99/05/12 第7回 地域保健問題検討会議事録    第7回 地域保健問題検討会 議 事 録 厚生省保健医療局 地域保健・健康増進栄養課 日 時 : 平成11年5月12日(水) 10:00〜12:07 場 所 : 通産省別館 944号室 出席者 : (出席委員)北川座長・生田委員・池田委員・磯部委員・犬塚委員        遠藤委員・大倉委員・大月委員・小倉委員・黒田委員        櫻井委員・高橋委員・竹澤委員・田中委員・遠目塚委員        中原委員・長谷委員・原 委員・山本委員・米田委員 (欠席委員) 衛藤委員・園田委員・鶴見委員 (事務局) 岩尾地域保健健康増進栄養課長、平野健康指導官・福島補佐 議事次第: 1.開会 2.議事 (1)地域保健問題検討会報告書(案)について (2)その他 3.閉会 北川座長  おはようございます。それでは定刻となりましたので、これから第7回の地域保健問 題検討会を開かせていただきます。  皆さま本当にお忙しいところご出席いただきましてありがとうございました。なお、 全国町村会から行政部長の鬼頭委員にご出席をいただいていたわけですが、この4月の 交代に伴いまして、本日から後任として大倉委員が委員会に参加していただくことにな ったわけでございます。あとでいらしてからご挨拶をいただくことにします。  本日は、鶴見委員、園田委員、衛藤委員ご都合によって欠席のご連絡がありましたの で、お知らせをさせていただきます。高橋委員はご都合により中途で退席をされる予定 です。田中委員は遅参をされるということです。 それでは今日の資料の確認をお願いいたします。まず資料1を配付しておりますの で、事務局から説明をお願いします。 岩尾課長  おはようございます。本日は1冊綴じておりますが、地域保健問題検討会報告書の案) ということでつけさせていただいております。本来ならば、事前にお送りして検討いた だく予定でしたが、連休等が入りまして事務局の体制整わずに本日初登場ということで 申し訳ございます。先生方のご記憶を新たにしていただきたいということで、2ページ を開いていただきたいのですが、この会は、昨年の12月2日に第1回を開かせていただ いております。後ほど読み上げさせていただきますが、幾つかのテーマに絞ってご議論 いただきそして本日5月12日、報告書(案)ということで考えております。  それで今日初めてご提示しておりますので、ご意見もあろうということで一応あと2 回、6月の予定をとってございます。早くいけば、これでだいたいいいということであ れば1回で終わらせるつもりにしておりますが、余裕をみて6月に2回ほど入れさせて いただいてます。このようなスケジュールで今後も進めさせていただきたいと思ってお りますので、よろしくお願いいたします。私からは以上です。 北川座長  どうもありがとうございました。これから報告書をよんでいただきますので、お願い いたします。 福島補佐  それでは報告書について読み上げさせていただきます。始めに目次がございますけれ ども、1ページ開いていただきまして、本文から読まさせていただきます。  本検討会は、公衆衛生審議会総合部会が提示した、「地域保健対策の推進に関する基 本的な指針(平成6年12月1日厚生省告示第374号)」(以下「基本指針」という。)の 見直しにかかる検討を行うため、平成10年12月から、関係者のヒアリングを含め、9回 (予定でございますが)にわたる検討会を経てきたところであるが、このたび、以下の とおり、検討結果をとりまとめたので、報告する。 1 はじめに (1) 本検討会設置に至る経緯  地域保健法が平成6年6月22日改正され、平成9年4月1日に全面施行されれ、また 同法4条第1項目に基づき、基本指針が告示されたが、その後、地域保健対策を実施し ていく上でいくつかの問題点が生じていた。そのため、公衆衛生審議会総合部会は、基 本指針の見直しを含めて検討すべきものとして、本検討会を設置し、本検討会におい て、地域保健対策における問題点について、基本指針の見直しを含めて検討することと した。 (2) 検討事項  以上のような状況を踏まえて、本検討会は、次の検討事項について、検討を行ってき た。 ア 基本指針告示後、阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件、病原性大腸菌(O157) による集団食中毒事件、和歌山市毒物混入カレー事件等のいわゆる健康危機事例が頻発 し、このような健康危機事例に対する適切かつ迅速な対応を確保するために、都道府 県、保健所、地方衛生研究所、市町村等が健康危機事例に対する対応においてどのよう な役割を担うべきか。 イ 介護保険法の制定による平成12年度からの介護保険制度の導入を控えて、介護保険 制度の円滑かつ適正な施行を実現するため、介護保険制度の導入に際して、市町村都道 府県、保健所、市町村保健センター等がどのような役割を担うべきか。 ウ 政令指定都市(地方自治法252条の19第1項の「指定都市」をいう。以下同じ。)に おける保健所設置の実態は、1行政区1保健所体制と、1市1保健所体制とに2分され ており、基本指針が定めた政令指定都市における保健所の設置に関する指針との間に乖 離を生じていることから、かかる保健所の設置実態をどのように評価するか、政令指定 都市における保健所設置基準について改善を加えるべき点はないか。 エ 地方分権推進計画において中核市(地方自治法252条の22第1項の「中核市」をい う。以下同じ。)の指定要件の見直しについて検討することが盛り込まれており、中核 市の指定要件の見直しがなされた場合に、基本指針が定める保健所政令市(地域保健法 5条1項の「その他の政令で定めた市」をいう。以下同じ。)の指定要件の見直しを図 る必要があるか。 オ その他、政令市(地域保健法5条1項で定める市を一括して、以下このようにい う。)における適正な地域保健対策の確保のために、どのような保健所等のあり方が考 えられるのかなど、基本指針発出以来5年間を経過し、社会情勢の変化に応じつつ、地 域保健対策をより適切に実施していくために、基本指針全体について見直すべき事項が ないかどうか。  以上の検討を行う中で、地方分権のための地方自治法の改正内容が、中核市の指定要 件自体の見直しは行わず、中核市とは別に特例市を設けるものとなったために、本検討 会において、保健所政令市の指定要件について、中核市の指定要件の見直しに伴う形で 検討する必要性はなくなった。 (3)開催状況 本検討会は、次のとおり、検討会を開催してきた。第1回から第9回まで、略させて いただきます。 2 検討内容 (1) 検討に当たっての基本的視点 ア 地域保健体制において強化すべき機能にどのようなものがあるのかを明確ににする こと 基本指針は、保健所について地域保健の広域的、専門的かつ技術的拠点としての機能 を強化すべきものとしているが、さらに強化すべき機能としてどのようなものがあるの かを明確にする必要がある。 イ 地方分権、地方自治の推進を踏まえたものとすること  現在、地方分権推進法及び平成10年5月29日閣議決定にかかる地方分権推進計画に基 づいて、第145通常国会に地方自治法改正一括法案が提出されるなど、地方分権が推進さ れているとともに、日本国憲法及び地方自治法に基づき、地方公共団体の活動を地方自 治の本旨に適合したものとすることが要請されており、加えて、元来、地域保健対策に は、各地域の実情に適合し、各地域に根ざした内容であるべきことが要請されているこ とに照らせば、地域保健対策の内容や進め方について、各地域の独自性を反映させ、各 地域に根ざした、地方分権、地方自治の推進に資する内容のものとすることが求められ ている。 ウ 地域保健体制の効率性と利便性  地域保健対策の今日的課題の中には、健康危機管理と地域保健医療福祉サービス体制 の整備、充実が挙げられており、これらを適切に行うためには、対象分野、内容ごとに 集約化・広域化と個別化・分散化を適宜行うことが求められる。すなわち、地域保健対 策の適正な運用のためには、地域保健体制の効率性と利便性とに配慮する必要がある。 (2) 地域における健康危機管理体制の強化について ア 健康危機及び健康危機管理  健康危機とは、医薬品、食中毒、感染症、飲料水その他何らかの原因により生じる国 民(住民)の生命、健康の安全を脅かす事態であり、最近の健康危機事例には、阪神・ 淡路大震災、地下鉄サリン事件、病原性大腸菌(O-157)による集団食中毒事件、和歌 山市毒物混入カレー事件等等があった。  健康危機管理とは、このような健康危機に対して行われる健康被害の発生予防、治 療、拡大防止等に関する業務である。 イ 事前管理と事後管理  健康危機管理は事前管理と事後管理との2つに大別され、事前管理には、健康危機の 予測、健康危機の防止、解決のために必要な対応の同定、準備及び計画の策定等が、事 後管理には、被害発生後の国民(住民)の健康と安全の確保、被害者の救済等が含まれ る。 ウ 現在地域において実施されている健康危機管理  現在、実際に地域において実施されている健康危機管理のうち事前管理に含まれるも のは、○都道府県健康危機管理指針及び対策要領の策定、○感染症サーベイランス、○ 食品衛生法に基づく飲食店の許認可、監視、指導及び収去検査、○環境衛生関係営業施 設、建築物の衛生監視、指導、○飲料水の水質検査、○医療監視、○救急医療体制の整 備等である。  また、事後管理に含まれるものは、○感染症発生時における伝染病予防法に基づく2 次感染の防止等拡大防止のための対応、○食中毒発生時における食品衛生法に基づく原 因物質の特定及び再発防止のための措置、○台風・地震自然災害時における2次災害の 防止活動(防疫活動、避難所等への訪問等による住民の健康管理等)、○災害、事件発 生時における医療の確保のための情報収集及び医療機関の指導等である。 エ 現在の健康危機管理の問題点  上記に示したように、地域においては健康危機管理活動は相当に実施されているが、 昨今の事例を通して明らかになった問題点は、○健康危機管理体制が十分でないために 事件への対応、特に初期の対応が適切でないことがあったこと、○事件探知機能が十分 でないため、初期の対応が遅延し、被害が拡大してしまう場合が生じたこと、○健康危 機管理事例に対する発生時の対応及びその問題点について十分検討されていなかったた め、被害をより小さいものとすることができなかった事例があったこと、○毒物混入事 件や深刻な食中毒事件が発生したときに、患者の症状の原因や治療方法及び医療機関等 に関する情報の収集、解析、提供を行う中核的役割をどの機関が果たすのかが明確にな っていないことなどであった。  オ 地域における健康危機管理において今後強化すべき基本的事項 ○ 保健衛生部門の役割の明確化  地域における健康危機管理において、地方公共団体の保健衛生部門が大きな役割を担 うべきことは明かであるが、どの部門がどのような役割を担うかについて十分に明確に なっていない場合がある。しかし、健康危機管理を適切に行うためには、それぞれのレ ベルの保健衛生部門の役割を明確にする必要がある。その際には、健康危機管理体制を トップダウン的なものとすべきことを踏まえる必要がある。 ○ 事前管理及び事後管理の強化  健康危機管理においては、健康危機という事態を引き起こさないことが重要であり、 実際、事前管理は、従来から、地域保健活動、特に保健所における活動に重点を置いて 行われてきたが、今後は、従来以上に保健所における事前管理活動を強化すべきであ る。  また、実際に健康危機事例を生じた場合に備えて、事前に、健康危機事例発生時にど のように対応するかを定めた、健康危機管理マニュアルの作成が必要である。  