99/03/26 第6回 地域保健問題検討会議事録 第6回 地域保健問題検討会 日 時 平成11年3月26日(金) 10:00〜12:00 場 所 厚生省本館2階 共用第7会議室 出席者  北川 座長 生田 委員 ・ 池田 委員 犬塚 委員 ・ 衛藤 委員 遠藤 委員 ・ 大月 委員 小倉 委員 ・ 黒田 委員 櫻井 委員 ・ 園田 委員 竹澤 委員 ・ 中原 委員 長谷 委員 ・ 原 委員 山本 委員 ・ 米田 委員 事務局  伊藤 局長 高山 企画課長 岩尾 地域保健・健康増進栄養課長 平野 保健指導官 北川座長  それでは定刻となりましたので、ただ今から第6回地域保健問題検討会を開催させて いただきます。  皆さま大変お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。なお、 本日出席予定となっておられました磯部委員と遠目塚委員におかれましては、業務の都 合上欠席をなさるとのご連絡がありましたのでご承知おきください。  それでは本日の資料の確認を事務局からお願いいたします。 岩尾課長  お手元に、地域保健問題検討会第6回会議次第といたしましてクリップで資料をつけ てございますが、今日は資料1のみでございまして、事務局におきまして第1回の検討 会から第5回の検討会までさまざま議論いただきました。それを骨子(案)として作成し たものでございます。以上でございます。 北川座長  それでは早速本日の議題に入りたいと思います。 お手元の資料で、地域保健問題検討会報告書骨子(案)でございますが、事務局において とりまとめてあります。報告書骨子(案)について、議論を進めていきたいわけですが、 最初に事務局から資料1の内容及び構成の考え方について説明をお願いいたします。 事務局  それでは説明させていただきます。 お手元の報告書骨子(案)でございますけれども、全体の構成につきましてはまず前文前 書きがございまして、1 はじめに 2ページに、2検討内容6ページに3まとめと、ま ず全体の構成はこのようなものになっております。  そして「1 はじめに」のところでは、(1)として基本指針見直しにいたる経緯、(2)検 討事項、(3)開催状況となっております。「2 検討内容 」でございますが、(1)検討に 当たっての基本的視点、(2)地域保健における健康危機管理体制の強化について、(3)介 護保険制度の導入に伴う地域保健の役割の明確化について、(4)政令市の保健部門の運営 について、(5)政令指定都市における保健部門の運営について、(6)その他、(7)今後、引 き続き検討すべき事項、という全体の構成でございます。 それでは全体を通して読ま させていただきます。 地域保健問題検討会報告書骨子(案)  本検討会は、公衆衛生審議会総合部会から提示された「地域保健対策の推進に関する 基本的な指針(平成6年12月1日厚生省告示第374号」(以下「基本指針」とする。)の 見直しにかかる検討を行うため、昨年12月以来、関係者からのヒアリングを含め、○○ 回(これは現在まで6回行っておりますが、今後7回目、8回目が入ります。)にわた る検討を行ってきたところであるが、このたび、以下の通り、検討結果をとりまとめた ので、報告する。 1 はじめに  (1)基本指針見直しにいたる経緯    ○地方分権推進計画における中核市要項の見直しに伴い、保健所政令市の指定要件     を見直す必要があるか否かを明確にする必要があったこと(注:このことについ     ては、自治省において中核市の人口要件の見直しは行わず、20万人以上の市につ いて特例市制度を新設することになったため、検討する必要がなくなった。) ということでございます。   ○政令指定都市における保健所の設置については、実態として、1行政区1保健所 体制か、1市1保健所体制のいずれかになっており、基本指針とのかい離が生じ ていることから、保健所設置基準について検討する必要があること   ○基本指針策定後、阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件、O-157による集団食中 毒事件、和歌山毒物カレー事件等健康危機事例が多発しており、このような健康 危機に対して保健所や地方衛生研究所等がとのような役割を担うべきか明確にす る必要があること   ○平成12年度からの介護保険制度の導入を踏まえ、都道府県保健所、市町村の保健 部門(市町村保健センター等)がどのような役割を担うべきか明確にする必要があ ること   ○その他、基本指針告示以来5年が経過し、全体として見直すべき事項があれば合 わせて検討すること を経緯にしております。  (2)検討事項でございますが、この検討事項につきましては、この地域保健問題検討会 を開催する第1回のときに、ご提示したものを書いておりますが、1つ目の○の、   ○保健所政令市、政令指定都市における保健部門の運営については、当初は保健所 政令市の指定要件等について、ということでございましたが今申し上げました経 緯の一つ目の○のことを踏まえまして、保健所政令市、政令指定都市における保 健部門の運営についてということに変更してございます。  2点目、3点目、4点目の○は当初の検討事項そのままでございます。  (3)開催状況   ○第1回 平成10年12月2日 地域保健推進体制の現状について   ○第2回 平成10年12月21日 保健所政令市の指定要件について ○第3回 平成11年1月21日 指定都市の保健行政の現況等について ○第4回 平成11年2月15日 地域における健康危機管理について ○第5回 平成11年3月4日 介護保険制度導入を踏まえた市町村及び保健所の役 割について   ○第6回 が本日でございます。 2 検討内容 でございますが、 (1)検討に当たっての基本的視点、この検討内容のとりまとめに当たってあるいは検討 するにあたっての基本的視点というもので3点整理しております。   ○地域保健において強化すべき機能にはどのようなものがあるかを明確化すること   ○地方分権の推進を踏まえたものとすること   ○地域保健体制の効率性と利便性に配慮したものとすることこれを基本的指針とし ております。  (2)地域保健における健康危機管理体制の強化についてということで、検討事項の並び でいいますと、政令指定都市一つの問題が発するわけでございますが、やはりまず機能 的な問題を書いて、その後にそれを担保する体制はどうかということで書くべきではな いかということで、(2)のほうは、まず健康危機管理にしております。地域保健における 健康危機管理体制の強化についてということで、   ○地域における健康危機管理の現状について、第4回のときにいろいろとご紹介を して、あるいは議論をいただいたといいますか、ご紹介をいただいた事例につい てここに書き込んでいきたいと考えています。   ○今後強化すべき基本的事項として   ・保健部門の役割の明確化   ・事前管理体制の整備    −従来から行っている事項であり、今後とも強化すべき −サーベランス機能(事件探知機能)の強化   ・事後管理体制の整備    −対応マニュアルの整備    −人材育成    −設備等の整備・充実   ○都道府県及び都道府県保健所の役割   ・健康危機管理は都道府県及び都道府県保健所が中心的役割を担うべき   ・対応マニュアルの整備    このマニュアルの中に含むべき事項といたしまして、6点ほど挙げておられま   す。 −日常における情報収集体制(事件探知の方策) −事件発生時の対応体制の迅速な確立    −事件に関する情報集約    −事件探知後の関係機関への緊急連絡体制 −日常の連携体制の強化(医療機関、学校、警察等) −事件発生時にサポートの必要な人たちの情報整理体制の整備等   ・人材育成    −健康危機管理においてはトップダウン的な管理が必要であり、そのためにリー ダーシップが重要    −そのような人材を確保するためには実践的な研修が必要   ○市町村の役割   ・市町村(市町村保健センター)は、都道府県保健所とともに情報収集、普及啓発等 の役割を担うべき   ○政令指定都市・政令市・特別区において留意すべき事項   ・保健部門(保健所)が中心的役割を担い、都道府県(及び都道府県保健所、都道府県 衛生研究所)との連携のもと、試験・検査機能の専門的対応及び迅速な広域対応の 体制を強化すべき  ○地方衛生研究所の機能強化   ・事前管理、事後管理のそれぞれについての、保健所に対する技術的支援(バックア ップ)機能の強化 ・施設、機器の整備・充実 ・研修の実施   ・国立感染症研究所−地方衛生研究所間、地方衛生研究所相互のネットワーク、大 学等の後方支援体制の整備 ・都道府県保健所、都道府県衛生研究所と政令市保健所の連携 ということでござ います。  (3)介護保険制度の導入に伴う地域保健の役割の明確化について、ということで   ○まず介護保険制度の導入に伴って保健部門はどうなっているかという現状につい てお伝えしたあと、 ○今後強化すべき基本的事項として   ・健康づくり、要介護状態になることを予防するための保健事業の強化   ・地域ケアシステムづくりの推進、この2点を基本的事項にしています。   ○都道府県保健所の役割として7点挙げてございますが、   ・老人福祉計画、介護保険事業計画、市町村が策定する計画の策定への支援   ・都道府県が策定します介護保険事業支援計画策定への参画   ・市町村間の広域的(圏域)調整 ・保健医療情報の整備 ・研修、監視、実地指導によるサービスの質の確保、向上   ・専門的、技術的機能の強化、これは難病とか精神を含めたということです。   ・小規模町村への支援ということです。   ○市町村(指定都市、政令市、特別区を含む。)の保健部門の役割として ・生涯を通じた健康づくり活動の強化   ・総合的なサービス提供の推進   ○市町村(指定都市、政令市、特別区を含む。)のにおける人材の確保ということ   で、   ・保健事業の強化及び介護保険の円滑な導入・運営に必要な人材の確保   ・特に保健福祉技術職の確保、ということを挙げております。  (4)政令市の保健部門の運営について   ○政令市の保健部門の運営の現状といたしまして   ・政令市における保健所と保健センターの役割分担の現状は極めて多様    −保健所が保健センターを統括している体制では    ・保健所が保健事業全般の企画機能を発揮できる。    ・保健所と保健センターにおいて保健事業を一体的に提供できる。ということに なってございますが、 −保健所が保健センターを統括していない体制においては    ・保健事業を一体的に提供するという政令市制度の利点を発揮できない。    ・地方衛生研究所の設置及び体制整備が不十分である、ということになってま    す。   ○政令市制度の意義及び課題でございますが、   ・意義といたしまして    −地域の特性に応じた保健行政の展開が可能である    −保健事業を市町村の業務とされている保健事業と都道府県の業務とされている 保健事業との一元的提供が可能であること −保健と福祉の総合的提供が可能であることという意義でございますが、   ・一方、課題として    −人事の停滞    −専門技術職の確保及び現任教育体制の整備が困難    −周辺自治体との一体的な保健、医療システムの構築が困難    −知事権限業務のうち、政令市の長に委譲されていないものについては住民の利 便性が損なわれていること    −健康危機管理、特に救急医療の確保、原因究明のための検査等事後管理につい ての十分な対応が困難である、という課題がございます。 このようなことを踏まえまして   ○政令市の保健部門の運営において留意すべき事項として   ・健康危機管理を適切に行うための体制整備 ・保健センターの担当する保健事業を含めた地域保健行政に対する総合的な企画機 能の機関としての保健所の位置づけの明確化   ・保健・福祉サービスの総合的な提供を可能とする体制整備   ・政令市の課題を補完するための都道府県の広域的役割の強化、の4点を挙げてご ざいますが、特に都道府県の広域的役割の強化では    −人事交流による専門技術者の確保及び資質の向上    −都道府県保健所、都道府県衛生研究所と政令市保健所の十分な連携、これは危 機管理のところでも挙げております。 −政令市と周辺自治体との一体的な保健医療システム構築のための広域的調整、 ということを都道府県の役割の強化として挙げております。  (5)政令指定都市における保健部門の運営についてでございますが、   ○まず現状といたしまして、 ・1市1保健所あるいは1行政区1保健所のいずれかの体制を採用していること   ・1市1保健所体制の場合    −主たる対人保健サービスや対物保健サービスのうち許認可の申請受付等につい ては各行政区単位で実施をしている −各行政区に保健センターを設置した上で、保健センター職員の保健所への兼務 発令や保健所支所を保健センターに併設するという形での工夫を行って、対応 をしていること ・1市1保健所(これは各行政区には保健センターを設置しているわけですが)ある いは1行政区1保健所としている理由といたしまして −行政区それぞれの間のサービス提供の公平性を確保する必要性があること −行政区をひとつの単位とした総合的な保健サービス等を展開することが、その 理由として挙げられているということです。   ○1市1保健所体制の意義及び課題につきましては   ・意義として    −発生頻度が少ない業務の集約化による専門性の確保が容易であること    −統一的な監視指導等による専門性と効率性の向上が図れること    −健康危機管理発生時の迅速・集中的な対応が可能となること    −情報の一元的管理による企画機能の強化が図れること    −市全域を単位とした保健医療福祉体制についての整備が容易であること    −技術系職員の効率的な研修が可能になること、という意義がございますが、   ・課題として    −保健所長権限業務に関する住民の利便性が低下しやすいこと    −対人保健サービスと対物保健サービスのかい離が生じること    −業務の集約化に伴う業務量の増大によるサービス低下のおそれがあること     などがあります。   ○1行政区1保健所体制の意義及び課題でございますが、   ・意義として    −対人、対物保健サービス分野が協同したサービス提供が容易になること    −行政区を単位とした地域ケアシステムづくりが可能であること    −行政区の実状に応じた、きめ細かなサービス提供が可能になること   ・課題としては    −発生頻度の少ない業務に関する専門性の確保が困難なこと    −全市的、あるいは複数の行政区にわたる健康危機事例の発生時に、迅速、集中 的な対応が困難になること −行政区に編入された場合、本庁との指揮命令系統の整理が必要となること    −予算編成等を含めた企画機能の強化が困難であること そういうことを踏まえ まして6ページに   ○政令指定都市の保健部門の運営において留意すべき事項ということで   ・1市1保健所体制の場合においては    −行政区における保健サービス提供拠点を整備すること    −身近な行政区で提供されることがよいサービスと広域的に市全体で提供される ことがよいサービスとを整備すること −健康危機管理業務の情報集約機能及び機動力を確保すること    −許認可等保健所長の権限とされる業務に関する行政区での提供拠点の整備を図 ることということになっております。   ・1行政区1保健所体制の場合では    −保健所の企画機能を強化すること    −健康危機管理業務等の専門的サービス提供機能を強化すること    −健康危機管理業務に関する広域的な情報集約機能の確保を図る必要があること     、があげられ  (6)で、その他、今までの(2)から(5)までと少し切り口が違う部分を(6)にしておりま すが、○各事業分野ごとの基本的考え方及び目指すべき方向についても、基本指針に明 示すべきであることということで (7)は、今後引き続き検討すべき事項ということになって   ○都道府県(及び都道府県保健所)による広域的対応をすべき分野と市町村が対応す べき分野の明確化 ○今後さらに、都道府県保健所に付与すべき機能の明確化、(例えば医療サービスの 質の確保に関する事務等) ○保健所長の必要な資質の確保の方策   ○市町村における企画機能・調査機能の強化、という事項については、引き続き検 討すべきということで整理をしています。  3に最後にまとめでございますが、   ○この報告書で指摘した事項を踏まえて、基本指針の見直しを早急に行うべきとい うこと ○引き続き検討すべきとされた事項についても、早急に検討を進めること、という ことでまとめております。   以上でございます。 北川座長  どうもありがとうございました。これは今までご議論いただいた点を整理をしていた だいているわけですが、これだけの柱立てだけで見てもかなりいろいろな問題点がある わけですが、これをさらに具体的にどう肉付けをしていくかというのは、後日また事務 局でいろいろと力を出していただきたいところです。  そこで今日はこの柱立てに関してもう一度議論を整理をしておく必要があるのではな いかなということで、これからご議論いただくわけでありますけれども、ご質問の事項 あるいは確認をしておきたいようなこと、さらにもう少し詰めるべき方向ということで ご意見があれば、これはそれぞれ一括してご発言をいただきたいと思います。なお、大 変長い骨子でありますので、少しずつ区切って話をしてまいりたいと思います。関連す るところは別のところにあるかもしれませんが、そういうのはどうぞまたご遠慮なく言 っていただいていいと思います。  最初にまず「はじめに」という部門のところで、特に何かご発言があればどうぞ。そ れでは皆さんが考えられている間、一つ質問ですが、特例市というのはどういう制度で あるかというのは、今の段階でわかっている点があれば、中核市とどう違うのかという 観点などあればご説明をお願いします。 事務局  これはまだ地方自治法の改正案につきましては、国会のほうにまだ上程されておりま せんので、案を我々は見ることができるだけですが、中核市要件については全く変更ご ざいません、これとは全く別個の制度として人口20万人以上の市につきまして、中核市 がもっております権限の一部でございますが、それを委譲できるシステムです。今、手 元に資料がありませんので詳しいことはお伝えできませんが、厚生省に関わる権限につ きましては、その対象の事務にはなっておりません。そういうものでございます。 北川座長  そこで中核市問題というのは、こういうことで必要がなくなったということですが、 30万と20万の境界をどこに引くかとか、仮にだんだんと人口規模が小さくなっていった 時に、一体どういう問題が起こってくるか、というのは将来の問題としては、何かの格 好で整理をしておくのがいいかな、という気が いたします。 中原委員 健康危機管理のところで、保健所や地方衛生研究所等がどのような役割を担うべきか 明確にする必要があると書いてあるのですが、その下、介護保険のほうでは市町村の保 健部門がどのような役割を担うべきか明確にする必要があると書いてありまして、健康 危機管理においては、市町村の保健部門というものの役割を検討の対象にもしないのか という非常に素朴な疑問が起こったのですが、この点に関してはいかがですか。 事務局  3ページで、実際にご議論の中では市町村の役割ということについても委員の方うか らご発言がございまして、3ページ冒頭に市町村の役割ということは入れてございま す。  「はじめに」のところでは、この検討会を始めるにいたったときの事務局としての認 識を中心に書かせていただいているということで、ここについては市町村というところ を明示的には書いていないということでございます。 北川座長  明示的には書いてないが、 事務局  ご議論の中で、それがでてきたものでそれについては検討内容、検討結果のところで はそれをちゃんと入れているということです。見直しに至る経緯ということで、見直し を始めた後でそういうことについても位置づけよというご意見だったというところで、 整理させていただいておりますということです。 小倉委員  基本指針の見直しにいたる経緯の、政令指定都市における保健所の設置のところです が、基本指針とのかい離が生じていることから、保健所設置基準について検討する必要 があることということが明記してあるのですが、説明を聞きますと1市1保健所と1区 1保健所とのメリット・デメリットが併記してあるわけで、トータルな設置基準は法の 第5条に書いてあり、それから基本指針には各行政区にということが一応書いてはある のですが、最終的には指定都市におけるこの設置基準をこうあるべきということの結論 をだされるのか、それとも考え方としてこちらにはこういうメリットがあり、こちらに はこういうデメリットありという形での併記というような格好でお考えなのか、基本的 な考え方をお教えください。 