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医療保険福祉審議会 老人保健福祉部会・介護給付費部会
第9回合同部会議事要旨

1 日時及び場所

平成11年3月8日(月) 14時00分から16時07分
厚生省 特別第1会議室

2 出席委員

井形、星野、青柳、石井、加藤、喜多、京極、見坊、下村、多田羅、田中、中西、中村、野中、橋本、堀江、水野、見藤、村上(忠)、山口の各委員、高梨、蒲生の各参考人

3 議題

(1)介護保険法施行規則案等について
(2)特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準の一部改正案について
(3)その他

(井形部会長)

 意見書を提出されている委員からの説明をお願いする。

○諮問書案の内容に関する石井委員、中西委員からの資料説明

(石井委員)

 老人福祉法で、個室の面積が固定されてしまうというところに、今回、ご猶予をいただきたい。
 個室の場合であっても、最低基準としての基準は他の場合と同様のものとし、今回の諮問で示された「 13.55平方メートル」以上という基準については、誘導的な基準として別途定めるという形にしていただきたい、というのが趣旨である。

(中西委員)

 薬剤師の居宅療養管理指導、特に薬局が行う場合には、医師の処方箋上の指示によって行うということになっている。
 処方箋の指示ということになると、そこで、新たな薬剤投与がなされる。以前にも申し上げたが、高齢者の方々は、多科受診をして、たくさんの薬を飲んでいる。また場合によっては、薬による副作用によって、パーキンソンが起きていたり、痴呆の原因になっていたり、というふうな事例すら発表されている。いわゆる薬剤を伴う処方箋ではなくて、医師の指示というのは、ケアマネジャーのところにいっているので、それを活用して、例えば医師の指示のもとに行う情報提供というような形式を柔軟にとる必要があるのではないか、と考え、この意見書を提出した。
(中村委員)
 特別養護老人ホームの個室化の問題だが、政府が3月5日に産業構造転換雇用対策本部を開き、77万人の新規雇用を創出する雇用対策を決定した。これは民間事業者の参入を認めようという動きとなるため、個室化への規制緩和がなくては、民間参入事業者と対峙できない。規制緩和により、一般論として福祉や保健の分野への雇用が創出されることは良いことだが、専門性が必要なものは必要であり、ホームヘルパー2級、3級の養成カリキュラムを見直さなければ、専門性というものが追求できなく、サービスの質を担保することが困難となる。


○諮問書案の内容に関する下村委員からの資料説明

(下村委員)

 給付費が4兆2千億円で保険料が2, 500円ということになっているが、その場合に、健康保険料では一般で1000分の4. 1下がって、40歳以上は8. 6上がるというふうに説明を受けている。ただ、その根拠については余りはっきりした説明はない。
 標準報酬によって、この保険料率というのは、賃金が低ければ当然レートは上がってくる。組合の中には、2, 500円をベースにして計算した場合でも1000分の15くらい上がる、というところもある。現在、保険料率90以上の組合が、平成9年度の決算で500近くある。それから、現在既に95を超えているところが148ある。
 資料をご覧いただければわかるように、平成11年度の拠出金の見込みは保険料収入の40%に達しているという状況だ。平成10年度の保険料見込みが、全体の平均で85に迫るという形だが、そのうち、50弱が、本人、家族の医療費で支払われている分に対応する保険料である。それから、拠出金に使っているのが、30を超える。残りが6. 03で、これだと、おそらく10年度は赤字になる。
 また、こういう状況で、拠出金は税金と同じ延滞利息を取られることになっているので、保険料収入の36%、11年度では40%は、利息を取られる方を優先して支払うことになる。
 これに、今申し上げた介護の保険料が、介護納付金という形で賦課される。これがさらに10も保険料で上がってくるということになると、このまま納付金を徴収するということを強行されたのでは、今の法律制度のままでは、医療費の支払いにも難渋を来す組合が出てくる、という状況である。
 こういう問題については、健保連としても、かねてから厚生省側に要望しているが、どういう考え方でこの問題を解決するつもりか、明確に承りたい。これがなければ、我々としては、このまま、介護納付金を納めるとしても、おそらく3分の1くらいの組合は、自分たちの本来の払いに支障を来すのではないか、と言わざるを得ない。
 したがって、このまま介護納付金の手続き規定だけをとにかく決めておいて、取れるようにしていきたい、というのは困る。介護納付金の手続き規定をこのままの形で決めるというのは反対だと言わざるを得ない。

