99/03/30 第3回臍帯血バンク共同事業技術専門部会         第3回臍帯血バンク共同事業技術専門部会            日時   平成11年3月30(火)                 15:00〜17:10            場所   法曹会館                 「高砂の間」 出席者 (○:座長 敬称略)  ○小寺 良尚  浅野 茂隆  加藤 剛二  加藤 俊一  佐藤 典宏   高橋 恒夫  寺尾 俊彦  中島 一格  中林 正雄  西平 浩一   原  宏  三間屋 純一  矢崎  信   1.開 会 2.議 題      (1)これまでの検討状況について      (2)今回検討すべき課題について      (3)臍帯血バンク共同事業技術専門部会検討結果(案)について      (4)その他 〇事務局  定刻となりましたので、ただ今より第3回「臍帯血バンク共同事業技術専門部会」を 開催します。  先生方におかれましては本日はお忙しい中をご出席いただきまして、ありがとうござ います。  まず本日の出欠の状況でございます。佐藤博行委員、中畑龍俊委員、横山繁樹委員か ら欠席とのご連絡をいただいております。また、浅野委員、高橋委員につきましては少 し遅れるという連絡がありましたことを合わせてご報告させていただきます。  続きまして、本日の資料の確認等をさせていただきたいと思います。最初に第3回臍 帯血バンク共同事業技術専門部会議事次第でございます。その後が専門部会の委員の名 簿でございます。その後が座席表になっております。続きまして資料一覧です。  資料1−1 第1回臍帯血バンク共同事業技術専門部会の検討状況  資料1−2 第2回臍帯血バンク共同事業技術専門部会の検討状況  資料1−3 臍帯血バンク事業運営ガイドライン  資料2−1 運営専門部会から提出された意見  資料2−2 臍帯血の情報の共有・管理システムについて  資料3   臍帯血バンク共同事業技術専門部会検討結果(案)  なお、あとで席上に配付しましたのは、京都府赤十字社血液センターの横山先生の意 見も一緒に配付しております。以上でございます。  不備等がございましたら事務局にお申しつけください。では今回は第3回目になりま すので小寺先生に司会進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 〇小寺座長  では今日の司会進行を務めさせていただきます。時間が限られておりますので、皆さ んぜひ積極的にご発言を願って案をまとめるということでご協力お願いします。最初に 事務局から資料の1−1、1−2、1−3についてご説明お願いします。 〇眞鍋係長  では事務局より資料の1−1、1−2、1−3についてご説明させていただきます。 前回予定しておりました技術専門部会でございます。3月2日に予定しておりましたが 諸般の事情から延期になりまして、随分時間が開いたものでございますから、今回これ までの検討状況をもう一度付けさせていただいております。この資料1−1は、1月26 日に行いました第2回のこの部会に出させていただいた資料でございます。1−2の方 は第3回の運営専門部会に出させていただいた資料でございます。1−3が運営専門部 会の方で、各臍帯血バンクの運営のガイドラインということで、これは3月12日に取り まとめられたものでございます。では第1回から若干スピードアップしてご説明させて いただきたいと思います。  本検討会からいまり親検討会から提出されたテーマが4つございます。  1.「臍帯血の情報の共有・管理システムについて」のテーマでございます。  全国的に標準化し、共有・公開する情報の内容。つまりこれは一次検索用の情報とし て、HLA型、有核細胞数、保存バンク名、という議論がございました。  次に1次検索用の情報にアクセスできるもの、検索できる者として、協議会事務局、 バンク、移植医療機関、協議会が認めた患者団体・窓口、ということですが、この協議 会事務局ということに関しては前回の技術専門部会の方で、事務力等を考えまして検索 するところまではなかなか難しいのではないかという議論もあったところでございま す。  検索の方法としては、一次検索はインターネットあるいはファックスとか、あるいは 2次検索に関しては登録移植医療機関、つまり臍帯血移植を行う移植医療機関の移植医 が、当該臍帯血を保存している臍帯血バンクに問い合わせるという方法となっておりま す。  あとは提供に至るシステムについてということでございます。1つの臍帯血に対して 2人以上の主治医から要望があった場合には、早いもの勝ちというか、先に欲しいとい った者を優先するということでございます。後は主治医が希望する臍帯血の使用権を確 保できる期間は3か月、そして予備のための確保は行わないということでございます。 骨髄移植推進財団との関係は、今後引き続き検討ということでございました。  2.採取・分離・検査・保存・搬送方法の標準化をはじめとする安全性の確保・質の 向上について、ということでございます。  こちらの方に関しましては、いかにして質を担保していくのかという話しでございま して、こちらの方は最低限、年1回程度の第三者による査察を行うことが大事ではない か。査察の際の重要事項については今後とりまとめるということでございます。これは 後ほど検討結果の方にもございますので、ここでの解説を省かせていただいておりま す。  3.適応・治療成績の評価についてです。  今現在、技術指針あるいは移植実施基準書の方にある適応の疾患、そして病期という ものがあるわけですが、これに関してより細かく決めれば、判定委員会等を経る必要は なくて、臍帯血バンクの方でそのまま提供すればいいということですが、こちらの方は 前回の議論におきまして、よりブレイクダウンして書くのは困難なこともあるし、今回 は必要ないのではないかという結論になっているところでございます。  規定されていない疾患等に関しては技術指針の方で書いてございます通りに、規定さ れてないものに関しては判定委員会等で見るということでございます。  4.移植医療期間の登録、及び移植情報の公開についてです。  治療成績の公表ということでございます。こちらも技術指針の方にバンクの方でも移 植医療施設の方でも公表するという旨が記載されておりまして、こちらの情報の公開を 行うということでございます。以上です。これが1−1でございます。  1−2です。先程のテーマと殆どかわりません。こちらの議論がより深まったという ところであると思います。  1.臍帯血の情報の共有・管理システムということでございます。  この時にはアクセス、検索をできるものとしては限った方がいいというふうなことが ございました。→で検討結果を書いております。登録移植医療機関以外の主治医からの 検索については、専門医などに限って認めたらよろしいのではないか。具体的な条件に ついては今後検討。セキュリティ確保等の観点から、一般国民等(患者さんという意味 とお受取いただいて結構かと思います)に広く公開することは、なかなか難しいのでは ないかという検討結果でございました。  協議会事務局が検索業務を行うかどうかというのは、なかなか業務量からは難しいの ですが、役割を明確にした上で今後の検討であろうということでございます。  患者等からの相談でございます。こちらの方に関しては相談については、各臍帯血バ ンクが応じる、協議会事務局はこれらの検索要請の対応やその検索結果の情報提供とい うことまで行うことはなかなか困難ではないかという結果になっております。  次に、1人の患者さん及び主治医が使用のために保持できる臍帯血の数というのは、 大体これは前回の検討を経まして1つである。予備の臍帯血の確保は行わない。1つの 臍帯血に対して2人以上の主治医から要望が寄せられた場合には、これも従前の結果通 りに先着順とするべきではないかという結論になっております。  2.採取・分離・検査・保存、搬送方法等の標準化をはじめとする、これも安全性の 確保ということでございます。  こちらの方も査察の細かな内容に関しては、なかなか今の段階で、つまり技術部会が やっている段階で決めることは難しいのではないか。もう少し言うなら、共同事業がス タートしてその進捗状況をみながら、ガイドラインとも合わせて、厳しめ、あるいは緩 め、ということがあると思われますので、そういうところをやりながら検討していくこ とが必要ではないかというご指摘がございました。  詳細に関しては今は座長預かりという話しになっておりますが、私どもが今提示させ ていただいている案は、後ろの検討結果にもございますように、共同事業の中にやって いくべきものであろうという書き方をさせていただいております。ここも後でご議論い ただければよろしいかと思います。  あとは空路による搬送ということでございます。こちらにつきましては、技術指針の 方で荷物検査とか身体のボディーチェックなどのX線の磁気を回避することとなってお りまして、今の規定ですと、なかなか空路による搬送は難しいということで、こちら方 も厚生省の方というか事務局で引き取っているというか、新しくスタートしてから担当 のところと交渉というか、協議が必要であると考えているところであります。  3.適応・治療成績の評価というところです。  基準書において疾患群として既に規定されておりますが、さらに詳細な個々の疾患名 までの具体化は行わない。先程説明した通りでございます。  4.移植医療機関の登録、及び移植情報の公開についてです。  最低限、移植医療機関として登録する際に、公開するべき情報を設定することとして その内容は今後の検討、私どもとして今回案を結果の方で出させていただいてます。  5.その他でございます。  共同事業以前に保存されていた臍帯血、つまり今の時点で、昨年の10月の時点では 2,000 件以上の臍帯血が既に保存されているということでございますが、こういうもの をいかに扱うかという議論がございます。これは結論としては公開して検索の対象とす る。が共同事業によるもの、つまり来年度から始まったものでないことを、明らかにし てそれを明示することが必要であろう。  一旦患者さんのところに移植のためにシッピングされてしまった、提供されてしまっ た臍帯血で、結果として患者さんの病状等によりまして使用しなかったというときに、 それをどう取り扱うかということでございます。前回の結論としましては、再び共同事 業に用いるために戻すことはしないということになっております。  次に検体の保存ということでございます。こちらは将来における移植の評価、研究に 資するため、研究というのは純粋に移植のための研究ということでございますが、移植 に用いられる臍帯血、そして移植を受けるレシピエントの血液の保存を行うこととす る。ここは若干事務局が( )で書かせていただいたのですが、技術指針及び基準書に はレシピエント側の血液、いわゆる有核細胞であるとかを保存しておくという規定はご ざいませんので、これは新しいルールかなと思っております。  臍帯血の価格の統一化です。これは今後引き続き検討です。これは医療保険ともにら み合わせて検討していくことが必要であるというふうに考えているところでございま す。  資料1−3です。こちらの方の運営専門部会で、臍帯血バンクがこれから運営される に当たって、こういうことでガイドライン的なものを示すということで、運営専門部会 で取りまとめられたものでございます。これは直接この部会に反映させるところもある のですが、ちょっとはしょりながら説明させていただきます。  1.本ガイドラインの策定の趣旨です。  本ガイドラインは「臍帯血移植検討会中間まとめ」に沿って、地域における臍帯血バ ンク事業に関する共同事業が円滑に実施されるよう、共同事業に参画する臍帯血バンク がその運営に当たって留意すべき基本的枠組みについてとりまとめたもの、という規定 をしております。  