99/06/21 第17回疾病対策部会臓器移植専門委員会    第17回 公衆衛生審議会疾病対策部会 臓器移植専門委員会         日時   平成11年6月21日(月)              9:30〜12:20         場所   厚生省共用第23会議室 出席者 (○:委員長 敬称略)  浅野 健一  井形 昭弘   板倉 宏    大久保 通方 大塚 敏文  菊地 耕三  桐野 高明  ○黒川  清   小泉  明  小柳 仁  竹内 一夫  谷川 久一   野本 亀久雄  藤村 重文  町野  朔  眞鍋 禮三  矢崎 義雄   山谷 えり子 1.開 会 2.議 題   (1)移植医療に関する情報公開とプライバシーの保護について      (2)作業班からの報告について      (3)その他 〇事務局  おはようございます。ただ今から第17回、公衆衛生審議会疾病対策部会臓器移植専門 委員会を開催します。本日の委員の出席の状況でございます。大島委員からご欠席との 連絡をいただいております。まだ先生方2〜3名お見えになってない方もおられますが 定刻ですのではじめさせていただきます。  資料の確認をさせていただきます。本日の議題は大きく5点予定されております。  議事次第。委員の先生方の名簿。座席配置図。本日の会議資料一覧がございます。  会議資料の右方に資料ナンバーがふってあります。  資料1 第3例目の脳死下での移植事例に係る経過概略について。  1−1経緯と現状という概略です。1−2順次それぞれ第3例目の提供施設・移植施 設の方々からご提出いただきました資料がございます。  1−7までございます。  資料2 第1例目の脳死下での臓器提供に関する医学的評価について20ページ。  資料3 日本臓器移植ネットワークのあっせん業務に係る評価に関する作業班中間報 告書(案)としまして12ページの資料です。  資料4 臓器移植における透明性の確保と臓器提供者等のプライバシー保護の両立に ついて、ということで事務局メモですが8ページございます。  資料5 臓器移植を支えるシステムの一層の整備について、事務局メモで2ページの ものです。 参考資料 検証作業全体に係る報告書の構成(案)1枚です。  以上が本日の資料でございます。本日、浅野先生から資料のご提出がございました。 現在コピー中でございますので、後ほど委員の先生方にはお配りするようにしてますの でよろしくお願いします。会議の途中ですので、傍聴の方には大変申し訳ございません が、私どもの臓器移植対策室の方で準備をしておりますので、後ほどご入り用の方は室 の方まで取りにお出でいただきたいとお願いします。以上でございます。 〇黒川委員長  おはようございます。お忙しいところありがとうございました。はじめに、これは打 合せをしてなかったので朝浦さんには申し訳ないのですか、この間の竹内先生の報告が あったときに、いろいろなCTとかの写真があって、あのときはこの会議全体をずーと ビデオで流しっぱなしに撮っていたのだが、それは全面公開と一緒なのかと疑問に思っ ていたのです。どう思いますか。今は頭撮りだけで出てしまったわけです。何かあった らいいのかなと思って、もしそうであればそういう資料は見せたら後で撮らせてあげる という話でもいいのかなと思ったのです。どうでしょうか。  多分委員の先生も、ずーとテレビが流しっ放しで2時間半いったので、変な感じがし たのではないかと思います。 〇朝浦室長  ご説明します。本委員会は公開の審議会ということで、先生方にご了解をいただいて 開催をしております。一般的には撮影の方は会議の冒頭の頭撮りのみに限らせていただ いて、その後は傍聴という形できています。前々回のケースにつきましては、参考人の 方もいらっしゃるということと、作業班の報告がCTとかあるいは脳波記録についての ご説明があるということで、特例的に先生方のご了解を得た上でああいう形にさせてい ただきました。ただ、あれはあくまでもあの場の取扱ということで、原則としては冒頭 の頭撮りという形で今後は進めさせていただければと思います。 〇黒川委員長  もう一つです。こういう公開の場というのは、この専門委員会そのものは公開してい ただいたのは大変いいことだし、私も是非そうしていただきたいと思ったのだが、ああ いうふうに、特別な場合はいいのだが、どこだけ撮らせるのか、という話になってしま うという気がするのです。例えばビジュアルなマテリアルがあるからそれはしょうがな いかな、出しようもあると思うのですがね。ある意味ではセンセーショナルにとらえる 話もなくはない。どこまではいいのかという話は、勿論、それを撮らせるという話は聞 いてましたが、といって2時間半ずーと流して撮っていて、一眠りしたら見えてしまっ たというところまで承知してないのではないかと思ったものですからね。 〇朝浦室長  公開の仕方なり、委員会の運営の方法については、先生方とも十分にご相談しながら 今後ともいきたいと思いますので、よろしくお願いします。 〇黒川委員長  それから聞いておられる方々が聞いている間中、ずーと録音テープを回していいとい う話については何かありますか。つまりメモも取っていただいたりするのは一向に差し 支えないのだが、全文は後で公開されてますので、いいのではないかという気がするの です。例えば裁判とは違うかも知れないのですが、そのままテープを持ち込んで取って いいのかということについては、何かあるのでしょうか。行政あるいは報道の関係の先 生、浅野先生の意見でもいいと思います。 〇朝浦室長  今の録音の関係については事務局は承知しておりませんが、恐らく委員会においてお 決めいただくということになるのだろうと思います。 〇黒川委員長  そうですね。どういうものかというのが、審議を公開しているというこちらの気持ち は皆さんに分かってもらいたいし、いろいろな意見を聞いてほしいと思うのですが、と はいっても、逐一テープを取ってもいいというのは次元の違う話かなと、私は素人だか らわからないから皆さんに聞いているのです。先生何かありますか。 〇浅野委員  この委員会ができた経緯で、報道側との何らかの合意のようなものはないのですか。 法律の趣旨からいってなるべく公開ということで、映像についても前々回のようにした ということでしょうか。 〇朝浦室長  冒頭説明しましたように、映像につきましては冒頭の頭撮りということで従来から行 っておりますが、前々回のケースにつきましては、特例としてフルに撮影を認めたとい うことです。 〇浅野委員  私は個人的には、録音も映像も居眠りをしているところを撮られるから困るのは理屈 にはならないので、なるべくオープンの方がいいと思います。ただし、私はいつも言っ ておりますように、そうであるなら、マスメディアの側が自ら常識をもって判断する、 どこかの出版社のように法廷内盗み撮りの写真を載せたり、少年法を無視したような実 名を掲載したりして、居直っているようなマスコミがありますので、今回の3例目でも 一部のメディアがドナー家族に直接取材するようなことがあったし、メディア全体の倫 理の確立が求められていて、メディアに対する市民からの信頼関係がないと、ここでの 審議の内容にはプライバシーにかかわることもあり、やたら公開せよということでは済 まないと思います。 〇黒川委員長  ありがとうございました。先生方にちょっとまた考えていただいて決めたいと思いま す。浅野委員のおっしゃるようにビデオもテープも皆いいよというところまでいってい るのかどうかは、ちょっと分からないという話は、今浅野委員がおっしゃったようにマ スコミ側の対応がまた社会からどれだけ信頼されているのかに係っていると思います。  この委員会は全部審議を公開しようということでお願いしているわけだし、全部の喋 っていることは、後で議事録で出てますから、かなり公開されているわけです。それに も係わらずテープを取るというのは抵抗があるような気がするので、その辺はちょっと 考えさせていただきたいと思います。どういうのがフェアプレイかということです。 前々から頭の中に引っ掛かっていたのですみません。  第3例目の脳死下での移植が行われたわけです。5月の第2例目の脳死下での検証と いうことをいろいろやっていただいている途中ですが、6月13日から14日にかけて、第 3例目の臓器提供があったということです。これについて、また従来のような検証その 他について、お願いすることになるのではないかと思います。事務局より、今度の移植 の経過について、資料の1から7に沿ってお願いします。 〇朝浦室長  3例目の臓器移植の経緯と現状についてご説明します。  経過概要につきましては、臓器提供施設である古川市立病院、あっせん機関である臓 器移植ネットワーク、実施施設であります国立循環器病センター、京都大学医学部付属 病院、福島県立医科大学医学部付属病院、仙台社会保険病院の方から書面で資料をいた だいておりますので、また後ほどお読みいただきたいと思います。  概略だけですが、資料の1−1でご説明したいと思います。  第3例目の臓器の提供をしていただいた方は20歳代の男性です。頭蓋内出血というこ とで病院に6月9日に入院されております。6月11日に臨床的な脳死診断が行われてお ります。6月13日、脳死判定承諾書及び臓器摘出承諾書をいただいております。その日 の12:50第1回目の法的脳死判定を終了しまして、20:35第2回目の脳死判定を行い、 法的に脳死と判定されております。  ドナーの方はドナーカードによって脳死下での心臓・肝臓・腎臓等の提供の意思を表 示をされておりました。眼球につきましても、その他のところで全てOKと書かれてお りまして提供の意思を示されておりましたが、ご家族の承諾が得られておりません。  ドナーの摘出の時刻です。6月14日、心臓が16:17、肝臓が16:29、腎臓が左が16 :48、右が16:47ということでございます。  心臓は、国立循環器病センターの方で移植が行われまして、経過が良好と聞いており ます。肝臓は、京都大学の方で移植が行われまして、これも経過良好と聞いておりま す。腎臓の左の方は、福島県立医科大学医学部付属病院でおこわなれてまして、これも 経過良好と聞いております。右の方は、仙台社会保険病院で手術が行われまして、経過 良好と聞いております。簡単ですが以上でございます。 〇黒川委員長  資料の1−2以後はどうですか。 〇朝浦室長  資料の1−2以降については、病院及びあっせん機関の方からの書面での報告でござ いますので、後ほどお読みいただければと思います。 〇黒川委員長  これについて何かコメントその他かございましたらお願いします。 〇山谷委員  これというか、院内マニュアルができてなかった。あるいはこの日付を前倒しで作っ てしまったこととか、あるいは脳死診断を受ける前に、助役に氏名とか作業の進行の経 過を伝えていたということが、この3例目で非常に問題になってます。  普通の市民とか世間の常識とは、全然違う部分があるのだなということを市民が感じ たと思うのです。ですからその辺を、何度も院内マニュアルはもうできているでしょう ねとか、倫理委員会はどうなっているのでしょうかということを、この委員会でいった にも係わらず、こういうことが出てきたということは、非常に不信感を皆に持たせるこ とになってしまったと思いますので、その辺はその後どうなっているのかということを 教えていただきたいです。  そういうこともありますので、この委員会の録音くらいは当然あってしかるべきで、 今日の夕刊とか明日の朝刊に新聞記者は記事に書かないといけないわけですから、微妙 な発言のニュアンスとか言葉のいろいろなことを、録音で聞きなおしたいというのはメ ディアとしては当然であると思いますので、録音はこの委員会においては全部自由にし ていただきたいと思います。 〇黒川委員長  それはまた別に検討させていただきます。それがプロというものかなと思ったので す。その他の、例えば新聞によると市長さんとか市議会の議長さんにもいったという話 についてはどうでしょうか。 〇朝浦室長  厚生省としては、その辺のところは確認はしておりません。病院に入院された方のプ ライバシーについて、第三者の方にお話をするということについては、好ましくないと 考えておりますので、その辺について、ドナーとして意思表示をされた方のプライバ シーを含めて、今後臓器提供施設として、どのように個人情報を保護できるのかという ことについても、今後検討して、臓器提供施設に対しては、その辺についても十分に配 慮していただくようにお願いしたいと思っております。 〇山谷委員  1回目のとき、高知の時の法的脳死判定でも、無呼吸テストが本来あるべき二酸化炭 素の濃度に満たない値で行われて、これは満たしてないことを知っていたが、無呼吸テ ストは非常に患者に負担が大きいから、やり直すことはしなかったということをいって いるわけです。すると今回の場合も、脳死診断を受ける前に、市長とか助役にいったと いうことで、市民からすれば死の青田刈りが行われるのではないかというような、そう いう懸念が強いのだと思うのです。プライバシーも勿論ですが、死の青田刈りという問 題です。これが非常に問題にされていて、その辺をきちんと分かっていただきたいとい うことです。  院内マニュアルができてなく、しかも日付を前もって慌てて作ったという2点です。 〇黒川委員長  その通りであると思います。これは前々からいろいろと議論になっていると思いま す。移植をするような施設、する施設の練習というかバーチャルな準備状況は比較的進 んでいる一方で、提供側の方の準備状況はかなりまちまちだろうという話は前々からあ ります。高知の後から、いろいろなそういう反省というか、事例を重ねながら、また行 政の立場から、これ以外にもいろいろなことをしているわけですが、従来、提供施設を 拡大したとき、この委員会での議論もあったと思うのですが、それぞれが経験をしたこ とがないので、文章ばかり一生懸命書いていても、それが出来なかったのではないか、 プロセスとしてはそういうことが常に起こってくると思うのです。今回もそうであると 思います。  例えば市立ですから、その時点で市長さんには何らかの連絡があっても、それは院長 の判断として、私個人はそれは適切ではないかと思うのですが、議長さんにいうのは何 を考えているのかという気もしないわけではないですよね。だから市長さんにいうので あれば、そういう話は内々にしておいて、市長さんから厚生省に来るのか、そこと話を するのか、つまり院長先生からどういくのかという話はどうなのかということを、これ から検証してみる必要はあると思います。 〇伊藤局長  今のご指摘の点など、幾つかの検証の課題があると思います。臓器提供施設としての 準備が十分ではなかったという点でございますとか、市長さんなり議長への通報、これ は私どもとしてもはっきり事実を確認しているわけではございませんが、そのように報 道されてますので、そういうことがあったかなかったのか、あったとしたら、その点に ついてどう判断するのかという問題がありますので、それらも含めて今後検証していた だきたいと考えています。 