99/06/29 第18回疾病対策部会臓器移植専門委員会   第18回 公衆衛生審議会疾病対策部会 臓器移植専門委員会         日時   平成11年6月29日(火)              9:30〜12:30         場所   九段会館3階「真珠の間」 出席者 (○:委員長 敬称略) 浅野 健一  井形 昭弘  大久保 通方  大島 伸一  菊地 耕三 桐野 高明 ○黒川  清  小泉  明   田中 紘一  谷川 久一 野本 亀久雄 藤村 重文  町野  朔   眞鍋 禮三  矢崎 義雄 山谷 えり子 1.開 会 2.議 題   (1)今回の臓器移植に係る一連の手続の経過について      (2)今回の臓器移植に係る論点について      (3)その他 〇事務局  おはようございます。まだお見えになってない先生もおられますが、定刻になりまし たので、ただ今から第18回公衆衛生審議会疾病対策部会臓器移植専門委員会を開催しま す。井形委員、菊地委員、田中委員、谷川委員の4名の先生方がご欠席という連絡をい ただいております。その他に、3名の先生方がまだお見えになってございませんが、出 席予定ですので間もなくご到着されると思います。  資料の確認をさせていただきます。席上に資料が2つございます。議事次第というこ とで、本日は議題が大きく5つ予定しております。毎回のことでございますが、先生方 の名簿、座席配置図となっています。続きまして資料一覧がございます。  資料1   4例目の臓器移植の経緯と現状。1枚です。  資料2   「第2例目の脳死下での臓器提供に関する医学的評価について」        報告書。15ページございます。  資料3   日本臓器移植ネットワークのあっせん業務に係る評価に関する作        業班の報告書書。23ページございます。  資料4   臓器移植法に基づく脳死下での臓器移植事例に係る検証に関する        中間報告書(案)。23ページございます。  資料5   分割肝移植に係る作業班について。1枚です。  別添になってますが、浅野委員からの資料が提出されておりますので、席上に配付さ せていただいております。私からは以上でございます。カメラ等はここまでということ でご協力お願いします。では黒川委員長よろしくお願いします。 〇黒川委員長  おはようございます。またお忙しいところありがとうございました。2月25日に高知 での第1例がはじまったわけです。それからこれだけの短期間、第3例目の報告を聞い たばかりなのに、もう第4例目が出たということで、これをどう解釈するのか、皆さん それぞれのお気持ちがあると思います。第4例目の脳死下での移植事例というのがあり ます。本日は事務局から第4例目の移植についての概略というご報告をいただきたいと 思います。よろしくお願いします。 〇朝浦室長  では資料1に基づきまして、ご説明させていただきたいと思います。関係する機関か らのご報告をまだいただいておりませんので、事務局で簡単に1枚紙で概要をまとめた もので説明させていただきます。  6月23日、ドナーのご家族の方から脳死判定承諾書及び臓器摘出承諾書をネットワー クが受領しまして、同日第1回目の脳死判定を終了しております。6月24日、第2回目 の脳死判定を行って法的脳死と判定をされております。ドナーカードには脳死下での心 臓・肝臓・腎臓の提供の意思が表示されておりました。ドナーの臓器の摘出終了時刻は 6月24日でありまして、肝臓が11:09、腎臓が両腎とも11:28、という報告を受けてお ります。  移植手術の状況ですが、昨日の17:00現在の情報でございます。肝臓につきましては 信州大学の医学部の付属病院で移植をされる予定でありましたが、ご承知の通り、移植 を断念をされております。腎臓につきましては奈良県立医科大学付属病院、兵庫県立西 宮病院で行われて、手術は無事終了して現在経過良好と聞いております。簡単ですが以 上でございます。 〇黒川委員長  今の報告は確かにまだ簡単ですが、何かご質問ご意見その他ございますでしょうか。 第4例目が資料1でございます。よろしいですか。ご存じだと思いますが、肝臓の場合 は子供さんというか赤ちゃんがレシピエントでしたので、分割肝の話がこの間出たばか りだったのですが、それが間に合わなかったとかいろいろあります。これについても第 3例目も第4例目もそうですが、検証のあり方等などについては、後でご審議をいただ くということになっておりますので、格段ないようでしたら次にいかせていただきま す。もしありましたら、また伺います。  では第2例目の移植事例に係わる検証作業等をお願いしておったところでございます 。そこでまず脳死判定等に係る医学的評価に関する作業班を、竹内先生にお願いしてい るわけですが、それについて前回と同様に、まず竹内先生からご報告をいただきたいと 思います。よろしくお願いします。 〇竹内委員  私ども作業班は前回と同じメンバーでありまして、第2例目の脳死下での臓器提供に 関する医学的評価をおこなったわけであります。2回の会合を持ちまして、最初に担当 医に来ていただきまして、経過を説明していただきました。病歴、CT写真、脳波記録 及び聴性脳幹誘発反応の記録などを見せていただきまして説明をうけました。  その結果を資料2にまとめてあります。前回と同じように、主として初期診断治療に 関する評価、GICUにおける検査治療内容に関する評価、臨床的な脳死診断及び法に 基づく脳死判定に関する評価をしたわけであります。  この症例は5月7日の11:30頃に、突然意識障害で発症した方でありまして、約1時 間後に救急来院されております。来院後、静脈路の確保その他の後、20分後にCTを撮 っておりますが、このCT所見によって左側の側頭葉の皮質下、これは脳の表面から深 く入ったところでありますが、8×4×7cm程度のかなり大きな脳内血腫が認められ て、くも膜下出血は非常に少なかったということであります。このような所見と年齢的 な要素その他を考えると、あるいは脳の動静脈奇形の破裂によるものではないかという ことを強く示唆する所見であると考えたわけです。全身状態が急速に悪くなりまして、 意識障害、呼吸障害も加わってまいりましたので、脳圧を下降させる処置をしながら、 脳血管撮影をする余裕がなかったということであります。  最終的にこの出血の原因が動静脈奇形によるものかどうかは、まだ確認されておりま せんが、少なくとも、今までのところ血腫の内容から奇形の組織片は見つかってないと いうことでございますので、現在のところは左側頭葉の大きな皮質下血腫というふうに 考えております。  CT所見によりまして、脳の圧迫が非常に強いということ、正中線が約20mm左から右 へ偏位しているということであります。それに伴う脳浮腫も高度であるということで、 救急的に血腫の吸引除去を行っております。それで約20mlの血腫吸引ができたわけです が、その血腫吸引にも係わらず状態は改善しないということで、再び救急室から手術室 に移送して、手術室において大きな開頭術を行って血腫の除去ということを行っており ます。  血腫の除去と共に頭蓋骨を取り除く、いわゆる外減圧術という方法で外に脳がある程 度膨出できるような対策を講じております。このような二度にわたる外科的処置によっ て、CT所見としては血腫内容の軽減、先程の正中構造の反対側への圧排も5mmと軽減 しておりますが、脳浮腫はかなり強くなっているということで、脳圧亢進は軽減してな いということでございます。  ただ、我々の作業班は、このような患者さんに対して、穿頭回吸引及び開頭回血腫除 去というような処置を行ったということに関しては、妥当であろうという判断をしてお ります。  次にGICUにおける処置であります。術後、GICUに収容されたわけでありま す。そこにおける呼吸管理、循環管理、水分電解質管理、脳神経系に対する管理等全て 妥当であろうというように考えられます。  しばしば、指摘されるバルビツレート療法とか、脳の低体温療法などの適応もこのよ うな症例に対しては殆ど効果が期待できないということで、それを施行しなかったこと も特に問題ではないと考えております。例えこれを利用しても、脳障害の進行を妨げる ことはできなかったであろうと考えております。  次に脳死判定に関する検証であります。都合3回の脳死判定を行っております。いず れも規則通りの判定を行っておりまして、臓器移植に関する法律の運用に関する指針に 示された通りであることが確認されております。臨床的脳死診断では、勿論、無呼吸テ ストを除く他の項目に関する判定が行われております。その手順・検査項目は全て適切 であると判定しております。  脳波に関しましても、通常の標準的な増幅度のもの及び5倍に上げた記録が行われて おりますし、長距離導出の有無についても満たしております。ただ双極導出で記録した 時間が、第1回の法的脳死判定でちょっと短かったということがありますが、これは判 定結果を左右するものではないだろうと判断しました。  そういうことで本症例に対する脳死判定は承諾書を得た上で家族の立会いの上で行わ れておりまして、前提条件を満たし、除外例でないことが確認されておりますし、一連 の手順及び方法は適正であったと判断しております。以上、簡単にまとめて申し上げま した。何かご質問があればお受けしたい思います。 〇黒川委員長  ありがとうございました。1例目に続きまして、先生の委員会への大変なお時間とお 努力に感謝したいと思います。このご報告に対しまして何かご意見・ご質問をいただき たいと思います。  例えば、肝臓のエコーが出ますが、肝機能の低下と肝臓のエコーでというのがありま すね。それについて、これは実際に竹内先生方にお願いしたいというか、脳死下での臓 器提供に関する医学的評価ということからいうと、全体の脳死の手続きの問題であると か、それに至る状況ということを書いていただいているわけです。5ページの(3) の下 です。本患者に循環器系に大きな影響を与える褐色細胞腫の話、5月8日の血清肝機能 異常に対してのエコーの話というのは、その前後の関係も書いて、もうちょっと書き込 んだ方がいいのではないかという気もするのですが、それについてもうちょっと何かあ りますでしょうか。 〇竹内委員  実はこれはあまり詳しい情報がまだ入っておりません。これは剖権の結果と合わせて 知らせていただきたかったのです。今日までに是非いただきたかったのですが、入手す ることができませんでした。この褐色細胞腫と肝臓腫瘍に対しては、ここに記載した程 度のことしか出てこなかったと思います。大塚先生いかがでしょうか。 〇大塚委員  先生のおっしゃる通りです。この段階ではこれ以上のことは流れてませんでした。だ から、やった行為に対して適切かどうかということの判定をしたわけです。 〇黒川委員長  そうですね。報告書としては実際にはリアルタイムでいろいろなイベントが流れてい くわけで、そこに対してどういうことを考えて、どういうことをして、どういう判断を くだしたのか、というプロセスも多分あるわけです。だからその一連のことが今いって レトロスペクティブに今インタープリテーションを加えないとしても、その時の実際の 流れで、どういうことがあったから、どういうことを考えて、多分いろいろな議論をさ れて、医学的なジャッジメントに至ったプロセスが分かるように、もうちょっと書き込 んでもいいのかなということです。その時に勿論ないわけですが、その時やった、例え ば迅速組織診断とか何とかをやっているのであれば、その全体の流れのことですね。事 務局から何かありますか。 〇山本補佐  この後、多分ネットワークの作業班のところで、ドナー適用の問題でその問題が出る と思います。本症例におきましては、ご報告いただいておりますのは5月8日の時点 で、肝のエンザイムが上昇して、エコー上のマスが見られているということです。後 は、脳死判定のほうの作業班では、まだそのバイオプシーの結果は出ているのですが、 その後の詳細な報告はまだ大学の方からいただいてないという状況です。 〇黒川委員長  そうですね。それは実際の流れを見ていると11ページに書いてあまりす。5月8日の 一番上です。20:45に血液検査の結果、肝機能低下の所見があったという具体的なこと があるわけです。それに対して何をしたのかというのは、多分実際のリアルタイムでは 流れているわけで、そこで例えば消化器内科にコンサルトして肝エコーを撮った、そこ にマスがあるから、これは一体何かという議論がまたあるわけです。肝機能その他から いって、勿論エコーの所見からいうと、一番ライクリーなのは何かという話は多分して いるわけだから、その辺をもうちょっと書き込まないとという話ですね。  これは脳死下での臓器提供に対する医学的評価にところは、勿論この委員会のメン バーを見てもそうですが、何を主にしているのかというと、救急の処置と脳死に至る判 定に行くようなプロセスを主にフォーカスしているわけですが、こういう医学的な問題 全般が出てくる可能性があるわけなので、それはまた後で、別の視点から見ても構わな いと思うのですが、この11ページの更に下にいくと、5月11日、16:20からいうと、例 えばレトロペリトネアルのマスがある、良性か悪性かわからない。それで開腹したとき に何とかという話があるわけで、これもそれはそれで一向に構わない。そういうジャッ ジメントがされたわけですから、いろいろな人の意見を聞いて、何かの結論にかかる。 その時に開腹したときに、組織を迅速で調べましょうという話が多分あるわけですね。 その迅速の結果どうであったのかというのが分かったのが、いつであったのかという話 が多分出てくるわけなのですね。  医学的なリポートとしては、その辺も書き込んでおくのかどうかを整理した方がいい かなと思うのです。勿論、先生方には実際の脳血管障害の出血の問題、脳波の問題、臨 床的脳死の問題、検査の手順の問題、その辺はずーと調べられているのでいいのです が、その辺はここでもう少し考察させていただくといいのではないかと思ったのです。 〇大塚委員  我々の脳死判定が以下であったのかという委員会ではなくて、その報告書はいうの は、ドナーの方の移植の方の考え方によるのではないでしょうか。例えば、肝臓とか腎 臓に腫瘍があったから、脳死に影響したのかというのはそういうわけではないわけでご ざいます。その後、臓器が適切に生かされるのかどうかということを、そこでチェック されるべきなので、これは移植側の検証に入ってくるのではないでしょうか。 〇黒川委員長  移植側なのか、コーディネーター側か、ネットワークとしてはそういう話を議論し て、実際の摘出に当たるときに、多分、レトロペリトネアルのマスは腎臓なのかアド リーナルなのか、その他のものかという可能性はあるわけだから、その時に診て、肉眼 で検索した後、直ぐに組織を調べる、そしてスタットの結果どうであったのかという話 で、コーディネーターがどうするのかという話をするわけです。その時に勿論、コー ディネーターだけの判断ではなく、コーディネーターから直ぐにネットワークのドク ターに相談が来て、どうしましょうということになる。そして向こうのドナー側のドク ター、病院ではこういう判断になってますという議論が多分あったのだと思うのです。  その辺を書くのはどこかなということでございます。それをだからタイトルが脳死下 での臓器提供に関する医学的評価となると、そこもここには書いてないと、と思ったの です。事務局としてはどうでしょうか。 〇山本補佐  脳死判定の方の医学的作業班の方では、今委員長がおっしゃった問題が、脳死判定に 影響を与えるかどうかというディスカッションがあって、特に影響を与えなかったとい うことで、これ以上の言及はございません。ただ、この後小泉先生がお出しになるド ナーの適用を考えるネットワークの作業班の中では、その点ディスカッションをなされ て、また報告があろうかと思います。 〇黒川委員長  すると、そこで記述されるという話がそこでされればいいかな。わかりました。その 他には何かございませんか。  確かにこの「はじめに」というところに書いてあるわけですね。