99/07/29 第19回疾病対策部会臓器移植専門委員会議事録    第19回公衆衛生審議会疾病対策部会臓器移植専門委員会           日時   平成11年7月29日(木)                9:00〜11:10           場所   虎の門パストラル                5階「菊の間」 出席者 (○:委員長 敬称略)  浅野 健一  井形 昭弘  板倉  宏  大久保 通方  大島 伸一  大塚 敏文  菊地 耕三  桐野 高明 ○黒川  清  小泉  明  小柳  仁  竹内 一夫  田中 紘一  谷川  久一 野本 亀久雄   藤村 重文  町野  朔  眞鍋 禮三   1.開 会 2.議 題   (1)臓器移植を支えるシステムの一層の整備について      (2)脳死下での臓器移植に係る第三者検証機関について      (3)その他 〇事務局  定刻になりましたので只今より第19回公衆衛生審議会疾病対策部会臓器移植専門委員 会を開催します。まず最初に、先生方は6月30日に3人の先生方の任期が切れまして、 改めまして9月30日までということで、浅野先生、板倉先生、竹内先生に引き続きお願 いすることになっておりますので、ご報告をさせていただきます。  本日の委員の出席の状況でございます。田中委員、矢崎委員、山谷委員からご欠席と のご連絡をいただいております。また野本委員、眞鍋委員は少し遅れているようですが 間もなく到着されると思います。私どもの伊藤局長と中谷課長が少々遅れますこともご 報告させていただきます。  次に資料の確認をさせていただきます。お手元にございます議事次第でございます。 本日の議題は3つ予定をされております。次に委員の先生方の名簿、座席配置図、続き まして会議資料一覧がございます。資料ナンバーを右肩に振ってございます。  資料1    臓器移植を支えるシステムの一層の整備について。事務局試案で3ペ          ージです。  資料2    脳死下での臓器移植に係る第三者検証機関について。これも事務局          試案で2ページです。  参考資料1  臓器移植に係る医療施設の整備状況に関する調査の結果。4ページで          す。  参考資料2  脳死した者の身体からの分割肝移植の実施について。私どもの局長の          通知ですが3ページです。  参考資料3−1家族性アミロイドポリニューロパチー患者から摘出した肝臓の再利用          について、信州大学の池田先生からの提示で2ページです。  参考資料3−2家族性アミロイドポリニューロパチー患者から摘出された臓器の移植          の移植への利用について。ということで局長通知で4ページです。  資料は以上でございます。不備等ございましたらお申し出いただきたいと思います。  では黒川委員長よろしくお願いします。 〇黒川委員長  おはようございます。しばらくぶりのような気がしますが、臓器移植につきましては 前回に引き続き行わさせていただきます。ご存じのように3例目と4例目の竹内委員会 と小泉委員会の作業がまだ進んでおりまして、今日、結果か出でいるわけではございま せんから次回にもやらせていただくとします。  今日は今の議題にありましたような案件について2つ、その他、ということになって おります。これについて先生方と意見を交わしたいと思っております。  前回6月30日までのところで中間報告、最終的には少し慌ただしくて文書で先生方に 確認をいただいたということをさせていただきました。その中間報告をまとめていただ いたわけです。その時に幾つかの引き続きの検討必要事項というのがありました。その うちで非常に大事なことは、臓器移植を支えるシステム、ネットワークその他を支える システムの一層の整備というのが方々のところから出ております。これは最初からマス コミニュースその他でもそうですし、その後の1例目、2例目の時に、いろいろなこと を整備をもっと充実すべきであるというのが大分書かれました。  しかし充実するには勿論お金がかかるわけです。それを国民がどれだけ承認していく かということも議論されたわけです。今までの先生方のご意見と、作業班の報告と、一 部ご指摘があった通りですので、その一部については行政的な対応が進んでいるところ もありますし、それらの対応状況について、まず事務局から報告をしていただく、それ から先生方のご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 〇朝浦室長  事務局からご説明したいと思います。資料1に沿いましてご報告をしたいと思いま す。中間報告におきましては、このシステムの一層の整備について、何点かご指摘をい ただき、また小泉先生のところで行われておりますあっせん作業班においても、幾つか の提言をされておりますので、そのご指摘をふまえてご議論をいただきたいと思ってお ります。  まず中間報告の抜粋でございます。  最初に中間報告におきましては、第1例目の臓器移植の際に、2月25日に行われた法 的脳死判定におきまて、同項の規程に反して脳死判定が行われたということで、これに ついて不適当であるという作業班からの報告がありましたが、こういうことがないよう に、今後、脳死判定に係る手順を分かりやすくした手順書を作成し、関係機関に対して 手順等について周知徹底を図ることが必要であるという指摘がされております。  提供施設におきましては、こういうこれまでの経験を踏まえて、その経験を共有化し ていく必要があるだろうということが指摘されております。提供施設における体制整備 を行う際や法的脳死判定を実施する際に、関係学会の協力を得つつ、専門家の助言を得 ることかできる体制を整備することが必要であるということが指摘されております。  厚生省が出しているガイドラインにつきましては、非常にわかりにくい点もございま すので、それについても今後所要の検討を行うことが必要であるという指摘がされてお ります。  臓器移植ネットワークのあっせん業務に係る検証の作業班において指摘されたとおり ネットワークの事務部門の拡充等人的体制の強化、メディカルコンサルタントの専任化 コーディネーターの養成・確保等についても国としての所要の検討を行うことが必要で あるという指摘がされております。  最後の○につきましては、更に詳細な報告が作業班の方で行われておりまして、それ はまた後ほどご紹介をしたいと思っております。  この報告をうけまして、次のページです。現在、厚生省において対応を考えておりま すのが幾つかございます。  まず脳死判定基準についての分かりやすいマニュアルの作成にむけて、現在、本年度 の厚生科学研究事業として山梨医科大学の貫井先生を主任研究者として作業を進めてお ります。8月中を目途に作成をしていただきたいというふうに考えております。  提供施設の経験を踏まえた臓器提供マニュアルの作成につきましても、厚生省科学研 究の中で北川先生を主任研究者として島崎先生の協力をいただきながら、これも8月中 を目途に作成を急いでおります。  臓器移植ネットワーク、臓器提供施設、自治体を交えた経験を共有化するための会議 の開催につきましては、こういうマニュアルなり臓器提供マニュアルの作成を踏まえて 秋口くらいから開催を予定したいと考えております。  これは現在行っている対応状況でございます。  今後の検討課題として、幾つかあるわけです。あっせん作業班において提言されたも のの要約を数点お示しをしておきます。  臓器搬送につきましては、搬送費用について最終的にどの者が費用を負担するのかと いう問題を含めて、責任主体がどこにあるのかということについて検討する必要がある というご指摘をいただいております。  これに関連しまして、実際に搬送費用がどのくらい掛かったのかということでござい ます。第一例目の高知赤十字病院における例をご紹介したいと思います。  まず心臓の移植に関する搬送費用です。大阪大学で移植が行われたわけです。まず摘 出チームの派遣費用です。これは全日空を使って移動しております。伊丹から高知まで の費用が86,900円掛かっております。臓器搬送、提出した臓器の搬送につきましては高 知県の防災ヘリを使って行っておりますが、これが155,211 円ということです。トータ ルとして242,111 円かかっております。  肝臓移植にかかる費用です。信州大学で移植が行われたわけです。摘出チームの派遣 非は中日本航空という民間の会社のチャーター機で派遣されたわけですが1,050,000 円 掛かっております。この1,050,000 円という数字ですが、実は実際の費用としましては 1,561,883 円かかっておりまして、中日本航空の特別割引ということで1,000,000 円の 価格にしていただいて消費税が5%ついて1,050,000 円掛かっております。 臓器の搬 送につきましては、長野県の防災ヘリを使っておりまして91,407円かかっております。 トータルとして1,141、407 円でございます。これが第1例目の実態でございます。  第2例目以降につきましては、十分に私どもとしてはまだ承知しておりませんので別 途報告させていただきたいと思っております。  2点目でございます。本部の広報担当機能やコーディネーターの活動をサポートする 事務部門を拡充すべきであるということが指摘されております。  コーディネーターの候補者の教育訓練体制を拡充して、コーディネーターの数も増や すことが必要であるということが指摘されております。  都道府県コーディネーターの業務につきまして、都道府県のコーディネーターの位置 づけをどうするのかということを含めて、全国的な臓器あっせん体制を再構築すること が必要であるという指摘がございます。  ネットワークのメディカルコンサルタントは他の業務を抱えた医師が兼務しているた めに、今後のネットワークの医療技術水準をあげるためにも専任のメディカルコンサル タントを確保する必要があるという指摘がされております。  今後ネットワーク自体の予算面、人材面等における改革を含め、国としてもより適正 な形で臓器移植が行われるよう、制度全般について検討を行っていく必要があるという 指摘がございます。  以上申し上げましたことが、ネットワークのあっせん作業班においてご提言いただい たものでございます。  それ以外に今後検討しないといけないと考えておりますのは、臓器提供施設及び移植 実施施設に対して、関連学会が行っている支援体制につきまして、国として側面的にど のような対応ができるのかという観点です。先程も搬送費用について申し上げましたが 当初は移植が行われる予定であったが、最終的に行われなかった場合において、摘出 チームの派遣費用は、どこの責任において負担するべきなのか。実際に移植を行われな かったケースについて、これまでは移植された場合は原則としては受益者負担という形 になろうかと思いますが、移植が行われなかった場合についての費用負担、あるいはそ の費用負担の責任をどこに置くのかということを、今後議論していく必要があるのかと 考えております。以上でございます。 〇黒川委員長  ありがとうございました。では資料1に沿って先生方のご意見をいろいろいただきま して更に進めたいと思います。まず一つ、資料1の1ページ目です。中間報告の抜粋と いうとこがあります。先生方のご意見をいろいろといただいたものをここに書いてござ います。更に、現時点における対応につきましては、2ページ目の上の3つがありま す。  一つは脳死判定基準の手順その他についての分かりやすいマニュアルを作る。細かい ところはもっと厚いものを読むのは構わないので、そちらを見ていただく。これまでの 事例における提供施設の経験を踏まえた、臓器提供マニュアルの作成というのがありま したが、これも現在検討中で8月中には恐らく研究班からの報告が出るだろうというこ とであります。  