岩尾課長  実は私どもも、現状から言えばここでヒアリングを受けたようにいろいろな形がある わけで、それについて少なくとも現行の基本指針で行政区にということから外れている 現状があると、しかしながらここで先生方のご議論にもございましたが、いわゆる地方 自治の中で住民サービスがどのような形がいいのかという現実の選択として1市に保健 所1つという形でやっていて、ヒアリングを受けた限りにおいては、直接何か重大な不 都合があったとかいう話を聞いてない現状から考えますと、少なくともこの報告書には 現在それぞれの長所・短所という両論で併記しております。どの方向がいいということ をここでご議論いただけるのであれば、それを報告書には先生方のご意見としてまとめ るべきだと思いますし、まとまらなければまとまらない形の報告書でも、構わないとい うこともないのですが、それが報告書のまとめになるという理解でございます。 北川座長  小倉委員はいかがですか。 小倉委員  やや釈然とはしないのですが、果たして1市1保健所で保健所の機能強化に繋がるの かどうかという問題とか、いろんなことが連動してくると思いますので、そういう議論 の中から課長がおっしゃいましたように、どちらが望ましいのかといった方向がでれば だしていただければという期待を持っております。 原委員  この間のヒアリングでそれぞれの実態をお伺いして、不都合無しというようなお話が ございましたけれど、実際に他の第一線の方々と会って話しますと、機構改革してから まだ歴史が浅いということもあるでしょうが、保健所と保健センターの機能分担が相当 混乱はしています。そういう意味からすると、それの整理をしていただいたほうが今後 の実効が期待できると思います。 中原委員  1市1保健所と1区1保健所の問題について、1市1保健所の場合の保健所と市町村 保健センターの役割の分担の問題ですが、1区1保健所の場合の保健所が分担している 仕事と、1市1保健所の場合の保健所の分担している仕事は、実態上は相当違う筈であ ります。ただこの地域保健問題検討会のレベルで検討すべき事項としては、保健所の機 能のあり方の問題というより、市町村の保健センターの仕事の役割分担のあり方という のを少し突っ込む必要があるのではないかと思います。   と申しますのは1市1保健所の場合には、やはり環境衛生の問題について専門的、広 域的に集約するというメリットはものすごくあるのですが、逆に市民サービスの面でか なり問題があるということで、各市においてかなり工夫をされております。逆に言うと 市町村保健センターは、保健活動をしていく場であるという根本的な定義とちょっと外 れてきている感じがするわけです。基本的にはもともとは職員も置かない場であるとい うところからスタートしてきたものが、次第にミニ保健所、あるいは対人保健サービス を実施する保健所プラス一種の環境衛生関係の窓口的なこともやるようなことに変質し てきているような気がしています。そういう点はもう一度、基本的な骨格付けのところ を考え直す必要があるのではないかと思います。 北川座長  今のご発言は、もう少し今の問題について論点を整理をしておくとか、あるいはさら に将来に向けていろんな検討事項を整理をしていくという必要があるということだった と思いますので、またこれはどこかにマークしておいてください。 米田委員  先ほどありました特例市の関係ですが、確かこれ59市が対象になっているのではない かと思いますが、かつての保健所法では10万人に1カ所という法的基準があり、「より 身近なサービスはより身近な市町村で」という方向で、私どもも運動を展開してきてい るところであります。今回この委員会、特例市制度を検討する必要がなくなったという ことになっていますが、基本的にはこの特例市については保健所機能が付さないという 形になっていると思うのですけれども、今後これについて厚生省としては、特例市構想 がでてきたときにどのような形での対応を考えていかれるのか、質問したいと思いま す。 岩尾課長  先ほど大橋のほうからも説明してますが、まだどういう議論になるかわかりません が、私どもの理解では、保健なり福祉なりのサービスつまり厚生省関係の仕事に係わる ものが、特例市として市の業務にならないという理解です。確か、都市計画法において 文化財が見つかったらば、それの発掘の権限や何かを市に下ろすとかそんなような、か なり個別のものが特例市業務に下りるということであって、保健、福祉関係のものは下 りないというように側聞しておりますので、そういう面から考えると、特例市の保健 サービスの問題を取り立てて議論するという必要はないのではないかと思っており ます。 大月委員  最後のところで、その他の事項がありますが、この基本指針の全体として見直すべき ことがあればということがありますけれども、この点については改めて議論をする予定 なのでしょうか。  イメージとして基本指針にある保健所と実際の保健所というのはかなりかい離をして いる。だとするとどうしたらいいのかという感じがあります。できれば今までの大事な 問題とは別に、せっかくここに最後に「その他」というのがあるのであればどうしたら いいのかということで、ちょっとお考えを。 北川座長  その問題というのは。 大月委員  要するに「基本指針告示以来5年が経過し、全体として見直しの必要があれば」と書 いてありますから、今お話のような健康危機管理とか指定都市の問題、政令市の問題だ けでなく、基本指針全体についてです。今書かれている基本指針は大変素晴らしいもの ですが、現実にある保健所の姿はどっちかというと基本指針に書いてあるようにはいっ てない、とすれば基本指針を書き直すのか、あるいは基本指針の通りになるようにする ための方策や、どのように対応するのかという議論をやっぱりしたほうがいいのではな いかと思います。 北川座長  今のご意見で、これ事務局はその他の中で、こんなようなこともあるよというような ことは提示ができるかどうか、あるいはこういう場でまたその他事項についていろんな 問題点を指摘をしてもらうチャンスがあるかどうかということだと思いますけれどもい かがでしょうか。 岩尾課長  そういうことであれば、今まで議論した内容を2ページの検討内容ということで、先 生方の意見を最大漏らさずではないのですが拾っておりますので、最後の(6)(7)あるい は「まとめ」というところで、どんな議論がでたかあるいは付け加えてこんなことがと いうのは、今日いたたければそれを元に議論する時間はとってございますので、そうい うスケジュールでいきたいと思っております。 北川座長  そうすると大月委員の今言われようなことについて、例えばこういうことだよという ようなことがもしあれば、項目立てだけしておけばまた議論をするチャンスはあるよと いうことだと思います。その点は、今日の議論の途中あるいは最後で気がついた点があ れば整理をするということにして、次へ進みたいと思いますがよろしいですか。  2ページの2の検討内容へ入ります。まず(1)検討に当たっての基本的視点、ここで何 かご意見があれば、どうぞ。 園田委員  この報告書の骨子(案)の検討内容の基本的視点の2番目で挙げられておりますように 、地方分権の推進ということを全体的に強調されている、あるいはそれを強調されよう としている点は私も大事なことだと思います。ただ、残念な点としましては、地方分権 という指摘はあるのですが、地方自治という文言あるいは取り上げ方が少ないのではな いかと思います。これは確かに国の一つの報告書、あるいは方針として権限をいろいろ 地方に分けていく、だからその分けられた権限をどう活用してよくやっていくかという のは、それぞれ地域、地方の力量次第だという形で、この委員会あるいは報告書の対象 外だとするのはまた一つの考え方だと思いますけれども、ここで取り上げられているこ れからのさまざまな問題をの解決していく能力とか、将来を展望してどう動かしていく かという力を強めていくというのは一方では大変大事ではないかと思うのです。  確かにこれ地方の力量次第ということはありますけれども、最低例えば地域が問題を 解決できるだけの財政能力、それから人材の能力あるいは企画力といったことをどこか 言及していただきたいと希望しております。 北川座長  検討事項としてどこまで書けるのかということで、マークしておいていただきたいと 思います。 黒田委員  (2)の健康危機管理体制の強化の中で、対物保健部門における検査体制の文を少し明確 にしていただきたいと思います。と申しますのは、0ー157対策、ダイオキシンの問題、 環境ホルモンの問題にしましても、対物保健の健康危機管理を行う上で検査体制という のはどうしても必要である。データのない行政というのは展開できないわけでして、そ ういう意味においていわゆる検査体制の整備や検査機関における機能の分担ということ を明確に文言の中に入れていただきたい。  都道府県の検査体制、神奈川の場合には、保健所にも5つの検査体制を持っており、 衛研並みの機能を持っております。住民からの行政や保健所に対するニーズというの は、検査データを明確に示して行政の施策の説明あるいは食品の安全性評価をすること を望んでいるわけでして、保健所の機能として、是非検査体制の部分についても明確に していただきたいと考えています。 衛藤委員  (2)の危機管理のについてですが、これは役割の中には、住民の活動ですね、住民の方 たちとの連携というのがあまり入ってないのです。これは都道府県あるいは都道府県保 健所の役割という部分に入るのは少し難しいかと思うのですけれども、どこかにそうい う住民の活動あるいは住民の組織などとの連携という文言が入ってもいいのではないか と思います。 北川座長  そういうご意見だということでマークしておいてください。何か事務局のほうであり ますか。 岩尾課長 今日はご意見いただくのはもちろんいただきますが、それでちょっと議論をしていただ かないと、次に報告書を作る立場として言いっぱなしでは困るわけです。