99/03/04 第4回臍帯血バンク事業運営専門部会 厚生省  第4回臍帯血バンク事業運営専門部会  日時   平成11年3月4日(木)       10:00〜12:25  場所   全国社会福祉協議会       第4〜5会議室 出席者 (○:座長 敬称略)  有田 美智世 ○鎌田 薫   小池 麒一郎 児玉 安   迫田 朋子  高橋 美智   月本 一郎  中林 正雄  長谷川 友紀 平林 勝政  古市 圭治   正岡 徹   陽田 秀夫   1.開 会 2.議 題   (1)「事業運営ガイドライン」(案)の策定について      (2)その他 〇事務局  定刻になりましたので、ただ今より第4回臍帯血バンク事業運営専門部会を開催させ ていただきます。はじめに委員の出欠の状況でございます。河北委員が都合により欠席 とのご連絡がありましたことをご報告させていただきます。また私どもの朝浦室長が所 要がありまして遅れてまいりますことも、あわせて連絡させていただきます。  では既にお配りしております会議資料等の確認をさせていただきます。最初に第4回 臍帯血バンク事業運営専門部会議事次第でございます。後ろが委員の名簿です。続きま して座席表でございます。次が第4回臍帯血バンク事業運営専門部会資料一覧です。  資料1  「臍帯血バンク事業運営ガイドライン」(案)  資料2  「臍帯血バンク事業運営ガイトライン」(案)の検討課題  資料3   臍帯血バンクについての提案  参考資料1 臍帯血の年間収集見込み数について  参考資料2 第2回臍帯血共同技術専門部会の検討状況について  参考資料3 患者擁護部門および患者コーディネーター設置について(要望)  以上でございます。資料等お揃いでしょうか。不備等がございましたら、事務局まで お申しつけ願いたいと思います。では鎌田部会長よろしくお願いします。 〇鎌田部会長  議題に入りたいと思います。まず最初の議題、「臍帯血バンク事業運営ガイドライン の項目」(案)についてです。前回の専門部会で概ねご同意いただいていると思いま す。若干、時間の都合で議論の不十分な部分がございましたので、引き続きご検討いた だきたいと思います。では事務局から資料のご説明を願いたいと思います。 〇山本補佐  お手元の資料1でございます。陽田委員のご所望により、もう一度このガイドライン の位置づけについて確認させていただきたいと思います。  臍帯血移植検討会におきまして、昨年の7月にまとめられた中間まとめというものの 中に、臍帯血移植の運営体制のあり方、もしくは臍帯血バンクのあり方、特に共同事業 に参画する臍帯血バンクとはこうあるべきだ、という基本的な概念が求められておりま す。  その概念に基づきまして、具体的に共同事業に参画する臍帯血とは運営体制としてど うあるべきかというものを示そうとしているのがこのガイドラインであります。あせま して厚生省としましては、共同事業に参画する臍帯血バンクに対しては、来年度より国 庫補助としてその運営に対して補助をしようとしておりまして、その補助要綱、もしく は補助をどのような人に差し上げるのかということの基準にもこのガイドラインを元に その基準を作り、そちらの方は厚生省の方で補助をもらいたい臍帯血に申請していただ き、こちらで基準に基づき審査をして、補助をしていく。  その意味でこのガイドラインというのは、共同事業に参画するバンクの運営の指針、 あるべき姿を示すものであり、かつ、私どもの国庫補助の対象者の基準のベースにもな るものと考えております。  このガイドラインの中に幾つかの基準の数字が出てまいります。例えば国庫補助の議 論をする際に、数字が一つ少ないと、もう駄目だとか、そういうものではなく、ある程 度の目安を示したものである。ただし私どもはこの数字が決められる過程において、事 業の効率性であるとか、安定的な技術の確保ですとかという概念の元に、この数字が決 められているということも了解しておりますので、その理念に合うような形で、この補 助についても考えてまいりたいと考えております。  資料1でございます。ガイドラインの基本方針につきましては、先だっての議論とし て特段の大きな議論はなかったかと思います。  2番目の臍帯血バンク事業運営上の留意点です。  留意する点として、(1) 基本的な枠組みです。  (1)の組織、これについても特段の大きな意見がございませんでした。  (2)の財政につきましても特段の大きな意見はございませんでした。  (3)の事務体制につきましてです。実は常勤の職員がいることと、前回書いてありまし たが、その常勤の意味とかいろいろ議論がありましたのを踏まえまして、「臍帯血バン ク事業に係る事務を担当する職員が明確になっていること」と改めてございます。  (4)の非営利性についても特段の議論はございませんでした。  (2) 事業実施状況です。  (1)供給実績、これについては初期の段階では問わないということについても変わって おりません。  (2)収集見込みでございます。これは年間の臍帯血の収集が概ね400 検体以上見込める ことということで、一応目標指針を示すということであったかと思います。  (3)で情報の管理・提供これにつきましても特段の意見はございませんでした。  (4)効率性の重視。これは、具体的にいうとどういうことかという議論も一部のバンク から出されましたが、これはこういう形で理念を示すという形でいいのではないかとい うことでまとまったかと思います。  (5)迅速性、利用者の利便性の配慮。(6)情報公開。(7)その他。につきましても特段の 意見はございませんでした。ただ、その他の事項で民間損害保険の加入と損害賠償能力 があることにつきましては、民間損害保険の例えばの例を出させていただいて、これは 協議会ができてからも引き続き議論になろうかと思います。  (3) 安全性・技術力・有効性というところです。  (1)採取です。4ページ目です。採取施設の選定にあたっては、年間100 検体以上の採 取が見込める施設であるということです。概ねという言葉が抜けております、必要なら 概ねということでしうょが、100 検体以上の採取が見込める施設ということについて も、大体ご同意いただけたかなと思っております。  下です。児に対する健康調査結果の把握率、これも概ね90%であることということで も大体まとまっていたかと存じます。  (2)のところからそろそろ時間切れであったところでございまして、(2)の分離・保存 につきまして、検討が残ってございました。これにつきましてはお手元の資料2に、ほ ぼ前回のこの部分の同様の資料を付けさせていただいております。前回の議論の続きと しまして、一つは分離・保存を行う場所が、主体の異なる複数の機関に分散しているバ ンクについて、一つのバンクとして一体的な運営を求められるのですが、具体的にそれ をどう担保していくのかという議論です。これは例えば神奈川ですとか近畿ですとかと いうバンクがこれに当てはまるかなと思います。  2番目のここの関連としましては、臍帯血バンクの代表者が所属する機関と、分離・ 保存を行う機関が異なる運営体制について、これはどう考えるのかです。これは東京臍 帯血バンクがこれに当たろうかと思います。  今の時点ではどこにもあたりませんが、例えば採取・検査については委託契約という かきちんと委託するということになっておりますが、採取・検査のみならず、分離・保 存も外部に委託するという運営体制もあり得るのかどうか、もしそれがあり得るとする と、この分離保存のところについては、他の検査や採取の項目と同じように、基準書に 基づいて手順書が作成され、また他に委託する場合には、そこのバンク間で適切な契約 が結ばれ、またその受託施設において、基準書に照らして適切な技術水準を満たしてい るのかどうかを、バンク自身が確認すること等の記載を加える必要があろうかと存じま す。  資料1に戻ります。(3)の検査、(4)の提供の決定、(5)の搬送、(6)の設備の問題これ については特段の意見はなかったかと存じます。  (5)の搬送については、実は液体窒素を航空便で運べるのかどうかという議論につきま しては、これは私どもはまだ整理がついてないのですが、厚生省としてはしかるべき関 係省庁と調整をさせていただくということで、対応させていただくということになって いたかと存じます。  5ページ(4) のその他のところです。  (1)個人情報の保護、これも特段の意見はございませんでした。  (2)の倫理性の確保ということで、これがうちの内部から出ておりまして、役職員に対 して、倫理的事項についての基準が定められ、周知が図られていること。ちょっとわか りずらいところもありますが、倫理事項についての基準事項があるのかなということで 加筆させていただいておりますが、これまたご議論いただければと思います。  お手元に参考までに参考資料1としまして、今日もう一度確認いただきます臍帯血の 年間収支の見込み数につきまして、各バンク間からヒアリングした際に、各バンクの能 力を伺っているところでございます。各バンクとも概ね基本的には、財政的な援助があ れば、ある程度可能ではないかということでございますし、私どもの国庫補助の考え方 については、以前からご説明させていただいているところでございます。以上でござい ます。 〇鎌田部会長  只今のご説明に関しましてご質問がございましたらお出しいただきたいと思います。 〇平林委員  最初のこの委員会のあるべき位置づけについて、あるべき姿云々ということをおっし ゃられたのですが、その点についてどういうことか、少し理解できないところがあった のです。前回も申し上げたと思うのですが、全体の臍帯血バンクの運営をどうするのか という根本的な理念については、大きな方の委員会でも議論がまとまっておらず、3つ の考え方があるということは、前回そちらの方からご報告かあったと思います。そうい うことを含めてのあるべき姿という意味ではないと理解してよろしいでしょうか。 〇山本補佐  同じようになるのですが、親委員会の方で、7月までに議論した経緯では、概ね5年 間、当初、初期的段階でやるべきこととしては明確になっています。それは各バンク、 地域バンクを独立させ、力を生かしながら協議会を作りやっていく。そこはもう明確で すので、そこの議論を蒸し返すということではないと思います。ただ5年先、もしくは 10年先にどういうふうにやっていくのかということについては、親委員会としても引き 続きの検討になっております。それは今の方針でいろいろなことをはじめた中で、また 実情に基づき議論が進められていくと思いますが、この場では、基本的に向こう5年 間、もしくは初期的段階において整備すべき考え方に基づくバンクのあり方のガイドラ インを考えていただくということになろうかと思います。 〇鎌田部会長  今その議論がでましたので、最初のあり方について他にご意見がございましたらお願 いします。 〇正岡委員  個人情報の保護というのは、この言い方でも非常に苦労されたと思いますが、これ は、守秘義務を負うということを規定しておかないといけませんね。すると、資格のあ る人、あるいは講習を受けた人にその資格を与えるとか、そういうことになるのでしょ うか。 〇山本補佐  事務局としては、守秘義務を求めるということをガイドラインに書くということでは そうかなと思ったのですが、資格とか研修とかといいますと、まだ具体的に検討が煮詰 まってないのかなと思いますので、ここでまたご議論をいただければ、その意見を親委 員会にもっていこうかなと思います。 〇有田委員  正岡先生、資格というのはどういうことを考えているのでしょうか。 〇正岡委員  法律的には医者とか公務員とかは守秘義務を負っているわけです。骨髄バンクはコー ディネーターに講習をして、資格を与えて個人情報に接触するというふうにしているわ けです。今度バンクができたときに、個人情報を扱うようなところは、恐らく扱うため について、守秘義務を負うという説明がいると思います。これは公開してもいい、これ は公開してはいけないということね。 〇有田委員  では骨髄バンクの方にお尋ねしたいのですが、骨髄バンクでは守秘義務のところに関 するものは、そういう資格を与えた方がしておられるということですか。 〇正岡委員  コーディネーターはそうです。コーディネーターは講習を受けて資格を与えてます。 