99/06/03 第4回眼球・アイバンク作業班          第4回  眼球・アイバンク作業班         日時   平成11年6月3日(木)              10:00〜12:00         場所   法曹会館              3階 「富士の間」 出席者 (○:座長 敬称略)  金井  淳  鎌田  薫  ○木下  茂  佐野 七郎  篠崎 尚史 眞鍋 禮三  丸木 一成   八木 明美  横瀬 寛一 1.開 会 2.議 題      (1)アイバンク活動のあり方について      (2)角膜及び強膜のあっせんに関する技術指針について      (3)移植コーディネーターの行う臓器提供に関する         インフォームド・コンセントについて        (眼球とその他の臓器の関係)      (4)臓器提供意思表示カードの表示の変更について       (5)その他 事務局  おはようございます。第4回公衆衛生審議会疾病対策部会臓器移植専門委員会「眼  球・アイバンク作業班」を開催いたします。本日は、小口委員より欠席のご連絡をいた だいております。また、鎌田先生より、交通事情の関係で15〜20分程度遅れるというご 連絡をいただいております。あとお2人、先生がまだお見えではございませんけれども、 定刻になりましたので、始めさせていただきたいと思います。  初めに、お手元の資料の確認をさせていただきます。最初に議事次第。議題は5つ予 定されております。次のページに先生方の名簿、座席配置図、次に資料一覧がございま す。右肩に資料NOを振ってございます。「資料1 レシピエント登録等の実施につい て」が4ページ、「資料2 アイバンク医学規準の実際」が6ページ、「資料3 日本 臓器移植ネットワークの行う臓器あっせん業とアイバンクの行う眼球あっせん業の関係 について」が2ページ、「資料4 臓器提供意思表示カードの表示の変更について( 案)」が2ページ、最後に「参考資料 角膜以外の眼球組織の利用について」という3 ページのものを添付してございます。資料は以上でございます。途中、不備等がござい ましたら、事務局までお申し付けください。  それでは木下座長、よろしくお願いいたします。 木下座長  それでは議題に入りたいと思います。今日の議題は大きく分けて5つありまして、と くにその中の、「アイバンクの活動のあり方について」ということにつきましては、こ れは前回の本作業班におきまして、レシピエントの登録および選択とアイバンクの役割 についてご検討いただいたと思います。その中で、アイバンクの現状と将来のあるべき 方向について、いくつかのご意見をいただきました。本日は、さらにその議論を深めて いただき、事務局で資料をまとめていただきましたので、その説明を受けて、結論を出 すというよりもアイバンクの活動のあり方そのものについて、もう一度、よく討論をし て、意見を整理したいと考えております。 山本補佐  資料1が、ディスカッションすべきいちばん大きい内容なんですが、交通事情の関係 で遅れておられるお三方が来られるまでの間、報告事項が何点かありますので、 これを先に報告させていただきます。  はじめに、資料4からご報告させていただきます。「臓器提供意思表示カードの表示 の変更について」ということですが、1ページの1番、「問題提起に至った経緯」とい うことで、先般、臓器移植法の脳死下での移植の第2例目がございました。このとき、 この方は、臓器提供意思表示カードを持っておられ……資料の2ページ目にそのサンプ ルがございますが……その「1.私は、脳死の判定に従い、脳死後、移植のために… …」と書かれているところに○をつけておられたんですが、臓器の中に眼球がないもの ですから、この方は全部の臓器に○をつけてくださったんですが、眼球だけ記載がござ いませんでした。ご家族は眼球・角膜の提供を強く希望されており、ずいぶん内部で議 論したんですけれども、脳死下の提供につきましては、本人の意思が明確でなければな らないということがあり、結果的には希望がかなわなかった経緯がございます。法律上 は仕方がなかったんですが、実際に、ここの「1」のところに「眼球」というものにつ いて書いていないということがあって、あえて「その他」のことろに自分で「眼球」と 書いてもらわなければいけない状況になっているということがございます。  それから「2」のところで、「私は、心臓が停止した死後……(以下の)臓器を提供 します」というところが「眼球(角膜)」となっており、先だって、この会議で強膜の 利用についても了解いただいたところなんですが、これは臓器移植専門委員会でも了承 されました。ですから、今後はあっせん業等の手続きをとって、強膜のあっせんもして いただくことになるわけですが、ここに「角膜」と限定してありますと、強膜の提供が 得られないということで、結論から申しますと、臓器移植専門委員会の考え方としては、 「1」のところに「眼球」を明記するということ、それから「2」のところの「眼球 (角膜)」の「角膜」を除いて「眼球」だけにするということでどうだろうか、という ことになりました。ただ、他にも問題提起があり、臓器の並べる順番はどうしたらいい のかとか、そもそも、この書き方がどうだとかいう話もあったんですが、そういうこと はまた今後の議論として、原則として「眼球」というのを記載したらどうかということ に決まりました。ただ、このカードは既に4,000万枚以上が配られておりますし、既に印 刷済みの在庫も数百万枚あるということもあり、このカードがまったく無効になったわ けではないので、今、持っておられる方については、「1」の「その他」にきちんと「眼球」と 書いていただけるようにPRしていくことが非常に重要かと思っております。以上、資料 4についてご報告させていただきました。  先生方がそろわれましたので、お手元の資料1に沿ってご説明したいと思います。 「レシピエント登録等の実施について」ということで、サブタイトルとして、「アイバ ンクのあり方について」と書きました。前回までの審議の中で、アイバンクにおけるレ シピエントの登録の実施について、ずいぶんご議論いただきました。資料1の1ページ 目で、今までの議論を整理させていただいております。 「臓器移植法の下ではアイバンクについて(旧)角腎法での取扱いとは異なり、公平か つ適正な眼球のあっせんを行うことが明文上定められており、併せて移植医療システム の透明性の確保が求められているところ」です。 「現状では、角膜移植を希望する患者数が提供される眼球数を遥かに上回っているため、 公平・公正な移植医療を推進する観点から、レシピエント登録を行い、一定の基準に基 づいてレシピエントを選択することが望ましい。  以上については、前回、だいたい、多くの先生方の同意が得られたかと存じます。た だ、「レシピエントの登録及び選択をアイバンクが行うのか、あるいはあっせんした相 手方の医療機関の選定までをアイバンクが行い、レシピエントの登録及び選択は医療機 関が行うのか」ということについては、現在のアイバンクの体制からの実現可能性です とか、将来のあるべき姿はどうなのかというようなところについて、実際、様々なご意 見が出されていて、一定の結論には至っておりません。 「また、一医療機関のみに眼球をあっせんするためにアイバンクを設置する」という、 病院設置型アイバンクについても、過去、認めてきた経緯があるんですが、これについ ては、委員の中では、結果的に一医療機関だけに提供すること自体は悪いことではない んじゃないか、と。ただ、それよりもいちばん重要なのは、「どこのアイバンクからも 眼球のあっせんを受けることができない移植医療機関」があってはならないわけで、全 体がカバーされていることが必要である、といったご意見が出されております。  今後、アイバンクにおけるレシピエントの登録・選択をやるかやらないかというよう な議論をするときに、まず、アイバンクが担うべき役割、もしくは将来的に……「現実 的に」かもしれませんが……アイバンクが何をやっていくのか、というようなことを明 確にする必要があるのではないかと考え、事務局にて法文等も整理させていただきまし た。  2の(1)でですが、(旧)角腎法でも「死体の眼球又は腎臓の提供のあっせんをし ようとするとき」は、厚生大臣の許可をとるということで、許可制をとっております。 ただ、この「提供のあっせん」というのは、必ずしも献眼登録をすることだけではなく、 実際には移植を受けたい人を募集し、その登録をするといったことも含まれていたよう です。腎臓についてはHLAのマッチングの問題があったものですから、早い時期から 全国統一のシステムをつくり、かつ、あっせん業者たる者が、きちんとレシピエントの 登録も行い、選定も行い、その選定基準については公開するというような活動が早くに 行われたわけですが、角膜についてはとくにHLAの問題等はなかったものですから、 あまりそこのところを求めてこなかったという歴史的な経緯があるようです。 「臓器移植に関する法律」になってから、あっせん業の許可のところで、「提供するこ と又はその提供を受けることのあっせんをしようとする者」は許可を受けなければなら ない、という書き方になっています。  次のページですが、その中で、厚生大臣は許可を申請した者が、「営利を目的とする おそれがある」場合、もしくは「業として行う臓器のあっせんに当たって当該臓器を使 用した移植術を受ける者の選択を公平かつ適正に行わないおそれかあると認められる 者」ということで、あっせんのほうでの、移植を受けるレシピエント側の選択というよ うな問題も、ここで明確になってきた経緯がございます。  ただ、附則のところで、過去、腎臓や眼球のあっせん業の許可を持っている人は、新 法になっても、許可がそのまま継続するような読み方になっております。  もうひとつ、「臓器のあっせん業等の許可について」ということで、平成9年に通知 が出されております。この中で、あっせん業とは何かということがあるんですが、まず、 「臓器のあっせん業とは、移植術の実施のために必要な臓器が、臓器提供施設から移植 実施施設に平穏かつ迅速にもたらされるように」、「媒介的活動を反復継続して行う」 という書き方になっております。  あっせんの具体的な内容としては「(1)臓器の提供者の募集及び登録、(2)移植 を希望する者の募集及び登録、(3)臓器の提供者、臓器提供施設、移植実施施設等と の間の連絡調整活動など」があって、この「全部又は一部を業として行う」者という形 で書いてございます。  3は、前回ご紹介した「アイバンクの現状」です。臓器移植法の成立後、全国51バン クがあるわけですが、ほとんどのアイバンクはドナーの募集と登録のほうは充実してい るんですが、レシピエント側のほうの登録・選択までやるアイバンクは必ずしも多い状 況にはありません。