99/02/17 第3回臍帯血バンク事業運営専門部会        第3回臍帯血バンク事業運営専門部会        日時  平成11年2月17日(水)            10:00〜12:15        場所  法曹会館2階「高砂の間」 出席者 (○:座長 敬称略)  有田 美智世 ○鎌田 薫   河北 博文  小池 麒一郎 児玉 安司  迫田 朋子   高橋 美智  中林 正雄  平林 勝政  古市 圭治  正岡 徹    陽田 秀夫   1.開 会 2.議 題   (1)「事業運営ガイドライン」(案)の策定について      (2)臍帯血バンクの事業の状況について      (3)その他 〇事務局  定刻になりましたので、ただ今より第3回臍帯血バンク事業運営専門部会を開催しま す。最初に委員の出欠状況です。月本委員、長谷川委員が都合により欠席とのご連絡を いただいております。また有田委員につきましては、交通事情によりまして遅れるいう 連絡がありましたことを申し添えます。  では会議に入る前に資料等の確認をさせていただきたいと思います。最初に第3回臍 帯血バンク事業運営専門部会議事次第でございます。その後が委員の名簿、その後が座 席表です。次は第3回臍帯血バンク事業運営専門部会資料一覧です。  資料1  「臍帯血バンク事業運営ガイドライン」(案)の検討課題  資料2  「臍帯血バンク事業運営ガイドライン」(案)  参考資料1 臍帯血の年間収集見込み数について  参考資料2 第2回臍帯血バンク共同事業技術専門部会の検討状況について  参考資料3 臍帯血賠償責任保険について  参考資料4 提供児の6か月フォローアップ健康調査について  以上でございます。お揃いでございましょうか、不備等がございましたら事務局にお 知らせ願いたいと思います。では鎌田部会長よろしくお願いします。 〇鎌田部会長  議題に入りたいと思います。議題1は「臍帯血バンク事業運営ガイドライン」の項目 (案)についてでございます。前回、本専門部会でご検討いただきました臍帯血バンク 事業運営ガイドラインにつきまして、前回のヒアリング結果等を踏まえ、事務局で案で まとめていただいております。ご検討いただくべき内容も沢山あると思います。  また前回のこの部会におきまして、共同技術専門部会で検討していただきたい事項と いうことをご指摘いただきましたが、その検討結果についてもとりまとめていただいて おりますので、それぞれ事務局から関連資料のご説明をいただきたいと思います。よろ しくお願いします。 〇山本補佐  お手元の資料1と資料2を、並べてみていただくと分かりやすいのではないかと存じ ます。資料2の方が「臍帯血バンク事業運営ガイドライン(案)」ということでとりま とめさせていただきました。  1は基本方針でございます。基本方針のところに係わる課題として、資料1に書きま した。*1)とか*2)がありますが、実はヒアリングをふまえまして何点かご意見が ございました。  日本赤十字社の方の臍帯血バンクの方からは、基本的に臍帯血バンクが安定的に運営 されるために、安定的な財政システムを構築していただきたいというご議論がありまし た。このご意見は、神奈川臍帯血バンクの方からも、もうちょっと強く国及び都道府県 の資金の支援についても明記すべきというご意見がございました。  このご意見*2)ですが、実は神奈川のバンクさんの方からは、臍帯血バンクは日本 赤十字社の血液センターが中心に行うべきであるとか、近畿の臍帯血バンクさんから は、地域の臍帯血バンクによる共同事業ではなく、一つの財団が担うべきであるという 議論が出ておりましたが、これらは中間まとめの議論で、相当議論をした上での結論で すので、資料2の方のガイドラインの方には、本ガイドラインは臍帯血移植検討会中間 まとめ、7月にまとめられたものに沿って、地域における臍帯血バンク事業に関する共 同事業が円滑に実施されるように、留意すべき点についてまとめたものである、という ふうにさせていただきました。  この中間まとめの中に、国の支援、国民の協力等も書いておりますので、それはその まま生かせていただきました。  次がガイドラインの2.臍帯血バンクの事業運営上の留意点です。  (1)事業を行う組織としての基本的枠組み。これに関することについては、特段のヒ アリングもございませんでした。(1)は組織です。(2)の財政の*3です。臍帯血バンク 会計は独立して管理されていること。というふうにガイドラインに書いてあることに対 しまして、臍帯血バンクの職員の業務の一部を、病院業務と兼務をさぜるを得ないの で、人件費については、臍帯血バンクの病院会計等を明確に区別することは難しいとい うご意見が、東海大学の臍帯血バンクさんから出ました。  また課題の方の資料1の2ページです。近畿の臍帯血バンクさんからは、国庫補助が なければ常勤職員を置くことが難しいので、その国庫補助が前提でないとということが ございました。  ◎は実はご検討いただくべき課題なのですが、常勤職員というものが、例えば病院の 業務等、他の業務を併任していいのか、それとも臍帯血バンクに専任する必要があるの かどうかということをご議論いただかないとならないと考えております。  ガイドラインの(3)です。事務(事務局)体制のところです。ここでも常勤職員を置く ことというのがあります。かなり人の話とお金の話がダブっておりますが、ここでも同 じ話で、常勤職員はバンク事業に専任すべきかどうかというご意見がバンクさんから出 ておりました。  *5です。バンク専用の事務スペースを有することということにつきましては、近畿 の臍帯血バンクさんからは、専用の事務スペースの確保は困難であるというご意見をい ただきました。(4)の非営利性については特段のご意見がございませんでした。  (2)事業実施状況です。  (1)の供給実績の後の(2)の収集見込みです。これは実はこの中でも年間の臍帯血の収 集を、年間で何検体以上見込めることということで、数字を明記すべきであるというご 意見が委員からも出されておりましたが、各バンクからヒアリングした結果、それを参 考資料の1に、臍帯血の年間収集見込み数を、各バンク毎にまとめさせていただきまし た。  北海道バンクさんは400 は可能です。ただどこのバンクも財政援助は必要であるとい うご意見がありました。最も多いのは東京臍帯血バンクさんの3,000 迄は可能で、財政 援助があればいくらでも可能である、というご意見から、200 くらいが限度かなという ところが中央血液センター、神奈川、静岡とございます。かなりバラエティーにとんで おります。この時点で、事業運営ガイドラインの中で収集見込みの基準を定めるのか、 定める場合にはどのくらいにすべきか。これが今日ご検討いただかないといけない課題 です。  事務局が以前400 という数字を出しましたのは、5年間で2万検体を集めて、例えば 10バンクくらいで集めれば、一つのバンクでは平均年間で400 くらいを集めれば達する という考え方から出てきております。そういう状況でございます。  ただこの意見の中にも、当初は沢山集めることよりも、まずは質の高いものをきちん と集めるべきだということ、厚生科学研究班の中で、各バンクを視察してくださった研 究成果のご発表もあって、そういう目でみれば、必ずしもバンクの安全基準を十分に満 たしてないので、風呂敷というか、広く言うよりも、まず堅実に良いものを集めていく 方がいいのではないかというご意見もございました。  実はこの収集見込みの次に、(3)の情報管理のところです。ガイドラインの*7になり ます。臍帯血に関する、あるいは造血幹細胞全体に関する、地域住民、医療関係者、患 者等からの問い合わせに対して、対応できる体制が整備していることということで、相 談の対応についてということがございましたが、実はこれは後ほど技術専門部会の方の 検討、前回の資料では技術専門部会の方で、誰がどういう相談に応じるのかという検討 していただいて、その結果を踏まえてということがございましたので、後ほど技術専門 部会の検討状況をご説明したいと思いますが、相談に関しましては基本的には各臍帯血 バンクが応じるということにして、日本赤十字社に置くとされている協議会事務局につ いては、こういう相談事業は行わないということでございます。  ただ協議会の事務局が今後具体化していく中で、例えば行わないといいましても、臍 帯血バンクの共同事業はどうなっていますか、という問い合わせに対する説明とか、ど こに連絡したらいいのですかというときに、地域の臍帯血バンクの所在地や連絡先に対 して、ご紹介するということはしていかないといけないのかどうか、これを検討すべき ということでございます。  ガイドラインの効率性の重視(4)でございます。効率性を追求し、費用対効果の高い組 織であること。抽象的な理念をのべておりますが、これに対して北海道の臍帯血バンク さんからは効率性を重視し、費用対効果の高い組織とは具体的にどういうことをイメー ジしていったらいいのかというご質問か出ております。 (7)その他で地域への臍帯血移植に関する啓発普及を行っていること。というガイドラ インに対しましても、同じく北海道臍帯血バンクさんの方から、具体的にはどういう活 動を意味しているのかというようなご質問が出ております。  また、民間損害保険への加入です。ガイドラインでは民間損害保険への加入と損害賠 償能力があることと書きましたが、これにつきまして、移植に用いる臍帯血について は、移植医が各種検査について再度行い安全性を確認するので、臍帯血移植に関する一 切の責任は移植医が負うべきではないか、これは東海臍帯血バンクさんのご意見です。 また民間損害保険への加入は、財政的に国庫補助がないとできないというご意見もござ いました。  損害賠償保険の具体的な内容が不明なので、興味があるので教えてほしいという北海 道バンクさんのご意見もございました。日本赤十字社の中央血液センターさんからは、 損害保険には加入してないので,今の時点では損害賠償能力はないというのがございま した。この損害賠償保険につきましては、せんだっての会議で、今日も参考資料3につ けておりますが、一部民間損保会社がモデル的に作りました臍帯血の損害賠償責任保険 というモデルを、また同じものを付けさせていただいております。臍帯血バンクが損害 賠償責任を負わないで、移植医もしくは移植医療機関に転嫁するシステムとして、臍帯 血バンクには損害賠償能力をガイドライン上も求めないとするのか、もしくは、ガイド ライン上民間損害保険への加入などによって、バンクも損害賠償能力を持つべきだと考 えるのか。この点が本日ご検討いただく課題でございます。  次にガイドライン3ページの(3)です。安全性・技術力・有効性というところです。  (1)のガイドラインの採取の中で、ガイドライン4ページになりますが、採取施設の選 定にあたっては、年間100 検体以上の採取が見込める施設であって、かつ6か月後に行 う児に対する健康調査の必要性にについて十分母親に説明し、理解が得られた母親から 臍帯血の提供を得ている施設を選定すること、ということでございましたが、福岡県の 臍帯血バンクさんの方から、年間の採取件数を100 以上とすると、現在お願いしている 採取施設の中には100 は難しいという施設が出てくるというご意見が出ておりました。  同じ採取のところでございます。児に関する健康調査の結果の把握率が、概ね何%以 上と示すのかどうかということでございましたが、これにつきましては、委員の先生方 からもご質問がありました。各バンクさんから今の健康調査の把握率というのを出して いただきました。参考資料4です。一番最後の一枚紙です。提供児の6か月フォローア ップ健康調査についてということです。北海道臍帯血バンクさんの90%から、一番低い ところでは静岡東海の70%です。  催促という言葉は適切ではないというご意見をいただきましたが、再調査をやってい るかどうかということについては、やっているところも多々あるようでございます。方 法としては郵送したりお電話したり、ということを行っているようでござます。この調 査の把握率についてガイドラインで明確に示すべきかどうかということでございます。  採取施設と臍帯血バンク間で適切な委託契約が結ばれていること。受託採取施設に対 しても「基準書」に基づく具体的な手順書が作成されるようにとか、「基準書」と同程 度の水準を満たしていることを、臍帯血バンクとしても定期的に確認すべきということ をガイドラインにうたいましたが、東海臍帯血バンクさんからは、採取側の負担に対す る配慮や財政的な裏付けもきちんとしてほしいというご意見が出ております。  分離・保存というところの(2)でございます。ここが実は幾つか課題があると事務局と しても思っております。  一つは分離・保存を行う機関、もしくは物理的な場所が、主体の異なる複数の機関に 分散しているような臍帯血バンクにおいて、一つのバンクとして一体的かつ責任ある運 営を図ることが求められると思いますが、それを具体的にどういうふうに担保するのか というようなことがございます。  神奈川臍帯血バンク、東海臍帯血バンク、近畿臍帯血バンクというのは、例えば近畿 臍帯血バンク等では、兵庫医大、奈良医大とか幾つかの大学が分離保存をやっているの を、一体として近畿臍帯血バンクということでございますが、これの考え方をどうする のかという問題です。  同様の問題としてもう一つは、例えば臍帯血バンクの代表者の属する機関と、分離・ 保存を行う機関が異なる運営体制についてどう考えるのか、これは東京臍帯血バンクさ んのことですが、代表が献血供給事業団に属していて、分離・保存を東大の医科研でや っているということで、それを一体としてどう考え、またそれの責任をどうしていくの かという問題です。  これは具体的には出てないのですが、今後出てくるであろう問題として、採取・検査 は委託をしてもいいということで、きちんと委託契約についてガイドラインに示してあ るのですが、分離・保存も外部機関に委託するというバンクがあった場合に、そういう 運営体制についてどう考えるのか、もし分離・保存も外部機関に委託してもいいという ことになりますと、ガイドライン上の分離・保存の(2)の項目の中にも、分離・保存を委 託する場合には委託契約を結ばれていることとか、委託する場合にはその手順書がある こととか、云々の条項を書き加えないといけないだろうと思います。ただ、臍帯血バン クの根幹に近い分離・保存の部分も外に委託するということについて、どう考えるのか ということを今日ご議論いただかないといけないかなと思っております。  (3)の検査です。(4)の提供の決定については、特段のご意見がございませんでした。  (5)の搬送というところでございます。適切な搬送あるいは搬送支援体制が整備されて いること、とガイドラインに書きましたが、これにつきましては、実は技術専門部会の 方で臍帯血の液体窒素の空路による搬送について、いろいろ問題があるので、これにつ いては事務局も含めて今後つめるべきであるというご議論をいただきました。  わかりづらいので恐縮ですが、臍帯血バンクガイドライン(案)の検討課題という資 料1の方で、冒頭で申し上げるべきでしたが、〇がご意見ということで、意見をいただ いて、なるべくそれはガイドラインに反映させるべく事務局の方で加筆修正をさせてい ただきました。◎になっているところは検討課題で、この場で幾つかの方針を決めてい ただかないとならない点であるかなと存じます。  本日ご用意しました資料として後一つです。参考資料2というのがございます。これ は今日のご議論のご参考になるかと思いまして、臍帯血バンクの共同事業技術専門部会 での検討状況につきまして、こちらでの意見をまたあちらの部会の方に伝えましていた だいたものでございます。  1点目は、前回のときに、臍帯血の情報の共有管理システムについて、一次検索用の 情報にアクセスできるものということで、誰がアクセスできるのかというふうになりま したが、技術専門部会の答えとしては、協議会に参加している各臍帯血バンクと登録移 植医療機関と、協議会が認めた患者団体とか相談窓口ということです。一般国民に広く 公開することは基本的に行わない。理由としてはハッカー対策であるとか、この情報自 身か主治医との相談の上で見ていく、もしくは相談者と共に見るべきであろうというこ とで、広く国民にオープンにはしないということでございます。  ただ、登録移植医療機関以外の主治医で、例えば血液の専門医ですとか認定医とか、 その他具体的な条件については、今後検討した上で、移植医以外の患者を見ている主治 医もアクセスできるようにしたらどうかという意見でございました。  前回出ておりました協議会事務局が具体的にアクセスするのかどうかについては、事 務局の役割を明確にした上で、それを整理するということでございます。  アクセスすると相談業務が混乱しておりましたので、先程もご説明しましたように、 医療機関や患者からの相談につきましては、技術専門部会の考え方としては、基本的に 各臍帯血バンクが応じるということで、日赤が日本赤十字社にあります協議会事務局に ついては、医療機関、患者からの検索に対する情報提供については行わない。実際、体 制的にも困難であるという意見でございました。  一人の患者及び主治医が使用のためにキープできる臍帯血については、幾つかという ことでは一つにしようということです。生着不全の場合に備えた予備の臍帯血確保は行 わない、生着不全がおきた時点で、もう一度中からベストなものを見つけるというシス テムにしようといことでございました。  1つの臍帯血に対して2人以上の主治医から要望が寄せられた場合に、何か病状とか 緊急性なりを配慮して優先順位を決めるべきかという意見もございましたが、技術専門 部会としては、事実上それは難しいということで、先着順という結論でございました。  2.採取・分離・検査・保存・搬送方法の標準化をはじめとする安全対策についてで す。共同事業で行う査察については、この事業運営ガイドラインの設定を待って査察項 目を設定したいということで、詳細は今後検討することになっております。  もう一つです。先程も言及しましたが、空路による搬送につきましてはX線照射をし ないようにとか、液体窒素を詰めるようにとかの幾つかの課題がありますので、これは 事務局も併せて検討していくことになっております。  3.適応・治療成績の評価につきましてです。実際の適応につきましては、今の基準 書に書かれている範囲で、疾患群として限定されている範囲であって、更に詳細な疾患 名まで具体的に羅列する、リストアップするということは行わなくてもいいのではない かということになりました。  4.移植医療機関の登録及び移植情報の公開です。移植医療機関が最低限公開すべき 情報については、ちゃんと明確にすべきであるというご意見をいただきました。これは そうすべきであるということで、これを設定して、その内容を今後検討するということ で、次回までにたたき台を作るということになっております。  5.その他です。共同事業以前に保存されていた臍帯血はどうするのかということで す。移植のために、研究のためではなく移植のために既に保存されているものについて は、HLAデータを公開し、検索の対象とするが、共同事業発足以前のものであるとい うことを明示して提供していくということになりました。  移植のために一端病院にシッピングしたとき、それで使わなかった臍帯血について は、共同事業では用いない。またバンクに戻してまた保存するということはしないとい うことになりました。  検体の保存です。将来における移植の評価・研究に資するために、移植に用いられた 臍帯血及びレシピエントの血液の保存、ということを行うべきであるという意見が技術 の中では出ました。これは技術指針の中には保存規定がないのですが、この意見が出て おりました。  今後の課題として、これは技術部会というよりは全体会議で議論しないといけないこ とかも知れないのですが、臍帯血の価格については統一化すべきではないか、今は各バ ンクが様々でございますので、そういう意見も出ております。  技術専門部会は今後も引き続き検討を行う予定でございますので、現時点での中間的 な状況ということでございます。以上でございます。 〇鎌田部会長  ありがとうございました。本日は資料1に掲げられました検討課題についてのご検討 が中心になりますが、その前に、ただ今のご説明に関して、ご質問があればご質問を受 けて、その後に議論ということにしたいと思います。ご質問がありましたらお願いしま す。 〇正岡委員  一つの臍帯血に二人以上というのは、これは有田さんが来てから発言したいので5分 くらい許してほしいと思います。臍帯血の年間収集見込みについてというこの表を見る と、非常に地域的という言葉が沢山出てくるのですが、偏りが大きい。特に東北・北 陸・山陰・中四国にない、関東には5つもある。その点で非常に配置に偏りがみられる のですが、これは将来的には1地域1バンクという方向で進めていくべきではないかと 思います。 〇陽田委員  質問です。参考資料2の技術専門部会の方で検討されている内容です。1.の→のと ころに、協議会のみとめる専門医などに限って認める。ということですが、これは具体 的な条件については今後の検討課題となってますが、移植の医療機関も登録制にしまし たが、このような認めるという管理統制型の表現ではなく、申し出をいただいて、登録 をいただいた方には検索できるようにするといったような表現にしていただかないと、 この臍帯血バンクの検討会での一貫した考え方として、管理統制型ではない形にしたい ということで、ずーと議論が進んできたと思いますので、その辺をよろしくお願いした いと思います。 