99/06/01 第16回疾病対策部会臓器移植専門委員会        第16回公衆衛生審議会疾病対策部会臓器移植専門委員会          日時   平成11年6月1日(火)                9:30〜12:20          場所   厚生省共用第6会議室 出席者 (○:委員長 敬称略)  浅野 健一 井形 昭弘  板倉  宏  大久保 通方 大島 伸一 大塚 敏文  菊地 耕三 桐野 高明 ○黒川  清  小泉  明  小柳 仁  竹内 一夫  田中 紘一 谷川 久一  野本 亀久雄 藤村  重文 町野 朔  眞鍋 禮三  矢崎 義雄 山谷 えり子 1.開 会 2.議 題   (1)臓器移植に係る諸事項について      (2)第1例目の脳死下での移植事例に係る検証作業について      (3)その他について 〇事務局  お待たせしました。定刻になりましたので、ただ今より第16回公衆衛生審議会疾病対 策部会臓器移植専門委員会を開催いたします。  はじめに本日の委員の出席の状況でございます。矢崎委員からご欠席との連絡をいた だいております。あと、お二方の先生がお見えになっておられませんが、間もなくお見 えになると思います。本日は参考人としまして肝臓の移植希望者選択基準作業班の座長 であります埼玉医科大学第三内科教授の藤原先生にご出席をいただいております。  続きまして資料の確認をさせていただきます。最初に本日の議事次第ということで す。議題(1) 、臓器移植に係る諸事項についてということで5点。議題の(2) 、第1例 目の脳死下での移植事例に係る検証作業について、ということで2点、(3) その他、を 予定しております。  続きまして、次のページに先生方の名簿、藤原先生の名簿、本日の配席図です。次に 資料一覧がございます。  資料1  心臓の移植希望者選択基準について、6ページございます。  資料2  肝臓の移植希望者選択基準について、5ページございます。  資料3  ドミノ移植について(案)、5ページございます。  資料4  臓器提供意思表示カードの表示の変更について(案)2ページございます  資料5  角膜以外の眼球組織の利用について、3ページございます。  資料6  日本臓器移植ネットワークの行う臓器あっせん業と、アイバンクの       行う眼球あっせん業の関係について、2ページございます。  資料7  臓器移植事例に係る情報開示とプライバシー保護の両立について、       7ページございます。  参考資料 分割肝移植に係る作業班について、1枚添付してございます。  資料は以上でございます。お揃いでしょうか。不備等ございましたら事務局にお申し 出いただきたいと思います。では黒川委員長よろしくお願いします。 〇黒川委員長   おはようございます。議題にありますように、前回は高知の検証についての、医学的 な検証の報告をいただきました。これについても後でまたご意見を伺うとしまして、議 題にあります臓器移植に係る諸事項について、ということをはじめます。  まず1です。心臓及び肝臓のレシピエント選択基準ということが書いてございまし て、これについてそれぞれの作業班、一応検証認定する班があるわけですが、この作業 班について検討していただいておりますので、それぞれの検討結果について、とりまと めの結果を説明していただくということを企画いたしました。  まず心臓移植ですが、矢崎先生が作業班の座長ですが、今日は欠席ですので、そのメ ンバーでございます小柳委員にご説明をまずいただきたいと思います。資料の1をご覧 くださいませ。では小柳委員よろしくお願いします。 〇小柳委員  矢崎先生がご欠席のため、私が代理をします。5月10日に作業班が開催されまして、 この資料の1にありますのが、対策室でまとめていただきました選択基準の、大した改 定はないのですが、改定案です。  問題のないところもありますので、逐条ではなく問題のところだけご説明申し上げた いと思います。  1.適合条件です。ABO式血液型です。ABOは問題はございません。この表現で よろしいというふうに全員一致しました。1の(2) の体重ですが、小児の極端な事例と いうか、体重300 %でも成功した例があるという表現もございましたが、6歳以下とい う表現のところを小児としまして、はば広い易しい表現に変えた、小児である場合はこ の限りではないと変えてございます。1.適合条件のところはそれ以上の変更はござい ません。  2.優先順位であります。虚血許容時間、これも問題ないということになりました が、(2) の医学的緊急度、Status1でありますが、補助心臓、大動脈内バルーンパンピ ング、人工呼吸、ICU・CCU等の重症室に収容され、このような表現も問題ないと 思われますが、カテコラミン等の強心薬というところが少し変わりました。ご存じのよ うに従来のカテコラミン、ドーパミンであるとか、ドブタミン以外にミルリノン等の強 心薬と表現してよいものが使われておりまして、例えばヨーロッパなどではファーマル コロジカルブリッジ、薬理学的ブリッジという言葉も使われているくらいでありまし て、ミルリノンなどに乗っかって、何とか移植を待機するという患者さんも次第に増え つつありますので、カテコラミン等の強心薬という表現にかえさせていただきたいと思 っております。  このStatusの確認でございます。これは時々刻々変わるものでありますので、主に移 植施設がレシピエントの管理をしていると思いますが、移植施設とあるいはレシピエン トの収容されている病院と、ネットワークとのルートをもう少し容易な太いものにしよ うということで、その具体的な方法を少し検討しました。  心移植の特定施設は、登録患者のStatusの変更があった場合には、リアルタイムで日 本臓器移植ネットワークに連絡する。あわせまして日本循環器学会の心移植適応検討委 員会にも報告するということになりました。  心移植の特定施設、日本臓器移植ネットワーク、および日本循環器学会の心移植適応 検討委員会の代表によりまして、少なくとも月一回は登録患者のStatusを確認する、こ ういうことが提案されました。  これはこの文章には表立っては出てまいりませんが、具体的にはあるメカニズムがで きあがったと思われます。  私どもは例えば心移植施設の当事者にとりまして、ネットワークの敷居が高いという 感じが多少しておりまして、Statusの変更をどの程度頻繁にご報告申し上げていいもの かよくわからなかったのですが、仮に月一回といたしましたが、実際には変更があった 場合にはリアルタイムですので、頻繁にご連絡申し上げることができるということにな ろうかと思います。以上です。 〇黒川委員長  ありがとうございました。この資料1の一番最後を見ていただきますと、ここにレシ ピエントの選択基準の作業班の名簿がありまして、ここにありますように矢崎先生が委 員長ですが、その他にこのような先生が検討されているわけであります。この先生方が 心臓委員の希望者のStatusについて、あるいはそれの状況の治療の一部変更をされたわ けですが、これについて何かご意見はありますでしょうか。  これは比較的医学的な問題ですので、恐らく循環器内科の先生と心臓移植に係わる先 生方の意見としては一致するのだと思いますが、問題は、小柳先生がおっしゃったよう に、こういうレジスターした人がいて、Statusを決めていただくのはいいのですが、こ ういう状況が時々刻々かわることがある。例えば1か月経過して、更に進んで補助心臓 を付けたとかいろいろなことがあるわけです。そういう時に、オートマティックにここ の委員会を通しながら、ランキングが変わってきたという話を、Statusが変わったとい うことを、一々ネットワークの方にレジスターされないと、実際にドナーが出たとき に、対応が非常に遅れる、間違ってしまうことがありますので、このメカニズムをきち んと入れていただけるというふうになったようであります。  少なくとも、一月に一回、この委員会の方でStatusの変化、その他について確認をす るという作業をされるようですが、その他に状況がかわった場合には、定期的なミーテ ィングの他に、恐らく委員長なりに連絡すれば、皆さんを呼んで確認して、そのかわっ たということをファックスなりで誰かのサインが付いたものをネットワークなりに送っ ていだたくなりにすれば、そこで受信の確認をすればいいかなと思います。 〇藤村委員  待機される方が非常に多くなった場合に、同じようなステータスの方がたくさん出た 時にどうするのかということをお聞きしたいのです。 〇小柳委員  既に先日もそういう作業が行われたわけです。心臓の場合には血液型と体重と待機時 間で自然に順位が決まりますので、特に問題にはなりませんでした。過去の2例とも順 調に順位が決まったと思っております。肺と違って緊急度、Statusというのがあります ので、それで上手くいっているのではないかと思っています。 〇山谷委員  1回目のときにはミスがあるのではないかというか、申請というかミスがあって、直 ぐにそうであるという形になったわけですが、これから増えていくと、余計に不服申請 のようなことは起きないのでしょうか。 〇小柳委員  私がお答えすることではないかと思いますが、それはネットワークが公平・公正にや るお話です。 〇山谷委員  すると不服申請の時間とかシステムを導入するというお考えは全然ないのですか。 〇小柳委員  恐らく月一回の学会の適応検討も含めた移植施設の集まりがあって、コンタクトパー スンも集まりますので、そこで何か問題があった場合には見つけられるということと、 実際には具体的なテクニカルなこととして月一回としましたが、実際には常時、いつで も集まって本当のStatusを確認するというような作業が行われるのだと思います。そう いう外から見えるクリアなメカニズムが出来つつあるとお考えいただいた方がいいと思 います。 〇黒川委員長  今いったように選定委員の方にStatusが変わったようなこと、あるいは治療がかわっ てきたときに、直ぐにレジスターして、そこで順位の変化があったということを、その 委員会で検討した上で、ブロックの方に上げているという作用がコンスタントに行われ るということがこれから大事なのではないでしょうかね。そのメカニズムが確立してな かったところに、この間のようなことがあるのではないかと思います。その他に何かあ りますでしょうか。 〇井形委員  この選択基準は、一つは具体的などの症例を選択するのかというのは重要であります が、一つは対外的にこういうルールで公正にやっていますということを、表現すること でありますから、私の感想ですが、断定した条件と望ましいという条件が2か所あるの です。これは具体的にはどういうことかというと、同じ条件であれば、例えばサイトメ ガロウイルスの陰性者を優先する、そのような意味に解釈してよろしいかどうか。可能 であれば望ましいという表現は避けた方がいいのではないかというが私の意見でありま す。 〇小柳委員  サイトメガロはわが国は陽性が多いので、恐らくそういう事態にはなると思っていま す。望ましいという表現を使った、最初の第一例が出ます前にレシピエントの選択基準 は存在しましたので、大きな変更はしない。この国であと数例はこのままでいくという ようなことで、大きな軸の変更はしてございません。問題が起きそうなところだけしま したので、望ましいという表現は将来は検討事項になるのでしょうか、そう思っていま す。 〇山本補佐  事務局から今のご質問です。基本的にはこの書いてあることはABO型もしくは虚血 時間、ステータスで選びます、それで望ましいというのは体重については裏に理由が書 いてございますが、推定体重であったり、レシピエント側も体重が移動しているという こともございますので、基本的にはそのデータを付記して、体重を考慮しないでネット ワークは選定を行って主治医に返します。最終的には移植医がその状態を確認して、こ の体重差も加味しながら、移植ができるかどうかという判断を、最終的には移植医が行 うということで、ネットワークの選択においては、体重差がこの基準をはみ出ているか ら選択しないとか、するということは行わない、そういう趣旨でございます。 〇黒川委員長  その他にどうですか。よろしいでしょうか。では心臓については前よりちょっとシス テムが整備されましたので、これからはリアルタイムでネットワークには登録の順位の 変更については、滞りなく行われるというシステムができそうですので、これでよろし くお願いしたいと思います。ありがとうございます。これでまた何かありましたら、適 宜変更させていただきますが、これで少し整備されたと思います。  ご意見がなければこのようにさせていただくことになりました。次に肝臓の移植希望 者の選択基準について、作業班がありましたが、この検討結果について今日は作業班の 座長の藤原先生に来ていただいておりますので、藤原先生からよろしくお願いします。 〇藤原参考人  5月14日に第1回目の会議を開催し、選択基準に係わる改正点を検討しました。お手 元の資料2をご覧いただきます。最初の1ページ、2ページにまとめております。3 ページと4ページに現行のものと対比した表がございます。主な改正点は4点ありまし てご説明いたします。  第1点は肝臓移植対象疾患のうちIII群これは5点とされたものですが、ここにあった B型のウイルス性肝硬変をII群の10点の方に変更したということであります。  理由は、現在ラミブジンや抗HBsヒト免疫グロブリンを術前あるいは術後に使用す ることにより、B型ウイルス性肝硬変の再発がかなり予防されている現状で、C型ウイ ルス性肝硬変と同等の成績が期待できるようになっているからであります。  第2点目は、I群の劇症肝炎には現行では亜急性が( )として付いてございますが、 この亜急性を除くことにしました。その理由は劇症肝炎の亜急性型というのは、現在で も80%以上の症例が死亡して、極めて重篤ではありますが、急性型も50%は死亡すると いうことであります。  また現在私ども肝移植適応評価委員会で用いている劇症肝炎の選択基準にも、急性型 を排除することには決してなっていないという現状がございます。  第3点は、医学的緊急性で予測余命が1年以内を3点とし、1年を越えるものは1点 とするということです、また、ただし書きとして、その下にありますように、先天性 肝・胆道疾患については、肝移植が治療的意義を持つ時期、および患者の日常生活に障 害が発生している状態を考慮した上で、点数のいずれかを用いることがある。この点数 は肝移植適応評価委員会において決定されることを加える点であります。  理由を申し上げます。まず肝移植適応評価委員会で用いている現行の選択基準にはい ろいろな細則がございますが、従来の治療法では余命1年以内と予測されることを原則 としております。しかし、原則を適応させていない例外として、先天性の肝・胆道疾患 に対してだけは、肝移植が治療学的意義を持つ時期、先日のFAPはその典型でござい ますが、あるいは患者の日常生活に障害を発生している状態を考慮し、いずれかの点数 を付けているのが実情だからであります。  予測余命1年以内ではありませんが、適応がある症例というのがあります。あるいは 経験的に明らかに余命が1年以内と、推測されましても、現在用いている基準に従いま すと、医学的緊急性が算定できない症例も結構多くあります。その結果これら症例は選 択リストには載らないで、登録のみとして受け付けておりますが、病態の変化等によっ て、医学的緊急性の算定が可能になれば、データ修正することによって、登録日はその ままとして選択リストに載せております。これがこれまでのやり方でございます。  