(高井室長)

 給付費が4.2兆円で保険料が2,500円については、平成8年に給付費を4兆1,600億円と見込み、1割負担や食事の負担を控除した残りの半分が保険料となるわけだが、40歳以上の6,500万人で頭割りをして2,500円という数字を算出した。
 今後の見込み方については、資料042「介護保険制度施行準備日程」1ページにあるが、給付費については、各市町村において介護サービス基盤の見込み等のとりまとめの最中であり、11年度の第1四半期に都道府県で調整をした上で、国においては8月の概算要求にかけて精査をして集計をする。夏頃に新しい給付費が算出される。

(間杉保険課長)

 介護納付金を納付することによって、若人の医療費を支払うことができなくなる健保組合が出てくるのではないかという意見であるが、制度的には委員が指摘するとおりである。
 現在は、保険料の上限である950/00の中で、老健拠出金分が事実上の先取り的な構造となっており、一般の医療費が圧縮される傾向にあることも事実である。
 健保組合の置かれている状況を考慮しながら、委員より指摘のあった問題については早急に解決策を見出したい。

(霜鳥保険管理課長)

 政管健保であるが、これも委員からの指摘どおりである。現行の保険料を一般保険料として、その他に介護保険料を徴収することになるが、合わせて910/00が上限となっている。現在の保険料率は850/00なので、上限まで60/00であるが、これについては、これから介護準備室で8月までに全体をまとめるということなので、その数字をいただくことになる。
 医療費としての老人保健拠出金が下がるという面もあるため、その介護分への振り替えと全体の保険料率の上限設定をどういう形で組むかが課題である。

(野中委員)

 居室の個室化が大切なことは理解するが、13.55平方メートル以上という基準については一定の配慮をお願いしたい。また、個室で人との会話がなくなることにより、痴呆症が促進するような要素もあるのではないか。そのため、本人の希望により2人部屋、3人部屋でも対応できるようにして欲しい。
 国民健康保険の負担は、直接に住民負担となるため、保険料率のあり方については、十分な検討をすべき。

(橋本委員)

 居室の個室化の問題だが、13.55平方メートルとは8畳間であり、これくらいの広さは必要である。寝室は個室というのが本来の姿であるため、面積が狭いことは当分の間我慢しても、個室の促進を優先すべきである。
 食事や談話のための部屋も確保しなければならないが、現行の設備基準の中にもあることから、それが維持されるならば良い。

(井形部会長)

 答申書案を朗読した上で、再度議論したい。


○事務局より 答申書(案)の朗読

○高井準備室長より、資料042「参考資料」の説明

(井形部会長)

 答申書案にある基準該当サービスについて、「引き続き検討することとする」とあるが、どのように進めるのか。

(高井室長)

 扱いについては相談させていただく必要があるが、審議いただいた後に諮問をして、答申をいただくというのが通例の進め方である。

(井形部会長)

 了承した。

(下村委員)

 この答申書では、介護報酬との密接な関連からある一定の場合に、見直しが生じるという理解で良いか。
 引き続き検討するという点については、審議会として保留されており、改めて審議会としての意見や、あるいは意見を参考にした案を示すという扱いになっていくものと理解する。
 答申書の第9項、第2号被保険者の保険料についての記載を削除し、全部保留としていただきたい。
 健保組合が、本来払うべき医療費を払わずに、まず介護保険料分を払わなければならないような方法では困る。介護保険の施行時に、負担増が一体どの程度出てくるのか、負担増が出てきてもやむを得ないとして容認するのかという、基本的な問題である。
 仮に介護保険料分について、健保組合の上限である950/00から外すこともひとつの考えだが、介護保険料分が950/00の枠外で負担増として現れる格好となる。950/00の枠内でも困るが、そのへんを見極めて検討して欲しい。原案でいくと、950/00の範囲内で負担増とならないように見えるが、実質で負担が増えれば医療費の支払いができなくなる構造となっているため、大きな問題である。
 従来の諮問では、平成14年度以降は前々年度の実績を見て決定する、という案であった。しかし、資料042には、「平成12年度及び平成13年度については、前々年度の実績等がないことから、以下の特例を設けることとし、この旨「介護保険の医療保険者の納付金の算定等に関する省令案」の附則で規定する」と書いてある。これは新しい諮問事項である。それを資料の形で諮問事項の追加という形にして答申案を作成する方法には反対である。
 少なくとも、今後の医療保険制度の運営に関わる重要な事項でもあるため、保険局長あるいは老健局長の責任ある答弁を求める。