平成10年の厚生科学研究事業の調査をもう一度レビューしますと、 アイバンクの職員で常勤理事がいるところは非常に少なく、0人が31カ所です。常勤事 務職員にしても、まったくいないところが6カ所、1人だけのところが25カ所、2人と いうところが7カ所ですし、コーディネーターが配置されているバンクは5カ所だけと いう状況です。  また、眼球摘出に関して、本人の生前の意思が不明の場合、献眼登録等をしていて意 思があるということが分からない場合に、書面による遺族の承諾をとる場合、摘出医が 得ているバンクが36カ所、アイバンクの職員が自ら得ているのが9カ所、移植医がもら っているのが6カ所、もらっていないところもあったという現状がございます。  それから、レシピエントの登録を行っているアイバンクというのは、全国で18カ所だ けです。あとは医療機関でやっていただいているということですし、レシピエントの選 択までいきますと、自らやっているというところは4カ所のみでした。また、レシピエ ント選択基準が明文化されているところは2カ所のみでございます。  次は検討事項ですが、「今後のアイバンクのあり方」ということで、ひとつは将来の アイバンクはどうあるべきかということで、ただ、「臓器移植を受ける機会の公平性を 担保し、適正かつ透明な移植医療システムを確立する観点から、将来的にはアイバンク が、眼球の提供者の募集及び登録を行うのみならず、提供施設及び移植施設から中立な 立場であるアイバンクが家族への説明及び承諾書を得ること、さらにレシピエントの募 集と明確な規準に基づくレシピエントの選択についても行っていくこと」が望ましいの か、それとも、将来的にも、アイバンクによっては「眼球の提供者の募集及び登録のみ を行い、レシピエントの公平な選択については別のしくみを整備する」ほうが望ましい のか、もしくは、それを認めていくのか。別のしくみというのは、医療機関側にまかせ るかわりに、その医療機関の中でしくみをつくってもらうというような考え方もあろう かと思います。また、「角膜移植術がとくに高度な医療ではなくなっている現在におい ては、アイバンクは、移植を実施している医療機関に設置されその医療機関に対しての み眼球をあっせんする」ということについても、引き続き望ましいと考えるのか、そう ではないのか、というようなことがございます。  もうひとつ、将来的なあり方とはいえ、当面の対応として、先ほど申しましたように、 アイバンクの体制が、なかなか厳しい状況もある中で、「アイバンクとしてレシピエン トの公平な選択を確保するためにどのような対策を講ずるべきか」というような議論が あります。これは前回、各委員からも出された意見ですが、献眼登録だけをやっている アイバンクについては、「あっせんを行った相手方の医療機関におけるレシピエントの 募集状況、レシピエントの選択基準及び選択状況について把握し、医療機関の協力を得 て、求めに応じて」必要であればそれが開示できるような状態にしておくというのも、 ひとつの考え方として出されています。  また、「アイバンクにおいて臓器提供に関する説明書、家族の承諾書等の必要な書 類」が必ずしも整備されていないアイバンクもあるようですから、その体制は整えてい ったらいいんじゃないかという意見。それから、これは他の委員からも出されましたけ れども、「眼球をあっせんしている地域内の関係医療機関の関係者、アイバンクを支援 している関係者等によりレシピエント選択に関する連絡・調整及び評価を行う等により、 移植医療に関するシステムの公平性及び透明性」を確保するということも、ひとつの手 段ではないか、というのも出されております。  厚生省としては、実は何十年も前にあっせん業の許可をとったアイバンクの方々もお られて、かなり状況も変わっていますので、全国のアイバンクに対して、実際にどれぐ らいの医療機関を相手にあっせんを行っているのか、また現在、どういう業務をアイバ ンクとして担っているのか、それからレシピエントの公平な選択を担保するための具体 的な方策をどのようにとっておられるのか……もしくはどうとろうとしているのか…… について実態調査を行うことを考えております。 木下座長  今のお話のように、アイバンクの活動のあり方で、とくに移植率は他臓器と角膜移植 ……強膜移植もそうですが……それは臓器移植と組織移植のちょうど中間のような立場 にありますので、今までに、法律的には同じようにくくられていたんですが、内容的に は多少違う。とくにHLAやマッチングを、角膜移植では考慮しなかったといったとこ ろも含めて、システムが自ずとずれてきているということだと思います。今日は、この ことについては、絶対に結論を出さないといけないわけではありませんので、少しディ スカッションしていただいたらいいと思います。わかりやすいように、篠崎委員、アメ リカのほうのことや組織移植とかのことも含めてお話しいただけますか。 篠崎委員  はい。先ほど山本さんのほうからありました、厚生科学研究のお話をここで繰り返し たいと思うんですが、全国のアイバンクに統計調査をしたところ、やはりアイバンク側 に、今の眼球銀行協会なり眼科の中に、アイバンクのメディカルディレクター、あるいは コーディネーターをつくろうという動きがあるんですが、やはりアイバンクの当事者が、 そういった角膜移植についての理解が少ないというのがいちばん大きな問題だと思うん です。いちばん大切なことは、ここでレシピエント選択といって質問をした場合に、ア イバンクの方の多くが誤解をされていて、「患者さんの適応をみることはアイバンクで はできない」という答えが多かったんです。このへんの誤解が、多分、いちばん根深い のかなあという気がしました。当然、患者さんの適応は主治医の先生がみて、どういう角 膜が必要だという情報をアイバンクにあげるというのが、本来、欧米なんかで行われて いるシステムです。われわれアイバンクの事務に携わる人間が、たとえばAさんの患者 さんにはこういう条件が必要だということをもらっておけば、そういう順位をつけてお いて……それは待機順でいいと思うんですが……そういった当該角膜があった場合に、 そちらにあっせんできるという権限をアイバンクが持つというのが、いわゆるあっせん の公平性だと思うんですが、そのへんの概念をつくることが、すごく大事だと思います。 いずれ数が増えた場合には、前にも申し上げたとおり、公平も何も、あまり必要なくな るのではないかと思うんですが、数が少ないうちには、そういった、何らかの規準を設 けてやることが必要かと思いました。ただ、現状の日本では、やはり、そういったアイ バンクの中に医学的なサジェスチョンをできる方がいらっしゃらない限りは、ちょっと 難しい問題がありますので、何らかの公の資格なり、あるいはお願いする手段というも のが必要なのかなあという気がいたします。 木下委員  今のお話は、メディカルディレクター制度を早く立ち上げて、各アイバンクの中で公 平性を保つシステムをつくってもらうというような対応がいいんじゃないだろうかとい うことだったかと思います。現場のご意見として、八木委員、いかがですか。 八木委員  静岡で、今度、あっせん角膜の評価委員会をつくろうと思って、今、準備委員会を立 ち上げています。アイバンクとしては医療機関に対して公平にあっせんをしているつも りなんですが、外部から見ると、なかなかそうは見えないみたいで、「なんで、きまった 病院にばかり行くんだ」と言われるんですが、実際に、現状でいくと、ライオンズの方 なんかは、すごく献眼運動に熱心で、私なんかがライオンズの方に対して講演をすると きでも、やはり、今、患者さんはこれだけ待っているのに、眼球はこれしかなくて、す ごくみなさん待ち望んでいるから、献眼運動をもっと発展させたいというような話をし ますし、移植をされるお医者さんも、やはりそのような講演をされるものですから、ラ イオンズの人というのは、そのことがすごく頭の中にあって、献眼運動に力を入れてく ださっているんですが、じゃあ、実際に眼球がアイバンクの手元にあった場合に、必ず しもその移植医療機関にあっせんした場合、本当にもろ手をあげて、全部、いただいた 眼球を使ってくださるばかりではないというか、評価によって移植に向かないというこ ともあるんですけれど、その評価の規準レベルに達していても、ある程度眼球が集まっ てくるようになると、もっといいものをというか、もうちょっと、この患者さんにはい いものを使ってあげたいとかということが出てくる。要するに、非常にドナーが少ない ところでは、たとえば規準値ぎりぎりのものでも使わないと、次にいつ出るか分からな いので使うしかない、ところが、ある程度数が出てくるようなところでは、1回ぐらい パスしても、というような気持ちがあるみたいなんです。ですから、今後のあり方とし て、どこまでアイバンクがやっていくのか。今言われたように、レシピエント個人に対 してまで、アイバンクがあっせんするのであれば、先ほど篠崎先生が言われたように、 ドクターからの情報をもっと細かくアイバンクがいただいてやっていかないといけない でしょうし、逆に今のやり方では、個人に対して公平にというのは、ちょっと難しいよ うな気がしています。 木下 眞鍋先生 メディカルディレクターとかも含めまして、眼球銀行協会で今後やっていこうという考 え方もおありかと思いますが。 眞鍋委員  やはりこれは、結局、アイバンクのレシピエントを選択する能力の問題というか、今 のところは2〜3のアイバンク以外は、ほとんどそれがないといってもいいと思います。 恐らく移植をしている先生方としても、そういう、充分にメディカルディレクターのい ないアイバンクが選択した規準に納得して従うかというと、なかなか従ってくれないだ ろうと思います。八木さんがおっしゃったように、移植する先生も、移植をしてもらう 患者さんも、すべて、よりよいもの、もっと質のいいものが欲しいわけです。できれば私 には50歳代のドナーからのもの以外、いただきたくないというようなお医者さんもいら っしゃるし、患者さんもいらっしゃる。少々、待ってもいいというのは、それだけ緊急 ではないということもあるかもしれません。変性症なんかではだんだん見えにくくなっ て、今が0.1ぐらいなら、まだ2年や3年は0.05ぐらいまでのことで、2〜3年待っても 大丈夫だというような、そういう、緊急性の問題もありまして、それらをすべて、1人 1人の個人についてアイバンクが把握し、順番を決めるということは、もう、至難の業だ ろうと思います。患者さんの適応に対しては、やはり、病院の医師にやってもらわない としょうがないと思います。それらを病院が、どれだけ公平にやっているかということ を公表していただくというのが、いちばんいいのではないかと思います。 木下座長  現在のネットワーク的なものではなく、もう少し現場に密着したというか、各病院の 中でどういう規準でしているかということ、その公平性を公開できるものをつくるとい ったところで対応するのがいいんじゃないだろうかというご意見だったかと思います。 