99/04/06 第14回公衆衛生審議会疾病対策部会臓器移植専門委員会 第14回    公衆衛生審議会疾病対策部会臓器移植専門委員会    日時   平成11年4月6日(火)         14:00〜16:10    場所   厚生省別館         8階 共用第23会議室  出席者 (○:委員長 敬称略)  井形 昭弘  板倉  宏  大久保 通方  大島 伸一  大塚 敏文  菊地 耕三 ○黒川  清  小柳  仁   竹内 一夫  谷川 久一  野本 亀久雄 町野  朔  眞鍋 禮三   矢崎 義雄  山谷 えり子 1.開 会 2.議 題   (1)今回の臓器移植事例に係る検証作業について   (2)その他 ○事務局 日本大学教授であります板倉先生です。杏林大学名誉教授であります竹内先生です。 本日欠席でございますが、同社大学教授であります浅野先生、3名の委員の新しい方が 委嘱されております。本日の委員の出席の状況でありますが、浅野委員、桐野委員、田 中委員、小泉委員、藤村委員の5人の方がご欠席との連絡をいただいております。報告 させていただきます。  続きまして資料等の確認をさせていただきます。議事次第がございます。この議事次 第の中には委員名簿等が入ってございます。議事次第の最後に本日の会議資料一覧がご ざいます。  資料1 日本臓器移植ネットワークの活動の経緯について、9ページほどです。  資料2 臓器移植を支えるシステムに関する課題及び今後の対応(案)、3ページで ございます。  資料3 移植医療における情報開示のあり方等について、2ページです。  資料4 角膜移植における提供者(ドナー)適応基準(案)、2ページです。  参考資料1 プライバシー保護をめぐっての動きと対応、ということで5ページのも のがございます。資料は以上でございます。お揃いでしょうか、不備等がございました らお申しつけください。  申し遅れましたが、私は4月1日をもちまして事務局を担当することになりました長 谷川と申します。よろしくお願いいたします。黒川委員長よろしくお願いいたします。 〇黒川委員長  議題に入りたいと思います。前回は大変にご苦労さまでした。竹内先生のところの作 業班までやっていただいたそうでありがとうございました。前回の会議、これはずーと 審議そのものは公開されてますので、実は前回のときにちょっと気になったのは、特に ドナーの方のアイデンティティがわかるような言葉がついつい出てしまうことがあるの で、今度は委員の皆様もドナーとレシピエントの両方に関わる個人のアイデンティティ がわかること、例えば年齢であるとか、性、血液型などがあると思うのですが、そのよ うなことについての発言は十分にご注意いただきたいということであります。  勿論、それが公開されていることのメリットは十分にあるのですが、たまたまそうい うことがぽろりと出たときに、聞いている取材の方々もそういうことは十分に注意して 扱うというふうにしていただきたいと思います。  配付資料についても、この間はそういうことについてはかなり注意されていて、わざ わざ抜いているデータもあったわけですが、そういう配慮もされているので事務局の方 も十分に注意されていると思うのですが、その辺は十分に気をつけないといけないとい うことですので、よろしくご理解のほどお願いしたいと思います。  今回のこともそうですが、日本臓器移植ネットワークそのものについての活動状況に ついてご報告いただいたわけですが、更にそれについて、今回のことについての検証と いうこともありますが、この活動について適正に行われたかどうかということについて あるわけですので、これを皆様のところに、前回もデータを出しましたが、今回の資料 として、もう少し整理された恰好で出てますので、それについてネットワークからご説 明いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 〇小中コーディネーター  移植コーディネーターの小中と申します、ご説明させていただきたいと思います。お 手元の資料の1をご覧いただけますでしょうか。この資料に基づいてご説明をさせてい ただきたいと思います。全容を紹介しておりますのが1枚目の紙でございます。日本臓 器移植ネットワーク活動の経過について、というのが全容の紹介でございます。私ども の動きの紹介でございます。この用紙を見ながら、次のページから項目ごとにまとめて ありますので、紹介をさせていただきたいと思います。  まず私どもが行いました承諾手続きについてのご紹介をまとめたもので紹介をしてま いります。  2月22日  今回の患者さんは、何回もご説明さしあげておりますが、2月22日に病院に入院なさ いました。その後、頭部のCTを撮られて、ここに書いてありますように、CT上では 6cm×4cm×5slicesの像、SAH、脳内出血、脳室穿破というものが見られておりま す。自発呼吸はなく人工呼吸を開始、瞳孔散大、対光反射なし、ということでGCSの 3ということで非常に重篤で昏睡状態になられております。  23日  9:55 ご家族に主治医の方からご説明で、予後が不良、蘇生は困難であるとご説明 なさって、この後ご家族より意思表示カードの提示がなされました。14:53、主治医よ りご家族へ、コーディネーターから心臓停止下での腎臓提供の説明を聞くことができる ことを提示されております。ご家族はコーディネーターから心停止後の腎臓提供の説明 を聞くことを希望なさっております。  この後17:50、県と中四国ブロックセンターのコーディネーターから心臓停止後の腎 臓提供の説明を、主治医と婦長同席の元でお話をしております。このお話の内容です が、この項目に沿って説明をしております。まず献腎についての医学的説明、検査のた めの採血、カニュレーションを含む前処置、摘出手術、脾臓・リンパ節の摘出。献腎が できなくなる可能性、これは感染症、途中での腎機能が低下した場合などをご紹介して おります。献腎後のケアについて、プライバシーの保護について、拒否することの自 由、提供手順の具体的な方法、傷の大きさであるとかも含めた上ですが、こういうお話 をしております。  18:53 心停止下での腎臓提供の承諾書に署名捺印をいただいております。これは心 臓停止下での腎臓提供の承諾手続きで、中四国ブロックセンターが中心になって動い て、承諾をいただいております。  25日  11:00 臨床的に脳死と診断ということです。これ以降は脳死下での提供ということ で、主にこの承諾手続きにつきましてはネットワーク本部が中心になりまして基幹ブロ ックセンターが動いております。14:00、主治医より家族への脳死診断の結果の説明を され、脳死下での臓器提供の説明を聞くことができることを提示されております。  15:00、ご家族よりコーディネーターの説明を聞きたいとの申し出があり、15:43、 県の中四国ブロックセンター、県コーディネーターからご家族に説明をいたしておりま す。  説明内容はここの下に書いております。まず感染症検査の結果が陰性であることを報 告しております。本人の意思が署名で表示されていることが必要、ご家族が脳死判定及 び臓器提供を承諾した場合は、法による脳死判定を行い、脳死した本人から臓器を摘出 することができるということ。承諾をいただくご家族の範囲、拒否することの自由、脳 死判定の概要、2回目の脳死判定終了時刻が死亡時刻となること、脳死判定にはご家族 が立ち会えること、臓器提供の概要、この部分については時間のことでありますとか、 傷の大きさなどを含めた多臓器摘出の手術、承諾はいつでも撤回できることの自由につ いて、このときも臓器提供ができなくなる可能性、臓器の機能の評価など、提供手順の 具体的な方法について、手術開始及び手術時間、費用負担、プライバシーの保護、など について具体的に説明をいたしております。その結果、17:55、脳死判定承諾書、臓器 提供承諾書に署名捺印がされております。  20:13 法に定まった第1回目の脳死判定を開始しております。しかし23:00、法的 脳死判定基準を満たしてないということの結果で、この承諾手続の全てを白紙に戻すと ご家族に説明をいたしております。承諾手続き2に入ります。  26日  12:58 脳波測定が平坦脳波、ご家族の承諾の元に無呼吸テストを含む脳死診断検査 をここで行っております。14:48、臨床的に脳死と診断。16:40、主治医よりご家族に 脳死診断の結果を説明し、コーディネーターから脳死下での臓器提供の説明を聞くこと ができることを提示なさっておられます。20:30、ご家族より臓器提供の説明を聞きた いと申し出がありました。20:30、主治医よりコーディネーターへ説明の依頼がありま した。  21:40、ブロックセンターのコーディネーターと基幹ブロックのコーディネーター県 のコーディネーターからご家族へ、脳死下臓器提供についての説明用紙に沿って説明が 行われております。説明の中身は先程ご紹介しました中身と同じですので、省略させて いただきます。この時、その下に書いてありますが、ご家族は臓器提供はしたいが、報 道のあり方にこの後かなり憤慨なされ、プライバシーが全く保護されてないことに対し て抗議がありました。このプライバシーの保護につきましては、心停止後の提供のとき についても、またさらに1回目の承諾手続きのときについても、できる限り保護をさせ ていただきますということをお話を差し上げているのですが、その後、マスコミ報道さ れていることに対して、約束が守られてないということに対して非常に抗議されまし た。  その結果、以下の要望をご家族が出されております。まず脳死判定については、一切 公表しないこと。ご遺体が病院から帰る際平静を保てること。マスコミは患者及び家族 のプライバシーに触れる報道のあり方を反省すること。などがコーディネーターを通じ てご家族からありましたので、これは公表いたしております。  21:54 脳死判定承諾書、臓器提供承諾書に署名捺印がありました。23:30、脳死判 定委員会を招集。  27日  11:12 脳死判定委員会を開始してます。11:40、法に定まった第1回目の脳死判定 がご家族の立会いの元行われております。  28日  1:40 第2回目の脳死判定がご家族の立会いのもと行われております。その結果、 院長よりご家族に脳死判定通知書を手渡しております。承諾の手続きについてはこのよ うな経過が行われました。  続いて脳死からの多臓器提供の経過をまとめて紹介したいと思います。4ページにな ります。死亡宣告から臓器の医学的評価までという項目になります。  死亡宣告、法に定まった脳死判定が行われて2回目が終了した時刻が死亡時刻になり ますが、死亡宣告をなさってご遺族に説明、その後、脳死判定的確実施証明書、勿論、 意思表示カードもここには含まれておりますが、承諾書、死亡診断書など、必要な書類 を確認した上でネットワークでレシピエントの意思確認を行っております。6:58で す。そのあと摘出チームにチーム編成の要請を行って、その後摘出チームの交通の手配 を行っております。  その後、臓器搬送のために、民間の航空機であるとか防災ヘリ、警察などに臓器搬送 の依頼を行うと同時に、臓器摘出の手術室の準備、病院の方と一緒に行っております。  