99/06/23 第9回 地域保健問題検討会議事録    第9回 地域保健問題検討会 議 事 録 厚生省保健医療局 地域保健・健康増進栄養課 日 時 : 平成11年6月23日(水) 10:00〜12:18 場 所 : 厚生省本館7階 特別第1会議室 出席者 : (出席委員)北川座長・生田委員・池田委員・犬塚委員・小倉委員       櫻井委員・鈴木委員・園田委員・高橋委員・竹澤委員 田中委員・中原委員・原 委員・山本委員・米田委員 (欠席委員)磯部委員・衛藤委員・遠藤委員・大倉委員・黒田委員  遠目塚委員・長谷委員 (事務局) 伊藤局長、岩尾地域保健・健康増進栄養課長、平野保健指導官、福島課長 補佐 議事次第: 1.開会 2.議事 (1)地域保健問題検討会報告書(案)について      (2)その他   3.閉会 北川座長  おはようございます。それでは定刻になりましたので、第9回、地域保健問題検討会 を開かせていただきます。  これまで8回にわたってご熱心に議論をいただいてきまして、今日最後の整理をされ たものでよくご審議をいただいて、できれば今日でとりまとめることができればなとい うように考えております。ということでよろしくご協力を賜りたいと思います。  なお、今日は地方衛生研究所全国協議会の会長として大月委員が今までご出席になっ ておられたのですが、委員長の交代で鈴木委員がご出席になりましたのでちょっとご挨 拶をお願いします。 鈴木委員  鈴木でございます。どうぞ宜しくお願いします。 北川座長  どうもありがとうございました。なお、本日は磯部委員、衛藤委員、遠藤委員、大倉 委員、黒田委員、遠目塚委員、鶴見委員、長谷委員の8名の委員がご都合により欠席と の連絡がありました。  それでは今日の資料の確認からお願いします。 岩尾課長  それでは資料でございます。資料1が、当検討会の報告書の最終案ということでお示 ししております。事務局におきまして前回お示しした資料を元に、今までの議論を踏ま えて作成したものでございます。そしてそれと同時に、厚生省関係各課に案を投げさせ ていただきまして、それぞれ厚生科学課、健康政策局、水道環境部計画課、私どものと ころでは結核感染症課、それから医薬安全局、統計情報部の人口動態統計課、老人保健 福祉局、精神保健福祉課と各課から意見をいただきましたので、既にそのような意見取 り込むべきものは取り込みまして修文いたしまして、本日の資料とさせていただきまし た。以上でございます。 北川座長  ありがとうございました。これからご議論はじめていただくわけですが、お手元の資 料では地域保健問題の今の報告書でございます。これに基づいてご議論いただきたいわ けですが、まず全体構成案について、どんどん議論していただきますか、あるいは何か 多少事前に説明をいただけますか。 岩尾課長  それでは各セクションごとに私のほうで読みながら、ここがこう変わったという話で 申し上げていきます。  それではお手元の資料でございます。綴じてございますが、(案)をめくってまず目次 でございます。これは並び方に特に変化はございません。  1ページめくっていただきまして、読まさせていただきます。ここの1ページは、は じめにのところでございます。  本検討会は、公衆衛生審議会総合部会が提示した、「地域保健対策の推進に関する基 本的な指針」の見直しにかかる検討を行うため、平成10年12月から、関係者のヒアリン グを含め、9回にわたる検討会を経てきたところであるが、この度以下のとおり、検討 結果をとりまとめたので、報告する。 1 はじめに  (1)本検討会設置に至る経緯  保健所法の改正により、平成6年6月22日、地域保健法が成立するとともに、同年12 月1日、同法4条1項に基づいて、基本指針が告示され、今日に至っているが、この 間、地域住民への保健対策を実施する上でいくつかの問題点が生じてきた。すなわち:  (1) 基本指針告示後、平成7年1月の阪神・淡路大震災、同年3月の地下鉄サリン事 件、平成8年夏の腸管出血性大腸菌(O157)による集団食中毒事件、平成10年7月の和 歌山市毒物混入カレー事件等のいわゆる健康危機事例が頻発し、行政の健康危機に対す る適切かつ迅速な措置が社会的に強く要請されることになった。しかしながら、健康危 機及び健康危機管理については基本指針に明示的に規定されていない。それでは、都道 府県、保健所、地方衛生研究所、市町村等の保健衛生を担う行政部門は、健康危機に対 し、どのような役割を担う必要があるか。 (2) 基本指針策定時には想定されなかった 介護保険法が平成9年12月に成立し、平成12年度から施行されることとなったが、基本 指針では、社会福祉等の関連施策との連携に関する基本的事項について規定されるにと どまっている。それでは、介護保険制度が施行されるに当たり、地域保健対策の充実と 介護保険制度の円滑かつ適正な運用を実現するために、市町村、都道府県、保健所、市 町村保健センター等の保健衛生を担う部門は、どのような役割を担う必要があるか。  (3) 政令指定都市における保健所の設置について、基本指針では地域の事情を勘案し つつも1行政区1保健所体制が望ましいとしてきた。しかし、昨今の保健所設置の実態 は、1行政区1保健所体制と、1市1保健所体制とに2分されており、基本指針が定め た政令指定都市における保健所設置に関する指針との間に乖離を生じている。かかる保 健所設置の実態を、地方分権の推進及び地方自治の理念に[配慮しつつ、地域保健対策 の専門的・技術的特性を踏まえて]どのように評価するか。基本指針中の政令指定都市 における保健所設置に関する部分について改正すべき点はないか。([配慮…]前回の 議論を踏まえて追加部分)  (4) その他、政令市における適正な地域保健対策の確保のために、保健所等はどのよ うにあるべきかなど、基本指針告示後4年間を経過する中で生じた、社会情勢の変換に 応じた地域保健対策を適切に実施していくために、基本指針全体について見直しすきべ き事項がないかどうか。 などである。これからの問題について公衆衛生審議会総合部会で議論がなされ、地方 分権の流れに配慮しながら、基本指針の見直しを含め、地域保健対策の在り方について 議論する本検討会を設置し、報告を求めることとなった。  (2)検討に当たっての基本的視点  本検討会においては、基本指針の告示後、今日までに生じた前述の問題点の検討に当 たり、以下の基本的視点に留意した。ということで(1)を追加させていただいておりま す。前回の(1)(2)(3)を、それぞれ(2)(3)(4)にずらしております。(1)に入れましたの がそこに書いてございます。  (1) 地域における公衆衛生行政の専門性・技術的特性を踏まえること  地域における公衆衛生行政は、感染症や毒劇物等を原因とする健康危機管理等のよう に、それらの行政需要の性質上、専門的・技術的な対応を必要とされることが多い。  このような事情によれば、国は地方公共団体に対して、地域保健政策上の専門的・技 術的な面における基本的な指針を示すことが必要であり、地方公共団体は、かかる基本 的指針を十分に勘案しながら、それぞれの地方の実情に応じた対策を実施することが必 要である。これを入れております。  (2) 地域保健対策において強化すべき機能を明確にすること  基本指針は、保健所について、地域保健の広域的、専門的、技術的拠点としての機能 を強化すべきであることするなど、保健所、市町村保健センター、地方衛生研究所、地 方公共団体等が地域保健対策において担うべき機能について規定している。本検討会に おける議論を通じて、これらの諸施設でさらに強化すべき機能を明確にする。  (3) 地方分権を推進し、地方自治の理念に適合した地域保健対策とすること  現在、地方分権推進法、地方分権推進委員会による数次にわたる勧告、地方分権推進 計画等に基づき、第145通常国会に地方分権を目的とした地方自治法等一括改正法案が提 出されるなど、地方分権に向けた動きが加速している。このような地方分権が推進され ている動向の中で、国が地域保健対策の内容等について基本的な指針を示す場合には、 それは、地域において、地域の実情に適合し、地域の独自性を反映させた内容の地域保 健対策を講じうる内容のものとすべきであり、地方分権を推進し、地方自治の理念に即 したものとなることが求められている。 (4) 地域保健体制の効率性及び利便性に配慮 すること  地域保健の諸課題を適切に解決するためには、健康危機管理や保健と福祉の連携など の地域保健対策に含まれる分野ごとに、集約化・広域化と個別化・分散化とを適宜行う ことが必要である。すなわち、地域保健対策の適切な運用のためには、地域保健体制の 効率性及び利便性に配慮する必要がある。これが はじめにのところでございます。一 応ここまでにしておきます。 北川座長  それではただ今のところまでに何かお気づきの点がありますか。よろしいですか、そ れでは先へ行ってください。 岩尾課長  2 地域における健康危機管理体制の強化について  (1)現状と問題点  地域の保健衛生サービスに関与する施設としては、保健所、保健センターがまず想起 されるが、その他にも試験研究機能を持つ地方衛生研究所、また、都道府県や市町村の 衛生主管部局も直接、間接に住民の健康に責任を負っている。これらの保健所等の事務 には、健康危機管理に関連するものが多く存在する。 現在、実施されている健康危機管理に関連する業務は以下のとおりである。  まず、事前管理に含まれるものは、  (1) 都道府県健康危機管理指針、対策要領及び予防計画の策定  (2) 感染症発生動向調査  (3) 食品衛生法に基づく飲食店の許認可、監視、指導及び収去検査  (4) 環境衛生関係営業施設、建築物の衛生監視、指導  (5) 飲料水の水質検査  (6) 医療監視  (7) 薬事監視  (8) 救急医療体制の整備  (9) 環境保全 等である。  また、健康危機発生時の事後管理に含まれるものは、  (10) 感染症新法に基づく2次感染の防止等、感染拡大防止のための対応  (11) 食品衛生法に基づく原因物質の特定及び再発防止のための措置  (12) 台風・地震等自然災害時における2次災害の防止活動(防疫活動、避難所       等への訪問等による住民の健康管理等)  (13) 災害、事件発生時における医療の確保のための情報収集及び医療機関に対       する指導  (14) 毒物・劇物の漏洩時における応急措置と再発防止のための指導 等である。  上記のように、現状でも保健所を中心とした健康危機管理はある程度されているが、 昨今、発生した健康危機事例を通し、明らかになった現在の健康危機管理の問題点は、  ・ 健康危機情報の収集体制が十分でないこと  ・ 健康危機発生時に、地方公共団体等の中のどの機関が、健康危機管理において中    核的役割を果たすのかが不明確であること など事前・事後管理体制が十分でないために、健康危機管理上最も重要な初期対応が適 切に行われず、結果として被害を最小限にくい止めることができない場合があったこと などであった。  すなわち、事前管理については、健康危機の予測及び防止、健康危機の解決のために 必要な対応の同定、準備及び計画の策定等、また、事後管理については、被害者の病 状、病因、治療方法及び医療機関等に関する情報の収集、解析、提供など、健康危機発 生後の国民の健康と安全の確保、被害者の救済等についての検討が十分にされていなか ったと思われる。  (2)今後強化すべき基本的事項  国は、の後、従来は、「薬害エイズ事件」と書いておったのですが、厚生省のいろい ろなものを見ると「血液製剤によるHIV事件」という名前になっているそうで、ここ はそのように直してます。  