〇山本補佐  事務局の日本語が不味かったと思います。ここで出ましたのは、移植医療機関だけで いいのではないかという議論があった一方で、北海道の方から出されたのですが、北海 道で移植医療機関というのは札幌と一部の地域に限られる。よその地域で患者さんを見 ているドクターなどは、患者さんをわざわざ札幌まで送らないとこれができないという のは困るという議論であったのです。その時の議論では、だが医者なら誰でもいいとい うのではなく、例えば学会認定の血液専門医とか、白血病治療なんとか医というような 何らかのレギュレーションがいるので、一般の医師免許を持っていれば誰でもいいとい う発想ではないという意見が技術専門部会では出ておりました。 〇陽田委員  でも現実には、血液の患者さんを血液の専門医が診ているとは限りません。田舎の方 ではね。その地域に血液の専門医がいない地域が沢山あるのです。そういう地域では、 主治医が検索できないのですか。そういうことになってしまいます。 〇山本補佐  陽田委員からのご意見は技術専門部会にそのままお伝えしたいと思います。 〇河北委員  大変に不勉強でこういう質問がいいのかどうかわからないのですが、臍帯血バンク事 業そのものは、これは国がすべき事業というふうに、我々はこの部会では認識をしてい いのでしょうか。国がすべき事業なのか、それとも全く民間に投げてしまうのか、それ ともその中間的なものなのか。基本的な位置づけを教えていただきたいと思います。 〇山本補佐  実はこの臍帯血バンクのあり方につきましては、この委員会の親委員会というか、臍 帯血移植検討会の中で議論した上で、7月に中間まとめが出ております。その考え方 は、設立主体は異なるのですが、地域で育ったバンクの活動を支援しつつ、共同事業で やるべきことを共同事業でやっていく。それに対して国が支援し、当面5年間で2万検 体を集めていこうということです。未来永劫どうするのかというのは別にして、当面は バンクの主体はそれぞれ異なる主体であって、それがネットワークを組んでやってい く。それに対して国も必要な支援をするという形でなってます。 〇河北委員  国は支援ということが国の事業であるという認識をしていいわけですね。 〇朝浦室長  支援の形として、具体的には来年度の予算で4億円程度の推進経費を計上しておりま すので、それを一つの支援の形としてもっているということです。 〇河北委員  支援ですから、今いろいろな意味で規制緩和をしていかないといけないという時代 に、例えば参入資格に関しては、これもいろいろな議論があったと思いますが、将来的 には自由に認めていくようなことを含めて、それを支援すればいいわけですね。 〇山本補佐  この共同事業自身に参画する人達に求められる運営形態ですとか、安全基準というも のを、勿論クリアした上で、参入制限はないということでございます。 〇鎌田部会長  今のご質問との関連でいきますと、今作ろうとしている事業運営ガイドラインという のは、当面4月1日から補助金がつく、これの関連で既存の地域バンクの中でどこが共 同事業に参加する資格をもっているか、ということの一般的認定基準であると同時に、 将来的には将来新規に共同事業に参入しようとする個別バンクにつての認定基準として も、これは働くと理解してもよろしいですか。 〇朝浦室長  一般的に臍帯血バンクをやりたいというところについては、これは駄目ですというこ とは全くないと思います。ただ今回議論していただいているのは、あくまで共同事業に 参画する臍帯血バンクのガイドラインを決めていただいているので、その意味では今 後、手を挙げたいというところが、もし個別に自主的に共同事業に参画しないで自主的 にやろうというのは別にして、共同事業に参画したいというのであれば、このガイドラ インに沿った運営を行っていただくということになるのだろうと思います。 〇鎌田部会長  わかりました。 〇平林委員  そのことに関連してです。前の大きな方の委員会からも問題になってました、造血幹 細胞移植についての全体的な基本的な構造というか、そのこととの関連の問題であろう と思います。今の私の認識としては、これは取り合えず4月から立ち上げるための非常 にテンタティブな形で行うというものであって、問題の根本的な解決は殆どされないの だという理解で、その限りで議論を詰めていくということなのだろうと思うのです。  したがって、この共同事業とか協議会の位置づけも、非常に曖昧なものになってい て、恐らく責任の主体ということが問題になってきたときに、この共同事業とか協議会 が負うことができないので、取り合えず個々のバンクに責任をもってくれという形でや らざるを得ない、それが本当にあるべき造血幹細胞のバンクのあり方からして、本当に 良いのかどうかは、恐らく別であろうと思うのです。ですからその辺のことを全体の前 提として議論をしておかないと、この形で固定化してしまうことは、問題であろうと思 いますので、その点の確認をさせていただければと思います。 〇山本補佐  中間まとめの中で、将来の運営組織の基本的な考え方は3案併記になっております。  全国で一つの組織体として、骨髄移植も含めた造血幹細胞全体の推進ということか ら、造血幹細胞バンクを作るという意見。全国の一つの組織体にはするが、骨髄移植と は別にするという意見。3番目の意見は、今の形態の継続ということです。全国で数カ 所の別組織のバンクがそれぞれ主体が異なっていて、それの連絡調整を行う形で運営す べきである。その3案を全く併記しており、今後の検討であろうと思います。 〇鎌田部会長  わかりました。その点は今後、親委員会の方で継続して審議をしていかないといけな いと思います。逆にいえば、数年の当面の体制の中で、4月1日に認定されなければ未 来永劫駄目というのではなく、そこは少し柔軟であるという理解でよろしいですね。ご 質問もまだあるかも知れませんが、逐次この検討課題の番号にしたがってご議論をして いきたいと思います。勿論、ここに検討課題として上がってないが、これは重要である という論点がありましたらご発言いただければと思います。  まず最初に、検討課題の1)です。これは基本方針に係わることです。これは事務局 側からのコメントが→でついているわけですが、事務局からの補足あるいは委員の皆さ んからのご意見がありましたらお願いします。 〇河北委員  たびたび不勉強で大変に恐縮です。もし将来的に参入というものが出そうであって、 これは事業そのものが国の事業ではなく、国は支援をするということに徹するのであれ ば、参入が自由であれば、私は国庫補助はいらない基本的にはね。ただ育てる意味で、 支援をしていくのであれば国庫補助はいりますが、参入が自由であれば、自分がやりた いのであるから国庫補助はいらないというのが基本ではないかと思います。 〇山本補佐  これは親委員会で相当に議論があったのです。今先生がおっしゃった通り、臍帯血バ ンクが自分の力で健全に運営していくために、例えば臍帯血に対して保険適応をすべき であるとかという議論がございました。ただ、まだ今の時点ではなかなかそこまでは行 きませんので、事実上、この臍帯血を取って保存するための検査料とかというものが、 殆どバンクの手出し状態でございますので、今の時点でこの事業の重要性を鑑み、行政 として補助をする形で支援をしていくという考え方でございます。 〇陽田委員  考え方をちょっと整理したいのです。骨髄バンクも臍帯血バンクも法律に基づいた事 業ではないのですね。ですから基本的には参入は自由であると思うのです。ですから例 えば骨髄バンクもどこかでこれからやるということがあれば、これは止められないであ ろうと思うのです。行政指導はできるかも知れませんがね。骨髄移植推進財団という公 益法人を国が認可をして事業を担わせていて、支援として国庫補助金を出しているとい うスタイルですね。ですからこれは恐らく、この臍帯血も同じなんだろうと思うので す。その枠組みについてね。  だから参入は自由だが、現実にこのアンケートというか、前回のものを見ても、皆さ んはお金が問題なんです。財政的に問題なので、現実的には国の支援なしにはできない というのが読み取れると思うのです。ですから簡単な新規参入というのは財政的な面で かなり難しいのではないかと思うのです。  理想を言えば、今おっしゃった通りに、国の補助金なしにNPOとかNGOでこうい う事業がなされるのが理想であると思うのですが、今の日本では残念ながらそういう組 織はないということではないかと思います。 〇正岡委員  アメリカは完全に臍帯血一つで幾らと値段を付けてますね。聞きますと160 万円くら いだそうです。骨髄の場合が260 万円くらいだそうです。ですからそのように保険点数 がついてしまうと、一般参入ということもあり得るが、しかし事実上は殆ど無理、いま の輸血とかも考えてみても、非常に他の組織がその仕事をやるというのは非常に難しい と思います。ただし、このようなところで運営費とかそのようなものを助成するという ことになりますと、それはそういう予算は増えていくことはないですね。段々減ってい く。すると保険点数か決まってないと、段々臍帯血バンク事業が痩せていくということ になると思います。  その辺を十分に考えて、将来的によい保険点数、あるいは産科の病院の採取費用とい うのが、この前加藤君がいっていた1万円というのは非常に安すぎる、いろいろなこと を計算してない金額であったと思うのですが、その辺をよく考えて、将来的に痩せてい かないような財政的なバックアップ基盤を作っておいてほしいと思います。 〇鎌田部会長  参考までに、現実味があるかどうかわかりませんが、今後、いろいろな動機づけで新 規参入してくると思うのですが、例えば臍帯血一本幾らという非常に高額な値段を付け て、商売してこれをやることに制度として制約はありますか。ないですね。輸血の方は 制度的にできないとなっておりますが、これはその意味では利潤追求でやることを禁じ るものは今のところはないということですね。 〇中林委員  私も臍帯血を供給する立場として、そういうものができては困る。これを何らかの形 で先生方がおっしゃったような実際にはできない。しかし質は悪いがどんどん提供しよ うというような利益追求型のものができてくると、それに対応するような病院もあるか も知れない。そういうものに関してもお考えくださいということは、いつか申し上げて いるので、今後親委員会を含めてご検討いただきたいと思います。 〇河北委員  私は医療の中に営利事業体が病院経営に参加をするというのは賛成の立場です。質が 悪いが商売としてどんどん提供するということは、民間が参入してきても、そういうこ とは私はないと思います。民間の力というのは、どんどん事業を拡大しようとすれば、 当然に質は高まると考えます。