そうすると今 の話を、あまり役所は出したくないのですが、いわゆる危機管理をどのように仕切るか というのは、我々一連の経験では、トップダウンなのです。こうしてくださいというこ とでマニュアルを都道府県に示して、それにしたがって住民を動かさないければいけな いわけです。そういう時に住民とどういう形でのコミュニケーションを取るのかという ところが今一つ見えないので、その点もご説明いただけたらありがたいと思います。 衛藤委員  あるわけではないのですが、阪神・淡路大震災のときも、あまり詳しくないのです が、かなり連携というかいろんな形で関わったと聞いています。私は福祉の分野で地域 の住民の方たちとの活動を、どういうふうに自治体の活動と連動させていくかというの を、少し関心を持ってやっているのですけれども、これ恐らく日常的にどれだけ住民の 方たちの活動を保健所なり市町村が把握しているかということと関わってくるのではな いかと思います。ですから少し苦しくなったのですが、そのへんの実態をどういうふう な形で日常的に自治体なり行政が把握しているのかと、そこから掘り起こしていくとい う、そういう議論から始めたほうがいいかなという気もするのですけれども。 北川座長  具体的にこうしろということはなかなか難しいと思いますけれども、いろんなデータ で報告書などもありますので、またそういったものを整理してそういう考え方も一つの 柱立てにならないかと、こういうご提案と捉えていただいてやってください。いいです か。 岩尾課長  いいです。 中原委員  ここで書いてあることは、その通りだと思う点が多いのですけれども、「対応マニュ アルの整備」というあたりで、本当に起こったときの一番大きな眼目ではあるのです が、実はマニュアルに書かれてないことが恐らく大問題になるのであって、そこで当意 即妙、臨機応変に対応していく能力を、保健所とかそういうところに要求されるのでは ないかなと思うわけです。普段、日本はかなり平和でありますし、特に保健所関係、事 件が起こると逆に困るというわけですが、しかしそういうときに対応するにはやっぱり 先ほど岩尾課長がおっしゃったようにトップダウンであり、中心になる人が見識を持っ てやらなければいけない。だからこそ逆に保健所長は医者でなければいけないといいま すか、医師であるという資格要件が決まっているのだろうと思うのです。地域の健康問 題に対して責任を持った指示、対応ができるということがあるのだろうと思うのです が、そのためにはやはり普段から研修などをやっておかなければいけないだろうと思い ます。また根本的には、医師が保健所長になるための資格要件というのを明確にすべき だろうと思います。これを私は言いたかったのですが、「今後引き続き検討すべき事 項」にさらりと触れられているのですが、実際問題としては国立公衆衛生院のほうで既 にそういう方向で、資格要件を明確化するという方向で動かれているようであります。  それから一つの大きな動きとしては、文部省関係の大学審議会で公衆衛生の実務者を 養成するような、一年制の大学院を作ったらどうかというような提言が現れる時代にな ってきております。そちらの動向というのは、文部省の系統は研究至上主義であります ので、こういう実務家養成という言葉をどう理解されるのか非常に心許ないので、これ は事務局のほうで是非精力的にフォローしていただきたいと思います。そういう人材の 養成について、ある程度の見通しみたいなものが、あるいはこういう研修を受けろとか そこまで具体的に書けるかどうかは別にしまして、そういう問題点があるのではないか と思っております。  それから情報の問題ですが、前の地域保健活動指針もそうですが、今回におきまして も保健所を中心に情報を収集するという観点で書いてありますが、これだけ情報化社会 の中では、情報のネットワークといいますか情報の中における保健所というようなこと を少し意識しておかないと、簡単に言うと情報の波の中で保健所がどういう情報を集め るべきかというそういう情報の集め方があるのではないかと思います。和歌山のカレー 事件については、いろんな情報の収集に問題があったのではないかというような指摘が 後からされているわけですけれども、やはり最新のあるいは普段ほとんど顧みることの ないような情報が、ああいう危機的な状況で、瞬時の判断を迫られたときにそういう情 報が必要ということが起こっているわけであります。そうしますとインターネットなど を使って情報に瞬時にアクセスする手段もだんだん普及してきているということで、そ ういう情報のシステムの中に保健所をどう位置付けるかという観点の記述というのが必 要ではないかと、もっと簡単に言ってしまえば情報を容易に集められるようなそういう システムというのを、システムというのは大げさですが、そういう体制を作っておく必 要があるということを一文加える必要があるのではないかと思います。 北川座長  今の中原さんの言っておられる情報というのは、保健所の役割のところの項目です か。一般論としてですか。 中原委員 一般論であり、それから保健所レベル、あるいは都道府県レベルいずれにしても必要な ことではないかと思います。 犬塚委員  都道府県及び都道府県保健所の役割と、政令指定都市・政令市・特別区において留意 すべき事項というところを見比べてみますと、だいぶニュアンスが違うといいますか、 政令指定都市・政令市においては、市町村と同じような情報収集、若干その試験検査と いうことが書いてあるわけですが、基本的にこの健康危機管理は都道府県及び都道府県 保健所がというふうに読めなくもないなのです。都道府県保健所が対応マニュアルの整 備をして、こういうことをやりなさいというような中身というのは、政令市保健所にお いても当然これをやらなければいけないことでありますし、逆に言うと都道府県保健所 かここに入ってこられないわけです。政令市あるいは政令指定都市で、こういったこと をやろうと思っても。ですからここのところの書き方は、政令指定都市等における留意 すべき事項の中でも、やはり保健所がそこにあるところについてはきちっとこういった 役割を果たすべきだという、都道府県とも連携をとりながらやるとかいうことは当然の ことだと思うのですけれども、もう少し政令指定都市・政令市・特別区にも主体性を持 たせるような書き方をすべきではないかと思います。 遠藤委員  それに関連してですが、たぶん都道府県及び都道府県保健所と並べてしまうところに 無理があるのではないかと思うのです。要するに都道府県保健所の管轄区域から抜けて しまっているところについては、都道府県保健所は中心的役割を担いようがありません から、周りからもちろん応援するような場合はあり得るとは思います。都道府県と都道 府県保健所とは、ずいぶん違うだろうというのが1点だろうと。  もう1つは、さらに都道府県が中心的役割を担うべきかどうかについても、阪神・淡 路のときには必ずしもそうなっていませんでした。現実にも指定都市の場合に、指定都 市自身が責任を持つという場面のほうが多いのではないかと思います。これは感染症新 法あたりの感じを引用してあるのかもしれませんが、感染症の場合はたまたまそういう ふうに動くかもしれませんが、他の事件の場合に果たしてどう動くかのかという、もう 少しケースバイケースにしておいたほうがいいかなという感じがいたします。 北川座長  これは事務局意見がありますか、あるいは今の話でいいよということであれば。岩尾 課長 その想定するものをいろいろ役所の中でも議論はしているのですが、1つは、緊 急事態のときの患者搬送のシステムというのが、一応救急医療を前提にして考えます と、全県1区ですね、1次、2次、3次救急という形になって、そこに政令市という概 念が入ってこない。一番考えなければいけないのは、まさに住民の安全ですから、そう いうようなことを考えると救急医療システムに引きずられる部分というのをある程度考 えなければならない、そうすると都道府県を主体にした何らかの緊急で動ける、いわゆ る広域で動ける体制というものを、この健康危機管理では想定しなければいけないのか なということでこういう文章をつくってあるというか、議論の中では書いてはあるので すが、おっしゃるように都道府県の保健所という書き方にすると、虫食いのように穴が 出てくるということがあります。ですから今のご意見を踏まえまして、「都道府県とし て健康危機管理にはどういう対応する」ということの書き方にして、敢えて都道府県の 保健所というのを明示する、あるいはそこの役目をどうするかというのはこれからまた ご議論いただければと思います。そういう書き方のほうが、記述はすっきりするのかな と思います。 北川座長  関連して私も発言させていただきます。地域保健法の議論をするときに、例の医療法 による医療計画の議論というのは別になっているのです。これは例えば医療計画を当然 保健所は考えていくというふうに、医療法上は位置付けていると思うのですけれど、そ ことの関連でモノを見ていけば、今の地域ベースで穴が開くというようなことにはなら ないようになっている筈です。ただ、実態はどうなるのかというのはかなり議論を詰め てみないと分からないと思います。そういう意識でいっぺんまた整理をしておいていた だければと思います。 生田委員  この健康危機管理のところ、特に事前管理体制の整備というところですが、従来から 行っている事項であり、今後とも強化すべきというところに意識して明記していただけ ればありがたいなと思うことがございます。といいますのは、地域の中では寝たきり 者、あるいは人工透析患者、インスリンを受けていらっしゃる方、障害を持って誰かの 手を借りないと動けない方などがたくさんおられますので、こういった方々の病状別、 障害度別にマップを作ることです。何か起こったときにすぐに対応ができるようにアセ スメントをし、対応策についても明記されていることです。 北川座長  検討してみていただいて、どう書けるかということだと思います。 米田委員  対応マニュアルの整備のところで、日常の連携体制の強化というところに医療機関、 学校、警察となっていますが、医療機関において医師、医療スタッフを含めてそうです が、健康危機管理等についての教育、訓練、実習はほとんど行われていません。ですか らそういう意味において、是非ともこの点についての強化をお願いして、連携をはかり 総体での機能強化をお願いしておきたいと思います。 