このようなやり方でこの1年以上にわたっ評価してみましたところ、I群とII群あるい はIII群との間の点数を大幅に変えている目的は、先生方がご承知の通り、再発の少ない ものを優先的にやって、国民に安全性を見ていただくと私は伺っておりますが、その目 的に逆行するような事態が生じうることが予想されたことであります。  すなわち再発の頻度が高い、IIないしIII群の症例がI群の症例よりも優先されて選択 される可能性がことがわかりました。そういう理由から、先程申し述べたような改正を いたしました。  もう一つございます。その他の項目です。この当細則全般を、10例実施された時点で 見直しをするという文言がありますが、これを当基準全般を、最低毎年一回は見直すと 改正いたしました。その理由は移植医療におきましては、先程B型肝硬変でご説明しま したように、最近の進歩には著しいものがあり、したがって、毎年の見直しが必要と考 えられたからであります。以上です。 〇黒川委員長  いかがでしょうか。 〇菊地委員  優先順位の医学的緊急性の部分になります。コンピューターの管理上、例えば予測余 命が1か月以内というふうに登録をされていて、その1か月をこえた場合にはどういう ふうに管理していくのかということが1点です。例えば1か月を越えた場合、オートマ ティカルに1か月から6か月以内の方に落としていくのか、というようなお考えは何か あるのでしょうか。 〇藤原参考人  肝臓病学におきましては、1カ月・6カ月・1年と余命を、厳密に予測することは極 めて困難であります。例えば劇症肝炎で現在用いている基準に従いましても、これの正 診率は、全国調査でも、80%程度でございます。したがって1か月と予測したものが2 〜3か月延びるということは時々生じます。  そういう状況下ですので、私どもは現在は実施施設の方から、その都度にデータの修 正を受けることで9点を6点にする、あるいは逆に6点を9点にするということをリア ルタイムでやっております。 〇菊地委員  わかりました。 〇黒川委員長  これは藤原先生の委員会の方で、ドナーで登録している人についての検討を定期的に 行ってくださるということですね。 〇藤原参考人  私の立場は二つございます。適応評価委員会の方の立場では適応の評価、つまり何群 の疾患であるのかという点と、医学的緊急性が何点であるのかという2点を評価して、 実施施設に返すという作業だけです。その実施施設からネットワークへの登録がそれに 沿って行われるわけです。ネットワークから私どものところには、その登録された患者 の結果が送られてくるだけでありまして、それを見ながらこうだこうだと、例えばネッ トワークに対してどうだということは、勿論しておりませんし、あくまでも実施施設と 適応評価委員会の関係という形でやっております。 〇黒川委員長  そうするとさっきの心臓もそうですが、実際のレシピエントで登録された方の医学的 な状況は時々刻々変わることがあるわけですよね。それはそこから直接ネットワークに 報告して、アップレートするということですか。 〇藤原参考人  これは実施施設の先生にお伺いするのが一番よろしいのですが、私の推察では、実施 施設の先生方が、患者との接する中で、刻々とかわっていく病態から点数を見直しをし ないといけないというときに、はじめて私どもの適応評価委員会にあがってくるという プロセスです。私どもは直接患者と接触しているわけではございません。 〇黒川委員長  そうすると受持ちの先生、フォローしている人が、点数が変わった状況になったとい うときには、これこれこうだから変わるぞ、というところを先生の委員会に上げてくる わけですね。するとそれが今度はその先生に、そうだね、という話しで、そこからネッ トワークに来るわけですね。わかりました。それでよろしいですか。 〇小柳委員  肝臓は全く素人でございますが、平均余命の科学性についてお伺いしたいのです。と 申しますのは、心臓移植の場合もこのことが随分長い間論議になりまして、予測余命が どのくらいということを選択基準に入れてきたことかあるのです。20年間くらいずーと 見え隠れしておりましたが、結局科学性が難しい、それから予測を越えた場合に、内外 からの批判を結構受けるのです。それで取り外してしまって緊急度Statusになったとい う経緯があるのです。内外の肝臓病についての平均余命の科学性などについては、報告 その他では、最近はどうなのでしょうか。 〇藤原参考人  劇症肝炎については先程例として申し上げました。他の疾患、現在私どもは全部で20 〜30種類の疾患に関して、先程の点数付けをやっておりますが、その基準の作成に際し ては、外国のものを参考にし、あるいは本邦でも適応評価に関する研究会が従来ありま して、それらで取り上げられているいろいろな案について、最もよさそうなものを基準 としてスタートさせております。  実際にやってみますと、先程の例にもありますように、ずれることは大いにあり得る ことではありますが、現在、研究会あるいは学会の都度に、この基準に合わない症例と いうものを取り上げて、今後さらに精度を上げるような算定式も工夫しないといけない と考えております。いずれにしましても、このような形の点数付けをスタートさせてお りますので、これに関して正診率は、まだ先生のおっしゃる科学性という点では、若干 不備な点もございますが、運用して、今のところはそう大きな問題は出ておりません。 〇桐野委員  今のことでおなじような質問・疑問をもったのです。心臓の方はわりに計測可能な データでやっておられるのですが、肝臓の方は多分いろいろと難しい問題があって、こ のようにされたのではないかと思いますが、可能性として、こういう平均余命というよ うな形以外のパラメーターを選択基準に入れるような可能性というか、こういうことな ら、このパラメーターに入れられるというようなことは検討しておられるのでしょう か。 〇藤原参考人  それはまさしく先日の第1例目が典型的な例でございます。先天性の代謝性疾患の場 合には、そういう点がむしろ基準になっております。つまり発症から5年以内に移植を しなければ、その以降では全く移植の治療学的な意味を持たないという場合です。ある いはQOLが極めて障害されているという事態を十分に考慮し、個々の疾患について、 移植治療効果の限界ということを基準として予測余命の1年なり何なりに相当するもの として評価しております。これが先程ご説明した例外ということでございます。 〇桐野委員  なぜかと申しますと、この基準で多分いろいろと肝臓固有の問題があって考えられた のだと思いますが、もし移植希望者がかなり増えてきた場合に、1群の患者が、かなり の数あって、医学的緊急度で優先順位を決めるようになった場合に、その辺のところが 将来的には多少競合して、この客観性がまた同じようなことが言われる可能性があるの ではないかと思ったのです。 〇藤原参考人  もしドナー発生が増えた場合にも、自動的にネットワークに載っている点数の順番で いくということですので、もし今回の改正案を認めていただければ、さらに数が増える とちょっと事情が変わるとは思いますが、現状のように数例程度の発生では、大きな問 題にはならないのではないかと思います。  2月の28日の時点で、適応評価委員会は66例適応評価しておりましたが、あの時点で 確かネットワークの登録数は32例であったと記憶しております。あの時点でドナーの血 液型によっては、何番目かのところの人が当初の目的からずれていく、つまり優先順位 の1位の疾患群でないものにあたる可能性はあっただろうと思います。そういうことも 考慮して、今回のような配点を提案申し上げたわけであります。  したがいまして、優先順位の決定ということになりますと、これはネットワークの機 械の操作ですので、少なくとも適応評価委員会の人為的なものは全くそこには入り込む 隙はないのが実情です。 〇谷川委員  心臓の方とちょっと違う点は、疾患によって多少優先順位が違うということですが、 僕たちはこれを決めた場合に、できるだけ点数化して、客観性があることをしようとい うのが一つです。  2番目は、心臓にくらべて、日本は肝疾患の死亡は欧米に比べて遙に多いですね。例 えば、英国に比べて5倍も多いということで、とても沢山の希望者があるという背景な んです。そういう背景で、一方ではドナーが凄く少ないという背景の場合、癌の患者と かあるいはビールス性の疾患の場合に、また再感染してすぐに亡くなってしまうという ようなことになると、折角の医療が十分に発揮できないということで、多少は疾患の優 位性を作ったということが2番目です。  3番目は、藤原先生がおっしゃったように、しかしながらB型の肝炎のコントロール も大分できるようになったので、少しずつ優先順位を変えていく。医学の進歩とともに 変えていくということです。  もう一つは、予後の問題です。これは私どもは10年前から研究会やその他でやってま した。例えば劇症肝炎と、原発性胆汁性肝硬変には、相当いい予後を推測するプログラ シンインリャクスを作っております。ですからそういう幾つかの疾患においては、この 患者さんの予後はどうなるのかというのは相当に分かってきます。しかしながらまだ分 かってない疾患も沢山あるので、それは肝臓学会その他の研究の重要な課題の一つにな っていて、段々予後の推定も相当の確率でよくしようということで、ここにもまた反映 できるのではないかと思います。以上です。 〇黒川委員長  確かに桐野委員がおっしゃるように、この場合には原疾患と医学的緊急度だけですの で、ちょっと奇異だという気もしますが、今後こういう人達が増えたときに、どうなる のかなということもあると思うのです。一応肝臓移植希望者の選択基準にもそういうこ とで、最後のページにありますような専門家の先生方が外国でのいろいろなデータも参 考にした上で、このようにしていただいているのです。  これは恐らく日本では生体肝移植という特殊な医療がかなり普及しているということ が一つと、脳死の肝移植がほとんどないというような状況ではこうですから、これはま た変わってくれば、それなりにまた変わってくるということがあるのではないかと思い ますので、現在のところはこうしたらどうか、それで一部変更したということと、先程 いったように状況が変わってきた場合には、そこの主治医の方から先生方の委員会にい って、それを検討、承認した上で、ネットワークにまた承認されたデータがでる。報告 していただけるということありますので、こういうようにしたいということですが、そ の他に何かご意見ございますか。  よろしいようでしたら、藤原先生大変ありがとうございました。ではこのようにさせ て差し当たり1月ほどまた見ていただけるわけですが、事務的に厚生省の方からこのよ うになったということで、ネットワークに方に報告していただくということをお願いい たしたいと思います。よろしいでしょう。  では次の議題です。ドミノ移植であります。ドミノ移植については幾つかご存じかと 思います。ドミノ移植につきましては最初は熊本大学の話がでまして、その頃に、それ は去年の年末であったような気がしますが、この専門委員会でも1回やりました。2月 の専門委員会で、移植学会でのドミノ移植に関する安全性等の医療技術的な事項につい て、ドミノで肝臓を取る、それを移植するというときに、どのくらいの安全性か、手術 の技術についてどのくらいのものがあるのか、という話も一応ご説明いただいて議論し ていただいたわけであります。  その時に移植ネットワークにおいて登録されているレシピエント、つまり脳死を前提 とした肝臓の移植について、ネットワークにレジスターされているようなレシピエント に情報を提供を行うということを、この専門委員会では合意を得ているわけです。  これについては日本移植学会の方の見解、それを受けての事務局ということのとりま とめた今後の対応というのがあります。これはあくまでも移植ネットワークについて は、脳死を前提にした移植についての斡旋をするということでありますが、ドミノの場 合にはその意味からいうとちょっと違うのですが、これについて、今後の対応について の案ということで説明をいただきたいと思います。  移植学会にお願いしてましたので、田中委員から移植学会のご見解ということを説明 していただきます。資料の3でございます。田中委員よろしくお願いします。 〇田中委員  経緯と今後の対応については、黒川委員長の申された通りでございます。移植学会と してドミノ移植に対する医学的評価という点について、野本先生からのご指示で、私が 中心になって、あとは信州大学の川崎教授、2〜3生体肝移植をよくおこなっている先 生方、そういう先生方とも相談して、以下の点について検討しました。  一つは、ドミノ移植が欧米でどのような現状であるのかという点です。これは前回の 委員会でもありましたので、この点については資料の3ページに記載した通りです。問 題はこの家族性アミロイドポリニューロパチーの患者さん、FAP患者と呼ばせていた だきますが、このFAP患者さんの生体肝移植が、FAP患者さん並びにFAP患者さ んに提供されるドナー、肝臓を提供されるドナーの生体肝移植が、特別の危険性がなく 行われるかという点が第1点です。  もう一つの点は、そのFAP患者さんから、どうぞ肝臓を利用してくださいとして摘 出された肝臓を、次の患者さんに安全に提供できるか、手術ができるのかという2点が 中心であります。  生体肝移植が脳死の肝移植と異なる点は、ドナーの肝臓を提供するドナーの肝切除が 必要ですが、その肝切除で、切断するべき血管の部位が決まってきますから、この血管 を長く取る、短くとるというドナーに対する侵襲が大きくなるかという点は、考えられ ないということであります。  したがって最初にFAP患者の生体肝移植は、ドミノ肝臓移植の施行の有無にかかわ らず、全く独立しておこなわれますので、その施行に影響がないと考えます。つまりF APの患者さんに提供するドナー、FAP患者さんの肝臓を提出することについては問 題なく行われるというのが見解であります。  FAP患者さんから、摘出された肝臓をどうぞ利用してくださいということですが、 その利用する肝臓の使用についてどうだろうかということでございます。これは生体肝 移植でも提供される肝臓が利用できるかどうかというのは、手術の前に十分調べるわけ でして、術前に肝機能を調べます。画像検査等で腫瘍がないだろうかとか、あるいは脂 肪肝がないだろうかとか、あるいは血管の走り方が特別な肝臓ではないだろか、そのよ うなことを手術の前に調べますので、この手術の前にFAP患者さんの肝臓が利用でき るかどうかというのが評価できる。それが第1点です。  次に実際に開けてみまして、つまりFAP患者さんの移植のときに、開腹しまして、 肝臓を摘出するのですが、これは脳死の肝臓移植でもそうですが、この摘出するときに その肝臓が痛んだりすることもあります。あるいは摘出するときに血管そのものが損傷 することもあるわけですから、そういうものは実際に手術のときに、この肝臓が使える かどうかという最終判断は、手術の時点で再度確認できる。  最終的には実際に摘出して保存して、その肝臓を調べるわけですが、この3つの時点 で最終的に提供できるかどうかが確認できるということから、以上まとめますと、FA P患者さんの家族についての生体肝移植は独立して行われる。実際、FAP患者さんが どうぞ利用してくださいという肝臓について利用ができるかどうかの判断は、以上のス テップでできるということです。以上でございます。  では実際に、このFAP患者さんの肝臓を移植に使用する是非が、3番目に記載して いる通りです。理論的背景としては、FAP患者の肝臓は、遺伝子の異常によってアミ ロイドーシス、つまりアミロイドという蛋白が体に溜まっていくわけですが、実際にF AP患者さんそのものは発症までに20年〜30年かかること、そのアミロイドーシスとい う遺伝子を持っても、発症率は100 %ではないこと、万一発症しても経緯が緩徐である ことから、もしFAP患者さんの肝臓をいただいた患者さんにとっては、再移植の余地 があること、こういうことから、こういうことを十分に説明して、お考えいただいてイ ンフォームド・コンセントを得られれば実施が可能と考えます。