佐野先生 、いかがでしょうか。 佐野委員  病院ごとの規準も必要だと思いますけれど、角膜移植をされている専門家の中で優先 順位をまず決めていただいて、それを規準にして、多少、各病院で独自のことをやると いうのはいかがでしょうか。たとえば緊急性とか、変性角膜はどのぐらいになるかとい うことから、角膜の専門家は、順番をある程度決められるんじゃないかと思うんです。 また、それを全国的に示しておく必要があるんじゃないかと思います。それぞれの病院 でお考えもあるから、多少違ってもしょうがないと思うんですが、まず規準をつくると いうことですね。  それから、今、お話をうかがいますと、各アイバンクでは、いわゆるメディカルディ レクターのような方はあまりいないし、多くは自信がないということですから、なかな かアイバンクは、現時点では、多くの場合、監視する能力もないような気がします。私 は前から多少、腎臓のこともお話ししているんですが、いいか悪いかはわかりませんが、 やはり受ける側の、レシピエントの代表に加わっていただかないと公平性が保てないん じゃないかという感じがいたします。  こんなことを言うのは変かもしれませんが、今度、将来的にアイバンクがレシピエン トを選択するということがだんだん強くなってきますと、ちょっと、弊害が出るんじゃ ないか、と。むしろ第三者機関をつくったほうがいいような気もします。私、この作業 班には日本眼科医会の会長で出ておりますけれど、実は日本医師会の代表でもあるわけ です。やはり地区の医師会とも関連して協力を得ないと、これから大変ではないかとい う気がしています。 木下座長  前半部分、角膜のあっせんについては、角膜専門家である程度の規準をつくっていた だいて、それを参考として、各アイバンクや関係各病院で、それに応じたように多少モ ディファイしたもので対応していけばいいでしょう、というお話だったかと思います。 金井先生 、角膜移植の専門家として、いかがでしょうか。 金井委員  アイバンクの構成によって、だいぶん変わってくるんじゃないかと思うんです。八木 さんが言われたように、いわゆるライオンズ主体のアイバンクと、うちや木下先生のと ころのような、大学が主体のアイバンクとでは、かなりやり方が変わってくるんじゃな いかと思う。とくに、ライオンズ主体の場合ですと、やはりメディカルディレクターと いうのがいないと、レシピエントの公平性はなかなか保てないんじゃないかと思います。 われわれのところですと、大学=アイバンクということになって、角膜を専門とする眼 科医が、メディカルディレクターみたいな形で、今現在やっておりますので、ある程度の 規準が決められている。それから優先順位は移植する病院によって、また、疾患内容に よっても変わってくると思います。ですから、たしかに角膜穿孔しているような場合は、 たしかに第一優先ですけれども、そういうものだけで優先順位を決めてしまいますと、 たとえば円錐角膜みたいなものはある程度見えますから、そういう患者さんが、どんど ん後回しになってしまう可能性もあるんですね。今、お話を聞いていて、そのあたりを 配慮する必要があるんじゃないかということに気づいたんですが。 木下座長  眼球数がやはり非常に少ないですから、緊急性が大事なんですが、角膜の潜行をした人 をつねにいちばんとしていると、いつまでたっても円錐角膜の人は角膜移植が受けられ ないというようなことも起こってくる可能性があるということかと思います。現場とい うか、眼科医、あるいは眼科に従事している方の意見を聞かせていただいたんですが、 私自身も思いますのは、臓器移植で行われているように、バンク自体がすべてを管理し てやっていくようなシステムが、最終的に望ましいのかもしれませんけれども、現実に は、それではなかなか対応しづらいかなあということがひとつ。それから、欧米のシス テムを見ても、眼球数がかなりあるからということもあるんですが、やはり心臓、肝臓 のような移植の場合と角膜移植の場合とでは、ずいぶん、あっせんのやり方が違ってい るように思います。現実的にはレシピエントの募集や選択をどういうふうにやるのかと いうことを、ある程度、アイバンクなりに持っていて、それを各医療機関に示して、そ れが公開できるようなものであるのが望ましいと思うんですが、そのラインに沿って、 できるだけ各医療機関で公平性を保つべく、レシピエントを選択していくというあたり が現実的なのかなあと思います。  また、山本さんがおっしゃったように、少なくとも、臓器提供に関する説明書や家族 の承諾書などの書類というのは、今、あることはあるんですが、非常にいい加減という か、まだ未熟な状態にありますから、そこはしっかりとした体制をつくらないといけな いかなあというふうに思っています。横瀬委員、ここまで眼科の側の人の意見が多かっ たんですが、これをふまえて、どういうふうに考えられますでしょうか。 横瀬委員  みなさんのお話をずっとうかがっていたんですが、まず、アイバンクという名称は大 変立派なんですが、現実的にはそれにそぐわないような状況で、たった1人、事務局員 を置いているというようなアイバンクが非常に多いです。したがって、すべてを同一レ ベルで判断するというのは非常に危険だと思います。ただ、そういう場合もやはりレベ ルアップを図っていかなければならないという点からするならば、実態調査をやって、 しかるのちに、どういう指導をしていくべきかということを、再度、少し時間をかけて 検討されるのがいいと思います。本来なら、そういう指導は厚生省だけではなく、眞鍋 先生のところの眼球協会のほうも、もっと積極的に各地のアイバンクを指導的な立場か ら教育・指導していただけるということがいちばん望ましいと思います。新しく組織を つくるということは大変なことですから。  それともうひとつ、各地のアイバンクの方とお話をする機会があるんですが、みなさ ん、財政的に非常に困窮しておられる。各都道府県の理解度によって、またはライオン ズクラブの力とかによって、非常に財政的に豊かなところと、本当に片手間で事務局に 1人いるというような、単なる連絡係みたいな形のアイバンクもたくさんございます。 ですから、やはり、ある程度までの基本的なものは中央でお決めになって、それをいろ いろと、規準という形で流していただくことは大変結構だと思います。今、ネットワー クのほうがどんどん先に進んでいますので、つい、それと同一視したような形で理想像 を描いてしまいがちだと思うんですが、アイバンクそのものが非常に長い歴史を持って いながら、現状においては、それほど大きな成果はあげていない、都道府県によって非 常に格差があるというのもその点だと思います。したがいまして、もう一度、よく実態 をお調べいただいて、そういう、非常に稚拙なところを、どうやってこれから指導して いくかということも、改めてご検討いただければと思っています。  ただ、いずれにしても、財政的にはそれぞれの都道府県も豊かではありませんので、 どうしても民間の団体であるライオンズクラブやロータリークラブの支援を得るという 形でやっと立ち入っているというのが、大部分のアイバンクではないかと思います。  それから、もうひとつ。今、そういった面で非常に進んでおられるのは市川だと思う んですが、どんどんいい仕事をなされば、そのぶんだけ、世の中からも認められるとい う形で、いろんな助成を受ける機会も多くなると思うんですが、ある時点においては、 やはり、センターを東京あるいは大阪につくり、それを眼球銀行協会と併用するような 形で各アイバンクを指導していくことがいちばん望ましいのではないかという気がしま す。  さらに、ちょっと先の話になると思いますけれど、ドナーカードの問題ですが、現在、 ネットワークのほうは、( )内に「眼球」ということを記入してもらうということで 指導をしております。何しろ新しくつくり直すということは非常に大変ですし、新しい フォームでカードをつくりますと、みんな、そっちの新しいカードのほうが欲しいとい う形で、今までのカードは無用だといって破棄してしまうということもありますので、 せっかく4,000万枚も既に配布されているわけですから、それはそれとして、やはり、で きるだけその活用方法について、いろいろとご指導をいただくということのほうがよろ しいのではないかという気がします。  何しろ、ネットワークのほうも財務的に非常に苦しい状況で、余談になりますけれど も、林専務とは、どうやってお金を集めようかというようなことを、一生懸命やってい るところです。アイバンクにおいても同じように財政的に決して豊かであるとは思いま せんけれども、これから、公平かつ透明な組織をつくっていかなければならないという 現状からすれば、ある程度まで、やはり財政的な面も、中央で考えて育成をしていくと いうこともお考えいただければと思っています。  尚、メディカルディレクターの場合は、早急ではないにしても、いずれ、やはり育成 をして、何年か後には各アイバンクに必ず1人、兼務でも構いませんから、そういう、 ものごとのきちっとした判断のできるディレクターを置くべきではないかなあ、と。連 絡係というものから、もう少し脱皮した形で、いろんな面で中央との連絡をとりながら、 このアイバンク事業を伸ばしていくような組織にしていくべきではないかなあという気 がします。 丸木委員  今の諸先生のお話、なるほどなあと、非常に納得して聞かせていただきました。たし かに現実論をいえば、公平と透明性を確保するには、理想を言っても仕方がないので、 今、この現状をどういうふうに変えていくかということで、やはり、さっき横瀬さんが おっしゃった実態調査を私も強く希望いたします。と言いますのは、あまりにも地域格 差があるとは聞いているんですけれども、できないことを押し付けてもあまり意味がな いと思いますので、実際にどの程度なのか、どういうことまでできるのか、という実態 をもう少し知りたいというのがひとつです。もうひとつは、先ほど、佐野さんのほうか ら、専門委員によるひとつの規準というお話がありました。これもやはり必要なのでは ないか、と。たとえばアイバンクが、臓器移植ネットワークに比べて、人的にも金銭的 にも弱体と考えられるので、簡単に業を拡大できたり、人が増えたり金ができたりとい うことがほとんど不可能に近いときに、やはりある一定の基準がないと、たとえばレシ ピエントの情報提供をするにしても、どういう規準で、どういう形の情報がまず必要な のかということも、アイバンクの担当の方がわからないのではないかと思いますので、 ぜひ、そういうものを出していただきいたい。これはやはり、専門家の方々もしくは現 場の臨床をしている方でないと出ないとは思いますけれども、受ける患者のほうの公平 性が損なわれないような形の規準が必要だと思います。  