(高井室長)

 諮問書には、原則しか記載していないが、2年前の数字を使い、その他所要の措置を講じることから、附則で対応することとした。細かい点であるが、原則を書いているので、諮問の中に入っているという理解である。

(下村委員)

 附則で経過措置を講ずるものについては、実質的には新規の諮問である。

(見坊委員)

 答申案には、行政、あるいはサービス提供側の意見が網羅されているが、利用者側の発言が明確に示されていない。
 5年後の見直しがあるため、最小限度のところは、決められた内容で制度を活用し、その間に問題が生じた時は改善をしていくという説明であるが、なかなか利用者側の意見は聞き入れてもらえない。
 特別養護老人ホームの入居者には、5年間の経過措置があるが、低所得者で保険料と利用料、食費の負担に耐えられず生活保護となると思われる者に対しては、何らかの措置をすべき。
 全ての高齢者がこの制度を活用する、あるいはこのサービスを受けられる、そういう執行上の配慮をするんだということは、答申上何らかの記載があってしかるべき。
 個室の差額料徴収は例外的なものであり、拡大解釈されるようなことがあっては困る。承認しないでいただきたい。個室化の拡大という方向で基盤整備をやるべきであるが、直ちにそれを実行することは困難、今までの老人福祉施設は、貧富の差がない雰囲気の下に共同生活を営んできた。個室の差額徴収については認めるべきではない。
 居宅介護支援事業に営利企業が参入してくることについて利用者は非常に不安を抱いている。営利企業の優れたところは大いに特色を発揮していただきたいが、無原則では困る。特に居宅介護支援事業、あるいは介護支援専門員は、安心して相談でき、場合によってはサービスの選択も公平に情報提供して欲しい。ある分野の営業マン的になってはならない。答申書には、両方の意見があるということを書くべきである。
 現在、2級ヘルパーの育成が進んでいる実態にあり、2級ヘルパーを重視すべきである。
 以上、述べた意見については答申書に何らかの形で記載していただきたい。

(井形部会長)

 ベターなものを目指してやっていくわけで、完璧な準備をしてから進むべきではあるが、どこかでは決断しなければいけない問題である。そういう観点で、全般的に、これでよろしいとか、これでは困るとか、せめてこの点は、という大局的な発言をいただきたい。

(橋本委員)

