99/07/02 公衆衛生審議会精神保健福祉部会議事録             公衆衛生審議会精神保健福祉部会                  議 事 録          厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課 議 事 次 第  日  時  平成11年7月2日(金) 16:00〜17:00  場  所  厚生省特別第一会議室(7階)  議事次第   1 開 会   2 議 事   (1)精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律について   (2)専門委員会の設置について   (3)その他   3 閉 会 〔出席委員〕   高 橋 部会長   北 川 委 員  浅 井 委 員  生 田 委 員  伊 藤 委 員   大 熊 委 員  河 ア 委 員  吉 川 委 員  窪 田 委 員   小 西 委 員  佐 野 委 員  白 倉 委 員  仙 波 委 員   冨 永 委 員  西 島 委 員  新 田 委 員  牧野田 委 員   谷 中 委 員  吉 澤 委 員 ○部会長  ただいまから、公衆衛生審議会精神保健福祉部会を開催いたしたいと思います。この 会は本日は公開でございます。2月1日、この部会で決議しましたように、傍聴を許可 しておりますので報告申し上げます。  それでは、会議に入りますが、まず初めに、本日の委員の出欠について、事務局より 報告願います。 ○中村補佐  本日は精神保健福祉部会委員23名中、18名の委員にご出席いただいております。定数 の過半数を満たしておりますので、部会の開催は成立いたしております。  なお、本日欠席される旨のご連絡をいただいている委員は、阿彦委員、池原委員、木 下委員、高杉委員、町野委員、計5名でございます。  以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。  それでは、議事に入ります前に、事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたしま す。 ○中村補佐  それでは、本日の配布資料の確認をさせていただきます。  配布資料一覧とあわせてご確認いただければと思いますが、資料1が「精神保健福祉 法等の一部を改正する法律審議経緯」、資料2が「精神保健及び精神障害者福祉に関す る法律等の一部を改正する法律の概要」、資料3が「精神保健及び精神障害者福祉に関 する法律改正後全文」、資料4が「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律新旧対照 条文」、資料5「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(平成14年4月1日施行関 係新旧対照条文)」でございます。資料6が「参議院附帯決議」、資料7「衆議院附帯 決議」でございます。資料8「精神保健福祉法に関する政省令事項(見込み)」でござ います。資料9「精神保健福祉法施行のためのスケジュール(案)」でございます。資 料10「精神保健福祉法施行のための専門委員会(福祉分野)の設置について」、資料11 「精神保健福祉法施行のための専門委員会(医療分野)の設置について」でございま す。  以上、ご確認よろしくお願い申し上げます。 ○部会長  よろしゅうございますか。全部資料はおそろいでしょうか。  ありがとうございました。  それでは、議事に入らせていただきます。まず初めに第1の議題でございますけれど も、今般告示されました精神保健福祉法の改正について、審議経過等について、事務局 から報告をお願いします。 ○中村補佐  それでは、精神保健福祉法等の一部を改正する法律案の審議経過につきまして、ま ず、資料1をご説明させていただきたいと思います。  精神保健福祉法の改正案につきましては、3月9日に閣議の了承を得まして、10日に 国会に提出してございます。参議院先議となりまして、4月9日に国民福祉委員会に付 託しまして、4月13日に提案理由を説明。その後、記載のような審議経過を経まして、 4月28日に本会議全会一致で可決をしたところでございます。  衆議院に移りまして、4月28日に厚生委員会に付託されました。5月7日に提案理由 の説明をさせていただきまして、記載のとおりの審議経過を経まして、5月28日に本会 議全会一致で可決、成立。  6月4日公布をするという経過に至ったところでございます。  引き続きまして法の概要についてご説明をさせていただきます。資料2は法律の概要 ということで、既に委員の先生方にもごらんいただいているかと思います。今申し上げ ました経緯の中で、参議院の4月27日、一部修正というのがございますが、これは資料 3をごらんいただきたいと思いますけれども、資料3の27ページでございますが、この 附則の第六条に、5年後の見直し規定が入れられましたことが主な点でございます。  それでは、資料4に沿って、今回改正となって主な点についてご説明をさせていただ きたいと思います。