99/03/24 公衆衛生審議会精神保健福祉部会議事録 公衆衛生審議会精神保健福祉部会 議 事 録     厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課 議事次第  日  時  平成11年3月24日(水) 14:00〜16:12  場  所  厚生省共用第7会議室(2階) 議事次第   1 開 会   2 議 事    (1)精神病床のあり方について    (2)精神保健指定医の指定の取消しについて    (3)精神保健指定医の指定について   3 閉 会 〔出席委員〕    高 橋 部会長   浅 井 委 員  生 田 委 員  伊 藤 委 員  大 熊 委 員   河 ア 委 員  北 川 委 員  吉 川 委 員  窪 田 委 員   佐 野 委 員  白 倉 委 員  仙 波 委 員  高 杉 委 員   西 島 委 員  町 野 委 員  吉 澤 委 員 ○部会長  それでは、会議に入ります。初めに、本日の委員の出欠について事務局よりご報告を お願いいたします。 ○中村補佐  本日は、精神保健福祉部会委員23名中、15名の委員にご出席をいただいております。 おくれてお見えになると思います。  定数の過半数を満たしておりますので、部会の開催は成立いたしております。  なお、本日、欠席される旨のご連絡をいただいている委員は、阿彦委員、池原委員、 木下委員、小西委員、冨永委員、新田委員、牧野田委員、谷中委員の計8名でございま す。以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。  それでは、議事に入りたいと思いますが、本日の部会の取り扱いでございますが、後 に出てきますが、指定医の問題などございまして、プライバシー等との問題がございま すので、精神保健指定医の指定等は従来から非公開としているということもあって、本 日の会議は非公開ということで行いたいと思いますので、どうぞよろしくご了承くださ い。  それでは、議事に入りますが、その前に、障害保健福祉部長から一言報告がございま すので、よろしくお願いいたします。 ○今田部長  ことしの2月17日にいただきました精神保健及び精神障害者福祉に関する法律につき ましての公衆衛生審議会の答申を踏まえまして、法改正の準備を進めてまいりましたけ れども、おかげをもちまして、このたび3月9日に閣議決定がなされまして、3月10日 に国会提出の運びになったところでございます。現在はまだ予算審議をやっている関係 上、審議始まっておりませんが、月末あるいは来月には審議が始まるのではないかとい うことでございます。どうぞ、よろしくお願いいたしたいと思います。  なお、答申をいただきました内容につきまして、その後、与党との協議等を踏まえま して、法文化に際しまして表現ぶりを改めた箇所がございますのでご報告をさせていた だきます。  まず、従来、指定医が患者の処遇の確保のために基準違反が認められた際の管理者へ の報告義務が述べられておりましたけれども、この義務の趣旨が、指定医が管理者にそ の旨を報告することによって、結果として患者の処遇がより適切に確保されることをね らいとしたものである、この趣旨がより明らかになるという形を含めて規定ぶりを改め ておるといったのが第1点であります。  次に、医療保護入院の要件でありますが、入院の必要性が理解できないこととなって おりましたが、精神障害の状態が短期間に変化する場合、それぞれの時点での判断をど うするかというようなこともございまして、現場が適切な判断がしがたいというような 意見も踏まえまして、「患者本人の意思に基づく入院」、つまり「任意入院では継続し た治療を行うことが困難な状態というような場合を医療保護入院とする」という規定ぶ りに改めております。  以上が、主な法文の表現ぶりで改まったところでございますけれども、今後法案審議 等もございます。いろいろとまたご理解、ご尽力を賜りたいと思いますので、どうぞよ ろしくお願いをいたしたいと思います。 ○部会長  どうもありがとうございました。  それでは、次に事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。 ○中村補佐  それでは、配付資料についてご確認をいただきたいと思います。  資料1「精神病床の新たな機能区分の設定について」でございます。  資料2「諮問書(写)」でございます。本日は諮問書が2つございまして、資料2は     「厚生省障第97号」についてでございます。  資料3「精神保健指定医の指定取消し処分対象事案報告書(N医師)」でございま     す。  資料4「参考資料−別冊−(N医師)」のものでございます。  資料5「精神保健指定医の指定取消しに係る行政手続法に基づく聴聞の結果について     (N医師)」。  資料6「参考資料−要約版−(N医師)」、  資料7「精神保健指定医の指定取消し処分対象事案報告書(T医師)」、  資料8「参考資料−別冊−(T医師)、  資料9「精神保健指定医の指定取消しに係る行政手続法に基づく聴聞の結果について     (T医師)」、  資料10「参考資料−要約版−(T医師)」でございます。  資料11「大和川病院事件及び犀潟病院事件に係る指定医取消事由の比較」、  資料12「精神保健指定医の指定取消しに関する規定等について」、  資料13「諮問書(写)」でございます。  資料14「精神保健指定医に関する専門委員会意見(前回保留者)」についてのもので      ございます。  資料15「精神保健指定医に関する専門委員会意見(今回申請者)」のものでございま      す。参考といたしまして「精神保健指定医数の年次推移等」についてでござい      ます。  そのほか、精神病床に係ります資料集といたしまして別冊を資料として配付しており ますので、ご確認のほどをよろしくお願いいたします。 ○部会長  よろしゅうございますか。資料15点、それに追加の資料があります。 ○町野委員  4と8が見つからないんですが、どこにあるか教えていただけますか。 ○中村補佐  資料4につきましては、お手元にあります青いファイルの方でございます。番号が付 してございませんで失礼いたしました。資料4が別冊でN医師、参考資料として、この 青いファイルになっております。資料8がT医師のファイルとして青い厚いものでご ざいますけれども、置いてございます。 ○部会長  よろしゅうございますか。別冊になっている資料、青いファイルの資料でございま す。ほかに。 ○大熊委員  今、資料を拝見しますと、精神病床等のあり方についても本日議論されるようでござ いますけれども、そういうことになれば、この2時間の間の前半、精神病床のあり方を 話すことについては、とりわけプライバシーが絡んでいて非公開にしなければいけない という理由は見当たらないように私は思われます。