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医療保険福祉審議会 老人保健福祉部会・介護給付費部会
第11回合同部会議事要旨

1 日時及び場所

平成11年3月29日(月) 16時00分から18時00分
厚生省 特別第1会議室

2 出席委員

星野、井形、青柳、加藤、喜多、京極、見坊、中西、中村、野中、橋本、樋口、水野、見藤、山口の各委員、鈴木、高梨、田中、小島、蒲生の各参考人

3 議題

(1)要介護認定の検討状況について
(2)施設サービスに係る参酌標準案等について
(3)その他

○「介護保険についての自治体トップアンケート中間報告」について小島参考人より説明。

(小島参考人)

 「民間・介護共同調査委員会」を設置し、連合が携わりアンケートを行った結果、3月18日現在での回収率は57%である。
 各市町村の取り組み状況等については、若干の格差があるが、全般的には平成12年4月にスタートができると思っている。
 制度施行に向かって、現在の社会福祉協議会等の公的サービスを重視しながら、民間等の参入を期待している自治体トップが多い。
 また、介護報酬やサービス提供がどうなるのか、住民が保険料の設定や利用料を理解するかを懸念している。
 4割の自治体から、給付サービスを充実していくことに伴って公費負担の比率を高めて欲しい旨の回答がある。しかし、全額公費あるいは税方式については17%の自治体しか求めていない。
 不安材料としては、財政面の不安、専門職、企画立案の人材不足、情報不足が掲げられており、さらには、制度施行後に要支援者、自立と判定された人に対する支援体制が十分でないことが懸念されている。
 5割以上の自治体で、従来の公費による高齢者福祉との調整を問題点としており、かつ低所得者に対する国の支援策を強く求めている。
 これから住民に望む事項としては、保険料や利用者負担に対する理解を求めている。
 また、市民自らのボランティア活動といった市民参加も重要視していることは、自治体のトップの意識もかわりつつある現れである。

(井形部会長)

 ここには、我々が知りたいと思うようなデータがかなりたくさん出ている。
 次に、専門家の委員会で並行的に検討されている「要介護認定基準案の地域での検証結果について」の結果を報告する。
(三浦補佐)
 資料047「要介護認定基準案の地域での検証結果について」、資料048「要介護認定はどのように行われるか(未定稿)」について説明。

(見藤委員)

 樹形モデルや中間評価項目については、意見を言うだけの資料が出されていない。また、要介護認定のソフトはいつ完成し、誰がどのように使うのか。

(三浦補佐)

 要介護認定の理論を決めた上で、ソフトウェアをつくっていく。市町村に配布する時期は、今年の7月位を目処としている。

(見藤委員)

 ケアマネジャーは認定ソフトを扱わないとすると、要介護度がどのくらいになるかわからないのではないか。

(三浦補佐)

 認定ソフトは市町村で操作をすることになる。介護支援専門員や市町村の職員は訪問調査をした結果を市町村の窓口に持っていき、市町村職員がコンピュータ入力をする。

(見藤委員)

 ケアマネジャーの仕事は、認定調査することだけになるのか。

(高井室長)

 ケアマネジャーには2つ仕事がある。1つは、市町村から委託を受けて、要介護認定の訪問調査を行う。もう1つは、認定が終わったあとに、要介護者の状態に応じて、居宅介護サービスの計画を作成する。施設に入所している場合は、施設の介護サービス計画を作成することになる。

(青柳委員)

 要介護認定基準は、次回決めてしまうこととなるのか。

(神田次長)

 要介護認定基準は、要介護度をあてはめる時間などを省令で定めるということになるので、今回の検証の結果などを踏まえて、次回に諮問させていただき、審議をお願いしたい。

(青柳委員)

 要介護認定の全体の仕組みについては、いままでどおりでよいが、一次判定と二次判定の位置付けもセットで議論する必要がある。一次判定の基準を部分的に取り出して先に決めていくということには、賛成はできない。

(神田次長)

 要介護認定基準は、一次判定のあてはめだけを決めるということではなく、二次判定を含めた考え方を定めることになる。

(青柳委員)

 2つ指摘しておきたい。高齢者介護サービス検討委員会の場では、現場でもう少し試行したいという意見が出ていたこと。もう一つは、提示されている二次判定の指標が果たしてこれでいいのかという疑問も出ていた。その作業をしないと、省令として諮問を受けるということは、難しいのではないか。