資料4の2ページ目、第五条のところでございますが、ここの定義 のところで「中毒性精神病」というところが「精神作用物質による急性中毒又はその依 存症」ということで定義がされております。  次に3ページでございますが、十九条の二でございますが、指定医の取消し等につき まして、中間的な処分を設けるということで、十九条の二に新たな規定が設けられてご ざいます。  次のページ、4ページになりますが、十九条四の二、診療録の記載義務について記載 がございます。  次のページ、5ページでございますが、保護者の規定でございます。第二十二条でご ざいますが、この保護者に関する規定の変更がここに記載があるところでございます。  次に移送の関係でありますが、6ページの二十九条の二の二になります。今まで措置 入院について、移送についての明確な規定ございませんでしたけれども、今回措置入院 についても移送の規定を明確にし、後の三十四条にも関係しますが、医療保護入院につ いても移送の規定が明確に規定されるということになったところでございます。  次の7ページでございますが、医療保護入院の入院形態に関する定義でございます。 第三十三条でございます。第三十三条の一に、「指定医による診察の結果、精神障害者 であり、かつ、医療及び保護のため入院の必要がある者であって当該精神障害のために 第二十二条の三の規定による入院が行われる状態にないと判定されたもの」というもの が加えられたということでございます。  次のページの8ページでございますが、第34条は、今申し上げました移送の規定につ いて、医療保護入院があった場合の規定でございます。同時に仮入院の制度が廃止され てございます。  飛ばしまして10ページでございますが、第三十八条の三でございますが、精神医療審 査会に関する規定でございます。精神医療審査会の機能強化を図るということで、帳簿 類等の報告、提出等の権限を持つという規定がこの中に示されているところでございま す。  次のページの11ページ、三十八条の五も同様でございます。  次に13ページでございますが、ここは覚せい剤の慢性中毒者の規定でございました が、今回第五条の定義の見直しとともに第四十四条が削除されるということでございま す。  次に15ページでございますけれども、第五十条でございますが、精神障害者社会復帰 施設の設置等につきまして、社会復帰施設に係る厚生省令等の規定を設けたというとこ ろでございます。  16ページでございますが、精神障害者地域生活支援センターが法定化されたというと ころでございます。  以上、主な点でございます。  資料5につきましては、平成14年4月1日の施行、主に市町村の事務にかかわるとこ ろについての新旧対照条文ということでございます。  資料6、資料7が、参議院並びに衆議院の委員会で附帯決議として示されたものでご ざいます。資料6をごらんいただきたいと思います。これは参議院国民福祉委員会での 附帯決議でございます。  まず、1番目でございますが、読み上げさせていただきます。 1 今後の精神保健福祉施策を進めるに当たっては、他の障害者施策との均衡や雇用施 策との連携に留意しつつ、障害者プランの着実な推進を図ること。 2 医療保護入院については、国連原則等の国際的な規定に照らし、その適切な運用に 努めること。 3 医療保護入院等のための移送の実施に当たっては、適正な運用が確保されるよう必 要な措置を講ずるとともに、都道府県の責任において適切な入院治療が提供できるよう 二次医療圏を勘案し、その体制を整備すること。 4 市町村を中心とする在宅福祉サービスの充実が図られるよう、財政的な支援を行う とともに、専門的・技術的な支援を行うこと。また、市町村障害者計画の策定について 市町村が主体的に取り組むことができるよう、積極的に支援すること。 5 精神病床に係る人員配置基準、医療計画その他の精神医療提供体制及び長期入院患 者の療養の在り方について、早急に検討を行うこと。 6 チーム医療及び精神保健福祉サービスの一層の推進を図るため、人材の育成・確保 に努めること。また、現在検討中の臨床心理技術者の国家資格制度の創設については、 速やかに結論を得ること。 7 重大な犯罪を犯した精神障害者の処遇の在り方については、幅広い観点から検討を 行うこと。 8 精神医療審査会がより適正な機能を発揮し、独立性と実効性を確保できるよう努め るとともに、合議体の構成についても検討すること。 9 成年後見制度及び社会福祉事業法等の見直しの動向を踏まえ、保護者制度及び精神 障害者の権利擁護制度の在り方について、引き続き検討を進めること。 10 小規模作業所については、社会福祉事業法の見直しの中で、通所授産施設の要件緩 和が検討されていることから、その検討結果を踏まえ、通所授産施設への移行を促進す ること。 11 精神病院における不祥事件の多発にかんがみ、適切な医療を確保するとともに、医 療機関等の情報公開の推進と精神病院の指導監督の徹底を図ること。 12 精神障害者に関する各種資格制限の緩和と撤廃について検討し、その結果に基づい て、速やかに必要な措置を講ずること。 右決議する。  ということになっております。  資料7は、衆議院での附帯決議でございますが、同様に12項目ございまして、内容と しては重複するところがほとんどでございますので、後ほどごらんをいただければと思 います。  