下に、心・肺摘出チーム、肝摘出チーム、腎摘出チームが病院到着を示す絵が書かれ ておりますが、この順番にチームは到着しております。心・肺摘出チームは定期便を使 って、タクシーを乗り継いで病院に入っておられます。肝臓摘出チームは防災ヘリ、チ ャーター機を使って病院に入られました。腎の摘出チームは車でこられております。  そういうことで摘出チームがこられて、摘出チームの臓器評価を行っております。  12:50、UCGで心臓の評価を行っております。その後摘出チーム全員が集まられ て、手術室の前室で摘出前のミーティングを行っておられます。片方でご遺族がご面会 をなさいました。14:24 手術室に入室。入室した後14:40、肺のチームが気管支鏡を 行い、肺の最終評価を行っております。この後、肺は機能不全ということで摘出を断念 ております。15:07、摘出手術の開始になっております。死亡宣告から臓器医学的評 価、手術開始までのご紹介をいたしました。  次にレシピエントの選択の経過をご紹介します。  まず23日の段階から25日の深夜のところまでは、心停止後の腎臓提供という動きを行 っておりました。  23日 18:53、心臓停止後の心停止下での腎臓提供の承諾をいただいておりました。  24日  3:00腎臓移植の適合者検索を中国四国ブロックセンターで行っております。 その後、レシピエントの意思確認を行いました。  25日  0:05腎移植のレシピエントが決定しております。東北大学と国立長崎中央病 院に登録なさっている患者さんです。その後2月25日14:00に臨床的に脳死と診断とさ れ、ご説明して17:55には脳死判定承諾書と臓器提供承諾書に署名捺印をいただきまし たので、その後、脳死下でのレシピエント検索にかかっております。  20:13、第1回の脳死判定が行われ、承諾書をいただいた後は、ネットワーク内での 動きは行ってもよろしいということになってますので、検索までは行っております。 20:30心・肺・肝移植の適合者検索の1回目をネットワークの本部内で行っておりま す。ただその後、22:30、法的な脳死判定基準を満たさずということになっております ので、このレシピエント選択の手続きを全て白紙に戻しております。  26日 14:48 臨床的に脳死と再度なされております。22:54、脳死判定承諾書、臓 器提供承諾書に署名捺印がなされました。  27日 20:13 第1回脳死判定を実施され、23:00、心・肺・肝移植の適合者検索2 回目をネットワーク本部内で行っております。  28日  1:40 第2回目の脳死判定が行われております。その後院長よりご家族に脳 死判定の通知書を手渡され、第2回目の脳死判定終了の連絡受信が本部に行われて、 6:54脳死判定記録書、的確実施の証明書、死亡診断書などをFAXで本部が受信、確認 し、意思表示カード、脳死判定承諾書、臓器摘出承諾書の写しも確認、ということで 6:58心臓・肺・肝移植の候補者の意思確認をネットワーク本部で確認をしております。   7:00最初は心臓停止下での腎臓の移植適合者検索を行っておりますが、今回は脳死 下ということになっておりますので、 7:00に再度脳死下での提供の腎移植適合者検索 をネットワーク本部で行っております。 7:20心移植者の第2候補者のステータス1累 積日数の問い合わせが移植施設からありました。それでこれは度々お詫びしております が、私どもの計算ミスがありました。ご迷惑をかけたことをここで改めてお詫び申しま す。その改めて、計算した修正日数の入力と、心移植適合者検索をネットワーク本部内 で行っております。それで連絡をいたしております。 8:20肺移植のレシピエントが決 定。 8:45肝移植のレシピエントが決定。11:02心移植のレシピエントがそれぞれ決定 しております。  6ページでは摘出手術の経過についてご報告いたします。  2月28日 14:24 手術室に入室されております。その後、14:40、気管支鏡で肺の 医師が肺を見ております。それで肺摘出断念となっております。摘出手術が開始された のが15:07です。全身ヘパリン化が16:39、16:57大動脈を遮断して灌流を開始して、 人工呼吸を停止しております。  心臓の摘出が17:03、肝臓の摘出が17:13、腎臓の摘出17:20、その後左角膜の摘出 が18:26、右角膜摘出18:44、手術の終了が18:50でした。  次に臓器搬送から移植手術まで、まず心臓と肝臓についてご紹介いたします。7ペー ジになっております。  臓器につきましては、血流を止めてから血流を再開するまで、非常に時間が大事にな っておりますので、まず心臓の提出というか血流を止めた灌流開始の時間から次の移植 手術が終了して血流再開までの時間がここに書かれております。  この流れに沿って行われております。上の方が血流停止と血流再開までの時間です。 まず停止が16:57、灌流開始の時間です。それで心臓を見ますと心臓が摘出されたのが 17:03です。移植手術を開始されてレシピエントの中での心臓の血流を再開したのが 20:21になっております。心臓はそういうことで、総阻血といいますか、血流の流れて ない時間が3時間24分です。  次に肝臓の摘出です。血流を止めて灌流開始したのが16:57、肝臓の摘出が17:13で す。お受けになったレシピエントの中で血流が再開したのが 0:06です。これを見ます と血流が止まっていた間が7時間09分となっております。  もう一つこの表の中に書いてありますのが、搬送の時間になっております。  心臓の搬送は、まず病院からパトカー先導で緊急車両で高知空港にいって、その後を 防災ヘリで伊丹空港で、その後パトカー先導で緊急車両で大阪大学付属病院まで搬送い たしております。搬送時間は1時間36分になっております。  肝臓につきましては、病院から救急車で高知空港に行き、高知空港から松本空港まで はチャーター機を使っております。その後パトカー先導で救急車を使用して病院まで到 着しております。この搬送時間は1時間59分となっております。  8ページです。腎臓についての臓器搬送から移植手術までを紹介したいと思います。 腎臓の場合も同じですが、血流を止めて、灌流を開始したのが16:57になってます。レ シピエントの中で血流が再開されたのが上の右端に書いてありますが、 4:05と 4:41 になっております。  東北大学の方が血流が遮断されていた総阻血時間が11時間08分、国立長崎病院の方が 総阻血時間が11時間44分になっております。  腎臓の搬送につきましては定期便と新幹線と特急電車を使って行っております。搬送 時間は東北大学が7時間20分、国立長崎病院が7時間10分ということになっておりま す。  最後のページです。臓器搬送と総阻血時間ということで、改めてここにまとめており ます。この図の通りに高知からこのような形で日本の中で搬送が行われております。搬 送にはいろいろな方々にご支援いただいて、基準とする時間を全てクリアして、良い時 間内で搬送することができたと思っております。以上でご報告を終わりたいと思いま す。ありがとうございました。 〇黒川委員長  ありがとうございました。大変なプロセスが重複しながら起こっているわけで、かな りその状況が分かったのではないかと思います。こういうことを見るだけでも、特にド ナーのご家族、ドナーのかたの方は大変であったろうなということが、手に取るように わかる気がします。実際に搬送のところのアレンジメントも大変であったと思います。 改めてドナーのご遺族の方々に敬意を表したいと思います。これについて何かご質問、 ご意見はございますでしょうか。 〇眞鍋委員  多臓器提供の場合の家族からの承諾書です。これは一括していただけるのでしょう か。それとも心臓は心臓、肺臓は肺臓というふうに別々に承諾書をいただくのでしょう か。 〇小中コーディネーター  脳死判定承諾書と臓器摘出承諾書は一括して、勿論、脳死判定承諾書は1枚、臓器摘 出承諾書は1枚ということで、臓器が種類が全て書いてありますので、その臓器を〇を していただいて、承諾の署名は1枚の紙に書いていただくことになっております。 〇眞鍋委員  実は角膜はいつも別扱いにされることが多くて、ドナーの方から、角膜の方は別にア イバンクで取ってほしいということを言われたりしまして、それで二重手間になるので はないかという意見が出たりしてますので、ぜひ多臓器移植の場合には一括してコーデ ィネーターの方で承諾書をいただけたらと思います。 〇小中コーディネーター  私の意見でよろしいでしょうか。私も今の先生のご意見に非常に賛同させていただき たいのです。先生がおっしゃるように、ご家族にとってはどういう臓器を提供したい、 どういう組織を提供したいと思われましても、同じのことですので1枚で済むというこ との方が妥当であると思います。 〇朝浦室長  皆さんがご承知の通り、角膜につきましてはアイバンクが斡旋機関になっております ので、臓器移植ネットワークのコーディネーターが角膜の斡旋機関足りえないというこ とで、現在は基本的には角膜以外の多臓器については臓器移植ネットワークのコーディ ネーターが、角膜についてはそれぞれの地域のアイバンクが承諾を得るという形になっ ております。ご家族からしてみると、二重の手間で、意思確認が2回行われるというこ とになっております。  この辺については、臓器移植法が施行された後、このようなケースが何例か出てきて おりまして、運用面での工夫がなんとかできないかということもありますが、そういう ことも含めて、ご家族の負担にならないような形で何とか運用できないか、今後事務的 にも研究させていただきたいと思っております。 〇黒川委員長  その辺はこれから整理をしないといけないという問題がまだあるということですね。 その他にはございませんか。 〇大塚委員  二つお伺いしたいのです。一つは脳死判定承諾書と臓器提供承諾書を同時にとってお られますよね。正式には2回の脳死判定を行って確実に脳死が確定された段階で臓器提 供承諾書をいただくのではないでしょうか。  もう一つですこれはプリントミスであると思うのですが、5ページの真ん中頃に27日 の第1回脳死判定というのがございます。それには20:13に行っておられます。ところ が3ページの27日の脳死判定が11:40という時間差があるのです。どちらかがプリント ミスであると思うのですがいかがでしょうか。 〇小中コーディネーター  先生のご指摘の通りです。ちょっと直ぐに確認したいと思います。先程先生にご指摘 いただきました脳死判定の承諾書と臓器摘出の承諾書のことですが、先生が今おっしゃ ったのは脳死判定の承諾書を先にとって、2回の脳死判定が終わってから臓器の摘出の 承諾書を取るべきであるというお話であると理解させていただきました。  今回の脳死判定というのは、臓器摘出のために関する脳死判定というふうに私どもは 理解してまいりましたので、まず臓器の摘出の承諾書がないと脳死判定の承諾ができな いのではないかという理解の下で承諾書を取らせていだだきました。 〇大塚委員  すると明らかに脳死判定する前から臓器提供をしていただきたいという意図があった わけですね。 〇小中コーディネーター  勿論そうです。 〇山本補佐  臓器を摘出していただきたいというよりも、臓器提供のご意思がある方についての手 続きです。