今回の事例、今までのいろいろな問題点を整理した上で、ネットワーク、臓器提供施 設、自治体等を交えて、情報提供及び経験の共有、これが非常に大事なわけです。経験 の共用をいかに実際にインプリメントできるかというものも非常に大事なので、これは ブロックごとの会議を開催するということを、幾つかのマニュアルの作成あるいは報告 ということで、経験をシェアードしたいということであります。  今後の検討課題については、幾つかいろいろとご提言いただきましたので、これにつ いてそれぞれどうしていったらいいのかということについてもご意見をいただきたいと いうことです。順不同といっては申し訳ないのですが、これからのシステムをどうアッ プグレードしていくか、今までの経験をどう生かせるのかということについて、ご意見 をいただきたいと思います。  脳死判定基準の分かりやすいマニュアル、貫井先生のものは最終的には何ページくら いのものを考えているのでしょうか。 〇山本補佐  これは貫井先生を班長としまして関係学会のご協力を得て作成しています。できれば 脳死判定の最低ここを守るべきというものがあって、プラス各種資料を見ないといけな いものを何とかハンディーなものにしたい。もう一つはICU等で脳波を測定する際の アーティファクトを除く技術のアイデアなり先人の知恵のようなものを整理して、ここ の桐野先生とか竹内先生ですとかに見ていただけたらと思っております。集中して読め るページというのは10〜20ページくらいかなと個人的には思っております。まだ作成途 中ですので最終のページ数はわかりません。 〇黒川委員長  チェックリストではないのですが、現場は非常に時間がタイトで非常に混乱している 場所ですから、そういうときに簡単なチェックリストがあるとかという恰好があればい いのだと思います。手順のチェックですね。それは恐らく、その後の北川先生のマニュ アルにも言えるのではないですか。冊子が膨大にできて報告ができると、皆さん安心し てしまうが、実際の現場では使いにくいというのがいくらでもありますので、その辺の 工夫はぜひお願いしたいと思います。  問題提起ということで、今後の検討課題にも進んで結構ですが、なかなか答えは出な いと思いますが、まず搬送費用はどうしましょうか。搬送しても使われなかったという こともあるわけですがどうですか。  これについては例えば腎臓は数が多いし、それについては事務局で簡単に説明してい ただけますか。あるいはネットワークでしょうか。どうなっているのかということで す。 〇朝浦室長  搬送費用の費用負担は今はどうなっているかということです。腎臓移植につきまして は、すでに一般的に保険適用になっております。これは心停止した方の腎臓提供につき ましても、脳死下での腎臓提供につきましても、一般的な保険の適用がされておりま す。したがいまして搬送費用については掛かった費用の分について、一度患者さんに支 払っていただいて、その後、療養費払い償還払いという形で、保険の方から手当てをさ れるという仕組みになっております。  肝臓につきましては、生体肝移植は保険適用になっておりますが、死体からの肝臓移 植については一般的な保険適用ではなく高度先進医療という取扱いになっておりまして したがいまして搬送費についてはまだ保険の適用がないという取扱いになっておりま す。  心臓、肺、膵臓、小腸につきましては保険の適用はなく、高度先進医療の適用もない という状況でございます。したがいまして、搬送費用は保険からの償還払いという制度 はございません。大体そういうところでございます。 〇黒川委員長  それから摘出チームに対する費用はどうなりますか。提供病院ですね。 〇朝浦室長  提供病院あるいは摘出チームについての掛かった費用の手当てですが、腎臓につきま しては、摘出にかかる費用、移植にかかる費用の二つあるわけです。両方とも保険の適 用があります。金の支払い方としましては、移植施設につきまして、摘出にかかる費用 も、あるいは提供施設にかかる費用も支払われまして、その費用を一旦臓器移植ネット ワークにプールをしまして、それをその中から摘出チームそれから提供施設に配分する という仕組みが既にとられております。それ以外の臓器につきましては現在はまだそう いう仕組みがとられておりません。 〇大島委員  保険適用になる前の腎臓についても同じような状況があります。その頃にも、いろい ろな場合があったのですが、空振りになった場合の提供病院と摘出班に対する費用の手 当てですが、基本的には摘出班というのは医者が中心になって動いているわけですが、 これに対する手当てというのは腎臓の場合には、殆どどこからも出てこなかったという のが実情だったと思います。  提供病院につきましては実際に摘出を行ったということが、現実に行われてしまって という後の空振りの場合には、何とかしないといけないということで、これは各都道府 県で県の財政とかいろいろなところにお願いをして、最低の保障をするというようなこ とをしていました。これは随分場所によって違うと思うのですが、いろいろな対応の仕 方を過渡期にはされてきたという経緯があると私は理解しております。 〇朝浦室長  補足して説明をしたいと思います。腎臓移植につきましての保険適用にかかる費用配 分でございます。  移植が行われた場合。腎臓移植が行われた場合につきましては、一般の生体腎移植の 費用にプラスして死体腎加算という加算制度が設けられております。腎臓の場合には二 つの腎臓が移植されることが考えられます。一つの移植について加算される額が700,000 円でございます。この700,000 円と通常の腎移植のうちの一部の費用、35,000円の費用 を足しまして、それを二つの移植が行われた場合には、合わせまして二つの病院からブ ロックセンターの方に振り込んでいただくという形になります。  合わせますと、それが1,470,000 円になります。その1,470,000 円を提供施設に対し て、その中から620,000 円を支払う、摘出チームに対して620,000 円を支払う、HLA の検査センターに対して120,000 を支払うという仕組みになっております。これを足し ますと、1,360,000 円になると思いますが、ブロックセンターに払い込まれた1,470,000 円から1,360,000 円を引いた110,000 円を一旦ネットワークにプールしておきまして、 それを実際に腎臓移植が行われなかったケース、空振りのケースについても提供施設、 摘出チームに費用補償を行うというような仕組みになっております。その際、移植され なかった場合には提供施設には130,000 円、摘出チームには100,000 円、HLA検査セ ンターには120,000 円支払われるという仕組みになっております。  今の詳しい資料につきましては、後ほどお手元に資料配付したいと思っております。 〇黒川委員長  今大島先生がおっしゃったように腎臓移植の場合には長い歴史があるわけで、そうい うことからいうと移植をする側がかなりいろいろなところの負担をしていたのではない かと思います。摘出チームもむしろ移植をするところから手伝っていただいたというこ とが多いわけです。それはある程度はモチベーションがあるからやるわけだと思うので すが、ネットワークになってからは、摘出チームは全く関係ないところから行きますか ら、その先生たちは全く自分たちで移植するわけではないのだが、摘出にいって後はマ ッチングしたところに搬送していただくということであるから相当の仕事量になってし まうわけです。それから摘出する方の病院については、勿論、患者さんがお亡くなりに なったわけですが、そこで余分なことがいろいろと起こりますので、そこを請求するわ けにはいかなので、結局は移植したところに、移植として加算された医療費の中からブ ロックセンターを経由してそこに払っていただいているという恰好になっているので す。  HLAの検査センターがありますが、それもブロックセンターの方から払っていただ くという恰好になって、一応は形としてはここまで出来上がってきたということである と思います。ブロックセンターに110,000 円ずつ溜まっていたのが、十分に溜まってい れば、もし摘出をされて実際に移植がいろいろな場合でできないことがあるのですが、 その時にも、摘出チーム提供病院にはブロックセンターにプールされたファンドが十分 にあれば、そこからいつも出していただけるということになってます。この数が増えて こないと、なかなかファンドの余裕はないと思います。システムとしては一応きちんと できていると思います。 〇大島委員  腎臓でプールしたファンドを心・肝に流用するということは不可能でしょうか。 〇朝浦室長  今の診療報酬の考え方からしますと、現在は腎移植にかかる取扱いの取決めをしてお りまして、現行の制度の下ではそれはできないと理解しております。 〇小柳委員  費用については心・肝は後発でございますので、是非早く整理がされるといいなと思 っております。大島先生の腎などは、先輩ですので沢山の経験を積んでいらっしゃると 思うのですが、プールを使わせていただくというのは、こちらとしてもなかなか遠慮が ありますが、ノウハウは沢山あって、摘出チームが実際に全く関係のないチームか摘出 に貢献するということはあると思います。それは心・肝でも今行われておりますので、 ネットワークのメディカルコンサルタントの拡大解釈などが、そういう全く別の移植に 関係のない提出チームがそういうメンバーで構成されるということにも繋がると思って おります。  平成6・7・8年、私は北川班の厚生科学研究で臓器提供の周辺を洗ったことがある のです。この今後の課題という問題を殆ど議論したと思っておりますので、ちょっと話 をさせていただきます。  臓器提供周辺でどういう問題が起きるのかというシミュレーションを頭の中で皆でや りましたときに、ボランタリーに参加してくださったのが、わが国を代表する損保会社 と警備保障会社だったのです。  今話題になりました移植が行われなかったときの補償、損保です。それと交通渋滞で クーラーボックスの氷が溶けたときの対応、交通事故でクーラーボックスがクラッシュ したときの問題、等々全て話題になりました。現在ネットワークで非常にご負担になっ ていると思う搬送周辺のコーディネーションは多分これは将来はできなくなるだろう、 そして、搬送のノウハウをもった専門の会社に委託する恰好に恐らくはなるだろうとい うような構想も話し合われました。  今の摘出チームのことです。腎臓の場合には移植施設と限らないわけですが、心・肝 でも沢山の人間が参加しておりまして、その意味では摘出チームというのは、心・肝と いえども関係のない人間も参加するということも考えて、ネットワークでメディカルコ ンサルタントのシステムを作っていただけると非常によいのではないかと思っていま す。 〇黒川委員長  とはいっても肝臓や心臓の場合は、例数が少ないということと移植する施設が限定さ れているという現状からいうと、今までの事例でもそうですが、摘出するチームは移植 をするところから派遣しているのが現在のところはよろしいということですね。 〇小柳委員  そうだと思います。心・肝は移植する施設が臓器の評価をする最後の大きな部分が残 っております。それはスペシャリティがあるところであると思っています。 〇黒川委員長  そうすると摘出チームにお金を払うということは暫くの間は考えなくてもいいという ことかも知れませんね。 〇小柳委員  摘出チームには問題はないと思います。私どももそうするつもりでおります。 〇黒川委員長  そうですね。だからむしろ搬送の費用とかということですね。 