審議会議事録等 HOME

医療保険福祉審議会 第18回運営部会議事要旨


1.日時及び場所

平成11年9月9日(木)17:00〜19:00
厚生省特別第1会議室

2.出席した委員等

塩野谷、蒲生、見坊、下村、中西、堀江、村上、柳、青柳、喜多、成瀬、野中、水野の各委員
菊池参考人
井出本、増田の各専門委員

3.議題

(1) 平成12年度予算概算要求について
(2) その他

4.審議の概要

(1)はじめに事務局より、議題「平成12年度予算概算要求について」に関する資料の説明があり、その後、発言及び質疑応答が行われたが、その概要は以下の通りである。

(青柳委員)

○ 資料061の1ページでは、介護分として1兆2,972億円となっているが、4ページの現行制度の国庫負担額を合計すると、1兆4,600億円となる。この差異はどこからきているのか。
○ 「介護保健事業計画におけるサービス量の見込み等の算出手順(資料061の5ページ)」について、居宅サービスにおける「利用希望や供給量を考慮した割合」は、どの程度の勘案をしたのか。この勘案の仕方によって、在宅福祉サービスの費用が相当上下すると考える。
○ 前回の議事要旨8ページで、介護保険制度を導入する時の厚生省の説明では、医療保険の負担と介護保険の負担を合わせても現在の負担より増えることはないという説明を受けたと記憶している、という委員の発言があるが、私たちは事務当局からこのような表現での説明は受けていない。本当かどうか確認したい。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 1ページにおける1兆3千億円の中には、事務費と財政安定化基金の費用合計6百億円分が含まれているために数字が相異したものである。なお、生活保護の関係の費用2百億円分については、右側の「福祉その他」の経費の中に計上されている。ただし、3ページの「事務費等」の8百億円中には、事務費・安定化基金の6百億円及び生活保護の関係費用が含まれている。

(事務局 高井介護保険制度準備室長)

○ 「要介護度ごとの人数」については、現在市町村で把握している自立度や痴呆の状況をもとに調査を行ったものである。
○ 「サービス利用例」については、先月末に発表した標準的な利用例から、一月の平均利用額である6万4千円から36万8千円という範囲の数字を当てはめたものである。
○ 「利用希望」については各市町村でのアンケートを取った。「供給量」については、各市町村の管内における供給体制について調査を行い、これを当てはめて作業を行ったものである。

(青柳委員)

○ 「利用希望や供給量」については、財源を勘案する上での大きなファクターになるから、具体的に数字を示してもらいたい。

(事務局 高井介護保険制度準備室長)

○ 利用希望のパーセントや供給量についても、各市町村の数字を積み上げて計算している。手元にあるのは、全体として32.7%という数字である。
 これは希望率に供給量を掛けた結果の数字である。

(事務局 間杉保険局保険課長)

○ 医療保険の負担等については、当時から、粗々の数字ではあるけれども、介護保険が入って例えば3‰なり4‰なり医療保険としては下がるが、介護の2号保険料率として8‰なり9‰なりが乗るというようなことが、すでに議論の一つの材料としてはあった、ということを申し上げた。委員御指摘の発言については、むしろ抜本改革による全体の効率化の必要性という議論の中でのお話ではなかったかと受け止めている。

(下村委員)

○ 先ほどの政管健保の収支予測によれば、11年度は確か3千億円の赤字で、12年度は2,100億円の赤字となり、介護保険導入により約1千億円収支が改善することとなるが、健保連で行った予測では現在の保険料率上限で計算すれば、12年度はむしろ赤字が増えるようである。
○ 当方の予測と政管健保の保険料率の試算が異なる要因は、介護保険への振替額の相違、医療費の予測の相違と考えられるが、どのように算出したのか説明が必要である。また、介護保険制度の総費用4兆3千億円についても計算手順の説明はあったが、具体的な数値の説明が必要である。
○ 政管健保では手持ちの1兆円で3年間は保つという試算であるが、本当に3年間はタケノコ生活をしなくてもよいこととなるのか。また、健康保険法では、2年ごとに中期財政見通しを立てることとなっているが、法律上タケノコ暮らしの収支均衡でもいいということになっているのか。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 介護保険総費用4兆3千億円の内訳については、なるべく細かい積算内訳を出すようにしたいと思っている。介護保険制度への移行分が大きいという指摘があったが、医療分については、介護なかりせばの場合の医療費の減少分について、老健制度での減少分が自己負担の部分を含め約2兆200億円程度、40歳以上の15疾病の方々の分が約2,000億円程度、生活保護制度での介護保険制度移行分が約500億円程度となり、総計2兆2,700億円程度となる。

