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HIV診療支援ネットワークシステム部会
(第5回)議事概要


1.日 時: 平成11年3月9日(火)14:00〜16:45
2.場 所: 厚生省別館共用第13会議室
3.出席者:  (厚生省)上田政策医療課長、塚原政策医療課高度・専門医療指導官、山本運営企画課補佐、桐生政策医療課補佐、池田エイズ疾病対策課補佐、中田医薬安全局医薬品副作用被害対策室補佐
(国立国際医療センター)岡臨床研究開発部長、秋山情報システム部長
(国立大阪病院)白阪臨床研究部ウイルス研究室長
(原告団・弁護団)東京4名、大阪3名
*梅田、安岡、青木委員欠席
4.議 題: 1.A−netの利用状況について
2.A−net利用者の二次募集について
3.4月1日以降の取扱いについて
4.閲覧請求について
5.A−net事業における整備計画等について
6.その他

5.議事要旨

(1)A−netの利用状況について

○事務局より説明(了承)

(A-net参加登録患者数237名(H11.3.5現在)、A-netユーザー登録 34施設95名(H11.2.8現在)


(2)A−net利用者の二次募集について

○事務局より説明後の主な発言内容

厚生省:

 本年1月23日に国立国際医療センターで行われた説明会の前にA−netの端末が電子的に接続されていないなど参加資格を満たさなかった施設の中で、個人としては必要な基準を満たしている10名については、再度講習を受講させることはせず、参加を認めてもよいか。
 また、各ブロックにおいても、2月から3月にかけて講習会を実施したところであるが、これらのブロック内講習会を受けた者については、3月19日(金)と24日(水)に予定されている説明会に出席したものと見なして参加を認めてもよいか。
 今回二次募集にかかる参加の開始を4月8日(木)としてよいか。

原告団:

 全て事前に説明を受けており了承する。


(3)4月1日以降の取扱いについて

○事務局より説明後の主な発言内容

原告団:

 利用者のいる病院においては、異動等により新たに参加する者に対してA−net管理責任者及び利用者から伝達講習をすることにより、参加を認めることについて提案されているが、この場合、パスワードは変更されるのか。

厚生省:

 パスワードは変更させ、他の施設には持っていかせない。前の施設でのパスワードは使えないようにする。

原告団:

 「利用者であった前任者」とは、以前利用者であった者ではなく、その時現在、利用している者か。

厚生省:

 そのとおり。患者のいない病院では例えば3か月以上使用しないことにより利用者資格が剥奪されて利用者がゼロとなりうる。従って過去に使っていたというのでは不十分であり、その意味から現役の利用者としている。

原告団:

 本来は伝達講習会を五月雨式に開ければいいが、実際には難しい。患者を受け持つ医師について伝達講習会を受けるまでは利用者となれないというのでは困るから、そのような場合は特例措置として利用者と認めて、後で講習を受けるものとしてはどうか。講習を受けるのが原則だと思う。

厚生省:

 A−netを使わなければ、その都度、講習会を後で必ず受けることとしたらどうか。引継のための措置は一時的なものと理解。

厚生省:

 A−netに限らず診療支援システムの手引きとした方が望ましいと考える。講習会を受けても全ては理解できないだろうから、教習の手引きをつくってはどうか。A−netの利用の手引きと他のネットワークに差があると混乱するからHOSPnetで作った方がいい。

厚生省:

 厚生省所管の国立病院以外の拠点病院に移行する際、対応に困るのでは。

厚生省:

 国立病院・療養所内での運用としては問題ないが、厚生省の所管国立病院以外の拠点病院に移行する際に議論をいただきたい。

座長:

 患者を受け持つ医師については特例として引継ぎにより利用者と認めるが、後で講習会を受けるものとする(了承)。また、利用者がいない場合には、講習会を行うこととすることについてもよいか(了承)。

原告団:

 資料6の運用管理細則に関連して、利用者が異動等をした場合にシステム管理者に通知しなければシステム管理者は掌握できないから、利用者が異動等した場合にはIDを抹消する手続きとして、施設長やA−net管理責任者に対しても通知義務を負わせると非公式協議の際に話が出たが、細則7条の2に書き込まないのか。

座長:

 A−net管理責任者について細則7条の2に書き込むこととする(了承)。


(4)閲覧請求について

○事務局より説明後の主な発言内容

原告団:

 閲覧請求については、患者の一身専属の権利として相続に馴染まないことから、この部会でも相続人からの議論から外してきたが、資料7の「診療情報の閲覧請求要領」の2において、法定代理人から委任を受けた者については閲覧請求を認めないのか。

厚生省:

 診療情報の閲覧請求については、まず患者側からの要望により入ったが、その後、医師側からどのような手続きに基づき閲覧請求を認めればよいか素人ではわからないから、基準を決めて欲しいと要望が出されていることから今回お諮りしている。弁護団の先生方に法律的に問題がないよう検討していただければと思っている。

原告団:

 18才、19才は自分で委任できるし、それが本来の姿であると考える。ただし15才から20才で医療をきちんと受けられない者は多くないが、10代の感染者が親に隠していることがあるからその扱いが微妙である。

原告団:

 親が同席している場合は、閲覧請求の問題は起きないが、親だけが来た時に困る。
厚生省:
 診療側から言えば、親が鎌を掛けてきた場合に、医師は責任をとれないから、議論していただきたい。

厚生省:

 弁護団の中ですら見解が一致しない段階で親から請求を受けた時に問題があれば、A−netに対する批判となりかねないので、とりあえず、閲覧請求できるのは本人だけとしていただきたい。

座長:

 A−netの試行期間中は、本人だけ無条件で閲覧請求を認めることとし、その他は今後検討していくこととする(了承)。


(5)A−net事業における整備計画等について

○事務局より説明後の主な発言内容

厚生省:

 厚生省所管の国立病院以外については、平成10年度の補正予算において51施設分の予算を確保しているところであり、11年度中に器材を整備することとしている。そしてHOSPnet以外で問題がないことを確かめてから一般の拠点病院に拡大を図っていく。

原告団:

 平成11年度の予算の枠はどのくらいか。

厚生省:

 10分の10という全体の補助金の中で決めており、特に枠があるわけではない。

原告団:

 器材だけ欲しいという病院が手を挙げてくるのではないか。

厚生省:

 拠点病院として手を挙げた施設に対して補助することとしており、病院についてはそれなりのところを選んでいる。

厚生省:

 一つの条件としてインターネットに接続していることが第一条件であり、他へは流用しにくいと思われる。

原告団:

 補助の条件が施設に対して周知されているのか。私の知る限り、LANが充実すると期待して手を挙げるところもあるらしい。

厚生省:

 A−netについての理解を深めるために、国立病院・療養所を対象とした3月19日と24日の説明会に、厚生省所管の国立病院以外の病院についても可能な限り参加するよう声をかけている。

原告団:

 厚生省所管の国立病院や厚生省所管の国立病院以外のブロック拠点病院までは厚生省で指導ができるとしても、厚生省所管の国立病院以外の拠点病院は色々な組織体制があり管理できるのかどうか。診療について向上させたいという施設を選択していかないと多額の税金を投入する責任が果たせない。

座長:

 資料8の厚生省所管の国立病院以外の拠点病院への拡大については、本日決定することはせず、今後の部会において議論していただきたい(了承)。

厚生省:

 10年度補正予算における器材の整備についてはご報告。今後、厚生省所管の国立病院以外の拠点病院にどのようにつなげるかは部会においてルールを承認していただいてからとしたい(了承)。


(6)その他

原告団:

 第3回部会においてA−netと電子カルテの関係でもめた経緯がある。昨年11月5日の非公式協議では、電子カルテとA−netを切り離して検討することとされたところである。
 しかしながら、両者は別物と言いながら、ブロック内の研修会ではそうでもないようである。A−netの発展性について説明することで、結果としてA−net固有のことから逸脱しているのではないか。
厚生省:
 シンポジウムにおいては将来の姿についてが議題であったので私的な立場で説明した。カルテについては人によって受け止め方が全く違い、電子カルテの定義を「法令に保存義務が規定されている診療録」とした場合には、A−netはカルテではない。今までのシステムは患者の情報をデータベースに入れることに対し議論がされていない。それを初めて行ったのがA−netである。ただし、医師は診療情報=カルテの一部ととらえるのが一般的。

原告団:

 全体として、A−netはLANであり、ツールであるが、ハード面の可能性とA−netの今の姿を厳密に言わないと誤解されてしまう。

厚生省:

 一般向けのシンポジウムとは違い、A−net利用者に対して行うブロック内の研修会においては、閉ざされた世界での厳しく制限された運用しか認めておらず、施設として参加する気がなくなるほどかなり厳しい話をしてきており、明確に電子カルテではないことを説明している。

原告団:

 部会の確認として、A−netはHIV診療支援ネットワークであるとしながらも、パイロットケースとされているような気がする。エイズのように患者の規模では小さな部分でテストケースとしてやっていくのが主眼なのではないか。

厚生省:

 シンポジウムにおいて、電子カルテは今後発展していくことについては、ネットワークの将来構想として具体例として話したが、A−netを道具にして電子カルテ化するような宣伝はしていない。

厚生省:

 厚生省としては、A−netを電子カルテのモデルケースとして行っていくのではない。A−netはA−netとして診療の向上のためにきちんとやっていく。

原告団:

 A−netにおいて確立したノウハウを他の病気に広げていくのはいいのではないか。

厚生省:

 誤解があると思われる。我々は、A−netを商売にしようとしているのではなく、全国の医療レベルがバラバラであるため、例えば地方の3人程度しか患者を診ていない医師に対して東京とつながっているという安心感を与えるものである。地方の中核病院との差について底上げをしていくのが我々の任務である。

原告団:

 部会でいう「カルテ」とは、法令上のカルテとすること、また電子カルテとは別個のものであること、カルテを電子化する際に部会で協議することについては、今後も確認しておきたい(了承)。

原告団:

 名前の一括管理については未だに不安がある。2月9日と10日に行われたサーベイランスにおいては各国の話が聞け、名前についても色々なテクニックがあったのではないかと考えている。例えば患者の登録の仕方については子音で登録している。また、いろいろな様々な薬を投与することにより患者の診療上の変化をどう利用するかはQOLや命の点で決定的であるから、各国での動態調査をとっている情報についてエイズ疾病対策課で資料を部会に提出してほしい。

厚生省:

 2月9日と10日のサーベイランスはA−netとは全く違うが、参考資料として配ることとする。

原告団:

 A−netのデータを研究目的に使う時の要件を定めることとされていたが、どのような研究であればゴーサインを出せるのかが分からない。要綱なり、細則なりで手続き面を確認したい。

厚生省:

 セキュリティの確保は別として、どのような研究が役立つかは医師でなければ判断できない。
 特に部会においては審査して研究をカットする訳だからその基準は医師が判断すべきものである。

厚生省:

 A−netの本格運用までに議論して決めていくこととしたい(了承)。
 議事録については来週中に原告側より修文(案)を提出することとする(了承)。

以 上


問い合わせ先
厚生省保健医療局国立病院部政策医療課
担 当 岩下(内線2627)
電 話 (代)[現在ご利用いただけません]


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