1ページ目のはじめ の真ん中に、こういう作業班を設置しましたとね。座長は竹内一夫先生ですが、その救 命治療の内容、脳死判定等に関する医学的評価を行いというふうに書いてあるので、そ こを書いてあるから、それに限って行っているという話で、後は小泉委員会からのド ナーの医学的評価を含めて、これは実際にネットワークの話になってくるわけで、どう いう判断をするのかという話ですね。そう書きますかね。それが分かるように誤解を避 けるというか、目的がはっきりしていればいいわけですから、わかるように書きましょ う。ついついこちらは、皆、専門委員会ですからそれで流れてしまうと、そうだと思っ てしまうが、それだけ見た人がどう思うのかというのはちょっとわかりにいかも知れな いと思ったのです。その他にはどうですか。 〇浅野委員  1例目の場合には、病院に運ばれてすぐCT撮影が行われて、外科的な手術が結局行 われなかった、そのことが問題であるという一部医師の指摘があったと思うのです。今 回の慶応病院の場合には、今おっしゃられたように外科的手術をやられているというこ とで、この1例目と2例目の違いについて説明していただきたいと思います。  1例目の場合には十分な救急医療がなされたのかという一部の疑問の中に、CT撮影 がまず行われて、あの時の状態であれば外科的手術をするべきであったのではないかと いう一部の医師の意見が、今週発売された週刊誌にも載ってます。 2例目の場合には 慶応病院で外科的手術が2度行われたというふうに報告されたと思うのですが、どうい う状態の違いがあったのか。  1例目の場合には適切であったという報告であったと思うのですが、今回の場合には 手術が行われたという言及があったと思うのですが、両者の違いは医学的なことは私に はよくわからないのですが、私たちにわかるように説明していただければと思います。 〇竹内委員  この報告書の3ページの一番下のところに参考と書いてあります。そこに今のご質問 に対するお答えのようなものが書いてあります。前回の第1例の場合には、脳の動脈瘤 の破裂によるくも膜下出血が主であって、勿論、脳内血腫もあったわけですが、この第 2例の方は、むしろくも膜下出血は僅かで、大部分が皮質下の血腫であったということ です。出血源として考えられるものは、動脈瘤と動静脈奇形ということで、動静脈奇形 であったのかどうかはちょっと分からないのですが、動脈瘤ではないというのが大きな 違いです。  したがって、このような症例に対する外科的な侵襲も大変違うことになりまして、第 一例目ではむしろ姑息的な対症療法を主に行ったということで、今度の症例では非常に 積極的な治療を救急室でまず穿頭術をした、それでは不十分であるから、手術室に運ん で大きな開頭術を行って、減圧手術を行ったということで、両者は非常に対照的に、教 科書的な判断としては、典型的な違いとして現れているわけです。  これは我々の専門領域からいえば、極めて当たり前のことであると思います。桐野先 生追加していただけますか。 〇桐野委員  竹内先生がご説明された通りです。ただ我々がそうだといってもなかなか難しいこと ろがあるので、多分この3ページの一番下の参考というところに、簡単ではございます が、少しこのことが書いてございます。出血が起こったときに、血が出ているからそれ を取るべきだというのは非常にわかりやすいわけです。この症例のような脳内血腫の場 合は、手術を試みるという考え方もありうると思います。ただこういう状態でも手術を しないという先生もおいでになる可能性もあるくらいに状態は悪いと思います。ただ手 術を試みたということは脳外科医としては十分にありうる判断であろうと思います。  くも膜下出血の場合には出血の主体はくも膜下腔にある動脈瘤の破裂であって、動脈 の本管に穴が開く可能性のある病気であって、血腫を取ることでは治療は全く終了しな いのであって、その下に破裂するものが控えておりますので、それの処理を一緒にやら ないといけないということが一つ。もう一つはくも膜下空に出血したことによる、脳の 一時損傷が、本症例のような脳内出血と比べて著しく強いので、脳浮腫の進行も非常に 強くて、開頭の時の脳の膨隆というか、手術のしにくくさも違う疾患でありまして、そ の意味でここに参考という意味で付けてあるとご理解いただければと思います。 〇浅野委員  するとこれは1例目との比較を意識して、参考と書かれているのですか。そうである のならば本文にそのように書いてほしいと思います。 〇桐野委員  そのようにといいますと、1例に比較してということですか。意識してこれを書かれ たとは思います。 〇黒川委員長  浅野委員のいうことはよくわかるのだが、といって専門家の意見ではそれは常識だと 言われてもそうはいかないわけです。とはいっても、1例目はこうであったから2例目 はこうであるというのは、報告書としては不味いと思うのです。同じ作業班であるから といって、たまたま2例目であるからといって、1例目はこうで2例はこうであるとう いことになると、3例目は1・2例目に比べてという話がどんどん出てくると、専門の 報告書としてはちょっと不味いかなという気はしたのです。 〇大塚委員  浅野先生がおっしゃることは、最もだと思うのですが、一般的に医学というものは、 このように極限の医療をやっている場合には、例えば担当者が同じであっても、CTで 同じような図を描いたとしても治療は一定しないのです。つまりその状態であるとか、 年齢であるとか、あるいは合併症であるとか、いろいろなことがありまして、同じ担当 者であっても、同じ脳外科の人でも、あるいは外科医でも、これは手術をしましょうと か、ということを決めているわけです。したがって、同じような画像が得られて同じよ うな像が得られるから、同じ治療をやるというものではないと思います。その辺はよく 知っていただきたいと思います。 〇浅野委員  私がいま言ったのは、この1例目のことを意識して参考として書かれたとおっしゃっ たので、それならそのように本文に書かれた方がいいのではないでしょうかという意味 です。今の先生のご説明ではちょっと違うと思います。1例目のことを意識されている とおっしゃったので、それは桐野先生の個人的なご意見なのか、全体の作業班なのかわ かりませんが、もしそうであれば、国民に対してそのように説明された方が適切だと思 ったのです。  というのは今出ている有力な週刊誌「プレイボーイ」がそういうことを書いているわ けです。その週刊誌の中の医師が、外科的手術をするべきであったということを言及さ れているわけです。そのことが正しいのかどうか、私には全くわからないので、そうで あるのか、そうではないということを、きちんとしていただきたいなと思ったのでその ように申し上げました。 〇黒川委員長  しかし週刊誌が有力であっても、あるコメントしたという先生は、どれだけの普遍性 があるのかというのは、また全く別の問題であるから、するとまたもう一人の先生がま た有力な週刊誌に返事しないといけなくなるから、そうなると、その度にこれが対応し ているのは不味いですよね。そうなると一体何なのかということになると、2ページ目 のところに、これは診断の妥当性というのはそうですが、広汎なくも膜下出血を所見は CTではないというところを,一々そこまで説明しないといけないのか。( )で、第 一例は広汎なくも膜下出血でした、とわざわざ書くのか、そこまでしないといけないの かというと、浅野先生もそこまではする必要はないのではないかという話で、3ページ の一番下に参考ということがわざわざ書いてあるのは、多分そこを介しているのだが、 出る度に、前のは何だったのかというのをいうことは、ここは解説的に書くというもの でもないのではないかという気はします。どうでしょうか。報道の専門家として。 〇浅野委員  私自身も1例目について救急医療がきちんとなされたのかという疑問が今もあります。 地元の高知新聞もそういう連載をしておりますし、それは一部の週刊誌だけではなく、 国民全体にそういう意味での不安というのがあれば先程言われた4例目についても遅れ てきましたので言及しませんでしたが、一流の病院と言われている大阪の千里救命救急 センターで脳死判定でボタンを押すミスがあったということもあるので、その意味でい えば、確かに高知のときに外科的手術をしなかったというのは不適切ではないというこ とになっていますが、本当にそうなのかということについて、引き続き国民の間で疑問 があると思いますので、そういうことについてきちんと説明した方がいいのではないで しょうかという意味です。 〇黒川委員長  私の個人的な見解ですが、するとまたもう一つ有力な週刊誌がまた他の先生に聞い て、聞いた某先生のトレーニング・バック・グラウンド、自分の成績からいくとどうだ という話も出てないと、誰でもいいということになりまねませんね。すると書いた記者 の力量というか、その辺の検証はされているのかという話を前々から先生もいっておら れるので、そういうことかなと私は思うのです。それをやるために、それに反論する必 要はないかなと思います。  この書き方で2ページの真ん中の上ですが、広汎なくも膜下出血を示す所見が認めら れてないというのは、メディカルなジャッジメントをしているわけだから、時間がどん どんたって患者さんの状況がどんどん変わっているので、そこで脳血管障害である、そ れは多分マルフォメーションではないかということが、次のところで脳内出血の原因と しては、動静脈奇形の破裂である可能性が示唆される、と書いてありますが、この書き 方もちょっと不満であると思うが、示唆されるというがどのくらいの%か、これが圧倒 的にくも膜下でなくなると、30歳という話で、もう少し強くいってもいいのではない か。多分臨床の現場では示唆されるどころではなく、多分そうであろうということを、 もうちょっと積極的に診断したわけでしょうから、診断というのは100 %正しい診断と いうのは、結果としてはあるかも知れないがね。  ではなぜ脳血管撮影をマルフォメーションのためにやらなかったのかという話は、確 率の問題で常にきているわけですから、所見と確率からいくとどうだという話をしてい るので、この示唆よりももうちょっと強く書いた方がいいのではないかと思ったので す。  それで実際に先程のところは、現場ではわからないわけですよね。マルフォメーショ ンがあったのかなかったのかというのはね。それは多分その時のジャッジメントのこと をきちんと書いておけばいいかなと思います。実際のリアルタイムで動いているわけで すから、それは後で検証する。  先程、週刊誌のことをおっしゃった高知の話ですね。だからこそ、こちらは検証をし ているわけですので、実際のリアルタイムで動いているときに、どうだああだというジ ャッジメントを後で批判するのは簡単です。その時にすべきだとかというのは簡単で す。それは週刊誌にコメントする先生のご意見として伺いますが、そこにこれが一々反 応するというのもどうしょうかね。ここはやはり検証するということで皆さんに聞いて いただいているので、私はいいと思うのです。 〇矢崎委員  桐野先生が先程言われたように、脳内出血とくも膜下出血は全然治療方法が違いま す。これは非常にアカデミックにちゃんと書かれてますので、私はこれでいいのではな いかと思います。一般には最大限の救命救急医療は、すなわち手術を含めて全てやると いうのが一般の方の考え方で、手術するというのが最終的に救命救急の最高レベルのあ るいは低体温の処置が最高の治療であるというふうに、ミスリーディングされている可 能性もあると思うのです。  ですからこの報告書は、先程の臓器の移植の適用についてはまた別に議論する。これ は全く脳死判定までのプロセスを如何に理論的に行われたのかを検証したもので、私は これで非常に理解しやすいと思いますし、何かあったらこの線に従って、委員長なりあ るいは事務局なりが、丁寧に説明するということでいいのではないかと感じましたがい かがでしょうか。 〇竹内委員  内科の矢崎先生からそういうことを言われたのですが、私は外科の立場からいいまし ても、こういうかなり大きな血腫が突然脳の中にできたということが、第一の病態の問 題点になるわけです。したがいまして外科の医者としては、できるだけ早くこれを取り 除くということを治療の第一の目的とするわけです。出血源が何であるのかというの は、第二の問題になってくるわけです。動静脈奇形ないし小さな血管腫ということが可 能性としてはあることですが、それをクロットの中から一生懸命探して、やっと探し出 したということもありますし、とうとう分からなかったということがあります。  したがって、血管撮影をやって動静脈奇形が証明されればいいのでずか、脳圧が高く なってくると、血液が十分に流れないということもあって、その所見も必ずしも期待で きないということもありますので、この病院でおやりになった一連の治療というのは、 私がその現場にいてもこのようなことをするであろうと考えたわけです。以上です。 〇大島委員  私は脳のことはよく分からないのですが、一般論として、大塚先生もおっしゃいまし たが、ぎりぎりのところでの選択というのは非常に難しい場合がいろいろあると思いま す。例えば脳の問題についても、低体温療法とかというのはマスコミやなどでいろいろ と出てきていて、私も医者ですからある程度はわかるのですが、でも脳の専門家ではな いので、どの辺が本当の適用で、どの辺で適用がないのかということまで判断しろとい われると全然わからないのです。私が医者であってもね。  そういうことになれば一般の人はもっとわからない、もっと分からないが、ある論調 だけ見ていると、全てやらないと最高の医療をやらなかったのではないかというふうに 受けとめられるような、手を抜いたのではないかというふうに受けとめられるような論 調が週刊誌などに出てくる。  出てくるとそのことだけがむしろ一人歩きしてしまって、非常に具合の悪い治療法と か、やらなかった場合には行われたのではないかという判断が出てしまうということが あって、今度の場合も、勿論、どの辺が手術の適用とか適用でないのかというのはわか りませんが、少なくとも専門家の中に、100 人いる専門家の中で、1人とか2人が手術 はやった方がいいとか、これはああではないかとかこうではないかという議論があった にしても、全体の標準的な物の考え方として、十分な医学的根拠をもってこうであると いうふうに、脳外科医の大多数が賛成しているということであれば、それを専門家の意 見として基本的には認めていくということがあってもいいのではないかという感じが私 はします。  そうではなく、何か本当に特異な意見とかが、妙な正当性をもっているような形でメ ディアに取り上げられて、それがバーと流れていくと、専門家の目から見ると非常にマ イノリティな意見てあったり、ちょっと外れた物の考え方であったにしても、妙に訴え ることが非常に説得力のある書き方をすると、そちらの方に流れていってしまって、妙 なことになってしまうのではないかという感じがしてならないところがあります。  その意味では、専門家の意見と、専門家のきちんとした物の考え方が、何に裏付けら れてそれが出ているのかということを、きちんと確かめられたら、それはプロの意見と してきちんと尊重していくということがあってもいいのではないかという感じがしま す。 〇黒川委員長  大島先生の意見もわかるのだが、今までのプロの意見というのは、どれだけプロかね という話がいろいろあったから、だからここでは第三者というか、その分野の人達に検 証してもらう。それをまたここに報告していただく。確かにその判断はその場ではかな りリーズナブルであったという話をしているわけですから、今まではそれさえもなかっ たというところに国民に分かりにくかったという話は謙虚に考えていいのではないか。  そういうことからいうと、こういうプロセスをして、しかも審議を公開しているとい うのは、その意味ではこの委員会は情報の公開は十分にされていると思います。資料を 皆さんも多分もらっているからね。  