国は、血液製剤によるHIV事件の反省、阪神・淡路大震災、腸管出血性大腸菌 (O157)による食中毒事件等の健康危機事例の経験を基にして、  ・ 厚生省健康危機管理基本指針  ・ 感染症健康危機管理実施要領  ・ 食中毒健康危機管理実施要領  ・ 飲料水健康危機管理実施要領  ・ 医薬品等健康危機管理実施要領 を定めるとともに、地域保健対策関係者に対し、その注意を促してきた。  地方公共団体等の保健衛生部門は、地域で発生した健康危機に対し適切な危機管理の 役割を果たすことになるが、その際に、考慮されるべき基本的事項は次の2点である。  (1) 健康危機管理は迅速かつ適切に行われる必要があり、そのためには、都道府県や 市町村等それぞれのレベルにおける保健衛生部門の役割について、以下に記載するよう に明確化する必要がある。  また、[健康危機情報は一元的に管理・提供することが必要であるから、]健康危機 管理体制としては、広域災害・救急医療情報[システム]等を活用し、健康危機に関す る情報が速やかに保健衛生部門の管理責任者に伝達され、事後管理のための迅速かつ適 切な指示が、責任者から保健衛生部門全体に対して、トップダウン的に伝達されるもの であることが望ましい。([健康危機情報…]前回の議論を踏まえて追加。[システ ム]前回は「体制」であったが現在使用されているということで変更)  そして、地域の保健衛生部門における健康危機管理が迅速かつ適切に行われるために は、とりわけ、地域の保健、医療に精通した管理責任者である保健所長の判断によると ころが大きい。  (2) さらに、健康危機管理を迅速かつ適切に行うためには、健康危機が発生した場合 の危機管理体制等について定めたマニュアルを整備するとともに、その実効性が確保さ れるような施策、すなわち、マニュアルの有効性の検証のための訓練、適切に健康危機 管理を行いうる人材の育成と必要な機器・資材の整備等を行うことが必要である。  (3)地方公共団体等の保健衛生部門の役割  (1) 都道府県(衛生主管部局)の役割  救急医療体制の整備は都道府県の役割である。また、各種の衛生関係の法的権限が都 道府県知事に与えられており、健康危機発生時には関係部局等との調整が求められるこ となどから、都道府県においては衛生主管部局が健康危機管理の中心的な役割を担う必 要がある。  都道府県が特に担うべき事務は、情報の収集・分析・提供及びそれを可能とする体制 の整備、人材の育成、検査分析機器の整備、保健所、医師会・医療機関(特に救命救急 センター、災害拠点病院等の救急医療機関)薬剤師会、[薬局]、教育委員会・学校、 警察・消防、他の地方公共団体の衛生主管部局等の関係機関との連携・調整等である。 ([薬局]追加)  (2) 保健所の役割  従来から、保健所はその管内における健康危機の発生及び拡大の防止など、健康危機 における事前管理に重点を置いた活動を行ってきた。今後、保健所はこれらに加え、健 康危機における患者の治療情報のような患者の生命に関わる情報の収集・提供機能、被 害者に対する適切な医療確保のための支援措置等を強化する必要がある。  また、[都道府県保健所長は、管内の市町村に対して、健康危機管理を適切に行うた めの指導を行う必要がある。]  [さらに、地域の保健医療情報の集約機関として危機発生時に対応できるよう、携帯 電話、オン・コール(自宅当直)体制を整備するなどにより、休日、夜間における健康 危機管理体制の整備を図る必要がある。]([都道府県…][さらに、…]前回の議論 を踏まえ追加)  (3) 地方衛生研究所の機能強化  試験研究機関としての地方衛生研究所については、平成9年3月14日付けの事務次官 通知「地方衛生研究所の機能強化について」により、その機能強化が図られているとこ ろである。地方衛生研究所は腸管出血性大腸菌(O157)による食中毒発生時の迅速な菌 検索、水道の、(ここの文章も正確に書いてあります)水道の給水区域内でのクリプト スポリジウム症発生時における水道水中のクリプトスポリジウムの同定、松本サリン中 毒事件で原因物質を特定したことなど、健康危機に際して保健所が果たす事前管理及び 事後管理を科学的、技術的側面から支援(バックアップ)してきた。地域の健康危機管 理能力を高めるためには、地方衛生研究所の試験研究機能を、次のように一層高めるこ とが必要である。  ・ 地方衛生研究所の施設、機器の整備及び充実はもちろんのこと、調査、研究の充    実、研修の実施等を通じて人材の育成を図ること  ・ 国立試験研究機関と地方衛生研究所間、及び地方衛生研究所相互間の連携体制(    ネットワーク)の構築、大学等による地方衛生研究所の後方支援体制  を整備    すること このあとの文章も、地方衛生研究所の実態などを踏まえまして、ここ    のところを書き換えております。  ・ 単独の地方衛生研究所においては対応できないような健康危機に対する措置とし    て、各ブロック単位で連携し、役割分担を明確にしながら対応すること  ・ 衛生研究所機能が脆弱である政令市において、都道府県衛生研究所が後方支援機    能を発揮できるように連携を強化すること  ・ 保健所と同様に、休日、夜間における適切な対応ができるよう体制を整備するこ    と  (4) 市町村の役割   集団給食施設、上水道施設など、市町村立の施設が健康危機の当事者となった場合 や、市町村保健センター、学校及び教育委員会等において健康危機の発生を最も早く把 握した場合には、市町村は、[水道法等に基づく措置](水道法というのが、23条に市 町村の給水停止等の措置というのが市町村の行為としてあるものですから、保健所長に なんでも言われなくてもこういうができるということを明示的に書かせていただきまし て、水道法に基づく措置という自主的な管理機能を入れております)をとるほか、都道 府県保健所に対して、収集した健康危機情報を速やかに伝達するとともに、都道府県保 健所長の指導を受け、これに基づいた対応をとる必要がある。これは前回の議論を踏ま えたところでございます。  また、市町村は、住民に身近な地方公共団体であるから、住民に対する健康被害予防 のための情報提供に大きな役割を担う必要がある。  (5) 政令市(政令指定都市を含む。)、特別区において特に留意すべき事項   政令市は、健康危機管理を行う上で、保健所等を含む全庁的な連携、役割分担を行 うことはもとより、救急医療及び広域的な健康危機に対する迅速な対応を確保する観点 から、都道府県との連携を十分に図る必要がある。また、健康危機に関連した犯罪を想 定した警察等の関係機関との連携にも配慮する必要がある。さらに、健康危機管理に対 する原因究明に欠くことができない検査[体制](文字の直し)、検査機能の充実強化 や都道府県など他の検査機関との連携が必要である。加うるに、地方衛生研究所未設置 の政令市・特別区は、地方衛生研究所を設置することが望ましい。また、政令市・特別 区と都道府県衛生研究所等との連携の強化等により、その検査、研究機能の確保を図る 必要がある。  2(2)(1)にも述べたが、地域の保健衛生部門における健康危機管理は、地域の保健、 医療に精通した管理責任者である保健所長がトップダウンで判断し、保健衛生部門全体 に対して指揮命令する体制によることが望ましい。これを政令指定都市に当てはめて考 えると、1市1保健所体制の政令指定都市においては、保健所が健康危機管理の中心的 機能を担う必要があるが、それ以外の政令指定都市においては、市の衛生主管部局が健 康危機管理の中心的機能を担う必要がある。  政令指定都市を除く政令市、特別区においても、保健所が1カ所となっているところ がほとんどであり、このような政令市、特別区では、保健所が健康危機管理において中 心的機能を担うことが必要である。保健所と市、区役所の保健衛生主管部局との間の役 割分担を明確にしておく必要がある。  (4)健康危機管理マニュアルの整備及びその実効性の確保  (1) 健康機器管理マニュアルの整備  都道府県等においては、健康危機が実際に生じた場合に備えて、健康危機発生時にお ける事後管理のあり方を定めた健康危機管理マニュアルを普段から作成しておくことが 必要である。健康危機管理マニュアルは、都道府県レベルにおける広域的マニュアルと 地域レベルのマニュアルとを双方整備する必要がある。前者は、都道府県保健衛生部局 が中心となり、後者は2次医療圏を管轄する保健所が中心となって、関係地方公共団体 及び関係部局等と連携をとりながら、整備する必要がある。また、市町村においても、 地域住民の健康不安解消のためには、できる限り整備することが望ましい。[なお、健 康危機管理マニュアルの整備に当たっては、感染症予防計画等の関連する諸計画との整 合性を保つ必要がある。]([なお、…]感染症関係で意見がでて追加)  健康危機管理マニュアルに記載することが望ましい内容は、次のとおりである。 ・ 日常的な健康危機の情報収集体制(探知の方策)の整備  ・ 健康危機発生時の情報収集体制及び対応体制の迅速な確立 ・ 健康危機発生時の連絡先の登録等による連絡体制の整備  ・ 健康危機探知後の関係機関への緊急連絡体制  ・ 日常的な関係機関との連携体制の強化  ・ 健康危機発生時に支援が必要な人たちの情報整備体制の整備  (2) マニュアルの実効性確保のための措置 さらに、健康危機管理マニュアルの実効性を確保するためには、マニュアルに記載さ れた関係機関等の役割等について、関係者が共通の認識を有することが必要である。関 係機関等で健康危機管理のあり方について定期的な会合を持つこと、模擬訓練(シミュ レーション)等を用いてマニュアルによる健康危機管理の有効性の検証を行うことなど が重要である。  ただ、健康危機という事柄の性質上、マニュアルが想定していない事態の発生は避け がたい。地方公共団体等においては、このようなマニュアルに明示的に規定できない態 様の健康危機に対しても適切な事後管理ができるよう、健康危機管理に従事する人材の 育成と、健康危機発生に際し機能を発揮できるような機器・施設の整備を行う必要があ る。  (3) リーダーシップを発揮できる人材の[確保]・育成  健康機器管理においては、前記のように、保健衛生部門における管理責任者のリー ダーシップが要求されており、このため、保健所等の長には、的確なリーダーシップを 発揮しうる人材を確保することが必要となる。そのような人材の確保のためには、知識 付与型研修だけでなく、判断力、実践力を向上させうるような事例演習(ケースメソッ ド)模擬訓練等を用いた研修を行う必要がある。[また、保健所を設置する地方公共団 体は、保健所における医師の複数配置や保健所長の兼務解消に努めることが必要であ る。]([確保]を追加[また、…]前回の議論を踏まえて追加) (5)その他  (1) ボランティア等の協力体制の整備  地方公共団体は、健康危機管理において、ボランティアや他の地方公共団体による協 力を受け入れ、これを活用する体制の整備等を図る必要がある。  (2) 健康危機による被害者及び事後管理従事者に対する精神保健(メンタルヘルス) 対策  健康被害を受けた者やその家族並びに健康危機の事後管理従事者は、心理的ストレス や心的外傷を受けやすく、さらに、その反応が遷延化した心的外傷後ストレス障害(PTS D)に罹患することもあることから、これらに対するケアが必要である。また、健康被害 を端緒とした地域住民の偏見等を原因とする健康危機被害者等に対する差別等が生じる こともあることから、地域住民に対する健康被害及び人権の尊重についての普及啓発活 動が必要である。同時に、これらの活動に関する研修も健康危機管理研修の一環として 行う必要がある。  ここが健康危機管理関係です。 北川座長  ご意見をどうぞ。 池田委員  5ページ(3)の(2)保健所の役割の中の、下から4行目です。ここに指導とあります が、この次に・支援という言葉を入れていただきますと、市町村の主体性を損なうこと なく指導が強化されていくのではないかと思います。「指導・支援」と入れていただけ ればいかがでしょうかと思います。 