(下村委員)

○ 口頭ではなく資料としてほしい。また、計算の根拠、方法が分からないと数字が正しいか確認できない。おそらく老健施設の増加分も見込んでいると考えるが、きちんと説明してほしい。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 積算根拠を非常に細かいところまで遡ると膨大なものになるので、なるべく、ご指摘の趣旨に沿うような形で簡潔にとりまとめて報告したい。

(下村委員)

○ 将来に向かって介護の保険料は毎年1割ぐらいずつ上がるが、何が上がるのかは非常に重要であり詳細に聞きたい。別に時間を取って細かく聞いてもよい。膨大であっても当方としては聞かざるを得ないところがある。しかも、今後の料金の改定などを考えても最初の数字は大切であり、何が入っていてどのような計算がされているのか分からないと、改定もできない、保険料も上げられないということになる。

(事務局 榮畑社会保険庁運営部保険管理課長)

○ 政管健保の収支については、11年度に比べて12年度は給付費や拠出金が2,000億円伸びるが、介護保険による医療保険の負担額の減少分が3,000億円あるので、結果1,000億円改善されることになる。

(事務局 間杉保険局保険課長)

○ タケノコ生活でもいいかというご指摘であるが、これは積立金を食い続けてそれで均衡してもいいのか、という指摘であると認識している。中期財政運営の規定そのものが黒字のときには運営安定資金が積み上がり、赤字の時には取り崩すという中での中期的な財政安定ということであると認識しており、積立金を取り崩すこと自体は否定されていないと考えている。

(村上委員)

○ 前回の議事要旨8ページについては、抜本改革をやるので全体の負担は増やさないようにするという説明を受けた記憶がある。
○ 国庫負担の繰延分については、2代前の保険局長は返還させることを約束したが、まだ返還されていないままで本日の政管健保の保険料率の仮試算の資料で注2のような表現があることは、大変不満である。
○ 来年度予算の説明を聞いていても、どうも抜本改革ができそうにないというニュアンスが感じられてならない。前回も言ったように100回以上抜本改革を行うと言ってきて、さらに昨年度の国民健康保険法の一部改正の附則で、12年度までに抜本改革をやるということが書かれているのに、法律を破ってまで抜本改革を行わないのか、行わずして行政の責任が果たせるのか。
 まだ抜本改革ができていないので概算要求でこうした、というだけでは納得できない。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ まず抜本改革については、12年度を目途に実施するという方針は従来通り変わっているわけではなく、その実現に向けて最大限努力する。
○ 国庫負担の繰延分については、繰延分7,000億円を使う前提で85‰や91〜92‰という試算をしている。ただ、注2は、最終的に、いつ、どのように入るかがまだはっきりしないので、変動する余地があるということを申し上げている。

(村上委員)

○ 抜本改革は平成12年度実施ということであるのに、9月になっても匂いも感じられない。予算に間に合うような抜本改革というのは、実現性があるというふうに考えて良いのか。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 抜本改革については、診療報酬、薬価基準、高齢者医療、医療提供体制の4本柱で進めて行く。それぞれの検討の進展状況には違いがあるが、私どもは、できるものについてきちっとやっていくという考え方で臨みたいと考えている。

(野中委員)

○ 資料061の6ページに、政管健保、健保組合、国保について、それぞれ介護納付金額や第2号被保険者数などが書かれているが、この数字は現在の日本の経済の実態を把握した上での数字なのか。失業、リストラ等で、国保に流れてくる被保険者が多数出る危険性が配慮されているのか。国保側は大きな負担増になる。また、失業者は所得がないのに前年度所得を基準にした国保保険料を納付いただくことになる。そのことで、国保料、国保税、介護保険料等歳入に欠陥が起きる可能性は、現在の経済情勢から見れば大変なものがある。厚生省ではこの金額、人数を把握しているのか。
○ 介護保険はどんどん進んでいるが、医療保険制度の抜本改革が一向に進まない状況にある。その原因が一体何なのかということをもっと明らかにする必要がある。国保側から見れば、医師会のゴリ押しがありすぎるのではないか。このへんはやはり、率直に申し上げていかないと介護の負担がますます過大になり住民への負担が加重になる。来年4月までに厚生省も自らの責任で何のために抜本改革が必要なのか、介護との連動をどうするのかを明確にしないと、国保側にとって大変な負担が重なってくる危険性を感じる。このことについての厚生省の抜本改革に対する姿勢を明確にしていただきたい。