以上の2点を、日本移 植学会としてドミノ移植に対する医学的評価とします。以上です。 〇黒川委員長  ありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。FAPという非常に特 異な病気です。日本でも数は少ないですがないわけではない。ポルトガルに散発してみ られている病気です。トランスサイレチンという異常な蛋白を肝臓が作る、実際に発症 するには20年〜30年かかるということです。  3ページ以降の別紙です。確かに95年のポルトガルで第1例が行われて、以後スウ ェーデン5例、ポルトガルで8例、ドイツで4例と書いてあります。次のページの最後 ですがドミノ肝移植についてはヨーロッパを中心に数十例の報告があって、1995年にポ ルトガルで第1例、これまでスウェーデンで5例、ポルトガル80例とありますが、これ は8例の間違いですね。わかりました。  いかがでしょうか。この間田中先生に伺ったときには、こういう人は生体肝移植を受 けるわけなので、肝臓は取る、それで生体肝移植を受ける。実際に生体でなくても脳死 肝移植でもいいわけですが、その時に肝臓は要らないから取る、摘出した肝臓はしかし 肝機能はいろいろ調べて正常だし、異常な蛋白というトランスサイレチンを作っている 以外には、機能は差し支えない。それを必要な人に移植してあげよう、移植してもトラ ンスサイレチンがあっても、結果としてアミロイドシスポリニューロパシーが出るには 10年20年はかかるだろう。そのことからいえばベネフィットの方が多いという患者さん には、これを移植して差し上げようということであります。  さてそこで議論になったのは、このFAPの方の肝臓を摘出するわけですが、その人 は生体あるいは死体から肝臓をもらうわけですから、移植のための肝臓の摘出をする。 だが取った肝臓を人に使うとなると、余分に血管をとったり、いろいろと術がかわるの ではないか、それがこの患者さんの移植にマイナスの影響を与えては困るという議論が あったわけです。  熊本大学ではそういう理由で、あの時はリジェクトしたのですが、田中先生が生体移 植を400 例も経験されてますが、その田中先生のご意見では、今回の検討ではそういう 不利はFAPの患者さんにはないという話です。これを使うために摘出するときに、患 者さんに手術的な不利はないというご意見でした。そうであれば、あげましょうという ときに不利は被らないというのが一つです。  ただこのときに移植を前提として術前のいろいろな検査をするわけで、血管の走行そ の他でアンギオグラフィとかいろいろやりますよね。それが移植をしないときに比べ て、どっちにしろ移植をするから、そういうことはするのではないかと思いますが、余 分な検査、検査の負担というのはありますがいかがでしょか。 〇田中委員  生体肝移植のときに、血管像映は殆どやってません。検査するのでは画像では超音波 検査とCTの検査が主ですから、これはレシピエントを評価するときにも必ずする検査 ですので、その意味では余分な検査はされないということです。 〇黒川委員長  これは普通はルーチンにはレシピエントについては、アンギオその他はやらないで、 CTとエコーということだと、余分な身体的負担はないということですね。 〇大久保委員  提供する、しない場合には、普通の生体肝移植だと思うのですが、提供する場合に、 ある程度検査が必要となった場合、もしくはその摘出の費用とかの費用面の問題はどう いうふうに考えたらよろしいのでしょうか。 〇田中委員  これはFAPの患者さんは今は保険が適用されています。次の患者さんの医療費につ いて、つまりFAPの患者さんの肝臓をいただく人については、疾患によって保険の適 用かどうか決まってます。今は殆どが保険の適用になってますので、逆にいえば医療に ついて特別なことは起こらないだろう。臓器提供者まで、患者さんの保険に全部入って いるのです。すると今度はFAP患者さんが提供するわけですから、今度はドナーにな るわけですから、そのドナーの医療費を最終のFAPの患者のものを頂く人の中に医療 費が含まれるのかどうか、この辺が少し手続き上は検討しないといけない。  ただ現実に医療費がそれをすることによって、過度の負担になるということはないと いうことです。 〇黒川委員長  過度の負担にはならないが負担にはなるということですか。 〇田中委員  FAP患者さんに関しては全くありません。 〇小泉委員  移植をうける患者さんの疾患ではどういう病名が多いのですか。 〇黒川委員長  これは生体肝移植と一緒だという気もしますが、いかがでしょうか。レシピエントが 脳死肝移植の適応の患者さんの場合と、その他に違うのがあるかということです。 〇田中委員  一応二つの方法が後で出てくると思います。二つのことが考えられると思います。一 つはFAP患者の生体肝移植をやる施設が、倫理委員会の学内でいろいろなことを検討 して患者さんを選ぶ場合、これは少し別な考え方があります。今度は日本臓器移植ネッ トワークにこの最終のレシピエントを選択していただくときには、脳死の肝移植の疾患 と全く差がない、ウエイティングしている人から選ぶということになります。 〇黒川委員長  そこで今後の対応の案というのが出てます。ドミノ肝移植の1ページ目です。その患 者さんがいるときに、その医療機関は必ずしも肝臓移植の指定を受けているわけではな いですよね。この間の熊本大学の場合もそうです。その時にその医療機関はどうするの か、誰をレシピエントにするのかということについては、ネットワークに登録されてい る患者さんはいかがでしょうかということを聞いてきた場合には、ネットワークはこう いう順番になってますという話を情報を差し上げる。その時には移植の希望の登録の患 者さんのリストの中の優先順位の高いものを選定して、その旨を伝え、情報を提供しま すが、その時にその旨を厚生省からネットワークに対して通知するという話になります が、あくまでも脳死の肝移植を前提としてのネットワークですから、もしお願いされれ ば、こういう患者さんがおりますということをいって、それでその旨を当該患者が待っ ている患者さんがいる入院・通院している移植の実施施設、今2か所あるわけですが、 それを経由して、恐らく患者さんが向こうにいけますかという話をするのか、あるいは 肝臓を運びましょうかという話をするのか、その辺は話し合いということになるという ことですね。  2番目です。もしそういうことではなくて、FAP患者さんからの肝臓の摘出を行う といっている生体肝移植なりをするところの医療機関が、自らの判断で自分たちの中に いる、あるいは大学の倫理委員会を通して、この人にあげたいといったときには、それ を妨げるものではない。つまりここはあくまでも、脳死の肝移植のときのあっせん業を しているわけですから、そうではないときには、そこがやるという仕事は元々やってな いので、それについては妨げるわけではない。  ネットワークが行う協力としては、優先順位の高い登録患者さんに対して、そこの登 録されている移植の機関があるわけですから、そこを経由して情報提供を行うことに限 る、ということを明らかにしていただいたという案でございますが、これについていか がかということでございます。 〇事務局  事務局で説明するべきことを先生にご説明していただきましてありがとうございまし た。もう少し細かく、手続き的な面を若干補足説明をさせていただきたいと思います。 資料3の2ページ目でございます。一番上の参考のところでございます。  ただいま委員長からご紹介になった方式で、臓器移植ネットワークの方から、情報提 供をする場合でドミノ移植をうけるという方がいらっしゃった場合ですが、ドミノ移植 については手術日が決まっておりますので、その間に本来の脳死からの移植が出た場合 の調整をどうするのかという問題が出てくるのだと思います。今考えておりますのは、 (1) で書きましたのは、ドミノ移植の手術について説明を受けた後、その実施に同意し ても、本来の脳死下での臓器提供に係る登録患者リストからは削除されない。そのまま 生きているということであります。  (2)で書いてありますのは、実際に手術日が決まっていて、その前に脳死下での移植 があって、たまたまその方が優先順位1番ということが起こった場合ですが、その場合 には当該患者さんがどちらかを選択する。脳死下で提供された肝臓を選択した場合に は、ドミノ移植については次の候補の方にオファーがあるという考え方ではどうか。  ドミノ移植を選ばれた場合に、ドミノ移植が最終的に実施された場合には、通常の脳 死下での肝臓移植と同様に登録移植から削除される。こういう取扱いにさせていただく のが適切ではないかと提案したいと思っております。 〇黒川委員長  いかがでしょうか。事務局としてはFAPはあくまでもエレクティブなサージェリー ですから、そういうプロセスがあって、例えば来週にしましょうということで、全部病 院の中の倫理委員会も通って、来週あるいは再来週にしましょうといったときに、患者 さんが移るそして入院するという準備があるわけですが、その間に脳死の情報が出たと きにどうするのか、その人は相変わらず1位であったとすると、その患者さんに脳死が 出たが、あなたは再来週といっていたが、脳死は出たがやりますかという話は、当然情 報を差し上げる、どっちにするかは患者さんが決めるということであります。  そういう情報が本当に起こるのかどうかもわかりませんが、起きたことも考えてそう いうことをする。それで患者さんがやっぱりドミノにいこうということであれば、脳死 の場合はその次の順位の人に今度はいく。この方がもしドミノではなく脳死にしますと いった場合には、ドミノのその次に待っている患者さんにオファーされるという話にな るということであります。勿論、両方とも移植を受けられれば待機の患者さんからは外 れるというプロセスであるということです。これを一応事務的に確認しておかないと、 そういうことは起こりそうもないかも知れないが、起こったときに、何も考えてないの かと言われると具合が悪いので、このようにさせていただければどうかということであ りますが、いかがでしょうか。手続きとしてはこういうのがリーズナブルではないかと 思います。 〇大島委員  ネットワークに連絡しない場合には、そこの施設の判断で肝臓をつかうということに なるわけですね。そうすると、そこの施設がどういう基準でもってやるのかということ については、これは全くそこの施設の自由である。それはちょっと少し不味いことが起 こるような感じがするのです。例えば腎臓などの場合に、ネットワークが具体的に臓器 移植ネットワークになってからそういう事例が発生しているのかどうか、私はよくわか りませんが、それまでも一応ルールをつくって腎臓のシェアリングというのを行ってい たのですが、例外的な状況というのは、ご本人あるいは家族の希望が、例えば愛知県な ら愛知県の人にどうしてもやってくれというような、非常に極端な例ですが、私は経験 したのは静岡の方が岐阜県でなくなって、その時にご家族の方が静岡県の人にどうして もその腎臓を入れてほしいということを非常に強くリクエストされて、その場合にはご 本人あるいは家族の希望というのが了解されたという経緯があったのです。  こうした場合もある程度ルールを作っておいた方がいいのではないかという感じがす るのです。 〇黒川委員長  大島先生のご意見ももっもとで、実際は生体肝移植の場合には、どうしてもドナーと レシピエントの間の血縁関係というのが多分あるわけなので、あくまでも善意の家族間 のドナーですよね。今まではね。400 例を先生がやられてもそういうわけで、部分肝移 植をやるわけです。この場合には治療としてとってしまう肝臓だから、善意といっても 他人である、でも渡す人がいろいろ話を聞いて、実はうちの親戚にこういうものがいる のだが、この人にやってくれといった場合には、今の腎臓移植もネットワークに来る死 体腎の場合も、特に子供のドナーが出たときに、ご両親が子供にやりたいといったとき にはそれをさせることにしてます。あとは身内にどうてしも一つあげたいというとき も、これはある程度はドナーの意思、家族の意思は尊重しないといけないかなと思うの で、一つはそれをやったことがあります。この話も似たような状況です。良いのか悪い のかというのは結構難しいなと思います。  肝臓移植の施設がまだ2つしかないというところに問題があるのかも知れない。例え ばこれで肝臓移植の施設が今やっているのが増えてきて、そのうちに5つとか10とか 段々増えてくれば、そういう問題は比較的に少なくなってくる。恐らくそういう患者さ んのいるところも、そういうところに当たる可能性が多くなれば問題は少なくなってく るのかも知れない。生体肝移植と同じような適用を選ぶのであれば、そういうところの 先生方は、今は指定されてなくっても、多分移植の専門の先生方でしょうから、自ずか ら適用については決まってくる、ただドナーと患者さんの間の関係がどうかということ については、今大島先生のおっしゃったような問題が発生する可能性はあるが、これに ついては田中委員から何かありますか。 〇田中委員  実際に生体肝移植をやっている施設全てが、日本の場合にはそうだと思うのですが、 もしドミノ患者さんのFAP患者さんが、この人にあげようと指定してきた場合、これ は今のルールでは恐らく認められないというのが現状です。というのは、今はこの倫理 委員会でどういうドナー提供者が容認されるのかといいますと、家族である、あるいは 夫婦間に限定されております。それ以上に進めますと、そこに何かそれ以外のファク ターが関与しているのではないかということでありますから、現実にはこの今のような 大島先生が指摘されたようなことは起こらないのではないかと思っております。  大学内でやる場合には、大学内のルールがありますから、そのルールでやるのに、こ の脳死の専門委員会がそこまで規程するルールを決めるのは、権限上できないのではな いかという判断です。 〇黒川委員長  倫理委員会でこういう患者さんに云々ということは、各大学がやるわけですから、そ こが一応のチェックになっているということだと思います。 〇田中委員  もう一点追加です。うちの倫理委員会でも、このドミノ移植という言葉が大変に悪い のではないか、イメージが悪い、だからリレー移植とかという何か良い言葉がないかと いうのですが、世界的にドミノ移植という言葉で言われているので、何か良い言葉があ ったら是非日本でつけたらいいのではないかと思ってます。現実にはインターナショナ ルには、ドミノ移植と呼ばれております。 〇黒川委員長  確かにドミノというのは、ドミノのドミノだが、名前のイメージが人によっては博打 のような気がするかも知れない。  そういうわけですが、これはこれからの確かに大島委員のおっしゃるようなことがあ りますが、各大学の倫理委員会にかけた上で、このようになったというプロセスがある 程度は明らかになると思うので、これにお任せする。今ここで議論するのは、この委員 会の趣旨としても違うというふうに思います。  これはアメリカなどでは非常に問題になっているのですが、今ドナーが少ないという ことで、移植医療のプロモーションでは現在勿論脳死の患者さんの移植が主なソースで はありますが、リビングリレーテッド、腎臓の場合にはリビングリレーテッドが非常に あるわけですが、最近は腎臓はリビングアンリレーテッドというのが随分増えてきてい るわけです。そのプロモーションするときに、リビングアンリレーテッドというのは何 かというと、夫婦間が結構多いのだが、夫婦ではなくても婚約したといって騙したとい うのが去年か一昨年、ミネソタで出て大騒ぎになりました。