99/06/22 第6回生殖補助医療技術に関する専門委員会議事録 第6回     厚生科学審議会先端医療技術評価部会     生殖補助医療技術に関する専門委員会 議事録                                 厚生省児童家庭局母子保健課                             厚生科学審議会先端医療技術評価部会       生殖医療技術に関する専門委員会(第6回)議事次第 日 時 平成11年6月22日(火) 13:30〜16:47 場 所 厚生省特別第一会議室(7階)  1 開 会  2 議 事   (1)多胎・減数手術について   (2)精子・卵子・受精卵の提供について (3)その他  3 閉 会 〔出席委員〕                                    中 谷 委員長   石井(ト)委員  石井(美)委員  高 橋 委 員  辰 己 委 員   田 中 委 員  丸 山 委 員  矢内原 委 員  吉 村 委 員 ○東課長補佐  定刻となりましたので、ただいまから「第6回 厚生科学審議会先端医療技術評価部 会生殖補助医療技術に関する専門委員会」を開催いたします。加藤委員がまだお見えで ございませんが、後ほどお見えになられると思います。  本日は、大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。  それでは、議事に入りたいと思いますので、中谷委員長、議事進行よろしくお願いい たします。 ○中谷委員長  きょうは梅雨の中で大変鬱陶しい季節で、しかも皆様方大変御多用の中を委員会のた めに御出席いただきましてありがとうございます。 まず最初に御礼申し上げます。  議事に入ります前に、事務局からきょうの資料の確認をお願いしたいと思います。武 田主査どうぞよろしく。 ○武田主査  資料の確認をさせていただきます。  左肩に黒いクリップでとめてある資料でございます。まず、一番最初でございますが 本日の「議事次第」でございます。  次に資料1でございますが、「多胎・減数手術について(まとめ案)」となっており ますが、こちらは、第3回の多胎・減数手術についての議論を踏まえまして、事務局で 作成させていただきました議論のたたき台でございます。  次に資料2でございますが、これは何度か出させていただいておりますが、「母体保 護法」と「刑法」の該当条文でございます。  次に資料3でございますが、「多胎妊娠」についての基礎的なデータでございまして 資料1で用いているデータでございます。  次に資料3−2でございますが、多胎妊娠についての、日本産科婦人科学会の見解で ございます。  次に資料4でございますが、こちらは本日の議事の(2)で議論いただきます「精子 卵子、受精卵の提供について」の事務局で作成しました問題点等の整理のペーパーでご ざいます。  次に資料5でございますが、「民法」の関係条文でございます。  次に資料5−2でございますが、「非配偶者間人工授精と精子提供」と「体外受精」 に関する日本産科婦人科学会の会告でございます。  次に資料6、これは既に何度か出させていただいております「本専門委員会の主な検 討項目」でございます。  次に資料7も、前回出させていただいたものと同じ資料でございまして、「精子、卵 子、受精卵の提供についての各委員の意見」でございまして、こちらの方は、議事 (2)の際に御参考にいただければと思って御用意したものでございます。  次に参考資料でございます。参考資料1でございますが、こちらは中谷先生から提供 のありました“CODE OF PRACTICE”の第4版の日本語訳でございます。  次に参考資料2でございますが、インターネット等で寄せられました生殖補助医療技 術に関する国民の御意見でございます。  最後に参考資料3でございますが、先日、5月17日に開かれました参議院決算委員会 の会議録でございまして、こちらの3ページ目でございますが、AIDの親子関係につ いての民法の解釈について、下の方でございますが、「細川清君」と出ているところで ございますが、法務省民事局長の答弁を参考のために付けてございます。  以上でございます。 ○中谷委員長  どうもありがとうございました。用意いたしました資料、皆様漏れなくお手元におあ りでしょうか。よろしゅうございますか。御不足のものはありませんですね。  それでは、次に議事(1)の「多胎・減数手術について」に入りたいと思います。こ れにつきましては、第3回の本委員会の議論を踏まえまして、事務局が「多胎・減数手 術について(まとめ案)」を用意しておりますので、事務局にそれについての御説明を お願いしたいと思います。事務局の方で大変努力をされまして、いろいろ準備をしてく ださいましたので、ありがとうございました。 ○武田主査  それでは御説明をさせていただきます。座らせていただきます。  「多胎・減数手術について」の議論のたたき台でございます。  まず、「1 生殖補助医療による多胎について」ということでございまして、生殖補 助医療による多胎は、排卵誘発法(排卵誘発剤の使用)を原因とするものと、体外受精 を原因とするものがある。排卵誘発剤を投与することにより、多数の卵胞が同時に成 熟・排卵し、複数組の精子と卵子が受精することによって生じるものと、体外受精によ る多胎は、妊娠率を高めることを目的として、複数個の受精卵を子宮に移植することに より、それらが複数個着床することによって生じることをまず述べております。  次に矢内原先生の調査を持ってきまして、三胎については、体外受精を原因とするも のが46.7%、排卵誘発法を原因とするものが43.2%、自然が 8.5%、四胎については、 体外受精を原因とするものが52.9%、排卵誘発法を原因とするものが41.2%、自然が 3.9%、五胎については、体外受精を原因とするものが33.3%、排卵誘発法を原因とする ものが66.7%、自然が0%となっているとしております。  次に、多胎妊娠は、近年増加傾向にあり、これは生殖補助医療技術の普及によるとこ ろが多いと思われるとしております。  次に「2 多胎妊娠の危険性」についての分析というか考察でございます。  最初のマルでございますが、多胎妊娠については、胎児数が増加するに従って、出生 体重が減少する。流産率については、胎児数が増加するに従って上昇し、四胎以上が特 に大きくなっているとしております。  次に、22週以降の周産期死亡率でございますが、こちらも胎児数が増加するに従って 上昇しているとしております。後遺障害につきましては、特に四子以上が大きくなって いるとしております。  このように四胎以上の多胎妊娠については、母親については、ここには書いてないの ですが、先ほどの資料3のデータでは合併症などが多くなっておりまして、母の合併症 が増加し、児の予後は極めて不良であるとしております。  次に「3 減数手術」についてでございますが、減数手術は、多胎による妊娠・出産 のリスクを回避するためや多胎児を育てることに対する負担の回避等を目的として始め られたものであって、多胎妊娠に際して、一部の胎児を子宮内において死滅させる手術 のことである。一般的には、胎児の心臓に塩化カリウムを注入することなどによって行 われるとしております。  次に、減数手術の実施状況につきましては、前出の矢内原先生の調査によれば、アン ケート調査結果を得た 195施設中、減数手術は87例行われており、実施施設数は15施設 で、その多くは診療所であるとしております。 次に減数手術でございますが、母体保護法の妊娠中絶の定義規定は、「人工妊娠中絶 とは、胎児が、母体外において、生命を保続することができない時期に、人工的に、胎 児及びその附属物を母体外に排出することをいう」と定めておりまして、母体保護法の 定める術式に合致しない手術であるとの指摘がされております。 それから、減数される胎児の選び方について、障害の有無や男女により選別する例が 諸外国でみられたことから倫理的な面での議論がなされるようになっているとしており ます。 次に「4 多胎・減数手術に対するこれまでの対応」ということでございまして、関 係学会等の対応につきましては、日本母性保護産婦人科医会は、平成5年、減数手術に ついては、優生保護法上の人工妊娠中絶手術に該当せず、堕胎罪の適用を受ける可能性 があるとの見解を公表しております。  日本産婦人科学会でございますが、平成8年2月に「多胎妊娠」に関する見解、資料 で付けたものでございますが、それを公表しまして、多胎妊娠については、その防止を 図ることでこの問題を根源から解決することを志向すべきとしておりまして、移植胚数 を原則として3個以内に制限し、排卵誘発に際してはゴナドトロピン製剤の周期あたり の使用料を可能な限り減量することを求めております。  次に「5 生殖補助医療技術による多胎減数手術に関する基本的考え方」、これは委 員会の考え方として、こういうことはどうかというたたき台でございます。  胎児は人ではないが人の萌芽であり、その生命は尊重されなければならないことは言 うまでもない。刑法の堕胎罪、母体保護法も胎児の生命の保護をその保護法益の1つと している。  生殖補助医療技術による多胎はある程度、防止することが可能である。体外受精によ る多胎は、通常、子宮に移植する受精卵の数以上にはならず、3個以上の胚移植につい ては、移植する受精卵の数を増やしても妊娠率はそれほど上がらないことがわかってい る。また、凍結保存した受精卵をタイミングよく子宮に移植することにより、受精卵2 個の移植でも相当の妊娠率が得られるという指摘もある。  排卵誘発による多胎についても、ゴナドトロピン製剤の使用法や周期あたりの使用量 を可能な限り減量するなどの単一排卵率が高い排卵誘発法が開発されている。  こうしたことを踏まえると、生殖補助医療技術による多胎妊娠への対応は、多胎妊娠 の防止により行われるべきであって、こうした防止の努力なくして多胎になった場合に 減数手術により胎児数を調整することは、胎児の生命の軽視といえ、認められるべきで はないのではないか。  しかしながら、以下に述べるような多胎防止の措置を十分講じたとしても、現在の技 術では、多胎を完全に防止することはできず、四胎以上の多胎妊娠は母の合併症が増加 し、児の予後が極めて不良であることを踏まえると、緊急避難的に減数手術が許容され る場合があると考えられるのではないかということでございます。  次に「6 対応の方向性」でございます。  「(1)体外受精において対応すべきこと」  体外受精による多胎妊娠は、子宮に移植する受精卵の数を調整することにより、確実 に調整することができる。前で述べたとおり、 1 四胎以上の多胎妊娠は母の合併症が 増加し、児の予後が極めて不良であること、 2 3個以上の受精卵の移植により妊娠率 はそれほど移植数により変わらないこと、 3 凍結保存した受精卵の移植では2個でも 相当の妊娠率が得られることを踏まえますと、体外受精の際、子宮に移植する受精卵の 数は、原則として、凍結保存した2個に制限することが適当でないか。  体外受精法を行うに際しては、受精卵を複数個移植することによる多胎妊娠の可能性 について、患者に十分説明するとともに、十分な情報提供と相談を行い、患者の許容し うる胎児数について把握する必要がある。その結果、患者が双子以上の数の子の出産を 許容せず、あくまで単胎出産を望む場合には、移植する受精卵の数を1個とする。一方 三胎出産する確実な意志があって医学的にも三胎出産に耐えうると考えられる場合には 移植する受精卵の数を3個とするといった調整をリプロダクティブヘルス/ライツの観 点も踏まえ、行う必要があるのではないかということでございます。  「(2)排卵誘発法において対応すべきこと」でございまして、排卵誘発法について は、多胎妊娠の危険があるばかりでなく、卵巣過剰刺激症候群を引き起こす可能性もあ り、十分な技術を持った医師が慎重に実施する必要があるのではないか。  排卵誘発を行うに際しては、排卵誘発法による多胎妊娠の危険について、患者に十分 説明するとともに、十分な情報提供と相談を行い、患者が多胎妊娠を許容しない場合に は、リプロダクティブヘルス/ライツの観点も踏まえ、それを使用すべきではない。  排卵誘発法については、いまだ完全な多胎防止策が確立されていないことから、この 分野の研究を行政、関係学会等が積極的に推進する必要があるのではないか。また、単 一排卵誘発法の普及を図る必要があるということでございます。  「(3)減数手術について」でございますが、減数手術については、母体保護法の人 工妊娠中絶の定義規定に該当する術式ではないとの指摘があるが、減数手術は確かに母 体内において胎児を死滅させるものであり、分娩と同時に母体外に排出されるといって も、これは人工的に排出されるものとはいえず、また、優生保護法制定時に減数手術の ような手術が想定されていないことを考えると、その指摘は適当であると考える。  さっきの定義規定に該当する術式ではないという指摘が適当ではないかということで ございます。  次に、減数手術については、前述したとおり、原則としては、行われるべきではない ため、母体保護法の改正により、人工妊娠中絶の規定を改める必要はないのではない か。  しかしながら、多胎妊娠の予防措置を講じたにも関わらず、やむを得ず四胎以上の多 胎となった場合には、母子の生命保護の観点から、緊急避難的に行うものについては、 刑法の違法性が阻却されうるのではないかということでございます。  次に、減数手術の適応と内容につきましては母子の生命保護の観点から個別に慎重に 判断すべきものではないかということでございます。  減数に当たって障害の有無や男女等により選別を行うことは、母体保護法にいわゆる 胎児条項がないこととの整合性の観点から、行われるべきではない。  減数手術についても、塩化カリウムの投与を誤って母体に行う可能性があるなど危険 を伴うものであることから、十分な技術を持った医師により行われる必要がある。  これを踏まえまして、「7 行政、関係学会が行うべきこと」です。  以上述べたように、生殖補助医療技術による多胎妊娠の防止対策が、適切に実施され 減数手術の実施条件が厳格に守られるためには、行政又は学会において、これをルール 化することが必要である。  行政又は関係学会が、このような実施体制が整備されている医療施設を認定し、登録 させ、これらの実施を登録医療施設に制限し、また実施状況について報告させるなど、 これらのルールが適切に守られる体制を構築する必要があるのではないか、という内容 でございます。  以上でございます。 ○中谷委員長  どうもありがとうございました。  それでは、このまとめ案に基づきまして、多胎・減数手術について議論したいと思い ます。御自由に御発言をいただきたいと思います。どうぞ、どなたからでも。 ○辰巳委員  3ページ目の5の2つ目のマルの最後の方、「また、凍結保存した受精卵をタイミン グよく子宮に移植することにより、受精卵2個の移植でも相当の妊娠率が得られるとい う指摘もある」となっていますが、凍結に限らず、新鮮受精卵を2個移植してもある程 度妊娠率は可能です。それに凍結プログラムを合わせることにより、すべての胚を有効 利用することができるという意味で言っているので、凍結を強く推しているわけではな いのです。  それと同じことが、このページの6の一番最後から2行目、「 (3)凍結保存した受精 卵の移植では2個でも相当の妊娠率が得られることを踏まえると、体外受精の際、子宮 に移植する受精卵の数は、原則として、凍結保存した2個に制限することが適当であ る」。ここの「凍結保存した」という部分は要りません。凍結保存はあくまでもバック アップという意味で、2個の新鮮受精卵を戻し、そのバックアップとして凍結保存を使 うというふうに流れを変えてほしい。 ○武田主査  その議論がこの前。 ○辰巳委員  凍結保存の話はしましたけれども。 ○武田主査  これはデータとかあるといいかと思ったんですが、この前、議論が出たのですが、 データとかはありますでしょうか。 ○辰巳委員  吉村先生が2個戻しての成績をお持ちではないかと思いますけれども。 ○吉村委員  今のところ、自分のところでは36歳以下は2個にしています。 ○辰巳委員  相当の妊娠率は得られているんですか。 ○吉村委員  25%か26%ぐらいはいっていると思います。 ○武田主査  そういうお話があったので書いたんです。 ○辰巳委員  この流れが、凍結したものを戻すということにこだわっているので。そうではないん です。 ○矢内原先生  そう思います。4ページの一番最後のところは、体外受精は凍結でなければいかんと いうようなニュアンスがあるので、最後のところの「凍結」は取った方がいいのではな いか。多分、辰巳先生もそういうニュアンスでこの前おっしゃったと思います。 ○中谷委員長  ほかにいかがでしょうか。辰巳委員。 ○辰巳委員  1ページの1の項のマル2つ目の真ん中当たり、「四胎については、体外受精を原因 とするものが52.9%、排卵誘発法を原因とするものが41.2%、自然が 3.9%」となって おりますが、この自然の比率が余りにも高いような気がするんですけれども、矢内原先 生いかがですか。 ○矢内原委員 そんなに高くないですね。 ○辰巳委員 四胎の自然発生率は0(ゼロ)に近いと思うので。 ○吉村委員  四胎の 3.9%というのは、この矢内原先生の「不妊治療のあり方に関する研究」にお いては、一応そういうデータになっていますね。 ○矢内原委員  自然、3.9 %。 ○辰巳委員 一般に四胎以上は0に近いかと思うんですが。 ○吉村委員  自然は統計とった中で2例あったみたいですね。 ○辰巳委員  自然なのかどうか。 ○吉村委員  そうですね。私も非常にそれは高いと思うんですけれども。  非常によくまとめていただいて助かったのですが、4ページの「減数手術について」 というところがございますね。