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医療保険福祉審議会 第47回制度企画部会議事要旨


1.日時及び場所

平成11年4月16日(金)14:00〜16:00
厚生省7階特別第1会議室

2.出席した委員等

金平、井形、糸氏、塩野谷、高木、高秀、鴇田、南、若杉の各委員
岡本、鳴神専門委員

3.議題

(1) 診療報酬体系の見直しについて
(2) その他

4.審議の概要

1)はじめに、厚生省から、薬価制度改革に関する最近の状況について報告があった後、発言及び質疑応答が行われたが、その概要は以下のとおりである。

(羽毛田保険局長)

○ 薬価制度の改革については、当部会でいただいた意見書を踏まえ、与党、関係団体等の意見を伺いながら、具体案を固め、再度当部会に諮問したいという考え方に沿って、具体的な改正案をまとめるべく調整を続けてきた。しかし、与党内の議論や関係団体との調整が難航している中で、こうした状況を打開するという意味合いも込めて、今月13日に与党の医療基本問題調査会・社会部会の合同部会において方針の提示があった。
○ その方針の概略を申し上げると、まず、抜本改革全体の取り組みについては、診療報酬、薬価、高齢者医療、医療提供体制の4つのテーマについて、早急に抜本改革の合意を得て、平成12年度から段階的に実施をしていくという方針が改めて伝えられた。
○ その一環として、薬価制度改革については、今日の経済状況などを十分考慮して、厚生省が提案し、本部会でも多数意見という形で賛同をいただいた薬剤定価・給付基準額制度、日本医師会が提案をしている医薬品現物供給制度、及び製薬業界や米国が提案をしている自由価格制度の3つの案をいずれも白紙に戻し、第3の改革案を早急に取りまとめるという方針が出された。
○ その際、薬価制度改革に取り組む理由、そして改革の方向性についての議論をきちんと踏まえなければならないという趣旨から、改革に当たっては、第一に、薬価差の解消を目指すとともに、薬価差に依存する医療機関経営からの脱却のために技術料の適切な評価を通じて経営の安定化を図ること、第二に、薬価算定方式あるいは患者負担のあり方等について、総合的に検討を進めるということ。第三に、画期的新薬とゾロ新あるいは後発品でメリハリをつけるとともに、銘柄間の競争を促進する方向で薬剤価格の適正化を図ること、そして、第四に現物給付制度を堅持するという観点から、一定の基準額を上回る部分を患者負担とする仕組みは取らないこと。こうした原則、考え方を踏まえて、第3の改革案を取りまとめていくという方針が表明された。
○ 私どもとしては、与党で示された方針に則り、薬剤使用の適正化など現行の薬価基準制度の問題点に対しメスを入れていくという当部会の意見書の精神、基本的方向を踏まえ、今後、与党と相談しながら成案を得ていきたいと考えている。また、具体案ができた段階で、再度、当部会の意見を聴くという段取りを考えている。他のテーマも含め、医療保険制度の抜本改革全体について平成12年度からの実施に向け、今後とも全力を挙げて取り組んでいきたい。
○ 意見書をいただいた時から大分時間的にも経過をしているが、このような方針で、改めて我が国の薬価制度の問題の解決に資する案ができるよう努力したいと考えており、御理解を賜りたい。

(高木委員)

○ 与党協案をベースに当部会での議論をスタートし、あのような意見書が出された。政党である以上、支持基盤との関係も当然あると思うが、多くの関係者が関わる医療の問題について、この場で我々が議論をしてきた意味は何なのか。空しいという思いがしてならない。
○ 意見書を葬り去るなどというような報道を聞いているが、審議会の意見書とはどういう位置付けのものなのか。

(羽毛田保険局長)