〇有田委員  では他の方ですね。例えばボランティアです。電話を事務局で受け付けるということ に関してはどうなのでしうょか。 〇正岡委員  それは僕は知りませんが、恐らくそういう人には個人情報は知らせたらいけない。あ るいは個人情報を守る上の注意がなされないといけないと思います。 〇有田委員  では個人情報というのはどの辺までを個人情報としてますか。 〇正岡委員  患者さんの名前、病名、カルテにいろいろ入ってくるデータは全部個人情報です。 〇有田委員  そうしたら事務局の段階で、患者さんの名前とかもわかることもあると思うのです が、それは絶対に外に漏らしたらいけないということです。でもその方たちには別に資 格は与えておられないのですね。 〇山本補佐  資格というのはいろいろな意味で使われると思いますが、例えば、先程正岡先生が例 に出されました、医師とか看護婦というのは国家資格がございます。これで例えば守秘 義務というのがございますが、基本的には今回のバンクの職員というのは特段に法律に 基づくものではございませんが、マナーとしというか基本的な理念として、個人情報の 保護をきちんと行う必要があるということはそうであろうと思いますし、それをまたガ イドラインで示して明らかにしていくということは、必要があると思います。  その上で今回のガイドラインでも2ページに、バンクとしても職員の教育研修体制が あること、というのがございます。ですから、先程研修とか資格と申しますが、必ずし も国家資格とかというものでなくても、その組織として守秘義務を守れるように、職員 にきちんと研修をするとか、情報の管理をするということは当然求められると思います し、実は技術専門部会の中では、バンク内の研修だけではなく、例えば技術者の研修も 含めて、例えばバンク間で共同の研修を行うとか、いろいろなことを共同事業で組むと いうか、検討しえると思います。そこは今後、守秘義務をしないといけないということ は、一致していれば、今後の体制は、今後の議論で共同事業の中でもやっていけるし、 バンク内でも検討できるかと思います。 〇有田委員  山本さんのご説明はよく理解しました。ありがとうございました。 〇鎌田部会長  では実質的な議論に入っておりますので、検討に移りたいと思います。特にただ今の 事務局のご説明では下線の引かれているところ、それから前回十分な議論ができません でした資料の2に書かれております分離・保存に係わる問題、それらについて順次議論 をしてまいりたいと思います。それ以外の点もありましたらお出しいただいて結構で す。  議事進行上、アンダーラインで引かれたところを確認していきたいと思います。  2ページ目の(3)の事務局体制です。ここは前回の提案を、書かれているようなものに 改めるということでご了承いただけますでしょうか。勤務の形態というよりも、職務が はっきりしていることが重要であろうということでございます。  その下のアンダーラインです。概ね400 検体以上が見込めること、これは随分議論の あったところですが、こういう表現で前回の議論が読み込まれているといえるかどうか ということであろうと思います。 〇有田委員  400 検体ということですが、ヒアリングのときに、お金があればというようなお話が 随分でました。地域バンクとか、私たちの検討委員会ではまだいただいてないのです が、技術部会とかには予算の概算が出されているのですが、それの個々の明細のような ものは提示して差し上げているのでしょうか。予算の数字は分かってますが、細かなも のというのは私たちは知らないのです。そうしたら400 検体ということについても、1 検体に関する費用を国がどれだけ応援してくれるのかということがないと、どこでも計 算が立たないわけですよね。だから数字というのはどこかの段階でバンクの共同に参画 するところ、私たち検討委員くらいには教えていただかないと、先の見通しが立たない のではないかと思います。それが立たないと、この間のヒアリングは何のためにやった のかなと思います。厚生省の参考にはならないのではないでしょうか。 〇山本補佐  第11回の臍帯血移植検討会、親委員会では、厚生省の概算要求の資料を全て出してお ります。各バンクにつきまして、共同事業に参画する補助申請書をしようがしまいが、 現在現存しているバンクには、その同じ資料を参考のために差し上げております。 〇有田委員  私たちはもらってないですね。私が申し上げているのは、例えばバックは幾らとか、 検査は幾らかかるとか、そういう物で準備したものがあって予算というのが出てくると 思うのです。それの元になるものがわからないと、どれだけのお金を準備してという計 算が立たないなら、バンクが手が挙げられないのではないかということです。 〇山本補佐  手持ちの資料は、もしかしてこの専門部会ではそれの資料は出してなくて、私ども朝 浦の方から何度かご質問に対して口頭でご説明したと思います。それで、基本的な考え 方としては、予算というのは積み上げるときに基本となる数字というのがございます し、実際にそれを運用するときには、ある程度の採用範囲で動かすということはござい ますが、考え方としては、協議会や全体の共同事業にかかるお金、情報管理、コン ピューターの管理にかかるお金、人件費の部分以外を申しますと、基本的にはHLAの 検査資料、凡そのHLA等の検査費用です。つまり感染症とHLAの検査費用で概ね10 万円から12万円くらいの額。採取協力施設への協力のお礼というか費用の実費、搬送の 費用というのを積んでございます。  ただ実際に協力施設にどういう形でやっていけばいいのかということについては、今 後共同事業になったら、私どもの中でももう少し詰めていかないといけない部分がある かと思います。  少なくとも検査については検体の検査の実費分、通常の診療報酬の点数に則ったよう な形での実費分ということになろうかと思います。 〇有田委員  そうしたら必要な実費というのは、1検体について幾らいりますということについて は、そのお金を出してくれるということですね。 〇山本補佐  はい。ただうちが幾らかかったから幾らという考え方は、十分にヒアリングさせてい ただきますが、それ以外に医療行為というのは診療報酬の点数で、通常の医療について は点数がついております。ですから、通常の検査で1検体幾らという考え方はあります ので、当然それも十分に参考にしてやるということになろうかと思います。 〇有田委員  技術部会が一つ一つ出してくるときに、細かなところまで出されていると思うのです が、細かな数字というものも教えていただかないと大まかということでは、私は責任を 持てないのです。ですから、細かな数字というのがあるはずですので、それを今度の検 討会までに検討委員にお出しいただけませんでしょうか。 〇山本補佐  すみません。何の細かな数字でしょうか。 〇有田委員  例えばいろいろな検査をするのに、どういう薬を使うとか、どういう機材を使うと か、機材は決まってないにしても、概ねこのくらいの値段がかかるでしょうというのが あって、バンクに必要な機材とか薬品とかいろいろなもので、臍帯血を採取してから供 給されるまでにいろいろな機材とか薬をつかいます。それにはどれくらいのお金が必要 だろうというのが出されてきて、予算が出るわけですよね。それを私たちに見せてくだ さいということをいっているのです。  それとバンクをやっているところには、その明細を渡してさしあげないと、400 検体 といっても、計算を立てられないなら、計算をするにも何をするにも予定が立てないの ではないですか。国はこれだけの補助をしてくれるから、そうしたら自分のところでは これだけのお金を準備しないといけないという予定が立てられないなら、お金があれば やれますということを皆さんはおっしゃっておりましたが、そこの目安となるところ で、まず国庫補助というのがあるわけですから、国庫補助はどれだけの物にはどれだけ は出すのだということを示す材料として、その明細を出してくださいということです。 〇山本補佐  各バンクには実はこちらの方でご説明をしております。ただここの委員会には確かに 出てませんでした。次回の親の検討会のときには予算の考え方について、できる範囲で 出させていただきます。基本的には積み上げと運用というのがまたありますので、そこ を含めて出せる資料を検討委員会に出させていただきます。 〇有田委員  出せない資料というのはあるのですか。 〇鎌田部会長  多分まだ予算が決まってないのに、決まったことを前提にした議論はできないという ことと、こちらの積算単価はあるが、それを実際に運用の段階でどう変えていくかはま だ多分決まってないから出せないとか、それから、ここでは具体的に個別地域バンクの 選定をやるわけではありませんから、個別にどのバンクにどれだけの補助があればどう なるのかというのは、それは多分事務局と個別バンクの間の話ということになる。です から基本的な考え方をだしていただく、それ以上に細かいことはまだ決まってないとい うか、出す段階に至ってないということであろうかと思います。 〇山本補佐  そうです。出せるものは親委員会に出させていただきます。 〇鎌田部会長  概ね400 検体以上という表現の部分はいかがでしょうか。ほぼ前回のご議論でこうい うことでまとまったと思います。ご意見がなければ次に進みます。 〇陽田委員  400 云々ではないのですが、冒頭にこのガイドラインの基本的な位置づけということ で、ちょっと事務局にお願いをしておいたのです。こういう具体的な数字が出てきま す。するとこの数字は初年度からこういうものをきちんとするという意味なのか、ある いは1〜2年のうちに目標にしてくださいという意味なのか、先程、これより一つでも 少ないと駄目だという意味ではないというふうにご説明がありましたが、この数字の持 つ意味をはっきりしておかないと、非常に数字というのは一人歩きして、人様々で解釈 がそれぞれになりますから、そのつもりであったというのが後で出てくるのではないか と思います。 〇平林委員  今の点と関連します。むしろ400 という数字よりも「概ね」ということの意味を、 我々はここで前回議論して概ねというのはどういうものを意味しているのかということ は理解しているのですが、ただこれは他の方が、なぜ概ねにどれだけのどういう意味が あるのかというのは、必ずしも理解されないだろうと思いますので、その辺を、前回こ の点を巡って議論がありましたので、少し整理しておいた方がよろしいのではないかと 思います。そうすることが、有田委員とか陽田委員の問題の解決に役立つのではないか と思います。 〇山本補佐  逆にここで、もう一回議論をしていただいてクリアにしていただいた方がいいのかな と思います。つまり陽田委員がおっしゃった初年度、400 が380 とか実際的には350 だ ということはないということは大体理解はできるのですが、例えば初年度に50しかでき ない。もしくは100 しかできないというときに、それを何年くらい待つのか、もしか50 くらいしか集められないというバンクにも初年度は応援していくべきなのか。それとも そこはできる体制をとってもらって、その上である程度近い力をもったときに、こちら として応援していくのか、逆に何年なのか、5年で2万検体というのは、3年も準備に かかったら、その後は2年しかないという意見も前回あったと思いますので、その辺は 逆にここで付言していただければいいかなと思います。そうすると各バンクも目標設定 をよりしやすいかなと思います。 〇鎌田部会長  その点についてのご意見はいかがでしょうか。 〇長谷川委員  過去2回の回に欠席させていただきまして、議論が外れてましたらご指摘いただきた いと思います。  二つ考慮しないといけないと思います。一つは例えば400 という数字をあげる。する と新規に立ち上げるときにどうするのか、立ち上がるのか、立ち上げの何年間は立ち上 がるわけはないのですね。400 でね。すると補助金を既に満たしたものだけに入れて、 新規参入ができないという形にすると、ある種、既得権のような感じになってしまうと いうことで、活性化が失われる可能性がありうる。だから新規に入るところについて は、何らかの形で見てあげないといけない。それは数字の一人歩きというものと表と裏 の関係です。  