がおっしゃっているような事例も確かに現場のいろ んな事例の中には出てくると思うんですね。その場合、どう取り扱っていくかというこ とについては、一般原則みたいなものはもちろんつくっていかないといかんと思うんで すけれども、その辺も、だから法が予定している中から割り出してこれるのではないか と考えています。 【西島委員】  通知じゃなくて……。 【三觜課長】  通達。 【西島委員】  通達でできるわけでしょう。そのあたりを今後整理していけばいいと思うんです。 【三觜課長】  すごくあると思うんですよ。 【吉川座長】  そうですよね。それで先ほど私はちょっと整理をしておいたんですけれども、そこの ところで、この問題は終わらせていただきたいと思います。  では、資料No5の方に移らせていただきます。それでは資料No5の説明をしていただ きたいと思います。 【中村補佐】  ちょっと時間をいただいてご説明をさせていただきます。  応急入院指定病院に移送を行うということでございまして、それを踏まえて指定基準 を現在ある形から見直すことが適当ではないかということでご意見をいただいておりま す。それの検討ぺーパーでございます。  まず、「応急入院の対象者」でございますけれども、そもそものところからご説明を させていただきたいと思いますが、急速を要し、保護者や扶養義務者の同意を得ること ができない場合には、本人の同意がなくても、指定医の診察により、72時間に限り、応 急入院指定病院に入院させることができるという入院形態で、昭和62年に制度化された ものでございます。   自傷他害のおそれはないが、患者を直ちに入院させる必要があって、そのために時間 的余裕がなく、入院のために必要となる本人及び保護義務者等の同意を得ることが難し いような場合が想定されております。  例えば、単身者、身元等が判明しない者、意識障害、混迷状態などの場合にこの適用 が認められております。  この改正前は、意識障害等のケースにおいては、当該症状のために本人の身元が判明 しない場合等が多く、入院の見合せ等の事態が生じ、精神科救急医療を行うための法律 手続上の問題が大きな障害になっていたというところでございます。  次のページをごらんいただきたいと思いますが、それを踏まえまして、「応急入院指 定病院の基準」をどのように定めていたかということでございます。  応急入院の対象者への対応として、精神科救急の観点から「実施する病院等について 一定の要件を課した上で、精神保健法に規定する指定医の判断によって、例えば72時間 程度の短期間に限り入院が可能となるような制度を設けること。」とされたものでござ います。  また、鑑別診断が重要となるということから、身体面の診療も充実させるために、C T等の整備を求めてございます。  現行の基準が告示第 127号で定められておりまして、また、具体的な細則につきまし ては、課長通知で、ここの記載にあるような形で定められているということでございま す。 精神保健指定医、看護体制、看護基準というもの。あと空床を1床確保しているこ と。検査体制につきましては、CTの撮影、酸素吸入装置、吸引装置、基礎的な血液検 査を行うことができる設備等。  また、 5といたしまして、医療法の人員配置基準を下回らないことという規定が定め られているということでございます。  次のページをごらんいただきたいと思いますが、このような制度が62年に発足したわ けでございますが、実際には年間 181件ということで非常に件数としては少ない。一 方、応急入院指定病院の指定も42都道府県・指定都市合わせまして65施設ということで 数的にも非常に整備がおくれているということでございます。 この指定がおくれた理由といたしまして、精神保健指定医(1名)及び看護婦(士)3 名の24時間待機体制やCTの配備を義務づける等の厳しい内容があったということが、 その原因ではないかと言われております。  平成7年12月に行政監察が行われまして、その基準の弾力化を図るべきであるという 勧告がなされております。  勧告の内容につきまして、そこの下に記載されているところでありますが、(ア)の 平成6年度総務庁定期調査勧告。  (3)の「応急入院指定病院制度の合理化」というところでございますけれども、 1 で、応急入院制度は、その意義は大きいと認めておりますが、(2)で、応急入院の取扱件 数がほとんどないということや、また、基準等が厳しい内容であるということが、応急 入院指定病院を整備してない県の理由として挙げられていると。  それを受けまして、(3)で、厚生省は、応急入院制度の定着を図る観点から、例えば精 神保健指定医等の24時間待機体制や頭部コンピュータ断層撮影装置の配置の義務づけな どについて、基準の弾力化を図る必要があるのではないかという指摘を受けたというこ とでございます。  これを踏まえまして、現行の指定基準について、先ほどご説明いたしましたが、この 監察を受けて入ったものが下線部のところでございます。精神保健指定医1名、ここを (オンコールを含む)ということで記載してございますし、「当該地域において」とい うところで、当該地域というところが漠然としていたということで、(概ね2次医療 圏)という記載を括弧書きでつけ加えたと。  さらにCTにつきましては、他の医療機関の協力を得られる場合には、その病院にな くてもよいという規定を設けたということでございます。  また、別になりますが、今年度の公衆衛生審議会でも、「医療保護入院等のための移 送の事務が円滑に実施されるよう、応急入院指定病院の基準の見直し等を行い、その体 制整備を図ること」という指摘をいただいているということでございます。  戻りまして、行政監察を平成8年3月にいただいたわけでありますが、その翌年度に なりますが、平成8年度には、46から55に若干増えておりますが、その後も9年度、10 年度という記載の伸び率でありまして、なかなか整備が進んでいない実態にあるという ことでございます。  次に5ページをお開きいただきたいと思いますが、今回の法改正に伴いまして、移送 の受け入れ先ということで、応急入院指定病院が規定されたわけでございますけれど も、その条件ということで整理したものでございます。  「対象となる者について」は、本人の同意に基づく入院が行われない状態にあると判 定された者ということでございます。ここは今まで十分ご理解いただいていると思いま すが、その移送先につきましては、適切な医療の水準が確保され、かつ救急対応体制を 整備しているものであることが必要となるようになると思います。  これらを踏まえますと、この34条のための受け入れということで、大きな2つの柱が 必要かと考えます。  1つが、救急に対応した医療体制(人的・物的配置)が整備されていること。  また、一定地域において、常時、この体制に対応できることが必要なのではないかと いうことでございます。  これまでの応急入院を制度化した考え方と、今、申し上げた34条に係る医療保護入院 を緊急に行うということの観点から、見直しをするということで案を示したものが6 ページでございます。  まず「基本的な考え方」でございます。  応急入院病院に指定された病院においては、常時、応急入院者のための適切な医療及 び保護を確保するための診療応需体制を整えておくこと。  2つ目の丸でございますが、都道府県においては、2次医療圏に少なくとも1カ所の 指定病院を整備することを目標とする。なお、地域の医療資源の配置状況などやむを得 ない事情がある場合においても、複数の2次医療圏に少なくとも1カ所以上の整備を図 るなど、速やかに指定病院の整備を進めること。  これを基本的な考え方といたしまして、「見直しの基準案」でございます。案を3つ 示させていただいております。  まず第1案ですが、「応急入院の際に、指定医1名(オンコールを含む)、看護婦( 士)又は准看護婦(士)3名が診療応需できる体制にあると認められること」  ここは原文では、常時このような体制にあるということと、看護婦に加えまして、准 看護婦(士)を加えるということで緩和をしてございます。  次に(2)でございますが、「あらかじめ定められた日に、応急入院者のために1床 以上を確保できると認められること」  ここも、常時、1床ということで、これまで規定されておりましたが、 365日という ことではなくて、1年間のうちで規定された日に、応急入院者のために病床を確保でき るという対応ということで緩和してございます。  (3)の必要な設備、(4)看護基準、(5)医療法の人員配置基準を満たすことに つきましては、これまでは同様の基準ということで記載している案でございます。  次のページをごらんいただきたいと思います。  第2案でございます。  (1)「応急入院の際に、指定医1名(オンコールを含む)、看護婦(士)3名(オ ンコールを含む)が診療応需できる体制にあると認めるられること」  ここの緩和の仕方につきましては、応急入院の際にということは第1案と同じでござ いますけれども、看護婦につきまして、准看護婦という規定を1案では示しましたが、 看護婦の基準は緩めずにオンコールということで、そのときに病院にいなくても、応急 入院の際に看護婦が3名集まれればいいという緩和の仕方をしてございます。  (2)は、「あらかじめ定められた日に、応急入院者のために1床以上を確保できる と認められること」ということで、案1と同じでございます。  (3)、(4)、(5)も同じでございます。  第3案でございますが、(1)「指定医2名以上が常勤で勤務していること」  これは応急入院の際にということではなく、病院として指定医2名以上が常勤で勤務 していれば、こういった救急時、または応急入院時に十分対応ができるということでい いのではないかという考え方で示したものでございます。  (2)といたしまして、「あらかじめ定められた日に、応急入院者のために1床以上 を確保できると認められること」  これは案1、案2と同様に、常時ということで、 365日その病院が空床を確保してお くということではなくて、ある一定の定められた日に用意をしておけばいいということ の基準の緩和でございます。 (3)、(4)、(5)については同様でございます。  下の(参考)にございます、現在の精神科救急医療システム整備事業における病院の 指定ということにつきましては、精神科救急医療施設は、本事業が実施可能な精神病院 の中から、都道府県知事が指定するということでございまして、特段の規定は現在ない という状況でございます。  以上でございます。 【吉川座長】  どうもありがとうございました。大変申しわけありませんけれども、一応お知らせの ところは5時半までということにしてあったと思いますけれども、少し延ばさせていた だいて、これに関してある程度のご議論をいただいた上で、また事務当局の方でまとめ させていただきたいと思いますので、もう少し時間をいただきたいと思います。よろし くお願いいたします。  ただいま、中村補佐から制度のこれまでの経緯、歴史等をお話いただきましたし、現 状に関してもお話をいただきました。その上で、これからどういうふうにしたらいいの かという新しい指定基準を考えたいと思うので、一応1、2、3案をお出しをいたしま したけれども、ご意見を賜ればありがたいと思います。 【山角委員】  ちょっとよろしいですか。 【吉川座長】  どうぞ。 【山角委員】  質問なんですけれども、1点は、看護基準(4:1)という形でこれは書いてありま すけれども、これは従来、もちろん4:1なんですけれども、規定で言うと、これは基 本1類ですね。看護基準が8割以上。 【中村補佐】  従来の規定です。 【山角委員】  従来の規定で言えばですね。それを言っているわけですね。いわゆる新看護の限定し た4:1ではない。どちらになるのでしょうか。 【中村補佐】  ここに入れさせていただいているところは現行のままということで考えております。 【山角委員】  現行のままの4:1という意味ですね。 【中村補佐】  はい。 【山角委員】  それともう一点は、基本的な考え方と実際の見直し案でもちろん少し下がってもいい のかもしれませんけど、基本的な考え方では、「常時、応急入院に対する応需体制を整 えること」と書いてあって、こちらの基準案の方では「定められた日」という形で書い てあるので、この辺がある意味でいうと整合性がとれないのかなというふうに思うんで すけれども。いわゆる基本的な考え方では、常時、応需体制を整えなさいと言いなが ら、見直しの基準案の中では、定められた日に、一定の基準を満たしていればいいとい うことですね。 