99/06/23 第6回出生前診断に関する専門委員会議事録 第6回 厚生科学審議会先端医療技術評価部会 出生前診断に関する専門委員会 議事録 厚生省児童家庭局母子保健課 厚生科学審議会先端医療技術評価部会 出生前診断に関する専門委員会議事次第  日 時:平成11年6月23日(水) 午後1時30分〜4時15分  場 所:厚生省特別第一会議室   1.開  会   2.議  事    (1)「母体血清マーカー検査に関する見解」について    (2)その他   3.閉  会 ○東課長補佐  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第6回厚生科学審議会先端医療技術 評価部会出生前診断に関する専門委員会を開催いたします。  本日は、大変お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。  それでは、議事に入りたいと思いますので、古山委員長、議事進行よろしくお願いい たします。 ○古山委員長  本日の議事に入ります前に、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。 ○武田主査  それでは、本日の資料の確認をさせていただきます。本日の資料は左肩にクリップで とめてある資料でざいます。まず、クリップを外していただきますと議事次第が最初に ございます。 それから、資料1でございますが、先日開かれました先端医療技術評価部会における 「母体血清マーカー検査に関する見解」についての部会委員の修正意見でございます。  参考資料1といたしまして、出生前診断に関する専門委員会の見解の審議に当たって の要望書ということで、日本ダウン症協会からの意見書の方が来ております。  資料の方は以上でございまして、そのほかに前回の議事録の方を配付させていただい ております。  以上でございます。 ○古山委員長  ありがとうございました。  次に、議事1の母体血清マーカー検査に関する見解についての議事に入りたいと思い ます。この見解につきましては、6月4日に開催されました厚生科学審議会先端医療技 術評価部会に私が出席いたしまして、報告させていただきました。高久部会長を初め各 委員から、本見解を苦労してまとめたことに対するねぎらいの言葉があり、内容につい ても多くの委員から評価するとの言葉をいただきました。しかしながら、一部の委員か ら幾つかの点で修正点を指摘されましたので、それについて検討いたしたいと思い ます。事務局が部会委員の修正意見をまとめていますので、御説明いただきます。 ○武田主査  それでは、先端医療技術評価部会における委員の修正意見の方を御説明させていただ きます。資料の方は資料1でございます。座って説明をさせていただきます。  まず、1ページ目でございますが、3行目「先天異常」という言葉がございますが、 これについて部会の方の木村利人委員でございますが、異常か正常かというボーダーラ インが極めて幅が広くて、生命倫理の方からは非常に問題のある言葉であるという御発 言がございました。それから、金城委員の方から差別的な意味合いもある言葉であると いう御発言がございました。これに対して松田委員から、これは医学的な用語である、 日本先天異常学会という学会の名前にもなっているような用語であるという御説明があ りまして、両委員とも大体納得され、また、中・長期的に検討すべき課題であろうとい うような御意見がございましたが、一応、先天障害ということでここでは置かせていた だいております。  次に、5行目「ひいては」の部分でございますが、この部分については最初に先天異 常のことが書いてあるのに、その後の「ひいては」以降では障害のある者の生きる権利 と命を尊重するということで、遺伝子障害があたかも障害のすべてであるかのように直 結しているところで、「ひいては」という言葉をつけた方がいいのではないかという御 意見が、木村利人委員の方からございました。  それから、次に、下線部で「優生手術、」と書いてある部分でございますが、平成8 年の優生保護法によって改正された優生思想に基づく該当箇所を削除した部分につきま しては、優生という言葉が使われていた手術という条項がなくなったのが重要でありま して、優生手術ということは明記した方がいいのではないかという意見が、木村利人委 員からございました。  次に、「、心理的」という下線が引いてあるところでございます。大体1ページの真 ん中ぐらいでございますが、これは4ページの方でございますが、2行目に「母体血清 マーカー検査については、被検査者の心理的、社会的問題の解決が容易でない場合があ る」ということが書かれておりまして、心理的問題というのも大きな問題としてあるの だろうということで、この4ページのところは倫理的、社会的、心理的という3つの問 題点を指摘した方がいいのではないかという御意見が、これも木村利人委員からござい ました。  その次の行の「多くの」と下線が引いてある部分でございますが、「医学のみなら ず、広く」と使っておりますし、「はじめに」の部分の下から3行目に「医学、看護 学、遺伝学、法学、生命倫理学の専門家からなる」と多くの分野から参集した旨が書か れていますので、ここは、ほかの分野ではなくて多くの分野とした方がいいのではない かという御意見が、こちらも木村利人委員の方からございました。  次に、4ページ目で、こちらは2行目が直っておりませんが、先ほど申しましたよう に、1ページと4ページ目の部分は「倫理的、心理的、社会的」という問題点を指摘し た方がいいのではないかということで、ここに心理的の前に「倫理的、」というのを追 加していただきたいと思います。順番といたしましては「倫理的、社会的、心理的」で ございます。  それから、このページの6行目の部分でございますが、「一層の努力が望まれる」と いう原案でございましたが、専門家が育成され、専門機関が増えていくようなことは非 常に必要だと考えるということで、「望まれる」ではなくて「一層の努力が必要であ る」と、もうちょっとここは強く言っていいのではないかという御意見が、木村利人委 員からございました。  それから、検査の実態ですとか、 それを監視する体制を整えた方がいいのではない か、それは日本ダウン症協会の方からも文書で来ているということで、この検査の実態 の把握ですとか検査が適正に実施されるような監視を行政もしくは関係学会等が行う必 要があるというところで、こういう意見が出ております。こちらの方も、木村利人委員 から出された意見でございます。  次に、5ページ目でございますが、検査前のIの1の4行目「思いやりのある態度で」 の部分でございますが、思いやりのある態度でというのはパターナリスティックな上か らの発想というのがあるような気がするということで、何か言葉はないかという御意見 が木村利人委員からございましたところ、松田委員から思いやりのある態度というのは ジェネティクスカウンセリングの中に出てくる言葉で、共感を持って接するという言葉 の言い換えだという御発言がございまして、それであれば共感を持って接するという言 葉がいいのではないかという御意見がありました。  次に、(1)の部分でございますが、こちらは先端医療技術評価部会の中で出た意見では ございませんで、高久部会長が事前にこれをごらんになったときに御意見として出され たものでございますが、「常に」というところでございます。常に障害を持つ可能性が あるということになりますと、妊婦がかなり不安を持つのではないか。それから、常に 障害を持つ可能性があるというのは言葉として論理的におかしいのではないか、 「常に」と「可能性」という言葉が出ているのはおかしいのではないかという御意見が ございまして、「誰でも」という言葉に修文した方がいいのではないか、このような御 意見がございました。  次に、同じところの少し下の2)の部分でございますが、「障害はその子どもの一側面 でしかなく」という部分でございますが、こういう言い方ですと、やや否定的な表現に なっていると。ただ、これは個性の一側面という表現の方が前向きでポジティブで、障 害というのは豊かな子どもの個性の一種の発現としてとらえる方々が多くなってきたの で、こういう表現の方がいいのではないかという御意見が、木村利人委員の方から出た ということでございます。  それから、3)このページの下から2行目の部分でございますが、「障害の有無やその 程度と本人及び家族の幸、不幸は本質的には関連がない」、本質的には関連がないとい うことを明確に記した方がいいのではないか、そのような御意見がございました。こち らの方も、木村利人委員からの御意見でございます。  最後に、7ページ目でございますが、こちらは修文の方はしてございませんが、5の 部分でございます。「検査の説明文書や同意書は、医師が自ら適切なものを用意する」 という部分でございますが、この部分について木村利人委員から医師というのは患者の 身になって考えるということで、長い間そういう倫理が伝えられてきた訳だが、医師だ けの発想でつくられた説明文書や同意文書はだめだということが生命倫理の基本にある と。その観点から言うと、当該医療機関における倫理委員会等が作成した公開されたフ ォーマットを用いるというような表現にすることが基本的には正しいのではないか。そ うでないと、医師が自ら思うところの適切なインフォームド・コンセントの文書を患者 側に示されても、一般の人たちは一切分からないということになりかねない危険性のあ る文書ではないかというように思うという御発言をされました。これに対して、古山委 員長がこれを書いた趣旨は、検査会社からの説明とか場合によっては同意書のフォーマ ットみたいなものが提示されていた経緯がこれまでこの検査にあるので、そういうもの を安易に医師が利用しないように、医師が自らの判断で適切な説明文書や同意書を用意 して検査を実施するという一種の歯止めのような意図でこの文章を書いたという御発言 をしまして、この点については木村利人委員も納得をされたようでございます。  部会の委員の意見は以上でございまして、これについては、特にこの部会において部 会の意見としようという合意が得られた訳ではなくて、古山委員長の裁量に任せるとい う御発言が高久部会長の方からございました。  以上でございます。 ○小田母子保健課長  付け加えさせていただきますが、その部会での基本的な考え方として、この見解とい うのは専門委員会の見解として世の中に出した方がいいのではないかということになり ましたので、ここで一定の修正が加えられた後で、専門委員会の見解として世の中に出 ていくことになります。 ○古山委員長  ありがとうございました。  ただいまの説明ですけれども、何か御質問ございますでしょうか。 ○鈴森委員  4ページの追加されたところ「さらに、本検査の実施を把握するとともに、本検査が 適正に実施されるように監視する必要がある」という文言があるのですけれども、これ は、追跡調査をやれということですか。 ○北島課長補佐  そこまで具体的にどうしろというお話はなかったのですけれども、こういったものを 出したときに、それから、どういうような形でやられているのか、きちんとフォローす る必要があるだろうという御趣旨と承っております。ただ、具体的にどこがどうしろと いうお話ではございませんでした。 ○古山委員長  鈴森委員、よろしゅうございますか。 ○鈴森委員  ちょっと分からないです。 ○松田委員  私も、この言葉には丸をつけたのですけれども、言葉としては趣旨は分かるのだけれ ども、この言葉を生かすために、もしくは、この言葉が主語にならないために、かくか くしかじかのことをすべきであるとか、しなければいけないとかそういう具体的なもの が出てくるのかどうか、もしくは出されたら我々はそれをどう判断するのかという、非 常に大事な言葉だと思うんです、この言葉は。だから、この2行が入ることによって、 今後、我々が何か行動しなければいけないとか、そういう監視機関を設けなくてはいけ ないということになってきて、我々のこの委員会がちょっとそこまで責任が取れるのか なと。ちょっとそれは議論しておいた方がいい言葉だというふうに私は思いましたけれ ども。  全然事例は違うのですが、アメリカの話というのは言ってもしようがないのだけれど も、アメリカのベビー・ドウの法案が通って結局、最終的に一回通った法案が否決され るのですけれども、否決されるときに結局こういう監視委員会みたいなものをつくらな いといけないということになって、それが非常に大きなネックになって、最終的にはそ れが理由でもって全法案が否決されたことがあるんですよ。そういうことを考えると、 ちょっとこの2行の意味はかなり重いなという印象がします。  以上です。 ○安藤委員  私もそう思いました。これは、お聞きしていたときには各医療機関がこれをやるのか なと思っていたのですけれども、さもなければ厚生省がやるのかなと思いながらお聞き していたのですが、最終的には専門委員会の見解として提示するということになります と、やはり責任は専門委員会が監視しなければいけないということになると思うんで す。やはり、これはどこがどうするのかというところをはっきりさせておいた方がいい のではないかと思います。 ○松田委員  法律的な立場からは。 ○山田委員  やはり主体が書いてあった方がいいですね。もし、これを残すなら、しかるべき機関 がとか何か。 ○小田母子保健課長  主体は行政・関係学会等の対応というテーマですので、主語は行政・関係学会という ことになります。 ○鈴森委員  では、行政そのものが監視機構をつくる必要がある訳ですね。 ○小田母子保健課長  これは、具体的には総論的な文言ですので、監視機構をつくるとか何とかという形に なるかどうかは分かりませんが、仮に、これが専門委員会で了承という形で世の中に出 ていけば、例えば、実態を把握するというのは、今後こういったトリプルマーカー検査 がどれくらい行われているかというふうな実態は実施している会社等から把握すること は十分可能で、これは、これまでも会社等から情報をいただいていますので、今後とも 継続することで実態の把握は出来ると思っています。  それから、適正にこういったものが行われているかどうかというのは、これは以前松 田先生の研究班にお願いして、どんな形でインフォームド・コンセントや、カウンセリ ングが実施されているのかということは調査していただいていますので、そういった形 で行うというのも一つの、監視という言葉が適当かどうかは別として、事後の経過の観 察みたいな形としてはあり得るのかなと思います。広い意味での監視という形にとらえ れば、そういう形の対応も一つ考えられないことはないのではないかと、こんな感じな のですが、特に、個々の医療機関が行っていることを何か監視機関を設けて適切にやっ ているかとか、そういうふうなことを常時情報収集するというふうなところは、なかな か行政の対応としても、多分学会としても難しいのかなというふうには思っています。 ですから、その辺は御議論いただいて、適切なあるいは実施が可能だと思われる形の文 言に修正していただいてもよろしいのかなと思います。 ○古山委員長  ほかに御質問はございませんでしょうか。 ○長谷川委員  今の問題だけではなくて全体の中で結構ですか。 ○古山委員長  どうぞ。これが終わりましたら一番最初に戻りまして、最初からこれでいいかどうか ということを御確認いただきますけれども、その前にどうぞ。 ○長谷川委員  この参考資料1に書いてありますけれども、京都ダウン症児を育てる親の会からの意 見で、開放性神経管奇形という言葉に対してのそういう障害を持っている親御さんとか 一般の人からの反応として意見が出ていますので、そこも検討していただいた方がいい のではないかと思います。 ○鈴森委員  この点については、飯沼氏からも指摘がありますが、先天異常学会の用語集には、ニ ューラル・チューブ・ディフェクトは神経管奇形として使われています。従って、学会 用語として正しいものですから。良いのではないでしょうか。 ○長谷川委員  先ほど先天異常というような言葉ですら問題と言われたので。 ○鈴森委員  後にまた先天異常という言葉が出てきているんですよね。だから、先天異常という言 葉自身は生きているんですよね、。 ○長谷川委員  それは全部クレームがついた訳ではないのですか。 ○鈴森委員  そうではないのではないですか。 ○武田主査  一応、全部という。 ○鈴森委員  そんなことはないですよ、5ページにありますよ。5ページに「誰でも先天異常など の障害を持つ可能性がある」と。 ○長谷川委員  最初だからいけないというのでしょう。先天異常の言葉に対して差別的だということ があったということは、どれも全部言えるということではないでしょうか。 ○古山委員長  5ページの先天異常は指摘されなかったのですけれども、全部だと思います。先天異 常に対して先天障害というような言葉にならないかどうかということです。異常という のが具合が悪いということです。 ○長谷川委員  先ほどの意見からするとそうなると思うんです。でしたら、奇形というのはもっとシ ョッキングな言葉だと思います。それから、先天異常学会としての見解ではなくて、私 は最初に出しましたときに、むしろ、これは治療する脳外科などの診療科の言葉の方が いいのではないかと思って、脳外科の用語として出しています。専門的な言葉として、 飯沼先生は専門家がいるのに専門的な言葉を出していないというクレームをつけられた という話を聞いているのですけれども、それはきちんと出しております。議事録を飯沼 先生はお読みになっていないと思うので、ですから、それに対してそのままお受けにな る必要は私は全然ないと思うのと。 ○松田委員  ちょっと順番に行きませんか。 ○長谷川委員 ですから、そこも一応討議にしてほしいということです。 ○古山委員長  してほしいという御希望ですね。この間の先端医療技術評価部会では、指摘はされて いません。 ○長谷川委員  そうなんです。変わっているというところについていろいろな話を聞いたものですか ら、それをただのんでいいものなのかどうか、やはり検討しないといけないのではない かと思ったので。 ○古山委員長  では、1ページに戻りまして逐次ご審議をお願いいたします。 ○松田委員  まだ、これが決まっていないですよ。先ほどの4ページのが決まっていない。このま まにしておきますか。 ○古山委員長  これでいいかどうか、本文の最後にご議論いただきます。新しい文章が追加されたわ けですので、委員の先生がお考えになる時間が少し欲しいのではないかと思います。で すから、簡単な方からというか一番最初から始めたいと思います。 ○松田委員  分かりました。 ○古山委員長  1ページの3行目「先天異常」の「異常」という言葉が具合が悪いという話なのです が、実は4ページの3行目「そのため、医師は日頃から先天性障害や遺伝性疾患に関する 専門的な相談を実施できる機関との連携を図る必要がある」と、 ここでは「先天性障 害」という言葉になっているのです。ですから、4ページで使っている「先天性障害」 という言葉と1ページの「先天異常」というのが同じ言葉として使われているのか、あ るいは違った言葉として使われているのかということを検討すれば、おのずとこれが先 天障害でもいいかどうかということが明らかになるかも知れません。 ○山田委員  「性」は要らないのですか。 ○松田委員  それについて私が発言したのは、メディカルタームであるというのが一つと、もう一 つは、先天異常という言葉の中には遺伝性疾患も入るんですよね。後ろの方の場合「先 天性障害及び遺伝性疾患」となっていますから、この両方を含んだものが先天異常なん ですよ。だから、もしも前の方の言葉を変えるなら「先天性障害及び遺伝性疾患」とい うふうに言わないと話が合わないんですよ。だから、そこまで言うか、それとも遺伝的 なタームとして先天異常という言葉の中で両方含むかという言葉になると思いますけれ ども。 ○山田委員  そうすると、5ページもそうなるのですか。これはまた違いますか。 ○古山委員長  そうですね。5ページにも、もう一つ先天異常という言葉がありますので。 ○山田委員  5ページは、1ページから言うと以下同様に修正ですから、これは修正になるはずな んですね。 ○松田委員  そうなんです。ここの先天異常も修正すれば「先天性障害及び遺伝性」というふう に、また言葉を入れなくてはならなくなりますね。 ○古山委員長  それを、そうするかどうかということをお決めいただいたらいいのだろうと思います が。 ○鈴森委員  先天異常学会という学会が存在する訳で、先天異常とは何かという定義まで明確にさ れています。即ち、外表奇形と内臓奇形を含む広い意味を持つものとして定義づけられ ている訳です。ですから、メディカルタームまで差別用語ということになると、私はそ れは受け入れられがたいと思うのですけれども。 ○長谷川委員  それを説明していないでここに出すと、やはり知らない人はショックではないかと思 います。 ○鈴森委員  これは、一般の人に渡すものですか、一般の医師でしょう。 ○長谷川委員  でも、医師だけではなくて多分こうやって見せると思います。 ○鈴森委員  でも、一般の医師を対象にした見解でしょう。 ○長谷川委員  それはそうなのですけれども。 ○鈴森委員  どうして、そのときにメディカルタームを使ってはいけないのですか。 ○長谷川委員  先天性もそうなのですけれども、私は小児精神科のドクターから先天性というどぎつ い言葉は使いたくないということまで言われているので。 ○鈴森委員  コンジェニタルという英語がありますから。インボーンという言葉もありますし。 ○長谷川委員  それは分かるのですけれども。ただ、そういうクレームがついたということは、やは りそう思う人が結構いるのではないかなと。 ○鈴森委員  それはどのくらいの人ですか。 ○長谷川委員  木村先生の方からされたということで、全くそういうものがなければ私も気にしなか ったのですけれども。 ○松田委員  長谷川先生、それは悪いけれども、先天異常という言葉はメディカルタームとしてあ って。私は、みんなが議論してちゃんと学会で専門用語として決めたものを、そういう ことの意味は分かるのだけれども、ディスカッションするのは大事だからディスカッシ ョンした方がいいと思うのだけれども、ディスカッションした上でそれに変えなければ いけないというのには、私はどうも抵抗があるんです。 ○古山委員長  先端医療技術評価部会で私が説明した後、そういう御質問がありまして、松田先生が 先天異常について医学用語として説明されました。それについて、木村先生はそれを聞 いた後で、その点は了解されたんですね。 ○武田主査  木村委員は、松田先生の説明の後、「メディカルな用語と言うことでクリアされたと 思います。」と述べられています。 ○古山委員長  ですから、先天異常のままでも構わないだろうと思います。ただ、もう一人、金城委 員からサイエンスというかメディカルタームとしてよくても、こういう見解は社会的な 文書だから考えてほしいというような補足の御意見があった訳です。 ○武田主査  その後、そういうことを金城先生が言われたのですが、松田先生が、自分自身として は意味は分かるけれども、それに代わる言葉を今すぐここでは思いつきませんという趣 旨の発言をされまして、金城委員は、では将来の問題としてお考えいただきたいという ことでございますという御発言をされました。 ○武部委員  先ほどの説明を伺ったのでは、木村委員の言われた意味は、たしか異常ということが どこまで正常か異常かを区別出来ないときに異常という言葉はよくないと。しかし、そ れに対して松田先生の反論は先天異常という概念があるんだというところで、つまり木 村委員は明らかに先天と異常を分けて、一般の異常という社会的用語という理解をされ たと思うんです。そういう点で私は、先天異常という表現がそういうものであれば納得 されたという結果ではなかったかと伺ったんです。それに対して、金城委員はそうでは なくて先天異常という言葉であっても、なお自分としては社会的に好ましくないという ことを言われまして、意味がかなり違うんです。そうなりますと、ほかにも先ほど長谷 川委員からも御指摘があったように、この文章をつまり医師に対する一種の見解という ふうに割り切るのか、それとも社会的文章であると、これが一般に公開されて、一般に インターネットまで意見を求められる社会的文書であると、これはダウン症協会からも 指摘があるのですが、そういうところまで配慮するかという根本的なことをここでやる ことを合意しないと、このほかの軸もいっぱい出てくるのではないかと思いますが、い かがでしょうか。私は、どちらかというと、これは一種のタームのものであるというこ とを場合によったら前文にきちんとうたうぐらいのことをすれば、先ほどの神経管奇形 の問題も含めて、軸に対する神経質な議論というのは必要なくなるのではないかと思い ます。 ○鈴森委員  このガイドラインは、母体血清マーカー検査の説明と実施に当たり配慮すべきこと、 これはあくまでも医師を対象にして作成したものだと思うんです。 ○古山委員長  医師と検査会社ですね。 ○鈴森委員  それを一般の人が見る見ないというのは別問題で、対象はやはり医師だと思うん です。 ○武田主査  先ほどの話にちょっと補足させていただきたいのですが、先ほど木村委員もある程度 納得されたような話をしたのですが、一度、木村委員は1ページ目の議論のときにはク リアされたという話をされたのですが、また、4ページのときに再度御指摘があったと いうところで、まだ十分に納得されていないのではないかということで、ここに載せて いただいたものです。 ○武部委員  4ページ目の文章と、これは私にも責任がありまして、これは「先天性障害や遺伝性 疾患に関する専門的な相談」というのは、要するに「遺伝相談(遺伝カウンセリング)」 という言葉に対してダウン症協会が非常に強い否定的な意見を言われたので、その場で 松田先生の御意見も加わって、こういう形だったら納得出来るかというふうにしたので すが、実は、前後関係、ほかのページにそれに似た言葉があるかというと全く配慮もせ ずに、ここだけにそういう言葉を使ったということで、そういう点で不統一だという指 摘は確かに妥当な指摘なのですが、それが同じ概念がどうかはまた全然別問題で、これ はあくまでも遺伝カウンセリングの遺伝という言葉に対する一種の言い換えにすぎない ということです。ですから、ほかのところで先天障害という文章があっても、これと同 じ概念ということは全くここでは議論していない。 ○山田委員  やはり、コンテンツによって意味が違うと思ういます。 ○武部委員  ちょっと松田先生伺っていいですか。よく本屋などでも先天異常などとという本があ ったときに、さっき先生が遺伝も含むと言われたけれども、多少違いますね。ただ、先 天異常学会でそれほど遺伝ということを。 ○松田委員  いや、入っていますよ。先天異常学会は結構、遺伝という言葉を使っています。 ○武部委員  小児科のムックシリーズなども先天異常と遺伝は全然入っていなかったです、 たしか。遺伝は遺伝でまた別にある。 ○松田委員  結局、今はもう、昔、先天異常と思われたのが遺伝子になっていますね、いろいろな ものが。 ○武部委員  当然そうですね。 ○松田委員  例えば、フォレンツファイルなどでも遺伝子が見つかりましたよね。そうなってくる と、先天異常というものの中の今まで結局遺伝子が分からなかった時代にはそれを遺伝 とは言い切らないので家系内にないから、突然変異みたいなものは分からないから先天 異常という分野でディスカッションしたのですけれども、今はもうそれが遺伝子の突然 変異で起きてくると。幾つも分かってきましたよね。だから、もう区別がなくなってし まって、先天異常の中に当然遺伝疾患が入ってくるというのが現在の概念だと思い ます。 ○武部委員  当然そうだと思います。 ○長谷川委員  先天異常という意味のコンジェネタルというのは原因が生まれる前にあればいい訳で すね。 ○松田委員  そうです。だから、遺伝であろうとなかろうと関係ないんです。 ○長谷川委員  ですから、例えばハンチントンみたいに後発のものであっても広義には先天異常に入 りますね。ですから、かなり広い意味ではあるんです。異常という言葉は、本当はそん なに大きな意味はないはずなのですけれども、一般にそういうふうにかなりきつく取ら れるのかなと、実は私自身もびっくりしまして、でもそう受け取られるのだったら、や はり考えた方がいいのかなと思ったのですけれども。 ○松田委員  私も、長谷川先生の言うのことについても考えました。確かに、この言葉を言われた ときに、これは医学的な専門用語なので、よいかと思ったのですが、ただし言われたと きに、そういう考え方もあるのだなと思ったのだけれども、やはり逆に言うと専門用語 として我々は使っているのであって、では、これから一般の人に向かって先天異常とい う言葉を使わないで先天障害と言っていくのか、医学会の学会のときだけ先天異常と言 うのか、そういう使い分けは私自身は出来ないと思うんです。だから、あの日言ったの だけれども、私は先天異常ということを言うときには、決して差別的な意味は持たない で使っていますと、それは私は言いましたよね。議事録の中に書いてあると思うのです けれども。だから、私自身がそういう気持ちを持って話しているときに、こちらに向か っている言葉とこちらに向かっている言葉と区別して話をするということ自体が、その ときに既に差別をしているというか区別をしているということに追い込まれていると思 うんです。少なくとも自分には、そういうことは避けたいという気持ちがあって。 ○山田委員  使う側と受け取る側と非常に区別するものですから、使う側がそう言っていても受け 取る側がどうするかという議論なんでしょう。それで、木村さんなどは、アメリカでは ポリティカルコレクトという政治的に正しい表現というのが全部あって、こういう言葉 を使ってはいけないと物すごく細かいです。それは、やはり学界用語で今のところ修正 されていないようなものは使っていいと思いますけれども。 ○長谷川委員  個人的に言えば、確かに異常よりも障害の方がきつい言葉なんですよね。異常があっ ても障害がないことがある訳ですから。だけれども、やはり一般の人にはそういうふう に取られると。 ○鈴森委員  障害という英語はディスアビリティーですか。 ○長谷川委員  いいえ、ディスオーダーです。 ○武部委員  私も、一般社会人のところで講演したときに、障害児という言葉は絶対使ってくれる なという激しい攻撃を受けました。それは、差別用語ですと。そう思う人はいる。 ○松田委員  受け取る方ですね。 ○長谷川委員  障害児というのは、やはりきちんと定義されないとレッテル張りにしかならないとい うことがありますから。 ○山田委員  ハンディキャップもいけないというんですよ、ポリティカルコレクトでは。 ○武部委員  ですから、松田先生が指摘されていますが、ダウン症の方で私もしょっちゅう意見を 交わすのですが、遺伝でないからダウン症は遺伝でないということを強く言うことは、 やはり遺伝はとんでもないことだという裏返しに。 ○松田委員  そうなんですよ。私は、いつでも話を聞いていて思うのは、席上で四肢障害のお母さ んが、あなたは遺伝ではないと言われて私はほっとしましたと、うれしくなりましたと 言うんですよ。では、その言葉を聞いている遺伝性疾患のお母さんはどういうふうに思 うだろうと、むしろ、そういうことを平気で言える気持ちの方が私には理解出来ない。 我々は極めて平生につき合っているではないですか、だから驚きましたね。 ○長谷川委員  お互いに知らないことは。 ○松田委員  それは、そうなんです。だから、おっしゃるように受け取る側の問題だから、やはり はっきりさせることははっきりした方が私はいいと思います。 ○武部委員  だから、基本的には前ダウン症の方もおられた公開の席でそういう議論をしたという ことは、私はよかったことで、この委員会がそこまで考えた上でこういう言葉を使って いるんだということが御納得いただければ、私もそんなに強い抵抗はないと思うし、そ ういうことは例えば、今日の議事録でも今のような議論があったということがはっきり と出れば、私は学術用語として現在定着しているものについては、とりあえず医師が対 象であるということでこれは使うということで異論はなかったという形で収めざるを得 ないのではと。これを全部変えますと、ちょっと大変です。今日の時間だけではなく て、もう一遍吟味しないと到底自信がないです。私も本当に障害という言葉に激しく食 ってかかられたのでびっくりしまして、そう言われればそうです。障害児白書という本 も出ていますと言って、政府のせいにしたのですけれども。 ○長谷川委員  行政用語ですから、障害児というのは。