〇浅野委員  高知のケースで西山部長が再三私などの調査に対しても言われているのが、脳死判定 のときの必要な専門医の派遣、脳波測定の機材を統一して、特に地方の適応病院に提供 してほしいということを強く言われておりまして、私もそのようにいろいろ言ってきま した。今回、判定医が二人しかいなく、しかも救急体制が非常に人手不足で大変である とういこともあったようなので、西山先生たちがずーといってこられたことに対して、 そのことを取り上げた毎日新聞の報道であったと思うのですが、それに対して伊藤局長 が予算措置の伴うものに対しては、積極的なコメントをしなかったという記事があった と記憶しているのですが、是非そういう予算措置を伴うものについても、これは緊急の 課題であると思いますので、ぜひそういう体制作りを急いでほしい。これは脳死移植の 過程の透明性を保つためにも、是非検討していただき、直ぐ着手していただきたいと思 います。 〇伊藤局長  今私のコメントが報道されたことについて、あれは事実とは違います。予算措置の伴 うことについては、何もいわなかったということではなくて、あれは正確にいいますと 予算のことについてはとにかく何も具体的に申し上げてございませんが、とにかく第3 例目のことについて、厚生省としての今後の対応として、臓器提供施設の体制をきちん と整備をするということが、一番に重要であるということで、その点については特に今 後、この専門委員会での検討も踏まえまして、予算的な対応についても十分に必要なこ とをやっていきたいと思っております。 〇黒川委員長  ありがとうございました。これも行政としての立場はそうであると思うのです。提供 施設が多ければ多いほど、確かに患者さんというか将来的なドナーになりうる人が事故 にあったときに、手厚い治療をして差し上げられるし、もしそれで不幸なことになった 場合には、より完全な形で移植が行われるプロセスは起こると思います。そうなると一 つ一つにスタッフが足りないというのは勿論の話かもしれない。脳死の場合については 脳死のフィルターの問題とかいろいろ出てますが、それも全部国でやるのか、そうなる と国民がそういうことを望んでいるのかという世論の盛り上がりというものも必要では ないかと思います。  何でもほしい、でも皆のお金を使ってやってほしい。それでいいのだと、皆が納得す るのかということではないかと私は思ってます。そういうところのバランスがあるので はないかな。  もう一つは、脳波の判定はここでもこの間ご討議いただきましたが、例えば実際にそ こにおられない人でも、いろいろと相談に乗ってくださる人がいて、実際の脳波はこう いう条件でとりました。その相手がいるというとこを確認してFAXを送ってくれば、 それを一応はコメントしてくれる、ということはしていただけるという体制を作るよう にしていただいております。それぞれのユニットで100 %可能のあるものを全部やるの かというと、これはお金のことを出しては申し訳ないかも知れないのですが、国民全体 がそういう医療をそこに望むのか、というキャンペーンはどうかというふうに私も思っ たのです。  移植をする側については数が少ないので、どこに何が必要だということはわかるので すが、この間の議論も、最初の指定の施設だと、準備状況ができてないというところが 幾つもあって、そうなると都道府県で全くそういうところがないというところもあるわ けです。そこに一生懸命ドナーカードを配っていると、そこの県の人達にとっては、ド ナーカードをもっていても、何もチャンスがないという話があるというので、実は広げ て、もし準備状況ができているのであれば手を挙げてくださいという話になったわけで す。  そこでも勿論、100 %なのか、80%なのかというのは、それぞれ未経験ゾーンである というのが結構あって、これから検証しながら整備をする。それから予算をつけるので あればつける、国民がそれを欲しているということも、そういう話をしていかないとい けないのではないかと思っております。いろいろとご意見を伺いたいと思います。 〇大久保委員  脳死判定医の派遣の問題というのは、以前ここでも議論されて非常に難しいのではな いかというお話が出てましたので、その後、これは救急の先生方にそういう考え方とし て、こういうものが新聞でも大きく出てきてますが、今の状況としてそういうことは可 能なのでしょうか予算的処置がとれるのであれば、その辺をちょっと伺いたいと思いま す。 〇桐野委員  350 幾つの施設の中には脳神経外科医が主に救急に当たっている施設がありまして、 本来脳死判定については、それぞれの施設が独自の判断でやられるということでありま すが、もしそちらから脳波の技術的な側面等について相談があれば、相談に乗れる、そ れに通業した人を各ブロックに割当まして、脳神経外科学会としては、一種のボランテ ィアですが、そういう体制を既に整えて、貫井委員長で脳死臓器移植委員会というのが 脳神経外科学会にありまして、その委員長のところに各ブロックから一応は24時間体制 で電話を受け付けて、そこから相談を受け付ける体制は作っております。 〇黒川委員長  ありがとうございました。そういうことはネットワークあるいは臓器提供施設の先生 方には十分に伝わっているわけですね。 〇桐野委員  それにつきましては、前回行われました脳神経外科コングレスの学会で、脳死臓器移 植のセッションを毎回やっておりまして、そういう情報を流しております。 〇黒川委員長  行政的にもそのシステムとしては、提供病院に、このようになっているという話を先 生と詰めて、十分な情報を提供することも大事ではないかと思います。その他によろし いでしょうか。これについてはいろいろと新たな問題もありますので、これについても 検証します。 〇浅野委員  脳神経外科学会などの医師がボランティアでなさっているのは大変に素晴らしいこと であると思いますが、ボランティアではなくて、私は先程先生が言われたように市民が きちんと税金でサポートするような、脳死移植というものを進めるのであれば、そうい う必要があると思います。勿論、現状でそういう対応がない中で、暫定的にやられるの はいいことだと思います。  今回、警察の実況見分があったということもはじめてのことなので、そのことについ てもお伺いしたかったのです。  もう一点、一部マスメディアが、テレビ局で東日本放送ということのようですが、ド ナー家族のところまでいって取材をした。最初は電話をしたという報道であったのが、 直接取材をしたということに変わりましたが、そのことについてネットワークの方で記 者会見をしたと聞いております。  もう一つは、週刊誌が脳死確定直後に自宅を取材をしたという問題も起きていて、せ っかく、高知のときにその反省を生かして2例目ではやや良くなったところが、また3 例目でメディアの中に問題を残した。  また取材報道のタイミングも1例目に近くなって非常に乱れていると思います。共同 通信はかなり早く報道しました。地元の河北新報もかなり早い段階で第2回脳死判定の 前に号外を出したりしました。新聞の方では2回の脳死判定まで報道しないと社告を出 した会社が、ホームページの電子メディアで、第1回の脳死判定の後に、共同通信とほ ぼ同じタイミングで報道したという問題も起きており、新聞・放送界が、雑誌も含めて 統一した基準できちんと対応しないと4例目以降、また混乱するというふうに私は思い ます。 〇黒川委員長  実は先生に言っていただきました。私からいうのはちょっと変だったから言わなかっ たのですが、そういう問題もこれから検討していただきたいです。前々からメディアの 方はどうするのかということがありました。もう一つは、今のいろいろな意見が出るよ うに、それぞれのところで体制を整えてほしい。そうなると今桐野委員がおっしゃった ように、脳神経外科の方でもこのように体制を整えます。救急の方でもできるだけのこ とはしましょうとね。浅野委員のように、それをある程度何でもお医者さんにお願いお 願いというばかりではなく、何とか財政的な手当てもしたらどうかとおっしゃいますが そうはいっても無いものねだりではないかと私は思います。  つまりお医者さんには何でもやってくれと言えば、それで済むような気になっている ところが多いわけだから、只でさえ医者は余っているから減らそうといっているくらい ですからね。それでしわ寄せが来ても困るのではないでしょうか。だから本当に必要な のであれば、どう経済的な手当てをするのかというのは、国民の方に投げかけていただ ければと思います。充実するのは簡単だが、今のマンパワーでやるとなると、どうなる のかと思います。 〇井形委員  今日の報告が正式の報告になると思います。多臓器のことの情報を、特に肺です。こ れについてはドナーの病院でどういう経過があったのか、○印が他の臓器にもついてい たのかどうか、そういうことについては触れてませんが、分かる範囲で教えていただき たいと思います。 〇黒川委員長  肺はなぜ行われなかったのかという簡単な経過です。新聞報道では出ているところで すが事務局からお願いします。 〇朝浦室長  肺につきましては、医学的な理由によって今回移植の適用がなかったと聞いておりま す。膵臓につきましては、臓器実施施設の選定は行われているのですが、まだレシピエ ントの登録が行われていないということで、そういうご説明をしたところご家族もご承 諾をいただいたということでございます。小腸につきましては、実施施設の選定そのも のがまだ行われておりませんので、その件についてもご家族にご説明して、今回は移植 に至らなかったというふうに聞いております。  先程申し上げましたように、角膜についてはご家族の方から本人は希望しているが、 家族としては承諾をしないというふうにお伺いしております。 〇黒川委員長  一部メディカルな理由、一部はまだ体制ができてないという理由、ということで成立 しなかったということでございます。これについてはまた詳しく後で伺えることである と思います。その他によろしいでしょうか。では次の議題にいってよろしいでしょう か。  実は第1例目の脳死下での移植事例に関する検証作業、というのが前から行われてお りまして、これにつきまして、先生方のご意見をいただいているところです。  最初に、脳死判定等に係る医学的評価に関する作業班の報告です。前回にも案として 受けていただいております竹内先生からご説明をいただきまして、それを踏まえて各委 員からのご意見を出していただいた。それを踏まえて、再度作業班で検討を深めていた だいたということがありまして、本日、第1例目についての最終報告書案ということで 出していただきましたので、竹内先生からよろしくお願いします。 〇竹内委員  前回見ていただきました報告書に関しまして、いろいろなご意見を伺いまして質問も 受けましたので作業班の方に持ちかえりまして2回にわたって種々検討しました。最終 的に本日お配りしたような改定版を作ったわけであります。  前回と大部分は同じでありますが、改定しております要点を簡単にご説明したいと思 います。  資料2をご覧いただきます。初期の診断・治療に関する評価というのは、妥当であろ うということになっておりますが、言葉を足したのが2ページの真ん中よりちょっと上 です。追加検査により動脈瘤の存在を確認する必要はなかっと考えられる。の前に「こ の時点では」という字句が入っております。  4ページです。HCUにおける検査、治療内容についても特に問題はないであろうと いうことであります。4番目の臨床的脳死診断及び法に基づく脳死判定に関する評価と いうところに、多少した場所があります。それは7ページ下にアンダーラインが引いて あります。2月25日に行われた臨床的脳死診断の際に脳波が記録されておりますが、通 常の感度の10μV/mm及びその2倍の5μV/mmの二つが記録されているわけで す。その点で望むべくは2μVくらいまで感度を上げてほしかったので、「感度の点で は不十分であるが」という字句を入れさせていただきましたが、結論的にはこの時点で の脳波は平坦であると判定されております。  さらに9ページです。一番いろいろと質問がでました脳波の測定の前に無呼吸テスト が行われたことに関する作業班の見解ということです。前に出しました文章をこのアン ダーラインのように訂正したわけです。これは読んでいただければわかるので読みま す。  本症例においては、呼吸・循環が安定しており、モニター下で十分安全にテストを行 うことができると担当医により判断され、脳波測定の前に無呼吸テストが行われた。と いう事実があります。  無呼吸テストは、望ましい前提条件を守って手順通り行えば、ほとんどの症例で安全 かつ確実に実施できるテストであり、本症例においても、結果的には無呼吸テストは安 全に行われたと判断される。しかしながら、患者の血圧や心拍等への影響が見られる場 合があるので、いわゆる「竹内基準」では無呼吸テストを最後に行うよう薦めており、 脳波測定の前に無呼吸テストが行われたことは適切ではない。  今後の法に基づく脳死判定においては、厚生省脳死判定基準、及び臓器の移植に関す る法律施行規則の趣旨に鑑み、規則に則って行うべきである。と直しております。  同じページに平坦脳波に該当しないと判定されたことについての説明がありますが、 これは前と同じことであります。  12ページの下の方に、手順及び方法の適否、というところがあります。総括的な判断 として「その判断も妥当であった」という字句が入っております。  13ページにアンダーラインの箇所が2か所ありまして、脳波と無呼吸テストの順番の 問題について、法に基づく脳死判定において、脳波測定に先立って無呼吸テストが行わ れたことは、前述の通り適切でない。ということが繰り返しここで記載されておりま す。以上が我々の作業班による改定の要旨を申し上げました。  今日は大塚委員と桐野委員がおられますので、何かありましたらどうぞ追加していた だきたいと思います、以上でございます。 〇黒川委員長  ありがとうございました。竹内先生の再検討された結果です。大塚委員、桐野委員何 かありますか。 〇大塚委員  特にござません。今竹内委員がおっしゃられた通りでございます。 〇桐野委員  同じく特にございません。 〇黒川委員長  先生方の方からご意見はございますでしょうか。手順をせっかく竹内基準で書いてい ただいたわけですから、基準を守るということは書いてあるので、守っていただくのは 基本であると思います。 〇大久保委員  委員の先生方にはご苦労さまと思います。これだけ大変なことで、また注目もあった 中で、度々こういうことでお集まりいただいて結論を出していただいたと思います。こ れは先生方の結論ですし、私も大分これで理解できたと思います。問題点はこれは先生 方の班の問題ではなく、この委員会としての問題であると思います。  基本的にいろいろ問題があったが安全で行われたということは、確かに確認されたわ けです。ただ、この会で決めてあった施行規則、それに基づいて行われてなかったとい うことに対して、今後どうするのかです。  世間的にみますと、基本的に何か悪いことがあって、それは良かったがということで それで終わりというのは、世間一般の、山谷委員ではないが、一般的な人からみると、 ちょっと違うのではないか。