【中村補佐】  基本的には指定を受けた病院については、常時、応需体制を整えていただきたいので すが、なかなかこれまでの経緯から考えますと難しいというところもありますので、基 準としては緩和してございますけれども、考え方としては、そういう病院であるという ことでは、常時に向けて努力していただければと思っています。 【金子委員】  それに関してなんですが、1案から3案まですべて「あらかじめ定められた日に」と 書いてございますので、事務局の方としては、あくまで輪番制にこだわっておられるの かなと思うんですが、その見通しですね。例えば、2次医療圏に1カ所ずつつくって、 それらの輪番で、例えば、もう少し広い圏域を想定して輪番を組むということを想定し ておられるのかどうかと。そこら辺が若干イメージとしてつかめないということがあり ます。  それから、もう一つは、応急入院指定病院に指定されるというのは、当番日だけ指定 されるということは現実的にあり得ないでしょうから、当番日以外に応急入院をさせた い、受けたいといった場合に、当番日でないから、あなたのところはだめですよと言え るのかどうか。今回の34条と関係なしに応急入院が入れられるかどうかという問題も発 生してきますので、私としては基本的にはなるべく圏域にこだわりながらも、なおかつ 輪番制でない方がむしろ山角先生がおっしゃったように整合性がとれると思います。 【西島委員】  応急入院指定病院ですけれども、本来の応急入院とまた全然違う、そもそもスタート が間違ったのだろうと思うんですね。応急入院のための指定病院なのを今回の移送制度 のためのものにはめ込んじゃったものですから、そうなると、これはまさしく緊急時の 状態だったと思うんです。今回の移送制度というのは、やはり身近なところで入院をす るというような、そういう体制を整えなければいけない。となると2次医療圏といって もいろいろありまして、非常な広い圏域のところもありますし、そういう意味では入院 しやすい医療体制を整えるべきであろうと。そういう意味で輪番制というのが私は現実 的かなという気がするんです。そのためにはそれなりの病院の質の担保はしておかなけ ればいけないと思います。 【吉川座長】  どうでしょう。きょう滝澤委員、ご出席いただいていますので、滝澤委員のご意見 は。 【滝澤委員】  輪番制というのはある程度受け入れ可能な病院の数が出そろってないと輪番制という ふうにならないわけで、これは一般論で申し上げます。65とか、あるいは 181件という 実態の中で、一方では基準を緩めて少し指定を増やしていこうとする努力と、輪番制と いう制度を兼用するというのは恐らく矛盾した面があるんですね。一緒に論ずるという ことに無理があるのだと思いますね。ですから、ある程度指定数を増やすという現実的 な路線を専門の先生方がどうお考えになるかということ。 実態として、今の段階では2次医療圏に1つというのは難しい実態にあるのではない かと思いますね。神奈川県でも11の医療圏の応急指定受けているのは1カ所しかないと いう、神奈川県でもそんなことですから、そういう現実と、それではどういうふうにス テップ・バイ・ステップで整備していくかという議論と、それから、それがある程度行 った段階で輪番制みたいなものが現実に出てくるのかなと。だから、ここで一緒に論ず るのは、頭の中が混乱してしまうような感じしますけれどもね。 【吉川座長】  そうですか。 【山崎委員】  この実数というのは、従来の応急入院に対しての実数であって、新しい手段での医療 保護の移送という問題が出れば、数的にはずっと増えると思うんですね。したがって、 きちんとした制度というか、数をつくっておかないと、実際増えたときに現場が混乱し ちゃうような気がするんですが。 【吉川座長】  増えたときという意味は、応急入院が増えたと。 【山崎委員】  応急入院が恐らく増えるだろうという前提で考えますから、そうすれば、病院の数を 増やしておかないと現場が混乱するような気がいたします。 【荒井委員】  我々からすれば、入院する先というのは医療の環境が整っていて医療のレベルを下げ ないでほしいということが本音でございます。