結婚してあげるといって女 性から腎臓をもらった後で結婚をするのを止めた人が出たわけです。ハーバード出の大 金持ちということで大騒ぎになったわけです。  そういうのもあるし、リビングアンリレーテッドの場合には夫婦だけではなく、婚約 というのもそうですが、昔の友達というのがあります。あくまでも善意だとはいって も、後で善意でないところが生じるのではないかという問題が時々話題になってます。 これもそういうことは起こることは必ずしもないとは言えない、世の中は何が起こるか 分からないということはあります。その時は善意であったのだが5年もしたら善意では なくなったということはありうるわけです。  そういうことからいくと脳死の場合も、ドナーは誰か分からないというプライバシー の問題はその意味では非常に大事ではないかと思います。  レシピエントの方も一応そのようになってます。これは移植が増えてこないと、また いろいろな社会的な問題の可能性は孕んでいると思います。これについて何か事務局か ら更に補足することはないですか。  では一応この手続き、現在の状況ではこのようにさせていただく。特に移植ネット ワークの関わり方としてはこのように関わっていったらどうかということでいかがでし ょうか。ではそのようにさせていただきます。これも事務局及び厚生省の方からネット ワークの方にその旨伝えていただければと思います。ありがとうございました。  では次の議題に移ります。臓器の提供の意思表示カードの表示の変更についてという ことであります。これについてのご相談であります。資料の4であります。事務局から お願いします。 〇朝浦室長  では臓器提供意思表示カードの表示の変更について資料4に基づいて説明いたします 。実は資料5の角膜以外の眼球組織の利用についてと非常に関連する面もありますので 、資料4と5を合わせてご説明させていただきたいと思います。  まず資料4でございます。第2例目の脳死体からの移植のケースのときに起こったこ とでございます。資料4の2ページ目の意思表示カードの様式が出てますが、それをご 覧いただきたいと思います。  2例目のドナーご本人の意思としては1番に○がついておりまして、その他以外には 全部○がついているという状況です。そこには眼球なり角膜という言葉が書いてありま せんでした。それで2番3番には○がないということで、ご本人の意思としては脳死下 での多臓器の臓器提供、角膜以外の臓器提供をしたいという意思が表示されておりまし た。ご家族のご意向としては角膜についても提供したいという強い意向がありました。 それで角膜の提供ができないだろうかという検討をしたわけです。法律の付則の第4条 ですが、脳死したものの身体以外の死体からのみについて、ご家族の同意だけで提供が できるという規程がございまして、その規程を適応しますと、今回のケースにつきまし ては、残念ながら、脳死下での移植については角膜という表示がないということで、ご 家族の提供の意思があってもできなかったというケースであったわけです。  この問題につきましては、本当ならばもしかしたら1番に眼球なり角膜という言葉が 書いてあれば、もしかしたら○を付けてあったのではないかというような指摘もありま して、法律の考え方をカードに反映させるという意味でも、今後一番のところに眼球な り角膜という言葉を印刷するということをしていきたいと考えております。  現在既に4,000 万枚のカードが配付されておりまして、それの有効性については何ら 問題はないわけですが、また同じような事例が生じる可能性がありますので、現行の カードにつきましても、脳死下での角膜提供という意思のある方については、角膜なり 眼球という言葉を書いていだたくということをPRしていく必要があるだろうと思って ます。  カードだけではなく運転免許証、被保険者証につけるシールについても、同じような 記載になっておりますので、それも同じような改定をしていきたいと考えております。  資料の5でございます。アイバンク作業班で先般検討した検討結果でございます。現 在、眼球の摘出をされたものについては、角膜移植だけが現在適応になっているわけで すが、強膜移植については既に保険の適応もあり、実際上医学的にも確立された技術で あるという状態であります。網膜移植につきましては、まだまだ実験段階であるという ことが報告されております。  その強膜移植に使用するために、眼球を摘出することについても、医学医術が進歩し た現在の段階においては、可能ではないかという議論がありまして、それを法律に照ら してみましても、現在の法律が資料5の2ページの (3)に書いてございますが、角膜の 移植に関する法律、角膜及び腎臓の移植に関する法律、これは現在の臓器の移植に関す る法律の前身になっている法律ですが、ここでは角膜移植術に使用されるということが 明記されているわけですが、臓器移植法が制定された後、現行条文では角膜移植術とい う言葉自身が外されておりまして、立法当時は強膜移植についての議論というのは全く されておりませんが、現在の医療の状況から見ると、必ずしもそれを入れることによっ て法律違反であるとういことは言えないのではないか、十分にここで読めるのではない かと考えまして、強膜移植につきましては、今後アイバンクのあっせんする際の一つの 移植術として考えていくとういことが、アイバンク作業班で取りまとめられておりま す。  したがいまして、先程資料4で説明しましたドナーカードの様式の中に、2番のとこ ろで眼球(角膜)という記述がされておりますが、強膜まで含めますと、(角膜)とい うことを書くとまた間違いの元になりますので、ここは眼球ということで統一した方が いいのではないかと考えております。以上でございます。 〇黒川委員長  これは今回の第2例目の慶応大学の病院の症例の場合で、ご家族から眼球の提供につ いてもお申し出があったということをいろいろと聞いておられると思いますが、実は行 政の対応としては、カードに脳死下での眼球の提供に関する記載がなかったために、今 回は提供ができないという判断をしたわけです。それについてご家族の希望があったに も係わらず眼球の提供はなかった、したがって角膜の移植は行われなかったのです。  この件についてはいろいろなご意見がありますが、今の事務局からの経過説明その他 からいうと、資料の4の2ページです。一番下です。現在のドナーカードがどうなって いるのかということでありますが、この1と2を見ていただくと違いがよくわかるので す。2は心臓停止下では臓器の移植をしてもいい。この場合には本人が書いてなくて も、遺族がOKすればいいことになってます。従来の角腎法ですが、これでは腎臓と、 角腎法ですから眼球、膵臓、その他となってますが、1の脳死の場合にはどうかという と、眼球というのがなくて、その他で書いてくれるかなという期待があったのかも知れ ませんが、そういうことは分からないということの方がむしろ多いわけで、今回のご提 案はいろいろな法律の問題から整備すると、その他の前に眼球、と書かせていただいた らどうかというのが第1点です。  ただ眼球といっても従来は角膜の移植に使っていたわけですが、その他にここにある ように強膜も実際は移植をやられておりまして、年に数百例くらい適用の患者さんはい るわけで、折角提供していただいた眼球の強膜を使えるようにしておけば非常に良いと いうことですので、眼球として使うのは強膜と角膜であるという意味です。  そのようにして、一般的にはもうちょっと理解していただくためには、また別の方法 でそういう移植がされているのだという話はする必要があると思います。  網膜についてはまだまだ研究段階でそこまでいかないという事務局のご判断です。こ れについて眞鍋委員から意見を伺いたいと思います。 〇眞鍋委員  第1回か第2回のこの会でも問題になりまして、申し上げたと思います。その時には このドナーカードの中の項目は角膜となっておりました。臓器移植法案でありながら、 角膜というのは組織ですので、組織が混じっているという感じがありますし、我々が斡 旋をやっているのは、アイバンクという眼球銀行でありまして、角膜銀行というのでは ないから、是非ここは眼球に直してほしいと主張しましたが、角腎法からこれはできて きたから、どうしても角膜という言葉を残したいという皆さんのお考えもありまして、 結局は現在のカードのように眼球として()の中に角膜を入れていただいたという経緯 があったと思います。  実際問題としては、臓器移植を念頭においたので角膜というのはどうも異質ではない かということで、恐らく脳死の中から角膜は外した方がいいだろうということで外れた のだろうと思いますが、眼球とすればこれは器官でありまして、組織が沢山集まって一 つの機能をもった器官でありますから、臓器といってもいいと思いますので、臓器移植 の中に眼球があってもいいのではないかと思います。  そうしていただきますと、先程朝浦さんがいいましたように、強膜あるいは将来は網 膜移植というふうに、角膜以外の眼組織についても、発展性が認められるのではないか と思いますので、是非、眼球という言葉にかえしていただきたいと思います。  したがいまして、脳死のところにも眼球という言葉を、臓器の仲間入りとして入れて いただき、心臓停止後の提供の中にも眼球(角膜)から(角膜)を取っていただいて、 眼球というふうにしていただければありがたいと思っております。 〇黒川委員長  資料5についても説明していただいたので、眞鍋先生、資料5についてはいかがでし ょうか。 〇眞鍋委員  アメリカあるいはヨーロッパではアイバンクアイといいまして、角膜移植は勿論のこ とですが、他の強膜移植をはじめ、網膜に関しましても、既に症例が2〜3例出始めて いるという状態であります。研究にもアイバンクアイが使われております。教育用にま でアイバンクアイが使われるということで、日本だけがアイバンクアイは角膜移植以外 には使ってはならないというふうに規定されてしまったわけであります。  強膜移植につきましては、角膜に関する法律ができる前から認められておりまして、 角膜移植と同じように角膜移植は17,000点に対して、11,000点と保険にも採用されてい るということであります。したがいまして、これは実際問題として実用化はずーと前か ら認められて、角膜移植以上に簡単な組織でありますので使われていたわけであります が、角膜移植法案ができた途端から、アイバンクアイが使われなくなってしまったとい う経緯がありますので、ぜひこれを、欧米並とまではいかなくても、研究に使うという わけにはいかないと思いますが、強膜がリュウマチとかあるいはウエジナー症候群など で、どんどん溶けてくる強膜軟化症、あるいは強膜ぶどう腫というような状態になりま すと、もう移植以外には方法がありませんので、ぜひ例数は少ないのですが、強膜を使 えるようにしていただけたらありがたいと思います。 〇黒川委員長  そういうわけで、今までの強膜移植というのは実際に行われて保険の点数も付いてい るという話ですが、そういう場合の強膜の供給源はどこを使われていたのですか。 〇眞鍋委員  これは篤志解剖の遺体とか、あるいは病理解剖でご家族から眼球をいただいた場合の 眼球です。これは冷凍保存で何年でも保存できるわけです。したがいまして、骨とか他 の組織と同じように冷凍保存できますので、1眼いただいておりますと、かなりの症例 に分けて使える。もう一つは、これが出来なくなってから脳硬膜を移植したことがござ います。脳硬膜が使えるようになったので、強膜は使えなくても、症例も少ないことだ からということでやっていたのですが、クロイツフェルドヤコブ病が脳硬膜からうつる のではないかということが問題になりはじめてから、再び強膜移植というのが問題にな ってきて、是非これを認めていただきたいという要望になったわけです。 〇黒川委員長  強膜の場合にはそうすると眼球の提供をいただいて、これは脳死でも心臓死でもいい わけだが、その他に病理解剖ということもあるということですね。そこから随分保存し ておいて使えるということですね。それについては何か組織があるのですか。あるいは そこの眼科の先生が自分でとっておくのかな。この辺はまだまだ医学的な保険の適応に もなっているというのですから、その意味では何か変だという気もしないわけもないわ けです。  するとご提案としては眞鍋先生の実際の医学の進歩のことからいっても、資料の4の 今の意思表示カードに、最初から議論があったわけですが、1の脳死の判定にしたがい というところに、小腸の後に眼球というのも付けてよろしいかというのが一つです。 〇大久保委員  事務局の方に質問させていただきたいのです。私もこの委員会に最初から立ち会って ますし、その前のこのカードを作るときに、厚生省の方やうちの患者会といろいろな話 し合いをしたのですが、その当時でも、1の欄に眼球を入れるということは殆ど入って なかったのです。当時としては我々も脳死下での摘出というのは頭になかったので、眼 球を脳死の段階で提供される場合であっても、別に記載されてもよかったという解釈 で、私たちもずーと来てました。その当時も眼球を入れてはどうかという議論もしまし たが、それは必要ないのではないかということで、実は一番最初にカードを作るときの 議論で眼球を外したわけです。  この前の眞鍋先生がおっしゃったように、第1回目のときにも眼球を1に入れるのか 入れないかという議論は殆どされなかったと思います。その時から厚生省の見解として は、脳死下では眼球は必ず記載されてないと提供できないというご見解であったのかど うか。私たちはそうはとってなかったので、ぜひ伺いたいと思います。 〇朝浦室長  今のご質問に関しては、全ての資料を調べたわけではありませんが、現時点におい て、実際に第2例目で我々が直面した現実的な問題、脳死下でご家族の承諾だけで果し て眼球の摘出、角膜提供ができるかという問題を突きつけられたわけですが、その時の 解釈として、法律上に書かれている文言を厳格に解釈する必要があるのではないかとい うことで、今回の取扱いにさせていただわけであります。  過去、厚生省の方からこのような公の場でどういう説明をしていたのかということに ついては、今後調べさせていただきます。最終的な判断として、先程ご説明しました通 りの見解を、私どもとして今回実際の現場の方に伝えてそのようにさせていただいたわ けであります。 〇大久保委員  確かに私も法律の文言を読めば、どういう状況で脳死下というふうに取るかどうかと いうのを厳密にとっていけば、確かに厚生省のおっしゃる通りであると思うのです。た だそれが今回の事例が出るまで、全くそういうことが議論されてなかったというのは、 ある意味においては、勿論厚生省の方からも提示はなかったし、我々としてもそのよう に思っていた部分があったので、まるでそういうことまで考えてなかったのです。  確かに今回の事例を受けて法律をきちんと読み直せば、そうとれるかどうかというの は非常に難しいです。確かに摘出できるのかどうかというのは難しいと思うのですが、 そういう議論は実は殆どされてなかったというのは、その辺が一つの大きな問題点であ ったのではないかと思います。 〇朝浦室長  大久保委員のご指摘はその通りであると思いまして、私どもとしても十分検討して、 その方針をまとめておく必要があったのだと思います。結果的には、事例が発生して検 討したということについては我々としても反省しております。 〇黒川委員長  ありがとうございました。その他にお願いします。 〇板倉委員  意思表示カードの1に、その他の前に眼球を入れるというのは、全くそのようにすべ きだと思いますし賛成です。2の方の心臓が停止した死後の方で、そこで腎臓・眼球( 角膜)となっているのは取るわけですか。そっちもとってしまうのですね。わかりまし た。 