審議会議事録等 HOME

医療保険福祉審議会 第52回制度企画部会議事要旨


1.日時及び場所

平成11年6月11日(金)14:00〜16:00
厚生省共用第23会議室

2.出席した委員等

金平、井形、糸氏、大宅、塩野谷、高木、鴇田、堀田、南、若杉の各委員
岡本、鳴神の各専門委員

3.議題

 1 高齢者医療制度等の見直しについて

(1)地方関係団体ヒアリング
(2)高齢者保健事業の在り方に関する専門委員会報告(案)
 2 その他

4.審議の概要

1)はじめに、全国市長会、全国町村会、国民健康保険中央会の代表者3名から「今後の高齢者医療制度の在り方」について説明があり、その後、発言及び質疑応答が行われたが、その概要は以下のとおりである。

(喜多守口市長)

○ 医療保険福祉審議会の制度企画部会での抜本改革の検討が、高齢者医療制度の2案に限られ、全国自治体が一致して訴えている一本化の案が取り上げられなかったのは遺憾に思っており、我々の主張の根底にある、制度的な不公平が明確に意識されていないのではないかという点を危惧している。
○ 本日の意見表明の機会に、改めて国民健康保険事業の現場を通しての実感を伝え、医療費を負担する仕組みの面から理解を得たいと考えている。
○ 第一に、国民の立場からみた制度の公平という点について、給付水準や保険料負担に保険者の努力や加入者に責任のない不合理な制度間格差があるが、給付内容、患者の一部負担などが制度ごとに異なっていることを改めて認識する必要がある。
○ 法の下の平等という理念は制度の一本化によって可能となると考えている。
○ 第二に、高齢者医療の別建ては保険による危険の分散という手法に馴染まなく、社会保険としての制度を維持するのであれば、老人、若人を含めた総合的な制度を目指すべきものと考える。
○ 第三に、保険者規模についてはリスク分散、安定した財政運営の観点からも、スケールメリットを持つ規模の保険者とすることが必要である。格差のない社会保障、安定した保険事業という視点では自明の理であり、大規模である方が安定、公平を維持しやすいことは、政管健保の仕組みがあることからも明らかである。
○ 第四に、保険料負担能力の評価について、国保というと自営業者の保険と一般的に理解されているが、現在では自営業者、農業者は3割弱まで低下し、年金生活者や小規模事業所に従事するサラリーマンが多くを占めるようになってきている。制度一本化の議論では、所得捕捉の格差が障害とされているが、その点は税の方で措置すべきで、また、現在の国保被保険者の所得は所得捕捉の格差が問題にならないほど低い水準にある。
○ 第五に、保険者機能の強化について、現在、保険者が自らの努力で医療運営の改善を図ろうとしても、具体的な手立てがない。最近、老人病院が多いのは自治体の責任であるかのような誤解が伝えられたことがあったが、医療費の決定、保険医療機関の指定、不正請求への制裁など、全て手の届かない所で決定され、保険者に残されているのは集金・支払い業務だけで、保険者運営の意義など感じられないというのが国保、被用者保険の共通の思いではないか。医療運営にあたっては、自律的な機能を持った保険者の設置を目指すべきと考える。
○ 現在検討されている2案については、高齢者独立保険モデルは、給付費の95%の公費負担は財政的な面での妥当性に疑念を持たざるを得ず、また、独立した制度として保険料を賦課する場合には、介護保険、健康保険に追加されることになり、制度の複雑化、市町村事務の実情からも受け入れがたい。
○ 突き抜けモデルは、原則20年以上の被用者保険加入期間要件は、終身雇用制が崩れ就業構造が変化する将来状況に対応できないと考えられ、また、この案の財政試算では、国民健康保険は財政的な存立基盤を一層失うこととなり、到底受け入れられるものではない。
○ 2案に共通している事項として、医療費の一部負担の格差を是認している点には不満があり、国民健康保険の問題は単に年齢構成の差だけでなく、所得格差、構造的な有病率の高さ等にもあり、抜本改革はこの点に注目しながら国民的立場に立った問題解決を図るべきである。
○ 最後に、国民健康保険制度が財政上の収支面、保険料の面で危機に瀕している実情を理解していただき、医療制度の一本化の検討が、法の下の平等な医療保障の実現という目標への過程としてなされるべきと考える。