○ 当部会での議論の出発点においては、与党協案を中心に議論をいただくようお願いし、また、厚生省としてもそうした枠組みの中で考え、その延長線上で「たたき台」を示した。しかし、当部会でも異論があり、幅広い議論も必要ということで、意見書を出していただく段階では、その他のいろいろな構想等について御議論をいただいた。さらには、薬価制度改革の手法だけではなく、現行制度の何が問題であり、どういう方向で取り組んでいくのか、という基本的な問題についても御議論いただき、そういう形で意見書をいただいたと考えている。今回の与党の方針についての私どもの受け止めとしては、方法論としての薬剤定価・給付基準額制度が容れられなかったということであり、現行制度についての問題意識や改革の基本的な方向性・理念については、今後も意見書の考え方を尊重する形で具体的な成案づくりに活かしていく努力をしていきたいと考えている。
○ 意見書をどう考えるかという御質問については、各界の学識ある方々の意見をいただくことが政策決定過程において大事な要素であるために審議会が設けられていることから、その審議会における意見を最大限尊重するという姿勢は当然である。しかし、一方で、最終的に立法化、制度化していく際は、政府与党の一致した線で政策決定をしていくことも、現在の大きなルールである。私どもとしては、審議会が設けられている趣旨を十分考慮しつつ、できるだけ意見書を尊重していくという姿勢で臨み、努力を重ねながら、最終的には、与党の考え方との調整を経て、1つの政策として具体化が図られることになるものと考えている。

(高木委員)

○ 否定されたものを尊重するということがあり得るのか。

(羽毛田保険局長)

○ 審議会における御意見を政策決定に反映させていくことが大事な視点である一方、政治的な仕組みの中で大きな政策決定の場面では、与党と政府の間で合意を形成して政策を決定していくということもゆるがせにできないルールである。私どもとしては、審議会の御意見について説明をし、一生懸命努力するが、結果的には、そのままの形では受け入れられないという場面もあり得る。そうした場合においても、その方法論が受け入れられなくても、基本的な考え方として示されたところをできるだけ実現していく努力していくことになる。今回もそういう姿勢でやってきたが、今後、再度具体案を作っていく過程において、引き続きそういう努力をしていきたい。

(高秀委員)

○ 新聞報道等では審議会意見は白紙という表現が出ているので、あたかも意見書はもうなかったことにする、あるいは無視するという言葉に通ずるが、与党内での議論というのは、本当にそういうものだったのか。審議会の意見を基に法律改正することを時期として今は見送るべきということなのか、それとも新聞報道のように全く白紙にして、新たな案を作るということなのか。もう少しはっきり言って欲しい。

(羽毛田保険局長)

○ 白紙にするという与党方針の俎上に上がったのは、薬剤定価・給付基準額制度、医薬品現物供給制度及び自由価格制度である。当部会では、厚生省が提示した「たたき台」(薬剤定価・給付基準額制度)について議論していただき、それを是としつついくつかの前提条件を付した多数意見と、少数意見という形での反対意見を、意見書としていただいた。今回、俎上に上がったのは、当部会の意見書そのものではなく、意見書をまとめる際にベースとなった「たたき台」である。
○ 与党内における議論は、具体的な方法論、手法については再度考え直すということであり、薬価制度に関する問題意識、例えば、薬価差の解消、競争的な薬剤価格の決定方法などといった方向性については否定されたということにはならないと思うので、そうした点は区分けをして考えていかなければならないと考えている。

(若杉委員)