それから、今、メディカルディレクターを眼球銀行協会のほうで育成されるとかとい うことですが、実際には、どういうことをアイバンクで具体的にお考えになっているの か、教えていただければと思います。 木下座長  最後のところ、メディカルディレクターについてですが、これは日本眼球銀行協会が 主導して、この夏ぐらいからスタートさせようという考えがありますので、眞鍋先生、 簡単にご説明いただけますでしょうか。 眞鍋委員  メディカルディレクターの必要性につきましては、篠崎先生なんかからも非常に言わ れておりまして、2年前に私1人の独断で、各アイバンクにメディカルディレクターが 絶対に必要だからつくりたい、と。今までも各バンクがアイバンク活動をするためには、 そういう先生に指導を受けていたはずだし、われわれが臓器移植法ができたときに、い ろいろな問題点について、非常に鋭い質問をよこしてくれた、その質問を書いてくれた 先生がいらっしゃるわけです。各アイバンクに、そういうメディカルディレクターに相 当するような人が実際にいるはずだから、あとは法的な問題で、そういうものをつくる ときには定款を改正しなければいけないとか、あるいはいろいろな法律的な制限がある のかどうかといったことを調べまして、ちょうど私、この審議委員会の席上、隣に町田 先生という法律家がいらっしゃいましたもので、その先生とも相談をしましたところ、 とくに定款を作成する必要はないとのことでした。そして、厚生省からどうこう言われ る先に、ぜひ、民間主導でつくりなさい、というふうにすすめられましたので、そのこ とを書いて、私の独断で、この次の全国大会までにはメディカルディレクターを1人だ け指名して、メディカルディレクターの会をするから集まって欲しいという通知を各ア イバンクに出したんです。ところが各アイバンク、委員の理事の先生からも時期が尚早 ではないのか、あまりにも唐突すぎる、ということで文句が出まして、そういう苦情が 多かったものですから、早速、その大会の前にお詫びをし、延期しますということで、 一応、今は保留している状態なんです。ですが、このあいだの評議員会の意見を聞きま しても、それから、ここでのいろいろな議論を聞きましても、やはりメディカルディレ クターは必要ではないかという議論がだんだん高まっておりますので、ぜひ、できれば 今年中には、メディカルディレクターを各アイバンクにつくっていただきたいと思って おります。  それから、さっき横瀬さんが言われましたように、性急にではなく……この前は、こ の大会までに各アイバンクごとに1人ずつ指名して欲しいというようなことを書いたん ですけれど、今度はそういうことではなく、できるところからやっていきましょう、と。 できにくいところは、やっているところを見習って、2年でも3年でも遅れてもいいか ら、ぼちぼち考えてください、というような通知を出そうというふうに思っております。 丸木委員  メディカルディレクターの活動としては、具体的にどういうものを考えておられるん でしょうか。 眞鍋委員  今、安全性のことがいちばん問題になったんですが、安全性に対するいろんな疑義が ありますね、そういうことを、各アイバンクごとに問題点があるだろうから、それらを 出していただいて、ディスカッションする。そしてメディカルディレクターの中で、こ れだったらうちのアイバンクでもできるというようなことから決めていけば、安全性確 保についても具体的に実行できるのではないかと考えます。それから今、厚生科学研究 で議論しているコーディネーターの問題にしても、いきなり眼球銀行だけが主導して コーディネーターをつくるとかといっても、うまくいかないので、全国のアイバンクか ら集まったメディカルディレクターの人の意見を聞いて、うちのアイバンクではこうい う活動をするコーディネーターが欲しいとか、いろんな意見を出していただき、コーデ ィネーターのあるべき姿を決めていただいて、それを全国的に広めていこうというよう なつもりなんです。 木下座長  メディカルディレクターを各アイバンクに置きまして、医学的に安全性・公平性が保 てるかどうかということをチェックしてもらう、あるいは何か緊急性が起こったときに、 メディカルディレクターがそのアイバンクに対しての医学的なサジェスチョンができ る、そういった人をまず置こう、と。ただ、各アイバンクが別々の考えのメディカルディ レクターを持っていてはいけませんから、それについては、ある一定の基準に則ったス タンダードの中で考えていただく、そういうシステムをつくろうとしているかと思いま す。横瀬委員、丸木委員から、非常にいいお話がありましたけれど、あっせんに関する 実態調査はぜひやって欲しい。あるいは角膜の専門家に、ある程度、公平性の規準をつ くるということをしてもらったらいいんじゃないかというようなご意見があったかと思 います。そこで鎌田先生に、臓器移植の他のもののように、非常にレシピエントについ て募集の明確な規準をつくっていく必要があるのか、あるいはある程度ファジーであっ て、今、現状のアイバンクがやっているようなところをもう少し整備するというような ところで、法的に充分クリアしていけるのかどうか、そのへんについてご意見をうかが いたいんですが。 鎌田委員  毎度、申し上げているように、大変難しい問題だと思うんですが、何かそういう公平 性・公正さを担保するための規準があって、それが誰にもわかるような形で公開されて いる、個々の選定についても規準にしたがってやったと説明ができるということは一般 的に必要だし望ましいことだと思うんです。そういうことがないと、ドナーなり遺族な り、あるいは患者なりが納得しないし、また、バンク事業に対する社会的支援というも のもなかなか得られないということは、一般論としていえるんですが、ただ、そうはい っても、実際にそんな規準ができるのかというようなことと、仮に規準ができたとして、 それが医療の実態に合うのかということが問題になっていると思うんです。  ひとつは、やはり数が足りないということがあります。理屈からいえば、数が足りな いから、公正さが要求されているということで、なかなか、そこのところのかねあいは 難しいだろうと思っています。それから、バンクの側の実態は私もよく分かりませんけ れども、お話をうかがっていると、抽象的にまとめると、臓器移植法で考えているよう なものとは少し違う。臓器移植法というのは、ある側面を取り上げて言いますと、やは り移植医が中心になって、移植医療を進めることに対するひとつの警戒心みたいなもの からコーディネート業務その他はむしろ移植医療機関からは独立した存在でなければい けないという理念の上に成り立っていると思うんです。ここでの議論は逆に、移植医療 機関が中心になってやらない限りうまくいかないんじゃないかというご議論ですから、 臓器移植法の理念そのままではできないというご議論が中心になっているような印象も 受けます。それはご指摘があるように、アイバンクの成り立ちがそういう形での議論を 呼んでいるし、またそれが実態だし、そうでなければやっていけないという実際もある んだろうと思うんです。そういう意味では実態調査をやっていただきたい。実際のアイ バンクの中にも、臓器移植法が考えているようなものに近いような、ある程度、独立性 を持ったアイバンクもあるでしょうし、それから、言い方は悪いかもしれませんが、い わば移植医療機関の補助者というか下請け機関的に素材を集める業務をやっているよう な形のアイバンク、現実的にはこの2つがあると思うんですが、臓器移植法の中にアイ バンクをきちんと組み込むんだとしたら、やはり後者のような形態のものは徐々に…… 組織的に統合するのか、あるいはネットワーク的なもので結ぶのか、あるいは協会みた いなものが媒介する形になるのか、いろんな形があり得ると思うんですが……やはり 徐々に、医療機関からの相対的な独立性を保つ形にしていくほうが望ましいだろうとい うふうに考えています。  それから、規準は何らかの形で必要なんですが、その規準に関して、先ほどご指摘が あったように、やはり学会なり協会なりで、ある程度の客観的な大枠を定めて、その枠 内で柔軟にやっていくというのが、抽象的にいえば理想なんですけれども、こういうの が臓器移植法の理念に合うかどうかわかりませんけれど、医療的に、たとえば症例ごと にその緊急度の高さなり、その他、必要度の高さを点数につけるという側面だけではな く、やはりこれも、もうちょっと社会的な要素というんでしょうか、本当に熱心に移植 医療を推進していると同時に、角膜提供者の募集にも一生懸命協力している医療機関と、 そうでないところ、そういう部分についても、ある程度、規準の中に盛り込んでいかな いと、必ずもらえるという規準だけができると、集めることに対するインセンティブが なくなる、それはやはり現状の中では困ることでしょうから、多少、そういう要素も加 味することがあり得るのかなあ、と。これは印象論ですけれど。  それから、規準は今言ったような形で実態規準というか、こういう症例が1番です、 というようなことだけではなく、要するに公正な手続きを踏んでいるからいいんです、 というような、手続き規準もありうる。それと実態規準みたいなものの組み合わせとい うことも、考えていかなければいけない。客観的な点数だけで自動的に全部決まるかと いうと、そうじゃなくて、どこかでやはり裁量の幅が残りますから、その裁量の公正さ を担保するための手続きというか、サーベイランスがちゃんとやられている、そういう 状況のもとで裁量権を行使していくという仕組み、ソフトな形での規準づくりというも のもある。それらのうまい組み合わせを、ぜひ実態の中で、移植医療を実際に進めてい らっしゃる方と患者側の意見とを組み合わせながら、実際的であり、かつ誰もが納得で きる線を狙っていく。抽象的で、本当にできるかはわかりませんが、考え方としては、 そういう方向なのかなあと考えています。 木下座長  ありがとうございました。だいたい、ご意見が集まりまして、少し方向性が見えてき たかと思うんですが、やはり、ぜひ、各アイバンクについての実態調査を行うことが必 要であろう、と。これまで、何回もやってはいるんですが、もう少し明確にした質問事 項で実態調査をやっていくべきだろうというのがご意見だろうと思います。  その中には、とくにあっせんということがあります。あっせんの方法を、具体的にど ういうふうにしているかということがひとつでしょうし、場合によっては、そこに眼球 のあっせんの公平性を担保する方向性を、将来的に各アイバンクがどういうふうに考え ているかというようなことも含めて、ぜひ、実態調査をしていただければと思います。  また、それとは独立して、横瀬委員、丸木委員、また、鎌田委員からもお話がありま したように、何らかの形で専門家が主体となった規準をつくり、それによって公平なあ っせんをする。