〇小柳委員  損保会社は移植が不成功というか実行されなかったときなどのことについては、非常 にノウハウを沢山もっております。この国で、どの時点で、もし防災ヘリが飛ばないよ うな地帯、ヘリがないようなところで、何を使ったら動けるのかということについての 知識は、旅行のエージェントが沢山もっているということもその研究班ではわかりまし た。ソフトは沢山あります。コンピューター一発で出てくるということであります。 〇大久保委員  搬送の費用も、今いった実際に移植がされなかった場合においてもですが、基本的に 保険が適用されていれば、今のようにプールをするとか腎臓のようにすることが可能な わけですね。心臓や肝臓に関しても、保険適用がされている場合だと、今の腎臓と同じ ような状況を作ることは可能なわけですね。 〇朝浦室長  プールの使途は提供施設なり摘出チームにかかった費用ですので、搬送費用とは少し 性格を異にするのではないかと思います。 〇大久保委員  だから搬送費用に関しても、腎臓に関しては保険適用になっているわけですね。 〇朝浦室長  腎臓に関してはそのようになってます。 〇大久保委員  ですから心・肝がもし保険適用になれば、搬送の費用に関しても保険の適用がされる 可能性が高いということでしょうか。 〇朝浦室長  腎臓移植を参考にしたシステムがもし取られるということであれば、そうであると思 います。 〇大久保委員  ということは、心臓・肝臓なりが保険適用になるまでの間ですよね。どのくらいで保 険適用になるのかという問題はありますが、適用されるまでの間をどうするのかという のが基本的な問題であると思います。すると、では誰が負担するのかという話になった ときに、勿論搬送費用に関しては当然受益者負担ということで、これは今のところは問 題はないと思うのです。  移植されなかった場合に誰が負担するのかということに、基本的になってくると思い ます。これは考え方はいろいろあると思うのですが、私は基本的にはそれはネットワー クなりが負担をしないとしょうがないのではないかと今は思います。それに関してはネ ットワークがお金かあるわけではないので、基本的にはネットワークの費用というのは 厚生省なり国なりが、ある程度そこで補填をするしか方法はないのではないか。それは 別にファンドなどを作って、寄付を集めて、そのために移植施設などにお金を出すとい うなら話は別ですが、基本的に誰が負担をするのかということになると、その辺のとこ ろしか落としようがないのではないかと思っております。 〇朝浦室長  腎臓移植のケースは、地域での配分が通常多いと思いますのであまり搬送費用が掛か らない場合が多くあり、保険適用がされているということはあると思います。心臓・肝 臓につきましては全国の配分ということで、かなり高額な搬送費用になります。それを 全て保険で見るということになるのかどうか、これはまた別の議論があるのだろうと思 っております。 〇大久保委員  今は数は少ないし、正直いって心臓移植に関しても肝臓移植にしても、施設の数が非 常に限られているでしょうが、恐らく保険適用をするということになると、現在の移植 の数、移植施設の数ではあり得ないと思うのです。基本的には各ブロックに少なくとも 1施設くらいは移植施設があるという状況は最低限度は必要であると思っております。 そうなると、当然今のレシピエントの選定基準がかわって、ブロック内での選定とかと いう方向も出てくると思うのです。基本的には恐らく保険適用になったときに、腎でも 全国シッピングで広く動く場合もありますが、肝でも心でも例外的にそのように広く動 く可能性はあると思うのですが、基本的にはブロック内とか、もっと距離の短い搬送に 基本的には移っていくのではないかと私は思っております。 〇朝浦室長  いずれにしましても、保険適用の話はこの専門委員会での範囲を越えておりますし、 保険サイドの審議会あるいは関係者の方でご議論をしていただくことになると思いま す。 〇黒川委員長  もう一つです。例えば、子供は移植できないからアメリカにいってやろうというとき に、いろいろなマスコミとかの話が出て、例えば5千万とか6千万かかるといっても集 まってしまうということがありますね。それはある個人の名前が出ているから集まるの か。例えばネットワークとして移植をプロモートするというところには、もしそういう 同じような動きかあるのであれば、もっとそれの10倍くらいは集まってもいいような気 がするのです。ネットワークは免税ではないですか。免税でいいわけですか。その辺の 草の根キャンペーンというのは、ある特定の個人がいたときには、個人を助ける人達の 周りのネットワークでかなりそういうことがあるし、マスコミも書くのですが、どうし てそういうのが出てこないのかなというのがどうでしょうか。これはネットワークの責 任かも知れないが、移植を推進しようとする人達皆、それから、マスメディアも含めて だと思うのですが、そういうことは当然するべきだと思うのです。実際にそういうこと をやるのはなかなか難しいですね。特定の人が見えないときにやるというのはね。 〇小柳委員  心臓移植44例の統計ですが、平均年齢26歳プラス・マイナスというところです。若い 層で特定の名前を出すとキャンペーンでお金が集まりやすい、特に小児を中心とした若 い層と、発言が不適当かも知れませんが、比較的結束の固い大企業の組合員のところが 渡航を実現しています。ですから先生のおっしゃる通りです。 〇黒川委員長  でもこれからは大企業も駄目かも知れませんね。退職金の積立金もないくらいらしい からね。でもそうすると2番目です。本部の広報担当機能やコーディネーターの活動を サポートする事務部門の拡充というのがあります。確かにコーディネーターの方たちは 今までは腎臓移植が中心であったわけですが、出たときには凄く忙しくて、寝泊まりし てぶっ通しでやっているわけです。それは移植対策室も同じだと思うのですが、普段は 登録の更新とか問い合わせとか、普段も相当に忙しいのですが、むしろコーディネー ターはいろいろな研修をしたり、提供病院をしょっちゅう回っていって相談を受けたり とか、そういうことをしょっちゅうしているのがコーディネーターの本当の仕事ですが 実際はネットワークとしてはアメリカに研修にいったり、提供病院をしょっちゅう回っ て、そこでのシミュレーションをお手伝いするとか、いろいろなことを本当はしないと いけないのですが、実をいうとコーディネーターの仕事ではない仕事の事務作業に相当 悩殺されている部分があって、それで実際に今度のようにいろいろな情報が出てくると その間はてんてこ舞いという話になってしまいます。  例えば広報担当機能、あるいはコーディネーターの活動をサポートする事務部門の人 達、コーディネーターはコーディネーターというプロフェッショナルとしてのキャリア と質を上げないといけないのですから、この辺は充実してもらいたいというのは凄くあ るのではないか。  そうすればキャンペーンとかね。意思表示カードと一緒に、ネットワークに寄付する と免税になりますという話と、その時に領収書を出さないといけないので、確定申告な どでやらないといけないという手続き上の煩雑さは行政は得意ではないかという気がす るのですが、書いたらどうでしょうか。  意思表示カードにサインをするとか、クレジットカードを使うとその3%がネット ワークにいくとかいろいろなものがあるじゃない。だから意思表示カードをあれだけ配 っているのだから、4,000 万枚配っているのだから、それから10円入っても相当なもの ではないかという気がするのです。 〇朝浦室長  事務局から補足的に説明させていただきます。ネットワークに対する寄附金の税額の 税制控除の現行の取扱いです。現在はネットワークは普及啓発活動など、特定の事業に 対するものについてに限って寄附金控除の制度が行われておりまして、海外渡航に関す る費用のための寄付というものについては免税となるかどうかは、税務当局と十分に相 談していかないといけないと考えております。  海外渡航というのは、搬送費用についてのために補填をする、補填をするための寄付 をするということが、現在の制度において免税になるかどうかは決まっておりませんの で、もしそういうことになれば協議する必要があると思っております。 〇黒川委員長  その場合にはいろいろなファウンデーションもそうでしょうが、ファウンデーション の事業の目的というのがあって、毎年、ちゃんとリポートが出ていれば、そのうちのア クティビティのうちの私はこれに寄付をしたいということをやってもいいわけですが、 全部入るのはファウンデーションなりネットワークであれば目的は、ドナーがこれにス ペシファイしない限りは、全部のに入ってもいいのではないかという気もします。そう いうことも考えてみましょう。  そういうことになると広報担当機能は云々ですから、拡充すべきというのは当然のこ とであると思います。 〇菊地委員  コーディネーターの業務についてです。黒川委員長が言われたように、データ整備、 毎年の更新、そういう業務にコーディネーターはかなりの時間を割かれているのが現実 です。ですから、そういうシステムを例えば各地域の腎臓の登録であるとか更新の仕方 が、統一化されているのであれば、一括集中して更新するようなシステムも可能である と思いますし、例えばブロックセンターで更新と登録をするのではなく、今の心臓と肝 臓と同じように、一括の登録の更新を行う。そうすればコーディネーターの業務は減る というようなシステムを考えられると思います。  搬送に関しましても、搬送の部門として、例えばですが、今はヒヤヒヤの状態です。 例えばジェット機が今は空いているだろうかとか、何機チャーターできるだろうかとい うのではなく、航空会社と契約をして、何回飛んでもこの一定の金額で契約をするとい うようなシステムを考えるとか、そういうことを日常業務から割いていただきますと、 コーディネーターの研修、それも実践的な研修を増やしていって質量的にも増やすこと は可能かなと考えます。 〇黒川委員長  まだ理想と現実の狭間の成長過程ですから、年間に例えば100 とか200 あるというこ とになれば、年間の契約ということはありうると思うのですが、いつ起こるか分からな いし、起こらないかもわからないというのでは、民間もなかなかそうはいかないのかな という気もします。  その次にコーディネーターの候補者の教育・訓練体制。これについては今整備してい るところですね。いっていただけますか。この間も公募したら沢山応募があったと新聞 に出てましたね。 〇朝浦室長  コーディネーターの教育なり研修システムについては、これまで厚生科学研究におい て従来から研究していただいております。今年度においてもそういう研究を続けていた だいておりまして、それを踏まえて、今後、質の確保のための体制を整備していきたい と思っております。  今年度、コーディネーターの採用をネットワークの方で若干名考えているようですが これについては現在8月末に20名程度の方を対象に研修をして、その中で優秀な方がい ればネットワークの方で採用するとお伺いしております。 〇黒川委員長  コーディネーターになってみたいという人達に研修をしてあげるコースを作って、そ れが終わったらコーディネーターになる資格のようなもので、研修をしましたという人 達がどんどん増える可能性があって、といって別にコーディネーターの就職を斡旋する わけでもなく、採用するわけでもないのですが、民間の人でもそういうことに興味があ るということであれば、それを提供しようというシステムを今作ってます。その中から コーディネーターの空きがあれば、そういう資格をもっている人の中から選ばせていた だきたいという話になってくると思います。それはある程度どんどんと整備されてきて いるという感じがします。これについて何かございませんか。 