(野中園部町長)

○ 喜多市長の説明を補足するような立場で申し上げたい。長年、国民健康保険を運用してきたが、これほど多くの問題を抱えている組織はなく、弱小の町村での保険運営は大変厳しいものがある。
○ 第一に、国民健康保険の財政状況は法定分が3,800億円余、法定外として一般会計から3,100億円余負担しているが、一般会計からこれだけ多くの負担をして辻褄を合わせているのが実情で、今まで当然のような形でこのような状況を長い間放置してきた厚生省にも責任の一端があるような感がすることも事実である。
○ 第二に、高齢者の中にも多くの保険料を負担している現況があり、私の居る園部町では、70歳以上の独り暮らし老人は40,514円、70歳以上の2人暮らしで100,537円など、年金生活者が殆どである中で、応益割と応能割、資産割で負担してもらっている。
○ 第三に、我々保険者がレセプト点検をし、問題を感じ指摘しても、医師会等の検査の中では、数字的な間違い等は是正しても、専門的な形では疑問があっても認められることは殆どない。制度的に保険者は蚊帳の外で、保険者としては何の権限もないのが現実である。
○ 第四に、医療費の一部負担に格差のあることも事実で、同じ国民でありながら、国保被保険者がなぜ3割負担しなければならないのかと疑問に感じている。
○ 第五に、拠出金制度について、財政の苦しい国保も2兆2千億円余を負担し、実質的には拠出金に3割余負担している事実を理解いただきたい。新聞等で拠出金の一時支払延期等の意見があるが、退職者医療を国保が運営している点や多くの他の保険から移動してきた人が国保に存在していることを認識してほしい。
○ 第六に、老人医療費のあり方について、今後、根本的な検討をしていただく必要があると思っている。私の町の実態では、老人医療費の年間総額15億円のうち国保の老人医療対象者101人で4億円余を占めている。このような高額医療に対する負担の公平化等も検討することが大切であり、101人のうち49人が亡くなっている現実を考えると、終末医療の在り方の問題等にメスを入れなければ保険の維持は大変ではないかと感じている。
○ これまでの国民皆保険制度は、底辺の部分で我々市町村の国民健康保険が支えてきたのも事実であるが、近い将来、国民健康保険を国に返上すべき時が来るのではないかと思っている。日本の社会構造が変革を求められている時期でもあり、思い切って、地域保険制度として都道府県を最小単位として運営すべきではないかという考え方を持っている。

(北郷国民健康保険中央会理事長)

○ 喜多市長、野中町長とは違った立場で、所得と年齢の各制度間、保険者間の分布、水準というような観点で説明したい。
○ 各制度間、保険者間で所得に差があるという保険集団の組み方は不公平であり、また、各制度ごとの年齢別の医療費がほぼ同様であることを踏まえると、年齢ごとの分布状況を参考とするのが大体正しいのではないかと思う。
○ 平成8年度の制度別の1世帯当たりの所得に対する拠出金の割合は、国保2.85%、政管1.6%、組合1.29%であり、これらの数字は制度別の年間所得に対する負担感を示している。
○ 市町村国保の職業構成の変化については、昭和40年の農林水産業、自営業、無職の割合が42.1%、25.4%、6.6%が、平成8年度では、7.2%、23.3%、43.5%と、いわば年金受給者の方が大部分である無職の方が圧倒的に増えてきた。被用者は23.3%であるが、これは事業主負担も払えないような零細企業のサラリーマンである。
○ 制度別の年齢分布では、国保は大体40歳以上が主体、組合、政管は30歳代、40歳未満が中心となっている。また、70歳以上を除く平均年齢では、国保41.4歳、組合31.3歳、政管33.9歳となっており、そのことが制度ごとに負担すべき給付額に差が生じていると言える。
○ 数字の説明に加えて、強制加入である医療保険、公的な医療保険制度では、公平な制度であることが一番大事であり、それが法の下に平等ということにつながる。公平性実現のためには一本化ではないかということが我々の申し上げたいことである。

