99/08/02 精神保健福祉法施行のための専門委員会(医療分野) 第  1  回   精 神 保 健 福 祉 法 施 行 のた め の 専 門 委 員 会 ( 医 療 分 野 ) 議  事  録           厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課     第1回精神保健福祉法施行のための専門委員会(医療分野)議事次第 日 時 平成11年8月2日(月) 15:30〜14:25 場 所 厚生省特別第2会議室(3階)  1 開 会  2 議 事   (1)専門委員会及びその運営について   (2)法第37条第1項に規定する処遇の基準について   (3)その他  3 閉 会 〔出席委員〕    吉 川 座 長   荒 井 委 員  浦 田 委 員  金 子 委 員  末 安 委 員   西 島 委 員  松 原 委 員  山 崎 委 員  山 角 委 員 ○三觜課長  それでは、第1回の精神保健福祉施行のための専門委員会(医療分野)を開催させて いただきたいと思います。  各委員におかれましては、このたびの専門委員会の委員を快く引き受けていただきま してまことにありがとうございます。また、本日は真夏の真っ盛りでございますけれど も、また、それぞれ公務ご多々の折、ご出席いただきましてまことにありがとうござい ます。  まず、初めに、本委員会の座長につきましては、先月開催されました公衆衛生審議会 精神保健福祉部会におきまして、医療分野と福祉分野とそれぞれ2つの専門委員会を設 置したところでございますが、その際に、審議会の部会におきまして、医療分野の専門 委員会におきましては、国立精神・神経センター精神保健研究所の吉川所長が指名され ております。ご紹介申し上げます。  資料1に専門委員会の名簿がございます。私の方から、第1回目でございますのでご 紹介させていただきます。  荒井委員でございます。浦田委員でございます。金子委員でございます。今、ご紹介 申し上げた吉川委員でございます。それから、東大法学部の佐伯委員は本日は欠席にな っております。末安委員でございます。西島委員でございます。野中委員、精神医療審 査会の中から、弁護士という立場からご参加いただいておりますが、本日はご欠席でご ざいます。松原委員でございます。山角委員でございます。山崎委員でございます。  委員、11名でございます。よろしくお願いいたします。  吉川座長から座長のごあいさつをお願いいたします。 ○吉川座長  公衆衛生審議会精神保健福祉部会の中で、ご指名を受けましたこの医療分野の方の座 長を務めさせていただきます。  皆様方におきましては、本当にお忙しいところ、そしてある期限が決められて、来年 の4月には施行しなければいけないというさまざまな条件の中で、恐らくことしの10月 までには、この専門委員会での結論を出すことによって、政省令を作成していくという 手順になると思いますが、したがいまして、かなり忙しい日程になろうかと思います。 ぜひ、皆様方のご協力をお願いしたいと思っております。  医療分野でございますので、医療関係者の方々がかなりおいでいただいているわけで ございます。それぞれの先生方、忌憚のないご意見をいただいた上で、そして、望まし い法施行につながるような議論をしていただければと、こう思っております。よろしく お願いいたします。  それでは、私の方から、議事を始めさせていただいていいですね。 ○三觜課長  はい。 ○吉川座長  それでは、私の方にバトンタッチをさせていただいたことで、議事を進めさせていた だきたいと思います。先ほど課長からもお話がありましたように、公衆衛生審議会精神 保健福祉部会で、実際に既にご存じのとおりの99年改正が通った後で、それぞれ政省令 をつくるために検討すべき事項を考えて、そして2つの分野に分けて、この専門委員会 を開くことにしております。そのうちの1つが「医療分野」といわれている専門分野の ことでございます。  こうしたところで、これから改正された法の施行に当たりまして、適切な運用ができ るように考えていきたいと思っています。きょう、実際にこれから議論していただきま す内容につきましては、事務局から、また、ご説明いただくことになると思いますが、 この委員会はほぼ5回ぐらいを念頭に置いております。その5回ぐらいの間に結論が出 たらということで、ことしの10月ぐらいまでを考えている、そんなことを先に申し上げ まして、あと事務局から全体のスケジュールのご説明をいただけますでしょうか。 ○中村補佐  それでは、まず、スケジュールに入ります前に資料の確認をさせていただきたいと思 います。  本日の配付資料でございますが、資料1が、「精神保健福祉法施行のための専門委員 会(医療分野)について」でございます。  資料2が「今後のスケジュールについて(案)」でございます。  資料3が「公衆衛生審議会精神保健福祉部会の公開について」ということで、公開に 関する資料でございます。  資料4が「任意入院患者の閉鎖処遇についての考え方」。  資料5、「法第37条第1項に規定する処遇の基準について(検討ペーパー)」でござ います。  さらには、参考資料がございまして、参考資料1が「第5回専門委員会(平成10年5 月26日)の議事録のまとめ」、そのとき使われた資料でございます。  参考資料2が「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第37条第1項の規定に基づ き厚生省大臣が定める処遇の基準」ということで用意させていただきました。ご確認を いただきたいと思います。 ○吉川座長  いかがでございましょうか。特に資料が不足しているということはございませんでし ょうか。  それでは、そのまま続けてください。 ○中村補佐  それでは、続けて説明をさせていただきます。資料1をごらんいただきたいと思いま す。  専門委員会についてでございますが、今ほどもお話しがございましたように、今回の 改正によりまして、移送制度の創設、またこれに伴います応急入院指定病院の基準の見 直し、また精神病院における任意入院患者の閉鎖処遇を精神障害者の行動制限として位 置づけること等が審議会の意見として示されたところでございます。6月4日に公布さ れまして、1年以内の施行ということで、来年の4月1日をその施行予定というふうに 考えております。この事業を円滑に行うに当たりまして、政令、省令、告示、通知など 幅広く専門的なご意見をいただいた上でまとめていきたいということで、この検討会を 設置したものでございます。  この医療分野における専門委員会におきましての検討事項でございますが、閉鎖処遇 の基準、移送の際の行動制限について、さらに応急入院指定病院の現行の基準について 見直しをするかどうかというところをご検討をいただければというふうに考えておりま す。  委員の構成につきましては、ここにありますようなメンバーで構成をされております。  検討のスケジュールでございますが、資料2を併せてごらんいただきたいと思います が、本日が第1回でございまして、議事の運営方法、閉鎖処遇についての検討をしてい ただくということでございます。  第2回を8月30日に予定をさせていただいております。第3回、第4回、少し計画を 急いで詰めさせておりますが、第4回には、ぜひ関係者の方々の意見を聴く場を設けて ほしいということで、部会からいろいろご要望もございまして、ヒアリングという場を この専門委員会の中でも持てればというふうに考えております。  これらを踏まえまして、10月の下旬までにはまとめて公衆衛生審議会の方に専門委員 会としての意見を提出できればというスケジュールを考えております。  その後、公衆衛生審議会の方でご議論いただいて、これらの政令、省令、告示等がま とまるというスケジュールを考えてございます。 ○吉川座長  議事の公開の問題も議論しなくてはいけませんので。 ○中村補佐  議事の公開というか、議事の運営のあり方ということで、資料3をご覧いただきたい と思います。  資料3につきましては、公衆衛生審議会精神保健福祉部会、この専門委員会の親部会 になりますが、その公開についての考え方を示したものでございます。読み上げさせて いただきますと、          公衆衛生審議会精神保健福祉部会の公開について           (公衆衛生審議会精神保健福祉部会決議) 1.精神保健福祉部会については、会議議事録を公開するものとする。ただし、部会長 が、特定の者に利益又は不利益をもたらし、又は公正かつ中立な審議に著しい支障を及 ぼすおそれがあると認められる場合には、部会長の決するところにより、理由を公開し、 会議議事録の公開にかえて会議の議事要旨を公開する。  また、発言者氏名については、人権に係わる問題及び利害が対立する問題等、自由な 論議が氏名の公開によって阻害されると認められる議題については、部会長の決すると ころにより匿名とする。 2.諮問、答申及び会議配布資料については、部会長が、当該資料等を公開することに より、特定の者に利益又は不利益をもたらし、又は公正かつ中立な審議に著しい支障を 及ぼすおそれがある場合を除き、公開するものとする。 3.部会長は、議事の内容からそれが適切であると認めるときには、会議を公開するこ とができる。  これが、平成9年4月21日にまとめられたものでございまして、次のページをごらん をいただきます。本年2月1日に、さらに議事の公開についてご審議がございました。        公衆衛生審議会精神保健福祉部会の会議の公開について  精神保健福祉部会の会議の公開については、平成9年4月21日に開催された部会にお いて決議され、「部会長は議事の内容からそれが適切であると認めるときには、会議を 公開することができる」とされたところであるが、その公開の具体的方法を次により定 めることとする。 1.傍聴者について  傍聴は、報道関係者及び委員の紹介のあった者について認めることとする。ただし、 会場の都合により、人数を制限することができるものとする。  なお、傍聴にあたってその希望者は、別紙様式によりその所属、住所、氏名、連絡先 を事前(会議の1週間前)に文書をもって事務局に明らかにし、部会長が決するところ によりこれを認めるものとする。 2.傍聴者の遵守事項  事務局は、傍聴者に対し、別添の「傍聴にあたっての遵守事項」を送付し、遵守して いただくこと。  別添については、今回省略させていただいております。  こういう公開のあり方を親部会で行っているということでございます。 ○吉川座長  それでは、まず最初の問題としては、専門委員会の日程的なこと、先ほど私が5回ほ どと申し上げましたが、ここに4回になっていますのは、最終的に済むかどうかを考え たからです。最終回をみんなで集まって、また、検討しなくてはいけないかどうかなん ていうことを考えながら「5回ほど」という申し上げ方をいたしました。できたら4回 で、それも公聴会まで入れまして、4回で終われば、それなりに後の事務的な作業が進 めやすくなると思いますので、ご協力をいただきたいということです。それが最初の、 この委員会の進め方の問題でございます。これに関しましてはいかがでございましょう か。  もし、よろしければ、このスケジュールで進ませていただきたいと思います。よろし くお願いいたします。  それから、もう一つは、これは今日的な問題で、こうした議事の公開の問題でありま すけれども、議事公開に関しましては、公衆衛生審議会という親のまた親の委員会がご ざいまして、そこでかなり論議をされました。