しかしそれはソフトな、現実に即した形のあっせんづくりというのを、 少しずつ進めていく必要があるかなあ、と。少なくともたたき台をつくっていく必要が あるかなあ、というふうに思いました。  そういうことですので山本さん、実態調査を含めまして、ぜひ、やっていただけたら と思うんですが、いかがでしょうか。 山本補佐  はい、わかりました。 木下座長  じゃあ、そこらへんのことをふまえまして、事務局のほうで、少し整理していただき、 次につなげるようにぜひやっていきたいと思います。  続きまして、「議題2 角膜及び強膜のあっせんに関する技術指針について」。これ は角膜もですが、強膜につきましても、これを強膜移植として利用しようということが 前回のところで承認されたわけですので、じゃあ、具体的にこういった強膜とかをどの ように保存して保管して管理するか、角膜についてはもちろんそうなんですが、そうい った、ある程度の技術的なことについての一定の基準というものを、やはり示しておい たほうがいいんじゃないだろうかという考えがあります。現在までにも、眼球銀行協会 が「提供眼球の安全基準に関する研究」で報告をしておりますし、また、提供角膜の安 全性についてのお願いというようなものが日本眼球銀行協会から各アイバンクにだされ ているわけですけれども、安全基準のところ、具体的に何℃でどのように保存するのか とか、保存方法あるいは保存液のことなど、ここ1〜2年で保存方法が大きく変化して いますので、そういった技術指針の作成ということが必要かと思います。まず、そのへ んについて、山本さんのほうから資料の説明をお願いいたします。 山本補佐  お手元の資料2をご覧ください。今、木下座長からお話がありましたように、実は強 膜のあっせんについても今後、アイバンクでやっていけるという方向になったときに、 各バンクに対して、今までは角膜のあっせん業の許可をとっておられますので、強膜の あっせんも希望されるアイバンクは変更申請をしていただいて、業者として認めていこ うとしているわけですが、その際、強膜の場合は長期保存ができるということで、保存 体制を持てるかどうかというのと、強膜を2分割、4分割して一部を提供した場合、 「半分、どこかへいっちゃった」というのは困りますので、在庫管理をきちんとできる 体制を持っているかどうかとか、必要最低限の事項を満たしているところに許可を与え ていく必要があるんじゃないかということで、そちらの規準がある程度いるかなあとい うことを、内部でディスカッションしておりましたときに、そもそも角膜のほうも、ほ とんど行政としては最低の安全基準なり保存規準なりを出したことがなかったというこ とが判明しまして、そちらも問題だったんじゃないかということになりまして、どうい うものがいいのかということで、ひとつは篠崎先生のほうの角膜センター・アイバンク がお持ちでいらっしゃる医学規準を、たとえばこういうものがあるということで資料を 用意させていただきました。お手元の資料に、角膜センター・アイバンクのほうでは、 クリーンベンチに対する定期的な管理のあり方ですとか、摘出方法、具体的な保存法や 搬送法、それから強角膜切片の作成ということで、どのような形で作成し保存し、また どのような容器、機器を使って保存するのか、それから保存期間をどう考えるかについ ての記述があります。  禁忌につきましては、先だって、この委員会で禁忌事項を決めていただき、もう全国 に通知しておりますので省略しております。  他に、この角膜センターでは、血清学的な検査についても、どういう方法で行うのか とか、ドナーの情報としてどういうものをとるべきかとか、かなり詳細にマニュアル化 しておられまます。あわせて、冒頭で議論がありましたように、角膜組織の分配方法や 選択方法の規準も明記されています。  業者のほうもまだ不勉強なところもありますが、ここまで詳細に行政が求めるかどう かというのは、ちょっと疑義があるところもあろうかと思いますが、最低このぐらいは 守っていただけませんかというぐらいのものは、何らかの形でガイドライン的にお示し して、ご参考にしていただければと考えて資料とさせていただきました。 木下座長  ありがとうございます。まずは強膜移植が新しく加わったということがありますし、 角膜移植につきましても、新鮮な角膜を使うことだけではなく、保存角膜といって、何 カ月間か保存して、そして手術に供するというような方法が今までにもされています。 そうすると、そういった保存している角膜の在庫管理を……言葉が悪いかもしれません が……どのようにするかというようなところ、それもまた明確にしておく必要があるか と思いますので、ぜひ、このあたりのことにつきましては、この作業班の中で、できる だけコンパクトな、わかりやすい最低の基準、最低であり、しかし安全性を充分に確保、 担保している、たたき台になるような案をつくっていきたいと思います。もしもご賛同 が得られるようでしたら、何人かで一応たたき台をつくり、次回以降の検討のための資 料として載せていきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。  それでは、この件につきましては、そのようにさせていただきます。  次に「議題3 移植コーディネーターの行う臓器提供に関するインフォームド・コン セントについて」。これは6月1日に開催された臓器移植専門委員会において、多臓器 提供の際に、日本臓器移植ネットワークのコーディネーターが、眼球以外の臓器の提供 についてドナー家族に説明し承諾書をいただき、眼球についてはアイバンクが説明して 承諾書をいただくというように、臓器別に異なる組織が別々に対応するというのは、家 族に負担をかけるのではないかという問題提起がなされました。今後は、多臓器の提供 があった場合、つまり脳死での臓器提供という場合あるいは心臓死で腎摘出という場合、 こういった場合に、ネットワークのコーディネーターが眼球についてもあわせてご家族 に説明し承諾書を得ることができるようにしたほうがいいんじゃないかというような考 えがまとめられました。そういった背景をふまえまして、これについてご議論いただき たいと思うんですが、まず、事務局の山本さんのほうから、資料のご説明をお願いしま す。 山本補佐  お手元の資料3をご覧ください。これは実は臓器移植専門委員会のほうに出した資料 なんですが、1例目、2例目と、脳死下での臓器提供があり、それが非常に社会的にも 注目された中で、コーディネーションもどう行われたかという検証作業が行われており ます。その中で、何人かの外部の方も含めてご指摘いただきましたのは、眼球と他の臓 器の説明と承諾はいったいどうなっているんだという話があって、今のような問題提起 がされております。  1ページ目ですが、現在、臓器の移植に関する法律では、あっせん業の許可は臓器ご とにとることになっていますから、臓器移植ネットワークはその他の臓器について許可 をとっており、眼球についてはあっせん業の許可をとっておりません。逆にアイバンク のほうは眼球についてのみ許可をとっているということがあります。実際には、非常に 厳しい……それは脳死下であろうと心停止下での提供であろうと同様だと思うんですが ……そういう、厳しい状況の中でご家族にご説明をしているんですが、ネットワークの コーディネーター、とくに脳死下、心停止下では、臓器移植ネットワークに第一報が入 ることがほとんどですので、そこのコーディネーターがお会いしてお話をして、いろん なご説明をし承諾をとったのちに、今度はアイバンクの方どうぞ、ということで、また もう一度説明をして承諾書をとるというようなことが、現実的には行わなければならな い状況になっています。やはり、これは提供者にとっては静かな別れを過ごす時に、非 常に精神的にも負担になるし煩雑ではないかということで、ドナーのファミリーのこと を考えますと、このシステムは適切ではないんじゃないかという問題提起がなされまし た。対応策として、6月1日に議論されましたのは、数としては圧倒的に眼球のほうが 多いですから、眼球だけの提供の場合はまったく従来どおりなんですが、多臓器、とく に脳死下での臓器提供、それから心停止下での腎・眼球提供の場合につきましては、臓 器移植ネットワークのコーディネーターも眼球に関する臓器提供についてもお話しでき るようにして、承諾も得られるようにしてはどうか、と。ただ、ネットワークとしては、 そのあとの、たとえば強角膜切片の作成とか眼球の摘出とかは、まったく考える状況に ないものですから、基本的には早い時期に最寄りのアイバンクにご連絡をして、協力を あおがなければいけないんですが、ご家族にお会いしてご説明することについては、必 要に応じてアイバンクだけではなく、ネットワークでもできるようにしてはどうかとい うことが議論されています。  手続き上としては、ネットワーク側が眼球のあっせんの許可をとれば、法律上は問題 ないわけですが、方向性は出されたとしても、現場におかれましては、どういうことを ネットワークが、今後、アイバンクから学んで説明できるようにしたらいいのかとか、 具体的な手順についてはまだ議論すべきことがあるので、これは今後の検討です。実務 的に進めていこうということになったんですが、逆に、本日、この各委員の先生方にご 意見をおうかがいしたいのと、とくにこういうことを進めていくときに留意すべき事項 とか、もともと配慮しておいたほうがいい、もしくは想定しておいたほうがいい事項な どがございましたら、事務局に下ろしていただければ、その旨でまた作業を進めたいと 思います。 木下座長  このことについては、前向きにというか、より整備された方向ですから、ぜひ、推進 していけばいいかと思うんですが、全然、こちらが思っていることと違うような方向へ 進むようなことがあり得るかもしれませんので、何かそのあたりについてご意見があれ ばと思うんですが、横瀬委員、いかがでしょうか。 横瀬委員  現実の問題としては、既にそういうコーディネーターどうしで話をして、ドナーが出 るという状況になると、お互いに電話で連絡しあって、一緒に行かれることもおありな んじゃないですか、篠崎先生。 篠崎委員  はい。 横瀬委員  現実的には、今、一緒にやっておられるということですよね。その場合に、個々に説 明されるということではなく、2人でご遺族の方とお話をして、それでノーと言えばど ちらかが引き下がるという形になるんだろうと思うんですが、現実的には、現状のまま でいいんじゃないかという気がしないでもないんですが、いかがでしょうか、篠崎先生。 篠崎委員  多分これは、僕は2つの立場で話すべきだと思うんですが、ひとつは、圧倒的に眼の ほうが多く、既に年間1,000例近くあるわけですが、臓器は多分、軌道に乗ったと仮定し ても年間、数十例レベルかなあという気がするんです。その場合、恐らく眼のほうも数 が増えていくでしょう。