なお、この各臍帯血バンクが本ガイドラインを踏まえた上で、さらに独自の取り組み を妨げるものではない、ということでございます。  2.事業の定義です。  「臍帯血バンク事業」とは臍帯血の採取、分離・調整、検査・保存、提供の決定、搬 送、及び情報の管理・提供、その他臍帯血移植に関する諸活動のうち、移植医療行為を 除くものをいうということにさせていただいております。  3.基本方針です。  安全でなければいけない。そして中立・公正でなければいけない。共同事業の運営に 主体的に責任を負う、ということでございます。各臍帯血バンクが独立し自立した組織 であること、人事、組織、財政等において自主性が尊重されるもの、各臍帯血バンクに は責任ある体制整備と実行が求められる、ということになっております。  4.留意点ということでございます。  (1) バンクの代表者が明確であること等、財政、事務体制、非営利性、ということに ついて言及がされております。  (2) 事業実施状況でございます。こちらは供給実績です。こちらはスタートした当初 はなかなか供給実績もそれはないのが当然でございますので、共同事業の進展等に合わ せて基準を決めていくことです。収集見込み。臍帯血に関する情報の管理・提供です。 こちらの方は本技術部会とオーバーラップするところがあるかと思います。  3つ目の〇で、保存している臍帯血のHLA等の情報について、適宜適切に関係機関 に提供すること。あるいは臍帯血に関する、あるいは造血幹細胞移植に関する地域住民 医療関係者、患者関係者等からの問い合わせに対して対応できる体制が整備されている こと。いわゆる相談ということで、本部会でいっていることかと思います。  あとはフォローアップ情報の収集でございます。  効率性の重視。迅速性。運営に関する情報公開、ということがこちらの方に書かれて おります。  (3) 安全性・技術力、有効性ということでございます。これのために「技術指針」及 び「基準書」における水準を満たすこと、そして管理責任者が明確であって、第三者に よる機能評価を受けることができる体制であることということでございます。  あとは採取。分離・保存。検査。提供の決定。搬送。設備。ということで細かく書か せていただいているところでございます。  (4) その他です。個人情報の保護ということです。これは情報管理ということでござ います。個人の情報を管理すること、まさにHLAは個人の情報でございますので、こ れも適切に管理しないといけないということでございます。そして倫理性の確保が求め られるということでございます。  次にガイドラインの補足説明ということがございます。  こちらはガイドライン本文の方には書き込まずに、ブレイクダウンしたものでござい まして、数を示したものでございます。収集見込みとしては概ね400 個以上というふう にさせていただいております。後は採取です。臍帯血の採取施設は産科の協力をいただ くわけでございますが、この選定にあたっては年間概ね100 個以上ということでござい ます。  (2) としまして健康調査結果の把握率、提供していただいた子供の健康状況でござい ます。この把握率は最低9割以上ということで規定させていただいているところでござ います。以上ガイドラインの説明でございました。以上で議題1のご説明を終わらせて いただきます。 〇小寺座長  ありがとうございました。今の事務局からの説明は、当技術部会の過去2回の審議と それによって定められたものの確認。もう一つの運営部会の方でこれは既に3回開かれ て、それのまとめというものについての説明であったわけです。  この点につきましてどなたか追加とかご質問がございましたらどうぞ。これは今まで も検討してきたことですから、まずよろしいかと思いますが。 〇浅野委員  今まで検討してきたことも書いてあるのではないですか。E−mailとかです。全然検 討されてません。 〇眞鍋係長  先生がおっしゃっていただいているのは、資料の2ですのでまだです。 〇小寺座長  ここで一つだけ確認しておきたいのです。1−1の2ページ目のところです。この前 の検討会でもちょっと問題になっていたと思います。決定困難な事例についてのみ中央 判定委員会(仮称)で審議する。とありますが、これは確認事項としてよろしいです ね。要するに、中央判定委員会を設けるということになりますが、これはよろしいです か。  浅野先生よろしいですね。どうしても判定困難なものについては一応は中央判定に委 ねるというか、そこの協議できるようなものを中央に置いておくということはよろしい ですね。  ただ、作るのだということになればこれは何とか作らないといけないのですが、この 点は一応仮称ということになっていると、まだ仮にしか決まってないような印象を与え るのです。今度に作ろうというときに、そういうことは決まっていたのかということが 蒸し返される可能性があるので、確認だけしておきたいのです。 〇西平委員  これは勿論あればいいのですが、こういう委員会を設けることが本当にできるのかど うかということをお聞きしたいのです。厚生省の問題でしょうが。こういう委員会を必 要に応じて招集したり、あるいは連絡方法をどうするのかは分かりませんが、あるいは ファックスでやりとりするとか、いろいろな方法があるでしょうが、可能かどうかで す。 〇朝浦室長  この点については、中間まとめでも共同事業の一つの項目として適応の評価というと ころも書いておりますので、そこは中間まとめの結論を前提にすれば、それはどこに置 くのか、共同事業を行う協議会の中にそういう機能をもったことを設けるということは 決まっていることだと思います。  ただここは、この専門部会の議論の中で、適応については原則として地域における臍 帯血バンクの適応委員会の中でまず決めていただいて、そこでどうしても決定できない というもののみ、そういうケースについてだけ、共同事業の中で検討していくことだろ うと思いまして、仮称ということは名前が決まってないということで、そういう機能を 持つ、適応について評価する機能を持つところは共同事業で行っていくということは、 決定済みであると事務局としては理解しております。 〇小寺座長  それでよろしいですか。まあ多分これは、実際には主治医の相談窓口のようなものを 一応中央に置くということであって、中央の判定委員会というほどいかめしいものでは 多分ないのだろうと思います。 〇眞鍋係長  名前の付け方が適切ではなかったかも知れません。前回の小寺先生のご指摘で、例え ば地域に沢山の判定委員会、各バンクあるいは数バンクに一つとなるのかも知れません が、そこで各判定を行うことで、例えば基準が違う、あちらの判定で認められてこちら では認められなかったということがあってはいけませんので、そういうところの調整は とらないといけない。  つまり共同事業としては公平にこういう疾患の方に差し上げている、つまりそういう ような判定委員会ごとで基準が違う、ということがないように調整をするというところ のニュアンスが入っているものとご理解いただきたいと思います。 〇小寺座長  ではこれはやがて立ち上がる臍帯血協会ですか連絡協議会ですか、その中の一つの機 構として盛り込む、これは前回の中間まとめで合意を得ていることですから、そういう ものが実際にはどういう形になるのか、まだわからないのですが、作るということで、 この技術専門部会でもそれを確認したということでよろしいですね。 〇浅野委員  今厳めしい名前と言われたが、判定するということは、連絡協議会に置くのか、それ とも国のガイドラインのところに置くのかが大きな問題であって、本来なら連絡協議会 のバンクがですから、移植適応決定をバンクで決めるのではなくガイドラインではない ですか。だからガイドラインはもっと別なところにおいて、学会と関連をもった形で進 めないといけないと僕は思います。連絡協議会の中に判定委員会という厳めしいものを 置いたらおかしなことになると思います。それはそういう形では了承されてなかったと 思います。判定委員会という形で議論をまだしていたと思います。 〇小寺座長  そうなると、もうちょっとここを確認しておかないと、後から同じことがいつまでた っても巡ります。 〇眞鍋係長  確認させていただきます。従前の臍帯血移植検討会で認められました技術指針の方に まず今回基準書で決められている疾患群として書いてある適応がございます。こちらの 適応に関して、当てはまるものについては、そういうものは全く経ずに、つまり何ら審 査を経ずに、臍帯血バンクからシッピングをしていいということは明確に書かれており ます。 なおかつ、例えばここに書かれているのは1座不一致までですが、例えば2座 不一致3座不一致というような要望があった場合に、それをバンクとして出すのか、共 同事業として出すのかということに関しては、議論があるところであろう。その時に、 移植実施機関及び保存機関から独立した、出すかどうかを決める判定委員会を設置し、 ということは一応ここで書かれてはいるのです。そしてそれらの利便性で沢山あった方 がいいということであれば、沢山おいて、ただそれが整合性か取れているものでなけれ ばならないので、その連絡調整などをしないといけないので、中央にそういうものを置 くということも一応技術指針の方には書かれているということでございます。 〇小寺座長  これは技術指針の中でそのように書かれている、それが一応定まったということにな れば、だから決して地域バンクのアクティビティを別に規制するとか、全国を横並びに してしまうとか、そういうものではなく、僕はもう少し極めて地域が困ってしまったと きに、どちらかというと地域の判定委員会を救うというか援助するような役割を果たす のだろうと思うので、そういうものがあればいいのではないかということなんですね。  判定委員会というのはちょっと誤解を招きやすいのかもしれませんね。そういう機能 のものを置くというとで、この件はそういうことで合意を得たということにします。  あとはよろしいでしょうか。後は我々の技術専門部会のことは大体確認されたことな のでいいのですが、これは後から出てきますが、資料1−2の1ページです。一番下の 患者の病状を勘案して、配分を決定することは事実上不可能ということは、ここでは2 回にわたって確認してきたわけでありますが、それが運営部会の方で疑義が出たという ことで、これを討論しないといけませんね。では今までのところはよろしいですか。  事業運営ガイドラインについては読んでいただくということで、もう一つの方の運営 委員会の方の答申案ですので、では読んでいただくということにします。次の今回検討 するべき事項で、資料の2−1を説明してください。 〇眞鍋係長  では議題2の中に入ってまいります。資料の2−1を説明させていただきます。座長 からお話がございました通りに、1つの臍帯血に対して2人以上の患者さん及び主治医 の方から提供してほしいという要望があった場合の取扱いでございます。  (1)早く予約した者を優先とするべき、という意見  (2)下記のように患者の病状に応じた優先順位を考えるべきという意見が二つございま した。こちらは第2回、第3回、第4回の事業運営専門部会で繰り返し述べられたもの でございます。こちらの技術専門部会としては早く予約をしていただいた方に早く差し 上げるということでございますが、今回は、書面で扱いに関して要望というか提案が出 てまいりました。読ませていただきます。  臍帯血バンクについての提案です。  1つの臍帯血に2人の適合患者がある場合の対応について。  医学的判定による優先順位を定め、その差のない場合に早い方を優先とするべきであ る。