そして、精神保健福祉部会はそれなりに また部会としての特殊性があるので、また、ここの中でも議論をされ、昨年の4月に 少々議論が重なったところで、先ほど読み上げていただきましたようなものに決まりま した。  そしてその後に、ことしになりましてから、また、さらに議論を深めた形で、2枚目 の紙のような、そうした公開の問題を具体的に決めたということでございます。  そこで、この専門委員会は公衆衛生審議会精神保健部会の中から派生している専門委 員会でございますので、原則的には公衆衛生審議会精神保健福祉部会が決めておられま す公開の程度というものを踏まえたいと思っておりますけれども、いかがでございまし ょうか。何かご意見があればいただきたいと思います。どうぞ、西島先生。 ○西島委員  この委員会はある意味で作業部会になるわけですね。そして、作業部会となりますと、 かなりいろんな際どい話もしていかないと作業がまとまらないだろうと思いますので、 私は非公開でぜひお願いしたいと思います。 ○吉川座長  そうですか。 ○西島委員  これは厚生省のほかの委員会でも非公開の委員会がありますので。 ○吉川座長  ほかにいかがでございましょうか。 ○金子委員  できますれば、公衆衛生審議会の議事録の公開、傍聴、また関係者等のヒアリング等 の基本的な原則を生かした形でこの場で検討していただきたいと思います。 ○吉川座長  どうぞ、何でもご自由に。 ○荒井委員  十分検討された今の原案でしょうから、これを遵守されて、やはり行動制限とか幾つ か権利なり基本的なことに属することの制限になりますので、やはり民主的なというか、 ある程度の公開をルールに従ってやっていただきたいと思います。原案どおりお願いし たい。 ○山崎委員  私は非公開ですべきだという意見なんです。審議の内容は相当際どい、先ほど西島先 生がおっしゃったような、そういうふうな内容もあるかと思いますので、非公開の方が いいと思います。 ○吉川座長  どうぞ、浦田先生。 ○浦田委員  確かに西島先生がおっしゃったように、際どいことを議論しなければならないと思い ます。先ほどこれを見まして、公開にいろいろする場合にも「必要があれば、部会長の 決するところで匿名」としたり、あるいは趣旨、議事要旨だけを公開するというような ことになっておりますので、この原則に基づいてされるのがいいのではないかと思いま す。 ○山角委員  基本的には公衆衛生審議会のこの原案にのっとってやっていただければよろしいと思 うんですけれども、そういう意味では、部会長の裁量といいますか、その辺の配慮を 重々した中での公開という形をとっていただきたいと思います。 ○末安委員  委員会として最後は責任をとるといったら変ですけれども、決するわけですから、そ の経過で個人が、たとえどういう考えで話をしても、委員会の責任でそれを全体で負う ということが確認されれば、公開の原則で、十分際どい話がされても、というか、むし ろ際どい話をはっきり公開のもとでした方がいいと思います。 ○松原委員  私は公衆衛生審議会の方式に原則のっとっていただくことが妥当だと思っています。 あと、際どい点については、部会長の裁量権にゆだねた方がいいと思っています。 ○吉川座長  どうでしょう。一応お一人おひとりのご意見を伺いました。西島先生、どうぞ。 ○西島委員  この公開の原則は決して否定するものではございませんし、これでいいと思うのです が、公開には2つあるんですね。1つは議事録の公開というのと、この会議そのものを 公開するというものがある。ですから、議事録の公開については、私はそれを否定する ものではございません。しかし、会議の公開ということになると、やはり自由な発言と いうのがかなり抑制されるのではないかと思いますので、そういう発言をしたわけです。 ○吉川座長  議事そのものを公開するというのは、傍聴者が大量に押しかけてくるなんていうこと を考えれば、スペースをどういうふうに確保するかということがいつも問題になります ので、せめて議事録の公開はいいとしても、議事公開というのは、実際上なかなか難し いことは確かです。  それで、先ほどもちょっと読んでいただきました、ことしの2月の公衆衛生審議会精 神保健福祉部会では、公開というものをまた分けてみて、そして、マスコミの方々に公 開をする。それは人数制限は多少伴うかもしれませんけれども、マスコミを閉め出すよ うなことをするつもりはないということを明らかにするために、公開に関してはマスコ ミの方々に公開をする。そして、スペースの問題から考えて、人数を制限させていただ くときがあるというような、そうした決め方をした覚えがあるんですね。  もし、よろしければ、その辺のところでお考えいただければ、すなわち西島先生も一 応議事そのものではなくて、議事録の公開に関しては異存ないとおっしゃっていただい ていますので、場合によったらば、そうしたマスコミの方々がどうしてもということで あれば、その方々にお聞きいただくところまで、西島先生がご了解いただければ、そう いうことで、今のこの問題を閉じさせていただこうと思いますが、いかがでございまし ょう。 ○西島委員  マスコミというのが問題で、一部の発言だけを、それが全体のように書かれちゃうわ けですね。 ○吉川座長  わかりますね。 ○西島委員  ですから、議事録になりますと、非常にまた冷静に議事録を分析して、そして記事に なるわけですが、こういう発言の場ですと、そこの一部の部分だけが取り上げられると いうところで、非常に作業的にも困難になってくるのではないかと思うんですね。私ど も患者さんの人権を第一に考えているわけでございますので、患者さんの人権を無視し ようとは思っておりませんし、ただ、ここでは、例えば医療サイドの考え方と、法的な ものの考え方はどうしても対立点が出てくると思うんです。そういうところはやはり考 えていかなければいけないと思います。 ○荒井委員  この法改正のときの厚生委員会の場で、ある程度精神保健医療関係の審議会のメン バーの構成というのは大きな問題になりました。市民権を持っていらっしゃるというか、 医療側の方が圧倒的に多い、半分以上になるわけです。これからの精神医療というのは、 ある程度オープンに、公開していくという中で国民的な、ある意味のコンセンサスをと っていくというか、やはり圧倒的に医師の多い中で非公開で議論するということは、ま た、そういうふうな誤解を招くこともあると思うので、ある程度オープンにしていくべ きだというふうに思います。  ただ、きちんとした専門的な議論ができないということは恐れますので、その辺の裁 量は座長にお願いしたいと思います。 ○吉川座長  それでは、マスコミの方々に、こちらの方でおいでいただくことに対しては拒否をし ないという、マスコミ公開と言われているものまでは、私は進めていきたいと思ってい ます。  その上で、今、西島先生から言われましたように、一部の発言だけを取り上げて、そ して、マスコミの方々が、殊さら大きく書き立てるようなことのないように、座長の方 で、その発言を記事にするときにはできるだけチェックをさせていただくということで まとめさせていただきたいと思いますけど、いかがでございましょうか。                (「はい」と声あり) ○吉川座長  もし、よろしければ、それでこの問題について終わらせていただきます。  それでは、公開の問題については、その形で進めさせていただきます。  では、次は、きょうのテーマでございますけれども、中村補佐からお願いいたします。 ○中村補佐  それでは、早速ご審議いただくところに入りたいと思いますけれども、本日、閉鎖処 遇の基準についてご審議をいただきたいと思っております。それに当たりまして、資料 4をごらんいただきたいと思いますが、閉鎖処遇について、これまでどのようなご意見 等をいただいてきたかという経緯をまとめたものでございます。  昭和62年の改正のときに、任意入院患者については原則として開放処遇によるべきで ある、という方針が出されております。  その5年後の改正のときに、精神病院において、開放処遇を適当とする者については、 開放処遇とすること。この場合、開放処遇の概念を明確化すること、ということが示さ れております。  こういう流れの中で、今回の改正が行われたわけでございますが、実態といたしまし て、任意入院患者について、開放的処遇が望ましいという原則については、ある程度理 解が得られていると考えられますが、実際には、任意入院患者でも半数程度の患者しか 開放的に処遇されていない状況があるという実態がございます。  これは、資料といたしまして、参考資料1の5ページをお開きいただきたいと思いま す。グラフが2つございますけれども、この下のグラフ、入院形態別に閉鎖処遇、個別 開放、8時間以上開放という数字がございますが、この任意入院患者について閉鎖処遇 が45.7%という数字を指してこの意見があるということでございます。  それを踏まえて、さらに実態として、任意入院患者とその他の入院形態による入院患 者が同じ病棟に混在している。  精神病院の医師、看護婦スタッフの員数不足により開放処遇ができない。  開放処遇に対する理解が、医師等の医療スタッフ、周辺住民、家族に理解されていな い。という実態がある中で、方向として、閉鎖処遇または開放処遇の概念を明確化し、 法第37条に基づく処遇の基準の中でそのあり方を明確に位置づける、という方向性が示 されるということでございます。  次のページにつきましては、公衆衛生審議会でいただいた閉鎖処遇に関する意見でご ざいます。読み上げさせていただきますと、 3 当面講ずるべき具体的措置等について (1)精神障害者の人権に配慮した医療及び福祉サービスの提供について  イ 精神病院の任意入院患者の約半数近くが閉鎖処遇の実情にあるが、入院制度の趣 旨を踏まえ、任意入院患者は開放処遇とすることとする。しかし、任意入院患者の病状 が悪化した時等、その治療上やむを得ない場合に限り、閉鎖処遇を行えることとするこ と。  このような場合を含め、閉鎖処遇の手続き及び概念を明確にするため、精神保健福祉 法第37条第1項に定める処遇の基準として位置づけること。 というご意見を審議会からいただいたところでございます。 ○吉川座長  というわけでございまして、この専門委員会がまず第一に問題にするのは、公衆衛生 審議会でもこういうふうに言われておりますので、実際に今後新しい精神保健福祉法を 施行していくに当たりまして、開放処遇あるいは閉鎖処遇ということの問題を少し整理 した上で、基準をつくることになろうかと思います。皆様方のご意見を募りたいと思い ますけれども、いかがでございましょうか。 ○山角委員  1つはこの場合、任意入院のということがあるわけですけれども、今までの法の中で、 病院の管理者はできるだけ任意入院にすべきだという説明ですね。インフォームド・コ ンセントの義務が課されていると。  もう一方では、任意入院者は、内容的には積極的に入院を拒まないものとするという、 割と任意入院を広くとる考え方があったようなんですね。  処遇の問題は別におきまして、現在出ている問題は、任意入院がそのために大分増え てきていることが現実にあるのではないか。そういう中では、任意入院者の中に、やは り症状が不安定なものも相当含まれてきている。そういうところから、これは閉鎖処遇、 開放処遇というより「閉鎖的な処遇」あるいは「開放的な処遇」がその中で分けられて きたのではないか、そういう現実も一方ではあるのではないかと感じております。 ○吉川座長  きょう法律家の先生方がお二人ともお休みなものですから、法律家としてのご判断と いうことはお聞きできないところが少し残念でございますけれども、印象的には、今、 山角先生が言われたようなことを皆さん方はお感じになっておられるとは思うんですけ ど、ほかに何かご意見ございますでしょうか。どうぞ、金子先生。 ○金子委員  確かに任意入院が精神医療の中核をなすものであるという山角先生のお考えにも賛同 できます。また、現在の精神病院の構造からしまして、なかなか全員の任意入院の患者 さんを開放病棟で処遇できないという実情もわかります。ですが、やはり患者さんの権 利を擁護する、人権を擁護するという観点から考えましても、処遇の形態を抜きに精神 医療を考えるというのは、まずいと私は思いますので、閉鎖処遇はきちんと行動制限と して位置づけなければならないだろう。また、入院形態を問わず、やはり開放処遇以外 の、例えば準閉鎖的な処遇、また、閉鎖処遇のいずれかというのを本人にきちんと告知 をする必要があるだろうというふうに考えておりますし、また、その結果は診療録・カ ルテに記載すべきだろうというふうに考えます。  以上です。 ○吉川座長  今のお考えに、山角先生何か。 ○山角委員  基本的にはやはり金子さんが、今「告知」という問題がありましたけれども、これは 非常に大事なことで、あなたに対してはどういう処遇を行いますと、あるいは行動につ いてはどういう形でここでは考えていますということを伝えることは非常に大事なこと だと思うんですね。ただ、いわゆる病棟構造と処遇の問題をイコールで結びつけるとい うこと自体には多少私は反対は持っています。  これは現実的に閉鎖病棟イコール閉鎖処遇である、開放病棟イコール開放処遇である というわけではなくて、いわゆる閉鎖処遇の中にも開放的な処遇を行える、個別の処遇 を行っているという現実がありますから、それをイコールで結びつけること自体には現 場としては余り同意できないなというふうに思っております。 ○吉川座長  同じ現場で浦田先生何か。 ○浦田委員  今の山角先生のご意見に私は原則的に賛成なんですが、と申しますのは、私どもも実 は閉鎖病棟の多いといいますか、閉鎖率の高い病院におります。そのために基本的に今 まで精神保健法下で、任意入院をできるだけ推し進めるようにという精神だと思いまし たので、我々もできる限り、任意入院という方に努力してまいりました。そうしますと、 それでも急性期、重症の方もおりますから、私どもの病院で現在任意入院率は約60%で す。でありますが、閉鎖病棟が多いものですから、実際に任意入院の患者さんが閉鎖に 入られます。  今言われたように、ではそこでどうするかという問題は非常に重要な問題でして、こ の間、それについては我々も現場でいろいろ検討してまいりました。そして、今おっし ゃったように、1つは金子先生がおっしゃったように告知ですか、入院を実際にすると きに、してもらうときに、任意入院であっても閉鎖病棟であるというときがある場合に は、そのことをはっきり申し上げる。もちろん開放に入られる方にも開放だよという話 はします。  それと同時に、入られてからどう処遇するかということについても、閉鎖病棟であっ ても、どういう処遇の仕方があるかということについて、個別の病状によって告知して いくようにしています。  実際に閉鎖病院にあっても、ここに最近「個別開放」という概念が出されていますが、 こういう形で行動、あるいは病棟からの出入りを含めまして、個別にその方の行動の基 準を設けていくというようなやり方をして、閉鎖病棟であっても開放的に行われるよう にはしております。  ただ、こういうことは、1つ危険というか、私などが自分でやりながら危惧している ことは、現場の状況、スタッフの状況によって変わります。例えば、閉鎖に急性期がた くさん入られたときは、同時に入っている任意入院の患者さんの行動の自由に逆に縛り が出てきてしまう。患者さんからの要求があっても即患者さんの行動を、例えば、外出、 散歩に応えられないというようなことも起こります。それから、例えば休日、スタッフ が少ないときにはまたこれが若干どうしてもスムーズにいかないというようなことが起 こりますので、やはりこの辺の問題も含めてきちんとした基準を持ってやっていかない と、こちらの裁量でどうにでもなってしまうというような問題が出てしまうのではない かと思いますので、その点、ここできちんと議論しておくべきだろうというふうに考え ます。 ○吉川座長  ありがとうございました。それについては、山角先生、今議論は余りずれていません ですよね。 ○山角委員  そうですね。 ○吉川座長  そうですね。末安先生、何か、医者とは違ったまた視点で見ていただけますか。 ○末安委員  私は法的な問題とか患者さんとの契約や、告知の問題も重要だと思うんですけれども、 現に長期在院、これだけ活発に医療活動が行われていて、急性期の患者さん対象のSS Tなんかを含めて社会復帰の活動が盛んになってきているにもかかわらず、50%ぐらい が5年以上の入院期間になっているということを同時に考えなければいけないと思って います。閉鎖処遇と閉鎖的処遇、開放的処遇というふうに、建物の構造などハード面の ことは別に考えた方がいいという考え方もあるのですけれども、私はそこはやはり重要 視して、そこにも基準をつくるべきではないかと思います。  というのは、多くの患者さんたちは、法律がどんどん変わって、任意入院にかわって、 自分でもサインをしたけれども、やはり同じように閉鎖病棟にいる。西島さんも危惧さ れていましたけど、言い方が悪いかもしれませんけど、自分たちは死亡退院するしかな いんですよと、今でもここで棺桶に入っているようなものですということを言われる患 者さんがあります。ですから、そこは法的に見て正しい方向、患者さんの任意性という ものが高められてきているというふうに言うだけではなくて、確かに扉も開くというこ とのために、具体的な指導が必要だと思います。  浦田先生が言われたように、きょうは休日だから人手がないからというような理由を 言わないで済むような体制をはっきりつくるべきではないかと思います。 ○吉川座長  その点では、荒井先生。 ○荒井委員  私たちの当事者の願いは、最近は大きな流れとしては、民法改正の中で準禁治産、禁 治産の人たち、特に禁治産の人という類型、今度は「後見」というふうな類型に変わり ましたけれども、その人たちの日常的な生活については、その人の判断に任せていく、 日常的なことについては、いわゆる概念としては、禁治産と言われていた人たちにも自 由を認めていこうというようなことが、法務省で 100年の改革の中で打ち出しているわ けですね。 そういう意味では、当事者の、病的な状況と責任性というのは別の議論をしなければ いけないかもしれませんけれども、基本的に当事者の自己決定と自由が確保されるべき であるというのが1つ。非常に専門的な議論で、こういう抽象的なお話をするのが本当 に申しわけないんですけれども。 障害者と我々は、いわゆる障害保健福祉部に属する対策の中で、障害者として位置づ けられているということで、その中で生活しやすい環境の中で治療を受ける、訓練を受 けるという1つ原則があるかと思うんです。 そんな中で、私どもの資料の中で、医療患者調査では、83年で64%が閉鎖処遇です。 厚生省の調査、古いですけど、93年で60.4%が閉鎖病棟です。ですから、微増で少なく なってきているけれども、我々日本という医療環境の中で、外国から言えば、特別な患 者や状況じゃないと思うので、そういう意味では、やはり原則開放病棟というか、そう いうところで治療を受けたい。そして自立の訓練を受けたいというふうに考えます。 そういう意味では、カギとか鉄格子とか、そういう物理的な閉鎖、言葉はよくないけ ど、見張りというか、許可を受けなければ出られないという、そういう意味での行動制 限ですか、そういうものがあるわけで、ですから、ある意味では段階的にこれを人員な り設備環境の改革も含めて改革していただきたい。そのことに関して、任意入院の人た ちについては、原則開放病棟ということに併せて制度や設備や人員や医療制度そのもの を変えていただきたいと思います。これは原則論として申し上げたのですけれども、根 源的にはそういう考えで議論していただければありがたいと思います。 ○中村補佐 できれば、もう少し事務局で用意させていただいた資料をご説明させていただきまし て、ご議論いただくテーマについては、それぞれご意見いただいているのですが、どの 辺を先生方のご意見としていただきたいかといいますか、細かいところを少し整理をさ せていただければと思うんですが、よろしいでしょうか。 ○吉川座長 どうぞ、構いません。 ○三觜課長 要するに公衆衛生審議会で、先ほど読んだ云々があって、37条の第1項に定める処遇 の基準として位置づけるべきだという公衆衛生審議会の意見があったわけですね。今回、 法改正がありまして、閉鎖処遇、または開放処遇の概念を明確にするとともに、法37条 に基づく処遇の基準の中に位置づけることについて、皆さんは今の議論で、異論がない ということでよろしいわけですね。 ○山角委員  閉鎖処遇と閉鎖病棟という構造を一緒にしないということが原則ありますけれどもね。 ○三觜課長  処遇について、要するに37条の処遇の基準の中に位置づけることについては、皆さん ご異論がないということをまず確認しているわけですね。 ○吉川座長  私の方からだんだんそれはちゃんと確認をとっていきます。 ○三觜課長  その上で次にいくのか。中身にいくわけでしょう。 ○吉川座長  いいですよ、どうぞ。もうそのところは異論ないですねということで、私が先ほど言 いましたので。 ○山崎委員  その辺というのは、建前はわかるんですけど、現実論として、病棟の構造云々という ことはどこで討論するのですか。 ○吉川座長  それはどうして必要ですか。 ○山崎委員  というのは、実際問題として、うちなどの場合は田舎の病院なんですけれども、閉鎖 病棟に入っている本当に閉鎖処遇の必要な患者さんは2割か3割ぐらいですよね。それ で、じゃあ、どうしてそういう患者さんが入ったかというと、本当に長期の難治の分裂 病の患者さんが入っていたりするんですが、そのほかに、私、精神衛生審議会の県の委 員していて措置入院の審査でいろんな民間病院を回りますと、お父さんをナタで殺しち ゃったとか、うちに火つけて、一家全部殺しちゃったとか、それが15年や20年前の犯罪 なんですよね。そういうふうな患者さんがおっかないから出せないと。それで退院をさ せようとすると、近所が押しかけてきまして、頼むから出さないでくれというふうな、 結局ずっとそういうふうな患者さんが長期に病院に入ると。家族も引き取ってくれない といった現実があるわけです。  したがって、どうして閉鎖病棟の処遇がこんなにふうになっているのかというのは、 そういう長期間の、いわゆる本来きちんと公立の医療でもって、処置をするべき患者さ んが、かなりそういった民間病院にたまっちゃっているというふうな現実があるわけで す。したがって、もうちょっとその辺をきちんと整理がつけば、民間病院の閉鎖病棟率 というのがかなり私は下がると思うんですね。 ○吉川座長  今ここで議論していただいているのは、任意入院患者さんの閉鎖処遇というものが本 当に人権上望ましいものかどうかという議論なんですよね。