ドナー・ファミリーのことを考えたときに、今、いちばんの問 題として、われわれも日常的に直面しているのは、やはり、人が入れ替わらなくてはい けないということです。やはり到着したら、その人がずっと、最後まで一緒にいてあげ るべきだというのがコーディネーターとしての基本的概念だと思うんです。それが今度、 組織も始まりまして、臓器のご説明のあと、皮膚の話をする人に代わる、次に骨の人お 願いしますといって、また新しい人が来る。そしてまた眼の人が来るというのは、あま りにも現実を知らないというか、机上の理論でありまして、われわれ、現場でご家族の 方とお話をするときに入れ替わるということが、家族にとって、どれほどひどいことか。 やはり、自分の愛する家族がこの世を去る、あるいは去ろうとしている状況で、いかに 静かにそういった時間を過ごさせてあげられるかということに、議論の焦点を置くべき で、そうしたときに、今、問題は2つありまして、コーディネーターが入れ替わらなけ ればならないというのがいちばん大きな問題だと思うんです。やはり、臓器、組織、眼 が絡む場合には、できれば最初に行った臓器の方にやってもらう。たとえば組織とか眼 の話だったらわれわれが行って、お話をするということで構わないのかなあという気が します。かたや、私のところの地域の話をすると、実は既にネットワークのコーディ ネーターとかなり親密に交渉しておりまして、臓器があって、眼の話のオファーをして もらう場合には、実は先に、かなりコーディネーターの方に、眼の場合はこういう仕様、 ドナー選定基準があるという話をしておいて、それを伝えてもらう。ただ、彼らが話を する責任は、われわれが持ちますけれども、われわれが2人で行くよりは、できればず っと同じ人にお話をしてもらったほうがありがたいので、場所には行っていますけれど も、別室に控えて、できればファースト・パーソンにずっと対応してもらうという方向 で考えております。 八木委員  先ほどの件でも、私は静岡の立場でしゃべってしまっているんですが、ここに出てい る、たとえば篠崎先生のところなんかは、やはりアイバンクの中でいちばんきちんとし たというか進んだアイバンクの方だし、私は実績としては結構、多くドナーのあがると ころから、ここへお呼びいただいているんですが、篠崎先生や私の話と、全国51のアイ バンクの話とではまた、本当に全然違っていて、「コーディネーターって、なんでアイ バンクに必要なの?」というようなところもあるぐらいです。ですから、今、篠崎先生 が言われたように、ドナー・ファミリーにとっては、入れ替わり立ち替わりにコーディ ネーターが出ていって話をするというのは、本当に大変なことでしょうし、できたら臓 器のコーディネーターに眼の話までしていただいて、そのときに書類上で、書類を何枚 書いていただくというのも大変だから、できれば1回の署名だけですむようにしていっ たらいいとは思うんですが、そのときに不足がないように書類の整備をしていかなけれ ばならないとか、そういうことも思いますが、その前に、実際には全国のアイバンクが なかなかそこまで足並みがそろうのかなあという心配があります。 丸木委員  基本的には、やはりドナー・ファミリーの感情を考えれば、代わらないほうがいいで しょうし、こういう方針でいいのではないかというふうに思いました。たしかに、アイ バンクでコーディネーターを置いているところが、前回の実態調査で数えるほどしかな かったという実態を考えれば、手続き上の疎漏がなければいいのではないかと思うんで すけれど。私自身、あまりにも現場を知らないものですから、それで何か問題があるの かどうかは言えませんけれど、ただ、提供側の考え方からすれば、そういうことでいい んじゃないかと思います。  もうひとつ、少し話がずれるんですが、最初にご説明があったドナーカードの問題に ついて、事務局の方にお聞きしたいと思います。今、実際に配られているもので、今の ところまだ「角膜」とあるものはないんですよね。もし、3例目が出た場合に、今回と 同じような形のカードを持っていた場合は、どういう形になったんでしょうか。話がそ れて恐縮ですが、そのへんについてご説明いただけますでしょうか。 木下座長  非常に重要な問題ですね。 山本補佐  いろいろご批判をいただいていることも充分に承知しているんですが、臓器移植に際 しては、法律をきちっと運用するということが求められます。いろんな事情を勘案して、 法律そのものの根幹を揺るがして違う解釈をとるとかというのは、そもそもの、この移 植医療に対する信頼を損なうのではないかという観念から、今回、ずいぶん議論をいた しましたけれども、脳死体から臓器を摘出する場合には、本人の生前の「脳死判定に従 い、また、臓器を提供する」という意思がいるということなので、法的脳死判定を行い、 その方が脳死体になられて、そこから眼球にしろ腎臓にしろ、提供をいただくときには、 本人の生前の意思が明確でなければならない、また、ご家族の承諾も得なければいけな いということをみますと、今回、本人の、眼球を提供したいという生前の意思が書面で 見えないわけです。もしかしたら陰に隠れていたかもしれませんが、それで、こういう ふうに運用しました。相当議論した結果ですので、3例目に同じことが起きても、基本 的には同じ対応になるかと思います。ただ、「その他」というところの( )の中に、 横瀬先生がおっしゃったように「眼球」と書くことをかなりPRしてくださったので、 書いてくださっている方もおられるので、そうすれば、もちろん問題ないわけですが、 状況は同じかと思います。 横瀬委員  仮に、「その他」のところに「全部」と書いてある場合はどうなんでしょうか。これ は4番の問題になってしまいますけれど。 山本補佐  基本的には全部と書いてあればいいということだと思うんです。蛇足になりますけれ ど、いろんな案がありまして、専門委員会でも、平仮名で「め」と書いたらどうかとか、 片仮名の「メ」はどうかとか、目の絵があったらどうかとか、いろんな意見があって、 かなり疑義解釈があろうかと思いますが、全部ということであれば、その臓器自身につ いては提供できるかと思います。 金井委員  アイバンクの場合、いわゆる生前の登録と死後登録がありますよね。ご家族の方が死 後登録をなさるという形であっても、こういう場合はやはり提供できないんでしょうか。 眼球銀行の場合には、要するに家族の方が提供するということがあるわけですよね。 山本補佐  承諾はしてからですね。ですから、それがずいぶん言われているところなんですが、 先ほどの資料4でカードに書いてありますように、「脳死の判定に従い、脳死後」に臓 器の提供をするという意思が明確に書面である場合に、脳死体からの臓器提供ができる ということなので、脳死体からの臓器提供の場合は本人の生前の意思が明確であること が最初で、さらに家族が拒まない場合です。今回のケースも、ご家族がぜひ提供したい と言ってくださったわけですが、適用できなかったのは、ご本人の生前の意思が明確で はなかったからなんです。献眼登録をされている方で、そこにきちっと書面である場合 も、従来の献眼登録の場合は脳死の判定に従うというところの意思表示がない場合があ って、脳死判定に従う意思表示があり、かつ、臓器の提供をするという、両方かかって いるので、そこのところが従来の献眼登録だけですと、なかなか難しいということです。 心停止下については従来どおりですので、まったく同じだと思います。 篠崎委員  ということは、脳死に至った方は脳死体。じゃあ、それは臨床的脳死判定をしたもの が脳死体なのか、法的脳死判定をしたものが脳死体なのかによって、今までも既に、脳 死状態を経た心停止ドナーは、アイバンクにずいぶんご提供しただいているわけですか ら、そのへんの解釈になってくるんじゃないかと思うんですね。これは解釈論をやって いくと、多分、絶対に困窮して、どうやってもうまくいかないと思うんです。多分、い ちばん大事なところは、臓器移植法が、眼から言わせると大変申し訳ないんですが、長 年やっておられる先生方のお力で、40年間やってきて、逆にいうと提供後の情報がない のどうのというトラブルもありましたけれども、家族の意思を無視したことによるトラ ブルは、恐らくなかったと思うんです。なせかというと、やはり、宗教的にどうこうと か、ご遺体が誰に属する云々という法律問題もあると思うんですが、やはりご家族の方 の意思の尊重ということが、臓器もすべて、世界的にはそうなっていると思うんですが、 日本のアイバンクに関して、ことに眼球の提供に関しては、40年間、ずっとそれを維持 してやってこられた先生方がいるから、われわれが今日、ここでやれるんだと思うんで すが、新しい臓器移植法というのは、やはり、公明正大にやるために、本人の意思とい うことでやって、世界でもちょっと希な、奇異な法律だと思うんですね。やはり法律の 精神として、いちばん大切なことというのは、提供者あるいはその家族の意思が生かさ れるかどうかで、その問題の忖度問題になると思うんですが、眼だけは、ずっと40年の 歴史もあって、言わせていただくと……僕はまだ、この業界に入って浅いですからいい んですが……長年おられた先生方からすると、今までの死ということで、脳死も人の死 ではないかというような議論で、眼科の中では、多分、とくにアイバンクの中では納得 いかない部分も非常に多いのではないかと思います。そのへんの手続き論としても、臨 床的脳死判定が脳死体なのか、あるいは法的脳死判定が脳死体なのかというところを明 確に教えていただけたらと思うんですが。 山本補佐  法的脳死判定の2回目の判定後。法律上の脳死体です。先生がおっしゃる意味は充分 にわかるんですが、法律上、そういう仕組みになっていたということで、眼球のところ の長い歴史と、今まで積み上げてきたものからすると、非常に違和感があるというご指 摘も各界からいただいておりますし、今回、ご家族の気持ちを考えますと、どうだった んだろうかということが感情的にはありますが、法律を読んで、きとっと運用するとい うことの根幹を揺るがしますと、そもそもの移植医療が、臓器移植法をつくった経緯か ら考えましても厳しいものがあるということで、厳格にきちっと法律を読んでやるとこ ういうことになるということです。 鎌田委員  臓器移植法の出来方がいびつといえばそうなんだと思うんですが、行政としては、で きた法律を遵守する以外にないんだろうと思うんです。ただ、厳格に読むと、脳死後に 心停止をしても、それは臓器移植法の脳死の世界から抜け出さないんですか。実際にも、 そういう運用をされているわけですか。 山本補佐  法的脳死判定が今回、2例ごさいまして、そういう中で、とくに眼球のこういう問題、 臓器移植専門委員会の中では、某法律の専門家の方は、心臓を取ったあとは心停止だと おっしゃった方もおられて、何か「あれ?」という感じなんですが、そういう意味では、 今回の眼球の問題というのは、非常に大きな問題提起をいただいていると思います。