以下の2つの場合があるということでございます。  1.1つの臍帯血があって、同時に2人の患者が登録してきた場合、この時間差は極 めて小さい。  2.2人の患者が登録待機していて、1つの臍帯血が現れた場合。  理由です。  1.移植成功率に差がある場合、選択を誤るとその2人とも死なせてしまう。1人は 助かる可能性が高い方を選ぶべきである。  2.次の臍帯血、骨髄が見つかる可能性もあるので、緊急性の判定も必要である。こ れにより2人とも助かる可能性がある。  3.新しい臍帯血のHLAがコンピューターに示されたとき、1分1秒の差でそれを 逃した場合、主治医の責任が大きすぎる。  4.臍帯血移植によってできるだけ多数の患者を助けるというバンクの社会的責任を 早い者勝ちという安易な方法を取って回避している。  医学的判定基準案、ということでございます。  1.推定生存期間3か月以下と3か月以上の場合、3か月以下を優先する。  2.両者が3か月以下の場合、移植成功率が20%以下と30%以上の場合、30%以上を 優先する。  その他の場合は優先順位に差はないものとする。  推定生存期間と移植成功率は主治医申告とし、インフォームド・コンセントの内容と 一致することが望ましいが、病状の変化、新しい発表などで変わることもある。これが 重要な場合は主治医の説明を求めることとする。このような意見でございます。 〇小寺座長  これが先程私がちらりといいました前の2回の技術部会の方で、2回にわたって確認 された部分に対する運営部会の方からの異なった意見です。これはやはり今日決着をつ けておかないと困りますので、皆さんのご意見を伺いたいと思います。早い者順でいこ うとしたのですが、こういうご意見の方があったということです。どなたかご意見はご ざいますでしょうか。一番大事なところですのでご遠慮なさらずに。 〇浅野委員  医学的判定という言葉の曖昧さです。これも指摘しないといけないと思います。この 医学的判定基準というのを下に書いてありますが、これは成績の問題です。医学的判定 とは必ずしも言えない。それで成績優先順位という形です。成績が良い方が良いという 形の判断であると思っています。  もう一つ大事なことは、例えば1分1秒の差が出るという間違った観念が定着してし まうと、非常に不味いのではないかと思っております。ということは、これを書かれた 方は恐らく流れというのが十分に理解されてないのではないかと僕は思います。  もう一つ早いもの順という表現は止めていただきたいと思います。申込み順です。こ れはそういう誤解を招くような言い方は止めた方がいいと思います。是非そのようにお 願いします。 〇小寺座長  他にご意見はございませんか。 〇西平委員  これは前にも申込み順ということで、皆さんはこの会では了解していると思います。 運営専門部会からというのは、漠然としていて、今浅野先生が言われたように書いてあ るのですが、これは病気の種類とか疾患の種類とか、それの病状によって全くそれぞれ 千差万別というか、いろいろな病気で、いろいろな疾患で、いろいろな状態によって% は変わってくるし、施設による差もあるし、国際的な差もあるし、これはなかなか20と か30という数字は、具体的には出せないと思います。  申込書の書き方の問題もあると思います。実際にやっていると主治医の申込書が、非 常に詳しく本当に正直に詳しく書いてきた場合と、そうではなく大雑把に今はこういう 状態で移植してもできる状態であると簡単に書いてくる主治医もおりますから、その主 治医の書き方によっても重症度とか助かる見込みというのは、なかなか分かりにくいの です。それを誰がどうやって判定するのか。さっきいった中央判定委員会とかが、もし そういうものが機能できる力をもっているなら結構ですが、実際に患者さんをその人達 が見ないと、正確なものは言えないと思います。ですから申込み順というふうに私は考 えます。 〇三間屋委員  結論から申します。申込み順が妥当かなと思います。それは逆に恐らく申込みという のは適応があって早く申し込むという主治医の考え方もあると思いますし、折角申し込 んだにも係わらず、こういう優先順位になりますと、折角早く申し込んだにも係わらず 後から申し込んだ人にいってしまうということもあると思います。  浅野先生もおっしゃったように医学的なというのはなかなか判定が難しいと思います し、それを誰が判定するのかというのも問題になってきますので、ここは申込み順とい うのが妥当かなという感じがします。 〇小寺委員  他にはよろしいですか。両加藤先生よろしいですか。高橋先生よろしいですか。 〇加藤(剛)委員  私も西平先生がおっしゃるように、この医学判定基準というのは、書かれた方のお気 持ちは非常によく理解できるのですが、この方が3か月もつとかもたないというのは、 判定できる方はまずいらっしゃらない。成功率が20%とか30%というのは、いろいろな 同じ病気を世界中のいろいろな報告を見てみましても、その成績の差には非常に差があ るわけです。ですからこの方は絶対に20%であるとか30%であるという評価を予測する ことは、まず不可能であるということです。ですから申込み順というのは一番妥当かと 思います。 〇加藤(俊)委員  私も結論は同じです。ただこの提案をなさった方のいっておられる精神というのは、 一応は理解しておかないといけないのではないかと思います。申込み順という技術的な 問題になりますが、どこに申し込んだところを申込み順とするか。Aというバンクにそ の方が申し込んだ、そこにはないが、CとDというバンクに実はあった、CとDという ところには、それよりも後のタイミングで別の方が申し込まれて、その方の方が先であ ったというふうな、これは凄く複雑な問題が発生するシステムになるわけです。  連絡協議会、先程からの議論で私はもう少し皆が一つに向かって共同事業をやってい く、そういう母体組織であると理解していたのですが、どうもそうでもない雰囲気が今 日の議論でも随分ありました。すると中央というか連絡協議会というところにきちんと した機能を持たせないと、ばらばらの単なる積み重ねの組織になってしまう恐れがある のではないかということだけはちょっと心配しております。 〇原委員  私も他の先生方のご意見の申込み順というのは基本的には賛成です。ただ提案された ご意見の医学的判定基準案、その他、精神的に一つでも多くの人を助けたいという気持 ちは、やはり加藤先生と同じように考慮すべきであると思います。技術的にでは例えば ここの1にあります時間差は極めて小さいというのは、どういう時間差を意味している のか分かりません。患者の待機というものを設けるのかどうかというのは、議論に登録 待機というのが入ってないと思います。その点からいきますと、こういう場合は、1は 非常に曖昧ですし、2はまずあり得ないということですので、何を想定されておられる のかというのはちょっとよく理解できないですね。  医学的判定基準案というのは、これから臍帯血移植を積み重ねて、我々が成績として 出すべきものであるのでしょうが、今はわが国の臍帯血移植については全くないといっ ていいと思います。それを基準というか、根拠にして判断するということは、恐らく受 ける患者さんが、自分が後ろにもしこの順位で回された場合に、納得される方がおられ るのかというのが、一番の我々にとっては心配の憂慮の原因です。  恐らく患者さん患者さんのご家族は、もし自分が移植を受けたいと希望されて、申込 みは先であったのに後に回されたとことになったときに、納得されるのかというと、納 得されないと思います。それを納得させるような医学的データは全くないというのが、 我々の方で逆に心配する事態です。  いろいろな点から基本的には申込み順しか我々としては責任をもって対応できないの ではないかと思っております。 〇浅野委員  誤解を生んでいると、申込み順で一人でも助けたいというのは、どっちとも思ってい る考え方です。この案でそういうことをいっているわけではないのです。無駄にしない という言い方であればわかります。無駄になるべくしないようにという精神はくみ取る が、一人だけでも助かりたいというのを、順番性で無視しているというのは、そういう 馬鹿なことはありませんから、その辺も誤解がないようにしてください。バンクに集め たコードブラットをできるだけ無駄にしないようにしたいという気持ちは誰でも持たな いといけない。皆を助けたいというのは皆が一緒です。 〇小寺座長  大体皆さんのご意見は出そろったと思います。私もこれの例えば理由の1とかですが 医学的判定基準案の2のところは、これをこのまま一般の人に出せるのかというと出せ ないですよね。これは臍帯血バンクが、どっちかというと戦場でこっちは助けるが、こ っちは助からないので、医療チームの力に限りがあるから云々という、その発想にこれ は近い。この方は勿論違いますが、結果的にはそうなる。だからこれに対しては、必要 にして十分な臍帯血を早く集めるということで対応するということでいいのではないで しょうか。そういうことで従来通りの決定でいくということでいいと思います。  ではもう一つ時間を必要とする部分があると思います。資料の2−2の説明をお願い します。 〇眞鍋係長  では資料2−2の説明をさせていただきます。先生方の方には金曜日にファックスな りで送らせていただきました。一部の先生には付着で月曜日になってしまった先生もお 出でかと思います。臍帯血の情報の共有・管理システムについてということで、こちら の方をご説明させていただきます。  こちらの方まず最初に事務局からです。実際にこれまでの議論と少し違う方向性のも のを今回ここに書かせていただいております。その理由も合わせてこちらの方で説明さ せていただきたいと思います。あとこの資料を出させていただいた趣旨に関しましては 前回第2回目の議論の一番最後のところで、実際に検索しているイメージはどうなのか 実際に提供に至るまでの過程はどうかということを、具体的にまずイメージできるよう ものを示すという宿題が事務局に課せられまして、それに答えるものでもあると考えて おります。では説明させていただきます。  A.データベースです。  臍帯血の情報を集めるデータベースということでございます。データベースについて は、臍帯血情報を、この共同事業の目標である2万件以上を管理できるものとして、集 中的に管理する臍帯血の情報管理PC(パーソナル・コンピューターの略)そういう端 末を置く。大きさのイメージとしては、普段我々が使うデスクトップよりも少ししっか りした、小さいサーバーくらいのものという感じであると思います。  B.そのような臍帯血の情報管理を行うパソコンと、各臍帯血バンクの端末との間の 通信体制及びデータの更新というところでございます。  こちらの(1) はどういう通信体制がいいかということです。第一種通信事業者の通信 サービス「全国一律料金」ということです。これは電話回線による通信でございます。 インターネット経由で臍帯血情報の通信を行うことは技術的には可能であるということ でございますが、情報の秘匿性、あるいは接続プロバイダーのメール容量の制限等の問 題があって、実際的ではない。つまりインターネットを使って各臍帯血バンクと端末を 結ぶのは現実的ではない。  また専用線、これは別に一本の線を引くことになりますので、こちらで専用線で臍帯 血情報の通信を行う方式は、設備に要する費用がかなり大きい、専用線を一本引くよう になりますので、これはかなり大きいということですので、これも実際的ではないとい うことです。いわゆる電話線を介して通信をするという今普段によく行われているよう な通信体制がよろしいでしょうということでございます。  (2) 各臍帯血バンクに登録されている臍帯血情報を定期的にというのは、これは各臍 帯血バンクで6か月後の検診で健康が確認された臍帯血が、これで保存できますという ことになりますので、それが万一数件あるいは1件なり2件なりが出てくると思います が、そういうものが各臍帯血バンクで新しく登録されてくるわけですが、それを臍帯血 情報を定期的に、例えば毎朝9時から10時くらいに、各臍帯血バンクからこの情報管理 端末に送信する。そしてこちらの情報管理の端末では全バンクからの臍帯血情報を一括 として管理する。臍帯血情報を管理している端末では、臍帯血情報のデータベースを一 定周期、例えば全バンクからの情報が集まってきた、それが最後に10時に集まるとすれ ば、そこから1時間でざーと更新する、そういうシステムは組めるであろうということ でございます。  C.臍帯血情報の公開方法ということでございます。  (1) これまでの検討結果です。これまでの検討結果ではセキュリティ確保等、つまり ハッキング防止等の観点から、一般の方々が自由に検索できるシステムとはしないで、 検索できる者として共同事業に参画している各臍帯血バンク、登録移植医療機関、協議 会がみとめた患者団体・相談窓口とこれまでの議論ではなっておりました。それはパス ワード等を発行して管理するということで、大体の流れできていたと私どもは考えてお ります。  今回事務局からは、実は今まで全然議論になってなかった案ですが、前回の宿題をい ただきまして、私どもで情報処理の専門家の方と何回かどういう形でご提案できるのか ということを相談させていただいているときに、専門家の方から提案していただいたも のでございます。  こちらの方の簡単な比較表が下に書いてございます。新たに提案されたシステムと、 これは後から説明いたしますが、従前のパスワード等によるシステムとでは、セキュリ ティとしては、今回ご提案する方が優れているだろうということと、検索を行える者は こちらでも限ることはできるのですが、これですとどなたが見てもいいようなシステム が組めます。  もう一つは事務局としては、パスワードを一回設けると管理が必要になる。つまり一 つのパスワードをずーと持っておく、それはどこにどう出ていくか可能性がわからな い。ある程度は一定期間で更新が必要である、するといつからいつまでのどこまでの パースワードがこうでということは、事務局の作業が入ってくるということでございま すが、新しい提案ですと、パスーワードを管理することはいらないということでござい ます。  私どもは非常に目新しいというか、今のやり方で非常に驚いたところであったのです が、事務局としては中間まとめに、患者等がという表現があったかと思います。中間ま とめには、地域毎の保存施設に保存されている臍帯血のHLA型等との情報を、イン ターネット上に公開すると、臍帯血を必要とする患者等が情報を得られる体制を整備す ることが求められるとなっております。  そういう精神からいうと、今回の私どもが提案をさせていただく方がよろしいのでは ないかというふうにご説明をさせていただくものであります。その詳細は次のDのとこ ろから書いてあります。説明させていただきます。  D.情報のセキュリティ確保と検索までの方法です。  検索にたどり着くまでの方法でございます。こちらは患者及び一般国民ということで ございますが、インターネットブラウザソフト、これはいわゆるネットスケープですと かインターネットエックスプローラといわれれるインターネットを見られる閲覧ソフト ですが、それを使用して、臍帯血情報管理端末、こちらが運営しているホームページ、 ウエーブサーバーというところに接続する。検索システムを利用したいというときには 利用する方のE−mailアドレスをそちらに打ち込む。すると管理している側からすると アクセスして探そうとしている人のEーmailアドレスは何かということが分かりますの で、誰かということがまず分かるということでございます。  その後に、Eーmailアドレスを探そうとしている人が入れた後に、そのEーmailアド レス宛に、そのアドレス固有の登録番号が送られてくるということでございます。つま り私がアクセスをして私のアドレスを入れたときに、では私のアドレス宛に登録番号が 返ってくるということでございます。  ですからたとえば私は別の人のEーmailアドレスを使って、自分が検索したことでは ないことにしようというふうにしても、すると登録番号は私のところには返ってこない ことになります。  次に、自分のEーmailアドレスと送られてきた登録番号の対になっているものを入力 することによって、検索画面に到達することができる、そういうシステムがございま す。  もう一度繰り返させていただきます。  まずホームページを閲覧して探そうとする場合には、自分のEーmailアドレスを入れ る。そこ宛に今度は管理している端末の方から、登録番号が送られてきて、Eーmailア ドレスと登録番号を一緒に入力することによって、検索画面にはじめてたどり着けると いう方法でございます。  E.です。するとやっと検索画面にたどり着けるわけです。  その検索条件を入力するということでございます。これはレシピエントの情報として 入力する情報としては欲しいHLA型の情報と、細胞数はこれこれこれ以上のものが欲 しい、これは患者さんの体重を入れることによって計算をすることができるシステムも できるかも知れませんが、細胞数というふうにここではさせていただいております。そ して連絡先です。電話番号でもいいかも知れませんし、Eーmailでもいいかも知れな い。こういうものを入力する。  すると、検索条件を満足する。この検索条件というのは、技術指針ではHLA型の1 座不一致、細胞数は入力してもらった条件です。臍帯血情報を提示すると共に、情報の 全てが利用者の先程のEーmailアドレスに送られてくるというシステムが組めるであろ うということです。例として、このような検索画面が出てくるかなと思って書かせてい ただいております。  左側の枠で検索画面と書いてございます。その下に(登録番号)「Eーmailアドレ ス」様、検索結果、右側に日付と時間が入ります。下にダーと並ぶわけですが、この数 は幾らでも設定できる、例えば100 なら100 でもいいですし、それ以上のものは表示し ないということもできます。その辺は自由かと思います。  そして登録されているバンク名とそのバンクで固有に管理している番号、HLA情報 と細胞数、後はその臍帯血が既に予約されているかどうかも表示できるようにしたらど うか、これは私ども事務局の案でございます。  右側に患者情報というものを付け加えさせていただいております。こちらは検索画面 には患者固有の情報ですから出さないということでございます。若干の解説として、バ ンク名の後に(管理番号)というのがございます。この管理番号というのは、下の方に 説明がございまして、臍帯血で管理している臍帯血検体に対する個別の番号ということ でございます。@で例えば5のところに@を付けてございますが、これは先程の共同事 業開始以前、つまりこれまでに保存されていたものである、共同事業によるものではな いが、これまでに保存されていたものも検索の対象とするということでしたので、その 旨は示すということでございます。それも出てくる。  あとはダーと並んだバンク名の連絡先は下に提示されるということで、これで具体的 な検索の画面になるのではないかと思っております。  F.2次検索(本検索)ということです。  これは先程の検討結果のご紹介で、登録医療機関の主治医が行うというふうになって ました。こちらでは、こちらの検索結果、つまりE−メールなりで送られてくる結果、 あるいは画面でみられる結果を検討して、当該臍帯血を保存している臍帯血バンクに直 接連絡しまして、そして臍帯血に関する更なる詳細な情報を得るということでございま す。  検討した結果、当該臍帯血を用いた移植を行うことが想定されたばあいに、臍帯血バ ンクに連絡して、検索の際に用いた登録番号連絡先と共に、管理番号を付ける。つまり ここでこの臍帯血を欲しいといったときに、登録番号と連絡先を入力することによって 確かに検索した者がこれを申し込んできているということが各臍帯血で分かるシステム になります。  そして、臍帯血バンクでは登録バンクと連絡先で検索を行った者の予約かどうかを判 断して予約を受け付ける、つまり誰かがでたらめにアクセスして電話して、これこれの 臍帯血をくださいといっても、この時に登録番号と連絡先が実際に検索したものの中に ないと、それはあなたは検索してないでしょうということになりまして、それは差し上 げられませんというセキュリティがかかるということでございます。  各臍帯血バンクは予約を受け付けた患者の情報及び予約が行われた旨を、直ちに、こ こでは直ちにと書かせていただいておりますが、臍帯血情報管理端末に反映させる。こ れは端末からの操作でございます。  ここでなぜ患者の情報と書いておるかと申しますと、前回加藤先生かと思いますが、 二重登録をどう防ぐかというご議論がございました。患者の情報を登録すると、つまり これは性とか生年月日で十分であると思いますが、性・生年月日を登録することによっ て、一日一回例えば業務終了時、あるいは朝にコンピューターの方で勝手に患者情報だ け、同じものがあるとかないかをチェックできますので、すると二重登録のある程度の 防止にはなるということでございます。  F.予約の解除についてでございます。  各臍帯血バンクは予約されたドナー情報は、予約から一定期間、これは議論を踏まえ て3か月間と書かせていただいておりますが、3か月間問い合わせ、つまりいつシッピ ングしてくれ等の要望がない場合には、予約を解除する。またその予約及びその解除は 各臍帯血バンクにおいてのみ行えることとする。そういうことで私どもとしては今回の 臍帯血の情報の管理の方法ということで、ご提案をさせていただいているところでござ います。  これが恐らく今までの議論とは随分違ったものとなっておりまして、委員の先生方に は議論を踏まえてないということをお叱りを受けたところもございましたが、私どもの 提案としてご説明させていただいたところでございます。以上です。 〇小寺座長  ありがとうございました。これは今までの技術部会で検討してきたものと、かなり違 ってきたものではありますが、頭の良い眞鍋さんがいろいろと考えられて、非常にユ ニークな案であると思います。ご質問ご追加をどうぞ。 〇浅野委員  時間がありません。私は前回に議長をやって、議長と事務局で一緒に考えて提案をし ますと言いましたが、私は時間がなくって大変に申し訳ないです。小寺先生にも相談を かけなかったのです。そういうことをまず謝ります。それから眞鍋さんのご苦労に感謝 申し上げます。  ただ、これは非常に重要なところであって、流れが皆さんは分かってないから、運営 会議の方もいろいろな問題を起こしていると私は理解してます。そういうことで私も今 日は実はご批判をうけるために、今までの論点からご意見が決まったところはなかった と思うので、それで今日は急遽、3月30日の技術専門部会用メモとして出させていただ きました流れです。ちょっと見ていただけるでしょうか。  臍帯血移植の流れ、これは患者さんが一番上にいるわけです。患者さんは当然この移 植に関しては移植医専門家と相談します。これは絶対にあります。それで移植医と適応 について相談することになります。そうして移植適応がありと判断した場合に何を選ぶ のか、骨髄移植を選ぶのか、臍帯血移植を選ぶのか、移植医との判断がございます。一 番大事なのは最適な移植時期はいつかという問題が出てくるわけです。最適であってし かもこの方であれば、臍帯血移植を受ける、受けた方がいいだろうと移植医も患者さん も家族の人も判断したときに、それで初めてここに検索が入る、検索です。  