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医療保険福祉審議会 老人保健福祉部会・介護給付費部会
第10回合同部会議事要旨


1 日時及び場所

平成11年3月15日(月) 14時00分から16時05分
厚生省 特別第1会議室

2 出席委員

星野、井形、青柳、石井、加藤、京極、見坊、下村、多田羅、田中、中西、中村、成瀬、野中、橋本、樋口、堀江、水野、見藤、村上(忠)、山口の各委員、鶴見、蒲生の各参考人

3 議題

(1)介護保険法施行規則案等について
(2)特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準の一部改正案について
(3)要介護認定の検討状況について
(4)施設サービスに関する参酌すべき標準の考え方について

(星野部会長)

 厚生大臣から諮問を受けた介護保険法施行規則案等、及び特別養護老人ホームの施設及び運営に関する基準の一部改正案について、前回に引き続きご審議いただいた上で、是非とも本日中に答申書をとりまとめたい。

○ 高井介護保険制度準備室長より、前回の議論を踏まえた答申案の修正個所について説明。

(下村委員)

 資料を配布しているので、前回申し上げた点は要旨だけを申し上げる。現状では、2,500円で計算をしても、相当高率の健康保険料へのはね返りが出てくるということが予想されるが、それについてどういう対処策がとれるのかという質問である。なお、政府管掌健康保険の場合にも同様な事態が生ずる恐れがある。
 いろいろ資料提供等もお願いしたが、今の段階では、別途資料をいただくこととして、とりあえず、この問題に対処する方針、考え方についての明確なご答弁をお聞きしたい。
 なお、つけ加えるが、介護保険については、そもそも保険料を徴収代行する形でやってほしい、ということを被用者グループはお願いしていたので、そういう点にも考慮すべきである。単に現在の95という上限を100に上げればいい、ということを言っているのではない。
 それから、老人の医療費の負担に関しても、介護保険の保険料と同じような問題が生じているということを併せて申し上げておく。そういうことが背景にあるので、この問題のきちんとした制度的な解決策をとるべきである。
 それから、今日追加した問題としては、一般的な認識として、特に総合健保の場合、中小企業の経営者などに多いのだが、介護保険が入ると、健康保険の保険料は下がると思っていることである。ところが、実際は、介護保険料が導入されると、健康保険料と一本で取られるため、今のことを背景にして考えると、最終的に健康保険の保険料は、総体として上がるという結果が出てくる。そういった事情や当然事業主負担が伴うという形になっているという法律の構成等について、必ずしも一般的な認識が十分徹底しているとは思われないので、そのあたりの説明を的確に事業主に行い、保険料をいただくというのはなかなか難しいのではないか、と考えている組合が多いわけである。経営者側やその他の関係者に対して、介護保険料の問題について、厚生省として、的確なPRないしは説明を行うことを考慮してほしいということが、今日追加した項目である。

(羽毛田保険局長)

 健康保険組合の運営の中で、一定の保険料率の上限の下で、老健拠出金が増大することにより、相対的に若人の医療費が圧縮されている、ということがまずベースにあり、こうした状況の中で、さらに介護納付金が賦課されるということにより、健康保険組合の財政運営が立ち行かなくなる事態が生じ得る。こういったご指摘について、私どもとしても正確に問題の認識をしている。
 こうした介護給付費の納付金の納付に要する費用を上乗せすることにより、保険料率の上限に達する場合の取り扱いの問題、さらには健康保険組合の第2号被保険者の介護保険料の具体的な賦課・徴収方法をめぐる問題、こういった問題については、法的手当の必要性も含め、早急に結論を得て、介護保険全体の費用や政府管掌健康保険の動向をも念頭に置きながら、介護保険の円滑な施行や、健康保険事業の運営に支障が生ずることのないように、適切な措置を講ずることとしたい。
 また、今日、追加の論点として、介護保険導入に伴う医療保険への影響について、いわば過不足のない形での理解を得るためのPRや説明の努力ということについてのお話があった。介護納付金を納付していただく医療保険の保険者、事業主、被保険者の方々の理解を得ることが大変重要であること、私どもそのように考えており、ご趣旨に沿った努力をいたしたいと考えている。
 個別のご質問事項に関する基本的な方針という形で、見解を申し述べるようにというお求めであったので、そのように考えていることを申し述べさせていただく。