もう一つは臍帯血バンク事業ということで、基本方針の1ページにいろいろな事業を お書きになっていらっしゃる、臍帯血の採取は外部に委託できるわけです。分離・調整 これも議論されてないですが、外部に委託の可能性がある。検査、これは委託できま す。保存も委託できる可能性がある。提供の決定、これは委託できない。搬送これは委 託できるわけです。情報の管理・提供、これは委託できない。  すると臍帯血バンク事業で何をもってバンク事業と定義しているのかというと、提供 の決定と情報の管理提供ですね。すると例えば今200 しかできないバンクが二つマーチ すれば一個になる。400 になるから情報だけ統一管理すればいい。そういうものは当然 考え方として出てくると思います。  だから臍帯血バンクというのはどういうものかということで考えないと、その施設で の何百検体の採取というのは、定義がはっきりしないと意味がないようになってしまい ますね。論点としてこの二つはです。  最初は新規のものはできるだけ認めていく。勿論効率性重視ですから、どこかに基準 を作る必要はあると思いますが、できるだけ排除しない形か望ましい。  もう一つは、どういう基準を作ろうが、デフィニションがはっきりしない限り意味が ない議論になってしまう。そこはご議論いただきたいと思います。 〇鎌田部会長  第一の点は全く逆のご議論もあって、現在あるバンクで、既に年間400 検体の収集を しているところはないわけですから、その意味では現にあるところについては実績の問 題ではなく、能力の問題で見ていかざるを得ないのは確かです。これから更に入ってく るところを、初期の立ち上げまで全部次々に面倒を見ていくと、補助金の利用の効率化 という点では非常に問題がある。  それから現在の構想が当面の構想で、将来どうするのかというときに、次々に新しい ものが公的なバンクの一部としてできてくるということで対応しきれるのか。現在の地 域バンク全部をいったん受け入れておいて、先にいってもう止めてくださいとはいえな いという関係でどうか。  そういうことで、これから入ってくるときには、この基準を満たしてからはじめて公 的バンク連絡協議会の中に入ってくる、という考え方が多数を占めていたと思います。 〇長谷川委員  補助金を入れるための基準と、医療行為としてのバンク事業と、公的というのはどこ でインタイドするのかは別ものであると思います。補助金を入れるにあたっては、ちゃ んと機能しているところに入れる、これはひとつの議論としていいわけですが、技術的 に確立されたものに対して、例えば、うちでバンクを作ってやりたいというものも妨げ ることをするのかどうか、あとは移行期間をどうするのかです。公的というタイトルは 非常に大きな意味があるので、そこは3つ分けてお考えになった方がよろしいかと思い ます。 〇鎌田部会長  それはこういう言い方をするのは語弊がありますが、当然、補助金の対象になるバン クはどういう基準を満たしているべきかということを決めるのであって、この基準を満 たしてないところはバンク事業をやってはいけないとは全然言っていない。公的バンク とは関係なしにやることについては、一切の規制はないということは、前回までに確認 されております。バンク事業自体の参入資格を決めているのではなく、公的な対処とい う言い方をするのは矮小化する言い方になりますが、そこに象徴される形での、公的バ ンクの仕組みの中に入るための基準だけを決めているのです。 〇陽田委員  ここの部会では議論するところではないのですが、一番重要な部分は技術的な部分で あると思うのです。クオリティの高い臍帯血を採取・保存するというのが最大のこの臍 帯血バンクの命であると思うのです。親委員会である委員が、今の基準に則ってできる ところは9のうち、3か所か4か所しかないよという言い方をしていたのです。そこの ところは私たちは議論するべき場所ではないしわからない。それはお任せするしかない のですが、そこが一番重要なところです。  もう一つは、経営効率というか、できるだけ最小限のコストで最大の効果という観点 からすれば、この費用は、税金にせよ保険にせよ、誰かが負担するわけですから、あま り小さいバンクを沢山乱立させない方がいいというのは言えると思います。  かといって新規の参入を一切認めないということではなく、それを旨く誘導できるよ うな方策を考えていかないといけないのではないかと思います。 〇正岡委員  先程平林先生がいわれた概ねの意味ですが、結局は努力目標であるということは同意 されたわけですが、大体3年か5年というところではないかと思います。それも概ねが 付くかも知れませんが、そういうところを盛り込んでいただいたら、概ねの意味がはっ きりするのではないかと思います。 〇平林委員  どこで書き込むのかは場所を考えないといけないと思います。前回の議論を少し思い 出してみますと、要するに新規参入の問題と、現在ある9バンクをどうそれを位置づけ ていくのかということで、一方で経営効率を考えると全部やる必要はないといいつつ、 他方では今やっている人を重視しないといけないという二つの意見があって、そこをま とめるような形で、取り合えずいまある方には、概ね400 検体ということで、少し基準 を落としてもいいということで、一応この公的な事業の中に入れて考えよう、ただそれ を何年間か見て、2年なり3年なりのところでチェックをして、場合によってはまた考 えるということです。  それから新規参入の場合には、座長がまとめられたように、別個やるのは一行に構わ ないわけで、別個やっていてそれが基準を満たしたときには、この事業の中に迎え入れ ることもやぶさかではないという形で、大体そういうところで議論が落ちついたのでは ないかと覚えているのです、もし違っていればご訂正願いたいのですがね。  それを議事録の中で残しておくという方向を取るのか、あるいはどこかのコメントで 付帯事項として注記をするのか、いろいろな方法があろうかと思います。少しその辺の ところを、少なくともこの運営委員会の議論としてきちんと整理しておいた方がいいと 思います。 〇有田委員  陽田委員の意見に賛成です。それから平林委員のお話もよくわかりました。私はこの 400検体にこだわっているのです。今、私が計算してみましたら、一日に1検体保存でき たら、どこでもできるのですね。そういうことです。だから努力しなくても、やりたい ところはどこでも参加できると数字から言えばそうです。  そういうことは、5年間に20,000検体、1年間に4,000 検体という大まかな目標とい うものを立てておりますから、400 というのは、10あるバンクが1日1検体どうぞとい うふうに、優しい私たちが決めたのだなと私は理解しておりました。これは私の意見で す。 〇鎌田部会長  400 検体の収集といいますが、使えるものが400 ということですね。だから標本とし てはもっと数があるということと、それを適正に保存管理できる能力があるということ は、同時に含まれているということですね。  先程の長谷川委員の第二点目はこの資料の2に出てくるものと関連します。既存のも のでも、複数の機関がまとまって一つの地域バンクをつくっているところが既にあるわ けです。その中でバンク機能として直接やっている部分は情報管理になりますが、検体 の保存等に関しても、地域バンクが責任をもつ。直接は手を下してないが、そこのバン ク事業の範囲内に入っているものと考えるべきなのだろうと思います。また資料の2の ところで検討したいと思います。組織にも関連してくると思います。 〇陽田委員  先程正岡委員から3年から5年くらいの評価というお話があったのですが、5年で 20,000という目標の件で、親委員会のときに、5年で20,000というのは少ないと僕はい いました。3年で20,000にするべきだというふうに主張した記憶があります。しかも年 間4,000 という計算になるわけですが、すると恐らくこの400 というのは最低目標であ ろうと思います。できるとかできないは別ですが、そういう目標からすれば、これは最 低の目標で初年度の目標でないといけないと思います。  しかも地域格差というか、人口集積が高いところとそうでないところで、差は出てく るだろうと思います。その意味ではこれよりずーと多くできるところと、若干届かない ところがあるかも知れないのですが、その意味では初年度の目標とするべきではないか と思うのですが、いかがでしょうか。 〇正岡委員  それは早ければ早いほどいい、多ければ多い程いいというのは当然です。大体こうい うもので決めたものはいつも遅れるのです。移植でもなんでも長くなる。実際に目標を 決めて、それを縛るような目標であれば、それが足りないなら潰すというようなことな ら、それは具合が悪い、できるだけ到達可能の目標ということで3年とか5年といった のです。それは早ければ早いほどよろしい。 〇鎌田部会長  逆にこの1〜2年の間に、例えば4つのバンクで目標数を上回る数が集められるよう になるというときに、5年かかって400 に達するようなところを、ずーと支援し続ける 必要があるのかという判断も必要になってくると思うのです。 〇正岡委員  実は将来的には、全部厚生省の予算で全部を運営するのは無理ではないかと思うので す。すると非常に多くの部分を寄付に頼る必要がある。すると広報活動を重点的に強力 にするということになりますと、地域性がある。東京だけで広報活動をして、そこだけ でお金を集められるのかということになってきますと、やはりある程度は、全国に広報 活動を展開できるような可能性を含んだ方がよろしいと思います。 〇鎌田部会長  最初から寄付を当てにするということについては、いろいろとご意見があろうかと思 います。 〇陽田委員  その意味では最初は国庫補助で、これがスタートして、目標達成後は保険でまわすと いうざーとしたイメージをもっていたので、寄付とか募金は、よりサービスを高めてい くための資金として考えるのはいいと思うのですが、基本的な財源として考えたのでは 上手く回らないのではないかと思います。 〇有田委員  今陽田さんのおっしゃった意見で、親委員会でも私もそのようにずーと意見を述べて まいりました。移植医療には保険がつきました。今年の4月に一応公的なものとして共 同事業がスタートします。来年の医療保険の改定のときには、バンク利用料としても保 険がつきます。これは前の局長からも今の局長からも返事はいただいております。ちょ っとここのところにきてしどろもどろになっているのですが、これはここで確認したい と思います。そういうことからいけば、事業ですので、この中で回っていくのは一番い いと思います。ですから寄付というのは、バンクがどれほどの世論の支持を得て、どれ ほど市民の応援を得るかということで上がってくることと思いますので、その寄付に重 きを置くということを考えてはいけないと思います。 〇陽田委員  2ページ目の非営利性というところは非常に大きな意味を持つと思います。営利で成 り立つような仕組みにしますと、相当乱立してくる可能性があると思いますが、先程い ったように国庫補助である程度最初はスタートするということは、相当に大きな数字に なると思いますので、営利でやるというのは、そこと競争するということで、かなり厳 しい事業であろうと思います。ですからその意味では、将来乱立するということはあま り心配しなくてもいいのかなと思います。  むしろ患者の側、移植する医療機関としては、クオリティの高い臍帯血をほしいとき に、必要なものを頂ければいいわけですから、このバンク事業そのものに、積極的に参 入するというよりは、そういう環境が早くできれば、できるだけ撤退したいという考え 方の方が多いのではないかと思います。 〇鎌田部会長  ただいまのご議論を踏まえて、ガイドライン自体でどういう表現にしていくのかとい うのは、事務局と座長の方で協議させていただいて、親委員会が最終的に決めることに なるので、親委員会の判断も仰いで、収集見込みに関する部分の表現ぶりを決めていく ようにさせていただきたいと思いますがよろしいでしょうか。 〇有田委員  後で出てくるのかも知れないのですが、例えば東京のように代表者が違うところにい るということ、近畿、神奈川のように複数の採取施設がやっているところをどうするの かという話があったのですが、私はここについてはどういう形で決まる、そして貴方の ところも参入できますよということになれば、そういう決まった方向にきちんと移行し ていくということを、東京にしろ神奈川にしろ近畿にしろ、おっしゃっておられるわけ です。