審議会議事録 HOME

HIV診療支援ネットワークシステム部会
(第6回)議事概要

1.日 時: 平成11年5月26日(水)14:00〜16:40
2.場 所: 厚生省第3会議室
3.出席者: (厚生省)
上田政策医療課長、塚原政策医療課高度・専門医療指導官、山本運営企画課補佐、桐生政策医療課補佐、清水エイズ疾病対策課補佐
(国際医療センター)岡臨床研究開発部長、秋山情報システム部長
(大阪病院)白阪臨床研究部ウイルス研究室長
(原告団・弁護団)東京4名、大阪3名
*三森、木村、安岡、青木委員欠席

4.議 題:

1.A−net参加者(3次募集)に対する研修会について
2.非国立病院への拡大のスケジュールについて
3.A−net診療情報を研究目的で活用する場合の取扱いについて
4.その他

5.議事要旨

(1)A−net参加者(3次募集)に対する研修会について

○平成11年5月時点のA−net参加登録患者数とユーザー登録状況、平成11年4月8日から開始した2次の参加状況及び3次募集に対する研修会を6月18日に実施することについて事務局より説明(資料1〜3)

特に意見なく原案について了承された。

(2)非国立病院への拡大のスケジュールについて

○国立病院以外のブロック拠点病院に7月1日より拡大すること、また、HOSPnetではなくインターネットを使用した運用となるため運用管理細則に新たな章として「国立病院以外でのA−netの運用」を設けたことについて、事務局より説明(資料4〜9)

厚生省:
 非国立の拠点病院への拡大については、近い将来のことではあるが、暫く置いておき、本日は非国立のブロック拠点への拡大に絞った議論をいただきたい。

原告団:
 インターネットを介した利用のために規定した運用管理細則17条4項は、A−net管理者だけに責務を負わせるだけでよいのか、利用者は含まれないのか。
 また、細則17条4項はセキュリティサーバのみにかかる規定なのか、それとも他の端末をインターネットに接続してはいけないという主旨なのか。
 以前は、細則8条の4に定める「通信回線」は国立病院内のHOSPnetだけを考えていたが、拡大した場合にも「通信回線に他の通信回線を接続すること」の規定はかぶさっているのか。

厚生省:
 A−net管理者はVPN(仮想専用線網)の鍵の管理者であり、本来、他の利用者は管理権限がないからログインできず触れない立場にある。技術的にいえばコンピュータに詳しい利用者がハッキングすれば、当然防げないが、そこまで規定する必要があるかどうか。

原告団:
 細則17条はセキュリティサーバについて網をかけるのが眼目であるが、細則8条の規定と整合性があるのか。

厚生省:
 8条の利用者は、非国立の利用者にもかかる。
 国立病院でHOSPnetを介さずにA−netを利用することは許さないから、第4章で非国立病院を規定する場合には「厚生省HOSPnet接続以外のエイズ拠点病院」でよい。

原告団:
 細則17条と8条の表現は内容的に重複するが規定上きれいでなくても許されるのであれば、安全性の確保の観点からは重複していても17条で規定した方がよい。

厚生省:
 技術的にはセキュリティサーバとインターネット側の接続であれば問題ないが、セキュリティサーバと端末との間に他の回線を接続されるとセキュリティ上問題があるので、細則17条4項で8条に規定された諸項を行なってはならないとしたが、要するに「これを一切触るな、勝手に変えては駄目」という主旨。

原告団:
 細則17条の主旨は合意するので、表現を事務局で考えて欲しい。

厚生省:
 細則17条4項の主語をA−net管理者と利用者に変更する。

座長:
 事務局において表現を整理して1週間程度でお示しする。

原告団:
 14条1項において、同意書をA−net総括管理者と非国立のエイズ拠点病院長との間でお互いに取り交わすわけではないから、「A−net総括管理者と非国立のエイズ拠点病院長との間で」という表現はおかしい。

座長:
 14条1項を変更し、「エイズ拠点病院の病院長は、総括管理者に対して、A−netの趣 旨に同意し、HIV診療支援ネットワークシステム管理要綱に規定される責務を遵守する旨の 同意書に署名捺印して誓約参加するものとする」とする。

原告団:
 管理要綱と細則において、「A−net管理者」と「A−net管理責任者」があるが、違いがあるのか。

座長:
 管理要綱第5条の定義に合わせて、表現をA−net管理責任者に統一する。要綱と細則を再度チェックして、お示しする。

原告団:
 例えば細則14条3項の二「A−netが規定するセキュリティ基準を満たした」のようにA−netが主語となっている表現を工夫すべき。

厚生省:
 A−net部会とか総括管理者のように人格をもった表現とする。

原告団:
 要綱と細則は今までずっと(案)となっているが、(案)がとれるのいつか。

厚生省:
 A−netが試行期間中は(案)としておいて、問題があれば変更していくという整理で今までやってきたところ。(案)をはずすのは、このA−net部会ではなく、エイズ治療・研究開発センター運営協議会で決めるべき事項と考えている。