そういう意味では、看護基準とかそうい うところが下がってくるわけですけれども、需要、供給の関係でということで、なるべ くこの際増やした方がいいということもわかって、そうするとその辺のハードルを下げ なければいけないということなんだと思うけれども、医療法の改正とかそういうところ の中で、治療病床のレベルを上げていこうという話もありますし、医療環境はなるべく 充実させてほしいというような規定でお願いしたいということなんです。 【西島委員】  ちょっとようございますか。 【吉川座長】  どうぞ。 【西島委員】  45分に出なければいけないものですから、申しわけございませんが、私の考え方を申 し上げさせていただきますと、第3案を私は支持したいと思います。それはどうしてか といいますと、今、荒井委員がおっしゃいましたけれども、施設のマンパワー的には何 1つ下がってないんですね。今の応急入院指定病院のマンパワーと。変わっているのは 応急入院が発生したときに、指定医がいて看護婦が3名いると、この診療体制ができる ことだけなんですね。これは現実的には年間 180件しか今まで応急入院はなかったわけ で、そういう中で、いつもそういうマンパワーをそろえておかなければいけないこと自 体が非現実的だというふうに思うんですね。 必要なときにちゃんと必要なマンパワーがいればいいのであって、私は、これは決し て質を落とす話ではないと思っていますので、現行の病院のあるマンパワーは、今まで の指定病院の基準とは何1つ下がってないと私は考えていますので、そういう意味で3 案を支持したいと思います。 【吉川座長】  ほかに何かご意見ないでしょうか。 【中村補佐】  1つ補足させていただきますと、1番、2番について、このような緩和措置を事務局 としてまとめさせていただいたところは、件数が少ないという中で、 365日、プラスア ルファの部分で看護婦、または指定医、さらにベッドを用意しておかなければならない ということが非常に病院としては負担であると。あるかないかわからないのに、それを 常に用意しておくというところが、この数が増えないところの大きな問題であるという ご指摘をいただいておりますので、そこがこういった緊急時にそのような体制が十分が とれるような体制であれば、応急入院としての期待される機能に応えられるものではな いかということで、ここはそういう体制にあると認められればいいのではないかという 考え方で緩和したものだということでございます。 【吉川座長】 考え方としてはそうで、先ほど滝澤委員からお話がありましたけれども、2次医療圏 に1つという、そうした決められ方だけではちょっと難しいということで、やはり数も 増やさなくてはいけないだろうし、確かにローテーションでやるかどうかということは 別にしても、とにかく数を増やしていかなくちゃいけないという点で、ある意味で基準 を下げていかないと、これを受けてくださるところがないのではないかということが、 私たちこれを考えてきたときのもとにあった考え方でございますので、とりあえず、こ の考え方の中で、それぞれご検討いただいて、次回のところに持ち越しましょうか。 【浦田委員】  第3案の「指定医2名以上が常勤で勤務していること」というのは極めて私は問題が あろうかと思います。少なくとも応急入院のときにオンコール体制なりはとっていると いうことが前提でないと、例えば、非常に極端な例を申し上げますと、大和川は1人の 常勤指定医がおられた。もう一人が非常勤ですけど、とにかくあそこなんかは週1日も 常勤医がオンコール体制もないというか稼働しない状況にあります。ですから、やはり きちんと稼働しておられるという条件をつけていただかないと、指定医が2人いるだけ ではやはり条件としては少し緩すぎるのではないかというのが第1点。  それから、2番目、輪番制というのはよくわかるのですが、先ほどからおっしゃって いる。ところが実は救急の輪番制がそうなんですが、輪番制とっていても、実際機能す るところと機能しないところがあって、通常ある程度救急のアクティビティーを持って いるところが機能していて、そして、ほとんどそこへ患者さんが流れていくという実態 がありますから、千葉県などを見ていましても、そういうことが極めて多いですから、 ある程度アクティビティーを持ったところを応急入院の指定病院にしないと、結局はこ の指定を受けても有名無実の指定になって、数は多いけれども、実際機能しているのは 3分の1とか、そういうことになりかねないということが十分起こるのではないか。  