(野中委員)

 健保組合だけのようなお話であるが、国民健康保険への市町村への過重負担にもはね返ってくるので、一緒に検討していただきたい。

(羽毛田局長)

 被用者保険ならびに健康保険組合について述べた点については、同じように、国民健康保険についても、高齢化の進展あるいは低所得者の加入の増加などにより、財政が引き続き厳しい状況にあり、こうした中で、さらに介護保険の施行に伴い介護納付金が賦課されることによって、国保の財政運営がより一層厳しいものになる、ということについても十分認識をしている。そして、こうした国民健康保険の財政運営に関わる問題については、被用者保険をめぐる問題と同様、早急に結論を得て、介護保険の円滑な施行や、国民健康保険事業の運営に支障が生ずることのないように、適切な措置を講ずる努力をしなければならないと認識している。

(下村委員)

 今の段階としては、問題点を正確に厚生省側に理解をしていただいており、答申の案文についても正確に記述されていると思うので、この点については了解する。

(見坊委員)

 答申内容について、3点述べたいことがある。
 第1に、介護サービスが必要とする人に適正に提供され、同時に費用が不必要に増大されることがないよう、制度が健全に運用される必要がある。そのためには、利用者側の自覚とサービス提供者側の倫理の向上が必要であり、是非、今後継続してご論議をいただきたい。高齢者自身も、専門サービスでカバーできない地域や近隣で相互に支え合っていくような活動や寝たきりを予防する努力することを考えており、行政等へ指導、協力をお願いしたい。
 第2に、居宅介護支援事業及び介護支援専門員の中立性と専門性の維持の方策について、今後も検討の上、具体化していただきたいと考えている。例えば市町村が直接管理したり、他のサービス提供事業者から分離独立するといったことが必要ではないか。
 第3は、2月26日に答申された経済戦略会議の「日本経済再生への戦略」の内容に関してである。答申では、「介護と高齢者医療は、将来的には税によって国民にサービスを保障できる制度を基本とする。2000年4月から導入される介護保険制度については、介護保険法の附則で施行後5年を目途に行うことが規定されている全般見直しについては前倒しをする」とある。しかも、小渕総理は、ボトムアップの政策決定に依存することなく、トップダウンによるスピーディな政策決定に活かすと述べている。審議会との関係で、厚生省としての見解はどうなのか。

(星野部会長)

 よく、勉強をしておきたい。

(見藤委員)

 指定訪問看護の緊急時の対応では、保健婦看護婦助産婦法との整合性を図り、利用者に病状の急変が生じた場合には、臨時応急の手当てをなすとともに、速やかに主治の医師への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならない、としていただきたい。

(橋本委員)

 介護老人福祉施設における個室等の室料負担のところで、「現在の施設整備費補助金制度や社会福祉法人制度のあり方等が総合的に見直される際には」と表現されているが、社会福祉基礎構造改革の議論の中でも、社会福祉法人は、援助困難事例や民間の営利企業のサービスには馴染まないものを行うと明記されており、そのために補助金制度が残されている。介護保険制度施行後も室料負担について議論を続けるべきだとの議論があった、といった書き方でよいのではないか。

(中村委員)

 老人保健施設も横浜市、川崎市の例をとっても1ベット当たり300万円と高率な補助金が出ている。高率の負担金、補助金イコール老人福祉施設と考えるべきではない。是非、介護老人福祉施設も、個室等の室料負担の方向でお願いしたい。

(橋本委員)

 社会福祉法人が経営する福祉事業らしさというものを失ってしまうと、社会福祉法人の存在意義はなくなるのではないか。

(星野部会長)

 両論あるということにする。

(村上(忠)委員)

 介護療養型医療施設の設備基準に関する経過措置は、「当分の間」として諮問されていたが、改善状況を勘案する、一定の期限を付すべきである。
 低所得者の利用者負担については、検討すべき意見があったというより、検討すべきと表現していただきたい。
 居宅介護サービス計画については、きちんと、居宅介護支援事業者から市町村へ届け出るべきである。

(野中委員)