〇大久保委員  コーディネーターを増やしていくことは非常に良いことであると思うのですが、費用 の面です。今年は私もネットワークの理事をやっていて、予算的にも非常に厳しい状況 で、この部分でまた増えた部分というのは、ネットワーク内において予算的な問題とか 資金的な問題というのは、裏付けがどうなっているのかというのは疑問です。 〇朝浦室長  ネットワークの問題を私の方から答えるのは馴染まないと思いますが、一応、予算上 は臓器移植ネットワークに配置されるコーディネーター20名分の予算を全額国庫補助と いう形で積算をしております。現在16名の方が配置されておりますので、少なくとも4 人分はまだ予算上は隙間があるということで、それを活用してというか、全体の中で財 源負担をしていただくということになるのではないかと思っております。  ネットワークの財政につきまして、脳死からの移植が今後益々増えるということを考 えますと、かなり今後は厳しいものになっていくということは十分に認識しておりま す。 〇黒川委員長  行政の方としては、ネットワークの活動を支持すべく努力をしているという成果が少 しずつ上がっているということで、ネットワークも自分たちで頑張れということではな いかと思います。ネットワークだけで頑張るわけにはいかないから、こういうところを 公開にして社会からもっとサポートしていただけるような方法を、皆で知恵を絞ってく ださいということだと思います。  その他にコーディネーターにアプライしてくるような人のプールを増やしていくとい うことから、私はこの研修を終わってますがという話で、コーディネーターを募集した ときに、出てくる人を増やすというのは、これはコーディネーターになるとかならない は別として、そういう研修の実体験をした人が社会に増えていくというのは非常に良い ことではないかと思います。これは学生さんでも在学中に受けられるのですか。 〇山本補佐  今回公募した研修につきましては、医療関係の国家資格その他の関係資格をもってい る人ということで、基本的には学生ではないという整理をしております。 〇黒川委員長  これも少しずつ充実しておりますし、国の予算を獲得していただけるというのはいい のですが、ネットワークとしても、国だけではなく、移植関係の方々、あるいは国民の 方々の支持を受けながら何とかしたいというのが本筋ではないかと思います。  再々いっているようですが、移植の数が増えれば登録した方が受けられるチャンスが かなりあるということで、1回の登録料が無駄にならないと思えば段々増えていく。前 もお話しましたがユノスのランニングコストの8割は1回の登録だけで8割の費用が賄 われているわけですから、国からは多分2割くらいだと思いますから、その意味ではそ こまで成長するプロセスは非常に時間がかかると思いますが、アメリカは全部で20,000 くらいの移植が行われているわけですよね。腎臓がリビング・リレーテッドとアンリ レーテッドを含めて12,000ですね。心臓と肝臓と肺、その他を入れると大体20,000くら いの移植ですから1回移植の登録をすると350 ドルとか400 ドルですが、それだけで8 億くらいになるので、それで賄っているということになりますよね。  登録すれば大体が、半年から2年以内くらいに受ける可能性が結構あって、それでも 亡くなる人が多いのですが、400 ドルで登録するというメリットがあるが、日本ではそ こまで行くことがね、どっちが先かというのはなかなか難しいですね。  その他に都道府県コーディネーターについてという問題があります。これについてち ょっと問題点を説明していただけますか。都道府県コーディネーターとネットワークの コーディネーターについてす。 〇朝浦室長  都道府県コーディネーターについては、実際に行っている業務は各地域によって大き な格差があり、また一部においてはコーディネーター以外の業務を兼務している、他の 業務をしながらコーディネーター活動を行っている方がいらっしゃいます。現在都道府 県コーディネーターがどういう方がいらして、どういう業務形態になっているのかとい うことを実態調査をしまして、現在その集計をしているところであります。  その資料については、次回の専門委員会においてもご紹介をしてご議論いただきたい と思います。いずれにしてもネットワークのコーディネーターの役割と、都道府県の コーディネーターの役割が、これまでのわが国における臓器移植の経緯も各地域によっ ても異なっておりますし、それぞれの地域においての都道府県コーディネーターの役割 が違ってきたと思いますが、歴史的な沿革もありますので、十分に整理されていないと いう面はあるわけですが、今後実態を踏まえながら、それぞれの役割について十分検討 していく必要があると思います。この問題につきましては、また資料を見ながらご検討 いただければと思います。 〇黒川委員長  そうしましょう。その他にこの間の小泉委員からの報告のうちの一番下の○です。ネ ットワークのメディカルコンサルタントです。ドクターのいろいろな方に、ヘルプして いただいているわけですが、この方たちが本務は別にあるということで、全部ボランテ ィアになっていて忙しい、実際にああいう脳死移植が出たときには相当忙しくて、只今 手術中とか外来の患者を見ているとかいろいろな話があると思います。そういうことな のでこれをどうするかです。確かに小泉委員会のお話でも、フルタイムである程度のプ ライマリーの仕事はこっちであるという人を作らないと、なかなか指揮をするのに情報 を集めたりいろいろな判断をするのに、1人で判断をする必要はありませんが、そうい うのが必要だという話が出ておりました。これについてはいかがでしょうか。  コーディネーション全体を、メディカルな部分を含めてやっていただける人、本当に 必要だと思います。これは予算を獲得する可能性はありますか。なんでもお国頼みとい うのも情けない話ですがね。 〇朝浦室長  作業班の報告でこのようなご提言をいただいておりますし、そういう必要性について 十分にご議論いただいて、それを踏まえて厚生省としても検討したいと思います。 〇黒川委員長  ぜひお願いします、というより仕方ないかな。しかしネットワーク自身も頑張らない といけませんね。 〇大島委員  全体の流れとしては当然そういうことだろうと思います、ただ現実に既に4例が行わ れておりまして、またいつ起こるか分からないという状況にあります。移植学会としま しては、全方位支援体制というものを作って、いろいろな形でもってサポート体制を作 ってきたのです。財源の問題を最初からごちゃごちゃいうつもりはないのですが、最低 ドナーとして適切かどうかという1点だけでも構いませんが、その点に関して、きちん と評価できる体制を移植学会とネットワークがきちんと話し合って、財源問題について は本当はそれを保障していただくのは一番いいのですが、それはちょっと横においてお いて、ボランティア的というニュアンスも含めて、体制をネットワークの側からも構築 していくということを考えていただきたいと思います。 〇黒川委員長  そうなると最後に、今後、ネットワーク自体の予算面、人材面等における改革を含め て、国としてもより適切な形で臓器移植が行われるよう制度全般について検討を行うべ きである。皆さんそうだそうだということですかね。それも何だか情けないような気も しないわけでもないな。マスメディアの人もよろしくお願いします。そういうことをキ ャンペーンしてほしいな。どうやったらこのようにサポートシステムに入ってくるか な。今の経済状況ではそれどころではないかな。 〇野本委員  移植を今度やった感じでは、従来の医学界の行動パターンとは全く違って、ちゃんと 皆が協力したと私は感じています。支援体制を動かす側の移植学会理事長という役割は 第1例しかやらなかった、2例以後はネットワークの方にいろいろと問題があるという ので、対策本部に閉じこもったのです。後は門田教授とか大島教授とか、移植学会の中 堅に丸ごと任して動いたのです。  従来ですと失礼ですが、彼ら世代が行ったのでは、もうちょっと上のやかまし者の教 授連中は何をぬかすのかという態度をとっていたのですが、今度はそういうことなく、 よく動いてくれたので、大分大人になったような感じを私はしているのです。  かれらにボランティアだけで何百例もやれというのは極めて言いにくいですし、時々 例えば提供施設の中でも、どういう資格で来たのかというようなことも言われたりする こともありまして、何か協定を作ってやっていただいた方がよろしい。  1例目の方は移植学会の理事長として動きましたから、トラブルがあれば、直接に電 話もしたりしたのですが、2例以降はネットワークのですからね。ネットワークの中に 入りますと、そういう接触をしては問題が起こりますから、移植学会は私は全部切り捨 てて動くとしてもあれだけ動いたわけです。昔風の感覚で閉鎖的で、穴ぼこだけ掘って 勝手なことを言うというのは、この問題に関しては捨てて動いてくれた感じがしており ます。  だから、さっきのそうだそうだということで、私もそうだそうだと言ったのですが、 政府には一生懸命お金をとってきてほしいといっておりますが、お金はそんなに出るわ けではありませんから、移行期は医学会の自主的な行動で国民に迷惑がかからないよう にするというのは仕方ないと思うのです。金がどんどん湧いて政府がなんぼでも金をく れるというのならそういうことはできますがね。またそれであっても、私は医学界の若 者たちを率いて頑張ってみたい、これは宣言であります。 〇黒川委員長  関連の先生たちの、本当にボランティアとしての貢献はこれからも必要ですし、ぜひ お願いしたいと思います。  私のいっているのは、もうちょっと国民の支持を得られる恰好というのはどうかとい うことです。いろいろなご意見をいただければと思ったわけです。  次に臓器提供施設及び移植実施施設に対しての関連学会が行っている協力、特に移植 実施施設については、最初の肝移植でもそうですが、藤堂先生がいかれて、田中先生等 が一緒に信州大学でやられたというのは、実際にボランタリーにオールジャパンとして 対応されていて、大変に感心したのです。心臓移植も阪大と国循という恰好で一緒にや っておられます。それはこれからの新しい方向、今、野本先生がおっしゃった通りであ ります。  提供施設について、桐野先生から脳神経学会の脳死判定とか、脳波を読むという中だ けでは、提供施設が第2例目のような大学病院であればまだ人のリソースがありますか らできますが、そうでないときに、高知や古川市もそうですが、リソースが足りないと きに、脳死を判定するというのは極めて重いものを、そこの数少ない先生に押しつける 恰好になります。桐野先生のお話では、脳神経外科学会としても今いったようなボラン タリー活動の一部として、もしお手伝いできることがあれば、いつでもというわけには いかないかも知れないが、やっていただけるということですが、その辺の体制はどうで しょうか。関連学会ということからすれば。  そういうリストが出てくれば、一番近いところの何人かの先生に、普段からいろいろ な先生にお話をしておくというのもいいのではないかと思いますが。 〇桐野委員  我々としては、これまでの経験を我々なりに見てみると、陥りやすい壺があることが わかりました。その壺をきちんと押さえないと後でトラブルになりますので、多くの場 合は脳波ですが、コンサルタントのようなものを各ブロック毎に一応置いてます。名前 は公開しておりませんが、これは貫井先生が全て掌握してます。貫井先生と私が現在は 1年間の学会の会長でして、学会の会長と脳死臓器移植の検討委員長がその連絡の役割 を一手に引受、24時間365 日おっています。一応原則的には携帯及び勤務先のファック スの電話を学会誌に公開してまして、そこに連絡があればいつでも相談に応じる。  