○ 高木委員の意見に賛成である。その趣旨は繰り返さないこととして、私は、審議会の議論の仕方について意見を述べたい。今回、日医が一番大きく反対した理由は、給付基準額を超えた部分の患者負担が大きい場合に、お金のない人が必要な診療を受けられないという点であった。しかし、給付基準額制度は基準額を上回った部分について患者に自己負担を求めることで患者にコスト意識を持たせ、医療費を節約するというもの。高い薬であっても何でも受け入れるということではなく、同じ効き目の薬の場合に、価格の高低を判断材料として、コスト意識を持って選択してもらうために、上限価格を超えた部分の負担を患者に求めるという意味があったと思う。私は、患者負担が過大にならないような歯止めをしたり、違う形で患者のコスト意識を喚起するという手段もあったのではないかと思うので、完全に対立しているとは思わないが、こうした対立した意見がある場合には、両論併記という形であまりに早く処理しないで、もう少し時間をかけて議論を深め、何らかの接点や一致点を見出していくことが必要ではないか。
○ 高齢者医療についても既にA案は日医、B案は支払側という形で対立している。薬価と同じように、仮に一方が多数意見ということで、また自民党に行って白紙還元ということになれば審議会の存在意義を問われることになる。審議会の運営についてもう一工夫いるのではないか。
○ 今度の第3の案においても、薬価差益、多剤投与、高薬価シフトの解消という抜本改革が目的とした本来の課題が解決されるよう、厚生省にも努力して欲しい。

(塩野谷委員)

○ 審議会の運営については、若杉委員がおっしゃったことを以前から申し上げており、結論を集約するような議事運営をしていただきたい。そのことを裏から言えば、今回の案に対しては、日医は徹底抗戦するということであり、取りつく島がない。民主的にいろいろな意見を聞くという立場ではなく、徹底抗戦をして、自分の立場が通らなければ、他に出ている2つの案も白紙に戻すということである。そこから学ぶ経験としては、日医が反対するような議論、テーマをこの場には出さないというのが賢明ということになるのではないか。会長や局長にその点についてどう考えるのかお尋ねしたい。

(糸氏委員)

○ 学識経験者が集まる審議会における議論は国政に反映されてしかるべきである。私は徹底抗戦ということを言った覚えはなく、また我々としては医療提供の場において平素患者に接していて感じていることを主張しているにすぎない。審議会ではいろいろな意見があって当然であると思うが、そうしたいろいろな意見を一本にまとめて、絶対それで政策決定をしなければならないと決めてしまうのはどうか。最終的に政策を決定するのは国民の代表としての各政党であり、審議会はその政策決定者の前に議論の素材提供を行っていくものではないか。審議会で無理矢理多数決で政策を一本に決定していくことは不可能であると思うし、また、政策決定の素材提供をするのが審議会の権限であると思う。審議会は政策決定に最後まで限りなく責任をもつというものではないのではないか。

(井形委員)

○ 今回は医師会が名指しされているが、こうしたことは審議会ではよく起こり得ること。我々は多くの人のために何がベストかということを検証し、議論する義務があると思う。したがって、今回こういう形になったことについて私も若干異論はあるが、今後ここでの意見がどういう形で活かされていくかを冷静に判断して対処することが望ましい。今回のようなことが起こるたびに審議会が反発をすることは議論の焦点ではないと思う。

(鴇田委員)

○ 審議会は、各方面の方々が1つの問題をいろいろな角度から議論し、論点をはっきりさせることに意味がある。したがって、何が何でも全会一致の意見書を作成しようとすることは、その問題について賛成できない人が最初から審議会に加わらないということにならざるを得なくなり、あまり賢明ではないと思う。今回、審議会の意見書を政府与党が否定したが、私が以前委員を務めていた米価審議会では、いつもそうしたことを経験しており、むしろ審議会の意見が尊重されることの方がレアケースであった。
○ 一体、どういう点で政府与党は意見書を白紙にしたのかということについて当審議会に説明するぐらいのことはあっても良いのではないかと思う。

(羽毛田保険局長)

○ まず、審議会については、それぞれの方々の合理的な意見を幅広くいただくことに重要な意義がある。そして、それを最終的に判断するのは、広く言えば国民、その国民からの付託を受けた国会であり、また、政府としても幅広い意見をいただき、それを見て検討することになる。そういう意味で、最初から議論の間口を狭める形ではなく、虚心坦懐に意見を述べていただくべきではないかと思う。
○ また、何が合理的な意見かということについての共通の方向性は、議論を戦わす中で出てくるのではないか。今回そうした議論が十分であったかどうかについては、私どもがお願いした審議日程を反省すべきかもしれないが、議論を重ねることによって考え方の一致点、方向性を出せるということを信じたいと思う。