しかし、マニュアルを整備したとしても、実際に健康危機事例に対して適切な対応が でなければ、マニュアルの作成は真に有効な手段とはいえないことから、事後管理を適 切に行うことができる人材の育成、施設・設備の整備・充実が必要である。 カ 保健衛生部門の具体的役割  既に、国は、薬害エイズ事件の反省、阪神・淡路大震災、病原性大腸菌(O157)に よる食中毒事件等の健康危機事例の経験を基にして、厚生省健康危機管理基本指針、感 染症健康危機管理実施要領、食中毒健康危機管理実施要領、飲料水健康危機管理実施要 領、医薬品等健康危機管理実施要領を定め、地域保健対策関係者の注意を促してきたと ころであるが、地方公共団体の保健衛生部門においても、地域における健康危機管理に 際しては、次のような役割を担うことが必要である。 ○ 都道府県(衛生主管部局)の役割  救急医療の整備が都道府県の役割であること、各種の衛生関係の権限が、都道府県知 事に与えられていること、関係部局等との調整が求められること等から、都道府県にお ける健康危機管理の中心的な役割は、都道府県衛生主管部局が担うべきであると考えら れる。  都道府県が特に担うべき業務は、情報の収集・分析・提供及びそれを可能とする体制 の整備、人材の育成、検査分析機器の整備、関係機関との連携・調整等である。 ○ 保健所の役割  保健所は、従来から、当該保健所管内における(現場レベルでの)健康危機管理につ いて中心的役割を果たしてきたものであり、今後とも、同様の役割を担うべきである。  従来の保健所の健康危機管理における役割の主たるものは、健康危機事例の発生防止 と健康危機の拡大防止であったが、今後は、それに加え、適切な医療確保のための支援 にもより積極的に取り組むべきである。特に、健康危機における患者の治療情報のよう な、生命に関わる情報の収集・提供機能を保健所は強化すべきである。  また、携帯電話、オン・コール体制の整備等により、休日、夜間においても、適切に 対応できる体制の整備を図る必要がある。 ○ 地方衛生研究所の機能強化  地方衛生研究所の事前管理及び事後管理それぞれについての保健所の対する科学的、 技術的支援(バックアップ)機能を強化すべきである。  そのためには、地方衛生研究所の施設、機器の整備及び充実はもちろんのこと、調 査、研究の充実、研修の実施等を通じて、人材の育成にも努めるべきである。  また、国立試験研究機関、地方衛生研究所間、地方衛生研究所相互のネットワークの 構築、大学等の後方支援体制の整備等を行うとともに、地方衛生研究所をブロックでま とめ、地方厚生局においてその地調整機能を果たさせること等により、単独の地方衛生 研究所においては対応できない事例についてのバックアップ機能の強化を図るべきであ る。  さらに、衛生研究所機能が脆弱である政令市においては、都道府県衛生研究所がバッ クアップ機能を発揮できるように、都道府県と政令市との連携強化を図るべきである。  保健所と同様に、休日、夜間においても、適切に対応できる体制の整備を図る必要が ある。 ○ 市町村の役割  市町村は、飲料水、食中毒、感染症等による健康被害を生じ、健康危機の当事者とな ったときや、市町村保健センター、学校及び教育委員会等が健康危機事例を最も早く把 握した場合には、都道府県保健所に対して、収集した情報を速やかに伝達すべきであ る。  また、市町村は住民に身近な地方公共団体であるから、健康被害予防のための情報提 供を行う場合に大きな役割を担うべきである。 ○ 政令指定都市等の政令市、特別区において特に留意すべき事項  政令指定都市においては、原則として、市の衛生主管部局が健康危機管理において主 たる役割を果たすべきであるが、1市1保健所体制の政令指定都市については、保健所 が主たる役割を果たすべきである。  政令市、特別区においては、保健所が健康危機管理において主たる役割を果たすべき である。その際には、保健所と市、区役所の保健衛生主管部局との間の役割分担を明確 にしておく必要がある。  政令市及び特別区にあっては、救急医療の確保、広域発生事例に対する迅速な対応を 確保する観点から、都道府県との連携を十分に図る必要がある。  試験、検査機能の専門的対応及び迅速な広域対応の体制を整備するべきである。 キ 健康危機管理マニュアルの作成及びそれに基づく対応 ○ 健康危機管理マニュアルの整備  マニュアルについては、都道府県レベルにおける広域的マニュアルと地域レベルのマ ニュアルとを双方整備する必要がある。  マニュアルには盛り込むべき内容には、 ・日常における情報収集体制(探知の方策)の整備 ・事例発生時の情報収集体制及び対応体制の迅速な確立 ・事例発生時の連絡先の登録等による連絡体制の整備 ・事例探知ごの関係機関への緊急連絡体制 ・日常的な医療機関、学校・教育委員会、消防及び警察等関係機関との間の連 携体制 の強化 ・事例発生時にサポートが必要な人たちの情報整理体制の整備等がある。 マニュアルの作成に当たっては、保健衛生部局だけでなく、関係する他の部局、他機 関、関係者等が参画することが必要である。 ○ マニュアルの実効性を確保する方策  マニュアルの実効性を確保するためには、マニュアルに記載された関係者、関係機関 等の役割、任務等について、関係者が共通の認識を持つことが必要である。  また、図上訓練等を用いて、マニュアルの検証及び健康危機管理に従事する人材の育 成を行うべきである。  さらに、マニュアルに示された機能を発揮できうるような機器・施設の整備を行うべ きである。 ○ リーダーシップの発揮できる人材の育成  健康危機管理はトップダウン的な体制を必要としており、そのための適切なリーダー シップを発揮しうる人材の確保が必要であり、そのような人材の確保には、知識付与型 研修ではなく、判断力、実践力を向上させうるようなケースメソッド、図上訓練(シミ ュレーション)等を用いた研修が必要である。 ○ ボランティア等の協力体制の整備  地方公共団体の職員は、健康危機事例の際に、ボランティアや他の地方公共団体によ る健康危機管理に対する協力を受け入れ、これを活用する体制の整備等を図る必要があ る。 ○ 被害者及び事後管理従事者に対するメンタルヘルス面における対策健康危機管理の 対象となるような健康被害を受けた者及びその家族並びに実際に危機管理に従事した職 員の心理的ストレスは非常に大きく、心的外傷(トラウマ)を受けることもしばしばあ る。更に、その反応が遷延化し、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に罹患することもあ る。また、健康被害を端緒とした地域住民の偏見等に基づく差別が生じることもある。 そこで、これらの者に対するメンタルヘルス面におけるケア等及び前述の地域住民に 対する健康被害及び人権の尊重について普及啓発活動が必要であり、同時にこれらの活 動に関する研修も健康危機管理研修の一環として必要である。 (3) 介護保険制度導入に伴う地域保健の役割の明確化について ア 介護保険制度導入に伴う保健部門の現状  市町村及び都道府県は、平成12年度からの介護保険制度導入のための準備を進めてい る。  平成10年度に行われた、全国保健婦長会による介護保険法施行に伴う保健事業の充実 強化に関する研究調査によれば、市町村においては、介護保険制度導入のために、8割 の市町村において機構改革等を行ったか、行う予定であるとされている。また、要介護 認定のための訪問調査、介護サービス計画の作成に保健婦・士が動員されている。この ように保健部門の役割、特に保健婦・士の役割が大きいにもかかわらず、保健婦・士の 増員については約2割の市町村で予定しているに過ぎず、このような傾向が続くなら ば、従来の保健部門の機能低下が危惧される。  また、都道府県保健所の介護保険制度の円滑な実施のための関与は、基本指針に明示 されていないこともあり、必ずしも活発でない現状にある。 イ 今後強化すべき基本的事項 介護保険制度は、高齢者の保健福祉対策を推進するため、高齢者に対する医療と福祉の それぞれにまたがった領域に位置するサービス資源を整理する趣旨から創設されたもの であり、それを老人保健福祉計画の中に位置づけ展開することが必要であると考えられ る。そして、介護保険制度導入に伴って保健部門において取組を強化すべき事項は、次 のとおりである。  第1に、健康者をより健康にする、あるいは、健康を保持する健康づくり、要介護状 態になることを予防するための保健事業の強化である。  第2は、要介護者、要支援者を含め、何らかのケアを必要とする住民を対象とした地 域ケアシステムづくりの推進である。適切な地域ケアシステムが作られることにより、 個々のケースにおけるケアコーディネーションのレベルを向上させることである。ま た、システムづくりの際には、サービス供給の最適化・効率化の視点が重要である。  第3は、介護保険を含めた保健、医療、福祉サービスの質の確保、向上を図るための 活動の強化である。これには、老人保健福祉計画の見直し、介護認定審査会の審査の公 正性の担保、介護に係る人材の育成、情報提供(普及啓発)等が含まれる。 ウ 市町村の保健部門の役割  市町村の保健部門の役割として今後より強力に取り組むべきものとしては、生涯を通 じた健康づくり活動の強化、要介護認定・要支援認定されなかった人に対する支援、自 立の維持への支援、総合的なサービス提供の推進が挙げられる。 エ 都道府県保健所の役割  都道府県保健所の役割とは、○市町村老人保健福祉計画、介護保険事業計画策定に対 する支援、○都道府県介護保険事業支援計画策定に対する参画、○市町村間の広域的( 圏域)調整、○保健医療情報の把握及び提供、○市町村職員や介護保険事業従事者に対 する研修、○事業者に対する監視、実地指導によるサービスの質の確保及び向上、○精 神障害者又は難病患者等に対するケアコーディネーション等専門的、技術的機能の強 化、総合相談窓口の設置、小規模町村に対する支援、○21世紀における国民健康づくり 運動(健康日本21)に関連した業務としての、地域における情報収集、情報分析、市町 村における計画づくりへの支援、地域保健と学校教育及び社会教育並びに労働衛生との 連携の強化、たばこ対策の強化等がある。 オ 市町村における人材確保  基本指針は、「市町村は、事業の将来的な見通しの下に、保健婦(士)、栄養士等の 職員の計画的な確保を推進することが必要」であるとしているが、今後、保健事業の強 化並びに介護保険の円滑な導入及び適正な運営を行うためには、従来に増して人材の確 保及び活用、特に保健婦・士、栄養士等の地域保健対策に従事する技術職の確保や、歯 科衛生士等地域における人材の活用が必要となる。 カ 政令市、特別区の保健部門の役割  政令市、特別区は、保健所を有する地方公共団体であるところ、同時に介護保険制度 の保険者であることから、市町村の保健部門の役割に加え、都道府県保健所の役割のう ち、保健医療情報の把握及び提供、当該地方公共団体の職員や介護保険事業従事者に対 する研修、実地指導によるサービスの質の確保及び向上、精神障害者又は難病患者等に 対するケアコーディネーション等専門的、技術的機能の強化、総合相談窓口の設置を行 うべである。 (4) 政令市(政令指定都市を除く。以下、この項において同じ。)・特別区の保健衛生 部門の運営について ア 政令市・特別区の保健衛生部門の運営の現状 ○ 基本指針は、政令市・特別区が設置する保健所については、市町村保健センター等 の保健活動の拠点及び福祉部局との有機的な連携の下に、企画調整機能をはじめとす る、その機能の強化を図ることと定めている。 ○ しかしながら、政令市・特別区における保健所と保健センターの役割分担の現状は 極めて多様になっている。例えば、保健所が保健センターを統括している体制もあれ ば、保健所が保健センターを統括していない体制もある。 ○ 保健所が保健センターを統括している体制においては、保健所が保健事業全般の企 画機能を発揮できるとか、保健所と保健センターにおいて保健事業を一体的に提供でき るといった政令市制度を推進する基本指針の趣旨に沿った保健部門の運営がされている 場合が多いが、一方、保健所が保健センターを統括していない体制においては、保健事 業を一体的に提供するという政令市制度の利点を発揮できない場合が相当にみられる。 ○ また、政令市・特別区においては、地方衛生研究所の設置及び体制整備が十分では ない。 イ 政令市制度の意義及び課題 ○ 政令市制度においては、地域の特性に応じた保健行政の展開が可能である。 例えば、市町村の業務とされている保健事業と都道府県の業務とされている保健事業と の一元的提供が可能となるとか、保健と福祉との総合的提供が可能となるという意義が ある。 ○ しかしながら、二次医療圏に位置する市が政令指定を受けることにより、当該二次 医療圏における保健医療福祉システムを構築しようとする場合、同一医療圏の他の地方 公共団体との一体的な保健・医療システムの構築が困難になることがある。 ○ また、政令市においては、技術系職種、特に医師等少数職種を中心とした人事の停 滞、技術職の確保及び現任教育体制の整備が困難となるという問題がある。 ○ 更に、健康危機管理、特に、救急医療の確保、原因究明のための検査等事後管理に ついて十分な対応が困難となる場合がある。 ○ 加えて、都道府県知事の権限とされている業務のうち、政令市の長に移譲されてい ないもの、特に許認可関連の事務については、別の場所に設置されている都道府県の窓 口に申請しなければならない場合や、政令市保健所が経由事務を担当する場合であって も、事務処理に、政令市移行以前よりも時間を要する場合があり、住民の利便性が損な われている場合もある。 ウ 政令市の保健衛生部門の運営において留意すべき事項  今後、政令市においては、次の点に注意しながら、保健衛生部門の運営を行う必要が ある。 ○ まず、健康危機管理を適切に行うための体制整備が必要である。政令市において は、健康危機管理を行う上で、都道府県及び都道府県保健所の場合以上に、市役所本庁 と保健所との役割分担を明確にしておく必要がある。  また、政令市・特別区に対して、地方衛生研究所を直ちに設置することを求めること は適当ではないことから、地方衛生研究所未設置の政令市・特別区においては、都道府 県衛生研究所等との連携の強化等により、検査、研究機能の確保を図るべきである。  なお、地方衛生研究所を既に有する政令市・特別区においては、その機能の充実強化 を図ることが望ましい。 ○ 次に、政令市においては、例えば、保健所に対し、保健センターで実施する事業の 企画、立案、予算編成等についての権限を付与する等により、保健センターで実施する 保健事業を含めた地域保健行政に対する総合的な企画機能を有する機関として位置づけ の明確化を図るべきである。 ○ 一方、政令市の課題を補完するためには、政令市を含む都道府県において、次の点 での広域的役割を強化すべきである。 ・都道府県と政令市との人事交流による専門技術者の確保及びその資質の向上・都道府 県保健所、都道府県衛生研究所と政令市保健所との十分な連携 ・政令市と周辺地方公共団体との一体的な保健医療システム構築のための広域的調整 (5) 政令指定都市における保健衛生部門の運営について ア 政令指定都市における保健衛生部門の運営の現状について  基本指針は、政令指定都市の保健所については、「従来おおむね行政区単位に設置さ れてきたことに配慮しながら、都道府県の設置する保健所との均衡及び政令市の人口要 件を勘案し、地域の特性を踏まえつつ、設置することが望ましいこと」としていた。  しかしながら、政令指定都市における保健所の設置状況は、1市1保健所か1行政区 1保健所かのいずかに集約されている。  1市1保健所体制の場合、各行政区に保健センターを設置した上で、保健センター職 員の保健所に対する兼務発令や保健所支所を併設するなどの工夫を講じることにより、 主たる対人保健サービスや対物保健サービスのうち許認可の申請受付等について、各行 政区単位で実施しており、住民の利便性が低下しないようにしている。  政令指定都市が、1行政区1保健所又は1市1保健所のいずれかの体制を採用してい るのは、住民が各行政区において受けることができるサービスの行政区間における公平 性を確保する必要性があること、福祉等を含めた総合的な保健サービスの展開等を図る 際には、行政区を単位としたサービス拠点(保健所又は保健センター)の整備が必要で あること等の理由による。 イ 1行政区1保健所体制の意義及び課題  政令指定都市が1行政区1保健所体制を採用した場合は、対人保健分野と対物保健分 野とが協同したサービス提起要するにが容易である。行政区を単位とした地域ケアシス テムづくりが容易である。各行政区ごとの実情に応じたきめ細かなサービスの提供が可 能となるといった意義がある。  一方、発生頻度の少ない業務に関する専門性の確保が困難になったり、全市的あるい は複数の行政区にわたる健康危機事例の発生時に、迅速かつ集中的な対応が困難となる 場合がある。予算編成等を含めた企画機能の強化が図りにくくなる、保健所が行政区の 保健衛生部門として実質的に取り込まれた場合には、政令指定都市本庁の衛生主管部局 との指揮命令系統の整理が必要となるといった課題を生じる。 ウ 1市1保健所体制の意義及び課題  政令指定都市が、1市1保健所体制を採用している場合には、発生頻度の少ない業務 の集約化による専門性の確保が容易であること、統一的な監視指導等により専門性と効 率性の向上が図りやすいこと、情報の一元的管理が容易であること、これらに伴い、企 画機能の強化が図りやすいこと、市全域を単位とした保健医療福祉体制については整備 が総体的に容易であること、技術系職員の効率的研修が容易であること等の意義があ る。  他方、許認可に関する窓口が1カ所になる場合のように、保健所長の権限とされてい る業務に関する住民の利便性が低下するとともに、業務の集約化に伴う業務量の増大に よるサービスの低下のおそれがある。また、そもそも、対人保健サービスと対物保健 サービスとを保健所において一体的に提供しなくなると、公衆衛生における総合性が保 証されなくなるというおそれがある。 エ 政令指定都市の保健衛生部門の運営において留意すべき事項 ○ 政令指定都市は、他の市町村に比して、一般に医療、保健、福祉における社会資源 を豊富に有していることから、政令指定都市全体において住民ニーズを充足する保健 サービスの提供を可能とし、公衆衛生上の機能が十分に発揮しうる体制を維持している 限り、地域の特性ないし実情を踏まえた地域保健対策を推進し、地方分権、地方自治の 理念を実現する観点からは、政令指定都市の保健所設置に際しての判断は尊重されるべ きものと考えられる。  しかしながら、政令指定都市は、今後とも、地域の特性ないし実情を踏まえつつ、行 政区単位又は市を単位とするなどして保健所を設置するものと予想されるところから、 政令指定都市は、次の事項に留意して、保健衛生部門の運営を行うべきである。 ○ まず、1市1保健所体制を採用する場合においては、身近な行政区において提供さ れる方が良いサービスと広域的に提供される方が良いサービスとを整理区分する必要が ある。  その上で、各行政区における保健サービス提供拠点の整備と許認可等保健所長の権限 とされる業務に関する行政区における提供拠点の整備を図る必要がある。 ○ 次に、1行政区1保健所体制を採用する場合においては、保健所の企画機能の強 化、健康危機管理業務等の専門的サービス提供機能の強化に特に留意する必要がある。 また、健康危機管理のために必要となる、市全域を対象にした情報集約機能の確保が必 要である。 (6) その他基本指針の見直しに際して考慮すべき事項 ア 各事業分野ごとの基本的考え方及び目指すべき方向の明示  次に示した分野については、それぞれの分野に係る基本的な考え方や方向性、保健所 と市町村との役割等を示した通知等が発出されている。 ○ 歯科保健 歯科保健業務指針 ○ 精神保健 精神保健福祉業務運営指針 ○ 栄養改善 栄養改善業務指針 ○ 母子保健 母子保健事業実施要綱 ○ 老人保健 老人保健福祉計画策定指針 ○ 介護保険 介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指 針(平成11年5月11日告示予定)、それから感染症についても指針がだされてます。  今後は、これらに加えて、他の分野においても、それぞれについての基本的な考え方 や方向性、保健所と市町村との役割分担を明確にした上で、基本指針に盛り込む必要が ある。 イ 医師等地域保健関係職員の資質の向上 ○ 都道府県、政令市及び特別区は、地域保健関係職員に対する研修の企画、調整を一 元的に行う組織を設置すべきである。 ○ 都道府県は、都道府県職員及び市町村職員に対する研修のカリキュラム等を定める べきである。また、保健所と都道府県本庁、地方衛生研究所と間の、市町村職員に対す る研修についての役割分担を明確化すべきである。 ○ 都道府県保健所は、小規模町村職員が研修を受ける際には、当該町村の事業実施が 円滑に行われるように支援すべきである。 ○ 対人保健に従事する職員が、それぞれの業務内容を理解し、適切な施策立案等を行 うことができるように、研修の一環として市町村と都道府県保健所との人事交流を行う ことが必要である。 ○ 国は、都道府県が行う研修に従事する職員の研修教育技術の向上を図るために、研 修を実施すべきである。 (7) その他、本検討会において指摘された事項  次の事項については、本検討会において指摘されたものの、本報告において検討結果 をとりまとめるには至らなかったものである。 ア 都道府県(及び都道府県保健所)のよる広域的対応をすべき分野と市町村(及び政 令市保健所並びに市町村保健センター)が対応すべき分野を明確にすべきである。 イ 市町村における企画機能、調査機能の強化とそれに対する保健所の支援機能の強化 を図るべきである。 ウ 今後更に、都道府県保健所において強化、付与すべき機能を明確化すべきである。 エ 地域保健対策に係る人材の確保のための方策について検討すべきである。 オ 保健婦・士及び他の職種について、業務内容、業務量等を勘案した活動の指標を情 報として提供する等の支援を行うべきである。 カ 保健所長に必要な資質の確保方策について検討すべきである。 キ 保健所機能強化計画の評価を行うとともに保健所機能強化を確保する方策について 検討すべきであるる。 3 まとめ  本報告書において指摘した事項を踏まえて、基本指針の見直しが早急に行われるとと もに、基本指針に盛り込まれた事項について、その実効性を確保するために、地方公共 団体等に対して必要な支援等を行うべきである。 以上です。 北川座長  議論すべき点が非常に多かったわけですから、こういうふうにまとめていただいて大 変ありがとうございます。  まず、全体の項目をご覧になって何か落ちている点はないかとか、特に今一番最後の ところで、この報告書には盛り込めなかった事項というものがありますが、これはここ ではやらないけれども別のところでやっているというのか、どういう位置づけになるの かというようなことも議論をしていただくといいと思います。どうぞまず全体につい て、各委員からもし気がついた点があったら言っていただきたいと思います。 大月委員  言葉の問題でご質問をしたいと思います。6ページ上から5行目に「地方厚生局」と いう言葉がでてまいりますが、これは現在の地方医務局のことでしょうか。  