黒田委員  今の問題に関連しますが、2ページの事後管理体制の整備の中で、対応マニュアルと 設備等の整備・充実という項目がございますから、この中で書き込んでいけば良い問題 だろうと思いますが、いわゆる法的な県のほうが今まで議論があったように、都道府県 と政令市では、相互乗り入れは当然できないわけですが、連携であるとか機能分担とい う面についてはできる。例えばO-157対策につきまして、神奈川県には県と政令3市が ございますが、例えば1万人規模で0ー157の患者が発生したときはどうするという議論 の中で連携はできる。また例えば検査設備面におきましても、P3レベルの検査体制を 中核市まで整備しなければならないのかというと、それは不可能であるわけですからそ のへんをこの事後管理体制の整備の中で役割や機能分担を書き込んでいただければあり がたいと思います。 北川座長  まだ色々なご発言があろうかと思いますが、時間の配分上少し先へ進ませていただき たいと思います。3ページの(3)介護保険制度の導入に移ってよろしいでしょうか。それ ではどうぞ。 竹澤委員  お願いがあります。介護保険制度導入に伴う保健部門の現状の中に、この前の平野指 導官や生田委員の報告もありましたように、福祉部門のほうにかなり保健婦が入ってお りますので、この福祉部門に移った保健婦の活動の現状もこの中に入れていただけたら と思います。  もう1つは、都道府県保健所の役割と市町村の保健部門の役割というところで、都道 府県の保健所の役割の中に、老人保健福祉計画あるいは介護保険事業計画策定への支援 というのが入っております。これはやはり市町村の保健部門との連動の中で考えていく 部分だろうと思いますので、そういう意味で市町村の保健部門の役割の中に、是非老人 保健福祉計画の推進という項目を入れていただくと、都道府県保健所と市町村の保健部 門との連動の中で進めていけるのではないかと思います。  これは質問ですが、都道府県保健所の役割の中に、研修、監視、実地指導によるサー ビスの質の確保、向上がありますが、福祉施設の監視とか研修そういうものが含まれて いるのかです。以上です。 北川座長  最後の質問事項がありましたが、いかがですか。 岩尾課長  ここの(3)でご議論いただいたことというのは、介護保険制度という新しい制度が入っ たときに、一体ヘルスサービスをやっている部門が、どういう仕事をしなければいけな いのかを明確化しようという観点で書いておりますので、例えば保健婦さんがどんな仕 事をしているというのは、現状で勿論書かざるを得ないのですが、保健婦が何をしなけ ればいけないかということではなく、保健サービスをやる部門として地域保健としてで すね、どんなものを考えなければいけないかということで、都道府県の保健所はどうい うことをすべきなのか、市町村の保健部門、ヘルスの部門でどんなことをしなければい けないのかというような形で書き分けたいというふうに思っているわけです。  ですから保健部門の人が、福祉もやりなさいというご意見であるならば、ここに書か なければいけないだろうと思っていますし、保健婦さんの1日のうちの2分1は福祉 に、残り2分1が保健サービスに取られているということであるならば、その2分1の 保健サービスに取られているところをここに書けばいいのではないかという理解をして いるのです。 北川座長  このへんの議論は少ししておいたほうがいいように思いますがどうでしょうか。議論 をプロモートする意味でちょっと申しますと、保健部門における保健婦の活動というこ とと、職種として同じ保健婦さんが福祉の部門にいることは当然あり得るのです。しか しそこはそれぞれ所属といいますか、違っておって当然いいはずで、そこのところがあ いまいになると、母屋を空けたままお手伝いに行ってしまうというようなことが起こっ てしまうと、それは保健の仕事を後退させてしまうということに繋がるのではないかと いう心配があるように思うのです。そこのところをどう整理するかというのが1つ。  それからこれは今までの議論に明確に出たのか、出てなかったような気もするのです が介護サービスがこれから進んでいったときに、そこから排除されるというか積み残さ れる人たちの問題を、今までヘルスのサイドで分担をしてきたというか、そういう仕事 が非常に大きくなっていくという話があるようですが、そこのへんの考え方を事務局の ほうからご披露いただければと思います。 平野指導官  最初の質問に戻りまして、この介護保険制度を取り扱うに当たって、市町村において は保健部門、福祉部門が組織として一体になってきている現状もあり、ここで保健部門 というふうに限定して書くことに無理がでてきていることも含めて竹澤委員のご発言が あったかと思います。  課長の発言のように、マンパワーとして減員が生じてきているとして取り上げるの か、あるいはそのような組織として一体化が起き、活動領域の拡大という観点で取り上 げることが適当であるのかについてもご議論いただけたらと思います。  もう1つの、介護保険制度から漏れた者、それは生涯を通じた健康づくり活動の強化 という中で扱われることと思います。より健康な方を健康に、あるいは認定から漏れた ような方たちへの保健活動、あるいは介護の重度化を防止するように自立に向けた支援 についても園田委員から発言があったかと思いますが、これらの観点を盛り込み肉付け をしていくことで対応できるかと思います。 北川座長  そのへんは明確に書いておいたほうがいいと思うのです。世の中の認識というのは私 なども含めて、なかったのです。ですから注意喚起をする意味で、どのように書けるか というのはちょっと知恵を出していただくといいと思います。 中原委員  介護保険との関係で、保健婦がものすごく戦力として期待されていることは事実です が、保健婦というのはやっぱり保健婦の本来的な役割、機能みたいなものを持った存在 であろうと思うのです。その保健婦というのは一人ひとりのケースとかケアとか、それ に対してコーディネートしていくというものを本来的に機能としてもっている筈です。 それがなかなか例えば老人保健法のときには、じゃあ健康診査をやるとか機能訓練をや るとか、で結局そういう事業という形に中に入ってしまいますと、事業を推進すること は保健婦の仕事、ということは逆に現場の保健婦にしてみたら何か行政事務をやらされ ているような感じになってきてしまったと思います。それが介護保険でも保健婦が介護 保険でやるべき仕事の中身を保健医療の立場でよく理解できて、それを推進できるとそ ういうことを期待されている。つまり何か行政事務として介護保険の施行をやらされて いるという感じがどうもするわけです。その部分は絶対に必要であって、市町村の中で あるいは行政機関の中でそういう役割は当然期待されるのですが、保健婦が本来持って いるケアをコーディネートするとか、その人に対してどういうサービスを総合的に提供 すべきかというようなことを一人ひとりについて、生活の状況まで見てやってそういう サービスの提供をしていけるという存在であるということを、何か制度が進むにつれて 事業という形で明確化するにつれて、そういうのがだんだん分断化されたような感じで す。  従って、これは私のひがみというか、保健婦さんとの接し方が悪いのかもしれません が、20何年前に最初に保健婦さんに接したときには、一人ひとりの人のケアをするとい うことにものすごく生きがいを感じているような話をされたのですが、最近はそういう のはあまり聞かなくて事業の推進ということに非常に専心するとでもいいますか、だか ら保健婦の機能というものをもう少し、保健と福祉特に介護保険の中に取り込まれてき ているのであれば、その中で今申し上げたような一人ひとりの人に対するケアを総合的 に考えられるような、そういう機能というものを、そういうことをもっと強調すべきで はないかなと思います。  そのことは実は総合相談窓口という考え方が、ここにも「総合的なサービスの提供の 推進」とかそのあとにも「総合的な〜」という言葉が2、3カ所でてまいりますけれど も、そういう総合的という言葉で、何を意味するのかというのはこれは人によって捉え 方は違うと思いますが、やはり保健婦が持つ機能というものをもう少しその中で発揮で きるようなシステムというか、そういうことが考えられないであろうか、殊に介護保険 は福祉の発想でそもそも組み立てられてますので、福祉というのは保健婦さんとは全く 別の立場で事業をするのが基本であります。つまり申請主義でありますので、困ってい る人が相談に来ても、その人に知識がなければこちらから積極的に制度の内容を説明す るというのは、親切で現実にはやっていると思いますが、本来的にはそこまでやる必要 はないわけです。ところが保健婦さんの機能というのは、それをそこでも考えていくと いうのが機能だと理解しているのですけれど、そういう意味で保健婦を本当に介護保険 の中で使うと、使うという表現は失礼ですが、ただ単に行政の事務をこなすということ ではなく、そういう機能の発揮の仕方というのを考えていただきたいと思います。 園田委員  今のご発言に加えさせていただきます。介護保険のこれから導入に向けて保健婦の活 動での福祉的な側面が強くなってきているというお話ですね。確かに要介護あるいは要 支援のあるいは要支援になる可能性の高いような人をどうサポートしていくか、は大変 大事なことですが、そちらの取組みだけが強くなるのではなくもう一方の自立性をどう 維持するかとか高めるかという、働きも大切だと考えられます。私はむしろ保健婦に期 待されている大きな役割というのはそちらにあるのではないかと思います。その際、自 立性を維持するとか高めるということと、要介護の人をどう支えるかというのは、別の ことではないのですけれども、もう少し発想をあまり一方的に要支援、要介護だけでな く、自立という点も入れていただくと、この保健部門の役割というか、生涯を通して健 康づくりとの結びつきがでてくるのではないかと意見を持っています。よろしくお願い します。 衛藤委員  この役割の中で、今までの議論は、主に市町村の保健婦の役割の機能強化という議論 だったような気がします。私も市町村のレベルにおいた、保健と福祉の連携というのは かなり図られてきているのではないかと思うのですが、都道府県保健所が介護保険のヘ ルスの部分でどう役割を果たすかというのは、ちょっと難しいのではないかなという気 がします。  