ある程度何らかの注意をするとか、今後起こらないための 会社でいうと念書を出すとか、そういうことというのは普通の社会ではあるのではない か、こういう臓器移植で一般の方の注目を非常に浴びている。特に第1例目であって、 確かに全てにおいて患者さんに対しては、問題はなかったが、これだけ注目を浴びるに おいて、規則が守られなかったことに対する、ある程度の処分というか注意としてか、 何らかの処置等があってもいいのではないかと思っております。 〇黒川委員長  事務局何かコメントありますか。 〇朝浦室長  今回施行規則通りに行われなかったということで、私たちも重く受けとめておりまし て、今後こういうことがないように、提供施設に対して、一般的にルールについての十 分な説明の機会を設けさせていただくことと、脳死判定の手順につきましても、分かり やすい手順書のようなものをこさえさせていただくと考えております。 〇大塚委員  私は提供施設の代表としてお話申し上げたいと思います。先程から何べんも出ており ますように、提供施設の準備不足というのは私たちも認めざるを得ないと思います。は じめに96くらいのところをやっていったのですが、急に300 幾つに広がってしまったの で、当然のことながら、私どもがチェックできない病院も沢山入っているわけでござい まして、この臓器移植に向かって整備をするというのは当然だと思いますが、なかなか 300 全ての病院にすぐ明日からというわけにはまいりません。  そういう時にドナーカードをもっておられる患者さんが入られて、それを見せられて 提供しますと言われたときに、整備がないから、施設が十分にまだ整ってないから駄目 ですと拒否するのか、あるいはドナーカードを優先するのかという問題です。  ドナーカードを優先すれば、当然今回のような問題はこれからも起こってくる可能性 があるのです。そこをどう妥協するかと思ってます。 〇黒川委員長  これについてその他の先生方はいかがでしょうか。そういう実際の理想の像と現実の 間に、皆さんがそれだけのお金を払って充実させるのかというスピードの問題もありま す。勿論、このようにマニュアル通りにいかなかったというのは、ミスであったという ことですが、たまたま医学的に検証したところではミスをしたが、医学的な実害はなか ったということが検証されたということです。行政の方としては、これからマニュアル も実際に症例がないときに作るときには、一生懸命書いているのですが、あくまでもデ スクワークで実際のユーザー側に立ってできているのかというと、なかなかそうはいか ないわけです。これからは、そのポイントとキーワードを付けたものを作って、マニュ アルをさらにみるという恰好にしたらどうか、それは考えておられると思います。大塚 委員のおっしゃる通りです。  この委員会でもよく出るのですが、もっとコーディネーターを充実させろということ です。ではそのお金をどこから出してくれるのかというと、皆が黙ってしまうのは不味 いのではないか。他にもお金を使うことは沢山あるわけですから、どうしたらいいの か。すると私は再三いっておりますが、アメリカのUNOSの場合は予算のうちの8割 は登録費で賄われている。それは登録が350 ドルで1年間の予算の8割が賄われている というのは、実は移植の数が非常に多くなっているからで、それまでは全部ボランティ アとかあるいは国のお金でやっていたわけです。  実際の移植が増えているから、皆が移植をしてもらえるチャンスがそれなりにリーズ ナブルにあると思って登録するわけです。1回だけですがね。腎臓が10,000、肝臓と心 臓を入れれば25,000くらいやっているわけですから、登録している人がそれの倍として も、半分は受けられるという状況になればそうなるわけです。  それで皆さんがどうしてくれるのか、国のお金を使えと皆がいうのか、そういう問題 はあるのではないのでしょうか。大塚先生のおっしゃる通りです。その辺の移行期にど うファイナンスをするのかということも含めて考えていただかないと、無いものねだり で、やるからには100 %、お金は出さない、というのは困るのではないかということは 確かにあると思います。 〇井形委員  先程の大久保委員のご発言に対しては、僕はちょっと違うフィーリングをもってま す。これが定着した中で、当然誰もが知っていないといけないルールがきちんと浸透し た中で起こったなら、口頭注意であるとか、あるいは何らかの形というものがあるので しょうが、私は日本の移植といのは非常に諸外国から比べて変則的な展開を示してき て、これから定着させるためには、どうしても試行錯誤です。やっていく中に誤りがあ れば、それをどんどん是正していくという柔軟な態度ではじめて定着していくと思うの です。  その意味では、この高知で起こったことに対して、若干ブレーキになるようなことを するよりも、この報告書がでれば、歴然と適切でないということを指摘しているわけで すから、むしろそれによる効果、これからはこういうことは起こらないであろうし、ま たそれで何らかの形で厳重注意というようなことでも起こりますと、ドナーは面倒だか ら出さない、触らぬ神に祟りなしという空気に成りかねないということを恐れます。私 はこの報告書そのものが、注意ということになるのではないかと理解します。 〇伊藤局長  大久保委員からご提案のあった件につきましては、私どもとしましては高知の事例に ついてだけ、大久保委員の言われたような対応をするというよりは、臓器提供施設全体 の条件整備を促していくという観点から、先般記者会見のときにおきましても、ブロッ クごとに、例えば臓器提供施設に対する説明会なり研修会を、関連の学会のご協力を得 ながらやるとか、今回の臓器移植専門委員会のいろいろな関係の報告書などについて、 きちんとご説明をする機会を作るという形で対応していった方が、個別の注意とか処分 ということよりも、今申し上げたような形で対応させていただく方がよろしいのではな いかと考えております。 〇黒川委員長  他にご意見ありますか。確かにこういうことを全体として、間違いは間違いであるが プラスにするにはどうしたらいいのかというところの判断も求められているのではない かと思いますし、その意味では、井形先生のご意見も、そういう視点ですから、これを どういうふうに全体のシステムとして向上させるのかというために検証しているわけで す。そうなると検証をしていると皆マイナスになるというか、マイナスにはなりはしま せんが、そういう視点からの判断でいいのではないかと思います。  伊藤局長のおっしゃったように行政の対応をしたいということですし、それはそれで 一つの見識ではないかと思います。 〇浅野委員  今のご説明で1ページのところです。担当医にも治療経過の説明を求めたという表現 があります。これは実際に高知の例で、最初に救急治療に当たった先生も含めてという 意味でしょうか。それから本作業班以外の専門家にもというのは、どういう人たちなの かという説明をしていただければと思います。 〇竹内委員  これは主治医という言葉が使われておりましたのを、担当医に統一したわけです。複 数の医師によりいろいろな診療がされておりますので、その際の担当医という意味をそ のまま表したものです。したがいまして、上京していただいて我々が直接説明を求めた 西山医師だけを指しているのではないということであります。 〇浅野委員  今のはそれで結構です。もう一点です。15ページのところに17:25に西山医師が警察 へ連絡したことについてに下線が入ってます。これは3回目の例もそうだったのですが 警察との関係は情報が開示されておらず、私はよくわからないのですが、ここに下線が 入っているのはどういう意味かということの説明をお願いします。 〇山本補佐  事務局からです。1つ目のご質問です。20ページに参考人名簿ということで、脳波の ご専門の方、CTのご専門の方にご参画いただいておりますので、その方という趣旨で ございます。  先生がおっしゃった高知の方の14ページから15ページあたりから、アンダーラインが 入ってございますが、これは前回時間が若干ずれていたりしたところについて、今回は もう一度時間を確認して書き直しております。例えば脳波の測定とその他は、測定の開 始時間なのか終了時間なのかというのが明確ではなかったりしたものですから、その意 味で時間を確認して整理させていただいているということでございます。 〇黒川委員長  他にはよろしいでしょうか。よろしいようでしたら、この報告書を皆さんに認めてい ただいたということで、医学的評価については認めていただいたということにさせてい ただきます。  先程、事務局がおっしゃいましたように、このようなことが起こらないように、もう ちょっとわかりやすいガイドライン、あるいはその時に非常に現場は大変だろうと思い ますし、ガイドラインの中身をどこまで読むのか、分かっているところも沢山あると思 いますので、もうちょっとわかりやすいポイントをまず書いた上で、それは何ページと いう恰好のミスをしないマニュアルが大事だと思います。  前に柳田参考人がおっしゃったように、検証して、次にどういうふうにしてそれが起 こらないようにするというのが非常に大事だとおっしゃっておりましたが、まさにその 視点が非常に大事だと思います。そういうことで大塚委員もおっしゃったように、今は 救急側、対応側の充実度というのはかなり違うのは当然のことでありますので、桐野委 員のおっしゃったような支援体制も学会がしておられるということを、事務局の方、あ るいはネットワークの方から、そういう施設にも十分に案内していただくとか、マニュ アルもこういうマニュアルの分厚いものがあるが、ここがポイントというような話も、 特にしておいた方がいいかもしれません。  そういうことをしながら、同じような誤りが出ないようにしながら検証していきたい と思っております。いかがでしょうか。よろしければ竹内先生ありがとうございまし た。また委員の先生方ご苦労さまでした。ではこの作業班につきましてはそういうこと です。  次にネットワークのあっせん業についての作業班も作っていただきましたので、第1 例目は高知ですが、移植の事例に係る検証作業ということで、小泉先生にお願いしたわ けですが、よろしくお願いします。 〇小泉委員  ご報告します。この作業班は第1回を5月19日に開きました。第1例目に係るネット ワークからの報告、それを巡っての討論を行いました。以後これまでに4回開催してお ります。お手元に資料の3というのがあると思います。それをご覧になりながら、読み 上げるのではなく、この中から要点をピックアップしながらご説明させていただきま す。  本日は、第1例目における日本臓器移植ネットワークのあっせん業務に係る評価、及 びその検討の中で作業班の各委員より意見が出された、今後のネットワーク及びコーデ ィネーターのあり方に係る議論について、の内容を中間報告させていただきます。  本日この委員会でのご意見をいただいたことを踏まえまして、明日の22日に第5回の 班会議を開きまして、最終的に第2例目にかかる評価も含めたものを、再び29日のこの 専門委員会に提出することとしたいと思います。  資料3の表紙を捲っていただくと、目次のところに(下線部は今回の中間報告書に掲 載した部分)、というのがありますのは、本日のこの内容はこの部分であって、これに 第2例目を含めたものが追加されて最終的にご報告するという意味合いでございます。  ページ1からご説明しておりまして、1が第1例目に係る臓器あっせんの経過及びそ の評価についてでございます。このページでは、(1) で初動体制(心臓死下での腎臓の 提供に係るあっせんとの関係)について。2ページには(2) 患者のご家族への説明・ケ ア及びその他の臓器あっせんに係る手続きについてとしまして、この場合の四角で囲ん だ中には、ネットワークから聴取した事実経過、というものを次の3ページにわたって 記し、3ページの下の方に評価として(1) ご家族から承諾を得る手続きについてとして 何点かを指摘し、4ページには(2) ご家族へのケアについて、を説明しております。  このようにして項目を追って記載しておりますので、もう一度はじめに戻りまして1 ページをご覧いただきたいと思います。  第1章目に当たるところです。ここは大きく5項目に別れております。  1ページ目(1) の初動体制の2つ目の○です。  本事例におきましては、主治医が患者の家族に対してコーディネーターの話を聞く希 望を確認する前に、県のコーディネーターが医療機関において患者の医学情報の収集を 開始していたことが適切であったかどうか等の点について疑問が示されました。この点 については、一般的にはコーディネーターが主治医からドナーのドナー適合基準等につ いて、個別患者に則した相談を事前に受けることがあり得る、また本事例は家族より既 にドナーカードの提示があったために、ある程度ご家族の意思が推認できたこと等の理 由から、問題があったとは言えないが、家族の意向が全くわからず、また緊急性もない 段階では、具体的なドナーの医療情報を得る目的で、コーディネーターが患者のカルテ 等にアクセスすることは適切ではない、という意見が出されました。  次に2ページ目の一番上の○です。この事例は、心臓死下での腎提供から、脳死下で の臓器提供に移行する場合等両者の形態が複合的に現れる場合のための、統一的な対応 マニュアル等が整備されておりませんので、今後それらについて整備を図っていくべき ではないかという意見がみられました。  (2) 患者のご家族への説明・ケア及びその他の臓器あっせんに係る手続きということ ろです。  (1) でご家族から承諾を得る手続きについては、適正な方法でご家族に説明し、説明 内容を文書で渡した上で、ご家族より承諾書を得ておりまして、適正に行われておりま すが、3月25日の説明の際に、直ぐにご家族が承諾書にサインしたことについて、もう 少し考えていただいて結論をだしてもらった方が良かったのではないかという意見がで ました。なお、3月26日に再度脳死下での臓器提供に係る承諾書を得る際に、承諾書へ の記入について、最後に別表1というのが10ページにありますが、この10ページの四角 の部分が○で囲まれてなかったということでございまして、手続き的なミスあったが、 検討の結果、反省すべきものではあるが承諾自体を無効にするものではないという結論 になりました。  次にご家族への説明等々の部分4ページの下半分に該当するところをご説明します。  (2) ご家族へのケアについては、患者の臓器提供の意思を生かそうとするご家族への コーディネーターの支援が、十分ではなかったのではないかという指摘がなされまし た。なお、委員からはコーディネーターがご家族のケアに集中し、適正に行うことがで きるような環境を院内に作ることも必要ではないかという意見か出されております。  5ページの上です。(2) の4つ目の○です。過熱報道や関係者の対応等について、ご 家族がご立腹されあるいは抗議された、そのご家族に対してコーディネーターがもう臓 器提供は止めようと話をしたことに対しては、作業班におきましては、一般論としては コーディネーターが臓器提供の意思を削ぐような行動をすることについては、疑問が示 されました。