(金平部会長)

○ この審議会もたくさんの立場の方々に議論をしていただき、立場や意見の異なる者によって委員を構成していることは御存知のとおりである。当審議会では立場の違う者がいることを前提に意見を交えており、委員が自分の所属している団体のために議論を行ってきたつもりはない。あくまでも、国民のために今後の政策がどうあれば良いかということを審議してきたということを私自身もう一度確認している。議事運営について、反省すべきところがあれば反省するが、議論を尽くしてなおどうしても一致しない点については、両論を出し、問題を提起することで我々の責任は果たせるのでないか。
○ そういう意味で、我々に投げかけられた課題について、問題を明らかにし、改革の方向を出していくということを、今後もやっていきたいと思う。また、結論の集約については、今後も議論を尽くしながら、どうしても集約できない時には両論併記も場合によってはあり得るが、我々の役目を考えれば、一致させていくことの意義も大きいので、御協力をお願いしたい。
○ 今回の結果は、一言で言えば、残念ではあるが、厚生省から、方法論については白紙、第3の案という形で考えるが、我々の薬価制度についての基本的な問題意識や改革の方向を十分尊重して今後取り組むということを伺ったので、是非、我々の薬価制度の問題についての理念や方向性をもう一度考えていただき、今後の案づくりに反映させていただきたいと思っている。
○ いずれにせよ、自民党も平成12年度からの実施に向けて取り組むということであるようなので、その方向で努力していただければと思う。

(高木委員)

○ これまでのやりとりを聞いていると、最終的に政策を決定するのは国民の審判を受けた国会の仕事ということで、それも論理であると思うが、それでは、与党と政府の関係はどうなっているのか。我々は政府の諮問を受け審議を行ってきた。政策を決定する場が他にあるというが、初めにその場で議論がなされ、その場ではこういう考えであるからということで議論をして、両論併記になったのではないか。
○ また、今の医療を巡る環境について、健保組合や政管健保の財政がどうなっているのか。日医は国民皆保険を守れということを主張しているが、今のような状況で皆保険は守れるのか、という状況認識を共有して議論をしていかなければならない。そうした共通認識のある議論でなければ、我々にも限界がある。
○ ある報道によると、厚生大臣自身が日本型参照価格制度に固執しないとおっしゃられたようであるが、どういうことなのか。
○ みんなで改革を議論してきたが、その時期が伸び、一方で赤字が増えている状況をどう認識するのか。

(高秀委員)

○ 自分の経験から言えば、審議会への諮問というのは2種類あり、そのうちの一つは法律や条例において「審議会の議を経て」とされ、公共料金等を審議会の決定に委ねているもの。もう一つは、厚生省が政策立案にあたり、審議会に意見を求めるもの。審議会からは多数意見はこのような意見であるなどの答申をまとめて、それを受けて厚生大臣が法律改正の草案等を作成し、国会へ出す前に与党と協議を行うことになる。そこで、与党が審議会で少数意見が出されていることも踏まえ、もう少し実現可能性のある案に直すよう求めれば、最終的な合意を得て国会へ出していくというのが普通のやり方である。
○ 今回、厚生大臣から法律改正の要綱を示して、それに対して自民党が要綱の方向性は良いが具体論はまだ十分練れていないから駄目だというようなやりとりがあったのか。新聞報道等では、審議会の意見は白紙にせよということのようだが、それでは審議会は何のために意見をまとめて出したのかということになる。自民党側との議論で、なぜそうなったのか、改めて諮問し直せということなのか、そのあたりが理解できない。

(羽毛田保険局長)

○ 当部会の意見書については、これを踏まえ、与党とも協議をし、また関係団体とも協議をして一つの成案を得、改めて当部会へ諮問をするという手順の中で取りまとめていただいた。そういう中で、自民党において議論がなされ、我々が当審議会に議論の素材として示した「たたき台」について、方法論としては別の方法を検討すべきという方針が出された。したがって、今後の問題としては、再度、成案を得て、当審議会へ諮問するという手順もあるということになる。
○ また、どういう段階であったとしても、審議会の意見書をできるだけ尊重するという姿勢で臨みたいと考えている。