以上でございます。 ○部会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明に関しましてご質問、ご意見等ありましたら順次ご発言お願いしま す。どうぞ、窪田委員。 ○窪田委員  資料2の終わりのところに「精神障害者保健福祉施策の概要」という大きな全体の構 図のようなものがあるのですが、今回の法改正にかかわるものが書いてあるのかもしれ ないんですが、実は我々診療所の立場から見ますと、「通院医療」という項目が下に大 変小さくなっていて、やはり地域ケアということを考えますと、外来医療というもの と、こういった社会復帰施設というものが車の両輪のような形で機能して、初めていい 成果を上げるのではないだろうかと思うわけです。そういった意味では、この「通院医 療」という字が、もうちょっと真ん中に大きくなってもいいんじゃないだろうかという 気が一つはすること。  もう一つは、こういった外来におけるリハビリテーションの上で大変重要なデイケア が全く姿を消してしまっていて、やはりどこかに「デイケア・ナイトケア」というもの を位置づけていただきたいということが希望です。恐らくこの図は、法改正の本が出る ときに出てくるのではないかと思うものですから、その折りには直していただけたらあ りがたいと思うのですが、いかがでしょうか。 ○部会長  事務局の方から何かコメントございますか、ただいまのご意見に対しまして。 ○中村補佐  参考にさせていただきたいと思います。 ○部会長  ただいまの点は参考にして、また、表を検討していただきたいと思います。よろしゅ うございますか。 ○窪田委員  はい。 ○部会長  ほかに何かご意見ございませんでしょうか。大熊委員どうぞ。 ○大熊委員  国会での審議、大変深いご意見がいろいろ出たと伺っていますので、もし、できまし たら審議の記録がいただけますれば、いただきたいと思います。 ○部会長  事務局の方、いかがですか。 ○中村補佐  審議の議事録がございますので、後ほどお配りさせていただきたいと思います。 ○部会長  よろしゅうございますか。どうぞ。 ○大熊委員  もう一つ、附帯決議の中に人員配置のことなどについて早急におやりなさいというよ うなくだりがありますが、参議院の5番目の「人員配置基準、医療計画その他」、先 日、医療審議会の方では、一般病院についての、そういうものについて決まりまして、 なお書きのように、「なお、精神医療については別途審議」ということでちょっと置き 去りにされておりまして、ここの審議会の下にありますところでも、もっとさっさとや らないと医療法改正に間に合わなくなりますので、それはどうなっているでしょうか。 ○部会長  事務局の方からお答え願います。 ○中村補佐  精神科医療に係る医療提供体制につきましては、当審議会でも3月に一度ご議論いた だいておりますけれども、医療法の改正にあわせておくれることがないように対応して いきたいというふうに考えております。  それと、先ほどの議事録につきましては、きょう間に合いませんので、後日また用意 させていただきたいと思います。 ○部会長  議事録については後日委員の先生方のところにお送りするということでございます。 ほかに何かご意見ございますか。よろしいでしょうか。  それでは、次の議題に入らせていただきます。精神保健福祉法施行に向けての専門委 員会の設置につきまして、事務局から説明をお願いします。 ○中村補佐  それでは、資料8をごらんいただきたいと思います。「精神保健福祉法に関する政省 令事項(見込み)」でございます。  まず、「政令関係」でございますが、アルコール慢性中毒の用語の改正。  また、精神保健福祉相談員になれる者の規定の改正(法第48条関係)でございます が、精神保健福祉士の規定がこの中に規定されております。  次が、地方分権関係、地方公共団体の事務に関する規定を施行規則から政令に引き上 げるものがございます。  通院医療費公費負担、精神障害者保健福祉手帳の申請窓口の移管について。  施行日を定める政令でございます。  次に、「省令事項」でございますが、指定医の診療録記載義務の内容(法第19条の4 の2の関係)。  移送の際の告知事項(法第29条の2の2第2項の関係)。  社会復帰施設の設置の際の届出の手続、届出事項(法第50条第2項関係)でございま す。  同じく社会復帰施設を廃止又は休止しようとする際の届出事項法(第50条第4項関 係)でございます。  次は、地域生活支援センターの援助の内容でございます。(第50条の2第6項関係) です。  社会復帰施設の設備及び運営の基準(第50条の2の3第1項関係)でございます。  居宅生活支援事業の開始の際の届出の手続、届出事項(法第50条の3第1項関係)。  居宅生活支援事業を廃止又は休止しようとする際の届出事項(第50条の3第3項関 係)でございます。  居宅介護等事業(ホームヘルプサービス)のサービスの内容(第50条3の2第2項関 係)。 短期入所事業の受入れを行うことができる施設(第50条の3の3第3項関係) でございます。  