5ページの最後のマルのところで、「塩化カリウムの投 与を誤って母体に行う可能性があるなど危険を伴うものであることから」と書いてある んですけれども、ここにもう少し減数手術の副作用、「減数手術をすることによって、 患者が被る不利益について十分なインフォームド・コンセントを行うべきである」とい うことを私は入れた方がいいのではないかと思います。 ○中谷委員長  よろしいでしょうか。そもそもIVFとか人工生殖補助医療を行うに際して、こうい う場合には多胎妊娠の可能性がかなり高いと。その場合にはどうかという、ここにもイ ンフォームド・コンセントのことが書いてありますが、その点についての説明と同時に 減数をした場合の本人の心のケアも十分に配慮されなければならないのではないかなと 私は思うんですが、いかがでございましょうか。  戦後、日本は「堕胎天国」とか何とか言われるくらい人工妊娠中絶が多いわけですが それでも地方に行きますと「水子地蔵」とか何とかというので祀ってありますよね。そ れは人工妊娠中絶という形で亡くした子供に対する親の思いといいますか、そういうも のもそこに含まれているのではないかというふうに考えます。こういう治療を受けると 自然妊娠の場合よりも多胎妊娠の可能性が高くなることはご指摘の通り明らかなのです から。  同時にここにも書いてありますように、その場合にどうしても1人しか出産の意志は ないのか、それとも2人、3人までは何とかしようとするのか、そういう点について十 分な話し合いといいますか、説明が必要であると同時に、多胎出産の場合の、社会的、 医療的ケア、その後のケアがどうかということについての情報もきちんと伝える必要が あるのではないかと私は考えておりますけれども、いかがでございましょうか。 ○石井(ト)委員  私は先生の御意見に賛成です。  先ほど吉村委員がおっしゃいましたが、減数手術は副作用として、流産の可能性もあ ります。時には全部の子供も失うこともありますので、そういうことも含めて、インフ ォームド・コンセントをしなければいけないと思います。また、「選択」という言葉が いいかどうかわかりませんが、選択された子供が順調に育っていれば、失った子供を思 って愛情が倍増します。もし、その子が期待にそぐわないときは、失った子供を思い起 こして養育上に問題が生じる場合があるということも推定できます。新聞の読者欄でそ のような声を聞いたことがありますので、ぜひ、そのようなことも予想して、ケアとか カウンセラー的な役割の充実を図る必要があるのではないかと思います。 ○北島課長補佐  先ほど減数手術によって患者が受ける不利益についてのインフォームド・コンセント が必要だというお話があったかと思いますが、カリウムの投与のリスクに加えまして、 具体的にはどういう不利益があるのでしょうか。 ○吉村委員  例えば四胎を二胎にしたとします。その生存している二胎のうち、一胎が12週でなく なり、もう一胎が19週ぐらいでなくなる。これは患者さんに対しては大いなる不利益だ と思います。こういう症例は減数手術をしたところでは余りケアされてなくて、ほかの 病院へ来られるわけです。こういったことが、一番の具体的な患者さんに対する「副作 用」と言ってもいいし、「不利益」だと言ってもいいと思うんです。こういう流産、要 するに全部がなくなってしまうというケースは、多くはないでしょうが、私たちのとこ ろでも3例ほど経験がありますので、減数手術は安全だということを余り前面に出さな いで、減数手術をすると全部がなくなることがありますよというお話を、患者さんには 絶対にすべきだと思います。私はやったことがないのでわかりませんけれども、50例に 1例ぐらいはあるのではないかと思います。 ○矢内原委員  今、石井(ト)委員と吉村委員のおっしゃったとおりで、全部を失ってしまう率があ るのと感染の可能性がある。完全に安全だというような前提に立っていますが決してそ うではない。この前、お話したときには世界的には全部ロスしてしまう率が約10%強だ ったと思います。ある先生のところの報告では5%ぐらいだったと思います。前の記録 の数値はちょっと、後で訂正していただきたいと思いますけれども、だから、完全に安 全だというニュアンスは持たせない方がいい。 ○石井(美)委員  安全性の問題ですが、全部流産してしまう危険性はわかったのですが、そのほかの点 で、普通の中絶よりも減数手術の方がやはり危険性が高いということなんでしょうか。 ○矢内原委員  これはデータがはっきりないので比べられないのです。減数手術の場合には、この前 話したみたいな全体的なデータがありますが、流産手術に対して最近はほとんど見たこ とがないです。だから、どっちかを比べることはできないと思います。ただ、中絶をし た場合と心構えが違うと思うんです。つまり、減数の場合には残る子供が元気であるだ ろうという期待がすごく大きいためにやりますね。ですから、そこで流産を起こしてし まった、例えば、5%にしろ、それが全部の中絶と、全部子供は要らないのだというも のとは意味がすごく違ってくると思うのでダメージははるかにパーセントは比較できな いぐらい大きいと思います。残した子供を失ってしまうということの方がですね。 ○石井(美)委員  減数手術を行わないで多胎のまま継続した場合にも全部が育たないということはあり 同じような危険性というか、どちらが危険性が高いかはわからないですね。 ○吉村委員  医学的にはそれはもっと高いだろうと思います。例えば、五胎を妊娠するということ その母親がそれを継続させるということの方が高いと思います。ただ、母親が五胎を二 胎にし、その後、その二胎が流産したときにうける精神的ストレスは、かなりのものが あります。私は殺人者じゃないかと自分で思われるわけですから。これは普通の五胎が 流産した場合のショックとは違うと思います。 ○石井(美)委員  それは、流産しない場合でもですね。 ○吉村委員  流産しなければ、比較的少ないと思います。2人の子が元気で産まれてくれば、これ は少ないだろうと思います。 ○中谷委員長  よろしいでしょうか。その関係で、ここでは減数手術といっても、いわゆるセレクテ ィブ・リダクション(Selective reduction(選択的減数))とセレクティブ・フェティサ イド(Selective feticide(選択的胎児殺))と区別していませんよ。セレクティブ・リ ダクションの方は、要するに手段上、安全な胎児を選んで減数するのに対して、フェテ ィサイドの方は、複数の胎児のうち、何らかの異常などがわかった胎児がいるとき、そ の胎児だけを中絶するということです。  ところが、数だけを問題にするときは、どの子を選んだかということについて、先ほ どからいろいろ御議論のあるような問題が出てくるのではないかということが1つと、 もう一つは、フェティサイドの方は、外国の立法例によりますと、妊娠の後期までそれ が可能である場合があります。普通の人工妊娠中絶ですと、ある程度22週までとか何と かということになりますね。これが1996年のドイツの一番新しい堕胎法によりますと、 分娩開始までできるのだそうです。そういう事例などを考えますと、こういう問題も外 国の立法例(それが必ずしも妥当とも考えませんが)なども参考にしてもう少し検討し てみる必要があるのではないかということが1点。  もう一点は、先ほど「緊急避難的に」とおっしゃいましたけれども、もし、刑法上の 緊急避難ということであれば、緊急避難の要件は非常に厳しいんですね。この程度では 緊急避難とは言えないのではないかということです。ですから、そういう刑法上の緊急 避難の要件などもきちんと踏まえた上での御議論を展開していただかないと報告書とし ては不備になるのではないかということをおそれるのですが、いかがでございましょう か。 ○石井(美)委員  その点に関連しまして、よろしいでしょうか。 ○中谷委員長  どうぞ。 ○石井(美)委員  私も減数手術が望ましいものではないとは考えますけれども、中絶に比べて違法性の 高い、許されない行為であると言えるのかどうかが疑問なのです。現行法でどうするか ということを論じるなら、これでもよいのかもしれませんが、ここであえて母体保護法 の改正をする必要はないということを言って、中絶よりも許されない行為なのであると することがよいのかどうかということに私は疑問をもつのです。あえて改正の可能性も あるのに改正はしない。中絶はよいけれども、減数手術は認められない行為なのだとい うふうにここのところは読めるのですけれども、そうなのでしょうか。 ○中谷委員長  いかがでしょうか、事務局。 ○母子保健課長  基本的にはそういう考え方です。 ○中谷委員長  立法当時、優生保護法を規定する当時、こういう技術があったわけではありませんの で、後からこういう技術が開発されたときに、それは規定がないから全然許さないのか それともそういう直接の規定はなくても、結果的に見ると、やはりそこに含ませていい のだという、イギリスなどはそういう形で解決しているわけなんですが、イギリスの 1967年の Abortion Act には日本の優生保護法(現母体保護法)2条2項のような規定 はありませんから、全く同一に解することはできないと言えなくはない。刑法の場合は 拡大解釈はだめだということになりますと、やはり母体保護法の改正ということを視野 に入れなければいけないのかどうかということになろうかと思いますが、丸山先生いか がですか。 ○丸山委員  犯罪の不成立の方の拡大解釈はよろしいのではないですか、刑法で。犯罪の成立の方 向への拡大解釈はだめということだと思いますが。 ○中谷委員長  母体保護法は六法全書では社会法の中の医療・公衆衛生法規の中に分類されていて刑 事法に所属しているわけではありませんが、堕胎罪に対する特別な違法阻却事由を規定 していることを考え、また、刑法の謙抑性の原則を併せ考えますと、私も丸山委員のお 考えと結果的に一致するように思いますが、母体保護法2条2項の解釈としてはより明 確にする必要はないか検討する必要は残るように考えます。 ○丸山委員  はい。4ページから5ページ目のところなんですけれども、先ほど中谷先生と石井美 智子委員の触れられたところですけれども、「四胎以上」というふうに固定的な数値を 挙げるのはよろしいのかどうか、ちょっと私なんかは疑問に思います。 ○中谷委員長  そうですね。そうするとどんな場合でも三胎まではがまんしろということにもなりか ねませんね。 ○丸山委員  こうはっきり言うのはどうかなと思いますね。それから、今、石井美智子委員のおっ しゃった、その前の文章が「原則としては、行われるべきではない」と書いていて、ち ょっときついかと思いますが、さらに、その次の文章を「四胎以上」と言い切るのが、 第2回のときにお配りいただいた世界の比較の文献(Surveillance98)の減数手術の箇 所を見ますと、ちょっとそれと感じが違うということが言えるかと思います。  先ほどの安全性についても、この文献では多胎減数手術は、エフィシェント・アン ド・セーフ・ウェイ・ツー・インプルーブ・アウトカム・オブ・マルチプル・プレグナ ンシーズとして確立されてきた、と書いていますして、余り危険性については指摘して ないんですね。それもありますし、四胎の場合に、特にそういえる、それから、三胎以 上の場合についてもそう言えそうだというふうに書いてあるので、移植のときもそうだ ったんですけど、周りの国と余り違うことをやっていますと、人の方が動いてしまって 変なぐあいになりますので、余り厳しい枠をはめてしまうのはどうかなと考えます。で すから「原則、四胎以上」でも構わないんですが、あるいは「四胎」の後に、「場合に よっては三胎以上の多胎となった場合には」というふうにして、減胎手術、必ずしも奨 励されるべきものではないというニュアンスを出しつつも、三胎ぐらい以上であれば、 許容されるといった書き方の方がいいのではないかと思います。  それから、ついでに申し上げますと、先ほどもおっしゃった「緊急避難的」というよ うにお書きなんですが、緊急性の要件など厳しいので、それだけでは狭すぎると思いま す。ですけど、他方「緊急避難的」という言葉はよく使われますね。ですから「緊急避 難的に行うものなどについては」というふうに、その点でも必要な、万やむを得ぬ場合 には使える抜け道を多少用意しておく方がよろしいのではないかと思います。 ○中谷委員長  ありがとうございました。「緊急避難」と言われますと、要件がとても厳しいんです ね。皆さんがお考えになるよりも、正当防衛よりもずっと厳しいんです。ですから軽々 に「緊急避難的」というのはお使いにならないで、もう少しぼかしたような表現になさ った方がいいのではなかろうかというふうに考えております。 ○石井(美)委員  その場合、どういう形で、違法性が阻却されるというふうに、考えるのでしょうか。 緊急避難的ということですと堕胎罪には当たるのですね。 ○中谷委員長  そうですよね。 ○石井(美)委員  母体保護法を改正しないで、それに当てはまらないと言い切って、それで、緊急避難 的に阻却されうるという、そんな簡単に言えるんですか。 ○中谷委員長  だから、それが言えないのではないかと私は思うので、もうちょっと知恵を出して。 ○丸山委員  緊急避難以外の理論でも、と言うにはよくよくの事情がなければならないということ ですね。おっしゃるのは。 ○石井(美)委員  はい。 ○石井(ト)委員  質問が2点あります。緊急避難が正当防衛よりかなり厳しいという先生の御指摘です けど、解釈の仕方によっては、こういう場合、どの程度の解釈ができるのかという、そ の範囲を知りたい。  もう一点は、母体保護法の現法で、妊娠中絶の要件に妊娠の継続又は分娩が身体的又 は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるものということですので、 この条件で幾らでも適応できるわけなんです。私の考えは、刑法の緊急避難を一緒にか らめて、ある程度歯どめをかけるという形で持っていきたいと思っているます。従って ぜひ、緊急避難をもっと柔軟的に解釈できるのかどうかというところで、御意見を刑法 の先生方にお聞きしたいなと思います。 ○中谷委員長  難しいですね。 ○石井(ト)委員  難しいですか。 ○丸山委員  緊急だというふうには言えないんじゃないですか。現在の危難でしょう。次の資料に ありますけれども、緊急避難のところに。 ○中谷委員長  正当防衛は不正に対する反撃なんですね。不正対正なんですよ。緊急避難は正対正な んですね。どっちも悪いことではないという、そういう考え方が前提ですから、非常に 限定されるんですよ。法律的にこういう言葉を使うと、お医者さんたちは非常にお困り になるんじゃないのかなと私は思うんですけど、だから、そういう言葉を使わないで、 趣旨が生かせるような解釈法をちょっと知恵を出した方がいいような気がします。 ○母子保健課長  よろしいでしょうか。 ○中谷委員長  はい、どうぞ。 ○母子保健課長  5ページの3行目にありますように、趣旨としては「医学的に見て個別に個々の状況 に応じて判断すべきだ」というふうな感じなんですね。「緊急避難」ということの解釈 としては。それはどういうことかといいますと、今も人工妊娠中絶ができる期間は限定 されているわけですが、それを終わった後で、人工死産が行われているケースが少なか らずあるわけですね。それは全部堕胎罪該当かというと、そういうふうには世の中はな っていないわけですね。 ○中谷委員長  判例ではそうなっていますが。それをやったお医者さんは業務上堕胎罪問われました が。 ○母子保健課長  問われる可能性はあるわけですね。ただ、そのすべてが堕胎罪に該当するというわけ ではないです。 ○中谷委員長  本人についてはほとんど不問に付されていますけれども。 ○母子保健課長  だから、それと同じような、実態上の解釈として成り立つのかなというふうな考え方 なんですけど。 ○中谷委員長  今、課長が御指摘になられたように、5ページ目の3行目、初めのマルのところの 「減数手術の適応と内容については母子の生命・身体の保護の観点から個別に慎重に判 断すべきものと考える」。これはまさにこのとおりなんですね。これを十分生かされた 方がいいような気がします。 ○母子保健課長  何となく、我々は「緊急避難的」と言っていますもので、安易に法律のことを知らな いで使っていますが、その辺は先生方の御指摘も踏まえて少し調整させていただき ます。 ○中谷委員長  それは調整なさった方がいいような気がいたします。なまじ「緊急避難的」という言 葉を使われるため混乱を生じますので「母子の生命・身体に対する危険を回避するた め」というような表現にすればほぼ同じ目的を達成するのではないでしょうか。 ○矢内原委員  法律的な「緊急避難」の今の話、大変勉強になりましたけど、医学的な立場から考え たときに、単胎と双胎と比べたら双胎の方が圧倒的に予後が悪いんです。ところが双胎 というのは現実に1万組ぐらい産まれているわけですから、そういうふうに母児の保護 の観点ということを表に出しますと、そうすると双胎も対象にしてもいいということに なります。ですから四胎以上に区切った理由には、医学的に解釈すると、もし、どこか で線を引かなければならないのだったら数値以外にないんです。ですから四胎というと ころで、この前、予後が違いますよというようなお話しをさせていただいたんです。母 体のことを考えて、または経済的なことを考えたら単胎と双胎で、双胎が欲しいという 方ならばいいかもわかりませんけれども、できちゃったからという方だったら、もし安 全なら単胎にしてくださいという方がすごく多いと思うんです。  そういう意味では、どこかで、双胎でもいいんだよというようなニュアンスは残さな い方がいいと思うんです。 ○丸山委員  双胎から単胎へということですか。 ○矢内原委員  それもあり得る。 ○丸山委員  そこまでは私も言わないんですけど。 ○中谷委員長  双胎でもいやだという人もいるわけでしょう。 ○矢内原委員  います。例えば、4人、5人で、実際減数手術を施行した人の話だと、2つ残す理由 はスペアなんですね、1つの考え方は。ある意味では非常に双胎に対して失礼、けしか らんと思っているんですけれども、実際に安全を見越して、仮にもう一人がだめになっ ても、もう一人残るじゃないかという気持ちで2つ残す方がほとんどです。ですから、 四胎でも五胎でも三胎でも、もし、このままの文章でいった場合には、完全に安全だと いうことが前に出てしまったら単胎になると思います。双胎の人もそういうことを起こ し得る可能性が出てくる。 ○中谷委員長  そういう希望はだめなんですか。 ○矢内原委員  これは、ですからリプロダクティブ・ライツで、好きなとき、好きだけという女性の 権利を認めれば、これは仕方ないことだと思いますけれども、あくまで減数というのは 根本的に医師がつくって医師が行うことなんですから、これを野放図には絶対できない という見方をしなければいけない。 ○中谷委員長  本来、避けるべき手法ではありますよね。それでも御本人が、しかも配偶者ともども どうしても1人だけという場合は、それはだめと言えるかどうかというのが難しいです ね。 ○吉村委員  その場合、体外受精をする前に移植する胚は1個ですと、1人を希望しますと言えば 1個しか卵を戻さなければですね。排卵誘発の場合は一番問題だと思いますけれども、 私も矢内原先生と同じで、「四胎以上の多胎を伴った場合には」という条件を私は入れ ていただいた方が。別に会告は改正すればいいということもありますけれども、産婦人 科学会で何で体外受精で3個まで戻すのはいいと言ったのは、根拠がありまして、流産 率は四胎になると急激に増える。児の後遺症は四胎以上で圧倒的に増えると。こういっ たデータから3個までということにしたわけですから、やはり3個でも減数手術をして いいんじゃないのと言われると、その辺もまた変えなくてはいけないことになります ね。 ○中谷委員長  でも3個戻しても現実には四胎、五胎ぐらいまでありますよね。 ○吉村委員  3個戻しますと、普通は3個しかできないですけど。 ○矢内原委員  一卵性が。 ○吉村委員  一卵性はまれにありますが、それはそれほど頻度は高くありません。 ○中谷委員長  イギリスの例によりますと2個しか戻さないんですけど、五胎まで出てくるんですよ ね、現実には。イギリスはそういう点は厳しいですから、ちゃんとやっていると思うん ですけれども。 ○矢内原委員  ちゃんとやるということで、後に出てくるような管理ということが必要になってくる と思うんです。その中には数も当然入るし、そこに至るまでの過程も入らなければいけ ない。そうすると双胎でも単胎にしていいというようなことになりますと、双胎になっ た理由なんていうのは1万例もあるわけですから、いちいち報告や調査はできない。た だ、四胎以上になりますと、これは極めて少ない例ですから、この場合には管理ができ るわけですね。ですから、私は言葉どおりにとって拡大解釈して、それが双胎までいい じゃないかと、本人の自由意志じゃないかというところまでいってしまいますと、これ は野放図になってしまう、根本の精神からずれてくるように思います。 ○中谷委員長  医療を開始する前に、その点についてしっかりと説明をし、同意を得ておくことがど うしても不可欠になりますね。 ○矢内原委員  仮に同意を得たとしても、患者さんとしては、この際だから、2人でも3人でもいい というようなお気持ちで最初スタートすると思うんですね。どんなことがあっても、子 どもができればありがたいという気持ちは不妊の患者さんにはすごく強いわけですが、 ところができてみたときに、あれ?ということをおっしゃると思うんですね。私は1人 でもよかったのにと。ですから、そういうものは文章にするわけにいきませんから。 ○中谷委員長  インフォームド・コンセントの場合は説明と同意は承諾書みたいな形で残しておかれ た方がいいんじゃないですか。普通はそうしますよね。インフォームド・コンセントと いうのは、必ず説明書、同意書、承諾書。 ○矢内原委員  排卵誘発の場合には、これから排卵誘発剤をあなたに使いますから、多胎ができる可 能性もありますけれども、できたとしてもそのほとんどは双胎ですというような説明だ と思うんですね。これを文章にしているところはどこもないと思う。 ○矢内原委員  そこまで、もし不妊治療のインフォームド・コンセントを文章という形に残すことに なりますと、大変と言ったらおかしいですけど、大変になりますね。 ○中谷委員長  その点は、丸山委員の独壇場なんですけど、いかがですか。インフォームド・チョイ スと、このごろ言いますけれども。 ○丸山委員  私は法的にはチョイスまでいくのは行きすぎと思うのですが、それはさておきまして 気の毒のような気しますけれどもね。治療を受ける前の段階では、余り先のことを考え ないで多胎妊娠というのもその先のことで真剣には考えなかった。 ○中谷委員長  ともかく子供が欲しい……。 ○丸山委員  その段階で、多胎については異議を申しませんというふうに言っていたから、三胎ま ではがまんしなさいというのはかわいそうな気がします。  基本的なところへ戻ってよろしいですか。 ○中谷委員長  どうぞ。 ○丸山委員  4ページから5ページ目の文章はガイドラインの書き方ではないんですね。この文章 をこのまま読みますと、刑法上、行為の違法性が阻却されるかどうかという記述なんで すね。阻却されるべきか、阻却されてはならないか。ここでは、産婦人科学会の会告を おつくりになる姿勢で文章をつくるべきものではないと思います。もし、会告をつくる ときであれば、学会の考えで、厳し目に文章、指針をつくればいいんですけれども、こ こは客観的に犯罪が成立するかどうかということですので、その際に線引きをしなけれ ばならない。するとしたら、四胎以上ということになりますというのは、ちょっと場所 が違うのではないかという感じがいたします。  それから、体外受精の場合は3つしか受精卵を戻しません、胚を戻しませんというこ とでいいんですが、排卵誘発剤による多胎もあるわけで、そちらの方はインフォーム ド・コンセントの方もどうするか、排卵誘発剤の投与を受ける限りは、四胎以上の場合 を除いて減数は希望しませんというふうな書面をとることが考えられますけれども、私 はちょっとかわいそうだなという気がします。  繰り返しになりますが、まず、線引きを明らかに示しておくことが必要なのかどう か。刑法の解釈というのは、私は専門ではありませんけれども、結構柔軟ですので、こ ういう硬直的に取り扱われる可能性のある具体的な数を示さない方がよろしいのではな いと思います。 ○中谷委員長  どういうふうにしたら一番よろしいとお考えですか。代案として。 ○丸山委員  この文章の末尾は極めて限定的なんですね。刑法上の違法性が阻却されるではなくて されうるんですね。ですから、されうるというふうに絞りをかけるのであれば、私の個 人的な意見では、最初の段階で、生殖補助医療技術を使おうとされてらっしゃるのだか ら、二胎からの減胎手術は、ちょっと遠慮してほしいということで、この文章を残すの であれば、「四胎、場合によっては三胎以上の多胎となった場合には、母子の生命保護 の観点から、刑法上の違法性が阻却されうるときもある」というぐらいでいいのではな いかと思うんですけれど、いかがでしょうか。 ○中谷委員長  難しいですね。妊娠中絶については、アルトゥール、カウフマンなどは、「法の自由 な領域」ということをよく言うんですね。というのは、決して適法ではないんだけれど も、でも刑罰を科するほどのものではないと。そういう自由な領域があるだろうと、そ ういうのでは。 ○丸山委員  そういう観点からでしたら、刑法上の違法性阻却と書かないで、「犯罪が成立しない 場合がある」とか、加罰的違法性がないということを普通の言葉でやさしく。 ○中谷委員長  加罰的違法性がないと言った方がむしろいいのかもしれませんね。 ○丸山委員  ですけど、かなり難しい述語ですので。 ○中谷委員長  処罰の対象にはなりませんという形で。 ○丸山委員  そういう普通の表現で書いた方がいいかと思います。 ○中谷委員長  具体的な表現については、また事務局と御相談させていただいて考えさせていただく ことにいたします。 ○高橋委員  四胎以上の多胎については、吉村先生の言うように、産婦人科学会がいろいろ調査し データに基づき議論した上で決めたのですから、これは尊重していただきたいと思いま す。実際に、先ほどから双胎、三胎がどうのという議論が出ていましたが、不妊症で子 供が全然いない、どういう方法を用いても妊娠して子供が欲しいという方は、私の経験 では、三つ子でも双子でもみんな喜んでいます。三つ子で減胎してくれという人はいま せん。  実際に減数手術を行った人たちから言わせると、オープンにはこういう手術はできな いから、外国の文献を調べ人から話を聞いて、秘密のうちにやっているようです。先ほ ど人工妊娠中絶と減数手術の間の手術リスクや感染のリスクの違いの議論が出ましたが これから減数手術というものを、緊急避難的であれ何であれ、オープンにやれるように なれば、この技術も進歩するし、適切なマニュアルをつくって研修すれば、もっと安全 性が高まるのではないかと思います。  今、ここで議論しているのは、差し当たっての問題かもしれませんが、一たん禁止に 決まってしまうと、そのままこれから5年、10年、20年と続くわけです。減数手術を余 りマイナスにとられえるのではなくて、4胎などの例が出てきたときには、条件をつけ るのはもちろん必要ですが、認める方向で考えることができないかと思います。 ○中谷委員長  ありがとうございました。高橋委員は日本母性保護産婦人科医会の母体保護法の改正 の検討についてもかかわっていらっしゃるわけでしょう。 ○高橋委員  委員ではありませんが、出席をして意見を言うことはできます。 ○中谷委員長  委員会としてはどういう方向にあるんですか。 ○高橋委員  法制検討委員会としては、新聞に載って御承知かと思いますが、子宮内における胎児 の消滅、要するに子宮内から外に出さなくとも、消滅をもって人工妊娠中絶にするとい うことにまとまっています。委員の中には、減数手術を認めるような考えの方が多いの ではないかと思います。 ○中谷委員長  どうもありがとうございました。いかがでしょうか。矢内原先生、吉村先生あたり、 何人でもいいということで始まるから、2人でも3人でもみんな出産しているのだとい う高橋委員の御報告でしたけれども、その点は。 ○吉村委員  私たちのところでも幸いなことにと申しますか、四胎がありませんので減数手術の経 験はありません。三胎までは普通にお産されてますし、四胎であったという患者さんも ほかから見えた人であるのですが、その場合、自然に三胎になってしまったりとか、三 胎までは管理をしていれば、母児ともにインタクト・サバイバルであるケースの方が多 いです。  ただ、双胎になりますと、一卵性の場合にはやはりいろんな問題点が出てきます。一 卵性の場合に減数手術をする人はいないでしょうけれども、一卵性の場合に双胎を一胎 にすると、これは大変なことになります。元気な赤ちゃんも死んでしまうこともありま す。ですから、その辺を医学的に見て、患者さんがかわいそうだという意見もあります が、双胎を一胎にするというようなことも起こりうるような状況で、この減数手術は認 めていただきたくないと思います。  こういう縛りを入れるのはよくないとおっしゃる先生もおられますが、産婦人科の立 場から言えば、「四胎以上」というふうに、このままで、原案どおりにしていただいた 方が何となくいいような私は感じがします。 ○中谷委員長  ありがとうございました。矢内原委員はいかがでしょうか。 ○矢内原委員  今のと同じ意見です。今度、減数していった数が、もし数を言うならば、何胎にでも してもいいんですよということを入れるか入れないかということに次になってくるので はないかと思います。その辺は今まで議論されてなかったので、さっき申し上げたみた いに、結局はほとんどが双胎ということになると思いますね。それも、もし安全性とい うことを言うならば、単胎ということにとどまっていくのではないか。根本的に余り賛 成しておりませんから、ポジティブな方向に関しては、先ほどこれは罪にならないんだ よということだけで、大変なステートメントになると思います。 ○高橋委員  妊娠の、7週、8週とか、そういう早い時期ですと、一卵性双胎よりは 二卵性双胎の方が診断しやすい。週数が進んでくると、一卵性か二卵性か診断を誤るこ とがあります。 ○中谷委員長  簡単のように思いますけど、そうですか。 ○高橋委員  妊娠の早い時期に手術をすると、罪の意識が少なく、比較的安全にできるということ を言っている方もいます。実際にある医師が、妊娠14週か15週までなら、やると言って いますけれども、そのまま出産にもっていっております。  減数手術も、医学的に研究と、いろんなリスクも想定した上で、いろんな角度から検 討しデータを集めて、勿論術前にインフォームド・コンセントを十分にとってやれば、 今のような高いリスクがなく行えるのではないかと思います。先ほど矢内原委員から出 ましたが、最近ある学会で聞いたのは、開業医でIVFをしている施設ですが、排卵誘 発剤によって起こる多胎妊娠、卵巣過剰刺激症候群の際の血栓症の発生、それによるハ イリスク、こういうことまで書面でインフォームド・コンセントとっているところもあ ります。 ○田中委員  いろいろお話聞いていたんですけれども、「減数」という言葉が出てきたのは根津先 生がかなり前、十何年前に。 ○中谷委員長  1987年です。第1回目に新聞に載ったのは。 ○田中委員  それから、ずっとこういう問題が排卵誘発剤を使う限りはついて回ってきたことなん ですけれども、最初から暗い、やってはいけないとか、そういうイメージがずっとこの 減胎にはついてきたと思うんですね。現在、不妊治療をする我々のこういう仕事の上で は避けれない部分だと思います。ただ、減胎がなぜこれほど非難が、普通の人工妊娠中 絶に比べてあるのかというのは、やはり医原病といいますか、治療を行う側がある程度 予想される中でつくってしまう。これはヤハリ責任を問われる問題だと思うんです。で すから、実際の人工妊娠中絶に関しては余り問題はないけれども、こういう不妊の治療 の過程の中で出てきた多胎妊娠に対する減数はよくない、こういうイメージがずっと続 いていると思うんです。  これはやはり我々医者側の責任だと思うんです。何人にするか、これは患者に選ばす のは難しいと思います。というのは情報は患者さんは余り持ってないと思うので、例え ば、四つがよくないのはわかります。ただし、双子でも、例えば、子宮が半分しかない 人だとか経産婦だとか、こういう場合にはリスクがあると思います。これは担当医師が 一番よく説得する力があると思います。  ですから、私は言いたいのは、まず戻す数をきちんと決める。そうすればそんなに数 多い、体外受精における多胎はないと思います。普通の過排卵症における率の方が高く なると思います。ですから戻す数を、我々のところでは患者さんに数を選んでもらいま す。卵ももちろん質がありますから、同じ2個、1個と並べられませんけれど、卵を見 せて、この場合の数を入れた場合の妊娠率、多胎率を患者さんに選んでもらっていま す。ですから、その場合には多胎にある程度なるということは覚悟します。3つ入れる ということは三つ子もできる可能性があります。ただ、率は非常に低いと思うんです。  私の言いたいことは、まず、戻すときに患者さんとよく説明、話し合って、入れる数 戻す数を決めるということです。ある程度この多胎は避けれない。これから先も避けれ ない。であれば、認めて、暗いなといいますか、イメージを取り払って、だれでもある 程度知識と技術を習熟すればできるような技術にすべきだと思います。隠れてやったり するからいろんな不幸が起こると思います。ですから、私はこれはぜひ認めていただい て、ただ、矢内原先生おっしゃるように、不妊の治療の過程においてできる問題ですか ら、これは不妊を治療する担当者の責任がありますから、なるべくそうならない努力は すべきでしょうが、やはり避けられないこういう現象に対して、患者さんの治療の上で 副作用なく安全にやるべきものですから、そうなった場合には、ある程度みんなが技術 を習熟できるような、そういうふうなものにしていきたいと私は願っております。 ○中谷委員長  どうもありがとうございました。  そうしますと、現在のところでは、日母では減数というのは違法だというふうに言っ ておられましたけれども、今となっては必ずしも違法ではない。法律との関係は抜きに いたしまして、こういうものはむしろ認めていいのではないかという点では、皆さん御 意見は一緒でしょうか。お医者様たちの。 ○高橋委員  この議論は十数名の委員で4年間にわたって議論した結果、最終的にはその大多数の 方が、積極的には認めませんけれども、認める方向で文言をつくろうということになり ました。ですから、あのような文言が出たわけで、委員の方々は、当時、減数手術はよ くない、悪い、しかも当時の学会の会告は減数手術を認めていないのですけれども、日 母の議論は、将来は容認する方向でと考えたわけです。 ○中谷委員長  そうですか。ありがとうございました。丸山委員どうぞ。 ○丸山委員  日母の認めようという方針に8割の方がもたれて固まっていったということですけれ ども、その際に、認められる場合、四胎をめどとするというのは明記されていたんです か。 ○高橋委員  明記したかどうかは、今ここではっきり明言することはできません。しかし、日母の 議論の根拠になっているのは学会の会告、そこに出ている説明文をもとにしての議論で すから、四胎に関して、希望があれば認めることになると思います。 ○中谷委員長  議論にのったんですね。 ○高橋委員  はい。 ○石井(美)委員  まだ、変えてはいないのですね。 ○中谷委員長  会告、変更はしていませんよね。 ○石井(美)委員  違法であるという見解をまだ変更はしてはいないわけですね。8割方、そちらに変え ようという方向で議論しているという。 ○高橋委員  法制検討委員会答申案として中間報告を会長あてに出しています。 ○中谷委員長  新しい会告としてはまだ出てませんね。 ○高橋委員  出てません。 ○中谷委員長  ここに御出席の医系の先生方の間でも減数は違法ではないという点については見解 は。 ○矢内原委員  学会の会告が出たので説明させていただきますけれども、日本産婦人科学会としては この減数の問題は会告でいけないとは一言も言ってないんです。ただ、こういう議論が 必要なのだということを言っているんです。 ○中谷委員長  日母の方でだめと言っていたんですね。 ○矢内原委員  日母の方では、82年でしたか「日母医報」に、当時の優生保護法の堕胎に該当しない と。 ○中谷委員長  2条2項に該当しない。 ○矢内原委員  該当しないということを言っていたので、ですから、これは読んでいただくわかりま すけれども、まだ、結論を得られてないと。今後、法律改正のとき、意見を含めて広い 立場から検討が必要だと。まず、防止をする方に全力をそそごうと。その間にこういう 議論をしようということだったと思います。だから、いけないとは言っていないので、 私ども学会で、減数手術、自分のところのデータではありませんけれども、発表したこ とがあります。 ○石井(ト)委員  私の記憶では、最初に森山先生はいけないとは言ってなかったと思います。最初のメ モ的文章を入手したことがあります。その後、その文章の解釈が変わってきて、違法だ というような言葉に変わってきたような気がします。最初は「違法」だという言葉は使 ってなかったような気がします。そのことを踏まえますと、やはり本委員会でも総論的 には賛成だが、条件付きが必要だということを、ここで定めればいいのではないかと思 います。  従って先生方がやっていらっしゃることは、母体保護法を変えようというところに、 私は反対です。変える必要はなくて、本委員会がある程度の基準を定めればいいのでは ないか、そのように思っています。  先へ飛びますけれども、何胎かということも、これは1つの条件付きであって、三胎 までは安全だということは過去の実績や医学的な所見から十分に立証されていますので 母体や子供の双方の面で安全性を考えたときはこれでよいと思います。ただし四胎にな ると問題になります。そこは根拠がありますので、その根拠を明らかにして基準を定め るという方向で、本委員会で1つの案を固めていくということで考えているんですが、 どうなんでしょうか。 ○高橋委員  ただいま日母が母体保護法を改めようとしているようなお話しがありましたが、今、 日母の方では母体保護法を改正してどうするとかいうような意向で行っているわけでは ありません。もしも母体保護法を改めるのであれば、どういうようにという心づもりも 中で議論しているのです。私どもは今積極的に動いて、こういうように改めてほしいと いう考えは持っていません。しかしながら、現実に減数手術、減胎手術が違法であると か、会告に違反してけしからんなど、社会的に問題な意見が多く、母体保護法の解釈を めぐっても混乱している現状です。しかも、減数手術をしている会員が現在、相当数い るわけです。そうしますと、将来改正について見解を求められたときに、このような方 向でしてほしいというのが中間報告の中に盛られているのです。日母は、最終的には、 ここの委員会の見解がしっかり定まった上で、さらに中間報告に手を加えて、最終的な 文言をつくるというのが1つの考えなのです。 ○中谷委員長  どうもありがとうございました。事務局の方へお願いしたいのは、日母の見解、いろ いろ推移があるようですから、それをきちんと整理しておいていただいた方がいいよう な気がしますけれど。 ○武田主査  ちょっと確認させていただきたいのですが、2ページの4の「平成5年」と書いてい ますけれども、これは実は根津先生の本から引用させていただいたんですが、先ほど八 十何年に森山見解という話があったんですが、平成5年よりももっと前に。 ○田中委員  昭和ですね。 ○武田主査  昭和何年に。 ○中谷委員長  私の記憶だと1987年だから、昭和62年か何かだったと思います。 ○矢内原委員  87年です。 ○中谷委員長  87年が最初だったと思います。少なくとも新聞に載ったのはそれが最初だったと思い ます。 ○武田主査  平成5年の見解ということで、「堕胎罪の適用を受ける可能性がある」という言葉が 載っておったのですが、森山見解はまたちょっと別の表現。 ○高橋委員  森山見解は、今お話しに出ましたように、たしか62年だと思います。その見解に基づ いて、平成5年に、この減数手術が問題になったときにさらに見解を出した。 ○武田主査  その辺、ちょっと経緯がはっきりしなかったものですから。 ○中谷委員長  はっきり整理しておかれた方が議論を進める上にはよろしいのではないかと思いま す。母体保護法の改正云々は全然別論といたしまして、少なくとも日母の見解がどうい うふうに変わってきたか、矢内原先生と御一緒に減数手術についてのシンポジウムをや りましたね。あのときに確かに日母の方で、これは違法だという御意見出された。 ○矢内原委員  日母医報にはっきり会員は行うべきでないということを出ていましたね。この前、お 話したときに表にしてありましたので、今見ているんですけれども。 ○北島課長補佐  ちょっとよろしいでしょうか。 ○中谷委員長  どうぞ。 ○北島課長補佐  この議論の前に、日母の事務局の方に、そういったもので明文化したものがあればぜ ひいただきたいというお願いはしたのですけれども、明文化したものがないということ で、私ども入手ができなかったんです。もしできれば、委員の先生方の中で、過去の日 母の方の見解ですとか御発言等ございましたら、ぜひいただければと思ったんですが、 平成5年の日母医報に載っているという噂を伺ったんですが、日母の方でもどうも出せ るものがないという回答でございます。 ○石井(ト)委員  大分前に減数手術が問題になりましたときに、森山先生がそれに対してどういう見解 を出したのかということで、前原先生にお願いしてそれをいただいたことがあるんで す。それがごく簡単なメモみたいな文章だったんですね。ですから、後から伝わってく るような、あのような立派なものではなかったんです。それに関しましては、私引用し ています。そこの部分だけコピーして、今度お持ちしようかなと思っています。 ○中谷委員長  ファックスを送って差し上げてみてください。 ○石井(ト)委員  はい。 ○石井(美)委員  私は全体の流れと逆のことを、さきほど申し上げたことを繰り返すことになりますが 母体保護法を改正するかどうかは別として、私は母体保護法で違法性が阻却され、その 範囲で減数手術も許されるという形にもっていく方がよいのではないかと思います。減 数手術を別扱いにするよりは、減数手術も人工妊娠中絶の枠内にとらえられるようにす れば、身体的または経済的な理由によって母体の健康を若しくは害するおそれがある場 合に限って許されることになると思いますが、そのためには母体保護法の改正が必要な のかどうかです。  減数手術も入るような定義規定に変えるのが一番でしょうけれども、そうではなくて 通達などで法律を改正したくとも、それを加えられるようにもっていく可能性があるの かどうか。そういうことを含めて検討した方がよいのではないでしょうか。ここでいき なり母体保護法の改正は必要はないと言ってしまうまとめ方には、私は賛成しかねると ころでございます。 ○田中委員  高橋委員がおっしゃった、今までの人工妊娠中絶というのは胎児を母体外に取り出す ことによって、そこを「子宮内」でという言葉を入れるんですよね。それを減数を含め たものに変えるということですね。含めるに。 ○高橋委員  解釈によってはそうですね。 ○田中委員  そうなれば同じ判断できますね。特別にそういう場合だけ許すとかそういうのではな くて、その中の、人工妊娠中絶の解釈を少し、減数を認めるような解釈できるようなも のに変えるということですね。 ○中谷委員長  現行法でもその解釈は十分できると考えているものなんですけれども、高橋委員がお っしゃられたような限定といいますか、拡大といいますか、そういうものが文章化され ればなおさらよろしいのだろうとは思いますけれども、なくても私は可能性はあると考 えております。 ○田中委員  日母の先生がテレビでおっしゃったのは、減数は中絶に当たらない。なぜならば、子 宮の外に取り出す人工妊娠中絶ではないからとはっきりおっしゃいましたね。そういう 意味でいきますと、高橋委員がおっしゃるように、子宮内においてもという、同じよう な解釈できるようになれば一番わかりやすいと思います。 ○中谷委員長  ただ、減数の場合、普通の妊娠中絶だとしますと期限がありますでしょう。 ○田中委員  22週。 ○中谷委員長 だけど、減数の場合、22週未満というふうには考えませんよね。 ○石井(美)委員  もっと短い時間ですね。 ○中谷委員長  もっと短いんですか。 ○吉村委員  10週です。 ○中谷委員長  10週ぐらいですか。 ○吉村委員  10週ぐらいです。 ○中谷委員長  日本の場合は胎児条項がありませんから、胎児条項だと随分遅くまで、ドイツみたい に分娩開始までというようなことにもなりかねませんけれども、イギリスなどは胎児条 項みたいな場合は期限を切らないでというふうになっていますから、いろんな関連があ りますので、その点はもうちょっと検討した上で案をまとめていただこうかと思います けれども、ほかに御意見どうぞ。 ○石井(美)委員  今のに関連して、私は母体保護法の枠内にとは申しましたが、せっかくここでは専門 的に議論するのですから、四胎以上の場合には母体の健康を害するというような考えを 明らかにするということもまた必要なのではないかとは思います。それは丸山委員とは 意見を異にするかもしれませんけれども、ここではそこまではっきりした方が望ましい のではないかと思います。三胎は絶対にだめということはないと思うのですね。それこ そ本当に緊急避難に当たるような場合は許されないわけではないと思います。普通の中 絶と違うのは、先ほど田中委員がおっしゃったように、医原病という要素が入ってくる ということで、その点も考慮した上で、どの範囲が許されるか許されないかということ もできれば議論した方がよいと思います。 ○田中委員  実際治療をやっていますと、先ほどもお話しあったように、妊娠する前はとにかく妊 娠したいという願いが皆さん強いんです。ですから妊娠するためだったら、双子でも元 気だったら三つ子でもいいという考えを患者さん持っています。ところが実際妊娠して つわりが非常に強くなって体調が悪くなったりいろんなことが出てきますと非常に不安 になってくる。ですから不妊症の治療のここはやはり難しいところなんですね。先ほど 言いましたように、治療する前に卵の数を選ぶ、3つという1つのラインがありますけ れど、ここで我々治療を行う医者は、患者さんによくその辺を話をすることが大事だと 思います。  といって、できた場合には、3つ以上、4つ以上しかだめだというふうにしてしまい ますと、また今までの減数と同じようになると思うんです。医師がだめと言えば、その 患者さんはできるところに行くと思うんです。私としては、数は大事でしょうけれども 数にとらわれないで、そこは治療を行う医者の責任として、この先、元気な赤ちゃんが 産まれるために何が必要であるかということを考えた上で、そういうことが必要になっ てくると思うんです。だから、場合によっては双子でも危ないかもしれない、そういう ケースもあると思うんです。ただ、妊娠率をよくするために、たくさん戻すということ は、我々医者としてやるべきではないので、やはり戻す数を決める。ただし、できた赤 ちゃんの数を減数に適応するために決めるというのは私はできたら外してほしいと思い ます。 ○中谷委員長  その件についていかがでしょうか、吉村委員いかがですか。 ○吉村委員  田中先生のおっしゃることも、臨床医として、私もそうですからわかるんですが、ど こかで減数の歯どめをつくっていかないと、それこそ戻す数を5つにして減数すればい いやと、こういうことが一般の生殖医療において、私たちの同僚がやっているという現 実があるわけです。  ですから、日母の考え方も非常に大切ですが、ここで何らかの一応の基準を私はつく った方がいいと思います。「四胎以上」とするのはどうかといった、丸山先生の御意見 もわかりますが、どこかでこういうことを決めておいた方がいいのではないか。先生方 の御意見に私は別に反対するわけではありませんので、私の個人的な意見としては、こ ういう「四胎以上の多胎となった場合」あるいは「原則として四胎以上」、そういうふ うな条件がどこかに入った方がいいのではないかと私は思います。 ○中谷委員長  やっぱり原則には常に例外がありますので、その他の。 ○丸山委員  「原則としては」というのが入れば、私もそれで構いませんけれども。 ○田中委員  もし、これが法律というふうな効力を持つものになりますと、もし、それに違反した 場合は罰則がつきますよね。もし四胎妊娠でなければできないとなった場合に、 それを違反した場合には当然罰則がつくんでしょう。 ○吉村委員  法律ではありませんから。 ○中谷委員長  法律ではありませんから。 ○吉村委員  ガイドライン。 ○中谷委員長  ガイドラインだからよろしいんじゃないですか。 ○石井(美)委員  そこは次の議論。 ○中谷委員長  さすがにこちらは専門の先生方、しかも有数の専門の先生方が集まっていらっしゃる だけに、いろんな突っ込んだご意見が出て大変私はありがたいと思っていますけれども 法規定そのものについては別論といたしまして、ガイドラインとしてはそういうふうに した方がよろしいのではないかと考えます。 ○矢内原委員  法律にしないからいいんだと思うんですね。法律にしてしまうと、我々の仲間から逮 捕者が出てくるので。 ○田中委員  それがあったもので4つにこだわったんですよ。 ○矢内原委員  ですから、それは学会の示すガイドラインに従っていただく。それに対するアドバイ スをいただいてというふうに学会は私はとらえていいのではないかと思います。 ○田中委員  わかりました。 ○中谷委員長  2回とも場合によっては減数しなければならない場合も出てくるだろうと思うんです ね。いろんな症状等に合わせまして、それはそれで対応できるようにするわけですから よろしいんじゃないですか。 ○辰巳委員  やはり原則として四胎ぐらいは入れておかないと、いつの間にか、四胎だったのが三 胎までするのは当たり前みたいな形が起こる可能性もあると思いますので、やはり「原 則として四胎」みたいな言葉は入れられた方がいいのではないかと思います。 ○中谷委員長  大体御意見がまとまったようでございますので、何か。 ○北島課長補佐  確認させていただいてよろしいでしょうか。卵を戻す数のところなんですけれども、 そこは。 ○辰巳委員  2つと言いましたけれども、やはり三胎になる人は非常に条件のいい人がほとんどで 条件の悪い人が三胎になることはめったにないんです。例えば、吉村先生のところで言 っておられるように、年齢が若い人、あるいは経産婦の方は2個まで戻すようにという ふうな、ある程度の条件をつけて、2個以下で4個以上は戻さない。3個以下。条件の いい症例に対しては2個以下にするというのが一番妥当ではないかと思います。 ○中谷委員長  矢内原委員、それでよろしいですか。 ○矢内原委員  はい。 ○中谷委員長  その点はそういう形にしていただくということで。 ○石井(ト)委員  そうしますと、今までで示した3個というところは2個に今度は定めるということな んですね。2個ということで。 ○中谷委員長  3個以下。 ○吉村委員  これは3個じゃないですか。 ○石井(ト)委員  ここに書いてあるので、2個でも踏まえて、2個にすると、この文章がそうなってい るんですよね。 ○辰巳委員  この文章はちょっと違います。 ○石井(ト)委員  凍結というのは外したとしても、2個となっていますので。 ○辰巳委員  だから、それに対して今言ったので。 ○中谷委員長  その内容を変えようということですか。 ○辰巳委員  ちょっとこれは言い過ぎだと思いますので、原則3個で条件のいい症例に対しては2 個というふうに変えていただいた方がいいということを申し上げたんです。 ○中谷委員長  そういうことで、今、御意見が一致しましたので。 ○石井(美)委員  一致したのかどうか、そこは議論していただいた方がよろしいのではないですか。原 案は2個です。 ○田中委員  これも難しいんですよ。数字は、1、2、3、4ぐらいしかない。この4通りしかな いので、大体日産婦も一番最初は4つだったんですね。それが今3つになって、経産婦 は2個というのは大体。イギリスなんかは今2個と言っていますね。 ○中谷委員長  はい、2個ですね。 ○田中委員  これも実際、先ほど言いましたように、質がありまして、本当にポリティの高い分割 なんか、同じ4細胞でもグレードがありますから、そこは原則論として、数字としては 私も3と2がいいと思います。それ以上が書きようがないんですからね。4つは、そう いう時代終わったと思うんですね。 ○中谷委員長  イギリスでは2個に限定しても五胎まであるんですよ、現実には、多胎が。ですから それは何とも言いようがないので、原則として3個以下。 ○母子保健課長  原則3個ということになりますと、三胎の妊娠の可能性がかなり出てくるわけです ね。先ほど減胎手術の方は原則が4ですね。