それから、指定医の問題にしても、 例えば資料を傍聴の方にはお渡ししないで、我々がお話しをするときに余り患者さんの プライバシーにわたることを口にしないというようなことをすれば、十分にプライバ シーは守られるというふうに思うのですが、いかがでしょうか。 ○部会長  この審議会の部会の公開、非公開というのは部会長の責任で決めておりますが、今回 は指定医の議題が出るということで、会議全体を包括的に考えまして非公開としたわけ でございますけれども、確かに委員のご指摘されるように、一部公開にするようなこと は可能だろうと思われますので、今後はもう少しその点を検討して決めるというような ことで、次回から検討させていただくということでよろしゅうございましょうか。 ○大熊委員  この非公開というのは、いつからきょうの非公開にしたのかというのをちょっと記者 クラブの人に聞いてみましたところ、私のところにはきょうの午前11時くらいにお知ら せがあったんですけれども、それより前に決めて記者クラブには言っておられたようで ございますし、何か順番がおかしいような感じもいたしますが。 ○部会長  決めた時点でございますか。 ○大熊委員  はい。 ○部会長  連絡の順番ですね。 ○大熊委員  連絡の順番が、連絡というか、こうこうこういうわけなので、非公開にしようと思う けれども、どうですかということがあって、なるほどねというふうに委員の人たちが言 って、それで非公開という段取りの方が適切なのではないかなと、ほかの委員の方がど ういうふうに思われるかわかりませんが。 ○部会長  今回に関しては、私が昨日いろいろな状況、お話を聞いて、非公開にしようというこ とで、そういう決定をしたものですから、その後のことについては順番が違ってしまっ たかもしれませんが。 ○西島委員  これは委員に諮ることですか。部会長の権限でされているんですよね。 ○部会長  部会長の決定権で。 ○西島委員  ですから委員に諮ることでないのであって、公開、非公開というのは、外に向かって 公開、非公開の話ですから、委員に対してそれをとる必要はないと思います。 ○部会長  委員の方からしてみれば、先に知らせてほしいということなんでしょう。 ○吉澤委員  今のご意見ですけれども、通常これは議長権限でできるというふうに書いてあって も、最大限やはり開かれた会議ということで傍聴する人たちのことを考えてという運用 が通常であると思います。できるということで、どういうやり方をとってもいいという ふうにはこういった議長の権限は考えられないと。 ○西島委員  いや、それはそういうふうには申しておりませんで、要は外に向けて公開かどうかの 話でしょう。ですから、今大熊委員がおっしゃったのは、要するに、私には全然その話 がなかったと言われましたので、私は今の意見申し上げたわけでございまして、委員に は全部公開されておるわけですから、要は外に対して公開か非公開の話でしょう。 ○大熊委員  そういうことではなくて、「非公開にしますけど、いいですか」という電話がきょう 午前中あったものですから、それは「『いいですか』と言われても、私は余り賛成でき ません」というふうに申し上げたわけですが、ほかの方にはどうなのか。 ○部会長  きょうはいろいろ審議する項目ございますので、はい、どうぞ。 ○吉澤委員  私も初めてでわからないんですが、こうした資料を固有名詞で具体的に書くというこ とが絶対必要なのかということを考えれば、ケースということで、特定の個人を指さな いような形で出すことも可能ではないかと思います。今回に限らず委員に事前に資料が 全く渡されないということがありますので、そういう点もわからないのですが、今後配 慮がいただければ、その方がより議論がしやすいと思いますが。 ○部会長  この場では固有名詞を出さないということですか。 ○吉澤委員  資料自体を固有名詞を出す必要がないものについては、ケースとして提出すれば済む ことではないでしょうか。 ○部会長  いかがでしょうか、事務局何かご意見ございますか。 ○三觜課長  これは指定医の処分をするわけですし、また、指定する方も個人を特定して指定する わけですので、○○、××ではちょっと議論するのはいかがなものかと思いますが。 ○吉澤委員  わかりました。それなら結構です。 ○部会長  よろしいですか。 ○今田部長  資料が直前にならないとできないというご指摘で、それだと議論をするのに必ずしも 適切ではないということでありますが、それは事務局の問題でありますので、できる限 り早めに資料をつくってお送りするように努力はさせていただきたいと思います。 ○大熊委員  今、ここにあしたある医療審議会の資料があって、これはかなり前に来ていますの で、同じ厚生省の中でこうまで差があるのは、それから医療審議会に限らず、私がこれ まで出たことのある審議会は大抵資料は事前に来た。福祉関係の方もそうだと。 ○部会長  伊藤先生何かございますか。 ○伊藤委員  今の話のようにしていただければよろしいと思います。ただ、公開については「原則 公開」ということで出発していますので、公開できる部分については公開するというこ とで、例えば、時間を設定して「精神病床のあり方について」は公開して構わないわけ ですから、ある時点で非公開にしますということで、そこで傍聴の方は退席していただ けばいいわけです。指定医の問題についてはやはり非公開の方が率直な議論ができて私 はいいような気がします。少なくとも「精神病床のあり方について」は公開すべきであ ったのではないかというふうに考えております。今後よろしくお願いいたします。 ○部会長  今後のその部分的な公開に関しては「公開原則」という観点から検討したいと思いま すので、今回はどうぞご了承いただきたいと思います。  それでは議事に入らせていただきますが、まず、初めに第1の議題でありますが、 「精神病床等のあり方について」、現在「長期入院患者の療養のあり方に関する検討委 員会」において議論されていることでございますけれども、その検討状況について事務 局から説明をお願いいたします。 ○西島委員  その前にようございますか。 ○部会長  どうぞ。 ○西島委員  今回、この精神病床の機能区分ということで、今資料を見させていただきましたが、 いろんな数字が既に入っておりますですね。例えば、精神一般病床の人員配置基準「32 人に1人」というような数字が入っておりますけれども、ぜひ、この議論に入る前にい ろんな数字の根拠についてちょっとお教えいただきたいと思うんですが、32人に1人と いう医師の科学的根拠は何なのでしょうか。 ○部会長  多分そのことは説明の中にも盛り込まれることだろうと思いますので。 ○西島委員  そういう数値的なものをまずきちんと聞いた上でこの議論に入らないと数字だけがひ とり歩きしているような気がしてしようがないんですが、ですから、今32人に1人とい う科学的根拠をぜひお教えいただければと思います。 ○部会長  そういう説明が可能ですか。それとも全体を説明して。 ○三觜課長  資料をこれから説明させていただきますので、その中で考え方等についてご説明させ ていただきます。それを先にさせていただきたいと思います。 ○部会長  では説明をお願いいたします。 ○中村補佐  それでは、資料1「精神病床の新たな機能区分の設定について(議論のためのメモ) 」に沿ってご説明をさせていただきます。  「長期入院患者の療養のあり方に関する検討会」で具体的な議論をいただいておりま す中のご意見をまとめさせていただいたものでございますので、少しご説明が長くなる かもしれませんけれども、お許しいただきたいと思います。  まず、「基本的な考え方」でございます。 現在、医療法改正の動きの中で、患者の状態にふさわしい医療を適切な療養環境のもと で効率的に提供していけるような医療体制の確保を検討している。  具体的には一般病床を 1急性増悪を含む発症後間もない患者又は病状が不安定な患者 を対象とする急性期病床と、 2病状は安定し疾病若しくは障害を抱えている患者又は長 期にわたる医療の提供が必要な患者を対象とする慢性期病床とに機能を分化することの 検討がすすんでいる。  この検討の場において、精神病床については、その特殊性から別途検討することとさ れたところである。  精神病床については、その機能として治療水準の向上、患者の様々なニーズへの対 応、社会復帰の促進等を図っていくために、患者の病態像に応じたよりきめ細かな入院 治療を提供できるシステムの構築が求められている。  このため、精神障害者の様々な病態を踏まえ、充実した専門スタッフの集中的な医療 を必要とする患者群や治療上ゆったりとした療養環境のもとで長期にわたる療養を必要 とする患者群等に、より効率的な医療を提供していけるよう機能の分化をすすめる必要 がある。  その際、精神病床等の在り方検討部会報告で提示されたように、急性期や慢性期とい った時間軸のみによる区分や重症度のみによるものでなく、これらを総合的に捉えたも のとする。  これらを踏まえて、総合的な観点から、以下のような現行の精神病床の機能の分化を 図ることとする。 1)患者の病態に応じた人員配置基準及び構造設備基準の設定  現行の精神病床を 1充実した専門スタッフの集中的な医療を必要とする患者群を対象 とする一般病床、 2治療上ゆったとした療養環境のもとで長期にわたる療養を必要とす る患者群を対象とする療養病床とに機能の分化を図り、提供されるべき医療サービスの 形態に応じ、それぞれにふさわしい人員配置及び構造設備の基準を設定する。 2)病床機能の単位  病床機能の単位は原則病棟単位とする。  ただし、社会資源の地域バランスの確保や地域の疾病構造への対応を考慮すると、病 棟単位での区分が困難な病院については病室単位でも区分できることとする。 ○ 病室単位で区分できる病院の規模等の要件設定については別途検討するというご意 見をいただいております。 3)新たな病床機能区分への移行について  既存病床については、各医療機関が患者の病態や提供している医療の状況等を踏ま え、自主的に判断し都道府県知事に対し申請を行うことにより、新たな病床機能区分へ の移行を行う。  その際、精神病床の地域偏在、医師等必要な人材の供給が十分でない実態等を踏まえ て、地域での円滑な移行が行われるよう必要な期間を設定する等、患者に対する医療の 提供に支障が生じないよう十分配慮する。 4)新たな病床機能の医療法における位置づけについて  新たな病床機能の医療法での位置づけは、精神科医療に求められている病床機能がよ り効率的に提供できるよう、また、地域での疾病構造の変化などに柔軟に対応できるよ う十分配慮する。  精神病床を病床の種別の一つとする現行の考え方を踏襲し、精神病床という病床種別 の中に新たに求められる病床機能を定義し整備目標を設定する方式や、新たな病床機能 毎に病床の種別を設定し、それぞれの必要病床数を算定する方式などの中から精神科医 療が最も効率的に機能する位置づけを行う。(これにつきましては、参考資料で後ほど また詳しくご説明させていただきます)。 5)新たな病床機能の位置づけに基づく必要病床数の算定  医療計画における必要病床数算定式を見直し、医療計画が医療資源の効率的な配置、 医療提供体制の体系化を目指した趣旨から、必要病床数の地域間格差を是正するため、 現行のブロック値の考え方を改め、最終的な目的を全国統一値に置くこととする。(こ れも後ほど資料でご説明させていただきます)。  また、精神科医療が初期入院治療から社会復帰後の外来治療まで一貫性が求められる ものであること、さらにその医療資源の地域偏在のないバランスを確保する必要がある こと、障害者プランの障害保健福祉圏域との密接な連携を図る必要があることなどか ら、現行の都道府県単位の整備圏域から、最終的には2次医療圏を参考にしたより地域 に密着した圏域を設定することを目標とする。  その際、既存病床が新たな病床機能区分に移行するために必要な期間を十分配慮し、 当分の間は、その整備圏域を都道府県単位に必要病床数を算定する。また、新たな病床 機能毎の整備目標数または必要病床数の設定も当分の間、行わないこととする。  今、説明の中で出てきました必要病床数また整備目標についての説明が4ページでご ざいます。「医療法における病床機能の位置づけ方について」というところをごらんい ただきたいと思います。2つの方式が現在ございます。  1つが、「病床機能毎に必要病床数を設定する方式」で、「精神一般病床」、「精神 療養病床」ととりあえず名前をつけさせていただいていますが、別々に必要病床数を算 定する方式でございます。  これは現行法第7条で、病床の種別を精神病床、伝染病床、結核病床、その他の病 床、これが一般病床でございますが、病床の区別を行い、それぞれ整備圏域における必 要病床数を算定しております。  この方式の場合には、精神一般病床、精神療養病床についてそれぞれ必要病床数を算 定することになり、例えば、病床数を登録した後、同一病院内で一般病床数を減らし、 療養病床に転換する場合でも、療養病床増床として見なされ、必要病床数としてまた調 整を必要とするという方式でございます。  2つ目が、「全体の必要病床数を算定し一般病床の整備目標を設定する方式」でござ います。  これは、現行法第1条で、第7条第2項で規定されているその他の病床に限って「療 養型病床群」を規定し、その他病床については必要病床数を算定しているが、「療養型 病床群」については、整備目標を設定している。 この上の図で言いますと、精神病床全体としての必要病床数は算定いたしますが、─ であります一般病床等につきましては、整備目標という形で必要病床数とは別の設定を するというものでございます。  