(神田次長)

 高齢者介護サービス検討委員会の方では、二次判定に使う状態像の例に一部不適当なものがあるのではないかというご意見ももらっているので、整理をした上で諮らせていただきたい。

(井形部会長)

 あまり細かいところまで省令で決めるのではなく、まず、方向性を決め、あとは若干修正があり得るものとしてはどうか。

(樋口委員)

 自治体トップアンケートの中で、三回にわたるモデル事業を行っているにもかかわらず、訪問調査員の資質の向上、研修の充実、住民への説明が可能な認定基準の明示を求める声が、いまも高い比率を示している。
 住民への説明が可能な認定基準が次回に示されるのか。

(井形部会長)

 「要介護認定はどのように行われるか(未定稿)」という資料が基礎となる。

(見藤委員)

 二次判定の後に介護支援専門員が介護サービス計画を立てることになるが、計画を立てる段階で住民の声は取り入れられるのか。認定審査会の意見は、必ずしも絶対的なものではないと考えて良いのか。

(神田次長)

 要介護認定というのは、基本的には、要介護か要支援の状態にあるかどうかと要介護状態区分を判定するということで、サービスの選択そのものを要介護認定の中で指示をするといったことは原則的にはない。
 例えば、感染症に感染していて、医療施設でないと管理が難しいという場合に、例外的にサービスの指定ができるという規定がある。また、サービス提供上の留意事項については、認定審査会として意見を付すことができるが、特段の場合以外は、サービスの利用そのものについて、認定審査会が指図をするということはない。
 したがって、介護サービス計画の作成にあたっては、利用者、家族の希望を十分配慮して作成するということを運営基準でも定めている。

(見坊委員)

 要介護認定の結果は、誰が住民に説明することとなるのか。調査を行ったケアマネジャーが認定結果を説明した方がよいのではないか。

(神田次長)

 ケアマネジャーは訪問調査の委託を受けて調査を行うのであって、要介護認定を行うことそのものの責任は市町村にある。したがって、その認定結果の通知も市町村から行われるし、その内容についても、説明の責任は市町村が行うことになる。
 ただし、一次判定の仕組みが公開されるので、訪問調査の結果がわかっていれば、その人の介護時間が何分になり、要介護度がわかるので、介護支援専門員も一次判定の説明はできる。

(加藤委員)

 市町村の職員が訪問調査を行うことが多いため、調査結果はケアマネジャーはわからないのではないか。
(神田次長)
 市町村はすべてのケアマネジャーに委託しているわけではないが、調査した項目は、本人の同意があれば、ケアプランを作成する段階で見ることができる。そうすると、調査項目のどこにマークがついているかがわかれば、1次判定の理論も説明ができる。

(京極委員)

 ケアマネジャーは、基本的には、介護認定の結果に合わせたプランをつくる。しかし、この認定はおかしいと思ったら、差し直して、もう一回、認定し直してもらうことがあり得る。
 訪問調査は市町村の職員だけでは足りないから、ケアマネジャーにもお願いするのである。そこのところを一緒に議論するとおかしくなる。

(橋本委員)

 介護支援専門員は、要介護認定の調査を市町村から委託された事業所の職員として行うことと、ケアプランを作成することが役割だということは理解している。だから、要介護認定についての責任は保険者にあり、その職員が説明するというのが妥当なことである。しかし、実際に、お年寄りのところに調査に行って、ケアプランをつくる時に、接点を持つのは、介護支援専門員であるから、聞かれて答えられないとなると、信頼を失うことになる。説明できるようなにならないといけない。
 要介護認定基準の説明の中で、大体いい線行ってるというニュアンスの話があったが、どうだろうか。がんじがらめの省令をつくらないで、幅のあるものにしておいて、これからも検討を続けるという姿勢は維持しておく必要がある。

(井形部会長)

 同感である。修正したほうがいい点が出れば、それを取り入れるべきである。

(野中委員)

 ケアマネジャーに対して、保険者が訪問調査を委託をするかしないかの判断は保険者側にある。大都市には相当有資格者がいると思うが、私のところの町では、介護支援専門員の試験には9人が合格した。ただし、9人のうち、実際、ケアマネジャーとして働くものは2人である。全国の市町村で、できるだけ多くのケアマネジャーの有資格者が確保できるような体制作りをお願いしたい。
 要介護認定基準については、見直すべき時は、見直せるような幅のあるものにしていただきたい。前へ進んで実践に取り組めるかということが課題であるので、まず早くこれを市町村に示して、取り組めるようにしてほしい。
 また、都道府県が単なる連絡事務ではなく、本格的に市町村を指導するような対応となるよう重ねてお願いしたい。