「告示関係」でございますが、3点ございまして、移送の際に指定医の診察を経て行 える行動制限の内容(法第29条の2の2第3項関係)。  応急入院指定病院の基準の在り方(第34条の関係)でございます。  閉鎖処遇の在り方に係る処遇の基準の見直し(第37条第1項関係)でございます。  これらの政省令の事項の中で、特に審議会の方でご審議をいただいて、内容について 定めるべきだというところにつきまして※で示してございます。省令事項といたしまし て、社会復帰施設の設備及び運営の基準。  告示関係で、移送の際の行動制限の内容。応急指定病院の基準の在り方、閉鎖処遇の 基準の見直しということを一応事務局として整理をさせていただきました。  次の資料9をごらんいただきたいと思います。「精神保健福祉法改正施行のためのス ケジュール(案)」でございます。7月、本日でございますが、公衆衛生審議会精神保 健福祉部会にお諮りいたしまして、これらの省令事項の審議のために専門委員会の設置 を医療分野及び福祉分野についてのご了解がいただければ、専門委員会を設置するとい うことでございます。  7月から10月にかけて、各事項につきまして専門委員会でご審議いただきまして、10 月中には取りまとめをいただくと。  その間に、9月目途になると思いますけれども、地方分権一括法等の関係もございま して、この時期になるわけでございますが、改正政令、施行日を定める政令の公布を行 いたいと考えております。  専門委員会から10月に公衆衛生審議会がその報告を受ける。  その報告を受けまして、11月にかけましてご審議いただくと。  それを踏まえまして、12月、年末から1月にかけまして改正規則、告示の公布を行 う。  2月から3月にかけまして、施行通知等の発出を行うということで予定を考えてござ います。  続けて、今、スケジュールの中でも述べさせていただきましたが、事務局で考えてお ります法施行のための専門委員会の概要についてご説明をさせていただきたいと思いま す。資料10をごらんいただきたいと思います。「精神保健福祉法施行のための専門委員 会(福祉分野)設置について(案)」でございます。  趣旨は、今般の精神保健福祉法の改正により、精神障害者社会復帰施設の追加、在宅 福祉事業の充実などの所要の改正が行われ、平成12月4月1日に施行される予定となっ ておりますが、これらの事業等につきまして政令、省令、告示、通知などその円滑な実 施にあたって、幅広くかつ専門的な検討を行う必要があることからその施設基準や運営 基準及び実施要領等について、当該専門委員会を設置し検討を行うという趣旨でござい ます。  検討事項につきましては、精神障害者社会復帰施設の施設設備及び運営基準、その他 必要な事項ということで整理させていただいております。  委員の構成といたしましては、医療関係者、社会復帰施設関係者、患者家族関係者、 精神保健福祉士(社会復帰の地域の専門スタッフ)ということで入っていただいており ます。それと保健所関係者、市町村関係者(地域の行政機関の関係者)、有識者1名と いう構成で、計7名でございます。  検討スケジュールといたしましては、専門委員会の設置を7月上旬にいたしまして、 今月第1回の専門委員会を開きまして、8月、9月の会議を開きまして、10月に報告と いう段取りで行えればと考えております。  次のページごらんいただきますが、ご了承いただければということで、案を福祉分野 の専門委員会のメンバーとして、このような方々はどうかということでご提案させてい ただきたいと思います。  資料11をお願いいたします。資料11は「精神保健福祉法施行のための専門委員会(医 療分野)の設置について(案)でございます。  趣旨は、福祉分野と同様でございますが、こちらにつきましては、移送制度の創設な どの所要の改正が行われたほか、これに伴う応急入院指定病院の基準の見直しや、精神 病院における任意入院患者の閉鎖処遇を精神障害者の行動制限として位置づけることが 審議会の意見として示されております。これを平成12年4月1日に施行する予定となっ ておりますが、これらの事業等につきまして政令、省令、告示、通知などのその円滑な 実施にあたって、幅広く専門的な検討をいただくものでございます。  検討事項といたしまして、閉鎖処遇の基準について、移送の際の行動制限について、 応急入院指定病院の基準について、その他必要な事項。  委員構成といたしましては、医療関係者5、この中には国公立病院、民間病院のそれ ぞれの中から入っていただこうと考えております。看護関係者、法律関係者、行政関係 者、患者家族関係者、有識者1名、計10名で考えております。  検討スケジュールでございますけれども、福祉分野のスケジュールと同様に7月から スタートさせていただきまして、10月まで5回程度の開催でこれらの基準についておま とめいただければというふうに考えております。  医療分野の専門委員会につきましても、2枚目にありますような委員の方でご検討い ただいたらどうかということで、事務局の案を提示させていただいてございます。  以上でございます。 ○部会長  どうもありがとうございました。  ただいま2つの専門委員会、福祉分野と医療分野に関しまして、その趣旨、検討事 項、委員構成、検討スケジュールと、設置の内容(案)をお示しいただきました。