矢崎先生のご意見もあったし、他に特段のご意見もないようでしたら、マスコミが正 義だというわけでもないし、某専門家のいったことが正義であると思っているわけでは ないので、プロセスを検証していくというのが一番大事ではないかと思います。  この報告書は、基本的にはこれで了承していただいたということでいいと思います。 文書の問題いろいろなコメントがありましたので、その辺は考えていただいて、手を入 れるなりした上で、私の方でもう一回コメントについてどう直したのかということをチ ェックさせていただいて、基本的に了承していただいたということでよろしいでしょう か。ではそのようにさせていただきます。ありがとうございました。  では第2例目の移植事例に係る検証作業等についてということがございます。それに ついて移植ネットワークのあっせん業務に係る評価に関する作業班、これは小泉先生に お願いしているわけですが、第1例目及び第2例目について、いろいろとネットワーク の対応、それからコーディネーターの問題というか、実際の検証をしているので、前回 本委員会で小泉先生から第1例目についての報告をいただきました。本日は第2例目の 検証を含めて、報告書全体について小泉先生から報告をお願いします。  その意味では大変にスケジュールが詰まっていて大変であったと思いますが、よろし くお願いします。 〇小泉委員  ではご報告します。前回に中間報告をしました。その翌日、第5回の班会議を開きま して第2例目の評価、それは中間報告には含まれておりませんでしたので、それも加え た上で最終報告書をとりまとめ本日提出します。この報告書の資料の3でございます。  「はじめに」のあとは1・2・3となっております。つまり3つの章までということ です。第1章は前回ほぼ概略をご報告しました第1例目のあっせん経過と評価です。第 2章は今日はじめてご報告する第2例目のあっせんの経過と評価です。第3章は臓器移 植ネットワークと移植コーディネーターのあり方です。これは概略を前回中間報告で出 ておりますので、その後の議論を付け加えるという形でご報告します。  第1章をご覧いただきたいと思います。  第1例目に係るあっせん業務の評価につきましては、軸上の訂正を除いて、前回の内 容と実質上の変更のある部分についてのみご報告します。変更部分には下線が引かれて おります。(2) これは報告書の3ページと5ページ目ですが、患者のご家族への説明・ ケア及びその他の臓器あっせんに係る手続きについて、でございます。  ネットワークから聴取しました事実経過について、この前は一部不正確な部分、3 ページ目の第1段落の後半ですが、指摘されましたのでその点を訂正しております。こ の点に関しまして、評価の部分の5つ目の○です。5ページの真ん中に日時を25日から 26日に変更しております。第1章におきましては、この他に実質的な変更部分はござい ません。  第2章、第2例目についての作業班のディスカッションについてご報告します。  第2例目につきましては、ネットワークのあっせん業務に関してはあまり多くの問題 点は指摘されませんでした。特に1つは、提供施設側がメディア対応について、明確な 方針をもっていたこと。2つ目には第1例目において、業務を行った経験のある近畿ブ ロックセンターのコーディネーターが、当初から、脳死下での臓器提供としてご家族に 係わることができたこと等によりまして、初動体制に混乱はなく、コーディネーターが 提供施設内において、マスメディア関係者への対応に時間労力を割かれることなく、家 族のケアに集中でき、コーディネーションが支障なく行われた、というのが私どもの作 業班の評価でございます。  第2例目に関するポイントとして、指摘された点の主なものとしてはこれから申し上 げることがございます。  (2) です。これは報告書の10ページです。患者のご家族への説明・ケア及びその他の 臓器あっせんに係る手続きについて、の2つ目3つ目の○にはじまるフレーズがござい ます。脳死下での角膜の提供につきましては、ネットワークのコーディネーターによ り、当初ご家族の承諾によって提供が可能である旨の説明を行っておりましたが、これ はむしろ法的解釈を事前に明示していなかった厚生省の責任であり、今後は提供可能臓 器に係る法的位置づけについて、早急に見解を統一する必要があるという結論になって おります。  11ページから12ページにかけての(3)のドナーの医学的検査及びレシピエントの選択 について、でございます。この第2例につきましては、コンサルタント医師により腹部 に腫瘤があることが確認されていまが、コーディネーターによりご家族に説明を行い、 その意向を踏まえてまず開腹手術をおこない、腫瘤の精査を行った上で、その結果を待 って開胸手術を行った。  肝臓及び副腎の腫瘤について、針生検を依頼したこと、その上で副腎の褐色細胞腫に ついては、その病理所見並びに肉眼所見及び臨床診断等の総合的判断によって、心臓及 び腎臓のあっせんを行った。  また肝臓は機能低下のため、当初より移植に適さないとしたこと、また肺はエックス 線検査及び気管支鏡検査の結果に基づきあっせんしなかったこと、等の判断については 妥当であるとの結論であります。  12ページです。(3)の5つ目の○です。複数のレシピエントに対して、その順番を明 示しつつも、同時期に連絡を行っていることについては、連絡を受けて承諾をしたとし ても、結局移植できないのは本人の心情に鑑みると不適切ではないか。またその弊害を 除去するためにも、現在のレシピエントへの連絡時期を、第2回脳死判定終了後よりも 早くした上で、レシピエントの意思確認を1人づつ行うべきではないか、こういう意見 も出ましたが、最終的には現段階において、連絡の時点を早めるということが適切では ないという結論になりました。  また、複数の者に予め意思確認をしておくことにつきましては、例えば米国でも行わ れておりまして、意味のあることであるという説明がされております。  次に(4)の搬送についてご説明します。搬送については結果的には適正な形で行われ ましたものの、一部情報が錯綜し、搬送について協力いただいた消防・防災部局に対し て、搬送のルート及びスケジュールや同部局に協力を依頼すべき区間・時間帯等につい て、正確な確定情報が伝えられない場面があり、具体的に誰が搬送に関するアレンジに ついて責任をもっていたのか、不明であったという指摘がなされました。  以上が第2章関連でございます。次に第3章関連です。報告書では13ページからでご ざいます。  これは先に申し上げましたように先日の中間報告に基づております。内容的に追加変 更のあった部分は次の通りでございます。先程の第1章と同様に、変更部分については 下線が引かれております。  14ページの(2)の家族への支援以外の業務についての(1)の搬送についての評価の最後 の○です。記載は14ページになっております。臓器搬送については、搬送費用のみの問 題ではなく、その責任主体についての議論ということであるから、その事について報告 書に追加記載をしております。  同じく14ページの(3)です。ネットワークのコーディネーターの質及び数についての 3つ目の○です。これまでの脳死下での臓器提供事例に関与したコーディネーターが、 それらの経験を踏まえて、他の若いコーディネーターの教育育成に従事することができ るような環境を作ることが重要であるという意見が出されたことを記載しております。  15ページから16ページにかけてです。(5)ネットワーク全体の体制強化についてで す。先日の専門委員会の議論を踏まえて、この項の3つ目の○で、コーディネーター以 外の行うドナーの医学的評価と、移植実施施設との連絡調整等の業務の分離について明 記しました。4つ目の○では、現在ドナーに関するコーディネーションのみを行ってい るネットワークのコーディネーターに加えて、各移植実施施設においても、いわゆるレ シピエントコーディネーターを置くかどうかの議論について明記しております。これに ついてもかなり時間をかけて論議しました。最後の○では、やや言葉が足りない面もあ りましたので、問題意識について詳述し、国としての責任を問う意見についても明記し ました。  また報告書全般ですが、最初の「はじめに」におきまして、本作業班の総意として、 現場において臓器提供者の家族とのコーディネーション等に従事したコーディネーター に対して敬意を表しております。また本作業班として、本報告書に関する詳細な事実経 過の検討に基づく様々な指摘が、今後のコーディネーション業務に係る研鑽に生かされ るよう努めたいと思います。  またネットワークにおいても、本作業班において指摘された課題について、厚生省と 関係機関との連携を図りつつ、早急に検討されることを望むものであります。以上で す。 〇黒川委員長  ありがとうございました。これもいろいろな問題点が先生方から前も指摘されており ます。それについて特に第1例目の検証からいただいたご意見については、アンダーラ インがしてあるところのように、そのご意見を取り入れながら直したというのが一つで す。  2例目のことについても、1例目の評価というプロセスで、委員の先生は大変であっ たと思うのですが、参考人に新しい人達も入りまして、この報告書を作っていただきま した。1例目の事例から同じような問題が沢山あるわけですから、その辺も整理して書 いていただいたということでございます。これについていろいろな点があると思います が、ぜひご質問あるいはご質疑をお願いしたいと思います。  この中に確かに、2例目につきましては例えば11ページ・12ページが今回のことにつ いてもいろいろ書いてあるわけで、肝臓の腫瘍ですが12ページの最初の○です。肝臓の 腫瘍の病理診断が海綿状血管腫瘍であったこと並びに副腎の腫瘍についてのニードルバ イオプシーで依頼した、その結果でどうしたというような話のプロセスが書いてあり、 その後でどういう手順で行ったということが書いてある。そこのところの書き込みがあ りますので、先程の竹内委員会の報告と合わせて読むと、全体の流れ、メディカルな判 断、というようないろいろなことが書いてあると思います。 〇山谷委員  11ページのレシピエント選定です。心臓について11日の13:35分、腎臓については12 日の22時とか時間が全然違うのです。素人考えですと一緒にはできないのかしらとか、 検索の場所もこっちとか、これはどうしてこうなるのでしょうか。もし、もっと更に良 い方法があるのかということを検討なさったのかどうかお聞かせ願いたいのです。  次の12ページの意思確認の複数の者というのは、大体これは何人くらいのことをいっ ているのでしょうか。  もう一度いいます。素人なので全然わからないのでお聞きしているのです。時間が心 臓については何時何分確認があり、腎臓については何時何分というふうに時間が凄く違 います。それと検索の場所も代行検索をお願いしたりとか、どうしてこういう形になる のかよくわからないのです。 〇黒川委員長  具体的に何行目に書いてあるのは何行目と違うとかというふうにいっていただけませ んか。 〇山谷委員  11ページの四角の中の18行目です。レシピエント選定について心臓については11日13 時35分、腎臓については12日22時、検索も北海道ブロックセンターに代行検索とありま す。腎臓はブロックごとですからそうなるのだと思うのですが、検索の場所を一元化で きないのかとか、時間的に全然違う時間帯が出でくるのかというのがよくわからないの です。 〇黒川委員長  事務局、例えば北海道ブロックセンターに代行検索を依頼したというのは、なぜ、と いう話が一言書いてあればいいのかな。 〇山本補佐  本部長の野本先生がおられるので間違ったら訂正していただきたいと思います。事務 局が承っておりますのは、心臓・肝臓・肺、その他の臓器については、本部で検索を行 う、これはコンピューター上で検索してデータを整理しておくということで、移植施設 への連絡は何度も申し上げているように第2回目の脳死判定後という形になります。こ の検索を、心臓につきましては本部でコーディネーター及びコンピューター関係者とし て、この時間に一部本部に入れた者が行っております。ただ腎臓につきましては、提供 者側、ドナー側のHLAのタイピングの結果を受けて、その上でコンピューターを回し ておりますので、その時間帯が夜の10時を過ぎておりまして、その時間帯はコーディ ネーターの本部の関係者は提供施設その他の対応があったために、北海道ブロックの方 に代行で検索を依頼しております。腎臓につきましては各ブロックごとに検索をやると いう考え方があるのですが、本部が、今回は本部と関東甲信越ブロックが重なっており ましたので、北海道に代行をお願いしているということで、HLAのタイピングの結果 が夜に出たのを待って、北海道で検索をお願いしているということです。 〇黒川委員長  同じコンピューターのデータ検索をしてもらったのが、関東甲信越は手一杯だから、 同じデータベースにアクセスして出してもらったということだと思います。  結局脳死の場合には、関東でドナーが出た場合には関東甲信越ブロックがそれをやる ことになってますが、腎臓の場合には出たところのブロックでやれますし、同じデータ へのアクセスができるので、支援体制ということでいうと、うちは今は手一杯だからと いうのでそっちでやって、結果を出してくれということだということです。それも書き 込みますか。そういうことなのでということを一言書けばいいかも知れませんね。腎臓 の場合には出たところ全国のデータでアクセスできますからね。  脳死の場合には近畿と関東がどちらかに出たときにやるということになってますから 、東日本とか西日本と一緒になってやってます。そういうことだと思います。 〇山本補佐  心臓につきましては報告いただきましたのは第3候補者まで連絡を入れております。 腎臓につきましては第5候補者まで連絡が入っております。 〇黒川委員長  それについても12ページの5つ目の○に書いてあります。レシピエントになれる可能 性のある人のどこまで連絡するのかという話があります。連絡して意思を確認した後、 来ませんでしたという話も出てくるわけですからね。  これはこの間も議論が出たと思いますが、移植の事例が多くなってくれば、もうちょ っと下までいく可能性があるのです。気持ちの準備とかいろいろありますが、少ない場 合には期待の方が大きいか、失望が大きいのか、その辺のバランスの問題であると思い ます。そういうことを議論していただいたということです。 〇小泉委員  検査を行った場所が複数であるということについては、これは私は詳らかにしません でしたが、今ちょっとお答えできません。当然、そこに依頼するといことが最も適切と いう主治医の判断によると思います。  11ページの上の方です。16時40分には、採血をおこない、その後、東京女子医科大学 検査室において検体検査を行った、慶応で陰性であったのが陽性となった。しかしまた 慶応でやったら今度は陰性であったというくだりがありますが、多分、山谷委員はその 辺りのことをおっしゃっているのではないでしょうか。 〇黒川委員長  そうでしょうか山谷委員、これについてはどうですか。 〇山本補佐  組織適合検査、感染症検査というのは、臓器移植ネットワークの中で、検査センター をもっておりまして、関東の中でも3つの病院がもっております。その中でもっともア ベーラブルなところにお願いしてます。今回は女子医大にお願いしたということです。 結果として慶応側が以前に行っていた結果と、ちょっと違ったものですから、この原因 はヘパリン混入ではないかということで再検査を行ったということです。 〇黒川委員長  これについてはよろしいですか。東京女子医大というのは女子医大だからお願いした わけではなく、関東甲信越ブロックで出たときに、ドナーの要件を直ぐに検査できるセ ンターというのは幾つか整備されていて、24時間やれるところでないと困りますから、 そこの幾つかあるうちの一番近そうなところに頼んで、やってもらえますかという話を した、その意味で女子医大であったということです。それで、もう一回採血して再確認 したら陰性であったというのが書いてあります。 