そういうことを考えますと、そういうアクティビティーを持ったある程度の医療の質 を持ったところを確保するためには、基本的な考え方を余りダウンさせないような基準 でやっていただいた方がいいのではないかというのが私の考えです。 【吉川座長】  お手を挙げられた金子先生。 【金子委員】  理念的には、今の浦田先生と全く同じなんですけれども、案3でいくとすれば、これ は医療機関のマンパワーによるわけですから、あえて輪番制をとる必要は全くないと思 います。医療機関のよって立つマンパワーは毎日変動するわけではございませんので、 一たん指定すれば、それをなぜ輪番制で回さなければいけないかというのは理屈に合わ ないことです。むしろ指定基準を緩和するのであれば、圏域という概念、地域精神医療 という概念をきちんと明確にあらわして、基本的に2次医療圏に1つとここにも書いて ございますように、それをなるべく実行すべきだと思います。2次医療圏に精神科医療 機関がないところもございますから、そこはどこかの圏域とくっついてというように、 圏域の責任性を明示するような形で、各都道府県でプランを組んでいただくのが必要と 思います。  それから、もう一つは、やはりきちんと精神保健指定医がオンコールであっても、夜 間休日でもやれるという体制を都道府県が確認する必要はあるだろうと思いますので、 例えば、待機当番表でも都道府県が確認をするような手だて、それは各都道府県の自主 性に任せるべきかとも思いますが、そのような方法を持ってアクティビティーなりを確 認することは必要です。  圏域という概念を明確にすれば、先ほどの浦田先生がおっしゃったように、有名無実 な指定病院があるということにはならないと思うんですね。この地域のこの2次医療圏 の指定病院はどこですよということになれば、そこが受けざるを得ないと、そういうシ ステムづくりがむしろ必要です。輪番制にしますと、その圏域は広がってしまいますの で、むしろ地域精神医療から離れたところに行ってしまうと思います。以上です。 【吉川座長】  痛しかゆしで、議論の中で、私どももそうしてきたんですけど、どうぞ。 【山角委員】 輪番制の1つの意味は空床確保ということがあると思うんですね。これ は、私ども何病院かに応急入院指定病院の基準がこの程度になったらどうなのかという 話を聞いたんですけど、1つの問題としては、空床を常に1床確保していくということ になると非常に負担が大きい。というのは、現実問題にこういう候補に挙がる病院とい うのは救急にも入っているケースが非常に多いんですね。救急でも、これは輪番にやっ ているかどうかは別にしましても、やはり空床をあけなければいけないと。こういう移 送のためにも空床をあけなくてはいけないと。場合によると応急入院に対しても空床を あけなければいけないと、こういうふうになってきますと、それを常時確保するという のは非常に難しくなってくる。  そういう意味も含めて、多分今こういう輪番ということも話の中に1つは出てきたの かなというふうに思うんですね。 【中村補佐】  ちょっと議論が、事務局としては輪番制についてはここでは申し上げているつもりは 全然ございません。ここで言われている、「あらかじめ定められた日」ということで申 し上げたのは輪番制を想定してということではなくて、例えば、今、1つも応急入院指 定病院がない県において、知事は応急入院指定病院を用意しなければならない立場にあ るわけですが、その県下の精神病院に対して、例えば土日だけ応急入院の受け入れ態勢 を整えてくれないかということをお願いして、病院の方がオーケイであれば、1年のう ち五十何日うちの県としては応急入院指定病院を用意しましたということになり、とり あえずその県としてはゼロではなくなったと。土日の応急入院体制は整いましたという ことが、この2番の規定を盛り込むことによってできるということを想定しておりま す。  それで、病院の数が増えてくれば、第1と第3は、こっちの病院でやってよ、こっち の病院でやってよ、というような輪番的な対応は出てくるかと思いますが、ここで言っ ている(2)については、少しでも増やしたい、ゼロでなくしたいということで申し上 げているということでございます。 