〇眞鍋委員  アイバンク側としましては、脳死体から眼球をいただくかどうかにつきましては、相 当に議論がありました。アイバンクの中には、脳死体からは法律上も非常に厄介だし、 「脳死体からは眼はいただかない」と勝手に決めているようなアイバンクも出てきた始 末でございます。ですから我々の眼球銀行協会としましては、ドナーカードと献眼登録 とは平行して行って、どちらも生かしていこうという立場に立っているのですが、それ も嫌だというアイバンクがありまして、絶対に脳死者からは角膜はいただかないという ことを頑張って言い張っているアイバンクもあります。それを我々としては権限として 駄目だというわけにもいきません。そういうアイバンクはまた非常によく活動しており まして、献眼登録者を、処理しきれないくらいに沢山抱えているという事情もあって、 ドナーカードには絶対に反対という立場をとっているアイバンクもあるわけです。  そういうことで非常に複雑であったものですから、私としては眼球を入れた方がいい とうい感じはあったのですが、そっとしておいた方がいいのではないかということで、 私自身は敢えて、脳死からは、もし問題があった場合にはいただかない方向で対処して くださいとアイバンクにも申してあるわけです。以上です。 〇黒川委員長  今アイバンクから出ているものに角膜移植は日本では一年に何件くらいやっておりま したかね。 〇眞鍋委員  大体1,700 件くらいです。 〇黒川委員長  そうですね。前にこれにも出たと思いますが、それについてはまだまだウエイティン グの方が長くて、アメリカの場合にはウエイティングが短くて多分3か月くらいで、ア メリカは恐らく40,000眼、毎年余っているから、日本が輸入するかという話もあるわけ です。それもちょっとかっこ悪いのではないかという話もありまして、眞鍋先生、その 辺の事実関係と、従来のアイバンクという機構がありますから、それのお立場、それか ら実際に待っている人がいるのに、向こうは余っているといっているわけだからという 話もありますから、その辺については今検討いただいているわけです。いずれご報告い ただくと思います。そういう問題もあり、角膜の提供の大本はアイバンクであるという 実際の圧倒的な数があるわけですから、その辺についても考える必要があるということ です。 〇町野委員  今度の措置ですが、私は法律の趣旨としてはこれは良かったのではないかと思いま す。経過措置の方の考え方というのは新法ができたことによって、却って本人がOKと 言わないと取れなくなるという、前よりきつくなるというので困るというので、これを 残したわけですから、その趣旨を生かすということであるとするなら、今回は当然これ は許して良かったのではないかというのが私の感想です。  文言解釈を手掛かりとされたと思いますが、それもお話を伺っていると必然ではない ようです。1回脳死した人間はずーと脳死した人間であるという解釈ですが、それは必 ずしもそうではないわけです。例えば心臓を摘出した後は、もう心臓が停止した死体で すから、これは必ずしもちょっとこじつけのような解釈であるという感じがします。  ですから今回の処置は勿論是認しますが、是認というのはドナーカードというのは意 思表示カードの1のところにこれを追加するというのは、それはそれで結構であると思 いますが、今後も同じような解釈で運用するというのは私はちょっと危惧があります。 もしここで新しいカードができて、1のところにそれが書いてなかった、○がついてな かったときに、書いてないから駄目だという処置を次回も取られるということになる と、問題ではないかと思います。 〇黒川委員長  その場合は、患者さんが脳死になったときには眼球は嫌だとはっきりいっているわけ だからしょうがないではないですか。 〇町野委員  そうです。心臓がとられた後ですね。その後で眼球を取ることはできない。 〇黒川委員長  しかし法律家にそういうことを言われると脳死の判定をしたのに、その後心臓をとっ たら今度は心臓死だというのはどうでしょうかね。 〇町野委員  そういう解釈もあります。心臓死体ですね。 〇黒川委員長  すると2回死ぬのですか。それはちょっとまた別のところで議論をしていただいて、 ここでやっているとおかしくなってしまいますね。  そういう議論もあるということですから、法律はどうにでもなるということかな、法 律学者にいわせるとね。 〇町野委員  そういうことではなく、厚生省の解釈でもありうるがということですね。 〇山谷委員  素人には、1番のその他のところに眼球と書く発想がなかったと思うのですが、その 他にこの眼球と書いても、その他の( )のところに、もし主な何か予想されるものが あれば教えていただきたいということです。心臓停止後の角膜のところに○をつける人 もきっといると思うのです。すると強膜移植は勿論できないという解釈であると思いま す。それから運転免許証とか医療保険の意思表示シールというのはとても小さくて、例 えば平仮名の「め」とか片仮名の「メ」と書く人もいると思うのですが、そういうのは 全然構わないのですか。 〇朝浦室長  第1点目です。その他、のところは例えば今回もそうだったのですが、皮膚とか骨と かそういうものが想定されております。  第2点目です。シールにつきましては、非常に物理的な制約の中で、運転免許証や被 保険者証の空いたスペースをつかわせていただいているという感じで作ったものですか ら、非常に小さいものになっておりまして、非常に読み辛いという指摘もあるのです が、現行制度はまだ立ち上がったばかりでありますので、現在のシールを十分に普及し てやっていくということを心掛けております。また改善点があれば、その都度検討させ ていただきたいと思っております。  平仮名の「め」という点については、この場で良いとも悪いとも言いかねます。その 辺のところは事務局として研究させていただきます。 〇黒川委員長  それはその時に家族に聞いてみて、これは生前から眼球のことを意味していたと言わ れれば、そうかも知れないという状況はあるかもしれません。 〇山谷委員  あとは、臓器移植なので、多分その他で皮膚とか骨というのは素人は考えないと思う のです。だから逆にそれを想定しているのであれば、その他の( )のところに皮膚と 骨と入れるのは不味いのでしょうか。 〇黒川委員長  これは議論になったわけで、臓器とは何かという定義があって、その他に組織という のは何かという話があったわけです。その他にこれは臓器移植だから皮膚は受け付けな いとか、組織は受け付けないといっているわけでは多分なくて、ご遺族とかご本人の意 思を尊重しようということで、( )が何を意味しているのかというのは確かにわから ないですね。だが分からないが、どういうことも良いとおっしゃるのかなという話のオ プションはあるという意味です。今の臓器の法律からいうと、臓器というのはここに書 いてある以外は臓器ではないのです。全部組織になってます。これはさっきの町野先生 の話ではないが、法律をかってにしているだけかも知れませんが、そのようになってま す。 〇小柳委員  臓器の書いてある順番です。これが今度、その他の前に眼球と書かれるとすると、小 腸と膵臓が先にきて、心臓死の場合には何となく虚血許容時間の順番のような気もする のですが、これはいろいろな方を想定してのカードでもあると思いますので、順番の整 理ができないかなと思っております。よろしくお願いします。 〇黒川委員長  どの順番にするかは、正解は一つもないかも知れないので、事務局でいろいろな人の 意見を伺った上で、どこに入れるのかということを考えた上で、これについては事務局 に任してもよろしいですか。 〇大久保委員  臓器の順番ではなく、カード1・2・3を反対にできないかです。もしも作りなおす のであれば、1.提供しません。2.心臓死。3.脳死。という形で作るということは 検討できませんかということです。 〇黒川委員長  それについても検討課題でご意見を伺いましょう。その理由をどうぞ。 〇大久保委員  私たちはいろいろな方に伺っているのです。まず提供という脳死というのが一番最初 に来てしまうのです。一般の方が一番最初に脳死が来るわけではないのてす。まず一番 最初に提供するかしないのかというのが来て、それから心停止、脳死という形で考えて いくと思うのです。ですから一番抵抗がないのは、一番上に提供しませんというのがあ って、それから心停止、そして脳死という感じで考えるのか一般の方の受け取り方では ないかと思っているのです。 〇黒川委員長  すると一番上の提供しませんというところに○をつけてもっている人を含めて、カー ドをもっている人の%は増えるかも知れませんね、それも考えましょう。 〇朝浦室長  既に4,000 万枚のカードが配付されておりまして、その現実はかなり重いかなと思っ ております。ただ先生方のご意見も示唆に富むものもありますので、事務局としてカー ドの様式については十分研究させていただいて、ぜひまたこの検討会の場でご議論いた だければと思っております。 〇黒川委員長  これはしかし免許証に張ったりするものは、しませんというものだけ張ってもいいわ けですよね。そうなるとね。この件について他にありませんか。もしよろしければ私の 方でまとめさせていただきます。  まず、印刷して沢山配られているという現実がありますよね。だがまだ配られている ものも数百万枚あるということからすると、現在のカードを無効にしているわけではな い。しかも町野先生のようにいわれると無効ではないのかなという気もしないではない のですが、これはこの間の行政的な判断もされてますので、これからのカードは、1. については眼球、入れる場所については考えた上で皆さんに伺ってみる。特に眞鍋先生 とか小柳先生とか何人かの先生と何番目にしようかという話は、それなりの理由をつけ て入れる。  2.のところの心臓停止の場合には(角膜)というのを取るという話をする。その他 に眼球というのを付けた理由は、最近は角膜だけではなく強膜については、病理解剖な どでもいいのだが、そういうのは保険の点数もついて医療として定着しているという話 が一般にわかるように、これから、強膜移植という新しい医療技術があるということを PRするということもしていただく。そういうふうにさせていただいて、角膜だけでは ないという話を一般に理解していただくということについて、厚生省及びネットワーク の方から対応していただくということを考えるとういことです。 〇藤村委員  ちょっと申し遅れてしまってすみません。カードにおける記載順番について私の意見 を申し上げます。臓器の移植に関する法律というのが、非常な長い経緯の中でできてき たということが一つありますね。これは脳死というのが非常な問題点となっていました が、これが広く理解され解決されつつあって、今の法律が出来てきたということになる わけでございます。そのため最初に書くべきものは、この現行のカードの通りで、脳死 下での臓器提供ということであります。私はこのカードでままでもいいのではないかと 思います。と申しますのは、例えば最近の新聞紙上におけるアンケート調査によりまし ても、国民の方々が脳死というのは半数以上お認めになっていて、認めている率の方が 高いということがあります。そういう経緯もございますから、この順序でいいのではな いかというのが第一点でございます。  第二点目はこれまでのこの審議会でも議論の対象になったのか、記憶が定かではござ いませんが、このカードの書き方についてです。眼球を中に入れるというのはいいと思 いますが、例えば、こういうことは議論の対象になったのかどうか思い出せませんが、 全臓器という語句も入れてはどうかということも、どなたかいわなれかったかどうか。 提供しようとする方々のなかには全て提供するという方もおられると思うのです。私の 体をの臓器全部提供しますということも、カードの一番最初にいれるという議論はなか ったでしょうかね。 〇黒川委員長  移植法の臓器というのはここに書いてあるのだけが臓器ですから、全臓器と言われて もこれになってしまうのです。それ以外は臓器ではなく組織ということです。  それから順番について、藤村先生がそうおっしゃっているのであれば、法律の文書、 いろいろな法令、訓令、ガイドライン、全てのこのシステムを一応事務局で見ておいて ください。  すると眼球、アイバンク作業班というのは眞鍋先生にお願いしておりますが、眞鍋先 生の方から、先程、強膜の現状、強膜は保険の適応にもなっているということですの で、このような体制にしていくということをお認めいただけるかどうかということ です。  それから眞鍋先生が前におっしゃっておりましたが、将来的には最近は技術が進んで いて、眼球を取らなくても角膜だけ取れるという話になってくるだろうということです ので、そうなるとまたちょっと変わってくるかも知れませんね。角膜だけにしてくださ いという話であれば、それは多分これから可能になってきますね。 〇眞鍋委員  そうなったら、今度は眼球ではなくして、角膜ですから組織移植の中に含まれてしま って、組織移植としての法律ができるかどうか知りませんが、それの方にずらしていた だいたらいいと思います。 〇黒川委員長  その時はだから町野委員の解釈によれば、その後でこれは心臓死体であるということ をいって、組織の話をしてもいいのかなというのは、まだ分からないですね。法律家と してはそうかも知れませんがね。そういう話があるのでいいでしょうか。  因みに、この間私はアメリカなどでは肝臓の移植、心臓の移植でOPOで摘出するわ けですが、その摘出されたものが移植に不適であるという時には、日本の法律では焼却 するということになってますが、実はそれをアメリカでは使えるようになっている。  それを使うのに、例えば新薬の開発のチトクロムP450のドラッグインターアクシ ョン検査とかいろいろ使えるようになっていて、それにノンプロフィットのオーガニ ゼーションが3つくらいあって、そういうものを供給しているというのがあるという話 がありまして、厚生省でも人組織の利用についてという話の委員会があって、日本では HABヒューマン・アニマル・ブリッジという組織がありまして、それが移植に適さな いと言われた肝臓を、日本にも一応輸入して使えるようにしているという組織があるわ けです。人組織が使えるようになる、法律の整備、組織を多様しようということで、ヒ ューマン・サイエンスの方でそういうことを一応できるようにして、勿論これは移植の 肝臓ではなく、例えば手術の肝癌などで取ったところの正常の肝臓その他を使えるよう な組織を、今作っている。行政で立ち上げているところですが、この間その話をその学 会に呼ばれて1時間くらい喋ってくれというので喋ったのです。  その時にいろいろな向こうの3つの会社のアクティビティなどを見てみると、非常に 面白いことは、トランスプラントのクオリティ、つまりトランスプラントのためにとっ たような、OPOから取った肝臓・心臓、だが使われなかったのは幾らくらいかという と、肝臓が1,800 ドルから2,400 ドルくらいかな。ノンプロフィットです。運び代はそ ちらでもってくださいということです。心臓は1,800 ドルくらいです。  その他にトランスプラントではなくオートプシーとかそういうものからもそういうも のを取っておりまして、それも商売というか、一応は研究用だと思いますが、一応は使 えるようになっている。申込みをすれば使える。凄いです。脊椎がCの1からSの5ま で繋がっていて、結構安いのです。オートプシーマテリアルだと150ドルくらいです。頭 とか手とか足とか指というのがあって凄いものです。こういうので値段が付いていると 思いました。  トランスプラント・クオリティではないが外部から取ってきたのはもうちょっと高い のですが、死体からとったオートプシーマテリアルというのはかなり安いです。ヘッ ド、とか、凄いものだと思います。