今のところはね。それはお分かりいただいているでしょうね。 〇鎌田部会長  その部分はまとめて議論するべき部分だと思います。 〇古市委員  今座長がおっしゃったので、効率性を追求するというのは、これは日本語ですが、効 率性を重視しでいいのではないでしょうか。追求というのはいやらしいですよね。 〇鎌田部会長  ついでに細かい表現で恐縮です。3ページ目の下です。(3) のところの2つ目の○と 3つ目の○です。品質保証管理責任者という9文字熟語になっているのですが、こうい う名前の責任者を必要とするわけではないですね。品質保証につき管理責任者が明確で あること、というような意味ですね。その下も第三者機能評価というのは、第三者によ る機能評価と書いた方がよろしいかなという気がします。そういうご意見がありました が、後からでもお出しいただきたいと思います。 〇平林委員  (7)のその他の3つ目の○です。民間損害保険への加入等とあるのですが、こう書きま すと、既に保険があるように読めます。その辺は工夫をする必要があると思います。 〇鎌田部会長  どういう書き方にすればいいでしょうか。 〇平林委員  難しいですが、損害賠償能力があることを前に出して、( )で将来的には民間損害 保険への加入等が考えられるというような、少し変えた方がいいのではないでしょう か。 〇鎌田部会長  保険会社も仕組み自体は引き受ける意向はお持ちですね。でも決まってはない。 〇平林委員  決まってはないから、可能性はあるとかですね。 〇鎌田部会長  わかりました。その辺も少し工夫させていただきます。 〇長谷川委員  第三者機能評価についてご議論されましたでしょうか。具体的にどういうものでしょ うか。 〇鎌田部会長  親委員会の方では、機能評価に関する機関を設けて、そこがインスペクションをそれ ぞれに対してやるという概念になっていると思います。 〇長谷川委員  臍帯血バンクの連絡協議会ですか。 〇鎌田部会長  連絡協議会の外にあって、連絡協議会自体も多分インスペクションの対象になると思 います。 〇長谷川委員  具体的にどういう方がやられるのですか。例えば臍帯血事業に係わる方は駄目です ね。移植に係わる関係者しか恐らく専門家というのは存在しないのですよね。 〇陽田委員  その点についてはまだ具体的に議論になってなかったと思います。内部の評価と外部 の評価と、二つやろうということの親委員会での議論になっておりましたので、内部評 価では当然臍帯血に係わる専門家がやることになるのだろうと思いますが、その辺の性 格をどこまでどっちがやるのかというところまでは議論はまだいってなかったと思いま す。 〇鎌田部会長  これも第三者による評価は、何を評価するのかということも必ずしも明示されてない のです。技術的な部分の評価と、業務面の評価と両面あります。技術的な部分は専門家 でないとわからない。業務面についてはプロセスの適正とか、経理面での査察とかにな ると思います。両面の専門家が必要であると思います。 〇陽田委員  極めて私の個人的な意見ですが、評価については親委員会で私も強く望んでお願いし たいところです。今の骨髄バンクには、第三者が評価するというチェックする機能がな いのです。一番何を第三者に評価してもらいたいのかというと、利用者に対するサービ スが適正かどうかという視点でチェックするのは第三者でないとできないのです。その 点では絶対に第三者の評価というのは必要ではないかと思います。 〇長谷川委員  趣旨はわかるのですが、高々10くらいの臍帯血バンクの評価のために、第三者機関を 作る意味、なおかつ例えば医療のパフォーマンスメジャメントを考えた場合には、専門 家が専門領域についてやることと、コンシュウサッチョッという二つのレベルから見 る。CSの方は専門家でなくてもいい、逆にいうと医療の専門家でなくてもいい。しか し専門領域に関しては専門家しかいない。この方々は恐らく何らかの形で臍帯血の移植 に係わっていらっしゃるので、厳密に言えば第三者ではないのですね。だからこれは例 えば相互チェックができるとか、それに対応できるような書類を整備しておくという表 現であれば、現実に実現可能であると思うのです。  第三者といわれますと、ちょっと第三者の定義によって、そういう人間がいるのか、 そういう機関が存在するのかという話が出てきます。その点、文書にされる時にお含み いただきたいというのが私の趣旨でございます。 〇陽田委員  その相互チェックとか内部評価というのは、決して否定しているわけではなくて、こ れでは出てないのかも知れないのですが、親委員会の組織図の中にはそれが出ているの です。ですからそれとはまた別に第三者で評価をうけるということになってますので、 二重チェックになるということで、僕はあまり抵抗はないのです。 〇鎌田部会長  非常にソフトなイメージとしては、技術的なレベルでの相互チェックのシステムが上 手く機能しているかどうかを評価するという形での第三者機能評価というのはありうる のかなと思っております。いずれにしても、親委員会で継続的にというのはなんです が、4月から事業が始まりますので、あまりのんびりしていられないですが、その辺は きちんとどういう機関がどういうことをするかということを、親委員会の方できちんと 詰めていくことにしたいと思います。 〇有田委員  初歩的な質問です。正岡先生は移植医で内科医として専門家ですが、移植のことはよ くお分かりになりますよね。例ええは中林先生は産科の専門の先生ですが、分野が違っ たときに、専門ほどではないにしても、書類を見たり、いろいろな経過を見たりした ら、評価はできますということはありますか。 〇正岡委員  どの範囲かどうかわかりませんね。どの範囲の評価というのはわかりませんが、第三 者評価というのは、病院における倫理委員会のようなものではないかと思うのです。す ると非専門の方が必ず入っていて、専門の方もできるだけ入ってもらう。そういうこと で非専門の方を多くするという構成ではないかと思っております。かつ、バンクで揃え るというのは割合そういう構成になるのではないかと思います。結構費用も係ることで すから、これはなかなかきちんと決めるというものも難しい、恐らく各バンクでこうい う人でどうかということが出てきて、それでは具合が悪いとかによって、ちょっとずつ 変わっていくのではないかという気がします。 〇鎌田部会長  ではまたその問題は後で出てきますから、4ページ目に進みます。採取施設の選定で す。年間100 検体以上ということですが、いかがでしょうか、これは地域によっては100 も集められるところはないというご意見がありました。それくらい集める組織でないと 安全性その他の水準が確保できないのではないかというご意見もありました。概ねをつ ければつけた方がいいですか。全部に概ねがついているような感じですが、概ね年間100 検体ということですね。この点についてはいかがでしょうか。 〇有田委員  私は赤ちゃんの生まれる数の少ないところの地域バンクは、必要はないということを 申し上げているわけではないのですが、あえて100 を計算するとどうでしょうか。バン クは、一つの産科だけではなく複数の産科と契約提携していくと思うのですが、出産数 の少ない地方で敢えて立ち上げないといけないのでしょうか、というのがお聞きしたい のです。 〇鎌田部会長  生まれた子全部から採るわけではないのでしょうからね。でも前回の中林委員のお話 では、それなりの機能をもったところでは100 以上は集められる数であるということで したね。では一応これを原案とさせていただくということでよろしいでしょうか。  次の健康調査結果の把握率を概ね90%以上という点も、前回のご議論でその辺の線で したね。これでも緩すぎるという意見もあましたが、これでよろしいでしょうか。 〇陽田委員  ここの数字は、前の400 と100 とは意味が違うかなと思います。それで数字というの はこのように出ていると、読み方としてこれだけやればいいというふうにも読めるので すね。願いは100 なんですね。だが、最低90くらいまでは頑張ってくださいという意味 合いの表現にしていただけるとありがたいかなと思います。どのように表現すればいい のかわかりませんがね。 〇正岡委員  実際の現場の方ではどうなのでしょうかね。 〇鎌田部会長  前回一覧表をだしていただきました。頑張っているところは90%以上ですが、ただ相 手のあることですから100 %とはいかないですね。 〇陽田委員  一昨年であったと思うのですが、臍帯血の保存をやりはじめた、あの当時で8か所か 9か所であったと思うのですが、お集まりいただいてシンポジウムをやったことがある のです。その中の報告で、この数字はアンケートを出して、そのままだと相当に低いの ですが事務局が努力をして、連絡をとれば相当に数字があがってくる、努力によって数 字があがるという報告があったのです。その意味ではこれは努力していただく目標とし て非常に高いところに設定しないといけないのではないかと思います。 〇小池委員  骨髄バンクとはこの点が大きく違うところです。私が強調したいのは、乳児検診とい うのは慎重にやる必要がある、それでないと後で損害賠償に問われる一つの原因になろ うと思います。未知のファクターをかなり含んでいるわけです。アダルトから採る骨髄 移植とは違うということですね。 〇鎌田部会長  私の印象で間違っているのかも知れないのですが、初期の段階では6か月検診の趣旨 が必ずしも十分に提供者に伝わってない、説明文書でも診てあげます的な書き方であっ たような印象があるのです。最初の段階から、健康調査の意義をよく理解していただく ことが必要だと思います。6か月では短すぎるというご意見もありましたが、それはま たこのバンクのシステム全体にかかる重要な問題にもなりますので、技術委員会なり親 委員会で議論していただくことではないかと思います。 〇正岡委員  実はこれは返事がこなかった人に何回まで聞くのか、本当は何回も聞いてうるさいと 言われるのも具合が悪い、そして答えたくないという人も絶対におられるわけです。例 えば2回くらいまではできるだけ聞いてみて、返事のこない人はあきらめるとか、そう いうことで90%になるという数であればよろしいと思います。その辺は現場にも聞いて もらわないといけませんね。 〇陽田委員  これは慎重にやるべきだというご意見がありましたが、アンケートの設問の作り方 で、そういう配慮をすればいいと思います。忘れていて出さない人と、答えたくなくて 出さない人ですが、答えたくなければ答えたくないという設問を設けて、回収をすると いうことでないと、それはそれぞれに強制することになりますからね。ただ忘れていて 出さない人には、何度でも催促できるということでいいと思います。 〇月本委員  小児科医の立場からすると、概ね90%以上というのは私は非常に危険ではないかとい う気がします。そういうことでいろいろご議論はあったと思います。アンケートの回収 が来ないのは、使わないというくらいの縛りを入れるべきではないですか。 〇鎌田部会長  使わないのです。その意味ではデッドストックを減らす、そして無駄をなくすために はアンケートの回収率を高くしないといけないということです。 〇正岡委員  しかし答えたくないというものも使わないということですね。 〇長谷川委員  バンクの経済効率を考えれば、途中の歩留りをあげるためには、アンケートの回収率 を高める。我々が考えないといけないのは、強引に回収率を高めることによって質が下 がるのかどうか、あるいは、逆に変に、このバンクって強引だねという悪い噂が広まる というか、そっちを重視して、この項目は数字は怖くって一人歩きする。だからこの健 康調査の回収率を上げることが目標ではなく、十分な信頼性の高い、児の調査に努力す るというような表現の方が適切だと思うのです。 〇小池委員  今のお考えはドナーに対するご配慮であろうと思いますが、実際に受け取るレシピエ ントの方も将来にわたっていろいろな影響を受けてくるわけです。この辺は厳重に取り 扱う必要があると思います。 〇中林委員  今ここでいう健康調査というのは、全くのアンケートだけです。