 低所得者の利用者負担の検討事項については、法律的には、市町村が1割負担を減免することができるということになっているが、その場合、国や都道府県の財政負担も含まれていると解釈したい。
 居宅介護支援事業者の居宅介護サービス計画の市町村への提出については、「検討すべきである」ということではなく、「義務づけるべき」としていただきたい。
 財政安定化基金の拠出金は、第1号保険料からではなく、都道府県と国とで2分の1ずつ持ってもらいたい。

(加藤委員)

 介護療養型医療施設の設備面での経過措置へのご意見は、もっともだと思うが、都市部等では転換が難しいという状況にあることはご理解いただきたい。

(下村委員)

 介護老人福祉施設の個室等の室料負担では、施設整備費補助制度や社会福祉法人制度のあり方が総合的に見直されることが前提になってるのか。そういう方向があって、室料負担をより広範に求めるような見直しが行われる方向で動いているのか。
 低所得者の利用者負担のところは、従来の措置費のような形で解決するということなのか、それとも、介護保険の中で低所得対策をやるということなのか。

(山崎老人福祉計画課長)

 室料負担については、施設整備費や社会福祉法人の見直しが既に決まっているということではなく、総合的に見直しが必要な段階においては、室料負担も当然一緒に検討対象になるであろうという趣旨である。
 低所得者の利用者負担への配慮については、基本的には老人福祉関係はすべて介護保険に移るため、措置制度でそれに対応するのは困難である。介護保険制度の中もしくは介護保険制度関連での対応という議論となる。

(下村委員)

 社会福祉法人制度を見直すのか見直さないのかもわからないのに、室料負担だけは広範にとるということが出てくるのはおかしい。
 また、介護保険の一部負担ができない場合は、一般論としては、生活保護で対応するのではないのか。措置が残るなら、措置費もある程度残るのではないのか。

(高井室長)

 介護保険制度の中にある低所得者対策は、高額介護サービス費や食事の負担の限度額設定である。法律上、措置で介護老人福祉施設に入所するのは、低所得者としてではなく、自分自身で契約入所できないような場合である。

(下村委員)

 介護保険では、一定の限界を持ちながらも、低所得に対する配慮はできると思うが、従来の措置の機能を完全に代わるとはできないのではないか。したがって、生活保護が入る余地があり、措置費も入ってくるのではないか。

(中村委員)

 福祉の現場では、総合的見直しの前兆が、いろいろなところで出てきている。例えば、特別養護老人ホームの地域交流スペースの補助は定額化になってきており、この1月からは、小規模特養についても、国が補助金を出さなくても、都道府県の単独補助金で施設整備ができるようになった。老人福祉施設に対する補助のあり方が、大きく変わろうとしているのを肌で感じている。老健施設に対する補助のあり方や医療施設に対する近代化施設整備事業のあり方に類似してきている。

(橋本委員)

 1割自己負担ができない人は、生活保護の介護扶助制度でカバーされる。論理的にはそうなるが、統計的事実は分からないものの、現在、特別養護老人ホームに入っている人で1割負担できない人が、3分の2ぐらいいるだろうという説がある。応能負担の制度で非常に安い利用料で、生活保護を受けずに入所している人たちに制度が変わることによる過渡的配慮が必要なのではないか。

(下村委員)

 そこで、生活保護に基準が一本化されるのかどうかを聞いたわけである。

(星野部会長)

 今までのご意見を踏まえ、井形部会長、水野部会長代理とも相談し、答申書の案を整理させていただきたいので、暫時休憩としたい。

(休憩)

(星野部会長)

 審議を再開する。答申書案の修正個所について、事務局より説明をお願いする。

(高井室長)