厚生省の方で厚生科学研究その他関係学会のご協力を得てまとめました標準 的手順書というのがございます。これは関係機関にお配りしているものですが、その中 でも、今大塚先生がご指摘の通りに、同時に脳死判定の承諾書と臓器摘出承諾書をいた だくという手順になってございます。 〇黒川委員長  ありがとうございました。その他にはよろしいでしょうか。 〇山谷委員  承諾をいただく家族の範囲は現実にはどのようにご説明なさったのでしょうか。 〇小中コーディネーター  承諾いただく範囲は、勿論同居をなさっておられる親族は当然のことになりますが、 同居なさっておられない親族につきましても、全てのご家族というお話しで説明させへ ていただいております。まずは、2親等ということを重要視はしておりました。ですが そのご説明をした後に、他のご親族の方はいかがでしょうかということでお話はさせて いただきました。 〇山谷委員  以前委員会でも家族の範囲をどこまでという議論があったのですが、現実にはあまり トラブルということはお感じになられませんでしたか。 〇小中コーディネーター  今回のことでということでよろしいのでしょうか。今回のことでは、あまりご家族の 範囲でのトラブルは感じておりません。といいますのは、勿論、インフォームド・コン セントをいただいたときのご説明は数人の方にさせていただいておりますが、ご家族 が、待機という表現は悪いのですが、おられる場所には殆どのご親族、かなり多くのご 親族が来ておられて、私どもはその場にお伺いしてお話をさせていただく機会も多かっ たので、その中での他のご親族の方との関わりもありましたので、直接お一人お一人に こういうことでという説明を全てしたわけではありませんが、あまり感じません でした。 〇黒川委員長  それについてはこの委員会で大分議論していただいて、例えば、2親等云々というの を決めるのは一般的には適切ではないか。家族によって違うという話しがあったと思い ます。大久保委員どうぞ。 〇大久保委員  2点お尋ねしたいと思います。まず承諾手続きに関してです。一番最初、今回の場合 には心停止下ということでお話されたようですが、一番最初から、意思表示カードの提 示がされてますので確認をした段階で、もしも臨床的に脳死になれば、当然提供が考え られる事例であったと思うのですが、これからもこういう形で最初の段階は心停止下で の提供の話しをされるのかということです。どうしてそれをされたのかという2点 です。  もう1点は前回もちょっとお話をしたのですが、今回かなりこのような詳しいチャー トが出てきたのですが、まずレシピエントの選択です。実は私はそこにはいなかったの ですが、3月1日の記者会見の場で、寺岡先生が25日に1回目の心・肝・肺の適合者の 検索をしたときに、その状態に関して、上がってきたレシピエント候補者に対して移植 施設に対して、どういう状況あるのかということを順位等を伏せた形でお尋ねしたとい うご発言があったと伺ったのです。その真意をお聞きしたいということです。  実際にもしもこのままの状態で全く移植施設に連絡はなかったのなら、一体候補に上 がっている人の状態というのは、2回目の脳死判定後にしかわからないので、当然毎日 のように何十人もいるレシピエントの情報、体の状態が、ネットワークに入っていると は思いませんので、その段階で、今回はたまたまお2人とも丁度移植をうけるに適した 状態であったわけですが、そのままになってくると、その状態ではその日に受けられな いということも考えられるので、もう少しその辺のところを考えていただいて、できれ ばある程度、今回されたのかどうかということも確認したいのですが、状態を尋ねると いうことを事前にやらないと少し難しいのではないかと思っております。 〇黒川委員長  最初の質問についてはどうですか。 〇小中コーディネーター  今回どうして心停止下での説明を先に行ったのかというご質問でよかったでしょう か。その件につきましては、その時のご家族のお気持ちと病態によって変わるかと思い ます。今回は、脳死の状態ではない状態で、非常に重篤な状態で、いつ急変が来るかわ からないという状態での意思表示カードが主治医に提示されて、ご家族の意思が私ども の方に連絡が入りました。  その時に脳死からのご提供の話しをすることは不可能だと思います。かといって折角 のご意思もお持ちで、何とかその意思を生かしたいというご家族のお気持ちに沿うに は、もし急変があった場合の心停止後の腎提供についてのご説明をするよりなかったの ではないかと思います。  もし今後はどうかと問われましたら、今後も、このような病態でこのような時期での ご家族の強い意思の思いでのお話があれば、多分同じようなことをするのではないかと 思います。  あと、レシピエントの意思確認の前への状態確認でしたでしょうか。お名前を伏せて 状態を聞いたということについてでしょうか。これにつきましては、私はその場に直接 はおりませんので明快でないことをここでお話をしていいのかどうかよく分からないの ですが、正確な登録状況の確認のために検索をする前に、十分なデータを整備したとい う点であると思います。 〇黒川委員長  これについては朝浦さんありますか。 〇朝浦室長  詳しいその辺の状況については承知しておりませんので、また別途説明の機会を設け させていただきたいと思います。 〇山本補佐  不十分な説明かも知れませんが、私どもが承知しておりますのは、先程小中コーディ ネーターがおっしゃいましたように、ネットワーク内での検索をして、データを出すわ けですが、その際にステータスのデータが不明な点が幾つかございました。特に前回の 会議で寺岡理事の方から肝臓のレシピエントの登録のあり方と、心臓のレシピエントの 登録のやり方が違うというお話があったかと思いますが、心臓の場合にはステータスを リアルタイムで状態が変わったときに、移植施設からネットワークの方に連絡がいくこ とになっているのですが、そこが不明な点があったので、そこはデータとして確認をさ せていただいたということでございます。 〇板倉委員  確認はしたわけですね。 〇山本補佐  してます。私どもが伺っていますのはステータス1の状態かどうか不明な登録者につ いては、その時点でその状態については確認をさせていただいていると伺っており ます。 〇黒川委員長  先程の小中コーディネーターの最初のことは当然で、この方は脳死になるかどうかは 全く予測がつきませんから、心停止の話が出てくるのは当然の話であると思います。で すからコーディネーターの判断にしても、コーディネーターがもし疑問がある場合には 直ぐにドクターの方に、あるいはセンター長の方に直ぐに連絡がありますので、複数の 人で普段は相談することになっていると思います。これはいいと思います。  2番目のことは、この間もそういうコメントがあったわけですが、なるべく早く確認 したいというのは確かにそうですが、寺岡先生が参考人で来て言ったように、ガイドラ インで書かれた通りに、できるだけきちんとやるというのは、最初の数例は当然である と思います。折角作ったわけですから、そのようにしないといけないというコメントが あった通りであると思います。  ただ大久保委員がおっしゃるように、それでは確かに今まで何例も日本でやられてい れば、待機している患者さんの方の期待度が全然違うと思いますが、全くされてないこ とになると実際にそういうことが起こるのかということもありますし、たまたまこの間 の症例のレシピエントは、お2人ともそこの病院におられたから直ぐに済んだが、大変 ではないかというのは当然ですが、それは数が少ないから当然のバリアを飲み込まない といけないわけで、これはやむを得ない、それも予測した上でガイドラインをつくって いるので、その意味ではよろしいのではないかと思います。 〇小中コーディネーター  先程大塚委員のご質問の一つ、私はまだお答えを差し上げてないのです。先生のご指 摘の通りに5ページの2月27日の第1回脳死判定20:13が私どものプリントミスでこれ は11:40が正しいです。ですから3ページの方が正しいいうことで訂正させていただき ます。ありがとうございました。 〇黒川委員長  大久保委員からもう一つありませんでしたか。 〇大久保委員  それでいいのです。要するにどの状態を聞いたのかということを聞きたかったという ことと、もう一つは意見として、これではかなり難しいのではないかという意見です。 〇大島委員  時間をできるだけ早く知らせるというか、現場の方に連絡して準備の時間をできるだ け早くするということの、具体的なデメリットがいま一つよくわからないのです。メリ ットのほうは非常によくわかるのですが、デメリットがよくわからないのですが、どう いう点が非常に大きな問題になるのですか。ガイドラインから外れているというのは問 題である、これはよくわかるのですがね。 〇黒川委員長  大島先生のポイントは、例えばご遺族というかご家族が納得しているのであれば、第 1回の脳死判定の後に、そういうことを対応してもいいのではないかという意味です か。 〇大島委員  実際にやられる移植側のところに、情報を与えて、それをどこまで広げるのかという 話は全然別でして、あらかじめ候補に登りそうなところのそれなりの心構えというか、 外に漏らさない範囲での準備というのは幾つかあると思うのですが、そういうことで直 ぐに対応できる状況にしておくというのは、提供された臓器を無駄にしないという意味 で非常に価値のあることであると思うのです。 〇黒川委員長  例えば先生のおっしゃっているのは、上から3か4番目くらいの人達の主治医の先生 に、そういう可能性があったときのメディカルな状況はいかがなものですかというよう なことですか。 〇大島委員  そうです。実際に、例えば腎臓移植の場合でも、2人だけではなく何人かを候補とし て選ぶわけです。それで何番までか一応の準備をしておいて、実際にご本人にも連絡す るのですが、しかし駄目である場合もあるということは十分にご説明して、そのうちの 一人が選ばれるという形になるわけです。 〇黒川委員長  事務方何かありますか。それの議論はかなりあって、まだ最初の例の時にはパブリッ クがどう受けるのかということを随分懸念されていて、救急のサイドからいうと、そこ で手を抜くのではないかという懸念があったというところが、一番の論点になったので はないかと思います。  つまりレシピエント側の都合よりは、ここをきちんとするというのが非常に大事なポ イントであるという議論があったからだと思います。 〇朝浦室長  事務局から説明させていただきます。こういう取扱いについては厚生省の方からかな りネットワークの方に強い要請をした経緯がございます。一つは、まだ第2回目の脳死 判定が終わってない段階で死に至ってない段階で、それを前提とした準備を移植施設側 として進めることについての問題点が一つあろうかと思います。そういう準備をするこ とによって、脳死判定なり救急治療に影響を与えるということになってはならないだろ うという懸念があって、現時点では第2回目の脳死判定が終わった時点で、最終的なレ シピエントの選定を行って、移植施設の方には連絡をするという取扱いにさせていただ いてます。 〇黒川委員長  そういうのがこの間もちょっと議論があったような気がします。