(鴇田委員)

○ 保険者のサイズの話(保険者の最小単位を都道府県にするということ)は、知事会等で合意されているのか。

(野中園部町長)

○ 町村レベルでは合意しているが、知事会レベルではまだ話が出ていないと思う。それぞれの町村により所得割、資産割などが異なっており、隣近所の町村で差があることが問題で、せめて都道府県位が一つの単位で、保険料などが同じように対応できるシステムを考えてほしいというのが本意である。

(鴇田委員)

○ 現状で、どうしてもこれだけは国保の保険者に任せてほしい、裁量が出来るようにしてほしいと考えているのは、どのような点か。

(喜多守口市長)

○ 我々市長会としては、権限を下さいということではなく、権限を持っている所が財政責任を持っていただきたいということが本意で、市町村、都道府県、国どちらが保険者として適任かということを、いろいろな決定権と考え合わせていただきたいということである。全て国保でやれということならば全ての権限をいただきたい。
○ 私の居る守口市がある大阪府の旧北河内地区は、狭い地域に7市120万人が住んでいるが、7つの市で全て保険料が違う。7市の住民が同じ病院に行くのに同じ所得で保険料が違う現実があるが、我々にはどうすることもできない。

(塩野谷委員)

○ 困難を伴うが一本化に向けての制度改革を行って欲しいという要望だけではなく、一本化への具体的な案を提示いただければありがたかった。
○ 厚生省では平成9年8月に具体的な案を提示しているが、一つは地域的な保険に一本化し、保険者は市町村と県の2案とするもので、もう一つは今言われているB案のような年齢別に分けて被用者と国保を分けるというものであった。当時の厚生省の一本化案との関連で、現場を預かる立場からの意見を聞きたい。

(喜多守口市長)

○ 当初、厚生省では3案を提示しており、我々としては一歩前進という理解をしていたが、それがいつの間にかA、Bの2案になってしまい、非常に不満が募っている。今の2案については、市町村側としては受け入れられない要素が多分にある。

(野中園部町長)

○ 当初の厚生省の都道府県案に我々の要望も入れていただこうと期待感を持っていたが、いつの間にかなくなってしまったことに失望を感じる。今の2案の中で選ばれるのであれば、市町村国保は国にお返しすると申し上げたい。

(塩野谷委員)

○ もう少し古い案では一本化という案もあったが、おそらく現実性がないということで引っ込んだ。その非現実性の要因の一つに所得捕捉があったと思うが、どう克服するかについて、税制でやればいいでは解決にならない。
○ 所得調整の困難さは共通の認識としてあり、長期的には税制に待つとしても、出来ない間は一本化に近いことをやるべきで、少なくとも年齢調整ならば出来るし、一本化が持つ保険者機能の創出の面から考えれば、現行の多くの保険者を使って競争的な運営をした方がよいと思う。
○ 今の状態から一歩でも前進するには、年齢調整など当然すべきであると思うが、オール・オア・ナッシングでなければだめなのか。

(喜多守口市長)

○ 年齢調整を否定するわけではないが、年齢調整だけが全てではないと思う。保険者をどうするかについても、市長会、町村会では議論されているが、知事会ではおそらく何も出ていないので、県レベルでは今の制度を改正する意欲がないように市町村側からは見える。
○ 今は消えてしまった厚生省の都道府県を保険者にする案は、一歩前進であったと思うが、依然として被用者保険と国保との格差は解消できない。また、B案の突き抜け方式については、年齢調整をすることによってある程度調整できるが、20年以下の突き抜けに行けない人が全て国保に回ってくるのであれば、今でも困っている状況がさらに困ることになるので、絶対にしてもらっては困る。

(北郷国民健康保険中央会理事長)

○ 塩野谷委員の年齢調整は、全く所得把握問題に関係のない話なので、実施するべきであり、これが出来ないようであれば改革は何もならないと思う。

(糸氏委員)