(山口委員)

 都道府県の取組みの格差については、私からも対応をお願いしたい。
 要介護認定については、平成10年度のモデル事業に、少し問題点があるということから、今回の検証を行うことになった。ベストではないが、少なくとも10年度のモデル事業よりは前向きに改善されたという実感を持っている。
 二次判定の問題だが、一次判定、コンピュータ判定が100%ではないということを市町村に十分周知徹底を図る必要がある。10年度のモデル事業で、二次判定での変更全くなしというのがいくつかあった。全くなしという結果となったのは、正しく理解をされていなかったためではないか。それと事例集が少し足を引っ張ったのではないか。
 二次判定と一次判定の位置づけをはっきりするべきである。
(水野委員)
 介護保険にも、医療保険のようにインフォームド・コンセントみたいなものが必要ではないか。要介護認定結果について、説明するのは、市町村の職員であるというが、うまく説明ができるか。

(高井室長)

 市町村の職員が、認定を受けた人に説明できるようなわかりやすい材料を用意する必要がある。

(喜多委員)

 守口市では、市の職員で直接調査に行くのではなく、委託形式にしようと考えているが、調査に行った人が二次判定の結果を、要介護者に説明するのがよいのではないか。それで十分にわからず、トラブルになる場合などは、保険者である市町村がカバーしたらいいのではないか。

(京極委員)

 ケアマネジャーのやる仕事というのは、要介護認定が仮に3であるとしても、どういう介護が必要なのかということまで、具体的なニードを把握しないと、ケアプランを作成できない。だから、ケアマネジャーが説明ができないというのでは困る。養成課程において、相当な研修が必要である。

(見坊委員)

 いったい誰に説明を受けたらいいのか。問題の内容によって、説明は、在宅介護支援センターであるとか、市町村であるとか、窓口がバラバラになるのでは困る。高齢者の立場、利用者の立場に立って、安心できるような内容のものにしていただきたい。

(水野委員)

 インフォームド・コンセントについてはどうか。

(高井室長)

 インフォームド・コンセントというよりも、認定結果について、説明をして、納得いただくというようなことが必要であると考えている。そのための説明の材料を作っている。

(水野委員)

 インフォームド・コンセントという意味は、原則として、申請をした人すべてに説明するということだが、そうなるのか。

(高井室長)

 すべての方に縷々説明するというのは時間的に難しい。認定結果が満足のいくものであれば、それでよいし、不満があった時には、いろいろな材料でもって説明していくということを考えている。

(橋本委員)

 インフォームド・コンセントというか、説明するということは大切である。ただし、一次判定は説明できるが、二次判定の内容を説明するということが非常に難しいのではないか。認定審査会の運営について、審査の内容を開示できるようにしておくことが重要である。

(見藤委員)

 介護支援専門員の訪問調査については、例えば「あなたはここが動きませんね」ということを本人が納得した上で、調査を進めることがインフォームド・コンセントであると思う。

(井形部会長)

 いろいろ議論を取り入れた形で、先へ進むように、次回も継続審議としたい。

(山崎課長)

 資料046「施設サービスに関する参酌標準について」、資料049「「基本指針」・「参酌標準」について」について説明。

(井形部会長)

 参酌標準に関しては、樋口委員から意見書が提出されているので、その説明をお願いする。

○「介護保険を老人病院保険としてはならない」について樋口委員より説明。

(樋口委員)

 「介護の社会化を進める1万人市民委員会」で協議してきたことをまとめさせていただく。
 せっかく高齢者の生活を掲げる介護が、医療と二本立てになって進もうとしている。高齢者に医療は必要であるが、高齢者の生活そのものが全部医療の傘の下に入るというのは、全く違うことである。
 介護保険は、介護地獄の解消と社会的入院の解消で始まったものである。
 65歳以上人口は増えていくため、基本的には施設を増やさざるを得ないが、1人当たりの面積も少なく、何年かは食堂や浴室を設置する必要がないような療養型病床群については、抑制ないし現状維持というのが原則ではないか。
 その代わりに、生活の場としての特別養護老人ホームを嵩上げしていただきたい。
 自宅で自立できるようなグループホーム型の施策を進めるとともに、やはり本当に重くなった場合のための特別養護老人ホームを増やしていただきたい。