〇大久保委員  何点かあります。まず第1例目に関するところです。7ページです。例のレシピエン トの選択ミスに関してです。ここにも指摘されているように個人の判断やミスが入り込 まないようなシステムを構築しないといけないというご意見が出てます。今後ネット ワークとしてコンピューターシステムが稼働するので、そういうことが起こらないだろ うという説明が一応なされてます。基本的には、コンピューターが稼働する場合におい ても、きちんとした最終的なチェックをするシステムというのは必要ではないか。要す るに、もう一度最終的に出す前のチェックのシステムの構築が大事ではないかと私は思 います。   第1例目、第2例目の両方を通してです。第1例目は特に最初は都道府県コーディ ネーター、中国地方のブロックセンター、近畿のブロックセンターという形で何度も重 なってコーディネーターが係わってきてます。2例目に関しましても、その地区のコー ディネーター、そして実際に起こっているのは東京でありますが、近畿のコーディネー ターが前回の経験をということでこっちの方にきてコーディネートされている。第3例 もそういう形になってますが、その辺のところの繋ぎというのが、正直いって上手くい っているのかなというのを疑問に思っております。これは全体の話です。コーディネー ターがどういう形で繋がれているのかというのが、これを見ていて少し疑問だなと思っ たのです。  もう1つです。3点目です。今回この中に検証に入るのかどうか分からないのです が、レシピエントに対するインフォームド・コンセントです。選択の次のインフォーム ド・コンセントに対する検証というのは、この班で行われていないので、どこの班でそ ういうことを行うのか。特に2例目に関しては、浮腫の問題、腫瘍の問題はきちんとレ シピエントにインフォームド・コンセントされたのかということも、実はきちんと検証 しないといけない。今後いろいろな問題が、一つずつの臓器においても起こってくると 思いますので、レシピエントに対するインフォームド・コンセントの検証をどこかでし ていただきたいと思っております。以上です。 〇黒川委員長  今のことについていかがでしょうか。つまり一つは7ページの○です。心臓のレシピ エントの選定にミスがあったことについて、個人に頼ってはいけないから、個人の判断 やミスが入り込まないようなシステムを構築する、それについては心臓・肝臓について は、一つはコンピューターができればいいというわけではない。そうすると、それをし た上でまたやるわけですから再確認ですね。  もう一つは、これに対して心臓と肝臓のステータスその他を常にアップデートしなが ら、どういうシステムにするのかということをここで言っていただいて、それに対する 対応をしていただいたわけです。レシピエントのリストのアップデートをするシステム をするという話をしたし、コンピューターの話なので、これもちょっと誤解されやすい ということです。コンピューターシステムが稼働すれば、おこらないだろうというのは 不味いわけで、更にグレードアップするであろうという話で書いた方がいいということ ですね。  もう一つは直ぐ下にありますが、ネットワークのコーディネーターがブロックを越え て協力体制をするのはいいのだが、その辺は大丈夫ですかと言われたが、どうでしょう か、ということですね。それについてはコーディネーターの質の向上、経験したコーデ ィネーターが更に他のコーディネーターとしょっちゅう意見を交換したりして、クオリ ティを上げていくということが必要であると書いてあるということですね。  レシピエントのインフォームド・コンセントが十分されているかということですが、 それについて小泉委員何かございますでしょうか。 〇小泉委員  レシピエントに関しては移植手術に当たる主治医がおりますから、その方々から患者 さんに説明して、インフォームド・コンセントを得るということで手術が開始されると 思います。今回あっせん業務の中に、そこまで取り込むというか、議論の対象とすると いうことはいたしませんでした。当然なされているという理解です。 〇黒川委員長  そこの検証が必要ではないかというコメントであったということですね。つまり移植 をするドクターの方がレシピエントに対して、実は今度の場合にはこういう問題があっ て、これでもやろうという話になって、インフォームド・コンセントをするかという話 ですね。それについて副腎の場合はこうです。腎ではこうである。だから医学的にはこ うであると思います。そういう話になっているわけですね。すると患者さんは恐らく移 植の先生の意見はどうかということになるわけですね。腎臓などもそうでね。ネット ワークはこれはいいと思いますということは、移植の先生には言えないわけですね。た だコーディネートしているだけですね。これについて何かコメントをどうぞ。 〇浅野委員  慶応病院から移植施設の方にいつどのような方法で伝わったのでしょうか。腫瘍のこ とについてです。 〇山本補佐  基本的には慶応病院から伝えるのではなく、臓器移植ネットワークの方から、ドナー に関する情報について必要な情報を移植施設に提供する。移植施設から質問があれば、 可能な限り答えるということであると思います。今回の2例目の事例につきましては、 第2回目の脳死判定後、レシピエントの選択を行って、移植施設に順番に連絡するとき に、まず基本的な感染症があるとかなしとか、基本的なドナー情報は伝えます。その上 で、今回は小泉先生からお話がありましたように、針生検の結果を待ってドナーの適用 を検討しておりますから、その経過につきましても、移植施設の方に連絡しているとい うふうに伺っております。 〇大久保委員  両方とも、移植のレシピエントに対するインフォームド・コンセント以前に、きちん と移植施設に伝わっているということですね。 〇山本補佐  昨日からのいろいろな報道等で、こういうご質問が出るのかと思いますが、実は私ど もの厚生省の方では、正確に申しますと12日に開腹手術に入る前に摘出医、それからネ ットワークを含めてミーティングを行ったときに、既にエコー上でのマスというものを 確認されてますので、その情報をネットワークから移植施設に伝え、結果的にはバイオ キシをやって、それで結果として組織診が出ているわけですから、それも口頭で伝えた ということを報告を受けております。  一方移植施設側には十分に伝わってなかったという報道も一部なされております。ネ ットワーク側としては報告したという記録になっております。 〇黒川委員長  その点は事務局との相談、ここの委員会の相談もありますが、その辺については検証 する必要があるというのであればまたしてもいいし、ネットワークのパフォーマンスの 問題ですね。橋渡しとしてということをしているわけで、ネットワークの方ではコーデ ィネーターが勿論フロントに出ているわけでしょうから、そこで実はこういうことがあ って、いつ診断をどうしましょうかといったときに、メディカルコンサルタントという 何人かの複数の先生に24時間いつでもアプローチということで、話を聞いて指示を仰 ぐ、しかも1人でなるべく判断しないようにということで、複数の人に相談しなさいと いう話になっているわけです。それで、それはエコーだけではなく、こうしましょうと いう話がここにあるわけだから、その辺の報告は事務局は受けているわけですね。  それをまたもう一つ誰かが検証して、ドキュメントというか実際のこういう時系列的 にこうなってという話をいずれしないといけないのかな。した方が問題としてはクリア になるということですね。 〇浅野委員  移植手術を受けた本人には伝わったのですか。報告したというのは記録があるという ことですか。その結果はどうかわからないのですか。 〇黒川委員長  それはネットワークがすることではなくて、移植するお医者さんが患者さんに話をす ることですね。それはネットワークでは言えない。移植のドクターにそういうことをい ってますかという確認をするのはネットワークの仕事ではなく、越権行為になるのでは ないかということでしょう。だから移植したドクターに聞かないといけないということ ね。 〇小泉委員  先程のご質問の中で、コーディネーターが例えば近畿と関東でやったということにつ いての協力体制ですが、これには報告書の14ページをご覧いただきたいと思います。下 から2つ目の○に複数のコーディネーターが役割分担をしつつ業務(特に脳死下での臓 器提供に係る業務)を遂行する上で、現場においてチームリーダーが必要である。とい う意見もまとめております。  チームリーダーの人は各コーディネーターからの情報を集約し、全体の業務を統括す る役割を担う必要がある。しかしながら現在のネットワークでは、チームでコーディ ネーションを行う経験が不足しており、リーダーの役割を担うことができる人材が不足 している、とういことで次の○の育成の問題に繋げております。  これまでのコーディネーターの仕事というものを、実際にその場にあたられたコーデ ィネーターの方に毎回作業班にもオブザーバーで出ていただいて、状況のご説明をいた だきまして、結局非常に経験があって能力のある方が限られておりまして、その方々が 第1例でも第2例でも係わっていくという形で上手くいっているわけですが、これが今 後そのような状態で担いきれるとは到底思えませんので、最後の養成ということが1つ です。  もう一つは、これまでは経験豊富な方々の間で現場でどことなくチームリーダーのよ うな方ができてやってますが、それをもう少し先程のご質問のご意見にあったように、 システム化しておくということも必要ではないかと思います。報告書ではまだ最後の段 階までは踏み込んで書いておりません。 〇黒川委員長  そういうことです。特に14ページに書き込まれておりますし、その人材が不足してい るということを、最後の○ではそういう意見も出されたということですので、その意見 に基づいて全てこれで結論が出ているわけではないので、いろいろな先生方の意見をだ しておりますので、この次にいきます。議題3に入るわけです。そういう意見を踏まえ てどういうふうにしていくかという次のステップに生かそうということになると思いま す。 〇野本委員  いろいろなネットワークの出来事です。私は承諾書をいただいた瞬間から対策本部を 設置して、そこでことが動きはじめる。その時にやっておりますのは、ネットワークの 方に入ってきたというのは、こちらの連絡全て記載をさせる。3名のメンバーを抱えて 記録係です。判断したことを中のリーダーに伝えるというこういうやり方をしてます。  したがいまして、緊急の時ですから、手を加えないで相手の方が方言で話をすれば、 方言で記録を残すというところまで残しておりますが、これはこのまま公表しろといわ れましても、緊急のときのいろいろなきついやり取りがありますので、記録はきちんと 残してあります。その中できちんとした書類にして厚生省にも報告するというようにし てますので、ある問題に関して厚生省からそこのところのリアルな記録を出せといわれ ると、対策本部が開かれている間は全て残っております。これは無駄なようですが、3 名のメンバーにそれを専属でやってもらっているというやり方をしております。  電話がありますと記録をして、直ぐにディスカッションをしてお答えをする。答えも 質問の内容もきちんと書きます、お答えも書きます。中にはとんでもない横車というの がどんどん入ってきますので、たまに私が電話に対応することもあります。横車は押さ ないでくださいといってます。こういうことも含めて対策本部はやっておりますので、 全て記録は残っております。そういうことです。  ただ迂闊に私は公表をしない。リアルなものはなるべく公表したくないといいますの は、そういう対策本部には医療現場の人達も無理を承知で行ってくれるくらい裸でコン タクトをしてくださる方がありがたいので、とにかくどういうことでも連絡はしてい く。それに関して対策本部では、今までの私の方針はルール通りということです。大き な問題ですと厚生省と相談した上で、厚生省の方から出してもらうということもありま す。全て残してはおります。 〇黒川委員長  これは移植ネットワークそのもの自身が中の地域評価委員会、それから全国評価委員 会で年に1回全部総括しますし、その時のリアルタイムで一応やってますから、そこの 評価を聞いた上で、報告をうける。多分厚生省から評価を受けると思うのでその評価委 員会というのが入ってますから、それを待つというのがシステムとしては入れられてい るということです。  もう一つ今皆さんのご意見を伺っていると、私もちょっと思ったので事務局とも相談 ですが、移植を行った側のところの時系列で、どう起こったのかという後の報告を出し ていただくということがないと、それはできない。するとコーディネーターではない が、ネットワークからこういう連絡がありました。それでレシピエントはこうなったか らどう対応したのかという話の時系列的な報告書という話があって、1例目の時は実際 に起こったところの先生方に来ていただいて、いろいろな話を聞いたわけですので、そ このプロセスをここに上げてもらうということをしたらどうですかね。そこは情報の偏 りの不満があって、どうなったのかという話が出でいるのは、そこだなということでは ないでしょうか。それでよければ事務局と相談させていただいて、これからそのプロセ スをここでレビューするというプロセスをいれるといいかなということですね。 〇大塚委員  そういう意味からいきますと、ここで全然検証されていないのは、実はドナーになら れる方の治療が、救命治療が十分になされているのかというのが、常にこの席で問題に なるのです。そうなると、それではなぜもっと前のプレホスピタルケアの検証をしない のか。30分も40分もかけて病院に来ている。それは結果論だからわかりませんが、もし 上手くいったなら、臓器にならなくても済んだかも知れない。それを私たちはテレビで 臓器を平気て運んだり、パトカー先導で運んだりするのを見ておりますと、私は救急医 の専門家として非常に奇異を感じるのです。だったらなんで生きている方を、そういう 方針で運んでこないのか、その辺の検証をしていただくと言う問題提起をしたいと思い ます。 〇黒川委員長  その通りだと思います。小柳先生どうぞ。 〇小柳委員  今委員長がおっしゃった移植施設のことです。今いろいろなお話がありました。患者 さんにインフォームド・コンセントされているのかという話があったのですが、実際に は移植施設からの時系列のご報告があれば簡単に解決するお話だと思うのです。バイオ プシーをとりました時も、腎移植標本を取りました時も、恐らく移植施設では会議を開 いていらっしゃると思うのです。それが記録に残っていると思いますので、それをやっ ていただければ綺麗に整理されることではないかと思います。間違いなくインフォーム されているということが残っていると思います。  伝わるところでは、前夜から大議論があったということがありますが、そういうこと はございませんで、第2回目の脳死判定の後、はじめてレシピエントが決まって、レシ ピエントのいない施設の意思がコンサルテーションに呼ばれているわけですので、そう いうところも報告書が完全にでき上がりますと、時間的にそういうことはないというの がはっきりすると思いますが、ネットワークの公正のために申し上げておきます。ネッ トワークは公正さを保持しながらやっていらっしゃると思っております。 〇小泉委員  コーディネーターのことでレシピエントコーディネーターの役割というのがございま したが、ネットワークのコーディネーター、またブロックコーディネーターはドナーの 方にほとんど掛かりきりというか、レシピエントまでは手が及ばないので、作業班の中 で、幾つか出た議論では、移植手術を行う施設がコーディネーターを置いておかれると いうのが望ましいのではないか、その方は移植手術に関して家族あるいは患者さんご自 身との連絡を取る。そうすればこれは唯一の方法というか、それのみがいいとは必ずし も言えませんが、時系列の記録を取るという面でも、その方の役割が果たせるのではな いかと思いますが、いかがでしょうか。 