だから、「児」というのは障害と障害児は違 います。そこだと思います。それは、きちんと定義して。ちょっと先天異常の問題とは 違うと思います。 ○武部委員  ちょっともう一点確認したいのですが、先ほど問題になった4ページの「実態を把握 するとともに、検査が適正に実施されるよう監視する必要がある」というのは、どなた かが具体的にこういう文章を提案されたのですか。 ○武田主査  ここの部分の御意見は木村利人委員からでございますが、具体的な文章ではなかった です。 ○古山委員長  具体的な文章では提案されておられないと思います。 ○武部委員  そういう趣旨のことを言われたと。 ○武田主査  木村委員は、「実態というのは一切分からない訳ですから、そういう監視を含め「専 門機関が増えていくよう、行政・関係学会等の一層の努力が望まれる」ではなくて「必 要である」と、ここにそういう条項が入りますと対応がきちんとさなれるのではない か。これは日本ダウン症協会の方からの文書、その他でも書いてございますけれども、 私はかねがねそういう必要性を思っておりましたので、一言発言させていただきます」 と発言されました。 ○武部委員  その中に具体的に、例えば厚生省がとかそういうことはなかった訳ですね。 ○武田主査  そうですね。 ○武部委員  日本ダウン症協会の要望書にもそれに似たようなことがありますが、これは明らかに 厚生省がというような記載をしているのでしょうか、分からないですか。 ○武田主査  ダウン症協会の方も、どういうところが主体かまでは書かれてございません。 ○武部委員  審議会及び監督官庁が具体的にどういう行動を取るかという指摘をダウン症協会の方 からありますので、下の方に。 ○長谷川委員  けれども、問題が発生したときの対応のことは必要と思うので、ここまで積極的にす る必要はないというか、するのは無理だと思うのですけれども、問題があったときに、 例えばもし、ある検査会社が今まで普及させていたのが、突然これを見て自分たちの今 までのやり方と同じなのだから、今までのやり方でいいのだというような全く歪んだこ とを医師に言っていた場合に、そういうことに対して、やはりきちんと書かれたものを もう一度指摘するとか、何か問題が大きく出たときに何を監視するということは必要だ と思うんです。 ○鈴森委員  これは、見解は拘束力はないんですよね。 ○長谷川委員  拘束力はありません。ですから、問題があった場合に検討しないといけない。 ○鈴森委員  だから、紳士協定ですよね。こういうものがあるからこれを守っていきましょうとい うだけのものなんですよね。ですから、適正に実施されるよう監視する必要があるとい うのは、私はやはりこれだと監視機構を置いて例えば場所を設定して、ここならやって もいい、ここならやってはいけないとかそういう自由診療を妨げるということにもつな がる可能性があるんですね、これは。 ○松田委員  ちょっときつい感じがするんですよね。先ほど言ったように、この委員会の声明で出 すとすると、この委員会がそこまで責任を取らなければならないのではないかという感 じがするんですよね。だから、どういうふうに言ったらいいのか。でも、ある程度のこ とは言わなくてはいけないということも、それもまた事実なんです。 ○鈴森委員  だから、例えば「年間の実施数を報告し」とか、何かそんなものが。 ○松田委員  ちょっと具体的過ぎる。具体的なのはやめた方がいいと思います。ただ、確かに、こ の文があると報告してくださいと言いやすいことも事実なんですよね。検査会社にオー プンにしろと、どこの機関からかはっきりさせろと、そのエクスキューズにはなるのだ けれども、逆に自分で自分の首を締めるようなエクスキューズにもなるんですよね。 ○鈴森委員  適正ということが難しいんですよね。適正というのは何が適正かという、この場合 に。例えば、きちんとカウンセリングしていてもフォールスネガティブだった人は、適 正でなかったからこういう結果になったのだと何とでも言おうと思えば言える訳ですよ ね。 ○山田委員  それは大丈夫だと思いますけれども。 ○松田委員  そこまではいいと思いますよ。ただ、その検査機構を設けるかとか何とか言われる と、ちょっと待ってよと言いたくなる。 ○山田委員  抽象的に検査されるような制度と言うとちょっと具体的過ぎるから、体制の必要もあ るというようなそんなふうに。 ○松田委員  体制ですか。 ○古山委員長  監視ではなくてですか。 ○山田委員  監視よりも注視するとか、少しやわらかい。 ○鈴森委員  監視はちょっと厳しいですね。 ○山田委員  実施されるような体制が必要であるとか。 ○長谷川委員  どこがというよりも、やはりみんなでそれを見ていかなければならないということで すよね。別に、専門委員の責任とか逃れる訳ではないのですけれども、ある部分だけで やるのではなくて、それこそ国民的に見ていってほしいということですよね。 ○小田母子保健課長  多分、これは提案された委員の先生の考えは、ただ単にこれを出しっ放しでよしとす るのではなくて、きちんと継続的にフォローしておく必要があるのではないかというこ との中で、幾つかの具体的な提案をされたと思うんです。ここは主語は、行政と関係学 会ですから、確かに監視というのは非常に難しいかもしれませんが、一つの代わる言葉 として注視という言葉も出ましたが、普通よく我々が行政として行うのは適正に実施さ れるよう指導するというような言葉が通常は使われるんです。そうすると、関係学会も 医療機関に対して指導するということは可能でしょうし、行政の関係の検査機関あるい は医療機関に対して適正でないというふうな情報が入った場合に指導するということ も、これは可能なんです。指導というのは、法律的に基づいて行う訳ではなくて、法律 的な権限がない場合でも行政的な指導というのはあり得る訳ですから、何かそういう指 導などというのも一つの選択肢に入れて検討していただければと思います。 ○寺尾委員  例えば、もし、先ほどのフォールスネガティブで実際にダウン症の子が生まれてしま ったと。それは、その先生がきちんと説明しないものだから、こういうことを受けてダ ウンで産んでしまったと。それは、国がきちんと行政指導、監督指導をしないからだ と、既にこういう子が出ているではないかと。要するに、国が監督責任を負うかどうか という問題にもかかわることですよね、この一文は。要するに、その医者の指導が悪い という。 ○松田委員  それはあくまで、その医者個人ですよ。言っていないとすれば。 ○寺尾委員  だけれども、監督と言っている。 ○松田委員  ここは、そこまでは言及しないのではないかな。 ○寺尾委員  だから、その医者本人及び国を訴えるということはあり得ないとは言えないのではな いかという気がするのですけれども。 ○松田委員  では、指導にしましょう。監視なら関係するかもしれないけれども。 ○山田委員  今おっしゃったように指導なら指導でいいですね。 ○寺尾委員  だから、これは医者に対しては言わない場合はいい訳ですよね。要するに、何もしな い場合はいい。医師がトリプルマーカー検査をする場合、しかも、きちんとインフォー ムド・コンセントを取らないでした場合に起こるトラブルというのは発生し得る。 ○松田委員  それはあります。それは、あくまでもその医者本人の責任です。そうでしょう。だか ら、指導ならいいのではないですか。  先生、やはりこのまま何もなしでやったらいいですよというのは、ちょっと問題もあ るんです。やはりやった以上は、何らかをちゃんと繰り返し見ていった方がいいですよ ということは言った方がいいと思います。 ○鈴森委員  それは、そう思います。 ○松田委員  ただ、それをいきなり監視という言葉でやってしまうと強いなという気がして、私は 丸をつけたのだけれども、指導ならいいのではないですか。 ○古山委員長  4ページの新しく入った文章に議論が移ってしまっているのですが、どうせこれはや らなければいけないので、今、決めてしまってもよろしいのですが。 ○山田委員 みんな関連していますから。 ○古山委員長  今ちょうどみんな熱く論議していますので続けることにいたします。追加され文章で 監視するという文言を指導するに置き換えた文章でよろしいでしょうか。やはり具合が 悪いですか、寺尾先生。 ○寺尾委員  私は、反対している訳ではないです。 ○長谷川委員  もっといい言葉があれば出していただければ。 ○古山委員長  武部先生はいかがですか。 ○武部委員  大して変わらないですけれども、結局、一番厄介なのは主語がないから、先ほど厚生 省は関係学会と行政と両方言われたから。 ○松田委員  項目だから、前のページの方に後ろの方にあれば。 ○武部委員  この「また」以降全部、一切主語がなくて。 ○古山委員長  行政・関係学会等が指導する必要があると、そこまで要りませんか。 ○長谷川委員  その上の文章の主語がなかったのは、これは行政・関係学会だからいいのだと思うん ですよ。だから、それでいいのではないですか。その前にもないですか。それが全部上 に行くからということで。 ○松田委員  これを印刷するときに、この3ページの一番下の1行が4ページ目のトップに上がっ ていればいいのだけれども。 ○古山委員長  最後から2番目のフレーズに「行政・関係学会等の一層の努力が必要である」という 文言があります。 ○長谷川委員  ここは、一番下を上に回してもらえば。 ○松田委員  印刷するときに上に上げて、そうしたらすぐに分かりやすいから。 ○古山委員長  武部先生よろしゅうございますか。主語がないとおっしゃっていますから。 ○松田委員  先生は英語になれ過ぎているんですよ。 ○武部委員  やはり、上の文章とつなげられないかと一生懸命考えているのですが、本当に上の文 章も専門機関が活用されるようというのも、やはり「構築し」というのはだめですか。 ○松田委員 英語にはならないんですよ。主語がないから。 ○武部委員  はい。「構築し」というのは、だれが構築するのか。 ○山田委員  受身で取れば書けますよ。 ○武部委員  構築する必要があるのだったら、やはり日本の政府は結構義務を負います。 ○長谷川委員  今、研究班で動いているのは、これなのではないでしょうか。 ○古山委員長  では、もう少し時間を置くことにして、一番最初に戻ります。1ページの3行目、こ れは「先天異常」を「先天障害」にするかどうかということについては、先ほど十分に ディスカッションをしていただいたと思いますが、大方の御意見では先天異常のままで いいのではないかというような御意見だったように承りましたが、元のままで直さない で、先天異常はそのまま残すと、それでよろしゅうございますか。 ○寺尾委員  先天異常を使わないことが、そんなにも医学的な用語を逸脱していますか。 そんなにむにきなって先天異常という言葉を使わなくても、障害という言葉がやさしけ れば障害でいいではないですか。「異常」という言葉を使わないことが、そんなにも医 学的なことから逸脱することかどうかということなんです、私が聞きたいのは。これは 医学的にどう見たっておかしい、こんな言葉をこれに使うというのはおかしいのではな いかと。 ○松田委員  障害と異常は違うんですよ。 ○山田委員  私は、意味が違うかどうかの問題だと思います。 ○松田委員  違うと思います。異常があっても障害がない人はいるではないですか。 ○寺尾委員  それは、そうなのですけれども。 ○長谷川委員  治療は要らないですね、異常があって障害がないと。だから、そういう意味では。 ○松田委員  先天異常学会というのはあるけれども、先天障害学会というのはないではないです か。メディカルタームとして、どちらが正しいかになったら当然、先天異常ではないで すか。 ○武部委員  私は、先ほど遺伝相談のところで修正したあの言葉を、そのままもし、ここへ生かし てもよければ、そうしていただく方が統一性が出来ていいと思います。私は、先天性障 害や遺伝性疾患という言葉を使った訳ですが。 ○古山委員長  そういたしますと、4ページと5ページもそうなるんですね。 ○武部委員  5ページにも先天異常というのが下から10行目ぐらいにありますね。 ○寺尾委員  殊に、最初のところは非常に総論的なすごく広くとらまえているところですよね。余 り限定している訳ではないような気もするのですが。 ○武部委員  ですから、この3か所を、ほかにもあるかもしれませんが「先天性障害や遺伝性疾 患」というふうに。 ○寺尾委員  5ページは分かるような気がするんです、その方がいいと思うのですが、最初のとこ ろはそんなにこだわる必要もないような気もするのですが、どうでしょうか。 ○長谷川委員  先天異常という言葉が、一つには前に出てきているのがすごく目立ったということも あるかなと今思ったので、「治療が可能な場合が限られている先天異常においては」と か中に入れると、もうちょっとやわらかくなるかなという気もしたのですけれども。 ○鈴森委員  一般的に、先天性障害という言葉は医学的に余り使わないのではないですか。 ○長谷川委員  障害の概念というのは、また考えないと。 ○松田委員  障害の概念もどんどん変わってきたんですよ、また、今も変えつつあるんですよ WHOが。 ○長谷川委員  「異常」と言った方がすっきりはしますね。 ○松田委員  今、障害に関する第二次案が出ていて、出来る出来ないとか、障害という言葉の意味 そのものがむしろかえって難しいんですよね。ところが、先天異常という言葉はメディ カルタームとしては非常にすっきりしているんですよね。 ○長谷川委員 一応、正常と異常の定義というのはあって、5%の頻度の境になるとか。それから、 例えば、奇形という言葉になりますけれども、小奇形なども異常ですけれども、障害を 通してほとんど認められない場合もある訳です。ですらか、そういうので割合に先天異 常というのはきちんとした定義がされていますので、確かに。 ○松田委員  障害の方で規定されていないんですよ。 ○長谷川委員  主観的なものが入りますね。 ○松田委員  この前あった規定がまたもうすぐ変わるのですから。そのためにすごく分厚い文書を WHOが出しているんです。 ○長谷川委員  この先天異常という言葉を余り前に出さないというのもどうなのかなと思ったのです けれども、ぼんと一番最初に出てしまっているというのが、かなり目立ったという感じ がします。 ○武部委員  治療が可能な場合と書いてありますから、異常よりも障害の方がふさわしいようには 思います。 ○長谷川委員  異常でも、例えば、先天代謝異常は障害でぱっと言いにくいと思うのですが、先天代 謝異常は治療が出来ますよね。 ○寺尾委員  この4ページのところと、それから、5ページに関しては先天異常でいいのではない かと私は思うのですけれども。4ページの3行目。 ○武部委員  4ページの3行目の話は、先ほど申しましたように、遺伝カウンセリング、遺伝相談 という言葉がある訳です。ヒアリングでダウン症の方が非常に強く遺伝相談という言葉 を使ってほしくないという表現だったために、わざと2つに先天障害、遺伝性疾患とい う表現ではどうかと言ったら、それなら納得するという意味のやりとりがたしかあった と思うんです。これは余り科学的な議論を経ずに、せっかくのヒアリングをやった機会 のヒアリングの要望を生かしたと。ただ、それに対しては先ほど言いましたように、で は、ダウン症は遺伝ではないということを余り強く言うのは、かえっておかしいのでは ないかという意味の議論を、実はそのときは余りしなかったのですが、松田先生からそ ういう御指摘があって、遺伝子の広い概念から言って遺伝という概念でちっともおかし くないし、遺伝カウンセリングという言葉は世界的に定着しているという強い御指摘が ありましたね。 ○松田委員  ただ、はっきりしたメディカルタームを定義なしに、例えば、障害というのはディス アビリティー、ディスオーダー、ハンディキャップ、それぞれ違った言葉でも言える し、その定義すら今また変わろうとしているのに、そういう定義のあいまいの言葉を無 理やりここで使わなければならない理由がないと私は思うんです。先天異常ということ がはっきり分かって、メディカルタームとして存在しているし、その定義があるのだか ら、それは変わらないのだから、なぜその定義があるものをメディカルタームを医者向 けにつくるのに、これは99%医者向けにつくっている訳でしょう、はっきり言えば。そ の言葉をなぜ変えなくてはいけないのか、私には理解出来ない。 ○古山委員長  1ページの先天異常のところで止まってしまっているのですが、解決しないことには 先に進まないですよ。今のところ武部先生が、先天異常を4ページの先天性障害や遺伝 性疾患というものに置き換えたらどうかということですが、ほかの先生方は先天異常の ままでいいのではないかと。ほかに先生方と言っても全ての委員の御意向を拝聴した訳 ではないので、安藤先生いかがでしょうか。 ○安藤委員  私も、今まで先天異常というふうに使ってきたものですから、私はこれでいいのかな と。 ○寺尾委員  先天異常でいいです。 ○古山委員長  武部先生もいかがですか。置き換えた方がいいですか。 ○武部委員  私は、4ページの方が受け入れられたという前提で統一した方がいいのではないかと 思ったということです。  それから、確かに医学用語であるいうことで、私も基本的にはそれでいいのですが、 どこかに御指摘もあったように、少なくとも国民に広く意見を聞いてということをやっ てきた以上は、それから、親の委員会でもお2人の方から指摘があったという事実は、 やはり重く受け止めて、それがよほど強い反対理由でなければ、つまり、こちらがそれ は納得出来ないということでなければ、軸の修正が本質的な意味を変えることなしに出 来るならばした方がいいと。つまり、変な話ですけれども、御意見がせっかく出たもの を、あえて全く無視するような結果になるほどの強い言葉ではないというのが、あいま いな表現ですが。 ○長谷川委員 お2人は先天性障害の方がいいとおっしゃったのですか、具体的には。 ○北島課長補佐  何かいい言葉がないかということで、すぐ思いつかないということだったと思い ます。 ○長谷川委員  先天異常より先天性障害の方が、私はちょっときついのではないかという感じがする のですけれども。 ○北島課長補佐  木村先生の4ページのところは、こう書いてあるではありませんかという御指摘はさ れておられました。 ○山田委員  多分こちらの方が専門家がそろっているから、こちらの意見を通しても別におかしい とは思わないですけれども。 ○古山委員長  木村先生は、異常ではなしに変異だったらどうかというような、ちょっと意味が違っ た形でおっしゃられているんです。 ○松田委員  異常を原因と変えると言ったんです、最初。だから、それは私は意味が違いますよと いう話から全部説明したんですよ。 ○山田委員  それは、こちらの方が専門家でちゃんと使っておられる方が多いのですから。 ○長谷川委員  確かに、異常という言葉は、あの人は異常だというふうに。 ○松田委員  それとは違うんですよね。 ○長谷川委員  だから、一般にそう思われるのでということなのですよね。ですから、もし何だった ら、どこかにちょっと一言書いておくのも必要なのではないかと。ただ、医師向けとい うことを限定してきちんと書いておく必要があるのかもしれませんね。 ○松田委員  もう一つのやり方は、この後に出てくるニューラル・チューブ・ディフェクトがある でしょう。あれと同じように括弧して英語を入れておくとか、それでどうですか。 ○古山委員長  併記すると。コンジェネタル・アノマリーという。 ○松田委員  そういう言葉もあるのだから、英語を括弧して入れておいたらどうですか。そうする と、医学タームというのは非常にしっかりしていますから。まして、医師向けに使う訳 でしょう。我々の今の話は、一般の人も勿論見るけれども。英語でもってはっきりテク ニカルタームを入れておけば、早い話が先ほどのニューラル・チューブ・ディフェクト にしても、学会によって違う言葉を使っているという話でしょう。先天異常学会と脳神 経学会が。そんなのは絶対に英語でもってテクニカルタームを入れておいた方がいいで すよ。 ○古山委員長  いかがですか。松田先生の御意見は。 ○山田委員  英語で逃げるというのはいいと思いますね。 ○古山委員長  武部先生、英語を入れてというのは。本質的にちょっと違うかもしれませんけれど も。 ○武部委員  先天異常学会は英語で何と言うのですか。 ○鈴森委員 アメリカはテラトロジーですね。日本ではジャパニーズ・テラトロジー・ソサィエテ ィーと言っています。 ○松田委員  その方がもっと厳しいですね。奇形ですからね。 ○古山委員長  そうですね、学会名はテラトロジーかもしれませんね。 ○松田委員  コンジェネタル・アノマリーでいいのではないですか。 ○鈴森委員  雑誌はコンジェネタル・アノマリー。 ○長谷川委員  先天異常はコンジェネタル・アノマリーですよね。 ○古山委員長  武部先生の御提案は、4ページの言葉と統一したらいかがかと。 ○鈴森委員  4ページの武部先生のおっしゃったのは、カウンセリングという言葉の前に遺伝がつ くのが困るから、こういうふうに変えられたらということですから、ここはこれで私は いいと思うんです。 ○山田委員  私も、そう思います。 ○古山委員長  だから、それを全部に統一したらどうかということをおっしゃられたんですね。人数 的には先天異常でよろしいという方が圧倒的に多いようですけれども。武部先生、それ でよろしゅうございますか。 ○武部委員  結構です。 ○古山委員長  では、3行目のところは「先天異常」のままにするということで、次に行きます。  5行目に「ひいては」という文言を入れるということですが、これはよろしゅうござ いますか。御異論がなければ、そのようにさせていただきます。  では、9行目「優生思想に基づく人工妊娠中絶等」だったのをその前に 「優生手術、」というのを入れるということですが。 ○松田委員  これは、「人工中絶等」の中に入らないのですか。この文は、武部先生がつくってく ださった文ですよね。 ○武部委員  これは、確かに、私もその後でもう一遍御指摘を受けて詳しく見たのですけれども、 優生手術と人工妊娠中絶を両方併記してある訳ですね。ですから、私もこれに似たこと を言ったときに先生方から御指摘があったのは、やはり優生手術は胎児を中絶するとい うのと別であって、人工妊娠中絶だけについてここでは議論するのだから、優生手術の ことは触れないでおこうということになったと私は思っているんです。ですから、優生 保護法の精神はまさにこのとおりであって、優生手術というのが非常に大きく出ていま す。優生手術という項目もありますが。しかし、それは、こことは関係がないのではな いかと。ですから、優生思想に基づきということを強く言われると、当然両方書かなけ ればいけないけれども、優生思想を否定するという意味で、ここではそうではないとい う意味で、特にこれは加えなくていいというのが私の判断です。 ○古山委員長  これは「条項」という言葉が入っているので、オリジナルの言葉を入れた方がいいの ではということですね。 ○武部委員  ちょっと私も、今、手元に持っていませんから条項の中に並べて2つ書いてあったの か、それとも条項が別だったか知りませんが。 ○古山委員長  これは2つ併記してあるんですよね。 ○武部委員  併記ですよね。併記というのは2つ並べて項目として。1つの条文の中に、このとお りに優生手術、人工妊娠中絶とは続けては書いてなかったですね。 ○小田母子保健課長  もともとは不妊手術と人工妊娠中絶です。 ○武田主査  今は、不妊手術です。 ○小田母子保健課長  その不妊手術のところが優生手術です。  それから、この「等」はいわゆる優生相談所がなくなっていますから、そういうこと で「等」ということで読んでいるということなんです。 ○武部委員  厚生省の御見解としては、ここでは優生手術というのは追加した方がより妥当です か、文章としては。 ○小田母子保健課長  私が、そのときにお話しさせていただいたのは、この母体血清マーカーと関連すると いうことで人工妊娠中絶という文言を全面的に出したわけですが、ただ、優生思想との 関連からすると、優生手術という文言を入れてもいいのではないかというふうにお話は させていただきました。そもそもの趣旨から言うと、人工妊娠中絶でいいということで あれば、それはそれで専門委員会の考え方としてよろしいのではないでしょうか。 ○松田委員  私は、武部先生がつくられたんだし、先生がどこまで。責任を先生にかぶせているの ではなくて、先生が今の議論を聞かれてどう思われたか、かなり私は大きいウエートと して。 ○武部委員  私は、優生思想に基づきという文章が前にあると、優生手術、人工妊娠中絶というふ うに精神を生かした表現をすることは、前文ですから、この修正案は十分受け入れられ ます、はっきり言いまして。まさか優生手術が今後復活するおそれはないと思いますの で、そのブレーキにもなると。 ○古山委員長  では、入れてよろしい訳ですね。 ○武部委員  賛成です。 ○古山委員長  では、その下の「倫理的、社会的」に心理的を加えることについて。この心理的なも のを加えるというのは、4ページに「心理的、社会的」というのがあって、これを両方 とも統一して「倫理的、心理的、社会的」でしょうか。この原稿では、「倫理的、社会 的、心理的」になっています。順番はどういたしましょうか。 ○松田委員  この順番だと思います。 ○古山委員長  「倫理的、社会的、心理的」ですね。では、4ページは逆になっていますけれども。 ○松田委員  前の方がいいと思います。よく英語のタイトルで使うのは、その順番になっていると 思います。 ○古山委員長  「心理的」は最後ですね。では、「倫理的、社会的、心理的」といたします。 それから、その1つ下の行で「広く他分野の」とあったのを「多くの」というふうに 変える点については御異論ございませんか。 ○松田委員  広くと多くとどう違うのでしょうか。 ○北島課長補佐  この御指摘は、「他分野の」というのは検討の中に医学関係の方も入っておられると すれば、ほかの分野ということではなくて多くの分野ではないかという御指摘だったん です。 ○松田委員  広くでしょう。 ○山田委員  「医学のみならず」だから、医学以外のになっているんですね。だから、「他」とい うのは医学以外の分野のという意味なんですよね。 ○古山委員長  「他」というのは医学以外ですね。 ○山田委員  だから、それでよろしいのではないですか。「広く」で多くは入っているし。これは 他分野でいいと思いますよ。 ○松田委員  元のでいいと思うんですよね。木村さんが言ったのは「他」という字が誤字ではない かと。「多」という言葉の誤字ではないかと言ったので、私は違う、元のでいいと思う んですよね。「医学のみならず、広く他分野の」だから。 ○古山委員長 事務局の方ではいかがですか。「他」は、このままでいいですか。 ○北島課長補佐  どちらでもいいのではないかと思いますが。 ○長谷川委員  「他」という字を使うから、何か他人事みたいな感じがするのもあったのかもしれま せんね。 ○松田委員  彼は、誤植だと言ったんですよ。 ○古山委員長  これは「他」ではなくて「多」ではないかと。 ○松田委員  だから、そんなことはないと言おうと思ったんだけれども。 ○長谷川委員  他者だよというような感じがするという感触があるのではないかなという感じがする のですけれども。 ○寺尾委員  「医学のみならず」だとね。 ○松田委員  元のとおりにしましょう。彼一人の意見に振り回されることはない。 ○長谷川委員  では、「広い分野の」とかやったらだめですか、「他」という字を消してしまった ら。 ○松田委員  先生、「他」が要るんですよ。医学以外なんだから。 ○長谷川委員  「のみならず」と書いてあるから、もう以外に決まっているんですよね。 ○山田委員  そうですよ、通りますよ。 ○長谷川委員  「広範な分野の」とか、そういうふうにしてしまって。「他」という言葉に抵抗があ るのではないかと。 ○松田委員  そんなに気にする言葉ではないですよ。 ○寺尾委員 これは、医学の話なんだから。 ○松田委員  だから、元のでいいですよ。彼は、少しでもあれば言いたいだけなんですよ。 ○古山委員長  「多くの分野」でもおかしくはない。 ○松田委員  おかしくはないですけれども、「医学のみならず、多くの分野の」でもいいですね。 ○山田委員  そうしたら「広く」をなくせばいい。 ○松田委員  では、「広く」をやめましょう。「広く、多く」は要らないですよ。2つ重ねる必要 はない。 ○古山委員長  では、そうしますか。では、いいですか。 ○武田主査  では、原案どおりですか。 ○松田委員  「広く」を取って「多くの分野」。 ○山田委員  「分野」に「S」をつけるんですね、本当は。 ○松田委員  そうですね。括弧して複数と書きましょう。 ○古山委員長  では、1ページはそれで終わりにいたします。  次は、4ページの2行目は「倫理的、社会的、心理的」になります。  それから、6行目「望まれる」というのを「必要である」に置き換える。 ○山田委員  「望まれる」は、ちょっと無責任かもしれないですね。 ○古山委員長  これは、これでよろしゅうございますか。 ○松田委員  「必要である」でいいのではないですか。 ○古山委員長  それから、つけ加わった2行ですが。 ○松田委員  「指導」にしてください。 ○古山委員長  「監視」を「指導」に変えるだけで、この文章を入れることはよろしゅうございます か。武部先生何かございますか、よろしいですか。先ほどから、ちょっとまだ。これは 主語がないというので。 ○武部委員  いいです。変えるなら全部変えないと、この前から。 ○古山委員長  では、5ページに行かせていただきます。真ん中辺りといいましょうか、「思いやり のある態度で」というのを「共感をもって」というのに置き換えるということですが。 ○長谷川委員  共感はいいのですけれども、共感を持ってという日本語がちょっと変ではないかと思 うので、思いやりがあるというのは共感とちょっと違った意味というか、温かいという かそういう意味で出したと思うんです。冷たい態度ではなくてという意味で出したの で、共感というのはお互いの共感であって、医師がどういう態度でというのはちょっと 違ってくると思います。ですから、共感を持ってという日本語が引っ掛かります。 結局、思いやりがあるというのは、そういう意味で初めつくったと思うんです。 ○山田委員  「共感をもって」は木村さんの言葉ですか。 ○松田委員  私は、思いやりを持ってというのは別に問題はないと思ったのだけれども、それはパ ターナリズムだという言い方をしたから、遺伝相談のときの説明文の中にいろいろある のだけれども、医師は患者さんに対して共感を持って接しなさいという言葉があるのだ けれども、そのことを思いやりを持った態度というふうに言っているんだと思います よ、そういうふうに私は説明したんです。そうしたら、彼がその言葉をそのまま使った 方がいいのではないかと言ったんです。 ○古山委員長  ですから、これは「思いやりのある態度で」というのをちょっと別な言葉の方がいい のではないかという御指摘ですね。 ○松田委員  彼はそう言うのだけれども、私は思いやりのあるでいいと思っているんですよ。思っ ているのだけれども、それはパターナリスクだと言われたらね。 ○山田委員  それは、しようがないですよ。 ○古山委員長  ほかの先生方いかがでしょうか。「共感を持って」というのは、ちょっと違うかもし れませんね。 ○長谷川委員  最初「温かい心で」という言葉を出したと思うのですけれども、当たり前と言えば当 たり前かもしれないのですが、そうでもない現実があるものですから。 ○松田委員  たしか、遺伝相談の中にあるんですよね。共感を持ってというのは。だけれども、別 に変えなければならない理由はないですよね。 ○山田委員  これは、なくてもいいんですよ。 ○安藤委員  「共感をもって」というよりも「共感的な態度で」という、本当にお互いを。 ○長谷川委員  共感という意味が分からないと思うんです。共感というものの定義をしなければなら なくなるから、ちょっとここでは共感というのは無理ではないですか。 ○山田委員  共感はするんですよね。 ○長谷川委員  共感というのは情緒と理性を込めたお互いの認識の共有なんですよね、定義として。 ですから、共感といっても人によっては共感と同情とか一緒になってしまう人もいるの で。 ○山田委員  同情ではないですよね。 ○長谷川委員  ではないですけれども、知らないドクターはそう思う人がいるんですよ。 そういうふうに取られると困るので。だから、ちょっと共感という言葉は知らないと。 ○山田委員  「思いやりを持って」とか何か。 ○長谷川委員  思いやるというのが上下関係を感じられるのでしょうか、木村先生は。 ○松田委員  彼はそうみたいですね。そう言っていましたね。医者の方から何か相手を見下すよう な、そういう思い上がりが医者の方にあるのではないかと。 ○長谷川委員  では、奥さんが夫に思いやりを持つというと、やはり上下関係が出るのですか。 ○松田委員  難しいですね、それは。 ○山田委員 思いやりというのは対等ですよ。 ○長谷川委員  対等ですよね、私は対等ではないかと思いますが。 ○松田委員  では、元のにしましょう。私は、彼が納得してくれなかったので、それは共感を持つ だと言ったら、ああそうかと彼は納得したから。 ○古山委員長  安藤先生、いかがですか。 ○安藤委員  それでよろしいと思います。 ○古山委員長  元のままで「思いやりのある態度で」というのは、そのまま残すということでよろし ゅうございますか。  では、その2行下の「生まれてくる子どもは常に」というのを「誰でも」と。これ は、高久先生の御指摘ですね。 ○松田委員  そうですね。これは確かにおっしゃるとおりですね。ちょっと強過ぎましたね。 ○古山委員長  それから、下から4行目で、(2)ですが「障害はその子どもの一側面でしかなく」とい うのを「個性の一側面」というのを入れるということ。 ○松田委員  最近よく使われる言葉ですね。 ○古山委員長  よろしゅうございましょうか。  それから、(3)下から2行目ですが「不幸は本質的には」というのを不幸は関連がな い、「本質的には」を入れる。 ○長谷川委員  分かりやすく、理解しやすくなるのでいいのではないですか。 ○山田委員  でも、本質的にはと言うと、何か関連があることは肯定していることになるんですよ ね。 ○武田主査  すみません、先ほどのところですが、ちょっとワープロミスがございまして、「個性 の一側面でしかなく」ではなく「個性の一側面であり」の方がポジティブだという。 「でしかなく」では否定的だと。 ○松田委員  その方がいいですね。 ○山田委員  「本質的には」を入れると関連はあるのだけれども、本質的な関連ではないという。 まあ、入れてもいいですね。 ○長谷川委員  「個性の一側面であり」ですか。そうすると、障害がかなり大きくなりますよね、ウ エートが。一側面でしかないと言うと障害が小さく見える訳ですよね。ですから、そう いう意味で「個性の一側面である」というと、一側面でないよりもウエートがかなり大 きくなるかなという。 ○武田主査  否定的かポジティブかという、障害をどうとらえるかという話だと思うのですけれど も。 ○長谷川委員  でも、その人がとらえても一般には障害というのはポジティブにとらえられていると いうのは、よほど障害と一緒に育ってきた人だけなので、「あり」と書くと障害という のは重いものだというところしか取られないような感じがしますが。それは木村先生か らの御指摘ですか。 ○武田主査  そうです。 ○北島課長補佐  木村先生のは、「一側面でしかなく」というやや否定的な表現になっておりますが、 これはむしろ、障害はその子どもの個性の一側面であり、障害という側面だけから子ど もを見ることは誤りであるというふうな表現の方が、もっと前向きでポジティブで、障 害というのは豊かな子どもの個性の一種の発現としてとらえる方々が多くなってきた訳 ですので、そういうとらえ方が必要ではないでしょうかという御発言です。 ○長谷川委員  余り多くなっていないのではないかと思うのですけれども、そんなに多くなったら、 これは要らないのではないかと思うのですけれども。見解も要らなくなってしまうので はないかと思います。 ○松田委員  「一側面でしかなく」の方が、むしろ説明としても分かりやすいですかね。 ○山田委員 それで意味が通るのだから。 ○長谷川委員  木村先生のおっしゃることはすごくありがたいとは思うのですけれども、そういう方 が増えてくれれば。 ○松田委員  一側面でしかないではないかという感じですね。 ○長谷川委員  今の現実としては、やはり障害はポジティブに見るのはちょっと強い過ぎるのではな いでしょうか。実際、患者さんを見ていてそう感じます。 ○山田委員  やはり、ここは否定的に。 ○武田主査  ここは「個性」も。 ○長谷川委員  それはいいと思います。 ○松田委員  長谷川委員の意見に同感です。 ○古山委員長  では、これで修正意見に対する本委員会での作業は一応終了したことになりますね。 ○北島課長補佐  最後に一つ。下線は引いてないのですけれども。 ○武田主査  7ページの5の部分です。 ○鈴森委員  これが、指摘されたのは分かるんですよね。自ら適切なものを用意するという文言で すよね。例えば、着床前診断などについては、同意書を取ってきたと書いてあっても、 初めから着床前診断しかないという同意書なんですよ。そういう同意書は幾らでも出来 るんですよ、自分からつくろうと思うえば、全く客観性がない。ですから、かえって自 分でつくれと言うと、自分のしやすいように方向性を向けたものが実際に出てきている んですよ。着床前診断でもこの内容で納得したかをたずね、これがインフォームド・コ ンセントになってしまっている訳です。多数の中の選択肢の一つとして、存在するとい うふうには書いていないんです。そうすると、自ら適切なものをつくるということは、 勝手にどういうふうにも出来るんです。 ○松田委員  髄分怖いですね。確かに、この文だけ見たら、その前に会社がつくっているというこ とがあるから、我々はこれで納得したけれども、この文だけ見て会社がつくったから、 つくらなかったからということを抜きにしてこの文だけ見たら、やはり怖いですね。こ れは、やはりディスカッションが要りますね。 ○武部委員  具体的には、結局ざっくばらんに言って倫理委員会が隠れみのになっているからなん です。ですから、倫理委員会というものが本当に公正につくられて、外部の方の意見も 入れてつくられておれば、当然そこはチェックされるべきなんです。これは、先生も御 存じだと思いますが、最近たしかネイチャーかサイエンスのどちらかだったと思います が、アメリカでインターナルレビューシステムがいかにあるべきかということで、政府 から委員会の構成自体がなっておらぬとお金を止められたという、それからくらいの制 約がないといけないし、私どもは絶対業者がつくるよりドクターがつくった方がいいと 思うのですが、もう一つのバリアが出来ていないというところに問題があるんですね。 しかし、そこまでここで触れるというのは非常に難しいので、何か「適切な」とかそう いう表現がないと、確かに御指摘の、これはまた木村先生だと思いますが、アメリカの 事情を知っている人だったら、これはとんでもないということになると思います。 ○松田委員  私もそうだと思います。 ○長谷川委員  ただ、用意しても、この見解案から外れたものではいけない訳ですよね。その辺りを 書いてくぎを刺したらだめですか。だから、これにのっとらなくても勿論自分でつくっ ていい訳ですよね。 ○鈴森委員  「この見解に基づいて作成し」と。 ○山田委員  そうですね、そういうふうに。 ○松田委員  それは、いいですね。これは、最初は何でしたか、見解にしたのでしたか、見解です ね。それは、いいですね。「この見解に基づいて、自ら適切なものを作成する」です か。「用意する」というよりも「作成」ですね。用意すると言うと、会社が用意したも のがあるものだから、つい我々は医者が用意したと思ってしまっただけで。 ○北島課長補佐  自ら作成するのか、学会等で作製したものなどで適切なものを使うのかというところ で議論があり、たしかワーキンググループの時は作成するということに限らず適切なも のがあれば、その判断で用意することも含めてという話だったような気がするのですけ れども。 ○松田委員  本当なら、前半分が医者が書いて、後ろ半分をダウン症協会の人が書くとか、何かそ ういうものがあっても私はいいのだろうと思うんです。ちゃんと用意されていれば。確 かに、この文だけではおかしいですね。 ○長谷川委員  「自ら」というのがどうなのでしょうね。 ○松田委員 そこですね。 ○武部委員  確かに、この見解だけで適切なものを用意するというのをここで書くと非常に難しく て、これは、ありとあらゆるインフォームド・コンセントのフォームにすべて共通すべ きことなんですね。あらゆる医療行為における。ですから、今のお話では当然この見解 の趣旨に沿ったということを入れるしかないと思うのですが、もうちょっと大きく言え ば、私は日本医学会なり医師会というものがインフォームド・コンセントはいかにある べきかということをもっと医師全体に広くやるという、もっと上をかぶるようなものが ないと、ここだけで言ったって全然意味が弱いと思います。つまり、めくった人がぴん と来ないです。私が言うのは、これも松田先生と同じかもしれないですが、外国云々と いうのはいやなのですけれども、イギリスのメディカル・アソシエーションがつくった こんな立派なジェネティック何とかという本がありますね。そういうところに非常に詳 しく何はすべき、何はしてはいけないということを箇条書きにしてありまして、そうい うものが今の日本の医学組織の中で全くないということから、我々までが一検査に対し てこんなことを言うようになっている、これは本当に全然言う必要がないことだと私は 思うんです。だから、強いて言えば、本見解の趣旨に沿ってというふうにやるしかない と思います。 ○松田委員  そうでしょうね。医師は、この見解に従って適切なものを用意する、それしかないで すね。 ○武部委員  それ以上書いたら見本をつけろとかすぐなりますから。そんなことは出来っこないで す。 ○松田委員  日母はどうですか。 ○寺尾委員  特に作成する用意はございませんけれども。 ○松田委員  先生、作成する用意があるようにしていただけませんか。 ○武部委員  やはり、学会というのは弱いんです。学会は結局、任意団体ですから下手すると除名 して終わりになってしまいますから、私はせめて日本医師会なり日本医学会辺りが、か なり本格的なものを1年掛かりでつくらないといかぬと私は最近そう思うようになりま した。これをやっていると半分以上そうですよ。大原則があったら、こんなうちの委員 会で審議することは何もないんです。 ○松田委員  それは、そうです。先生、日本医師会だけではだめですよ。 ○武部委員 だめですね。医学会に行っても、医学は総会をやる以外何もやっていない訳です。 ○松田委員  少なくとも弁護士会ほどは強くない。 ○古山委員長  御意見は大体出そろったようですから、7ページの真ん中辺り「検査の説明文書や同 意書は、医師が自らこの見解の趣旨に沿った適切なものを用意する」と。 ○山田委員  「自ら」は入れるのですか。 ○古山委員長  入れませんか。 ○松田委員  「自ら」になると危ないという。 ○武田主査  「本見解の趣旨に沿って」ですか、「従って」ですか。 ○松田委員  「基づいて」ですかね。 ○安藤委員  そうしますと、この適切なというところは、やはり4ページにあります「本検査の実 態を把握するとともに、本検査が適正に実施されるよう指導する」というところに掛か ってくる訳ですよね。学会とか行政が、こういうものも指導していくということに掛か ってくる訳ですよね。 ○武部委員  先ほど終わったことですが今御指摘があったので、4ページですけれども、もう一度 ちょっと戻ってよろしいですか。結局、今おっしゃったように、学会か行政かという非 常にあいまいなことなのですけれども、私はいろいろ見ていると、この中で出てくるの は専門機関というのをつくらなければいけない、場合によったら登録もすると、専門機 関が活用されるようにするというので、結局、何となく専門機関というのが出来ないこ とには何も進まないような感じがします。幸いに、専門機関は今つくろうといいます か、そういった大きな厚生省を中心にありますので、例えばこういう形で、また、これ らの専門機関が活用されるから、最後の「必要がある」までを専門機関が活用されて、 その専門機関が医療機関及び一般市民への適切な情報を提供する、また、本検査の実態 も把握する、本検査の適正な実施を監視するなどの体制が整備されることが必要である というふうにすれば、主語が非常にはっきりして専門機関が出来た暁には、それがやっ てくれるということになると思うのですけれども、それでは余りにも頼りないですか。  もう一遍言いますと、「また、これらの専門機関が活用され、医療機関及び一般市民 への適切な情報の提供、本検査の実態の把握、本検査の適正な実施の監視などの体制が 構築されることが必要である」というふうに下の4行の文章がまとまれば、少しは責任 がはっきりする。しかし、逆に言うと、専門機関が出来るまでこちらは何もしないでい いと。 ○山田委員  上で増えていくようには書いてありますからね。とりあえずは。 ○古山委員長  この専門機関というのは、専門的なカウンセリングが実施出来る機関のことですか。 ○武部委員  その上に漠然とした概念が書いてある訳ですね。いろいろなことをこれをすべて専門 機関が増えていくと。私は、どちらかというと主語が厚生省がとなるのは、やはり今の 規制緩和の時代から、厚生省にこれ以上実態調査の必要があればやるとか、あるいは監 視するということではなくて、これは一種の見解ですから、さっきどなたかがおっしゃ った紳士協定みたいなものですから、やはりこれは専門家集団あるいは専門機関がやる べきことであってというふうな印象を持っているものですから。それとも、厚生省は是 非、監視したいですか。 ○小田母子保健課長  というか、やはり社会的に関心の高い問題なものですから、我々もいろいろな方面か ら、実態はどうなっているのだと相当聞かれる訳です。ここで言う専門的なカウンセリ ング機関については、平成11年度に5施設の指定を予定しています。民間の大学等が多 い訳ですが、そこに監視をしろとか実態を把握しろというのは、とてもお願い出来ない ものでありますので、基本的には学会が自主的にやっていただくか、それとも我々がや るかということになります。学会の場合、会員に対してはいろいろ実態の把握も可能で しょうけれども、あるいは指導も可能でしょうけれども、検査会社が学会に対して、な ぜ我々は調査に協力しなければいけないのだと言われた場合には、学会としての実態把 握はなかなか難しいのではないかというような気がしますので、学会も行い、行政も行 えるというようにしておいた方がいいのかなという気がしております。 ○武部委員  私は、ちょっと印象が違いまして、今のお話は学会というものに対する御期待が強過 ぎるように思うんです。学会は確かに専門家の集団ですが、はっきり言って任意団体で すし、専門機関が出来た場合には、今まさにおっしゃったように専門機関がそういうこ とを実施するならば、そこでしか逆に実態把握が出来ないように思うんです。 ○小田母子保健課長  専門機関はカウンセリングですね。 ○武部委員  カウンセリングも含めて。しかし、我々の精神はあくまでもカウンセリングをやらぬ ことには、こういう母体血清マーカーはあり得ないと、カウンセリング抜きではあり得 ないという体制を非常にはっきり出した訳ですから。勿論、母体血清マーカーを実施す る機関ではない訳ですが、カウンセリングがやられているかどうかということ、ちょっ とそれは無理ですかね。済みません、どうも無理なような気がしてきました。古山委員 会も関係している専門機関のイメージが、今の厚生省の御理解と私とでは違いますか ら。私は、カウンセリングだけではなくて、結果的に実態も把握出来る機関だというふ うになるだろうと期待しておるのですが、今のお話ですと、そこまでは期待されていな いという感じですから。 ○古山委員長  では、4ページは撤回されますか。 ○武部委員  はい。もう、しようがないです。 ○古山委員長  では、長谷川先生の御指摘で。 ○長谷川委員  先ほどの6番目の上から何回かありますけれども、開放性神経管奇形という言葉で す。ずっと鈴森先生が出されていた開放性中枢神経管欠損症というのが、ここであった 訳ですよね。 ○古山委員長  これは、先ほど松田委員が英語を併記すると。 ○松田委員  もし、学会が日本語として違うタームを使っているなら、括弧して英語を入れておい た方がいいのではないかという意見を出したのですけれども、実際にそうなのですか。 ○鈴森委員  先天異常学会は知っているんですけれども、中枢神経学会というか脳外科学会は私は どういうふうに言っているかは知らないです。