そうすると3の場合は原則としては減胎手 術は行わないということになります。個別のケースは例外ですけれども、そうすると ちょっとそこにギャップがあるのではないかと考えております。  ここに2を出した理由は、減胎手術というのは人為的につくっているという発想が基 本にありまして、しかも排卵誘発剤の方がなかなか人為的に多胎妊娠を阻止できないの であれば、確かに妊娠率は多少落ちる可能性はあるかもしれないけれども、逆に言うと 生命を粗末にすることから比べれば、それは耐えてもらわなければいけない範囲ではな いかというふうなことで2ということを諸外国の例等も加味してお示しさせていただい ているわけです。  ですから、そこら辺はせめて、原則2で、場合によっては、イギリスなどでも40歳過 ぎると3というケースも結構あるようですので、そういうふうな何か具体的なルールみ たいなものをつくらないと、原則2も、そのうち3でもいいのだということで、皆さん が3にして、減胎手術も原則4だけれども、原則だから三胎も必要があれば、みんな減 胎しましょうというふうに、現実にはなっていく可能性が相当強いと思っていまして、 そこら辺をある程度歯どめをかける必要があるのではないかと思われます。  先ほど石井委員もお話しをされておりましたが、例えば、人工妊娠中絶の定義を変え て、こういった減胎手術も対象にすべきではないかと、それは確かに1つの理論として はあり得ると思いますが、そこの理論がすんなり受け入れられないところは、自然界で 例えば四胎とかそれ以上というのはまれにしかない。その場合、皆さん一生懸命になっ て助けようとして四胎、五胎でも産ませる努力をするわけですね。それがこういう人工 的な生殖補助医療になってくると、四胎、五胎、あるいは三胎、四胎、五胎が非常に多 くて、その場合は、どちらかというと、皆さん減胎を選んでいくというふうなことに対 しての社会的な歯どめだという立場に立って、現場の先生方は、実際に不妊治療される 方を目の当たりにして、ケース・バイ・ケースで確かに違うんだろうと思いますが、こ こに来ていらっしゃる先生方のように、きちんと原則を守っていただけるということが 現実に起こるのであれば、それはそれでよろしいのでしょうけれども、なかなか現実に は原則が、いつの間にか原則でなくなってしまう可能性もあるので、その辺は、例えば 原則であれば、原則のルールを、さらにこういうケースですよというぐらいまで規定し ておかないと、実際には原則というものがどういうふうな形になってしまうかというと ころを非常におそれるわけであります。その辺をもう少し先生方に議論していただけれ ばと思います。  現場の裁量に任されるぐらいの原則にすると、関係者のコンセンサスも得られやすい かもしれませんが、やはり問題が起きてきている発端はそういうところではないのかな と認識しておりまして、その辺もうちょっと御議論いただければと思います。 ○中谷委員長  ありがとうございました。いかがでしょうか。これは医系の委員の方たちに伺います が、原則2個というのでいかがですか。辰巳委員。 ○辰巳委員  やはり起こりそうな人に起こるんですね。3個戻して3個つくというのは、やはり起 こりそうな人に起こる。そこをきちんと決めれば、もう少し具体的に、例えば、吉村先 生、何歳以下でございましたか。 ○吉村委員  36歳以下。 ○辰巳委員  そういうふうなきちんとしたものをつくれば、まず、原則3個、そういうふうな方は 2個ということにすれば、三胎が非常に増えるということはないのではないかと私は思 います。 ○母子保健課長  ついでに申し上げますと、最近この生殖補助医療をやっている機関が物すごい勢いで 増えております。そうするとその医療機関の中にはいろいろな技術レベルもあると思い ますし、倫理的な観念もいろいろだと思いますので、その辺のところも考慮していただ いて、ここにいらっしゃる先生方の医療機関では決してそんなことはないと思います が、そういうバリエーションに富んだ医療機関まであるということを考慮していただい てお話しいただければと思います。 ○中谷委員長  矢内原先生いかがですか。 ○矢内原委員  2個とぴしっとここで限定してしまわない方が、先ほどの四胎以上というようなこと を考えますと、それに整合性という意味では、原則として3ということでいいのではな いかと思っているんですが。 ○中谷委員長  吉村先生もそうですか。 ○吉村委員  私は自分のところでは36歳以下は2個にしていますし、37歳でも卵のクォリティーの いい方は2個にしていますし、40歳以上はある程度クォリティーがよさそうでも3個に しています。そういうふうにして個別的に考えていますので、個人的な意見としては、 原則2個の方がいいと思います。ただ、世界の例を見ましても、意外と制限をしている 国は少ないんです。日本はそういう意味で、比較的早めにこの点に関してだけは3個と いうことにしたんですけれども。 ○中谷委員長  何個にするかというのは、丸山委員御存じですよね。比較法研究でやりましたよね。 調査結果を発表しましたでしょう。石井美智子委員、御存じだと思いますが、そのとき は割合に3個というのが多かったですよね。 ○吉村委員  3個とか4個もありましたね。2個は結構少ないと思いました。 ○中谷委員長  2個はそのときはなかったような気がしますね。 ○丸山委員  前の大会ですから、そのときに2個というのはちょっと具体的には覚えてないんです けれども。(校正時追記:比較法研究53号102頁(1991)の表には、イギリス3個、ドイ ツ2個とある。もっともドイツについては本文32頁では3個とされている) ○中谷委員長  比較法研究の53号(1991年)だったのではないでしょうか。 ○石井(美)委員  この前、島さんの一覧表あったんじゃないですか。 ○丸山委員  本委員会の2回目に配られた文献(Surveillance98,17頁)にもあります。 ○中谷委員長  そうですね。2個は割合少ないと思います。 ○丸山委員  2個は数カ国です。 ○中谷委員長  原則2個というのでもいいわけですし、原則3個でも、どちらも原則だから。 ○石井(美)委員  4ページの原案では、原則2個で、例外になる場合を挙げてらっしゃいますね。この 程度の制限が可能なのかどうかということが1つであり、会告が3つになっていても、 現実にその3個も守られてないという現状をどう考えて、その辺を守らせるような工夫 ということがもう一つの問題なんだろうと思うんですけれども。 ○田中委員  原則2個は厳し過ぎると思います。大体人の卵の1個の着床率は非常に低いんです。 大体3個でトータルすると9割ぐらいが1人ですから、3個でやっと妊娠していくとい うのが今の現状だと思います。ただ、今、技術の中で着床率を上げるような新しい動き が出ていまして、培養液がどんどん変わっていますので、これは4個が3個になったり いずれは2個になる時代がくるかもしれませんけれども、大学と違って、我々のように 開業医で、不妊の治療で生計を立てている医者に2個にしろというのは私は酷だと思い ます。妊娠率がかなり下がると思います。そこは、先ほども言いましたように、年齢も 1つありますけれども、今は細胞の数プラス着床なんです。着床率がいいか悪いかで、 1個でもくっつくのはくっつきます。ですから数はあくまでも原則で、私は3つでお願 いしたいと思います。2つにすると妊娠率はかなり下がると思います。  だから、一応ここで決めた以上、それである程度力を持つようにするのであれば、そ れをやるようなときには我々にとってもよほどの覚悟が要りますから、2つ決めて3つ 入れるということは、そうなると実際の診療に支障が出てきますから、私は原則3つ、 ぜひ、そうしていただきたいと思います。まだ、2つの時代ではないような気がしま す。 ○中谷委員長  いかがでしょうか、ほかの委員の先生方。 ○石井(ト)委員  田中委員に質問なんですが、現実的にグレードの高いものはどのくらいの割合です か。 ○田中委員  グレードの高い胚ですか。 ○石井(ト)委員  胚と着床ということで。 ○田中委員  妊娠するために胚のグレードと内膜の両方必要なんです。ですから両方が合致したこ とが、先ほど辰巳委員が言ったのはそういう意味なんです。いいのはいいというのは、 内膜がよくて胚がいいのはほとんどくっつく場合があるんです。 ○石井(ト)委員  受精卵のグレードの高いものは、大体どのくらいの割合ですか。 ○田中委員  年齢が若い人です。だから、患者の年齢によって変わってくると思います。若い人は 着床もいいですし卵も胚も質がいいです。年配の人は、逆に言うと両方悪くなります。 だから数を決めるのは難しいんです。1つは年齢だと思います。だから、年齢とかそう いうことを具体的に書かないで、原則3つで、妊娠が「着床率が高いと予想される場合 には2個にする」というぐらいでどうなんでしょうか。 ○中谷委員長  原則何個といたしましても、ちょっと論点がずれますけれども、倫理委員会というよ うな、あるいは専門の倫理委員会みたいなものがあるかどうかによって、これはまた大 分違うだろうと思いますけれども、それは今は論点が外れますが、いずれその問題に戻 ることがあるかもしれません。  課長、いかがですか、原則2個に対して原則3個というのは。 ○母子保健課長  多分「原則3個」というのはないんだと思うんですね。「最大3個」ということにな ると思うんです、その場合。「原則3個」というと、4個もいいということになります ので、文言上は。3個を超えないということか。 ○吉村委員  最大3個。 ○中谷委員長  最大3個という。 ○田中委員  そうしますと、先ほどの減数の4つ以上というのは意味なくなりませんか。 ○石井(美)委員  排卵誘発剤。 ○田中委員  それは排卵誘発剤だけの問題。 ○中谷委員長  2個だって、イギリスの報告書によれば、五胎までありますからね。 ○吉村委員  三個でも四胎あると思いますけれども、理論的にあってもいい。すごく少ないですけ どね。 ○母子保健課長  体外受精の方では、基本的に3個までしか入れないということであれば、減胎手術の 適応になるものは一卵性双生児以外は原則としてないということになります。まだ議論 されてないと思うんですが、排卵誘発剤の多胎妊娠を防ぐかということも後ほどお時間 があったら議論していただきたいのですが、こちらの方もいろいろ研究ではお願いして いて、一定量の薬剤を使うことによって少し防げるのではないかといった研究もござい ますけれども、何か規定みたいなものが薬剤使用法について、できれば、その方も少し 人為的な多胎妊娠、三胎以上の妊娠を防ぐことができるのかなという気がしておりまし て、これまた後ほど御議論していただければと思います。 ○中谷委員長  その点は案の中にも出てきますけれども、そういう排卵誘発剤についてのいろんな研 究がない時代に根津さんの報告によると九胎まであったというんですね。九胎の場合に 減数しないわけにいかない、そういう例があったようですけれども、最近は排卵誘発剤 を使ってもそれほどのことはないようですけれども。 ○石井(美)委員  最大3個というのを入れるとしても、現行の妊娠率というか、そういうものを考慮し て、最大3個。それが改善された場合には2個の方向にするみたいな、そういう形の入 れ方もあり得るのではないかと思うんですけれども、3個で決めたらずっと3個ではな くて、望ましいのは2個なんだけれども、現状では3個という形の合意が成り立つのか どうか。学会とかもっと下の段階でそういうものを変更していく可能性を規定の仕方と しては考えた方がいいのではないかと思います。 ○中谷委員長  表現としては「最大3個」というよりは「3個以下」、未満だと3個は入りません。 ○丸山委員  以内。 ○中谷委員長  以内。いかがでしょうか。 ○丸山委員  すいません、今後のこの取り扱いですけれども、次回は案がとれて、これは見解にな るんですか。 ○中谷委員長  皆さんからの御意見をまたいただいて、そして調整して。 ○母子保健課長  私どもの予定では一応一通りすべてについて議論していただいたものが最終報告書に なると思っておりますが、ただし、パーツパーツで一応完成はすることになろうかと思 うんです。一応最後全部通して、ほかの生殖補助医療の関係も含めて、最後これでよろ しいかということで部会には返そうと思っています。個々の、例えば、減胎手術でまた 部会に返すとかそういう形ではなくて、当面部会へは全部まとめて返した方がいいと思 っておりますが、これはこれでほかの論点とちょっと違いますので、この議論が終わっ てしまえば、あと余りのほかのところと関係ありませんので、実際にはこれだけは早く この部分は行政的にも動かしたらどうだというような御意見であれば、それはそれで別 途関係団体とも交渉して動かしていくことも可能です。減胎手術というのは問題がある わけなんで、最終的な報告を待って、1年後に全部出すかというところまで待たなくて これだけは別途やった方がいいのではないかといった先生方の御意見であれば、それは それで別扱いでも構わないと思っております。 ○中谷委員長  そういうことだそうですので。 ○丸山委員 1つだけ細かいところよろしいですか。1ページ目の下から6行目なんですけれど も、「五胎は 993±2499」、これは9が1つ多いんじゃないですか。 ○武田主査  そうですね。 ○丸山委員  それだけです。 ○中谷委員長  ありがとうございました。 ○石井(美)委員  よろしいでしょうか、中谷委員長。 ○中谷委員長  もうこの辺で打ち切りたいんですが。 ○石井(美)委員  打ち切るということですけれども、これを1つまとめることがいいかどうかというこ とにもかかわるんですけれども、最後の7、5ページの一番最後で「行政又は学会」と か、「医療施設を認定し」というのは、減数手術についてということの意味ですか。 ○矢内原委員  これはそうですね。 ○吉村委員  それはそうだと思います。 ○母子保健課長  一応まとめた趣旨は、これは減数についてだけです。多分ほかの生殖補助医療につい ても同じようなことがあり得ると思いますが、施設はその場合変わってくると考えてい ます。この場合の減数手術対象施設はそれほど多くはないだろうと思っていまして、そ こで厳格な形で行うべきではないかと考えております。生殖補助医療のほかのものにつ いては、また別の施設規定みたいなものを作って登録をするかどうかというのは後ほど 議論になるところと思いますが、それも別途必要かなとは思っております。 ○石井(美)委員  それともう一つは、先ほど、これが案がとれてとおっしゃったんですけど、最後のと ころは結局四胎にするかどうかということも含めて、どう違法性を阻却するかというこ とについては必ずしも一致はしてないので、案はとれるということはないのではないか と思うのですけれども。 ○母子保健課長  多分全員が意見の一致をみることがない場合もあろうと思います。先ほど石井美智子 委員のおっしゃるように、例えば、母体保護法の改正みたいなものも視野に入れて考え るべきではないかという意見も委員の中にはあろうかと思いますので、文章上はそうい う視点も入れて1つの文章にするということも可能です。実際に動かすときに何をやる かというのは、また、法律改正とか何とかということになると、今度は行政とか国会と かの判断になりますので、文章上入っても、それを実際にどこまで動かしていくかとい うのはまた別の次元の問題になってくると思います。この審議会としては、そういう1 つの発想というか、考え方を整理していただければよろしいのでないかと思います。 ○中谷委員長  石井委員ただいまの課長のご説明でよろしいですか。 ○石井(美)委員  はい。 ○母子保健課長  次回もう一回、きょうの御意見を踏まえて修正したものをお出しします。その間に、 ぜひ、こういう文言を入れてくれとか、ここはこういうふうに直してくれとかという御 意見がございましたら、私どもの方にファックスでお送りいただければ、それも踏まえ て修正したものを出させていただきたいと思います。 ○中谷委員長  どうぞよろしく。矢内原委員何か。 ○矢内原委員  今のことなんですけど、これで案がとれてしまったら困ると思って、こういう問題 は、2年という1つの区切りでやって、これから幾らでも出てくると思うんです。同じ ような、ここで決めようか、あそこで決めようか、できれば、なるたけ最終的なものは 全体を通して議論するときにもう一回、前のところを見直すことができると思います。 多分これから議論になるのは、リプロダクティブ・ライツというものをどういうふうに 考えるかということになってくると思うんですね。 ○中谷委員長  ライツとヘルス、両方が関係してきますから。 ○矢内原委員  ですから、これをきょうこういうことが決まったというようなことにしていただきた くないと思いますので申し上げておきます。 ○中谷委員長  その点についてはどうぞ御心配なく。  それでは、時間も大分たってしまいましたけれども、議事の(2)の「精子・卵子・ 受精卵の提供について」に移りたいと思います。事務局が精子・卵子・受精卵の提供に ついて、問題点等の整理案を用意しておりますので、これについての説明をしていただ きたいと思います。 ○武田主査  資料4について御説明させていただきます。座らせていただきます。  時間がありませんので、簡単に御説明いたしますと、「精子・卵子・受精卵の提供に ついて」ということでございますが、各技術共通事項についての整理ということでござ いまして、「(1)第三者からの配偶子提供の是非」というところてございますが、不 妊症により第三者から配偶子提供を受けなければ、子供を望んでいても子供を持つこと ができない夫婦が存在しております。  こうした者は養子を受け入れるべきとの意見もあるが、夫婦どちらかの血縁がある子 あるいは血縁がなくとも自らが分娩した子を持ちたいとする者が存在しております。  