それからもう1つ、9ページ「ケアコーディネーション」という言葉ができますが、 最近はケアマネージメントという言葉が流行で、この言葉は消えたというふうに私は理 解していたのですけれど、もしこれを使うのであればちょっと定義をされた方がいいと 思います。その点についてこの言葉の意味を教えていただきたいと思います。 岩尾課長  まず、6ページの「地方厚生局」ですが、ご存じのように省庁再編に伴う一括法がぼ ちぼち国会にでることになっております。その中で、「厚生省設置法」の中で「地方部 局」というものを設置法の中に書くことになってまして、「地方厚生局」ができるので す。その中身が何になるのかというのは今実は役所内で詰めております。ここに書いて ある話というのは、要するに都道府県を超えて何かやっていかなければならないとき に、特にブロック単位ということになりますと、霞ヶ関といいますか、この中央一つで 何かブロックの面倒をみていくというよりも、その地域、地域で例えば研修ですとかあ るいは情報交換というような都道府県あるいは大都市の連絡調整役として、厚生省の機 能を地方に置いてもいいんじゃないのかという意見がありまして、どうなるかわかりま せんが、その「地方厚生局」というものの位置づけの中にそのような機能を持たせると いうことも考えておくなどということでここに書き込んだということでございます。  確かに、従来私ども「地方医務局」というものを持っておりますが、現在の地方医務 局は主として国立病院の管理運営に当たるという仕事ですけれども、それを超えたいわ ゆる厚生省のブロック的な機能を持つものができるというように承知しておりますの で、そのようなものの中の機能の一つとして考えていいのではないかということでござ います。  もう少し具体的なことを言いますと、例えば国が一括してやっているものの中に、検 疫業務というのがございます、それから麻薬取締業務というのがございますが、こうい うものを出先の空港とか港に人を配置して現場の業務をやるというのは、従来どおりも ちろん残ると思いますけれども、それ以外のいわゆる事務ないしその地域の管理機能と いうものを、こういう地方厚生局の中に置こうという考えもございますので、そういう 意味では、その地域における都道府県の連絡調整機能というものを持たせる意味での、 「地方厚生局」というものの活用の1つに、こういう危機管理事例あるいは技術研修等 の分野を果たすことができるのではないかという意味でございます。  それからケアコーディネーションの話は、うちの指導官のほうから。 平野指導官  「ケアコーディネーション」につきましては、地域保健法のこの基本指針の中で初め て位置付けられた言葉でありまして、適切なサービスの種類及び提供主体を判断する機 能ということで、地域保健においては広くケアコーディネーションということで使って きております。厚生省の中では、介護保険においてケアマネージャーが行うケアマネー ジメントというような整理はあるのですが、一応地域保健対策では特に介護保険の対象 にならないような対象に対するサービスの提供ということでも、この言葉を一応使って いこうと。 北川座長  まず「地方厚生局」の話は、ここへズバリと言っているわけですが、岩尾課長の話を 伺っても、まだこれからいろいろと動いていく状況の中での話だったのですね。そうす ると明確にこういうふうに言い切っていいのか、あるいはもう少しそういうものが置か れる場合においては、そういう機能を有効に機能するだろうとかなんかこの委員会が言 うトーンというのがあるような気がしますので、そこのところはどうですか。 岩尾課長  おっしゃるとおりで、若干内部にいるものですから筆がすべったところもあるので、 これはちょっと状況をみながらまた文章を報告書風になおしたいと思っています。 北川座長  それから「ケアコーディネーション」の問題も、前から介護保険との絡みでいつも混 乱するのだけれども、どこかで注釈でもつけるとか何かそういう方向で、皆さんが見 て、すぐああなるほどとこういうふうに理解できるための説明をどこかでしておくとい いのかもしれません。そういうことで大月委員よろしいですか。他にございますか。 山本委員  大変不勉強で申し訳ないのですが、一応確認したいのですが、これは基本方針(指 針?)の見直しという前提でこういう検討をしているということで、この報告書に盛ら れたもの全部基本指針なおしていくということではないと理解しているのですが、それ でよろしいのですか。 岩尾課長  1ページの頭についておりますけれども、公衆衛生審議会のほうで基本指針の見直し をしたらどうかということを言われたということで、この委員会が数回にわたって開か れているということでございます。ですから私のほうとしては、6月中にこの報告書が いただければ、これを基に審議会にあげますが、その審議会の中で意見具申になるのか あるいは諮問答申になるのか手続きの問題があるかと思いますが、それによって指針を 直すということになりますから、書かれたことが全部指針の変更に繋がるというわけで はないと思ってます。  ただ、一応先生方今まで数回にわたってご議論いただいたこと、テープ、議事録を読 みましてこの1ヶ月かけて我々のほうで、こんな内容で最大漏らさずといいますか、あ る程度集約できたものとしてまとめさせていただいたということですので、このあとの 手続き上のところで、指針に、どうもこういうようものは載らないとか、あるいは今ま で書かれていることで読めるのではないかというようなことで処理される可能性もある ということだろうと思います。 山本委員  今まで書かれてあるものは、そのまま残るということでしょうか、基本方針に記載さ れているもので、この中では全く触れられてない問題は。 岩尾課長  基本的には、今の基本方針から削るものがあるかということについては、そのような 形では議論は進んでないと思いますので、私の理解では、今回言われたものが新たに追 加されるかそれとも基本指針のその部分について、当該箇所について書き換えるような ものにこの報告書が生かされるのではないかという理解をしております。 山本委員  それとあと次に3ページですが、(2)のアの健康危機及び健康危機管理の中ですが、結 局その中の健康危機事例として地下鉄サリン事件とか毒物カレー事件とか、サリンとか 亜ヒ酸とか、いわゆる毒物とか化学物質というのは非常に大きなウエートを持っている わけですけれど、第1行目の健康危機とはに、医薬品、食中毒云々となってまして、そ れらの物質が全く入ってないということは、ちょっとおかしいのではないかと思うので す。サリンにいたしましても亜ヒ酸にしましても、ここにはありませんけれど、亜ジ化 ナトリウムですか、新潟でありましたお茶に混入した毒物等も、大きなウエートを持っ てしかも世の中を相当震撼したにも係わらず、そういう物質がこの中に全く記載されて ない、医薬品、食中毒、感染症、飲料水云々で化学物質とか毒物、劇物というものが全 く記載されてないというのは、なんとなくおかしいような気がします。 北川座長  記載されていないとおっしゃるわけですか。 山本委員  書いてないわけですね。 櫻井委員  その他になているわけですね。 北川座長  もう少しきちんとそこは書くべきだとこういうことですか。 岩尾課長  毒劇物という言葉を入れるか入れないかということかなと思いますので、これらの通 知、後ろのほうにも確か厚生課のほうからいろんな通知がでて、それにちょっと平仄合 わせたつもりですが、その文章の中にあります厚生省の危機管理基本指針の中で、実は 定義づけている健康危機管理というのが医薬品、食中毒、感染症、飲料水その他なんか らの原因によって生じるということで、毒劇物というの書いておりませんが、うちのほ うで入れるのは別にやぶさかじゃないと思いますので、そこは内部で調整をさせてくだ さい。 山本委員  それと同時に4ページの1行目ですが、やはり○医療監視のあとに薬事監視と。薬事 監視がやはり毒物、劇物、一般販売が今地区担当しておりませんからそういう業務もあ りますので、そこらへんのところもご配慮いただければと思います。 岩尾課長  わかりました。 磯部委員  座長のご指示が全体に渡ることでまずとおっしゃるので、内容とも係わりますのでち ょっと難しいのですが、申し上げたいことは今回の検討のきっかけの重要な1つが地方 分権改革であるわけで、そのことは3ページのイに明記されているわけです。それは大 変結構なのですが、実際に以下、本論といいましょうか各論して書かれているところが 地方分権の趣旨を踏まえたものといいましょうか、推進するということが具体的にどれ ぐらい現れているかと申しますと、これちょっと報告書全体が誰に読んでもらうものか にもよるかと思うのですけれど、あまり一般の国民の方が読むというものでもなくて、 関係者がお読みになるのかなと思いますけれど、そうだとするとそれだけにちょっと従 来の地域保健関係のとりわけいわゆる医療とか、そちらのほうの専門家の方であまり分 権というようなことに、普段それほど真剣に考えたことはないというような方々に、一 種の気持ちの変化と言いましょうか、意識の変革を求めるというような言葉は悪いので すが、やや啓蒙的、教育的意味合いがあったほうがいいのかなと思うのです。  あとのほうの主題はもっぱら役割分担の明確化をしようというような話になっていて 、その話はどうしても従来どおりの意識ですとそれぞれの組織単位で役割をきっちり分 けなさいということは、結局組織の所管事項あるいは権限を分けておきなさいというよ うな意味合いにどんどん行ってしまうような気がするのですけれど、他方で地方分権と いうのは具体的にどういう組織を作ってという協力関係を組織間で作るか、自治体の内 部の話ですが、そのへんは自治体の裁量的な判断に任せようと、地域の実情に応じてあ んまり国が細々と現状というのはこういうものだとか、都道府県の主管部局はかくある べしとか、言うべきではないという考え方が一方にあるわけです。というかそれが基本 だろうと思うのです。  しかしどうも他のご議論なんかを伺っていても、もっとやっぱり国がきちんとどうす べきだを示したほうがいいのだという強いご要望もあるようでして、そこはなかなか難 しいなと私思っています。だから一方的に分権だ、分権だと言っているつもりは毛頭な いです。毛頭ないので、国がしかるべき考え方の基準を示すというのは、それはそれで 大事で必要なことだとは思うのですけれど、要するに申し上げたいことは、役割分担と いった場合にも、そこで確保されるべきファンクションですね、その実質的な機能、こ ういう機能が果たされるべきだと、全体として果たされるべきだということをきちんと 国が明示すればいいわけであって、それを実現するために自治体がどういう保健所の組 織体制をとるかとかいうようなことに関しては、その地域の自治体の裁量に任されるの だと、書いてあるのですけれどね、書いてあるのですけれどなんかメッセージ性はもう ちょっとあったほうがいいのかなという感想を持ったという話なんですけれど、ここら へんはご苦労があったのだろうと思うのですけれど、ちょっと一応一言申し上げさせて いただきました。 遠藤委員  関連して、私も聞いてて中身のほうで、都道府県と市町村の役割みたいな書き方をし てあるところが、中途半端といえば中途半端のような感じでどうすればいいのだろうと 思って、最後に来たらば14ページですか、都道府県による広域的対応をすべき分野と市 町村の対応すべき分野を明確にすべきであると、指摘されたけれども、とりまとめるに いたらなかったという書き方になってしまっているんですけれども、そういっていると すればまあ中に書いてある文はなんなのだろうと思ってしまいますし、いずれにせよ本 文の中に書いてある都道府県の役割、市町村の役割というところが、役割としてもし書 くのであれば書ききれていない、こんな役割もあったらいいな程度に本文のほうで書く のだということであれば、そういう書き方もあるのかもしれませんけれども、ちょっと 磯部委員の発言とも関連して、所詮書きにくそうではありますけれども。 