2度目の脳死判定と いうのが、今回ではこのような場合には実際のその方の死亡時間になる、法的な死亡時 間になるのですが、しかし脳死の状況についてはいかがかと聞かれた場合には、勿論、 竹内委員の最初の基準もあるわけですが、そこから急速にダウンヒルになるというわけ ではないので、そういうところから対応してもよい、緊急の因子が十分にないのではな いかという話で、そうなると遺族の方が、そうはいっても実際の亡くなっていく方に別 れを惜しむ、そういう時間もなくてはいけないわけですし、そういう話でこういうよう になっていると思います。  この場合には、後で検証していただければいいと思いますが、実際にそれが法定の死 亡時刻になったときに、遺族がまだ目の前にいるご遺族を見て、死んだとはいってもど こまで納得するのかというのは、我々も非常に不安のあるところです。その方の死を家 族が受容するという時間的な経過もあるわけです。そのことから言えば、今回は、直接 聞いているわけではないのでわかりませんが、そういうふうに決まっているのであれ ば、なるべく早くご遺体を連れて帰りたいという家族もいるだろうし、もうちょっと触 っていたいという人もいるだろうと話を、十分に斟酌しているのではないでしょか。僕 はそのように少し聞いてますから、それは勿論当然の話だと思います。  2回目の脳死判定をしましたから死にました、というわけにはいかないのではないか と思ったのです。その辺が最初から行政の立場もそうですが、一点曇りないというの は、そういう意味もとっておいた方がいいのではないかと思います。  これについて実はこの委員会は全部公開されているのは、それは凄くいいことである と思っているのですが、実際にネットワークにある記録の原本、その他については、ド ナーレシピエントの両方のプライバシーに関わるものが当然ありますので、ここの公開 されている委員会で、さらにこれをディテイルを詰めるのは馴染まないと思ってます。 勿論全部出せれば出したいと思いますが、特に今回は法に基づく脳死の第1号というこ とでの移植をさせていただいたということになりますので、ネットワークの活動を、い かに情報の公開、検討の検証の重要さというのを前々からいっております。これも前々 からこの委員会はそうしているのですが、問題があったときに、ここで全部を議論する というのはテクニカルにも、一部馴染まないところがあります。これについてもこの間 のように、一つまた委員会を作っていただいて、そこでそれは公開でなくても、全部資 料を検討していただいて問題点を整理する。そこでまた報告していただいて検討すると いう恰好にさせていただいたらどうかと思うのですが、いかがでしょうか。これ以上突 っ込んだ議論はしにくいのではないかと思いますし、適切ではないのではないかと思っ ておりますがいかがでしょうか。  もう少し時間をかけてやって、実際の記録カルテも検証しないといけないし、ここに 書いてあることと合わせるということが当然必要ですから、それをやっていただきたい と思っていますが、いかがでしょうか。作業班の人選については、事務局と私で相談さ せていただいて、救急の場合と搬送、移植、コーディネーターいろいろな側面がありま すので、是非それについて作業班の設置をお認めいただければと思います。よろしいで しょうか。ありがとうございます。ではそういう恰好で検証を更に進めたいと思いま す。  議題の2に移りたいと思います。臓器移植を支えるシステムの整備についてです。こ の課題を整理させていただきまして、これについての対応ということについて考えたい と思います。これにつきましては、前回の本委員会でも問題提起されております。これ も事務局の方でもいろいろな指摘が先生方からもございますし、他の委員会のメンバー でない方からもいろいろありますので、現在の課題、今後の対応についての現時点での 資料をまとめていただきましたので、事務局から説明していただきたいと思います。よ ろしくお願いします。 〇朝浦室長  臓器移植を支えるシステムに関する課題です。前回、項目を大括りで項目に分けてご 説明をしております。その課題を踏まえて、今後どういう対応をするのかということを 含めてご説明をさせていただきまして、課題と対応案全体についてご意見をいただけれ ばと思っております。  まず資料の2でご説明をさせていただきます。1.提供施設における体制の整備、に ついてでございます。(1)から(3)までございます。(1)です。今回のケースにおきまし て、法的な脳死判定の検査の手順が一部間違った、厚生省令に基づく規定とは違った手 順で行われたという事実がございます。それにつきましては、今後厚生省において再度 趣旨を徹底するために通知を出したり、あるいは事務的な連絡をおこない、関係機関に 対して周知徹底を図りたいと考えております。  臨床的な脳死診断における無呼吸テストについて、ガイドライン上なかなかわかりず らい表現になっておりますが、臨床的脳死診断における無呼吸テストの取扱いについて は、厚生省としては実施の有無については、医師の判断によるものと考えておりました が、それが十分にガイドライン上は伝わってない面もございますので、その辺のところ を関係学会とも十分に協議しながら、今後さらに周知徹底を図っていきたいと考えてい ます。  (2)です。今回の第一例目の経験を踏まえて、高知日赤以外の提供施設への今後の取り 組みの参考にするという意味を含めまして、今回のケースにつきまして、高知赤十字病 院、ネットワーク、その他の救急医療機関の関係者による第一例の症例分析及び留意点 のとりまとめを、本年度の厚生科学研究によって行いたいと思っております。ここは12 年度と書かれておりますが、11年度の間違いです。今年度行いたいと考えております。  今回のケースを踏まえまして具体的な対応につきまして、都道府県の担当部局や提供 施設に対してブロック会議を開催するなど、その情報の共有化、あるいは経験の共有化 を図っていきたいと考えております。  (3)です。提供施設における脳死判定等の実施における支援体制の整備です。これにつ きましては、提供施設は脳死判定を行うことのできる施設でないとガイドライン上は認 められないことになっておりますので、当然脳死判定を行う能力を有しているわけでご ざいますが、その脳死判定を行う際に、更に補完的なものが必要な場合につきまして は、他の専門家の助言を受けることができるような仕組みをとることが必要ではない か。これはいろいろなところからご指摘をされておりまして、これについては今後外部 の専門家による助言を得ることができるような体制が必要かどうかを含めて、今後検討 させていただければと思っております。  2.日本臓器移植ネットワーク等における体制の整備の問題でございます。これは5 点ございます。  (1)は、今回の臓器移植に係る情報が早い段階から外部に漏れ、マスメディアを介して 報道されたわけです。これにつきましては対応案としては、個人情報を含めて臓器移植 に係る情報の管理の問題について、十分に検討していく必要があるだろうと考えており ますし、ネットワークの中での情報伝達に関するマニュアルについても、十分にネット ワークの中で検討していただきたいと思っています。  (2)です。今回は6名のコーディネーターの方が、現場においてそれぞれの役割を果し ていただいておるわけですが、都道府県コーディネーターと臓器移植ネットワークの コーディネーターが、協力して業務を行っていただいたわけであります。今回の事例に おいては当初、提供病院から腎バンクに連絡があった時点で、腎バンクに所属する都道 府県コーディネーターが、業務を開始しておりまして、この取扱いについては、必ずし も全国的に統一されたものではないと私どもとしては認識しております。  そういう意味で、今後、臓器の斡旋に携わるコーディネーターについて、指揮命令系 統の明確化等を図る必要があると考えております。例えば都道府県コーディネーターを 含めて、コーディネーターをネットワークの所属に一元化するということも検討の視野 の中に入ってくるのではないかと思っております。  いずれにしてもこのコーディネーターのあり方の問題については、以前からこの専門 委員会において検討課題の一つとして検討を行っていただいておりますので、なるべく 早く方針を取りまとめたい、事務局としても出来るだけ早い段階で方針を提示してご議 論いただきたいと思っております。  (3)です。今回の多臓器の移植の事例を踏まえて、今後機動的に円滑な斡旋業務ができ るように、ここに移植施設と書いてありますが提供施設のミスプリントです、提供施 設・ネットワーク本部におけるコーディネーターの人員の配置について、十分に検討し ていく必要があるだろうと思っております。  (4)は、コーディネーション業務の質の向上及び対応マニュアルの改善、ということで ございます。これも今回の事例を踏まえて、ネットワークの内部でもコーディネーショ ン活動での反省点が、様々な観点からの課題が浮かび上がってきているようですので、 そのコーディネーション業務の質の向上を図っていくための検討を行っていきたいと考 えております。  (5)は、ネットワークの事務体制の問題であります。ネットワークの常勤職員に医師を はじめとした医療の専門家がいないということは、非常に手薄であるということで、緊 急時の対応につきまして、必ずしも十分な万全の体制が取れているとはいえないのでは ないかという問題点が指摘されております。これにつきましては、ご指摘を踏まえて今 後ネットワークの職員の充実を図る方向で検討したいと考えております。  3.移植施設における体制整備についての課題でございます。(1)と(2)がございま す。  (1)でございますが、今回は先程事務局からご紹介しましたが標準的なマニュアルとい うのが厚生科学研究で作られておりまして、それに従って行うことが予定されていたわ けですが、必ずしもその通りにはいかなくて、例えば摘出チームの構成ですとか、摘出 チームが用意する機材が、必ずしもマニュアル通りにはいってなかったという問題がご ざいます。今回の事例を踏まえて、今後改めて臓器の提供施設それからネットワーク、 移植施設、厚生省の間で、もう一度この手順書についての見直しを行って、円滑な臓器 摘出、臓器提供ができるような体制をとっていく必要があるだろうと思っております。  (2)です。今回は肝臓の移植におきまして肝臓の摘出が、学会レベルで全国的な支援体 制が図られて、移植が行われたわけです。そういう形での全国的な支援体制を今後とも 継続して万全な形での移植が進められるように、これも継続的な取り組みについて検討 したいと考えております。  4.厚生省、その他における体制整備でございます。  (1)厚生省がこれまで通知をしましたいろいろな関係通知とかガイドラインを改めて 読んでみますと、実際に現場において読まれたときに十分に意を尽くしてなかったり、 あるいは誤解を与えている文書とか、あるいはミスプリントで間違っているところと か、幾つかが散見されまして、この機会にそういう誤解が生じるようなものについては 改善をしていきたいと考えております。  (2)各臓器のレシピエントの選択基準の運用細則につきましても、今回の経験を踏まえ て、各臓器別にこの専門委員会の元にグループを作って、検討を確認して、必要な場合 には更に改定案を作成して、改めて決定をしなおすというふうなことも必要になってく るのではないかと思っています。