ノンプロフィットにしても、ここで聞いておられる 方はどう思われるか知りませんが、そういう会社が3つくらいありまして、今まで10年 間で10万件くらい、応募のリクエストには世界中に配っているということが書いてあり ました。  最近は人間のES細胞というのを扱って、いろいろな臓器が将来的にはそれができる だろうと思います。ES細胞はクローン人間とは違って、子宮に戻しても子供にはなら ないということですので、NIHの方は人のES細胞の研究には研究費を出すというこ とを、ハロルドバーマスがいっております。日本ではまだ駄目だという気はしますが、 世の中は随分変わってくるのだなという気がしました。つまらないコメントで申し訳あ りませんでした。  さてそこで、もう一つは移植コーディネーターです。先程アイバンクのことが出まし たので、その次の議題として残っているのではないかと思います。移植のコーディネー ターの行う臓器移植に関するインフォームド・コンセントについて、これも整理をしな いといけなくなってます。1の5でございます。これについては眼球を含む多臓器の移 植がなされる場合に、現在はご家族に対して日本移植ネットワークのコーディネーター が対応しているわけですが、眼球の提供については、実はアイバンクが別に説明すると いうことになっているのです。眞鍋先生がさっきおっしゃったように、アイバンクとし てはこういうところからの眼球はいただきたくないというところもあるわけです。  しかしご家族にとっては、全部説明した後で、説明者が臓器別に現れて、私はアイバ ンクのこういう者ですといって、実は眼球はいかがでしょうかとか、突然にうちはそう いうことをやっておりませんと言われても困ります。この辺の整備がされてないという のが実はあります。そこで今後の対応をどうしたらいいのかということで、まず事務局 から資料の6に従ってご説明お願いします。 〇朝浦室長  ご説明いたします。法律上の問題として、臓器のあっせん業の許可というのは、臓器 ごとに取るという整理になっております。したがって、角膜については現在のところは 臓器移植ネットワークがあっせん業の許可をとってないという状況で発生している問題 であります。角膜だけの移植、摘出をするという場合には特段に問題にならないわけで すが、一般的に行われている心停止下の腎臓移植についても同じようなことが言えるわ けです。  同時に角膜も提供したいという場合に、臓器移植ネットワークとアイバンクのコーデ ィネーターが別々に承諾書を取るという手続きが法律上、どうしても必要になってくる ということで、ご遺族、ご家族の方にとっては非常に大きな負担になっているので、そ の辺のところを上手く事務的にできないかということも、この委員会で指摘を受けてい るところであります。  それで対応案としましては、臓器移植ネットワークに眼球のあっせん業の一部、つま りあっせん業の中の、臓器提供に係る説明承諾手続きを行うというところだけをご家族 にお願いすることによって、しかも、それは角膜単独の場合ではなく、多臓器にかかる 場合にのみお任せをするということによって、この問題がある程度は解決できるのでは ないかという案でございます。  具体的には今後もしそういう方針をお認めいただける場合においては、眼球銀行協会 をはじめとするアイバンクとの調整をする必要がありますが、その調整をした後に具体 的にネットワークの方にあっせん業の許可をあたえるという手続きを進めさせていただ ければと思っております。以上です。 〇黒川委員長  ありがとうございました。いかがでしょうか。今いっているように、ここのネット ワークのコーディネーターがしていることは、脳死下での多臓器移植のコーディネー ターへ斡旋をすることと、心臓死下での腎臓と角膜について、眼球について行っている ということがあるわけです。  ご存じのようにアイバンクがありまして、多臓器のときにコーディネーターがいろい ろと話をしていて、心臓とか腎臓になったときには、角膜はアイバンクの人がこないと できないというのは、ご家族のいろいろな状況を考えると、非常に望ましくないという 状況でありますので、これについては臓器移植ネットワークのコーディネーターが一元 的に眼球の話も対応させていただくという恰好にしてはどうかという話であります。  そうなるとアイバンクのことがありますから、これは事務的にアイバンクにもこれの 了承を得なくてはいけない話です。アイバンクの方の仕事は、勿論、眼球の角膜移植が 中心のアクティビティですが、これについてはアイバンクが全く独自にやる仕事でござ いますから、特に数からいって全く仕事というかテリトリーの競合は殆どないと思うの ですが、このようにしてはどうかということです。眞鍋先生から何かございますでしょ うか。 〇眞鍋委員  これもこの前にもそういうことがありました。いろいろと問題がありましてアイバン クの方の理事会におきましても問題になったことがあります。  ドナーファミリーの立場からいきますと、二つに別れて別々に聞くのは耐えられない という訴えがありますので、この点につきましてはアイバンクを説得して、是非、ネッ トワークの方の一元的なご説明をお願いしたいと思います。 〇黒川委員長  眞鍋委員の発言にありましたように、そういうわけでございますので、どちらかとい うと事務局を通じてネットワークとも相談のうえですが、アイバンクの方にそうさせて もらいたいという話を、眞鍋先生のお力添えを得ましてやりまして、実務的な詰めを行 う必要がある。つめが出来ましたら、実際の手順その他につきまして、このようになっ たからこのようにしたいという案件を事務局から用意していただいて、この委員会で報 告していただくという手続きになると思います。よろしいでしょうか。この辺は整備し ておいた方が自然であると思いますので、そのようにします。  それから先程眞鍋先生から出ました網膜の移植は、まだまだ研究の段階であるという ことでしたが、それでは網膜の移植についての実際のことをやるには、どういう手続き が考えられますか。 〇眞鍋委員  これは今のところ日本でもまだ一か所とか二か所くらいで始めたくらいです。しかも 動物を使っての実験であります。まだ人間のところまでは日本国内ではやっておりませ ん。網膜というのは脳神経組織の一部というか出張所のようなところですから、非常に 高度に分化しておりますので、なかなか移植で上手く成功するということが、今までは 考えられなかったのですが、まず網膜の中の一番下にある色素細胞層だけでも移植した らというところから、今やっと始まったところです。  だからまだまだ全網膜を移植するというところには相当かかりますが、当分の間は動 物実験でいかざるを得ないだろうと思います。日本では全くアイバンクアイというのが 実験に使ってはいけない、研究に使ってはいけないというのが大前提にあるようであり ますので、アメリカと同じようにアイバンクアイ自身が研究に使えるようにならない と、なかなか実際問題としては網膜の移植にまでは到達しないだろうと思います。道は 大分遠いだろうと思います。 〇黒川委員長  次の議題に進ませていただきます。第一例目の脳死下での移植事例に係る検証作業と いうことであります。脳死判定等に係る医学的評価に関する作業班の報告ということを 前回伺いました。そこについて、その他の実行についても含めて、この間は医学的評価 についての報告というのも聞いたわけであります。この間は、参考人の3人の方からも お話を伺いました、また何人からの先生方からも、前の議事録からどういう意見がある かというところのご意見が提出されております。これを実はこの医学的検討班の作業班 は、明日また開催されますので、その資料その他で、先生方のコメントは渡してござい ます。そういうことについて検討してもらって、さらに報告書をいただくことになって おります。  それについて、とくにご意見を寄せられた先生方皆さんはまたわからないわけです が、そういうことも含めて、この間の医学的評価に関する作業班の報告について、ご意 見を自由にいただきたいと思います。  桐野先生と大塚先生は作業班のお一人であったわけですが、報告についてのご意見を いただきたいということで、何かございませんか。  参考人からも検証についてはお医者さんばかりでなく、第三者云々ということがあり まして、私としては、この間も見させていただいた限りでは、あれは勿論メンバーはお 医者さんで、救急の方、脳外科の方というわけですから、当然画像診断も含めて、これ は医学的な評価をしたということに決まってます。医者でないところも含めた評価をど うするのかというのが、この間の参考人からも言われておりました。  私もそれから随分いろいろと考えてみたのですが、いろいろ言われてみると、それは そうで、医学的な評価だけでは不十分だなと思ってます。  実は幾つかのコンクルージョンと導きますが、一つはこの委員会そのものがそれをや ればいいのではないかというのをちょっと考えたのです。ここには法律の先生、そうで ないいろいろな先生がおられるわけです。あれは医学的評価であるという立場からいう とどうなのだという話を、ここで十分に公開された場所でするべきではないかと思って ます。ご自由に意見をいただければと思ってます。 〇浅野委員  最初に質問したいのです。委員会の後に記者会見があったことを、私は新聞を読んで 知ったのです。この委員会の後に、記者会見の後で、作業班の責任者の方と厚生省の方 も同席されたと思うのですか、どういうやり取りがあったのか。特に一部新聞報道をみ ますと、私の質問などについてのやりとりなどもあり、その場で例えば報告書を書き直 すとかという答えをなさったと新聞記者から聞いたのです。  そういうことがあれば、私は委員に直ぐに知らせてほしいという気がするのです。つ まり、私も記者会見に出ればよかったのでしょうが、そういう要請もなかった。それが 次の日の新聞を見てこういうのが出たのかということです。何となく、もう少しそれこ そリアルタイムでそういう情報をいただきたいと思います。記者会見というのはどうい う性格なのか、委員会との関係も知りたい。具体的には24日の記者会見でどういうやり 取りがあったのかということを是非知らせてほしいと思います。 〇山本補佐  前回のこの専門委員会に出された作業班の報告書(案)というものにつきまして、メ ディアの方から幾つかの質問がありました。特に医学的事項については、お聞きしたい こともあるということで、座長の竹内先生にお願いして会見をさせていただいておりま す。内容の細かいことについては、非常に長い会見になりまして、非常に医学的な基本 的な質問から、幾つかのメディアの方から見た疑問点も出されおります。  この場で様々なやり取りがありましたが、竹内先生の作業班の方でもこの委員会に出 された意見、いろいろなところから出された意見も含めて、また明日もう一度レビュー していただくことになっておりますので、その結果をこちらの専門委員会の方にご報告 させていただきたいと思います。 〇浅野委員  私が聞きましたのはなぜかというと、委員会で私が発言したことで、報告書が了承さ れなかった、特に朝日新聞はそのように私の名前も書いて明記してました。そういうこ とでは多分ないと思うのです。新聞がいかに事実の一端しか伝えないかということで す。私が3月から委員になったということを朝日新聞は報道していないのです。突然、 浅野同志社教授がいちゃもんを付けて流れたというようなことで、確かにいちゃもんか も知れませんが、そのように学内でも言われたので、先生いろいろなことをやってます なというようなことを言われました。それまで移植委員会の委員であるということを殆 ど知りませんのでから、それまでは匿名報道で、メディア論の専門家が選ばれたという ふうに報道しているだけだったので、別に私は名前が出ることは全然構わないのです が、委員会全体で見直し決定されたと思うので、記者会見などの場合には、そういう誤 解がないように、記者の人たちにいっていただきたいと思います。 〇黒川委員長  実際にこの委員会は、最初から私は公開してもらいたいということで、公開している わけです。勿論、ここには取材の方もいるわけです。するとあるところが書いたとき に、他の人達も聞いておりますから、その記者がどの程度の腕であるかというのは皆に はわかるわけですから、その意味ではかえっていいのではないかと思います。先生があ る記者が書いたといっても、他の社はなんでああいう嘘を書くのかなという冷たい態度 でいるのかも知れないし、わざわざ書かないだけかもしれません。そういうことでござ いますので、報道は正確にお願いします。  そういうわけで、先生方に特別のご発言がないようでしたら、いろいろとご意見をい ただいていると思うので、明日の作業班の報告を伺った上で、この委員会でもっともっ とそれについて検討していただきたいと思っております。どうでしょうか。 〇浅野委員  私は5月29日付けで報告書について質問・疑問点を指摘した文書を出しましたので、 今日は本当はそれをお配りしたらよかったのですが、事前に用意できませんでした。私 は3点あると思ってます。最善の救命治療を尽くされたのかということです。23:09に 病院に到着した後に、最初にCTの撮影をしていて、その前に何か治療が必要ではなか ったのかという意見があると思うのです。第2点が無呼吸テストの手順のミスで、この ことについて、これは記者会見でもあげてもらったので、その点については座長の竹内 先生も再検討すると記者会見で言われたようなので、そのことについて次回きちんとし ていただければと思います。  3番目に脳死判定基準そのものが、法が定める脳死の見極めとして適切であるのかど うかという疑問も一部の報道機関から出ているので、第3点目にそれを上げており ます。  臓器摘出手術に救急治療にあたった医師が担当したという問題もあると思います。大 体2回しか作業部会か開かれてないし、西山主治医からはお話を聞かれているが、その 他の先生からは聞いてないと言われている。これは本当かどうかしりません。もしそう であれば、手順ミスの問題とかを見るためにも、もう少し高知の現地での先生たちから お話を聞くという必要性があるのではないかと思ってます。  検証作業のための機関が必要であるという柳田邦男参考人のご意見は、私も前々から 主張していたものでありまして、ぜひこれを現実化していただきたい。リアルタイムの 取材報道は、特に第2回脳死判定の決定、あるいは臓器摘出、そのタイミングについて はいろいろと意見か異なるかも知れませんが、少なくとも静かな環境で、いつでも撤回 できるという状況の中で、家族の方にそういう環境を作ってあげるという意味では、マ スメディアの人達も、恐らく異論はないだろうと思います。  したがって第2回目の慶応病院のケースでは、リアルタイムの取材報道が不可欠と、 最も強く主張してきたNHKも午前4:55分の厚生省の発表のタイミングまで報道を控 えました。私は主要テレビ局を調べましたが、すべて厚生省の発表のタイミングに合わ せてニュース速報を流しているわけです。その意味では第1回目の脳死判定の作業を終 わるまで、ほとんどの報道陣は知らなかったし、11日の深夜に知った報道機関も、12 日午前4:55分までは抑えたということで、それはつまり第1例目の問題点について、 NHKも含めて総括されて、そのように判断された。そして産経新聞と毎日新聞は、朝 刊の掲載を見送った。見送ったことについて社告を出してお断りを書き、かつ、科学部 長とか編集局長の見解もメディアで展開されたという意味で、恐らくリアルタイム取材 ということについては、かなり抑制しないといけない。  報道についてもタイミングをできるだけ後ろにずらす方が望ましいという流れにある と思うのです。それは大変に結構な展開でありまして、しかしそうであるなら、取材の 人達があるいは市民が、そのプロセスを見ることができない、情報が開示されないわけ ですから、逆にその期間における後の事後検証が非常に重要になってくると思います。  