〇黒川委員長  わかりました。それは15ページの下から2番目の○に書いてあります。新しい下線が あって作業班としても同様の意見が示されたということで、実際にこれがいますぐでき るのかどうかは別としても、そのような意見が出ているということをふまえて、これか らの対策に出していただくということで、その通りであると思います。  移植の施設については、心と肝についてはまだ数が少ないわけなので、その辺の体制 はそれぞれの施設がかなりご努力をしているところだと思いますが、その辺の実際に行 われた時系列の点、そこの問題点をどのように解決したのかという話の報告というの は、先生方のところで検証していると思いますが、実際にはそういうことの、小柳先生 がおっしゃった通りなので、その辺の資料あるいは検討をさせていただけるかというこ とでいかがでしょうか。  どうでしょうか。事務局、そのほうを少し整備した方がいいと思います。  もう一つは大塚先生がおっしゃった通りで、確かにかなり実際のイベントが起こって から、今回の2例目も随分時間がたってますが、救命救急のところに早く患者さんを輸 送できるのかという体制はどうなっているのかという話です。これについては今度はド クターヘリのプロジェクトとか、内閣の方がかなり強力にやろうという話は出ているに は出てますね。その辺の対策としては、国としても確かに考えていると思います。その 辺も救命救急のシステムづくりの話なのかなと思います。大塚先生のおっしゃる通りで す。 〇藤村委員  15ページのネットワーク全体の体制強化についてのところの3番目の○のところで す。ドナーとレシピエントを遮断する観点から云々ということで、役割分担ということ が書いてございます。この意味はちょっと私にはよくわからないのです。遮断するとい うことをわざわざ書くのはどういうことでしょうか。遮断されているのは当たり前のこ とであります。何か例えば、この前、小柳先生がおっしゃいましたが、移植の予定され る患者のいないところの施設から、医師がコンサルテーションする云々ということでち ょっとお触れになったようですが、予定されようといまいとこれは当たり前のことだと 思うのですが、いかがなものでしょうか。わざわざ遮断する云々と書くということの意 味はどういうところにあるのかお伺いしたいです。 〇小泉委員  これは従来、具体的にドナーの臓器の状態について、ある程度話し合えば理解できる ような、そういう関係というのが、勿論実際に話し合ってはいらっしゃいませんが、情 報として伝えればわかるということを若干考慮していたのではないかと思います。遮断 というとが非常に重要であるということからこういう形にすべきであるということで す。  現状として全く役割分担が施設で行われているのか、特にレシピエントの選択につい てのコンピューターの上での判断を、一層はっきりさせる必要があるという点であると いうことでございます。 〇黒川委員長  事務局としてどうですか。 〇山本補佐  ここは、いろいろな事項が入って何だかよく分からなくなってしまったと、読んで思 いました。議論としては幾つかの点がございました。例えばレシピエントの登録をやる 部門と、例えばドナー・コーディネーションをやる部門を、ネットワークが将来もっと 大きく立派な組織になったときには、別れていた方がいいのではないかという議論があ ったり、具体的には今はメディカルプロフェッショナルの常勤の方がいないわけです が、事が起きたときには、今回の2例目のケースのように、かなりギリギリのドナー適 用の判断、医学判断というのが出てくる、その現場でやる医師と、それの詳細をレシピ エント側に伝えて、そちらのドクターとのやりとりをやる方が、同じ人間だと大変では ないかという意見があって、もう少しスタッフが充実するといいという意見とか、なに やかやが入っていて、こうなっています。わかりずらくなっていて反省してます。もう 少し整理させていただきます。 〇黒川委員長  ここは少し書き直して、はっきりわかるように整理しましょう。誤解を受けないよう にしましょう。 〇藤村委員  ドナーの医学的評価を行う者というのは、あくまでも医学的評価であって、その方の 意見がどこのレシピエントにどうのというのは絶対にあり得ないことなんで、これは分 けて書いていただかないと、現状についても大変誤解を生むと考えます。 〇浅野委員  これは前にお聞きしたのですが、2例目のドナーの家族の方が、1例目のマスメディ アの取材とか報道について、どのようにいっておられるのかお聞きしたときに、移植ネ ットにかかわる作業班が報告しますということであったので、その点について、1例目 の高知でのケースを考慮して、承諾書を出されたのかどうか、そのようなことについ て、差し支えない範囲でお聞かせいただきたいと思います。3例目4例目についてもそ ういうことについてお聞きしたいのです。  2例目のドナー家族は1例目のマスメディアの取材を見られているわけで、そういう 報道がありましたが、そういうことについて新聞報道されているのですが、具体的に家 族のとの間で情報開示・公表ということについて、何かやり取りがあったと聞いている のですが、これは3例目も4例目もそのようなことがあると聞いているのです。つまり 静かな環境で決めていただくという環境を作るというのが、次の議題で大事なことにな っているのですが、参考のためにお聞きしたいのです。前にお聞きしたときに、この作 業班の報告のときにしますということであったのです。 〇小泉委員  今の点は9ページの真ん中辺に上から2つ目の○です。特に第1例目の場合と異な り、コーディネーターが提供施設内においてマスメディア関係者への対応に時間・労力 を割かれることなく家族のケアに集中できたということで、この点が1例目と2例目の コーディネーターに関連していえば、決定的に相違している点です。したがって、今ご 指摘になったような、総論として開示がどうのこうのというようなそういう形での議論 は、患者さんの家族とコーディネーターの間ではなされてなかったのではないかと思い ます。 〇朝浦室長  報告書の10ページの四角に囲んだ2番目のパラグラフです。当初2例目のご家族の方 は公表は臓器摘出後ということで、当初はなるべく遅く公表していただきたいというこ とを表明されておりました。2番目のパラグラフで記述しておりますが、22時頃には病 院の周辺に報道関係者が集まりだし、病院にタクシーで乗り入れる人に対してフラッシ ュをたいているという知らせが病院側から入り、コーディネーターからご家族に対して 2回目の脳死判定後にマスコミに事実関係の公表することについて了解を求めたという 記載があります。こういう事実の推移で、ご家族に厚生省及び臓器移植ネットワークの 方から第2回目の脳死判定後に一定の事実関係について公表することでご説明をし、そ の了解をいただいたという経緯でございます。 〇黒川委員長  これから浅野委員がいったゼネラルなことには出てこないわけで、2例目の事実関係 が出てますから、その後に9ページに○が3つ書いてありますが、この辺を参考にして 次の議題にこれを出させていただくということになると思います。  何かその他にございませんか。ではこれについてはネットワークの対応その他につい ては、基本的には了承していただいたということですが、まだまだいろいろな問題点が 指摘されておりますので、そこについて書き直すあるいは加えるということをさせてい ただいて、私の方で見させていただきまして、もし何かありましたら、先生方に相談さ せていただきます。そういうことで基本的には了承していだたくということでどうでし ょうか。ではそのようにさせていただきます。  次に1例目2例目の移植事例に係わるというところで、今後というか、中間的な総 括、今後の議論についてという議題3に行きたいわけです。それについて今までいろい ろな意見が出ましたので、先生方の審議を踏まえて、検証に関する中間報告(案)をま とめていただきましたので、これから資料に沿って説明をしていただきたいと思いま す。資料4です。お願いします。 〇朝浦室長  では資料4に沿いましてご説明させていただきます。前回一番最後ですが、中間的な 報告(案)をとりまとめたいという考えを事務局からお示しして、大体こういう項目と いうことでご説明したと思います。今回、作業班での報告が大体何回か繰り返されてお るということで、中間的なまとめをこの段階でしていただくことは、提供施設側をはじ めとして関係機関にとっても、意味があることではないかと思ってまとめさせていただ いております。  「はじめに」のところでございます。ここではこの委員会で行っている議論の目的、 審議の目的が書かれております。第1例目の後、一連の手続きの点検・検証を行うこと によって、その結果を教訓として、今後の臓器移植体制の更なる整備を行うという目的 の下、この議論が開始されたということが記載されております。その後、委員会及び作 業班の経緯について、簡単にまとめております。  第1章が2ページ目です。臓器移植における透明性の確保と臓器提供者とのプライバ シー保護の両立について、の下りでございます。  第2章が9ページ目です。臓器移植を支えるシステムの一層の整備について、という 項目でございます。  第3章が11ページ目です。第1例目及び第2例目における救命治療、脳死判定、臓器 あっせん業務等の経過及びその評価について、でございます。  当初からこの3つのテーマについて議論を行っていこうということで進めさせていた だいておりますので、その項だてに沿いましてまとめさせていただきます。  まず第1章であります。前回、これについてはそれまでの議論のまとめを出させてい ただいて議論をしていただいております。したがいまして、前回ご議論いただいた点を 中心にご説明をさせていただきたいと思います。2ページ・3ページ目の臓器移植にお ける透明性の確保とプライバシー保護についての基本的な見方というか、この問題を考 える上で考慮すべき観点を7つの項目を上げて記載しております。4ページに移ります と、情報開示を行う手法等について、具体的にどういう範囲で、どういうタイミング で、誰が情報開示を行うのかの議論の整理をしております。  前回、第3例目の古川の市民病院でおきました臓器提供事例についての、臓器移植ネ ットワークと厚生省が示した方針をお示しをして、それについて一定のご理解を得てと 思っております。  12ページ・13ページの別添の1にお示しした情報の取扱について、前回ご説明をし て、基本的には一定の評価を得ていると考えておりまして、その分を追加させていただ いております。  プライバシーの保護のところでございます。真ん中です。高知の事例のように先にメ ディアが個人を特定できる情報を既に流してしまった場合であるかどうかによって、プ ライバシーを侵害する開示情報についてその範囲に差がある。つまり既に個人が特定さ れている場合と、そうでない場合とは、考え方が違うのではないかということを付け加 えさせていただいております。  次の5ページです。コーディネーターの方から臓器移植に係る情報開示についてご家 族にご説明をした場合に、ご家族から開示されては困るという事項については、原則と して開示しないということについては合意が見られたが、ただ、全ての事項について家 族が開示を同意しなかった場合においても、場合によってはどのように取り扱うのかと いう議論がされたと思いますが、それについては正当な理由があれば開示ができるとい うご意見もありまして、今後、家族の同意を得ずに開示しうる事項の有無について、更 に検討する必要があるということでまとめさせていただいております。  5ページの一番下です。リアルタイムでの情報開示についての必要性のところです。 事後に第三者機関の検証に委ねるだけでは不十分であり、リアルタイムで情報開示する ことをもってのみ救命治療・脳死判定等の適切性を担保できるという意見があるが、そ のような手法による「適切性の担保」の可能性及び必要性については、強い疑問を呈し た委員もいた。ということで、そういう意見があったということをここで記載させてい ただいております。  6ページです。一定期間後の開示についての主張のところでございます。( )書き です。特にこの点については大きな施設においては人員的な余裕がある場合もあるが、 比較的小さな救命救急センターにおいては、リアルタイムで医学的に正確な情報を報道 関係者に提供できるだけの人員的な余裕がなく、他の救急患者に対するケアがおろそか になりかねないという指摘もなされた。  臓器提供者の家族は、臓器提供に係る承諾を撤回することは基本的にいつでも可能で あるが、これは家族の立場からすると継続して臓器提供に承諾するかどうか判断を求め られていることになる。このような場面において、リアルタイムでの情報開示を行うこ とは家族の意思決定に影響を与える可能性が大きく、そのようなことは避けるべきであ る。という理由が説明されて、それの追加をさせていただいております。  (3) 移植医療に関する報道について、一番下に書いてあります。さらに、マスコミと しても、臓器移植に係る取材・報道のあり方について自ら検証し、今後の方針について 結論を出すべきであるが、それらの動きが一般には全く見えないという点については、 マスコミとして国民にどう説明していくのかという疑問が呈されている。という意見が ありましたので記載をさせていただいております。  7ページです。報道内容及び取材方法等についてのところです。報道される側の人権 について十分に尊重すべきであるとこれまで指摘されていたにも係わらずこの問題を放 置し、臓器移植に係る取材方法に係る検討が十分ではなかったために今回の事例におい てプライバシーの侵害を行ったマスコミの責任は重いとの意見もあったが、報道機関に よっては、これまでの事例における経験を教訓にして、第2例目以降、自主的な判断に よって報道を遅らせた社や、報道内容についてプライバシー保護に一定の配慮を示した 社もあった、ということを追加しております。  (4) 第三者検証手続きであります。第三者検証機関については必要であるという意見 が、委員及び参考人から出されております。第三者検証機関については、前回事務局の 方で設置する場合の問題点と論点について提示しておりまして、その論点につきまして は委員の先生方のご了解をいただいたというふうに理解しておりますが、今後さらにそ ういう論点を詰めることも含めて、引き続き議論していく必要があるということでまと めさせていただいております。  次に第三者機関の構成員については、医学的な観点のみならずコーディネーターの精 神的なケア等について臓器提供者の立場・家族の立場に立った検証の必要性について指 摘をされております。そこで(5) はまとめとしてこのプライバシーの問題、報道の問 題、情報開示の問題について、今後どのように議論していくのか、どのように取り扱っ ていくのかということを事務局としまとめさせていただいておりますので、ご議論いた だきたいと思います。  上記のとおり、本専門委員会において、臓器移植における透明性の確保と臓器提供者 及び家族のプライバシーの保護について議論する際に考慮するべき観点についてまとめ られ、また、それらの観点を踏まえ、情報開示を行う具体的な手法等、あるいは移植医 療に関する報道のあり方について各委員及び参考人から様々な意見が出された。  臓器提供事例における情報開示に係る情報の取扱いについては、日本臓器移植ネット ワーク及び厚生省が第3例目の際に示した情報開示の方針(別添1)は一定の評価を得 ているものの、その細部については、例えば、全ての事項について家族が開示を承諾し なかった場合にどう対応するか、脳死判定の終了以前にリアルタイムで情報開示を行う べきかどうか、行政等から中立した判断を行うことができる第三者検証機関を設置する ことができるかどうか、又は臓器移植に係る報道はいかにあるべきか等について、今後 更に議論すべき課題が残されている。また、そもそも報道のあり方については本専門委 員会において決定すべき事項ではないとの意見もあった。  