この方式の場合には、精神病床全体として必要病床数を算定し、その枠内で整備目標 を設定することとなり、例えば、病床数を登録した後、同一病院内で一般病床数を減ら し、療養病床に転換する場合は、増床として見なされず、その必要病床数との調整がな いということでございます。 ○ 検討会では、案IIが現実的であり適当であるという意見が多数でございました。 一方、案Iが精神科医療水準の向上をより早く進める上では適当という意見もございま した。 ○ また、診療報酬上の機能区分を更に進めるべきで、医療法上の新たな機能の設定は かえって病床機能を硬直化させる危惧がある、こういった医療法上の区分けは不要であ るというご意見もございました。 診療報酬上の区分について、次のページでご説明させていただきたいと思います。参考 2をごらんいただきたいと思います。  「診療報酬上の機能区分に係る看護基準の区分について」ということでございます が、看護基準について、例をとりましてご説明をさせていただきます。 I 現行の看護基準の区分について  診療報酬制度上、現行の厚生大臣の定める新看護等の届出受理要領第1−3に規定が ございます。  届出は、当該保健医療機関の全病棟において包括的に行うことを原則とし、特に規定 する場合に限り、特定の病棟について区分して届出の受理を行うということでございま す。病院全体で看護基準が定められている。病院は幾つも病棟がございますが、それぞ れの病棟について2:1とか3:1とかそれぞれ定められているわけでなくて、全体で 一括して定められているということでございます。  「なお、療養病棟、結核病棟、精神病棟及び一般病棟を有する保健医療機関に関して は、一般病棟、療養病棟、結核病棟、精神病棟につきそれぞれ区分して届出を行う」。 これはそれぞれの病床の種別及び療養型病床群でいわれます療養病床については別に看 護基準を定めてもよいということでございます。  ちょっと飛びますが、「精神病棟においても当該病床種別の病棟全体につき包括的に 届出を行う」ということでございます。  なお、新看護若しくは基準看護を行う病院において、一部の病棟において特定入院料 の各区分に該当する入院医療を行う場合にあっては、これらを行う病棟等以外の病棟全 体を単位として届出を行う。  包括的な届出というルールがございますが、特定入院料を算定する場合にはそれぞれ 別に病棟体として届出を行うことができる。  精神科関係では、そこの注にございますように、精神科急性期治療病棟、精神療養病 棟、老人性痴呆疾患治療病棟、老人性痴呆疾患療養病棟について特定入院料が定められ ているわけでございます。  この診療報酬上、医師、看護要員等について、また介護職員等について人員配置が定 めれておりますが、このような形で機能分化を図っていくことが適当ではないかという ご意見でございました。  6ページをごらんいただきたいと思いますが、先ほどの病床について医療法で位置づ ける場合、IとIIがございましたが、IIの位置づけ方をした場合の仮定でございますけ れども、新たな精神病床の区分での看護基準の区分についてということで、精神病床を 医療法上の位置づけとして、精神一般病床と精神療養病床として区分した場合には、以 下のとおりとする。 1 現行では一般病床の一般病棟と療養病棟を区別した届出が可能なように、精神病床 の一般病棟と療養病棟も、精神病床の一つの種別として包括的に見なすのでなく、区別 した看護基準の届出が可能とする。 2 また、前述の 1を前提として、特定入院料の各区分に該当する入院医療を行う場合 については、現行どおりこれらを行う病棟以外の病棟全体を単位としての届出を可能と する。  ということが考えられるということでございます。  次が7ページでございますが、医療計画の病床数の算定式のところについての資料で ございます。一般病床における医療計画の見直しについて、今議論されている資料でご ざいますが、そちらの方では、まず、見直しの段階的実施ということを提案されてござ います。 急性期病床及び慢性期病床の区分の導入に伴い、従来、その他の病床(一般病床)単独 の病床種別とされていた医療提供体制からの円滑な移行を図るため、医療計画の見直し を経過期間と本格実施期間に分けて段階的に実施する。  経過期間においては全体の必要病床数を算定し、本格実施期間においては急性期病床 及び慢性期病床の個別の必要病床数を算定する。 その際の留意事項といたしまして、 急性期病床及び慢性期病床の区分導入に伴う人員配置基準及び構造設備基準の設定や平 均在院日数の取り扱いを踏まえ、 1 急性期病床については、平均在院日数の短縮化に対応可能な算定式を設定する。 2 慢性期病床については、長期入院の改善に対応可能な算定式を設定する。 医療資源の効率的配置、医療提供体制の体系化を目指した医療計画の趣旨を踏まえ、必 要病床数の地域間格差を是正するため、現行のブロック値の考え方を改め、最終的な目 標を全国統一値とする。  具体的な算定につきましては、次のページにあります算定式を基本といたしまして、 都道府県知事の裁量により地域の実情を反映することができるよう、流入・流出加算の 見直し等を行った上で、各圏域での必要病床数の算定を行う。  また、名称の検討を行うというものでございます。  次のページに算定式がございますが、経過期間中の必要病床数の算定でございます。 ここに括弧で、現行の算定方式で、入院率については基準値又は都道府県値のいずれか 低い値を用いて算定した必要病床数ということで全国値を導入する。さらに、現在の平 均在院日数と目標となる平均在院日数から成る計数を掛けて必要病床数を設定する。  さらに、本格実施期間(移行完了後)につきましては、それぞれの病床ごとに必要病 床数を算定するという提案がなされてございます。  急性期病床につきましては、平均在院日数が算定の要素として入る。  慢性期病床につきましては、入院率、病床利用率といったものが要素として入るとい うことでございます。  いずれの算定式におきましても、病床利用率については、現行のブロック値から全国 一律の値を用いるということがそれぞれ(注)に記載されているところでございます。  次の9ページをごらんいただきたいと思いますが、これらを踏まえまして、新たな精 神病床の機能区分のイメージということで、まだイメージでございますけれども、精神 一般病床と精神療養病床ということで区分した場合のそれぞれの具体的な対象、配置基 準等についてまとめたものでございます。  精神一般病床の対象となる患者につきましては、緊急の入院医療を必要とする患者、 急性増悪を含む発症後間もない患者又は病状が不安定な患者。