貫井先生は、現に24時間体制で連絡がくれば、そのブロックの相談役それなりのプロ フェッショナルに連絡がいって、現に動いた例もあります。 〇黒川委員長  そうなるとこの貫井レポートが出て、はじめて提供施設はそういう事実を知るという ことですか。  いろいろな提供施設が、実際にそういう症例が出たときに、判定をどうするのかとか いろいろな中で直ぐに倫理委員会を招集してやると思うのです。その時に提供施設に、 この電話番号を押せばいいのだということは皆さん知っているのですか。 〇桐野委員  皆さん知っているかどうかですが、学会の度に、脳外科学会の場合には春に脳神経外 科コングレス、秋に脳神経外科学会総会をやりますが、その度にこういう臓器移植に関 するセッションを設けて、その度にそういうことをやるということを広報すると共に学 会誌にはそれを記載しております。ですからかなりのところには行き渡っていると思い ます。 〇黒川委員長  そうしたら大体知ってますか。この電話は貫井先生に電話すればいいのだということ を提供施設は知っているのかな。 〇桐野委員  脳神経外科のA項施設であれば、それは分かっていると思います。 〇黒川委員長  そうではない施設も電話していいのですよね。 〇桐野委員  それは構わないと思います。提供施設であってなおかつ脳神経外科医が0というとこ ろはありません。だから知っているはずです。 〇黒川委員長  知っているはずですよね。でもちょっと電話して聞いたりするとウーンという人が結 構いないわけではないのですよね。 〇桐野委員  今のところは、そういうことをいっても大丈夫ですか、と貫井先生にいったのですが 365 日で24時間です。 〇黒川委員長  だから電話番号を張っておかないといけないですよね。ここに電話ください、何時で もお手伝いしますということですね。これはかなり整備されているだから現場にそれを 知らせておいてください。  次の費用負担についてはいろいろと議論がありましたが、まだ問題点が多いというこ とで、次回までに事務局で整理していただく。腎臓もこうなっているわけですが、結局 は移植が増えるということが、何をするにしても大前提ということです。今日の議論は これについてはここで終わらせていただいてもよろしいでしょうか。  資料1の1ページの下から2つ目の○です。これは抜粋ですから前からの写しだと思 います。厚生省の発出するガイドライン、この「発出」という言葉を使うのですか。役 所語ですか。わかりました。 〇小柳委員  一番最初に厚生科学研究のお話をしましたが、報告書にもお書きしましたが、日本の 医師はボランタリィにコンサルタントの役目を果たすことについて、その程度の倫理観 はもっていると思います。これは野本先生が今お話になった通りで、皆さんが喜んでお やりになると思います。こういうことで予算の話が出るのは結構ですが、取り合えずは 事態は上手くいっていると思っているのです。  私なども2例目の時に、当該施設の病院長のチェックを受けたりしたのですが、それ もしょうがないのではないか。移植医療と今まで関係なくてこられた方は、なかなか他 の病院の医師がその当該施設に入ってくることについて、抵抗感を持たれることも、こ れも当然のことかなと思っておりますので、次第に移植医療に触れていただいて、そう いうことを次第に理解していただくということでよろしいのではないかと、これもそう 思っております。  ただ、医療法を離れて自分の病院の病院長を離れて外で仕事をしているわけです。そ れで先程日本を代表する損保会社の話をしましたが、その方もいっておりましたが、病 院長の医療法の規制を離れて外で活動をしている医師の損保はどうなるのだという話も ございました。ですから、報酬その他よりは、そこのところを整理していただいて、メ ディカルコンサルタントの個人ではなく医師団だと思うのですが、これのオーソライ ゼーションをやっていただくのが一番早急にして大事なことではないかということでご ざいます。以上でございます。 〇浅野委員  ちょっとお聞きしたいことがあります。1例目の搬送費用のことを先程朝浦室長から いわれたのですが、これは結局は移植を受けた人が全部これを個人的に払っているとい うことになるのでしょうか。  それと、4例目で信州大学で待っていた子どもへの移植ができなかったという例があ ると思うのですが、そのケースの搬送費用は一体どうなったのかということを教えてい ただきたです。  脳波の測定に関して高知の赤十字病院の西山先生などは、測定の機器というのもきち んと統一して配置してほしいということもいっておられます。一部の医療関係者からは 脳死判定の手続きについてビデオを撮影したり録音してはどうかという提案も、読売新 聞の解説面で出ておりました。  もう一点はコーディネーターによる心のケアです。家族の心のケアの面はどうなって いるのかということです。沢山ですがお聞きしたいと思います。 〇朝浦室長  第1例目の費用負担は、最終的にどうなったのかということです。  現時点では移植施設を含めて移植側が負担するという考え方で進めております。最終 的にどういう形になったのかは承知しておりません。  4例目のケースですが、これについても事実関係はまだ十分に把握しておりません。  脳波計につきましては、それぞれの施設において当然脳波計を備えていらっしゃると 思いますので、現行のハード設備の中で脳波測定をしていただくということになろうか と思います。今後脳波計が不十分なものであれば、それは更新していただくということ になろうかと思います。  ドナーの心のケアの問題ですが、現在臓器移植ネットワークあるいは都道府県コーデ ィネーターの活動によって、事後的なドナーファミリーのケアを定期的に行うというこ とになっておりますが、更に、心のケアの面について充実をしていかないといけないと 考えております。 〇黒川委員長  次に議題を進めさせていただきます。今日の議論を踏まえて次回までに整理していた だくとういことにさせていただきます。  前々から出ておりました脳死下での臓器移植に係る第三者の検証機関というのがあり ました。それは作るべきではないかということでありましたが、現在の法律的な問題で あるとか秘密保持とかの問題とか、いろいろな問題がありまして、これについてどうす るのかという話を伺いたいわけです。  現在、前の竹内小委員会、小泉小委員会、ネットワークと臓器提供側の方の検証につ いて、3例目4例目については、現在まだ進行中であるということを先程お話しまし た。その間、現在の枠組みで作業班にお願いしているということであります。今後、第 5例目がいつ起こるか分からないのですが、前々から出ている第三者による検証機関と いうのは、もっと違ったディメンションでありまして、今は専門の先生方に、この委員 会の中で検討していただいて、ここに上げていただくということをして、ここでの討論 議論については、公開をさせていただいているということで、かなり開かれているとは 思っております。その第三者ということについてはどうしたらいいのかということであ ります。  いろいろなご意見というか、ご意見はまだそれほど伺ったわけではないのですが、い ろいろな問題点があるということは指摘させていただいたわけです。これにつきまして 従って問題点はなにかといいますと、例えばある程度国の資格のある人でないとカルテ が見られないとかいろいな状況もあるし、秘密保持の問題とか、そういうことがありま す。今のいろいろな体制を踏まえた上で、先生方のご意見が大分でました。特に柳田先 生からもいろいろ出ました。  そういう意見を踏まえて、事務局から、事務局試案という恰好で第三者検討機関とい うか、検証機関についての試案ということですので、それに沿ってご説明をいただいて 先生方のご意見を頂いたらどうかと思ってます。まず朝浦さんから説明してください。 〇朝浦室長  第三者検証機関につきましては中間報告におきまして触れられているわけです。その 具体的な中身についてはまだ十分に詰められているわけではありません。それで委員長 からのご指示もありまして、事務局の方で試案を作らせていただきました。資料2に沿 いましてご説明したいと思います。  1.第三者検証を行う理由でございます。  現行の臓器移植法におきましては、検証手続きについては格段の規程をしておりませ ん。しかしながらこれまでに行われた4例の脳死下での移植事例を踏まえて、臓器移植 に関してはその手続きが適正に行われたのかどうかということについて、第三者の立場 から検証を行って、その結果を国民に公表することは特に臓器移植に係る国民の信頼を 確保して、その定着を図る上で非常に重要であると考えております。本委員会におきま しても、その点につきましてご指摘をいただいております。  したがいまして第4例目までの分については、この委員会の下に作業班を作っていた だいて検証を行っているわけです。今後の事例につきましても、少なくとも臓器移植が 一般の医療として国民の間に定着するまでの間、何らかの形で検証が行われるべきであ ると考えております。  そこで、2.その検証事項でございます。  (1) 臓器提供者に対する救命治療の状況。(2) 脳死診断なり脳死判定に係る状況。 (3) あっせん業務の状況について。それがそれぞれ適切に行われたかどうかについての 検証を行っていく。この3点につきましては、現行の枠組みでいいますと、(1)(2)につ きましては竹内作業班で、(3) については小泉作業班で行っていただいているところで ございます。  3.機関の構成員でございます。  中立的な立場での委員を選定する必要があるということでございます。構成員の例と しましては、脳死判定に係る専門家、救命治療に係る専門家、移植の実際に係る専門家 法律の専門家、レシピエントの立場を代弁できる方、臨床心理の専門家、生命倫理の造 詣に深い学識経験者、このような方々から10名程度くらいを選定をして、必要に応じて 参考人を招聘しながら議論を進めていただくということが適当かと思っております。  4.審議方法でございます。  審議を行う上で必要な参考人に加えて、審議される対象の臓器提供施設並びにネット ワークからの参考人を適宜招聘する。その招聘によって情報提供を当事者から求めるこ とになるわけですが、これにつきましては個人的な情報もありますので、当事者に何ら かの情報を求めないといけないわけですが、これにつきましては法律的な手当てが全く なされておりませんので、当面はあくまでも任意で提供していただくということになろ うかと思います。  審議につきましては、カルテを含めて非常に個人的な情報に及ぶものがありまして、 原則として非公開という形になるのが適切ではないかと思っております。ただし検証結 果については当然公表することになると思います。  5.第三者検証機関の設立運営でございます。  中間報告におきましては第三者検証機関は、病院側、あっせん機関、行政側から完全 に中立な専門家から構成されるべきであるという意見をいただいております。構成員の 方々の守秘義務に係る問題、あるいはそれを担当する事務を行う職員の守秘義務の問題 事務作業の負担の問題、機関を動かすための財政的な基盤の問題等々がありますが、そ ういうことを総合的に考えますと、当分の間は事務局は厚生省において行わざるを得な いのではないかと、私どもとしては考えております。  ただ厚生省に置くとしても、この臓器移植専門委員会の下部機関とするか、あるいは 厚生省の下に別に諮問機関を設けて、そこで議論をしていただくかということについて は今後の検討になるのではないかと思っております。以上でございます。 〇黒川委員長  ありがとうございました。