これは私ども産科と 小児科と連携している場合に、健康児であっても、そこに確かに小池先生の心配するよ うな疾患がないかどうかに対しては、私どもがもしやるのであれば、きちんとした専門 家の医師が診た上で、それをお母さんに伝えて、それから戻ってくるという形が望まし いのではないかと思うのでずか、その辺の実際のことを私は知らなかったのですがね。 ただアンケートだけですと、お母さんは素人ですから、その方の答えはどこまで信頼で きるのかですね。 〇鎌田部会長  これは本当にアンケートでいいのかどうか、アンケートの信頼度を高めるにはどうし たらいいのかというのは、多分このガイドラインではなく、基準書の問題で、そちらの 方にご指摘のようなテーマがあるということですから、きちんとフォローしていただく ということにしたいと思います。強引にアンケートを取り戻すというだけではなく、最 初に提供していただくときに、どれだけのご説明をして、確固とした協力をいただける のかということにも関連します。事務局の側がこういう数字を出してきたのは、あまり 努力をしないでただ採りっぱなしのような事業をしているところは、頑張ってもらわな いと困るということだと思うのですが、低いところだと60%くらいというところから、 90%の後半まで、活動が相当に違っているので、頑張ってもらわないと困るという趣旨 が入っているのだと思います。 〇陽田委員  この数字が10%上がるか下がるのかというのは大変なことですよね。2万検体のうち の2,000検体ですよ。単に忘れていただけで数億円の物が失われるというのは、税金の使 い方としては大変なことだと思います。それは、最初に説明するところからこのアン ケートがいかに重要であるかをご理解いただく努力が必要です。先程、効率のよい費用 対効果の高い組織とは何かという質問がありましたが、ここに尽きるような気がするの です。  ですからドナーに対して強制が働かないように、なおかつどうやって回収率を上げる のかというのは知恵と工夫であろうと思います。 〇鎌田部会長  それにしましても他の部分で、非常に厳密な検査をしておきながらアンケートだけと いうのはシステムとしてはおかしなシステムと思うので、その点の検討はお願いしま す。 〇平林委員  技術的なところは、向こうにそういう要望は出すとして、少なくともこの運営の専門 部会としては座長が繰り返しおっしゃっているような、健康調査の意味を理解するよう にきちんと説明すること、ということの一文は入れておいた方がいいです。 〇鎌田部会長  実際問題としては、最初は産科医のところになるわけですね。だからご協力をきちん と得られるような体制をとることですね。 〇長谷川委員  確認させてください。これはアンケートに限ったものではないのですね。小児科と連 携して6か月検診の結果が入手できれば、それをもってかえることはより望ましいので すね。だからアンケートに限ったものではないということは確認してよろしいですね。 〇迫田委員  専門的なことはわからないのですが何度も小池先生がご指摘されている件について、 どこか気になります。半年ということでいいのかどうかについて、例えば提供した方の お子さんが1年後とか2年後とかに、何か状況が分かったというときに、報告する義務 というのは言葉がきついのかも知れないのですが、そういうルートを確立しておくこと というようなことを、技術部会の方で検討するとかを考えておいた方がいいのでしょう か。 〇山本補佐  実はこれは事業部会で相当議論があって、結果として小児科からどうやってもらうの とか、費用はどうするのかとか、それを小児科からバンクが勝手にもらっていいのかと か、お母さんを介してやるのかとか、相当やったと思います。それで一応技術部会とし て、今の時点で可能でかつ適切なものということで、親委員会で決まったと思います。 ただこの席上で、6か月でいいのかどうか、それからアンケートではなくもっと別の方 法で、もっと確実な担保はないかとか、追田委員がおっしゃったように、何かあったと きにフィードバックできるとか、この3点につきましては、技術部会に戻し、また親委 員会できちんと検討していただくということにさせていただきたいと思います。 〇鎌田部会長  では表現としては概ね90%以上ということでよろしいでしょうか。一番最後に本日付 け加えられました倫理性の確保等についてですが、これは先程の守秘義務の話もここに かかわってくる問題かと思います。中身について少しイメージしにくい部分があると思 いますので、事務局で補足の説明がございましたら説明をしていただきたいと思いま す。 〇正岡委員  役職員の役はいらないのではないですかね。全員ちがいますか。役職員は役員・職員 ですか。そうですか。 〇鎌田部会長  これでは役員だけと読まれる危険性もありますね。これは役員・職員ですね。職員と 言えば全部になるのですか。 〇朝浦室長  臍帯血バンク事業を行うにあたって、配慮というは非常に重要なことなので、そのよ うな趣旨で何らかの基準を、内部で倫理基準を設けておくという趣旨です。 〇鎌田部会長  たまたま一番最初に守秘義務の議論が出てきましたが、看護婦は法律上の守秘義務は ありませんね。医師以外の人には法律上の義務はありませんので、内部での守秘義務規 定で秘密保持義務、あるいは情報管理規程を、きちんと設けておくということは必要な ことですね。そういうものも含めて、倫理的な規定を設けてもらう、それがバンクとし ての責任であるというのは理解できると思います。ただ具体的にどういう規定を内部に 設ければいいのかということについては、また事務局の方で具体的に問題になると思い ます。  では残されております4ページの分離・保存と資料の2についてです。、先程有田委 員からもご発言がございました。前回少し議論をした部分でございますが、資料の2の 3つの対応のうちの上の二つと一番下はちょっと性格が違うと思いますが、上の二つは ある意味での共同企業体で、法人格は複数だがバンクとしては一個という組織の作り方 ということです。  例えば東海大学のバンクは、東海大学という法人とバンクという二つを関連させてバ ンクをみているわけですが、法人と切り離したところでのバンク機能というとらえ方を すれば、一つの法人の中に一つのバンクがある場合と、複数の法人が協力して一つのバ ンク事業を営む場合とで決定的な違いがあるということではない。ただその場合に、ガ イドラインの中にどういう項目を盛り込んでおく必要が出てくるのかという点の検討を 願います。  3番目については、こういう形の情報管理機能だけを直接やって、あとは外部に委託 するという仕組みでもいいかどうか。現在はないが、そういうものについての基準を、 今の段階から置いておく必要があるかどうかという点が検討の対象になります。それぞ れご意見をいただければと思います。 〇陽田委員  この分離・保存を委託を認めるかどうかというよりは、むしろ再委託というか、全部 を委託してしまうということを縛った方がいいのかなという気がします。要するに実態 がないまる投げですよね。それを縛る方がいいのかな。  親委員会のときに、今回のような形になった経緯というか、それぞれの採取、分離・ 保存、検査を含めてですが、これをやる組織が主体となってネットワークを作りましょ うという考え方でしたよね。ですから今回のこのガイドラインで検討される組織は、実 態のない全て委託でという組織ではまずいではないかという気がします。考えられない 気がするのです。ですから相当部分を自分の組織で主体的にやっていて、一部を委託す ることについては、差し支えないという考え方でないと、実態のないバンクができてく る可能性があります。 〇鎌田部会長  将来的に公的臍帯血バンクという一本のものができたとすると、その公的臍帯血バン クというのはこの3番目のようなシステムになる可能性があるわけですね。自分で直接 施設を持たないということですね。 〇有田委員  将来的なことではなく、今4月から立ち上げるのがどうかということで議論していた だけませんでしょうか。 〇陽田委員  その意味では、連絡協議会自体も実態はないわけですね。ただその主体となる各バン クから出向という形で組織をつくって、全体の調整をしましょうという発想ですから、 それとはちょっと比較はできないと思うのです。 〇鎌田部会長  逆にいえば、そういう構成員自体がまた同じように直接の事業をしないものであると いう、実際にやっているところは孫とか曾孫の段階になってしまうので、そういう重層 的な構造はできれば避けた方がいいだろうと思います。現実に今は存在しないから、3 番目については配慮しなくてもいいように思うのですが、いかがでしょうか。事務局で はどうですか。  上の二つについては、ガイドラインとの関係では、特別に意識した項目は今のところ はないですね。どこかに項目を設けるとすると、分離・保存を委託するということとは 違いますので、ありうるとすれば、1ページの組織のところが、複数の機関が協力しあ って一つのバンク組織を作っているときでも、ここにあるように代表者が明確であっ て、事業運営の責任の体制がとれていて、事業運営実施要綱がきまっていて、委員会が あれば、それでいいのではないかということであれば、特別の規定はいらない。  念を入れるとすれば、複数の機関でこういうものを構成しているときはどうこうとい うことをここに書いておくのかなと思います。読み方次第ではこのガイドラインで十分 で、あとは運用で賄えると思いますが、ご意見をいただければと思います。 〇小池委員  滅多にあり得ないことであろうと思いますが、阪神淡路大震災というような自然災 害、あるいは人為的な災害もあることですので、ある一定の機能を満たしていれば、分 散自体は必ずしも悪いとは言えない、集約した方が経済効率的には非常にいいというこ とは十分に承知しておりますが、そういう考え方もあるということです。 〇鎌田部会長  他にはご意見はいかがですか。実際上はこのままでいくと運用にあたってどうするの かは、事務局に宿題を与えたということになります。事業運営実施要綱が書面で作成さ れるというのが、1組織の中で作るのと違って、複数組織で作るときには事業運営につ いての協力の仕方とか、責任の在り方についての、きちんとした協定ができてないとい けないということで、許認可官庁としては、そのための運用細則を作らないといけない ということになってしまうかも知れないのですが、ガイドラインとしては、これでもい いのではないかという判断でよろしいですか。事務局もよろしいですか。 〇小池委員  最初に陽田委員がおっしゃったことですが、非常に大事な問題を含んでいると思いま す。と申しますのはこのバンクのオーガナイザーのメンバーの中から移植医が外れた方 がいいというご意見ですが、私もそう思っております。同じ意見です。と申しますの は、御自分のケースに対して、何とか確保したい、そのような心理が起こるかも知れな い、そういうことがないように極めて公平に分配されるべきであろうというところか ら、先生の意見に大賛成です。 〇鎌田部会長  今まで下線部の部分と課題を議論してまいりましたが、他にガイドラインの案の中 で、この点についてはなお検討を要するとか修正すべきだという意見があれば、お出し いただければと思います。 〇古市委員  今座長が原案のままの基本的枠組みの組織のところで、これでいいのではないかとい うことであったのですが、敢えていうならば、資料の2の◎のところです。分散してい る臍帯血バンクにおいて、一つの臍帯血バンクとして一体的かつ責任ある運営を図るこ と、ここまでのところを入れておいたらどうでしょうか。組織のところにね。そういう ところです。 〇鎌田部会長  (場所)はない方がいいですね。一つの組織だが二つの場所でやれば、問題になるわ けではなく、それは法的な主体が複数だから起きてくる問題なので、(場所)とあるの はいらないですね。これは分離・保存を行う機関が複数の機関に分散しているというの でいいのでしょうかね。2番目に書かれているものと、併せて上手い表現がないでしょ うか。 〇長谷川委員  主体はバンクで、複数の場所で行われているという言い方ではないのかね。 〇鎌田部会長  バンクとしては一つですが、複数法人でそれが形成されている。複数法人のある部分 があわさって一つのバンクになっているということです。それを上手く表現するという ことですね。  