親子関係についても、「産みの親より育ての親」という考え方に近い、どちらかとい えば近いという方が最近は増えているという状況もございます。  一方で、こうした技術の中には受診者や提供者の身体的負担を伴うものや出生児に精 神的、社会的な問題や影響があるものもあり、これらを踏まえて、それぞれの技術の是 非やそれが実施される際の条件について検討することが必要ではないかということでご ざいます。  それから「(2)対象者」てございますが、対象者については、結婚していながら不 妊症であるため子供を得ることができない者が適当ではないか。この場合、事実婚状態 にある者をどうすべきかが議論になるのではないかと思います。  一方で、不妊症でなく、結婚したくはないが子供を産みたい女性については、父のな い子供を生み出すこと等の出生児への影響を考えると認めるべきではないのではないか という提案でございます。  それから「(3)問題」の共通事項の整理をしておりますが、「1)出生児の法的地 位の問題」でございますが、出生時の法的地位は後述のとおり不安定な面があるのでは ないか。  現在、これらの技術による出生児は実子として届け出られている現状でございますが 血縁関係がなくとも実子として法的地位を与えるのか、養子とすべきかという議論があ るのではないかと思います。  意識調査などによりますと、「実子とすべき」と答えている方がどの技術も多い。た だ、受精卵の胚移植については40.4%と、少しほかの技術に比べると少なくなっている というような現状でございます。  「2)出生児の心理や取り巻く環境の問題」でございますが、父母が遺伝的な父母で ないとわかったときに精神的ショックを受けるというような影響があるのではないか。 配偶子の提供を受けて出生したことがわかったときに、偏見を持たれるようなことは ないか。  近親者が提供者である場合には、提供者と出生児との間で親子の情が生じるなど親子 関係に問題が生じる可能性はないか。  「3)商業主義の問題」ですが、優秀な提供者の配偶子を高額であっせんするケース などが米国でみられておりまして、こういったものは、配偶子は人ではないといえ人身 売買的であり、倫理的に許容されるのかという問題がある。  一方、配偶子の提供者に実費程度を支払わなけれは、提供者が集まらないとの問題も あるのではないかということでございます。  「4)遺伝的な親を知る権利の問題」でございますが、出生児が成長過程で遺伝的な 父母を知りたいと考える可能性があるのではないか。  その一方で、配偶子の提供者は、被提供者や出生児に自分の個人的な情報を知られた くない。匿名でいたいという場合が多いのではないかということでございます。  次に各技術ごとに見ていくということで「AID」ですが、現状AIDは昭和29年と 書いていますが、これは24年の間違いでございます。24年に第一子が誕生して以来、出 生児数は約1万人の実績があるということでございます。  また、AIDについては、日産婦においても承認されております。  「(2)本技術の考えられる対象」でございますが、女性側に問題はなく、男性側に 精巣機能が高度な障害を有しているなど精子を得ることができない問題がある場合。  「(3)本技術の問題点」でございますが、「1)安全面の問題」ですが、これは問 題というか、問題がないということを言っているのですが、出生児が障害を持つ率は自 然妊娠の場合と同程度である。  精子を子宮に注入する際に排卵誘発剤を用いる場合には、多胎になる可能性がある。 これは夫婦間の人工授精の場合と同じ問題点でございます。  精子提供者について性感染症の検査が行われない場合には、被実施者の女性が性感染 症に感染する可能性があるという問題でございます。  それから、1人の精子提供者が精子を提供する回数が多い場合には、同一の精子提供 者を遺伝的父とする子が多数出生し、それらが婚姻する可能性がある。近親婚の危険の 問題がございます。  「2)出生児の法的地位の問題」でございますが、民法は、妻が婚姻中に懐胎した子 は夫の子と推定すると規定しておりまして、夫は子の出生を知った日から1年以内であ れば子が嫡出であることを否認可能です。  AIDについては、夫の同意なく実施された場合には、嫡出否認が認められる地裁の 判例がございまして、この場合、出生児の法的な父は存在しなくなるということになり ます。  一方、夫がAIDで行われた場合には、嫡出否認ができないと解釈するのが適当では ないか。これは法務省民事局長の国会答弁でございます。  ただ、出生を知ってから1年以上経過後又は嫡出子であることを承認すると嫡出否認 ができなくなるわけですが、妻が夫によって懐胎することが不可能な場合は嫡出推定は できないという解釈もございまして、親子関係不存在の訴えを起こしうるという判例が ございます。これがAID児に適用されると親子関係がひっくり返されるというような 可能性もございます。  「(4)本技術の是非についての委員及び国民の意見」でございますが、本委員会の 委員については、全ての委員が本技術を認める又は条件付きで認めるとしております。  国民の意見としても、認めてよいとする者、条件付きで認めてよいとする者が50%を 上回っているような状況でございます。  「2 第三者の精子を用いた体外受精」でございますが、こちらについては、日産婦 では認められておりません。本技術とAIDの取扱いを区別していることを疑問視する 意見がございます。  本技術とAIDの取扱いを区別していることを疑問視する意見もございます。  「(2)本技術の考えられる対象」ですが、精巣機能に高度な障害を有しているなど 精子を得ることができない問題が男性側にあり、かつ女性側にも卵管閉塞などの問題が ある場合。  「(3)本技術の問題点」でございますが、出生児が障害を持つ率は自然妊娠の場合 と同程度。これは先ほどと同様でございます。  それから、こちらが一番の問題点でございますが、排卵誘発剤の使用が必要であった り、侵襲的な方法が採卵の際必要でございますので、第三者の女性に身体的負担がある という問題がございます。  胚移植の際、多胎の問題は夫婦間の場合と同様の問題でございます。  卵子提供者の性感染症、それから近親婚の問題、これはAID等と同様の問題でござ います。  「2)出生児の法的地位の問題」でございますが、民法の解釈としては、母子関係は 分娩により当然発生するという判例がございます。  しかしながら、民法は卵子提供による妊娠・出産を想定していませんし、現在も基本 的には行われておりませんので、卵子提供者から今後認知の訴えや関係者からの親子関 係不存在の訴えが、これまではありませんが、生じるのではないかという問題もござい ます。 「(4)本技術の是非についての委員及び国民の意見」でございますが、これ も認める者、条件付きで認める者、認めない者が分かれてございます。  厚生科学研究の意識調査によりましては、こちらは「認めてよい」、「条件付きで認 めてよい」とする者が、こちらも50%を上回るような状況となっております。  次に「4 第三者の受精卵を用いた胚移植」でございますが、こちらもその前と同様 に、日産婦では認められておりません。  「(2)本技術の考えられる対象」は、男性側に精巣機能が高度な障害を有している など精子を得ることができない問題があり、女性側にも卵子を得ることができない問題 がある場合でございます。  「(3)本技術の問題点」の「1)安全面の問題」につきましては、出生児が障害を 持つ率は自然妊娠の場合と同程度。これもほかの記述と同じでございます。 採卵は排卵誘発剤の使用が必要であり、かつ、侵襲的な方法であるため、卵子提供す る女性に身体的負担がある。余剰胚などを使った場合はまた別の議論になるかと思いま す。 胚移植の際、受精卵を複数個胚移植することにより、多胎になる可能性がある。 こういった問題がございますが、これは夫婦間の場合と同様でございます。  性感染症の問題、近親婚の問題は他の技術と同じようにあると思います。  親子関係の問題でございますが、父子関係はAIDと、母子関係は第三者の卵子を用 いた体外受精と同様でございますが、1つ違うのは、どちらも遺伝的なつながりがなく 養子に近いような格好だということで、その辺の問題はあるかと思います。  最後に「(4)本技術の是非についての委員の意見及び国民の意見」でございますが 認める者、条件付きで認める者、認めないとする者に分かれてございます。  最後に意識調査の結果でございますが、「認めてよい」、「条件付きで認めてよい」 とする者は50%を下回るような結果となっております。  以上でございます。 ○中谷委員長  どうもありがとうございました。  それでは、どうぞ、皆様から御自由な御発言をいただきたいと思います。どうぞ、辰 巳委員。 ○辰巳委員  6ページのところですが、第三者の卵子を用いた体外受精の安全面に関して、本来な ら、妊娠が不可能な高齢の女性が妊娠することにより、非常にハイリスクな妊娠が増え て、そのために母体死亡等が増える可能性があるというのが1つ大きな安全面の問題で はないか。それを付け加えていただきたいと思います。 ○中谷委員長  いかがでしょうか。この点に関して。吉村委員いかがですか。 ○吉村委員  私は自分の返事にも書いておいたんですけれども、妊産婦死亡率見てみますと、今、 40歳〜45歳までぐらいの妊産婦死亡率しかないと思うんですね。45歳以上でなかなか妊 娠される方は今おりませんので。それを比較しますと35歳〜39歳では10万人当たり24.5 %です。40歳以上では124.7 なんです。ということは、40歳以上の妊娠 802人に1人は 死亡している。 802人に1人死亡しているということは、例えば、これから先、48歳で 産みたい、 50歳で産みたいという方が出てくると思うんです。そうなるとやはり300人 400人に1人妊婦が死亡するという事態は起こり得ると思うんです。  この前もイギリスのブリンスデン博士がお見えになったとき、そのことを私は聞いた んですけれども、やはりそういう統計はイギリスにも非常に少ないそうですね。ですか ら、高齢者が希望する。私どものところにもアメリカで卵子提供を受けられて、49歳ぐ らいで来ている人がいるんですけれども、やはり高齢妊娠だと妊娠の合併症、母体に対 するリスクが非常に高くなるということを入れておいていただいた方がよろしいかと思 います。 ○中谷委員長  たしかアメリカでは随分高齢の女性が妊娠したという報告はありますよね。 ○吉村委員  報告はあると思うんです。例えば、イギリスでもお母様が59歳か60歳で、娘の子供を 妊娠したというのはあるんですが、そういうことが卵子の提供、胚の提供だと問題にな ってくるのではないでしょうか。 ○中谷委員長  同時に親子関係でも大変な問題になる。娘であると同時に孫であるというようなね。 ○高橋委員  5月の末に日本産婦人科学会東部連合地方部会が行われました。その際、ある大学か ら、54歳の日本人女性がアメリカで卵子の提供を受けて体外受精し双胎妊娠し、帝王切 開で無事子供を出産したという報告がありました。 ○中谷委員長  貸し腹ではなくて。 ○高橋委員  いいえ。二十歳台のときから不妊症で悩んでいた夫婦がアメリカへ行って、卵子の提 供を受けて、借り腹ではなく自分のおなかで、双子を産んだという発表を聞いたので す。私は日本で初めて聞きましたので、「あなたはそういう話を仲間で耳にしたことあ りますか」と質問したら、「小耳にはさんだところでは」という不確実な話ですが、十 数例くらい日本でもあるようなことを聞いているという。ということは、アメリカに行 って卵子の提供を受けている症例があるという事です。  日本でもこういった事例があるということはそのうちに卵の提供を受けた高齢妊婦の 母体死亡などが起こらないとも限りません。これは何らかの歯どめを設けることも考え ておく必要があると思います。 ○石井(美)委員  今、小耳にはさんだ十数例というのは、高齢出産が十数例ということですか。 ○高橋委員  50歳以上でどの程度妊娠したという情報がありますかと聞いたら、小耳にはさんだと ころでは10数例、少なくとも複数例はあるようなことが言われております。それくらい 外国に行って、卵の提供を受けてIVFをしているということではないかと思います。 ○矢内原委員  学会の中のIVFの規定の中に生殖年齢の夫婦という規定を決めているんです。です から日本の中では、今言った生殖年齢に限るということは非常に大切なことだと私は思 っています。それが1つの点です。 ○中谷委員長  何の。 ○矢内原委員  生殖年齢、つまりお母さんがそんな年寄りではいかんということです。 ○中谷委員長  それは何歳とかになっているんですか。 ○吉村委員  それはないです。 ○矢内原委員  これは人によって多少違いますから、大体45とか50歳が閉経のあれですから、それが 1つ。  もう一つは、今の高橋委員の話は、いわゆるエッグ・ドネーションの話で、これは外 国のあるクリニックで調査をしてもらったことがあるんですが、それは高齢であるかな いかは別としてエッグ・ドネーションを受けることはかなりやられています。日本から たくさん行かれている。ただ、私は、この間、ブリンスデンの話の中にもありましたけ れども、外国がやっているからとか、そういうことはここで議論しなくてもいいのでは ないかと思うんです。日本でできなくて外国でやりたい人は外国へ行けばいいんです。 ○中谷委員長  でもイギリスなんかはエッグ・ドネーションの場合は35歳の誕生日まで、精子の場合 は。 ○吉村委員  それはあげる方。 ○中谷委員長  ドネーションの場合は、そういうふうになっていますよね。 ○吉村委員  もらう方には、この前、聞いても制限はなかったですね。 ○矢内原委員  実態としては、高齢のことが今問題になっておりますから、辰巳委員が言われた高齢 出産、高齢者のエッグ・ドネーションということに関してはそこに縛りを学会でもつけ てありますし、ここで言わなければいけないのだったら、「生殖年齢に限る」というよ うなことを入れておいた方が私はいいと思います。 ○中谷委員長 生殖年齢というのは何歳ぐらいを考えていらっしゃるわけですか。 ○矢内原委員 私は45歳ぐらい。 ○中谷委員長 ほかに今の件について何か、どうぞ、田中委員。 ○田中委員 この問題が、この会の一番の私はハイライトだと思うんです。根津先生の問題が、法 律関係者だとかいろんな人が集まってきているメインテーマだと思うんです。この問題 はほかでは多分討論しても偏った意見のグループでしかできないし、そういう意味で十 分にこれをぜひやっていただきたい。そして、何らかの形を示していただきたいと思い ます。 最初に私はここに参加したときに言ったと思うんですが、不妊の治療には2通りあり まして、夫婦間ないしは医者と患者同士で行われる治療と、もう一つは第三者が入って くる治療。第三者というのは治療に直接参加しないがためにいろんな条件が出てくるし いろんな結果が出てくるので、これは法律だとかほかの分野の有識者の意見がないと成 立しないものですから、これはまさしく卵子提供、受精卵提供だと思います。ぜひ皆さ んで検討して、私たちこういう問題少なくないんです。精子がだめで、精子の提供を受 ける数よりは少ないんですけど、ある一定の確率で卵はだめな人は現にたくさんおられ ますので、どうしても避けて通れないんです。ですからどうかよろしく検討をぜひして いただきたいと思います。 ○石井(美)委員  矢内原先生は海外でやるのはいいとおっしゃったんですが、ここでは海外に行ってや る人はいるという問題も検討する必要性があると思います。それをどうするのか。それ に対して何もできないのか、できるのかもそうですし、結果として生まれてきた子供は 日本で育つのですから、そのことを抜きにしては論じられないだろうと思います。それ が1点。  もう一つは、私、結論として認める、認めないを言うつもりはないのですが、生殖年 齢で切ると言ってよいのかどうかということもやはり検討は必要だろうと思います。生 殖年齢というのは、何もしなければできる年齢で、医療技術によってそれが今上がって いるという言い方もできなくはないわけです。 ○吉村委員  それは延長されると思いますよ。妊娠することはそれほど困難ではありませんから、 理論的には、良好な卵の提供を受ければ、60歳の人だって妊娠はできます。しかし、そ れらの詳細な合併症などのデータは我々も世界も、ブリンスデン博士のところでもない わけです。古来からの女性には生殖年齢の定年があるわけです。だからその辺をもう少 し考えないと。我々が使えるデータというのは、自然妊娠で40歳以上の人がどのくらい 亡くなっているか、このデータだけなんです。恐らく50歳以上でも全く変わらないかも しれない。40歳以上でも同じようにやれるかもしれない。それは世界の人がデータを持 ってないわけです。  ということは、患者さんには、やはりこういった危険がありますということを外国に 行く人に対しても示すしかないんです。それ以上にできることはないと思います。 ○中谷委員長  いかがですか、石井美智子委員。 ○石井(美)委員  示した上で本人の選択に任せるのか、ここで認めないというのかというのはまた別の 問題だろうと思います。 ○吉村委員  それは別の問題ですね。だから議論することは非常にいいことだと思います。 ○矢内原委員  1点、反駁をして、石井美智子委員が海外で行っていると言ったことに関しての第1 点のことなんですけれども、これはそういう要求があるという参考程度だろうと思うん です。これに対して国家も日本の医師たちも何もできないと思うんです。外国に行って 何をしてくるかということに関しては、できますか。外国でやってはいけないという。 例えば、日本人が、変な例ですけど、銃砲所持は日本ではしていけませんね。ところが 別な国に行って鉄砲を撃つことはできますね。練習場で、または保持することもでき る。そういうような、同じようなことを、外国でこういう治療を受けているということ を、我々の日本で規制することできないと私は思っています。