(事務局 渡邉保険局国民健康保険課長)

○ 資料061の6ページに、医療保険者の介護納付金等についての基礎計数が示しており、国民健康保険については2号被保険者数1,519万人で介護納付金を計算している。国民健康保険では一般被保険者数が増えており、2号被保険者全体に占める割合もかなり多くなってきている。その分だけ介護納付金の賦課の歩合が大きくなっており、この計算の中に反映されている。

(青柳委員)

○ 私ども日本医師会は、4つの柱に沿って改革案をすでに2年前から提案をし、さらに具体化に向けての提案をし、タイムスケジュールを合わせてまた提案をし、という作業をずっと続けている。私どもが必ずしも足を引っ張るどうのこうのということとは違う次元で、私どもは提案を続けている。そのことだけは是非勉強していただきたい。

(下村委員)

○ 介護保険の議論が始まった時には、厚生省は社会的入院は解消すると言っていたが、最近はほとんど言われなくなっている。従来どおり医療保険から、要介護のような状態であっても支払いを継続するのか、というふうに見えるので、大変心配である。
○ 少なくとも患者の負担は医療と介護と揃えるべきではないか。このまま行くと、健康保険か国民健康保険を使って病院に入院したほうが得だという状態が起こりはしないか。全く改革の意図がないとは言わないが、老人の負担は定額というのはおかしいのではないか。
○ 保険料率の上限問題については、当時から保険料率が上限に近い保険組合があり、健保連としても問題であると考えていた。それに対して厚生省は、社会的入院を解消等により、この枠内で何とかできるようにすると答えたはずである。

(青柳委員)

○ 社会的入院の解消については、私どもも積極的に介護保険制度導入により進めていきたいと考えている。ただ、介護保険施設として捉えられていた部分について、最近では保険料算定に直接影響するから少し抑えてくれないかという本来の社会的入院の議論とは別の動きが出ているのが、非常に残念である。
○ 医療と介護の自己負担の整合性は下村委員の指摘のとおりであるが、どの部分の整合性が必要かと言えば入院の部分である。これは、療養型病床群という形で、介護保険、医療保険の給付対象になり、そこでの自己負担の割合に問題があるというのであれば、私どもとしても、そういう長期療養のお年寄りに関しては、定率負担ということを提案している。

(下村委員)

○ 介護保険へ抜ける分を考えると、政管健保の保険料率を85‰に維持するというのは、実質的な引き上げである。それでも赤字が出るというのはおかしな話で、収支均衡保険料にできないから、便宜的に現在の85‰を維持しているという中途半端な状態である。
○ 当時は、91‰の範囲内でやるといっておきながら、85‰を維持して9.3%を取るということになれば、結局94.3‰ということになって、これは明らかに話が違う。
○ 健保組合についても政管健保と同じような状態で、現状保険料率を維持するのがせいぜいであるが、現状保険料というのは赤字水準であるため、当然赤字が続くことになる。健保組合においては政管健保よりも赤字幅が縮まないから、より大変な状況である。

(野中委員)

○ 率直に申し上げて、今日までの医療問題等についても、医師会のエゴが少々ありすぎたと思う。医師会が一定の改革指針を出されていることはよくわかるが、しかし、どうしても、国民、また我々保険者主体ではなく、医師会が成り立つ、医師が成り立つということがまず前提になっていることを否定できないのではないか。
○ 老人医療費負担の定額と定率との問題や、老健施設と療養型病床群等の兼ね合いの問題については、医師会の立場も理解できるが、被保険者をどう守っていくかというのが、我々の大切な要素である。また、国民健康保険を守らないと、最後は国民健康保険がパンクをし、医師会すらも共倒れにならざるを得ないような結果を招くような危険性がある。
○ 町村の実態を見ても、国民健康保険が市町村の財政に大変な影響を与えていることは事実であり、市町村財政がパンクをしたら、自ずからこの医療保険制度は総崩れをするような可能性をはらんでいると言っても言い過ぎではない。
○ 介護保険の実施によって医療費が一定減額されて、介護保険ができてよかった、と言えるような制度であってほしいのが、私たちの偽らない気持ちである。厚生省の幹部の皆さんも十分心して対応してほしい。