本事例におきましては、全体の状況や家族の状態を考えると、個別事例に 係る対応として納得できるという結論になりました。  5ページの(3) ドナーの医学的検査及びレシピエントの選択についてご説明します。  まず5ページの(3) の最初の○です。通常ドナー発生時に迅速に諸検査ができるよう レシピエント登録者の血清が最寄りのHLA検査センターに保管されている体制が整え られておりますが、今回は肺のレシピエントの血清が最寄りのセンターに保管されてい なかったため、検査手続きが一部迅速に行えなかったということがあります。  この点に関しては、HLA検査センターの体制整備について見直し強化を行う必要が あるという指摘がございました。  次に6ページの(3) の3つ目の○に該当するところです。心臓のレシピエントの選択 ミスがあったということにつきましては、ネットワークとしても十分に反省し、今後絶 対にそのようなことが起きないよう、体制の改善を行う必要があるということで意見が 一致しました。なお、委員からは、ネットワークの業務について、「個人」に頼った遂 行形態、結局ネットワークとしてというよりは、事に当たった個人という意味で、個人 の判断やミスが入り込まないようなシステムを構築しておかないといけないという意見 が出されました。  次は6ページの(4) 搬送についてです。この部分につきましては、今回の事例におき ますところの臓器搬送については、概ね適正に行われ、結果的には大きなトラブルはな かったものの、今後より円滑な搬送システムの確立について検討する必要がある、とい う結論になりました。  下の方に(5) その他についてです。内容につきましては直ぐ下ですが、第1例におき ましては早い時期からドナーに関する情報がマスコミに漏れていた部分がありました。 この点については、全ての関係機関において、再点検がなされるべきでありますが、ネ ットワークとしても、メディアとの関係をどのように保ち、プライバシーにかかる情報 をいかに保護するかが今後の課題であるという指摘がありました。  続きまして第3章の項の7ページについてご説明します。「ネットワーク及びコーデ ィネーターのあり方について」であります。  本作業班においては、上記の第1例目のあっせん業務に係る具体的な検証を行ってい る中で、個別の課題に内在しているネットワークの体制そのものに関する課題が指摘さ れ、あるいはコーディネーターのあり方についての総論的な議論も行われました。以下 これまでの議論の内容について報告いたします。  7ページの(1) 2つ目の○と3つ目の○の項をご覧ください。コーディネーターは家 族が意思決定をするまでは中立の立場に立ち、外部的影響を排除して、家族の心情を理 解した上で、その意思を生かすことが必要であります。家族の意思が決定した後は、臓 器提供への承諾・非承諾に係わらず、家族の側に立ってその精神的サポートを行うべき である、という意見が出されました。  次の5つ目の○です。ドナー家族の精神的ケアサポートはコーディネーターの重要的 な任務であるということについては、作業班の一致した意見でありましたが、合わせて ドナー家族を支える上で、臓器移植に係る社会の理解も重要であるという意見が出され ております。  (2) 家族への支援以外の業務について申し上げます。  (1)搬送の手配体制についてです。最初の○は7ページです。一番下です。臓器の搬送 のアレンジについては、そもそもそのようなことをコーディネーターがするべきではな く、家族のケアに集中するべきであること、搬送のアレンジについてはその業務に精通 している人材があれば、必ずしもコーディネーターでなくてもよく、全てネットワーク 本部あるいは将来的にはブロックセンターが、現地の状況の連絡を受け、アレンジを行 うべきであるという意見が出されております。  8ページの(2) 今の続きの3つ目の○です。搬送の費用のことです。搬送の費用につ いては最終的にどの者が費用を負担するのかという問題について、今後検討していく必 要がある、というのが結論でございます。  (2)のメディア対応についてでございます。メディア対応についても事実経過の公表等 に関し、本部の広報担当機能を拡充するべきであるという結論になりました。  8ページ(3) ネットワークのコーディネーターの質及び数についてであります。  1つ目の○です。現在、コーディネーターについては脳死下での臓器提供事例が今後 増加した場合に対応し、また臓器提供後においてご家族のケアを継続的に行うためには 資質・数ともに不十分にあり、今後コーディネーター及びその候補者の教育・訓練体制 を拡充し、数を増やすことが必要であるという意見が出されております。  次に(4) の都道府県コーディネーターについてであります。同じ8ページの一番下の 方です。また都道府県コーディネーターについては、各都道府県の腎バンク等のネット ワークと異なる機関に所属し、指揮命令系統が通常業務と具体的な臓器あっせん時で異 なっており、また他の業務と兼務で行っている実態であります。コーディネーターはそ もそも他の業務に従事しながら兼務で行えるようなものではなく、そのような現在の体 制については見直す必要があるという結論になりました。  次に9ページで(4) 上の方です。二つ目の○です。また都道府県コーディネーターが 実際に行っている業務には、各地域によってその内容について大きな格差があり、その ような状況において、どのように都道府県コーディネーターを位置づけるかを含め検討 する必要がある、という結論になりました。  最後に(5) ネットワーク全体の体制強化についてでございます。同じ9ページの(5) の最後の○ですが、○が4つありますので、それについて順次説明します。  今後ネットワークが臓器あっせん機関として、専門性の高いプロフェッショナル組織 として機能するためには、コーディネーターの質及び数の充実のみならず、コーディ ネーターの活動をサポートする事務部門の拡充、メディカル・コンサルタントの専任化 等が必要であるという結論になりました。  さらにドナーとレシピエントを遮断する観点から、将来的にはドナーコーディネーシ ョンを行う者と、レシピエントに係る業務を行う者との、役割分担が可能となるような 体制を整備することが望まれるという意見もありました。  また元々は心臓死下での腎臓移植に係るあっせんのみを行っていたネットワークが、 抜本的な制度改革を行わずに、脳死下での臓器移植のあっせんを行うことには、基本的 に無理があり、今後ネットワーク自体が抜本的な改革を必要とするのではないかという 意見もございました。  以上が本日の中間報告についての要約でございます。 〇黒川委員長  いろいろな問題点を検証されまして、検証された結果いろいろな問題点を指摘してい ただきまして、大変感謝しております。実はこれは先程最初に小泉先生がおっしゃいま したように、明日また委員会を開催されるご予定でございますので、今はかなり時間も ありますからコメントをいただくのは構いませんが、これだけいろいろあって、確かに 皆そうだと思うのです。それぞれに問題が指摘されている。最もだと思うのですが、そ れをどう制度として定着させていくか、実際の移植の研究班のときもそうだったのです が、コーディネーターといっても、実はドナー側のコーディネーターをする人もいるの ではないかというご指摘がありました。実はそれは厚生省の前の研究班からも出ていた わけです。それもちゃんとご指摘していただいております。  確かにコーディネーターの役割というのは、人によって、現場によって、場合によっ て少しずつ変わってくるというのがある程度予測されておりました。  移植のレシピエント側のコーディネーターも当然必要なわけです。ただ、レシピエン トの側の場合には、比較的毎日お医者さんとコンタクトしながらいろいろな話があるの で、それについてはお医者さん、あるいはそのスタッフとのラポールが出来上がってい るというところから、比較的少ないのかなという気がしました。その時の議論もそうで すが、ドナー側はあくまでも誰に起こるか分からないという状況で、家族は非常に混乱 してますし、当然思いがけない身内の死に至ということを迎えているので、そこのコー ディネーター、あるいはそちら側で誰がいろいろなことをサポートするのかというのは 非常に難しい問題であります。  それを充実させるのは当然ですが、その辺がコーディネーターの役割なのか、多分そ うだと思うのですが、ただコーディネーターとしても、どこまでそれができるのかとい う先生のご指摘の通りであると思います。  これについてご質問ありますか。明日またやっていただきますので、その結果を踏ま えて、案という恰好の、あと1回か2回でいただけるのかどうか分かりませんが、むし ろこれを先生方にもって帰っていただいて、いろいろと読んでいただいて、またコメン トをいただくという方がいいのではないかと思いますがいかがでしょうか。格段にこれ ということがありましたら、特に大塚委員、桐野委員何かありますか。 〇大塚委員  皆さんがおっしゃっている通りに、ドナー側のコーディネーターとレシピエント側の コーディネーターというのを確立していただいたいいと思います。今は全くどちらかと いうとネットワークに所属しているコーディネーターですので、どちらかというとレシ ピエント側のコーディネーターではないかという感じがしないでもないのです。その辺 はちょっと中立性という意味からいっていかがなものかという感じはしています。 〇黒川委員長  いつもこういう問題が起こると、もっとコーディネーターを充実しろ、数を増やせと いうのは当然ですが、では誰がお金を払うのかということです。国民がそれをサポート しますという話をどう皆が納得するのか、行政にやれやれというだけではなく、民主主 義の下からいうと、国民の意思にしたがって行政は動いているはずですので、そういう ことですから、国民の意思で是非したいということが出てこないとね。実際にネット ワークもそうだと思うのですが、いつも予算がない予算がないとヒーヒーいって赤字で やっているのでその辺かなということです。  勿論、専門のメディカル・アドバイザーが必要だというのは当然の話であると思いま すが、その予算はどこから来るのか、皆ボランティアでやっているのですが、いろいろ と解決しないといけない問題が沢山あるということだと思います。 〇大久保委員  厚生省の事務局にお伺いしたいのです。現在都道府県コーディネーターの専任と兼任 の数はどうなっているのか教えていただきたいと思います。 〇朝浦室長  今、手元にデータを持っておりませんが、比率的には兼任の方が多いと伺っておりま す。細かいデータについては次回ご報告させていただきます。 〇黒川委員長  出た時の指令系統のラインについては整備されたところですね。歴史的な流れやその 他がありますので、それは配慮しましたが、責任体制とかは出てきますので、ラインと しては一応整備されているということになりました。次回ではご意見いただくというこ とにして、いろいろと読んでいただきたいと思います。 〇浅野委員  15回の委員会で、柳田邦男参考人が、第1例目でNHKに情報を流したのが、大阪の 移植に熱心なドクターであると断定的に発言しました。委員会の場でも大島委員がその ことについて質問されたのに対して、柳田参考人は答えられなかったのですが、私は非 常に重大であると思うのは、その時に柳田参考人は、同時に、メディアに情報を漏らし た人が最も悪いと言われたのです。  私はそうは思いません。当局者からの情報というのは、できるだけ多くのことがメデ ィアに流れた方がいいと思っているのです。これは薬害エイズ問題の教訓からいっても そうです。ただ問題は、それを知ったメディアが、何のために、いつどのように市民に 知らせるのか、という市民の知る権利に応えて取材の報道するという意味で、興味本位 ではなくきちんと社会に啓蒙するという目的で、ジャーナリズムとして機能すべきだと 思います。  高知のケースでは、6ページでマスコミに漏れたということで、NHKにあるいは日 本テレビ系列にかなり早い段階で情報が流れたということについて、いろいろな噂とか 情報が流れておりまして、これは誰が流したということを究明する必要はないと思うの ですが、ただし柳田参考人があのように移植に熱心なドクターが流したということで、 社会的にこの委員会の議事録として残り、それに黙っていていいのかなと思います。  もう一つは、情報を提供した人が悪いという言い方はジャーナリストとして相応しく ないと、ここでいっておきたいと思います。 〇黒川委員長  ありがとうございました。浅野委員は前からメディアのあり方について、日本のメデ ィアは発信元、情報のソースを全然明かさないで、実は自分が取材したような顔をして 実は人の話を聞いているだけのことが多い、特に政府の公的なことでG7などもそうで はないかという気がするのですが、間違ったら実は直接には取材してないことが多いと いう話がしょっちゅう書かれてます。そういう話は非常にあり得ると思います。  その辺は、もっとマチュアになってこないと困ると思います。それは今回の対応につ いても、また考えていただければと思ってます。 〇田中委員  次回報告されるということですが、次回出れませんのでレシピエント・コーディネー ターのことについて一言です。  国立大学の状況です。レシピエント・コーディネーターが漸く今度京大で1名だけ認 められました。それは看護婦さんということで認められました。実際に1例とか2例や って直ぐに認めてくれというのは、なかなか現実問題として無理でして、相当にこうい うことが成熟して、こういう点が問題になってという形で、漸く認められたというのが 現状であるということを報告しておきます。 〇黒川委員長  ありがとうございました。京都大学は国立病院でもパワフルですから、国から予算を つけてもらいやすいのかも知れないなと思わないでもないのですが、それは田中先生の いろいろなご努力があったと いうことは評価されているわけです。それまでは大変だ ったと思います。そういうこともいろいろあるのではないかな。  これはコメントですが、そういうことを仕事して、勿論経済的な裏付けも大事ですが ボランティアとしていろいろ勉強しながらやっていこうという人が、もっと出てもいい ような気もしないでもないです。勿論、60歳を過ぎていてもいいわけです。ドナー側の ボランティアというか、ドナー側のコーディネーターは非常に難しいと思います。いつ 出るか、どこで出るかわからない。レシピエント側はする場所がかなり限定されている ので、今ような田中先生のようなこともあります。国の予算が付かないと何もできない という発想も凄くまずいと思います。日本は何でもそうなっているようなところがあり ますがね。  大変ありがとうございました。小泉先生の委員会の大変に精力的なお仕事で、また明 日もやるそうですので、次回の報告を受けたいと思います。ありがとうございました。  議題の3です。臓器移植例に係る透明性の確保とプライバシーの保護について、とい うことについてお願いします。移植医療の透明性の確保と情報の公開、プライバシーの 保護については、毎回ご審議いただいていることでございますし、前回3人の参考人の 方々からもご意見を伺っているところであります。  