北川座長  これはかまわないですか。 岩尾課長  構いませんが、ちょっとイメージを確認させていただきたいのは、例えば県の職員が 市に出掛けていくというイメージ、で市の業務を行うというようなイメージですか。 池田委員  場合によってはあり得るだろうと考えたわけです。 岩尾課長  犬塚先生、知恵があれば教えていただきたいのですが、O157の時に、要するに保健所 の方が、発生した町に出掛けていくような時は介入といいますか、どういう支援形態が あったのでしょう。 犬塚委員  具体的には、市町村役場のあるいは市町村保健センターを前線基地としてそこでいろ んな指示をすることはあり得ると、それはですから出掛けていって保健所長の立場でと いうか、保健所の持てる能力をそこで情報収集しながら指示を与えるということはあり 得るということだと思いますが、どういうふうに言ったらいいのでしょうか、出掛けて いってやることはあり得る、保健所におって全てを指示をするという話でなくて、当該 事件の起こったその市町村役場あるいは保健センター等に出掛けていって、直接指導す ることはあり得ると思います。ただ、その事件がある間、ずっとおるというわけではた ぶんないと思います。 高橋委員  関連して「指導」という言葉の法的根拠を教えていただきたいのですが。 福島課長補佐  個別法の例えば感染症新法であれば、保健所長、都道府県知事の権限として規定され ていものがありまして、それは個別法で規定してあるものもあるわけです。それから個 別法がないものに関する指導に関して、明示的な根拠法令というのは、地域保健法で保 健所の事業という形の、非常に包括的な規定による他はないだろうと思っています。 高橋委員  地域保健法にそういう文言があるのですか。 福島課長補佐  「保健所は次に掲げる事項につき、企画調整、指導及びこれなき必要な事業を行う」 ということで、その他地域住民、つまり市町村長という市町村という自治体に対する指 導という明示的なものはございませんが、その地域における保健に関する指導という権 限というか明示的な権限ではないのですが、指導というものは全て入っているというふ うに理解しています。 高橋委員  非常に申し訳ないのですが、いわゆる保健所長がリーダーシップをとるというのは全 く私も異論がないのですが、「指導」という言葉はある意味でかなり法律上重要なニュ アンスを含む概念になってくるので、地域保健法の問題というのは、これ「指導」とい うの国民に対する問題なんじゃないかなと、今ご紹介いただいた部分というのはです ね。そういう意味ではどうなんですか、いわゆる地方公共団体に指導できるという。 北川座長  もっと強いのは「指示」というのどこかにあるかな。 小倉委員  「指示」は強烈だ、言ったとおりにしろということですから。 北川座長  感染症は僕ちょっと読んでないのだけれども。 福島課長補佐  地域保健法の規定は、その第6条の、条文を読みますけれども、「保健所は次に掲げ る事項につき、企画調整及び指導及びこれらに必要な事業を行う」ということで、各1 号から14号ずっと書いてありますが、個別のいろんななんとかに関する事項、まあ衛生 に関する事項等々、例えばエイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防に関する事 項、その他、地域住民の健康の補助及び増進に関する事項というのがあって、第7条 に、保健所は…これはいいですね、第8条は、保健所の援助等で、都道府県の設置する 保健所は、前2条に定められるものの他、所管区域内の市町村の地域保健対策の実施に 対し、市町村相互間の連絡調整を行い、及び市町村の求めに応じ技術的助言、市町村職 員の研修その他必要な援助を行うことができると書いてあります。  それから地域保健法に基づく基本指針の中では、都道府県の設置する保健所の機能強 化…。 高橋委員  こだわりませんが、ちょっとやっぱり「要請」とかいわゆる先ほど言った「支援」と かですね、そういうのであれば別に全然問題ないとおもうのですが、「指導」となりま すとこれはかなり地方自治法にない関与の形態になりますので、かなり法定の根拠がい るんじゃないかと思います。 福島課長補佐  個別法の中で、例えば予防接種法などでは個別法ですと保健所長の指導が…これは指 示ですね。 高橋委員  ここで今いろいろ議論してもしょうがないので、少し検討していただいてそこはお任 せしますので、法的にギイがないようにお任せします。 福島課長補佐  であれば逆に指導という言葉を使わないで、表現する表現は。 高橋委員  今代案を申し上げましたが、「要請」とか「支援」とかではだめなのかと。 岩尾課長  それはこちらで、あとで座長と打ち合わせをさせていただきます。 北川座長  よろしゅうございますか、ではそのようにさせていただきます。他に何かございます か。地方衛生研究所は24時間体制というのがどこかに書いてありましたね。 岩尾課長  6ページの上から6行目です。 北川座長  これは「保健所と同様に、休日、夜間における適切な対応ができるよう体制を整備す ること」と書いてあるのですが、これはどんなイメージだったのでしょうか。例えばオ ン・コール体制をとっているというようなことをイメージしているのか、そのレベルの ことを考えればいいのかどうかということですが。 岩尾課長  ここのところはどうしても過去に起きた話で、我々も作っておるものですから、その 経緯でいったい地方衛生研究所がどういう関与してきたかということを見ますと、例え ば松本サリンのときには、衛生研究所が主体的にでてきて自分のところで分析を行って きたというのがありますが、和歌山のカレー事件のときには土曜日だったということも あって、検体をとっておいて月曜日からやろうかと、それはご存じのように当初食中毒 という想定でしたから、それならばという発想があったのかもしれませんけれど。つま り危機は危機なんですが、異常的な危機と通常の危機という言い方はおかしいのです が、ルーティンワークでないようなものにきちんと対応できる体制というのもとってお くべきなんじゃないかなということで、ちょっと書かせて頂いたのですが、現実にでき るかどうかというとこれは衛研の所長さん新しく来られているので、全部の施設がどう なっているかわかりませんが、東京都なんかたぶん土曜、日曜でもできる体制なんだろ うと思うのですけれど、大分ばらつきがあるんじゃないかなという印象は持っておりま す。  それを私どものほうで、報告書としてきちんとやっぱりそれだけの行政機関なんだと いうことを位置づけさせようというのであれば、このぐらいまで書き込んでもいいのか なというふうに思ったわけでございます。 鈴木委員  東京都ですと土曜、日曜もオン・コール体制は常に持っておりまして、大部分の衛生 研究所はそういう体制はあるようでございますけれども、非常に少ないような場合はち ょっと難しい、ちょっとでてますけれど保健所、政令市なんかの衛生研究所は今まで位 置付けがはっきりしてないこともあって、そのへんはちょっと問題だろうと思います。 北川座長  オン・コール体制のことをイメージしていると、こういうふうに理解すればいいです かね。 岩尾課長  はい。 鈴木委員  6ページの上から4行目、ブロック単位でまとめてということですが、例えばO157な どの場合ですと、それに対する対応ということで都県が連合して一つのグループを作っ て対応しております。そういう場合、非常に効果的だと思うのですが、衛生研究所だけ というふうにいうよりも、もっと自治体同士の連携みたいのを規定しておいていただく とやりやすいのではないかと、今さら言うと申し訳ないかもしれませんが何かそういう 感じがいたします。 北川座長  おっしゃるとおりであると思いますが、自治体全体の話になるとここでそう言えるか どうかとかいう議論になりますかどうか。 岩尾課長  これは高橋先生にも考えていただきたいところではあるのですが、ずっと私ども過去 のこういう事例を見て、例えば堺のO157で、まさに政令市で事件が起きてそして施設あ るいは現場の人数も足りないから応援にといったときに、大阪府にお願いすることはあ っても、大阪市に直接お願いするということがなかなか制度上、制度上といいますか思 想的にいうとかなんですか、やりにくいというか想定してないんですね。ですから自治 体間の連携って都道府県同士、例えば1都6県で何かやりますとかいう話というのはで きるのですが、隣の市とか隣の町同士それもそれぞれオートノミーがはっきりしている ようなところで、「お願いしますよ」という話がどのくらいできるのかというのはまさ に私は地方分権、地方自治との一番の考え方なんだろうと思っているのですけれども、 そういう意味では現実的にあの堺の時というのは、私はそういう話を聞いておりますの で、なかなか隣の人をおいそれとという、声のかけ方というのがどういうふうにやるの かちょっとわからん気がしますが。 北川座長  この地方衛生研究所の連携という議論は、前からいろんなところで議論をさせてきて いるわけですが、これだけ機能分化、専門化が進んでいる中で、全ての研究所が全部同 じ機能を持つということはなかなか難しい。例えばある県の研究所は科学に強いと、あ る県のほうはバクテリアロジーに強いとか、なんかそういう重点化をしながら非常に深 刻な問題が起こった場合には、そういうものが相互に連携をしていければいいのではな いかというような議論を、衛研の所長協議会等でも議論があったやに伺っています。こ こで考えているのは、そこまで明確には言ってないのかもしれませんが、要するに1人 や2人じゃできないから隣も応援するという、数の問題、量の問題という認識ですか ね。 岩尾課長  一応そういう連携は必要なんだということでは5ページの(3)(1)に、都道府県の衛生 主管部局の役割として、第2パラグラフの一番最後に、他の地方公共団体との連絡調整 をしてくださいよというふうに書いてあるので、そういう努力に私どもというか期待し たいというニュアンスで書かせていただいております。 北川座長  隣接する自治体が相互に協力し合うというのは、その上位機関である都道府県が、間 に入りながら相互調整をしていくというのが一般的なやり方であろうということですか ね。  そういうふうに考えていけば、最終的にはそこで担保はできると、もちろん相互に隣 同士のところでSOSを出し合うことは別に差し支えないことであると。そういう考え 方でよろしいですか。 文章上あまり大きな変更を加えることは、この時点になってきてなかなか難しいかも しれません。よろしいですか。それではそれ以外の点について。 それでは次をお願いします。 岩尾課長  それでは8ページ、3、介護保険制度導入に伴う地域保健の役割の明確化について  (1)介護保険制度導入に伴う保健部門の現状  これまでの成人・老人保健対策は、主に老人保健事業を中心として、老人保健福祉計 画に基づいて展開されてきた。具体的には、生活習慣病予防や寝たきり予防等のための 健康診査、健康教育、健康相談、訪問指導等に加え、健康づくり対策及び自主グループ の育成支援等があげられる。特に虚弱老人や痴呆性老人に対しては老人福祉事業等と連 携し、該当者の早期発見、要介護・要医療の重度化防止のための支援を行ってきた。  現在、市町村及び都道府県は、平成12年度から施行される介護保険制度の導入のため の準備を進めており、市町村においては、介護保険制度導入のために、機構改革等が行 われる、保健婦・士等の保健技術職は介護保健事業計画の策定や要介護認定等の業務を 担うようになってきている。しかし、保健婦・士等の増員は十分進捗しておらず、この ような傾向が続くならば、母子保健をはじめとする地域保健対策の推進に支障を来すこ とが危惧される。また、都道府県保健所の介護保険制度の円滑な実施のための取り組み は、基本指針に明示されていないこともあって、[地域によっても異なるが全般的にみ て、]必ずしも活発でない現状にある。