これは私がいろいろな市町村の委員会などにでて感じることですが、都道府県の保健 所に期待されていることが、どうも薄いような気がするのです。ここに都道府県保健所 の役割ということが挙がっているのですが、例えば上から2つ、計画策定の支援、2番 目のことはともかくも1番目のこのへんも本当に期待されているのかなという、市町村 でいくつか委員会にでているのですが、保健所の方は入っていないのです。入っている 場合もあまり発言も期待されていないような感じ、もし語弊があったら失礼ですが、よ うな気がするのです。その前提は、恐らく都道府県のレベルで保健と福祉の連携がうま くいっていないのではないかという気がしているのです。ですからもし保健所の、ここ で介護保険に対する役割強化ということを前提にするのであれば、都道府県における保 健と福祉の役割の機能強化という、そこにまず立ち返らないとだめなのではないかとい う気がしているのです。  言いっぱなしということはいけないということですので、敢えて付け加えるならば、 この上にですね、今後強化すべき基本的事項の3つ目のところに、これは言い古された 言葉ですので今さら言うことも何かおかしな感じもするのですが、やはり今一度、保健 と福祉の連携の一層の強化、連動ということを言及しておいたほうがいいのかな、とり わけ都道府県レベルのヘルスの部分の役割を考える上では、そこに立ち返らないと役割 の発揮というのはできないのではないかという印象を持っています。 米田委員  昨年の4月に、保健婦の活動については「地域における保健婦の保健活動について及 び「地域における保健婦の保健活動指針について」と題し通知が出されています。これ について現場ではいろいろのとらえ方があります。要は保健婦に積極的に介護保険に関 わりなさいということなのか、それとも保健事業の拡充のなかで側面的に捕らえなさい ということなのか意見が分かれているところです。厚生省として今回の通知は、保健婦 業務に対しどのような考えなのか、現場としてどのように捕らえたらよろしいのでしょ うか。 平野指導官  保健と介護保険との関連ですが、老人のことを考えてみましても、老人保健福祉計画 の中に、介護保険事業計画は含まれるものですので、老人保健福祉のほうが広いわけで す。そうすると保健活動の一つの領域として、老人保健福祉がある以上、その中に入る 介護保険にも関わらないということはあり得ない、関わらざるを得ないと整理していま す。ただ、ではどのようなところに関わるのか、どこに積極的に関わるべきかというと ころが問題になるわけです。先ほど中原委員からも、保健婦の個別的な対人保健あるい は福祉介護サービスということを切り口にした調整機能が、地域保健における総合性と いうことでも、大いに保健婦に期待されてきたというお話もあったわけですが、それは できるにこしたことはないと思っています。ただ、個別的に対応する職種は、20何年前 から見れば増えてきています。また、一方に市町村における公務員の定数枠もありま す。こういう状況から勘案すると個別的なサービスというのは、やはり行政として関わ ることが期待される対象に限局されると考えます。一方で保健の機能として地域全体を 総合的に見ていくこと、あるいは自立に向けた対象者に何をすべきかを視野に入れて全 体に関わることが他の職種には期待できない、行政に所属する保健婦等に期待されるこ とと考えられます。健康づくり、自立へ向けた支援を観点に入れ施策全体に対して関わ る、町づくりに関わることは機能することになるのではないかと考えます。一面では行 政事務に関わる側面というふうな捉え方もあるかもしれないのですが、どのような保健 事業えだれ、健康診査なり、機能訓練であっても、この地域の自立に向けたあるいは健 康づくりに向けた住民のニードに対応するサービスとして組み立てるところに、個別の 対応の経験を反映していくというのが保健婦の機能と考えます。  あれもこれもと欲張っているかもしれないのですが、このように整理すると、介護保 険においても個別的に個々の丁寧な活動を期待されるよりも、行政の定員枠等の問題も ありますから、より多くの住民に機能するところの役割を担うことのほうが、より機能 できると考えます。ちょっと説明が不十分と思いますが、やはり企画であるとか広域的 な調整的な機能を担うところに配属され役割を担うころが今後の保健婦の役割と整理を し、あのような通知にさせていただいたということです。 池田委員   私は先ほど衛藤委員もおっしゃってくれた連携のことはとても大事だと思っていま す。特に現状のところに踏まえてほしいところは、先程来保健事業を保健婦が中心とい うこと、これは確かにそういう面はあります。しかし、「今後、強化すべき基本的事 項」という中の、健康づくり、要介護状態になることを予防するための保健事業を、よ り推進していくためには、保健婦だけではなく、保健事業に関わっている全ての人が、 介護保険導入によって薄くなるという現状がありますので、そのことで、保健事業の強 化が損なわれることがないような体制を考慮すべきだということを踏まえていただきた い。保健婦だけが残ったから保健事業が強化されるという解釈をされると逆に低下して いくのではないかという気がします。そのへんのところを現状の中に踏まえていただけ ればと思います。 犬塚委員  都道府県保健所の役割をここにわざわざ書いたのは、介護保険制度が導入される時 に、都道府県保健所の役割が不明確だということで書いたと思うのです。ですからここ に書いてあること、都道府県保健所に期待をするわけですが、じゃあ例えばサービスの 質の確保、向上というのが、都道府県保健所の役割とすれば、政令指定都市・政令市・ 特別区においては、それは誰がやるのかなということが、見比べるとでてくるのです。 本来、都道府県保健所の役割が不明確だからここに書くのでありますけれど、こうやっ て書いてしまうと政令指定都市等々のサービスの質の確保、向上を誰が図るのかなとい うことになります。  考えてみますと、都道府県が市町村を指導する中で介護保険事業者は市町村なもので すから、第三者的な立場からサービスの質の向上を図るという意味で、都道府県の役割 は非常にうってつけの役割だと思うのです。これが政令市等々では、自らが介護保健事 業者になるわけですので、サービスの質の向上を図るために行うことというのが、一部 の業者の直接の営業を許可しないといいますか、そういうことに直接繋がってくると、 第三者的な立場からのサービスの質の向上のための問題というのはなかなか難しいので す。直接それを事業者がやるということがですね。ですからこれは非常に将来にわたっ て大きな問題になりますので、都道府県保健所の役割に期待するようなことを政令市等 でも、どこかがやっぱりやって欲しいと思うのです。  どうやってそれを書いたらいいのかわからないのですが、たまたま今政令市におりま すのでそういうことを思っております。ですから都道府県の役割としてそういうところ まで、都道府県保健所と書いてあるとさっきの話で、入ってこられない部分になってし まいますので、なんとか政令市等におけるサービスの質の確保ということを、どこかで 担うような形で書いていただきたいと思います。 北川座長  それは是非、事務局もこれからブレイクダウンして書いてくれますが、それに関連し てちょっとどういう書き方が可能かということも、詰めておいてください。 生田委員  「都道府県保健所の役割」のところに、専門的、技術的機能の強化といったことが書 いてございますが、この機能を効果的に発揮するためにも、保健所レベルにも相談窓口 機能とかコーディネーション機能を明確に位置付けて欲しいと考えております。  先程来、保健婦活動の本質のようなお話が幾つかだされておりますが、やはり保健所 における保健婦も広域性とか専門性という立場で、個別の対応はたくさん行っておりま す。それから市町村でできない保健活動、例えば境界領域あるいは制度の中の対象とな ってない方々への相談対応も行っておりますし、こうしたことは、ますます増大し、保 健所のほうで担っていかなければいけないことだと考えておりますので、相談機能、ケ アコーディネーション機能が、保健所にもきちっと位置付けられるように要望いたしま す。 中原委員  保健婦の問題ですが、住民の動向というのは調査してもよくわからない部分が多いの ですけれども、保健婦さんと接触している住民の方は、保健婦さんがものすごく一生懸 命やっているなということを本当に感じておられるのですけれども、一方では、私の感 じで保健婦が情報の網に入っていればこんな不満はでないのではないかと思うようない ろんな悩み事を抱えている住民もおられるわけです。福祉の立場でも対応できるのだけ れども、保健婦さんの網にはかかってないという感じの、そういう方々からもっと市の 行政あるいは市町村の行政の中で、こういうのにもケアをしてくださいよというような 要望を聞く機会が結構多かったものですから、ああこれは保健婦さんの仕事が増えるこ とになるのかもしれないなと思いつつも、保健婦機能の充実ということを現場の経験か ら感じるものですから、先ほどちょっと申し上げたのです。  4ページに、「保健福祉技術職の確保」と書いてありますが、保健婦さんが本来の機 能を発揮するためには、介護保険をはじめとする行政事務的なほうに手を取られてきて いると、これは平野指導官がおっしゃったように、いや一人ひとりでなくて多数の人に 保健婦の機能を発揮するためだから、こっちのほうに重点を置くのだと、これは今の状 況ではそれは致し方ないし、そうすべきであろうと思います。保健婦は、市町村あるい は行政の中で唯一人を増やすということが認められている職種という感じがしておるの ですが、今後ともその確保にご尽力というかご配慮をお願いしたいという具合に思いま す。 北川座長  要するに今の件は、結論は今の4ページの人材の確保、これをどう具体的に書けるか ということですね、これは是非マークしておいてください。 原委員  保健婦業務のことを中心に話されてますが、健康づくりであるとか生活習慣病予防で あるとか、介護といった問題についてはいろんな職種が関わるわけです。もし専門職種 がどう関わるべきであるかということになれば、私は栄養の立場で申し上げますけれ ど、他にも職種がございますので、できるだけ具体的に書ける部分は書いていただいた ほうがよろしいのかなと考えております。