これ についてご意見、ご質問ございましたら順次ご発言いただきたいと思います。 ○伊藤委員  医療分野の方の専門委員会についてですが、検討事項の中で、1つ、移送の際の行動 制限の基準をつくることは必要なことだと思うんですが、移送が強制を伴うものですか ら、対象要件をどうするかという問題が大事なことになると思うんですね。私ども全国 自治体病院協議会としては、既に改正された精神保健福祉法の運用に関して意見書を厚 生省の方に提出させていただいているんですが、その中で一応国連人権原則に則って、 そのまま放置すれば、重篤な病状の悪化を招くおそれが強い場合のみ強制移送の対象に すべきではないかと、そういうふうに対象要件も少し厳密に規定する必要があるのでは ないかという意見を出してあります。ここの検討事項の中には、「行動制限の基準」と いうのはありますが、対象要件についてどう検討していくかということは触れられてな いので、それをどうするか。もし、可能であれば、そこも少し議論していただいた方が よろしいのではないかというふうに思っております。 ○部会長  この検討事項の中に、対象要件も含めてというご要望ですね。 ○伊藤委員  医療保護入院の対象要件をどうするかということで、以前、この議論は既に一度やっ ているんですが、それとの関連も実はあるわけです。医療保護入院にしろ対象要件を決 めるのは非常に難しいことだという議論が以前あったことは事実なんですが、強制移送 に関しては、ある程度の基準を作っておかなければ、地域に住む患者さん方が非常に不 安があるといいましょうか、そういうことがありますので、この辺はきちんと基準を明 確にしておいた方が受け入れていただきやすいのではないかと思っているわけです。 ○部会長  ただいまのご意見に関してどなたかご発言ございますか。どうぞ、西島委員。 ○西島委員  私もその件は非常に重要なポイントだと思います。ですから、こういう制度が安易に 使われないということも必要なことかなと思います。 ○伊藤委員  もう一つ、よろしいでしょうか。 ○部会長  どうぞ。 ○伊藤委員  検討委員の構成なんですが、医療関係者が5というのは、主に医療に関係するという ことでよろしいと思うんですが、この中に地域で患者さんを抱えておられる方について も少し、例えば、ケースワーカーで地域活動されている方とか、そういう方も委員とし て必要ではないかということ。  それから、閉鎖処遇の基準にしろ、移送の行動制限にしろ、人権にかかわるものが非 常に多いということで、法律家1名だけでいいかどうかということもちょっと気になっ てましたので、この辺も少し皆さんのご意見を聞いて検討されたらいかがかなと思って いるんですが。 ○部会長  いかがでしょうか、ただいまの点。どうぞ、佐野委員。 ○佐野委員  今の伊藤委員のご指摘に非常に賛成なんですけれども、私はもっと理想的なことを言 いますと、本来、地域できちんとケアをしていれば強制的に無理やり移送しなくちゃい かんといった事態はかなり減るだろうと思うんですね。そこがきちんとできていないと ころにやっぱり問題が一番あるだろうと思うんです。実際にそうはいいましても、保健 所とか精神保健福祉センターとか、そういうケースが出て、病院まで警察と一緒にと か、その他の形で移送するというようなことは日常的にあるわけですね。  私は静岡県におりますから、静岡県の実情を見ていますと、保健所の方の体制が保健 所の統合等で弱体化してきておりまして、こういう緊急、要するに事が起こってから対 応するといいますか、もうちょっと予防的にその前から対応するといったことが非常に 今行われにくくなっているという状況があると思うんですね。ですから、そういう地域 ケアの問題を含めて、伊藤委員がおっしゃるように、保健所ないしは精神保健福祉セン ターの方からも委員を出せたらというふうにお願いしたいと思います。 ○部会長  窪田先生。 ○窪田委員  同じように、この移送の問題で、診療所もかなりかかわってくることになるんじゃな いのかなという気がするんです。診療所にも指定医が大勢おりますし、実際に地域ケア という問題になってきますと、委員構成は医療関係者としては病院の先生方がほとんど なんですが、1人ぐらい診療所の医者がいてもよろしいのではないだろうかというふう に思います。 ○部会長  大熊委員どうぞ。 ○大熊委員  どうも職種で言いますとお医者さんが多過ぎるような感じがするので、ちょっと目の 子勘定だとどちらも過半数をお医者さんのように思われますので、正確な医師免許を持 っている方がそのうち何人かというのをお教えいただきたいと思います。  それから、有識者というのがそれぞれ書いてあるんですけど、どの方が有識者に当た るのかというのをお教えいただきたい。  それから、法律家として佐伯さんとおっしゃる教授がおられますが、この方は実際に 人権の実務、現場のご経験のある方なのかどうかということも伺いたいと思います。  それから、地域というとやはり保健婦さんが非常に大きな働きをしていらっしゃいま すので、医師以外の看護職の方とPSW、片方は1人入っていらっしゃいますけれど も、PSW法案をお通しになるときは、これがとても大事なものだものだというふうに 私は伺わせていただいたのにちょっと1人かなという感じがいたします。  