(下村委員)

○ 政管健保は、当分タケノコ暮らしで2年くらいは大丈夫だからいいのか。
 その後はどうするつもりなのか。社会保険庁としては、どのような姿勢で政管健保の健全かを達成しようと考えているのか。保険局にはどのような申し入れをしているのか。あるいは保険局はそれをどう受け止めて今後どうすることになっているのか。抜本改革で解決できると確信を持っているのか。それとも2年間はタケノコ生活でよいと思っているのか。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 今行われているシミュレーションは、抜本改革ということの要素はまだ何も数字で表せないので、その要素を含んでいないシミュレーションである。
 したがって、最終的には、来年度の予算編成をする段階で、抜本改革がどの程度どういう形でできるのかということを前提に、それを織り込んだ形で、もう一回政管健保の中期運営の収支を見直す、という考え方である。
○ 抜本改革の影響ということを考えた場合に、現実問題として、医療費がどの程度下がるか、一方で、医療機関側の経営に対する影響等いろいろ議論をしていただかなければいけないと認識している。年末の段階、最終的には抜本改革の成否、そこでできあがった形が数字にどのように表れるかを見なければならないが、問題意識としては、政管健保の保険料率85‰はなかなか落とすことが現実問題として難しく、上限の見直し問題は避けられない事態になるのではないかと、厳しく考えた場合そのような認識である。

(下村委員)

○ そうなると、85‰は据え置いて、上限を5‰ぐらい上げなければ、これはとても取れない。いずれにせよ、これは法律改正が必要な話になる。
○ 政管健保に加入の企業は、零細企業や中小企業が多く、健保組合も政管健保以上に大変なところがある。そういうところに対して、予算編成時の12月になって、いよいよ上限を上げてくれと言っても、簡単に承知しないかもしらない。どのような手順でどういうふうにすることになるのか、極めて心配である。

(村上委員)

○ 7月末の運営部会では上限問題には触れられなかったが、1カ月半たったら、上げざるを得ないと思っている、という発言である。これはどういう変化なのか。この1カ月半の間に、何の変化もなかったはずである。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 前回の議事要旨の11ページの羽毛田局長の答弁の趣旨を申し上げたものであり、新たなことを申し上げたものではない。これから暮れに向けていろいろな事態が想定される中でのものの考え方として、少し厳しいところで見るとどうなのかを申し上げただけである。

(村上委員)

○ 変わっていないなら、どうして厳しく見るのか。我々は100回以上抜本改革を行うと言われているが、それが全然実現しないで、厳しく見ざるを得ないということは、諦めたということなのか。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 抜本改革については、暮れまでの短い時間の中で我々も最大限努力するつもりであり、諦めたわけではない。ものの考え方ということで申し上げたものである。

(下村委員)

○ 数字だけで言えば、診療報酬の1点を9円ぐらいに下げれば、ちょうど保険料を上げないで収支均衡できるというふうな勘定になるのではないか。

(喜多委員)

○ 資料061の6ページの下の方の、第2号被保険者1人当たり負担額2,630円という数字と、政管、健保、国保でそれぞれ異なる金額がでているが格差が大きい。これを現実に取る時にはどういうことになるのか。政管健保加入者は3,000円、組合健保加入者は4,000円、ここから事業主負担分を差し引くと2分の1になる。そして、国保は国庫負担の分を抜いているので1,300円を取るということか。

(事務局 畑保険局調査課長)

○ 第2号被保険者1人当たり負担額2,630円は介護納付金を単純に第2号被保険者全体の数で割ったものである。一方、健保組合の保険料額については、40〜64歳の被扶養者には保険料負担がなく、40〜64歳の健保組合の被保険者が40〜64歳の被扶養者の分も含めて保険料負担することとなっているので、4,000円になる。
○ 健保組合の場合は、40〜64歳の被保険者と40〜64歳の被扶養者の比率が政管健保より少し高いということ、また、政管健保の介護納付金には国庫負担があることから、被保険者の保険料額が3,000円となる。実際に介護保険料率が、予算編成を経て、どのように設定されるかまだ確定的ではないものの、ほぼこの程度の保険料負担が40〜64歳の被保険者に課せられるものと考えられる。

(喜多委員)