したがって、その意味でこの委員会でやるべきことは、情報の開示が一時期抑制され る閉ざされるという代わりに、それの透明性を後に保証する。記録していくということ が必要であると思います。  具体的に今一番問題になっているのが、恐らく手順ミスのことについて、高知の赤十 字病院の院長さんが、記者のやり取りの中でそれに気づき、それを厚生省に連絡した。 あるいは自分で先に気づいて厚生省に連絡したのかとか、そういうことについてもきち んと解明することによって、厚生省の方にお聞きしたのですが、赤十字病院の院長から 電話があったときにも記録してないのです。電話があってそれを皆に伝えたというので すが、これは公務員は公務員同士の連絡とか、外部からの連絡というのは、きちんとメ モに残して、スウェーデンなどでは、絶対にメモに残さないと駄目ですから、そして公 務員の残しメモについては全て開示される。国家機密についても30年後には開示される というくらい、情報の自由、フリーダム・オブ・インフォメーションという考え方が確 立してます。  日本ではそれが非常に遅れていて、厚生省が遅れているという意味ではないと思いま す。厚生省は他の役所に比べたら、過去数年のいろいろな展開で非常に開示していると 私は評価しているのですが、その意味でいろいろなデータ、コーディネーターとの間と のやり取りとか、そういう外部とのやり取りについて、きちんと記録を残していく。 テープレコーダーに録音するかどうかは別にしても、いろいろな形で後で検証できるよ うにする。  アメリカの大統領のホワイトハウスの部屋には、きちんと全ての会話は録音されるよ うになっているし、イギリスの警察では取り調べの段階で全てが録音されるという、あ るいは今はビデオも導入されているという意味で、密室性が非常に批判されてますか ら、それは決してある段階は閉ざすが、密室ではない。後できちんと検証するというシ ステムをどうしても作るべきだという意味で、今委員長が言われたように、この委員会 でそういうことを考えていくということであれば、大変に私は嬉しく思いますし、そう いう形で報道の自由とプライバシーの保護が両立できるのではないかと思います。 〇黒川委員長  そういうわけですから、先生方のご意見は竹内委員会の方に医学的な問題については 出ておりますので、今日は桐野先生、大塚先生もおられますから、その辺もどういうふ うにお考えになるかということも含めて検討していただけると思いますので、それにつ いての報告をまた受けたいと思っております。  そこでまた先生方の意見を聞きたいと思います。それは医学的な評価ではない点か ら、それを突っ込み検討するわけであります。今の浅野先生のお話からいいましたが、 最後の議題といってはなんですが、移植医療にかかる情報開示とプライバシーの保護に ついて、これについて先生方にちょっとご意見を伺いたいわけです。前回は3人の参考 人の方々からいろいろなご意見がありまして、いろいろな立場、いろいろな意見が確か にありました。それを今までにいろいろな先生から、またそれについても意見をいただ いているわけですので、一応まとめていただいたということで、事務局から資料7につ いて説明していただいて、先生方に移植医療に係る情報開示とプライバシーの保護につ いて、ご意見をいただきたいと思います。 〇朝浦室長  では資料7に則しましてご説明したいと思います。4月6日の専門委員会に、事務局 としてこの問題について考える基本的な柱のようなものを出させていただきました。そ れが1番の(1) から(6) まででございます。4月6日に議論の中で(7) の臓器提供者と その家族の保護というものを重要視するべきではないかというご議論がありまして、そ こを新しく追加させていただいております。  そのような基本的な考え方を含めて、では具体的に手続きとしてどうすべきか、どう した方が適切か、という議論を今後していただきたいと思っております。  今回まとめましたのは、これまでの委員会において出されました意見、先般の参考人 のお三方のご意見も含んだ意見を踏まえまして、また、いろいろなところで指摘されて いる意見を踏まえまして論点整理を行って、そこで述べられた意見を羅列したという形 でペーパーをまとめさせていただいております。読み上げさせていただきたいと思いま す。  (1) 情報開示の手法等について。(1)開示情報の範囲等について(情報開示について家 族の同意を必要とするかどうかを含む)。  開示情報の範囲について。  一般的に、救命治療、家族への説明、脳死判定、レシピエントの選定等について、そ の状況及び適切に行われたかどうかに係る情報開示を行うべきという意見が多い。  プライバシーの保護について。  個人を特定しかねないような情報については、プライバシーの保護を重視する立場か ら、開示すべきではないという意見が多い。(臓器提供は社会的行為であり、プライバ シー保護を理由にして関連情報を非公開とすることはできないという意見もあった)ま た、臓器提供施設の場所(都市部の施設か地方の施設か)等の情報の違いによって個人 が特定されてしまうような情報について、その範囲に差があり、情報開示及び開示され た情報に基づく報道の際に細心の注意が求められるべきという意見もある。  プライバシーの保護が大原則であることはいうまでもないが、臓器移植において家族 が承諾するという「法律行為」を契機に私的なものが公的なものになるのであり、それ 以降は原則として情報が開示されるべきである。家族としてはむしろ「移植のためにい いこと」をしているのであるから、積極的に情報開示に賛成すべきであるという意見が ある。  情報開示に係る臓器提供者の家族の承諾について。  移植コーディネーターが臓器提供について説明する際に、事実関係・医学情報等が開 示されること及びその項目を説明し、それについて承諾を得ておくべきであるという意 見がある。  コーディネーターの提示した開示情報項目の案について家族が承諾されない場合には 、そもそも臓器提供をするべきでない(臓器提供施設及び日本臓器移植ネットワークと して提供を断る)のか、(“べきなのか”と書いてあるのを“のか”に直してくださ い)提供者本人の意思を大事に考えて、臓器提供を行うべきなのかという問題がある。  提供者の家族がそもそも事実関係・医学情報等のすべてについて開示することを承諾 しなかった場合に、どのように対処すべきかという問題がある。  (2)誰が開示するか。(臓器提供施設・移植実施施設が開示するか、厚生省や日本臓器 移植ネットワークが開示するか。)  情報提供者の本来のあり方について。  第1例目及び第2例目においては、厚生省も情報開示に関与したが、基本的には臓器 提供施設、移植実施施設(あっせん業務に関しては日本臓器移植ネットワーク)が自主 的に情報開示を行うのが本来のあり方であり、今後事例を重ねるにつれて、それらの機 関が自ら情報を公表するようになるのが望ましい姿である。これは厚生省の見解として 国会の場で答弁したものでございます。  また、臓器提供施設等の医療機関側が、自ら臓器摘出前に記者会見を行った事例(第 1例目)では、会見場を病院内に設定したことは不適切であった。今後はそのようなこ とがないよう、報道に対応するための前もっての臓器提供施設側の準備も必要であると の意見がある。  (3)リアルタイムで開示するか。又は一定期間後に開示するか。  リアルタイムでの開示について。  事後に第三者機関の検証に委ねるだけでは不十分であり、リアルタイムで情報開示す ることをもってのみ救命治療・脳死判定等の適切性を担保できるという意見がある。  一定期間後の開示について。  リアルタイムでの情報公開に対して、概ね下記のような反論に基づき、一定期間後に 開示すべきという意見がある。脳死判定が終了するまでは、あたかも臓器提供者の死を 待っているような状態が作出され、また、提供者の家族が静かな環境の中で提供者を 「看取る」ことができなくなり、やり直しのきかない禍根を残す。  摘出終了までは、報道人が詰めかけること等により、臓器提供施設の通常診療が阻害 される可能性がある。  (2) 情報開示と実際の報道との関係について。  今後の報道の役割について。  そもそも、メディアが報道し続けることによって、移植医療を監視し、移植医療制度 を公平・公正に機能させていくべきであるという意見もある一方、実施例がある程度積 み重なった場合には、ニュースバリューがなくなり、情報開示が行われても報道がなさ れなくなるのではという危惧もみられる。  報道内容及び取材方法について。  報道内容及び取材方法につては、基本的には自主規制(メディアの自主的判断)にま かせるべきとの意見が多いが、本委員会において何かのガイドライン策定等を行うべき ではないかという意見もある。  報道協定について。  誘拐事件に係る報道協定のように、メディアに対して情報開示はするがメディア側は 一定期間報道を自粛するというような協定を結ぶことについては、その可能性について 疑問が呈されているが、第2例目においては、自主的判断において報道を遅らせた新聞 社も一部あった。  (3) 第三者の検証手続きについて。  第三者検証手続きを行う機関の構成について。  第三者機関の検証に委ねる場合について、第1例及び第2例については、本専門委員 会の下において作業班を設置したが、病院側、行政側等から完全に中立な専門家、(医 療関係者のみでなくメディア論、臨床心理等の専門家を含む)を集めた第三者の検証組 織により、自律的な検証が行われることが必要であるという意見もある。  参考までに別紙として第2例目に係る情報開示に係る経緯について、まとめさせてい ただいております。  第2例目におきましては、臓器の摘出手術の実施までの間は、厚生省及び日本臓器移 植ネットワークより、下記の内容について情報開示を行っております。  第1回目の記者会見の際には、a)b)c)を発表しております。第1回目の会見に おきまして、記者の方から出された要望を踏まえまして、ご家族の承諾を得て、第2回 目の会見においてd)の情報を公表しております。e)f)g)h)におきましては、 それぞれの時点におきまして、適宜公表をさせていただいております。  臓器摘出手術の終了直後に、臓器提供施設において救命治療・脳死判定の経過の詳細 について5月12日記者会見を行ってます。また各移植実施施設においても、移植手術の 実施状況について適宜情報開示を行っております。  あっせん機関である日本臓器移植ネットワークにおきましては、5月18日に記者会見 を行って、あっせん業務の経緯の詳細について記者会見を行っております。  その状況につきまして、前回本委員会におきまして、今回の事例に係る経緯につきま して資料の提出をさせていただいておりまして、今回の第2例目につきましては、脳死 判定等の作業班、あっせんの経緯に係る作業班について、今ある作業班に検証をお願い しているという状況でございます。以上でございます。 〇黒川委員長  こういうことで先生方からいろいろな意見をいただいておりまして、参考人の意見も 含めるといろいろな立場いろいろな意見があると思いますが、概ねこういうところにま とめられるのではないかということを事務局の方でまとめていただきました。ご苦労さ までした。これについていろいろな意見を伺いたいわけです。 〇板倉委員  まず第三者検証手続きを行う機関、これは是非必要なことだろうと思います。大きな 原則的なことを申し上げます。プライバシー情報は公表してはならない、しかし医事情 報は透明性を図るために公開しないとならないわけです。  ところでリアルタイムという問題でありますが、この点につきまして脳死判定が終了 しないまでは、まだ生きておられるわけですし、脳死判定が終了してからにすべきだと 思うわけです。しかし脳死判定がなされる前では情報を公開してはならないかという と、それは医事情報は全て公開をしなければならない。ただし条件です。これは脳死判 定終了後に公表して報道してほしいということを言わないとならないと思うわけです。  その時には、誘拐事件のような場合に行われているような協定ができればいいわけで すが、一部、第2回目では脳死判定終了後報道した新聞もあるわけです。つくるべきだ と思ますが、出来なかったときに、できてないから医事情報も公開してはならないかと いうと、そうではなく、その場合は公表する側としては、あくまでも希望として、脳死 判定が終了後公表してほしいというふうな条件を付けて公表するべきだと思います。  あとはそれを守らなかったというか、報道したというのは、これは報道側の自主的判 断ですが、原則としては脳死判定終了後に行うということです。しかし医事情報は全て 公表をするということです。ただプライバシーに関することは公表してはならないとい うことだろうと思います。 〇山谷委員  情報開示はまずリアルタイムでしていただいて、報道は2回目の脳死判定後がよいと 思ってます。今回、臓器提供の意思表示方式について云々という最初の記者会見で厚生 省側が開示しなかった。これはご家族の意思によりということだったのですが、私はこ れの項目です。今回2回目に情報開示したこの項目は、原則として基本的にご家族に情 報開示ということがとても大切であるという理解とコンセンサスを得るようにもってい っていただきたい。また、そういう何か納得のような雰囲気が今は生まれているのでは ないかと思います。  第三者の検証機関ということですが、医者だけの作業班をもってして第三者検証は済 んだと思うのはいかがなものかというような意見があるわけで、私もそう思ってます。 ただこの委員会をそれにするというのも時によっては問題かなと思います。だからケー スによっては臨時委員を入れるなり、もっと新しいタイプの専門委員を入れるなりし て、もうちょっときちんと皆さんが納得できるようなメンバー構成を考え直す必要があ るのではないかと思います。 〇菊地委員  一般的に考えて、本当に皆さんが2回目の脳死判定の終了後に情報公開が良いと思っ ておられるのかどうかというのは疑問に思います。といいますのは、私の回りの医療と 関係のない友人等に聞きますと、臓器摘出の終了後に情報の開示をするのが一般的では ないかという意見が多いです。私自身もそう思うのですがどうでしょうか。 〇小泉委員  2ページの情報開示に係る臓器提供者の家族の承諾について、真ん中の○のコーディ ネーターが提示した開示情報項目に対して、家族が承諾しない場合には提供すべきでな いか、ということは結局は臓器提供を断るべきか、あるいは提供者本人の意思を第一に 考えて臓器提供を行うべきか。これは法律にはっきり定められておりますから、当然、 提供者ご本人の意思を重視して、臓器提供を行うべきという答え以外にはないと私は思 います。  しかし上の項目のその上の○にあるように、家族に対してコーディネーターが開示項 目を説明して承諾を得ておくということとの関連で、全てについて承諾を得なければな らないということではないので、これとこれは開示しますということで承諾を得たもの については開示してよいのであって、それを断られたからといって、臓器提供を家族が 断るというか、すべきでないというのは、私は筋が通らない話ではないかと思います。  したがって、まずコーディネーターは情報開示について十分に説明して、社会の強い 関心要請があるということも十分に説明した上で、しかしどうしてもこれは開示されて は困ると家族が言われたものについては、約束をきちんと守って開示しないというのが ここでは必要ではないかと思います。 〇大久保委員  私もずーと前から第三者機関による監視の検証システムが必要であると言い続けてき たのですが、これは私も非常に大事だと思っております。