いずれにせよ、臓器移植事例に係る情報開示については、臓器提供施設、日本臓器移 植ネットワーク、移植実施施設等、それぞれの主体が責任をもって判断し、自ら行って いくことが基本的に望ましい姿であることについては本委員会における概ね一致した意 見であり、上記にとりまとめられた本委員会における議論を参考とし、各関係機関にお いてそれぞれの立場から情報開示に係るあり方を考えることを望む。ということでまと めをしました。ご議論いただきたいと思います。以上でございます。 〇黒川委員長  ありがとうございました。実はこの専門委員会で開催させていただたいものがページ 1に書いてあります。いろいろな意見が出て、もう4例になってきたわけで、検証が遅 れているところもありますし、先生方からいろいろ出てますが、その時に提供施設のい ろいろな手続き、今までの4例でどういうことがあったのかということを、ここで検証 したことを早く現場にある程度のレベルで戻したい、この委員会としてもそうだと思い ますので、こういうことをやさせていただきました。  するとこの1ページからですが、先生方のご意見をいただきたいのは、大体これはあ る程度の案ですので、これをもう少し整理して、施設の方にもフィードバックしてあげ たいというのが目的であります。後でもっと直すのはいいと思います。ある程度のガイ ドラインというのはおかしいのですが、これも使っていったらどうかということであり ます。  第1章です。臓器移植における透明性の確保と臓器提供者のプライバシー確保の両立 ということです。(1)臓器移植における透明性確保とプライバシー保護について:基本 的考え方、2・3・4ページです。7つの項目についてご意見を伺いたいと思います。 幾つか書いてあります。特にここでは基本的に前回の通りでございます。  では4ページの上(2)情報開示を行う手法等についてす。これはもう少し具体的にど ういう意見が出て、現時点ではどう考えたらいいかという話です。これについていかが でしょうか。前回に更にご意見をいただいたところについて、いろいろと書き加えた、 あるいは直すところはアンダーラインが引いてあります。 〇浅野委員  質問です。3例目と4例目の情報開示の違いというか、実際にどうであったのかとい うのを教えていただきたいです。 〇黒川委員長  確かに3例目も4例目もまだ検証しているわけではないし、そこまで書き込めないと ころがありますね。詳細に検討されたのは2例目までです。だから3例目4例目を更に やった上で、これをリバイスするなどは幾らでもあると思いますが、基本的にはここま での意見でかなり集約されていると思います。  特に4ページの(2) 情報開示のところが、2例まで一応はこの前の議論が済んでいる にも係わらず、わざわざ3例目と書いてあるからということで、多分浅野先生は気にし ているのではないか。それだったらなぜ4例目は書かないのかとか、3例目はどれだけ 書かれているのかを聞きたいということでしょうね。 〇山本補佐  先程こちらの方で申し上げました別添の1でございます。別添の1は実は時期につい ては2例目もほぼ同様に考えておりました。ただ2例目のときには厚生省において、例 えば12ページですが(1)患者に関することということで、性別その他のこういう項目につ いては、当初からご家族の理解を得て公表してもいいのではないかという項目が十分に 整理されてなくて、一部乱れていて、メディアからのご指摘もあり、もう一度家族にフ ィードバックしてまた追って公開しました。3例目は基本的な形は同じですが、それを 洗練した形で6月13日のペーパーが出されております。その意味でちょっと3例目の方 が綺麗に整理されているというので言及したのです。  4例目につきましては、私どもはネットワークと一緒に、ほぼ3例目と同様の考え方 で望みました。4例目につきましてはご家族のご希望があり、ご家族ご自身がお見送り の後に、病院を去られてから静かに去った後で公開してほしいという強い希望を当初か らなされておりました。一方私どもとしてはこの考え方をお示しして、ご家族のご理解 を得て、可能な限り情報公開をした。その意味では3例目と若干対応が違いました。  こちらのスタンスというか、持っているスタンスは同じであったということでござい ます。 〇浅野委員  提供する臓器の名前を出さないようにということで、確か摘出後まではそこが伏せら れたというのは、3例目と違うということでよろしいでしょうか。 〇野本委員  3例目からは、ネットワークの対策本部長は私で、私が主導型で厚生省と相談しなが らルールを決めて開示する。できるかぎり3例目の方針に従ってやっていった。4例目 もそれでいったわけです。何もかわりはない。ただベースはご家族のご希望というのは まず認めるわけですから、ご家族にお願いして、説得ではなくお願いして、これは国民 レベルの関心のあることであるから、出来るかぎり情報を提供することをお許し願いた いということを一生懸命お願いしたということです。それで随分と軟化してくださって よく理解してくださったのが1回目の情報開示のことでした。しかしこういうことに関 しては、結局はその途中ではOKは得られませんでした。  これは第3例の方式に出来るかぎり一致したいという努力は厚生省側もネットワーク 側もしたのですが、これはご家族のものですから、それは越えられませんでした。基本 方針は大きくは委員会その他でご指摘があって、第3例の基本方針のここは変えたらい い、といのは厚生省と相談して変えていいのです、現在のところはあの3例のやりかた を基盤にしたいと考えております。 〇黒川委員長  よろしいでしょうか。確かに前段の1ページに第1例目及び第2例目の経過等につい て点検・検証を行ってきたところであり云々と書いてあるわけだから、そこに中に突然 に3例目と書いてあるところが、ちょっと文書としてはというのがありますね。 〇浅野委員  これは本来は一番最初の議題のときに聞くべきであったと思うのですが。私が非常に 不思議なのは、移植ネット側は家族の意向というのを非常に強調しながら、記者会見で の開示情報の公表に関しては、国民的な関心もあるので、脳死確定後にすることを許し てほしいというのはよくわからない。もし家族の意向を尊重するのであれば、臓器摘出 後に公表するということも考えられるのではないかと思うのです。つまり記者クラブな り報道機関とは何の合意もないわけですから、その意味から言えば、どうして摘出手術 後だったらいけなっかったのかというのは、新聞報道を見ておりましてよくわからなか ったのです。  厚生省やネットワークが家族にお願いをして、今も「随分と軟化された」という表現 をされましたが、私は軟化されたという表現はいかがかなと思うのですが、別に硬化し たり軟化しているわけではなく、家族の方の意思というのを尊重するというのはこの委 員会の共通理解ですし、別に言葉尻をとらえるわけではないのですが、何か公表のタイ ミングが前に行くことが良いことであるというような印象を受けたので言及させていた だいたのです。  ですから、例えば臓器の名前については開示するが意向どおりで報道のタイミングは 後にずらすように要請して、そういう条件で家族は最終的に同意された。しかし、タイ ミングについては気持ちを考えていただくようにお願いしたということであろうと思う のですが、その辺の関係がよくわからないのです。 〇野本委員  ちょっと待ってください。今のお言葉は私が何か計算して何かをしたような仰り方 は、これははっきりと取り消していただかないと困ります。なぜかというと私は3例目 の方式をお願いしたわけです。カードの名前の臓器を出すのは結構です。時間を前にし てくださいというお願いした覚えはありません。  要は、なぜそういうことをしたのかというと、あのまま情報を最後まで、最初のご家 族のご希望通りにネットワークや厚生省が情報を公開しなければ、恐らくメディアの方 は自分たちがとった情報で記事を書かれると思うのです。その時のマイナスの方が大き いと思ったのです。その間、私どもが開示するまでメディアの方は一切公表しないとい うのであればそれはよろしいのですが、その時の私の判断ではそこまでやるとかえって 混乱すると判断したのです。判断が間違いというのであればしようがないのですが、私 はそう思いました。 〇浅野委員  私は判断が間違っているとかということをいっているわけではなく、医療機関なり厚 生省が発表することと、メディアの独自の判断というのは、メディアの人達は厚生省が 発表しようがしまいが、実際に4例目の場合には報道しているわけです。共同通信は第 1回脳死判定のやり直し前、夜の6時半に既に報道しているわけです。今先生がおっし ゃったようなことを私はいっているのではなく、ご家族が摘出手術後にお見送りとかの 静かな時間まで、厚生省やネットワークとしての開示を遅らせてほしいという願いがあ るなら、それをどうして受け入れないかということです。私はそのように理解したので す。タイミングはこれまでの3例目と同じように第2回の脳死の確定後に発表するとい うのはこれまでのやり方であったので、それに合わせていただけませんかという依頼を されたのではないかと理解したのですが、その事が良いとか悪いではなく、家族の意向 を尊重するということとの関係性でどうでしょうかという意味です。先生のご判断とか やられたことが良いとか悪いということをいっているわけでは全くないのです。 〇大島委員  私などは浅野先生にお伺いしたいのです。公益性であるとか国民の知る権利というの を非常に強調されてますね。したがってそこのところを、むしろ今の野本先生の立場で は、非常に強く配慮されていると思うのです。ネットワークにしてもそうだしね。だが 片一方で個人のプライバシーというのがあるので、それはご本人あるいは家族がノーと 言えば、それに従わざるを得ないという原則がきちんとありますね。  しかし片一方で、非常にその公益性であるとか国民の知る権利が非常に強い、だがそ れは非常にファジーで幻みたいなものですね。ではどの辺でどうかということになる と、さっぱりわからないということです。ただ幻に引っ張られているというような感じ がしてしょうがないのです。その辺について、その実態は一体何かということをむしろ 浅野先生にお伺いしたいという感じがするのです。 〇黒川委員長  公益性ということをいつもいうのだが、そんなに公益性なのかという話を、どこまで 検証しているのかということですね。報道する側がね。 〇浅野委員  情報の公表のタイミングというのは、恐らく脳死確定後、または臓器摘出後というこ とであると思います。これまで厚生省記者クラブと厚生省の話し合いでも、そこがなか なかまとまらなかったという経緯があります。このところをきちんとしないと、1・ 2・3の例で公表のタイミングは脳死確定後にすべきだという流れになってます。今 回、朝日新聞も理由は明らかにされてませんが、脳死確定後までとなって、産経と毎日 新聞と同調したと私は理解してます。一方、読売と共同通信、日経、東京は脳死判定に 入るという段階、家族の承諾書が出た段階と、かなり前倒し的に報道するという姿勢を 示して、二分しているわけです。  そういう状況の中で、この委員会ではそうではなく第三の道として臓器摘出後にそこ まで静かにするべきだというのが、前の委員会でも救急医療の先生から出たと思うので す。その意味でお聞きしているわけです。実際に今回のマスメディア状況の中で、野本 先生たちが判断され、いろいろ動かれたことについて批判しているわけでは全くないで す。  つまり、3つのタイミングが今は考えられている。そういう形で何らかの意思表示を するとすれば、そこは非常に重要ではないか。それは第三者機関と言われているものの 設置も含めて、タイミングを第三の摘出後という一番遅い段階にするのであれば、尚更 メディアの人達は、恐らくその間に起こっていることの後で、きちんと開示されること を望むでしょうし、それが国民の知る権利との関係で、リアルタイムで知るべきなの か、あるいは後できちんと見ればいいのか、あるいは「公表」と「開示」は違うわけ で、誰でもどういう市民でもインターネットで見れるようにするのか、それとも慶応病 院がやったように家族と、婦長さんが同席するとか、あるいは別のお医者さんが同席す るという形で、透明性をそこで担保しておいて、後で開示するということについては非 常に重要であると思うのです。  今回、4例目でネットワークと厚生省が家族と接触されて、その事について話し合っ たという内容はその意味で非常に重要であると思ってます。私の考えは第三の道がいい と思っております。摘出手術後まで公表すべきではない、原則的にです。しかしメディ アが自らの判断で、これは十分な救急治療が行われてないという形で自らのルートで取 材し、それを社会的に明らかにするパブリックインタレストというものを自社の責任に おいて、その意味で言えば私は究極的には、それはメディアが決めることであって、メ ディアの人達が責任をもってプロとしてやられることであるので、そこはそこに任せる べきでありますが、委員会というか、医療機関というか、そういう側からはこのように してほしいということを言うことはできるのではないかと思います。 〇野本委員  先生のおっしゃるような第三の道を作っていくということを私も本当はやりたいので す。これが一番皆が安心して提供に取り組める方式です。でも今それで耐えられるかと いう、いわば現場の、私の場合には対策本部として火を噴くような場に置かれて、出来 るかぎり家族の人にも後で不愉快な思いさせないということを考えますと、第三の道を 今スーと選ぶのは非常に難しいのではないかと、今でも考えております。  といいますのは、そのようにやりますと却って家族に直接取材にいくということが起 こりうる可能性があります。私は第三例目でやったルール、あれくらいが一番なんとか なる。その時に家族の方々はうちはどうしてもお家に帰ってからにしてくれというので あれば、これはどうしてでも守らないといけないと考えております。  ですから3例目を基準にして、今のところはやらせていただく。それはご家族の方の ご意向で、臓器提供はしますが自宅に帰ってからにしてくださいということであれば、 それは絶対に守るようにする。そういうのは現場でやってみますと、第三例目くらいの ところに少しでも近づけていくのが、却って医療現場、ご家族を混乱させないことかな と今は考えております。やがては、落ちついてきたら、むしろいろいろ情報提供はお宅 に帰ってからというのでいいと思いますが、今は自信がないです。そういう感じがしま す。 〇黒川委員長  これは確かに現場で対応しないといけない方々と、厚生省当局、マスコミといろいろ あったわけですから、少なくとも今までの経験では、これを提供施設側に、今までの議 論ではこうなっている、そうしろというのではなく、基本的には対応したいということ をいっているわけですから、ケース・バイ・ケースでかなりぶれると思うのです、ぶれ たところにぶれようによって、マスコミは一緒になって動くのかどうかというのは別で すが、その辺はお互いの自由度というか責任でやるというところで、今野本先生がおっ しゃったように、ここのいろいろな検討を見て、1・2・3例目のぶれから見ると、こ の辺が基本的にはこうやるのがいいのではないかということで、こうしろということで はなくね、そういう結論でどうかということではないかと思います。  それをいっておかないと、提供施設は非常に混乱して可哀相であるということをいっ ているので、原則はわかりますが、第三の道に行くだけのこれは10例やった、20例、50 例でまた変わってくると思うのです。その辺にいくまでの成熟度があるのかという話を すると、この辺がリアリステックですね。提供施設にある程度はこのように対応したい のだということをいっておかないと、それは大変ではないかという話をしているわけで す。原則の話とは少し違うのではないかと思います。 〇浅野委員  私はマスメディアの現在の状況はこうだから、それを混乱とかが予想されるから、家 族が臓器摘出後にしてほしいと言っているのに、それより前にというのをお願いするの はおかしいのではないかということをいっているのです。