今 まではまだ、脳死体というのは心停止になったということはないんですが、いずれにして も2回目の脳死判定が終わったときには脳死体ということで死亡診断書が出て提供にな る。ただ、医学的な管理の問題で心停止になってしまった場合は、現実的にはその臓器 自身が移植に使えないということはあるかと思います。 横瀬委員  おしゃりにくいことかもしれませんが、第1例の高知の場合は、「眼球」という記載 はありましたか。 山本補佐  ありました。 丸木委員  ドナーカードに。 山本補佐  ドナーカードにあったんです。 丸木委員  横道にそれるような議論を出してすみません。ただ、やはり庶民感情というか、その ように思ったんですが、たとえばこのカードに「その他」ではなく「眼球」とあれば、 恐らく心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸と○をつけた人は、眼球にも○をつけたんじ ゃないかと思うんです。これはまったく個人的な意見なんですが、そこまで書いた人で、 かつ家族がOKしていたのを、その本人の意思がないからといって、3例目で眼球の提 供を拒否するというのは、やはり、みんな納得しないんじゃないのかなあ、と。言って みればカードの不備というか……。たしかに「その他」のところに書いてあれば、まっ たく問題がないんですが、この、4,000万枚配ったものを、みんなで点検して、ここに 「眼球」と入れようというのも、なかなか難しい話だと思うし、そのへんの弾力的運用 というのが今度、まだ3例目は起きていませんけれども、まったく同じ議論が出てくる んじゃないか、と。恐らく6月から、こういう形で「眼球」も入れますというような報 道を読んで、みんな納得しているんじゃないかという感じがするんですけれど。ただ、 厳密にいえば、たしかに、山本さんのおっしゃるとおりなんですけれど、そのへんの運 用というのは、何か……ここで言っても仕方ないのかもしれませんが……いかがなんで しょうか。 朝浦室長  この2例目の件については、非常に今回のケースで最もわれわれが悩んだところでし て、今回、心臓と腎臓が提供されたわけですけれども、途中段階で、もしかしたら心臓 も腎臓もだめかもしれないというような状況に至って、角膜だけでも提供したいという ご家族のお気持ちもあったので、それをふまえて、最終的には、法律上、ここの附則の 第4条のところを読んでいただきたいんですが、「同条第2項の脳死した者の身体以外 の死体から摘出することができる」と書いてあるんですね。この、「同条第2項」とい うのは、第6条第2項の「脳死した者の身体」と読むわけで、これは法的な脳死判定を 受けた者というふうに読まざるを得ないわけです。こういうふうにきっちり書いてある 以上、脳死判定を受けた場合は、やはり本人の同意がないと、ご家族の同意だけでは摘 出できないというのが筋ではないだろうか、と。こういった条文がありながら、運用で ご家族の意思だけで角膜が摘出できるという解釈を強引にするのは、まあ、ご家族の心 情を考えるとそうはしたいんですが、なかなか、われわれ行政としては難しいという判 断をしているわけです。恐らくここで議論になるのは、脳死と判定された方の摘出は、 やはり本人の同意が必要であるという、臓器移植法の基本的な理念をどこまで支持する のかということと、それからご家族の承諾だけでも、これまでやっていた実態をどのよ うに判断するのかという、そういうせめぎ合いだろうと思うんですけれども、私どもと しては、前者のほうを優先させたということで、今回の結論になったわけです。もし、 解釈によって法の運用がもう少し弾力的にできるというのであれば、もう少し議論をし ていく必要があるだろうと思いますが、私どもとしては、脳死判定を受けた方からの角 膜も、ご家族の承諾だけでできるというのであれば、それはもう、法律改正かなあとい うふうに思っております。 横瀬委員  3番に戻りましょう。 木下座長  今の話、もう少し時間をとりたいんですが、3番に戻ります。3番の話はだいたい、 インフォームド・コンセントをコーディネーターにとってもらってはどうかという話で すが、ドナー家族にとってよりよい方法を求めていきましょうというのがここでのコン センサスと思われますので、具体的にネットワークのアイバンクの関係者……とくに日 本眼球銀行協会かなあとも、ちょっと思うんですが……と話し合っていただいて、具体 的な方法を決めていくという予定で……。 山本補佐  逆に先生方のご意見をお聞きしたかったのは、1点目、コーディネーターの方とか各 バンクの方がよくおっしゃるのは、ドナー・ファミリーに提供いただくだけではなくて、 その後のフォローしたりお会いしたりすることが非常に重要だし、ご家族の心の癒しに なっていくとか、フィードバックしていくことが重要である、と。そのときお会いして コーディネーションした方に、何カ月後にもう一度訪問されて、「あのときいただいた 眼球はこういうふうに使われました」とか、いろんなお話ができるんでしょうけれど、 この制度でいきますと、脳死体からの移植をいただいたときに、もしかしたら臓器移植 ネットワークのコーディネーターしか会わなくて、その後、3カ月後とかにフォローさ れるときには、突然、見たこともないというか、「実はあれはアイバンクに行ったんで すが」とかといって行くのかなあという、ちょっと、そのへんのフォローもネットワー クのコーディネーターがしていったほうがいいのか、ご自身のアイバンクでやっていか れようとしているのかということを教えていただきたいと思いました。  それから2点目は、行政側からこういうことを申し上げると大変まずいのかもしれま せんが、八木委員がおっしゃったように、バンクそれぞれだということで、コーディ ネーターの質が非常に様々で、とてもあいつにはまかせられないとか、あの人にお願い したらろくなことがないとか、そういうような話が出てくるのか、それとも、基本的に はアイバンクとして、とくにアイバンクの側がご自身の大事なドナー・ファミリーのケ アをネットワークの方にお願いするという形になる場合が、ケースとしては多いでしょ うから、ここぞ求めなければいけないとか、ケースによってはまかせられないとかとい うことがあるのか、そのへんも、率直なご意見をいただいていおいたほうがいいと思う んですが。 横瀬委員  理事とか理事長とかは全然別の考え方かもしれませんが、コーディネーターの人たち というのは、べつに眼だから、あるいは臓器だからということの差別の意識は持ってい ないと思います。それよりもむしろ、いろんな面でお互いに交流があれば、お互いに協 調しあうという気持ちも持っておられます。篠崎委員なんかも、もちろん、そのへんは ご理解いただけると思っていますけれども、あまり、眼は眼、その他の臓器は臓器、と いうふうにはっきり分けずに、むしろお互いの立場をある程度まで尊重しあうような形 で、できれば交流を図っていただきたい。たまたま、7月に都道府県のネットワークの ほうの研修会があります。それから11月にまた、そうでない人たちのコーディネーター の研修会があります。現に、八木委員の場合は既に2回か3回、ネットワークのほうの 研修会にお出になっておられるし、結構、顔見知りになって、そういった面のコミュニ ケーションというのは非常にうまく図られるような状況にもなるのではないかと思いま すので、あまりセクショナリズムにお考えにならないで、むしろ、そういう研修会みた いな機会をなるべく眼のほうにも開いていただいて、お互いに交流が図れるような状況 になると、だんだん、そういった面は解消していくのではないかなあという気がします。 木下座長  非常に現実的な、いいサジェスチョンだったと思います。多分、篠崎委員が最初のほ うでおっしゃったように、コーディネーターの方が説明、承諾を得るということであっ ても、アイバンクはアイバンク側で、多分、そこに実際の説明には行かないまでも待機 するというか、そういうふうに最初の間は動いていくんじゃないかなあというふうに、 私自身は想像します。そこで補足すべきことがあれば、アイバンクから行った人が補足 する、その必要がなければ控えているだけというようなことになっていくのかなあ、と いうふうに思っております。 鎌田委員  これも厳格な法の遵守に関わってくることで、この対応策では、あっせん業務の一部 についての業の許可をとる、ということになるわけですね。あっせんのうち、説明する 業務だけ……あるいはこれは募集になるわけですか……募集の業務だけ許可を得る。こ れも何か、道具立てとしては大がかりすぎるような気がしないでもありません。コーデ ィネーターの資格の法律上の位置づけはよくわからないんですが、たとえば移植コーデ ィネーターのうちの特定の人をアイバンクのコーディネーターの資格も併有するような 形にするというのは、これは制度的には無理なんですか。つまり1人の人がネットワー クのコーディネーターの資格とアイバンクのコーディネーターの資格と、両方を持って いる。現実的には、臓器移植ネットワークにまる投げでお願いしてしまうよりも、やは り禁忌とか、いろんなものがあるわけですから、1人1人のコーディネーターがアイバ ンクの活動内容とか、あるいは規準をご理解いただいて、そういう人は眼球提供につい ても、アイバンクのコーディネーターの側面でやっていくというふうに……何か、人的 な部分に着目したほうが、移植ネットワーク自体が眼球あっせん業務を形の上でやって いるという仕組みにするよりは現実に即するし、1人1人のコーディネーターに、アイ バンクの側できちんとコンタクトを持つ仕組みにもなり得るんじゃないかと思うんです けれど。そういうものは、制度的にはあり得ない形なんでしょうか。 山本補佐  ひとつのお考えかなあと拝聴しましたけれど、とくに心停止後の腎・角膜提供の場合 は、かなり地域地域のブロックで動けるんですが、今回、問題になっているような脳死 体からの臓器移植の事例ですと、ネットワーク自身が総力戦で、コーディネーターの数 は、必ずしもネットワークのほうでもそれほど多いわけではなくて、結局、今回、慶應 大学で行われましたけれども、全国各機関ブロックのコーディネーターが総力戦でいっ て、そのときに動ける者がご家族に説明をし、一方は搬送の手配をし、一方は病院との 連絡をとり、というふうになりましたものですから、結局はみんなが持っていないと、 「私は眼はできないので説明できない」とかという話になることもあり、かなり現実的 ではないのと、もうひとつは、ネットワークとしても、もしアイバンクの説明をすると したら、そうはいってもきちんとした角膜移植・強膜移植に対する適切な説明なり、ご 家族の質問に答えるということが必要で、それなりのマニュアルの整備とか、研修とか をアイバンクの方々と一緒にやっていかないといけませんので、そのあたりも考えます と、組織として説明を行える態勢をとって、コーディネーターの育成もやっていかなけ ればならない。