情報の開示に関しましてです が、先程菊地委員がおっしゃったように、私も情報の開示は、報道するのは摘出後にし ていただきたいと思っております。  ただ、情報の開示に関しては、この間に全く報道機関に知らせないということではな く、ある程度報道機関に関してはきちんと情報開示はするが、実際の報道に関しては摘 出後が望ましいと思っております。  先程の件のコーディネーターの説明に関しても、私も同意見です。基本的に承諾の同 意を得る努力はするべきですが、それと臓器提供というのは全く別の問題であると思っ てます。それによって臓器提供が阻害されるようなことがあってはならないと思ってお ります。以上です。 〇大島委員  検証を行われた移植医療がなぜ公表されるのかというのは、それが確実にきちんと行 われているということを、世の中もそれで間違いないと納得すれば、基本的にいいので はないかと思っています。移植医療だから今は特別にこういう議論があるのか、もし移 植医療であるとすれば、腎臓移植についてはもうあれだけやられているから、必要ない という話になるとすると、移植医療の中でも脳死からの移植だから、今は特別な議論に なっているのか。あるいは今の時期だから特別な議論になっているのか、そういうこと をある程度きちんとさせた上で議論をした方がいいのではないかという感じがします。  これは夢のような話かも知れないのですが、年間にアメリカ並とはいかなくても300 例とか500 例が行われたときに、報道の問題というのは一体どうするのかという議論 を、その都度都度にやっているわけにはいきません。したがって、今どうなのかという 非常に大きな問題を抱えてきて、移植がここまで来た。だから今どうなのか、普通の状 況ではないから、特別な情報を発進する必要がいまの段階ではある。そのためにはこの ようなルールと、特別なこのような考え方でやっていこうではないか。ここまで出して いけばどうかという議論です。  それとは全然別に、ある程度当たり前の医療になっていくプロセスの中で、腎臓移植 でも行われているように、評価機関のようなものをきちんと作って、ネットワークに評 価委員会というものがありますが、ああいう仕組みとしてどうやっていくのかという議 論と区別して話をした方がいいのではないかという感じがします。 〇浅野委員  質問です。慶応病院の例で、1例目の後にドナーの方が署名されたというふうに、 コーディネーターの方が記者会見したのがあったと思うのです。そのドナーの方が、マ スメディアの取材、特に高知の取材や報道について、どのような感想を持たれていて、 そのことがどういう要望や希望に繋がったのかということを、教えていただきたい です。  もう一つは慶応病院が5月12日の午後7時頃に記者会見して発表したのですが、その 記者会見は大阪に比べると非常に短かったと聞いているのです。私が非常に不思議なの は、慶応の場合には第1回の脳死判定が終わるまで、マスメディアは気づいてなかった ようなのです。するとそれまでの、例えば朝日新聞の、情報を閉ざす厚生省、という論 理からいけば、その記者会見こそ、データを出してくれという形で迫るべきだと思うの ですが、私が聞いたところではあまり沢山質問がでなかったと聞いています。慶応は信 用して、地方の我々は信用しないのかということで、我々はスケープゴートであるとい うような意見が高知から出ています。  すると医療機関によってはここは信用できるから大丈夫だろうというようなことにな り、それではジャーナリストは困ると思うのです。世間の評価が高いところほど逆に怪 しいのではないかと考えるのがジャーナリストの仕事ではないかと私は考えるのですが 、その記者会見も私は見てないので、どういうやり取りがあったのかということです。  つまり第一回脳死判定終了までリアルタイムの取材ができなかったメディアとして、 それまでのプロセスのチェックは、どういうふうに行われたのか、どういう資料が慶応 病院からその場で提供され、どういう説明がなされていたのか、という2点をお聞きし たいと思います。 〇朝浦室長  現在第1例目のあっせん業務に係る作業班をやっておりまして、その中でいろいろな 経緯等についてご家族のいろいろなご発言等も含めて検討しております。作業班の報告 をまとめる段階でもしそういうことが公表できるのであれば公表したいと思っておりま す。  2点目の慶応大学においての記者会見は、私どもは承知しておりませんので、どうい うことが行われたのかということは、今の段階ではお答えする能力はございません。一 人、職員は同席しておりますが、記録をとっているわけではありませんので。 〇浅野委員  私の意見を申し上げたいと思います。私は報道協定とかを結んだり、あるいはこの委 員会が報道のガイドラインを作るということについては、反対です。報道協定というの をやってもいいのですが、これは非常に馴染まないと思うのは、今大島委員が言われた ように、医療に関わることは、別にこの問題だけではなく、国民の間で不信もあるでし ょう。医療全般の不信という問題とそういうものを特別に協定を結ぶというのは、誘拐 事件のような緊急性のあるものとは、異例、ちょっと馴染まないという気がします。  これはマスメディアの自主的な規制に任せるしかないのです。しかし問題は、今の高 知の1例を見ても、あるいは慶応病院の場合でも、慶応病院の場合はわりと取材がス ムーズであったという評価もあるのですが、私の友人が現場にいって半日くらいいたの ですが、決して第1例目から真剣に学んでいるとは思えない。夜中にライトを照らした り、病院の関係者によると、相当に入院患者の方も迷惑している。付近の道路もあるテ レビなどは銀行の支店前に止めていたそうですが、その意味で取材についても市民から かなり批判が出ているわけです。  すると今板倉委員が言われたように、情報開示は早めにやってもいいのではないかと いうのは、確かに論理的にはそうなのですが、日本のマスメディアの現状、モンスター のようなマスメディア、ハイエナのように飛びつく部分もあるわけです。全部とは言い ませんが、体質的にニュースの対象として面白ければ、それがシステムとして本人の記 者たちは、一生懸命に理性をもってやろうとしているのだが、デスクから行ってこいと いわれると、行き、それが各社2〜3人づつでも100人を越えてしまい、迷惑をかけると いう現状がある。  それを産経新聞が1例目から学んでいないということを、記者の署名入りで二人が書 かれていて、日本の今回の慶応病院の例ではそれだけです。今回も問題があったと書い てあったのは産経新聞の社会部だけで、僕は産経新聞は立派な新聞社であると、その意 味で思うのです。  ですから、マスメディアの今の現状を踏まえないといけない。論理的に法理論的に開 示すべきだというのはいいのですが、現実に情報を知ったメディアが今の段階でセルフ コントロールするだろうかと考えると、この委員会がやるべきことは、そういう体質を もっている報道界に対して改革を迫るということです。そういうことを言うべきだと思 います。それは委員会でもできると思います。これは決して報道の自由への介入でもな いし、報道を良くするために我々が要望するわけです。それを受けて、メディアに変わ ってもらう。  そういう努力もなしに、早い段階からの情報開示ということを今いうことは私はでき ないと思うのです。それの答えは、検証機関を作るとかという形でやってほしいと思い ますし、この検証機関を作る場合に、私は非常に重要であると思っているのは、決して 「第三者」機関ではないと思うのです。「第三者」であってはいけない。あくまでも医 療をうける当事者の人達、市民の人達の権利を守る、それを法律できちんと支えていく というシステム、仕組みを作る。  スウェーデンなどでオンブズマン的なシステムというのは、日本では第三者機関とす ぐに訳されるのですが、第三者機関というのはAさんとBさんがいて、その間に入って 仲裁をする。離婚の調停のようなものです。それが第三者機関です。そうではなく、弱 い立場の市民、患者の人達の立場に立って、強い立場である医療や行政や、そういうも のから弱者を守るということに主眼を置くシステム、国がそういうシステムを保証する というのがスウェーデンの考え方で、そういう新しい形の検証機関を作ってもらいたい と思っています。  これは日本ではこういう機関がなくて、参考人の人がいってましたが、第三者機関を 作っても、結局は行政に取り込まれて、行政の都合の良い人を集めてうやむやにされて しまうという意見があって、それは確かにそういう面があると思うのです。これまでの 日本の第三者機関と言われているものを見ると、そういうことが言えるので、是非、今 回の脳死に関わることでどういう機関を作るのかというのは、今後の日本全体の市民と 行政、あるいは強い立場と弱い立場というのがあるときに、どう解決するのかというと きに、画期的な組織ができると思うのです。  その意味で委員会が代行するのではなく、もっと大きなところで、この問題を解決す る。そういうボディーを作ってもらいたいと思っています。その際、報道の問題で非常 に重要なのは、日本新聞協会であると思います。日本新聞協会は、厚生省が今回委員の 派遣を求めたにも関わらずそれを断った。朝日新聞によると、その理由としては「委員 会そのものに再検証が必要である」と言っているのです。委員会に問題があるというこ とを、新聞協会の編集部として、朝日新聞にコメントしております。このコメントの主 が誰かわかりません。今調べてるのですが、朝日も協会も答えてくれません。誰がこう いうことをいっているのか分かりませんが、この委員会に再検証の必要がある。その中 で「報道機関の人が委員となって当事者となることはできない」とい言っている新聞協 会がもしそこまで言うならその根拠を示してほしい。「新聞協会編集部」は「厚生省記 者クラブでまず議論を深めるのが大事である」と朝日新聞にコメントしているのです が、そうではなく、日本新聞協会全体として、社会的に大きな関心を呼んでいる報道の 問題について、きちんと集まって議論してもらいたい。  こういうことを私がいいますと、いつも新聞協会の人達はそういうことは各報道機関 で対応することだというのですが、例えば日本の総理大臣に記者を何人付けるのかとい うことは協議しているし、皇室関係のプライバシーについては、幹部が何度も集まって 議論しているのです。その意味でいえば、こういう弱い立場に置かれている関係者につ いても、日本新聞協会並びに日本民間放送連盟、そしてNHKの3つがきちんとやって もらい、そことの連携というのはこの委員会で必要ではないかと思ってます。 〇黒川委員長 ありがとうございました。その他にどうですか。 〇桐野委員  今マスメディアについてのご発言があったので一言です。これは感想ですが、第一例 の医学的評価の委員の一人として、医学的には無呼吸テストの手順の前後の問題を除い ては問題がなかったと思っておりまして、日本ではじめての脳死臓器移植という事態に 対して、もっとも準備ができてなかったのはマスメディアそのものであると思いますの で、そこは本当に反省していただきたいと思います。 〇黒川委員長  その他にはありませんか。第1例があった後の第1回の浅野先生方に最初に参加して いただいたときに、マスメディアは100 人以上いたと思いますが、あのときに最後に 私、こちらの方の検証はこれだけ公開して最初からやっているのにも関わらず、マスメ ディアの方は自主的にどういうふうにするのかというのを、できれば公開のところで議 論してやってくださいよねと最後にいったのですが、一向にそういう気配はない。少な くともこちらの当事者は公開してやっているということをを見せているのだが、そこま で市民として成長していないのだろうなと思ってますが、よろしくお願いします。皆さ んサラリーマンだから辛いと思いますが、そういうものではないかと思ってます。浅野 先生のおっしゃる通りだと思います。  他にございませんようでしたら、これは直ぐに結論が出るような問題ではございませ んからまたやるとして、新聞協会なのか、テレビもあるからどうなのか知らないが、そ の辺は自主規制ではないが、どうしょうかという話を、横並びである必要もないと思い ますが、ボトムラインはこうであるという話を、どちらかというとやってもらいたいと 思って、最初からいっているつもりです。 〇浅野委員  私ばかり話をして申し訳ないです。実は1987年に日本弁護士連合会は、医療ではない のですが、報道される側の権利ということについて、その苦情の申し立てを受けて審理 する自主規制機関を作れということを人権大会でマスメディア全社、あるいは業界団体 に申し入れているのです。その時にメディア各社にアンケートもしてます。30数社の報 道機関の中で18社くらいが、英国やスウェーデン型のような報道評議会の設置が必要で あると答えているにも関わらず、12年間これを放置してきたのです。  松本サリン事件とか様々な報道被害があったにも関わらず、その場しのぎでオンブズ マンを作りますとか社説で書きながら放置してきたわけです。今回の脳死のことという のは、非常にマスメディアに最終的にそれを突きつけられたと思いますので、イギリス でも国会でプライバシーの保護とかはちゃんとマスメディアがしないと法律を作るとい う形で、国会との緊張関係の中で報道苦情処理を取り扱う、プレス・カンファレンス・ コミッションというのができておりますので、ぜひこのことをうやむやにしないで、問 題提起をしていくことが社会的にも大事ではないかと思ってます。 〇黒川委員長  ありがとうございました。聞いているそちら側の人は反論できないので申し訳ないの ですが、ここは意見を聞く場ではありませんから、私も最初いったようにそういう対応 をしてもらいたいといったら、毎日と産経あたりが、主体的にやって、その意見を社説 などに出しているというのは、それなりに前向きにやっているという気はします。  そういうことは皆さん国民は見ているという話だと思います。今日聞いて、帰って部 長などに話をすると、俺の首がかかっているからそうはいかないと言われるかも知れま せんが、サラリーマン社会は辛いということかも知れません。  ではこれについてはいろいろとまたご意見をいただくとしまして、事務局からもう一 つです。 〇朝浦室長  参考資料につけてある最後の一番後ろのペーパーでございます。先日の専門委員会で 承認いただきました分割肝移植に係る作業班を設置させていただいて、今後検討させて いただきたいと思っております。ここに書きましたように5名の先生方にメンバーに入 っていただいて、今後検討させていただきたいと思います。以上でございます。 〇黒川委員長  田中先生何かありますか。よろしいですか。分割肝ということが、日本ではその意味 では生体肝移植が非常に進んでいるので検討していただくということでございます。用 意した議事は終了しましたが、何かございますか。ないようです。まだいろいろあると 思いますが、時間が過ぎてしまって申し訳ありませんでした。では事務局から最後にお 願いします。 〇朝浦室長  次回以降の開催予定でございます。次回は6月21日月曜日、9時半から12時までの予 定でございます。次次回が6月29日火曜日、これも9時半から12時までの予定でござい ます。以前にお送りしたご案内には10時からということを書いておったと思いますが、 9時半からということで訂正させていただきたいと思います。よろしくお願いします、 以上でございます。 〇黒川委員長  今日の専門委員会は終了させていただきます。ありがとうございました。                               −終了− 問い合わせ先  厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当  山本(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03−3503−1711