以上でございます。 〇黒川委員長  ありがとうございました。前々からいっておりますように、バーチャル移植が本当の 移植になったときに、いろいろな問題がそれなりに分かってくるということで、それを 検討して、更に次に備えてよりよい体制をくみ上げていきたいということでございま す。何かご質問はございませんか。 〇大塚委員  ここも2点ほど伺いたいのです。最初の無呼吸テストのことでございます。厚生省は 実施については医師の判断によるものとしていたが、再度、関係学会とも協力し、周知 徹底を図る、と書いてございます。これは飽くまでも医師の判断によるというものを徹 底するということですか。 〇朝浦室長  法的な脳死診断につきましては、竹内基準ということで、無呼吸テストを行うという ことになっておりますが、臨床的な脳死診断において無呼吸テストを行うかどうかにつ いては、まさに医療の現場で専門家のご判断にお任せするということでございますの で、先生がおっしゃるように基本的には医師の判断ということです。 〇大塚委員  医師の裁量権の中でということを決定するという意味ですね。もう一つです。最後の ところです。2度目の判定でございます。6時間を経過した時点で行うとされている が、と書いてございますが、確かガイドラインは6時間以上を経過した時点と書いてな かったでしょうか。 〇朝浦室長  実はガイドライン上は6時間というふうになっておりまして、規則において6時間以 上です。厚生省の規則には6時間以上と書いてあるのです。 〇大塚委員  確かこの専門部会かあるいは別の委員会であったのか、私は忘れてしまったのです が、これはかなり議論になったのですね。私ども救急医療の代表者から6時間と言われ てもそういうものはできるわけはない。あるいは7時間になるかも知れないし、10時間 になるかもしれないということをかなり強く言われて、確か6時間以上経過したという 言葉でなかったかと記憶しているのです。 〇朝浦室長  事実関係を申し上げます。厚生省の臓器移植の施行規則においては6時間以上となっ ておりますが、ガイドラインを議論していく中で、いろいろなご議論があって、第1回 目の検査終了時から6時間を経過した時点で行うということに、一応はガイドライン上 はなっております。今回も実は脳死判定の第1回目の脳死判定から第2回目の脳死判定 に至るまで6時間以上かかっておりまして、そこについてはガイドライン上そういうふ うに取決めをしたご趣旨というのが、6時間以上ということになると、自由に死亡時間 が左右されるのはよくない。法的な安定性に欠けるのではないかというようなことで、 6時間ということになっておったと承知しております。  今回のケースについてはそういう問題点がないし、事情がいろいろな環境の中で、ご 家族のお気持ちが不安定になっているということもあって、今回はやむを得ないであろ うという判断を私どもはいたしたわけであります。 〇黒川委員長  これは町野先生も加わってこの委員会で多分決めたのです。省令の問題とガイドライ ンのことはね。 〇町野委員  ガイドラインの方は私は実はあまり記憶しておりません。他の人から指摘を受けまし て、6時間ときちんと書いてあるというので、ちょっとびっくりしたことがあるので す。省令を作ったときには、竹内基準に合わせるということで、以上という言葉を入れ たということです。  ただ今問題で話を伺っておりますと、判定時期が法的な死亡の時期であるという前提 で議論をされているようですが、これはそういうことはないと私は思います。つまり死 亡診断書に書く時期はいつだということですから、脳死の時期は人の時期であるという ことですと、判断した時期が死んだ時ということではありませんから、これは別の話な んです。これはやると長くなりますが、その点の混乱が私にはあるように思います。  もし判断した時期が死んだ時期だということになりますと、判断しなかったら死んだ 時期は一切こないということですから、そういう馬鹿なことはないわけです。概念、つ まり脳機能の不可逆停止がいつ到達したのかという問題と、それが到達したと判断しさ れた時期は飽くまでも違うわけですから、それが最初からこんがらがって、先程のよう に6時間たったところでやらないとどうのこうのという議論になったのです。だからい くら延びても、死亡診断書にはその時期で書けということですから、法的安定性の問題 とは全然無関係ですし、もし仮に死亡した6時間たった時期で、判断が終わった時期に 書くということをここで決めたということですと、民法とか刑法とかおよそ基本的な法 律のことについてここで議論したということですから、それはあり得ないことであると 私は思います。 〇朝浦室長  事務局からです。ガイドライン上は死亡時刻に関する事項というのが1項ございま す。そこの文言を読みますと、法の規定に基づき脳死判定を行った場合の脳死した者の 死亡時刻については、脳死判定の観察時間経過後の不可逆性の確認時(第2回目の検査 終了時)とすること。とガイドライン上はなっております。第2回目の検査終了時が死 亡時刻であるという記載が実はされております。  そこをどう解釈するのか、先生のご指摘も踏まえて、今後また整理をする必要があれ ば整理をしないといけないと思っております。 〇板倉委員  施行規則のほうに6時間以上と書いてあるということであれば、私の見解に過ぎませ んが、ガイドラインの方もそれに合わせるべきだと思うわけです。いつ死んだのかとい うのはいろいろな議論の仕方があると思いますが、一般的に臓器移植との関係では第二 回目の脳死判定の終了時になっているのではないかと思うのです。それが大体前提とし て議論がされているし、そういうことで施行規則の方もそういう頭で作られているので はないかと思うわけです。するとある程度はいつ死んだのかわからない、極端な場合 に、脳死判定を何日も何日もずーと2回目をしないということになると困りますから、 ある程度は裁量によって、とんでもない時間ではなく、ずーと時間が経過してからやっ ていいということにはならないと思います。私としては施行規則に合わせたふうに見直 すべきだと考えております。 〇黒川委員長  これは実際にはこの委員会でも問題になって、例えばその省令は“以上”になってい るからそれがリアリステックには一番ドクターの方もそうだと思うし、飽くまでもそう なると思うのですが、もう一つ問題が出たのは、故意にいろいろなことで遺産の問題と かいろいろなことが起きたときに、ドクターがアービトラリィーにはじめるということ のプレッシャーを感じるのは堪らないという話があったと思うのです。だけど、省令と ガイドラインの文言は全然違うというのは凄く不味いのではないかということもね。だ がそれは十分に議論したと思うのです。 もう一つは、町野委員がおっしゃったように、民法その他については、どこでするの かどうかはわからないが法制局かなんかでするのではないかという気はするのですが、 その辺の整備を詰めていただいて、また次に報告していただいたらどうかと思います。 ここで法律の論議をしてもわからん人が多いからですね。  実際の現場の人としては、そういう問題の責任を持たされるのは堪らないというの は、非常にあったということもご理解いただきたいと思います。 〇竹内委員  結局、2度目の検査が6時間後ということは、不可逆性の確認のための時間なわけで すから、担当医が不可逆性に関して少しでも疑念があれば、時間を延ばすべきであると いうことを我々も書いてあるわけです。したがってストップウオッチで計って6時間た ったからいいというものでは決してないので、6時間以上ということでの裁量を認めて いただかないと、この不可逆性の確認ということが非常にあやふやになってくると思い ます。 〇黒川委員長  そうですね。それはそうだと思いますので、文言の問題の整合性と他の法律との問 題、それから別の問題です。いつやるのかという話とかいろいろな問題がありうるとい う議論はしたのです。ですからそれは他にある法律、文言についての整理はしていただ くということにいたしましょう。 〇井形委員  この中に搬送手段の確保というのが書いてございます。このような事態が起こると、 一番ベストな搬送方法を考えたときの経費です。ネットワークにも予算を組んでおりま せんし、これを研究費で持つのか、あるいは何らかの形で国が少ししてくれるのか、そ のあたりの将来の見通しも教えていただければありがたいです。ユーノスとかは誰が負 担しているのか、それを僕は知らないのですが、わかれば教えていただきたいと思いま す。 〇朝浦室長  ユーノスについては私どもはまだ承知していないのです。わが国における搬送費用に ついての保障についての考え形を申し上げます。臓器ごとに異なっております。腎臓移 植につきましては、現在、死体からの腎臓移植につきましては保険適用になっておりま すし、搬送費用につきましても、かかった費用は償還払いの対象になっております。  それ以外の心臓・肝臓・肺・小腸につきましては、肝臓は死体からの肝臓移植が高度 先進医療の対象になっておりますが、搬送費については償還払いの対象になっておりま せん。心臓・肺・小腸・膵臓につきましては、そもそも移植そのものが保険の対象にな っておりませんので、当然のことながら搬送費用も対象になってないということになり ます。  角膜につきましては特定治療材料費として1眼9万円の費用が保険から出るわけです が、考え方としてはその中に搬送費用も含まれるとい考え方になっているおるようでご ざいます。  いずれにしても保険適用の問題については、今後今回のケースを踏まえて、必要があ れば検討されると聞いております。 〇黒川委員長  ありがとうございました。実際に起こってみるといろいろな解決されないといけない 問題が沢山あるわけだということです。こういうのをここで議論するか、行政だけで決 めるのかというのはなかなか難しい問題ではないかと思います。 〇大島委員  最近の状況はわかりませんが、ユーノスに関しましては、前にアメリカから腎臓が送 られてきたときに、請求書には飛行機代が運送費として実費請求がされていました。そ れは施設に対する請求ではなく受益者負担であったと思います。 〇黒川委員長  そうです。ただあれは定期便で来ますからそうお金はかかりませんね。チャーターで 運んだら大変ですからね。 〇矢崎委員  今の3の(1)と(2)で、室長から全国レベルでというお話をいただきました。肝臓の場 合には阻血時間の問題がありますが、心臓移植の場合には手術が終わるまでが4時間で すので2時間以内に集まらないと、とても駄目だということで、今回は阪大と国循の先 生方に手術を実際にやっていただきまして、他の施設から駆けつけるというか、例えば 東で小柳先生ではとても無理ですのでそういうことになったのです。  一方では移植施設で移植医が全国レベルから集まるのも一つのポイントですが、心臓 の場合は循環器病学会で心臓移植の適応を決めてますので、そこの関係の先生方が実際 に駆けつけて移植医でない主治医の視点から診るということで、実際にこの心臓移植に 関しましては、循環器学会の理事と、心臓適応検討会の先生が実際にレシピエントの方 が麻酔がかかる前にお会いして、事情説明、学会としてお会いして、後のことも後の検 証に備えて、その場にいるということで対応させていただきました。