北川座長  つまり遠藤委員のおっしゃるのは、もうちょっと明確にしろというのか、いや言うな とこういうのか、どっちの。 遠藤委員  まあケースバイケースもありまして。 遠目塚委員  若干気になったこと、磯部先生おっしゃったので申し上げますけれども、11ページの 2つ目の○ですが、次に、政令市においては、例えば保健所に対し、例えばと断ってあ りますので敢えて言わなかったのですけれども、おっしゃるように保健所と保健セン ターとの機能というのをこういうふうに縛り付けてしまうというのは、これは地方団体 で選択すべき問題ではなかろうかなというふうに、組織のあり方についての考え方を断 定的に書くのは若干行き過ぎかなという感じがいたしております。そのへんはご検討お 願いしたいと思っております。  それから13ページイの最初の○都道府県、政令市及び特別区は、地域保健関係職員に 対する研修の企画、調整を一元的に行う組織を設置すべきである。これも若干言い過ぎ かなという感じがしますので、例えば体制の整備を行うべきであるとか、そういった程 度にとどめていただきたいなと思っております。というか、組織の設置義務まで課すよ うなことになりますと、若干私どもとしては抵抗がある表現かなと思いますのでご検討 をお願いしたいと思います。 北川座長  今のご発言に対して事務局としてコメントありますか。要検討とこういうことです か。 岩尾課長  まあそういうことですね。少なくとも平成6年の時に、この基本指針をだして私ども 保健所なり保健サービスの今後はどうあるべきかというのを示したわけですが、結果と してよく書かれていると思っておるのです。総論的にですね、抽象的な言葉なのかもし れないけれど、非常によく書かれているわけですが、その結果としてこの5年間どうな ってきたのかという現状を見ると、保健所においては広域化という言葉でもあるしある いは統廃合という言い方にもなるのかもしれませんが、そういうことによって人材を集 中的に集めるなりある種のサービスはどんどん市町村に下ろしてきたという事実がある わけです。その結果、地域の住民なり地方での健康レベルというものが大いに向上した のだということであれば、別に何も言うことはないわけですが、そういうような組織改 革によって住民の不安が却って増えたとか、あるいは住民の利便性が損なわれたという ことであってはやはりいけないのだろと、そういうものの事例としてたまたま健康危機 のような問題がでてきて、衛生サイドの管理機能というのが非常にクローズアップされ てきたというのが、私は象徴的な出来事だったろうと思うのです。  それと介護保険というものが実際に入ってくるというときに、少なくとも平成6年は 想定していなかった問題ですから、そういう問題を中心に考えていこうと、その中でそ れらを支えている組織、つまり後のほうの議論の政令市の保健所の体制ですとか、大都 市の保健サービスのあり方みたいな話というのは、たぶん平成6年の時の議論もあった のだと思うのですが、そういう議論を踏まえてとにかく基本指針というものがでてき て、その行われてきた中で敢えてそれ以上書き加えたり、変えなければならない事由と いうのがどの程度あるかというと、私どもとしては個別具体的なつまり危機管理ですと かあるいは介護保険導入というものについては、ある程度書き込んでいけるけれども、 それ以外の問題については結局総論的に書かれているのだとするならば、役割分担を明 確化させるというような報告書にすれば、少なくとも今後の地域における保健衛生サー ビスというものをどういう主体がどのようなことをやっていけばいいのか、結果として は住民のチョイスに私はなると思っているので、そういうような選択肢を与える意味で 敢えて個別の事例というのも書き込んでいけるような報告書にしていけばいいんじゃな いかという形で考えてはおったのです。  ですから若干危機管理のところがやたら多くなってしまったのは、今のそういうこと で抜けていた部分だと思うのですから私はいいと思うのですが、その他の話というのは 以前も議論されているところなのです。そういう問題をどこまでまさに報告書としてま とめるかというときに、ちょっと行政サイドの責務という形でまとめてみたというのが 今度の都道府県の役割ですとか、あるいは市町村の役割ですという形で書かせていただ いたということでございます。 磯部委員  今の課長のスピーチは事情で、そういうようなことがどこかに最初のほうにあっても いいんじゃないのかということなんですよ。地域住民の不安というのもありますけれど 同時にじゃあどういうふうに地域保健の具体的なサービスが見立てられるべきかという ことに関して、基本的には住民の選択なんだと、自治体の選択の余地というのは100%で はなですけれども、法律の下で相当選択の余地があって、それはまさに自主的に決定し ていくそういう世の中になった、これは大きな変化だということがまずありまして、そ んなに仰々しく書く必要もないんですけれど、一応書いた上で、で厚生省として参考に なると思われる考え方、判断基準というものをいかに示すということがもう少しわかる ようにというのですか、はっきり書いてない、従来どおり国からこうやってやれと来た というふうに受けるだけの人がやはりまだ残念ながら多いのではないかということを、 ちょっと気にしているわけです。  中に入ってよろしければ、政令指定市で1行政区1保健所か1政令市単位の保健所 か、これは12ページの下のほうに政令指定都市のほうです。「…の保健所設置に際して の判断は尊重されるべきものと考えられる。」という程度の表現はあるんですけれど、 なんかいかにも渋々というような感が、私は感じられます。  あとちょっと申すならば、5ページから6ページにいろんな役割書いてあるわけで す。それぞれごもっともですが、実はざっと読むとわかりやすいという印象がなくて、 表現上のテクニカルな工夫、表にするとか、なんかあるかなという気がするのですけれ ど、とりわけ主たる役割、主たる役割というのがでてくるのですが、6ページの下から 2番目の○のところですね、政令指定都市においては、原則として、市の衛生主管部局 が…主たる役割、1市1保健所体制の政令指定都市では、保健所が主たる役割である。 わかるのかもしれませんけれど、ちょっと主たる役割というのが、これどこか定義がな かったように思うのですけれど、ちょっと不親切かなというような感じがいたしまし た。  ちょっとアトランダムで恐縮ですが、11ページの一番上の○健康危機管理を適切に行 うための体制整備が必要である。政令市においては、都道府県及び都道府県保健所の場 合以上に、市役所本庁と保健所との役割分担を明確にしておく必要がある。これは少し よくわからなかったのですけれど、都道府県においても役割分担の明確化が必要だろう けれど、政令市の場合はなおさら必要だという理由もよくわからんということと、政令 市のようなよりこじんまりしたところでは総合的な機能的な対応ということもあるかも しれないし、その役割分担を明確にするという意味合いですね、縦割り的、セクショナ リズムできちっとしておけというようにニュアンスだとすると、ちょっと余計なお世話 だという感じになりますし、どうもこっちはこっち以上に役割分担を明確にしてとかと いう、おせっかいなような気もするのですけれど、こういうのは一体どういう趣旨で書 かれているのかと、一つの象徴的な例なのですが、その程度にしておきます。  全体としては反対だと言っているわけではなくて、これはどういうつもりでこの会が サービスしているのかと、これも自治体に積極的に受け取ってもらうための説明をもう ちょっと強化しておいたほうがいいのではないかと、そういう趣旨でございます。 北川座長  今、磯部委員からいろんなご指摘があったのですが、私もこれさらっと読んだだけで すけれども、もう少しきちっと整理をする必要があるかなというふうに思います。本庁 機能と保健所の間というものをどう考えていくかということも、議論をもう少しやっぱ りしておく必要がある。  先ほど来の分権ということを理念に掲げている上で、どういう言い方ができるのかと いうことは整理をして、あとはいろんな事例を後ろへもう少しリアルに書いておいてい ろんな選択をする、その素材提供というようなそういう作り方もあるかなと、リポート を作る上でのテクニックですが、そんなことも今思いついたので一応記録にしておい て、また後で検討していただきたいなと思います。 櫻井委員  全体の構成のところで、単純に書かれているページ数をさっきから数えていたのです が、危機管理のところが5ページ分ぐらいあって、介護保険が2ページ分ぐらいで、政 令市のほうは1.5、政令指定都市のところが1.5が、その他が1ページで、最後に検討で きなかった分というのが1ページついているという感じですから、ページ数からすると 危機管理がずいぶん多いなというような印象で、何か言おうかなと思っていたところで す。そこへ岩尾課長が、まあいろいろ辿り着けばこの5年というところの見直しを踏ま えて、その中で見直しをしなければならない事項という重みづけでというようなことを 言ったわけです。非常にいいこと言ってますもので、それは岩尾課長の意見ということ でなくて、この委員会が皆さんああそうだなということであればそれをやっぱり磯部さ んがおっしゃったように前文に書き込んでいかないと、どうもただ見直し事項としてみ ると正直言って検討したのも危機管理については1回やっただけですから、なんか書か れていることの重みづけが違うなというような印象だったのですけれど、岩尾課長が言 ったことで、なるほど言われてみたらそういう位置づけをすればそんな感じかと思い直 ししたものですから。  委員の人たちがもっともだなと思えばそれを書き込んで貰えば、報告書としては、こ れが一番、この5年間で見直すべき一番重大事項として捉えたなということでいいかな と思います。 北川座長  今の件は、前文のところで少し解説を加えるというかリマークしておけばいいとい う、そういうご意見ですね。 櫻井委員  それは皆さんがいいと言わなければ。 北川座長  それはまた事務局で一度検討してみてください。 大倉委員 全国町村会行政部長ですが、今回初めて参加させてもらいまして。 北川座長  それではちょっと自己紹介をしてください。 大倉委員  行政部長の大倉と申します。よろしくお願いいたします。介護保険制度のことが危機 管理の後に構成として書いてありますが、この量が危機管理と介護保険がどちらも重要 ということでしょうが、来年4月に介護保険がスタートすると、保険者でもある市町村 長が責任をもって介護保険を進めなければならないこととなります。厚生省は新たに法 律を作って、いろんな問題点が起きた場合に、市町村長が要介護者の認定をしなければ ならないことが、法的に押し付けているという形で決定されてますので、市町村長が認 定する場等種々の問題点が起きてきますので、これらとその保険業務との絡みでかなり 国が中心になって、都道府県も含めてですがケアをしてもらわないと混乱を起こす場合 もでてくるかもしれません。  というのは介護というのは、もともと今の6法なんかで福祉でやっていた部分つまり 保健所でやるところがありますから、そのへんとの絡みで、これをカバーし、どの程度 やっていただくかということをきちんと明記をしてもらうことが必要ではないかと思う のです。  介護保険制度が実際にスタートしたときに例えば今もいろんな問題で訴訟などが今行 政団体で起きてますけれど、首長が訴えられるような事例が頻繁にでてくると、たぶん 首長はそういう業務についてとてもじゃないけれどやってられないという話に繋がって くると思います。