だから一般国民が全て検索するわけではない、必要に応じて検索をするということを 忘れてはならないと思います。そういうことで患者さんの立場に立って、一緒になって 考えるドクターが一緒に検索することになると思います。必要に応じて、検索するとい うとになります。私はここで敢えてパスワードと書きましたが、PWがここで入る。こ こで検索条件を入れることになるだろうと思います。  それで初めてその中に何例か、例えば1ローカルミスマッチでないと困るとか、いろ いろなことが出でくると思います。その中に10検体くらい出てくるかも知れませんが、 先程眞鍋さんが言われたような画面が出てくるでしょう。そこには保存期間なども当然 入ってくると思います。  一番大事なのはどこにあるのかということです。細胞数が幾つかということです。1 ローカスか2ローカスミスマッチかということです。それでドクターと患者さんが判断 して、これに決めましょう、私はこれでいいと思いますという形で一つ選ぶことになり ます。後は、どういうことかというと、決めたら今度は正式にHLAも全部書いて申し 込む、これはどういう形で是非とも決めないといけない問題であると思います。イン ターネットから打ち出した書類に、正確に書いて、責任者の責任で申し込むことになる と思います。  いつ移植をするかという形です。それを出して、そのバンクに直接に今度は申し込む ただし直接に申し込んだ場合に、同時に中央データセンターにも申し込んだということ を確実に知らせないといけない、コピーは送る必要があるだろうと思います。その流れ であると思います。  いつ臍帯血を送るかというこのは、移植日の前日かあるいは当日になる。とういうこ とは無駄にしないためです。  ですからこの流れというのは必要であると、この間の議論になったわけですが、この 流れを考えると待機とかは考えられないですね。  先程も疑問にあったように1分1秒の差とかということはないのです。そういうとこ ろをこの流れが最初から必要であると、私はずーと申し上げているのです。だから1次 検査2次検査もよくわかりませんといってきたわけです。1次検索2次検索、むしろ1 次検索と申込みということですね。僕はこう思ってます。ただこれが個人的な意見かど うか皆様に聞いていただいたらと思います。すると随分違うのではないか、システム上 ね。 〇小寺座長  あとは意見としては京都赤十字の横山先生の方から従来のPW法がいいという席上資 料が出でいると思います。今日は横山先生がご欠席です。 〇加藤(俊)委員  この新しく提案されたシステムですが、拝見しまして、私が当初こうあったらいいの ではないかということを意見申し上げていたものと非常に近いので、非常に驚き、まる で私が作ったような印象を受けるところもあります。ただ議論の流れは、いろいろな現 場での混乱を回避するためにということが優先されまして、PW管理、移植認定病院か らのみの検索ということに議論が落ちつきつつあったと理解しております。  浅野先生が今日提案されたことと、真鍋さんから今日出てきたことと、そうかけ離れ たものではなくできるのではないかと感じたのです。真鍋さんから出てきた、新しいも のとこれまでのものの対比の表がございます。この中で検索をできる人、者という言い 方はやめませんか、お上の旧態依然とした姿勢が感じられて、人がいいと思います。こ の検索を行える人は、患者さんがやっても個人的にはいいと思うのですが、ここでの議 論は主治医がやる、あるいは移植医がやるとなってましたので、このアドレスでの管理 を予め登録されたアドレスだけにしてしてしまえば、そこはパスワードと同じになって いくわけです。ですから技術的にはそう難しくないと思います。  あとは浅野先生がお示しになった流れと、そこから先の動き方はそう矛盾がないよう に思います。最初にアクセスできる人をどうするのかというそこのところだけが二つの 提案では違うのではないかと思います。  些細なことですが、浅野先生、先程の提案の中で待機というのは1回目で見つからな かったが、その後、臍帯血が段々増えていく中で出てくる人を待機といっておられるの ではないかと思います。 〇小寺座長  少し整理します。浅野先生の先程の点でちょっとひっかかる点というか問題になるの は、この技術専門部会の第1回のところで、検索の方法というのがあるのですが、これ が一応ここでは確認されているのです。1次検索と2次検索を分ける、それが一応確認 されている。それで1次検索の手段はインターネット上あるいはファックスでやって、 かなりの人かこれにアクセスできるようにする、2次検索は当然、移植医が当該臍帯血 と交流するものを2次検索と呼ぶということになっているのです。  今問題になるのは1次検索はこの前までの議論ですと、確か移植関連病院、その他プ ラス患者会とかまで広げるということになっていたわけでしょう。そこが問題ですよ ね。 〇浅野委員  この定義は実は前にもいろいろ問題になっていて、恐らく皆さんのご意見は違うので はないかという提起はしたと思います。私が今書いてあるのは確かに1次検索2次検索 といってもいいのです。例えば最初の2番のところに検索と書いているのを1次検索と いってくださってもいい。3番目に書いてあるものを申込み2次検索としてもいい。同 じことであると思います。  だから加藤先生が言われたように殆ど問題はない。ただ出発点として先程の待機とい う問題とか、全員がアクセスするという一般国民という問題は、流れの中で相当考えて いただかないと大きな誤解を生む恐れがあるということでございます。 〇小寺座長  そこで、要するに患者会とか一般国民の方に、この前までは制限されたもの、パス ワードをもったものということになるのですが、そのパスワードを持つ人は、必ずしも 移植病院であるということではなかったと思います。患者会とかがあったと思うのです が、そこになると、今事務局から出された提案は、パスワードというのは、どんどんそ れはたらい回しされるだろう、結局はすそ野が広がって、誰がどうやっているのかわか らない。そういうことを防ぐという意味で、これははっきりいうと逆探知ができるので すよね。だから逆探知システムの方が、最初から検索を行える人は、すそ野を広げてお けばいいし、パスワードの管理も不要であるということで、しかしセキュリティは一応 はかかる、意図的に悪さをするような人がいれば、キャッチできるというようなことで この方がよりいいのではないかという技術的な問題であると思います。 〇三間屋委員  僕の理解ですと先生の考えは、当然移植に関しては移植医と相談を患者はしますよ ね。相談した患者さんに関しては自由に検索できるようにしようというお考えですよ ね。た、移植医と相談しない方が、患者さんが自由に検索するということとは一線を画 するような感じがします。 〇浅野委員  先生がおっしゃる通りであると思います。これはこの目的という目的論からいえば、 移植をしたいからアクセスするわけです。ただそのデータがどれだけありますというこ とでやるわけではない。その目的から合わせれば当然のことながら、患者さんがドク ターと相談しないとアクセスできません。ではなんのために全部をオープンにする必要 があるのでしょうかということを逆に考えていただきたい。  だからもし1次検索をその意味で捕らえているのであれば、大きな間違いであると僕 は思います。  だからアクセスをする必要があるときに、ドクターと相談して、移植医が自分で決め るわけにはいきませんから、必要があってその必要なものを全部オープンに出しましょ う。必要に応じてアクセスできるようにする、そのアクセスできる全てのデータはオー プンです。アクセスで得られる情報はね。誰が申し込んでもというか、医者が患者さん と相談して必要に応じて申し込むそれは全部オープンである。公開というのはHLAの データを全部公開することではないということです。 〇朝浦室長  今浅野先生がおっしゃったことを担保する意味で、我々が事務局で出している2次検 索です。この2次検索は主治医が行うということにしているわけです。1次検索におい て、全国民に開放するシステムを提案している理由としては、これまでのご議論を聞い ていると、ハッカー対策のためにオープンにするのはシステムの設計上非常に不味い、 ということが一番大きな理由ではないかというふうに考えておりましたものですから、 もしそこがシステム上十分に犯人探しができるシステムであれば、そこは十分に担保で きる。そういうシステムであれば、1次的な検索は全国民に開放して、その時点で情報 を得て、最終的な2次検索は主治医か行うという仕組みを作っておけば、先生がおっし ゃっているような懸念は、払拭されるのではないかという感じはするのです。 〇浅野委員  またご批判を受けないといけないと思うのですが、今言われている1次検索は何のた めにやるのか、朝浦さんが言われたことですか、それはただ眺めるためですか。 〇朝浦室長  情報を得るということでありますね。 〇浅野委員  だから情報を得たいときは、その必要があるときです。それでちゃんとそれが得られ る、情報が全てオープンで必要な人はオープンでみれるというのが必要である、それが 公開性です。 〇加藤(俊)委員  浅野先生、もう少し具体的なことを考えて議論をすると、もう少しかみ合うかと思い ます。ある患者さんがこれからされると思うのですが、移植認定病院というところでな い施設で治療を受けておられる。その方が、いろいろな選択肢として、骨髄バンクから の非血縁者間の骨髄移植もある、あるいは臍帯血バンクからの非血縁者間臍帯血移植も ありうる云々という幾つかの選択肢で、どれを考えていくかということを判断する、あ るいは考える材料として、必ず移植病院にいかなければ、その情報が得られないという ことに、ここで1次システムまで限ってしまいますと、その方は恐らくその方の治療機 会を遅らせてしまうと私は思います。  ですから、これまでのここの検討会で行われた患者さんたち、一人一人全部というの がもし無理であるとするなら、私はそれでもいいと思っているのですが、それが無理だ とするなら、それなりの認可された団体を経由してとか、そういうルートで認めるとい うこれまでのことでいいのではないかと思います。 〇浅野委員  私はちょっと別の会議があるので先に述べさせていただきます。先生がおっしゃる移 植が必要かどうかということを考えるときに、HLAデータまで必要なのかということ です。それから必ず今のドクターのシステムというのは、必ず他の先生、専門家に相談 しますでしょう。移植の専門でない人が、ドクターは必ず他の移植の専門の先生と相談 した上でやると思います。その段階で次のステップとしてHLAの合っているという形 になるのではないでしょうか。 〇加藤(俊)委員  そういうことではなく血液専門医の中にもこの認定病院の中に入る人とそうではない 人が歴然としておられるわけです。それで自分のところで移植もやっているが、いろい ろな条件でまだ満たされてないので、患者さんをこの認定されているところに紹介して お願いをしないといけないという責任があるわけです。  その方が何の情報も目の前になくって、患者さんと相談しろといわれてもそれはでき ないことではないでしょうか。 〇浅野委員  そうではなく移植施設というのはいろいろな順番待ちとかいろいろなことがあって、 いろいろなことで束縛されます。 〇加藤(俊)委員  だからそれはまた今度は幾つかある移植施設から選べばいいわけです。 〇浅野委員  そうではなく、僕等血液をやっている連中も、僕らもそうだが、他の治療をやってい るところで僕等がやってないときには、必ずその専門の先生を紹介して、このような可 能性があるかも知れないから、その専門医のところの移植の先生のところにいってくだ さいといいますよ。