そういうことで心 臓の場合には肝臓と違う部分があるので、学会としては、今回はその意味で循環器学会 の方から、手術前から後まで全部フォローしていただきました。今後も継続ということ で、事前には全国レベルで支援体制をやっておりますが、実際に起こった場合には2時 間以内の勝負ですから、できるだけそういう学会の責任者がそこで立ち会うという形に 今後もしていきたいと思っています。よろしくお願いします。 〇黒川委員長  こういうのは関連学会のエキスパートが、いろいろな恰好で自発的に組んでいただけ るのが一番いいなと思います。ぜひお願いしたいと思います。  その他に1の(3)です。今度の高知のこともそうですが、提供施設における脳死判定の 実施における支援体制の整備、これは結構悩ましいのではないか、この間の実際の場で は、脳死の判定をしたときに、かなり脳死のゲインを上げてフラットであることを確認 するという話になりますが、ゲインを上げればあげるほどノイズが出てくるわけですか ら、その辺はその中だけで判定するというと、この方は非常に悩ましい立場になるので はないかと思います。  これも関係学会の協力によるということがありますが、例えばネットワークではなく てもいいのですが、関係学会の協力で、例えば私が診てもよろしいですよとか、外部の 方がいると、今度の信州大学の藤堂先生とか田中先生などと同じような立場であると思 うが、例えば今からファックスで送るからいかがでしょうかという話でもいいし、近け れば来ていただいてもいいしという話も多分可能性のある話ではないかと思ってます。 その辺を整備してみたらどうかというのはいかがでしょうか。  確かに第三者である外部の人が手伝う、コンフィデンシャリティは勿論大事ですの で、電話した後でファックスを置くってディスカッションをする、あるいは実際に近け れば来ていただくのが一番いいのですが、そういうものを整備した方がいいのではない かという趣旨です。 〇井形委員  もしかこれをするのでしたら、得ることができるようなどいう表現は不味いと思いま す。やってもいいがやらなくてもいい、お気が向けばどうぞということになりますか ら、原則としてするシステムをバックアップしておくこととか、あるいはご自由にとい うか、もうちょっとはっきりした方がいいと思います。 〇黒川委員長  だからこの対応案を検討してくださいということで、いかがでしょうか。その中だけ では、実際に判定に関わった先生は大変であったのではないかという気がするのです。 〇大塚委員  いいシステムを作ればいいと思いますが、この問題も実は前に随分検討されました。 ところが、例えば私なら私が脳死判定委員になりまして登録をしておいて、どこかの病 院で脳死患者が出た度に呼び出されて行くというのは、とんでもないことであるという ご意見がございまして、なくなってしまったのです。多くの方々はそういうことはでき るわけはないではないですか、夜夜中かもしれない、いつ何時来るかも知れない、そう いうことには対応できませんというご意見で、やめましょうということになってしまっ たのです。それをもう少し上手く作るにはどうしたらいいのかという問題が実はあるの です。よく検討していただきたいと思います。 〇黒川委員長  これも関係学会というか、そういうことをやってもよろしいという方がおられるな ら、ぜひアドバイスをいただければというスタンスではないかと思います。文言につい ては、今井形先生がおっしゃった文言をどう整備するのかということも必要だと思い ます。 〇小柳委員  井形先生から搬送の話を出していただいて大変に有り難かったのです。これも過去に 何度もシュミレーションをした話ですが、今回も非常に上手くいったと思うのです。摘 出とか搬送の周辺の準備のために、ネットワークからの接触をどのくらい早めにはじめ ていただけるのか、あるいはネットワークのコーディネーションがどのくらい早く、法 的・倫理的に始められるものかというところを、是非詰めていただきたいと思います。  今の小中さんの説明の文書は、ネットワークの流れと脳死判定の流れと摘出の流れ と、それぞれを全て含んでお話になったのですが、実は明確に峻別されるべきラインな んですね。しかし相互に複雑に関係はしております。ぎりぎりのところどの程度早期に そういうことを始めていただけるのか、周辺の環境にかかっていると思います。 〇黒川委員長  それもさっと同じで、どこまで早めるのかというのはどうしても2回目の脳死で確定 した後ではじめるというのは、一応そうですから、その時に急に患者さんの状態が悪く なって、どんどんダウンヒルになってきたという場合には、やむを得ないということに なってしまうのではないかと思います。そこは予測はできないわけだからね。 〇小柳委員  実際に25日にステータスの確認を始められたときに、ステータスが変わった患者さん もいるというふうに伺ってます。 〇黒川委員長  そうです。ですからそういうことはどうしても、他のファクターが入らざるを得ない と思います。これもいろいろな問題点を整理していただきましたので、こちらの方向と いうことで、今日の内容をもう一回検討して整理した上で、対応について実行に移せる ものは実行に移していったらどうかということで、その案もまた出していただく、検討 した上で良い方向に体制を整備しようということですから、大変によろしいのではない かと思います。よろしいでしょうか。 〇大塚委員  今回のケースを通しまして一回も話題に上がってこない倫理委員会というのがあるの ですが、その辺は機能されたのでしょうか。病院の中ですね。 〇朝浦室長  その辺についてはまだ事実確認はしておりませんので、次回、情報を収集しましてご 報告させていただきたいと思います。 〇大塚委員  確かガイドラインの中にも倫理委員会と脳死判定委員会という言葉が出てきますよね 今回は倫理委員会の方は一言も出てこないし、どなたも話題に上げてこられないが、飛 ばしてもいいものであるなら、飛ばしても構わないと思うのですが、いかがなものでし ょうかね。 〇朝浦室長  ガイドライン上は提供施設になるための条件として、倫理委員会等の病院の中で脳死 判定あるいは臓器提供を行う前提として、それを開いていただいて、病院としての意思 決定をしていただくというのが要件になっております。当然今回の提供施設において も、そのような議論が行われていると思っております。再度確認はさせていただき ます。 〇黒川委員長  それも先程申し上げましたように、ここの全体の検証していただく委員会のところで 細かくそれは検証できると思います。それも含めて検討していただきたいと思います。 よろしいでしょうか。  では議題の3に移ろうと思います、移植医療における情報開示のあり方についてとい うことです。これにつきましても、前回の委員会で大分議論されましたが、事務局の方 でいろいろな法律的な問題その他で論点整理をしていただいておりますので、その資料 3に従って事務局から説明していただきます。よろしくお願いします。 〇朝浦室長  資料の3に基づきましてご説明させていただきたいと思います。前回情報開示の問題 についてご議論いただいたわけですが、そこで出たご議論を踏まえまして、この問題を 考えるにあたって、基本的に我々が今後考えなければいけないと思われる幾つかの軸を 再確認をしていただいて、これから提示する軸以外に、こういうことも考えないといけ ないという論点も踏まえてご議論いただきたいと思っております。  Iの1.です。第三者による監視・検証システムの必要性が指摘されております。移植 医療につきましては、その特殊性にかんがみまして、臓器提供者に対して十分な救命治 療が行われたこと、適正な法に基づいた手続きに基づいて脳死判定、臓器摘出が行われ たこと、移植患者が公平に選ばれたこと等について客観的な判断を制度的に保証する必 要がある。その一つの手法として、臓器提供施設、臓器斡旋機関、移植実施施設などの 自主的な監視・検証だけでなく、第三者の関与を可能ならしめるために情報を開示する 必要性が検討されなければならない。こういうことが指摘をされております。  2.です。移植医療に関する国民への啓発普及の一貫としての情報開示の必要性が言 われております。移植医療におきましては、医師と移植希望患者以外にも、臓器提供者 及びその家族として一般の国民が深く関与する可能性があるために、より「社会的・公 共的」な医療として、その実際例を一般国民にも広く情報を提供する必要がある。とい うことが指摘をされていると思います。  3.です。臓器提供における任意性の確保です。これは臓器移植法の第2条第2項に 理念規定として書かれているものでございます。臓器提供に関する家族の承諾につきま しては、一切の外部的影響を加えられることなく、静かな環境の中で、臓器提供希望者 が死に至った事実を受容し、臓器提供の意思に対する承諾について考え、判断すること を可能ならしめるような手続きを保障する必要がある、という考え方でございます。  4.です。個人の医療情報に係る保護につきましては、いろいろな法律によって守ら れているわけです。まず第一に刑法の規定で、医師は正当な理由がないのに、その業務 上取り扱ったことについて知りえた人の秘密を漏らしたときは、6か月以下の懲役、ま たは10万円以下の罰金に処するという規定がございます。  それから、国家公務員法におきましても、公務員の守秘義務が記載されております。  臓器移植法におきましては、臓器の斡旋機関に勤めている役職員に関しまして、業と して行う臓器の斡旋に関して職務上知りえた人の秘密を漏らしてはならない、という規 定がございます。  移植学会の合同委員会におきましても、ドナーとレシピエントのプライバシーの保護 に配慮するという規定がございますし、臓器移植のガイドラインの中にも移植医療関係 者が個人情報そのものの保護に努めることは当然のことである、という規定がございま す。  5.です。ドナーとレシピエントの遮断の原則が言われております。移植医療の性格 にかんがみて、臓器提供者に関する情報と移植患者に関する情報が相互に伝わることが ないように、細心の注意を払う必要がある、ということでこれも本専門委員会で検討さ れたガイドラインの中に、書いてございます。  6.礼意の保持の規定でございます。これも臓器移植法の第8条に規定をされており ます。死体から臓器を摘出するに当たっては、臓器を通常の物のように扱うなど、遺族 の感情を害するような態度は取らず、敬って大切に扱う必要があるという規定がござい ます。これは臓器移植の手続き一般にも通じるものではないかと考えております。  このような1〜6まで上げましたような移植医療に関する情報開示、あるいはプライ バシーの保護等の考え方が立てられている、あるいは指摘されているというふうに考え ておりまして、このバランスの中で、この原理原則を踏まえた上で、情報開示をどのよ うに行っていくのかということを検討しないといけないのではないかと思っており ます。  IIです。手続きの実際に則した議論につきましては、また次回具体的に行っていただ く必要があると思います。  1.