ここにつきまして、一般 病床の方では、入院期間について当面目安となるものが示されておりますが、精神病床 については当面行わない、問わないということを注意書きでやらさせていただいており ます。  提供される医療サービスにつきましては、充実した専門スタッフのもとで一定期間の 集中的な医療を提供する。  人員配置基準につきましては、医師、看護職員等の配置基準(入院に関するもの)に ついては、一般病床と同等の基準を目標とするが、医師等については需給状況を鑑み、 当分の間、以下のとおりとする。  医師が入院患者32人に1人、看護婦・准看護婦等、入院患者3人に1人、薬剤師、入 院患者 150人に1人。医師、准看護婦等につきましては有資格者は4:1でございま す。  この基準につきまして、人員配置については、特に医師の需給状況を見ると、医療監 視の結果の遵守率が低いこともあり最低基準の設定には慎重に検討を設定すべきとの意 見がございました。  一方、従前の総合病院の精神科が担っていた合併症や救急医療などの医療サービスを 確保するために、複数の他科併設型の精神科については、医師が16:1の人員を確保す る別の基準を定めるべきではないかという意見もいただいてございます。  構造設備基準でございますが、患者1人当たりの病床面積、病棟面積等を除き、現行 の精神病床の基準を踏襲し設定する。  患者1人当たりの病床面積については、施行後新設される建物内の病室については患 者1人当たり 6.4平方メートル以上とする(算定には当該病棟のデイルームを含む)。 既設の建物内の病室については現行のままとする。  各病棟にデイルーム、保護室を有することとすること」。  これは新たに規定することになりますが、これにつきまして、病室とデイルームの包 括的な基準の設定に際しては、現行の病室の面積が確保されることは当然のこととして 前提となるべきだと。  デイルームは生活的施設であり、病室と包括的に定めるのは不適当との意見もござい ました。  保護室については、これまでも医療報酬で精神病床として規定されているが、隔離専 用室として整備される場合の他、多目的用途の個室として整備されている場合もあり、 医療法上の要件などの設定については別途検討する。  廊下幅については、施行後新設される建物については、一般病床の基準と同様のもの とする。既設の建物については現行のままとする。  在院期間の取り扱いでございますが、精神一般病床を有する病院の管理者は、原則と して精神一般病床に収容されている患者の概ねの在院期間以内に、精神一般病床におけ る治療を終了させるよう努めるものとする。  ただし、長期に病状が不安定な患者の概ねの在院期間については、別に検討すること する。  以上が、精神一般病床で、(2)精神療養病床でございます。  対象は、病状は安定し、長期にわたる医療の提供が必要な患者、または疾病若しくは 障害を抱えるリハビリテーションを必要とする患者でございます。  その際、内容といたしましては、手厚い介護力とゆったりとした療養環境のもとでリ ハビリテーションと長期にわたる療養を提供する。  人員配置基準につきましては、医師48人に1人、看護婦・准看護婦が6人に1人、看 護補助者6人に1人、薬剤師 150人に1人ということでございます。  次のページでございますが、構造設備基準につきましては、患者1人当たりの病床面 積、病棟面積等を除き、現行の精神病床の基準を踏襲し設定する。  患者1人当たりの病床面積については、施行後新設される建物内の病室については患 者1人当たり 6.4平方メートル以上とする。(算定には当該病棟のデイルームも含 む)。  既設の建物内の病室については経過措置期間をおくこととする。  また、各病棟毎にデイルームを有することとする。  廊下幅については、一般病床と同様でございます。  経過措置でございますが、各病床機能にかかる構造設備基準の設定に伴う施行後の経 過措置期間は、都市部や郡部などの地域の実情に応じて5年から10年を目途とする。ま た、へき地・離島等の病院については別途配慮するというものでございます。  これを踏まえて、医療計画の見直しでございますが、見直しの段階的実施につきまし ては、各病床機能区分の導入に伴い、現行の医療提供体制からの円滑な移行を図るた め、一般病床と同様に、経過期間と本格実施期間に分けて段階的に実施する。  経過期間については、現行どおり全体の必要病床数を算定し、本格実施期間について は各病床機能毎の整備目標数または必要病床数の算定をする。  見直しに当たっての留意事項といたしましては、医療資源の効率的な配置、医療提供 体制の体系化を目指した医療計画の趣旨を踏まえ、必要病床数の地域間格差を是正する ことと、障害保健福祉圏域を設定している障害者プランとの整合性をとるために、現行 の都道府県単位を圏域とする考え方を改め、2次医療圏を踏まえた単位の圏域(複合も 可)の設定を最終的な目標とするというものでございます。  具体的な算定につきましては、従来算定式に盛り込まれていた医療圏を超えての患者 の流入・流出の人数加算を考慮することを改めることや、ブロック別の入院率を全国的 に統一することについては、一般病床の算定式の考え方を踏まえることとする。  ただし、入院期間の短縮化の目標となる平均在院日数を算定式に導入することについ ては、新たな病床機能の設定後も、入院医療から地域ケアの移行のための社会復帰施設 の整備に相当の時間を要すること、たとえ同じ疾病であっても病態の安定を見込める期 間が様々であることなどから総合的な平均在院日数の目標設定が困難なことを踏まえ、 当分の間は行わないこととする。  その他、精神科医療に求められている機能分化を進めていくためには、医療法による 病床機能の位置づけにとどまらず、診療報酬によるきめ細かな対応がより効果的であ る。現在、診療報酬上では、既に、これらの求められる機能分化に対応するべく種々の 専門病床が設定されている。今後は、治療水準の向上等も踏まえ、さらに安定した運営 にも十分配慮しつつより合理的な診療報酬を設定すべきである、との意見もございまし た。  全体につきまして、精神保健施設やこころのケアホームなど、これまで提言されてき ている長期在院患者のための療養施設整備について、現在検討されている医療法上の精 神病床の機能の見直しと併せて検討すべきとの意見もいただいてございます。  以上でございます。 ○部会長  どうもありがとうございました。  それでは、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。その前にちょっと確認させて いただきたいんですが、これは、「長期入院患者の療養の在り方に関する検討会」で検 討している状況の報告で、これは今回のここの意見をまたそこへフィードバックして検 討が続くということですか。 ○中村補佐  これまで、「長期入院患者の療養の在り方に関する検討会」につきましては、9月か ら部会を設けまして、1月に報告書をいただきまして、それから、またご審議をいただ いておりますが、いろいろなご意見をいただいているという状況でございまして、本日 それぞれのご意見があるということで、審議会の方に上げさせていただくということで ご了解をいただきまして、このようなご報告をさせていただいたということでございま す。これから、審議会の方で、これまで長期在院患者の検討会の方でいただいたそれぞ れのご意見を踏まえてご議論いただければと考えてございます。 ○部会長  ということでございます。それでは、ご質問、ご意見。 ○西島委員  先ほど申し上げましたように、32人というこの数字の科学的根拠。それから、もう一 つは、同時に「精神病床等の在り方に関する検討部会」がありまして、その報告書が出 ているはずですが、その報告書の位置づけの説明をお願いいたします。 ○中村補佐  まず、第1点の32:1につきましては、9ページの人員配置基準に、「一般病床と同 等の基準を目標とするが、医師等については需給状況を鑑み、当分の間、以下のとおり とする」ということで、一般病床では現在16:1ということが医師の基準となっており ますけれども、精神病床については特例ということで、48:1ということになっており まして、できるだけ一般病床に近づいた人員配置と、さらに現在の医師の需給状況等を 考えて、16:1を単位といたしまして、32:1という数字が出てきているというふうに 理解しております。  それと精神病床等の在り方に関する検討部会の報告書については、お手元の資料集の 一番最後の34ページに資料として配付させていただいておりますが、これは長期入院患 者の在り方に関する検討会のもとで議論をする際に、各方面からの現場の方々のご意見 をまめず取りまとめてからということでご意見いただきまして取りまとめたものでござ います。  これを踏まえて、長期入院患者さんの在り方の検討会でもご議論いただきましたし、 その内容につきましては、この審議会でもご紹介させていただいているということでご ざいます。 ○西島委員  精神病床の在り方検討委員会では、これは区分をしないということで報告書が出てい るはずでございますが、それについて長期入院の委員会では、どういうこれについての 議論があったのか教えてください。 ○中村補佐  資料集になりますけれども、34ページから資料がございますが、今、ご指摘の、通し ページで38ページからのところで、39ページにつきまして、最初のパラグラフで、「精 神科病床については、基本的に病棟単位の機能分化の考え方を踏まえながら、精神科医 療の特殊性を踏まえた合理的な機能分化について整理検討すべきである」ということで ございます。  その下に飛びまして、3)の「精神病床の機能分化を進めるための留意点」といたし まして、「精神医療においては、これまで述べたようなニーズに対応した精神科病床の 機能の分化が求められており、これを配慮した病床区分の設定をする必要がある。しか し同時に機能分化を進めるために病床区分を細分化し法定化することは、次のような問 題を含み、かえって実態に応じた機能分化を阻害するおそれがあることも留意すべきで ある」ということで4つほどございますが、40ページごらんいただきたいと思います が、「これらのことから医療法上での区分を最小限にとどめるべきである」ということ でございます。  「また、これら期待される機能分化を進めていくためには、医療法での位置づけとと もに、資料報酬によるきめ細かな対応がより効果的である」、ご意見いただいておりま して、医療法での区分を最小限にとどめるということで報告書としておまとめいただい たと理解してございます。 ○部会長  ほかにご意見。 ○西島委員  幾つかあるんですが、私、今読んでいまして、資料7の犀潟病院の状況が書いてござ いますが、職員数が、医師が常勤12名で、うち指定医8名ということですから、8名は 精神科医と考えていいと思うんですね。そうしますと、精神病床数が 250でございます から、これを単純に割りますと、31か2ぐらいになると思うんですね。これで32:1と 考えていいだろうと思うんですが、ところが今回の犀潟病院は、これだけの医師がいな がら、女医さんの資料、先ほどもちょっと見ましたけれども、ほとんどカルテが書いて ない。要するに患者さんを診てないわけですね。だから、医師の数を増やせば質が上が るという話では私はない思うんです。どうしてそういう議論がなされるのかということ と、もう一つは、32人に対しての科学的根拠は全くないですね。16:1に近づけるため に、だから32:1でいいか。科学的根拠は全くないわけで、これは実際には医療費が上 がる話ですね。つまり医療費のむだ遣いになるということです。医師の数は増やして患 者は診ない。診療報酬はそれだけ取っていくということになりますと、本当にそういう 検討をきちんとなされたのかどうかというふうに思うんです。  もう一つは、こういう病院、特に国公立の病院に関しましては、看護基準かなり高い ですね。高いにもかかわらず、こういうような不祥事を起こしている。ですから看護婦 が多ければいいという話ではないと私は思います。  それから、もう一つは、最近の一連の公立病院の不祥事件、あれはほとんど新看護体 系高いと思うんです。だけど、看護婦が少なくて忙しいから、こういう事件起こしたん だみたいな言い方がされていますけれども、これは個人の資質の問題だと思います。現 実的には48:1で本当にやれてないのかどうか、そういう調査をされたのかどうか。そ れから、看護婦が本当に忙しく足りないのかどうか、タイムスタディーをされたのかど うか。  もう一つは、精神病床の在り方検討委員会の報告書の中にあるように、これからの精 神科病院の在り方はどうあったらいいのか。私はこの前もお話ししましたけれども、鬱 病がいて、痴呆老人がいて、特に介護保険の中で始めてです、痴呆を取り上げてきたの は。しかも精神科医が非常に必要である。全国からそういう意見が上がってきているわ けです。ですから、そういう意味では、今後やはり精神科病院としては痴呆とか鬱病に 対して積極的に取り組んでいかなければいけないわけでして、この分裂病だけを考え た、こういう病床区分を今決めていいのかどうかということを私は非常に感じるわけで ございます。  もう一つだけ、実はこれは平成9年9月に行われました中医協の医療経済実態調査で ございます。公立病院と医療法人との区分けをされてまして、公立病院が病床が平均 249医療法人が病床が 241、これからいきますとほとんど病床の差はないと考えていい と思うんですが、職員数でいいますと、医師が公立が 7.2、医療法人が 5.2、2人少な い。看護職員が公立は 100、看護補助職員が 3.5、医療法人は看護職員が63、看護補助 職員が20、これは83名ぐらいです。