([地域…]を追加)  (2)今後強化すべき基本的事項  介護保健事業計画は老人保健福祉計画に内包されるものであり、地域の老人保健事業 もこれと十分に整合性を保って展開する必要がある。また、介護保険制度導入に伴い、 保険部門において、取組を強化する必要がある基本的事項は次の(1)〜(3)のとおりであ るが、介護保険制度の実際の運用状況に応じて、弾力的な運用が図られることが必要で ある。  (1)は、前回の議論を踏まえて文章を直しております。地域における成人・老人保健対 策の展開に当たっては、あらゆる健康レベルにある高齢者の生涯を通じた健康づくり対 策を強化すること及び要介護状態になることの予防対策・自立支援対策を強化すること (前回は、健康者をより健康にと書いていた)  (2) 要介護者、要支援者を含め、何らかの支援を必要とする高齢者を早期に発見し、 必要なサービスを提供する体制の構築や、高齢者の新たないわゆるニーズを把握し、不 足するサービスを開発するなど、高齢者住民を対象とした地域ケアシステムづくりを推 進すること  (3) 介護保険サービス事業者の質を確保するための調査・指導、要介護認定等に係る 人材の育成のための研修及び情報提供(普及啓発)等を含めた保健、医療、福祉サービ スの質の確保、向上を図るための活動を強化すること (3)地方公共団体等保険部門の役割   地方公共団体等の保険部門が介護保険制度の適切な運用に関連して担うべき役割り としては、次のようなものが考えられる。  (1) 市町村保健部門の役割  市町村保健部門は、介護保険制度導入に伴い、次の点を特に強化する必要がある。  ・ 市町村老人保健福祉計画の見直し  ・ あらゆる健康レベルにある高齢者の、生涯を通じた健康づくり対策の強化と要介    護状態になることの予防・自立支援対策の強化(文章を直す)  ・ 要介護・要支援の認定がなされなかった高齢者に対する支援  ・ 介護保険給付対象とならない[保健、医療](順番を入れ替え)及び福祉サービ    スの調査等は、介護保険給付等サービスの対象外となった高齢者に対してはもち    ろんのこと、介護保険給付等サービスが提供される高齢者に対しても行う  ・ ケアを必要とする住民を対象とした地域ケアシステムづくりの推進等また、介護    保険制度の適切な運用のために、介護保健部門との連携を密にとり、介護保健事    業と保健事業とを有機的、連続的に運用することが必要である。そのため、次に    掲げるような事業に対して関与することが望まれる。  ・ 市町村介護保険事業計画の策定  ・ 介護サービス事業者間や居宅介護支援事業者間の組織的な連携・調整  ・ 介護保険制度の仕組み等の介護情報の提供等  ・ 介護保険事業における保健福祉事業の企画  (2) 都道府県保健所の役割  都道府県保健所は、管内の市町村が介護保険制度を円滑に実施することができるよう に支援を行い、以下に例示したような役割を担う。  ・ 市町村老人保健福祉計画及び介護保険事業計画の策定及び推進に対する支援  ・ 都道府県介護保険事業支援計画策定に対する参画  ・ サービス資源等についての市町村間の広域的調整及び開発  ・ 保健医療福祉情報の収集、分析、提供    (以下3つの・について、言葉を変える)  ・ 介護認定審査会に対する技術的協力・援助  ・ 介護認定審査会委員に対する研修  ・ 市町村職員及び介護認定調査員等の介護保険事業従事者等に対する研修  ・ 事業者に対する設置基準等の指導、助言等によるサービスの質の確保  ・ 精神障害者及び難病患者等に対するサービスの供給等に関する総合調整(ケア    コーディネーション)の専門的、技術的機能の強化(言葉の順番を変えてい    る。)  ・ 小規模町村に対する支援等  (3) 政令市、特別区の保健部門の役割   政令市、特別区は、保健所を有する地方公共団体であると同時に介護保険制度の保 険者であることから、市町村の保健部門の役割に加え、都道府県保健所の役割のうち次 の活動を行う。  ・ 保健医療福祉情報の収集、分析、提供  ・ 市・区役所職員、介護保険事業従事者等に対する研修等による人材の資質の向上  ・ 事業者に対する設置基準等の指導、助言等によるサービスの質の確保  ・ 精神障害者及び難病患者等に対するサービスの提供等に関する総合調整(ケア     コーディネーション等)の専門的、技術的機能の強化  (4) 都道府県本庁の保健部門の役割  介護保険制度が円滑に運用されるためには、都道府県本庁内の関連連部門あるいは諸 関係団体との連携が十分に行われ、各都道府県全域下の保健・医療、福祉サービスが一 体的に展開されることが必要である。そのため、都道府県本庁の保健部門は、次の役割 を担う必要がある。  ・ 都道府県老人保健福祉計画の見直し  ・ 保健医療サービスの供給に関する調整  ・ 保健医療サービスに関する情報の収集提供  また、都道府県本庁の介護保険制度における役割は、次に掲げるようなものである が、都道府県本庁の保健部門も、介護保険制度の円滑な運用のために、これらの事務に 対して関与することが望ましい。  ・ 都道府県介護保険事業支援計画の策定及び計画推進・評価への参画  ・ 介護関連の人材確保計画の策定  ・ 介護支援専門員の研修  ・ 国民健康保険団体連合会や職能団体との連携・調査等 (4)市町村及び都道府県における人材確保  市町村及び都道府県は、保健事業に従事する保健婦等の確保について、国が情報提供 した「保健婦の配置の目安」を参考として保健婦・士等の整備計画を策定し、これに基 づき人材の確保を図ってきているところである。今後、保健事業の強化及び保健事業と 介護保険事業との一体的な運営のために、[従来にも増して、人材の確保及び活用、特 に保健婦・士、管理栄養士等の地域保健対策に従事する保健技術職を計画的に確保する とともに、歯科衛生士等の地域の人材を有効に活用することにより、地域保健対策の推 進に支障を来すことがないように配慮することなとが必要となる。]([従来…]文章 を変更)  ここが介護保険関係です。 北川座長  何かお気づきの点があればどうぞ。 米田委員  11ページの(4)3行目「保健婦の配置の目安」があるのですが、これはいつの基準で、 これからの介護保険導入を睨んでどのような形に何か変えるお気持ちがあるのか、そこ らへんの情報を提供していただきたいと思います。 平野指導官  この文章の中に書きましたのは、平成11年度における「保健婦の配置の目安」という ものですので、丁寧にはそのように書いたほうが良かったかと思います。今後に関して は、12年度以降できるだけ早くこの先、何年間ぐらいのものが今考えられるかも関係各 課と調整中ですが、そのあたりと調整したところで目安を出せる方向で今準備を進め て、あるいは厚生科学研究の中で、少し基礎情報の整理等をお願いしているところで す。 竹澤委員  9ページの(1)市町村の保健部門の役割のところで、後段部分ですが、介護保険制度と の連携、関与することが望まれるということで3つ目の・ですが、市町村の保健部門と いうのは、これからいろいろ介護保険が始まった場合に相談業務というのがかなりでて くると思いますので、介護情報の提供とも合わせて相談という部分も付け加えていただ いたらいかがかと思います。 平野指導官  入れ込むことについて、介護保険制度管理室と調整し、できるだけ入れるように整理 したいと思います。 北川座長  9ページの(2)の中に、例えば介護認定審査会に対する技術的協力・援助とか、委員に 対する研修とか、こういうのは介護の部局とは一応すり合わせは済んでいると考えてい いわけですか。 平野指導官  はい、いたしました。 犬塚委員  11ページ(4)人材の確保のところで、「保健婦・士、管理栄養士等の地域保健対策に従 事する保健技術職を計画的に確保するとともに、歯科衛生士等の地域の人材を有効に活 用する」という、こういう表現だと歯科衛生士は、行政は確保せずに在宅の歯科衛生士 を活用するというふうに読めてしまうのですが、自分としてはやっぱり歯科保健対策の 基本的なところを、歯科医師会等と連携調整しながら企画案を作っていく職種として、 歯科衛生士を行政に確保したいという気持ちがあるものですから、これを前のほうに入 れていただいて、確保するとともに地域の人材を有効に活用とそれだけで十分だと思い ますので、並列で「保健婦・士、管理栄養士、歯科衛生士等」と前にもっていっていた だいたほうがいいのではないかと思います。 岩尾課長  私どもの仕分けといいますか、「確保」という言葉と「活用」という言葉をどう使い 分けているかというのですが、「確保」というのは雇えという意味でして、「活用」と いうのはその職能が必要だから十分使って下さいという形なんで、米田さんがおられま すけれども、どこまでその職員として雇えるかというところの言い方が非常に難しいの かなと。それはおっしゃる通りで、歯科予防の観点からは歯科衛生士さんというのはず っといたほうがいいわけで、だからじゃあその職能を常勤で雇うのですかどうですかと いう話と対策との間には、ちょっとあれがあるかなという、あまりはっきり私もいいに くいところなんですが。 犬塚委員  そういう意味で、保健所で仕事をしている立場からしてみると、特に今、市に派遣さ れて今年から豊田市も歯科衛生士を採用したのですけれども、ぜひこれは今後進めてい きたいという希望がありまして、敢えて確保のほうに入れていただいたほうがいいので はないかという発言をした次第です。 岩尾課長  今ある基本指針、この報告書を受けて基本指針を見直すという発想ですが、今の基本 指針には、人材の確保のところで継続的な確保に努めるということに例示をされている のが保健婦・士、栄養士等の職員。それから都道府県は医師をはじめ保健婦・士等、専 門技術職員という書き方になってて、これは確保に努めろですね。  それから市町村はというタイトルででているところに、市町村は、医師、歯科医師、 薬剤師、助産婦、看護婦、看護士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、社会福祉 士、介護福祉士等の地域における人的資源を最大限に活用することと。このため地域の 医師会等の支援を得ることというような形で書かれておりまして、主体が「市町村は」 ということで活用しろという文章が一つです。  それから市町村は、将来的な事業の見通しの下に保健婦・士、栄養士等の職員の計画 的な確保を推進しろという書き方で、ちょっとそこに線が引かれている書き方に前回な っています。ですから主体を、これは市町村及び都道府県における人材確保ということ で、今回11ページの(4)は、市町村と都道府県を一緒に書いてますから、委員がおっし ゃるように渾然一体ととりあえずは書いておく手もあるのかなというふうに思いますの で、お気持ちはわかります。 北川座長  これ私も意見を言いたいのですが、ここに今3つの職種だけ書いてあるのですが、岩 尾課長の読まれた中に理学療法士、作業療法士が入っていますね。今もう実体的には市 町村に相当数入っているのです。そういうことをどう整理をしていくかというのは、な かなか表現の仕方というのも難しいかもしれません。 岩尾課長  そうしたら、「従来にも増して、人材の確保に努めろ」ということで、例示をやめて しまう。 北川座長  これ整理するとずらずらと職種を書いて、人材の確保という言い方と、それから今こ の原案にあるように、多少ニュアンスが違った表現の仕方とをどうするかということで すね。 米田委員  お尋ねですが、保健事業第4次計画策定のなかでここらとの整合性はどのように捕ら えたらよいでしょうか。 平野指導官  その平成12年以降の目安については、老人保健課が作成される第4次老人保健計画を 基調にして行うように考えております。 