(中村委員)

 3施設は異なる性格であるため、8:7:5の割合については、総枠性を取らずに、それぞれについて基準を設定していただきたい。
 また、介護療養型医療施設の申請が参酌標準を上回った場合の申請の取扱いはどのようになるのかを、今後のタイムスケジュールを踏まえて説明して欲しい。
 特別養護老人ホームについても、利用率、稼働率を勘案した参酌標準としていただきたい。

(神田次長)

 療養型病床群の指定については、法律上、都道府県が介護保険事業支援計画の中に、各施設の種類ごとの必要入所定員総数を定めることとなっており、個別の施設の申請が上がってきた時点で、必要入所定員総数を超えているか、指定をすることによって超えてしまう場合には、指定をしないことができると位置づけられている。
 都道府県の介護保険事業支援計画は11年度中に確定させる必要があるとともに、介護療養型医療施設の指定も行う必要があるため、一定の段階では計画値を確定し、指定の事務を進めていただくことになる。
 具体的なスケジュールについては、さらに精査をして明確にしたい。
(山崎課長)
 介護保険に変われば従来のような100%の利用という考え方はなくなるので、今後は、特別養護老人ホームの利用率も要素として考えていく必要があると思う。

(橋本委員)

 介護保険料への影響も考慮すれば、在宅と施設のバランスは非常に重要。
 在宅サービスが不足するならば、施設入所型のサービスを利用せざるを得ないため、市町村にあってはホームヘルパーなどの在宅サービスの基盤整備を急がねばならない。
 前回の答申には、3級ヘルパーについて採用後の十分な研修が必要であると書いたが、3級ヘルパーと、介護福祉士や1、2級のヘルパーとが同じ報酬では、3級ヘルパーが増えてしまうのではないかと懸念している。
 2級ヘルパーの研修を受ける動機づけが必要であるため、報酬に差をつけるか、業務内容を区分できないか。

(青柳委員)

 平成11年度末の新ゴールドプラン達成時における療養型病床群の整備目標値の19万人については、何を基準としているのか。
 参酌標準・基本指針には、特定疾病で介護保険の適用になる第2号被保険者についての記載がないが、どのように認識しているのか。

(神田次長)

 療養型病床群の整備目標である19万人は、平成7年度段階で見込んだ数字である。国民生活基礎調査やその段階での他の調査で、要介護者全体が約140万人と見込まれており、入所の実態が在宅と施設で、ほぼ5:5であるということから約70万人が施設に入所することになり、平成11年度末の新ゴールドプランの目標数である特別養護老人ホームの29万床、老人保健施設の病床利用率を勘案した25万人ということになると、残りの療養型病床群で処遇する必要が出てくる人数が約17万人と見込まれ、病床利用率を約9割とすると約19万人という数値になる。
 特定疾病の2号被保険者だが、費用推計をした段階では約10万人であった。しかし、政令に定める15種類の疾病となると約14万人から15万人となるが、この施設入所者数についても盛り込んだ数字となっている。

(京極委員)

 施設全体の参酌標準については、各地域において原則として守っていくような方向で行政指導をしていただきたいが、施設種類ごとの参酌標準については地域により異なるのではないか。
 しかし、療養型病床群が増えると若干単価が高くなることから、保険料に跳ね返ることは明確にしておくべきである。

(加藤委員)

 特養、老健は100%指定されるが、病院、医療施設に関しては、100%指定されない地域も出てくる可能性がある。申請のあったところは全部指定していただければありがたいが、保険料の問題から難しいこともあり、参酌標準については、もう少し議論をして欲しい。

(山崎課長)

 施設の参酌標準については、計画を作成する上で必要となるため、自治体から早く呈示して欲しいとの要望が多い。あくまでも標準であるため、実際に決定していくのは自治体であり、これを示さないと、次のステップが始まらないという点だけは、理解をいただきたい。
(井形部会長)
 要介護認定基準と、介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針は、次回の合同部会において諮問を受ける。
 本日は、これで閉会とする。

問い合わせ先 厚生省老人保健福祉局企画課
 電 話 (直) 03-3591-0954
厚生省老人保健福祉局介護保険制度施行準備室
 電 話 (直) 03-3595-2890


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