だからもし将来的に日本の医療でこういうことを営利で やっていっても質は高まる、質が低くなるということは考えなくてもいいだろうと思い ます。  ただし、立ち上げの時期に、国がどう支援するのかというのは非常に大切であると思 っております。 〇鎌田部会長  基本的にはこの共同事業に参画しなくても事業はできる。むしろこの共同事業で国が 一番関与していく、あるいは共同事業に参画する主体について国が、一定のある種の基 準を設けているのは、補助金対象事業としてどういうものが適正であるのかという、専 らその観点であって、臍帯血バンク的な仕事は、この枠に入らないとできないというの とは、ちょっと違うところでこのガイドラインを作ろうとしているのだろうと思ってい ます。  これは基本的な部分に関わりますので、また別の項目に関連して戻ることがあるかも 知れませんが、2)の検討課題にいきます。これもかなり密接に関連します。今の議論 と相当に重複しますが、何かご意見がございますか。 〇正岡委員  先程、配置をいいました。赤十字血液センターというのは基幹センターというのが各 地区にありますね。それらのところに一つずつ公共性の判定委員会とかバンクの組織を 作って、他の実際に手足となって動いているところは、コンピューターでちゃんと繋い で、それに属するという、先程はそれが問題であると言われてましたが、そのような恰 好になっているのが現実的ではないか。  例えば関東の5つを、5つの臍帯血バンクとして認めるのかというと、これは供給と いうのを決めるのは一つにまとめるべきではないかと思ってます。するとそういうとこ ろを差し当たって当面の助成対象にする。  日赤の基幹センターのあるところには、手を上げてこられたところには、できるだけ それも中身に入れていくという配慮が必要ではないかと思っております。 〇鎌田部会長  この点は、一つは、補助金の効率化の関係で、あまり主体は増えない方がいいという ご議論もありました。親委員会でも議論になったところです。わりあいと配送は簡単な ので、首都圏に全部固まっていても、別に構わないではないかというご議論もあったり するところです。 〇迫田委員  この議論をもうちょっと前提のところで伺っておきたいのです。これは勿論、すでに あるバンクを、ある程度意識して議論しないといけないというのはわかるのです。しか も4月1日ということで、かなり迫っているということもわかりますが、私が思ってい たのは、今はとにかく患者側というか、あってほしい臍帯血バンクをガイドラインとし てあげるというところで、すでにあるバンクの意見を聞きながらやるのは大事であると 思いますが、今すでにこうであるから、ここのガイドラインをこうしようということを 逆にならないようにしたいと思うのです。今は既にあるところのことは、あまり考慮せ ずに進めていただきたいと思いますがいかがでしょうか。 〇鎌田部会長  将来的な配置の問題等に関しては、恐らくこのガイドライン自体でそう縛りをかける ような内容になってないと思います。全体の戦略的な部分は、親委員会の方でご議論い ただくということで引き取らせていただいてよろしいでしょうか。 〇小池委員  この臍帯血バンクが各所でできているということは、現実に言えば9つの未熟児がN ICUに収容されているという現状にあると思います。酸素も必要ですし保育も必要で すしカロリーも必要である。しかしこの中で今後数年の間に、どう生き残れるのか、ど の子が生き残ってちゃんと成長するのか、というところに問題点があるだろうと思いま す。  またそういう場合に、今ある子供を全部、これは駄目だとかの排除の論理でセレクト できるのかというのが、親委員会でも大分問題でございます。本当の問題は、移植医の 専門領域というのが最も評価されるものであって、バンク自体はそれに適応した臍帯血 を供給するだけの機関であるという認識に立っていただければ、わりと平静な気持ちで ご討議が進められるのではないかと思います。 〇鎌田部会長  ありがとうございました。では引き続きまして3)4)です。これは逆に実務的な問 題になってまいります。事業を行う組織の財政問題あるいは事務体制の問題についてで す。3)4)5)を一括にしてご議論の対象にしていただければと思います。 〇河北委員  こういうことは各バンクが勝手に考えればいいことであって、国が指導するようなこ とではないのではないかと思います。ですから国が支援をするあり方だけをきちんと考 えれば、こういうことは全部自分たちの独自性に任せればいい。国の支援というのは、 その施設補助と機能補助があると思うのですが、それを上手くミックスしておいてほし いのです。全てが施設補助であると、非常に硬直化してしまうという気がします。 〇正岡委員  まさにその通りであると思います。実は9つのバンクの中でもし予算を配分されて、 何をしたいのかということを聞かれましたら、恐らくやってほしいことは皆さんは違う と思います。関東などは恐らくコンピューターシステムとか、あるいは運営費とかが必 要でしょうし、もっと未開発のところはハードが欲しいというようなことで、予算の活 用する目的というか、もらったら非常に役に立つ分野はそれぞれ違うと思いますから、 それはむしろ各バンクに希望を聞かれて、それを重点的に助成するという恰好にした方 がいいと思います。  もう一つです、常勤職員が他の仕事を兼務していいのかというのは、言葉が矛盾して いませんか。常勤職員というのは他の仕事を兼務しないのが常勤職員であると思いま す。 〇山本補佐  まず補助のお金のあり方です。つかみで好きにやってくれというふうには、なかなか 国庫補助の場合にはいきません。事実上は前回の資料でも提示しましたが、補助の項目 としては、一つは臍帯血を採った後に必要な検査を行う、HLAの検査とか感染症の検 査を行う、その実費と産婦人科の先生方への採るためのお礼の部分、コンピューターで のデータ管理をする部分でのコンピューターのリース代金、職員に対する人件費補助で す。あとは協議会の支援ということです。  もし、ハードウエアとしてフリーザー等が必要な場合には、4億とは別の枠組みて補 助できるという形です。好きに使ってくれというのにはいかないということです。 〇鎌田部会長  何を欲しいのかというのはバンクで決めていただくということで、ここの場合にも、 職員の問題も出てますが、人件費を補助するには、こういう条件を整えてくれという側 面と同時に、補助金の交付を受ける団体である以上は、この辺はしっかりしていただか ないと補助金の交付対象にはならないのではないか、という観点からの基準の設定だろ うと思います。  常勤と兼任ですが、常勤はパートではないという意味です。業務の兼任は、例えば病 院のある事務職員が、専ら臍帯血バンクのことだけをやる、あるいは臍帯血バンクの仕 事が少ないので午前中は例えばカンウセリングをやっているが、午後は臍帯血バンク事 業に専念するとか、こうなると常勤であるが兼任というふうになるのですね。実態を踏 まえて考えればいいのですが、専任でないといけないというか、どんなに暇でも専任で ないと駄目だというのもどうかという感じはするのですが、何かご意見はありますか。 〇陽田委員  これは臍帯血バンクの独立性というか、他の業務とあまりごちゃごちゃやられては困 るということを言いたかったのだと思うのです。それは非常に大事だと思うのです。あ る程度のところは各施設の判断でやり繰りすればいいのですか、まさにこれは鶏と卵の 議論で、国庫補助の総額は決まっているわけです。これを幾つに分けるかによって、常 勤の職員を置けるとか置けないとか、現実の問題としてはそういう形になってくるだろ うと思います。ですから何か所と決めるわけではなく、あるハードルを決めて、これ以 上の条件を満たせば共同事業に参画できますという議論であれば、最終的に幾つになる か分からない、幾つになるかわからないから、一か所あたり幾らになるかわからない。 そういう鶏と卵の議論なので、これはどう考えたらいいのでしょうか。できたら独立性 を保って、しっかり専任でやってもらいたいという、反面、本当できるかな、という非 常に矛盾した気持ちです。 〇鎌田部会長  専任か併任かというのは、今おっしゃられたようなことですが、逆に今度はバンク事 業の側から見ると、バンク事業に携わっている職員は誰か決まってない、不特定の誰か が常にやってますというのでは困りますね。バンク事業に係わっている職員はこの人で あるということは決まってないと困る。それは仮に他の業務を兼ねていてもやむを得な いという事情はあるかも知れないが、そっちはしっかりしてもらわないといけないと思 います。 〇平林委員  人の問題と同時に陽田さんのお話との関連で申します。業務が混在してなくて、事務 が独立しているということが明確になればそれでいいのだと思います。それを専任でや るか兼任でやるかは、また別の問題である。ただ兼任でやるとしても責任者は決めてお いてくれ。その二つの要件を満たしていれば、それでよろしいのではないかと思いま す。 〇鎌田部会長  わかりました。 〇有田委員  遅くなってすみません。新幹線が遅れました。前後のことがわからずに質問しますの で違ったことをいうかもしれません。  兼任というのは医療機関が中心になってやっているところは兼任ですよね。これはま だシステムがきちんとしてないので、兼任でいかざるを得ないというのが今の状況です よね。ほとんどのバンクの主体は大学ですね。  血液センター関係はどうなっているのかわかりませんが、共同事業への参加がまだ決 まってないので兼任できているというのが今までの状況ですね。これから公的なもので 参加していくということについては、これは専任ということでいったらいけないのでし ょうか。ここで兼任と専任の議論で出ているのはどういうことでしょうか。 〇山本補佐  私が答える立場ではないのかも知れませんが、今の議論として、臍帯血バンクを担当 する人が明確になっているということと、業務が明確に別れているということはあるの ですが、実際にバンクの状況では、病院の職員もしくは事業団の職員、もしくは日赤の 職員がバンク事業もやっていた場合に、バンクの職員に切り離すときに、例えば社会保 障の問題をどうするとか、年金とかいろいろな問題が出てくると思います。ここの書き ぶりをご議論いただきたい。この常勤というものもバンクの常勤職員なのか病院の常勤 職員なのか、事務局の整理も悪かったので、逆にここでご議論いただければと思いま す。 〇有田委員  わかりました。ありがとうございました。 〇鎌田部会長  どっちにしろバンク自体で独立の法人格をもっているところは、今のところはないわ けだから、バンク固有の職員というのは現実味がないので、それは病院の職員でいい、 ただ職務内容がバンク関連のことしかやってはいけないとなるのか、場合によっては他 のことを兼務してもいいのか、現実にはそこの問題ではないかと思います。 