○ 市民の方々は、2号保険料として、一体自分がいくら払ったらいいのか分からない、という不満を持っている。保険料の取り方についても、65歳以上の健保加入者に2号被保険者の扶養家族がいたら、扶養家族については現行制度では保険料を払わないでいいことになる。これは国民的に公平と言えるのか。
○ 国保保険料についても、3方式あるが、例えば私の市が所属している広域連合は、その3市が全部別々の方式をとっている。1号保険料については、介護保険における広域連合によって統一されているが、2号保険料についてはそれぞれの勤めているところ、または入っている保険の対応によって、全部保険料が変わってくることとなり、本当に国民的コンセンサスは得られるのか。

(下村委員)

○ この問題については多少経緯があり、健保組合としては、規約で定めることによりかなりの自由度を保って対応できることになっている。法律的には問題が残るようだが、委員御指摘のような場合には、配偶者の分も本人から徴収するという規約をつくることも考えられる。

(喜多委員)

○ いろいろテクニックはあると思うが、法律を変えてでも手当てする必要があるのではないか。2号保険料について、地域的に差が生じてしまうことは多少は仕方がない。しかし、健康保険組合加入者は、全員同じ市に住んでいるわけではないので、そういう意味では、全国的なレベルで保険料を1人いくらだということを決めざるを得ないと考える。それがここで言う2,630円。そのような決め方をするのであれば、各市町村を保険者とするという仕組みがそもそもおかしかったのではないか。
(事務局 渡邉保険局国民健康保険課長)
○ 2号被保険者1人当たり負担額2,630円について、これは全制度一律の単価である。これと、既に公表されている様々な数字を基にそれぞれの保険者において2号保険料の計算が、相当程度進み得るのではないかと見ている。
○ 介護保険における広域連合を組んでいる場合には、1号保険料は同じ額になる。しかし、2号保険料については、2号被保険者1人当たりの単価が全国共通でも、それぞれの市町村の国保保険料算定式により保険料が決まることになるため、同じ2号保険料とならない。このことも踏まえ、委員の地元の介護保険の広域連合の規約の中に、国保についても広域連合を調査研究するという問題意識で進めていただいているものと理解している。

(事務局 間杉保険局保険課長)

○ 健保組合における保険料の徴収のあり方については、個人単位で定められている介護の保険料を、医療保険の制度の中では被扶養者も含めたいわば世帯単位を基本とする形で徴収する、というのが現行制度である。これをもう少し弾力化できないかという要請が健保組合なり健保連からあり、なお、法律論との兼ね合いも含め、私どもももう少しその点については検討させていただきたいと思っている。

(見坊委員)

○ 1号保険料の基準額というのは、1人当たり2,850円で計算されたものか。

(事務局 高井介護保険制度施行準備室長)

○ 1号保険料は2,885円になっているが、これは1号保険料については3年間を通して同じ額にするということで、3年間を通した保険料額の17%分を1人頭にしている、ということである。

(見坊委員)

○ 第2号被保険者の一人あたりの負担額である2,630円というのは、仮に被扶養者がいるとすれば、かなり低いものになる。私どもは、一般の高齢者に対して、大体保険料は同じだよと解説しており、1号も2号も単純平均して同じになる、というふうに説明し、理解もしていたんですが、非常に大きな差が出てくる、というふうな感じがする。それについてはこれ以上触れないが、ただ、保険料についての関心は次第に高まっている。
○ 一割負担の問題や、要介護認定の問題など、だんだん実感をもって高齢者も勉強しはじめているという状況である。概算要求は一応今日の説明の通り出したということであるが、問題は、なお政策的に、円滑な実施のための経費といったものは、予算編成過程で検討するということである。自自公の協議も絡んでくることではあるが、何としても介護保険が円滑に実施できるような方向で、厚生省としても勇気をふるって、十分にそのへんについての経費の確保をお願いしたい。
○ 社会的入院の問題については、高齢者自身も問題を自覚する必要があると考えており、社会的入院を適正なサービスに移行するため介護保険制度を実施するというように大義名分の一つにして大きく掲げてきた。従って、社会的入院が、介護保険制度の発足に当たってどう見通されていくのかということは、ぜひご説明いただけるようにお願いしたい。今でも各地に行くと、介護保険制度をやるのは社会的入院の解消のためではないのか、その財政効果はどうなんだと聞かれるが、到底答えられるような状況ではない。この点については、ぜひ、分かりやすい解説を今後お願いしたい。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 先ほどの2,885円のお話に若干補足したい。先ほどの2,885円という数字は、概算要求前の時の数字で、その後、概算要求後の精査の数字を合わせると、30円程度それに上乗せになり、2,915円程度になる。これは3年間平均の数字なので、2号保険料とは直接比較はしにくい数字だが、そういうことを前提にご理解いただきたい。
○ 社会的入院の問題については、私どもも説明ができるように資料を用意いたしまして、説明する機会を設けたいと考えている。