(金平部会長)

○ 与党協案を前提にするということを最初に厚生省から示され、その後、与党の構成が変更するなど予想していなかったこともあり、今混乱があるが、厚生省も、今後、当審議会の意見を尊重しながら努力するということであったので、この問題についての議論は終わりたい。

2)次に、診療報酬体系見直しに関する意見書案について、事務局より前回の「たたき台」からの変更点の説明があった後、発言及び質疑応答が行われたが、その概要は以下のとおりである。

(塩野谷委員)

○ 7ページの「(2)医療費財源、診療報酬改定のあり方」について、修正をお願いしたい。
○ 医療費財源と診療報酬改定のあり方というのは別個の問題であり、医療費財源のあり方という問題は、医療サービスの価格に数量をかけた医療費総額を支えるために保険料、公費、自己負担があるということ。さらには、高齢者と若年者の負担の相対性の問題などがある。一方、診療報酬改定のあり方の問題は価格掛ける数量の中の価格に関わることであり、診療報酬の直接の問題になる。これをどういう財源で賄うかは、前者とは全く別の問題であり、価格をどのように変えるかということである。
○ 従来は薬価引き下げ、つまり、価格の内部構造、ものとサービスの内部構造を変えることで診療報酬改定を行ってきたが、今後は、薬価制度改革との関係やそれ以外にも経済の変動状況に応じて改定の財源の問題が捉えられるべきである。
○ したがって、最後の段落の「こうした診療報酬改定のあり方についても、」の後に、「経済変動の状況、」を入れていただき、物価や賃金がマイナスである状況において診療報酬改定はどうあるべきかという観点を持っていただきたいと思う。
○ もっと望めば、この文章は主語がないので、「こうした診療報酬改定のあり方は、経済変動の状況、医療の質の向上、公的医療保険制度の安定の確保、資源配分の効率性等の観点から、さらに検討することが求められる。」とすべき。

(鴇田委員)

○ 私は2点を指摘し、いずれも考慮していただいているが、そのうち8ページの(2)のすぐ上3行のところで「保険者の機能については、さらに議論を深める必要がある」とあるが、これは、12ページの上から3つ目の段落では具体的なことが書かれている。そこで、8ぺージの方は、役所のよく使う「前向きに検討します」のようなことであるのか、それとも、今後、審議の4本目の柱として保険者機能について総括的に議論することへのつなぎと解釈して良いか。その点を確認したい。

(事務局 石井企画官)

○ 大きな3つのテーマに区切りをつけた後になると思うが、保険者機能の問題について当部会の議論として取り上げる、というこれまでの審議の経過があるので、事務局としては当部会で再度議論を深めていただけるものと理解している。

(鴇田委員)

○ 診療報酬については今日で一応決着すると思うが、保険者機能の代表例である医療機関との間の価格交渉などの問題について、診療報酬については既に決着済みということで、保険者機能のところではそういう議論をするなということになれば非常に困る。そうした議論は可能なのか確認したい。

(事務局 石井企画官)

○ 今回、このような表現で意見書を取りまとめていただいたからといって、懸念されているように今後の議論が直ちに制約を受けるということにはならない。しかし、保険者機能の議論をいただく時は、どういう論点で進めていくかということから議論いただくことが必要ではないかと考えており、鴇田委員が言われたような具体論をどうするかといった点は今後の問題と理解している。

(鴇田委員)

○ 現行法上、少なくとも法的には診療報酬を完全に固定されたものと解釈する必要がなく、それ以下に割引きすることも可能といったことを教えていただいたと思う。それが現実には行われていないというのは保険者の側の怠慢なのか、あるいは、厚生省の行政指導で許していないのか分からないが、そういう議論をしたいのでお尋ねしている。