〇中林委員  専用のスペースはバンク専用の事務スペースということと、常勤の職員ということで 使い分けているので、普通は今、先生のおっしゃったようなバンク専用の職員というこ とにしてしまうと、非常に限られますが、わざわざ下の方はスペースは専用であるとい うことですのでね。 〇陽田委員  僕は実態がわからないのです。例えば、年間で400 検体を保存するバンクが実際に他 の仕事と兼務でできるのか、仕事のボリュームからいうとね。これは専任でやってもら わないととてもできない業務のボリュームなのか、その辺のところは全然わからないの で、何とも言えないのですがどうでしょうか。 〇正岡委員  業務というのは、凍結・分離とかの業務ですか。事務業務ですか。実際に動く人を考 えると大変な人になりますがね。これは見ていると事務職員のような気はするのです が、すると各病院で専任の職員をおいて雇う、そしてバンクだけの仕事をしろと強制す るのもしんどい気がするのです。 〇有田委員  実際に例えば東京臍帯血バンクは、専任の職員を置いて二人でやっておられますが、 それでも事務量はかなり多くて、対応できかねない状況であると思います。実際に公的 なものとして共同事業ということで動き出したら、事務職員の仕事は膨大な量になって くると思います。正岡先生、お医者さまや科学者の方、確かに保存の方の技術的なもの は、勿論大変ですが、先生方の普段目のいかないようなところも膨大な量になってくる と思います。そういうことも含めてお考えいただけたらと思います。 〇正岡委員  僕は事務職員の専任職員がいらないといっているのではないのです。例えば東京は 3,000 まで可能とありますが、そういうところはいるのでしょう。今は200 のところに 一人の専任職員がいるのかということです。そういうところはもっと兼務とかパートと か、人の名前さえはっきりしておけばいいと思っているのです。 〇有田委員  例えば決められた事務量だけではなく、問い合わせとかいろいろな形のものが入って くると思うのです。動きだしたらなおさら多くなると思うのです。今、世の中にそう広 がってない段階であっても、とても大変です。例えば我々ボランティアの方にも受けき れないような数の電話が入ってまいります。こういうものがバンクの方に移行していく わけですから、それは膨大な量になるとお考えいただいた方がいいのではないかと思い ます。  最初からそういう形で決めていかれた方が、動きだしたときにスムーズにいくのでは ないか。もし動きだして、そうでないなら、そこでまたそれぞれのバンクで考えられた らどうでしょうか。ここは専任というか、事務職員は必要ということでお考えいただけ たらありがたいと思います。 〇迫田委員  確認です。現時点では、さっきの小池先生と陽田さんのお話を伺っていて思ったわけ です。補助金の金額の総額が決まっていると、ハードルを低くすれば一つ当たりのバン クは非常に金額が減り、ハードルが高くなると思ってないといけないということになり ますか。具体的にいうとそういうことになりますか。つまり、額がいま決まっている中 で、ハードルを低くすると、一つのバンクあたりに行き渡るお金は少なくなる、と考え ないといけないのでしょうか。つまり整備とか、スペースとかコンピューターとか人件 費ということに対してバンクにいくお金ですね。 〇山本補佐  人件費は実は単価が決まってます。1バンク当たり一人分の1/2補助と決まってま す。検査体も1検体いくらという形になります。実費になります。コンピューターにつ いては各バンクのコンピューターのリース料です。建物を立てる補助金は今の時点では 考えられておりません。後は箱に対して、箱がある場合にフリーザー等をバンクが必要 な場合に、それについては必ずしも幾らのものを買えということではなく、それは必要 に応じてという補助のしくみになってます。 〇鎌田部会長  そうしたらバンクの数がどんなに多くなって、20あれば20の補助金が必要になるので すが、それには幾らでも対応できますよという状況ですか。 〇朝浦室長  そういうことではなく、今申し上げたのは積算の基礎を申し上げているだけであっ て、どのくらいの数のバンクから手が挙がるのかという状況を見ながら、予算の執行面 で上手くそれぞれのバンクが事業を運営できるように配分をしていくという形になると 思います。ただ基本的にはどのくらいの数を集めるのかということが大きな要素になる ことは間違いないわけです。例えば200 集めるバンクと、400 なり500 集めるバンクを 同じ同額配分するということには恐らくならなくて、計画として多く集めようというと ころはそれなりに配慮をさぜるを得ない。多く集めようというところは、多くコストが かかるわけですから、その意味での配分にあたっての配慮が必要になってくると思いま す。 〇鎌田部会長  有田さんの意見もありますが、当面は、ここのガイドラインには専任でないとはいけ ないとは書いてないわけです。これをあえて専任の常勤職員というふうに書く必要があ るかどうかというのが当面の問題であると思います。実際に専任でないととてもやって いけないというのはわかります。大きくなるとそうなるのだろうと思いますが、これを 現時点での選定基準にするのか。その意味では専任がいないところは、最初からアウト ですというふうにする必要があるのかどうかということで、ご検討いただければと思い ます。 〇正岡委員  専任を置くとしても補助をするのは半人分ですよね。偉そうなことは言えないと思う わけです。誰か人をはっきりしておけば、それでよろしい。仕事の量に応じて、各バン クで仕事量に応じて考えられたらよろしいと思います。 〇有田委員  正岡先生そういう考え方というのは動き出してから凄くしんどい思いをするのです。 〇正岡委員  そうではないですよ、動きだしてから人を減らす方が難しいです。もし暇であれば、 そこで考えることにすると言われましたが、人を増やす方は楽です。減らす方が難しい です。ですから考えるときにははじめに少ないところで考えて、仕事量に応じて増やし ていく方がずーといいです。そのように思います。もし暇で仕事量が半人に足りないと きに、その人を辞めさせられますか。辞めさせられません。 〇有田委員  ちょっと待ってください。少なかったらそのときに考えるというのは言葉のあやで す。私が申し上げたいのは、事務職の仕事の内容を考えてほしいということです。決め られた帳簿をつけるとかだけではなく、患者さんからの問い合わせて、提供したい人か らの問い合わせて、世間のいろいろな人からの問い合わせ、そういうものがここにかか ってくると思うのです。その時に、ちゃんとした受け答えを責任をもってできる状況で あるかどうか、ということを考えてやってほしいと申し上げているのです。私の考えて いる事務職の仕事の量と、正岡先生の考えておられる量は違うと思います。 〇正岡委員  これはあまり長く議論することではないと思いますが、仕事量は各バンクによって非 常に違う、内容も違う、誰が動かすかによって違うと思います。それらを縛る必要はな い。半人分を補助するということですから、各バンクでその半人分を一番有効に使える ような人の配置をしたらよろしいと思います。 〇有田委員  正岡先生にお願いしたいのは、バンクに置かれた人達を、そこの施設の都合のよいよ うな動きに動かされるようなことは考えてほしくないということです。 〇鎌田部会長  その意味では、バンク業務はしっかりしていること、誰がバンクの担当者であるのか ということははっきりしていること、これは動かせない前提であるということです。 〇児玉委員  この先いろいろな個別の点を検討していくと、同じような議論が次から次に出てくる と思います。それは恐らく専任の職員がいて、その専任の職員も何人もいて、フル稼働 してどんどん検体が集まってきて、管理もきちんと行われて、そういうバンクが全国に 沢山出てきて、その上にある協議会の組織がはっきりしていて、財政基盤もはっきりす る。そういう何が望ましいかという話をすれば、恐らくそれほど異論は出てこないのだ ろうと思うのです。  ただ現状で4月1日から補助金を受ける対象として、専任の職員がいない、実際にこ こでバンクの現状を見ると専任の職員がいらっしゃらないところはある。そういうとこ ろは補助金の対象にしませんというのは、いささかどうか。望ましいという話と4月1 日以降ある意味で切り捨てていくという発想とはかなり違うのではないかと思います。  むしろ現状で専任の職員がいないところであれば、そういうところは専任の職員を雇 えるように補助金をあげたい、先程NICUの例えがございましたが、前回いろいろな お話を伺って、むしろ今あるところのいろいろな歴史的経緯というか、いろいろな事情 の中から、職員の方、ボランティアの方、患者団体の方、いろいろな方のご努力で小さ なところほどやっと立ち上がってきたという部分があるので、現状で非常に厳しい線を 引いてしまって、もちろん、専任職員が望ましいだろうし、スペースも望ましい、いろ いろ望ましいのですが、ないから切り捨てるという話はちょっと酷ではないか。  ですから望ましい、努力してほしいという話と、共同事業に入れてやる入れてやらな いというガイドラインの話は峻別して考えないといけないのではないかと思います。 〇有田委員  議論の内容がやっとわかってまいりました。厚生省にお尋ねします。予算というのは 今出ていると思うのですが、補助のお金というのは、これから上積みしていただけると いうことなのか、この中での配分でしょうか。 〇朝浦室長  現在、平成11年の予算案を国会の方で審議していただいておりますが、予算案の中で は臍帯血の推進事業費として約4億円、施設整備費として別枠で他の病院の施設整備費 と併せて数億円の中で使えるような仕組みになっております。したがいまして、予算は ある程度は決まっておりますので、その中で地域のバンクに対して配付をするという形 になろうかと思います。  人件費については積算の基礎として、半日分の人件費を見ているというだけであっ て、それをもって人件費に充てるというだけではなく、それ以外にも人件費に充てる財 源というのは、バンクなりあるいは併任をしている病院なりにも十分にあるわけですか ら、国の補助だけで人件費を賄うという発想ではないのです。つまり、地域バンクが雇 う事務職員について、あるいはいろいろな専門家の職員について、一部補助するという 考え方ですので、そこはきちんとご理解いただきたいと思います。 〇有田委員  わかりました。そういうのは受けるバンクが判断したらいいということになります ね。どれだけの補助金をいただけるから、自分のところではどれだけ調達できるから事 務職員はどうしょうという判断になってくるのですね。 〇朝浦室長  全体として、補助金を申請をする段階で、どういう執行体制になっているのか、どう いう財務体制になっているのかということは、全体として国の方で見させていただい て、それを総合的に判断して、事業費と人件費と併せて配分をするという形になろうか と思います。 