それと訴訟費用の負担問題を考える必要があります。それはここの場 合では書くことにはならないのかもしれませんが、要するに介護保険制度が円滑に進む ためにもそれをカバーをするような形での表現がきちんと必要だと思うし、国の責任を きちんと明確にしておいていただきたいということでございます。 北川座長  今のご発言は、介護保険そのものについては別の土俵で議論をしてます。それを踏ま えてこういう保健サービスという体系の中でどこまでモノを言えるかという点があると 思いますが、今のご発言を踏まえてどんなふうに書けるかというのは、今すぐお答えが でればいいけれども、でなければまた次回までに検討してもらって。 大倉委員  というのは8ページにケアのことが書いてありますね、ケアは必ず必要になってくる わけですが、ケアに対する人材というのはたぶん過疎の人口規模の小さい町村でも企業 は独立採算でやるので企業は生まれてこない。要するに採算が合わなければそんなとこ ろに人が来ませんから、そうするとケアする人がいない。そうするとそれに代わる人た ちを教育したり研修したりとすることで、そのへんのカバーをするということが必要と 思いますけれど、そういうことができなければ実態としてはそういう業務が成り立つの かということで、首長は大変心配しているという実情があるということです。 小倉委員  基本的なことですが、私ども保健所に勤めている者にとってみれば一番今度の見直し で大きな関心事であった、大都市部における極端な集約化、いわゆる1市1保健所とい うような形が6年の基本指針では、各行政区ごとにあるものが望ましいと書いてあった のが、そうではない方向にどんどん来たので、見直すということそのへんに大変期待を 持っていたのですが、これを読ませていただきますと当然先程来お話がありましたよう に地方分権という立場から、これが望ましいとかこうあるべきだとかというようなこと は書けないということは重々わかるのですが、1市1保健所と1区1保健所のメリッ ト、デメリットが並列して書いてあり、この場合にはこういうことに気をつけなさい、 この場合にはこういうことに気をつけなさいというような現状追認というのですか、そ ういう形で書いてあるわけですけれども、このへんは全体的な流れを通じてそういうお 考えでお書きになるのかどうかということです。  特に、13ページあたりにも書いてあるのですが、例えば1市1保健所の場合なんか は、上から5行目「行政区における提供拠点の整備を図る必要がある。」というかなり 具体的な、各保健センターに窓口を設けろとかというのを指すのだと思うのですが、こ ういうことを併記してございますね。他のところもずっとそういう考え方で、最後まで 通されるのかということです。  それからもう1つ、13ページの下から11行目、「今後は、これらに加えて、他の分野 においても、それぞれについての基本的な考え方や云々」ということが書いてあるので すが、その他の分野ということになると、極めて膨大な分野が、上に例示が歯科保健以 下いくつかありますけれども、いわゆる6年の12月の基本指針にあまり盛られていなか った環境保全を中心にした、対物保健サービスの問題であるとか、介護保険のところに なぜかちらりとでてくるのですが、学校保健とか産業保健とかの連携の問題ということ は、別立てで取り上げてもいいぐらいな地域保健にとって大きな問題じゃないかと思う のですが、そのへんについてのお考えはいかがなんでしょうかということです。 岩尾課長  現状追認じゃないかという話ですが、そうなっているのです。というのは、地方分権 ということがあって、いわゆる国の行政はどうすべきかというのがだんだん、これ私が いうよりも磯部先生に講義していただいたほうがいいのでしょうが、国は指針のような ものを示して、後はその中で地方の住民の選択に任せるというのが大きな流れになるん だろうと思うわけですが、その時に結果として平成6年の基本指針、それは地方分権の 話があまりでてない時代かもしれませんが、の時にでた私ども1区1保健所が大都市の 場合望ましいよということを言っていたのですが、現実には統廃合が進んできているわ けです。その結果、どんな不都合があったのかということで、ここでそれぞれの方にお 話を伺ったと思うのですが、その時のヒアリングの結果では住民ニーズ、住民の不安と いうのがあるいは不満というのが何かあったかというと、行政の人しか呼んでませんか らそれでいいんだという答えにしかならないのかもしれないけれど、それほどの1市1 保健所体制にしろ1区1保健所体制にしろ違和感はなかったわけです。だとすれば、現 実に「こっちにしろ」とか、「こっちに戻せ」ということを私たちが言うわけでなく、 それはまさにその地域住民が選んだ、市議会の方々が決めてそのように流れているもの を、国が棹を差して指針を示してまで、私はその方向にしろという必要はないんじゃな いかと。一番国として困るのは、少なくともその結果先ほどいった大量の患者が発生し たとか、大災害が発生して混乱の極みになるというような社会不安を起こすのが国の立 場として困るわけで、日々の保健サービスを行っているところが、組織改正の結果そう ならないように、改悪されないのであるならば、私はその現状というのを住民が満足し ているのであれば、私たちもそれを良しとすべきにするんじゃないかというふうに私は 思っております。  ですからその発想でこれが書かれていて、それは少なくともここの全体の意見ではな いというのであれば、何も私の論文ではありませんから先生方のご議論の中でまとめて いただければ結構なのですが、少なくとも4つの特に大都市の、大都市というのは少な くとも医療状況のいいところですから、僻地の保健所の統廃合の話とは全く違うわけで 医療状況のいいようなところで、保健サービス、衛生サービスをどうあるべきという、 私は結果としてコップの中でどの程度変更しなければいけないかという話でございま す。むしろ今後問題になるのは、そうは言ってもあまり衛生状態のよくない大都市で、 なおかつ一つにまとめてうまく行くのかという事例がひょっとしてでてくるかもしれな いわけですから、むしろそういうところが住民の選択として、その方向がいいのだとい ってあと何かあったときに、その責任というのは地方自治体が取るべき話だというふう に私は思っています。 北川座長  さっきの小倉委員の話が残っていると思うので、これは介護の問題をどこまで書き込 むかというのは、もう少し検討してというふうに申し上げたのですが、遠藤委員はあれ ですか県の段階で何か意見はありますか。いいですか。 小倉委員  そうでなくて9ページのエの介護保険のところに、真ん中に「学校教育及び社会教育 並びに労働衛生との連携」というのが、介護保険のところにちょこっと付け足しみたい に2行ばかりでているのです。 北川座長  その話は一応マークしてありますから、それはそれでいいと思います、直す。小さな 市町村の介護保険をやっていく上でのいろんな保健サービスのサイドからの、どういう サポートの仕方があるのかということが残っていたと思うのですけれども、まあなんと かいってますよとこういうことなのか。 大倉委員  それは指導している厚生省がよくご存じでしょう、今の状況からすると本当にできる かというのはよく考えてください。だからそこをきちんとしておいていただかないと困 るということで、地域保健行政もそういうカバーをすべきであり、国としては法律を施 行するわけですから、やっぱりそれがきちんとできるということを見守る必要があるわ けですから、どういう形で実施するかということを考えておいていただきたいというこ とです。 岩尾課長  ご指摘の点は、私は厚生省を代表しているわけでなくて、地域保健を代表している立 場で、その介護保険で私どもが憂うることつまり保健サービスに使われている人材が、 介護に取られることによって結果として健康な人間をより健康に保っていくという働き をする人たちの活動が損なわれるのではないか、それをさせないために、少なくとも介 護需要というのが全体の老人の10分1であれば、10分9の人たちをどう健康な状態で保 っていくかということに、雇われている人たちの人材を十分確保してくださいというこ とで書かれているので、そういう意味では、私たちも介護サイドに対してこういうこと をやってくれということでこれを書いている意識においては私は一緒なんだろうと思っ ています。  ただ、一応報告書としてだすにあたって、今回こうやって受けたものを直しましてそ れから改めて各局なりに調整するということになりますので、今の大倉委員のご指摘も 踏まえて、このへんリライトした上でもういっぺんご提示する予定にはしております。 遠藤委員  たぶんここの書き方が、介護保険セクターに対してヘルスセクターを守ろうとして書 いてあるんでちょっとおかしいんじゃないかと思うのです。やっぱりヘルスセクターの ほうは、同じことをやっていればたぶんいいんで、そこへ介護セクターが生じたことに よる役割、ヘルスセクターの役割というところにできるだけ順化して書かないと、今さ ら健康者をより健康にするなんていうのをここに書いてみてもしょうがないような気が するのですけれど。それは逆に、介護保険制度に伴って地域保健の役割と明確化という 表現になっているから、やっぱり表題からして対立セクターになっているのですけれど ね、まあ対立セクターでもいいんですけれど、その対立セクターであるヘルスセクター のほうから介護セクターのほうに何ができるのかという視点で書いたほうがいいのでは ないかと思いますが。 北川座長  これ2つあるんですよね、より健康にというのは、そういう言い方をしているけれど も実際には母子保健の問題をどうするかとか、難病のケアをどうするかとかいろんなヘ ルスセクターとしての役割があるのに、要するにマンパワーが介護のほうにどんどん引 き抜かれてしまうということが現実に起こっておって、事実上そのサービスが低下する ということを心配していたわけです。それが1つです。 それからもう1つは、介護保 険の制度からはじき出された人たちの問題をどう受け止めていくかという2つの立場が あったように、ここは理解しているのですけれども。どうぞ。 岩尾課長  端的に保健婦さんということで話をさせていただければ、今地域で保健活動をやって いるときに、仕事の例えば70%ぐらいを健康指導、保健指導に費やしていてあとの3割 ぐらいを他のことをやっていたというときに、介護が入ってくることによって仕事量の 負荷がかかってくると、先ほど大倉委員が言ったようにそんなに人材が増やせないわけ だから、小さな市町村では1人の人にお願いしますよということでやって1.3人分の仕事 を1人でやらないといけないと、そうすると私たちは増えた0.3人分の仕事は人を増やし てくださいといって、介護もそこそこ人を増やしていただいたようには聞いています。 ただ、その増えた仕事が現実に事務的な仕事あるいは技術的な仕事も含めて、保健婦協 会の調べも看護協会もあるのかもしれませんが、かなりの部分というのが保健婦さんの 負担になっているということが事実なわけです。だから私たちは、もし新規に雇うのだ ったら保健婦さんを雇ってくださいよということを従来から言っているわけで、少なく とも職能といいますか、専門技術を持っていることによって地域の方々の安心が得られ るのであれば、そういうようなところに適正に配置をしていただくような、増員をして いただくようなことをお願いしたいという趣旨があるわけです。  従来の保健活動をやっている上に、明らかに4月1日から介護が入ってくるというこ とを踏まえると、少なくとも保健セクターとしてやらなければならない話と、介護保険 を運営する市町村に雇われている人間としてやらなければいけないことというのは、対 立という言葉がいいか悪いかわかりませんが、少なくとも分けて考えなければいけない と思っています。