この間も十分に時間が取れなかったので申し訳なかったのですが、今までに出された ご意見等を事務局がまとめておりますので、まず資料の説明を事務局からお願いしま す。 〇朝浦室長  では資料4に沿いましてご説明したいと思います。  臓器移植における透明性の確保と臓器提供者等のプライバシー保護の両立について、 この論点につきましては、本委員会が第1例目の検証をすすめる際に、1つの大きな論 点として提示をしていただいて、それについてこれまで数回にわけてご議論をいただき 参考人の方にも意見陳述を行っていただいたものでございまして、その議論を踏まえて 事務局のメモとして、これまでの議論を整理させていただいたものでございます。  (1) 臓器移植における情報開示とプライバシーの保護について:基本的考え方となっ ております。この基本的考え方に載っております1ページから3ページ目の冒頭にかけ ましての7つの項目については、前々回、前回ご説明をさせていただいたものでござい ますので、変わった点についてご説明いたします。  2ページ目の個人の医療情報に係る保護の点です。この医療情報の保護につきまして は、(4)の下のところに書いてありますが、3つの・がついておりますが、いろいろな法 律で刑法、国家公務員法、臓器移植法等で個人情報の保護については記載があります。 これをまとめて書きますと、下線をしたところです。医療において患者の個人情報を保 護することは、大原則であり、医療関係者の倫理としてもその点は明確にうたわれてい るところである。また、法律的にも、刑法、国家公務員法、地方公務員法等において、 ゆえなくその業務上知りえた事項について他者に漏らした場合には、懲役または罰金刑 が課せられているところであり、上述のような、その事実関係の公表について一定の公 共性が認められる臓器移植事例においても、その情報を開示する場合に、臓器提供者、 そのご家族、レシピエント等の個人が特定され、またその情報がゆえなく漏洩されるよ うな時には、当該情報開示を行った者は法的にも罰せられる可能性がある。とまとめさ せていただいてます。  3ページ目の冒頭の(7)でございます。臓器提供者とそのご家族の保護、ということで 説明を加えさせていただいております。臓器提供の現場においては、最も保護されるべ きものは臓器提供者及びそのご家族であり、ご家族が静かな看取りの時間を持てるよう に、また、提供者の尊厳が傷つけられないように、臓器提供施設及び移植コーディネー ターは最善の努力をつくすべきである。ということでございます。  (2) 情報開示を行う手法等について、でございます。これにつきましても、前回ご議 論の状況についてはご説明をさせていただきまして、前回、審議をしていただいたとこ ろを新しく追加をさせていただいておりますので、その点についてご説明をします。  3ページ目の下の方でございます。情報開示に係る臓器提供者の家族の承諾について です。情報開示に係る臓器提供者の家族の承諾については、コーディネーターの方から 説明のみではなく、十分に納得していただけるように、説得すべきであるとの意見がみ られた、ということを追加しております。  4ページです。一番上の○のところでございます。コーディネーターの提示した開示 情報項目の案について、家族が承諾されない場合には、そもそも臓器提供をすべきでは ない。(臓器提供施設及び日本臓器移植ネットワークとして提供を断るべきである)の か、提供者本人の意思を第一に考えて臓器提供を行うべきなのかという論点はあるが、 各委員からは臓器提供に対する承諾と情報開示への承諾は別であり、コーディネーター の提示した開示情報項目に同意しなくても臓器提供はできるとの意見が多数であった。 下の3行を追加させていただいております。  結論としては、コーディネーターが家族に対し、臓器移植に係る社会の関心を十分に 説明した上で、情報開示に関する事項を提示し、その上で家族から提示されては困ると いった事項については開示しないということについては合意が見られた。ここは追加し ております。  その下に〔*ここについてはまだ十分に審議は尽くされてないと事務局としては考え ております。提供者の家族がそもそも事実関係及び医学情報の全てについて開示をする ことを承諾しなかった場合に、どのように対処するべきかという問題が残る。〕を付け ております。  (2)でございます。最初の○です。アンダーラインはついけおりませんが、ご説明させ ていただきます。  第1例目及び第2例目においては、厚生省においても情報開示に関与したが、基本的 には臓器提供施設及び移植実施施設、あっせん業務に関しては日本臓器移植ネットワー クが自主的に情報開示を行うのが本来のあり方であり、今後事例を重ねるにつれて、そ の機関が自ら情報を公表するようになるのが望ましい姿であると追加しております。  これは前回は厚生省の考え方、国会答弁での考え方をここに記しておりましたが、こ の委員会としてもご了解していただいたのかなと考えて、厚生省という言葉を外してお ります。  4つ目の○です。厚生省に対しても、臓器移植事例に係る情報開示と報道のあり方等 はどうあるべきかという点について、関係機関との間で十分に検討を重ねず、プライバ シーの保護を図ることができなかったことについて責任があるとの指摘があった、これ を追加させていただいております。  リアルタイムでの開示についてでございます。  リアルタイムの開示については賛否両論がございますが、2番目の○で、また脳死判 定が終了するまで、(又は臓器摘出手術の終了後まで)は報道を行うべきではないが、 報道機関に対する情報開示は、(代表取材等の方法も考慮に入れつつ)リアルタイムで 行うべきであるという意見もある。これは前回意見として提示されたものでございま す。  一定期間後の開示についてです。2番目の○です。また、そもそも摘出終了後におい て情報を開示すれば十分であるとの意見もあった。  まずこの(1)(2)についてのご議論をいただきたいと思っております。参考までに第3 例目の情報公開について、厚生省と臓器移植ネットワークがとった考え方についてご説 明をしたいと思います。  参考に7ページと8ページに、厚生省・日本臓器移植ネットワークの考え方かついて おります。今、席上配付しておりますのが、最終的な考え方です。この参考の2ページ について差し替えて説明します。  今席上配付しましたのが、最終的な考え方でございます。平成11年6月13日付けで報 道機関の方にお示ししたものでございます。情報公開とプライバシーの保護のあり方に ついては、現在、公衆衛生審議会臓器移植専門委員会で検討中ですが、患者及び家族の プライバシーを保護する観点、家族の意思の任意性の担保の観点、提供施設における混 乱の回避の観点から、以下のとおり対応したいので、ご理解、ご協力をお願いします。  対応方針としまして、基本的に社団法人日本臓器移植ネットワークが主体となり、厚 生省記者クラブにおいて情報を公表する。提供施設においてコーディネーターによる情 報の公表は行わず、個別の取材にも応じない。  日本臓器移植ネットワーク及び厚生省が公表する情報の内容は、ご家族の同意を得た ものとする。  情報を公表する時点は、第2回目の法的脳死判定終了後とし、その内容は以下の(1)か ら(7)までということでございます。  (1)患者に関すること  性別・10歳階級別年齢・原疾患  意思表示の方法及び提供の意思表示がなされている臓器の種類  意思表示を書面により行った時期  家族署名の有無、でございます。  (2)提供施設に関すること  所在地域(ネットワークブロックセンターの所管地域別)  (3)手続き  ネットワークに提供施設より連絡が入った時刻  ご家族より脳死判定及び臓器摘出の承諾書を得た時刻  ご家族が摘出を承諾された臓器の種類  (4)第1回目の法的脳死判定を開始した時刻  (5)第1回目の法的脳死判定の終了時刻及びその結果  (6)第2回目の法的脳死判定を開始した時刻  (7)第2回目の法的脳死判定の終了時刻及びその結果、でございます。  2ページです。その後は以下の時点で逐次公表を行うということです。  移植施設が決定した時点(移植施設、移植が予定される臓器の種類、摘出手術予定開 始時刻及び終了時刻等)  摘出手術が開始された時点(開始時刻、終了予定時刻、搬送経路)  摘出手術が終了した時点(終了時刻、摘出臓器の種類、搬送経路)でございます。  全ての臓器の搬送が終了した後、作業を分担した担当者の資料の全体がとりまとまり 次第、ネットワークとして再度、記者会見を行うということで、これは既に先日ネット ワークとして記者会見を行ったところでございます。  移植手術に関する情報は原則として移植医療機関が公表することとするが、厚生省に おいて移植医療機関から連絡を受けた簡単な事実経過について情報提供を行うというこ とになっています。  移植医療施設におかれましても、移植手術の状況について記者会見をおこなわれてい ると聞いております。その際に四角で囲んだことを報道機関の方に対してお願いをして おります。  報道にあたっては、プライバシーの保護に十分にご配慮をいただきたい。  患者家族に対する取材等はひかえていただきたい。  提供施設に対する取材等は臓器摘出後までひかえていただきたい。  コーディネーション業務に支障がきたす恐れがあるため、日本臓器移植ネットワーク のオフィス内への報道関係者の入室及び個別の取材はご遠慮願いたい、ということでご ざいます。  一番最後の※でございます。提供施設はご家族の承諾を得た上で、臓器摘出後に提供 施設外の場所において記者会見を行う予定であり、それまでは一切の情報の公表を行わ ない。ご家族及び他の外来・入院患者の平穏な環境を妨げることのないよう、十分なご 配慮をお願いしたいということでございます。  いまお配りしました紙につきましては、公表する前にご家族のご了解を得て、第2回 目の脳死判定後に、厚生省及び臓器移植ネットワークの方から、情報を公表するという 経緯でございます。以上でございます。 〇黒川委員長  ありがとうございました。こういうわけで大分議論があったところですが、まだ十分 煮詰まっているわけではありませんが、基本的な考え方ということについては、比較的 皆さんの同意が得られていると思います。また開示の内容、時期、ご家族の情報開示に 関する承諾についても、皆さん方からこのような意見をいただいているところでありま す。  実際にこれでもう3例行われているわけですので、それまでに結論がでないで、どん どん3例目までいってしまったというところはありますが、こういうことで、具体的な 事例をいろいろと考えながら、委員の先生方の意見をいただきながら、どこまでが普遍 的なルールとしてアプライできるのかということについても、ご意見をいただきたいわ けです。 提供施設の方も、確かにいろいろなところで非常に苦労されていると思うの で、その辺についても、第2例目では慶応大学の方で独自に、摘出後、記者会見をした という判断もあるわけなので、そのような対応というものも、それなりに私どもとして は尊重したいと思います。  そういうことから整理していただいたことについて、いろいろなご議論をいただけれ ばと思います。どなたからでも結構です。  資料4です。(1) 臓器移植における情報開示とプライバシー保護について、基本的な 考え方、これはよろしいと思いますがどうでしょうか。  この第三者による監視・検証システムの必要性、これは後でご議論したいと思います が、今は先程の竹内委員会、あるいは小泉先生のようなアド・ホックの委員会を使って いたいて今検証しているところですが、前回の柳田先生のコメントにもありましたよう なことというのは、貴重な意見であると実は思っておりまして、それをどういうふうに 担保するのか考えていきたいと思っております。今直ぐに結論はでないかも知れません ね。  次に、移植医療に関する国民への啓発普及としての情報開示の必要性という視点。臓 器提供における任意性の確保という視点。個人の医療情報に係る保護ということがあり ます。プライバシーの問題ですね。ドナーとレシピエントの匿名性の確保が大事である という理由。礼意の保持。臓器提供者とその家族の保護ということがあります。(1) に ついて何かありますか。  (1) よりは(2) の方が、具体的に何を決めていいのかちょっとわかりませんが、情報 開示を行う手法等について、ということがあるわけです。これについても皆様方の意見 をずーと伺っておりますと、開示の情報の範囲等についてという話ですね。それについ て開示情報の範囲、あるいはプライバシーの保護、情報開示に係る臓器提供者の家族の 承諾、その開示をするのか、ということがいろいろありました。誰が開示するのかとい う話、リアルタイムかある一定期間後に開示していいのかという話、そういうところが あるわけです。その辺かかなり議論にはなりました。  先生方の案では、ネットワークがあるところで開示をしていったらどうかということ です。場所は厚生省記者クラブですね。その他に提供病院はどうするのかというのは、 こちらで決めてしまうといことではなく、むしろいつするのか、という話はありうる話 かなと思います。 〇板倉委員  基本的にはこういうことで賛成です。提供者の家族が、医学情報等の全てについて開 示することを承諾しなかった場合という4ページですが、提供者の家族が同意しなかっ たからといって、全て開示してはならないということにはならないと思います。基本的 なこといいますと、プライバシーに関することはいってはならないわけですが、医学情 報については、透明性を図るということから、家族が同意していなくても、家族の同意 がなかったとしても情報は開示するべきものがあると考えております。 〇黒川委員長  それについて何かご意見がありますか、どこまでということはあると思いますが、大 塚委員。 〇大塚委員  そうしますと2ページの上の方です。医師が個人の情報を保護するためにしゃべって はいけないという罰則規定がありますが、そことはどういう関係になるのでしょうか。 〇板倉委員  それは正当な理由があれば構わないわけですから、その罰則にはこの場合は該当しな いと思います。 〇黒川委員長  範囲にもよるでしょうね。でも前段も言う必要があるのかということも、そうなると ちょっと疑問かも知れないし、人によって意見が違うかも知れない。そういうのがあり ましたということでも十分かも知れませんね。 〇浅野委員  高知の例ですと、先にメディアが取材して、NHKの現地記者が人口の少ない自治体 名までいってしまった。午後10:55から11:00すぎにかけて3回言った。そういうこと が起きている中で、家族が一部の情報開示を断るというのは、かなり正当な理由がある のではないかと考えられます。  今回の3例目では、一部の新聞に病院に運ばれた経緯が記事として出ている。実名・ 住所・年齢・職業が出でおります。毎日新聞などもそれについて書いています。そうい うことを理由にして家族が、例えばなぜ病院に運ばれたのかという理由を開示されると すぐに分かってしまうので断るということが、大きな理由であったというふうに地元メ ディアの労働組合の人から聞いております。  