そのことが今回もし4例目に あったとすれば、それはちょっと私は新聞報道によるとそういう表現がかなり出ている ので、その意味でお聞きしたのです。実際はどうであったのかを知りたい。  私は桐野委員が前回の委員会で言われ、大塚先生も言われたと思うのですが、ドナー 家族はいつでも引き返すことができる、ということを保障するのであれば、脳死確定で はなく摘出後というのが常識的な市民としての判断ではないか。ただしその間におきる ことについてメディアの人が心配している。メディアだけではなく国民の中に心配があ ることについて、どう担保するのかということを、脳死移植に携わる人達がどう応えら れるのかということにかかってくる。柳田邦男参考人がいった通りであると思います。 〇黒川委員長  それについては前回いった通りに、第三者のものをもう一つを作るには、法的な整 備、財政原をどうするのか、そういうデータにその人達がアクセスできるのか、という 話を整備しないといけないわけで、そこまではもうちょっと時間がかかるだろうという 話をしたわけで、方向としてはするべきだというのがここの意見ではないかな。  だが現在はここまでで、提供施設にどうこちらは対応したいのかという基本的な姿勢 というものをまとめておかないと、それでないといけないということをいっているわけ ではないので、この辺でどうかという話ではないかと思います。  メディアの方も各社対応が違うというのは、それはメディアの自由であるというので あれば、それは提供施設のブレの部分は家族によってもかなり違うということはあって も当然ではないかと思います。その時には先生がメディアのプロとおっしゃったが、そ れはそこの現場の判断として尊重するべき問題ではないかと思います。  これがファイナルではなく、今のところは意見を集約してこのように対応したらどう かという話ではないでしょうか。 〇山本補佐  蛇足かなと思いますが、若干ニュアンスが違って伝わっているのかなと思ったので確 認します。  当初はご家族からお見送り後に静かな環境の中でという強い希望があって、厚生省と しても了承しました。第3例目の紙があったにしろ、それはご家族の希望ならそうしま しょうということで、私どもは直接家族には会っておりませんが、病院の管理者とネッ トワークコーディネーターとは密に連絡をとって状況を判断しておりました。  ただ、徐々に報道機関の問い合わせが病院に対しても多くなってきたり、一部報道が インターネット上で報道したのが確認できたりしたときに、ご家族としては個別の取材 につていは一切お断りしたい、ここだけは強くいってほしいというのがあって、それを 言うタイミングとして、これくらいの情報を出すことは却ってその場の混乱を避けるこ とができるのではないかということで、結果的には、3例目の紙の中でご家族が納得し てくださった項目について発表しました。  その時に一番大きく何度も申し上げたのは、個別の取材については将来とも一切お断 りしたいということを強く申し上げたということです。こうしないといけないと思って 厚生省は家族を説得したとか、ネットワークが説得したという趣旨では全然なくて、か なりその場のプレッシャーなり回りの状況判断をして、どうすることが最も混乱を回避 できるか、特に家族か一番強く思っておられる個別の取材について、一切お断りしたい という環境を守れるかというところを判断した結果であったということでございます。  また、私が申し上げていいのかどうか分かりませんが、提供のあった臓器について、 ご家族が発表を控えておられたのは、臓器が実際に提供できるかどうか、きちんと評価 されてからということの気持ちが現れたということも私どもは伺っております。これは 申し上げてよかったのかどうか分かりませんが、そういうことです。 〇黒川委員長  これも引き続き検討しないといけないわけです。それは今いったように、これから症 例が多くなればなるほどそうだし、ドナーの方の家族の権利というものも、その辺とど うバランスを取るのかということもケース・バイ・ケースにならざるを得ないので、ど のくらい振れるのかというのは、文化的背景とかもいろいろ違うと思うのです。その辺 で今一番問題なのは、この委員会でいっているのは、提供施設に何があったのかという こと、もっと分かりやすくフィードバックしてあげないと、非常に混乱するということ を皆が懸念しているわけです。ドナーもね。そこのところだけを整理しておくのは大事 ではないかということです。 〇浅野委員  今のことです。4例目の家族の方は3例目のことの自宅取材を非常に気にしておられ たというふうに記者会見で言われているようですが、そうであるなら、逆にいういう個 別自宅取材を避けるためにも、家族の元々の気持ちを尊重して、私は臓器摘出後に公表 した方が良かったと私は理解しております。 〇黒川委員長  ありがとうございました。特に4例目の場合には少し違ったファクターがありました から、その辺もありましすよね。3例目もそうです。最初は脳死ではなくという話があ ったわけですね。そういうかなり大きなバリェーションの中で、どの程度の基本的な議 論を、提供施設その他にはフィードバックしてあげたいと思います。  6ページの(3)移植医療に関する報道についてということです。これは今までの議論か らこちらが決めるわけではないのですが、意見もあったとか、危惧も見られるとか、呈 されているとか、そういうことですね。いろいろな社があったということですね。  もしよろしければ7ページの第三者の検証手続きについてとことについてもご意見が あればいかがでしょうか、いろいろあると思います。これは先程いいましたように、実 際に柳田先生、その他の委員の意見もあったわけですが、前回にあったように、実際に こうなるとカルテにアクセスする問題、お医者さんばかりではないので、法整備の問題 も必要になってくる話だと思います。 〇浅野委員  8ページの下から8行目くらいです。「また、そもそも報道のあり方については、本 専門委員会において決定すべき事項ではないとの意見もあった。」という記述がありま すが、これは必要ないのではないかと思います。この委員会では報道のあり方も決めら れるはずもないので、これは厚生省の方も私が委嘱されたときにおっしゃったことを私 も記憶しておりますが、憲法21条で日本には一切の表現の自由があって、検閲はこれを してはならない、不可侵の権利として報道の自由、取材の自由があるわけですから、こ ういうことを書くのは民主的な国家ではない場合には書く必要があるかも知れません が、日本は民主国家で、報道の自由は守られている国ですから必要はないのではないか と思います。  最後のところで、今は主要な報道機関だけでも大きくやり方が異なっているわけで、 それを新聞協会などできちんとするようにもう少し強く提言してほしい。要するに一部 の新聞が遅らせて報道しても、先にインターネットで流れたりすると、第1例目の例を 待つまでもなく混乱するわけですから。何かを決めてもそれを破るメディアは絶対にあ ると思いますが、私の大学の学生が入りたいような報道機関は、何らかの同じようなガ イドラインになるように、それはどういうものであれ、我々としては望むという形を提 示していただければと思います。 〇大久保委員  この件に関しては書き方が不味いと思います。基本的にはこの委員会等でガイドライ ンとか、協定等を結ぶという必要はないのではないか、という意見が出たということで あると思います。それは私は入ってもいいと思います。ただ書き方が自体、あり方とい うのは誤解を生んでいるのではないかと思っております。 〇黒川委員長  これは6ページからの(3) の移植医療に関する報道についてというのがここに書いて あるわけだから、最後のまとめというところですね。まとめになると、まとめとしてこ の2行はいらないのではないかということを浅野委員から言われた。確かにそれはそう かなと思います。するとここの委員会で幾つも出ているのは、報道のあり方について、 報道側からの対応というか、どうするのかということの意見、期待されるくらいかな。 〇大島委員  医学的な判断とか、医学的な行為をおこなったことについては、最低でも責任者の名 前はきちんと出すべきではないかと思います。  以前に脳死判定を行ったときに、名前が出せないという議論がありました。その事情 は聞けばよく納得できるような事情ではあったのですが、しかし、基本的には私は出す べきである。医学的な判断、医療行為をきちんと行ったという内容に係わった責任者 は、基本的に公表するかどうかは別にして、公表していいと思います。 〇黒川委員長  それはしかし今までの委員会で十分に議論を尽くされているとも思えないので、この ガイドラインにポッと入れるのはね。引き続きやりましょう。では9ページの移植を支 えるシステムの一層の整備です。これも皆さん非常に期待の高いところですね。 〇浅野委員  4ページで非常に気になる箇所があります。下から10行目くらいです。「プライバ シー保護が大原則であることは言うまでもないが、臓器移植において家族が承諾すると いう「法律行為」を契機に私的なものが公的なものになるのであり、それ以降は原則的 に情報が開示されるべきである、家族としてはむしろ「移植のためにいいこと」をして いるのであるから、積極的に情報開示に賛成すべきであるという意見がある。」という のがあるのですが、これもどなたか言われたのか私はわかりませんが、参考人の人であ ればわかるのですが、委員の中にはここまでいう人はいなかった。共同通信の編集局長 はこういう意見ですが。私はここにこれを書くのであれば、もう少し議論をすべきだと 思います。私はとんでもない意見であると思ってます。  つまり道路交通法に係わったから公人であるとか、警察に逮捕された人は皆公人であ るということがおかしいのと同じです。例えば、裁判を受けるから公人であるというこ とでは決してないわけです。特にいいことをしているのだから云々ということについて も、このままこういう文字がでるのは納得できません。 〇黒川委員長  これは浅野委員のいうことももっともで、この意見はこの専門委員会の委員の間で積 極的に議論されて云々という話ではないから、これは削除させていただく。もうちょっ と変えます。ご意見を文書でいただきまして、これは案ですから、これをどう扱うか考 えてみましょう。 〇浅野委員  桐野委員がいわれた、リアルタイムの取材がどうしても必要だという意見がこの委員 会でもあるようですが、それについて報道機関とかジャーナリストともう少しヒアリン グを行うべきだという意見が前回あって、山谷委員も提案されたことに対して桐野委員 が言われたのですが、私はリアルタイムの取材や報道、特にリアルタイムの報道が絶対 に必要である。臓器摘出あるいは脳死確定の前には必要である、という有力な新聞社が 沢山あるわけですから、それについてはきちんとヒアリングを行うべきであるという前 回の桐野委員の意見は、この委員会できちんとやるべきだと思います。 〇黒川委員長  ヒアリングというのは報道機関とヒアリングをするのですか、パブリックですか、ア ンケート調査ですか、それを考えたいということですか。でも報道機関からは何もいっ てこないのですからね。バランスを欠くのではないかと思いますがね。こちらはこれだ け言っているのだが、再販のことだけは言ってくるという歴史があるらしいから、よく 分かりませんけどね。それは先生の方でもっと別のところでいっていただく。なかなか 難しい問題もあろうかと思います。  9ページはどうですか。移植を支える一層の整備は明らかに望まれているわけで、こ こは9ページから10ページの半分くらいで短いといえば短いです。留意点の取りまとめ とその他、省令等の周知・徹底方策を入れたいということです。ここも下線の部分であ ります。これは拙速で急いでやるのは、私のスタイルとしては嫌いですが、皆さんのご 意見を十分に伺った上でやりたいと思います。 〇矢崎委員  今までの議論では第2章が非常に簡単であって、心臓移植の点から見ますと、先程の 検証にございましたように、個々の症例に関してコンピューターは一応は使ってはいま すが、いろいろなデータを手仕事でしているとか、もしこれが年間100 例くらい起こっ たり、あるいは同時に起こったりした場合の対応とか、先程、いろいろな医学的なポイ ントからネットワークを動かさないといけない専門の人の存在とか、財政的な問題と か、もう少しきめ細かな記載があってもいいのかなと思います。これだと理念的なもの に終わってしまって、実際に臓器ネットワークにことに関してはここのどこに入るので しょうか。 〇黒川委員長  先生がおっしゃった通りです。実際は検証にかなり重きをおいて、提供施設にこれか らどういうふうにしていく、報道に対する対応、そういう大きな問題を取り上げたわけ で、当然矢崎委員がおっしゃる通りに、移植を支えるシステム、例えば循環器の患者さ んのアップレートをどうするのかという話が出てきて、実際に対応していただいている わけですが、確かにこちらがビハインドにどんどんなっているうちに、あっという間に 4例になったということからいうと、矢崎委員がおっしゃったように、これから同時に 出たらどうするのかとか、毎週でたらどうするのかという話があるわけで、するとこれ は2章は書き足りない、総論だけですね。確かにそうですね。  その次の3章もそうです。それからいうと、恐らく大きな問題としてはプライバシー の問題、対応の問題ということで2例目までの経験を踏まえて、特に提供施設にこのよ うなところでやるのかなという話はある程度しておいてあげないといけない。つまりこ こで話をしていることは、全然提供施設にフィードバックされてないわけですから、そ このところくらいまでは整備して、一応、全体の中間(案)にはならないが、一応お認 めいただければ、こういうふうにやったらどうかという話を出さざるを得ないのかなと いう気もします。事務局はどうですか。 〇朝浦室長  第2章のところについては、作業班の方でも議論をいただいたネットワークの体制整 備の点について、書き足りない部分があるというご指摘もあると思います。まだこの専 門委員会の中で、ネットワークの整備の問題については十分にご審議をいただいてない という面もありますので、今後その点については、作業班からの報告をベースにして議 論をしていただく必要があろうかと思います。  現時点においては、当面、第2章で書かれているような中身については、これについ てご指摘をいただいているわけでございますし、ネットワークの問題については、引き 続き今後検討するという形で整理をさせていただければと思っております。 〇黒川委員長  この全体の目次は1章2章3章からなっていて、中間報告書の(案)としては、全体 のバランスが少し悪くないかという話でしょうね。そうなると、この中間報告書の第1 部第1章についての案として出してあげた方が、提供施設の混乱はぐーと減ると思うの です。どうでしょうか。今は一番してあげたいのは、次に出てきたときに、提供施設が 共通の意識で、ここで議論をしたことをシァリングしておきたいということですよね。 それをなるべく早くしてあげないと、それが急ぐ必要はないのであれば、またやる必要 はないわけで3例とか4例とかもっと待てばいいわけだから。 〇山本補佐  実は提供施設側からは、実際に報道の対応をどうしたらいいのかということを、黒川 先生がおっしゃったように、具体的にどうするのだという話があります。今回は各意見 が多々別れていて、提供施設側にこうすべきだというまだに至ってないのです。  ただもう一方で、厚生科学研究事業の中ではそういうこともあったので、少なくとも 1例2例3例の症例について、具体的に現場でどういうことが起きて、どういうことが 問題になった、課題になったのかということを、症例を集めて、それをサマリーして、 至急それをフィードバックしてあげるということを実際には考えているということを、 局長も会見の方で申し上げたかなと思います。  