1番目の方は分離・保存する法人が何個もあるというケースで、2番目の方は管理機 能と分離・保存機能が別法人に分かれているということです。 〇陽田委員  これは表現としては主体の異なる複数の機関が、協力して分離・保存等ので“等”を 入れれば、それ以外も含めると思うのですが、等の事業を行っている臍帯血バンクにお いては、という表現にすれば、大体1番と2番と両方と思いますがどうでしょうか。 〇山本補佐  確認です。冒頭長谷川先生がおっしゃった通りに、情報の管理と提供の決定まで分離 してやっているということではなく、基本的にはそこは一元化して、バンクとしては一 元化していて、分離・保存等というのは、それ以外の他の仕事もということですが、基 本的には分離・保存が別れている場合というふうに、◎の上を理解していいのかという ことです。そうしますと、◎の二つ目のところは、情報の管理、提供の決定はきちんと 一つのところでやられていて、分離・保存は別の機関で一か所でということになる、そ ういう理解でよろしいでしょうか。 〇鎌田部会長  はい 〇有田委員  私は山本さんのおっしゃっていることを、何をおっしゃっているのか私が理解してな いのかも知れないのですが、一番目についても2番目についても、こうあるのだよとい うふうに決まれば、そのようにできるのですよと、ここに上げられているバンクはおっ しゃっているわけですよね。ただ共同事業に参加できるのかできないのかということが まだ決まらない時点では、動きが取れないので、そういうことになれば、こういう一つ 一つのことがどうなのかということを議論しなくても、こうあるべきですよということ が決まれば、そういうふうにどこでも、移行できるのです。  だからそれを1年以内にしなさいとか、3年以内にそうしなさいというふうに言う話 になれば、そういうふうに努力されると思うのです。  私のいっていることは理解していただけますか。 〇陽田委員  そこのところはよくわかるのですが、あまり個別の事情はそこでは考えなくてもいい と思うのです。こういう場合が想定される場合にはこうするべきだということをうたっ ておけばいいのではないでしょうか。 〇有田委員  それをいっているわけで、これは一つ一つがどうですかという話をここでしているわ けではないのですね。 〇鎌田部会長  それはそうです。只今のご議論を踏まえて、表現は事務局にお任せいただいて、ガイ ドラインのどの位置にいれるのかは、ちょっと考えるということですが、(1)の組織の中 に、複数の法人か協力しあって作るバンクの場合には、一体的かつ責任ある運営を図る こと、とか、特にその点については配慮するということを書き込むことになりましょう か。 〇平林委員  基本的には(1)の2番目のところで尽きていると思いつす。その中の注意事項として() 書きで、このような場合には特に注意することとか、配慮することというような形で処 理をした方が整合性はあると思います。 〇鎌田部会長  2番目と3番目くらいですかね。ちょっと工夫をさせていただいて、どうしても落ち つきが悪いときには、了解事項的にガイドラインの外で処理させていただくことも場合 によっはあり得るということでよろしいでしょうか。他のものとはちょっと違ったスタ イルになりすぎる可能性もないわけではないので。 〇迫田委員  蒸し返すようで申し訳ないのですが、数値の件です。400 検体以上という数値です が、ガイドラインを表に出すときに、何か付け加える事項としてというか、あるいは口 頭でもいいのですが、5年間で20,000検体という親委員会の方針にそって数値をあげて いるというような意味のことを、どこかでわかるような形にした方がいいのではないか と思います。先程、陽田さんがおっしゃったように、400 検体でこれは静岡を抜けると 8バンクということは、これは5年間でこの数字だけでいっても20,000は行きませんよ ね。だからこれは確かに最低の目標なのかも知れない。そういうことがはっきりわかる ような形の何か、客観的な事実でいいので、それで私たちはこういう数字を当面書きま したというようなことが分かるようにした方がいいように思うのですが、いかがでしょ うか。 〇鎌田部会長  ガイドラインそのものに書くということも難しいと言えば難しいですね。ガイドライ ンの趣旨が分かりにくいといえば分かりにくいところがあるので、なぜこういうガイド ラインを作ったのか、このガイドラインは何のためにガイドラインを定めて、このガイ ドラインの限界がどこまでなのかということが、ガイドラインについての説明文書とい うか、カバーシート的にあった方がいいにはいいですね。 〇陽田委員  僕も数字がここに入ることについての是非というか、自分の頭の中で整理できずにい たのです。このガイドラインの中にそういう数字を入れないで、相当のといった表現に しておいて別紙で、400 とか100 とか90%という数字を出して、その数字の根拠をも説 明しておくという出し方もあるのかなと思うのです。あまり自信のある発言ではないで す。 〇長谷川委員  今のご意見に私も全く賛成です。その時の状況、技術水準であるとかで数字はかなり 変わる可能性があります。例え公的なお金を入れるための一つのガイドラインであろう と、本文に数字を入れるというのは可能であれば避けて、一定数とか、あるいは相当数 という言葉に置き換えて、別紙でというのを考えた方がよろしいのではないでしょう か。 〇月本委員  全く私も賛成です。特に90%というのは本当に恐ろしいです。健康調査の結果の把握 が確保されていることという文書にしていただいた方がいい、100 %に限りなく近くと かですね。 〇鎌田部会長  ではそういう形での整理をするということでよろしいですか。ある意味では法律を読 んだだけではよくわからないので、政令とか通達まで見ないと全体が分からないという のと、似たような感じですね。これ一発で全てが分かるというのとは違うものになって しまうという側面もないわけではない。ガイドライン自体が全体として状況の変化に応 じてどんどん変わっていくというのも、一つの行き方かも知れないですね。  では今のようなことで、相当数にして、第何条何項による相当数は当面の間幾つかに するというように、付表を付けるようにする、そういう整理の仕方をさせていただく、 それをもって親委員会に提出するということですね。 〇山本補佐  鎌田部会長がおっしゃった見直し条項は、時に応じてとか、状況の変化に応じてと か、見直すものとするというのは、ガイドラインの中に書く必要があるのですか、最後 のところですね。その辺を確認したら、あとはこちらで整理させていただきます。 〇陽田委員  その場合には誰が見直すのかということです。それは例えば協議会という組織ができ て、共同事業の全体の調整をしていくわけですから、そこで見直すのか、あるいは検討 委員会が引き続きあって、そこで見直すのか、その辺のところも整理しておかないと、 文書には書いてあるが誰が見直すのかわからないということでも困るのではないでしょ うか。 〇鎌田部会長  事業主体が、自分のところへの参加できるものの資格を決めるというものも一つの考 え方だし、事業主体が事業主体になるための資格を決めるのはおかしいので、資格の認 定機関とを事業実施主体は分けるべきであって、親委員会が存続するか、あるいは将来 的にはこれに代わる機関が国にできれば、そこで見直しをしていくという二つあります ね。後者の方がいいようですね。とりわけこれは補助金支給基準的にもなるわけですか ら、もらう人の側でどんどん仲間を増やしていくという仕組みは、ちょっとおかしいの かなという感じもするのです。改定条項をこの中にいれますか。 〇陽田委員  検討委員会が未来永劫ずーと、この事業が続く限り存在しないといけないというのも おかしい、骨髄バンクの場合も、骨髄移植専門委員会の議論をもう一回しないと、主体 であるバンクで変えられないなどという非常に不都合が出ているのです。ですから物事 を判断する主体をちゃんと移行していくというのは大事ではないかと思います。ここは 難しいですね。 〇鎌田部会長  例えばここでは年間400 検体というものを一つの基準にしていますが、協議会が立ち 上がったら、協議会の中ではもっと高い目標にして事業を運営していきましょうよとい うのは、これはどんどんやっていいわけですよね。でも協議会が100 でいいことにしよ う、100 集めているところは仲間に入れようということをどんどん決めていっていいわ けですか。難しいですね。事業の運営のあり方を決めるものでは必ずしもないというこ とを考えるとね。  親委員会はそう長く続かないのではないかという気もするのです。臍帯血バンクの全 体のイメージからいくと、国の側と臍帯血という絵になってませんでしたか。 〇朝浦室長  将来的な方向については全く絵が描かれてないです。一応検討会の検討事項になって おります。そういう状況で、その先のことは全く不透明というか、流動的なものです。 この場でこうなっているというのは申し上げられませんが、事務局からこういうことを いうのはなんですが、改定条項を入れるというよりは、このガイドラインの考え方は、 今回出していただいて、それが必ずしも将来ともこれでかちとしたものではないという 考え方さえ了解していただければ、あとはどこかで、この考え方を変えられるような了 解事項がこの場でできていればいいのではないかという気がするのです。 〇陽田委員  この部会で検討しているこのガイドラインだけではないですね。技術部会の方で検討 していることの方が、これから先いろいろなことが変わってくる可能性を含んでますよ ね。それは見直しをどこでやるのかというのを、全体で検討しておくべきことで、ここ ではないのかも知れませんね。 〇鎌田部会長  このガイドライン自体も、決定する権限をもっているのはここではなく親委員会とい うことになりますね。 〇中林委員  この運営部会もしくはこのバンク事業全体ですが、ここで非営利性ということが書か れていて、臍帯血バンク事業のためにということになってますが、するとこの部会で、 先日営利性を追求しても十分にやっていけるというお話も一部の委員から出ております が、これは全く規制することが、この委員会としてはないわけですね。しかし、臍帯血 の公的なものという目的からすると、利益追求的な他のいろいろなものが出てくること に関しては、何らかの意見をもった方がいいのではないかという気がするのですが、こ れも親委員会での検討事項になると思いますが、非営利性というのがうたわれておりま すので、概念的にお考えいただきたいと思います。 〇有田委員  ずーと非営利性だと私は思っておりました。非営利性ではなくなるというような議論 がここの中でありましたか。そういう意見がでましたか。 〇鎌田部会長  つまり臍帯血のバンク的機能を営利事業として営むことが法律上禁止されているのか というと、禁止規定はないのです。ただここではそういうものについて公的に面倒をみ てあげましょうということはありえない。非営利事業としてやっているものだけを公的 なバンクとして面倒をみましょうということです。  中林委員がおっしゃるのは、この公的バンクの外であろうと、臍帯血バンク事業を営 利事業として営むことを、むしろ将来的には法律上禁止すべきであるというご提案であ ると思います。 〇中林委員  禁止すべきであるというのは別としてね。 〇有田委員  そういうことをこの専門部会で決めて、それが将来的に役にたつようであれば、私は とてもいいことであると思います。 〇長谷川委員  ガイドライン見直しの条項です。まず前文で、どういう目的で作られたものであるの かを明記すれば、当然その目的が達成された、あるいは状況がかわれば見直しというこ とはあり得るわけですね。なおかつ、では見直しまでこの委員会が存続するのか、これ はまた全然レベルの違う話であるし、ましてやこの委員会が権限を持たないようなどこ かに見直しをお願いしますというのは、これをいう根拠は全くないので、いいようがな いので、これは言うべきではない。  したがって、この委員会の趣旨を明快に書き込んでいただければ、誰がどういう形で 見直すのかというのは、そこから推定していただくしかないですね。我々はそういう権 限をもってないということだと思います。  