ただ、そういう要望がい るんだと。日本人でたくさんそういう人が行っているのだという参考としては取り上げ ることはできると思いますけれども、違いますか。 ○石井(美)委員  1つは医師がそれに関与することを認めないという制限とか、今現実に商業的に日本 で行われているあっせん的なことを取り締まるとかいう可能性はあると思います。 ○矢内原委員  それは日本の中の問題ですから。 ○中谷委員長  親子法上の問題があるんですね。向こうに行って、生殖医療によって子供を得た場合 に、例えば代理母に頼んで産んでもらうとか、そういうときでも出生届は現地の公使館 か大使館に行って届け出をしますね。そのときにどういう形でこの子供が生まれたなん ていうことを説明する必要ありませんから、出生届を出すわけです。そのまま日本へ持 ってきて戸籍に移すわけですから、そういう面でもいろんな問題がありますよね。単に 医療そのものについて問題があるだけでなくて、当然に法的な親子関係の面でもいろい ろな問題を検討しなければならないという課題は残されているような気がいたします。 ○高橋委員  実際に、先ほど私が申し上げました事例の場合も、実子として届けているようです。 54歳だから、これはおかしいとだれもが思うでしょうが、そのまま実子として通用して いるようです。ですから、これはなかなか難しく、実際に日本ではそれをあっせんする 業者がおるのですし、ある階級、経済的に恵まれた人たちは、外国にIVFを目的に行 く、それは仕方ないと認めていいものかどうかを十分議論する必要があるかと思います ね。 ○中谷委員長  ほかにこの点に関してはよろしゅうございますか。次に移らせていただいてよろしい でしょうか。第三者に受精卵を用いた胚移植の部分ですけれども、この点についてはい かがでしょうか。 ○矢内原委員  第三者の受精卵ですか。一番最後の問題ですか。 ○中谷委員長  はい。その前にありますね。出生児の法的地位の問題がありますね。その方から先に やりましょうか。 ○石井(美)委員  それは、AIDから始まっている問題だと思うのです。 ○中谷委員長  はい。AIDについての人数はちょっと違いますよね。 ○吉村委員  1万人ぐらいだと私は思いますけど、どうでしょうか。 ○中谷委員長  だけど、それがもっと前の段階での報告ですよね。飯塚先生が厚生省に行っての御報 告でそうだったと。そのときはある大学でやったのが 7,000ぐらいで、それが全体の90 %を占めるといわれています。 ○吉村委員 そうでしょうね。 ○中谷委員長 6千いくらですか。7,000 人ちょっとだったんですよね。 ○吉村委員 今は1万人いっていると思います。 ○中谷委員長  はい。 ○丸山委員  毎年 200人という方が私関心あるんですけど、この数字は大体そんなものだというふ うにお考えになりますか。 ○中谷委員長 その当時は。 ○丸山委員 現在はどうですか。 ○中谷委員長 現在は全然違うと思います。 ○吉村委員  ちょっと数が減りましたが、正確な数はつかめませんが、 180名から 200名ぐらいで すね。 ○丸山委員 この 200名が大体。 ○吉村委員 200名というのは妥当だと思います。 ○中谷委員長 妊娠後に報告されるかどうかわかりませんから、妊娠すると、ほかの機関に行って治 療というか、あれをいたしますから。 ○吉村委員 ですから、私のところで把握できているのは 100名から 100ちょっとです。 ○丸山委員 妊娠の数だとすると、それより低いんですか。小さい数になりますか。 ○吉村委員 多くなります。実際、妊娠していた人が来なくなりますから。 ○丸山委員 180名から 200名ぐらい妊娠。 ○吉村委員 180 名ぐらいじゃないかと思っています。実際に把握されているのは 100名ちょっと です。 ○丸山委員 そのまま中絶なり流産なりがなければ、どこかで出産している方も含めたらやっぱり 200名弱。 ○吉村委員 200 名ぐらいになる。 ○中谷委員長 そういう意味では、1983年6月17日、飯塚先生が厚生省の「生命と倫理に関する懇談 会」でゲスト・スピーカーとして報告されたのと変わらないんですね。 ○吉村委員  そうです。 ○石井(美)委員  ただ、以前はある大学病院だけと思われていたのですが、かなり他でも行われてい る。どの程度それが妊娠につながっているかはわかりませんけれども、この間、随分そ の大学以外のところでも行われていることが明らかになってきていると思います。 ○吉村委員  14施設ありますけど、周期数で見ますと、その大学が90%ぐらいだと思います。大体 1年間に2000周期ぐらいやっています。 ○中谷委員長  意外と変わらないんですね。 ○吉村委員  ちょっと減ったぐらいですね。 ○中谷委員長  私はもっとずっと多くなったのかと思ったらそうじゃなかったんですね。 ○吉村委員  2000周期です。 ○田中委員  質問なんですけど、その大学でAIDする場合の精子は凍結なんですか、フレッシュ なんですか。 ○吉村委員  最近はフレッシュが多いです。 ○田中委員 2000周期というと、1日に大体。 ○吉村委員  1日に多いときは30人ぐらい見えることがあります。 ○田中委員  そのフレッシュを提供するということは物すごい。 ○吉村委員  1日ドナーは5人から6人は。それが足りない場合は凍結を使います。 ○中谷委員長  その辺のところはいろんな問題が出てきますよね。例えばHIVの感染症の検査済み かどうか、それがありますのと、それから、提供者に対して無料ではないはずですよ ね。1人が2年くらいドナーになるのですか。 ○吉村委員  大体3年ぐらいですかね。最近、妊娠例をチェックするようにしておりますので、1 人のドナーから10名を超えると一応お断りするようになっています。それはなぜかとい うと、3分の1ぐらいは妊娠したかどうかわかりませんので、10名ぐらいで一応切るの が妥当ではないかと。 ○中谷委員長  1991年にたしか比較法学会の方が調査に伺ったところが、50人を限度とするというお 答えがありましてね。 ○吉村委員  それはだれが言ったかどうかちょっと。 ○中谷委員長  それでびっくりいたしまして、それが雑誌に載ったわけですよ。私はびっくり仰天い たしまして、本当にそうなのかと、飯塚先生に聞いたんです。いや、そんな50人までは いかないと思うよと。どのくらいだとか。もう一度、現役の産婦人科ではない教授の方 に伺って聞いてもらったら、20人ぐらいだという答えが出てきましたね。だけど、雑誌 がそういうふうに公刊されているのに全然苦情が出なかったと、これはおかしい、事実 ではないという苦情が来なかったのかと聞いたら、何も来なかったというので、ごらん にならなかったのかもしれませんけれどもね。 ○吉村委員  50名ということは絶対にないと思いますけど、現在、会告が出てからは、一応10名ま ででやめるようになっています。 ○丸山委員  その10というのは妊娠の数で。 ○吉村委員  それはなぜかといいますと、よく妊娠する場合、1年間で1人のドナーから10人ぐら いできることもあります。 ○丸山委員  ですから周期としては、平均 100回ぐらい使うということですか、同一人のを、先ほ どのお話しですと。 ○吉村委員 100 回というのは 100周期という意味ですか。 ○丸山委員 100 周期。 ○吉村委員 100 周期ぐらい使いますね。1周期につき妊娠するのが5%から、多いときで10%ぐ らい。 ○丸山委員  ですから、やっぱり 100周期。 ○石井(美)委員 そういう形で 100周期に制限しているということですか。 ○吉村委員 できないドナーの方は結構長期にわたって使うこともあります。 ○石井(美)委員 精子の質ということですか。 ○吉村委員 精子の質というのは、別に妊娠しないのは精子だけの質によるわけではありませんの で、その女性が45歳の人はなかなか妊娠しませんし、一応妊娠例が10人把握できたとこ ろでドナーさんには、お断りするようにしています。 ○矢内原委員 逆に断れたら、10人子供ができたということになる。 ○吉村委員 そういうことになりますね。 ○中谷委員長 もう一つ、問題になりますのは、例のHIVの検査なんですけど、これはそういうス クリーニングはやってないということなんですが、費用もかかるからというような。 ○吉村委員 スクリーニングはやっています。私のところは1年に2回やっているんですが、例え ば理想的には半年間なら半年間凍結しておいて、HIVウィルス検査を2回調べて安全 だったら、それを使う。これが理想的ないい方法なんですけれども。日産婦の会告に従 い、一応1年に2回、HIVを含めて検査をしているという段階です。 ○中谷委員長  HIVのスクリーニングというのはそういう形でイギリスなんかやっているわけです けれども、この精子のドネーションの場合に、この配偶子についてはHIVの検査済み ですよというのと、その検査をしてないものですよと、価格を変えて、治療費用の中に 含ませるというようなことはできませんか。患者に選択させるという。日本はHIVの 感染者が少ないから余り危険はないから、検査しなくても大丈夫だという人と、高くて も検査済みの方がいいという人との患者の選択ということはあり得ませんか。 ○吉村委員  それはちょっと難しいと思いますけれどもね。 ○矢内原委員  こっちは品質保証、こっちは。 ○中谷委員長  そうそう。 ○吉村委員  ドナーが血液4型で15名程度要りますから、それだけでも60名ぐらいは常時必要とな るわけですよね。ですから、例えば、被配偶者間の精子による体外受精をもし許可され るとすると、これだけの精子ドナーを持って体外受精するところを探さなくちゃいけな いとすると一般病院では私は無理だと思います。手短な人をどうしても使うことになっ てしまうだろうと思います。ドナーを確保していくということは、例えば、もうじき国 立生育医療センターみたいのができると聞いておりますが、こういった国の施設でない と今後はドナーを確保するということが難しいのではないかと思うんです。今も私ども もAIDでも精いっぱいですし、年々60人の中の30人ぐらいは変わるわけですよね。そ うやっていくと、確保という点では物すごく大変な問題になるかと思います。精子に関 してだけでも、卵子に関してだったらもっと大変なんじゃないでしょうか。 ○中谷委員長  田中先生のところはそういうスクリーニングをやってらっしゃるんですか。 ○田中委員  AIDですか。 ○中谷委員長  はい。 ○田中委員  スクリーニングやります。それとエイズウィルスに関しては凍結すればほとんど死に ますから、HIVに関しては凍結すれば大丈夫だと思いますが、B型肝炎、C型肝炎は 凍結しても死なないウィルスですから、直前にやって、2週間後にもう一回というのが 一番いいと思います。 ○中谷委員長  どうもありがとうございました。 ○丸山委員  イギリスの統計見ましたら、排卵誘発を伴ってドナー・インセミネーションをやって いる場合とやってない場合とあるみたいなんですが、大学や田中先生のところはどちら なんですか。 ○吉村委員  それはIUIという方法です。排卵誘発剤を使ってたくさんの卵、卵胞を発育させて そして、排卵のときに、要するに体外受精で3個返すのと同じように妊娠率を上げるた めにやっているんですけど、うちでは、自然排卵している方にはやっておりません。普 通に排卵できる方は普通に人工授精するだけです。 ○田中委員  原則的には待ちなさいということです。 ○中谷委員長  どうもありがとうございました。ほかに、どうぞ。 ○辰巳委員  アメリカでは必ず凍結をしますね。ほかの国はどうなんでしょうか。 ○吉村委員  AIDに関しては凍結している国が欧米では多いと思いますね。それは精液銀行みた いのができているところが多いことによりますが、保存と管理に手間がかかると思いま す。 ○辰巳委員  エイズの感染した精液を使うという可能性はやっぱり。 ○吉村委員  それはほんとに問題だと思います。 ○中谷委員長  民間の精子銀行ではそれを全部やっているわけですよね。 ○吉村委員  やっています。 ○中谷委員長  それ済みだから安心だということでやっているわけですか。 ○矢内原委員  成績はどっちがいいんですか、凍結とフレッシュと。 ○吉村委員  それはフレッシュの方がいいです。 ○矢内原委員  明らかに。 ○吉村委員  明らかにフレッシュの方です。妊娠率では、正確な数ではないですけれど、1.5 倍ぐ らい違うんじゃないでしょうか。2倍まではいかないと思いますけれども。 ○丸山委員  HIVについてもアメリカなんかはウインドー・ピリオドも考えて半年置いておくと いうのが普通ということでよろしいんですね。 ○吉村委員  そうですね。 ○中谷委員長  イギリスでも半年です。感染者の率といいますか、そういうのが日本は非常に少ない でしょう、アメリカとかほかの国に比べて、ということがあろうかと思いますけれども やっぱり完全に安全性を確保しようと思うと必要なんだろうと思いますけれども、今お っしゃられたような事情でなかなかそれができないということになりますね。 ○吉村委員  今後はそういうふうに心がけていくべきでしょう。 ○中谷委員長 そういう意味で、さっき言ったように、選択にして、検査済みのと、そうじゃないの というので、費用を変える。患者の選択に任せるという。 ○吉村委員 凍結に関しても、できるだけ早期に前向きに検討していくべきだと思っています。 ○辰巳委員 AIDがきちんと軌道に乗っていくためには、国か、もしだめだったら私立でもきち んとした管理のもとに行われるような精子銀行みたいなものは必要ではないかと思うん です。感染症もきちんと管理して、その分、コストは取ってという形で、精子はちゃん と凍結して半年置く。AIDを本当に認めてという形になったら、そういった下準備み たいなものもちゃんとサポートしていただかないとだめではないかと思うんです。そう しないと、ここで認めていいですよなんていうことになっても結局動かないということ になると思うんです。 ○中谷委員長 後で商業性の問題が出てきますけれども、今アメリカでは精子銀行はどのくらいある んですか。お調べになりましたか。私が昭和62年ですから、随分前ですけれども、その ときは百二十何箇所かで、そのうち、知能指数が 130以上だけのを扱っているとか、例 のノーベルプライスをもらった人を特に扱っているとか、特別それは高いというような 文献がありましたけれども、今どうなったか全然調べたことがありませんのでわかりま せんけれども。 ○辰巳委員 大きな精子銀行しか残れない。結構縛りが強いとかいろんな検査を求められているら しくて、それを全部クリアーするためにちょっとした数だけ扱っているのでは、とても 採算がとれないらくして、相当大きなところしか残ってないというふうなことをちょっ と聞きました。 ○高橋委員  私は日本では精子バンクの設置は難しいのではないかと思います。私の今関係してい る施設でも、以前は、AIDを行っていたのですが、最近は提供者が来ないためになか なか難しいようです。10年ぐらい前でしょうか、鈴木雅洲先生と一緒にブリスベンのメ ディカル・センターに1週間ほど行ってIVFの実技と精子バンクを見てきたのですが そこでは学生が朝10人ぐらい並んでいて、精液と交換に引換券をもらって、別なところ で換金して、60ドルくらいを持っていくんです。日本では、性に対する受けとめ方感覚 が全然違いますから、理想はそうですけど、精子バンクは難しいと思います。そのとき は検査が終わるとすべて凍結していました。 ○中谷委員長  そのとき、1回の提供料は幾らと言ってましたか。 ○高橋委員  オーストラリアドルで60ドルかそんなものです。 ○中谷委員長  日本円に直すとどのくらい。 ○高橋委員   5,000円ぐらいですね。 ○中谷委員長 そうですか。私が1984年だったと思いますけれども、ドイツに行ったときに、たまた まその番組がありまして、1回幾らかと聞いたら40マルクだと言ってました。40マルク ということは、その当時の円の換算では 4,000円未満、3千幾らかということで、意外 と安いという印象を持ったことがあります。 ○石井(美)委員  3点ほどです。今は現状について認識を深めているのかと思いますが、それは大切な ことでぜひ進めてほしいと思います。その上でAIDはみなさんが認めているようです が、やはりAIDを認めるのかどうかという議論を一度、なぜ、それが認められるのか ということを議論する必要性があると思います。それによって、生殖補助医療をどこま で、どういう形で認めるのかということにつながるのだろうと思うのです。 ○中谷委員長 その点はこの間の意識調査の中に出てきましたよね。 ○石井(美)委員  AIDについてここでの理由をつけた結論がまず必要だろうと思うということが1点 です。  2点目は、これは厚生省の方に質問させていただきたいのですが、現状でアメリカか ら精子を買うということが行われいるようですが、それについて全く規制はできないの でしょうか。  ○丸山委員  よろしいでしょうか。 ○中谷委員長  どうぞ。 ○丸山委員  この先、AIDだけではなくてIVFのドネーションの問題も出てくるのですけれど も、意識調査結果について、前回示していただいたので、一般人と患者についてはAI Dから借り腹までどういうぐあいに是認するか、条件付きか、わからないというグラフ をいただいたんですが、登録医と通常の産婦人科医と小児科医の専門家の方はそういう グラフいただいてないんですね。自分で計算してこんなものをつくっているんですけど 前回いただいたのは、クロス集計はどこに重点が置かれているかというと、回答者のグ ループごとの違いを見ているんですね。だけど、これからやるのはそれぞれの方法につ いて是非を考えていくんですから、むしろ回答者による意見の違いではなくて、回答者 ごとの各方法についての賛否の様子を教えてほしいと思うんです。  