米田委員  その4次については、かなりここらへんの部分というのは具体的なものとしては、例 えば県、市町村の役割的なものもでてくるという観点でよろしいのですか。 平野指導官  老人保健に関しては、市町村が中心にはなるかと思います。 北川座長  この問題は、全体の話ではなくて介護保険に関連しての話なんですね。それで介護保 険で今どういうことが起こっているかというと、保健部門にいる保健婦さんをちょっと 今こっちが忙しいから介護のほうを手伝ってくれやと言って、そのまま引っ張っちまっ て、本業のほうが穴が空いているじゃないかという、そういう心配の議論からはじまっ たことです。だからそういうニュアンスが残るようにしておいたほうがいいのではない のなかと思いますけれど、いかがでしょうか。  これヘルスに関する全体の人材問題については、最後のところででてきますかね。 平野指導官  15ページの7その他の(4)(5)において、指摘された事項ということでは位置付けてあ ります。 北川座長  それで話は飛びますけれども、今の7のその他のところで、ここに残されたことはま た改めて土俵づくりをしましょうという、そういう意図はあるんでしょう。 岩尾課長  6に考慮すべき事項ということで、3つ書かせていただいております。これは、ちょ っと考えましょうということで、7は先生方からのご意見を、こういうご意見があった ということで聞いておりますが、若干おっしゃるように中長期的な課題というニュアン スで整理させていただいてます。 生田委員  ここの人材確保の件につきましては、今北川座長さんからもおっしゃっていただいた ように、私もこれまでの議論を踏まえて、また示されている報告案の中の3の(1)のとこ ろに、導入に伴う保健部門の現状ということでも、こういう実情の中で、保健婦・士の 問題が取り上げられているということで、その流れの中で整理されてきているところを 評価してここを読ませていただいたということで、今回のこの報告につきましては、職 種に対しての例示を挙げないで整理するということについては、反対したいと思いま す。やはり、この介護保険がらみで必要な職種として保健婦・士の確保と是非書いてい ただければと思っております。  結論としては、今書いてある形でお願いできればと思っております。付け加えて、そ の他で指摘された事項のところにでている人材確保の配置に対する方策とか、あるいは この15ページ(5)の保健婦・士及びその他の職種についての、業務内容,業務量を勘案し た活動指標に関する情報提供の強化といったことについては、本報告を終えたあとで、 近い将来に、改めた検討をしていただければ大変ありがたいと考えております。 北川座長  この問題、深入りすると何か空中分解しそうだから犬塚先生どうですか。 犬塚委員  職種の例示を抜くなら抜くですっきりするなという、全体の話でなくて介護保険の話 だということであれば、ずっと保健婦・士の話をしてますので、敢えてここで再度また 書かなくてもいいのかなということで、先ほど逆に提案があったいっそ全部抜いて、 「従来にも増して、人材の確保及び活用を図る」というだけで済ましてもいいのかな と。職種の例示をやめてもいいのではないかという気もします。 池田委員  私は、この(4)の歯科衛生士等というここのところで、歯科衛生士ということの例示が 人材活用というところに位置付けてしまうのですね、ここに明記することで、逆にここ の歯科衛生士等の部分がなければ、そこの自治体で前段の管理栄養士等の等の中に含め て必要と考えれば設置できることなんで、後ろのほうの歯科衛生士等だけはなくてもい いのでは、却ってないほうがよろしいのでないかと思うのですが。 櫻井委員  今課長さんが言った「確保」と「活用」を使い分けるのだったら、確保及び活用と書 くからいけないので、確保あるいは活用と書けば、全部並べておいて、確保あるいは活 用に配慮しろといえば、「あるいは」だから確保したければ確保するし、活用したけれ ば活用すればいいのだから、andでなくorにしておけばいいのでしょう。 北川座長  これは、事務局で歯科衛生士がでてきたのは何か背景があったのでしたか。 岩尾課長  これを受けて、我々指針を見直すことになると思いまして、指針を見ていたときに、 先ほど言いました市町村にやりなさいといっているモノの書き方として、確保の部分と いうのが、市町村のは保健婦・士、栄養士等が確保で、市町村が最大限に活用しろとい う例示の中に、医師、歯科医師、薬剤師云々というのが入ってて、たまたま歯科衛生士 をここに書いてしまったというだけです。  すみません、これはいろいろお話を投げたときに、歯科医師会のほうからご意見をい ただいたということでございます。 犬塚委員  今日は歯科医師会の方が見えてないから。 平野指導官  市町村、都道府県において確保あるいは活用でどちらでもということですが、一応 「確保」となっているものにおいて、国の責任としてはそれは地方交付税で担保すると いう整理でして、今の現状の職種としては医師、保健婦、栄養士が自治省に要求してき ています。 北川座長  たまたまここに歯科医師会からの発言があったために、歯科衛生士が入ってい るけれども、それでは入ってない職種のことはいったい誰が考えているんだという議論 になりますから、マンパワーの問題というのは、もうちょっときちんと仕切をして現状 どうであるかとか、将来の必要度がどうだとかそういうことも考えた上で議論していく べきことであって、ここでただ職名を書いておけばいいという性質のものでもないよう にも思うのです。  後ろへ、もう少しマンパワーの問題は引っ張るような格好で最後の締めくくりのとこ ろに一言入れておいて、それを契機にしてもう一度議論してもらうというようなことが できたほうがいいように思います。 岩尾課長 それでは座長と相談させていただくことにいたしまして、今言った個別の職能、専 門、技術職員の問題というのが15ページ、7のその他(4)(5)に書いてますが、このへん に例えば明示して、将来の課題にきちんと入れておくというような処置を検討するとい うことで、ここについてはあくまでも介護の中の話だから敢えて職能は明示しないとい うことで処理させていただくというのを、のちほど座長と相談したいと思っており ます。 櫻井委員  前の部分はそれまでは介護との関連を言っていたのだけれど、むしろこの(4)の部分 介、護保険が入って介護保険のほうへ人をとられてしまうから、保健のほうの人員の確 保をしっかりしなさいよと言っているのですね。介護保険についてなんとかしろと言っ ているのではないですね。こういう人たちが介護保険の何かをしろというのでなく、介 護保険が入るけれど従来の保健事業をきちっとやれるようにどうしろと言っているだけ ですね。この大きな3の中で言っているのは、そうでない部分があるんですよ、介護保 険との関連をどうしろとかそっちに関与しなさいとか言っているのだけれど、この(4) はそういうことを言っているのではないですね。 北川座長  そうだと思いますけれども、ですから? 櫻井委員  ですから、逆に言えば本当はここには要らないか、あるいはそういうことをはっきり 言えばいい。 北川座長  そういうことをはっきり言うべきではないかと。 櫻井委員  あるいはこれは介護保険の中の問題じゃないのですね、むしろ介護保険の外の保健事 業の問題を言っているのですね。 北川座長  介護保険に関連して、保健部門のマンパワーが引き抜かれてしまっていると。 櫻井委員  だから保健事業の部分をしっかりしなさいと言っているのであって、介護保険のこと にどう関与しなさいとか言っているのではないですね。 北川座長  関与ではないですね。 櫻井委員  本当は3は、介護保険に伴う役割というのだから、介護保険との絡みで言っているの だけれど、取られないように絡まない部分をしっかりしろと言っているのでしょ。だか らちょっとこの(4)はおかしいといえばおかしいのだと思います。 平野指導官  この(4)のところの3行目のところに、今後保健事業の強化及び保健事業と介護保険事 業の一体的な運営のためにと、目的は必ずしも保健のことだけではないということを、 ここでは一応前段で両事業、有機的、連続的な展開ができるために双方事業についても 参画したり、協力する必要性があるということを述べてますので、ここに1行入ってい るわけです。 米田委員  (4)のこの「従来にも増して、人材の確保及び活用、特に保健婦・士、管理栄養士等の 地域保健対策…計画的に確保するとともに」これは生かしておいてください。その部分 は一番重要な部分だと思っています。 北川座長  だから全般はやっぱり大事なんですね。それでそれ以外の職種については、抜本的に というか、もう少し継続的にきちんと議論をしてみるという整理の仕方でいかがでしょ うか。  それで議論があればいくらでも構わないですが、この委員会でリポートしたものを今 度は公衆衛生審議会の総括部会ですか、で、この問題を継続的にさらにまた議論はでき るわけですね。 岩尾課長  今日、一応これでいただきましたらば総合部会のほうから指示されてこの検討会が作 られたという経緯でございますので、そちらにご報告いたします。その中で、ここへ残 った問題どうするのだとか、こうせいということであればまた新たにアクションを起こ すということになるかもしれません。 田中委員  結論がでているようなところで発言するのは失礼ですが、今の今日は町村会の代表大 倉委員がでてませんので私ちょっと関連しますので代弁みたいな形になるかと思います が、先ほどの人材確保のところですが、それで基本的に私はこの書き込みは非常に重要 だと思っております。座長がおっしゃいましたいわゆる全体的な見直しの中で、危機管 理体制を含めた全体の見直しの中で、保健婦さんの役割も強化されますので、市町村に おいても、そういった増員対策が必要だと思いますけれども、ここで言われているのは まさに先ほどから皆さんおっしゃってますように、介護保険導入に伴って、やはり保健 婦がマンパワーとして不足するのではないかということが主たる話題だったと思い ます。  そういうことですので、ここで書き込むとすればあまりいろんな職種を書き込まない で、やっぱり保健婦に限定されて書き込まれるまで、全体の人材の確保に関しては、全 体的に人材の確保のところで書き込まれてはいかがかなという感じがします。 櫻井委員  何か折衷案みたいになってしまいますが、歯科衛生士だけ1つ書いてあるからだめな んでしょ、活用するほうの職種をあと2つぐらい並べればどうですか。なんとかなんと か歯科衛生士等の地域の人材を有効に…とすれば収まるのですね。つまり確保する職種 はここに書いておいて、活用する職種をあと2つぐらい入れればそれでいいのでしょ。 犬塚委員  それではまずいです。歯科衛生士も確保したいなという意向がある程度あるもので、 そのへんがちょっと向こうと違うのです。 櫻井委員  そうなんですか。それではダメですね。 犬塚委員  ですからいっそのこと例示をやめたほうがと。 北川座長  それでは全般については、皆さんこれはやっぱり書いておかないと、せっかく交付税 で措置をしながら実際には現場でそれが具体化されてないというようなことに対して、 やっぱり援護射撃をするという趣旨ですから、これは残しておくと。それ以下の活用の 部分については、もっと職種を並べるのかあるいは次のチャンスに委ねるのか、そこの ところは一つ座長にお預けをいただいて、総括部会での議論に問題提起だけをすると、 そういう扱いでよろしいですか。 一同 はい。 北川座長  ありがとうございました。それではそのようにさせていただきます。 櫻井委員  歯科医師会がいないところで抜いて構わないのか僕はわからないけれど、さっきみた いな趣旨があるとすれば歯科医師会がいないところで抜くと、後でまた揉めるのではな いですか。 北川座長  そこは趣旨を十分に説明をしておいたほうがいいと思います。  