臍帯血バンクの第三者機能評価については、親委員会で決まっているという形は、中 間まとめなどを拝見しますと、移植の成績、臍帯血の品質、移植成績等の評価について ということで、移植の適応、臍帯血の品質、移植成績後の評価については、客観的かつ 中立的に審査及び検討を行う機関を設けるということで、これはむしろグロスとしての 評価というふうに、私は解釈させていただいておりました。個別の例えばバンクに対す るしかも第三者機関を設置して評価するとは、私は読み取れなかったのです。  なぜこれにこだわるのかといいますと、存在しない第三者機関をあたかも存在するよ うにして、このガイドラインで作って、定期的にかどうかは書いてませんが、やれとい うのは、ちょっと実現可能性に問題がある。  その意味では問題になることを書くというのは、ガイドラインの趣旨からいきます と、ちょっと信憑性そのものが失われる可能性があるということで、本当にできるので すかという話で先程も問題提起させていただいたのです。若干ご議論をいただきたいと 思います。私自身はこれは実現可能性はかなり問題があると思います。だからもっと弱 い表現、少なくとも書類等を揃えられる、あるいは移植成績のフォローアップは書いて ございます。その評価に耐えられる体制を維持するという、そういう文言の方が、より 現実に近いと考えております。 〇鎌田部会長  この点はいかがでしょうか。私は何となくイメージとして、中間まとめの段階で、陽 田委員がおっしゃったように内部評価と、外部評価の両方あって、事業評価というか成 績評価だけではなく、事業運営の適正化についての評価がされることになっていると思 い込んでいました。 〇朝浦室長  そこは議論があると思いますが、予算上は各臍帯血バンクの実績等について評価をす る、外部評価をするという予算は組んでおります。各それぞれのバンクの仮に第三者表 評価を受けるということになれば、それに対する手当てはあります。ただそれが実際に それができる機関があるのかどうかというところであろうと思いますが、これからいろ いろなところに声をかけるというか、第三者評価ということを考えているが、どこかな いか、我々としてもよく研究をしてやりたいと思います。現時点でどこかと言われる と、そこは先生がおっしゃるように、確定的なものはないという状況でございます。 〇山本補佐  私は陽田委員のご理解で、つまり内部評価もやり外部評価もやる。それは合意されて いたのかなと思います。ただ外部評価をするときの何とか機関というのは、既に現存す る何とか社とか何とか法人とか財団というばかりではなくて、例えば委員会方式とか専 門家もやるでしょうし、当然移植医療の専門家もおりますし、こういう臍帯血を扱った 人もやる、専門家というのは例えば役員の査察とか、技術部会ではそういう議論がでま した。そういう査察委員とか、専門家も入れて、そういう形で臍帯血バンクに自ら係わ らない専門家が事業運営なり、分離保存の技術なり、データの管理なりということを、 第三者としても評価できるということがあるし、またそれをすべきであろうということ で、具体的にどこがやるのかというのは、今度共同事業のはじまった中で決めていくと いうことで、この第三者の評価を受けるということは、初期のこの場の議論としては、 相当に強い意見として明確にだされ、絶対に書き込めということであったような感じも いたしております。以上です。 〇鎌田部会長  現実的には誰の評価を受けるのかはまだ決まってないわけですから、具体的に事務局 として審査にあたるときには、評価を受けられる体制が整えられていること、という限 りでしかできないですね。 〇長谷川委員  だからそういう体制があることでよろしいと思います。存在しないものを主語にし て、それを受けることと書いても信憑性がないと思うのです。 〇陽田委員  現時点では存在してないのですが、中間まとめのイメージの中に、臍帯血バンク連絡 協議会の中に、バンクの運営及び臍帯血の安全性等の評価ということで、総合評価が入 っております。一番下のところに事業の審査評価ということで、審査評価機関が明記さ れておりますので、現時点にはないのですが、これを存在させるということでの親委員 会での議論になっております。内部評価だけではどうしても、例えば患者、ドナーある いは移植医療機関、そういうところの声がきちんとフィードバックされるのかというこ とについては、かなり心配です。  ですからむしろ内部の相互よりは、外部のチェックに期待をしているのです。ぜひこ れは設けないといけないのではないかと思います。 〇鎌田部会長  その意味では概念図の中にありましたので、両方作るというのは親委員会で決められ たことであるし、予算措置もできているわけですから、次年度中には現実にそれが動く ようにするということの責任が多分あると思います。 〇正岡委員  今は沢山のものが病院にできてますから作るのはあまり難しくないように思います。 〇鎌田部会長  技術評価は相互チェック的なイメージになっていて、事業運営の適正性が第三者評価 というイメージです。 〇長谷川委員  中間まとめでは審査評価機関を事業の審査評価とあって、連絡協議会の多分これは上 下が違うのですが、それを評価するようなイメージ図なんです。だからグロスの評価に ついては、全く問題はないし、本文とも整合は取れているのです。個別の臍帯血バンク についてはいろいろな書き込みはないし、患者満足度等についての書き込みもまたない のです。これはだから拡大解釈なんです。ただ趣旨として、親委員会がお決めになるの は最終的な権限の問題ですから、それは全然構わないのですが、第三者機能評価はいい のです。非常に良いことなのです。  ただ今第三者機能評価を受けるとなると、主体が存在して、できるということを前提 にしているわけです。だからこれはそういう組織をお作りになればいいことで、将来的 には、今臍帯血バンクには受け入れるような体制を整備することであって、もし将来第 三者機関ができるのであれば受けてくださいということなんです。  したがって受けるこというという文書は、これはやや不適切であって、実態にあわせ たように書き換えていただいた方がいいと思います。勿論、外部の評価が重要であると いうのは全く同意見です。 〇鎌田部会長  それは親委員会の側で、これを実施できる体制を次年度中に作るというふうにするか どうかと絡みますので、親委員会の判断で、とても次年度中にはそういうものはできな いということであれば、評価を受けることではなくて、受けられる体制を整えるという ことになる。それはなくてもそういうものを作って実施しますということであれば、原 文のままという扱いでよろしいでしょうか。 〇陽田委員  ここの議論でするべきことではないのかも知れませんが、この第三者の評価の機関に 関しては形骸化させないということをお願いしておきたいです。こういう機関を作って も形だけ作って実態として機能してないというのでは困りますので、そこのところを、 そういうものなら金をかけてやらない方がいいので、ここだけは厳しくお願いしておき たいと思います。 〇鎌田部会長  内部的な評価の問題も含めて、親委員会の方でまとめていただきたいと思います。 〇平林委員  話を蒸し返して恐縮ですが、見直しの件につきまして、このガイドラインがある意味 では非常にセンサティブなものであるということは、当然に見直しということが含まれ ているわけですから、その見直しをするまでは、当然にこのような委員会が存在すると いうことが前提になっていると思います。  したがって、この委員会ないしはこれに準ずる委員会がきちんと見直しをするという ことは、書き込んでおいた方がいいと思います。 〇鎌田部会長  今の見直しの件に関しては、お役所的というとお役所に怒られるかも知れませんが、 我々からみるとお役所的な文書の書き方でいくと、基本方針の1で、臍帯血移植検討会 中間まとめに沿ってと書いてある、中間まとめの前提が変われば、その中身は変わる、 そういうところにそういう趣旨は盛り込んであるというご説明になるのかも知れませ ん。  現在の状況での当面のことを決めているだけだという趣旨を、上手く盛り込めれば盛 り込む。私はどうも全体としてこのガイドラインはどういうものかということの説明文 書的なものが、何かの形で作れれば、その中でそういう趣旨が表現できるし、このガイ ドラインについても、全体のご理解もしやすくなるのかなと思っております。その辺の ところは工夫させていただくということでよろしいでしょうか。最終的には事務局側で 整理するということになると思います。 〇山本補佐  基本方針とまとめましたが、基本方針の(1)というのはまさにこのガイドラインの 位置づけが書いてあるのです。(2)は基本方針で、こういうものであるべきだという ことです。(3)はちょっと位置づけっぽくというか、さらにという書き方になってい て、これは独自の活動を妨げるものではないとなっておりますので、ちょっとそこを整 理させていただいて、このバンクの位置づけというものと、この基本方針というものを 整理していただいて、その位置づけの中で、どこでやるにしろ見直しをしていくという 精神をきちんと書くということで整理させていただきたいと思います。 〇鎌田部会長  そういうことで、この文書で確定となっておりませんが、またもう一度この会を開い ていただくと、実際の立ち上げが遅くなりますし、今のご議論でも出てきましたよう に、親委員会で検討していただきたいことが幾つかありますので、私としては、今のご 議論を踏まえて、事務局でとりまとめていただく。そして早めに親委員会を開いていた だいて、親委員会で最終的にこれを承認すると同時に、親委員会に残された宿題につい て、早い時期から検討を開始していただくという手順にしていただくことが、この事業 全体を上手く出発させることになるのではないかと思っているのですが、そういう形で 事務局と私とで、文書についての整理をして、次に開催されます親委員会に上げていく という取扱をさせていただいてよろしいでしょうか。  そういうことでこのガイドライン自体の取扱は恐縮ですが、今申し上げたような取扱 にさせていただきます。時間が遅れて恐縮ですが、正岡委員から資料の3が出ておりま す。参考資料の3もありますので、それらの点についてお願いします。 〇山本補佐  参考資料の3は後でお読みいただくとして、これは親委員会の方できちんと検討いた だくということで参考までです。  今の議論は実は前回正岡先生から、是非発言したいということがあったのですが、時 間切れになってしまって、今日も時間が少なくなっておりますが、お手元の参考資料2 と資料3でございます。実は参考資料の2は臍帯血バンクの技術専門部会の方でござい ますが、事務局の都合で、大変に勝手申しまして恐縮ですが、2日に予定しておりまし た技術専門部会が開催できておりません。そのために、そこでの技術専門部会での議論 は、前回お示ししたままでございます。  参考資料の1ページ目です。1ページの検討のまとめの○の最後です。一つの臍帯血 に関して二人以上の患者からもしくは主治医から要望が寄せられた場合に、どのように 考えるのかということについて、技術部会の前回までの会議ですと、先着順とするとい う考え方がございました。これに対して前回正岡先生の方から先着順だけではなく、も うちょっと医学的な項目についても検討すべきではないかという意見がだされ、その際 に有田委員と陽田委員からは、先着順でいいのではないかということで意見が出まし た。それを実は技術部会にもっていくはずであったのですが、技術部会が流れておりま すので、次回の技術部会もしくは親委員会に検討を委ねるという意味でも、ここで正岡 先生からの資料をだしていただきましたので、先生から説明いただいた方がよろしいか と思います。 〇正岡委員  一つの臍帯血に二人の患者さんがいる。どちらを死なすか、どちらを助けるかという 話です。もし選択を誤ると二人とも死なすという危険がある。一人は助かるようなら、 患者を選ぶべである。もう一つは次に骨髄バンクとか次の臍帯血とかがありますから、 緊急性についても判定すべきである。すると急ぐ方を優先すれば、二人とも助かる可能 性がある。そういうことです  その選択基準が難しいということでありましたので、考えたのは推定の生存期間が3 か月以下と4か月以上の場合、3か月以下を優先する。両者とも3カ月以下の場合は、 恐らく次の臍帯血を待つということはありませんので、その場合には移植成功率の高い 方を選ぶ、そういうことをここに書いてございます。