【山角委員】  その点よろしいですか。 【吉川座長】  はい。 【山角委員】  各医療圏ごとという、医療圏というのは非常にいいんですけれども、今の現実の2次 医療圏の決め方が、精神保健福祉に関しての地域と一致しているかどうかの問題がある んですね。ですから、余り2次医療圏云々というのにとらわれると、また、今度医療体 制そのものを変えなければならないと。もうちょっと現実的な話から入っていった方が いいのかなと思うんですね。  私自身はできるたけ、例えば、移送に少なくとも何時間もかかるような体制が、もし 仮にそれしかとれないとすれば、これは移送される方にとってもいいことではないの で、できるだけ速やかにこういうシステムが円滑に動くような体制も一方では考えなく てはいけないと。そういうことを考えますと、できるだけ幅を広げる方向がやはり必要 ではないか。ただし、先ほども出ているように、ある程度の質の確保も確かに一方では 必要なので、そこの辺を整合性をどこに線を引いていくかということが大事になってく るかなと。現実的にどういうレベルにすれば、どの程度の病院ができるかというのが大 切になってくるかと思います。  現状では、六十数施設ですか、応急入院指定病院は。純粋に民間の日精協に加盟して いる病院は二十数%、多分17〜18が加盟病院だと思うんですね。ですから、ある面で言 いますと、現実的に民間病院がここの中に入ってこれるような体制も一方では必要では ないかと思います。今の現状の規定の中では、なかなかこれは難しいわけで、これをど ういうふうに広げていただくかということがやはり大事になってくるかと思います。 【吉川座長】  問題は幾つかあるようで、例えば、応急入院の指定病院として人員の確保、すなわち 診療体制の確保をどういうふうにしたらいいかということ。それがある意味での基準を 緩やかにするということと、もう一つは、1床を確保しなければいけないというような ことを緩和するためにどういう方策をとったらいいのか。その辺のところが、この3案 の中ににじみ出ていると私は思っているのです。その3案の中で、どの案をとるか、こ こで考え方をお示しするつもりは毛頭ありませんので、こうした案のほかにも、またお ありになるようでしたらば、また、案を寄せていただいても結構だと思っています。た だ、きょうのご議論は一応私たちの方でいただいて、そして、また、案を書いてみたい と思いますし、それを提示したいと思います。ぜひ、ほかに何かご意見があられました らば、私の方にでも課の方にでもご連絡いただければよろしいかと思います。  6時にもうなりますので、30分ほど延ばさせていただいてしまいました。途中にもお 急ぎの方はお帰りになられましたので、一応この辺のところで終わらせていただきま す。事務当局もこれから大変だと思いますけれども、今までいただきましたご意見を整 理していただきたいと思っています。  ご熱心なご議論をいただきまして本当にありがとうございました。本日の議題はこれ で一応終わらせていただきます。議事進行にご協力いただきましたことを感謝したいと 思います。次回の日程を。 【中村補佐】  次回は10月1日を予定しておりまして、患者さんの団体の方から、山本さん、人権擁 護関係の方から小林さん、精神保健相談員の事前の情報とか今回いろいろ出ております が、そこの相談委員会の会長の天野さん、精神神経学会から理事長の鈴木先生をお招き して、今までの議論を踏まえた上でご意見をこの委員会として聞いていただくという場 を設けたいと思っております。  その次なんですが、それを踏まえて、この専門委員会としてのまとめの会というふう にできればと思っておりますが、ご都合がよければ、10月8日(金曜日)、同じ時間帯 でいかがでしょうか。                 (日程時間調整) 【中村補佐】  3時半から5時半ということで。 【吉川座長】  そういうことで、それでは次回を予定させていただきます。  いろいろとご議論いただきましてありがとうございました。これで本日第3回の会議 を終了させていただきます。どうもありがとうございました。 (了) 照会先 障害保健福祉部精神保健福祉課 医療第一係 床枝(内3057)