(事務局 間杉保険局保険課長)

○ 保険医療機関の診療報酬は基本的に公定点数であり、現行法上、保険者が契約で診療報酬点数の範囲内で別途の定めができるという規定があるが、これは沿革的に一部、旧官立病院がそういう形態をとっていたことの名残りである、ということを前回御説明したところである。
○ この問題は今回の意見書案の中にも書かれ、将来的な検討課題ということになっているが、基本的に、医療の質と価格が相互にどういう形で関わってくるのか、というところがあるわけで、これまでのところこの規定の中での割引について認可をしていないし、そういう実例もないというのが現行規定の取扱いである。

3)意見書案修正のための休憩の後、意見書が取りまとめられ、部会長から厚生大臣に手渡されたが、その概要は以下のとおりである。

(金平部会長)

○ 意見書案の修正について、事務局から確認して欲しい。

(事務局 尾嵜保険局医療課長)

○ 事務局のミスの点も含め、修正した部分だけを確認していただきたい。
○ 4ページの2行目の「価格を引き上げるなどの」の「を」を挿入。
○ 7ページ(2)の「(給付と負担の均衡を図る方向性)」の後に「についての複数の考え方」ということで整理。(2)の最後の2行について、「こうした診療報酬改定のあり方は、経済変動の状況、医療の質の向上、公的医療保険制度の安定の確保、資源配分の効率性等の観点から、さらに検討することが求められる。」という表現に訂正。
○ 8ページ(2)の第2段落の最初の「今後、」を削除。
○ 13ページの上から5行目について「急性期入院医療の」ということで「入院」を挿入。

(金平部会長)

○ それでは、この内容で当部会の意見書とする。

(金平部会長から厚生大臣へ意見書を手交)

(厚生大臣より、意見書を踏まえ、中医協で具体的な審議をいただき、来年度から診療報酬の抜本改革を実施に移すことができるよう全力を尽くすこと、薬価制度の改革については当部会で示された基本的な理念、考え方を尊重し、与党との緊密な連絡を図りつつ改革を実現していく考えであること等の発言。)

(高木委員)

○ 薬価の問題に関し、自民党が審議会の意見を白紙撤回などと新聞報道などで言われており、何を審議してきたのかという思いもある。
○ 診療報酬の意見書についても同じようなことになると、こういう論議をすることの意味はどうかということにもなりかねないので、大臣にもよろしくお願いしたいと思う。

(厚生大臣)

○ 審議会においては高い見識のある委員の方々に貴重な提言をいただいており、できるだけその意見を尊重して政策決定していくというのが、私どもの基本的な立場である。
○ 薬価制度の問題については、当部会での議論を基本にして、これまで取り組んできたが、具体的な政策展開となると、関係団体等の意向、何より与党の意向を無視できない。
○ この種の問題の解決は、政府と与党が調整をしながら、審議会の結論の方向でまとめていくということになる。しかし、当部会における答申自体が両論あり、自民党内においてもいろいろな意見があったため、議論を重ねた結果、当部会で御議論いただいたいわゆる日本型参照価格制度については、それだけに固執しないことにして、薬価差の解消と適正な医療の給付ということをあくまでも念頭に置きつつ、今後の薬価制度改革をやっていくということで、党との調整をやらざるを得なかった。
○ 何回にもわたり当部会で御審議をいただいており、申し訳ないが、当部会で示された基本的な方向性や考え方は貫いて、より調整のつく形で、現実的な薬価差解消の仕組み、合理的な薬価制度の検討を続け、5月中くらいか、なるべく早く結論を得て、再度お諮りしたいと考えている。

4)最後に、金平部会長より、次回は高齢者医療制度の見直しについて審議することとし、4月26日(月)午後3時より厚生省別館8階共用第23会議室を予定している旨発言があり、閉会した。


照会先
担当者 老人保健福祉局 企画課 課長補佐 宮本 直樹 内線3917


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