事務局にこの第三者検証機関について、現在のいろいろな 法律的なもの、いろいろなことを考えながら、たたき台として事務局案を作っていただ きました。これについてご意見をいただきたいと思います。 〇井形委員  言わずもがなのことですが、第三の検証機関ですから脳死判定救命医療移植治療のコ ンスタントな委員を任命すると、その委員の中で現実にある症例に関与したという人が 出ると思うのですが、その時には除外するという項目を是非入れておいてください。 〇菊地委員  あっせんに係わる部分です。中央評価委員会等との関係はどうなるのか教えていただ きいたです。 〇朝浦室長  日本臓器移植ネットワークであっせん業務に係る部分については、ネットワークの中 の内部的な評価機関として中央評価委員会がございます。それはあくまでもあっせん機 関としての立場で内部的に評価をしていただくということになろうかと思います。現在 ここに書いております検証機関は、あっせん機関の中ではなくて、もっと社会的な大き な枠組みの中で客観的な評価をしていただくということで、そういうように性格が全く 違うと思っております。 〇大久保委員  2の機関の審議する事項です。これに実は実際に移植を受ける者の方の検証、インフ ォームド・コンセント等も含まれてないので、それも是非お願いします。あっせん業務 ではなく、移植施設の方がどのような形で移植を受ける人に対するインフォームド・コ ンセントをやったのかということも、是非検証する事項に入れていただきたいと思いま す。 〇朝浦室長  ここに書いておりますのは、この3つの事項については全ての事例について検証する ということで書いておるわけでございます。移植医療につきましては腎臓移植などをは じめとしてわが国においては移植施設において行われている医療でございますので、現 時点においてはこの3点に集中して、集中的に議論していただいた方が適切ではないか と事務局としては思っておりますが。 〇竹内委員  3の構成員のところです。移植希望患者の立場を代弁できるものということですが、 臓器提供者の立場を代弁できる者というのは必要ないのでしょうか。 〇朝浦室長  ドナーファミリーの方々と理解しておりますが、まだドナーファミリーの方々の組織 化が十分に進んでおりませんので、そういう意味では構成員としてどなたが適切なのか というのは十分にはっきりしておりませんし、必要があればまた参考人としてどなたか 招聘するという形で対応させていただく方が適切ではないかと思っております。 〇浅野委員  これは一体誰がこの構成員を選ぶのかという問題です。今回は事務局試案なので厚生 省が事務局を担うのが相応しいということで書かれているのですが、一番重要なのは、 誰がこういう委員の人達を選ぶのかということだと思います。しかも誰が責任をもって 運営をするのかということです。  厚生省が事務局をやらざるを得ないというのはわかるのですが、それとは違う方法も 模索するべきではないかと思います。様々なマスメディア報道によりますと、日弁連な どが主体的に中心になったらどうかとか、医療に関する市民運動もあります。  この委員会などでは、脳死移植は上手くいっているという医療関係者の方の全体的な 評価ですが、そうではないという人達も世の中にはいるように思いますので、むしろそ ういう人達も含めた検証機関でないと、本当の意味での中立的な公正なものにはならな いのではないかと思いますので、そういう道を片方で模索した上で、日本にはそういう 役所以外のところでそういうところをチェックするようなシステム、黒川委員長が度々 いっておられるような社会的にはそういうものがない。しかもマスメディアもそういう ものを本当に作りだそうという意味でのキャンペーンが本当にあるのかということがあ ります。しかし、そういう道も私は考えてほしいと思います。  したがって、このメンバーですが、誰がいつまでに選んでいくのかというのは非常に 問題ではないかと思います。  事務局案の構成員で、法律専門家は入っているのですが、例えば私などはメディア論 が専門ですが、ジャーナリズム論とか表現の自由とか、そういう分野の人達を柳田参考 人は試案の中で入れていたと思うのですが、私もその意味で幅広い、法律だけではなく それ以外の分野の人達、メディカル関係者でない形の人達をなるべく多く入れていくべ きではないかと思います。  審議の非公開というのはリアルタイムでの非公開というのはわかるのですが、ある一 定の時期において全てを公開するのか、あるいは当事者である提供した人、受けた人、 家族の方とか、研究者とか、一定の枠を設けた開示ということも考えるべきではないか と思います。 〇伊藤局長  事務局試案につきましていろいろなご指摘が出るであろうということは、実は覚悟し ていたわけです。第三者検証機関について今浅野委員からもお話がございましたが、き ちんとしたものを作ろうとしますと、守秘義務の問題をどうするのかとか、事務局の体 制などいろいろと検討すべきことが多いわけです。そういうことを考えますと、臓器移 植法の施行後3年をメドに見直すということも法律上規定されておりますので、その時 点でもう一度本格的なものでご検討いただくということにして、当面、今事務局でご提 案申し上げたような形を中心に、現実的な対応策をこれを元にご議論いただいたらどう かというのが私どもの考え方でございます。 〇小泉委員  検証ですから、私はこれが可能な限り客観的に事実に基づいた情報を元に議論される 機関であってほしいと思います。  そこで、繰り返して何例も、何十例も、あるいは更に多くなった場合に、検証の基本 が物差しが揺らぎますと、何のために検証しているのかということにもなりますから、 その意味で、検証基準というか、チェックポイントのようなものを予め機関を置く前で もいいし、あるいは機関をおいてその機関が最初に議論してもいいと思うのですが、皆 さんのメンバーの合意の得られるようなチェックポイントの設定を提案します。 〇黒川委員長  それは多分今までの検証の結果からいうと、どういうところが大事であるという全体 のフローは多分できると思うのです。それぞれの提供のところでいろいろなマニュアル を作るのはいいのだが、実際のところのチェックリストは一体何かという話をやって、 その他のことという流れは大体できるのではないか。そうでないとその都度でいろいろ なムードで変わっても困りますね。それは凄く大事なことですね。  確かに浅野委員がおっしゃるのも無理はないが、日本では第三者機関といのうはある のかというとないのではないですか。  例えば今の大学審議会などが研究の評価ということで、国立大学での研究の評価をす るのを第三者機関にやらせるというのが学術審議会かで出たのですが、あの第三者機関 というのは公的な機関という建前です。公的でないと第三者でないというのをどうも皆 さんが考えているようです。先生がおっしゃるような民間の調査会社にやらせるという 発想は丸々ないですね。私がそういうことをいったら、エッ、先生のは第四機関ですか と言われました。公的な機関を考えているのですかといったら、それはそうですよと言 われました。それではまた天下り先を作っているだけかといったのです。そういうので は困りますね。でもそういう社会にはなってないと思います。 〇浅野委員  私は前にも文書も配りましたが、この移植医療というのが非常にオープンで厚生省は これまでやってこられたことも非常に画期的な、この委員会の公開も含めて新しい試み であると思っております。しかもドナー、患者の方のプライバシーを守ってきちんと透 明性を保つといのは、国民が誰も反対しないテーマであると思うのです。  その意味で皆が協力してできるので、黒川委員長がおっしゃるように日本でこういう ものが、私はオンブズマン的なものを考えているのですが、スウェーデンなどであるよ うなオンブズマンというのは今の日本には確かにないのです。第三者機関というのは結 局はどこかの役所であったり、労働組合であったりで、大きな力の中で事務局をやられ る。これは政府だけの問題ではなく、その他のものも結局そういうものに収斂されてい くというのが常であったのです。  今回は私はその意味でチャンスではないかと思っております。先程日弁連といいまし たが、ちょっと舌足らずでした。日弁連と関係学会です。医療に係わる学会、そこは皆 さんがここで委員になっていらっしゃるので、その意味で厚生省ではなく、医学界とか 日弁連とかの外部のこういうものについてバイアスがなくて、国民の利益のために考え るような組織、そういうものが集まってどういう体制にするのかということをやって、 それでも上手くいかないし、どこもやるところがない、それなら厚生省がやるしかない とか、一定のものを経てほしいという気がするのです。  伊藤局長が言われるのもわかるのですが、一度そういうものをこの委員会で呼びかけ てみたらどうかと思います。時間もないのですがね。その間はむしろおかしなものを作 るよりも、今の作業班があるので、そこできちんとやっていただいて、もう少しきちん とした体制ですね。誰が責任をもって、誰が委員を選んで、どういう運営をしていくの かということを社会的な議論ができたらという思いはあります。 〇小柳委員  構成員が大体10名前後ということですが、この辺はまだ何も決まってない話だと思い ますが、構成員の比率について大変関心がございます。各専門家をこのように列挙され るのは作業過程ではそうだと思うのですが、私の記憶に新しいのは脳死臨調がございま して、15名の委員のうちメディカルプロフェッションが3人だけという構成であったと 思います。我々プロフェッションは大変に歯がゆい思いをした記憶がございます。  今度はフィールドがある話ですので、そういうことにはならないと思いますが、少な くともスペシャリティを尊重した構成に是非していただきまして、事実に基づいて文 化・文明論などにならないようにやっていただくようにお願いしたいと思ってます。 〇藤村委員  私も今の意見です。この臓器移植が適正にして公平・公正に行われたのかということ をチェックするわけですが、それは客観的にやるわけです。それですから、先程お話に 出たと思いますがチェック項目というのがちゃんとあって、それに合っているのかとい うのを見て、それを基に検証するわけです。その中でも問題はあると思うのです。本当 にチェック項目がそこでチェックできるのかということがあると思いますので、そうい うところがあったらそれは問題点として、例えばこの会に持ち上げるとか、そういう機 能もあっていいのではないかということを考えるわけでございます。 〇大島委員  先程の浅野先生のご意見ですが、日本の公益性とかを一体誰が、どこが、一番フェア に考えているのかということに通じるのかなと思って聞いていたのです。浅野先生のお 言葉の中から日弁連ということがありました。すると日弁連は厚生省よりも公平に担保 できる機関であるということの議論がまた始まると思うのです。これは日弁連だけでは なく、具体的な名前がどこか出てきたら、その機関が本当に厚生省よりフェアなのかと いう議論になってしまって、これは大変な話に繋がると思うのです。  確かに理念としておっしゃられることはよくわかるのですが、具体的に名前が出た途 端に、それは大変な議論になるし、恐らく収まりが付かないことになるのではないかと 思います。  今までのいろいろな経緯の中で厚生省は随分責められたりして、まるで不信の固まり のように見られるところがあるかも知れませんが、しかしそれは具体的にいろいろなこ とをやっているから、いろいろな形で問題が噴出してくるのです。それをどうそういう 形に繋がらないようにするのかという仕組みが重要で、少なくともこの委員会において は非常にそういう工夫というのが、きちんとした形で進められてきている。