の情報開示の手法等につきまして、どのような情報を開示するのか、個人を特定 しかねないような情報がどこまで開示できるのかというような議論、本人あるいは家族 のご承諾を得ないで情報開示を行うことができるのかという議論、誰が開示をするのが 適当なのか、臓器提供施設、移植実施施設が開示するのか、あるいは厚生省が開示する のか、あるいは他のどこか適当な機関にお願いした方がいいのかというような、開示す る主体をどうするのかという問題です。  開示する対象先として一般に開示するのか、あるいは限られた第三者に開示するの か、あるいは開示される者には守秘義務を課するのかと言う問題です。この点について はどのような監視・検証を行うのか、ピアレビューを取り入れるのか等との事項と関係 するのではないかと考えております。  どのタイムで開示をするのか、リアルタイムで臓器の摘出・提供を実施施設における 状況を開示するのか、あるいは一定期間後に開示するのかという問題、このような情報 開示の手法について、具体的な検討が必要になってくるだろうと思っております。  2.です。実際に報道との関係につきまして、今回ご指摘が第1回目の検証作業のと きにご指摘がされております。一番目の報道内容の決定については、メディアの自主的 な判断として、自主規制の方が望ましいのではないかというご議論が出ております。あ るいは誘拐報道における報道協定のように、メディアに対しては情報を開示はするが、 メディアの方として一定期間情報を自粛するような協定が可能かどうか、できないのだ ろうかというようなご指摘もされております。以上でございます。 〇黒川委員長  ありがとうございました。今日は4時まで予定しておりますが、特にIの臓器移植事例 についてまず議論してみたいと思います。先生方のご意見をどうぞ。 〇大久保委員  第三者機関の監視・検証システムをご考慮いただいて非常に有り難いです。以前から 私たちはずーと言いつづけていることです。これは非常に良いことだと思います。それ 以外に、もう少しあるのかなと思うのは、今回も出てきましたが、提供施設に関しての 情報の開示と、提供施設が移植を行うときに、どのような対応をとっていくのか、どの ような対応をしていただくのかということに関しても、ぜひご議論をいただきたいと思 います。 〇黒川委員長  それは今度作っていただく委員会の実際の検証とかということですか。 〇大久保委員  それだけではなく、この場で、今こういう問題が幾つかあがってきているわけです が、その中で欠けていると思うのは、提供施設をどうするのか、提供施設の情報開示を どうするのかということと、提供施設の対応をどうするのかということを、ここである 程度議論をしてはどうかと思ったのです。 〇黒川委員長  確かにここのIに書いてある項目、 1〜6までありますが、これは非常に大事なポイ ントだと思います。その辺を情報開示及び報道に関していろいろ議論しているわけ です。 〇朝浦室長  一つ説明を抜かしておりました。補足させていただきます。参考資料の1でございま す。今回の事例の過程の中で、プライバシー保護を巡っての動きと対応というペーパー をまとめております。今回の一連の過程の中で、厚生省としても、報道機関に対しまし て、プライバシーの保護についての要請を再三お願いしておる経過がございます。  2月26日に別紙の1でございますが、保険医療局長名で報道機関に対してプライバ シーの保護についての要請を行っております。  翌日の12時に、厚生省及び病院から脳死判定時の非公表の取扱い等の協力要請を行っ ております。その別紙の2ですが、患者の脳死判定実施の承諾に際しまして、家族から 出された要望がございます。脳死判定時の非公表の取扱いと、臓器摘出後の遺体の平穏 な帰宅等についての強い要望がございました。  報道機関が、患者家族のプライバシーの報道のあり方を反省することという要請もご ざいました。  それを受けまして厚生省としましては、脳死判定の時点等については、その時点では 一切公表しない、ご遺体が報道機関の撮影取材を受けることなく、平穏にご帰宅できる ことについて、報道機関に対してその理解の要請をしております。これにつきまして は、厚生記者会の方から、情報開示の原則からは納得できないので、公表をすべきであ るという申し出が行われております。  2月28日、臓器摘出に際して、ご家族の所感が公表されております。これが別紙の3 にございます。それを受けまして、同じ時間帯に厚生省大臣の所感という形で、別紙4 の所感を出しております。以上でございます。 〇黒川委員長  ありがとうございました。一番最初に厚生記者会からは、情報公開の原則から納得で きないので、公表すべきとの申し出があった、というのですが、これは何か文書がある のですか。 〇朝浦室長  配付はしておりませんが、文書においてはいただいております。 〇黒川委員長  それはなぜここには出してないのですか。 〇朝浦室長  事務的な不手際で用意しておりません。 〇黒川委員長  では次回にでもお願いします。これも公開の原則で公開してもらった方がいいかも知 れませんね。  いかがでしょうか。このようなやり取りがあったということでございます。こうなる と、Iのところにはいろいろとご意見があるのかな。IIの手続きの実際は、難しい問題が 沢山含まれていると思います。これは今日はしかし、浅野先生がおられないから、また これは浅野先生がおられるところでも引き続き議論していきたいと思います。これはこ の間例えば報道内容の決定については、メディアの自主的判断が望ましいかどうかとい うのかあったのですが、何か動きがあるのかなというのは知りたい気もします。誘拐事 件に関わることというのも、大げさといえば大げさですが、そうせざるを得ないのでし ょうか。よくわからないな。 〇大島委員  医療者側からいきますと、社会的にどのような価値があったにしろ、直接自分たちが 関与した患者さんの不利益とかというようなものになるような行動というのは一切とら ないと思うのです。最終的には直接自分たちが関与した患者さんの利益あるいはプライ バシーと公共性がぶつかったときには、その患者さんのプライバシーを守ることに優先 度を高くして、いかにそれが社会性、公共性が高くても、患者さんの側についた立場に で考えるというのが医療者側の立場であると思うのです。  今度の問題をどう考えるのかといのは、私は素人で法的な問題はよく分かりません が、移植医療の問題で、移植医療の医療者側としては随分長い間情報開示の問題につい ては痛い目にもあってきておりますので、よくわかるのです。少なくとも医療内容を情 報開示するというのは、医療内容をきちんとチェックしよう、特にリアルタイムでそれ をやろうとする意味というのは、情報を社会に提供することによって、今後の移植医療 のあり方というものを十分に検討する材料にすることがあると思います。  もう一つは国民の知りたいことと、知らさなければいけないことの区別を、どこでと のようにその区別がつくのかよく分からないのですが、その辺にメディアのものの考え 方であるとか、あるいはメディアが基本的に置かれている、状況によって、同じメディ アの申し出も随分考え方にずれがあるのではないかという感じがするのです。  少なくとも情報の問題に関しては、臓器を提供したいという側の人から考えたとき に、自分の臓器を提供することによって、それが臓器不全で苦しむ人を救うことに役立 ちたいというのが一番の基本であり、これはあくまで医学的要件をきちんと上手くやっ てもらいたい、それと同時に、提供者の御家族の方に不利益を与えるようなことは避け てもらいたいということが、臓器を提供される方の気持ちだと思うのです。  その立場にたってメディアの方も、提供者及び提供者の側に不利益を与えるような報 道のあり方はさけるという方向で考えていただきたいと思うし、考えるべきだろうと思 うのです。  今度の問題を考えるときに、移植医療という特殊性と、30年間の蓄積という特殊性 と、第一例目であるという特殊性の3つの特殊性があるかと思うのです。私は30年間の 蓄積という特殊性と、第一例目であるという特殊性が非常に大きく今度の場合には出た のではないかと個人的に思っております。今度起こったことを、あまり過大に考えすぎ て、今度のことを尺度にして普遍化していくというやり方は不味いのではないかと思っ ています。  メディアの動きが、直接肌にふれて感ずることはまだないのですが、新聞などの論調 などを見てますと、学習効果というか、今度のあり方についての反省的な論調などもあ りますので、今度のことをベースにして普遍化するというのは、良くないのではないか と思っております。 〇黒川委員長  それぞれごもっともな点であると思います。その他にご意見はございませんか。 〇山谷委員  前回も申したのですが、プライバシーの保護と情報開示というのは、別の問題だと思 っております。脳死判定がなされて移植体制に入ったという発表は、リアルタイムでし ていただきたいと思います。家族の気持ちというものを大事に考えなければいけないの で、その点に関してはいろいろな情報の質というものがあると思いますので、第三者に 開示した方がいいのか、一般に開示できるのかとか、情報の質によって整理をしなおし てみたらどうかと思います。リアルタイムで開示しなければならない情報もあるし、家 族の気持ちによって一定期間後に開示した方がいいという情報の質もあると思います。  いずれにしましても、一定期間後であっても、開示すべき情報はきちんと開示するこ とはきちんとやっていただきたい。  自主規制の動きというのは各社で本当に学習効果で反省しておりますので、誘拐事件 の報道協定と同じにはならないと思いますが、かなりの学習成果があって、それは何か の場所で懇談会のような形で厚生省がおやりになられたらいかがかと思います。 〇黒川委員長  厚生省がやるというよりは、マスメディアが自分たちで何とか協会があるのではない でしょうかね。 〇山谷委員  そうですね。しかし、ルールを決定するのはメディア側ですが、そのためにも厚生省 との間で共通理解を深めていく何か場があってもいいのではと思いますが。 〇黒川委員長  そうしないと、報道協定のようなものをわざわざ作るというのは変な話だし、これは 主体性をもってやっていただきたいというのが私の気持ちです。  もう一つです。礼意の保持というのは臓器移植法に書いてあります。これをどう扱う かです。例えば移植の臓器のトランスポート、いろいろなことが今度はリアルタイムで テレビの映像などが流れたのですが、あれもいいのかなと、僕は遺族の立場からいう と、何か複雑な気持ちがあるのではないかという気がしたのです。その辺もこっちが言 うよりは、メディアの方がどう思うのかという気がちょっとしていたのです。 〇矢崎委員  移植が行われるに至った30年間の間で、最初は移植医の先生が中心になってやってお られて、実際にこのようなことができるようになったのは、それをサポートするシステ ムが徐々にできたということではないかと思います。今回の報道に関しては、医療施設 あるいはネットワークの方々、厚生省の方々が凄くご苦労になったと思いますが、私は 先程山谷委員がおっしゃられたように、結果的には苦労したのですが、国民の皆さんも 臓器移植がどういうものであるのかというのがわかりますし、どういう点に疑問がもっ たということも分かりましたので、非常に私は大変であったが、ご家族その他にご迷惑 が凄くかかったのですが、その中で一応行われたということは評価するべきだと思うの です。  