 修正があった点を説明する。「介護療養型医療施設の食堂や浴室の整備に係る経過措置、介護老人福祉施設の大部屋解消については、上記の措置の結果を踏まえたその後の改善状況を勘案して、一定の期限を付することを検討すべきである。」というところを「一定の期限を付すべきである。」と直している。
 次に、介護老人福祉施設における個室等の室料負担について、「なお、介護保険制度施行後、現在の施設整備費補助制度や社会福祉法人制度のあり方等が総合的に見直される際には、室料負担をより広範に求めることができるようにすべきとの意見があった。」というところを「総合的に見直される際には室料負担をより広範に求めることができるようにすべきとの意見があった。」と読点を取っている。
 さらに、「介護サービスに係る利用者負担については、その支払が困難な低所得の要介護高齢者等に配慮した方策を検討するべきであるという意見があった。」というところを「要介護高齢者等に配慮した各般の方策を検討するべきである。」と直している。
 最後に、市町村に対する居宅介護サービス計画の提出について、「すべての市町村に対する居宅介護サービス計画の提出を義務付けることを検討すべきであるとの意見があった。」というところを「意見があった。」という記載を削除している。

(橋本委員)

 介護老人福祉施設における個室等の室料負担について、「現在の補助制度や社会福祉法人制度のあり方等が総合的に見直される際には室料負担をより広範に求めることができるようにすべきという意見があった。」というのは、見直される時に限って室料負担を広範に求めると理解してよいか。

(星野部会長)

 そのとおりである。

(見藤委員)

 私が申し上げたことはどのように扱うのか。

(星野部会長)

 保助看法の趣旨を踏まえて、省令の検討を事務局にお願いする。

(村上(忠)委員)

 意見を入れていただいたので、是非これでまとめていただきたい。

(星野部会長)

 それでは、これで答申を行う。座長として委員のご協力に感謝する。

(井形部会長、星野部会長から堤審議官に答申書手渡し)

(堤審議官)

 年末から週に1回のハイペースで合同部会を開催して、議論をいただいた。年度内の公布に間に合わせることができると思う。また引き続き、いろいろな諮問事項があるので、よろしくお願いしたい。

(星野部会長)

 本件についての審議はこれで止めたい。

(三浦補佐)

 資料045要介護認定の検討状況について説明。

(見坊委員)

 要介護認定基準について、厚生省の資料では、要介護認定基準時間は、要支援は1日当たり30分未満で、要介護状態になるおそれがある状態となっており、これは実際に家で介護している時間とは異なる。認定のための物差しにすぎない。そして2日間にわたって1分おきにどのような介護が行われているかという調査に基づいて、仮にその人が施設に入所したらどのくらいの介護の時間が必要か推計したものであると書いてある。しかし、一般にはよくわからない。1分間おきのタイムスタディ自体わからない。もっとわかりやすい認定基準にしていただきたい。

(井形部会長)

 高齢者介護サービス制度整備検討委員会で、いろいろ検討しているところである。原則としては、介護に要する時間を算定して、要介護度を決定していくが、今回は中間評価を取り入れた。また、2次判定の重みも増した。
 最終的には部会でも報告した上で、スタートさせたい。

(樋口委員)

 介護保険の成否のひとつのカギは、この要介護認定にどれだけみんなが納得できるかどうかである。コンピューターの内容というのは専門的であるし、この樹型図を見てもわからない。
 少なくとも、入学試験ですら内容を公開するという時代に、当事者たちに、あなたはこういうわけだからこの認定になったということを説明できる内容でないと困るのではないか。
 例えば苦情処理が出た時に、コンピューターがこのように判定したからという理由だけでは済まない。苦情の時にどこまで説明するのか伺いたい。

(三浦補佐)

 要介護認定の申請をされた方に対して窓口で十分説明ができるような形で、お示ししたい。

(京極委員)

 要介護認定は、コンピューターで統一的に、早く判定ができ、さらに二次判定を行う材料としてよい。しかし、市町村や県に苦情が来た時に、説明ができるようにしていただきたい。

(野中委員)

 市町村の職員がどこまで理解できるかという不安がある。都道府県の職員に研修し、市町村職員まで徹底できるようにお願いしておきたい。

(星野部会長)

 この件は中間報告であるので、資料がまとまってから、さらに具体的に検討する。

(山崎課長)

 資料046施設サービスに関する参酌標準について説明。

(星野部会長)

 この件については議論する機会をつくるということで、本日はこれに止めておきたい。本日はこれをもって閉会とする。


問い合わせ先 厚生省老人保健福祉局企画課
電 話 (直) 03-3591-0954
厚生省老人保健福祉局介護保険制度施行準備室
電 話 (直) 03-3595-2890


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