 個室の差額料徴収についてはきちんと整理しておいたほうがよい。介護老人福祉施設、現在の特養の中で、寝室は基本的に個室がよいのではないか、たとえ少し狭くなっても、個室が中心であるべき。
 しかしながら、特養という、施設整備費が入っている建物の中で、個室を使う人は、別途差額を徴収するというのは反対である。
 例えば同じ敷地の中で、病院の差額ベッドはしょっちゅう患者さんが変わっていくのでさほど問題にならないが、長い間生活している中で、施設整備費が入った建物で、ある人は差額を払い、ある人は払わない、というような形をひとつの施設の中でつくるのは、適当ではないと考える。
 ただし、契約特養のようなものもあるので、そういうようなものは別棟でつくっていくというようなことで、そこでは差額徴収があるということは、否定する必要はないと思う。
(村上(忠)委員)
 諮問書の書き方について、「主な個別の事項に関する両部会の考え方、及び審議過程で出された主な意見は次のとおりである」という扱いでは困る。ここでまとまった考え方については、きちっと行政に生かすという書き方にしていただきたい。
 また、年間42万円以上の年金受給者の比率が57%、それ以下の人が43%いると言ってもいいが、その方々が、保険料負担、利用者負担、食費を払う、ということになれば、生活ができなくなる。見坊委員が発言されたように、何十万の方が不安を持っておられるならば、考え方だけでもできるだけ早く出してあげるべきではないか。
 差額については、反対である。国とか地方の補助金をもらって整備したところは、差額を取るのは筋が違うのではないかと思う。
 それから、介護療養型医療施設の、食堂、風呂の問題については、終始一貫、私はこだわってきたが、期限については不明確である。長期に介護を受ける方にとって、健康を維持する意味から、風呂と食堂がないというのは致命的だろうと思うので、一刻も早く解消するということにしてもらわなければいけないのではないか。
 訪問介護については、兼務と専務はどういう扱いをするのか。事業規模があるところは、きちっとそういう体制をつくるべきだろうし、24時間サービスをするところには、それなりのことをやることにしないと、楽なところだけ持って行こうという事業者がいっぱい出てきたら困る。
 特別養護老人ホームの人員基準の経過措置については、できるだけ早期にとあるが、どれくらいの期限なのか不明瞭。
 また、インターネットにより、いろいろな情報提供を全国ネットで構築するのはよいと思うが、一般利用者がどう見られるようにするかということは、もう一段工夫が必要である。インターネットに入れば毎月利用料を取られる。その負担も出てくるので、この辺りは、利用者がインターネットを見なければ情報がとれないようでは困る。
 事業所の概念については、要件に全部該当すればいいのか、ひとつでも該当すれば事業所として認定するのか、明確な説明をお願いしたい。

(中村委員)

 居宅介護支援事業者の人員基準について、管理者は他の業務との兼務でも差し支えない、とあるが、サービスの質が確保できるのか。中立性が守れるのか。これは、もう一度整理しなおしていただきたい。
 また、特養の場合、定員100人に介護支援専門員1名とあるが、居宅の担当としてサービス提供できるのか。
 さらに、事業者の情報提供システムの中で、事業者自らの情報提供に、誇大事項等がある場合のチェックはどのようにするのか。
 個室料の問題について介護保険下では、所得の低い方は旧来通り特別養護老人ホームにということではなく、所得の低い方でも医療が必要な方は指定介護療養型医療施設に行く選択も出来るよう、自分の身体状況などによって、3施設にスムーズに入れるようにするべきである。
  所得の低い方の扱いは、利用料を減免するシステムを設けて対応すればよいのではないか。
 個室についても全部を個室にするということではない。必要数は、多分、100ベッドであれば30ベッドぐらいだと思う。
 個室化を図ると、自己負担金が多くなるため室料負担をとらないというのでは恣意的に個室化を図らないということとなるのではないか。
 補助金でつくられているのだから、差額室料はおかしいということは、それも1つの意見だが、12年以降は、どうするかはっきりすべきと思う。

(高井室長)

 事業者の情報提供システムについては、これは、社会福祉・医療事業団のネットワークの関係だけを示した資料である。利用者の側に立てば、例えば居宅介護支援事業者の方で情報を取れるとか、市町村でも情報を取れるように、ということも考える必要があると思っている。
 事業所については、要件はすべて該当する必要がある。出張所等については、この要件がすべて該当している必要があると考えている。
 また、広告については、運営基準の中に誇大広告の禁止というのが書いてある。誇大広告があれば、苦情処理の中で市町村、国保連が対応し、最終的には都道府県の方で指導監督することとなる。

(神田次長)

 介護支援専門員に係る居宅介護支援事業者と施設の関係については、居宅介護支援事業者の中で、常勤の介護支援専門員を1人以上配置するということで、これは在宅のケアプランについては50名に1名ということを標準として配置していただく。施設については、施設入所者のケアプランを書いていただく人として、100またはその端数を増すごとに1、ということで、常勤の施設の介護支援専門員がケアプランの作成事業者としての介護支援専門員を兼務するということは考えていない。

(高梨参考人)