〇陽田委員  予算が潤沢にあれば、各地域に沢山作った方がいいと思うのですが、頭の金額が決ま ってますから、今は年間で4,000 という目標ですよね。これを200 検体のところを20個 所作るのか、400 検体のところを10個所作るのか、800 のところを5か所作るのか、そ れで全然経営的な効率というのは違ってきますね。人間の配置も全然違います。  だから地域的なバランスで沢山作ろうということを重視するのか、一つ一つのバンク の経営効率を考えて、同じ税金を使うのだから少しでも効率良く使うと考えるのか、そ の別れ道であると思います。僕は、最初の立ち上げの時点では、あまり沢山のところが 手を挙げて参画してしまうと、どうしても経営効率が悪くなるだろうと思いますのでで きるだけ手を挙げていただくところは、できるだけ基準を満たしたところに絞った方が いいと思っております。 〇鎌田部会長  この辺は、全体のご議論を踏まえて、どういう表現にするのか、あるいはどういう運 営にしていくのかということを、事務局と協議して次回に提出させていただきたいと思 います。  では6)です。これがある意味で一番難しい議論かと思います。収集見込みの基準を このガイドラインの中で数字として明記するかどうか、明記するとしたら幾つという数 にしていくのか、このことについて少しご議論いただきたいと思います。  当初は単純に400 という数字を出していたのですが、参考資料の1ではお金次第でし ょうが、400 というのは難しいというところも現状ではあるという中でどうでしょう か。 〇陽田委員  ここがまさに今僕が申し上げたところです。お金の問題で400 が難しいといっている のであれば、それは問題はないと思うのです。それだけ集めるキャパシティがない、例 えば採取なり保存なりのキャパシティがないというところを沢山認めるべきではないの ではないかと思います。ですからここのところはある程度の最低の採取・保存できるキ ャパシティということです。 〇鎌田部会長  その場合の数としてはいかがでしょうか。 〇陽田委員  前に書いてあった400 が最低のラインであると思います。 〇河北委員  クールによる搬送というのは別のところに書いてありました。クールによって搬送し て、例えばその日のうちにきちんと相手に届くというシステムが確立されていれば、私 も陽田さんが言われたように、国のお金は効果的に効率よく使うべきであると思います から、きちんとしたある数を集められるような制度にすべきであると思っております。  私自身は、今エイズの拠点病院の評価をやっているのですが、殆ど患者さんのいない ところと、物凄く患者さんが多いところと、同じように請求するということになってい て、これは凄く無駄であると思いますので、きちんとした数を集められるところを重点 的にすべきであると思います。 〇有田委員  私も河北先生のご意見に賛成です。沢山のバンクが今動いておりまして、成り立ちか らいくと、心情的にはいろいろありますが、要は患者さんを一人でもいかにして助ける のかということです。国の税金をいかに効率よく使うのかということに限られてくると 思います。きちんとしたクリアできるところを決めていただきたいと思います。 〇鎌田部会長  今出たご議論では、400 くらいの数が一つのめどであるということですね。 〇正岡委員  そうしますと、この前の年間見込み数について見ますと、日本赤十字社中央血液セン ターでは無理、神奈川県の臍帯血バンクは無理、静岡県の臍帯血は無理、可能と書いて ありますが、これも大体無理という数になってしまいます。ですからこれは高すぎる、 これが資格になるのであれば、これは高すぎる、努力目標としてだすのであればよろし いのですが、資格として出すにはきびしすぎると思います。 〇鎌田部会長  前回の収集見込みに関しては、現状でということですから、もう少し細かく踏み込ん で聞かないといけません。400 という実績を要求すると殆ど全部駄目ですが、キャパシ ティ的にそれがあり得るのかという観点でいくと、多少は増えるかなと思います。 〇陽田委員  これは表現の違いだと思います。例えば中央血液センターの現状では200 である。し かし400 とか500 を保存するとなると、条件が1・2・3・4とあって、これを満たせ ば大丈夫であるといっているのです。それは要は金があればできるということです。そ のように読めるのです。皆さんそうだと思います。 〇正岡委員  それはそうです。金があればできるが、その金の補助する内容が、例えばテーブルと 人を半分と、凍らす冷蔵庫と、そのくらいを補助するくらいでこれができるかというこ とになると、これは非常に難しいと思います。目標で、1年目は様子を見る、そのよう な厳重な基準であってはいけないと思います。 〇児玉委員  基本的には正岡先生がおっしゃることに私は賛成です。400 検体以上を見込めること という資格の問題として切ってしまうよりは、年間400 検体収集を達成できることとい うふうに、努力目標にするということでやらないとね。一つは確かにキャパシティの問 題としてスペースの問題とか事務職員の問題があるのですが、物をもってきてくださる 産婦人科医の方とのネットワーク、これは今は200 という段階でやっておられるところ にしても、いろいろな貴重な善意と貴重なネットワークがあるわけです。到底これを切 り捨てるには忍びない。検体者については努力目標ということで私は考えた方がいいの ではないかと思います。 〇有田委員  努力目標というのは、やらなくてもいいということにもなりかねないのですね。国の お金をつぎ込むということは、やってもらわないといけない。心情的には忍びないとい うのは皆同じですが、心情の話をここでしてはいけないのではないかと思います。心情 で患者さんが助かって、心情で血液が集まるのであれば結構ですが、私たちは、そこを きちんといろいろな繋がりとかを捨てて、公的なものにするにはどうするのかという物 事を考えていかないと、心情が入ったら、私にしても神奈川というのは最初からやって ところで忍びないのです。近畿にしても忍びないのです。ただ、受けるところはきちん とそれをクリアするということです。  国のお金は絶対に足りないわけですから、足りないところは自分のところで調達する のだというくらいの意気込みでやってもらわないと、国のお金があるからというので は、話にならないと思います。 〇古市委員  この問題はどんな審議会でもよく起こることです。大体こう解決してます。既にある ところは少し緩い基準でスタートして、400 というのは新規参入は400 という形で大体 納まってます。医療機関でも今患者さんの病床が1ベッドあたり非常に小さいから改善 しようというときに、新しく建てる病院は直ちに厳しい基準で一人8平方メートル以上 です。既存にあるところを改築するのは、経過過程でよろしいということを必ず設けて あるのです。  既にこれだけ努力して頑張ってやられた実績を、今度のカットラインで切るという形 はする必要はないです。これは早く400 にしてもらう。しかし新しく入るところはきつ い基準でスタートしてください。こういう文書は事務局は幾らでも書けます、そうされ たらいかがでしょうか。 〇有田委員  古市先生、いろいろな審議会に出られているので、今までは古市先生がおしゃったと おりかもしれません。しかし、そういう考え方というのが、あやふやなものを作って、 いろいろと問題をおこしてきたのだと思います。ですから、そういういろいろな前例と かというのは、ここでは考えてほしくないと思います。お金がありません。そしてつぎ 込むお金は国のお金ですから、そこは受けるバンクがそれぞれご自分の責任で判断され たらいいと思うのです。クリアできるという意気込み、それでないと、何を甘えている のかと言いたいです。何のために参入するのかということです。もし受けたのであれ ば、それは死にも狂いでやってほしいと思います。 〇鎌田部会長  長期的にみてどのくらいのバンクを残していくのがいいのかということも考慮しない といけないですね。 〇迫田委員  この間のヒアリングで伺った感じで、勿論皆さんは熱意がおありだし、これまでの努 力というものも私どもは伺ったわけですが、伺っていると、それぞれに温度差があっ て、参画はしたいが、参画した後は結構大変でと思っていらして、下りてもいいという か、下りるとははっきりはおっしゃいませんし、いろいろなものがおありであると思い ますが、上手い集約の仕方を、それはここで考えることではないと思いますが、やれば やるほどもしかしたら、そのバンクにとっては、いろいろなものを抱え込んだり、全部 の金額が出るわけではないので、その辺で今までのことに感謝しつつ、上手く統合でき るようなことを、誰が考えるのか分かりませんが、道筋で何か良い知恵がないかなと思 います。  単に事務的にしてしまうということは必要であるという有田さんの意見もよくわかる のだが、その辺の手だてを皆さんが知恵を出していただけるとと思います。 〇陽田委員  僕はこの委員会では、現状のバンクがどうかということは、あまり考えずに、基本的 な考え方をきちんと打ち出すべきだと思います。先程いったように、非効率的でも日本 全国にいろいろなところに沢山作った方がいいという議論なのか、あるいは効率を考え てある程度は偏って作っても、効率的に運営できるようなハードルの高いものしようと することなのか、その辺のところを議論すれば、あとは選ぶときにそれに沿って選んで いただければいいと思います。選ぶのはここで選ぶわけではないですよね。そこをきち んとどっちにいくのかを議論すればいいと思います。 〇児玉委員  必ずしも数を少なくすると効率的であるのかということですね。要するに集中処理か 分散処理か、どっちが効率的かというのは、例えば下水処理でも非常に難しい問題であ ると思います。資金対効果ですね。例えば400 という話ではなく3,000 でいきましょう ということで、3,000 を実際にやれるのは多分一か所だけになってしまう。すると1か 所になるのです。すると集中されて効率的であるのかというのはなかなか難しい問題で あると思います。  それは結局は集めるにしても、いろいろな地域での無駄のように見えても人との繋が りとか、実際に採取される産婦人科医との繋がりとか、産婦人科医の方がいろいろなお 母さんに協力を求める、そのこと自体が立派な啓蒙活動になっている部分もあるので、 その意味で、どうも現状で、必ずしも心情で今あるところを追認するといっているわけ ではなく、はっきり努力目標を明示してやっていくべきだということは思うのですが、 切り捨てることが、むしろ今までの人間の繋がりとか、実績とかという一番大事な資源 の切り捨てになるのではないか、その意味で資源の有効利用ということを考えるとき に、切り捨ては現段階では、必ずしも効率の良い話ではないのではないかと思います。 