よろしくお願いしたいと思います。 長谷委員  今のお話の関連になりますが、健康の部門の現状、それからもう1つは、今後強化す べき基本的事項という中で、要介護状態にあることを予防するための保健事業、あるい は要介護状態の方が自立していくためには、やはり口腔保健の確立というのは非常に重 要な問題だと思いますので、そういう意味で例えば歯科衛生士が十分理解されてない し、あるいは活用が十分でないという面もありますので、是非そのへんも一言書き加え ていただきたいと考えます。 北川座長  まだ色々とご発言あるいは要望があると思いますが、割り当てられた時間の中で処理 したいと思います。次の(4)政令市部門の運営についてに入りたいと思います。5ページ の(5)政令指定都市の保健部門の運営と合わせてご発言ください。 中原委員  5ページの1市1保健所体制と1区1保健所体制の問題ですが、ほとんど網羅的に書 かれているのですが、1市1保健所の場合、「健康危機管理発生時の迅速・集中的な対 応」と、メリットのように書かれております。理論的に考えますとそうですが、実際問 題としては、市町村保健センターのほうに保健婦を配属してしまって、保健所には保健 婦がほとんどいないという運営をしているところもあり、環境衛生のほうは保健所です ので1市1保健所のほうにいると。そうしますと健康危機管理とか健康危機が起こった 場合に、保健婦と食品衛生監視員だとか環境衛生監視員だとか、そういう人たちとの連 携というのは本当は非常に必要な筈ですが、それが平常時において全く交流がなくて済 んでしまうような体制になっている可能性があります。ちょっとここのところがメリッ トとして挙げるのが、ホントに正しいのかどうかが、平常時における運営が、戦争が起 こった時の運営とどう関係してくるのかというところが、非常に大きな問題ではないか なと思うのです。 北川座長  今の保健所に保健婦がいなくなるということは、想定してなかったのでしょう、どう ですか。 事務局  確かに実態としてみますと、1市1保健所のところで保健婦が10名以下というところ がありますが、併任掛け、ないしは保健センターの職員を保健所に併任をかけるという 形でそれに対応はできている。ただ中原先生おっしゃったような、日頃のお付き合いと いうところについては、どんなふうに考えるかというのは問題あろうかと思います。 北川座長  この問題は、保健所と保健センターとを完全に分離をしてしまって考えているところ と、保健センターを保健所の一つの部分として考えているところとあると思うのですけ れども、そこはうまく連携をとってやっていけば今の問題は多少解決できるのかもしれ ません。 大月委員  同じような問題で、検査機能の問題が1市1保健所にあります。どちらかというと、 今1市1保健所の検査機能は非常に貧弱になっていまして、そこの衛生研究所のような ところが自主的にやっているところが多いのです。ですからそういう意味では、うまく 連携をしていただくような形の記述を特記していただかないと、1市1保健所で全部で きるような感じでは実はないのです。それは保健婦さんと同じことなのです。 小倉委員  先ほど中原委員のおっしゃったことをそのまま危惧するのですが、私は保健所保健所 の基本的なスタンスとしてやっぱり公衆衛生の総合性ということがあると思うのです。 現場で日常起こっているような事件、食中毒、あるいは住宅を起因にしたアレルギーの 問題があるとか、そういうときにはやはり保健婦と食監、環監等他職種が協同して事件 の解決に当たっている、これはどこでもそうだと思います。そういった意味で、基本的 に保健所というか公衆衛生行政の持っている総合性というものが、1市1保健所になり ますと非常に損なわれていくのではないか、保健所の存在理由そのものが損なわれてし まうのではないかということすら感じることがありますので、そのへんぜひ考えていた だきたいと思います。  それから4市の方が発言なさった時に、唯一各区1保健所の川崎市には非常に明確な ポリシーがあったような気がするのですけれども、どちらかというと1市1保健所のほ うが、なんとなく合理的でよろしいということがまとめの基調のような感じがします。 各区にあるというか、より住民に近いところにあるということと、それからもう1つ は、先ほど言いました公衆衛生の総合性、そういうものをどう確保するかというような 意味で、1市1保健所か行政区ごとにあるのが良いのかということを書き加えていただ けないかと思います。以上です。 池田委員  私も前回のヒアリングで整理してみたのですが、1市1保健所体制が非常にいいとい うところの条件があると思いました。それは保健所と区・本庁が組織されているという ことと、もう1つは、情報システム機能が非常によい体制をとっているということがな ければ、1市1保健所の機能というのは、十分に機能できないのではないかという気が しました。若干類似したところの、現場で働く人の声を聞いてみましたが、そのへんが 十分にいかないと業務に支障をきたしているということがありましたので、どうなんだ ろうと考えます。 衛藤委員  この場合、政令市の1市1保健所を考える場合に本庁の機能ですね、本庁にも保健部 というか健康部がある場合もあるわけです。その本庁の機能がない場合もあるわけで す。ない場合もありましたか。 北川座長  一緒になっている。 衛藤委員  なっている場合もありましたね、ですからこの場合に、もし本庁機能が別にあれば本 庁の中枢部分と保健所と保健センターという3段階になるわけですから、そこも分けな いと1市1保健所の場合の企画ということの考え方が少し変わってくるかなという気が したのです。これを分ける必要が、もうちょっと企画ということを1市1保健所の機能 ということを考える場合、本庁機能との関連性を考慮する必要があるのなかと思ったの です。 北川座長  それも注意点として記録をしていただきたいと思います。 犬塚委員  政令市制度の意義及び課題のところの課題のところで、知事権限業務のうち、移譲さ れていないもので、住民の利便性が損なわれているという課題がありますので、これに 対応するその留意すべき事項といいますか、ここに書くべきなのか最後の(7)今後、引き 続き検討すべき事項に入れるべきなのかわかりませんが、地方分権を考慮に入れてとい う視点に置いて、これは今回議論をしているわけですので、さらに政令市に権限を移譲 すべき項目については、検討すべきだということでぜひ盛り込んでいただきたいと思い ます。  本当に、中核市になったがために住民に不便をかけるような話というのは、できるだ け避けたいなと思ってますので、どこかにそれを書き込めたらと思います。 北川座長  それは一般的に書くのでなく具体的にむろしネガティブな問題もあるよということで すか。 犬塚委員  いや、これからの方向性の問題として、権限移譲の都道府県知事から政令市長への権 限移譲を進めるべきだということでいいと思うのですが、少なくともここに課題として 掲げた以上は、それに対応する対応策をどこかに書き込むべきではないかということで す。 伊藤局長  具体的に今、何が問題が起きているかということを言ってもらわないと。 犬塚委員  精神障害者の関係の問題というのが、大都市特例で政令指定都市までかなり権限が下 りました。中核市等の政令市には全く下りてませんので、そこのところがまず多くの例 えば精神障害者手帳の交付でありますとか、いうようなところでもいちいち県に持って いかなければならないというようなことが現実に起こっています。ですから都道府県が それぞれ保健所長に事務委任をして、各保健所で仕事ができるような形を事務委任をし てやっていることについては、今までですと地元の保健所で済んだわけです。ところが 権限として政令市長に行ってないものですから、政令市になったために経由事務として 都道府県にあげなければいけない、ですから現実には県庁までもっていくかどうかは別 として政令市保健所では処理できない事項が起こっているということです。 北川座長  たぶんこれは今精神保健福祉法の改正が進んでいますから、障害者手帳の交付は市町 村に下りる話になっているかな。 犬塚委員  そうです、今のところはそうなんですけれど。 北川座長  他にご発言がありますか。それでは(6)その他、各事業分野ごとの検討がありますが、 この分野で特に注意してほしいという注意喚起という意味でご発言があったらしておい てください。  私から発言をしてみますと、今専門職種として議論にでているのは保健婦となってい ますが、例えばこれから精神保健福祉法の関連で、市町村に精神障害者の福祉の分野で すが、こういう事業がだんだんと移っていくと、こういうことになると市町村における 精神保健というのは非常に人権問題を抱えた難しい問題ですから、どうやってこれにこ たえるマンパワーを育成していくかとか、あるいはそれ以外の例えば理学療法士、作業 療法士というような機能というのもだんだんと現場で機能し始めているわけです。こう いうこともどう考えていくのかと、将来に向けてどういう問題意識であるのかというこ とも一応検討をしておいていただけるといいかなというように思います。 生田委員  今精神保健福祉法のお話がでましたが、現在、精神保健福祉法の改正の作業が行われ ておりますが、今度改正の中に、従来保健所で行われていました通院医療の申請窓口、 手帳の交付が市町村に移譲される方向ですし、そして精神障害者居宅生活支援事業など が新たに法定化されて市町村で実施する方向になっております。そういった点で、保健 所にも障害者に対する個別サービスや精神障害者の疑いのある方、それから健康づくり といった業務が残されているわけですので、そういった点で市町村と保健所の密接な連 携がこれまで以上に必要になってくるのではないかなと考えておりますので、ぜひ精神 保健福祉活動における市町村と保健所の役割と連携協力についても論議していただいて 明記していただけたら大変ありがたいと思っております。 中原委員  各事業分野ごとということですので、注意喚起というよりはむしろ余計なことになる かもしれませんが、たばこというのがあります。