ですから閉鎖病棟をどうす るかとか、開放病棟をどうするかということではなくて、任意入院患者の閉鎖処遇とい うものは本当に人権上望ましいかどうかの視点で考えたときに、今、山角先生と浦田先 生の間で話し合いが出て、そして、現実的には確かに、一方では本当は理想的には任意 入院患者は開放病棟あるいは開放処遇といってもいいですけど、開放病棟における開放 処遇が望ましいのかもしれないけど、それは現実的ではないという議論が今まとまりつ つあるわけですね。 ○山崎委員  そうすると、その辺の議論は、この後でしていただけるわけですね。 ○吉川座長  後といいますと。 ○山崎委員  今、私が話した内容については。 ○吉川座長  この議題ではございません。ここの委員会でその議題を論ずることではないので、そ れは任意入院患者の閉鎖処遇に関してどう考えたらいいかということを専門委員会とし ては委託されているわけですから、そのことを議論しなければいけないと思いますけれ ども、ちょっと閉鎖病棟のあり方とか開放病棟のあり方まで、ここのところで議論する ということは私は超えているように思っています。 ○山崎委員  はい。 ○吉川座長  それではいかがでございましょうか。とりあえずの皆様方、多くの合意といわれます か、そのところで、一体これから先、どういうような基準を設けていったらいいのかと いうようなことを含めて、これから議論していただきたいと思いますけど、事務局の方 で何かお考えがあるようですので、ちょっとその説明を受けてから、また議論していた だきたいと思います。 ○中村補佐  それでは、資料5をごらんいただきましてご説明させていただきたいと思います。 (検討ペーパー)というところでございます。 1 目 的 (1)任意入院患者の処遇については、 1開放病棟において開放処遇を受ける場合、 2 閉鎖病棟において開放処遇を受ける場合、 3閉鎖病棟において閉鎖処遇を受ける場合等 に類型化される。 1が基本である中で、現実的には 2及び 3の処遇も行われている。 (2)任意入院患者は開放処遇を原則とすることが望ましいが、先ほど申し上げました ような実態にあるということでございます。 (3)今回の法改正に先立って開催された公衆衛生審議会においても、この点に関して、 任意入院患者の約半数が閉鎖処遇の実情にあるが、 1任意入院患者は開放処遇とするこ と、 2治療上やむを得ない場合に限り、閉鎖処遇を行えることとすること、 3その場合 を含め閉鎖処遇の手続き及び概念を明確にするため、法37条第1項に定める処遇の基準 として位置づけることの3点を、当面の具体的措置として講ずるよう意見具申されてお ります。  ここで言う、処遇でございますが、先ほどの参考資料をまたごらんいただきたいと思 うのですが、精神保健福祉課の方で、先ほどごらんいただいたグラフの統計をとってい たわけでございますけれども、6ページをごらんいただきたいと思います。  この統計のとり方についてご説明させていただきたいと思いますが、「8時間以上開 放」というところにつきましては、出入口に施錠しない時間が1日のうち8時間程度以 上の病棟数と、これらの病棟の合計病床数、ということでカウントしてございます。  また、「個別開放処遇」につきましては、出入口に施錠しない時間帯を設けているが、 1日のうち8時間程度未満の病棟、又は、原則として終日出入口に施錠をしているが、 その病棟の入院患者の概ね半数以上は、本人の申し出により主治医等の判断によって日 中は自由に外出できるようにしている病棟数、又は病床数。  「終日閉鎖」につきましては、1日24時間出入口を施錠している病院で、上記の「個 別開放処遇」に該当しないものという整理でまとめたものでございます。  こういうことで一応統計をとらせていただいているということでご理解いただきたい と思います。  それと、次の参考資料2をごらんいただきたいと思いますが、先ほどから第37条第1 項の規定に基づく基準ということで述べさせていただいていますが、その原文でござい ます。構成といたしましては、第1に基本理念、第2に通信・面会について、第3に患 者の隔離について、第4に身体拘束についてということで、それぞれまとめられてござ いまして、行動制限を行う際に具体的にどのような考え方に基づいて、また、どのよう な遵守事項を持っているかということを具体的にこのような形で記載をしているもので ございます。  このような形で閉鎖処遇についても、具体的に基準として位置づけたらどうかという ことでご審議をいただくということでございます。  資料5に戻っていただきまして、先ほどの1ページでございますが、これを受けまし て、この処遇の基準というものがどのようなものか、その手順、例外規定等についてご 検討いただくと。  これを受けまして、第37条第1項に基づき、入院患者の開放処遇あるいは閉鎖処遇に ついての基準を設けまして、その厳格な運用のための手順を規定したいというのが目的 でございます。  続きまして、次のページをごらんいただきたいと思いますが、現行の基準を踏まえま して、閉鎖処遇の基準について、どのような形でまとめいったらよいかということにつ いての事項の整理でございます。 2 処遇の基準 (1)処遇の基準を規定する場合に、閉鎖処遇の基準を規定して、それ以外の場合を開 放処遇とみなすか、あるいは開放処遇の基準を規定して、それ以外の場合を閉鎖処遇と みなすのが適当なのかを検討する必要がある。(閉鎖処遇を決めるか、開放処遇を決め るかということでございます)。 (2)開放処遇を基準として定める場合 ・開放処遇の定義をどうするか。(基本的に通常の生活時間帯に自由に出入りができる 場合を開放とする等)という規定の仕方があるかと思います。 ・一般病床における治療上及び病院管理上の制約と、精神病床における処遇をどのよう に整理するか。(治療協力をするというか、医師の指示の従うという範囲内で、一般病 床においても、そういうふうな出入りの制限があり得ると思いますが、そこの制限と精 神病床の処遇のあり方の整理をどうするか)。 ・出入りできる範囲をどうするか。(病棟内外又病院外まで。区域の問題もあるかと思 います) ・病棟構造を規定するか(原則開放病棟とするかどうか) ・対象となる患者の範囲をどうするか。(原則として任意入院患者という入院形態を規 定した形で基準を定めるかどうか。 (3)閉鎖処遇を基準として定める場合 ・閉鎖処遇の定義をどうするか。例えば「出入口が常時施錠され、自由に出入りが出来 ない場合」等。 ・閉鎖処遇を行う基準(状況)については、どのように規定すればいいか。例えば、任 意入院患者がどのように変化した場合とするか。(危険が及ぶ可能性がある時、他の手 段がない時、病態の変化が激しい時等)。 ・対象となる患者の範囲をどうするか。(任意入院患者が急性増悪した場合等というこ とで規定をするかどうか)。 ・その他。  その他あると思いますが、そういうところをご審議いただく点かなと思います。  次に3ページごらんいただきたいと思います。 3 手続きについて(ご検討いただいたらどうかという項目でございます。) (1)処遇が確実に行われるための条件等  ・病棟の出入りに係る手続きについては、一般病床の手続きと同じとするか。(出入 りの自由ということがありますが、その際、病棟管理者への周知、看護婦に口頭で伝え る、外出簿への記載協力等を求めるということがあるかと思いますが、そういった規定 をするかどうか)。 ・また、これらの規定について何らかの義務規定を設けるか。 ・こうした出入りの自由が保証されているということについて、どのように保証・点検 するのか(掲示、報告、指導、検査等)。 (2)処遇変更の決定、継続、解除等の手続きの規定 ・開放処遇から閉鎖処遇への移行(どのような基準でだれが患者の病態の変化へ対応す るか、制限期間を何日とするか、入院形態の変更をどの時点で行うか、指定医がいない 場合にはどう対応するか、処遇する場所等)。 ・閉鎖処遇を決定した場合等、その後の解除規定をどうするか。 (例えば、○○日(時間)毎に、医師が解除の要否について、判断するというような要 件を入れるかどうか。または、任意入院における退院請求及び応急入院の例を参考とし ながら72時間という数字がございますが、こういったものを参考にするか等)。 (3)処遇変更の決定はだれが行うべきか 4 遵守事項及び例外規定 (1)どのような遵守事項を盛り込むか これは他の行動制限に必ず盛り込まれているところでありますけれども、 ・制裁や懲罰、見せしめのために行われてはならない。 ・患者への告知 ・診療録への記載 ・その旨の院内掲示等 ・その他 (2)ペナルティ等は必要か  ここは具体的には書けないかなと思いますが、こういうこともご議論いただきたいと 思います。 (3)どのような例外規定を設けるか ・任意入院患者本人が閉鎖処遇を希望した場合 ・感染症対策等一般医療上「隔離」が必要な場合、この規定の中に入れるかどうか。 ・その他  こういう基準等についてご議論いただくわけですが、最終的な位置づけといたしまし ては、 5 その他  この処遇の基準について、先ほど参考資料2でごらんいただきました基準の項目の中 の1項目として設ける。位置づけとして「第1 基本理念」、「第2 通信・面会」、 「第3 患者の隔離について」、「第4 身体的拘束」、その後に設けてはどうかとい うようなところでご議論いただければということでございます。 ○吉川座長  どうもありがとうございました。  ちなみに、こうした下議論として、私もいろいろと参考の意見を申し上げてきました し、今、役所の方からご説明をいただきましたけれども、かなりこのことに関しまして は一緒に議論をした結果、ここに提出してあります。  したがいまして、先ほど、まずオープンに議論していただきました、その内容もこの 中に盛り込まれていると思います。以降、あとはここのところをどうするかということ をできるだけ具体的な形で議論を進めさせていただきたいと思います。資料その他もま た参考にしていただきますが、とりあえず、先ほど読み上げてもいただきましたけれど も、私たちがこの専門委員会の中で議論すべき内容は、この1の「目的」のところにあ りますように、開放病棟において開放処遇を受ける場合、閉鎖病棟において開放処遇を 受ける場合、閉鎖病棟において閉鎖処遇を受ける場合、任意入院患者に今3つの類型が あるとして、現実的にどれが望ましいのか。理想的なことではなくて、現実的にはどれ が望ましいのかということを議論して、たまたまそういう議論になったのだと思います。  そこでいきますと、目的、(1)の 2閉鎖病棟において開放処遇を受けるということ があり得るという、そこから考え方を進めていかなければいけないのではないかところ までは、皆様方の合意が得られたかなと、こういうふうに思っているのですけれども、 それでよろうしゅうございますか。 ○山角委員  もちろんこれは当然ですけど、開放病棟における閉鎖ということもあり得るとは思う んですね。これは医療上、もちろんインフォームしてということになりますけど、ただ、 今回の問題は、やはり 2だと私自身も思います。 ○吉川座長  わかりました。1の目的の(2)のところは、その延長で書いてあることでございま す。審議会で云々で、こういうふうにやっているというのがこの説明でございますので、 したがいまして、目的のところは、そこで飛ばしていただいて、2枚目のところの「処 遇の基準」のところをちょっと見ていただきたいと思います。