ですから当然看護職員は少ないわけでございます が、実は、私は医療経済実態調査の中でずっと見ていきますと、公立病院と医療法人は 入院の収入はほとんど変わらない。  ところが給与が倍なんです。これは月間ですが、公立病院が1億 987万、医療法人が 5,421万、これが給与でございます。つまり倍あります。 そして、医療収支差額が実に公立は− 4,944万、医療法人は+ 318。経常利益が公立 は− 5,453万の赤、医療法人が +303 万、黒、補助金、負担金等について、公立病院 には月間 3,846万出ているわけです。 こういうのを考えていきますと、年間一般からの繰入補助金等々でいきますと、5億 近いお金がここに投入されている。  先ほどから話ししています32:1にすれば、この5億を担保していただけるんですか という話なんです。要するに医療費がそれだけ上がって構わないのですか、ぜひ、その あたりの議論もしていただきたいと思います。 ○部会長  事務局からありますか、それともほかの方のご意見を聞きましょうか。 ○中村補佐  資料集でございますけれども、22ページから「看護体制と社会復帰率」、これは精神 保健課で毎年調査をしておりますデータに基づいて看護体制と社会復帰の状況、また 入・退院率の状況等について比較をしてみたものでございますが、こういうまとめ方を させていただきますと、人員配置が厚いところに比例して、それぞれの率が高くなって いるのかなということはこのグラフからは言えるかなというふうに考えております。 ○部会長  医師、看護の体制が厚ければ、社会復帰上は有利な数が出ているんですか。 ○西島委員  それでは犀潟病院はどうだったんですか。 ○部会長  ほかに、今のような問題で結構ですから。 ○西島委員  今の質問に答えていただけないんですか。犀潟病院はどうだったんですか.つまり、十 分なマンパワーがいて、医師もあれだけいて、そして、この治療を見てみますと措置入 院がいないですね。資料7のところです。 ○部会長  どうでしょう、同じ国立の病院として、白倉先生、何かご意見ありますか。 ○白倉委員  確かにご指摘のように、私ども、同じ国立病院に勤めているものとしまして非常に遺 憾だというふうに考えなければならない問題が多々あろうかと思います。ただ、先ほど 西島委員がおっしゃったように、制度の問題ともう一つは、やはり個々の資質の問題と いいましょうか、あるいはそういう患者さんを尊重する気持ちの問題といいましょう か、そういった部分がかなり反映されているのではないだろうかと思っておりますが、 それを今ここで一緒に議論することは必ずしも妥当じゃないかなと思っている次第でご ざいます。 ○部会長  伊藤先生、何かございますか。 ○伊藤委員  医師の資質の問題は確かに数がいくらいても解決できないということは確かだと思い ます。ただ、患者さんの立場から言えば、医師にしばしば会える。自分の治療について 十分なインフォームド・コンセントを受けながら治療していただける。それから、医師 の数、あるいは看護婦の数が多ければ適切な医療を受けられるだろうという期待、ある いはそれに応えられるという前提がなければ、こういう数の議論すること自体が全然意 味なさなくなるということになりますので、やはり患者さんに適切な医療を保障するた めには最低何名ぐらいが必要かという議論は個々の医師の資質とは別にきちんとしてお く必要があると思います。西島先生の言い方ですと、医者はゼロでも同じだという言い 方に、極端なこと言ったらなっちゃうわけですね。  ですから、患者さんに、特に私は急性期の患者さんには相当数の看護婦さんと医師が 必要だと考えていますので、その数が、今の医師数、あるいは病床数からどのぐらいま でが望ましいかということはきちんと議論しておくべきだと思います。現状の療養病床 と同じ精神病床の人員配置基準では、私はとても適切な医療を提供できると思いません し、私の病院も医療法特例でぎりぎりでやっていますけれども、いつも患者さんには申 しわけなく思っております。ですから現状でいいと決して言えないということだけは私 ははっきり申し上げておきたいと思います。 ○西島委員  先ほどから申し上げているのは科学的根拠を申し上げているわけでして、本当に忙し くて患者さんが診れないのかどうか、そういうのを調査をされたんですかということを 私は申し上げています。そういう科学的根拠に基づいて数値は出すべきであって、先ほ どの32の数字の理由を聞きますと、一般病床が16だから、それに近づけるために32でい いかと、こういうあいまいな中での数値がいいのかどうかということです、私が言いた いのは。  もう一つは、一般病床の医師の数と精神の医師の数は当然違って当たり前であって、 一般病床、例えば、今患者さんをどのぐらい診ていますか。それから、例えば外科系だ ったらば、とてもじゃないけれども、1人にかかわる時間は物すごい多いわけです。そ れを16:1に近づけるためにどうするかという、そんなあいまいな根拠で32:1を語る わけにいかないと私は言っているんです。 ○伊藤委員  具体的な32:1がいいのか、16:1がいいのかはこれから議論していくわけですけれ ども、私は患者さんの病気の状態によっては、一般病床と同じぐらいに必要な方もいる し、あるいは逆にはもっと1:1の看護婦さんでなければやっていけないような患者さ んも現実にいるわけですから、一律に一般病床より少なくていいとか、多くていいとか ということではなくて、やはり病状に応じて決めていくべき問題だと思っていますの で、一律に近づける根拠がないとか、そういう言い方はできないのではないかと思うん です。 ○西島委員  ですから、私は精神病床の在り方の検討会の報告書で、これは診療報酬でそういうも のをやるべきであると。そうしますとまさしく病態に応じてそういうマンパワーが置け るわけですから、私はそういう形でこの精神病床の在り方の検討会の報告書はみんなと 話し合って書かせていただいたつもりです。私の意見で書いたわけではありませんの で、ですから、今回は法で縛っちゃおうという話ですから、そうすると非常に硬直化し てしまうと。しかも今までの議論を聞いていますと、精神分裂病の患者さんを中心にし た議論のような気がしてしようがないんです。これから先はもっともっと精神科病院は 変わっていかなければいけないわけで、その変わっていく素地といいますか、余裕を残 すために、将来の精神科病院の在り方はどうなのかということも考えて法というのはし ませんと、一度法ができちゃうと何十年変わらないですよ。 ○部会長  西島先生としては、今こういう法律で決めてしまうと病棟が硬直化してしまう、そう いうことを言いたいわけですね。 ○西島委員  はい。 ○部会長  わかりました。 ○西島委員  ですから、これに対しては反対です。 ○部会長  ほかの問題で何かご意見ございますか。今の問題でもよろしゅうございます。 ○伊藤委員  精神病床の在り方の基準を診療報酬制度だけで解決できるどうかということなんです 問題は。私は医療法上でやはり最低基準はきちんと設けておく必要があると思います。 なぜならば診療報酬制度の誘導ということは、ある地域に、ある一定の診療報酬制度上 の基準の病床で運営できるということです。例えば極端な言い方すれば、急性期の患者 さんを扱っているにもかかわらず、診療報酬制度でペイできるということで、貧弱な人 員基準の病院ばかりができかねないわけですよ。診療報酬制度は、急性期を扱う質の高 い病院がこのぐらい必要があるということは決めませんので、病院の経営者の経営判断 だけで病床配置あるいはどういう病床をつくるかという質も規定されてくるわけです。 これでは病院の選択権が十分に保障されてない精神障害者にとっては、医療者、行政と しても責任とれないのではないか。やはり医療法上最低基準はきちんと決めておくべき ではないか、そういう考えで、医療法上で大枠はきちんと決めておくべきだと思ってお りますので、診療報酬制度だけに任せるわけにはいかないと思っています。 ○河ア委員  大熊委員からこの前に「三点セット」の論法はもうやめとこういうふうに言われたわ けなんですけれども、現状で医療法で最低基準として入院患者32人に1人という医師の 数を決めるということはもう少し慎重にいろいろなことの調査をした上でなければ決め られない思う。現実医療監視において、医師の充足率が法にかなっているのが六十何% しかおらないと、これもベッドをぼんと減らしたら、それが 100%になるじゃないかと いうようなこともわかるわけですけれども、でもあらゆる状況からして考えていかなけ れば、今我々としてもやはり32人どころか16人に1人の医師、これは多ければ多いほど いいと思います。もちろん質の問題もあるんだけれども、でも今ここで 48:1を32:1に医療法で決めるというのはちょっと時期的に、もっと調査をして検討 する必要があるのではないかと思います。 ○部会長  医療法上で決めて医療を向上するか、診療報酬で機能の向上を図るか、向上させると いう思いは同じだと思いますけれども、そのやり方の差だと思います。ほかにご発言さ れてない方、何かご意見ございますか。 ○河ア委員  もう一点ですけれども、やはり社会復帰対策。現在の在院患者の三十何万、もう少し 社会復帰をしていく、あらゆることの条件においてやっていくという方向で考えていた だきたいと思います。 ○部会長  ありがとうございました。大熊先生どうぞ。 ○大熊委員  科学的根拠というのは既に十分にあると思います。先ほど事務局の方から、22、23 ページで、看護体制と社会復帰率が極めて深い関係があるというグラフがありましたけ れども、これで一番いいのが3:1になっていますが、日本以外の国だったら 3:1でなくて 2.5:1も2:1も1:1にもあるわけで、そちらの方のグラフを見れ ば、もっとこれが上がっていて、患者さんが早くに社会復帰をできているわけで、犀潟 が32:1であの始末ではないかというお話しがありましたけれども、それはむしろ32: 1では足りないということの証拠ではないかと思います。 ○部会長  まだご意見があるかと思いますけれども、この後にまた重要な議題が控えています。 ぜひ、この際という方がありましたら。どうぞ。 ○白倉委員  確かに32:1と決める根拠の問題いろいろご議論が、今大熊先生もおっしゃられたよ うな意見もあるでしょうし、やはり考えなければいけないのは、精神科の患者さんだか らといって、特例にいつまでも甘んじていてはいけないということ。より現実的に、精 神科以外の一般のその他の病棟にできるだけ近づける努力はしていくべきだと私は基本 的に考えます。  これを医療費の問題とからめて考えるのは、ちょっと私は筋が違うのではないだろう か。この医療費の問題はむしろより具体的な事柄であって、医療法の問題という形で考 えたときにはやはりそこへ近づける努力をすべきだというふうに原則として考えておく のが望ましいのではないかと思っています。 ○部会長  ありがとうございました。それでは、この議題はこれで打ち切らせていただいて、今 のいろんな意見を今後に生かしていきたいと思います。  次の議題でございます。議事(2)の精神保健指定医の取消しについて、厚生大臣か ら諮問がなされておりますので、ご審議をいただきいたと思います。処分対象者の紹 介、諮問内容、取消しに関する規定等について説明をお願いいたします。          (1)処分対象者及び諮問内容についての説明          (2)聴聞主宰者からの報告 (3)精神保健指定医に関する専門委員会からの報告 ○部会長  よろしゅうございますか。  それでは、まだご意見もあるかと思いますが、次の議題もありますので、このあたり で討議を終了させていただきたいと思いますが、専門委員会の審査どおりでご異議ござ いませんでしょうか。                (「はい」と声あり) ○部会長  それでは、了解が得られましたので、当該2名の指定医の指定を取り消すことが適当 であるとして、専門委員会の審査どおりの内容で審議会の答申ということにしていただ きたいと思います。  それでは、最後の議題に移りますが、「精神保健指定医の指定について」、厚生大臣 から諮問がされておりますので、ご審議をいただきたいと思います。それでは、諮問内 容についてのご説明をお願いいたします。  精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第18条第1項に規定する精神保健指定医の 指定については、その指定に当たって、同条第3項の規定により公衆衛生審議会の意見 を聴かなければならないこととされている。  このため、3月12日に公衆衛生審議会精神保健指定医に関する専門委員会において審 査を行った。審査件数197件に関する当該専門委員会での審査結果は、平成10年 10月7日の審議会において保留となった42名については、指定することが適当35 名、保留とすることが適当が7名。今回申請者155名については、指定することが適 当103名、指定することが不適当17名、保留とすることが適当35名であった。  専門委員会での審査結果に基づき、精神保健指定医の指定について審査を行ったとこ ろ、精神保健指定医に関する専門委員会の審査結果のとおり指定することとした。  それでは、これで本日の部会を終わらせていただきたいと思います。委員の皆様方に は大変お忙しいところをご出席いただきましてありがとうございました。若干時間が延 びまして申しわけございませんでした。  どうもありがとうございました。 照会先 障害保健福祉部精神保健福祉課 医療第一係 高橋(内3057)