それでは介護の問題はそれくらいにしまして、次に進んで下さい。 岩尾課長  11ページの4、政令市・特別区の保健衛生部門の運営について  (1)政令市・特別区における保健衛生部門の現状  基本指針では、政令市・特別区が設置する保健所について、市町村保健センター等の 保健活動の拠点及び福祉部局との有機的な連携の下に、企画調整機能をはじめとする、 その機能の強化を図ることと定めている。しかしながら、政令市・特別区における保健 所と市町村保健センターの役割分担や組織的な関係の現状は極めて多様である。例え ば、保健所が市町村保健センターを統括している体制もあれば、保健所と市町村保健セ ンターが同等で並立している自治体もある。  保健所が市町村保健センターを統括している体制においては、保健所が保健事業全般 の企画機能を発揮し、保健所と市町村保健センターにおいて保健事業を一体的に提供で きる。すなわち、政令市制度を推進する基本指針の趣旨に沿った保健衛生部門の運営が なされている。一方、保健所が市町村保健センターを統括していない体制においては、 保健事業を一体的に提供するという政令市制度の利点を発揮できない場合がある。  (2)政令市制度の意義及び課題  政令市制度においては、地域の特性に応じた保健行政の展開や保健と福祉との連携が 可能である。例えば、市町村の業務とされている保健事業と都道府県の業務とされてい る保健事業との一元的提供が可能になるし、保健福祉サービスの総合的提供が可能とな るという意義がある。しかしながら、一方では、2次医療圏の一部を構成する市が政令 市指定を受けることにより、当該2次医療圏内の他の地方公共団体との一体的な保健、 医療、福祉システムの構築が困難になることがある。  また、政令市においては、技術系職種、特に医師等少数職種を中心とした人事の停 滞、技術職の確保及び現任教育体制の整備が困難となるという問題がある。さらに、健 康危機管理、特に、救急医療体制の確保、健康危機の原因究明のための検査など、事後 管理において十分な対応が困難となる場合がある。  加えて、都道府県知事の権限業務のうち、政令市の長に委譲されていないものについ ての住民サービスの問題がある。特に、許認可関連の事務についての都道府県の申請窓 口が保健所と異なる場所に設置されている場合や、政令市保健所が経由事務を担当して いるものの、事務処理に、政令市移行以前りも時間を要する場合があり、結果として住 民の利便性が損なわれているといえる。  (3)政令市の保健衛生部門の運営において留意すべき事項  政令市は、前述した健康危機管理に対応すること以外の保健衛生部門の運営につい て、以下の点を考慮に入れて行う必要がある。  政令市は、本庁の保健衛生部門と保健所の機能分担を明確にすべきである。基本指針 にあるように、保健所を地域保健行政に対する総合的な企画機能を有する機関として位 置づけ、保健所に市町村保健センターで実施する保健事業の企画、立案、予算編成等に ついての権限を付与するなどすれば、これにより、地域住民のいわゆるニーズに合致し た施策が展開されるものと思われる。  政令市の抱える課題を解消するためには、政令市を含む都道府県とともに、次の点に おける広域的連携を強化する必要がある。  ・ 都道府県と政令市との人事交流による専門技術者の確保及びその資質の向上  ・ 都道府県保健所、都道府県衛生研究所と政令市保健所との十分な連携  ・ 政令市と周辺地方公共団体との一体的な保健医療体制構築のための広域的調整と    いうことで、ここは前回と変わっておりません。 北川座長  4についてお気づきの点がありますか。ここのところは問題提起にとどまっていると いうわけですね。 小倉委員  これはただ表現だけの問題ですが、政令市・特別区の4のところに、法律の言葉だか らでるのでしょうか、「市町村保健センター」という言葉がしばしば出てくるのです が。 北川座長  それは検討の上、整理をしておいていただければいいですね、できるものならばと。 鈴木委員  6ページ(5)7行目に、政令市が衛生研究所を設置することが望ましいと非常に画期的 なことが書いてあるのですが、それに対応することがこちらでなくていいのでしょう か。今までは衛生研究所といいますと、都道府県と指定都市の衛生研究所しか国は相手 にしていないというふうに皆さん思っているのですけれども、ここではっきり方向が変 わったというふうに考えられるのですが、こちらにも何か書いておかなくてよろしいで しょうか。 北川座長  事務局のほう何かありますか。 福島課長補佐  12ページの(3)2行目ですが、前述した健康危機管理に対応すること以外の保健衛生部 門の運営についてということで、文章上の重複を避けるために危機管理のことについて は、既に前のところで整理済みということで書いているつもりです。 鈴木委員  わかりました。 北川座長  4については以上でよろしいですか、それでは次の5番お願いします。 岩尾課長  12ページ5、政令指定都市における保健衛生部門の運営について  (1)政令指定都市における保健衛生部門の運営の現状  基本指針は、政令指定都市の保健所について、「従来おおむね行政区単位に設置され てきたことに配慮しながら、都道府県の設置する保健所との均衡及び政令市の人口要件 を勘案し、地域の特性を踏まえつつ、設置することが望ましいこと」としていた。しか しながら、政令指定都市における保健所の昨今の設置状況は、1市1保健所か1行政区 1保健所かのいずれかに2分されてきている。  1市1保健所体制をとる政令指定都市の場合、各行政区に市町村保健センターを設置 した上で、市町村保健センター職員に保健所職員の兼務発令を行ったり、各行政区に保 健所支所を設置している。すなわち、保健所が統合されても対人保健サービスや対物保 健サービスのうち許認可の申請受付等については各行政区単位で実施し、住民の利便性 が低下しないようにしている。  政令指定都市が、1行政区1保健所又は1市1保健所のどちらの方式を採用しても、 住民が各行政区において受けることができるサービスの公平性は確保されるべきであ る。したがって、総合的な保健福祉等サービスの展開等を図る際には、行政区を単位と したサービス拠点(保健所又は市町村保健センター)の整備が前提となる。 (2)1行政区1保健所体制の意義及び課題  政令指定都市が1行政区1保健所体制を採用した場合  ・ 対人保健分野と対物保健分野とが協同したサービス提供や、行政区を単位とした    地域ケアシステムづくりが容易になる  ・ 各行政区ごとの実情に応じたきめ細かなサービスの提供が可能となるといった意    義がある。  反面、この場合には、  ・ 発生頻度の少ない業務に関する専門性の確保が困難になる  ・ 全市的あるいは複数の行政区にまたがる健康危機の発生時に、迅速かつ集中的な    対応が困難となる といった問題点があり、また、  ・ 予算編成等を含めた企画機能の強化が図りにくくなる  ・ 保健所が行政区の保健衛生部門に実質的に組み込まれた場合には、政令指定都市    本庁の衛生主管部局との指揮命令系統の整理が必要となる といった課題を生じる。  (3)1市1保健所体制の意義及び課題  政令指定都市が1市1保健所体制を採用している場合には、  ・ 発生頻度の少ない業務の集約化により、それらの業務についての専門性の確保が    容易であること  ・ 市全域に対する統一的な監視指導等により専門性と効率性の向上が図りやすいこ    と  ・ 保健情報の一元的管理が容易であること 等の利点が挙げられ、これらに伴い  ・ 企画機能の強化が図りやすいこと  ・ 市全域を単位とした保健医療福祉体制の整備が相対的に容易になること  ・ 技術職員の効率的研修が容易になること 等の意義がある。  他方、保健所長の許認可に関する窓口が市全域で1カ所になる場合には、保健所長の 権限業務に関する住民の利便性が低下するとともに、業務の集約化に伴う業務量の増大 により保健サービスの低下するおそれがある。また、そもそも、各行政区に市町村保健 センターが設置されて、保健所が対人保健サービスと対物保健サービスとを一体的に提 供しない場合には、相互の情報交換や連携した施策展開が図られにくくなるなど地域保 健対策の総合性が保障されなくなるというおそれがある。  (4)政令指定都市の保健衛生部門の運営において留意すべき事項  政令指定都市には、他の市町村に比較して、一般に保健、医療(順番が逆になってい るので直す)、福祉についての社会資源が豊富に存在していることから、政令指定都市 は、これらの社会資源を活用して、市全域において、住民のいわゆるニーズを充足する 保健サービスを提供し、地域保健の機能を十分に発揮するとともに、地域の特性ないし 実情を踏まえた地域保健対策を推進することができるよう、保健所を設置する必要があ る。  そして、政令指定都市は、今後とも、地域の特性ないし実情を踏まえつつ、行政区単 位または市単位などにより、保健所を設置するものと予想されるが、その場合には、政 令指定都市は、次の事項に留意して、保健衛生部門の運営を行う必要がある。[なお、 1市1保健所体制をとる市は、基本指針告示後に増加してきている。その意義と課題に ついては、上記(3)に整理したが、さらに検討を継続して、この体制による地域保健行政 の効率性と住民にとっての利便性等について、住民の視点からの評価を明らかにする必 要がある。] ([なお、…]前回の議論を踏まえて追加) (1) 1市1保健所体制を採用する場合  身近な行政区において提供される方が良いサービスと広域的に提供される方が良い サービスとを整理区分し、その上で、各行政区における保健サービスの提供拠点と許認 可等保健所長の権限業務に関する各行政区における提供拠点を整備し、それらの相互の 情報交換や連携による施策展開を図る必要がある。  [また、保健所は、地域保健の専門的・技術的機関としての特長を発揮し、保健セン ターに対する指導、企画、調整機能をさらに発揮することができるように、保健所と保 健センターの関係、役割の明確化を図る必要がある。]([…]前回の議論を踏まえて 追加)  (2) 1行政区1保健所体制を採用する場合   保健所の企画機能の強化、健康危機管理業務等の専門的サービス提供機能の強化に 特に留意する必要がある。また、市全域にわたる健康危機管理を適切に行うために、市 全域を対象にした情報集約機能や各行政区相互の情報交換及び連携の確保が必要であ る。  以上でございます。 北川座長  5について、お気づきの点がありましたらどうぞ。小倉委員がだいぶ心配していた点 は大丈夫ですか。 小倉委員  今後引き続き検討するという表現で、加えていただいたので、とりあえずは結構で す。ただ、もっと基本的にはやっぱり保健所の持っている基本的な機能、それが果たし て十分果たせるかどうかという立場、そういう立場から検討するという、住民の利便性 というよりも、それもとても大事なことですが、たぶんそういうことも含まれてて今後 継続してということ取らせていただいて。 北川座長  その保健所機能というのは例えばどんなこと。 小倉委員  いわゆる健康上のナショナルミニマムを保障するという、そういう役割を果たすため にはどれぐらいな規模が適当なのかというようなこと。例ば100万がいいのか30万がいい のか、というような人口サイズの問題。住民の利便性ということも非常に大事だと思う のですが、例えば監視業務の対象施設あるいは結核患者、難病患者や精神障害者、エイ ズ患者等の発生数は必ず人口に比例すると思いますので、どれぐらいが適当かというよ うな、これそういうことも含んで引き続いて検討するという具合に私は理解をして、入 れていただいたことで大変ありがたく思っております。 櫻井委員  (2)(3)のところは、1行政区1保健所が先に書いてあって、(4)の(1)(2)はそれがひっ くり返っている。