原告団:
 今回も細則が変更となるが、現在のA−net利用者に対し周知させているのか。

厚生省:
 本日の議論を踏まえて細則が確定してから、A−net保守センターからメールにより周知 を図ることとする。

原告団:
 資料7において平成11年7月1日に拡大予定とされる非国立のブロック拠点病院はどこか。資料5の中で平成10年度第3次補正予算により整備した施設51病院と4大学病院の計55病院が対象となるのか。

厚生省:
 資料の整理がうまくないため、誤解がある。今回、拡大の対象となるのは、文部省関連の旭川医大、北大、新潟医大、広島大の大学4病院と札幌医科大、石川県立中央病院、広島県立広島病院、社会保険広島市民病院のブロック拠点8施設を考えている。

厚生省:
 資料7の記述では7月1日に拡大する対象が極めて部分的な括弧書きであるのか(55施設)、非国立拠点病院のすべてにかかる括弧書きであるのか(293施設)分かりづらいので整理し直す。

原告団:
 平成10年度第3次補正で機械が前倒し整備された51施設の選定方法として、何らかの判断や基準があるのか。もし、これらの施設が参加しなかった場合には機械は無駄となるから、重要な問題である。

厚生省:
 昨年、都道府県を通じてアンケート調査を行い、技術的要件としてインターネットの専用回線があること、予算的に当該年度で執行できるかどうかを確認し、またIBMが現地調査を行い第一候補が決定したと聞いている。

原告団:
 11年度予算の整備か所数はどのくらいあるのか。

厚生省:
 11年度予算については、メニュー予算であり、整備予算全体の中の一項目となっている。補助率は10年度3次補正と同じ10分の10である。基本的に整備か所数は決まっていない。

厚生省:
 大学病院については、予算的にはあるが、諸般の事情から今のところ4大学病院となっている。昨年、エイズ疾病対策課、政策医療課と文部省高等教育課において協議したが、大学病院については積極的だった。

厚生省:
 前回のアンケート調査では古くなっているので、再度調査をする必要がある。
 また、機械が整備されているのは、非国立病院では、文部省の4大学病院に加えて地方ブロック拠点病院4施設と治療拠点病院47施設の計55施設であるが、1施設を接続するために1週間位かかるから全体で50週程度かかる。同時に動けるチームがいないので、整備か所数を増やしても接続に当たり限界があることは承知願いたい。

原告団:
 7月1日から非国立のブロック拠点病院8施設に拡大するのは、インターネットに拡げることにおいて意義があるということか。

厚生省:
 1施設でも増やすことがヤマとなると考えている。非国立のブロック拠点病院に拡大するに当たって、インフラの整備が心配であるが、セキュリティの確保の観点から人の問題が一番心配。予定では石川県立中央が入っているが、何月も前から準備をし、インフラ要因は一番しっかりしている施設である。この施設が無理であれば他の施設はできないと考えている。

厚生省:
 対象としては8ヶ所とするが、国立病院の利用者と同様の参加基準を適用するから、A−net利用者として合格するかどうかはわからない。

原告団:
 今回予定している施設について患者は全施設にいるのか。

厚生省:
 以前調べたときには1人はいたと思う。

原告団:
 エイズ拠点病院ではないが、実際にエイズ診療を行なっている施設や機械は自分のところで買うから参加させて欲しいという施設については、今後どうするのか。A−netの利用をさせず、放置しておくしかないのか。

厚生省:
 この問題は、協議会レベルで検討すべき問題であると考える。

原告団:
 A−netのユーザーは増えているけれども、患者数が増えていないが、これでいいのか。

厚生省:
 現在、名寄せが行われているのは3例だけだが、実際には患者は遠方の病院まで移動するのが大変だから名寄せはできず、コンサルテーションを受けたいという話はいくつか聞いており、ニーズはあるものと考えている。ただルールができていないので、今後考えていく必要がある。

厚生省:
 患者数が増えていないと言っていたが、現在、患者の参加同意書は280名ほどとなっている。

原告団:
 エイズ患者が来ないなど役に立たないところにA−netを整備するよりも、患者がいるところにA−netを整備するとともに他の整備の面倒をみてやった方がよい。(メニュー予算を有効に活用すべきとの趣旨)。

厚生省:
 国立病院は予算をつけるのが前提となっているから、国立病院の中で参加患者数が伸びないのは、ある程度予想された結果である。
 非国立病院の場合には、セキュリティの問題もあるので患者がいるところに拡げた方がよい。
原告団:
 A−netの利用施設のうちエイズ患者がいない施設は、A−netは役に立っているのか。

厚生省:
 A−netの自動集計機能として感染ルートや使用薬剤の組み合わせ等がわかる。これはA−net内でしか見られず、全く端末を使っていない訳ではない。

原告団:
 資料5において整備済の51施設を見ると、エイズ疾病対策課が選定した施設は、ある程度の診療を行なっている施設を配慮してあると思う。その後、どのように拡大していくかについては、工夫する必要があり、事実上診療していない施設をどうするかについて考えていった方がよい。