それから、国会の議論のときには、精神病院にお入りになった体験者とか人権セン ターのボランティアの方が呼ばれていたので、とてもほかの従事者にはわからないこと をおっしゃったと聞いておりますので、国会にならって、このような方々も入っていた だいた方がよいのではないかと思います。国立から1人、法律家で1人、私立から1人 とか、そういうような従来のやり方ではない方がよいように思います。 ○部会長  大変いろいろなリクエストが出てまいりまして、整理があれですが、ただいまのご質 問で2つだけ事務局の方から答えていただきたいと思います。医師免許を持っている方 というご質問ですね。 ○三觜課長  神奈川県の衛生部長、松原亨さん、浦田さん、金子さん、吉川さん、西島さん、松原 さん、山崎さん、山角さん。医者が多過ぎるというご意見だと思いますが、この専門委 員会の運営を多数決でモノを決めるというような運営は考えておりません。むしろ私ど もといたしましては、実際に事に当たって、患者の人権に配慮した運び方の、実際の患 者さんをどう診察して、どういう状況のときにどういうことがなし得るかということ で、この委員会を議論していただく予定にしております。先ほど各委員の先生方から各 方面にわたるご意見いただきましたけれども、この専門委員会では移送システムの在り 方をどうあるべきかという観点は論じない予定にしておりまして、あくまでも行動制限 に関するところに着目してご議論をいただく予定にしております。皆さま方のご要望は 最もな点も多々あるわけですが、いかんせん全部聞きますと員数が倍ぐらいに増えてし まうのではないかということで、員数に限りがあるということで、ご了解をいただけた らと考える次第であります。 ○大熊委員  有識者がどの方か。 ○部会長  有識者の定義ですか。 ○大熊委員  ここに有識者1人と書いてあるので、どの方が有識者かなと。 ○三觜課長  国立精神・神経センター研究所ということで、吉川先生を充てさせていただいていま す。 ○大熊委員  福祉の方は。 ○三觜課長  福祉の方は、北川委員に有識者という立場から参加させていただいております。 ○大熊委員  吉川先生と北川先生が有識者であられるということについては全く何の異論もないわ けでございますけれども、どちらもお医者さんでいらっしゃって、ただでさえお医者さ んだらけのところに、ここの中には「幅広くかつ専門的な検討」というふうに書いてお られますので、なるべく幅を広げるということが大事なのではないか。このお二人にど う言っていただくというのでなくて、お医者さんでない視点の人が入ることがとても重 要で、特に閉鎖処遇の話などの場合は、閉鎖する側というのと、閉鎖されたことのある 人というのではえらい見方が、こっちとこっちというような感じになるのではないかと いうふうに思うのですが、どうでしょうか、ほかの方にもお伺いします。 ○三觜課長  各委員の先生方から出されましたご意見を踏まえまして、この専門委員会の運営のや り方といたしまして、そういった関係者のヒアリング等もしてみたいと考えております ので、その辺でご了解いただけたらと思います。 ○部会長  どうぞ、吉澤委員。 ○吉澤委員  先ほど大熊委員、伊藤委員の方からも法律関係者というところで出ましたけれども、 私もこれに弁護士を1名入れていただきたいと思います。その具体的な説明といたしま して、これは「厚生科学研究報告書」ということで厚生省で予算をつけまして、福岡弁 護士会の弁護士がつくりました本です。内容としてはどういうことかというと、精神保 健当番弁護士制度というのがございます。これが5年くらい前から行われておりまし て、一昨年97件で累計で 482件、約 500件の法律相談に当たっているということです。 今、これは福岡県ですけれども、ほかに大阪、これは「ひまわり」という制度になっ ています。それから、広島、名古屋、ここは「支援センター」という形。それから、東 京でも「障害者110番」という形。また、この秋からはやはり「支援センター」とい う形で本格的にこういった精神障害者の援助活動ということで相談に当たるという形が 出ています。  私のおります東京弁護士会でも、今まで「障害者110番」、約 900件ぐらいの相談 がある中の3分の1強は精神障害者からの相談です。移送に関する相談も内容として含 まれるもの、大変多くございます。今、そういう意味で、弁護士が一番そういった移送 の法律的な問題点の実態を知っていると認識しております。全国的な問題としても、先 日6月28日に、こうした弁護士たちが全国連絡会議ということで、実際の事例を持ち寄 り検討会を行っております。  そうしたせっかくの情報、データの蓄積を、しかも厚生省の肝入りでこうして調査研 究までやっているのを生かさない方法はないという意味で、患者の援助活動に従事して いる弁護士を1名ぜひ委員に加えていただきたいと思います。 ○部会長  どうもありがとうございました。生田委員、どうぞ。 ○生田委員  ありがとうございます。