ただ、結果としてその1人が1.3人になることはないのですから、1人 の中で仕事をどう分けていくかということだけなんで、そこを明確にさせていただかな いと、本当に保健婦として使わなければならない介護に要することというのは使って構 わないけれども、従来7やっていた保健指導というものを決して、0.6とか0.5に落とさ ないようにしてくださいというのが私の趣旨です。 北川座長  よろしいですか。あと30分ほど時間があるのですが、全体的な議論を今やっていただ いて、あと少し個別的に詰めて見ていきたいと思います。  まず1ページの1のはじめにというところは、まあまあよろしいですかね。それから 2ページの(1)検討に当たっての基本的な視点、このへんもこういうことでいいかどうか ですね。ここで、地方分権、地方自治の推進に資する内容のものとすることが求められ てと書いてあるわけですけれど、これは先ほど磯部委員のご発言もあったのですけれ ど、こういうことでいいかという話だったですかね。それをもう少し具体的に、いろん な個々の場面でもういっぺんよく物差しを当ててごらんよという、こういうご発言だっ たように思いますけれども。 櫻井委員  さっき危機管理がわりと大きな問題だということが、それが合意がされるなら本来こ こに入っていなければ、その基本的指針云々というところに、今日的課題の中に健康危 機感のなんとかというのが書いてあるだけなのですね、それですぐにもう大きく(2)とい う健康危機管理が急に5ページ入っているわけですから。 北川座長  先ほど櫻井委員のご発言を踏まえて、ここがいいのかあるいはもう少し前のところに 書くのか、基本的な視点だからここかもしれませんね。このへんに危機管理の最近の背 景とか、そういう問題をもう少し書き込んでいったらどうかと、そういうご主旨です ね。それはまたあとでちゃんとマークをしておくということでお願いします。  それで3ページの(2)地域における健康危機管理の体制の強化ということになっている のですが、これもよろしいですかね。 磯部委員  細かいことを質問してよろしいですか。 北川座長  どうぞ。 磯部委員  先ほどの基本的方針のところに、危機管理を地方分権などといわば並べるものなの か、視点として入れるのは賛成です。両方大事なんだろうと思います。それで4ページ ですが、オの最初の○ですが、いろんなレベルの終わりの2行です。「それぞれのレベ ルの保健衛生部門の役割を明確にする必要がある。」ここでいうレベルというのは、都 道府県とか政令指定都市とか市役所とか保健所とかそういうことなんだろうと思います が、そのあとの「健康危機管理体制をトップダウン的なものにする」というのは、いろ んなレベルのつまり県のほうが上のレベルにあって、トップでそっちから地元の市にお りてくる。そういうトップダウンのことを考えていらっしゃるのか、それとも各役所の 中での所長とか部長とか責任者と末端の人とのトップダウンなのか、ちょっとわかりに くいのではないかという指摘ですか。 遠藤委員  それは書き方が悪いので体制をトップダウンしてあるのでおかしいので、体制そのも のはただのヒエラルキーですから、トップダウンもボトムアップもないんですね。情報 の伝わり方とどこかで加工されるそのときに、どこかで情報が止まってしまった りフィードバックがうまくかからなかったりという、そのどこかでトップダウンの場合 には、トップの人が引き上げたりプッシュしてならしていったりという、そこのところ をもう少し解説的に書かないとトップダウン的といわれてもまさにわからないかなと思 います。 北川座長  問題がどういうふうなところで発生して、それを一番最初に誰がつかんで、貰った ボールをどこへどう投げていくかという流れで考えていけば、こういう危機管理の問題 というのは、今の話で流れていく。そういうことを考えながら、どういう順番で書くか というのはまた知恵をだしてもらうということでどうでしょうか。 櫻井委員  この危機管理の部分のところで、これはさっきから言っているように、(2)で地域にお ける健康危機管理という大きな題があって、あとアイウエオカキまで並んで並列になっ ている部分を、もう少し整理をしたほうがと思います。要するに例えば最初にアは何を 書いているかというと、健康危機及び健康危機管理、イ事前管理と事後管理、という危 機管理の一般論なのか説明なのか、こういうものを言うんだよと言っているのかちょっ とわからない。それでウが、現在行われている状態で、エが現在の問題点、オから後ろ は、今後の問題となって、それが並列化されているのです。これはちょっと項立てとい うか整理をして、危機管理とはとかということとか、現状の分析とか、今後の対策とか というようなそういう項目つけるだけでもっとわかりやすくなるし、そうするとその中 でまた一つひとつ、さっきでたような都道府県がどうとかという話がもう少し整理され てくるように思うのです。  全部読み切ってませんから良くわかりませんが、みんな横に並んでいるだけで、読ん でいるうちに何を今読んでいるのだかわからなくなっちゃうのです、そこに問題がある ような気がします。それをきちっと整理すると、もう少し今度は今何を議論してて、そ こで都道府県がどうなのか、保健所の中がどうだとか。  細かい議論はできたら次回までもう少し読ませてもらって、今言うと何か思いつきな 部分が多くなって申し訳ないです。ただ、どっちにしても少しこの項立て的な整理が必 要かなと思います。 岩尾課長  ご指摘の点はもっともだろうと思っています。私ども、実は健康危機管理という概念 はたぶん初めて登場するのです。もし基本指針に載せるのであれば、一体何をもって危 機管理というかというところまでも言わなければいけないものですから、ちょっと解説 の部分が長すぎているなというのは自分でもそう思っています。だから本当は、囲みで この部分脇に寄せるとかやろうかと言っていたのですが、まあ取りあえずは先生方にお 示ししようということで、今日このままだしています。このへんはもう少し工夫させて ください。 北川座長  そうですね。 黒田委員  健康管理の点で意見を述べたいと思います。3ページの(2)のアの中で、今まで先生が 言われました健康管理の定義が載っています。医薬品、食中毒、感染症、飲料水、それ から今日追加した毒劇物と、の原因として生命、健康を脅かす状態という話になります が、そのことを前提として11ページを見ていただきたいと思います。上から6行目ぐら いになりますが、「また、政令市・特別区に対して云々、設置をすることを求めること は適当でない」という言葉がございます。健康危機管理というのは、検査体制、検査機 能が最も重要な部分でございますので、私の意見としましては、下のほうに「なお、」 というのが書いてありますが、「検査機能の充実、強化を図ることが望ましいる」とい うトーンにしていただきたいという意見でございます。 北川座長  危機管理体制の強化の話は、だいたいよろしいですか。 遠藤委員  細かい話で恐縮ですが、4ページの一番下ですが「マニュアルを整備したとしても、 実際に対応できなければ」というのですけれども、これは要するにマニュアルで想定し きれないような事態があるのでみたいな感じにしておいていただかないと、マニュアル 作ってもしょうがないという感じに受け取れてしまうということです。  それから5ページのカの最初の○、都道府県の役割で、救急医療の整備が都道府県の 役割は、救急医療体制でも入れていただけますでしょうか。  6ページの○市町村の役割は、ちょっと市町村が健康危機の当事者となったときとい うのは、なんのことかよくわからないです。この健康危機の最後までいってしまいます けれども、7ページに図上訓練とか知識付与型研修ではなくというのが、これはたぶん 知識付与型研修に加えてではないかと思うのですけれど、ケースメソッド、シミュレー ション。あとは一番下のトラウマが、次のページにいってPTSDが心的外傷をストレス障 害になってしまうのですけれども、PTSTは物理的な障害なんじゃないのですか、そうで もないの。 福島補佐  ポストトラウマというのはストレスイセオーナー。 遠藤委員  いやそうですけれど。そのトラウマは。 福島補佐  トラウマというのは心的外傷。 遠藤委員  このトラウマが。 福島補佐  はい。 遠藤委員  それであればそうかな。それは私の専門ではありません。 北川座長  よろしければ8ページの(3)介護保険に入ります。 小倉委員  4ページの上から3行目に伝染病予防法という言葉がでてくるのですけれど、議論が 始まった当時はあったのでしょうが、この4月1日からなくなりましたので。  それからこの保健所の仕事のところに、さっき薬事監視というのを入れていただいた のは大変ありがたいのですが、プラスやはり全体的な意味でのこれはやってない保健所 も多少はあると思うのですが、「環境保全」というような言葉もぜひ入れていただきた い。健康危機管理の事前管理として大変大きなウエートを持っていると思いますので、 一言付け加えていただければありがたいと思っております。以上です。 北川座長  他にありますか、またあとでございましたら発言していただいて結構です。では次に (3)介護保険制度に関して。 田中委員  あまり出席率がよくない中で質問するのもと思っておりますが、8ページのイの第3 に介護保険制度導入に伴って保健部門において取組を強化すべき事項ということで3点 挙げられていますが、その中で、一番最後の行ですが、「これには、老人保健福祉計画 の見直し」の次に、「介護認定審査会の審査の公正性の担保」という表現が入ってます が、ここでいわんとされているところは介護福祉サービスの質の確保、公平を図るため の一つの強化ということでいくつかそのことにふれられてますが、そこの認定審査会の 審査の公正性の担保というのがどういう意味かわからない。こういう表現が馴染むのか どうかです。 平野指導官  この文には考えていただきたいと思うのですけれども、前回の介護保険の担当者がこ られて、地域においては保健委員のですね、保健、医療、福祉の分野から委員を選ぶ 時、たまたま保健が選ばれたということで保健所等からの職員の参加が期待されると思 うのですが、そういったあるいは各委員に対してこの審査をはじめるに当たっての公平 な審査がされるような研修を行っているようになこともありましたので、そういった中 身が書き込めないだろうかということでした。表現は少し… 田中委員  だから今の説明は、この表現では汲み取れないのではないかという気がします。 それからもう1点ですが、先ほど大倉委員の発言、私もきわめて最もだと思っておりま す。私は国民健康保険の立場から参加していますが、介護保険の運営状況次第では国保 という医療保険にもかなり影響が大きいものですから、介護保険がどういったことにな るかというのは非常に関心があるわけでございます。先ほどから議論されてますよう に、やはり人材の不足といいますか具体的には保健婦さんが介護保険のほうに取られ て、既存の保健部門についてのマンパワーが不足するのではないかということは、私も 全くその通りだと思っていまして、そういう意味では要するにそういった人材不足対策 として具体的にどこがどういった形で責任をもってやっていくのかというところは問題 ではないかと思います。ここの中で、そういった表現が汲み取れるのは、9ページのオ で、要するに市町村、人材の確保というのはひとえに市町村の責任なのかというふうに 思わざる得ないような書き込み方がされていると、やはりこのことについては、果たし てそのことだけでいいのかというふうなことがたぶん大倉さんの心配事の一つじゃなか ろうかと思われるわけでございます。