○ 地域保険の一本化は、本来、理念として、理論としても最も優れた案と高く評価している。我々も常に理想像として掲げており、今回提案したA案も最終ではなく、高齢者以外に支援すべき人々、障害者、難病の方なども組み込むべきという意見もあり、高齢者だけに限定するというものではないと思う。
○ A案、B案とも最終的にベストの型ではないと思われ、近い将来には、本来の意味で法の下に平等な制度が作られなくてはいけない。ただし、一度に解決というわけには行かないので、プロセスの一つの段階と捉えていただけたら結構かと思う。本日出席の3名の代表者には、別の機会にでも、別の視点からの積極的な提言をいただけたらありがたいと思っている。

(若杉委員)

○ 先ほどの説明では町村間で税率に差があるわけであるが、国保グループ間での公平感を取り戻すために何か考えがあれば伺いたい。また、今のまま一本化しても国保グループ間で不公平な保険料負担は解消しないと思うが、どのように考えるのか。

(喜多守口市長)

○ 国民健康保険は国の制度であり、市町村で改革することはできないので、しかるべき所で議論し筋道を立てた上で行わなければならない。その上で市町村が保険者として実施するのであれば、料金改正などはやぶさかではない。
 しかし、現行では所得割と均等割の2方式や資産割の入った3方式があり、それらを統一するなど方針を出さない限り改善は進まない。

(野中園部町長)

○ 老人世帯では資産割の問題が大きな負担となっており、試算割が導入された時期の資産に対する感覚と、今日の山林や農地に対する評価、販売価格等の認識が全く変わってしまっている。年金等の控除で所得認定が少ないので、我々としては資産割を加味しなければ保険料は取れない問題がある。
○ 国のレベルで、資産割等の問題をどう整理するか方向付けがなければ、所得割、均等割、資産割の3方式の中から取りやすい道を選ばざるを得ないというのが現況である。

(堀田委員)

○ 公平という観点から一本化がよいと最初から主張していたが、保険者については広域化は別として、一番住民に近いので市町村がよいと考えている。
○ 一本化とした場合、現在の組合健保の企業負担や事務費をどのようにするのか。医療保険の保険者は都道府県とした方がよいという意見があったが、介護保険制度についても同じように考えているか。2点について伺いたい。

(喜多守口市長)

○ 一本化については、いろいろな方法があると思う。ドイツのように多くの健康保険組合がある場合や、単純に一つの機構を作り集中化することもある。一本化の中で集中することは難しいと考える。個人的には一番統合しやすいのは政管健保であると思う。
○ 堀田委員は地方分権の時代だから市町村と言われているようであるが、一番基本になる財源が地方に回らず、責任だけ押しつけられても進まないと思う。介護保険は、保険料が集まらず責任だけ負わされ第2の国保になるという理由で、市町村は反対していた。
○ 市町村は窓口として住民との間の接点は責任を持って行うと当初から申し上げていたが、国民健康保険も同様で、保険者は財政体質を一本化するという意味で都道府県が責任を持つべきと主張している。

(野中園部町長)

○ 市町村が住民に対し事務処理等一定の整理を行う責務は当然あるが、平等的なシステムとして、せめて都道府県単位レベルで保険料、給付について統一化されるような制度をお願いしたいと考えている。

(北郷国民健康保険中央会理事長)

○ 事業主負担や国庫負担の問題は、現在、保険料と同程度の負担がなされているので、何かの拠出がなければ保険料が一度に上がることとなる。平成8年度の厚生省案では事業主負担存続、事業主見合い負担で国庫負担となっているが、検討しなければいけない問題はあると思う。
○ 徴収事務の問題については、両方を一本化するわけであり、お互いの協力関係を維持していくことで対応できると思う。

(高木委員)

○ 先ほどから出ている平等論については、事業主負担の中にも皆で稼いだ分が入っている等、いろいろな観点からの議論があると思うが、所得捕捉は税の世界でやれというのでは、本来の意味での平等の議論にはならないのではないかと思う。

(喜多守口市長)

○ 税の問題を申し上げなかったのは、介護保険で保険料の逆転現象が起きると審議会で話したが、議論にならなかった経緯があるからで、機会あるごとに、大蔵省、自治省には不公平を是正してほしいことは申し上げている。
○ また、低所得者問題については、果たして生活保護者が一番低所得者かどうか、生活保護並みの低所得の方が税金を取られている等の状況がある中で、公正なのかどうか考えていただければと思っている。