それで実際にそのデータがどうで あるとかの細かいことがありますので、それもまた実際の技術部会で検討してほしいと 思っております。一応小寺君にもこのようなファックスを送っております。  私が今思うのは、ここにマスコミの方がおられますから、もしこれを無視するような ことで決まって、弱点が出て二人とも死ぬというような場合が起こった場合には、必ず これは直ぐに変えないといけないと思うのです。それを考慮して決めてほしいと思いま す。 〇有田委員  私どもは日本のどこにも命に順位を付けるような資格のある医師が存在するとは思っ ておりません。 〇正岡委員  今の移植は全部順位を付けてます。脳死移植のものも全部しっかり医学的な順位をつ けて、その上で同じであれば待ち時間をとる。今度の移植もみなそうです。 〇有田委員  臍帯血移植、骨髄移植においてはそういうことはしなくてもいいです。むしろそうい うことをすることによって、患者が本当に私が2位であったのかという疑問をもってい るということは沢山ありますので、私どもはそういうことから、受付順にしてほしいと いうことをいっております。 〇正岡委員  これは患者さんが疑問を持つというのではなく、生きるか死ぬかということですか ら、二人が助かるなら二人を助ける、二人とも死なすよりは一人助かる方がよろしい。 そういう可能性の高い方を選ぶべきだと思います。これが臍帯血バンクの社会的責任で あって、そういうところを1分1秒の差でもって、生き死にを分けるということは、決 して公正でもないし公平でもない。これは絶対に医学的判断がまずある。それが同じ人 は先着順がよろしい。これは明らかにそうであります。  この間の脳死報道を見てましても、緊急性の判断はみなしておりまして、それがあっ て、それから優先順位をつけている。待ち時間について優先順位をつける。そういうも のを無視したような選択基準ではもたないと思います。 〇有田委員  主治医がそれぞれ違うものにどうしてできるのですか。 〇正岡委員  ここに書いてあります。例えば生存期間が3か月以下と4か月以上というのは、例え ば急性白血病完全寛解は3か月以下にはあり得ない。慢性骨髄性白血病慢性期は必ず4 か月以上、移植成功率20%以下というと、30%以上というのは、慢性骨髄白血病急性転 化では30%以上はありえない。そういうような基準があります。それから全世界の国際 骨髄移植登録も、臍帯血移植も日本の肝細胞移植登録も、みなありますので、それの成 績を根拠を示してもらって出してもらう、そのよう書いてます。 〇有田委員  その根拠は日本のどこかにありますか。 〇正岡委員  あります。日本の造血幹細胞移植学会の全国集計、BMTRの世界の統計もありま す。もしそれがないなら、根拠を示してもらって、患者さんへの説明内容を書いてもら う。そのようにします。 〇鎌田部会長  いずれにしてもこれは技術専門部会の審議事項でございますので、あちらの側で只今 のような議論を反映したご議論をしていただく、その上で親委員会で最終的に決定して いただきたいと思います。 〇迫田委員  先生の最初の2番ですが、二人の患者が登録待機していてという、登録待機というの は臍帯血移植の場合にございますか。 〇正岡委員  今はどうなっているのでしょうか。ほしいといって、今、合っているものがないとい うことで待っている人は、登録してないのですか。 〇迫田委員  登録待機という言葉は一度も聞いたことがないのです。 〇正岡委員  コンピューターで見ていてHLAが出たら、直ぐに早い者勝ちで電話するということ になるわけですね。 〇鎌田部会長  臍帯血はそういうことはないですか。HLAの適応するものが全然ないから、次に出 てくるのを待つという患者さんがいるということ自体はありえますが、その場合にはど うですか。 〇正岡委員  それは登録してないですね。 〇山本補佐  データを見て、今合うものがないということもあろうかと思います。ただその際に今 のでは、患者さんの名前を登録しておいて、それを管理するというシステムは今は考え てなくて、常に画面をアクセスして見ていて、あるかないかであればもらう、なければ もらえない、そういうシステムになっております。  でも正岡先生がおっしゃった1番の部分については同じことであると思います。登録 制度がないというだけであって、画面を見たときに、殆どタッチの差で同じものをほし いといったときに、どうするのかという議論は全く残っていると理解しております。 〇陽田委員  これは医学的な判断だけでは決められないことであると思います。社会性というので しょうか。優先順位を決めるとすれば、いかに透明性を担保するのかというのが非常に 大事になるわけです。後の順番にされた患者さんが、たまたま早くに亡くなった場合 に、バンクに対して賠償責任を問われることもありうるわけです。これはその辺のとこ ろを慎重に考えないと、医学的な判断だけではできないのではないかと僕は思っており ます。 〇迫田委員  もう一点すみません。正岡先生、移植成功率が20%以下と30%以上という数字です ね。例えば25%という数字は出てこないのかなという疑問をもってしまうのです。 〇正岡委員  僕は10%くらい違っているのはどうかと思うのです。大体は慢性骨髄白血病急性展開 というのは大体10%くらいの成功率です。もうちょっと良いものだと30%くらいです。 20%だと25%であっても差はないとすると思っております。このくらいのところで明ら かな差があるときだけという意味でこのような数を出したのです。 〇迫田委員  だから普通の感覚でいうと、そういうところの差は、どこなのだというのが一番疑問 に思ったりするので、この数値の書き方も先生がおっしゃった何かの、病名でいうの か、あるいはもう少しきちんとしてないと、中々ですね。 〇正岡委員  私の感覚でいうと、月本先生も同じであると思うのですが、20%以下は終わりにな る。30%以上であればかなり可能性はあるという感じで書いてあります。勿論数は技術 部会で変えてもらってもよろしいと思います。 〇山本補佐  技術部会でもこの議論をしていただきます。非常に重要な問題ですので、親委員会で も議論になると思います。ただちょっと参考のために、正岡先生が移植のことをお話を されたので、今回も私の方で調べました臓器移植に関してのルールを申し上げます。  例えば、肝臓移植ですと、これだけ限られた臓器でございますので、肝臓移植につき ましてはルールを明文化しております。それはお受けになる方にインフォームド・コン セントでお示ししてます。基本的には血液型が合っている場合で、合っている人でない と移植できませんから、合っている人になりますが、それ以外に誰を優先するのかとい うのはまず病名が明確になっております。どの病名の方の人を優先するか、それから余 命です。医師が余命を何ヵ月と考えるかで点数を付けます。  それで例えばある疾患、今回は家族性アミロイドシスですが、その患者の場合には20 点、例えば何とか肝炎の場合は10点、それで例えば余命3か月の人は何点というふうに 点数を明確にしていて、その点数を換算しておいて、それをきちんと何点かというのを 別の委員会でも確認し、患者さんにもその状態をお伝えし、今回事が起きたときには、 それの点数の順番に上から一番高い人に差し上げる。その方がお断りになれば次の方に するというルールをひき、それをまた明文化しております。  ただそれを決定する機関としては、臓器移植の場合には公衆衛生審議会の臓器移植専 門委員会、臍帯血で言えば検討会のような公開の席なり表に出るいろいろな分野の方が 参画された席で決まる、ということです。医学的なエビデンス、今までの蓄積も十分に 加味した上で、そういう議論をしておりましたので、今回、かえって出させていただき ましたが、このままもしまとまらないなら、技術部会にも出し、親委員会でもきちんと 検討していただくものかなと思っております。 〇鎌田部会長  登録制がないというときの先着順というのは、何度も検索していても全然なかったけ ど、ある日適合する臍帯血がポッと出たときに、たまたま始めて検索した人が当たる と、その人が先着であるということになるわけですね。  それから陽田さんの責任の問題というのは、これは基準が決まっていれば基準通りに やれば責任はないわけです。逆に先着順だって先着順で処理したことを証明するために は、全部のアクセスの記録をとっておかないといけないということになりますね。 〇陽田委員  急がない患者さんが、予約だけ入れて、ずーと移植をしないということができないよ うに、キープできる期間を3か月と決めてあるわけです。ですから急ぐ患者さんが早く 予約を入れるというシステムを取る方がいい。予約システムはあるわけです。これはあ くまでも3か月とか4か月とか20%とか30%というのは、あくまでも確率の問題であっ て、個別の患者さんにとっては関係のないことですよね。だから患者の立場からすれ ば、どの患者さんも急ぐという気持ちは同じであろうと思うので、その辺の順番を、付 けて本当に良いのかという疑問が、僕はあります。 〇鎌田部会長  わかりました。それらの点を踏まえて技術部会、親委員会でご議論いただきます。今 事務局からご紹介のありました参考資料3に、この専門部会にも宛てて、患者擁護部門 および患者コーディネーター設置についての要望というのが出ております。中身は大変 に重要なものであると認識しておりますが、この部会のマターではないと思いますの で、親委員会で検討をしていただきたいと思います。 〇長谷川委員  かなりこの部会のマターに近いところがあります。というのは、例えば肝臓とか心臓 というのは時間の制限であるとか移植可能な施設に搬送できるのかといういろいろなフ ァクターがあるのですが、臍帯血の場合には保存可能で、したがって商品のような感じ です。在庫がきくような商品です。したがって時間であるとかの物理的な制約があまり ない世界です。  その中でどのように決めるのか、はっきりしていることは、個々の患者にとっては確 率が問題ですが、システムとしてはプロダクトを最大にすることが一番よいに決まって いるのです。そのためにルールを決めるわけです。そのルールが透明でないといけな い、サイエンテックな根拠がないといけない。まだ幾つかしか成績が出てないので、成 績がかわる可能性があるのですが、その時点時点でプロダクトを最大にするシステムを 作らないといけない。  したがって臍帯血バンクの一番のパフォーマンスメジャーメントの基準というのは、 そのルールにいかに則ってやったか、しかもそのルールがちゃんと期待された効果があ ったかどうかです。したがってそのルールは透明性を確保したものでないといけない し、後で追従できるものでないといけないですね。この時点でこの検索をかけた結果、 この人が選ばれた、それが臍帯血バンクの最大の存在意義です。情報管理です。  したがって個別のアルコリズムは別の部会でおやりになるとして、評価の基準という のはルールにいかに則ってやるのかということであって、そこに別の計測できない価値 であるとかアルコリズムに乗らない価値は最大限排除する。どうしてかというと、それ を入れるということは、恣意性を認める可能性が高いです。それをはっきりと考え方と して確認しておく必要があると思います。 〇鎌田部会長  わかりました。今の正岡委員のご提案に関連して、患者擁護部門の方はこれができた らガイドラインに載りますが、こういうものをどう作るのかというのは、親委員会の課 題になると思いますので、患者擁護部門については親委員会の方でご検討いただくとい うことで引き取らせていただきたいと思います。不手際で30分近く時間を超過しまし た。この専門部会としては、先程申し上げたようなことで一応の審議を終わりにしたい と思います。行き違い等もあったかと思いますが、委員の皆様のご協力で一応の結論を 出すことができましたので厚く御礼申し上げます。                                  −終了− 問い合わせ先  厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当  山本(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03−3503−1711