処遇の基準のところでは、 ここにも書きましたように、どういうふうに決めるか。すなわち開放処遇とは何か、閉 鎖処遇とは何かという考え方、まず、それをどちらにした方がいいかのご意見を少し承 りたいと思いますけれども、松原先生よろしゅうございますか。このところで。 ○松原委員  今のご指摘のところについて議論する前に、最初の資料5の1ページの(1) 2のと ころ、先ほどからの議論の中で、 2のように「閉鎖病棟において開放処遇を受ける場 合」というものを、医学的に認知するという話と、それから、現実に幾つかの病棟構造 とか、そういった理由があるために、事実上、そういう場合が存在するということが2 つあると思うんですね。この議論をする多分前提で、医学的に 2というのがあるのだと いうことがないといけないのではないか。ここを区別して、次のページのところに入っ ていきたいなということでございます。  私自身の意見は今のところないのですが、議論の前提というものがそこにあると思い ます。 ○吉川座長  その辺のところは、先ほどちょっと議論が出たところではありますけれども。 ○松原委員  私自身はその辺の議論が理解はできてないんですけど、医学的にそういうものがある のだということがきちんと必要なのではないかと思います。 ○吉川座長  そうですか。その辺のところ何か浦田先生ご意見ありますか。 ○浦田委員  私は医学的にも任意入院患者さんの閉鎖処遇があり得るのだろう。ただ、閉鎖処遇の 程度を考えるんですけれども、どの程度までを閉鎖処遇と考えるかによって若干違って くると思いますが、少なくとも、例えば、自由に棟外に外出して、自分の自由意思によ って行動することができるということが制限されるような行動の中に任意入院の患者さ んが入りうるということは私はあると思っています。  それは、今までの私どもの任意入院の考え方でいいますと、ある程度患者さんが自分 で入院するという意思をお示しになれば、任意入院が成立するのだというふうに今まで 考えておりました。その点で、今度実は法改正で若干ここはちょっと考え直さなければ いけないと思っています。医療保護入院の方のちょっと定義が変わりましたので、医療 保護入院については、今度のたしか33条の改正で、「医療及び保護のための入院の必要 がある者であって、当該精神障害のために第22条の3の規定による入院が行われる状態 でないと判定された者」なんですが、こうやって医療保護入院の規定が変わりました。  ということは、私、今までの任意入院に対する考え方も変わってくるというふうに私 どもは受けとめております。私の方は、少なくともやはり任意入院は若干狭くなったと いうふうに受けとめております。  でありますので、従来の任意入院の考え方では実はあったのだと思っております。こ ういうことは、例えば、急性期の患者さんでも自分が治療をしなければならない。かつ 急性期ですので、少し我々予測不能の事態が起きると、行動上の問題が起きる可能性が ある、というような場合に、私どもは閉鎖病棟に入院されるようにお勧めし、そして閉 鎖病棟に入院していただきました。  それから、あるいは治療の枠組みとして、やはりそういう閉鎖的な環境が、その方の 治療に望ましいと。例えば、実は最近増えてきて、私ども正直言って、治療方針を今立 てる上で非常に頭の痛い境界型人格障害というような群の方がいらっしゃいます。それ から、私どもが最近抱えている問題では、やはりそういう人格的な問題があるように思 える、いわゆる摂食障害の方など、こういう方々は割に、かつては私ども古い考えでは、 分裂病の辺縁にある方々だと思うんですが、こういう方々の治療には閉鎖的な枠組みが、 患者さんの治療を進める上で重要ではないかというふうに考える方々がございましたの で、こういう方々には、本人に任意入院のときに、そういう病棟に入院して治療した方 がいいし、一時的には出ない方がいいから、行動の制限させてもらうよというようなこ とで、それで本人も了解と。ざっくばらんに言えば、まあまあいいやくらいで入院して いただくというようなことがございました。  今回の医療保護入院の規定の変わり方で、少しそういう考えでこちらが治療を進めな ければならないときに、患者さんとずれが起きた場合、これは今までの任意入院の考え 方で進めていいというふうにはちょっと考えられなくなったので、絶対にさっきから出 ているように、医学的根拠があるや否やと言われると、ちょいと後退せざるを得ないの ですが、やはりあり得るのではないかと思っております。 ○吉川座長  ありがとうございました。 ○西島委員  今の浦田先生の話に私もそう思うんですけれども、やはり医者の専門性といいますか、 それと患者さんとの信頼関係、この2つを考えてやらないと、特に精神科の場合はこの 信頼関係が非常に大きいんですね。それを最初任意入院にして、何かあれば、これをま た閉鎖といいますか、医療保護入院に変えるというふうになりますと、これは信頼関係 なくなる話でもあるんですよ。  そういう意味で、やはり医師がきちんと、この人は閉鎖処遇がいいのだというふうに 考えた場合には医療保護入院として、また、任意入院としても閉鎖処遇として、そうい うふうに患者さんをきちんと納得してもらうと、そういう役割は持たなければいけない だろうと思います。 ○吉川座長  どうぞ、金子先生。 ○金子委員  確かに個々の精神疾患・精神障害の病状と処遇の関係を論議しますと非常に細かいこ とになると思うんですが、先ほど松原先生が言われたのも十分私にも理解できますけれ ども、ここで決めるべきは、閉鎖処遇が、今、浦田先生がおっしゃったような場合でな い、論外に例えば長いこと閉鎖病棟内で過ごさなければならない患者に対してどうして いけばいいかということを検討するのが先決だろうと思っています。例えば、任意入院 であっても、長期間閉鎖病棟外へ出たことがない患者さんが実際におられるわけですか ら、そういう方々の人権を確保するような対策を練るのが先決だろうと思います。  それから、西島先生がおっしゃったこともわからなくはないのですが、ただ、入院形 態を切り換えると医者と患者さんの信頼関係にひびが入るとは私は思いません。きちん と治療構造ができていれば、入院形態の変更もきちんと告知をした上で、私は実際には しております。  以上です。 ○吉川座長  西島先生は1つの例に挙げられたことだと思いますが、いずれにしましても、ここで 議論していただくのは、繰り返しますが、任意入院患者さんの処遇を人権上望ましいも のにするということが大前提ですので、その前提の中で、それでは任意入院患者さんは すべて任意なんだから、行動制限をするべきものでもないし、したがって、閉鎖病棟に 入れるというのはおかしいという考えがあるわけです。それに対して、ある程度の回答 を準備しながら、現実に合わせていかなくちゃいけないというところが、この議論でご ざいますので、したがいまして、今、開放処遇とは何か、閉鎖処遇とは何かということ を考えていただこうとしているのはそのためでございます。  ですから「開放処遇」という言葉で1つくくっていけば、こういうようなくくり方があ るだろう。それが任意入院患者の開放処遇ということに本当に当たるのかどうか。実際 にそれが適切な表現になるだろうかということを考えていただければと思っています。  そこで、今の処遇の基準のところに戻りますけれども、「開放処遇を基準として定め る場合」と書かせていただいたそこが、開放処遇の定義をどうするのかということで、 先ほど調査の段階で申し上げているようなものは、これは24時間出入り自由とこういう ふうになっているわけですけれども、仮に自分の自宅にカギをかけないで夜寝る人は余 りいませんので、カギをかけて寝るなんていうことを絶対しないような精神病院をつく れということになると、これはかなり問題があります。ですから、それも現実的ではな いですね。実際に24時間全開放でなければいけないというふうに決めること自体が現実 的ではないとすれば、一体どういうような決め方が開放というものに当たるのか。こう いうふうに考えていかなくてはいけないわけですね。  調査上は確かにこういうふうに言っていますが、現実的にそういう病院が、開放病棟 と言われているところで、24時間全開放ということがあり得るのかどうか。私が自分で 病院にいましたので、それは必ずしもそういうふうには受け取れないですね。 ○中村補佐  先ほどのご説明をもう一度繰り返させていただきますと、8時間施錠していないとい うことであれば開放。 ○吉川座長  それはまたちょっと別の話で、そこから先ですよ。  今、ちょっと中村補佐が言われたように、それでは、実際に日常生活時間帯、8時間 という時間帯を考えるのか、日常生活時間帯というのは、例えば入院患者さんが外へ出 て行くのが6時とか7時とかということだってあり得るわけで、例えば、働きに行くな んていう人が中にはいれば、そういうことだってあり得るわけです。そういうふうにな って、夕方も、5時、6時、あるいは7時、8時という時間帯に帰ってくるとなると、 8時間ということだけでは済まない場合もありますね。  ですから、いろんな開放という概念が出てくるだろうということで、一体それでは任 意入院患者さんが開放処遇を受けているというときに、どの辺のところをめどにしたら いいのだろうか、こんなふうに考えていただければ、この2の(2)のところが議論が できるのではないかと思っています。  そして、ここにも書きましたように、出入りできる範囲をどこまでにするのか。病棟 構造で決めちゃうのか、そうではないのか。病棟構造で規定するかどうかということは、 先ほどからご議論の中で、既に一応結論は出ていると思います。こんなこともここに書 かせていただきましたのは、恐らくこういうことが問題になるだろうと思ったので書か せていただいています。  それから、対象となる患者の範囲をどうするのか。それの掲示の方法をどうするのか。 この人は閉鎖病棟の中に処遇をしている任意入院患者だけれども、しかし開放処遇を行 っているという、それを明確に何かする方法があるのか、あるいはそれをどういうふう にすればいいのかなんていうことも考えなければいけない。その辺のところが、今回基 準を決めていくというところになると思います。その裏返しが閉鎖処遇の問題でありま して、閉鎖処遇というものをどういうふうに決めるかということ。  いかがでございましょう。 ○松原委員  よろしいでしょうか。 ○吉川座長  どうぞ。 ○松原委員  先ほどの意見と若干関連するのですけど、次の論点として、任意入院患者の閉鎖処遇 について検討する場合に、閉鎖病棟における開放的処遇を基準としていくのか、どちら かを選択するかになった場合、医学的に閉鎖病棟において開放的処遇を受ける必要があ るというものが明確になれば、開放的処遇でない人は「患者の権利を守る」という観点 からいくと、任意入院患者の閉鎖処遇をまず基準化とするというような発想になってい くと思うんですね。  一方では、閉鎖病棟における開放的処遇というのは、これはいろんな医学的な判断以 外のもの、さまざまなケースが混在しているという意味で、少し言い過ぎですが、妥協 的な部分があるのだろうということから、医学的な議論がかなり煮詰まっている必要が あるのではないか。それが明確になっていれば、閉鎖処遇を基準として、できるだけそ れを制約して、それで患者の権利を守っていくと。  一方で、現実的な妥協をどうするかという問題を次に考える。そういうプロセスの議 論の仕方があるのではないかと思います。 ○三觜課長  今、松原さんの意見聞いていて、1ページ目の「目的」のところの 2の議論だったの か、(3)の方の 2の「治療上やむを得ない場合に限り、閉鎖処遇を行えるとするこ と」の議論だったのか、閉鎖病棟において開放処遇を受ける場合、前者で医学的にこう いう場合があるということを尋ねられたんですか。 ○吉川座長  私はこういうふうにお聞きしました。少なくとも基本的なところは、既に昭和62年の 法改正からずっと続いていて、任意入院患者は開放処遇を行うということを前提にして きているわけですから、それは当然それをお認めの上で、やむを得ず閉鎖的な状況の中 で処遇をせざるを得ないケースがいる。そして、そのケースは医学的なバックグラウン ドがあるかどうかということを松原先生が言われていると思っていますけど。 ○松原委員  そのとおりです。 ○吉川座長  大体そういうふうにお伺いしていますので。 ○三觜課長  (3)の 2のことを言っているわけですか。 ○吉川座長  ちょっと待ってください。そこでは見ていませんので、私の頭の中でそういうふうに 整理しているわけですから。 ○三觜課長  発言を聞いていると、(1)の閉鎖病棟において開放処遇を受ける場合は、医学的に こういうケースというのはあるんですかと、発言されているので、(3)の 2の「治療 上やむを得ない場合に限り、閉鎖処遇を行えること」と混同されて議論されているんで はないかという。 ○松原委員  (3)の 2というのは、私が読む限りでは、やむを得ないというのは、医学上、そうい うふうに判断した場合に限りというふうに今のところ理解をしているんですけれども、 そうやって制約すると「限り」ですから、相当厳しいなという感じがありますね。現実 に閉鎖病棟で開放的処遇として、何となく残ってしまっている人たちのことは、私の理 解では(3)の2に含まれていないわけですから。医学的な規定以外。 ○末安委員  例示できたりしますね。こういう例、こういう例、こういう例と。 ○松原委員  そういうものを次のステップで、技術上、基準として考えていくというのが必要かと 思いますけど、私は、臨床を実際やってないのですけど、そういうプロセスの発想でい くと、閉鎖処遇を基準として次のステップとして閉鎖病棟における開放的処遇は、そう いう幅のある、また裁量の部分と考えられるのではないかというのが私の見解です。 ○吉川座長  確かに三觜課長が心配されたのはそこですよね。 ○三觜課長  はい。 ○吉川座長  まさにそこですね。それがちょっと逆じゃないかと私は思っているので。 ○浦田委員  さっきからの議論の中で、医学的な根拠で閉鎖に入る。それも了解のもとで入るとい うのと、現実には実は開放病棟がないから閉鎖に入るのだという、この2つをごっちゃ にしちゃいかんと思うんです。治療上必要で入るときも、もちろんそうなんですけれど も、やむを得ずも、そういう場がないから入るというケースが我が国では非常に多いの ではないか。  私、実はつい最近ある病院を見せていただいたのですが、その病院は 156床で、何と 150床までが閉鎖なんです。そして、百五十何人入院している患者さんの、実は措置と医 療保護入れて十数人、あと全部任意なんです。しかし、多分そこの病院の現在の構造上、 マンパワーの上、今のところ、それをどうにもいじれないという状況になっているのだ と。こういう現実は結構多くて、やはりこういう中で任意入院患者さんが結構いるとい うことを前提にして、私はそこに何らかのきちんとした歯どめと、そこで処遇すべき基 準を今日暫定的に決めておかないと、任意入院患者さんが閉鎖病棟で非常にあいまいな、 そして任意入院らしからぬ処遇を受けてしまうという問題があるから、ここのところを きちんを整理しなければいけないのかなと思って、さっきの議論は私少し考えていたん ですけれども。 ○松原委員  したがいまして、私の主張は、今の浦田先生と基本的な考え方は同じなんだというこ とで、ちょっと議論がふくそうしているので、つまり、やはり医学的な判断によって閉 鎖処遇というのは明確化すると。で、その後の問題はいろいろ議論あると思うんですが、 現実的にいろんな出入りの範囲とか開放の定義をするとか、そんなものが付加されてく るだろうと、そういう発想で基準を決めた方が患者の権利をむしろ守られるのではない かというふうに考えております。 ○吉川座長  そこであれば、三觜課長大丈夫ですね。 ○三觜課長  はい。 ○吉川座長  先ほど閉鎖処遇を基準とするというような言い方をちょっとされたものですから、そ れで皆さんちょっとわからなくなったのだろうと思うので、そうではなくて、開放処遇 というものがもともと任意入院患者については、それが基準といいますか、それが当た り前のこととしてあった上で、医学的な問題があるときには、閉鎖病棟の中における閉 鎖処遇もあり得るという、そうした段階をどういうふうに決めていくかということだと 思うんですけれども、そんなことでよろしゅうございますか。合意が得られれば、そこ から先へ進まさせていただきたいと思います。 ○浦田委員  しつこいですが、そうするとそれ以外の閉鎖病棟に入る入院患者さんについては議論 されないんですか。 ○吉川座長  今、これは任意患者さんの閉鎖処遇ですから。 ○浦田委員  任意入院患者ですか。 ○吉川座長  はい。 ○浦田委員  閉鎖処遇じゃなくて、閉鎖病棟にやむを得ず入られる任意入院患者さん、例えば、そ の病院に開放病棟がほとんどないからと。開放病棟数が少ないからとかという理由で入 られる任意入院患者さんについては何ら縛りも基準も設けられないのかというのが私の 聞いているところなんです。やむを得ず、そういうことがあれば、それはきちんとした 何らかの制限なり、そのとき処遇の基準というのを、たとえ閉鎖病棟であっても、こう いうように開放的にしなさいというような基準がないと、さっき言ったように、こっち の都合で日曜日だとか、今忙しいとかということで、処遇が変わってしまいやしないか ということが、私のやはり問題ではないか。 ○吉川座長  そういうふうに先ほどからの議論の流れはないと思いますけれどもね。全然ないと思 いますけど。 ○三觜課長  やむを得ず閉鎖病棟に入れる場合の開放処遇について、ここで今議論をしようとして いると思います。 ○吉川座長  だから病棟構造で話をしないと言っているのはそこのところでして、病棟構造で話を しているわけではなくて、その任意入院というケースに関してどういう処遇を行うかと いう話をしているので、それが閉鎖病棟であろうと開放病棟であろうと問題は同じこと なんですね。ただ、開放病棟の場合には出入り自由、少なくとも人身拘束をするという 状態にはないから、閉鎖病棟の中にいる場合の閉鎖処遇、すなわちどうしても閉鎖処遇 をしなくちゃいけないケースは一体どういうときなのかということを議論していただい ているわけで、ちょっと違うような気がするんですけれどもね。 ○松原委員  ですから、そういうふうに、2ページの議論をする場合に両方が入ってくる危険性が 常に存在するんですね。だから、まず、医学的にやむを得ない理由で閉鎖処遇するとい うものを明確にすべきであると、簡単に言えば、そういうことです。 ○吉川座長  そうすると2の(3)から議論しろという話になりますか。 ○松原委員  私の意見はそのとおりです。 ○西島委員  今回、問題になっているのは、まさしく座長がおっしゃっているように、任意入院患 者が閉鎖病棟に入って閉鎖処遇を受けていると、ここが問題になってきているんですね。 ですから基本的にやっぱり任意入院患者は、開放処遇でなければいかんと。例えば、閉 鎖病棟に入っていても開放処遇でなければいけないと。だから、開放処遇の定義をつく っていくこと。それから、任意入院患者であっても、必ずしも原則、開放処遇でなけれ ばいかんということでないんだということですね。それはまさしく医療的な、治療的な 場合によっては閉鎖処遇もあり得ますというような話でくくっていった方がいいのだろ うと思います。  まさしく座長がおっしゃっていることだと思うんですけれども。 ○吉川座長  そうすると2の(2)と(3)の議論が少し出てきて、少し明確になってきたような 気がしますけれども、どうしましょうか。2の(2)のところ、開放処遇を一応決めな がら、その中で任意入院患者の処遇の基準を文章化していくという方法。  それから(3)の方、すなわち閉鎖処遇というものはどういうものを言うかというこ とを決めながら、こういう処遇を任意患者にしてはいかんというような、そうしたこと なのか。あるいは例外的にはこういうときは閉鎖処遇をすることができるというふうに 文章をつくっていくか、恐らくその2つになるだろう。結果は同じだと思うんですけど、 ただ、攻め方がそういうふうになるだろうと思います。 ○松原委員  したがいまして、攻め方として一種の提案ということになるのですが、(3)の方は、 医学的な議論で完結させて、(2)において、開放処遇という状況はどんなもの かという定義をするという、全然異質の議論だと思うんですね。だから、そのような段 階で議論をしたら整理しやすいのではないかと思います。  閉鎖処遇の定義というのは、開放処遇の定義をすることによって多分おのずと決まっ てくるのではないか。 ○吉川座長  それはそうだと思いますね。事務的にどうですか。 ○三觜課長  どちらでも。 ○吉川座長  大変難しそうだったですよ。一緒に相談をしているときは。 ○荒井委員  この議論はここでもう終わるんですか。2時間というか。 ○吉川座長  一応最初のところで手順をお話をしたとおりでございます。 ○荒井委員  資料なり、いろんな提案が、きょう配られたわけですね。私の準備が足りないのかも しれませんけれども、かなりきちんとメンバーを含めて意見を反映したいとも思うので、 きょうこれでこの問題は終わりだということであるとすると、後からでも意見が出せる かということですね。  それから、法改正のときに、当然だと思うんですけれども、医師の裁量権というか、 そういう形の中で、この処遇なり、こういうものも決めていくというようなことがあっ たかと思うんですけれども、末安委員がおっしゃったのは、そのままのとり方をしてい るかどうかわかりませんけれども、やはりいろんな制限なり規定なり、個々の裁量権だ けではなくて、ある程度のガイドラインをつくっておくべきだろうというようなことで あれば、少しそういう意味では、今回でこの項目は終わりだというよりも、もう少し検 討する必要があるのかなというような感じもいたします。 ○吉川座長  確かにそういうことがあると思います。もちろん、きょうこれで議論は終わりという のでなくて、例えば、これで皆様方のご議論をいただいた結果をどういうふうに集約し て、次の機会にまずはお示してご納得をいただくかどうかということがあると思います。 ここでは文章化できませんので、当然文章化をした上で、皆様方にご納得いただくよう な文章化ができるかどうか。それは次回のときに、またご相談をいたします。  ですから、これで全部議論が終わって、後は事務当局に全部任せちゃうというつもり は毛頭ありませんので、そこはご心配いただかなくてもいいわけですけれども、ただ、 どうしても、この作業を進める手順として、10月あたりがリミットでございますので、 それまでの間に、この議論をもっと深めたいということで別途また会を設けなくてはい けないとなると、皆様方にまた大きなご負担をおかけしますので、できたらば、きょう こういうふうにフリーにディスカッションしていただいているものを、事務当局も私も 含めて集約させていただいて、その上で考え方として出ささせていただければと思って います。  