もうひとつ、先生のご指摘と、いちばんネックになるのはコーディネー ターというものがまだ、国家資格なり都道府県知事資格なりという、明確な資格制度が ない中、つまりコーディネーターと名乗ればコーディネーターだという中で、1人1人 に評価をし、また、その人に何かを与えていくということは難しいのかなあというふう に理解しています。許可としては、あっせん業の許可を与えるんですが、基本的には現 場での家族へのご説明ということであって、献眼登録をネットワークがやるとか、そう いうことは初めから想定していません。 佐野委員  私ども医師は、直接、そういうことにタッチしていませんが、これは広い意味でのイ ンフォームド・コンセントであり、説得するということで、大変な努力をされていると 思うんです。私としては意見はありませんけれども、実際の現場の方のご努力に、本当 に感謝を申し上げます。 篠崎委員  法律上、2つのあっせん業があるという問題はご議論いただくとして、現実的な話を しますと、実は私自身、臓器移植ネットワークのコーディネーター委員を仰せつかって いまして、臓器移植ネットワークにおけるコーディネーターと、都道府県コーディネー ターに関しましては、実は以前より、角膜移植、アイバンクの教育はしています。です から、まったくの素人が行ってお話をするということはないと思います。ただ、人はど んどん変わります。とくに都道府県のほうが変わります。今日もこのあと、その委員会 があるんですが、どういったプログラムで教育していくかというところで、やはりその 中に組み込んで、横瀬委員がおっしゃったように、ネットワークの教育の中にも、しっ かりその全部がカバーできる、移植も含めて今後の組織、かなり幅の広い人材、かつ資 質の高い人間を入れていくということがすごく大事なことだろう、と。それはアイバン クもまったく同じだと思いますけれども、努力していきたいと思いますのでよろしくお 願いいたします。 木下座長  では、この話、具体的にはネットワークと眼球銀行協会で決めていくという予定のよ うですから、この作業班としては、できるだけそれに協力していきたいと思います。み なさん、よろしくお願いいたします。  それでは、議題の4も、かなり先ほどからディスカッションがありましたし、報告と しましては意思表示カードの記載内容については、できるだけ、これから4,000万枚の既 に配ってあるものについては「その他」のところに「眼球」と書いていただく、心臓死 のほうは( )内の「角膜」というのを、できれば削っていただいて、強膜も含めた形 に意識を高めていきたいということです。  先ほどのお話が、ちょっと尻切れとんぼのような状態になっていますので、第3例の 臓器提供があったときに角膜について、どのように対応していくかというところ、もう 少しディスカッションしていただけたらと思いますけれども、佐野先生、いかがですか。 佐野委員  脳死と、いわゆる従来の死との差というか、私は医者ですから、ちょっと発言しかね ておりましたけれども、結局、脳死か心停止の死かという問題になりますと、要するに、 医者が脳死の方の心臓を取ったときに、いわゆる従来の死に至ってしまう、人工的な死 ということに……これはオフレコにしていただきたいんですが……非常にわれわれとし ては発言しにくい問題じゃないかと思っております。 眞鍋委員  審議委員会でも問題になりまして、私の隣に、先ほど言いました町田先生という法律 家が座っていまして、そのときも、やはり法律家の立場として、心臓を取ってしまった ら心臓死じゃないのか、ということをさかんにおっしゃっていました。法律というもの は、そういうふうに、非常に幅広く解釈するものであるとともに、固定観念で判断すべ きではないといったことを一生懸命言っておられました。当局としては、なかなか、そ んなに自由自在に解釈してもらっては困るだろうと思いますけれど。これはもっともっ と、審議委員会のほうでも、恐らく議論があるだろうと思います。このあいだ、協会の 常務理事の澤先生からお聞きしたんですが、心臓死で提供があったときに、やはり角膜 は提供しないというふうになってしまったらしいんです。腎臓は提供するけれども、角 膜は提供しないという形になったので、アイバンクには通知しません、ということがあ りました。そして、これはひょっとしたら、顔の形が変わるという説明があったかもし れない、ということなんです。「死顔が変わるので腎臓はいいけれど眼は提供しませ ん」と家族が言ったと聞かされて、澤教授は、ひょっとしたらコーディネーターの人が、 「眼をとったら顔の形が変わりますよ」という説明をしたのではないだろうかとおっし ゃっていました。このへんは、やはり、篠崎先生にお願いして、眼の説明をするときに は、そういうことはないということを言ってもらわないといけないなあ、と。やはり、 教育が非常に大事ではないかと思います。 木下座長  いつもアイバンクで言っているんですが、「眼球摘出後は必ず義眼を入れて、ご尊顔 をちゃんと保つということをしております」という、ごく簡単な説明が非常に大事なと ころなんですけれども、そういったことを、ネットワークの関係者の方にもぜひ、言っ ていただけるようにしていただきたいと思います。  第3例目が出たときに、多分、角膜については書面で意思表示がなければ提供されな いということで行くかと思うんですが、今度、第3例目でそういった事態になった場合 には、それは逆に、ここに書いておかないと角膜は提供できないということをメディア を通じてみなさんにお示しできる、非常にいい機会にもなるかと思いますので、事務局 側から、そのときには、眼球も提供したいという意思がある方は意思表示カードに、ぜ ひ、そのことを書いてください、ということをマスコミを通じてうまく言っていただけ たらありがたいなあと思います。意思表示カードの変更等については、冒頭で既に山本 さんからご説明がありましたので、これについて、具体的なPRの方法は様々あるかと 思いますけれども、今後、重々説明しPRしていくということでいいかなあと思います。  4つの具体的な議題については、だいたいお話をさせていただきましたが、まだ若干、 時間がありますので、5の「その他」ということで、何か議題はありますでしょうか。 山本補佐  事務局から資料のご紹介をさせていただきます。参考資料は、先生方にご議論いただ いた強膜の利用について、先だっての臓器移植専門委員会に、こちらのほうから審議過 程としてまとめて提出させていただいたものでございます。 眞鍋委員  厚生省にお尋ねします。強膜に関する対応ですが、これは厚生省側から各アイバンク に対して強膜のあっせんもしたいということを提起しなさいということを指導してくだ さるんですか。それとも、眼球銀行のほうから各アイバンクに対してこうしたら、こう いうことが認められるということを言ったほうがいいんでしょうか。 山本補佐  私どものほうでは、こういう方針が出ましたら、あっせん業の許可の変更申請の様式 をつくり、各都道府県、それからアイバンクにもお伝えします。若干、その事務手続き にしばらくお時間をいただきたいんですが、逆に眼球銀行協会の先生方も、もし機会が あれば、こういう方針が決まったので、手続きをとる体制を整備して、強膜のあっせん についても許可をとってやっていただければ、と。私どもとしては、その際に、先ほど ご議論いただきました、記録の保管と強膜の保管管理について、最低限の体制をとって いただけたところに許可を与えるというような形も必要かと思っておりますので、そこ も整備したうえで進めたいと思います。 佐野委員  これからまた、ご議論されると思うんですが、日本における登録がなぜ少ないかとい うことの解明とその対策なんですが、このあいだ、文部省の中教審で意見を求められた んですが、文部省の答申は勉強のことばかり、小・中・高と、同じことを言っているん ですね。こんなことでは改革にならない。日本人は奉仕の精神とかを、小学校から教育 しなければいけない、臓器移植がカリキュラムにあるかどうか知りませんけれども、ぜ ひ、厚生省から文部省のほうに、子供のときから、そういった、臓器移植が尊いもので あり、奉仕の精神が大事であるということを教育していただけるよう働きかけていただ きたいという感じがしています。  それから、あと、そのPTAをつづるとか、企業の方たちにも説得するとか、幅広い 活動をしないと、これは解決していかないだろうという感じがしていますので、その点 についても議論できればと思っております。 八木委員  強膜をやりだしたら、将来的に、あっせん手数料とかはどうなるんでしょうか。やは り、わざわざ申請して許可をもらってやるのであれば、そういう、手数料がとれるとか ということがないと、なかなかやらないというか、難しいんじゃないかと思うんですが、 その点はどうなんでしょうか。 木下座長  非常にいいポイントですね。実際的なところを、ぜひ、考えていただければと思うん ですが。 山本補佐  診療報酬の問題については、眼科学会、各界からご要望いただいておりますし、角膜 そのものも、いろんな技術も進んでいるようですから、これをアピールしていくという ことでいかがでしょうか。 木下座長  わかりました。ぜひ、厚生省内部でも善処していただきたく思います。それでは、次 回の本作業班の開催日程について、調整させていただきたいと思うんですが。 山本補佐  今日、ご欠席の先生もおられますので、追って、事務局のほうでご連絡し調整をとら せていただきます。 横瀬委員  だいたい、いつ頃になりますか。 山本補佐  実態調査のあとがいいのか、調査票ができた頃がいいのか……また、他にも議事がご ざいます。そもそも、こうやって一生懸命議論しているいちばんの根幹は、眼球の提供 を促進して、角膜移植を進めていくという方向のために、信頼を得るシステムはどうな のかとか、社会的に信頼を得ていくために、どういう安全性を確保したらいいかとか、 体制を整備したらいいかとかという議論をしているわけです。しばりつけていって、難 しくしていくために議論をしているのではなく、基盤を整備したうえで発展させようと いう議論をしているわけです。その点の課題等もまだ、輸入角膜の問題等、いくつか課 題が残っていますので、事務局のほうで整理させていただいて、日程調整させていただ きたいと存じます。 木下座長  多少、不手際もありましたが、これで本日の作業班を終わらせていただきます。どう もありがとうございました。 問い合わせ先  厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当  山本(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03−3503−1711