〇有田委員  切り捨てとは思ってないのです。共同事業に参画できないところも、自分たちのとこ ろでやろうと思えばできるわけです。ここでは国の資金や制度の応援を得て、日本全 体、ひょっとしたら世界にも役に立つようなバンクを日本の国の責任としてどう作って いこうかという話なんですね。ですから今までやってきたところは、それなりに繋がり もあります。でも、臍帯血バンクの特徴は、数は沢山必要ではない、限られているわけ です。それも効率よく供給できる細胞を、どこで調達できるのかという問題も出てくる と思うのです。産科の今までの繋がりといいますが、この産科というのは先になったら どんどん変わっていきます。若い世帯の動きによって、協力していただく産科はどんど ん今でも変わってきています。それで折角協力したのに、ここで切られるのかという考 え方は、産科はどこももっておられない。それまで協力できたことを喜んでおられると いうのが、私たちの知っている限りの状況です。その辺をちょっと切り換えていただけ ませんでしょうか。 〇正岡委員  ですから努力目標にする。2年後とか3年後に評価するというふうにしたらどうでし ょうか。それで大体どちらの意見も満足すると思います。 〇有田委員  私たちがやっているのは、どちらかの意見の満足ではなく、厚生省が決める判断にな る意見をどんどん出して、その参考になる意見を出していくわけですから、私たちが納 得するからどこかで落ちつけようという話ではないと思います。 〇正岡委員  いや、これが一番わかりやすい。私は努力目標で初めはスタートする以外にはないと 思います。それから評価をするのは実際に400 やるという覚悟があればいいわけです。 ここで例えば、これだけ東京の中央でこれだけのことをしてくれたら400 は可能と書い てありますが、そういうのは1年目にはできるはずがないわけです。したがって、努力 目標で400 として何年か後に達成する、それを評価する。そういう恰好が一番現実的な 解決方法であると思います。 〇有田委員  臍帯血はいかに短い時間にどれだけ沢山の血液を集めるのかというのが、患者さんの 命を助けるということにかかっているのです。ですから3年後に見直すということにな れば、なにもしなくてもいいということになりますし、それまで数が少なかったら、そ れだけ患者さんで助からない人が出てくるのです。 〇鎌田部会長  いずれにしろ現状で、例えば東京臍帯血バンクの3,000 まで可能というのですが、現 状で3,000 を集めているわけではないのです。ですから一つはキャパシティがどのくら いであるのか、それをまた充足するためにどいいう条件が必要なのかという、いろいろ なことかありますので、400 というのは一つのめどですが、これも実際の数ではないで すから、基準となる目標値と、現状というものの相関の中で、一つの基準を出していく ということにさぜるを得ないという気がします。 〇陽田委員  これは見込みですから、この表現で努力目標なんですね。別に、何検体以上を見込め ることということですから、これは努力目標で数を入れたとしてもなんの不思議もない のですね。これは実際に出来ないから、次の年に駄目だという話ではないでしょう。だ からこれを努力目標として頑張っていただくという意味では、この表現でいいと思いま す。 〇正岡委員  そういう解釈であればそれでいいです。 〇有田委員  私もそういう解釈であればそれで結構です。 〇鎌田部会長  これも今のご議論全体を踏まえてということにしたいと思います。  7)については先程のご説明でいいと思います。また技術専門部会でも今後検討する ということです。  8)9)のところはいかがでしょうか。効率性の問題とか啓発普及活動は、この表現 では一体何をやるのかわからないというのですが、これ以上に詳しく、あれをやれとか これをやれというのも書きにくいと思うのです。場合によってはガイドラインの表現と しては、こういう形で、あとは運用の中で、あるいはそれぞれのバンクの話し合いの中 で具体的なことを進めていただくということでよろしいければ、その形で処理させてい ただきたいと思います。 〇有田委員  9)です。啓発普及活動のことです。私は今までの経験で二つあると思います。社会 全体にこういうシステムがあって、こういう患者さんの役に立てる、ということを広く 知らせていく方法。もう一つは、協力してくれる産科に対して、そこでお産をされる方 たちに対する普及のやりかた、これは別に考えてあげられた方がいいのではないかと思 います。そして、全国どこでも、提供したいという人の善意を全て骨髄バンクのように 受け入れるわけでもないし、その必要もないシステムですので、個々の協力してくださ る産科に対する啓蒙ということについては、資金の面でも力を入れていただきたいと思 います。 〇鎌田部会長  ありがとうございました。では次の10)の責任の問題です。これは今日は資料を出し ていただいております。これについて何かございますか。 〇正岡委員  臍帯血バンクが損害賠償責任を負わずということは可能なのでしょうか。今は製造責 任法というのがあって、共通するのは絶対にその責任が問われると思うのです。 〇山本補佐  事務局の資料が舌足らずであったと思います。考え方としては、訴える方はバンクを 訴えることができる、それに対してバンクと移植医の契約なりの中で、バンクの責任を 移植医に全部転嫁する、そして移植医が全部被るということをお互いに整理するという ことは可能でしょうが、先生がおっしゃる通りにそれは現実的ではないとすれば、バン ク側に責任を求められることもおきうると考えます。  蛇足ながら、各バンクとしては現状では何かおきたときには、損害賠償能力は財政的 には厳しいというご意見であったかと思います。 〇有田委員  事故の保障の問題です。事故が起きたときに、バンクが責任を取るというのは当たり 前の話です。だからこそ公的ということを私たちは盛んにいってきたわけです。移植医 に責任があるかどうかということについても、事故の内容によって決まって、庶民が普 通に考えるとすれば、そういうことになるのではないかと思います。私は法律は分かり ませんが、どうなのでしょうか。  提供した人と産科には一切責任は負わさないというところを明記していただければあ りがたいと思います。 〇河北委員  確認です。有田さんが言われていることに対して、私はちょっと疑問に思うのは、公 的システムとして動かすということではないということを、お出でになる前に私は確認 をしましたので、ですから公的システムではなくて、あるシステムがあって、それを国 が支援をするということで議論をしていると私は理解をしております。 〇有田委員  そういうことですか。 〇山本補佐  政府がやるという意味で、国営でという意味で、公的という意味は随分親部会で議論 しまして、蒸し返す必要はないと思いますが、その意味で先程から説明しましたが、国 がというのは国営もしくは国が直営もしくは国が委託事業でという考え方ではない。た だパブリック、一般国民に対する事業であるということは、その意味でパブリックであ るという意味ではそういうことです。 〇有田委員  では私は保留しておきます。 〇鎌田部会長  最終的には、ここで損害賠償責任のあり方はこうであるとか、それは責任を負うこと はないというふうに決めることは多分できない。ただ、そういう責任のあり方について の認識を前提にして、それぞれの地域バンクにそれの備えを求めるか求めないのかとい うことを議論して、恐らく、バンクが一切責任を負うことがないという考え方は取れな いだろうと思いますので、それに対してどの程度の備えをしておいていただくかという ことであると思います。この損害保険くらいは入っておいてくださいというのは常識的 な線であろうと思います。 〇陽田委員  この保険の最後のプランを見ると、320 万円とか240 万円とかプランA・Bとなって ますが、これは例えば10個所のバンクかできたとすると、その10個所でプランAであれ ば32万円ずつ負担して一緒にやりましょうということですね。すると、9か所がやりま しょうということになったが、1か所はこういう保険などはかけなくても、何かあった ら別なもので保障するから参加しないということになるとどうなるのでしょうか。これ は全部足並みを揃えないと駄目ですね。 〇朝浦室長  損害保険に加わることによって損害賠償能力をつけたというバンクと、そうではな く、例えば損害賠償のための別の基金をバンクそのものがもっていて、数億円の基金を もっていて、それで保障するというところももしかしたらあるかも知れませんが、それ は損害賠償能力をどう見るのかということであろうと思います。  一つの方法として民間保険に加入するということも、一つの選択肢としてはありうる のかなと事務局としては考えております。 〇鎌田部会長  いずれにしろ、損害賠償能力があればいい。それの手段は様々であって、適切に講じ られていればいいということになろうかと思います。  次にこれも具体的な運用にかなり関連してくるのです。原案では採取施設の選定にあ たっては、年間で100 検体以上の採取が見込める施設という数字を明記しているので す。これに対しましては、福岡の血液センターからは難しい採取施設があるというご指 摘もあったところです。いかがでしょうか。 〇迫田委員  これこそ各バンクに任せればいいことであると思います。大事なのは6か月後のフォ ローがちゃんとできるかということだけであって、バンクがどの産科にお願いしよう が、それはバンクの自主性ということでいいのではないかと思います。中林先生からい ろいろ伺いたいと思います。 〇中林委員  私は100 くらいと申し上げているのは、産科医の安全性という面から考えて、複数の 医師がいる方が望ましい。すると複数の医師のいる病院というのは概ね分娩数が500 以 上持っている。年間の数が500 以上である。その中で100 を採れないということは、少 し奇異な感じがします。ということは恐らく開業の一人でやっている200 〜300 のお産 をしているところで、100 以下しか採れないというところを対象にするのは、あまり整 合性がないのではないか。その意味で我々が想像している病院であれば、100 の検体は 十分に採れて、かつそれによる事故が少なかろうという意味で申し上げました。 〇鎌田部会長  ではこれはあまり異論がないということでよろしいでしょうか。では12)です。健康 調査結果の把握率でございます。これも参考資料がついてございます。参考資料の4で す。アンケート回収率が70%のところから90%を越えるところまでばらついてます。こ の回収率が低いと、採取の無駄が多くなるということで、補助金の有効性とも関連して きます。