ここで提案 されたことは全てオープンになってますし、そのプロセスも全て明らかになっているの で、これに問題があるとすれば、どのような形にすればよいのか。  したがって、私は厚生省から提案されて、それを審議していくというプロセスが極め て明快になっている以上、今はこれが一番良い方法ではないかと思うのです。いかがで しょうか。 〇浅野委員  先程メディカルな専門家の方が脳死臨調では少なかったとおっしゃったのですが、そ れはその時の議論の対象がそういうことであったので、死のとらえ方とかのいろいろな 議論がされたと思います。私はただし、この検証というのは、つまりお医者さんたちは 一生懸命やっている、それはその通りです。厚生省も移植ネットも一生懸命やってい る。それでも何か問題はないのかということを市民の感覚で検証する人を入れるという ことが最も大事なことであって、また同じようにメディカルの専門家の人達が、他のお 医者さんがやったことを、医療機関がやったことを検証するだけではあまり意味がな い。それだったら、先程いいましたが作業班があるわけですから、そこを拡充するとか をしていけばいいのではないかと思います。  日弁連という名前を出しましたが、日弁連というのは法律に基づいている公的なもの でありますし、その意味で様々な、司法のあり方についても法務省といつも議論してい るわけですから、その意味で他の団体とはかなり違う公益性を追求しているところであ ると思いますので、そんなに日弁連がここに絡むことについて、大揉めになることはな いのではないかと思っております。  私が日弁連を見るとかなりコンサーバティブな組織ではないかと実は思っておりま す。保守的というか、一方に偏っているという意味ではないと思います。一部委員の方 が心配されるような意味ではないのではないか。きちんと機能している責任をもった団 体であると思っております。  先程付け加えましたように、関係学会が大事ではないかと思います。アカデミズムの 人達がこれに絡んでいって、別に厚生省を信用できないということをいっているわけで はなく、厚生省は厚生省の仕事をきちんとしてもらえばいいわけです。厚生省や医療機 関がやっていることを平場で市民の感覚でやる。これは医療の専門家に任せればいいと いうことでは、この透明性というのは保てないのではないか。そのことが市民の間で脳 死医療というのがもう少し市民にわかるためにも、そういうことをやっているのだとい う意味で私は申し上げているわけです。  決して不信とかではなく、最近いろいろ考えますが、厚生省は薬害エイズ問題以降か なり変わって、日本のいろいろなお役所と付き合いがありますが、厚生省はかなりオー プンな役所にかわりつつあると思っております。 〇黒川委員長  私としては現実的には事務局案というのは悪くはないと思いますが、私自身も幾つか のコメントがあります。  確かに委員の構成を10名程度にしたときにどうするかです。例えば脳死・救命・移植 という医療側は今までの経験からいって、その人の後ろにかなり複数の人が、モニター している人がいるという現実がありますよね。だからあまり個人の意見としてブレよう がないというところがあると思います。チェックリストかあってね。  問題は私の立場からいうと、別に医者の立場からいっているわけではなく、例えば生 命倫理に造詣の深い学識経験者という人が一人いると、この人の方向でずーとディビエ イトしてしまって、そうだそうだということになる。むしろ、そっちの方が危険ではな いかと思っているのです。  法律の専門家というと、書いてあることに従って解釈してくれる人かなという気もす るが、臨床心理の専門家というと、ディシプリンがかなりオープンに学問的にコンピー トされた上で評価される人かという保障が少し弱いのではないかというので、この辺の 懸念があるかなと思います。その人の意見が、一人言っているとあいつの言っているこ とがおかしいという仲間が、どれだけいるのかという話がちょっと懸念されるというこ とがあります。  そういうところを、小柳先生やその他もちょっと心配したのではないかという気がす るのです。  例えば日弁連の会員でないと弁護士の開業はできない。あれは非常に保守的な組織で ありまして、先生は公平といいますが、僕はたまたま弁護士さんといろいろな話をして いたら、例えば会社の役員などになるのは日弁連が許可しない限り絶対になれない。監 査役ならまあいいか、でも我々の言うことを聞かないかぎりは除名である。しかも日弁 連を除名されると、弁護士としての職種を失ってしまうのです。そういうくらいとんで もない組織です。こういうと悪いかな。  もう一つは弁護士の事務所さんというのは支部を出せないのだそうです。だから全国 的に今は弁護士さんを増やそうと思っているのですが、例えばみな大都会に集中してし まって、地方にはいない。地方の弁護士事務所は一つの事務所には支局を置けないので 大きな事務所では多分100 人くらい抱えるというのはそこしかできなくて、例えば同じ 東京でも青山支店というようなことは出せないのだそうです。それは何故かというと、 他を排除して自分たちだけでやるというテリトリィをがっちり守っているという、お医 者さんの開業の医師会よりもっと凄いと思ったのです。  私はそう思うので、先生がいっている市民の感覚というのは正しいと思うのだが、そ れは今になって市民といっても、日本は元々は村民しかいないのではないかという気が するのだが、本当に今までの為政者から自分たちの血を流して勝ち取った民主主義が日 本にあるのかというと、そういうのはないと思うのです。  その意味では先生のおっしゃっていることは僕はよくわかるし、理想ではあると思う が、日本の社会かそれだけマチュアになって、それぞれの市民が責任をとってくれるの か。オンブズマンもボランタリーの人達で素晴らしいシステムだと思うが、そういうの がマチュアになってきて市民というか県民というか都民というか、その人達が本当にそ ういう人達をある程度自分たちの代弁者として見ているのか、あるいはごく一部の人と して見ているのか、もしそうであれば、その人達のオペレーションのコストは、皆がド ネーションをしてサポートするのか、あるいはそのお金がないからどうにかしてくれと いうのでは全然話にならないわけです。  そういうところから考えると、差し当たりもしやるのであれば、事務局の案は止むを 得ないというか、今の日本のチョイスとしてはいたしかたない。  例えば先生がおっしゃるように、マスコミも第三者で国民の代弁者のような顔をして いるが、実はそうではないということもよく分かったわけです。そういうことからする と、第三者と言われるのが、日本の人はお役所が好きなのではないかというところに、 まだお上にお願いしますというところが、まだまだトラジションで、それをスーと下ろ すのはそれなりのリスクもかなりある。  だから先生がおっしゃったように、この委員会も全部公開してくれというのは私の条 件であったわけですので、今度の竹内委員会あるいは小泉委員会も、そこでしたものを ここで話をしていただいているというのは、かなりチェックにはなっていると思うので す。だからこれを作るのには皆さんが賛成はされているのだが、具体的な運用、実際に 今ある小泉・竹内委員会に駄目だとか、今のところで大変だがもうちょっといってもい いかなというところで、今日の議論を踏まえてもう一回整理して次回です。  急いでこれをやらないといけなくって、今の委員会では不足という話もあるのかも知 れませんし、今のもその結果の報告について全部公開されている、資料も全部公開され ているというところからいえば、よしとするという意見もあると思います。それも含め て今日のところはこれで議論を終わらせていただくということでどうでしょうか。 〇浅野委員  私は今日はじめて見たのですが今ある作業班の拡充でしかないと思います。ですから 私はこの構成員は誰が選ぶのかということをいっているのです。日弁連の名前を出した のも、選ぶところの主体が厚生省だけであっていいのかという意味もあるのです。  この委員会が選ぶのか厚生省が選ぶのかわかりません。そういうことも書いてないの でそれを聞いているのです。  今黒川委員長が言われたオンブズマンがボランティアとおっしゃいましたが違いま す。オンブズマンというのは法律に基づいて北欧では作っているのです。日本で「市民 オンブズマン」というのは市民運動としてやっているのであって、それはオンブズマン がないので、市民たちがオンブズマンという形でいろいろな行政をチェックしていると いう意味で、北欧とか北米などで展開しているオンブズマンというのは法律に基づいて ます。プレスオンブズマン(報道評議会とセットになっている)は違いますが、それ以 外の「子供のオンブズマン」「消費者オンブズマン」などは全て法律に基づいてやって いるものです。  問題は法律に基づくのだが、誰が責任をもって選ぶのかというときに、スウェーデン であればスウェーデン弁護士会長とか、いろいろな学会の会長とか、市民運動の人達が あるいは一般市民の人が入っている運営委員会でやっているという意味であります。そ の辺は誤解があるのではないかと思ったのです。  ですから、今回の場合もお金は国が出していいと思うのですが、そこの選ぶ主体のと ころをどうするのかということです。私が具体的にイメージするなら、この委員会でも 皆で参考人として話を聞いた柳田邦男さんなどは非常に素晴らしいバランスの取れた意 見であったと思います。例えば柳田邦男さんのように本当に医療の問題を考えている人 です。  ですから100 人が100 人、この人はフェアな人だと納得できませんが、100 人いたら 80人とか90人くらいの人が、あの人だったらいいのではないかという人がいると思うの です。ですからオール・オア・ナッシングではなく、よりよい体制、より良い仕組みを 作っていく意味です。そうでないと世の中は変わらないのではないかと思います。  最初から日本に市民はいないといってしまったら、あるいは日弁連は駄目だといって しまうと、日弁連の人も一生懸命仕事をしているわけです。悪い人もいるでしょうが、 一生懸命やっている人もいるわけだから、その人達に関与してもらって、そのことがま た日弁連の体質もかえていくという意味で、何とか、誰が何のために選ぶのかという主 体のところを、きちんと議論してほしいと思います。 〇黒川委員長  ありがとうございました。私がいっているのは日弁連といっているわけではなく、全 ての団体の属性で日本の人が出来上がっているということの一般論としていっているわ けです。その意味では最近の移植医療にかかるところは特にそうですが、お医者さんの 方はかなり開かれてきたというふうに思っているという話でございます。 〇井形委員  私はこの案でいいと思います。第三者の検証はこの委員会以外はやってはいかんとい うことになると、これは大問題ですが、現実には第三者はみなやるわけです。ですから こうういメンバーでやった検証の結果はこうですということを、客観的に表示すること は非常に意味のあることだと思います。  ただ、私がこの審議を非公開というのはちょっと抵抗があります。そういうことを言 うだけでマイナスになってしまうのです。検証結果について公表ではなく、検証結果と 審議のプロセスを公表するのでないとね。昔、生命倫理懇談会をしたときも結果だけ出 して、なぜ評価ができるのかということで、全然評価は悪かったのです。今の時代に、 わざわざ、非公開とするということをここに書く必要はないのではないか。検証結果及 び審議結果については公表するで結構だと思います。リアルタイムで公開する必要はな いと思います。それからプライバシーに触れることがあればそれは隠す、それはコンセ ンサスを得られていることであります。私はこういうところに、文章で「非公開とす る」と書くことだけで、明日の新聞などで叩かれるのではないかという気はします。 