ただ、この専門委員会で提供施設はこういう形で情報公開をしたらいいということを 出し切るまでに至ってないかなというのがあります。  また、矢崎先生がおっしゃってくださったネットワークの問題については、第2章の 中にもう少し具体的に出てくるのかなと思うのですが、作業班の報告をいただいて、か なり多くの賛同を得たと思いますが、まだ議論が煮詰まってないのかなと思って控えて いる部分があります。 〇黒川委員長  だからそこまでここで書き込む必要があるのかなということです。2章も第3章もそ うですがね。 〇山本補佐  第3章はそのまま評価してついてくるのだと思います。 〇黒川委員長  1・2・3の3つのバランスからいうと、2と3というのは、こういう問題について 云々という話かなと思うのですが、章として成り立つのかね。 〇矢崎委員  脳死下での臓器移植事例に係わる検証に関する中間報告ですから、もしかすると、こ の2章と3章というのが、本当に独立しておくべきものか、もし独立するのであれば、 もう少し1章と2章とのバランスを考えれば、書き加えないといけない感じがします し、この表題から見ると、そこまで将来の展望になりますから、そこまで書く必要はな いというのであれば、それで結構であると思います、何となく報告書としては、体裁が 悪いというか、形をもう少し整えた方がいいのではないかと思います。 〇黒川委員長  その意味では、事例での検証の問題点の重さによるわけだから、全体としてのバック グラウンド、イントロダクションのところとまとめのところで、もうちょっと整理し て、それで提供の現場に、今のところはこのように対応したいというところが、この専 門委員会で特に検討されたところであるという話で出したらどうでしょうか。 〇朝浦室長  第1章の部についてはいろいろなご議論が出て、議論を提供施設に紹介したいという 現実的な要請がありますので、そういう形でさせていただきたいし、第3章について は、実は作業班の報告がかなりまとまっておりますので、そこを付けさせていただくと いうことになると思います。第2章については、確かにまだ十分に議論が尽くされてな い部分がございますので、それはまた今後この委員会において引き続きご検討いただく ということで、取り合えず第1章と第3章の部分についてまとめさせていただいて、中 間的に提供施設をはじめとした関係機関に送付して、ご理解いただきたいと思っており ますがいかがでしょうか。 〇黒川委員長  いかがでしょうか。この委員会の中間報告(案)としては、バランスに欠けるという 話と、議論されたところと継続してやるぞという話をはっきりしておけばいいので、検 証した問題、それからこれから問題点を差し当たり提供施設にどのようにフィードバッ クするのかというリアリスティクな専門委員会としての対応のリコメンデーションを出 させていただきたいということですね。 〇大島委員  一応、章だてとしてはこういう形でいくにはいくのですね。第2章の臓器移植をとい うところは、内容を見てみると臓器提供に係わる話ばかりなので、臓器提供を支えると いうふうにかえるのはいかがでしょうか。 〇朝浦室長  項だてとしては、第2章を先程ご説明したときには、第2章は落とした形で当面は第 1章と第2章をまとめたものをとりまとめていただいて、第2章はもう少しご議論をい ただいた上でご報告を取りまとめていだくという形でいかがでしょうか。 〇野本委員  ご指摘の通りです。ネットワークに関しては全てその通りでございます。一銭のお金 でも欲しいというのが今の状況でございまして、メディカルコンサルタントの方など も、何とか凌げたのは、それより前に移植学会の方で支援体制、ボランティア的にきち んとした支援体制が作れてましたので、それが実をいいますと動いたのです。  ところが、制度として作っていただかないといけなのは、移植学会というのはあくま で単なる任意団体でございます。この任意団体のボランティア活動の支援体制が動くと きには、病院によっては何の資格ですかということがしばしばありまして、ありがとう ございましたと頭を下げながら起用していったわけです。しかしあれだけのメンバーが 協力しましたから医療情報が十分に判断できたと私は考えているのです。一気に満足で きるシステムになるとは到底思いませんが、少しずつ完成していきたい。  私がいつまでネットワークに関与するのか知りませんが、ずーと続くのは政府でござ いますから、政府の方に頑張って評価をしてあげてくださいということです。遺言のよ うな話になってもうしわけないです。 〇小柳委員  野本先生のおっしゃる通りです。2例目などの時にもなかなか厳しい議論があったと 思うのですが、困難な事例を見事にやり遂げたという実感があるのです。ネットワーク は本当に良いコーディネーションをされたと思います。  希望事項がございまして、ちょっと検討していただきたいのです。事務局にです。別 添資料の14ページを見ますと、摘出の時間が書いてないのですね。それで、手術終了時 間は殆どの症例で書いてございます。私ども専門家からしますと、阻血許容時間という 言葉になってしまうのですが、実際にはその方から臓器が摘出されてから血流が再開さ れて、レシピエントの体の中で再び働きはじめた時間がなかなか大事だと思っておりま して、血流再開という時間にならないか、手術終了といいますと癒着剥離をした止血に 何時間も使ったという例もありますので、ネットワークを含めたシステムそのものが非 常によく働いているということを表現するためには、摘出時間から血流再開かなと思っ ておりますので、ご検討いただければと思っております。  一般の方には表現形としてはヘリとかジェット機の世界ですので、なぜああ急いでい るのだという話になりますので、血流再開までの時間が別添資料に入ってますと、皆さ んがシステムをよく理解していただけるのではないかと思っております。よろしくお願 いします。 〇黒川委員長  それはちょっと考えてみます。さっきからいっているのは時間が過ぎてしまっている のに、押せ押せでやって実はもっともっと聞きたいというところがあるのですが、こう させてもらったらどうかと思います。  一つは中間報告書というのはここで出して、現場にある程度のことをさせていただき たいので、この案ですが、今いったように1章を充実させて2と3はまだまだ検討事項 は沢山あるわけですが、3のところは充実させて、実際に検討委員会でやっていただい たところをしないといけないからね、そこでもし今のご意見をいってリバイスしたもの を、それぞれの委員の先生に送るなりして、こちらでまとめさせていただくということ でどうでしょうか。でないと現場に戻してあげるというのは非常にね。  これからまだまだ引き続いていろいろ変わっていきますが、この時点ではこうなっ て、これだけの検証したらこのように現在はしておきたいということであると思いま す。いかがでしょうか。 〇浅野委員  今後の全体のことをお聞きしたいのです。これは中間報告書ということですね。最終 的な報告書はいつをめどにして、どういう作業の後に行われるのかということです。  私は3月31日付けで伊藤局長から専門委員の委嘱というのを大学の学長にいただいて いるのですが、まだきちんとした説明は聞いてないのですが、6月末で臨時委員はお終 いで延長はないというふうに間接的というか一部で聞いているのですが、それは委員の 任期というのは3か月または2年しかなくてということで、私がちょっと危惧していま すのは、第三者機関についての設置について、きちんとした報告がまだ出ておりません し、3人の委員が臨時で入ったのですが、今日のお話を聞いてましても、そういうのは 医学的には常識なのだとか、アカデミックでは当たり前のことであると言われても、メ ディカル的なアカデミックでない人が、できるだけ入る方がいいと思いますし、黒川委 員長も再三にわたって、第三者機関がいまはなくても、この委員会がそういう様々な分 野の人が入っているので、そこでいろいろと検討していきましょうという言及もなされ たと思いますので、そのことについて事務当局から、私の7月1日以降の身柄について お聞きしたいと思います。 〇朝浦室長  この委員会を脳死移植の検討をするための場としてお願いしたというのは、第1例目 が終わった後でございまして、その時点で臨時委員の専門の方に3名お願いしまして、 委嘱上にもありますように、取り合えず3か月を任期としてお願いをしております。  その当時は3か月を期限としてできるだけ精力的にご議論いただいて、何らかの報告 書をいただきたいということで、その当時お願いをしたわけであります。現時点におい ては、このような議論をしていただいた結果、今のような状況になっておりますので、 今の時点の状況を踏まえて、我々としては、今後どのようにこの委員会において議論し ていけばいいのか、先生方と相談しながら考えていきたいと思っております。 〇黒川委員長  そういうことであれば、そのようにこれは行政の対応をしていただければいいと思い ます。基本的には私がいっているのは、この間いったように第三者機関というのは確か に良い意見ではあって考えていきたいとは思いますが、現時点ですぐにやるには、この 間いったような法的な整備、いろいろな話の位置づけをしないといけないということな ので、それができないからといって何もしないのは不味いから、少なくとも今度の竹内 委員会あるいは小泉委員会のような、アド・ホックなコミニュティーなり何なりを作り ながら実際の検証をして、その間にはここで検証するというのが、現在のシステムの中 では一番開かれているかなということを提案させていただいて、それを考えていただけ ればいいのかなと思います。  その意味ではこの委員会は公開されているというのが一つのメリットになっているの ではないかと思っております。  そういうことであれば、事務局としては今の意見を踏まえて、中間報告書(案)とい うのを作成しますが、先生方のコメントをいただいて、ファックスなりで連絡させてい ただいて、それをまた入れた上でご確認いただいて、こちらの方で取りまとめをさせて いだたくということでよろしいでしょうか。  議題はもう少しあります。3例目4例目の移植事例に係る検証作業について、という ことですが、これは今いった第三者機関その他についてです。事務局として何かお考え がありますか。 〇朝浦室長  第三者検証機関については、まだ十分な議論が尽くされてなくて、今後の検討作業と いうことになりましたが、第3例第4例は実は現実に発生しているわけでして、それに ついても検証する必要性というものも我々としては痛感しておりまして、それについて どの場てご議論していただければいいのかということを、考えているわけです。  黒川先生の方から先程も現実的な対応ということで、現時点における作業としては、 この専門委員会の場を使っているということと、作業班を二つ作ってそこでお願いして いるということもありますので、現実的な方向としては、そういう形で3例目4例目も お願いできればありがたいと思っておりますが、先生方のご意見をお伺いしたいと思っ ております。 〇黒川委員長  それについていかがでしょうか。前回もあったのは、第三者機関を作って参考人のよ うにいろいろな人を入れると、そこでカルテを見る守秘義務の問題、その費用の問題、 法的な整備をしないといけないので、それでは時間が掛かりすぎるということで、今の ような検証を続けていきながら、それをフィードバックさせていただくということでや らせていただく、それで差し当たりはいいのではないかと思いますがいかがでしょう か。  実は多分、私どもの方も3か月というのは、1例目が出てそうしたのですが、その間 に4例にもなるとは思ってもなかったというところは多分あると思います。随分いろい ろな意見といろいろなリバリュエーションがあるということが随分分かったと思いま す。  分割肝移植について、この間作業班を作らせていただいたわけですが、それについて 事務局からどうぞ。 〇朝浦室長  分割肝移植については資料をお配りしております。前々回であったと思いますが分割 肝移植に係る作業班の設置については、お認めをいただいたところであります。7月12 日の15:00〜17:00の予定をしておりまして、先生方にお集まりいただいてご議論して いただこうと思っております。第3例目の事例のときに、スプリット肝移植についての 議論がありまして、この作業班なりあるいは専門委員会での議論がまだ十分に尽くされ てないということで、スプリット肝の適用をしなかったということがありました。  そこで7月12日にこの作業班を開催しまして、もし技術的な分野についての検討でご ざいますが、この作業班での何らかの決定なりあるいは結論が出ました後、またその後 すぐに脳死移植がありスプリット肝の適用があるということが可能性としてはあります ので、できるだけ早く委員会としてのご承諾もいただきたいと考えております。  ご相談でございますが作業班の結論が出た段階で、早急に事務局としてその対応につ いてとりまとめを行いたいと思っております。先生方にその旨をご通知をして、ご承諾 をいただければ、その時点からスプリット肝についても適用するという運びでお願いで きればと思っております。ご意見を頂戴したいと思います。 〇黒川委員長  これについていかがでしょうか。大島委員どうぞ。 〇大島委員  できるだけ専門家の意見を早くまとめていだたいて、出来るだけ早く対応していただ きたいと個人的には思います。 〇黒川委員長  これについては確かに3例目が実際の適用になってしまったわけで、いろいろと書か れているところを見ると、スプリット肝でどうしてできないのということに直ぐになっ てしまいますから、差し当たりはここの委員は皆、肝移植その他の専門家ですので、専 門家の意見を聞いて、どのような技術的な問題、特に日本の場合には生体肝移植は沢山 やられておりますので、その意味では凄い経験のある方が外国に比べて遙かに多いとい うことからいうと、これの医学的な問題、技術的な問題について検討していただいて、 この委員会でも一応その先生方の意見は承認はしますが、この委員会の先生方はこの案 でどうでしょうかということを、ご意見を伺った上で承認させていただくというプロセ スを踏んだらどうかということです。12日ですから、なるべく早くそれをまとめていた だいて、特にメディカルな他の面もあると思いますので、それを検討させていただい て、一応そこでまとまったところで承認させていただければと思います。よろしいでし ょうか。  出来るだけ早く対応ができていて、それまで全然症例がなけれは、それはそれで結構 な話で、いずれこの委員会でそれをやります。現在の中間的にはそういう処置をさせて いただきたいと思います。 〇野本委員  お願いです。ネットワークの基本方針はとにかくルールを守るということを徹底して おりますので、今度の分割肝移植ができたら、私どもの方がルールとして流していける ように、いろいろな問題点ですね。対策本部に火がつくような状況のときに、急にいろ いろな医学的ご意見をいただいても、これは対応できないのです。ですからそこのとこ ろをよくご配慮ください。悪く言われるのは慣れてはおりますがね。 〇黒川委員長  そういうことでよろしいでしょうか。確かに野本先生には大変にご迷惑をかけており ますが、そのような取扱をさせていただきたいということでございます。ではそれにつ きましては次回の本専門委員会でも報告をお願いしますということで、その他に事務局 としてどうですか。 〇朝浦室長  特にございません。 〇黒川委員長  予定の時間を30分も過ぎてしまって、皆さんお忙しい先生で予定があったと思うので すが、十分に議論がそれでもし尽くせない部分が一部あるような、消化不良の部分もあ りますが、これはまた文章でご意見をいただくということでまとめさせていただきたい と思います。ありがとうございました。  −終了− 問い合わせ先  厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当  山本(内2361)、木村(内2364)    電 話 (代)03−3503−1711