(北郷国民健康保険中央会理事長)

○ 高木委員が言われた所得把握問題は、以前に保育所の問題で議論になったが、最近では問題は減ってきていると思う。その問題を取り上げて一本化議論が門前払いという話では納得できない。

(野中園部町長)

○ 我々も全て抵抗しようと思ってはおらず、お互いに議論し、譲るべき所、理解すべき所はあるはずで、ただ、同じ町民である国保、健保、政管の方の中での不平等があまりにもあり過ぎるので、その辺の実態を理解していただきたいと申し上げている。

(金平部会長)

○ 部会で一本化を門前払いや俎上に乗せなかったわけではなく、11月に意見書をまとめる際にも話し合っていることを御理解いただきたい。3団体から発言いただいた意見は、今後の部会の審議の参考とさせていただく。

(三団体の代表者が退席)


2)次に、事務局から「高齢者保健事業の在り方に関する専門委員会報告(案)」 について説明があり、その後、発言及び質疑応答が行われたが、その概要は 以下のとおりである。

(金平部会長)

○ 専門委員会では、昨年11月の制度企画部会の意見書を踏まえ、今後の高齢者の保健事業について審議いただいていた。その報告書が概ねまとまったということで事務局より説明があったが、意見等のある方はどうぞ。

(井形委員)

○ 医療費削減の最も大きな因子は、病気にならないことだと思う。昔は治療医学が主流であり医療保険には原則として予防給付がなかったが、医療費に最も大きく関わっている大きな因子は病気にならないことで、そういう意味では早期発見、早期治療、健康づくり等の保健事業は、医療費削減のための壮大な投資と言うことが出来る。
○ 介護保険では、要支援階層はリハビリを中心とした予防給付であるが、予防給付が前面に出ることは今後の医療保険にも影響を与えると思う。
○ 今までのリハビリテーションは、脳卒中を治すなどの医療が中心だったが、今後は病気にならないための生活リハビリテーションが重視されると思う。
○ 日本は世界一の長寿国になったが、幸せな長生きでないと意味がなく、健康で何歳まで社会に貢献できるか、生活できるかが目標となることを各委員も念頭においてほしい。
○ 保険・医療・福祉の一体化というのは、各々がセパレートしている限りは患者にメリットがなく、それらが全部一体化して初めて医療費の削減が実現できることを強調したいと思う。

(鴇田委員)

○ 対象者と指導者が1対1で個別に健康教育を行うということだが、例えば、喫煙の弊害を中学生、高校生に教育するのは大事だと思うが、成人に同じことをしてもそれほどの効果はないと思うし、それより疫学的に明らかに喫煙は悪い結果を招くことがわかっているのであれば、例えば、厚生省からたばこ税を上げるよう勧告するなどの方策はとれないか。

(事務局 西山老人保健福祉局老人保健課長)

○ 喫煙者のうち、たばこをやめるための健康教育に参加を希望した者に対し、一定の方法に基づく個別の教育を行ったところ、一定の成果が実証されている。こうした方法に基づく事業実施について、現在議論している最中である。
○ たばこ税については、アルコールの問題も含めて、税の問題はよく議論になるが、健康管理を所管する省庁と税を所管する省庁との立場が政府全体として一致しているわけではない。

(井形委員)

○ 大阪の摂津市のデータでは、高齢者になってから健康づくりをやった人とやらない人の平均寿命にはっきり差が出ており、若いうちからの健康づくりも大事であるが、高齢者になったから無駄だということはない。

(南委員)