 個室の差額徴収について、施設の大部屋の解消はできるだけしていこう、という方向が打ち出されていて、また、入居者の選択によって、いろいろな幅を広げていってもよいのではないか、という意見がある中で、国などの補助金が少しでも入っていれば、一切差額は取れないというのは、あまりにも厳しすぎるのではないかと思う。自分の負担で改造をするということもあり得る。改造をして個室にすることによって、入所者の定数が若干減るというようなことにもなってくるわけで、そういう面では、経営上の点からすれば厳しい。しかし施設としては、やはり多様なニーズに対応できるようなことをしていこうと、個室に改造をしようとしても、今の基準ではできない。そういう観点から、私は、原案の表現ぶりには賛成しかねる。
 もし、これを制約するような表現を入れるのであるとすれば、私のような、拡大をすべきであるという意見も、併せて書いていただきたい。
 また、営利企業が介護事業に参入することについて、懸念があるようだが、営利企業といっても、それは運営基準や設備基準を満たさないといけないので、そういう意味では、無原則な形で運営されるということにはならない仕組みになっている。是非、営利企業の参入について理解をいただきたい。

(野中委員)

 介護サービスの提供に係る事故発生時の対応について、機会あるごとに申し上げているが、保険者には被保険者を守る義務があるということを放棄するわけにはいかない。やはり、この問題については、義務化をしてほしいというのが私たちの基本的な考え方である。事故発生時において、一次処理は市町村が主体で行うべきだし、その一次処理を行うとしたら、事業者等の市町村への連絡対応については、義務的な形が必要ではないか。
 また、居宅サービス計画書の提出については、計画がつくられた時点で、利用者だけでなく、保険者にもこの計画書を提出していただくことによって、保険者が、ケアマネジャーがつくった計画書に基づいて、確実に介護が行われているかということのチェックを行わなくてはならないと思う。そうしないと、被保険者の擁護はできない。これは、事業者から利用者に出される時に、我々保険者に同時に提出をする義務化が必要ではないのか。
 さらに、苦情処理については、国保連は、事務処理能力は万能であっても、苦情処理までできる状態ではないということを言わざるを得ない。市町村で処理できない二次処理については、第三者機関であるとか都道府県が主体で、きちっと対応していただく。すべて国保連でこの二次処理をやるということについては、問題がありすぎる。この辺りを検討いただきたい。
 それから、保険料の滞納の問題であるが、低所得者の対策に関わる問題である。私の町でも、無年金者や、所得のない、または把握のできない人は第1号被保険者の12.8%になる。保険料の滞納期間を決める以前に、低所得者対策を連動して考えていただきたい。そのことがない限り、滞納はますます多くなる。そういうものを、措置費でするのか国費でするのかは別にして、答申の中に入れていただけないのか。

(田中委員)

 ホームヘルパーの3級については、当分の間使うことはやむを得ない。ただし、消費者にとってみれば、ある事業者が、3級ヘルパーが多いのか、2級ヘルパー、1級ヘルパーが多いのかを知る権利がある。消費者にヘルパーの構成がわかるように、事業団のネットに載せる情報にはヘルパーの種別もあってもよいのではないか。
 また、居宅介護支援事業者のクオリティに関することについて、非営利法人に限るというのは納得できない。外国の人は日本の企業を信用しないかというと、そんなことはない。大切なのは、相手が営利法人であろうと非営利法人であろうと、官庁であろうと、犯罪的なものは取り締まるということである。もちろん利用者の側は、営利法人、非営利法人、あるいは自治体のサービスといろいろとあればよいのであって、営利法人はいけないとかいうような規制をすると、介護の工夫が伸びなくなる。

(多田羅委員)

 個室の差額徴収について、老人福祉施設は、措置をするために、国が補助を出して施設をつくっていった。そのために一律的で画一的な制度を全国的に普及してきた。しかし、今回、措置から保険という形になって、国民がサービスを選択するという時代を迎えているので、そういう時代に対応していかないといけない。しかし、国とか地方自治体が負担するという機構が残っている以上、それを利用しながら、時代に適応していこうとすれば、国や地方自治体が担う部分というのは、いわばミニマム・リクワイアメントであって、それ以上のプラスアルファの部分というのは、それぞれの経営主体が努力していかないといけない。
 今言われている個室化というものが、特に望まれるものであるとすれば、個室化を進める経済的インセンティブがないと、画一的な制度から脱却できない。ミニマムの部分については、基準で決めていく。しかしプラスアルファの部分、個室化なりをした部分は、差額徴収ということでの負担を求めていく。そして、それを国民が選ぶということによって、取捨選択されていく。そこに無理があれば、そういう施設は生き延びていけないということで、制度というのは成長していくだろうと思う。
 それから、これは質問だが、おむつ代というのが議論されたと思うが、それはこの答申の中で、どのような扱いとなっているのか。