順番の問題ですけれど、何か意味があるのか、なければ順番揃えても らった方が読んでいくのに読みやすいような気がします。 北川座長  おっしゃるとおりで、それは整理していただけますね。 岩尾課長  はい。 中原委員  14ページ(4)の本文の3行目に「いわゆるニーズ」という言葉がでてくるのですが、い わゆるニーズという言葉を使ってしまうと、またいろんな議論を呼びますので「いわゆ る」を取ったほうがよろしいのではないでしょうか。 岩尾課長  実は、私もさっきから読んでいて、ニーズの前に全部今回「いわゆる」が入っている のです、読みにくいなとおもっているのでけれども、これはたぶんカタカナを使うなと 言われているので、それでそれを使うときには何か明示しなければいかんと。だから ニーズに代わる言葉で全部置き換えるならそれもよし、と思っていますが。 中原委員  今の理屈はよくわかるのですが、「いわゆるニーズ」という言葉を使ってしまうと、 ニーズでないけれどもニーズと主張するからしょうがないニーズと認めているという意 味で、つまりデマンド論になっちゃうので、やはり「いわゆる」をそういう意味に使っ たつもりでも、言葉の意味は全く変わってきますので、そうするとカッコしてニーズだ けにするとか、あるいはニーズという言葉をどこかで説明していただくかというような 選択しかなくなるような気がします。 岩尾課長  ではここのそのニーズの使い方を、もう一度官房と相談させていただきます。 北川座長  ではお願いいたします。よろしいですか、それでは次に進んでください。 岩尾課長  14ページの6、その他の基本指針の見直しに際して考慮すべき事項  (1)各事業分野ごとの基本的考え方及び目指すべき方向の明示  次に示した分野については、それぞれの分野に係る基本的な考え方や方向性、保健所 と市町村との役割等を示した通知等が発出されている。  (1) 歯科保健 歯科保健業務指針  (2) 精神保健 精神保健福祉業務運営指針  (3) 栄養改善 栄養改善業務指針  (4) 母子保健 母子保健事業実施要綱  (5) 老人保健 老人保健福祉計画策定指針  (6) 介護保険 介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的     な指針  (7) 感染症対策 感染症の予防の総合的な推進を図るための基本的指針     また、精神保健福祉法が改正されたことに伴い、精神障害者に対する保健・ 医・ 福祉サービスの提供が、一層推進されることとなると予想される。今後 は、それぞれの分野についての基本的な考え方や方向性、保健所と市町村等と の役割分担を明確にし、基本指針に盛り込む必要がある。 これは精神保健福祉法、先日改正されましたので、そこのところの文章を入れさせて いただいております。  (2)地域保健関係職員の資質の向上  (1) 都道府県、政令市及び特別区は、地域保健関係職員に対する研修の企画、調整を 一元的に行う組織を設置することが望ましい。  (2) 都道府県は、都道府県職員及び市町村職員に対する研修の課程(カリキュラム) 等を定める必要がある。また、保健所と都道府県本庁、地方衛生研究所との間の、市町 村職員に対する研修についての役割分担を明確化する必要がある。  (3) 都道府県保健所は、小規模町村職員が研修を受ける際には、当該町村の事業実施 が円滑に行われるように支援する必要がある。また、保健所(指定都市及び政令市を含 む。)においては、市町村職員のみならず、保健医療福祉従事者に対する研修も実施す る必要がある。  (4) 対人保健サービスに従事する職員が、それぞれの業務内容を理解し、適切な施策 立案等を行うことができるように、研修の一環として市町村と都道府県保健所との人事 交流を行うことが必要である。  (5) 国は、都道府県が行う研修に従事する職員の研修教育技術の向上を図るために、 研修を実施する必要がある。 (3) 保健所の情報収集に関する機能強化  現在、厚生省が進めている「健康日本21」計画は、21世紀における国民の健康寿命の 延伸を実現するための新しい考え方に基づく国民健康づくり運動である。この運動が成 功するためには、国民の参加はもちろんであるが、地方公共団体等の保健衛生部門、医 療機関、保険者との理解と協力が不可欠である。特に、保健所は地域診断の情報源とな る健康指標の収集と、健康を支援する環境づくりの拠点である。地域における情報収 集、分析およびこれに関連した市町村における計画づくりの支援、2次医療圏にあわせ た地域保健計画の策定など、保健所が地域の健康情報拠点として機能することが期待さ れる。  一方、地域集団の健康情報として保健所に集積しにくいものに、学童の健康指標、労 働者の健康管理データがある。保健所と学校、市町村保健衛生部門と教育委員会との連 携を深め、健康指標の収集に努力する必要がある。また、中小規模事業所に従事する労 働者の健康管理を継続的に行っている保健所があるが、事業主や健康保険組合とも協力 し、地域に居住する労働者の健康水準の把握のために社会教育と労働衛生との連携を強 化する必要がある。 北川座長  それではどうぞ。ちょっと気がついたのは14ページ(1)で、これらについて基本指針に 盛り込む必要があるという表現があるのですが、これはどういうことを考えていたので したか。 福島課長補佐  これは現行の基本指針では、それぞれの分野についてどういう方向で進めていくべき か、あるいは都道府県保健所と市町村がどういう役割をすべきかということについて は、具体的な中身はなくて基本的な機能だけが書いてあるということなので、やはり基 本的な方向性、それぞれの分野についてですね、それもやはり基本指針の中にそれなり に盛り込むべきではないかということでございます。高橋先生からのご意見だったと思 います。 北川座長  もう一つ気がついたのは、(2)の(4)、研修の一環として市町村と都道府県保健所との 人事交流を行うというのは、ポンと書いてあるのですがこれはなんでしたっけ。 福島課長補佐  市町村職員を都道府県保健所、都道府県で勉強していただくということもあり、一 方、母子保健事業ないし老人保健事業の相当部分が市町村ということで、実際に母子保 健など細かい実務を経験しない県の職員が増えてくるというなかで、やはり市町村の実 務というものも経験しておく必要があるということで、それぞれの相互の職員の研修と いう目的で、市町村と都道府県保健所の職員の人事交流というものを行うべきではない かというご意見でした。 北川座長  インサービストレーニングみたいなことですか。都道府県の職員が市町村に行って現 場をよく勉強するよと、それから市町村の職員が都道府県に来て、母子保健なら母子保 健の非常に細かなところまで勉強するよと、そういうことですね。 福島課長補佐  はい、それぞれがそれぞれの場所に、立場を変えてそれぞれのオンジョブトレーニン グをすると、受けるということです。 北川座長  ポコンと書いてあるけれど、もうちょっとなんか、ものすごく大事なことみたいに思 えるし、これなら人事交流ができるきっかけになるかもしれません。もう少しきちんと した仕切った言い方ができるような気がしますが、それはあとでまた考えていただけま すか。 岩尾課長 先生おっしゃるように、ここのキモは人事交流なんですが、要するに人事交流を都道 府県と市町村でやるべしというふうに書きたいのですが、そこのきっかけを研修なんだ よということで書いてあるので、歯切れが悪いのかもしれません。もう少し書いたほう がいいのですが、ここ全体が職員の資質の向上というところに書いたものですからこう いう文章になっています。後でこれも座長とご相談ということにします。 米田委員  精神保健福祉法がたしか5月28日に通ったのではないかと思いますが、それに向けて の基本指針に盛り込む必要があるということになっていますが、これ具体化に向けては だいたいいつ頃の予定をお考えなのでしょうか。 平野指導官  精神保健福祉法の改正、特に保健所あるいは市町村に絡むのは平成14年の4月という ところがありますので、どのように書き込めるかまたご議論いただいて考えて活きたい と思います。 米田委員  時期的にはだいたいいつごろを目途に。 平野指導官  まだちょっとそのあたりもはっきりしておりません。 米田委員  できるだけ早い段階でお願いしたいと思います。 小倉委員  14ページ(2)(1)、一元的に行う組織を設置することが望ましいと言うのは、具体的に どういうことをイメージされているのかということ。  それからもう一つは(2)(3)のところに、都道府県保健所は云々、それから保健医療福 祉従事者に対する研修も実施する必要があると、このことを認めるのにやぶさかではな いのですが、地域保健関係職員以外にも都道府県の保健所並びに政令市の保健所もそう だと思うのですが、今多くの学生実習を含めて実習の場になっております。そのへんに ついてのマンパワーであるとか予算的な配慮とか全くないままで、次から次へと福祉関 係の学校の実習まで含めて数多く受けています。それから更に医者の卒後研修、臨床研 修の中に保健所実習を入れるという話題まで持ち上がってきているとか、それは大変良 いことだと思いますが、そういう裏付けが欲しいなということを感じました。どういう 格好でも入れていただくか、やることが望ましいことはわかるのですが、ただ現場では 業務量が多くなっているということで、そのことを(3)のところで明確にしていただきた い。 岩尾課長  研修の一元化というのは、結構現在、神奈川県、熊本県でそういう研修センターを設 けてやっているというのが、大変評判がいいように聞いておりますので、実は今月号の 『公衆衛生情報』に研修というものの評価の特集をさせていただいて、そこに取材を行 ってもらっているのですが、実際の市町村からそこに受講して戻った方々の評価、それ から講習しているほうの評価についても、そういう意味では一元的なセンター方式とい うのもよろしいのではないかという印象を持ったもので、こういうことの考えていく上 で書き込んでおいたらどうかということでございます。 小倉委員  各都道府県が持っている職員研修所とかそういうような意味でなくて、保健衛生に関 する研修センターという、そういう単独のという意味にとってよろしいのですか。 岩尾課長  そうです。熊本は「健康センター」でやってます。そういうことで、要するに保健衛 生部門といいますか、福祉も入っているかもしれませんがその部門で自分たちで一括し てやっているという、我々先進的な事例というふうに理解してます。 園田委員  15ページの(3)、保健所の情報収集で、この中で健康情報として保健所に集積しにくい ものとして、学童それから労働者、特に中小企業事業に従事しているものと挙げていた だいているのですが、この他に福祉施設ですね、特別養護老人ホームとかこういうとこ ろはこれからかなり施設と地域とのいろんな連携といいますか、というふうなことを考 える場合も大事なのではないかと。  それからもう一つは病院です。病院、診療所の入院している人、こういうのも医療と の連携というようなことで、ある意味では正確な情報を把握していくということも必要 になってくるのではないかと思うのですが。 岩尾課長  ここで労働者の話と学校の話を書いたのは、省庁の違いを超えても、特に地方に行っ て末端に行って集めようとする努力はしていただきたいというニュアンスで書いたもで すから、福祉関係の施設とか病院、病院は保健所それ自体で現在でも医療監視等をやっ ておりますから、集められるものであるということで敢えて保健医療福祉関係のもの は、ここでは除いてあるという書き方をさせていただきました。つまり労働省と文部省 関係の施設とどうやって生涯を通じての健康状況の把握という意味では、この部分が重 点的に抜けるのではないかということで書いておるということでございます。 