これを医療側が、社会性と公共性とプライバシーの関係でこうだこうだというのは、 そうではなくて、我々は淡々と医療として行って、実際にそれをどうするのかは国民の 皆さん、報道の方々も含めて議論していただいて、我々は医療に徹するということで行 っていったらどうかと思います。  その資料3の1ページの第三者によるシステムの必要性は、後で客観的に評価するの か、リアルタイムで関与して評価するのかがちょっとわかりません。先程申し上げまし たように、心臓の移植の場合には、いくら第三者のメンバーを決めても、少なくとも2 時間以内にそこに集まらないといけないということで、これは先程も申しましたうよに 循環器医学会では内科医中心の人達が、集まれる責任ある方が集まって、そこで関与す るということでありますので、密室性の打破ということに関しては、リアルタイムで第 三者がプロセスを見るということと、情報はリアルタイムで、先程どこまでオープンに するかでしたが、とにかくリアルタイムで情報は公開する部分があるのではないかと思 います。  その意味で第三者の関与を可能ならしめるということは、どういうふうに転位するか をお考えいただきたい。心臓の場合には凄く緊急手術になります。循環器学会として は、臓器提供施設でもないし、移植施設でもない、あるいは移植医でもない主治医の立 場から見た人が、リアルタイムの場合にはそこで立ち会っていただくというシステムに していただければ、大変に有り難いと思います。 〇黒川委員長  第三者というのは、例えば今度の循環器の方も心臓も肝臓も両方ですが、第三者とい うのはお医者さまは第三者ではないというのか、いろいろとどっち側の方も入っている わけですから、その意味ではこちらの検証の公開性は保たれていると思います。30年の 歴史に基づいてかなり広がっているかなという気がします。矢崎委員がおっしゃった通 りです。実際には今度の委員会を作らせていただいて、そのプロセスの検証、さらに将 来に繋げるということを是非しようとしているわけです。かなり公開性はいいわけだと 思います。  リアルタイムでやっている第三者が、今度も肝臓だって3人が、全く違うところの方 がいっているというのは、一つの公開になっているかなという気はします。  これについてはいろいろなご意見はあると思いますが、これの議論はある程度整備し ながら続けていくということで具体的にこうでないといけないというのがあるわけでも なさそうだと思います。事務局はそれでよろしいでしょうか。整理していただいて、ま た問題があったら先生方に議論していただく。この委員会そのものは公開されているこ ともかなりいいのではないかと思います。よろしくお願いします。  では残りの時間が短くなってしまいましたが、角膜移植というのが前からの懸案があ りまして、これにつきましてはアイバンクで、先程からもちょっと出てますが、作業班 を作っていただきまして、そのご検討をいただいたということから、一つドナーの適応 基準についての作業班でとりまとめていただきましたので、それにつきまして眞鍋委員 からご説明いただければと思いますがよろしいでしょうか。 〇眞鍋委員  とり急いで申し上げます。昭和63年にアイバンクは広域斡旋システムというもの作り ました。その頃から眼球摘出ガイドラインというのを、眼球銀行協会の方から出しまし て、それに準じて提供するようにということをやってまいったのです。  平成3年に角膜移植学会に、提供眼球の安全性に関する研究というものを諮問しまし て、そこから平成5年に斡旋眼球の安全性確保についての提案(1993年度版)というの がでまして、それを実行するようにいっておったのですが、結局、法的根拠もなにもな いままに、ただそういう案を出したということだけのことであります。実際に去年、一 昨年の調査では、散々な目にあいまして、あまり実行されてないということがでまし た。大至急で徹底するように、しかも厚生省の方からも斡旋料を6万円から9万円に上 げていただいて、完全に感染症に関する検査をしないと、その斡旋料は払わないという ことで、ある程度はしばりを付けてくれましたので、今年の調査では非常に好成績を上 げております。お蔭様です。  しかし法的な裏付けがないといけないということで、ネットワークの方で出している 提供者適応基準と、アメリカのアイバンクアソシエーション、EBAAと申しますが、 アメリカの眼球銀行協会の方から出しております国際的な基準と整合性をとろうという ことで、次のページにあります委員会を開きまして種々検討しまして、ここに書いてあ りますような基準ができました。それにつきましてもアメリカの方でも感染症が本当に うつるのかというのが検証されて、例えば梅毒反応などというのは、保存して3日以上 たてば、全く感染力がなくなるということが完全に証明されましたので、アメリカでは 基準から外されております。  我々のところでは完全にこれを外すのかどうかというのが議論になりまして、2.の疾 患または状態を伴う提供者からの眼球の提供があった場合には、移植を行う医師に情報 を提供して、インフォームド・コンセントを与えた上で、患者がそれでもよろしい、今 急いでいるのであるなら、梅毒反応が陽性であっても、三日以上保存しているのであれ ば感染はしないということを十分にインフォームド・コンセントをして、提供を受ける ということであれば、提供してもいいという形の案を作りました。  1から10までは禁忌という形で、2.以下のものは十分にインフォームド・コンセン トをした上で緊急性と危険性の両方を勘案した上で使う、という案を作りましたので、 これを是非この委員会で認定してほしいというわけです。法的にある程度こういうこと を義務づけてほしいわけです。これにつきましては、年一回見直して、医学の進歩に応 じて少しづつ実際にあったものに変えていく、ということも許してほしいということで あります。よろしくお願いします。 〇黒川委員長  何かこれについてご意見ございますでしょうか。前、これの委員会を作っていただい たときの議論を覚えておられるかどうか知りませんが、日本の場合は角膜移植について は、眼球、角膜の提供の数の方が希望者より遙に少ない、提供が少ない、だからどうて も待ち時間が長いということがあるわけです。一方でアメリカの方は供給の方が過剰で ありまして余っているということであります。例えば輸出してもいいという話があるわ けです。そうなると角膜移植におけるドナー、向こうで余ったのがこちらで使えるよう になるという可能性が十分にあるわけです。  するとこの適応基準については、アメリカの場合とこちらは全く同じですか。全く同 じ基準ですね。 〇眞鍋委員  大体同じ、向こうは梅毒については今年から外してしまいました。 〇黒川委員長  すると先生がおっしゃったように、梅毒は3日間保存されたもので感染力がないとい う話は、それのエビデンスというかデータを全部付けてやっていただかないと、実際に その当該医師が、嫌だという話のインフォームド・コンセントをするときに、かなり自 信がないと、こういうデータがあるからという話を全部集めて提供されたらどうかと僕 は思ったのですがいかがでしょうか。インフォームド・コンセントするのはいいのです が、お医者さんが生のデータを見てこうだからそうだというところまでしないと、なか なかそうはいかないのではないかということです。もしリクエストがあるなら、十分に それを提供してほしいと私は思ったのです。  そういうことがあるので2の(4) のところは、突然にアメリカと一緒に切ってしまわ なくてもいいのではないかと思ったのです。その辺のデータを角膜移植をされる先生 が、オリジナルのデータはこうなっているというのを、皆が頭の中に刻み込んだ上でイ ンフォームド・コンセントした方が、インフォームド・コンセントをしたときに気分が いいのではないかと思います。日本では何施設くらい角膜移植はされるのでしょうか。 〇眞鍋委員  各県で少なくとも一つはやっております。アイバンクは数が51ありますから、施設は それに対して多いところでは5つくらい、各県にあります。 〇黒川委員長  するとやられるドクターは300 〜 400くらいでしょうかね。 〇眞鍋委員  しかし実際問題として、角膜学会の会員そのものが680 くらいの会員ですから、その 人が全部一つづつの施設をもっているわけではありません。 〇黒川委員長  例えば角膜移植学会の会員にはそういうデータをちゃんとコピーなどで出して、そう いうわけなのですよという話を言われればいいかなという気がしたのです。その辺をい ろいろ考えていただければいいのではないかと思います。差し当たりは2の(4) は今年 はこのままで入れておいてもいいのではないかという気がします。 〇眞鍋委員  1年毎に見直していこうというのが入ってますので、これで大丈夫ということになれ ば外していこうと思います。 〇黒川委員長  皆さんがそのデータを見て納得したらということでしょうね。いかがでしょうかそう いうことであれば、アメリカでは角膜は余っているということで、こちらで使いたけれ ばよろしいということをいっているわけですから、ある程度はドナーの適応基準は合わ せないと不味いと思います。特段のご意見がありませんでしたら、こういうことでド ナーの適応基準をお認めいただく、プロセスとしてはこの委員会が認めたということ で、一応は行政的な対応はできるわけですか。  わかりました。そういうことでそのような手続きをした上で、事務局としては関係各 方面に周知徹底をしていただくということと、私これは全く個人的なことですが、金井 先生ですか日本角膜移植学会理事長、あるいは角膜学会理事長、木下座長の方からも皆 さんにその辺のことを周知徹底、必要であればデータも提供して差し上げれば大変によ ろしいのではないかと思います。 〇朝浦室長  事務局からです。輸入角膜の問題については、まだ議論の途上でございまして、現在 は個人的に医者が個人輸入という形で輸入してそれを使っているという状況でございま す。斡旋機関としてそれが余っているからといって、斡旋機関としてアイバンクが輸入 するということになっておりませんので、それを含めてアイバンク作業班でご検討いた だきたいと思っております。 〇黒川委員長  結構です。私もそういうつもりでいったのではなく、背後にはそういう動きが多分で できたときに、整合性あった方がいいという意味で申し上げたわけでございます。よろ しいでしょうか。よろしければ準備した議題は済みましたので、厚生省の方から何か、 委員の先生方何かありませんか。では10分ほどオーバーして申し訳なかったのですが、 今日の委員会を終了させていただきたいと思います。先生方ありがとうございました。                                    −終了− 問い合わせ先  厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当  山本(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03−3503−1711