そのようにメディア報道が先行して、家族の方がそれを一つの理由として、これはプ ライバシーではなく医療情報であるといわれても、ドナーの特定に繋がってしまうとい う危惧がある場合には、かなり開示する側が責任をもってしないといけないということ になると思います。  2ページのところです。公務員、医師らが情報を提供した場合のいろいろな法律の罰 則をこのように書くのはいかがなものかと思っています。この問題は、そもそもメディ アがどのように取材し、報道するのかということが先にあると思うのです。この情報化 社会の状況の中でです。確かに公務員の方とか医療関係者の方が、それぞれ憲法とか法 律を守らないといけないというのはよくわかるのですが、それはいわば常識であって、 あえてこのように法の条文を列記しますと、何もメディアに喋るなということになって しまって、これはいかがなものか。しかも正当な範囲というのは、個々の公務員の方に はなかなかわからない、医療関係者の方に判断を迫られても難しいと思うので、結局は 何もいわない方がいいということになってしまうと、私は先程柳田参考人の発言を批判 したのは、つまり情報はできるだけ流れた方がいいと考えているのです。そのことにつ いて公務員といえどもパブリック・インタレストがあれば、アメリカのウォーターゲー トではないのですが、逆にいえば現行の法律を破っても市民に伝えないといけないとい うことが時と場合によってはあると私は考えてまして、それは明白にパブリック・イン タレストがある場合だと思っているのです。  したがって、法律の執行機関が考えるパブリック・インタレストとジャーナリズムが 考えるパブリック・インタレストと、アカデミズムが考えるパブリック・インタレスト がそれぞれ違って、できるだけ重なった方がいいのですが、違う場合もあるという意味 で、このような罰則規定を並べられると、非常に私としては違和感があると思います。 〇桐野委員  4ページのリアルタイムでの開示については、この取扱についてでもこれは必ずしも 必要ではないというご意見で、私もそう思います。リアルタイムで情報を開示すること をもってのみ、救命治療・脳死判定等の適切性を担保できるという意見というのは、ど れくらい強くあるのかということを伺いたいと思います。  2例目の場合においては、これは臓器提供は常にそうですが、途中で引き返すことは 家族にとって、常に許されているわけです。つまり例えばそれが家族の考えの変更によ って、途中が引き返す場合もあれば、ドナー側の臓器が医療上適切でない、例えば隠さ れた癌があったとかという状況で元に戻ってしまう、つまりキャンセルされる可能性が 常にあるわけです。これをリアルタイムで開示しないとならないといわれてると、提供 側は本当にできないということになります。ですからリアルタイムでの開示は、この臓 器提供については種々の条件を鑑み、必要ないという判断をぜひ下していただきたいと 思います。 〇山谷委員  落ちついて医療をやりたいという意味では、そういうご要望が非常によくわかるので すが、この委員会で下すというよりも、ヒアリングとかもうちょっとプロセスを経て検 討していく必要があるのではないかと思います。  私は脳死判定に入ったというのはリアルタイムで、報道は2回目の脳死判定後という ふうに個人的には考えています。割合、リアルタイムで情報開示することによって適切 性が担保できるという人はかなりあるのです。ですからプロセスを踏んで、ヒアリング などをして考えていったらどうかと思います。 〇黒川委員長  この委員会の意見を聞いていると、山谷委員のようなリアルタイムであるからこそい ろいろあるのだというメリット、今の桐野委員などもそうですがデメリット、両方ある と思うのです。だから両方の立場の人が、それなりの礼節と大人の反応というか、お互 いの信用をいかに国民から担保するために普段やっているのかというのが一番大事では ないか。皆が人の所為にして、がちゃがちゃと行政に書かせるというのは、非常に不味 いのではないかと、私個人は思っています。 〇大塚委員  今のご意見よく私はわかりますが、現場におきまして、私のところのように救命医療 をやっている医師が30人とか40人いるところはいいのです。ところが地方の救命救急セ ンターのようなところで、本当に5〜6人でやっておられるところに、たまたま脳死の 患者さんが出まして、リアルタイムにオープンにしていきなさいということになると、 ここでもご覧になりますように、このくらいの記者がどーと来るわけです。ここに書い てございますように、救命治療というのは脳死になった患者さんだけではないのです。 脳死にならなくて、助かるか助からないかという患者さんも何人も抱えているわけで す。そういう患者さんが見殺しになってしまうわけです。そこをどのように考えられる のでしょうか。 〇山谷委員  非常によく分かりまして、第3例目でも、本当にマスコミが行き過ぎたということが ありますので、そういうやり取りをある程度公開していって、皆さんに納得していただ くというプロセスが大事だと思うのです。 〇黒川委員長  だから私が最初からいっているのは、私どもはこれは全部公開してます。ましてや前 回はテレビもずーと2時間半いれて、いまや多分テープを取っている人もいるかも知れ ないが、マスコミの側が一体何を考えているのかというのが全然出てこない、最初から 何かやってくれるのですかということを注文しているのだが、公開の場でのヒアリング もしない。それはどうしてくれるのでしょうか。それは私は非常に不満と思っているの です。これは公開してこういう話をして、こうだがどうでしょうか。  マスコミ側に、多分そういうことをとりまとめるような責任ある団体の組織がないの かも知れない。テレビとか新聞になるとね。その辺はどうするのか、国民に対して云々 というが、では国民に対してマスメディアは一体どういう対応をするのかということを 待って期待しているのです。 〇浅野委員  先程桐野委員が言われた、ドナー側はいつでも引き返すことができるというのは、非 常に大事だと思います。マスメディアの例えば共同通信の編集長は、ドナーカードをも っていて、臓器提供を前提とした脳死判定に家族が同意した段階で、公人である、社会 的行為である、法律がそこで適用されるのだから公人であるということを言っているの です。それをリアルタイム報道の根拠にしている。とんでもないことです。家族はいつ でも引き返せるわけです。法律に係わったら公人であるというおかしな話はないわけで す。医療の現場の方からいつでも引き返せる、冷静な判断ができる静かな環境をという 意味で、リアルタイムの報道は原則として臓器摘出までやめるべきです。リアルタイム の取材もかなり抑制すべきです。だから完全に取材を止めろとはいいませんが、そうい うことを踏まえて抑制的に行われないといけないと思います。  今、黒川委員長が言われたメディア側の対応です。私は同志社大学の大学院のゼミで 「脳死報道とプライバシー」について共同研究しています。今日はその中間報告を公表 します。大量のコピーをお願いして事務局に申し訳なかったのですが、例えば私たちが ゼミで主要な新聞社と放送局と通信社にアンケートしておりますが、結局6月15日が 締切りであったのですが、回答してくれたのが19社のうち4社だけです。  そもそも日本経済新聞などは、社会部長名で私に対して厚生省の審議会の委員が、こ ういう質問をして回答を委員会で公表するのは納得できない、不適切てあるということ だけ書いてきました。あの質問内容は、今日お配りしておりますゼミ報告書の27・28 ページにあるアンケート用紙を送っているのです。社会部長は一番頭に書いてあるので すが、なぜ回答しないのかという理由は、取材内容に係わることで、社内の基準につて は答えられないというのです。  医療の側に対して開示しろといっているのに自分たちは密室の中です。新聞社の社会 部長のプライバシーを聞いているわけではないのです。つまり新聞社や放送局や通信社 はどのような基準で、とりあえず全部公表しろといっているわけではなく、答えられる ところは答えてほしいといっているわけてす。  実際に産経新聞や毎日新聞は、どこのタイミングで報道するのか、あるいは取材にあ たってはこういう注意をするかということを紙面で編集局長や部長が明らかにしていま す。社説でもそのことを言及しているわけです。そういう社がある一方で、片一方では 大学院のゼミに答える必要はないということも堂々と文章で来ております。  先程委員長はメディア界には、そういう対応をするところはないのではないかと言わ れたのですが、実は日本新聞協会という立派な組織がありまして、渡辺恒雄会長が6月 18日に就任して、副会長に河北新報の社長と京都新聞の社長が就任されました、大変大 きな組織があります。  このことについてはゼミ報告書5ページあたりに書いてあるのですが、例えば再販制 度を維持するためとか新聞の景品問題などについて、また税制上の問題についてはがっ ちりスクラムを組んで政府などに要望しています。  問題はドナーとかレシピエントの家族の方々のような弱い立場の人、マスメディアが 取材に来ても、抗議もできない普通に生きている弱い立場の人々に対する問題について 新聞業界の幹部が集まって相談をしてないという事実であると思います。  このことについて、朝日新聞は朝日新聞紙上で資料の10ページですが、新聞協会はこ この委員会に委員を送ってほしいという厚生省の要請に対して、それは各社独自でやる という形で断ったということも書かれている。あるいは新聞協会編集部という取材と報 道の基準について、いろいろ日常的に議論をしているところが、この委員会の「再検証 が必要である」というふうにコメントしているのです。  ところが、新聞協会編集部というのは一体誰なのか、私は朝日新聞と新聞協会に質問 書を出しているのですが、全く答えないのです。何回か電話をしましたが「責任者が今 いない」という返事だけです。すると「新聞協会編集部」という人がいるのかと思うの ですが。  つまり自分たちのやっているときには匿名性に隠れて、相手に対しては開示を求める という日本のマスメディアの情けない状況がここに現れていて、しかし、日本新聞協会 というのは、そういうことをきちんと批判を受けとめてやらないといけないところです から、本委員会としても、厚生省の事務当局は委員の派遣の要請もされたわけですから 今山谷委員が言われたように、今後リアルタイムの取材が絶対に必要だいっている人た ち、あるいは脳死移植報道で一体何を市民に伝えようとしているのかということについ て、あるいはそういうメディアの主張について賛成している学者・文化人・弁護士の方 も沢山いらっしゃるのです。そういう人の話が殆ど朝日新聞などに度々出ますので、新 聞を読んでる人はリアルタイムが必要だと、私の学生も含めて多くの人は思っています ので、一体何のために必要なのかということを、ぜひヒアリングで私も聞きたいという ふうに思っております。 〇黒川委員長  ありがとうございました。ここに浅野先生の膨大な資料がございますが、先生方にま た読んでいただいて次回にも検討したいのですが、もう3例行われました。3例行われ て、提供施設の側の対応は、高知の場合は今ご報告の通りです。最初は心臓の停止の腎 移植というところから始まっているのでコーディネーターが入ってる。今小泉先生の報 告がありましたが、もうちょっと読んでいただいて、そこから途中で脳死というふうに なって、脳死の手続きのところが、少し脳波が出たとかいろいろあって、手続きもちょ っと間違いがあったということは、竹内委員会の報告の通りであります。  その他にメディアの方のフライングがいろいろあったのではないかということが、提 供施設の発表のスタイルとして、病院の中でやったりしましたから、勿論、慣れてない ので非常にマスコミが沢山来て混乱した。  2例目は慶応大学で、勿論、いろいろなところが来たと思うのですが、慶応大学とし てはある時期が来てから記者会見をしたということで、比較的混乱が少なかったのは、 勿論1例目のことがあって、メディア側の対応ももうちょっと大人になったのかなとい うことがあったのです。  今回はまた似たようなところが一部あったということがあります。こういうことで提 供施設の対応ということについて、資料の5に付いているものがありますが、どういう ことについて公開するのか、発表するのか。ネットワークが厚生省の記者クラブで、一 つは先生方のご意見を踏まえて、脳死判定が終わった時点ではじめて公表する、幾つか のアイテムがどういうことをお知らせするのか、その後の記者会見では、どこでどうい う臓器が云々ということが書かれておりますが、こういうことについて、提供施設側の 対応です。3つの対応があったわけですが、それについてです。  今回の場合は、市長さんとか市の議長にもいっているとかいろいろな話がありまし た。その対応と情報の公開について何かコメントございますか。提供施設側です。これ も段々事例を積んでいくと、マチュアになってくると思いますが、ある程度のガイドラ インが必要かも知れないということで、案を出していただいているわけです。 〇大塚委員  今いただいた取扱というので、4例以降はこれでやっていくということですか、これ はたたき台ですか。 〇朝浦室長  そういうことではございませんで、第3例目については、そういう方針でネットワー クと厚生省はそういう方針で行いましたという報告でございます。 〇大塚委員  今後これでいくという意味ではありませんね。 〇浅野委員  これは2例目とどこが変わったのか教えていただけますか。 〇朝浦室長  2例目も発表のタイミングと同じでございますが、最初の段階で提供する情報の中身 が、第2例目は患者に関する情報のうち、公表についてのご家族のご了解をその時点で いただいていなかった原疾患、意思表示の方法、臓器の種類、意思表示を書面により行 った時期、家族署名の有無、これが第2例目では初めの段階では公表されておりま せん。 〇浅野委員  それはなぜ変わったのですか。 〇山本補佐  2例目の時点では、ご家族にこういう情報を公表してもいいですかということを、 コーディネーターを介して聞いていただくのですが、聞いていただく際に、そこまでき ちんとネットワークと厚生省の側と整理できてなかったので、こ家族に了解を得てなか ったので、最初に発表したときに、今いった内容しかお話できませんでした。その経験 を踏まえまして、3例目のときは当初からご家族に今の紙にある内容について、公表し てもいいかどうか、当初の段階から了解をとって公表したということで、若干整理され てきたということであるということかと思います。 〇浅野委員  了解が得られたということですね。 〇桐野委員  情報公開については、この3例目で行われたようなやり方で基本的にはよろしいとい うふうに、ここである程度の合意が得られれば、私は一番望ましいと思います。前も申 し上げしたが、今回の3回の脳死臓器移植につきましては、提供側にはちょっと不慣れ で、一部手続き上に問題があったことは竹内先生の報告書にある通りであります。  