それで、事務当局どうですか。そんな議論の進め方で。 ○三觜課長  私どもとしては、せっかく皆様方専門の方にお集まりいただいているので、考え方の基 本的な整理は皆さんにしていただきたいし、文章は私どもがそれに基づいてつくり、そ れを次に示すわけですから、きょうは考え方を、これは論点は幾つかありますから、そ こだけを。 ○吉川座長  わかりました。ご理解いただけたと思います。  先ほどの「処遇の基準」の(2)と(3)のところで、開放処遇を基準として定める 場合には、こんな問題があるだろうというのを羅列してみましたけれども、これ以外に 何か開放処遇に関して問題点があれば、お知らせいただきたい。  そして、同じように(3)のところで、閉鎖処遇を基準とする場合にはこういうこと も注意しろ、あるいは文章化の上でも、こういうものも考えてみたらどうかというよう なご提案があれば、それをいただきたいと思います。もちろん我々も思いつきといって も、いろんなことを考えながら、これだけにさせていただいていますけれども、ほかに 何かあれば。 ○金子委員  (2)の開放処遇を基準として定める場合の定義できる範囲をどうするかという点に 関しましては、開放処遇が任意入院者にとっては原則であるということを考えますと、 病院の敷地内だけで開放的に過ごしているというのも、どうも一般の方の理解を得られ にくいと思いますので、単独で病院敷地外へ出れるというのがやはり条件になってくる のではないかというふうに考えます。  それから、原則として、やはり開放処遇を基準として、そうでないものを閉鎖的な処 遇、中でも、ただやむを得ずという場合には、準閉鎖的な処遇ということで位置づけて、 その準閉鎖的なものに関してを、ある程度の縛りをこれから決めていただくというのが よろしいのかなと。当然ながら閉鎖処遇を延々というのが任意入院の理念に反するもの ですから、それは認めらないということになるのではないでしょうか。 ○吉川座長  今の(3)のところの閉鎖処遇の方については、金子先生、何かこれ以外の条件とい いますか、問題点をご指摘いただけますか。 ○金子委員  点の2番目、「閉鎖処遇を行う基準(状況)については、どのように規定すればいい か」ということですが、医学的な確かに規定は必要だと思うんですけれども、例示がで きればベストだとは思います。というのは、例示以外のものに関しては、原則、だめだ ということになりますので、限定的な運用という点ではよろしいのかなというふうに思 いますけれども、危険が及ぶ可能性がある、他の手段がない、病態の変化が激しい。ど れも任意入院という入院形態がどうもなじまないのかなというふうに私は印象としては 思います。 ○吉川座長  これを考えた者としては、一過性という考え方がありまして、任意入院を医療保護入 院に切り替えるまでのものはないという、その範囲で、例えば、その時間帯から見て、 数日間ということでおさまりそうなときはというような、時間限定的な意味を頭に置い ていますけれどもね。山角先生。 ○山角委員  これは現状として任意入院を主体に考えていますから、任意入院の患者さんの中にも 非常に幅があるように思うんですね。ですから、余り例示で縛りつけ過ぎちゃうと、こ れは今度、その例示以外はだめよということになりますから、やはり医師の裁量権、治 療上必要だということが大前提になるのではないかと思うんですね。  当然、浦田先生さっきおっしゃいましたように、これから任意入院そのものを少し考 えなくちゃいかんということになってくれば、また、例えば症状が急激に変化する可能 性が少しでもあれば、全部医療保護入院にしなさいと、こういう形に変えていけば、こ れはまた別かもしれませんけれども、やはり私たち治療する場にいる者としては、今ま での前提に沿って、できるだけ本人に納得してもらって入院していただきたい。こうい うこと自体はできだけ崩したくないというところがあるように思いますね。 ○吉川座長  その辺は西島先生よろしいですね。 ○西島委員  当然そうだと思いますし、また、今、精神病院は分裂病の患者さんだけではないわけ ですね。いろんな病態の患者さんが入院して来られていますので、そのあたり柔軟に対 応できるようにしておかないと問題かなという気がします。  それから、実はこれは文献を拾っていましたら、『精神保健福祉法講義』というのが 同志社大学の法学部の教授・大谷實先生が、「任意入院者の処遇」ということで書いて おられて、「任意入院患者も病院内においては医療または保護に欠くことのできない限 度においてその行動が制限される。だから、任意入院者は開放処遇という原則を確立す べきであるとする見解もあるが、これは妥当ではない」。これは法律学者の見解なんで すね。そういう意味で考えていただきたいと思います。 ○吉川座長  きょうは最初に申し上げましたように、法律家の先生方がたまたまお休みでございま すので、その辺のところのご意見を伺うチャンスがないのは残念でございますけれども、 とりあえず臨床的な視点からは、今の議論のところで大体よろしいかなと思っています。  あとは、具体的に次の3ページのところにありますけど、手続論でございます。それ では、原則、開放処遇をする、その任意入院患者に対しても、閉鎖処遇をやむを得ずや るときには、だれがどのようにして決定をするのかとか、あるいはどういうふうに伝え るのか、期間はどういうふうに決めるのかとか、いろいろなことがあると思いますが、 その辺のところでちょっとご意見をいただければと思います。ここをごらんの上で何か ご意見があればいただければなと。どうぞ。 ○山角委員  この場合の行動制限は、従来の隔離とか拘束、そういうものとはちょっと一線を画さ なくてはいけないのかなという気はしております。  もう一点は、例えば、患者さんへのインフォームド、伝えて、そして了解を得られた 場合ということが必ず出てくると思うんですね。ですから、そういう前提があれば、い わば、精神保健指定医その他のものは必要ないのではないか、一般の医師であれば、よ ろしいのではないかと。余り閉鎖処遇を厳密に、先ほど言いましたように、隔離とか拘 束と同じような意味でとらえますと、実際の現場では非常に混乱しますし、実際に治療 がなかなかスムーズにいかなくなってしまうケースも多々あるのではないか。そして、 余り例外を今度いろんな形で設けると、そちらの方が多くなってしまうのではないかと いうふうに思っております。 ○吉川座長  何かまたご意見があればと思いますけれども。 ○三觜課長  今言った内容がわからないんですけど。 ○山角委員  隔離とか拘束というのは、これは精神保健指定医が必ずもちろん要件として出さなく てはいけないですね。 ○三觜課長  ここでの手続きですけど、任意入院患者を閉鎖処遇する場合の手続きについてきちん としましょうということなんです。 ○山角委員  そうですね。だから、それと今回の閉鎖処遇を同じ行動制限ですけれども、同一のレ ベルで考えないでほしいというところがあるんですね。というのは、例えば、こういう 例で言った方が正しいかもしれませんけれども、ある患者さんが来ます。それで入院に 同意なさったと。だから任意入院ですね。だけど、いろんな先ほどの医学的な状況も含 めて、ある程度の行動制限が必要であるという場合に、あなたに対してはこういうよう な、例えば外出はしばらく控えてくださいとか、外泊は少しこの間だめですよと。ある いは閉鎖病棟に入院して、こういうような治療をいたしました。こういう説明をします ね。 それに対して、患者さん自身(当事者)が同意なさる場合、同意してくださっと しますね。これが全部指定医がその業務をしなくちゃいけないかというと、そうではな くて、一般の医師であってもよろしいじゃないですか、手続上ですね。 ○吉川座長  私の問題の出し方が悪かったのかもしれないんですけど、今、三觜課長が改めて言わ れたのは3の手続きの(2)の方ですよね、問題点は。私が提案したのは、3の(2) のところ。3の(1)は、考えてみれば、当たり前のことであって、それほど私は問題 にすべきではないかなという気はしてましたけれども、でも、先ほど浦田先生の方から 話が出ましたように、病院によってはかなり任意入院患者の閉鎖処遇というものが行わ れていて、そして、彼らの処遇に関して、やはり人権上の問題を感知することはたくさ んあるという話でございましたので、確かに(1)の問題、処遇が確実に行われる、す なわちここでは開放的な処遇が確実に行われるための条件とは何かということも議論し ておかなくちゃいけないことなのかもしれないと思いました。  ただ、今一番議論の流れの中で出てきましたのが、開放処遇はしていたけれども、閉 鎖処遇を必要とするという医学的な判断、そういうものがあったときに、一体だれがど のようなタイミングで判断をするのか。そして、先ほど指定医という話が出ましたけど、 指定医がしなくちゃいけないのかどうか、そんなところが議論の中心になるかなと思っ て、先回りをして(2)の方を提案してしまったんですが、その辺のところで、(2) の方で、まだちょっと問題があるようでしたらば、3の手続きの(1)あたりのところ で、ここにメモしたもの以外で、何かお考えいただくものがあれば、先にそれをお伺い しておきたいと思います。 ○金子委員  今も山角先生がおっしゃったように、任意入院の患者さんの病状も揺れ動くものでも ありますし、また、現在の閉鎖病床の数と任意入院の患者さんの数を考えますと、すべ ての閉鎖病棟にいる任意入院の患者さんについて、精神保健指定医が診察を行った上で 閉鎖処遇とするのだというようなことは現実的に確かに不可能だと私も思います。  そういうことを考えますと、(1)の部分は、事務局の方がお考えになった原案でよ ろしいのではないかなと思いますが、やはり保証と点検は必要だと思いますので、病棟 内に、そういう処遇の形態にはこういうものがあるのだということをきちんと掲示をす ること。はたまた、それをきちんと、4の遵守事項のところに書いてございますが、診 療録へ記載をすることというのは必要だろうと思います。でないと、患者さんが聞いた かどうかもわからない。しかも、そのことを説明したかどうかも証拠もないということ になったらまずいというふうに考えます。  それとちょっと(2)の部分へ入らせていただければと思うんですけど、閉鎖処遇が やはり漫然と長期間行われてはいかんわけですから、ある程度、期間限定で、例えば急 性期の治療と同等に論ずることはできないかもしれませんけれども、閉鎖処遇の期間を 3カ月を限度として、例えば、3カ月以上になった場合に、精神保健指定医がきちんと それをチェックをすると。何らかの報告書の形で審査会などへ提出して、審査会はそれ を点検するというような形式が妥当ではないのかなというふうに思います。  そうすれば、漫然とした任意入院の患者さんが閉鎖処遇受けることもございませんで しょうし、なるべく開放処遇へ移すという人道的な、なおかつ医学的な配慮も順当に行 われるのではないかというふうに考えます。  以上です。 ○三觜課長  山角先生の意見に対して疑念を感じるのは、そういう説明でほとんどの人を任意入院 患者を閉鎖病棟へ入れて閉鎖処遇を本人が了解しているからいいでしょうということに 使われる懸念が非常に高いんですよ。 ○山角委員  それは性悪説に基づいて。 ○三觜課長  私、性悪説に、それはいいですけど。 ○山角委員  例えば、これは私のところの例で言いますと、院内に掲示はしてないですけど、自主 管理度というのがありまして、その管理度によって行動が制限されるわけですね。例え ば、Aの人は自由に、希望があれば、いつでも病棟から出していいですよ、あるいは外 出も自由にできますよと。一応は許可をとってですけれども、自由に本人の希望どおり にさせてくださいとか、あるいはBの人の場合には、これは本人の希望があって一切だ めだと。外出するとき、措置入院なんかそうですけれども、一応看護者なりが付き添わ なけれはいけない。こういうような制度がありまして、あなたの場合にはこの自主管理 度と言っていますけど、お小遣いも含めて、この管理度でやっておりますということを 伝えますし、それが管理度が変わったときにはそれなりに、あなたは今度こうなりまし たよと、こういう形で変えているんですね。  ですから、この問題をやるのはインフォームド、どういうふうにインフォームドして、 それをインフォームドを受けた人がどう理解したか、ここの確認ができればよろしいの かなと私は思っているんですけれども。 ○三觜課長  要するに病棟の構造からいって、開放病棟がなくて閉鎖病棟にあなた入れますよと。 そのかわり日中は希望によって外出できますよというのが原則だと思うんですよ。そこ で説明が必要なんで、何で閉鎖病棟に入れるかという説明が、任意入院患者の場合は入 れる必要があるんです。医学的に、あなたは任意入院だけれども、やはり行動制限を当 分しないと。危ないからとか不安だとか、そういう医学的理由で説明すべきだし、とい うことをきちんとすべきじゃないかということ言っています。 ○山角委員  それは当然だと思います。どうやってインフォームドの内容を伝えられるか。それが 必ずしも指定医でなくてもいいじゃないかというのが私自身の考えなんですね。  もう一つは、よろしいですか。任意入院というのは、そもそもいわば不服の申し立て ということが保証されているわけですね。これは当然今までもそうですし、審査会に対 する不服申し立てができるわけで、それに対して不服があった場合、これは当然申し立 てていただくというような、あるいは、それでもなおかつ入院させるべきであれば、こ れは医療保護にしなくてはならないわけですから、そういう前提が、いわば権利が保た れていると。法律どおり、今まで私やっていて、そのとおりにやっていけば、余り問題 ないんじゃないかというふうに思っておりました。 ○浦田委員  さっきから課長の言われているのは、私もピンときているんですが、やはり閉鎖病棟 に任意入院の患者さんが入る場合に、その方が受ける処遇についてきちんと明示したも のがないとだめではないか。今の実は告知書がございますね。あれは非常にその点では あいまいだと思うんです。あなたは任意入院ですから、できるだけ行動の制限をしない ようにします。ただ、どうしても必要なときはしますよと書いてあるんです。これ1行 なんです。  これは非常にある意味ではあいまいな告知の仕方でありまして、閉鎖病棟にお入りに なる任意入院の患者さんについて、あなたの行動についてはこういうふうにしますとい うことで、そして、これについては抗議を申し出られれば、こうできますよというよう なことを明示したものがない限りは、やっぱりさっき言われているような心配は起こる と思うんですね。  山角先生のところでおやりになっている自主管理度ですか、それは非常に重要なこと で、そうやって、逆に言うと治療者側が患者さん個々の行動の制限状態をきちんと把握 することができますから、そして患者さん自身が把握できますので、自分はこうなんだ ということが言えます。  それも1つだと思うんですけど、それをやはり文章化しておかないと、一体自分がど ういう処遇を受けているのかということが認識できないし、治療者の側もそれをきちん と把握できないだろうと思います。その点で、何らかの形で明示するというようなこと が必要だろうと思います。 ○吉川座長  大体議論は尽きてきたような気がしますが。 ○中村補佐  今の山角先生の指定医でなければならないかどうかということについて、ここの基準 に定めることにおいて、指定医がという規定もできますし、医師という規定もできます。 ○吉川座長  そうですね。 ○中村補佐  そこはここに載せることは、指定医でなければならないということはないです。 ○吉川座長  それでは、今の3の「手続き」の(1)と(2)のところを一応過ぎたことにします けど、ただ、あとは制限期間を何日ぐらいにするのか。さっき3カ月という話が出まし たけど、どうでしょうか。西島先生。 ○西島委員  開放処遇から閉鎖処遇へ移行するわけですね。そうしますと、これはある意味では行 動制限を厳しくすることになるわけですね。先ほどの山角先生の話のような、マイルド な行動制限とこういうハードな行動制限というのはあるだろうと思います。そういう意 味で、やはりハードな行動制限をするのであれば、これはやはり指定医だろう。ただ、 この議論の中で、例の任意入院から医療保護入院に切り替えるときに72時間というのが ありますよね。これは土曜日に発生した場合にどうするのか。要するにそれで72時間が 出てきたのだと思うんですが、そういうことを考えると、開放処遇から閉鎖処遇へ移行 する場合には、少なくとも一般医がしてもいいと。してもいいけれども、72時間以内に 指定医がやはり診察をすることと、こういうことはきちんと担保しておかないと、いい かげんになると、これは批判を受けるだろうというふうに思うんですね。  ですから、任意入院から医療保護入院へ切り替えも72時間とありますから、そういう 意味で、この72時間ということで、指定医が診察をしなさいということは妥当なのでは ないかと思います。 ○山角委員  ただ、その場合に、いわゆる閉鎖処遇というのは、例えば、隔離室に入る場合でも、 本人の希望で隔離室へ入る場合ありますね。本人の同意書を持ってね。こういう場合、 例えば、私は処遇で構いませんよと、当事者の方が例えば言った場合、それが72時間や らなくちゃいけないかどうか。 ○西島委員  それは、例えば隔離室へ入れる場合も本人の希望であれば、それは書いておけば、あ れは指定医の診察要らない、隔離と見ないんですね。 ○山角委員  そうですね。 ○西島委員  ですから、本人がそういうふうに申し立てるのであれば、これは閉鎖処遇とは見ない と考えていいと思います。 ○山角委員  そこさえあればいいと思うんですよ。 ○吉川座長  大体出てきましたですね。私は今西島先生がおっしゃったように、72時間というのを 提案したひとりなんですけれども、やはりある程度処遇を、処遇変更まで含めた処遇内 容を、処遇というのは、ごめんなさい、任意から医療保護入院という、そうした入院形 態まで伴うような変更を考えるとすれば、72時間以内にとにかく判断しなければいけな いだろうというふうに考えてきました。  そんなことで、今ちょっとお話をいただきましたので、この辺のところは、また事務 当局ともお話を詰めますけれども、ご意見は承っておきたいと思っています。  あとは、4のところに書きましたように、実際に遵守事項あるいは例外規定というも のをどのように設けるかということでございますけれども、これについてもやはり何か ほかにご意見があれば加えていただきますと、私たちは考えやすくなりますけれども、 いかがでございましょうか。 ○末安委員  幾つかの病院で既にやっていらっしゃる、さっき掲示とか例示とも関係があるんです けれども、治療の必要性は認めるし、入院の必要性は認めるけれども、この病院に入院 することは拒むという患者さんが現にいらっしゃるということがよく話題になるわけで すね。特に今回の改正の中にそういう患者さんへの対応をしていくという趣旨が一部入 ったと思うんですけれども、ぜひ、任意入院の患者さんで閉鎖処遇を行うという前提の ときには、その病院の中を見てもらうということを前提とするべきだと思います。  きょうのお話の中でも医師の裁量権、あるいは告知、患者側の自己決定とか選択とか という言葉はあるのですが、患者や家族にもやはり裁量というか、広く医療をとらえて いくということが保証されることを明示するべきです。今回ここでの決定が公衆衛生審 議会の決定の過程では、この10年来、20年来の宿題が患者や家族にとって待っていたこ とが答えとして出されていくわけですから、ぜひ患者や家族にとっての選択権が確保さ れるということがあった方がいいと思うわけです。  神奈川県のある病院では、そこでは神奈川県内の近隣の病院の紹介の名簿つくって、 病院と保健所とクリニックの地図を渡して、ここにはこういう先生がいます、ここには こういう先生がいます。もし、この病院を見て気に入らなければ、このどこかには行っ てくださいということを説得されている。実際私も行ってみたらやってらっしゃいまし た。  また、福島県のある病院でも、全閉鎖の民間病院ですけど、そういうことをやってい らっしゃる。そういうことによって、入院が促進されるというデータが出ていますので、 ぜひ、患者の側の選択権を保証したいと思います。 ○吉川座長  文章化については、今の話、趣旨で考えさせていただきますけれども、ご意見ありが とうございました。  そのほかに、このところにちょっと加える何か。 ○山角委員  (2)のペナルティというのが出てきているんですね。 ○吉川座長  これはなかなか書けないです。 ○山角委員  この辺も、これは具体的なものとして、また出てくるんですね。 ○吉川座長  そうですね。 ○山角委員  討論していただくといいかと思います。 ○吉川座長  これは議論で、次のときにはもう少し明らかにさせていただきます。  例外規定として、こういうものを考えるという(3)のところはもうよろしゅうござ いますですね。これは一般病院でもあり得ることでございますので、そういうことは。  それでは、最終的には、今の任意入院患者の処遇の問題に関しましては、処遇という ことに関して一括してあります。先ほどお配りいたしました横長の方ですが、そこのと ころに位置づけさせていただくということを考えておりますけれども、それについては ご了解いただけますでしょうか。  もし、よろしければ、そんな形にさせていただきます。先ほど荒井委員からお話しが ありましたように、これで議論をおしまいということではありませんで、もちろんきょ うご議論いただきましたことを、また整理をして、そしてできるだけ文章化して、本来 ならば、今申し上げました通知の中に入るような形で文章化したものをお見せしたいと 思います。その上で、そこで議論をまたしていただいて、ご修正をいただくということ もあるかもしれませんが、そんなふうに事を進めさせていただきます。  事務局、よろしいですか。 ○中村補佐  文章化というか、骨子というか、なかなかそこまで進めないと思いますが。 ○吉川座長  そうですね。それは当然もっと先の、10月以降、公衆衛生審議会にもかけなくてはい けないわけですから、当然それはまた後の話になりますけれども、そんな形で進めさせ ていただきます。よろしゅうございますでしょうか。  もし、よろしければ、ちょっと時間が早いようでございますけれども、これできょう の議論を終わらせていただきます。  お忙しいところ、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。 (了) 照会先 大臣官房障害保健福祉部 精神保健福祉課医療第一係 床枝(内線3057)