福島課長補佐  あと9ページの介護保険のところの、都道府県保健所の役割のところに、保健医療福 祉情報の収集、分析、提供というのが最後のところに書いてあると思いますが、これが 今園田委員がおっしゃった内容と相当する部分として私どもは書いたつもりでございま す。 犬塚委員  15ページ(3)の最後の行、「労働者の健康水準の把握のためには社会教育と労働衛生と の連携を強化する必要がある」とこの「社会教育」というのがどうもピンとこないので すが、なんか唐突なイメージがあるということ。  それから労働省が声掛けをしてやっている話ですが、都道府県産業保健推進センター とそれからそれぞれの各地区医師会に地域産業保健センターですか、設けてそれぞれ地 域の産業医さんのまとめ役をやっているのです。労働衛生との連携という中で、保健所 が今具体的にイメージとして連携を取りやすいのは、地域産業保健センターみたいなと ころと連携をとっていくことが、より具体的にイメージしやすいのではないかと。  もうちょっと具体的に言いますと、例えば自分のところでは、医師会の中にやはりそ ういうセンターがありまして、その運営協議会の委員を保健所長が入っているのです。 実は、来週また今年の運営協議会の第1回目があるのですが、保健所が抱えている結核 の問題で、職域における結核対策の話をそこでさせてもらおうと議題の提案しているの ですけれども、そういった形での関わりが具体的にできますので、ここに「社会教育 と」と例示してあるのがよくわからないのですが、例示としては、その地域産業保健セ ンター等である労働衛生との連携を強化するというようなことを書いていただくと、具 体的なイメージがわきやすいのではないかと思っています。 岩尾課長  では文字的にこれでよければとちょっとご提示しますが、一番最後のところで「労働 者の健康水準の把握のために」の後に、「地域産業保健センター等労働衛生関係機関と の連携を強化する必要がある」という形になおさせていただく。 北川座長  地域産業保健センターというのは全部にあるのですか。 鈴木委員  全監督署ごとに。 岩尾課長  産業推進センターでしたっけ。 鈴木委員  推進センターは都道府県。 北川座長  今までにない新しい言葉が一つ生まれてくるわけだから、地域保健法上しょうがな い。 竹澤委員  先ほどの人事交流ですが、この目的は施策立案等というのが入っているのですが、実 際に補佐が言われたように実務ということを入れたほうが、市町村側にとっても非常に 人事交流のイメージがしやすいので、「適切な施策立案・実務」という文言が入らない かと思うのですけれど。 岩尾課長  それでは「適切な施策立案等を行うことができるように」、「実務研修の一環とて」 と特にに入れますか。 北川座長  そういう言葉でいいですか。 竹澤委員  はい。 北川座長  その他なければ7のその他をお願いします。 岩尾課長  15ページの7、その他  以上の他、本検討会において、次の事項が指摘された。  (1) 保健所機能強化計画の評価の実施及び保健所機能強化の確保方策  (2) 地方衛生研究所の機能強化の方向性の明確化及び機能強化のための方策  (3) 市町村における企画機能、調査機能の強化とそれに対する保健所の支援機能の強     化  (4) 地域保健対策に係る人材の確保及びその配置等に関する方策  (5) 保健婦・士及び他の職種についての、業務内容、業務量を勘案した活動指標に関 する情報提供の強化  (6) 保健所長に必要な資質の確保方策 [(7) 地域保健対策の展開における、民間活力のより一層の活用及び住民の役割の明確 化]  (8) 地域保健計画の法的な位置づけの明確化 [(9) 都道府県保健所と市町村の対人保健サービスにおける役割分担の見直し]  (10) 都道府県知事まで権限委譲されている事務と中核市・保健所政令市の長まで委 譲されている事務との差異についての整理  (11) 保健所の機能のうち、健康危機管理に係る機能と保健・医療・福祉ケアシステ ムづくりに係る機能の分化  (12) 地域における保健・医療・福祉サービスの質の確保に関する業務のように、今 後更に、都道府県保健所において付与ないし強化されるべき機能の明確化 [(13) 保健所設置に関する人口及び面積等の要件] [(14) 保健・福祉サービスの一体的提供を可能とする組織のあり方] ([(7)(9)(13)(14)]前回の議論を踏まえて追加)  ついでに8、を読ませていただきます。  8 おわりに  本検討会は、公衆衛生審議会総合部会の指示により、告示後4年を経過した基本指針 と地域公共団体等の行う保健衛生行政との整合性について、特に、健康危機管理、介護 保険制度の導入、政令指定都市制度の問題点等に絞って検討を加えた。本報告書で指摘 した事項を踏まえ、基本指針が早急に見直しされるとともに、基本指針に規定された事 項について、その実効性を確保するために、地方公共団体等に対して必要な支援等が行 われることが必要である。 以上でございます。 犬塚委員  先ほど課長さんの説明から、中長期的な検討課題としてここに列挙してあるという説 明だったのですが、ものによってはそういうものもあろうかと思うのですが、できるだ け早急に具体策を欲しいなと思う項目もありまして、できればこの指摘されただけでは 少し検討会として無責任かなと、もう少し何か今後の継続的な検討等についてすべきだ というようなことを、委員の一人としてはぜひここに入れて欲しいなと思います。  それから自分が言ったことを受けての話だと思うのですが、(10)のところで、中核 市・保健所政令市という形ででているのですが、前のほうを見ると中核市を政令市の前 につけてないのです。ですから敢えてここで新しく制度としてできてきた中核市を、具 体的にここで示すということの意味もあろうかと思うのですが、整合性という観点から するといかがかなという、政令市保健所という中に中核市保健所が含まれますので、そ の点については整合性という観点でいかがかと思います。 岩尾課長  中長期と言いましたが、短中長期に検討することは一向に構わないので、先生の個人 的なご意見でも構いませんが、この14項目のうちどのへんから手をつけてという、何か 希望があれば。 犬塚委員  順番を言うのは非常に難しいのですが、例えば政令指定都市の1市1保健所の話も具 体的に例えば大阪市が1市1保健所に移行しそうだという話がありましたが、地方行革 の進行の中で、再度保健所の所管区域の見直しを手掛けているところもあります。現に 愛知県でも医療圏の見直しを進めておりますし、むこう1〜2年のうちに衛生部、民生 部の統廃合ということがあります。そうしますと、本庁の統廃合に合わせて県の出先機 関の統廃合というのが当然議論されてまいります。そうしてきますと、やはり保健所設 置に関する人口及び面積等の要件というのは、そういうところで先ほど小倉先生も言わ れましたけれども、保健所長として責任ある行政を展開していくに適当な人口、面積と いうのは、僕はやっぱりあるのではないかと思うのです。昨今いろんな問題が新聞紙上 を賑わしておりますが、保健所はなぜそういうことを察知できなかったのかというよう な論調での批判も目につくわけでして、あるいは公式の場でこういう発言は控えるべき でしょうが、1市1保健所になった政令指定都市の何人かの保健所長が、保健センター 長になるのを嫌になってといいますか、保健所長の意義を見失って転職していくという 事例もあるわけですので、やはりこういったところは、なんらかの具体的な指針をでき るだけ早く示していただきたいなと思っている次第です。 北川座長  2つ今問題があったと思いますけれど、具体的にここの14項目の中で優先度を示せと いう話があったわけですが、これはここで何番と何番はすぐにやれ!という言い方もな かなか難しいだろうと思います。従ってこの7のその他のところで、「以上の他、本検 討会において、次の事項が指摘された」と、「これらの事項についてなるべく早い時期 に、優先度を考えながら検討に着手していくべきであるという指摘がされた。」とか、 そんなようなことを書いておけば、次、動けるわけでしょ。それで犬塚委員の考えはよ ろしいかと思いますが。 小倉委員  書いておくだけじゃダメではないですか。 北川座長  どうします。 岩尾課長  それで結構ですし、私としては、こういうことで一応総合部会に上げさせていただい た後、ご指示をいただいてじゃあ次はこういうことを検討するという流れにしたいなと 思っています。そういう意味で、個人的にどれが大事かなと思ったのをちょっと聞きた かったのです。 北川座長  他にも大事であるというご意見があるかもしれません。もしあればご指摘をしておい ていただく。特にご発言がないようでしたらば、時間もだいぶ予定より過ぎております ので、この検討会の報告書については今日は多少ご議論をしていただいた集聞等が残っ ておりますが、そこは座長のほうにお任せをいただけますでしょうか。 一同 はい。 北川座長  それではそのようにさせていただいて、後は公衆衛生審議会のほうにご報告をさせて いただくと、このように進めさせていただきたいと思います。  考えてみますと、なかなか大変ご熱心な議論でいろいろと地域保健問題なおかついろ んな問題残っているなというふうに思います。これからまた保健医療局で一つさらにご 検討いただきたいと思います。そんなことで一応これでこの会を閉じさせていただこう と思いますが、よろしゅうございましょうか。それでは最後に伊藤局長からご発言をい ただきたいと思います。 伊藤局長  大変お忙しい各委員に、今日を含めまして9回お集まりいただいたわけでございます が、当初お願いいたしました3つの事項につきまして一応のまとめをしていただきまし てありがとうございました。  いろいろ議論の経過の中で、今後の検討を要する事項も幾つかでてきているわけでご ざいますが、それらにつきましては、昨今のいろいろの地方分権への考え方と合わせま して将来今後検討していくべき課題ではないかなと思っております。  今回の検討結果と若干、直接は関係ございませんが、私ども今保健医療福祉行政の中 で、特に健康危機管理というようなことをいろいろテーマに考えてみますと、国と都道 府県と市町村という枠組みではどうも対応しきれない問題がいくつかございまして、そ こへ先ほど衛生研究所のブロック単位の考え方、つまり今例えば感染症に対するいろい ろな高度な病原体の同定などを含めまして、国と県と市町村という、もちろん市町村こ れは問題ないですが、国と県だけではどうも対応しきれないそういうまとまりというも のを、今後特に厚生省の行政全般について考えていかなければいけないのではないかと 思います。  これは例えば結核などでいいますと、多剤耐性結核のそういう集約的な治療の拠点で すとか、エイズなどでもブロック拠点病院とかそういうように幾つかのそれぞれの分野 で、ブロック単位を前提にして考えていかなければいけないというそういう時代に差し 掛かっているのではないかというのを考えておりまして、それらにつきましても私ども は、将来の検討課題として市町村の保健センターなり地衛研なり、都道府県の保健所、 今国の体制以外にそういうシステムを持って今後検討していかなければいけないのかな というふうに思っています。  いずれにしましても、9回にわたりましてご議論いただきまして大変ありがとうござ いました。あとは公衆衛生審議会の総合部会にお図りいたしまして、あと私ども役所の ほうで責任を持ってフォローアップさせていただきたいと思います。どうもありがとう ございました。 北川座長  それでは委員の皆さま方本当にありがとうございました。これでこの会を閉じさせて いただきます。 問い合わせ先 厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課 担  当 中  里 電話番号 03−3503−1711(内線2391)