移植側はこれは見事なもので、私は外科医として敬意を表します。一番準備かできて なかったのはマスメディアでありまして、繰り返して同じような誤りを行っておりま す。これについては、本来、提供側も移植側も先程も話題になりましたが、間違ったこ とをやってしまったり、不十分な判断をすればパニッシュメントを受けるわけです。こ れは社会からも受けます。ところがマスメディアの方は、本来社会的にそういうことで 直ぐにパニッシュメントということであれば、報道の本来の使命を果たせないというこ とで社会がそれを許容しているわけですから、これについては襟を正して、今回の3回 の経験を、マスメディア側としてどう考えておられるのかを、しっかりお考えいただい て、その上で本当にリアルタイムの報道を望まれるのかということを、私どもとしては ヒアリングということもおっしゃっておりましたが、もうちょっとしっかりしていただ きたいと思います。 〇黒川委員長  他にはどうでしょうか。前からいっているように今回も、新聞報道では実際の検死が 入ったりしましたから、今までとはちょっと違った恰好での情報が、また別のチャンネ ルである程度出るという可能性があって、それによって恐らくそれをキャッチしたのは 当然だと思います。ただその時に、上なりキャップなりに上げて、どうしましょうかと いったときの判断が、どういう判断であったのか。一人でやったわけではないので、そ の辺の対応の責任者という話はどうかという話になるのではないか。だからその判断が どこまで広がってある程度しているのかというところかな、またこれも一つのランニン グプロセスになるのかも知れないが、そういうところが何とかなってくるかなと思って ます。  では提供施設の対応、ネットワークの対応についてはどうでしょうか。ネットワーク もこれも3例目ということで、かなり慣れてきておりまして、実際はネットワークの副 理事長の野本先生がずーと詰めてやっておられまして、厚生省の記者クラブでの記者会 見その他についても、前の2回のいろいろなポイントを吟味された上で、いろいろと対 応していただいたわけです。これについて何かありますか。3例目のネットワークの対 応はどうであったのかという話からするとどうでしょうか。野本先生何かありますか。 先生は大分お疲れのようでしたね。 〇野本委員  本当に疲れるような出来事なんです。3例目は、よく知っていただきたいのは、移植 があそこまでいくにはまず最初に提供施設の先生方の綱渡りのような時間が終わって、 それからやっていくのです。移植の方に動きはじめましても、とにかく無限に近い情報 が入ってきて、その情報の中から正確に把握していく。把握しながら全くのプライバ シーに関する個人情報はこれは勿論出さない。意思表示カードに記載しているようなも のは社会的な問題ですから、出来るかぎり家族に納得していただいて公表する方にもっ ていく。これもまた当然であると思います。  あの時に全体をコントロールして悩んだのは、医学情報の中には極めて個人的情報に あたるもの、それと極めて社会的情報に近いものというのが混在しているのです。それ がまた提供者の死因や脳死に至るプロセスによって、より個人的に近くなるもの、より 社会的に動くもの、こういう動きがあるのもまた事実です。  しかし私は第3例は何とかぎりぎりの60点くらいの合格点でやれたのではないかと、 勝手に思っています。一つは、恐らく多くの人が、我々の臓器移植とは全く関わりのな い出来事としての提供者の名前とか自宅とか、そういうことも把握されている。これは 我々と全く関係のない時点で把握されていたのですが、移植を巡る出来事に関して、脳 死判定にしても何にしても、全て実名とかは伏せてくれたというのは、一つのあり方で あろうと思います。  ですから十分な情報を知っておられても、今回はそういう全てのものが暴露されると いう形にはならなかったというのが、何とか私が凌げた背景であろうと思います。その 中には例外的なアクションをされた放送協会が1社あったようですが、それも全体のメ ディアの流れの中からいきますと、それほど致命的にはならなかったという感じです。  いずれにしても、今回であっても知っていることを全部記事にされたら、恐らく私は 途中でギブアップしていたと思います。その辺りは私の感じでは第3例で、かなりいろ いろと、社会がこのようにもっていけばいいのではないかという姿が出たのではない か。私自身の感じとしては、第3例であれでいいのですということは、かけらも思って いるわけではないのですが、最低のベースにはなったのではないか。  私自身があの場にいて悩んだのは、例えば移植医療側のリーダーとしては、移植全体 を考えますと、移植学会もネットワークも同じ一つのユニットですが、そうではないユ ニットというのは、提供施設の先生方だし提供施設です。そうするとそこをどのように して馴れ合いではなく、お互いに上手くやっていくのかということを考えていかないと いけない。これは絶対に私の方が、例えば島崎先生や大塚先生がリードされているとこ ろに、こうしてあげますという話を、現場でいったらとんでもない話で、これはルール 違反も違反で、絶対に許せないルール違反です。  ところが、かといって知らん顔して迷惑をかけっぱなしで、ご苦労をかけますという のはとんでもない話であると思います。こういう移植ということが起きてないときに、 日本の医療全体としてどう考えるのか、救急という問題をどう位置づけて整備していく のかということに関しては、医学会全体として考え、そういうときには多いにできる限 り支援して、先生方が動きやすいようにしていきたい。わたしたちと一斉接点がないま まで、先生方の方は上手く動いている、私たちもそれを受けてちゃんとやる、という体 制を作っていかないといけないのではないかというのが、この間、現場にいて痛感した 事象です。  特にございません。いずれにしても、何とか自分で勝手に点数を付けているだけで、 野本そういうことはないと言われるかも知れないのですが、60点すれすれかなと感じて いるところです。 〇黒川委員長  ありがとうございました。確かに1例目2例目に比べて3例目というのは、それぞれ の何かある幅をもって、落ちつくところに少しずつ向かっているのではないかという気 はしますが、とはいっても先生がおっしゃったように、100 点満点ということはないわ けで、まあまあ合格かなと、自分でいっては不味いとおっしゃっているのは、それでこ こでいろいろと検証していただいているところでございます。 〇浅野委員  いま言われたことについて、私はちょっと違う意見をもってます。結果的に何が報道 されたのかではなく、取材の過程がドナーの家族にかなり圧力になったというのは、そ れほど致命的にはならなかったとおっしゃったのですが、私はかなり致命的ではないか と思うのです。  放送局の記者が家にまで行って取材したというのは、私はまだ確認してませんが、報 道されたようなことが事実であれば、私がドナーの家族に立場に立って考えてみると、 これは相当致命的なことである。そのことが実名や住所が新聞には実際には出なかった それは大変に素晴らしいことで防御的に言われたと思うのですが、出るかも知れないと 思ったら出なかったので良かったということで言われたと思いますが、市民の立場に立 つと、今回の例は2例目のときには慶応病院で、マスメディアが情報をキャッチするの が遅かったというのがあったと思うのですが、今回のよう警察とかいろいろ絡んできて かなり早い段階で情報が出てしまうという状況の場合に、メディアは1例に戻ってしま うと考えた方がいいと思っています。  桐野委員が言われた、今回の3例目の厚生省の出されたものが、今後それでいいので はないかと言われたのですが、私はその前提として、厚生省が今回も出されております 中立的な検証機関の設置、それが早急に保障されればという条件を付けたいと思いま す。私は自分ではオンブズマン的なものがいいと思っているのです。第三者ではなく て、ドナーやレシピエント、いわゆる市民の立場にたって、市民をオンブズする代理し てくれるような、そこに第三者として、多様な人が入っていくという組織を税金で作る ということを、この委員会あるいは厚生省としても、そのように方向づけをしていただ けるのであれば、桐野委員の意見に賛成です。 〇野本委員  今の浅野先生の話ですが、私が何とか合格点というのは、私の責任分野でございまし て、先程からいっておりますように、提供施設に関しては絶対に関与してはいけない。 これはしてはいけないのです。現実に行われているときにね。だから私の考え方、ネッ トワークの現場での指導方針をお話します。  コーディネーターを初期に派遣しましても、初期に派遣したときには、むしろ提供施 設の先生方にお渡ししているのです。一端お渡ししたら、コーディネーターからの報告 も私は聞いておりません。それはあくまで提供施設の先生方の指示によって、家族と会 うとか会わないとか、いろいなことを決めてもらうわけです。そこで私の方からコーデ ィネーターに指令を出すとか、どうなっているのかというのは、これはとんでもない話 になります。そして脳死判定及び臓器提供の承諾書にサインをいただいたら、その時に は報告を受ける、受けたら今度は私の方に全責任が来るのではありません。そこから第 2回目の脳死判定が終わるまでは、まだ救命治療の連続ですから、提供施設の先生と私 との相乗りの五分五分の責任で動きます。  だからこの間もお互いの相談です。そこから後はじめて、第2回の脳死判定が終わり ますと、その後はネットワークの責任になるのは当然のことです。  したがって、提供施設の先生方は実をいいますと、いままで極めて社会的に加勢を得 てないまま動いていただいているという背景ですので、私としてはそちらに関して点数 をつけるような横柄なことをいったわけではありません。私の責任範囲分の中で、何と か60点かなということです。60点なんかつけてやるかという腹だと思いますがね。(笑 い) 〇黒川委員長  ネットワークの対応についてということですね。勿論そうだと思います。  もう一つは移植施設の対応です。今まで3件ありまして、移植施設にいくまでのプロ セスについては、いろいろなご意見かあったわけですが、移植施設そのもの、その対応 については何かございますでしょうか。移植施設の先生に直接聞いては変かも知れませ んが、小柳先生一言ありませんか。 〇小柳委員  移植施設の一つではありますが、私は2例目は慶応に一日おりまして、3例目は私ど もの教室員が一日ドナー側の提供側で働いたと思います。実感は、こういう文字に現れ てこないコーディネーションは医学的に沢山行われています。その部分については何の 規定もないですね。先程ボランティアはいけないとおっしゃったが、ボランティアの活 動が随分行われている部分です。  私が一日慶応におりましたときも、慶応病院の院長からはクレームが入りまして、あ れは何だという話にも多少はなりました。ネットワークがメディカル・プロフェッショ ンにコンサルトするところを、少しはっきりさせていただかないとです。マージナルな 部分、時間的と距離的とか病理学的なマージナルな部分というのは、実は医学の進歩の 部分も含んでいるわけですが、その部分で非常に大事な討論が行われているのですが、 実際にはクォリファイされない人間が激しく働いている部分がありまして、そこはぜひ 理解をいただきたい。小泉先生の作業班でも、ぜひ、ネットワークの機能としてメディ カル・プロフェッションの機能の強化をぜひうたっていただきたいと思っております。 以上です。 〇黒川委員長  確かにおっしゃる通りで、実際の現場のディシジョンというのは、紙には出てないが 相当の経験と知識と、最終的にはアートの部分もあると思います。大変に重いディシジ ョンだと思うのです。その意味で、私がコメントさせていただいたのは、高知の場合は 藤堂先生のように何百例という経験のある方が現場に立ち会っていただいた。摘出も手 術もそうですね。そういうことが一つの担保になるわけで、ぜひ、開かれた医療、検証 に耐えるには開かれていないと仕方ないわけですので、エキスパートがいかにですね。 それもボランティアといえばボランティアだと思うのですが、皆が支援するという体制 の確立が大事ではないかと思います。  小泉先生のリポートにありましたが、ネットワークの方にフルタイムのクォリファイ されたドクターがいるということが大事かもしれません。さあそれをどう担保するのか というのも、これからの課題だと思います。 〇浅野委員  いま小柳委員が「ボランティアはいけない」という意見があったというのは、私の発 言を指しているのかも知れないのですが、私はボランティアがいけいなというのではな く、せっかくボランティアがやっていることを、脳死移植にかかわる法律ができたので すから、制度的にきちんと社会が支えていく、税金を使った方がいいという意味でいっ たわけです。そういう制度ができてからも、更にその回りをボランティアが囲む人で支 えるというのは当然ですので、ボランティアがいけないという意味では全くありま せん。 〇野本委員  私は日常は移植学会理事長としてシステムを作るのですが、動きだしたら対策本部長 で移植学会とは縁を切って活動するようにしています。それで移植学会の方の支援体制 というのは、これはボランティアリストです。必要なそして社会的な意味合いでも、中 谷瑾子先生も含めて参画してもらった支援体制があって、ボランティアリストをきちん と作っている。  この間の1回目・2回目の間は、ネットワークの方にまだきちんとした制度がありま せんでしたから、むしろ移植学会の支援体制として、皆がボランティアとして動いた。 その制度がないので、人によっては何しにきたのか頼んだ覚えはないといって、ご迷惑 をかけた面もあるのです。そこで、厚生省とも相談しまして、ネットワークの中に正式 にメディカル・コンサルタントという制度を置き、そういう人をきちんとして、ネット ワークからそこにお願いする。その方が中心になって、例えば肝臓の一人の方が行きま すね、しかし自分だけでは判断できないときには、もっと多くの周囲の人を呼んで、そ こでコンサルテーションするだけの権限をお渡ししたメディカル・コンサルタントとい うのを考えていきたい。  今はコンサルタント候補としては、心臓と肝臓は大体こういう人にお願いしょうかと いうことを考えておりますし、次は肺をどなたにお願いしようかということです。これ は随分迷惑をかけるので、簡単にあの人に頼みますという具合にはいきませんので、い ろいろと悩むことはあるのですが、先生がおっしゃられたように、まずボランティアと しては移植学会が支援体制としてボランティアのリストを作り上げた。そこから今度は 制度としてネットワークが旅費も出すという形でお願いできる体制を作ろうといまやっ ております。やってみましたら、先生のおっしゃる通りに実際に必要だと痛感しまし た。 〇黒川委員長  それは先程桐野委員がおっしゃったように、脳死の判定にもいろいろな資格のある先 生がボランティアではないが、参加するということですから、その人達かアベイラブル であるということを、十分提供施設側にも支援体制を作っていただける、ということを しているということではないでしょうかね。  