先天異常学会に関しては、この間も確認 しましたけれども、神経管奇形というふうになっています。 ○長谷川委員  先天異常学会は結局、発生の方から来た名前ですよね。ですが、これは臨床的な名前 なので。ただ、あまりはっきりした定義はなくて、例えば、この「開放性」だけにとい う用語があまりないらしいんです。最初は何て書いたか、最初の方の議事録に出ている と思いますけれども。 ○鈴森委員  中枢神経管開存症という英語がないんですよね。 ○長谷川委員  閉鎖不全とかそんなような形だったような気がするんですが、違いますか。 ○松田委員  ニューラル・チューブ・ディフェクトでしょう。 ○長谷川委員  閉鎖不全症とかいう名前の方が。 ○松田委員  本当はそうなのですけれども、先天異常学会が使っているテクニカルタームがあるな ら、それを使わないとおかしいし。 ○長谷川委員  だから、先天異常学会というのは発生上の名前ですよね。ここは臨床的なので、臨床 上の名前にした方がいいのではないかと思います。 ○鈴森委員 臨床上というのは。 ○長谷川委員  だから、先生がされた名前でもいいですし。 ○鈴森委員  神経管閉鎖不全ですか。 ○長谷川委員 それとか、脳外科では脳脊椎というような名前で書いてあると思います。 ○鈴森委員  そうすると、脊髄披裂とか破裂とか。 ○長谷川委員  みんな入ってしまうんですね。 ○松田委員  その方が厳しいですね。 ○長谷川委員  脊髄裂と書いてあるのもありますよね。余りきちんとした名前というのが ありません。 ○鈴森委員  それだから、神経管欠損か神経管奇形。だから、ディフェクトと言うとやはり奇形と なってしまっているんですね。 ○長谷川委員  ただ、奇形というのは、実は私もいろいろな医療関係者も含めて、イメージテストを やったときにすごくネガティブだったのと、気味が悪いというような発想とか、そうい う感覚がかなり強かったんです。ですから、医療の関係者であっても奇形という名前に 対しての抵抗があるのかなと思ったので、この奇形という名前は。奇形の定義というこ とに対しても、やはり先天異常学会の人ぐらいしか定義はよく分からないと思うので、 先天性の形態障害、形態不全といいますか。ですから、奇形と言ってしまうということ がやはり、本当は奇形というのはまれな形という意味ですから、何ら感覚的、感情的、 情緒的な意味はないはずなのですけれども、それがやはりそういうよくないイメージが かなり強いだろうと思うので、あまりこういうところに使わない方がいいのではないか と私は思います。確かに、このイデニクスから出している案内には、神経管奇形と書い てあります。神経管の奇形が分かるというのも医学的ではないと思います。ディフェク トと言うと、やはり欠損症だと思うんですよ、それか不全か。 ○鈴森委員  例えば、先天異常学会の用語集を修正するとか、そういうことがあればいいんです。 ○松田委員  私は、やはり心配なのは、これが医者向けだから医者が読んだときにテクニカルター ムとしてしっかり決まっているものを安易には変えられないと思うんです。つまり、解 剖学会用語集とか何とか学会用語集というのがあるではないですか。その用語集になっ ていないものを変えると、この会そのものがサイエンティフィックに過ちを犯したので はないかとか、しっかりしていないのではないかと言われたときに、エクスキューズが ないと思うんです。だから、やはり何かやるときに、これは学会何語集にありますと私 は言いたいんです。だから、もしも脳神経学会が違う言葉を使っているなら、その言葉 を使って脳神経学会の用語集ではこういうことになっていますと言えると思うんです。 これでもって、ただ情緒的というか、言葉として勿論しっかり載っていないものを使う というのは、この委員会では避けた方がいいと私は思います。さっきの先天異常と同じ 理由で、そこは非常にクリアにしておいた方がいいと思います。 ○長谷川委員  ただ、先天異常の治療は出来ないのですけれども、これは治療が出来るというか、そ こなので、やはり治療する方の名前にした方がいいと思います。 ○松田委員  だから、それがちゃんとどこかのテクニカルタームとして使われているなら、それで いいと思います。例えば、脳神経学会でこういう言葉を使っていますというのなら、先 生が聞かれたときに、それは先天異常ではなくてこっちで使っていますと言えるのでは ないですか。 ○古山委員長  電話されますか。 ○長谷川委員  うちの脳外科医に、ちょっと正確なところを聞いてみます。 ○松田委員  確かめてください。非常に大事な言葉だから。 ○古山委員長  では、5分ほど休憩いたしましょうか。 ○鈴森委員  ターミノロジーが本当にあるかどうかなんですよ。 ○松田委員  そうなんです。だから、私はターミノロジーとして残っているならいいのだけれど も。 ○小田母子保健課長  先生、5分の休憩はよろしいのですが、皆様方には3時半終了ということでお伝えし ておりますので、3時半になれば帰られる方が出てくるのではないでしょうか、よろし いのでしょうか。 ○松田委員  では、2分にしてください。 ○古山委員長  では、2分間休憩いたします。 (休  憩) ○古山委員長  では、5分経ちましたので再開させていただきますが、まだ、長谷川先生が戻ってい ませんが、問題は開放性神経管奇形という言葉をどうするかということですが、これは 脳神経外科領域で現在、正式に使われている用語に置き換えてはいかがかということ で、これは学会辺りにきちんと聞いていただいて、個人的にお一人に聞いて、その人が そうおっしゃったからというので変えるのではちょっと具合が悪いと思いますので。 ○松田委員  悪いけれども、ちゃんと用語集という文書でもって見せていただきたいと思います。 ○古山委員長  それに基づいてきちんと直すということでいかがでしょうか。 ○松田委員  お願いします。 ○北島課長補佐  では、そのときにそちらの方の用語集になければ、このままということでございます ね。 ○古山委員長  このままでよろしゅうございますね。開放性神経管奇形、括弧して英語を入れます か。 ○松田委員  私はどうでもいいけれども、もしもそこがディスカッションがあるなら入れてもいい と思いますけれども、無理に入れなくてもいいと思います。どうしても、言葉に問題が あるというのだったら入れてもいいけれども、基本的には入れなくてもいいです。 どうしても疑わしいという意見があるなら入れてください。 ○古山委員長  ということで、では、見解に関しては。 ○北島課長補佐 長谷川委員がまだお戻りにならないので、一応これで最後の御確認になりますので、 一応先生方おそろいのところで確認して、この件をしていただいた方がいいのではない かと思いますが、大分掛かるでしょうか。 ○武部委員  ちょっと先ほどから何度も出てきた、これが基本的に医師に対するものか社会的文書 であるかということがあるのですけれども、結果的に社会的文書にならならやむを得な いとしても、あくまでも、これは基本的に医師を対象としたものであるということを、 例えば「はじめに」の最後の1行ぐらいに書いた方がいいのではないかですか。 例えば、「なお、本見解は主に医師を対象としたものである」というようなことを文字 どおり1行でも書いておいた方が、誤解を少なくとも避けることがより出来やすいとい うふうに思うのですが、いかがでしょうか。 ○古山委員長  ただいまの武部委員の御提案に対して、いかがでしょうか。 ○松田委員  私は、別に異義はありません。ただ、別紙の方に「医師は」とはっきり書いてあるの で、先生のおっしゃることはそのとおりだというふうに私は理解していますけれども。 ○安藤委員  私も、見解案というところでは、やはり一般社会にというところがありますので、も し、医師を対象であれば書かなければいけないだろうと思いますが、別紙の7ページの ところに「母体血清マーカー検査を行う検査会社は、次のことに留意する」ということ で、検査会社ということも入っているんですね。これは、医師に対して検査会社のこと ではないですよね。ですので、ちょっとどうしたらいいのか。 ○古山委員長  武部先生は、さっき「主に」という言葉を。 ○武部委員  「本見解は主として医師を対象とするものである」という「主として」ぐらいでいい と思います。 ○小田母子保健課長  3ページのところには「行政・関係学会等の対応」とまで書いてあるんですよね。そ れで「医師を」というふうに本当に言い切ってしまってよろしいのでしょうか。 ○松田委員  無理に入れなくていいかもしれない。 ○武部委員  別紙の1行目に書いてあるから。 ○松田委員  それもあるし、これはやはり検査会社にしっかり守ってもらわなければならないこと であるということも事実だし。 ○武部委員  関係者への見解ですね。 ○松田委員 そうですね。 ○古山委員長  では、武部先生、撤回されますか。 ○武部委員  はい。ただ、何となく社会的文章という表現が気になるんですけれども。 ○松田委員  それはありますね。ちょっと私も気になります。 ○武部委員  この社会的文章などという言葉は、官庁ではあるのですか。 ○小田母子保健課長  公的文章はありますが、社会的というのは我々が通常使う言葉とはちょっと違うので はないのでしょうか。 ○古山委員長  長谷川先生、先ほどのニューラル・チューブ・ディフェクトの件ですが、これは脳神 経学会とか正式にお尋ねして、公式な学会の責任者の回答をいただき訂正することにな りました。 ○松田委員  用語集があります。小児科も小児科学会用語集があります。 ○古山委員長  そういうものに基づいて回答をいただいて、それで訂正するということにいたし ます。 ○長谷川委員  ただ、問題が一つあるのですけれども、どこの学会の言葉にもAFPを対象とした用 語というのはない訳です。ですから、どうしてもどこもある程度不完全になってしまう ので、今ちょっと脳外科のドクターに聞いた話では、神経管閉鎖不全症と言うそう です。そして、その中に顕在性と潜在性、それから、二分頭蓋と二分脊椎、治療法を対 象にしていますから、そういう分け方になると思うのですが、そういう分け方をしてい るということでした。ですから、開放性ではなくて顕在性と脳外科では言うそうです。 ○鈴森委員  これは、ほとんど無脳症を対象にしているんですね。 ○松田委員  でも、二分脊椎も少しは入っているでしょう。 ○古山委員長  何を聞くかということは分かりますでしょうか。 ○北島課長補佐  そうしますと、これを読まれる先生方が、例えば、顕在性脳神経管閉鎖不全症と書か れてお分かりになるのでしょうか。 ○鈴森委員  脳神経外科学会の中の慣用句であって。 ○松田委員  やはり英語が要りますね。 ○古山委員長  括弧して入れますか。ニューラル・チューブ・ディフェクトのことですね。 ○松田委員  いいえ、日本語をだから先天異常学会を使うか脳神経外科学会を使うか、それは別と して。 ○長谷川委員  臨床の方では、やはりそのドクターも奇形という言葉はかなり抵抗を持っていると言 っていました。ですから、臨床科は結構抵抗を持っている人が多いので、ちょっとどう なのかなというのと、それから、ニューラル・チューブ・ディフェクトというのは開放 性ですよね。だから、AFP対象の言葉というのはないんです。医学用語は。 ○松田委員  かぶっている場合には増えないでしょう。 ○長谷川委員  増えないです。 ○松田委員  増える場合を言っている訳です。 ○長谷川委員  増える場合だけの言葉というのはないんですよ。 ○古山委員長  どういうふうに聞いていただくのでしょうか。 ○鈴森委員  あえて言いますと、オープンタイプとは書いていないんですよね。ですから、ニュー ラル・チューブ・ディフェクトという言葉はあるんです。 ○北島課長補佐  そのまま書いてしまっては。ニューラル・チューブ・ディフェクトで、ここで書いて しまってはいけないのでしょうか。 ○鈴森委員  それでもいいです。だから、ニューラル・チューブ・ディフェクトと書いて神経管奇 形と書くならいいんです。それは、ターミノロジーそのままなんです。 ○小田母子保健課長  しかし、もともとの問題は、奇形という言葉が使われているのが社会的に問題ではな いかと言われている訳ですよね。そこで奇形という言葉を括弧して使うにしろ何にし ろ、使うということであれば解決にはなっていないと思うのですが。 ○長谷川委員  脳外科関係でお聞きになって神経管閉鎖不全症という言葉があるのだったら、その言 葉で非常に医学的な感じがするのですけれども、だめなのでしょうか。 ○小田母子保健課長 前で21トリソミーという用語を使っている訳ですから、奇形という言葉を避けるとい うことで、開放性神経管奇形に該当する英語の文言を片仮名に直すというのはいけない のでしょうか。 ○鈴森委員  片仮名でニューラル・チューブ・ディフェクトと。それでもいいですよ。 ○長谷川委員  何のことか分からない。 ○小田母子保健課長  何のことかは、ほとんど見られる方はお医者さんではないのですか。だから、そこは 分かるということではないのですか。 ○長谷川委員  調べなさいということで、むしろ簡単にしないで調べなさいでもいいかもしれませ ん。 ○小田母子保健課長  調べなさいというか、ニューラル・チューブ・ディフェクトで分からないお医者さん はいますか。 ○鈴森委員  分かると思います。だから、21トリソミーも病名であるならば。 ○小田母子保健課長  要するに、この検査をしていらっしゃるお医者さんで、ニューラル・チューブ・ディ フェクトが分からないということは、非常に大きな問題ですよね、逆に言えば。 ○松田委員  では、それでいきましょう。 ○鈴森委員  だから、片仮名ではなくて英語でいいのではないですか。Neural tube def-ectと。 ○長谷川委員  こういう見解に英語を出すのはどうでしょう。 ○小田母子保健課長  そうしたら、片仮名で書いて英語を振っておきますか。 ○鈴森委員   ニューラル・チューブ・ディフェクトと書いてNTDと普通言っているんですよね。 だから、あとはNTD、NTDというふうに簡略化して。 ○小田母子保健課長  2回しか出てこないのですけれども。 ○長谷川委員  ニューラル・チューブ・ディフェクトというのは神経管欠損症のことではないのです か。日本語にしたら。 ○鈴森委員  それが、先天異常学会は奇形と書いてあるんです。 ○長谷川委員  でも、それは一部の人が決めた名前であって。 ○鈴森委員  それは、そういう用語委員会があってつくっている訳ですから、勝手に決めた訳では ないんですよ。そういう言い方はないですよ。 ○長谷川委員  ただ、先天異常学会というのは何のためにあるかというと、AFPとは関係なしに用 語を作っている訳ですよね。 ○鈴森委員  だけれども、一遍そういう神経科の専門家が集まって、その中で用語集をつくって OKを取ってやっている訳ですから、やはり学会の中でオーソライズされているものな んですよ。 ○長谷川委員  ただ、先天異常学会は発生関係の方とか。 ○鈴森委員  それは関係ないですよ。みんな学問という点から一緒ですから。 ○長谷川委員  ですから、学問ではなくて、これは医学ではなくて医療の方でやるものではないかと 思って。ですから、やはり医療を対象にしていった方がいいのではないかと私は思った んです。 ○鈴森委員  ニューラル・チューブ・ディフェクトと書いて、例えばこれは一番よく見つかるの は、もともとが歴史的に見たってエセファルスでしょう。 ○長谷川委員  では、無脳症とはっきり書かれたら何でいけないのでしょうか。無脳症と二分頭蓋・ 二分脊椎と書いたら何でいけないのですか。 ○鈴森委員  文章が長くなるからニューラル・チューブ・ディフェクトとなったのではないです か。 ○長谷川委員 主として、無脳症と書いたらどうですか。 ○鈴森委員  昔はね。 ○長谷川委員  今も。無脳症がほとんどだからと。 ○鈴森委員  でも、無脳症は今、超音波で分かってしまいますから、あえてこれをやらなくても。 ○長谷川委員  そうすると、何をしたいのですか。 ○鈴森委員  だから、超音波で見落としたようなチューブ・ディフェクトになってきている訳です よ、場合には。MRIでも分からない症例があります。 ○長谷川委員  これは、産婦人科学会ではこの言葉はありますか。 ○鈴森委員  ニューラル・チューブ・ディフェクトですか。私が、普通言っているのは余り注意し て使っていないから、中枢神経管閉鎖不全を使っていますよ。 ○長谷川委員  それは、産婦人科的なものだから。 ○鈴森委員  産婦人科の用語集の中に入っていないんですよ。 ○長谷川委員  これから、入れてもよろしいのではないでしょうか。 ○鈴森委員  それは、また用語委員会の方がありますから、勝手には入れられないんですよ。 ○長谷川委員  提議されて。これからだって、この問題があるから。 ○松田委員  時間がだんだんなくなってきているから、これはもう委員長に一任しましょう。 ○鈴森委員  だから、真ん中を取ってニューラル・チューブ・ディフェクトでいいですよ。 ○古山委員長  それでよろしゅうございますか。片仮名で書いて、その後に英語を入れるのですか。 英語をそのままですか。 ○鈴森委員  英語そのままでいいです。 ○古山委員長  それが一番問題がないですね。 ○長谷川委員  見解として、そういうものを出してよいのであれば。 ○古山委員長  では、英語そのものを入れると。 ○松田委員  とりあえず今は。やはり、幾つかの用語集を見た方がいいと思います。資料がないか ら。 ○小田母子保健課長  もしも、そういうことであれば、この委員会でどなたか先生にその部分を確認してい ただいて、代わる言葉があればそれを採用するということで、それがなければ万やむを 得なくて Neural tube defect で書いておくということでよろしいですか。 ○古山委員長  どなたか引き受けていただけますか。鈴森先生、引き受けていだけますか。調べて事 務局の方へ御連絡いただけますでしょうか。 ○鈴森委員  では、北島さんのところへ連絡します。 ○古山委員長  では、見解の修正に関しては、これで終わりといたします。  以上のようにして、事務局で修正していただいて、これは都道府県や関係団体に周知 していただきたいというふうに考えます。委員の先生方、本当に御苦労様でした。この 見解によって、妊婦さんたちの混乱が解消されることを願っております。  では、次の議題で、時間がもう10分ほど経過しているのですが、何か御発言になりた いことはありますでしょうか。 ○北島課長補佐  議題はその他になっておりますけれども、その他で先生方何かございますでしょう か。 ○松田委員  この間、親委員会の方での最後に高久先生が、これはかなり随分頑張ってくれてどう もありがとうございましたという言葉を言っていただいた後で、しばらくこの会を、ど ういう表現だったか覚えていないけれども、時間を置いてお休みしようかというような 意見を出されたようにも思いましたけれども。  それと、もう一つは、超音波で出生前診断が出来るとか、母体妊娠早期の血球で出生 前診断が出来るとか、どんどん今すごい勢いで進んできていて、ちょっと我々がついて いくだけでも大変な状況だと思うんです。だから、それがどこまで発展していくかは見 極めがつかないので、この辺で一回ワンステップ置いてみた方がいいのではないかと。 このまま続けていくにしては、現在まだ我々の情報が整っていないのではないかという 気がするのですけれども。それが、私の意見です。 ○古山委員長  ありがとうございます。高久先生は、これはメモみたいなものですが、私どもの委員 会に対して、今回は大変な御苦労を掛けて作成していただいて、委員長もお忙しいでし ょうし、また、高久先生のところにもいろいろな御意見が来ていると。こんなことを言 っては何だが、この辺で少し休ませてほしいと高久先生御自身も考えていると。古山委 員長も同じ気持ちではないかと思うというようなことをおっしゃられたんです。という ことが、今、松田先生の御意見。 ○松田委員  そういう詳しいメモは持っていませんけれども、雰囲気をお伝えしました。 ○古山委員長  そんなことだったでしょうか。議事録を持っている訳ではありませんので、メモです が。  今、松田先生がおっしゃったように、出生前診断全般については非常に難しい問題が あるということ。 ○鈴森委員  難しい問題ではなくて、物すごく多彩になっているんです。ですから、今トリプル マーカーをやっとこれで一つ見解を出したにしても、これは過去なんですよね、今の私 らの見ている範囲内では。ですから、今、松田先生がおっしゃったように、超音波と組 み合わせればもっともっと精度が高くなっている訳です。はっきり言ってアメリカ、 ヨーロッパなどは妊娠初期にダウン症を見つけてしまうんです。早期に見つけてしまう というプログラムをつくってしまっている訳ですから、それをまたやり始めたら大変な ことになるんです。またダウン症協会から猛反発を食らうことになる。 ○松田委員  それは、そういうテクニックそのものがどこまで隠されるかも分からないでしょう、 はっきり言うと。 ○鈴森委員  でも、精度は物すごく上がっていますよ。 ○松田委員  上がっていると思うけれども、例えば、超音波にしても超音波診断している産科のお 医者さんすべてが。 ○鈴森委員  そうなんです。だから、物すごく格差があるんです。 ○松田委員  それなのに、我々がここでディスカッションしても、そのスキルフルが一般化されて いないのに、何らかの指針を打ち出すというのはかなり危険性があると思います。 ○鈴森委員  だから、それは一般レベルがどこかにあるか、私らもつかみ切れない。 ○松田委員  分かっていないし、それをレベルが上がっている人を見つけられる人を対象にするの か、見逃すのを対象にするのか、随分その対象になる人によって違うと思うんです。だ から、指針を出すのは相当にケアするようにしないと、私たちは実際そのことをしてい ない訳だから、ちょっとここでそういう情報を十分に取り入れる期間を持たないと、こ のままコンティニューするのは私はかなりヘジテイトするというか、ちょっと今の私の 能力からいくと難しいなという感じが私はします。 ○長谷川委員  私も、この見解案というのは、今までの問題などがはっきりしてきたので出来たと思 うのですけれども、これからそういう同じことをしたり指針をつくるのは、まず無理で もあるし、とても危険だと思うんです。ただ、こういう問題というのは放っておいては いけないので、国民的な議論に持っていくということの一つが、この委員会の役目にも なると思うんです。ですから、実際、国民的な議論になるときにもめちゃくちゃな議論 になって広がっていく可能性もあるし、とんでもない方向から来る可能性もあるので、 そういう問題点をもっと整理して、何が問題なのかということを情報を集めたりして、 それから、場合によっては公開討論会などを考えるとか、いろいろな形でもう少し問題 を整理していくようなことをしていったらどうかと思うのですけれども、いかがでしょ うか。 ○古山委員長  ありがとうございました。武部委員何かございますか。 ○武部委員  私は、高久先生並びに委員長が言われた、少し休みたいとおっしゃるのはよく分かり ます。というのは、一つは、やはり今、長谷川委員も言われたみたいに、結局何をきち んとやるべきかということを考えることすら大変な状況にあると思うんです。私は、さ っきちょっと申しましたのは、やはり国全体で厚生省レベルかあるいは医師会レベルか 医学会レベルか知りませんが、そういった倫理問題の最高裁というような表現をよくす るのですが、そういった大きな組織が上にかぶさっていませんと、こういう一委員会が 出来ることには当然限界がありますし、例えば、最近ですとクローン人間の問題という のが、これがなぜか科学技術会議がやっていますけれども、基本的には私は厚生省など もきちんとやってほしいテーマだと思うんです。そういうことも含めて、もっと大局的 な考え方、これが高久先生の委員会がふさわしいかどうか分かりませんが、そういった ことを望まないと、この委員会が次に胎児条項をやるとか具体的なことをやっても限界 が見えていますし、そういう点では、この委員会としては次に何をやるべきかという段 階には来ていないというふうに思います。 ○古山委員長  鈴森先生。 ○鈴森委員  私も、そう思っています。 ○古山委員長  安藤先生いかがでしょうか。 ○安藤委員  親部会である評価部会が、しばらくお休みした方がいいのではないかと言われるのに 対しまして、私たちはやはりこれをやるというものが見えないところでは進めないので はないかと思っております。 ○古山委員長  どうもありがとうございました。長谷川先生、まだ何か追加したいことがございます か。 ○長谷川委員  今、そちらに本を借りてきたものを松田先生が見ていただいているのですが、カナダ のコミッティーのものなのですけれども、WHOなどで指針が出てきているのですが、 それはその間のディスカッションの状態が全然出ていないんです。私たちは見解案を出 したのですけれども、それ以上に議事録に出したいろいろなディスカッションというも のを、いろいろなこういう考え方があるということを国民に示したことの方が、ある意 味では大きな意味があったのではないかと思います。これもずっと問題点を多くのとこ ろで書いたり、ヒアリングの様子を全部本に書いてあるものなのですが、ここまでやる というのはちょっと日本で確かに難しいかもしれないのですが、やはり放っておいては いけないのではないかという気持ちはすごくしますし、どこがやるのかと言ったら、結 局どこもやらないうちにこういう問題だけがどんどん過ぎていくのではないかという気 もするので、問題点の整理というのは、やはりしていかないといけないのではないかと 思います。 ○古山委員長  それは、何に対するものですか。何の問題を取扱っているのですか。 ○長谷川委員  全体にいろいろな問題があるのですけれども、これは、生殖医療と出生前診断のとこ ろの問題です。 ○松田委員  これは、1993年版ですね。今年ほとんど同じ大きさのものがフランスでも出ている。 ○長谷川委員  そうですか。だから、各国でこれだけのものを先進国はしているということなんです ね。ですから、例えばWHOの見解というのは各国はこれだけのものがあるので、それ ほど重要視しなくてもやっていけるらしいのですけれども、見合わないにしても何かも うちょっとしておかないと、やはり先進国としてちょっとどうなのでしょうかという感 じがします。 ○古山委員長  カナダのどこが出しているのでしょうか。 ○長谷川委員  ロイヤルコミッティーです。これは何巻もあるんです。これは2巻目をちょっと持っ てきましたけれども。厚生省にあるのではないですか。 ○鈴森委員  具体的には、どういうことですか。 ○長谷川委員  やはり出生前診断でいろいろな議論が、例えばマスコミを含めていろいろ出ているの ですけれども、そこら辺の問題とどういう方面から議論したらいいかという、その交通 整理が全然されていないのではないかということで、かなり情報に対して混乱状態だろ うと思うんです。一般の人たちが自分たちの問題でありながら、どこからどういうふう に考えていいかということが全く分かっていない。だから、一般の人たちが考えるとこ ろのベースという形をつくっていくということは必要なのではないかと思います。 ○小田母子保健課長  トリプルマーカー以外での出生前診断で具体的に何か混乱状態にあるというものはあ るのですか。 ○長谷川委員  出生前診断すべて、みんなただ分からないので不安という感じが、一般の方たちから すればしています。あまり関係のない方はですけれども、特に、お母さんたちとかこれ から子どもを産む人たちとか。ですから、こういう問題があるからきちんと教えていく ために、例えば、文部省の方に小学校から教育をこういうことをして必要だということ も、やはり問題をはっきりさせなければ教育にも乗らないと思うんです。 ○小田母子保健課長  その問題というのは具体的にどのようなことなのでしょうか。 ○鈴森委員  障害児を産まないために。 ○長谷川委員  そういう短絡的な問題ではなくて、短絡的と言うと失礼ですけれども、ですから、さ まざまな問題があると思うんです。 ○小田母子保健課長  さまざまな問題と一くくりにされると分からないのですが。 ○長谷川委員  だから、それが何なのかということを皆さん、そう簡単に出せないのではないです か。 ○武部委員  ちょっとそれに関連してですが、厚生省という枠の中では出てこない問題が、私は随 分多いと思います。私が前から問題にしています生命保険に対して遺伝情報を提供する ことを認めるかどうかという問題。これは、国際的には大変に議論が進んでいますが、 日本ではどうも余り進んでいるとは思えません。  それから、私が最近になって非常に驚いていますのは、はっきり言いまして高等学校 の教育課程の指導要領が今年の3月に改定されたのですが、今までありましたヒトの遺 伝という項目が消えているんです。つまり、人間の遺伝は高等学校では教えなくてよい というふうに変わりまして、これは私は非常に深刻な問題だと真面目に思っています。 今後、改定するには10年掛かりますので、そういったことになると、これは厚生省の枠 を外れていまして、やはり私が言うような省庁も含めて日本全体で医学の問題あるいは 健康の問題という概念から、そういったどこかをやるにしても、問題が何があるかとい うことを、やはり厚生省の管轄の問題という枠が取れているように思います。そういう 意味で、私はこの専門部会の手に負える問題ではないと思います。 ○長谷川委員  結論を出すのは無理ですけれども、どんな問題があるかということはだれが出します か。ここの部会の専門委員以外に出す人はいるのかなという。いればいいですよ、 でも、いないでただ進むのではないかなという気がするので。 ○松田委員  多分、その話は親部会だと思います。 ○古山委員長  この専門委員会そのものが母体血清マーカーの検査の見解を出すために招集されたと 受けとめています。ですから、出生前診断全般を議論するときには、この専門委員会だ けではなしに、生殖医療の専門委員、そういう方も含めて、もう一度人選のし直しみた いなものがあるのかもしれません。ですから、このメンバーでいいのかどうかという点 にも疑問があります。 ○長谷川委員  最初、出生前診断というのは暫定的に最初に一番問題だからそこをやるということは 聞きましたけれども、そのためにということはなかったのではないでしょうか。そうい うことは多分、議事録に載っていないと思いますが。 ○北島課長補佐  部会の方からは出生前診断に関する検討ということで依頼されていると思います。た だ、この委員会の最初のところの検討の進め方というペーパーを見ていただければお分 かりになると思いますが、そこには部会での議論、それから、ヒアリング等も含めて一 番早急に対応しなければならない母体血清マーカー検査に関する検討を中心にやってい きましょうということは、最初の段階で合意していただいております。 ○長谷川委員  でも、いろいろな出生前診断がたくさん並んでいましたね、最初のあれには。 ○北島課長補佐  この委員会の議論のためのペーパーではなくて、前の部会のペーパーにはございまし たけれども、この委員会の検討方針の中は母体血清マーカー検査を中心にということで お話はスタートしております。 ○長谷川委員  もう一回見てみる必要があると思いますけれども。 ○北島課長補佐 論点のメモのところは部会からの御依頼というか、部会で問題になっているところの 論点が整理されたものがございますが、検討方針のところは、たしかそのような形にな っていたかと思います。 ○長谷川委員  では、部会の方で出生前診断としては、この問題ではこれから取り上げてやって行か れるということですか。それとも、産婦人科学会でこれからやってくださるということ ですか。 ○鈴森委員  もう既成事実ですから、羊水検査で今から調査したって。例えば、生殖医療でやって いるような一般の人を何千人集めてね。 ○長谷川委員  羊水検査はそんなには問題はないかもしれないのですけれども、超音波とかこれから いろいろな。 ○鈴森委員  それは、学会の中でまた小委員会とか学術企画委員会とかそういうところで検討する と思うのですけれども、まだ、議題には上がっていません。 ○長谷川委員  超音波で発見したときに、どういうふうな対応をして。 ○鈴森委員  それは、個々の裁量権で決めています。 ○長谷川委員  個々の裁量権といいますけれども、例えば、治療のときに小児の外科とかと連絡を取 るのは個々では難しいと思います。 ○鈴森委員  それも、例えばうちなどですと胎児治療などもやっていますけれども、そういうとこ ろと出来ないところがある訳だから、みんなが最高の医療を受けようという体制が日本 でシステマチックに動いているかといったらそうではないでしょう。 ○長谷川委員  日本の医療というのは、やはりいい医療をしていかなければならないし。 ○鈴森委員 だけれども、それは理想論なので、現実的にアメリカだったら全部、例えば片田舎の 人も最高の医療を受けられる訳ではないでしょう。 ○長谷川委員  アメリカがどうというのではなくて、日本でやはり日本人で生まれた以上は。 ○鈴森委員  だから、イギリスだってどこの先進国でもそうでしょう。日本みたいに過密状態であ ったって、受けられるメリット、デメリットとかいろいろな問題がある訳だから、 そこの中で基準づくりというのは出生前診断に関して私は出来ないと思うんです。 ○長谷川委員  基準は要らないのですけれども、問題の認識というか、先ほどの共感ではないです が、問題の共通認識というものをもうちょっとしないと解決の方向にいかないのではな いですか。 ○鈴森委員  それは、卒後研修とかそういうものでやって、専門部会で討議すべき問題ではないで すね。 ○長谷川委員  ここでやる必要はないと思うのですけれども、ほかでやってくださればやる必要はな いと思います。 ○鈴森委員  だから、それは産婦人科の中で例えば、超音波だったら今はここまで見えますよとい うことは、いろいろな卒後研修とかコーナーとかそういうものでやっていますから。 ○長谷川委員  見られた場合どうするかということも、全部卒後研修でされている訳ですね。ですか ら、例えば、小児外科学会との連絡の下に治療を早急に出来るように、どうかかわって いくかということもやっていらっしゃる訳ですか。 ○鈴森委員  だから、胎児治療なら胎児治療を含んでやっている訳ですから。 ○長谷川委員  だったら、産婦人科学会でそういうふうに徹底的に考えていただけるのだったら、こ こで問題を考える必要はないと思います。 ○古山委員長  では、定刻から30分経過しましたので、今までの委員の先生方のお話を聞いておりま すと、この委員会を継続してやっていくかどうかということに関しては、長谷川先生 は。 ○長谷川委員 やることがないのであれば別に。 ○古山委員長  出生前診断全般についての問題点を正して、整理して。 ○長谷川委員  正してということはないのですけれども。 ○古山委員長  公開討論会等も開くような形で、引き続きやったらどうかと。 ○長谷川委員  そうしないと、やはりマスコミなどからも全く違うような意見が出てきて整理出来な くなってしまって、収拾がつかなくなるような感覚があるものですから、やはりどこか でそれは整理しないといけないのではないかと思います。 ○小田母子保健課長  組織的に対応しなければいけないような問題とか、整理したほうがよいと思われる問 題を具体的に挙げていただけるとありがたいのですが。 ○長谷川委員  では、問題は全然ないというふうにお考えな訳ですね。 ○小田母子保健課長  ないと言っているわけではありません。具体的にどういう点が問題かご指摘いただけ ればと思ったわけです。 ○長谷川委員  それを、私がもっと調べなくては。 ○小田母子保健課長  トリプルマーカーについては確かに問題があると社会的にも認識されている訳です。 では、それ以外の出生前診断でどういった点がどういうふうに問題があるのかというよ うな、何か差し迫ったそういう状況があるかどうかとか、そういう点はどうなのでしょ うか。 ○長谷川委員  差し迫ったというか、そういう目先のことという意味ではなくて、余り細かいことを 言うのも何だと思うのですけれども、例えば、超音波診断を取ってみれば今のレベルが いろいろあるというのは、それは産婦人科学会でしていくというのは解決法だと思うの ですけれども、そのほかに、例えば、心疾患が分かると。では、分かった場合に、どう いう対応がされているものなのかとか、そういうようなことの具体性のところで、私た ちはもっと問題を探すというか、潜在的な問題というものを掘り起こさなければどうし ようもないと思うので。 ○小田母子保健課長  今、例に挙げたような問題ですと、それは医学の個別の適用の問題のように思え ます。それと同時に、学会等で統一的な適用が必要なものもあるかもしれないけれど も、いずれにしても、医学上の問題と思われます。何か社会的、制度的な問題という か、そういう問題とはちょっと違うような気がするのですが、審議会では、もうちょっ と社会的あるいは倫理的だとかそういう問題があるというものについての議論が、主と して行われるべきだと思うのですが。 ○長谷川委員  さっきおっしゃったように、トリプルマーカーの問題も社会的ではなくて、むしろ医 学の中というか医療の中での問題をここまでやってきた訳ですよね。 ○小田母子保健課長  社会的問題がやはりあったのではないでしょうか。 ○長谷川委員  あったと思うんです。ですから、医療的な問題を突いていったら社会的な問題も見え てきた訳ですよね。 ○小田母子保健課長  妊婦さんの間で非常に不安が広がっているとか、そういう社会的な問題だと思うので すが。 ○長谷川委員  それは、医療との関係ですよね。 ○小田母子保健課長  医療の関係かどうかは別として。 ○長谷川委員  ですから、では、妊婦さんとの問題というのは調べたから分かったので、トリプル マーカーにおいて。 ○小田母子保健課長  調べたからではなくて、個々のケースとして、もうマスコミ等でも取り上げるくらい の問題になっていたということですよね。それは、社会的問題な訳です。 ○長谷川委員  でも、これは、かなりそういう蓄積があったから言える訳ですよね。 ○小田母子保健課長  今は、何かそういうような問題が現在ほかにあるかどうかを議論していただいている 訳です。 ○長谷川委員  ですから、もうはっきり言えば超音波診断から何から、例えば、私は自分の範囲でし か知りませんから、それをむしろ、自分の範囲ではなくて国民的に一体どうなのかとい うことを問いていくのが社会的問題でしょう。私が知っているのは周りので、例えばそ ういう身近にいるような女性とか私たちの友達なり、そういうような女性のいろいろな 人たちから超音波診断で今は顔まで分かるのね、いろいろな情報が分かるけれども、 一体あれはどういうものなのかということで分かってしまったらどうなるのだろうかと か、そのときの漠然とした皆さん不安を持っている訳ですね。それを漠然とした不安で はなくて、きちんと整理していくということを産婦人科学会で全部やってくださるので あれば勿論いいのですけれども、そこら辺が産婦人科学会で産婦人科の先生以外のいろ いろな人も入っていただければいいのですが、いろいろなさっきの多分野とかそういう 方たちの、ここではいろいろな分野の人が入っているので、そういう問題をもっときち んと、要するに整理するというか、まだ私たちが知らない問題というもの、気がつかな いけれども、今は小さいかもしれない、見えないかもしれないような潜在的な問題が大 きくなる可能性もあるのではないかということです。 ○小田母子保健課長  そういう可能性はあるのでしょうけれども、でも、だれかがこういう問題があるから 審議しなくてはいけないのではないかということでないと、議論は進まないと思うので すが。 ○長谷川委員  ですから、今、出す訳ではなくて。 ○小田母子保健課長  先ほどの超音波診断で何かどこまで分かるのかということについての不安がいろいろ あるということについては、それは情報提供の問題ですが、そのことについては、この 専門委員会で議論する対象とすべきかどうかというところは、議論していただかなけれ ばいけないと思っております。 ○長谷川委員  この場は、そういう議論をする場ではないとおっしゃるのであれば、勿論それはいい とは思います。 ○鈴森委員  例えば、先生は超音波、超音波とおっしゃったけれど、例えば、物すごく普及したと して、その超音波を受けなかったことによって何か社会的な問題が出てきたとか、それ から、受けたことによってその人が大きなマイナス的な圧迫を受けたとか、そういう事 例がどんどん重なってきて、いわゆる母体血清マーカーはそうだと思うんです。受ける 人がたくさん出てきて、知識のない医師から正しい医療情報として伝わらなかった社会 的な問題となってここで取り上げてきたと思うんですよ。ただ、超音波ももし普及し て、何かそれで物すごく大きな被害をこうむる人が出てきたとか、そういうものが社会 現象として表れてきたなら、やはり私はここの議論の中で出てくるだろうと思うのです けれども、実際にはそういうことはまだないですよね。 ○長谷川委員  まだ、そこまでの先天異常に関しての普及の問題というのはないですよね。ですか ら、出てきてからすればいいということですね。もし、出た場合は。 ○鈴森委員  だから、そういう切迫した状況には私はないのではないかと。 ○長谷川委員  予測してものをするのは、この場面ではないと。 ○鈴森委員  予測出来ないですよ。 ○長谷川委員  でも、外国はかなりいろいろな予測をしながらやっていますよね。 ○鈴森委員  どこがやっていますか。 ○長谷川委員  あの本には、そういうことが問題になっています。 ○鈴森委員  私達が注目しているのは、ナッカルトランスルーセンシー(頸部浮腫)です。頸部浮 腫をもつ子どもがどういう経過をたどるかということを今フォローしているところなん ですよ。これをやはり一つの大きな胎児異常のマーカーの一つで、このような症例を多 数蓄積して、その意味を正しく評価していこうと思っています。間違った情報として伝 えられた人がいっぱいいろいろなところに出てきたというときに、やはり社会問題にな る可能性はあります。まだ、日本はそこまですすんでいないんですよ。 ○長谷川委員  アメリカもそんなに進んでいないと思うんです。一部分として、例えば、この出生前 診断に実際はっきり言ってどういう問題があるかということを私は知りませんけれど も、例えば、遺伝の問題だってみんな何となくいろいろな不安を抱いていながら、その 問題というものをはっきり見つけてというところがないということを見ると、やはり出 生前診断でも何かそういう問題というものはあるだろうということは考えられる訳 です。ですから、いろいろな複雑な問題というものが、今、どういうふうに整理されて いっているかというのが分からないのではないかということを感じているんです。です から、ナッカルトランスルーセンシーがどうというのは医学的な問題ですから、それは 確かに。 ○鈴森委員  でも、超音波、超音波と言われるから超音波のなかで、今問題というのは。 ○長谷川委員  超音波というのは分からないうちに出てしまう訳ですよね。分からないというか、調 べてみていると例えばいろいろなそういう異常が出てくる訳ですね、異常とか可能性と して。では、可能性が出たときに、例えば、そこからどういう問題が生じるかというこ とになると思うのですけれども、御本人としても突然何も言われないときに、あなたは ダウン症の可能性がありますよということで言われるかどうかというもことあります し、そういうところで羊水検査のように、その前にインフォームド・コンセントを取っ てやるものとは違ってくると。 ○鈴森委員 現実的には妊娠初期の妊婦に対して超音波検査はルーチンに行われていますので、事 前に検査される可能性のある全ての事象を説明して、インフォームドコンセントをとる ことは現実には不可能です。 ○長谷川委員  そうですか、それは知りませんけれども。 ○鈴森委員  では、佐藤先生がおっしゃっているのは、そういうことまで責任を負わされるのだっ たら、医者は超音波を見るのはやめようかという意見がアメリカにはあると言う。 ○長谷川委員  アメリカではそんなことをしているという話は聞いたことがあります。 ○鈴森委員  ナッカルトランスルーセンシーで判ったとして本当に染色体異常の占める割合は30% 〜40%に過ぎません。だから、染色体異常のほかにもいくつかの異常がこのなかに含ま れています。例えば、現在疑っているチェルべーガーもその一つです。即ちまだ頸部浮 腫の存在する意味については判らないことが一杯あるということです。まだ結論が出て いないのですから。 ○長谷川委員  だから、それだけの問題ではないと思います。 ○鈴森委員  では、どういう意味なんですか。それは、学問的な裏づけがなければ話にも何もなら ないですよ。 ○安藤委員  私も、出生前診断について、やはりこういう委員会として参加してみて、母体血清 マーカー検査は非常に問題があるからそこのところで議論されたと思うのですけれど も、やはり超音波とか母体血中の胎児細胞検査の問題、着床前診断の問題とか、今もっ とクローンと着床前診断との関連での研究などが言われてきていますし、そんなことを 考えると非常に幅広くなってきますし、それから、武部先生言われましたように、一般 の人たちの生物学の知識の問題とかいろいろなものが入ってきますので、私は、この先 端医療技術評価部会のところで、どこまでこういう問題を取り上げていくのかなという ところを考えまして、是非そのところまでも議論していただきたいなと思うんです。  本来ならば、私たちもそこら辺のところまで問題点を出して、ここら辺のところはど ういうふうに考えていくのかというところを提示していかなければならないのかもしれ ませんけれども、ちょっと今の状況ではそこら辺は難しいなと思うんです。 ○鈴森委員  的がまだ絞り切れないんですよね。 ○安藤委員  ですので、もっと上の部会のところでどんなふうに考えるのかというところを、私た ちの親部会ですので是非、検討していただきたいなと思っております。 ○古山委員長  どうもありがとうございました。長谷川先生以外の先生方は、母体血清マーカー検査 の見解を出した時点で、もうこの専門委員会はしばらく休会にした方がいいのではない かというような御意見だろうと思います。 ○長谷川委員  休会というと、もうこれで解散というふうになりますよね、問題がなければ。ですか ら、そういうことを言っている訳です。休会という以上は、何らかの問題をみんな考え て持ち寄っていくものなのか、ここでもう解散でおしまいということにするのかという ことになると思います。もうこれ以上は議論することがなければ、これは解散で。 ○古山委員長  この専門委員会の性質は、部会の諮問委員会的性格が非常に強い訳です。というより も、部会の作業部会のような性格の委員会です。ですから、親の委員会が御苦労であっ たと、しばらくお休みしてください、頭を休めてくださいという御意向で、委員の先生 方皆さんしばらくそういたしましょうかと。ですから、それがしばらくか、もう休会の ままで任期切れになるか、それは今後、親部会からの御意向次第だと思いますけれど も。 ○長谷川委員  そうすると、親部会の方でこういう問題があるから検討してほしいと言ったら動くと いう形な訳ですね。 ○古山委員長  そういうことになると思いますよ。 ○長谷川委員  私は、決してこの委員会を続けてやりたいと言っている訳ではないのですけれども、 どういうことなのかなと。 ○古山委員長  今、早速にやらなければならないというような緊急の具体的なテーマがすぐには見当 たらないということで、しばらく休会にしたらどうかということで、皆さんそれについ ては御賛成なので、しばらく休会にしたいと思います。  今回取りまとめました母体血清マーカー検査の見解は、短期間でありましたけれど も、かなり労力を掛けて広範な論議をして取りまとめました。出生前診断全般の問題に ついても、この母体血清マーカー検査の見解の中にあるのと基本的な考え方は似ている ところがあると。というのは、この見解の中では本検査の特質に基づいた部分もありま すが、マススクリーニングとして行われるべきではないこととか、インフォームド・ コンセントの徹底とかカウンセリングの充実などを挙げている訳です。こういうことか ら、その他の出生前診断についても、この母体血清マーカーに関する見解に準じた方法 で慎重になされるべきであろうと思う訳です。  したがいまして、厚生省にはこの点を是非、母体血清マーカーに関する見解を関係機 関に周知徹底するように付記していただきたいと思います。  もう時間も45分ほど経過いたしましたので、これで議事を終了させていただきたいの ですが、よろしゅうございますでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○古山委員長 では、長時間にわたりまして先生方どうもありがとうございました。これで本日の会 は終了いたします。  担当:児童家庭局母子保健課      北島 智子  武田 康祐 内線:3173 3179