だから自分たちのところにキープしないという姿勢は医者にはある と思っています。 〇加藤(俊)委員  それはいいのです。それは何の反論もありませんが、そうではなく、もう少し開かれ たものにしておかないと、患者さんたちは行き場がなくなってしまうことになる可能性 があるのではないかと思います。 〇西平委員  今の加藤先生の議論は、既に前にも何回か討論されていると思うのです。こういう造 血幹細胞移植というのは臍帯血移植だけがあるわけではないので、その前に例えば骨髄 バンクに相談しないといけないとか、その場合にも既に相談している可能性は非常に高 いと思うのです。だから必ずそういう患者さんが専門医ではないからどうこうというの は、地域のバンクに相談するということでクリアできるのではないかという話しになっ たはずだと思うのです。ですから探すことはできないということはありえないと僕自身 は思っているのです。  それで、ここで出てきたものを見ますと、これでいくと各地域のバンクのいろいろな 審議委員なり判定委員会なりが全く機能しないような感じになってますよね。そして主 治医が、細胞数も合ってます。HLAも合ってますというのでバンクに直接これを頂戴 と強引に言う可能性は出てくると思うのです。そういう危険性はこのシステムは非常に 高いと思います。  今までの議論でいくと、浅野先生が出している臍帯血移植の流れ、この順序でいって 現在これは我々がやっているのと同じですが、問題はHLAの検索を、浅野先生のもの の真ん中にあるものを、いかに早く正確に見つけることができるのかということだけだ と思うのです。それをどうするのかというのが一番のポイントであって、それより以前 の移植の適応とかは患者自身と主治医と相談の上で決めるというふうに、前から皆さん はいっていると思うのです。自分自身が移植の適応があるとは患者自身が決められるわ けはないですよね。主治医と相談して、むしろ主治医指導になるかも知れませんが、そ ういう手順を踏んで初めて移植にもっていく。  そのHLAをどうスピーディに検索できるのかというシステムを考えているわけでし ょう。そこだけの問題だと思うのです。 〇小寺座長  これはかなり根本的な問題があります。少なくとも昨年の8月までに行われた検討会 での最大の論点の一つであった、HLAは権力である、という考え方が患者さんの中に はあるわけです。今の先生方のお考えは、お医者様の考え方である。例えば今骨髄バン クで中央データセンターに一括してあるHLAの権力が、9つの臍帯血バンクに分散す るにすぎないのです。  ですからこれは今までの検討会の議論に耐えないです。この意見だとね。私はHLA は一次情報は開示されるというのが、多分この臍帯血バンクの非常に新しい顔というか システムなんだろうと思います。それをもって移植医のところに相談に行くとか、主治 医が移植医でないなら主治医に突きつけて迫るという、そういうことが、多分患者さん の方としては望んでいらっしゃることだろうと僕は思うのです。  浅野先生や皆さんの意見はよくわかるのです。僕も移植医ですからね。それでいいの だろうと思っていたのですが、僕は検討会の雰囲気は違うと思います。 〇浅野委員  それは誤解だろうと思います。やはり受ける一般の方というのは受けたいから受ける のであって、必要であることはお医者さんに判断してほしいのです。あるということだ けで受けたいといってもらっても、正直いって僕等は困るわけです。本人がHLAが合 っているといってもね。それは医者としては僕等はしっかりした姿勢をもって言わない といけないのではないかと思います。 〇原委員  基本的な医療は、浅野先生がおっしゃっているように、ドクターである主治医と相談 して治療方針を決定するということだと思うのです。ただ問題になるのは、小寺先生が おっしゃられたように、患者さんの側に非常にHLAに対して、身に沁みて小寺先生が 感じておられると思うのですが、そういう意見が一方には確かにあることは事実です。 大きな意見かどうかは別にしてね。ただそれを我々としてはある程度対応しないとなら ないのだろうと私自身は思って、実は検討会の中間まとめの案になったのだろうと理解 していたわけです。  その妥協点というのが、患者さんの団体あるいはボランティアの団体に、ある程度ア クセスできるようにするということであったのだろうと思うのです。それが一般の国民 の方全体にというのは、恐らく臍帯血バンクとしては、そういう方針を決めると非常に 大混乱を起こすのではないかと私自身は思っております。  患者さんが勝手にアクセスするEーmailアドレスがあるからフォローできるではない かとおっしゃいますが、今度はEーmailアドレスが主治医のいったときと変わるわけで す。管理できなくなるわけです。どんどんとEーmailアドレスが変わっていくわけで す。恐らく主治医から入ってくるEーmailアドレスは違いますし、移植機関にいけばま た違うということになると思います。  そういうことをフォローすること自身が、臍帯血バンクにとっては非常なる負担にな ると思います。怪しいかどうかとを一々チェックしないとならないということは、かな り負担であろうと思います。だから初めから加藤先生がおっしゃったように、登録され たEーmailアドレスからアクセスするという形は、非常に良い案だろうと思いますが、 一般の国民の方にEーmailアドレスを登録すれば、どこでもアクセスできるというのは 少し混乱をもたらす大きな原因になるのではないかと、私自身はこの案を読んだときに 心配しております。  絶えず患者さんだけがアクセスするのであればよろしいのですが、恐らくこれは同じ 患者さんについて主治医があるいは移植機関の主治医がというふうに、次から次に変わ っていく可能性が非常に高いので、それをフォローできるのかどうか、あるいはそうい うフォローするような余裕が臍帯血バンクの方にあるのかどうかというのは、恐らくな いのだろうと私自身は思ってます。個々の臍帯血バンクには少なくともないし、恐らく 中央にもないだろうと思います。  そういう意味では加藤先生がおっしゃったように、ある程度Eーmailアドレスを登録 してアクセスする。そして先程言われたような、HLAが権力だとおっしゃるような方 の意見も、ある程度は取り入れて、アクセスできるようにするということが、中間まと めの妥協点であったような気がするのですがいかがでしょうか。 〇三間屋委員  これはまさに医療不信ということにも係わっているのかなという感じがします。だか ら患者さんの権利というか、本当に医療者を信頼しているのであれば、お願いしますと いう形になるのだと思うのです。そこに尽きるのかなという感じがするのです。だから 情報公開は確かに必要であると思いますが、それによってこのシステムが非常に複雑に なって、逆にやりにくくなってしまうことがないのか、その辺の議論が必要かと思いま す。 〇矢崎委員  今原先生が言われたり三問屋さんが言われた通りだと思います。医療の根源の患者さ んと主治医が話しをして、そこで情報を主治医はしっかり公開して、そこで相談して方 針を決めるというのが信頼関係の根本であると思います。  そういう信頼関係が巧くいかないと、HLAが権力になるのだという話しになるのだ と思います。そういうことが今まで言われていたというのは、僕等の医療側にも問題が あったのかも知れません。それは反省する。  最初の治療が化学療法でいいのか、あるいは移植がいいのか、あるいは移植の中でも どういう方法がいいのかというのは、そこで話しをしないといけないと思うのです。そ れは移植機関ばかりではなく、化学療法を主体にしている医師のところで相談すること もありますので、それについはある一定の基準を設けてということで今まで話し合って きたので、そういうところからアクセスできるようにして、それをチェックする方法と してEーmailというものもいいかも知れません。  その他に情報公開としては、移植の成績なり、今の検討会で言われた情報をしっかり ホームページで流すとか、移植だけではなく移植と化学療法あるいは他のインターフェ ロンの療法とか、いつもそういうものを更新して流すことによって、患者さんにも医療 側と同じような情報を与えるということで医療効果になると思います。 〇小寺座長  論点で二つあります。一つはEーmail方式は仮に制限されたものということにしても 別にできないことはないわけです。パスワード管理がいらないとか、逆探知ができると か、そういうことでシステムとしては優れていると思うのです。これを取り入れるとい うこと自体は、皆さんあまり問題はないのではないかと思います。問題はではそれを結 局はパスワードと同じですが、一般国民からアクセスできるようにするのか、ある程度 は限られた人にするのかということになるのです。  ここについては先生方皆さんがそうおっしゃっているが、多分この医者の集まりでい くら話しをしてもしょうがないです。もう少し親委員会の方でもう一回だけ話しをした 方がいいと思います。それでこういうご意見で納得されれば私は構わないと思います。 ある程度制限するのか、それとも誰でも情報を見られるようにするのかというのは、か なり大事な問題であろうと思います。 〇高橋委員  前から随分議論されてここで決まりましたように、検索できるのは、主治医と患者と ボランティアなり患者の会である、とというのが一応決まりましたですね。だからその 線に沿って行くべきであると思います。ただ誰でも開けるというのは問題であって、僕 はちょっと懸念しますのは、今はそれぞれのバンクがいただいたものは、全部インフ ォームド・コンセントをいただいて、それぞれのバンクに対して患者さんのために使う ということを明記していただいています。全ての国民にHLAを全部公開するというこ とは一切言われてないわけです。ですからインフォームド・コンセントがどう明記され ているのかというのが大事であって、これは国民全部に公開するのが、果して今許され るのかどうか、そこをきちんとしないと大きな問題になると思います。  患者さんのためにということについてはアグリーしていると思うのですが、情報全部 を国民全部に出すというのは大きな問題があると思います。 〇小寺座長  皆さんは一応制限されたものからということですね。 〇浅野委員  情報公開という問題に対して、僕等はあまりにも過敏に成りすぎているのではないか と思います。さっきのインフォームド・コンセントは非常に大事だし、今先程矢崎先生 からお話がありましたが問題、三間屋先生からもお話しがありましたように、私のこの 流れ図の中で、一番不信感を得ているのは1番目の問題と2番目なんです。それをちゃ んとやってくれてないのではないかということで、HLAが本当は合っても調べてくれ てないのではないかとかいうことです。そのところが問題になって、それをインフォー ムド・コンセントもなしに、全部おおっぴらに全部出すという形は取る必要がなくて、 この1と2をちゃんとやる。今までと違ってインターネットで直ぐにアクセスできるの です。  ちゃんとこのガイドラインがでれば、医者はどなたでも皆さんはパスワードは適応が あれば必ずやる、あるいは迷っていてもやるわけです。だから今度はそういう不信感は 起こらない。それで全国の各バンクからの情報が、その1点で目の前で見えるというこ とです。それに嘘がありますか。  もし情報が公開されないと怒る患者さんがいるとすれば、その先生が一つも適応があ るかも知れないということに対して、十分な説明をやってくれないとか、ないというこ とを、ないならないとはっきりいってくれないということであって、そういうことで不 信感が起こっている。だから次のステップ、この最初の1と2でHLAを全部公開しろ ということとはちょっと話しが違うと思っています。