そこらあたりを何か一工夫していただければと私 もそう思うものの一人です。以上です。 竹澤委員  9ページ、ウの市町村保健部門の役割のところですが、恐らく介護保険が出発する と、かなりの相談がでてくるだろうと予想しております。そういう意味で、総合相談部 門を保健部門の中にも入れていただきたいと思っています。 それからエの都道府県保健所の役割の中に、市町村老人保健福祉計画だとか介護保険 事業計画策定に対する支援というのが入っているわけですが、やはり介護保険と同時 に、市町村の保健部門では特に老人保健福祉計画の推進が重要で、介護保険とリンクさ せて考えていかなければならないと思います。保健部門の役割の中に老人保健福祉計画 の推進という文言を入れていただけたらと思います。  それから今申し上げました都道府県の保健所の役割の中で、この文章では計画策定に 対する支援ということですが、策定よりもむしろ市町村にとりましては計画の推進に対 する支援を望んでいます。ので、もし文言を考えていただけるのであればお願いしたい と思います。以上です。 北川座長  もっと、実務に一緒に入ってくれとこういうことですか。 竹澤委員  策定について、市町村はコンサルを利用することが多いです。むしろ策定後の具現化 に向けて、本当に都道府県の支援が必要だと思います。 米田委員 都道府県の市町村に対する支援については計画策定となっていますが、策定の推進や 実施にむけては人や財政も含めた総合的な支援体制が求められています。とりわけ小規 模町村等については、急務の課題である保健婦の確保さえ厳しい状況となっています。 また、保健婦が介護保険業務にたずさわらざるを得ない状況で本来の保健事業の推進に 対し、人的に手薄となっている実状が全国的に見られます。このような状況なか、市町 村においては介護保険の実施にむけて、人的不足のなかでどの分野で対応するのか、機 構や体制をどうするのか、議論展開が行われてきたのも事実です。一方で地方分権推進 の流れで、国から県、県から市町への権限委譲にともなう業務委譲が出てきているわけ ですが、残念ながら予算的な措置とリンクしていない実態も見られます。地方自治体財 政も大変厳しい状況であることは周知の通りですので、財政支援措置についても配慮願 いたいと思います。最後のまとめに「基本指針に盛り込まれた事項について、その実効 性を確保するために地方自治体に対して必要な支援等を行うべき」とありますので申し 述べた点について考慮願いたいと思います。   池田委員  関連なのですが、実はこの介護保険のことに限らなくなるのですが、この介護保険の 9ページのエの都道府県保健所の役割の中に、○事業者に対する監視、実地指導による サービスの質の確保及び向上が入っています。これはとても大事なのです。、実は基本 指針の中の第3のところに地域保健対策に係る人材の確保及び資質の向上並びに人材確 保、支援計画の策定に関する基本的事項というのがございます。その中で市町村に対し ては、そういった事業に必要な人材に対しての研修の責務がもられております。都道府 県に対しては、市町村職員に対する研修がもられているわけですが、本当に介護保険と いうことも含めて保健サービスというのを実施していくためには、委託先も含めた質の レベルやその内容が非常に望ましい状態で維持されるということが大事になってくると 思うのです。  先ほどおっしゃってくれたように、人材の確保が大変になってきているときには、ど うしても地方分権との絡みもあせて民間活用を上手にしていくということが大切になっ てくるのではないかと思うのです。保健サービスにおける民間の委託先をきっちり支援 していく、あるいは指導していく監視していくということが基本指針の中には明確に盛 り込まれていないわけです。  今回委託先の調査をいろいろしてみたのですが、質の確保とかどういう判断で委託先 を決めていったらいいかというあたりは非常にあいまいで、住民に対してある程度のレ ベルが確保されたサービスを提供できるのかということは大事になってまいりますので ここのエに盛られている内容が、最後の14ページのところにあります(7)のその他、ウと かエに、考慮されたことと思うのですが、基本指針の第3に係ることですので今後十分 に検討されて、望ましい形で書き込みができるようにしてほしいと思います。恐らくど この市町村でもマンパワーの不足をどういう形でそれを補っていくかとなりますと、委 託ということを避けて通れない現状にあるということを、一つ加えさせてもらいまし た。 大倉委員  ちょっと関連しますが、介護のところが1ページちょっとということで危機管理がた くさん書かれている中で、介護の関係については地域保健の中のアフターケアの部分で 書かれているのだというように意識して、ページ数が少ないのだというように受け取っ ているわけです。  今、市町村別のレベルだとかそれから特にそういうマンパワーについては、市町村が 職員を増員するとかそういうことは一部やってはいるのですが、まだまだ十分でない し、それからレベルを全国一律といいますか、ある程度共通した認識なり知識、技術で そういうものについてのケアなり介護に当たらなければならないということで研修制度 については、厚生省がいろんな研修をすべきであるし、それを県単位でやるのか地域単 位でやるのかどういう具合にやるかが重要で、例えば1,000や1,500人の市町村は規模が 小さいからできないのではないかと一部で言われていますけれど、そういうところでも 市町村長が保険者として自からやらなければならない、そうすると職員を教育しその担 当者に2つも3つもの業務をやらせるときに研修中に人を割かなければいけないわけで す。そういうことについてはやはり市町村ではなくて、国が主導的にそういうことを考 えてレベルを一定化するような形でのなんらかの方法を講じていただかなければならな いのです。介護のことを別の介護保険の報告書として整理をされるのであれば別です が、そうであるのではないかと発言はあまり厳しくは言わなかったのですが、そういう ことも観点に多少置きながら書いていただきたいということです。 北川座長  まあまあ、一つ介護の担当部局とよくそこのところは連携を取っていただくというこ とでこの問題はいきたいと思います。まだ恐らくいっぱいご議論があると思いますが、 場合によってはあとでメモでも書いてだしていただくという方式にさせていただいて、 ともかくあまり時間をオーバーしない範囲で、全部取りあえずサッと見ておきたいと思 います。その次は9ページの(4)政令市、それから(5)の指定都市の問題は、先ほど小倉 委員からの議論で少し議論をしたのですが、更に発言をしておく必要がありますか。犬 塚委員どうぞ。 犬塚委員  10ページイの最後の○で、都道府県知事の権限で云々という、このことに対する今後 の方策が何もないものですから、最後のところに入れるのかいずれにしてもサービスの 徹底の観点から、都道府県知事から政令市長への権限の移譲を継続して検討すべきだと いう項目をぜひ入れていただきたいと思います。  2度ほど発言をさせていただきましたが、中核市になってから中核市の人たちが逆に ここに書いてあるように利便性が損なわれているようなことがありますので、サービス の受け手の観点からやはり権限移譲について、継続的に議論を検討していただきたいと いうことです。 中原委員  9ページエの都道府県保健所の役割、「健康日本21」というのがでてきて、それに関 連した業務としての、地域における情報収集、情報分析というのがあるのですが、政令 市、政令指定都市については保健所についてその役割を求めるとかあるいはどういうこ とを市自体求めるとか、そういうことが書いてないので、逆にいうと都道府県保健所の 役割のところだけにあるということは、健康日本21というのはどういうものかという疑 問がでてくるわけです。  考えてみると、この委員会で「健康日本21」についてのご説明はなかったわけでし て、ご説明をいただいてその中でどういう役割を期待しているかというご説明をいただ くかあるいは健康日本21をやめてしまうですかね、どちらかにしていただかないと、非 常に重要な厚生省としての施策がここだけにでてくるものですから、僕は非常に重要だ と思っていますが、ちょっと位置づけを考えていただきたいと思います。 北川座長  他にありますか、それでは(4)(5)はその程度にしまして、13ページの(6)その他の基本 指針の見直しに際して考慮すべき事項というのは、これはこういうところで別にこうい うものがあるから、ここでは言わなかったとこういうことですか。そういう理解でよろ しいのですね。  それから次は最後の(7)のその他、本検討会において指摘されたのだが議論する時間が なかったよと、こういうことですね。これはどう扱うのですか。今後さらに継続をして いろいろと検討をいろんな場面でやっていくよというふうにするのか、フォローアップ をどうするかという問題が残っているように思います。 岩尾課長  当初私どもで例示させていただいたものが3つのテーマだったわけで、それについて 一応基礎に書き換えてございますが、その他、地域保健の見直しを幅広くということで いただいた議論にこういうものがあったというように理解しております。  それぞれ重要な問題ですので、項目として挙げさせていただいてますが、こういうこ とをまた今後幅広く議論していこうというのであれば、また第2ラウンドあり得べしと いう理解をしております。  ただ、とにかく6月までといいますか、その介護の法律がでると当然それに伴ってう ちの指針を文書だけでも変えなければいけないところがでてきますので、それに併せて 少なくとも危機管理の話とその他のところだけは、まず挙げたいということで6月とい うお尻を切らせていただいたものですから、先生方よろしければ「またやろう」という のであれば、どうぞやりましょう。 北川座長  それではそういう扱いで今後どうするかというのは、さらに事務局でも皆さんのご意 見を集約していただければいいと思います。他に最後に全体でこの際ということがあり ますか。まだ、今日ご発言のあった点を修正をして、次回また提示をしていただけると 思いますので、その時点でまた少し、今度はホームワークもできると思いますのでやっ ておいていただいて、場合によってはメモでご意見をだしていただいてもよろしいです ね。 岩尾課長  場合によってはでなくて、ぜひだしてください。それぞれ先生方に宿題としてコメン トをいただきたいと思います。 北川座長  そういうことで、今日はほぼ時間内で終わらせていただきますが、メモは自由でいい ですね。 大倉委員  いや宿題については、私は悪いけど書けないよというのは他にもいっぱい抱えている からね、それとうちは行政機関ではないですから首長、全国47都道府県の町村会の会長 さんの事務局だからね、ちょっとあんまり細かいところはわからない部分もありますの で、ここに書いてある文章としてはできなくても、項目としてはだしたいと思っていま す。 北川座長  それでは一つ適宜ご判断いただきたいと思います。今日の会議はこれで閉じますがよ ろしいですか。 岩尾課長  それでは次回ということで、示してありますが6月2日を予定しております。午前10 時からということで、また場所は追ってご連絡差し上げます。そういうことで意見など はファックス、Eメールなどでご連絡いただければありがたいと思います。どうもあり がとうございました。 北川座長  ということで、第7回の地域保健問題検討会をこれで閉じさせていただきます。 お忙しい中本当にありがとうございました。 問い合わせ先 厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課 担  当 中  里 電話番号 03−3503−1711(内線2391)