一般人と患者については、先ほど言いましたようにグラフがありますので、それに加 えて、登録医と登録外の産婦人科医、小児科医、できたら、このメンバーのグラフもつ くってみたらおもしろい。AIDは容認が多いけれども、だんだん減ってきて、また借 り腹が多くなるかもしれないですね。グラフだと名前が出ませんのでいいかと思うんで すが。 ○矢内原委員  小冊子まだできない。 ○北島課長補佐  今日、届いたそうです。       (「生殖補助医療技についての意識調査 集計結果」配付) ○中谷委員長  この間、拝見したところによりますと、どういうふうに解析したらいいか、なかなか 難しいてすね、矢内原先生。 ○矢内原委員  これから、今おっしゃったようなクロスがどんどんできて、先生方のお知恵を拝借し てから、そういう解析はできていけるのだろうと思っております。 ○中谷委員長  大変立派なものができましたね。 ○丸山委員  さらにお願いできればと思うんですが、例えば、集計結果の4ページの一番上の「一 般国民における各技術の是非」というところなんですが、AIDと第三者の精子、第三 者の卵子、このあたりが「条件付きで認めてよい」、「認めてよい」を足すと60%近い 数字なんですね。それから、第三者の受精卵、代理母が低くなって、43%ぐらいです ね。この違いは、その違いに基づいて政策なり方針を決めていい違いというふうに言え るのかどうか。このあたり統計の見方を知らないものでどうかなと思うんですけれ ども。 ○矢内原委員  その条件付きということを足してという意味ですか。 ○丸山委員  足してですね。「条件付き」と「認めてよい」を足して、AIDと精子と卵子のド ネーションと借り腹が比較的許容されている。あるいは許容してよいと思われている。 それに対して、第三者受精卵と代理母が許容度がやや低い。このやや低いということに 本当に信頼していい意味があるのかないのかというのが。 ○中谷委員長  難しいですね。意識調査の結果は非常に評価が難しいわけで。 ○矢内原委員  「条件付きで認めてよい」ということを「認めてよい」というふうに理解をしていた だきたくないんです。 ○丸山委員  それも問題ですね。 ○矢内原委員  これは「条件付きで認めてよい」という、逆に言えば、例えば「条件付きでも認めら れない」というのが「認められない」ですね。まず、見ていただきたいのは、「認めら れない」と「認めてよい」というところを比べていただきたいんです。「認められない 理由」というのが幾つかある。これは伺っているんです。「どういう条件なら認めてよ いか」という項目を挙げていくと、必ずそこにマルをつけなければならないような設問 が出てくる可能性がある。したがって、「条件付き」の条件は、こういう条件だったら いいということは書いてないんです。  したがいまして、「認められない」、「認めてよい」というので、どっちが多いか、 まず見る。「認められない」理由に、なぜ、認められないかということがありますね。 そのことが条件なんだろうというふうに私は理解しているんです。つまり、その条件が 認められない限り、その条件が満たされれば、認めてよいというのが「条件付きで認め てよい」ということなんです。  ですから、そういうふうに中には御説明をしているんですけれども、考えなければな らないのは、「認められない」は、なぜ認められないのかということはそれぞれの項目 で書いてありますので、そこを見て考えていただきたいというのがこの材料だと御理解 ください。 ○田中委員  私は矢内原先生と違って「条件付きで認めてよい」というのは、姿勢としては肯定に 近いんじゃないかと思うんです。というのは、産婦人科の登録医だとか、ある程度知識 のある人のを見てもこれは結構多いんですね。内容を理解しないから、わからないから という人と違って知識を持っている人でも意外に多いと思うんです、「条件付きで認め てよい」というのは。ですから 100%肯定はできないけれど、自分の気持ちとしては認 めたいという肯定的なふうにとれるのではないかと思うんですが、どうでしょうか。 というのは、「認めてよい」というのは余りにも少な過ぎるんです、逆に。というこ とは、内容が非常に厳しい内容の問題ばかりですから、だれだって 100%認めてよいと は言えない。ただ、気持ちとしては認めてあげたい。認めてほしいという気持ちが私は 「条件付き」だと思うんです。私はこれはどちらかといったら、ポジティブの方にとっ ていいのではないかと思います。難しいところでしょうけれども。 ○中谷委員長 その解釈がとても難しいんですね。私もどう受けとめたらいいか、わからなくて非常 に困っております。 ○丸山委員 自分が尋ねられたときには、手放しで「認める」というのはあり得ないと思うんです よ。ですから「条件付きで認めてよい」というのは排除しない。できる可能性は残す。 縛りが厳しいかもしれないし、厳しくないかもしれないんだけど、今のようにドネーシ ョンをIVFについては全く認めないという立場とは違うんじゃないかと考えたんです けれども。 ○中谷委員長  でも、条件を満たさなければ認めないということですから、そういうふうに考えると 消極の方に近くなってくる。だから、どういうふうに評価するのか非常に難しいです ね。 ○矢内原委員  それだけ条件が私は大きいと思うんですね。たくさん条件があるんじゃないかと思っ ています。 ○中谷委員長  その条件、たくさんのうち、ある条件が満たされればいいのか、全部満たされなけれ ばだめなのかという。 ○矢内原委員  ですから、こういうところで議論をしていただきたいと思うんです。あらゆるバリ エーションがたくさんあり過ぎると思うんです。今、田中委員が言われたみたいに知識 があればあるほど認容度高い。知らないという方はすごく多いと思うんです。マスコミ の方でも体外受精と普通の人工授精の違いを知らないで取材に来られる方がたくさんあ るぐらいですから、ですからよく知ってらっしゃる方々がこういう場合、こういう場合 といろんなケースを挙げていくと、このパーセントは変わってくると思います。条件は 私は結構難しいと思うんです。  この中に一般の人がやった場合、先回の議論のときに、私はああそうかと思ったのは 人に権利があるならば、その権利はとにかく認めてやろうじゃないかという選択肢に入 れてあげようじゃないか。こういうものを条件として入れたら、これは全部オーケイに なってしまう。ですから、設問の中でどうしても入れなければならないと。それを入れ てしまったら、全部「認めてよい」というふうになってしまうから、そういう設問はで きないんだというのはそういう意味です。  逆に言えば、ここのパーセントは、「条件付き」というところが一番大きいんですか ら、この条件はいかにたくさんいろいろな条件があるかということというふうに私は理 解したんですけれども。 ○丸山委員  このクエスチョンの1つ、小児科医の相手のを見ますと、あるいは登録医も、それ以 外の産婦人科医も同じだろうと思うんですが、「条件付きで認めてよい」の条件につい て尋ねているところで、最初の18は、「妻が高齢のため妻の卵子では妊娠の可能性がな い場合」、あるいは「妻の卵子の利用が不可能な場合」、これらは満たすことがさほど 難しくない普通の条件だろうと思うんですね。  次の19が、どのような提供者を条件として求めるか。「近親者を除く」、「近親者に 限定する」、「それらにかかわらない」、これも普通の条件だと思うんですね。  20は、卵子の提供者の匿名性ですね。これもさほど難しいハードルではない。  21番目が、卵子提供者から出生する子どもの数を制限すべきであるかと。これは「制 限すべき」というので大体意見一致できるかと思うんです。  次の22が「卵子提供者はすでに健康な子どものいるものに限定すべきですか」と。 「限定すべき」、「限定しなくてもよい」、これもそんなに厳しい縛りではない。  最後の23、「卵子提供者は自分の夫の同意をとるべきですか」、「とるべきである」 「とらなくてもよい」、これもさほど高いハードルではないので、私は矢内原先生のお 言葉とは反対といいますか、 100%反対ではないにしても、条件付きで一般論として認 めるという回答は必ずしもすべてマイナスではない。 ○吉村委員 先生、それは何ページですか。 ○丸山委員 卵の提供。 ○辰巳委員 56ページ。 ○丸山委員 そうですね。ですから、かなり半分以上は肯定的に解釈できるものではないかと思う んです、とりあえず。 ○中谷委員長 どうもありがとうございました。 定刻を回ってしまいました。大変司会が不十分で申しわけございませんでした。 ○吉村委員 1つだけすいません。意外と難しくないとおっしゃるのに「卵子の提供者にどのよう な条件が必要でしょうか」。「特に限定する必要はない」、これは一般のドナーを用い るべきだということですね。これが私は一番難しいだろうと思うんです。ドナーをどう やって選別するかということが具体的に行うときになると一番難しいだろうと思いま す。多数のドナーを集めてくることはまず不可能ですし、ドナーを匿名性を守りながら やるということは、精子に限っても非常に難しいでしょうし、卵子に限ってはもっと難 しいのではないか。 ○中谷委員長 そういう点で日本は非常に特徴的なんですよね。 ○吉村委員  そうです。 ○丸山委員 それはここの先生方の御意見にも書かれていましたけれど、それは実施の際の難しさ で、制度として完全にやってはいけないよとする理由にはならない。制度としてはやっ ていいけれども、現実には難しい点がありますというふうにすることも十分可能なんじ ゃないかと思うんですけれども。 ○中谷委員長 定刻を過ぎてしまいまして大変申しわけありません。まだまだ御議論をいただかなけ ればならない部分がたくさん残ってしまいましたが、今回はこれで終了とさせていただ きたいと思います。事務局には今回の議論を踏まえて、先ほどの多胎・減数手術で用意 いただきましたように、この部分のまとめ案を作成していただきたいと思います。その ために、先生方にはこの問題の整理のペーパーと、先ほどの多胎・減数手術のまとめの ペーパーについて、きょう御発言いただいた以外に、修正・加筆する必要があると思わ れることがありましたら、7月12日必着で事務局に御連絡いただきたいと思います。こ の議論は次回また行いたいと思います。  最後にその他、何かおありでしょうか。事務局で何かおありでしょうか。 ○母子保健課長  前半のものは具体的にお示ししたことによってかなり議論が進んだと思うんですが、 後半の方は論点の整理だけだったので具体的な議論が進んでいないと思うので、うちの 方でのまとめといっても、これまでいただいた資料からまとめさせていただきたいと思 っております。個々の先生方の御意見いただいていますので、それを中心にまとめさせ ていただきたいと思っておりますが、今回の調査結果等も踏まえて、個々の先生方でそ れぞれの技術等に対して「認める」、「認めない」、「条件はどうだ」といったことも 含めて具体的な御提言をいただければ、そういったものも含めて、次回のたたかれ台と いいますか、そういったものに使わせていただきたいと思います。 ○中谷委員長  事務局への宿題がたくさん残ってしまいまして大変申しわけないと思いますけれども 諸先生方の御協力を得まして、なるべく御意見を寄せていただきたいと思います。 ○石井(美)委員  よろしいですか。 ○中谷委員長  石井美智子委員どうぞ。 ○石井(美)委員  効率的に進めるにはその方がよいとは思うのですが、私はきょうAIDについて行っ たようなことを次回全体について行った上で、それを踏まえて、事務局の方にまとめて いただいた方がよろしいのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。 ○中谷委員長  今の進捗状況といたしまして、いかがでしょうか。それだけ余裕がおありでしょう か。 ○丸山委員  次回の日にち決めてないんですけど、もう少し頻繁にやりませんか。 ○母子保健課長  これは物理的な条件がありまして、次回の会合までに議事録をインターネットに載せ なければいけないというのがありまして、これがどうしても1カ月ちょっとかかってし まうわけでありまして、最低それぐらいの期間をあけていただきたいわけです。要する に、この議論は基本的には多くの方が着目していますので、前回の議事録がわからなく て、また、今回のが開かれているということに対してはかなりまた批判もありますので 最低1カ月ちょっとはみないといけないということで、大体現在開かれているペースが ほとんどぎりぎりなんです。 ○丸山委員  その点についてなんですが、私がこういうことを言いましたのは、これまでそれでき なかったときが半分ぐらいありますね。この会やっている、例えば、きょうやっている んだけど、前回のが二、三日後に載るというのは。 ○北島課長補佐  ぎりぎりで、前日とか2日前とかそういうときが非常に多くて、間に合わなかったと きが1回ぐらいあるかもしれません。 ○丸山委員  そういうのに対して批判が大きくなければやってしまっていいのではないかと。批判 が多かったですか。 ○北島課長補佐  結構多いんです。ただ、こちらより、むしろ出生前診断の方の議事録が遅れると批判 が多いです。団体等から、意見書等が出てくるものですから、インターネットに載らず に次が開催されると大変厳しいお叱りを受けましたが、こちらの委員会の方もきちんと 載せてほしいという強い御希望はございます。 ○丸山委員  率直に申して、出生前診断の方が議事録掲載のペースは早かったですよね。成績よか ったと思います。それで、生殖補助医療の方がその点で成績が悪くても批判が弱けれ ば、何とか最終的な見解を出すのを何とか実り多いものにするためにというので許され る状況ではないんですかね。今のご発言の様子ではそうはいえないんでしょうね。 はい、わかりました。失礼しました。 ○中谷委員長  その点も含めまして、事務局の方で御検討いただきたいと思います。よろしゅうござ いますか。 ○北島課長補佐  次回の日程なんですけれども、そうしたことも踏まえまして、できれば、7月20日か ら末ぐらいまでの間に一度開かせていただければと思うんですが、いかがでしょうか。 ○中谷委員長  日程表の調整をお回しいただいて。 ○吉村委員  ここで諮ってください。 ○中谷委員長  ここで決めていただいていいですか。 ○吉村委員  はい。               (次回委員会日程調整) ○母子保健課長  7月23日(金曜日)で1時半から3時間ということで、本当は2時間ぐらいでもいい のかもしれませんが、ずっと3時間でやっていただいていますので、3時間。これもか なり異例なんですが、1カ月ちょっとで3時間で進めていただいているのは、先生方の 御協力によってやらせていただいています。ほかの審議会は大体2時間でおしまいなん ですけれども。  次回の議論ですが、さっき石井美智子委員がおっしゃられたフリーなディスカッショ ンということもありますが、どうでしょうか。多少何かあった方が議論が進むのかなと いう気もしないでもないですが。 ○中谷委員長  そんな気がしますね。 ○母子保健課長  役所の方で方向づけとかということを考えているわけではありませんが。 ○中谷委員長  役所のたたき台があっても自由な御討議ができないわけではなく、皆さん大変積極的 に自由に御発言いただけますので。 ○母子保健課長  逆を言うと、役所の方で原案をつくって、先ほどの減胎手術ではないんですが、かな り厳し目な案だったんですが、先生方には、逆にそこら辺を積極的に発言していただき ました。私どもがつくる案は、先生方にとって余りなじみがない方が積極的に直してい ただける感じがします(笑)。  という感じで、次回もやらせていただいてよろしいでしょうか、石井先生。 ○矢内原委員  きょういただいた資料で十分なんじゃないですか。 ○母子保健課長  きょうのもので。 ○丸山委員  AIDまでですか。 ○母子保健課長  AIDから受精卵の提供。 ○丸山委員  そこだったら、私は石井さんの意見をサポートしたいですね。まだ、IVFについて の卵・精子・受精卵のドネーションの議論をきょうしてないですよね。これまでもやっ てませんし。 ○母子保健課長  ということは、資料なしで、次回、先生方にフリーに議論をお願いするという形でよ ろしいでしょうか。 ○丸山委員  例えば、きょうの減胎手術についてはすでに議論しまして、意見が出ておりますか ら、それを拾う形で案を出していただきましたけれども、エッグ・ドネネーションなど IVFに関するドネーションについてはまだ何も出してない。あるとすると、アンケー トの方ですね。 ○母子保健課長  先生方から書いていただいたペーパーがあります。つくるとすれば、それをもとにつ くらせていただいて、それを中心に、骨格を書かせていただくことになると思います。 ○吉村委員  すいません、別に何らお役所の方も高圧的に言ってみえるわけでもないし、きょうの 資料ぐらいだったら、私はあった方が問題点を討議しやすいのではないかと思います。 ○丸山委員  それがありますね。その方がいいかもしれないですね。すいません、余計なことを申 しまして。 ○中谷委員長  非常に問題が多いだけに論点ぐらいは挙げていただいた方が議論を進めやすいと。司 会者としてはそう思います。 ○母子保健課長  多少僣越な面もありますが、先生方からいただいた御意見を中心にまとめさせていた だきますので、こういったところは、ぜひ私の意見をということをいただければ、そう いったものもまとめの中に入れさせていただきますので、7月12日ぐらいをめどに御意 見をお願いしたいと思います。 ○中谷委員長  それでは、本当にこれでおしまいといたします。どうも皆様ありがとうございまし た。御苦労さまでした。 担当: 児童家庭局母子保健課     北島 智子     武田 康祐 連絡先:内線 3173、3179