先ほど大熊委員、佐野委員の方からも出されておりましたけ れども、移送の問題を語るときに、現在地域の中で保健所の保健婦が非常に緊急事態と いうことで早朝、夜間を問わずかなりの家族のところに行って、移送に関して一緒に考 えて、時には病院にも一緒に行くといったような対応をしておりますので、できれば、 そういう保健婦、士、あるいは保健婦・士の資格を持った精神保健福祉相談員を委員に 入れていただければ大変ありがたいと考えております。また、福祉分野も医療分野もど ちらも男性だけになっておりますけれども、女性といった視点でも考慮していただけれ ば大変ありがたいと考えております。 ○部会長  どうもありがとうございました。どうぞ。 ○新田委員  移送のところでございますが、人権に配慮した立派な基準ができることを期待するわ けでございます。しかし、それでは使い勝手が悪いということになりますと、現実がそ れにそぐわなくなると思いますので、現実に移送に当たっている人、消防の救急隊員が それに当たっていたり、前のご説明で民間の警備保障会社に頼んだ例があるなんていう ことがございましたが、そういう人たちの意見を盛るという意味で、委員に入れること が無理ならば、審議の過程でぜひそれらの現実に移送に当たっている人からの意見をご 聴取いただきたいと考える次第でございます。 ○部会長  どうもありがとうございました。たくさんの推薦があって、委員の数が倍ぐらいにな りますけれども、ほかに何かご意見ございますか。 ○大熊委員 この専門委員会はぜひとも公開にしていただきたいと思います。犀潟の場 合などは患者さんの名前とかお医者さんの名前が出て、その瞬間は非公開もやむを得な いかなと思ったこともありますが、今回は基準を決めていくわけで、そこで内輪のざっ くばらんな話は公開にしていただきたいと思います。 ○部会長  ほかに何かご要望、ご意見ございますでしょうか。 ○生田委員  先ほど課長さんの方からシステムに関連したことはこの2つの専門委員会ではご討議 しないということのお話があったんですけれども、法改正されたことによって、今まで 以上に精神障害者に対する保健・医療・福祉サービスが一体化して有効に提供されるよ うな具体的なところが求められると思いますけれども、そういった関連の検討はどこか でされる予定でございますでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。 ○部会長  課長、よろしゅうございますか。 ○中村補佐  移送のシステムを含めて手続きにつきましては、今、厚生科学研究の方で研究班を持 ちまして検討していただいているところでございます。 ○部会長  恐らくそういう研究結果をいろいろ踏まえて、この専門委員会で検討されるのだろう と私は思いますが、そういうことでよろしいですか。 ○大熊委員  生田先生に言われて、あ、男性だらけだということに私も今気がついたんですけど、 であるならば、資料1のところに、国会の参考人には女性が2人呼ばれておられて、お 1人は山本深雪さん、もう一人は人権センターのコーディネーターということですか ら、このような方をお入れになると女性も入るということで、だれかを減らしなさいと いうことでなくて、プラス1ずつというようなことを提案したいと思います。 ○部会長  ほかにございますか。はい、どうぞ。 ○吉澤委員  ただいまの大熊委員の意見に私も女性の立場を守らなければならない弁護士の立場と して賛成なんですけれども、委員が全員男であるということはむしろ罪悪的であると。 というのは処遇等の問題、それから移送に関してもやはり女性に特有の問題点、視点と いうのが当然出てまいります。こういったものが全く欠落してしまいますので、ぜひ、 今の大熊委員の意見を入れていただきたいと思います。 ○部会長  まだ、ご発言されてない方で、この委員構成あるいは検討課題などについてご意見お 持ちの方ございませんでしょうか。はい、どうぞ、西島委員。 ○西島委員  三觜課長にお伺いしたいんですが、ヒアリングされるんですね。先ほどからおっしゃ っていますけれども。 ○三觜課長  今、出されました各委員からの要望を 100%叶えると、それこそ二十何人の委員にな ってしまいますので、実現できない分野につきましては、専門委員会の運営の中でヒア リング等で対応させていただきたいということで申し上げたところです。 ○西島委員  わかりました。 ○部会長  ほかにまだご発言されてない方ございますか。よろしいでしょうか。  たくさんの職種の方といいますか、専門分野の方の推薦があったわけですけれども、 先ほど課長からのお話し、今のお話しもありましたが、やはり人数の点のというとこ ろ、あるいはヒアリング等で十分意見も入れられる機会もあるということから、そうい うことで意見を十分反映させていただくことで、この案でいくということをご提案した いと思いますけれども、よろしいでしょうか。どうぞ。 ○大熊委員  現在、男女参画の法律も通りまして、一般の審議会では15%は絶対に女性というふう になっておりますので、女性が入らないということと当事者が入らないというようなこ と、それをヒアリングで済ますということは、今の日本全体の中でとても異常なことと いうふうに受けとめられるだろうと思います。 ○部会長  どうぞ。 ○吉澤委員  私も女性が1人も入らないということは絶対避けなければいけないと思っておりま す。それと、先ほどから「ヒアリング」という言葉が大変便利に使われておりますけれ ども、ヒアリングということは、やはり最終的にどういう結論を出すということには参 加できませんので、単なる言い逃れではありませんが、全く別ものですから、ヒアリン グに参加するということで委員に入れないことを許容するというのはおかしいと思いま す。 ○部会長  ただいまいろいろな意見をまたお出しいただきましたけれども、事務局の方で全体を 今の意見を参考にして検討されるということはいかがですか。 ○三觜課長  女性の件につきましては両分野入れる方向で考えさせていただきたいと思います。 ○吉澤委員  弁護士を入れていただきたいというのはいかがでしょうか。このようなもの(厚生科 学研究報告書)を予算をつけましてつくっておりますし、最もやはり法律に深いかかわ りがあるのは弁護士だと存じます。それで、この法律の方の分野ということで入られて いる先生、私は共著の『判例刑法総論』ぐらいしか浅学にして存じませんのですけれど も、非常にこういう方面に詳しい方というふうにはちょっとわかりませんし、それと弁 護士を1名入れることによって、全国各地の多くの事例について、この検討会の中で生 かすことができるので、ぜひ入れていただきたいと思います。 ○西島委員  よろしゅうございますか。 ○部会長  はい、どうぞ。 ○西島委員  私も実はこの福岡県でされているこの当番制度にかかわりまして、うちの病院にもか なり弁護士さんが来られましたけれども、結構トラブルも起きているんですね。つまり 患者さんが電話をされて呼ばれて来られて、当然いろんな議論がある中で、もう二度と あんたの世話をしませんと帰られた方もいらっしゃるわけです。ですから必ずしもこう いう制度があった方がいいことにこしたことないんですが、しかし、そういうトラブル もあるのだということも認識するべきだろうというふうに思います。  ですから、そういう意味で、先ほどからおっしゃっていますように、弁護士がいれば 云々と言われますけれども、やはり今回の検討課題はそういう意味での問題とちょっと 違うような気がするんですね。それは入れると言われれば入られても構わないんです が、必ずしもこの当番制度がスムースにいっているとは私は思いません。 ○部会長  それでは、女性に関しては検討することといたしまして、そのほかいろいろな専門職 の方、PSW、法律家・弁護士、保健婦、当事者、保健福祉相談員等々、診療所、そう いうご要望が出されました。それを全部入れることはもちろん難しいことですし、それ をこの短時間で決めることも難しいと思いますので、予定の時間も迫っていることです ので、座長に一任させていただいて、事務局と相談して、今のご意見を踏まえて検討さ せていただくということをお諮りしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。               (「異議なし」と声あり) ○部会長  それでは、そういうことでこの両専門委員会の設置に関しましてご了承いただきたい と思います。  それでは大変ありがとうございました。  最後に部会を代表しまして、今度両委員の委員会の座長になられます北川先生、吉川 先生にお願いでございますけれども、専門委員会において当然のことですけれども、本 部会の本年1月の意見書、あるいは2月の答申の際の附帯意見の方針を前提としてご議 論を進めていただくということをお願いして、それをまた委員会でも周知していただき たいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○今田部長  すいません。本当は冒頭でごあいさつを申し上げるべきでしたのですが、このたびの 法案改正につきましては、大変皆様方のご協力を得まして与野党一致で通過することが できました。本当にありがとうございました。  審議も厚生省の課題が精神保健福祉法一本であった関係もございまして、参議院先議 とはいいながらも参議院の先生方ができるだけ時間をかけて議論したいというようなこ ともございまして、衆・参それぞれに比較的丁寧な審議をいただきました。そこで指摘 されましたのが、先ほどの附帯決議にもございますが、そういったことでございますの で、今後いろいろとまた議論をすべきこと、また、きょういろいろご指摘いただいたこ ともこれからの課題ということで大変大事に扱わなければならないというふうに思って おります。  何はともあれお礼かたがた、これからもよろしくご協力いただけますことを最後にな りましたが申し上げまして、一言お礼の言葉にかえさせていただきます。どうもありが とうございました。 ○部会長  どうもありがとうございました。  それでは、本日の部会はこれで終わらせていただきますが、次回は本日設置を了承い ただきました専門委員会の検討を踏まえて、また、ご案内させていただきたいと思いま す。 以上でございます。どうもありがとうございました。 照会先  障害保健福祉部精神保健福祉課  医療第一係 高橋(内3057)