私はそのように理解してますので 是非親委員会にでもかけていただく。 〇小寺座長  1番目と2番目のことは、これこそ本当はイロハというか非常に大事なところです。 これがやられてないということがあるとすれば、これは問題であろうと思います。  時間に限りがありますので、この技術部会ですから一つはパスワード方式にするのか Eーmailアドレス登録制にして、今日の事務局からの案でいくのかということです。こ の点についてご議論を願いたいのです。 〇眞鍋係長  ご意見を拝聴させていただいておりました。恐らく二つ論点がございます。いかにセ キュリティを確保するかということと、それから後は見れる人を誰にするのかというこ とです。検索出来る人を誰にするのかという二つの論点であります。  セキュリティ確保という観点からは、これは私が考えだしたシステムではなく、今の 情報処理の専門家では、このようなやり方の方がIDパスワードよりもセキュリティは 確実に担保されますという方法なんです。事務局からこちらのEーmailで登録番号を送 られるというシステムをご紹介させていただきましたが、このシステムでやっても、検 索する方を制限することはできるのです。ですから、セキュリティとしては、今回提案 させていただいたものの方が恐らく高いであろう。あとは、検索を行える人をどうする かということであろうかと私どもは認識しております。 〇小寺座長  システムはこれでいくということですが、すると制限された者ということになります ので、ここをちょっと最終的に技術部会では詰めておかないといけないかなと思うので す。これは皆さんご意見はありますか。この前ですと、移植病院とある種の患者さんの 団体という程度であったと思うのですが、その辺でよろしいでしょうか。 〇浅野委員  PWのことです。先程もPWの管理は非常に難しくなるとおっしゃっていた、逆では ないですか。Eーmailだと一つの医療機関の責任者がはっきりしなくなります。個人の ものもそうです。PWだと医療機関の長に責任を持たせてそれを管理させることはでき ます。違うのではないですか。Eーmailで登録番号を渡すというのも不思議な考え方で はないか。PWは管理はできます。それはどういう形で管理ができないといっているの かよく分からないです。 〇眞鍋係長  できないと申し上げているのではなくて、IDパスワードというシステムを使うと、 それはずーとそのままでいいわけではなく、ある一定の期間で更新が必要であろう、と いうことはリストを持っていないといけないという話しです。そういうものに関してす ると、施設の長の先生方に、例えばIDはこれでパスワードはこうですとお渡しして、 するとその施設内で使えるということに恐らくなると思うのです。  すると私が相談させていただいた中では、医師は忙しい、それでいつもいつも何人も アクセスできる時間的余裕はなかなか厳しいのではないか。するとどうしても何人かで 共有するということが起こってくるのではないかということもご指摘があります。こう いうことを私がいっていいのかどうかですが。そういう可能性はあり得るということは お聞きました。  今回のEーmailですと、アクセスしてきた人が誰で、そのアクセス番号登録番号があ れば、確かにそれは検索した者であって、その番号をもって、臍帯血バンクに問い合わ せをすれば、確かにそれは問い合わせをした人であるということがわかる。でたらめに 電話をかけてきて、あなたのところの臍帯血バンクのこの番号のものを下さい、検索し ましたといってきている人ではないということで、提供の方にもセキュリティがかかる つまり滅多やたらに欲しいから下さいといっているわけではないということも、セキュ リティの確保という意味ではあるのかなというふうに考えております。 〇小寺座長  これは逆探知がきちんとできるという点では、僕もこれは全くはっきりいって素人で すから分かりませんが、いいのではないかと思います。問題は、制限されたものにそれ を渡すということについてよろしいでしょうか。 〇朝浦室長  制限された者にするという場合に、第2回目の専門部会で、登録医療機関以外の主治 医のアクセスについては、協議会の認める専門医、認定医に限りということが、この場 で合意されておりますので、それの具体的な範囲については、今後協議会が立ち上がっ た段階で、もう一度具体的な詰めを行っていくという形になろうかと思います。もし制 限されたものという形になればそういう形になります。 〇小寺座長  私はそこを、PWではなくこういう方式でやるということになれば、それ以降、この 制限をどこまで緩めるかとか、どこまで絞るのかというのは、協議会の方でされれば、 別に構わないと思います。ただ協議会の方として、ここで検討してくれていたはずであ るというふうになりますと困りますので、ここで一応は確認しておきたいと思います。 これは協議会に持ち越すというか、一応の案はありますが、今後いろいろと流動的です ね。患者会とか一般の人とかあると思うので、それは協議会ということでよろしいです か。 〇浅野委員  よくわからないからとか、そういうことでPWは駄目ですという結論はしてほしくな いのです。なぜかというと、次のプロセスも考えてみて、パスワードではなくEーmail だったらどういう問題が起こるのかということを、もうちょっと考える必要があるので はないでしょうか。PWだけではないのです。IDカードというIDがちゃんと付くの です。そうすれば逆に良い面が非常に出てくるのです。  施設としてこの移植に対して慎重でなくてはならないという施設長の許可がいるので す。そのくらいの施設長の認定、そういうものをやっていきましょうという説明も必要 ですし、それに対する責任も出てくるわけです。  ですから私はEーmailでやるよりも、ちゃんと検索する条件の中に責任者の名前も書 けとかID番号を書けとかをやってPWを使ったら、そこまでは出してもいいのではな いか、その後で3のところにも書きましたが、その時に今度はどうやってセキュリティ が守られるわけで、次の申込みの段階です。  ですからそこだけを議論してもしょうがないのであって、流れを書いたのはその意味 です。その流れの中で議論をしてほしいと思います。全体の構築の中で議論してほしい と思います。だからPWではいけないという議論で終わってほしくないと思います。 〇加藤(俊)委員  浅野先生、段階ですが、先生がおっしゃる責任者その施設の長の責任というのは、移 植をするしないというところでは当然あるべきですが、その前の前の段階、今は1次検 索とか2次検索という言葉がありますが、ひょっとしたらその前の段階で、臍帯血バン クがどこにあるのかわからないが、日本のどこかには少なくとも一つあるいは幾つかあ るのだというような、今の骨髄バンクでやっているような事前検索、あの程度のものが できる、技術的には非常に簡単なことであると私は思いますので、そういう考えで、最 初の段階。  次はかなり限定した人しかアクセスできない検索システムという2段階を置くという ことで解決できませんでしょうか。  つまり1抗原ミスマッチまでの臍帯血が日本のこのシステムの中に、今現在保存され ているものがあります、ありません、ということだけでも話しは大分違うと思うので す。ないのであれば、最初からそこにアクセスしてもしょうがないわけですからね。だ からあるのであれば、では移植病院に相談しにいこうかというような、そういう患者さ んにとっての柔軟な対応ができると思います。  私は情報公開とずーと申し上げているのは、隅から隅まで公開するというのが情報公 開とは必ずしも思っておりませんで、まずは大きなことがあって、細かいことは次の段 階で調べていってもいいということがあってもいいのではないかと思います。  IDカード、PW、Eーmailアドレス云々というのはあまり大きな議論をしてもね。 〇眞鍋係長  Eーmailに対しては、まず登録番号が送られてまいります。その登録番号は一対のも のでありますが、恐らくその日あるいは数時間後までしか有効なものではない。つまり 例えば私がEーmailアドレスをもってまして、アクセスをします。それが数分後に送ら れてまいります。それは恐らくその日限りで有効なもの、あるいはそのアクセスの限り に有効なものくらいのイメージです。例えば次の日に私がまたアクセスをして自分の同 じEーmailを入れても、また別の登録番号が送られてくるというシステムであります。  自分から入れる番号としては、送られてきたものと自分のEーmailアドレスを入れれ ば検索画面にたどり着けるわけです。次の日にアクセスしたら、また数分後に送られて きたものを入れてアクセスすれば検索画面にいける、というようなシステムです。です からIDパスワードとは違った発想です。  それはコンピューターで自動管理ができて、Eーmailをいれて、この日の日付を入れ てこの日のものとなりますので、恐らくコンピューターで全て処理できるものではある と思います。 〇小寺座長  加藤先生のお話で少し戻りかかったのですが、そのセキュリティについては、これは 一応こちらのEーmailシステムがよろしいということですので、僕はPWかどうかとい うのはあまり問題にはならない。むしろ逆探知という点で非常に大事な機能をもってい ると理解してますので、それでこれでやっていくということでいいと思います。  問題は、制限された者、これは人と呼ぶということになったそうですが、制限された 人にするというときの、その制限については、では検討会の方でもう少し具体的に考え ていけばよろしいという結論にいたしますか、それでよろしいですか。 〇朝浦室長  検討会というのは親検討会ということですね。 〇小寺座長  そうです。または4月以降、協議会が立ち上がれば協議会の、常に不断の作業ですよ ねある時に決めたら、それで固定するわけではなく動くと思うので、そういうところで 検討するということでよろしいでしょうか。加藤先生それでよろしいですか。  ではそういうことで一応はこの事務局からの考えです。ただ患者一般国民ということ については、疑義が多かったということについては確認しておいてください。このこと については親委員会ではもう一度納得はしてもらう必要はあるだろうということです。 時間はあと5分です。最後に資料の3があります。この技術専門部会の答申の案です ね。これは3回しか開いてないのですが、皆さん熱心にご議論をいただいて、今日まで のまとめの案が出ておりますので、ちょっと説明してください。 〇浅野委員  すみません。私のメモの最後のところに書きました、使用されなかった臍帯血の問題 です。ぜひ議論していただきたい。元々はまずはそのようなことは起きないシステムに することが当然大事です。ただやむを得ず使用されなかったときというのは起こりま す。患者さんの病態によってね。その時には無駄にしないことというのを大事にしてい ただきたい、それは唯一できるのがこの事業ですから、研究用に使うということをちゃ んとインフォームド・コンセントで使いながら、この形でやっていただきたい。そのシ ステムを確立する必要があるだろうと思っております。無駄にしないということです。 〇小寺座長  これは最初の頃から討議されていたことですが、予めそういう臍帯血、例えば臍帯血 関連の研究用に使われることもありますということを、あらかじめ採取する前にインフ ォームド・コンセントをするということであったと思います。 〇眞鍋係長  おっしゃる通りでございます。中間まとめの中で目的外利用の禁止についてという原 則がござます。原則として目的外には利用しない、ただし使用されなかった臍帯血につ いては、臍帯血移植に関連する研究に限って、予め妊婦及びその配偶者の承諾を得た上 で利用することができるという書き方になっております。  