(喜多委員)

○ 2号保険料の取り方については、公平、公正な見地に立って、どの人にも納得してもらえるような形でやっていただきたい。
○ 1号保険料については、調整交付金で調整をされるわけだが、交付金が削られたところについては、それが全部保険料に跳ね返ってくることになる。
 当方で計算をすると、そのために340円保険料が高くなる。保険料が高くなると、今まで仕方がないと言っていたお年寄りが、みんな、そのようなお金は払えないと言うようになる。国のほうはマクロで計算し、いわゆる丼勘定であるが、末端に行けば自分の懐から一体いくら払うかという問題になってくる。それを十分納得してもらえるような予算や制度の仕組みにしていただきたい。そうでないと、市町村の立場というのは、住民から反発を受けて大変なことになる。

(成瀬委員)

○ 今回の数字に関しては、機械的な粗い試算ということで、抜本改正の影響は含まず、ということであるが、抜本改正の必要性は明らかであって、12年にやる、ということは何回も聞いているのに、抜本改革をしない仮定で粗い試算をしていただいて説明を受けても、どうにもならないという感じがする。やはり、この審議会の責任を果たすとすれば、どういう抜本改革をしたらどういうことになる、ということを、かなり前からきちんと準備していかなければならない。12月になってから議論する、と言われて、12月に出された数字に賛成、反対と言ってみても、もう始まらないということでは困る。これまで、抜本改革については実施するという前提でやってきたのであるから、抜本改正の具体的な問題については、12月に数字が出た時に議論してくれということだけでなく、事前に議論する場が必要である。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 抜本改革の中身について、12月の段階でいきなり数字が出て、それで決めるということにならないようにしたいと考えている。現在、抜本改革については、自民党の中でも議論が進められており、私どもの立場としても議院内閣制の下では与党と一体となった案づくりをしなければならないという立場である。自民党からも、党で出ている議論、あるいは従来から言われている議論について、厚生省でも検討をしておいたらいいではないかというお話も承っている。私どもとしては、現在自民党で行われている議論も頭に置きながら、抜本改革の項目については整理をし、その中身について制度企画部会と当部会のどちらで行うべき議論かを整理した上で、ご審議をお願いできればと考えている。

(成瀬委員)

○ 今一番問題になってるのは、経済成長であり、雇用だと考える。日本の高コスト体質ということが問題になっている中で、コストはもう上げられないのではないかという意見が強く主張されている。結局のところ、経済がうまくいかなければ、保険財政についても悪化するに決まっているわけであるから、コストの問題を、医療保険の世界に矮小化せずに、全体の中でどういう位置を占めるかということも含めて論議する必要がある。そういう点まで含めて考えて、合理的なところに落としていかないと、来年にかけてはすごく厳しいなという感じがしている。

(野中委員)

○ 第2号被保険者の負担額の問題で、医療保険については、国民が等しい、同じような負担と給付の対応になるように、抜本的な改革をしてほしいということを、我々はこれまで主張してきた。
○ 介護保険についても、負担と給付の対応が等しくならない危険性が多分にあるが、格差がなく、負担と給付が同一であるべきだということを、私たちは主張してきており、これが守られないなら、我々としては、いろんな問題の提起をせざるを得ない。
○ 介護保険の保険料負担については、数字的には、一体化したらそれで同じ負担になるんだというけれども、住民側から受ける形は、第2号被保険者については、国保の人たちは2,630円であるし、他の制度では、2人でも3人でも、例えば3,000円であったり4,000円であるんだ、ということになると、1人当たりの平均ベースでは同じであっても、住民側から受ける感じは全然差がある。従って、特に2号保険料については、より統一をした形で、負担と給付の形を明確にして、みんなが納得できるような形にしてもらいたい。

(水野委員)