○ このような検討は非常に重要で高く評価したいと思う。印象としていくつか挙げると、保険者の事業で民間の保健事業があまり触れられていないが、今後、民間が行う保健事業への助成の動き等があるのか。
○ 喫煙はWHOで示しているように全ての生活習慣病の大きな課題であり、税金の問題でなくても厚生行政として取り組めるところがあるのではないか。そういう環境づくりは重要だと思う。
○ 「健康教育」という言葉は集団の時は適切だと思うが、1対1の場合は相談ならよいが指導となるとどうか。教育となると、受ける側が成人や高齢者の場合には抵抗感をもたれるのではないか。また、相談については、生活習慣病全てに関わるので、高血圧などの相談というより生活デザインの相談であると思う。
○ ヘルスアセスメントでの所では、今までの成人病のものだけでは生活習慣病の多要因のファクターが落とされていくのではという懸念があるので、生活・健康アセスメントとして多角的に取り上げられたらと思う。
○ 科学的有効性のプログラムの問題について、健康に対するモチベーションの高い人には有効だと思うが、低い人への対応はどうするのか。
○ 産業、企業との関連で、ヘルスアセスメントはどこでやるのか伺いたい。

(事務局 西山老人保健福祉局老人保健課長)

○ 民間の保健事業参入は、現在、健康診査事業については検診実施団体や、個々の医療機関が市町村の委託を受けて実施している。健康教育なども含め、民間企業の活用につき、できるものから検討していきたい。
○ たばこの問題は、保健医療局が主導して禁煙週間の省内分煙などを試みているが、効果の確認がきちんと出来ないと、単なるプロパガンダで終わってしまうことがある。
○ 生活デザインについては、生活という言葉の範囲が広いので、生活習慣を変えるということは、その方の生活様式を変えることともなる。また、行動科学的な議論が日本人に馴染むかという問題もある。
○ モチベーションの低い方については、この事業としては対応や手がかりがつかみにくいので、御意見やアイデアがあればいただきたいと思う。
○ ヘルスアセスメントについては、基本的には市町村の実施を想定しており、具体的な実施方法を早急に検討することとしている。
○ 老人保健事業の実施主体は市町村であるので、市町村が他に委託する実施形態も検討していくことになると思う。

(堀田委員)

○ 保健・医療・福祉の連携は、従来からは進んだ考えなのだろうと思うが、私からみると、まだ、教えてあげる、こうしてあげるというように思われる。
○ 専門的なのでそうなる部分もあるのかとも思うが、健康を保持する主体は本人であり、本人がいきいきとやりがいをもつことが一番基本で、大きな力になると思う。そして、相談、指導する際に、保健婦さんがそのような意識を持って対応することが大切ではないか。この報告書を読むと、やってあげるという感じになるのではないかと少し心配である。

(大宅委員)

○ どうも健康が目的となってしまうのがおそろしい。長生きは何かやることがあって長生きできて初めてよいのであって、ただ長生きが出来たことをうれしいと思うのはやめてほしい。
○ また、健康づくりに励んだから長生きするとは限らないし、堀田委員の言われるように何をして生きていくかということの方が大事である。行政から全てに手をさしのべられると思うことの方がおかしい。
○ 喫煙はマナーの問題であって、吸ってはならぬと強制できるものではない。

(金平部会長)

○ いろいろな意見が出たので、引き続き専門部会で検討いただきたい。次回の日程については、先日事務局から説明があったとおり、全体的な審議を予定しているが、改めて、次回以降の進め方について事務局から説明を願いたい。

(事務局 井口老人保健福祉局企画課長)

○ 今月は16日と30日に予定している。これまでに11月の意見書に沿って、さらに論点を絞り各論点ごとに財政試算を含め御議論いただいたが、今回で一通り終了した。
○ そこで、事務局の方でこれまでの御意見を再整理したものをお出しし、それに基づき再度総括的な議論をしていただければと考えている。その中で集約できるものは集約していただくような方向で議論を深めていただければと考えている。

(塩野谷委員)

○ 医療、年金、介護など社会保障制度全体の中で考えていく必要があるが、まだ、社会保障費の枠の認識が我々に与えられていないので、総括的な議論をする際の資料として、医療、年金、介護などを全て税金、消費税で賄うとしたらどの位になるのかという資料を用意してほしい。


3) 最後に、金平部会長より、次回も引き続き高齢者医療制度等の見直しについて議論すること、次回は6月16日(水)午後3時から本館7階特別第1会議室において開催する旨の連絡があり閉会した。


照会先
担当者 老人保健福祉局 企画課 課長補佐 宮本 直樹 内線3917


審議会議事録等 HOME