〇黒川委員長  これは個人情報という意味だと思うのです。書くとかえって妙に勘繰る人もいるとい うことですね。  非公開というのは審議のところで決めればいいわけですよね。今は全て非公開のとき は最初から非公開と書いているのですか。 〇伊藤局長  例えば1例目2例目の作業班をやっていただいたと思うのですが、そこに膨大なカル テのコピーですとかいろいろ資料が出されて、それを例えば実際の具体的な作業をお聞 きしておりますと、その場では読み切れませんから、それぞれ大変な時間をかけて、例 えば自宅にもって帰っていただいて勉強していただいて、全部それには名前が入ってま すから、例えばコーディネーターとご家族の生々しいやり取りが全部そういうものが出 てくるわけですから、本当に公開という形でいいのかどうかです。  考え方としてはできるかぎり公開するのは考え方であると思うのですが、例えばご家 族なりの了解を得られた範囲内とか、リアルタイムでは無理であれば、議事録で検討の 経過が分かるようにするとかの何らかの工夫はあり得ると思うのですが、実際の検証し ている作業の現場は、私は公開というのは問題があるのではないかと思います。 〇井形委員  審議経過については表するというのは絶対に必要だと思います。 〇伊藤局長  この審議というのは、作業をしている現場に、ということをいっているわけです。で すから審議している現場に傍聴を認めるかどうかという意味でございます。 〇黒川委員長  審議という言葉が誤解を招くから作業はしているのだが、作業した結果が審議で出て くくるという恰好にしておけば、これは必要ないでしょうね。例えば構成員が全員集ま って全部でカルテを引っ繰り返してということをやることをするのか、それはここで決 めればいいわけで、チェックポイントがあってここでいかがですかという話で複数で見 る場合は多分審議ではなくなりますよね。その意味ではこれは誤解を招く、審議と言わ れるとかえって不味いかも知れない。 〇板倉委員  情報公開というのはやられておりますが、会議の公開というのはまだ一般的にはやら れてないですね。川崎市はこの4月1日から条例を作りました。私は藤沢市ですが、こ れから会議公開というものを実現するように今検討して、来年くらいには実施するつも りです。そうだとしても個人情報、プライバシーに係わるようなことについて、公開し て皆に聞かせていいのかというのは、当然にそういうことはしてはならないと思うわけ です。  ただそこで議論された審議の結果、こういうものは公開して、皆さんに提供していく ということは必要だと思います。  ですから基本的にはいろいろな問題があるかも知れませんが、私としては事務局のお 考えのようなものでいいのではないかと思うわけです。  大体、国の会議で公開されているというのは、そうはなくて、ここは元々素晴らしい ところであるわけです。結論的には、事務局のお考えのようなもので私としてはいいと 思います。 〇黒川委員長  ではこれは継続審議ということで、今日のご意見を踏まえて実際にどのように立ち上 げていくか、いつ立ち上げるのか、ということも含めて次回またお話を伺いたいと思い ます。その他という議題があります。これを事務局から説明していただけますか。 〇山本補佐  参考資料の1でございます。これは臓器提供施設になりうる施設に対しまして、臓器 提供に係わる準備状況、整備状況いかんということでアンケート調査をさせていただき ました。対象としてはこの調査をやった時点でのガイドラインに示された4項目の施設 353 施設を対象にしまして、4月30日現在の調査をしました。現在はちなみにこの353 施設が354 施設と1施設増えております。回収数337 、回答率95.5%ということで高い 回答率を得ております。  2ページ目に回答結果です。既に臓器提供施設として体制を整えているというのが70 %、今後整える予定というのが28.9%、今後も予定がないという3施設の回答を得てお ります。  この236 施設に対しまして、名前を公表していいのかということを確認しまして、公 表してもいいとご回答いただいた施設を、次の3ページ、4ページに書いております。 4ページの最後は全公開施設232 施設ですから236 のうち4施設は公開しないでくれと いう回答をいただいております。それが資料の参考1−1でございます。  参考資料2でございます。分割肝移植につきまして、分割肝移植に係る作業班という のを7月12日に開催していただきました。信州大学川崎教授の班長の下に考え方をまと めていただき、前回のこの専門委員会でその内容を文書で各委員に了解を得た上で方針 を出すということで、方針がまとまり、局長通知ということで通知させていただきまし た。  考え方は2ページ目に書いてございます。まずレシピエントを通常通りに選択したと きに、そのレシピエントが小児等であって、肝臓のサイズダウンが必要である場合にお いて、そのサイズダウンした肝臓の残りの部分が移植に使われる場合には、分割肝をや っていくということでございます。  分割肝を行う際に、ドナーについてはより肝臓が良いということが求められますので 2のところに書いてございますように、年齢、循環動態の問題、脂肪肝があるかないか の問題、カテコラミンの投与があったかなかった等の基準を書いてあります。ただ原則 としては基準は望ましい基準であって、最終的には現場の判断が尊重されるべきという 考え方でございます。  分割をした後のレシピエントの選択は、通常のレシピエント選択基準に基づきネット ワークが2番目、3番目の方に連絡していき、インフォームド・コンセントの元に移植 に結び付けるということでございます。その他に書いてありますように、そもそもフ ァーストチョイスのレシピエントが大人であって、サイズダウンが必要でなかったとし ても、生体肝移植の技術を駆使して、その肝臓を分割して、2人一遍に救うという意見 につきましては、それは今後の検討課題ということで、それについては直ぐにやるとい うことにはなっておりません。3ページ目に今の流れがございます。  最後に参考資料の3−1と3−2でございます。実は参考資料の2の方で出しました 資料は、以前にお持ちしたことですが、日本移植学会の方がドミノ移植に関して医学的 評価をいただきまして、それに基づきまして作業班で議論し、ここで確認していただい た上で、FAPの患者さんから摘出された肝臓を移植に利用する際に、ネットワークに ご相談があれば、レシピエントに対して情報を提供するということがはじまっておりま す。  これを全国の関係機関に通知しましたところ、日本移植学会から出されました最後の 別紙の3ページ以下に書いてある医学的内容と矛盾はしませんが、それを補完するとい う形で厚生科学研究特別疾患対策事業という本省の研究班の中の難病対策の中で、アミ ロイドの研究をやっている研究班の班長以下の方々から、そちらの方での研究成果もま とめたのでご提出いただきました。これは移植施設におかれまして、患者さんに対する インフォームド・コンセントの際に、情報として必要な情報だろうということでつけさ せていただいております。  考え方としては、一つはFAPの患者さんの肝臓をドミノ移植で移植した場合に、現 時点においては移植された患者さんからまだアミロイドニューロパシーが発症したとい う症例報告はございません。しかしこの手術自身は1995年に最初に行われておりまして まだ5年弱しか立ってないので、何十年後にこのアミロイドが発症してくるのかという ことについては医学的なエビデンスはございません。通常アミロイドの患者さんの発症 が20歳代から40歳代ということですから、それまではつまり20〜30年はもつのではない かという考え方もあるが、必ずしもそれは医学的に根拠があるものではないということ を明確にご指摘いただいております。  移植患者の免疫抑制剤の影響は、これは全く医学的にはノーエビデンスということが 明記しております。  池田先生からのお話で、一つはレシピエントの長期的なフォローアップを是非きちん とやって、もしアミロイドの発症が起こってきた場合には、早めのケアが必要になりま すし、患者家族への心理的なケアを含めてきちんとフォローしていただきたいというご 意見もございました。  ただいずれにしてもFAPの発症につきましては、進行経過が非常にゆっくりであっ て次の再移植という道もありますし、今肝臓移植を待っている方々が、非常に臓器が不 足している事態においては、この移植については可能であろうということです。できれ ば成人の方が望ましいのではないかということもご意見をいただいております。  いずれにしましても池田教授からのご意見で、こういう情報を全部提供した上で、今 の時点では移植を受けられる患者さんの選択であろうということで資料を提供いただき ましたので、合わせて提供いたします。以上です。 〇黒川委員長  ありがとうございました。一つは今の提供施設の準備状況というか整備状況について の調査結果の概要というものをいただきした。見ていただければこういうことです。  次に分割肝移植については、前回、川崎委員長の案を作っていただきました。それか らお答えをいただいた、検討していただいた結果を、このようにしてネットワークの方 に通知をさせていただいた。先生方にもその案は出させていただいたと思います。  3番目は、この間、今度は九大でも行われましたが、家族性アミロイドポリニューロ パチーについての肝臓について、資料3−2に移植学会からの医学的評価ということが 出てます。実はこれについての厚生省の科学研究特定疾患対策事業の主任研究者の池田 先生の方からコメントがあります。3−1ですが非常に詳細に、今までどのように行わ れていたのかという話しがありまして、これを移植学会で出したものについて、更に補 完するような、こういう実際のデータでは今まで49例の全てのレシピエントは44歳以上 で大部分は60歳以上で、これがアミロイドになるには時間がかかるとはいっても、ある 程度エイジングのプロセスもそれに係わっているという可能性は否定できない。移植を 抑制しているときにはどうなるのかというのは全く分かってないという話について、十 分にインフォームしていかないといけないのではないかという、大変に貴重なコメント でありまして、これを見て非常に感心したのです。  こういう意見を積み重ねながら、患者さんへの十分な情報の提供、家族にもそういう ことを言わないと良くないのではないか。こういうことは大変に貴重なエビデンスをい ただいているのではないかと思います。  これ以外についてなにかございますでしょうか。前いったように今まで外国でやられ ているのは49例ですが、そのうちポルトガルが23です。なぜポルトガルが多いのかとい うのはポルトガルの何とかという海辺の村に非常にこれが多いのですね。それと日本の 九州が同じです。  こういうエビデンスをどんどんそれぞれの医療関係者、その他の方から、いろいろな コメントをいただけると更にクオリティの高いインフォームド・コンセントの内容が出 来上がってくると思います。  今日はいろいろなホットなディスカッションをいただきまして予定の時間を少し過ぎ てしまったのですが、内容が濃いということで勘弁していただきます。 〇朝浦室長  次回の開催は8月12日の午後1時から3時までの2時間予定しておりますのでよろし くお願いします。 〇黒川委員長  今日はありがとうございました。次回よろしくお願いします。                                   −終了− 問い合わせ先  厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当  山本(内2361)、木村(内2364)    電 話 (代)03−3503−1711