たばこ問題について、日本では分煙を 基本にやっていくという大きな方向が示されているわけですけれども、世界的にWHO とかあるいは世界的な公衆衛生協会の連合体である世界公衆衛生協会連盟とか、そうい うところが非常に今たばこ問題について大きな関心を持っていろいろアピールをだして いるという状況の中で、地域保健の一つの課題として載せるべき否かの判断私にはでき ませんけれども、検討事項として検討していただければ結構だと思います。 北川座長  たばこ問題は、この秋に、国際会議を日本で何かやるという動きもあるよです。そう いうところで何か具体的な事業展開の方向付けみたいのが出てくるのかどうかわかりま せんが、よろしいですか。次は(7)の今後、引き続き検討すべき事項に移ってまいりたい と思います。 園田委員  今後引き続き検討すべき事項の一番最後に、企画機能・調査機能、これを取上げてい ただいたということは大変良かったのではないかと思っています。  企画機能ということにつきましては、報告書とかこの(案)の前のところに幾つか部分 的にはでてきているのですが、調査機能ということで、ある意味ではもう一つ人間を対 象とした能力という、例えば介護保険の問題でも地域の高齢者のニーズをどう把握する とか、アセスメントとかあるいはこれから健康21などの問題がでてまいりますと、ま すます目標設定とか評価の能力あるいは運営、調整力、こういう人間を対象とした能力 を強化するということが、対物とか細菌とか毒物ということとある意味では並んで、あ るいはそれ以上に大事なことになってくるのではないかと思います。そういうことでぜ ひそれをお願いしたいと思います。  1つ気になることは、市町村におけるということで、わざわざ保健所を外したことに なっているのですが、保健所もこの企画能力・調査能力というのは、細菌などのことは 保健所がやって、人間に関することは市町村みたいになるとあまり妥当ではないのでは ないか。データの収集、管理いろいろなことでもいわゆる生活面、社会的な面のデータ の把握そして分析、管理というのは保健所でも大変大事にこれからなっていくのではな いかと思います。市町村だけでなく「市町村並びに保健所における企画機能・調査機能 の強化」という表現にしていただけるとありがたいと思います。 北川座長  これは既に保健所については法律にも書いてあるということで書いてないと思います が。 小倉委員  今の園田委員に関連したことですが、先ほど大月先生も少しおっしゃったのですが、 基本指針そのもの全部を見直していいのかというようなことと関連しますが、現在の基 本指針には、今後の保健所の機能強化の視点として5点が挙げられています。それは企 画調整機能であるとか、あるいは調査及び研究、それから市町村間の調整、援助、情報 の収集、加工、還元、専門的・技術的機能の強化です。その基本指針の中に今園田委員 がおっしゃったようなことが取り上げられております。  大事なことは、高齢者実態調査などにおける各市町村の実態を見ますと、業者に丸投 げというのが結構多いのです。市町村には専門家がいないということで、今調査会社が 非常にたくさんありましていろいろな規模に応じて調査をやってくれる、入札までやっ てやっているようですが、いろんな市町村の調査が業者に丸投げみたいなところもかな りあるようです。私ども保健所のほうも、市町村に対してこういうことに関しては全数 調査が良いとか、あるいはこういうことに関しては無作為抽出の方法があるんだよとか いろんなことでの、市町村に関する指導などもできる限りやってきたと思うのですが、 十分でなかった面もあったのではないかという反省もしております。  ですから基本指針全体の中の、今後、強化すべき5つの視点というようなことを1つ ずつまたやって行くということになると、話がずいぶん違ってくるのかなと大月先生の 話を聞きながら思ったのです。今度は危機管理とか幾つかのテーマを与えられたので、 それについて中心にやって、その他の一番根本的なことについてはどうなさるのかなと いうことを大月先生もたぶん聞かれたのだと思うのです。その中に今いう企画調整とか 調査及び研究ということも非常に大きなウエートを占めておりますので、そのへんのこ れからの考え方、もうあまり回数はないと思うのですが、そういうことまで触れだすと 膨大なものになってしまうと思うのですが、そのへんはいかがでしょうか。 北川座長  これはまた後から事務局から追加していただいたらいいと思いますが、当然見直しを するわけですから、何か抜けている点とか変わった点があればそれは変えていくのです が、基本指針というわくの中でのバランスがありますから、そこだけ何かヘビがカエル を飲んだように書くわけにいかないだろうと思うのです。基本指針に書くべきことと、 実際に外側で、その背後で具体的にどうしていくかという問題と分けてさらに補強をし ていく点があれば、それはこの場でまた議論をしていただければフォローはできるので はないかなと思うのですがそういうことでよろしいですか。 岩尾課長  最初の経緯をお書きいたしましたが、お尻に火がついてやらなければいけない話から 始まったということで、そういう意味で中核市の話ですとかそれから危機管理の問題、 介護の問題、これはとにかくお尻の切られている話という認識ではじめておりました。 ですから一番最後に基本指針がでて5年経って、全体的に見直さなければならないこと があれば、それも言い方はなんですがついでにやろうということでお話いただいたと思 いますので、できれば次回までの今日私ども受けたお話を文章化すべく努力はいたしま すが、先生方でこういう話も本来あるいは議論すべきではないかというメモがあれば、 事前にいただいてそれを踏まえて文章を膨らませることはやって、次回のたたき台にさ せていただければと思っております。 大月委員  基本的には、危機管理であるとか指定都市の話の問題を基本指針に追加すればいいの だと思いますけれども、ただ今日お聞きになりましたように、そのほとんどが現在の保 健所に対する危惧の念があって、そうするとせっかく地域保健法の下にこんなに立派な 基本指針ができて、今小倉先生がおっしゃるように5つの新しい方向で機能が強化され るべき筈の保健所がどうもそうではなさそうだと、もっとはっきり言えばどうも福祉に 浸食されてなんとなく存在価値が危うくなっているというような感じがありますので、 そういう意味では基本指針にある、例えば調査疫学部門の機能強化のようなものについ ては、ここでどうせ見直しをするのであれば、再確認なら再確認といいますか、この方 向はやはり保健所としては大事なんだということをある程度きちんと強調していただい て、それにそういう観点では、さらに危機管理であるとかそういう問題を追加してほし いということにするほうがいいのではないかと思っています。それに疫学の問題である とかあるいは保健所の調査研究機能というのも、基本指針の中に新しく付け加えていた だいたわけですが、そういうものが本来きちんと機能していれば今日こういう福祉の問 題があったにしても、活動の拠点としての保健所の存在価値がもっともっと高まってい るはずなのですが、残念ながら恐らく支持率を調べれば地盤沈下をしているのではない かという意味で、基本指針のせっかく見直しをするというのであれば、全部見直しとい うわけにはいきませんが、今小倉先生がおっしゃったような新しい保健所のあり方とい うのは、そのまま踏襲するということを確認してこれを追加するだけがいいのかなと思 ってます。 池田委員  今後検討すべき事項としてそれぞれの市町村の保健事業を推進する上において、民間 の保健事業のサービス機関に委託するという事業が結構でてきております。恐らく増え てきているのではないかと推測をしています。例えば民間の医療機関、保健事業団、訪 問看護ステーション、検査機関などがあるわけですが、こういったところに対する監視 とか指導ということがどこにもありません。こうした機能を各本庁、いわゆる県が持つ べきではないかと思っています。今後検討をぜひしていただかなければ、望ましい質の 良い保健事業は期待ができない面もあるのではないかと思いますので、ご検討お願いし たいと思います。 米田委員  検討すべき事項のなかに、介護保険の導入、精神保健福祉法の見直しによる保健事業 の拡充という観点からいくと保健婦業務を明確にしていただき、保健所の機能強化や市 町村の基盤整備がより求められると思います。そのためにも現状の保健婦の人確法に基 づく必要数の見直しと、確保にむけた具体的な支援措置の拡充が求められてきますので 検討すべき事項としていただきたい。 生田委員  細かくはメモでださせていただきますが、ぜひ職域保健との連携協力の推進に関する 検討も行っていただければと考えております。特に今後、生活習慣病だとか中高年のメ ンタルヘルスに関する保健活動も強化されていくことになると思いますので、やはり地 域の家族と一緒に働く方の問題を考えていくという視点が必要かと思われますので、こ のことについても検討していただければと思っています。 北川座長  大変ご熱心な議論ありがとうございました。そろそろ予定の時間がまいってますの で、討議は以上で終わらせていただきたいと思います。事務局で今日の議論の内容を踏 まえまして、報告書の骨子をまとめていただくことになっているようですが、次回その 構想案を示していただいた上で、またご議論をいただきたいと思いますがよろしいです か。 岩尾課長  それではそのようにさせていただきます。次回のこの地域保健問題検討会でございま すが、先ほども申し上げましたが先生方から加えていろいろとメモがいただければあり がたいと思いますので、できるだけ早めにメモをいただればと思います。  次の開催でございますが、人事の異動などもありますので我々のほうで今日いただい た意見、それから今後来るであろう意見等を含めてまとめるのに少々時間が必要かなと 思います。できれば5月になって開かせていただきたいと思いますので、お手元にお配 りしております日程表にご都合のよろしい5月の予定を書いていただいて、そこに置い ていただければ事務局で回収させていただきます。日程が現在わからないということで あれば、ファックスでお送りいただければと思います。以上でございます。 北川座長  それでは今日の会議は閉じることにいたします。大変ありがとうございました。 問い合わせ先 厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課   担  当 中  里 電話番号 03−3503−1711 (内線2391)