これは採取をして、保存するには細胞数が足りないとかを想定しての目的外利用の禁 止という条文ではあるのです。 〇小寺座長  これは勿論採取する前に文書としてインフォームドしておく必要があります。最初に 申し上げましたように、これは確かに遺伝子の宝庫ですし、その意味では今後の基礎研 究の進歩によっては、際限なくこれは利用価値が出てきますが、それは誰の所属なのか という問題になってきます。基本的には臍帯血関連の研究事業ということに限っていく ということになると思います。しかもそれはインフォームドされてなくてはいけないと いうことでよろしいですね。 〇加藤(俊)委員  浅野先生が今日出された中で、さっきちょっとおっしゃったのですが、搬送日を当日 か前日にするというのは、これは非常に危険性が大きいので、前処置開始の前日くらい にしていただかないといけないのではないかと思います。 〇原委員  資料3の2ページには焼却となってます。登録移植機関に一旦搬送された臍帯血が使 用されなかった場合、その理由如何によらず、当該臍帯血は焼却されなければいけな い。となってます。ここはひっかかったのです。 〇眞鍋係長  ここはまさに小寺先生がおっしゃってくださった論点でございます。事務局としては ここで一番厳しい案をここで出させていただいております。一回シッピングされまして 使わなかった場合に、その臍帯血は共同事業に戻すことはしないということは明確にさ れております。戻さなかった場合にそれをどうするのかということでございます。する と登録移植医療機関の方で、氷らせてある臍帯血が物としてあるわけで、それの取扱い に関してどうするのかということを、先生方にまさにご議論いただきたかった。事務局 としては一番ストリクトの案で出させていただいたところでございます。ここは先程の ご議論の延長でどうさせていただいたらよろしいでしょうか。 〇小寺座長  焼却というのは物騒な言葉ですね。しかしこれくらい厳しく管理する、不必要なもの をいつまでも溜めて、誰かの思いつきで使うということがないようにということです ね。 〇朝浦室長  臓器の移植に関する法律という法律があって、そこでは目的外使用の禁止は非常にス トリクトに決められておりまして、そこでは厚生省令で定めるところにより処分する、 使われなかった臓器については、処分するということになってます。厚生省令で焼却す るということになってます。これは移植医療に関する医療不信のようなものが根っこに あって、国会審議の中で臓器移植にかかって摘出された臓器を、別の目的に使うことを 非常に制限している。研究用に限らず教育用にも使えないという流れが実はあります。  その辺のところを臓器移植の方も研究用とか教育用に使わせてほしいという声が非常 に強いのは事実ですが、決まりとしてはそのようになってます。ここで焼却と書いてお りますのは、実は厚生省の規則に書いてあるので、それをたまたま用いたということで ございます。  臍帯血移植につきましては、恐らく中間まとめで書いてありますように、臍帯血移植 のルートに乗せないものについての研究目的での使用というものはある程度は認められ ているのだと思いますが、一旦乗せたものが使われなかったというものは、まだ親委員 会でも議論してなかったと思います。ですからその辺の取扱いについては、勝手に研究 用に使うとか教育用に使うというところが、誤解を招くような方向に向かうと不味いと 考えております。その辺をきちんと、ちゃんとした形で使用するというところを担保し ないと、なかなか国民の理解は得られないのかなという感じは事務局としてはしており ます。 〇小寺座長  これは事務局の感覚が正しいのだろうと思います。我々としてみると自分の手を縛る ことになりますが、縛っておいてもいいわけです。これは曖昧にしますと、何か事が起 こったときに、一気に不信感がでてきますし、これは骨髄バンクでも凍結保存は依然と して禁止しております。分割して一部を保存するということも禁止しております。これ は今も変わってないです。同じ縛りは臍帯血にも置いておいた方がいいと思います。  フリーハンドがなくなるのではないかとお考えの先生もあると思いますが、この言葉 は残すということにします。 〇三間屋委員  こういう言葉が適切かどうか分かりませんが、臓器移植法の中にこういうことが盛り 込まれているようでしたら、臓器移植法に基づき焼却するというような文面を入れた方 がいいかなという気がします。その辺はどうでしょうか。 〇朝浦室長  臓器移植法のいう臓器の中に臍帯血は含まれてませんので、法律上の規制には馴染ま ないのではないかと思います。事実上はどういう取扱いをするか、臓器移植法の趣旨が 先程説明しましたような趣旨ですので、必ずしもそれに準じる必要はないのですが、国 民一般というか国民社会からの要請というものに基づいて決められている、取扱いが別 の分野であるということ十分考慮する必要はあるのかなという感じがしております。 〇小寺座長  時間がまいりました。この案は3回の検討会のまとめですので、大事でありますから もってお帰りになって、もう一度検討していただくということでよろしいですか。その 結果を期間を区切って、事務局にお寄せいただいて、座長である浅野先生と私で検討し きんちとここで検討されたものが盛り込まれ、それ以上のものでないということを確認 した上でまとめとさせていただきますが、そういうことでよろしいでしょうか。 〇眞鍋係長  1点だけこの場でお話をしておいてたいだいた方がよろしいことはございます。残り のことに関しては恐らく今までのご議論で大体結論は出ていると思います。  それは資料3の3ページです。4.移植医療機関の登録、及び移植情報の公開につい てです。ここに公開すべき情報として、最低限のものをまず規定した上で、その後は医 療施設の判断に任せるというようなことで今までは議論がきていたと思います。  こちらの方で事務局からは下の2行ですが、最低限公開すべき情報としては、(1)臍帯 血移植実施数、(2)疾患及び病期、(3)生存率とし、これらに加え各施設において公開す べき情報を判断することとする。と書かせていただいております。  この規定ぶりが先生方から見てどうかということを、時間のないところ恐縮ですが、 ご議論していただければと考えます。 〇小寺座長  では先生方のご意見を伺いたいと思います。佐藤先生いかがですか。 〇佐藤(典)委員  突然に、一番難しい問題というか、あまり考えてなかったところで困ってます。今僕 が言おうと思ったのは、情報の公開の最低内容もそうであったのですが、登録の仕方自 体を決めてあったのかなと思ったのです。それで1回目2回目の議論の説明してあった のを見ようかと思ったのですが、まだ見てないのです。登録基準というのは確かに決め ました。5例ずつ3年間ですね。それで登録を多分連絡協議会に申し込むなりして、そ れを認定するなりするのですが、その辺の仕方は具体的に議論していたのかなと思った のが第一点です。  それがあるのでそういうことをちゃんとしてというか、登録の仕方をちゃんとしてな いのも合わせて、さて最低限公開すべきというところだけ、突然ぽーときてもどうかな と思ったのです。話しがずれていると思っているのです。  この場合には事務局の方に確認になるのでしょうか。移植医療機関の登録、これは登 録される病院指定は死活問題に近いと思うのですが、これの具体的な手順は決めたのか どうか、これはここで敢えて決める必要はないのかどうかとういことを、ちょっと先に 聞かせていただきたいと思います。 〇眞鍋係長  移植実施施設のことです。検討会の方でまとめた技術指針の方に記載がございます。 臍帯血移植を行う施設は、骨髄移植の十分な経験を有するなど、臍帯血移植を実施でき る体制が整った施設において行うこととし、共同事業を行う臍帯血バンク連絡協議会 (仮称)に登録し、毎年見直しを行うこと。となっております。  登録施設は臍帯血バンク連絡協議会(仮称)への、臍帯血移植実施後の成績の報告を 行うこと、となっております。  なお、登録施設以外には臍帯血を提供しないこと、そして後は臍帯血移植を行う施設 としては基準が二つございます。臍帯血移植が5例以上、また過去3年に毎年5例以上 の造血幹細胞移植の経験を有すること。あるいは臍帯血保存をするための施設があるこ ととかという規定になっているところでございます。 〇佐藤(典)委員  規定はある程度、頭の中に入っていたのですが、それを認めるとか認めないというの は、その辺はここで決めることではなくして、申請を素直に受け止めてOKという形の 了解であったのかなということで、それはどうなのでしょうか。 〇眞鍋係長  本検討会の方で、移植実施施設の審査というようなことは、この基準が明確なので、 この基準があるということであれば、それはそのまま通るということで決まっていたと 思います。私どもの方でここでご議論していただきたいのは、移植情報の公開というこ とであります。 〇小寺座長  走りだして移植をやりだしてからのことですね。 〇加藤(剛)委員  この情報公開についてですが、勿論こういう移植成績の情報公開は今後非常に重要で あると思うのですが、現在臍帯血移植の数は全移植の1%に過ぎない状況において、臍 帯血移植だけの成績公開をするということは、どれほどの意味を持つのかというのは非 常に疑問に思います。ですからもしもこれを公開するのであれば、同種移植、自家移植 全ての情報を公開したうちの臍帯血移植を公開しないと、非常に視野が狭くなってしま って、特に公開となると一般国民の目が入るので、非常に大きな混乱及び誤解が生じる 恐れがあります。 〇小寺座長  これについては、少なくとも臍帯血についても情報公開、これは非血縁者間骨髄移植 でそうしようということですが、これはなかなかできてなく難しいのですが、臍帯血に ついては、同じようになっていく。幸い臍帯血移植をやる施設と、他の造血細胞移植を やる施設は多くは重なっておりますので、その施設の総力、総体としての努力というこ とでださればいいのではないかと思います。  ただ項目としては実施数、疾患病期、生存率、こういうところで当面はよろしいでし ょうかね。あまり難しくすると、毎月学会発表の準備をしているようなものですから、 これくらいということでね。  では先程申し上げたように、これは大事ですのでもう一回だけ座長預かりということ で、責任をもって確認をさせていただきます。では後は事務局から何かございますか。 〇朝浦室長  今後のスケジュールです。今回までの検討結果を踏まえて、この技術専門部会のまと めをしていただいたものが出来ますれば、その後、また親委員会の方にお諮りして、最 終的な了解をいただくという段取りで進めさせていただきたいと思いますのでよろしく お願いします。 〇小寺座長  親委員会というのは最初からの検討会のことですね。わかりました。そういうことで いくことになると思います。この運営部会とか技術部会というのはこれで一応任務は終 わったと考えてよろしいのでしょうか。 〇朝浦室長  検討会の方からの差戻しがなければ、それで終わったということに一応なると思いま す。また今後、次の検討会の場でどのような議論になるのか分かりませんので、今の段 階ではまだなんとも。 〇小寺座長  差戻しは十分にあり得るので、皆さんまだ気を緩めないで、今後ともよろしくお願い します。今日までどうもご苦労さまでした、ありがとうございました。                                                         −終了− 問い合わせ先  厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当  山本(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03−3503−1711