○ 厚生省全体として、21世紀の社会保障はどうすれば持つかということを、本気で考えないといけないと思う。現在、少子高齢化にしても、経済にしても、全て大変な時期が来ており、これは革命とか敗戦とかいうものに近いものではないかと思う。社会保障には、倫理が必要であり、そういうことを考えながら、しかも、年金は年金、保険は保険という考え方ではなくて、全体的に考えてやっていかないと、時間の経過とともに全部雲散霧消するということになりかねない。
○ 21世紀の社会保障のあり方について、いくつかの案を、国民投票に問うぐらいの気構えで考えてもらわなければ、各団体が反対したら何もできない、ということになってしまう。団体というのは、それぞれの主張もあり、みんながうまく行くというものはありえないが、そうであればこそ、厚生省が全体として考えるということがぜひ必要である。
○ 医師会と積極的に話をするという姿勢が、もう少し役所にあってもよいと思う。医師会だけでなく、それぞれの団体と、積極的に話をしながらやっていかなければ仕方がない。だから、あそこが反対するから駄目だ、というのは言い訳にならない。役所の実力は低下しており、今は非常につらい時期だと思うが、私どもも、応援できる点については120%するので、ぜひ役所も、このメンバーで全部やるんだという気持ちになってもらわないと、抜本改革はできないと思う。
○ 全体的立場に立ち、インターネットなどを使って国民に積極的に意見を提示して、国民の何割が賛成してくれるかということを本気で考える必要がある。今年の厚生白書は大変よくできているが、抜本改革についても、白書のようにわかりやすく、なぜこうなのかということをいちいち説明しながら国民に訴えていくということが、これから必要である。
○ 国会ではこれから役人は答弁しないということになれば、これからの役所の役割は、これまで国会議員を相手にやっていたことを、国民を相手に考えることになる。局長に意気込みを一言聞きたい。

(事務局 近藤保険局長)

○ 抜本改革については、全体も視野に入れて考える必要はあるけれども、やはり、個々の制度の積み上げであるので、総論だけがよくても、各論が駄目だということではいけないので、各論は各論としてしっかりやる、しかし、他の面もちゃんと考える、ということで進めていきたい。
○ 現状としては、本当に大変難しい事態で、しかも時間がない。この制約の中で時間との競走ということになるわけですので、我々としては一致結束してことに当たりたい。
○ 関係団体とも十分な話合いをし、最後は何らかの形でまとめるということで、私としては、自分なりに努力をしていきたいと考えている。

(下村委員)

○ ここから先はどうなるのか。この部会としてはどういうことをやるのか。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 抜本改革については、12年度からの実施を目指して努力するということを申し上げている。予算に盛り込む必要があるので、予算編成が12月だとすれば、それに間に合うようにしていかなければいけない。
○ 抜本改革の内容については、現在、自民党でもいろいろと議論がされており、そういう中で、高齢者医療のあり方、あるいは高齢者の一部負担のあり方、高額医療のあり方、高額療養費限度額のあり方、現金給付のあり方など、いろいろな話題が出ている。まだ自民党としても案をまとめているという段階ではあるが、自民党からは、そういう議論も踏まえながら、厚生省の方も、時間がないので、並行して検討したらどうかというお話も承っている。そういうことであるので、今申し上げたような事項について、少し私どもで整理して、制度企画部会と運営部会でご審議いただく話の整理案を、作らせていただき、その上でご議論をいただければと考えている。開催の日時等につきましては、また改めて、皆様方のご都合を伺った上で連絡したい。

(下村委員)

○ お願いしてある資料や説明は、しっかりお願いしたい。概算要求なので、今後数字が変わるから説明しないと言わず、現在の数字でよいので説明をきちんとお願いしたい。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 今日いただいた数字等の質問、要望については、給付費部会等とも非常に密接に関連しており、本日のこの部会の先生方の多くもまた給付費部会のほうにご参加をいただいていますので、そのような機会も利用しながら、まとまり次第、先生方に早めにご報告するように努めたい。

(塩野谷部会長)

○ 部会運営の手続きについて、事務局にお願いしたい。それは、資料の説明のあり方について、それぞれの数字についての評価、あるいは推計の方法についての評価はあるだろうけれども、まずはその推計の仕方、根拠の数字を、全体としてもう少ししっかり出していただきたいということである。もちろん委員の皆さんが全員細かい資料を欲しているとは思わないけれども、欲しておられる方は、それぞれそれを重要と考えている。全体として、もう少し、どういう推計をしたかということのプロセスを示していただきたい。

以上


担当者 保険局企画課 北波(内線3219)


審議会議事録等 HOME