(神田次長)

 おむつ代については、この合同部会でご議論いただき、その時にも申し上げたと思うが、前に老人保健福祉審議会の段階でご議論いただいた時に、おむつ代を施設サービスの中に取り入れるという方向であったことについては、当時の多数意見であったということで認識している。

(多田羅委員)

 多数意見がどうかはわからないと思う。私もどちらかというと、むしろ反対のほうがよいと思っている。

(井形部会長)

 いろいろ議論があり、今日は時間も余りない。今日答申をとりまとめるのは如何なものか。

(水野部会長代理)

 それぞれの委員のおっしゃることはいずれも意味があるので、この答申書はさらに検討して、せっかく座長がつくられたのに悪いけれども、もう少し直さなければいけないところがあるように私は思う。
 また、下村委員が指摘された内容は私も非常に関心があるが、これはこの部会のマターではない。次回にでも保険局長に来てもらい、下村委員の意見に対して答えてもらうというようなことをやる方が、うまくいくのではないか。
 さらに、差額徴収の問題であるが、個室化と差額徴収は、本当は別の話なのだが、それが一緒になっているというところに混乱の原因がある。国民の側から言えば、個室化は差額徴収だというふうに受け取ると思うので、答申書では分かち書きしか手はないのではないか。そういうことがあるので、次回にまとめるということにしてはどうか。ただし次回は必ずまとめるというコンセンサスでやるということにしないと、いつまでたってもまとまらないのも困る。

(井形部会長)

 今日、いろいろな議論をして、審議会の意見を反映させるのであるから、皆さんからこういう細かいことについてご意見をいただくことは非常に結構。ただそれは、その方のご意見が全体にサポートされるかどうかという問題がある。それから、発言されたものを全部取り込むことはなかなか難しい。それは理解いただかねばならない。しかしながら、この審議会で、せっかく言ったものが全く無視されたのでは、これも審議会の権威にかかわる問題で、できるだけ多くを取り込むが、次回の議論は、答申案が是か非かという議論に寄せて、今日の意見はまた新たに答申案に盛り込んでいく。次回は、いま水野部会長代理から提案があったが、保険局長に来てもらうことでよいか。

(下村委員)

 水野部会長代理がおっしゃったような面があることは確かだが、同時にこの話は、介護保険の運営の前提になってくる。そういう問題が抜きにされて細部だけ詰められていくというところに、今の何ともいえない状況があるということを、私は申し上げておく。
 また、12年には措置費という予算は全部なくなるのか、その辺りもよくわからない。それは、低所得とか個室とかいう話と絡む。従来の特別養護老人ホームも、全く個室がないことはない。処遇上の必要で、低所得の人が個室に入る場合は、おそらく措置費で賄われてきたはずであり、今後は、個室は全部差額で行くんだというのは、ちょっとおかしい。
 療養型病床群の場合も、医療上の必要で個室に入れる場合は、健康保険の給付として、差額徴収を認めていないので、福祉施設であっても、処遇上の必要があって個室に入る場合は、差額徴収はすべきでないという理屈になると思う。その場合には、措置費のようなものが残るのか残らないのか。全部生活保護で行くのかどうか。この種の議論の前提条件として非常に重要な問題点が残っている。
 そういう基本をはっきりさせてもらわないと、議論がはっきりしない。

(中村委員)

 個室料の問題については、特養の場合、国、都道府県の補助金が出ている。しかし、個室料の差額徴収を認めようとしている老人保健施設も、国の補助金があり、都市部あたりでは、かなり都道府県で補助金も出ている。補助金が5割出ているところは個室料を取らない、4割のところはどうかとか、施設整備補助率が高い低いで、取る取らないではそこには整合性がないのではないか。
 今、政令指定都市では、老健施設を進捗させなければならず、老健の施設整備にかなり高率の市単独補助しているわけで、そういうデータを出して頂いたら、皆さんにも理解していただける。