原告団:
 要綱7条で「A−netを利用できる施設は、総括管理者が利用を認めたエイズ拠点病院等に限られる」とされており、非国立病院の利用施設についてこの部会に諮るのか。

座長:
 本日は、非国立ブロック拠点病院について議論いただくこととしており、今後の拠点病院への拡大についてはエイズ疾病対策課長とも相談し、これからどうしていくのか考え方を整理して、何らかの機会のときに示すこととしたい。

原告団:
 都立の駒込病院などが整備対象とされていないのは何故か。

厚生省:
 これらの施設はインターネットについて電話回線を利用しており、専用回線が整備されていなかったためだと思う。

座長:
 時間の関係もあるので、細則(案)については、事務局において詰めて、合意をいただくことを条件に7月1日で参加要件に合格したところについては、非国立ブロック拠点病院に拡大することとしてもよろしいか(了承)。

(3) A−net診療情報を研究目的で活用する場合の取扱いについて

 資料について事務局より説明(資料10)

原告団:
 共同研究者の名前を申請書に書かせた方がよい。

座長:
 そのように整理する。

原告団:
 A−net疫学的研究等申請取扱要領を誰が定めたものかはっきりしないから、名称を細則とした方がよい。

厚生省:
 変更する。

原告団:
 申請書に研究時使用機器を記載することとされるが、具体的には何か。

厚生省:
 研究に用いるパソコンについて、提供した診療情報を無節操に他のパソコンに入力されても困るので使用機器を申請時に届け出る規定としている。

原告団:
 提供した診療情報の後処理は、利用者に任せられているが、この段階で診療情報を消去したという後処理申告書を作った方がよい。

厚生省:
 作成して様式に追加することとする。

原告団:
 A−net診療情報使用申請書の「1 研究目的・研究方法等」と「2 診療情報使用目的」はどこが違うのか。

厚生省:
 一つにまとめて、「1 A−net診療情報使用目的 A−net診療情報を使用して行なう研究の目的、方法等を別添様式に記載する」とする。

原告団:
 診療情報を研究目的に使用することを部会にかけても、我々は患者のプライバシー侵害にかかること以外は判断できない。医学的な価値判断はできないから、原則として利用を認めることとしてはどうか。

厚生省:
 そもそも研究はA−netの大きな目的であるから、部会が許可するようにして縛りつけるとA−netの目的は何なのかわからなくなる。ただ遺伝学的な研究で患者名がいるということが有り得るから、その点が問題となる。

座長:
 「原則として総括管理者が許可する。患者のプライバシーを侵害する内容と認めるときにはA−net部会の意見を聴くものとする」と修正する。
 研究利用の手続についてはいつから始めればよいか。事務局において修正した最終案が認められることを前提として、平成11年7月1日から使用してよろしいか(了承)。

原告団:
 手続の前に利用目的として理念を前に書いた方がよい(了承)。

(4) その他

厚生省:
 本日の最後の資料として第5回のA−net部会の議事概要(案)を付けている。ご意見等があれば1週間程度でいただきたい。また、第1回から第4回までの議事概要(案)については、第5回A−net部会の席上、1週間程度の期限を切り、ご意見を伺うこととしていたが、特に頂いていないので厚生省のホームページに掲載することとしたい。

原告団:
 以前、議事録については所属を明示することとしていたように思う。センター側か本省側か が分からないため意味不明のところがある。

厚生省:
 所属を明示するのであれば、原告団の氏名も明示してもらいたい。氏名を公表することで議論が活発なものとならなくなるおそれがある。診療側としての立場で言うと発言者が特定されると発言の意図とは関係のない意味でとられることがある。

原告団:
 特に問題なし。

座長:
 今までのとおり、議事録の表記は厚生省・原告団とする(了承)。

座長:
 現在、A−netの利用者について薬剤の使用状況などについてはA−net利用者でないと見ることが出来ないこととなっているが、より積極的な活用をするために厚生省ホームページに掲載するなどできないか。

厚生省:
 ブロック別にデータを出したときに患者数の多いところはよいが、少ないところはデータによっては患者が特定されてしまう不安はある。また、知的財産となるから、他の先生に異論がなければよいと考えている。

座長:
 公表しても問題のないものについてホームページに載せてはどうか。

厚生省:
 診療側としては特に異論はない。

厚生省:
 予算の問題がある。ACCに自動的にデータを移すプログラムの予算について検討する。

座長:
 次回は、先程話のあった名寄せを行なわずにコンサルテーションを依頼されている実例を整理し、資料として提出願いたい。
 次回の部会の日程はいつがよいか。

原告団:
 協議会を早めに行いたいということを以前より言っており、部会の前に協議会を6月中にやりたい。

座長:
 日程を調整してご連絡する。

以 上


問い合わせ先 
厚生省保健医療局国立病院部政策医療課
担 当 企画第一係(内線2627)
電 話 (代)[現在ご利用いただけません]


審議会議事録 HOME