これでいろいろな意見が出ましたが、先程第三者の検証手続きということも確かに問 題がありまして、私もちょっとコメントさせていただきましたが、事務局としては移植 医療に対する報道についてのご意見が出でいることについて、一応まとめていただいた というのかありますので、資料の4の(3)についてよろしくお願いします。 〇朝浦室長  資料4の5ページからです。先程らい議論が出ておりますが、移植医療に関する報道 について、どのように本委員会として検討していくかということでございます。これま での本委員会での検討結果を(3) で整理させていただいております。  本委員会として報道機関の取材活動等について何らかの規制を行うことはできないが 臓器移植の特質を踏まえ、プライバシーの保護に十分配慮した報道を行うよう委員会と して報道機関に対して申し入れるべきであるという意見があった。また、その他報道に 関して委員より述べられた意見は下記の通りである。  今後の報道の役割について  そもそも、メディアが報道し続けることによって移植医療を監視し、移植医療制度を 公平・公正に機能させていくべきであるという意見もある一方、実施例がある程度積み 重なった場合にはニュースバリューがなくなり、情報開示が行われても報道がなされな くなるのではないかという危惧もみられる。  また、報道機関は、第1例目と第2例目の救命治療、脳死判定等に係る取材において 報道としての取材の詳細さや熱意の入れ方が違っていたとの指摘もなされた。これにつ いては、報道側として、救命治療や脳死判定等についてメディアとして検証していくと 主張するのであれば、すべての例において同様の姿勢で取材を行うべきではないかとい う意見もあった。  報道内容及び取材方法について  報道される側の人権について十分に尊重されるべきであるとこれまで指摘されてきた にも係わらずこの問題を放置し、臓器移植に係る取材方法に係る検討が十分ではなかっ たために、今回の事例においてプライバシーの侵害を行ったマスコミの責任は重いとの 意見もあった。  報道協定について  誘拐事件に係る報道協定のように、メディアに対して情報開示はするが、メディア側 は一定期間報道を自粛するというような協定を結ぶということについては、その可能性 について疑問が呈されており、また明確に反対している委員もいるが、第2例目におい ては自主的判断において報道を遅らせた新聞社も一部あった。以上でございます。 〇黒川委員長  ありがとうございました。これについて何かご意見ございますでしょうか。では第三 者の検証手続きをお願いします。 〇朝浦室長  第三者の検証手続きについて、でございます。  リアルタイムで情報開示を行わない選択しをとる場合の絶対的条件として、脳死判定 等の医学的事項や日本臓器移植ネットワークの行ったあっせん業務について、事後的検 証を行うための、病院側、あっせん機関、行政側等から完全に中立な専門家からなる第 三者検証機関が必要であるという意見が、委員及び参考人から出されている。  第三者検証機関に係る論点。これは事務局の方で論点を整理させていただきました。  当該組織の設置趣旨をどのようにとらえるか(移植医療全般について必ず事後の検証 を第三者機関において行うべきなのか、脳死下での臓器移植だから検証すべきなのか、 または脳死下での移植の初期的段階であるから特例的に行うのか等)。検証機関の委員 の方々に法的に守秘義務を課す必要があるのかどうか。当該組織の事務局をどこが行う のか。検証を行うにあたっての財政的基盤はどのように担保するのか。こういう論点が あろうかと思います。  また、第三者機関の構成員については、医療関係者に限らず、臨床心理の専門家等も 含め、中立な判断を行うことが担保されるような構成とすべきとの意見もある。  なお、一部の委員からは、検証手続きについては本委員会に医療関係者以外のものを 臨時委員として追加するか、又は本委員会に別途作業班を設置して行うのが現実的では ないかという意見もみられる。以上でございます。 〇黒川委員長  ありがとうございました。これについて何かございますでしょうか。第三者は確かに 凄く大事なポイントだと思って考えております。  確かに行政的な立場からいうと、この(4)に書いてあるようにリアルタイムで行わな いということであると、勿論、後からいろいろと検証しないといけない。検証すること を竹内委員会あるいは小泉委員会のような委員会でやっていただく、またネットワーク の方も評価委員会があって、1例1例検討していただいて、全国的な地域、その上の全 国というのがあって、やっていただいているわけです。これだけでいいのかというと、 私自身も自信がないと思っています。  一つは、移植を受けた方のフォローアップについては、メディカルな問題だから比較 的問題は少ない。手続きについては今の小泉委員会のような検証、救急の現場の提供の 医学的な面を中心にした部分についても竹内委員会、あるいは小泉委員会の方の対応で 一応は検証できる。その評価委員会でも、その後でも見させていただけるのですが、ド ナー側のファミリーの立場に立った検証というのは少し欠けているのではないかと思っ て、この間柳田委員もその意味で言われたわけです。  下手をするとマスコミ側だけが変にフォローアップして、そちらの立場でどんどんや られるというのも変な話かなと思います。  中立的な第三者的な機関は必要ではないかと思っているのです。  ところがここに書いてあるように、この当該組織の設置趣旨をどのようにとらえるの かというのは、確かに今いったような趣旨でとらえた方が、この間の柳田委員もそうで すが、ドナー側の家族のこれからの葛藤、いろいろな悩みをずーと抱えられるのではな いかと思うのですが、それはネットワークからコーディネーターが行く筋合いのもので もないような気もするのです。カウンセリングとかの話はどうなるのかというのも私は 気にしているのです。  すると第三者委員、心理学者とか倫理の専門家とかいろいろ書いてありますが、しか しその方たちにもし委員会を作っていただいて、どうだったのか、その人達が見たこと について守秘義務はどうなるのか、それから取材してドキュメントなどといってまた本 を書かれても困るという気もします。  また事務局をどうするのかという話もあります。この間の柳田委員もそうですが、そ の人達がそういうところにいっていろいろと聞いてみる、それを次に生かすという趣旨 からすると、財政的基盤も必要になってくる。そうなってくると、3つ目の○ですが、 臨床心理、倫理の方、いろいろな方がやられるのは大変望ましいわけですが、これを各 例でずーとやっていくのか、持続的にどうするのか、最初の何例かしながらフィードバ ックさせていただいて、どうしていくのか。  例えば、コーディネーターも一生懸命やっておられるとはいっても、経験がまだ十分 にあるわけではありません。先程も問題になったように、ドナー側のコーディネーター をどうするのか、移植側のレシピエント側のコーディネーターは、医療機関は比較的限 られているのでまあまあ充実しているのではないかと思うのですが、ドナー側のコーデ ィネーター、その後の精神的なケアやフォローアップをどうするのかを考えていただき たいと思っています。  いま直ぐに答えが出るわけではないので、ここに第三者の検証手続きについてという ことで問題点を整理していただきましたし、この間の皆さんのご意見を見ても、確かに ドナー側のファミリーのフォローアップは必要ないという家族もいると思います。  これは心臓死の移植でもそうですが、そういうことは今はまだ辛い思いをするから、 なぜ来るのだというところもあります。これは相当人によって違う、家族によって違い ますから、その辺も十分にケアしないといけない。それでコーディネーターが行くとい うのも違うのではないかという気もしますので、ちょっと考えていただいてご意見をい ただきたいと思います。  技術的にはここにあるように、設置趣旨、法的な問題、守秘義務、法的というのはそ うなるとそういうのは法律でしないといけないという手続きもあるようです。その他に 事務局、財政基盤、ここの委員会との関係ということになります。  一つはそういうことが何かできるようであれば、そういう委員会をここでお願いして またいろいろ聞くということがあってもいいかも知れないと思っています。ではこれは 次回ご意見を頂くということにさせていただき、引き続き審議していただきたいという ことでどうでしょうか。  報道協定その他については、まとめた案がございますので5・6ページを見ておいて いただきたいと思います。  よろしければもう一つの問題点は最後の資料の5にあります。臓器移植を支えるシス テムの一層の整備です。先程から何回もいろいろな視点で出てますが、これについて事 務局からお願いします。 〇朝浦室長  では資料5に沿いましてご説明させていただきます。臓器移植を支えるシステムの一 層の整備について(事務局メモ)がございます。これまでの脳死移植の経験あるいは教 訓を踏まえまして、先程らいからご意見を賜っております。これからの脳死移植を円滑 に推進していくための体制整備が必要になってまいると思います。幾つか項目だてを書 いております。  まず、移植提供施設における体制整備のあり方についての考え方であります。  (1)臓器移植法の規定に基づく手続き・考え方の周知等、です。  第1例目の臓器移植の際には、臓器提供施設において、平成11年2月25日に行われた 脳死判定の際、臓器の移植に関する法律施行規則第2条第3項の規定による自発呼吸の 消失確認のためのテストについて、同項の規定に反し、他の4項目の試験の実施後に行 われなかったが、今後このようなことがないよう、厚生省において、省令の規定等にお いて再度の周知徹底を図る必要がある。  具体的には、各臓器提供施設に対して、省令の規定等について、再度周知徹底をする 趣旨から、通知、事務連絡等を行うとともに、脳死判定に係る手順を分かりやすくした 手順書を作成し、関係機関に対して手順等について周知徹底を図ることが必要である。  (2)これまでの経験を踏まえた留意点の取りまとめ等です。  これまでの提供施設における経験を調査・研究し、その問題点や臓器提供施設として 留意すべき事項を取りまとめ、関係機関へ情報を提供することが必要である。  また、臓器提供施設、都道府県担当部局に対するブロック会議の実施等によく情報・ 経験の共有化を図ることが必要である。  (3)脳死判定実施等における支援体制の整備です。  提供施設において体制整備を行う際や法的脳死判定を実施する際に、関係学会の協力 を得つつ、専門家の助言を得ることができる体制を整備することが必要である。  (2)厚生省の発出するガイドライン、通知についてです。  厚生省の方からいろいろなガイドラインを提出しておりますが、それにつきましては 第1例における教訓を踏まえて、かつ、医療の進歩等も反映させるために、心臓及び肝 臓の移植希望者(レシピエント)の選択基準については所要の改正が行われ、平成11年 6月3日付けで関係機関に対して通知をされております。今後、臓器提供施設への周知 徹底方策を検討する中で、ガイドライン等の通知に関して所要の検討を行うことが必要 である。  (3)個人情報を保護するための体制です。  これまでに行われた脳死下での臓器提供事例につきましては、その程度に違いはあれ 臓器提供者及びそのご家族に係る情報が漏れ、また、それらの方々が実質上特定されて しまった事例もございました。今後プライバシーが侵害されることがないよう、関係機 関においては個人情報を保護する体制を構築する必要がある。  以上、全てではございませんが、臓器移植を支えるシステムの一層の整備について事 務局としてまとめさせていただきました。以上でございます。 〇黒川委員長  ありがとうございました。今までの経験を踏まえると、まず一つは省令の周知徹底と いうことで、特に提供施設に関してわかりやすいというか、手順を分かりやすくした手 順書等も用意して周知徹底を図る。これは凄く大事なことですね。  もう一つは、関係機関に今までの経緯、留意点を取りまとめて、今までの経験からど ういうことが勉強できたか学べたという話と、その経験の共用化をできるだけ図る努力 をする。  3番目に、桐野委員もおっしゃったし、野本先生もおっしゃいましたが、関係学会そ の他の協力を得つつ、専門家の助言を得ることができるような体制を整備していくとい うこと。  ガイドラインその他についても、心臓・肝臓のレシピエントをどのようにアップデー トしていくのかという体制も対応していただけましたし、その辺も今度は提供施設への 周知徹底ということを、更にしていただくということ。  個人情報について保護する体制を構築するというか、これもどのように国民の間のコ ンセンサスが出来上がっていくのかということで、今日のような第3例目のような対応 が基本的になっていくかも知れませんが、これについては継続審議ということで次回ま だ事務局の案もいただきますが、是非先生方も考えていただきたいということになると 思います。これについて何かご意見ございませんか。よろしいでしょうか。  全部詰めきれなかったところもありますが、時間も過ぎてしまいました。委員会だけ でいろいろな方に聞いてはいただいているわけですが、聞いている方から意見が勿論だ せるというシステムがないので、誠に申し訳ないのですが、さっき浅野委員がいって、 私が最初にいったように、マスコミの方に対応するボディがあるのかといったら、ある というお話でした。確かに再販の制度になったら突然ワーワーいってました。それきり 何も言わないというのは、利害関係があると言うということでしょうかね。そういうの では困るかなと思って是非期待しておりますのでお願いします。  今日はこれでお終いにしますが、最後に事務局からお願いします。 〇朝浦室長  お手元の資料の一番最後でございます。参考資料でお配りしております。検証作業全 般に係る報告書の構成(案)というものを配らせていただいております。  これにつきましては、これまで数回にわたり委員会を開催させていただき、また作業 班での検討をしていただいておりますが、委員会としての議論の内容につきまして、何 らかの形で報告書を作成する必要があるのではないかと思っております。  ここに書きましたような幾つかの論点について議論をしていただいておりますので、 次回、このようなものを事務局として用意させていただいて、またご議論いただければ と思っております。また次回でございますが、6月29日火曜日、午前9時半から12時ま でを予定しておりますので、よろしくお願い申し上げます。場所は九段会館です。以上 でございます。 〇黒川委員長  お忙しいところありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。                                       −終了− 問い合わせ先  厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当  山本(内2361)、木村(内2364)    電 話 (代)03−3503−1711