(井形部会長)

 私の立場としては、何としてても今日まとめたいという決意で臨んだが、せめて次回は何とか、意見をなるべく取り入れた形で進めていただかないと、全く決まらない。今日議論していることは、現場には知られていないので、早く決めるべきだ、決めないと計画は立たないという状況がある。したがって、宿題として残す部分は残すということになるかもしれないが、とにかく、答申だけは次回は是非、果たさせていただきたい。意見は十分尊重すべきだが、それと、大局を決めるということと、両方を視野に置いて、次回はご発言いただきたい。できるだけ多くの意見を加味した形で答申まで持って行きたいということで理解いただきたい。

(見坊委員)

 部会長がおっしゃることはよくわかっている。だから、議論のあるところは、できるだけ答申では避けてもらいたいということは当初から申し上げている。
 経営上問題のあるところ、あるいは行政としてこうやりたいということでも、議論があるならば、これは、5年間の見直し期間があるのだから、そちらのほうに譲るような形にまとめていただきたい。個室の問題は補助金だけの問題ではない。社会福祉法人に対する税制上の優遇、寄付、助成など、いろいろなことが絡んでいる。
 それを整理した上で検討してほしい、と繰り返し申し上げておく。

(井形部会長)

 ありがとうございました。皆さんには、是非、この審議会の委員としての責務を果たすという観点から協力いただきたい。
 それでは、成年後見制度について、法務省から来てもらっているので、説明をお願いする。


○ 資料「民法の一部を改正する法律案等の概要」について、法務省民事局小林参 事官より説明。

○ 資料「成年後見制度に係る市町村長の申立権について」について、山崎老人福 祉計画課長より説明。

(野中委員)

 市町村長にこういう権限が与えられることは、それなりに意義があると思うが、万一、施設や家庭において、お年寄りが亡くなった場合、相続人等がない場合は、その資産は全部国庫に帰属するというのは、面倒を見ている市町村長からすれば、実に不合理な制度になっている。
 こういう法律改正が行われるなら、そういうこともきちっと見直して、こんな権限だけを与えるのではなく、そういうものも市町村に併せて交付するような制度に改められることを、特にこの機会に要望しておきたい。

(小林参事官)

 承る。ただ、現在でも、公正証書遺言だけでなく、遺言一般によって、相続人がない場合に、それを、市町村も含めて、遺贈することができるということは変わりないので、遺言制度を活用していただくというのもひとつの方法かとは思う。

(野中委員)

 お年寄りは死ぬ寸前までは、自分のものとして保持したいのが念願。だから、本当は、事前にそのような遺言というものはほとんどできない。そんなことをすると、また人権侵害であるとか、いろいろな問題が発生する。だから、国庫に帰属するのではなく、その市町村に帰属するということを明確にすべきだ。私たちは現場の中で、そういうものを痛切に感じているということは申し上げておきたい。

(井形部会長)

 例えば借金とか、未納金がたくさんあるとか、そういうものについての責任は後見人が負うのか。

(小林参事官)

 後見人が直接負うわけではない。もし亡くなった時はどうなのかというと、債権債務は清算されることになる。清算されて、プラスの財産があれば、先ほどあったように、相続人がいなければ、そして、遺言によってその財産の遺贈を受ける方がいなければ、国庫に帰属するということである。

(井形部会長)

 これは介護保険と密接に関係している項目だろうと思う。別のところでいろいろ決められてくるが、是非、こういうことも念頭に置いていただきたい。
 再度申し上げるが、次回は必ず答申を出さないと年度内に省令が決まらない。それは、この審議会の責任にもなると思う。
 次回は3月15日、14時から特別第一会議室で開催する。
 それでは、本日は、これをもって終了する。


問い合わせ先 厚生省老人保健福祉局企画課
 電 話 (直) 03-3591-0954
厚生省老人保健福祉局介護保険制度施行準備室
 電 話 (直) 03-3595-2890


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