これも回収率が低いところは共同事業には参加させてあげない、だから努力し ろという形が一つの対処の仕方ですし、もう一つは、無駄になった採取・分離は補助金 の交付額の査定の中で対処していくという対処の仕方もあり得る。どちらの対処の仕方 もあり得ると思いますが、少しご議論お願いします。 〇平林委員  二つあるのです。一つは再調査の有無です。これも少しこの間のヒアリングのときに 話題になっておりました。この再調査を依頼することは、全く問題はないだろう、むし ろ積極的にそのことを前提として調査を依頼すべきであろうと思っております。  もう一つは、6か月のフォローアップについて、どこかであったのかは忘れました が、6か月検診が行われてないところがあるという発言があったと思います。この点は 少し考慮する必要があると思います。地域の事情に応じて、6か月以降のフォローアッ プをするという形で、少し基準というかやり方を改めることが必要である。これはなる べくアンケートの回収率を高めるということが、ただ単に金額の問題ではなく、折角採 取したもの検体自体を、どう利用するかということが重要なことであると思いますの で、この点はなるべく回収率が上がるようなフォローアップの調査方法を、むしろ工夫 すべきではないかと思っております。 〇正岡委員  これは把握率を何%と決めても、決められたらその通りになります。これは努力され て、低いところは上げるのですから、ある程度のことを決めたら、それでいいと思いま す。ただし上げるまでの時間的な余裕は少し見てあげないといけないと思います。 〇陽田委員  ここは僕が一番こだわったところです。各施設に今どのくらいになっているのか聞い てほしいということをお願いしたのは私です。3ページに効率性を追求して費用対効果 の高い組織にしてくれというのがありますが、こういうことが、例えば60%なのか90% なのかでは、全く効率が違ってきます。検査をして金をかけても、アンケートが戻って こないことによって全く使えないということになってしまうわけです。  それに答える人が忘れていて返してない、というのが殆どだと思うのです。自分の子 供さんに何かがあって、アンケートに答えたくないので返さないという人は、かなり少 ないのだろうと思うのです。そういう人に配慮して、答えたくない人は答えたくないと いう設問を設けてアンケートを返せるような配慮をすることがたいせつです。回収する ことに努力することは、決して人権問題でもなんでもないと思います。そこは十分に努 力していただくということで、ここは努力目標のハードルを高くしてほしいと思いま す。最低でも90%だと思います。 〇小池委員  私自身は6か月というチェックだけでいいのか疑問をもっております。と申しますの は、いろいろな酵素の欠損が6か月までに出るという例は比較的少なくて、例えばハー ラーとかハンターとかシャイエとかモルキオとか、いろいろな疾患がございますが、そ ういうのは2歳とか3歳とかになってから発症してくる。そういうものは極めてまれと 思いますが、第一子では分からないわけでございまして、するとリスクはかなりあるの ではないか。したがって少なくとも6か月あるいは1年くらいまでのチェックは必要 で、最初の6か月のチェックをしない臍帯血は、使用に耐えないくらいの基準をお作り いただいた方が安全です。  前に戻りますが、私的保険の賠償という問題は、必ずそういうところで、ごく稀に起 こってくる可能性でございますので、これはバンクでおかけになるということが、絶対 的な必要条件ではないかと思っております。 〇有田委員  小池先生の今のご発言は難しくて、例がわからないところもあったのですが、素人流 に解釈したら、今日分からなくて明日分かることもあるということがある、ということ ですね。それに対する危険というか、そういうものを考えるために、保険はかけた方が いいということですね。ありがとうございました。 〇小池委員  おわかりにならないときは、例えばクロイツフェルト・ヤコブ病気を思い出してくだ さい。硬膜を移植した、13年あるいは14年間で発症するということもございまして、そ のときに、硬膜移植したことを恐らくは訴えられるであろうと思います。 〇陽田委員  それはこの保険の対象にはならないのではないでしょうか。免責事項のところに、適 正な検査手段を取ったにもかかわらず発見できなかった、というのがありますので、こ れは保険をかけていてもそういうものは対象になるのでしょうかね。ならないですよ ね。 〇鎌田部会長  保険からは免責になってますが、民事責任自体が免責になるのかどうかはまた別の問 題ですね。 〇陽田委員  この6か月でいいのかどうかというのは非常に重要な問題です。6か月では駄目だ1 年だということになると、最初に保存してから1年間は使えないということになりま す。臍帯血バンクの根幹に係わる問題になります。ですからこれはここだけの議論では 決められないのではないでしょうか。 〇有田委員  私たちが運動を展開した背景は、今ここで死ぬしも知れない患者を何とかここで助け てあげたいということでバンクを作ってほしいということであったのです。その後、不 可抗力によって起こるいろいろな問題は、その時その時に科学の力で考えていただけれ ば、このバンクのシステムの価値は十分にあると考えてます。 〇山本補佐  6か月後フォローアップにつきましては、この前の技術の作業部会を経て、親部会の 検討会でも検討した上で決まったことです。この部会でそういう疑義が生じたというこ とで、もう一度技術部会の方にもお伝えして、必要があれば親部会でも検討して議論し ていただくということで、ここでは一応この基準通りでいけば6か月ということになろ うかと思います。 〇鎌田部会長  寝させておくかどうかの他に、今は明らかにできないリスクの可能性のようなもの は、インフォームド・コンセントの対象事項では入ってきうると思いますので、その点 は今後とも継続してご議論いただければと思います。  残り時間が少なくなってまいりました。13)14)15)とあります。このうちの14)の 論点は今後のバンク像との関係では重要な論点かと思います。実際の分離・保存という 中核的な事業は、複数の組織体に別れていても、バンク活動としてはそれらが一個にま とまっているというケース、あるいはバンクのソフトを担う組織とハードを担うところ が完全に分離している形態。多様な形態が出てくると思いますが、この点についてもご 見解をお伺いしたいと思います。 〇正岡委員  一つにまとめろといっても無理ですね。ですから現状で、コンピューターとかで一つ にまとめる、実際のところは現在動いているところは、それをやめろというわけにはい きませんから、将来的には少しずつまとめていくという方向が必要かも知れないが、今 年の4月1日に、例えば近畿臍帯血の近大を認めて、他は止めろというわけにはいかな いと思います。これは実際に基準をきちんと決めて、各凍結保存しているところが、そ れの基準を守れるようにするという以外にはないと思います。 〇陽田委員  これは各バンクの管理上の問題であると思います。例えば、こういう臍帯血を保存し てますよということでコンピューターに載っていたものが、現実に物がなかったとか、 そういうことが起こりうる体制であると不味いと思います。きちんと管理されている状 態であれば、複数のところに別れていても問題はないと思います。問題は、仕組みがど うなっているのかということと、それを管理する人がどういう体制になっているのかと いう二つの問題があると思います。単に別れているから駄目だということをいちがいに は言えないと思います。だから一か所であればいいのかというと、それだけで満足では ないと思うので、管理状況を、公表されているデータと保存されている実態が必ず一致 している、そういうところが問題であろうと思います。 〇鎌田部会長  そうしますと、今のガイドラインの中では必ずしもそういうケースを念頭においてい ませんので、例えば、ここの14)の3番目の◎ですが、分離・保存を外部機関に委託す る場合について、このガイドラインでは、採取・検査の外部委託に関する基準はある が、分離・保存の外部委託についての基準はないということですが、この辺の補充が必 要になってくるということですね。  同時に、全部を外部委託しているような場合の責任体制をどうするのかということに ついても、多少、場合によっては記述の必要が出てくるのか、あるいは委託契約の中身 は、委託関係はどうでないといけないというような記述の補充も必要になってくるのか なと思います。  他方で医薬品的発想からいえば、全部人に作らせて、人に売らせて、しかし私が製造 者ですというのは原則として考えられない。バンク事業の実践自体に自分で責任をもっ てもらう人だけが承認申請ができるというようなことがどうであるのか、そういうこと も多少問題になると思います。  逆に、骨髄バンクはコーディネートしているだけではないかという議論もありうるわ けで、この辺の考え方も少しご議論いただいた方がいいのではないかと思います。 〇小池委員  輸血の場合は、薬事法の薬品に抵触するのだと思うのですが、臍帯血の移植の場合に はどういうふうに法的な解釈がなされるのか、それをまず伺っておきたいと思います。 〇鎌田部会長  定まった解釈があるわけではないのですが、親委員会で大分議論になったことです が、血液製剤として薬事法上の医薬品としての扱いをするのではなく、移植医療の一貫 という位置づけをする方が適正であると考えております。 〇有田委員  それは決まったのではなく、両方の考え方があるということで収まりましたね。それ について薬事審議会の方では、私たちは血液事業の中で臍帯血バンクをやってくれとい う一つの要望を出しているのですが、薬事審議会の方ではこちらの検討会が血液ではな いということを決めたので、取り上げないというような話があったように聞いているの ですが、これはどちらともまだここでは決まってないということで了解していいです か。 〇鎌田部会長  こちらで決まったということでは出してないと思います。 〇有田委員  そういう意見があるので、ということだと聞いたのですが、そうではないですか。 〇鎌田部会長  そうではない。 〇河原補佐  中央薬事審議会の規格制度特別部会というところで、血液事業に係わるような問題を 審議しておりますが、その特別部会の中ではこの臍帯血の問題というのは、特に議題に は上がってないように覚えています。移植医療の一貫として理解すると考えておりま す。 〇鎌田部会長  議題に上がってないということはなくて、取り上げてくれということを申し上げて、 それに対して回答も出されています。私はそっちの方の委員でもあって、有田さんがお っしゃることについて、血液事業法の対象にしてくれというご要望もあるわけだから、 議論の対象にしてくれと申し上げて、事務局からそれに対するペーパーも出てますが、 それはこちらでそう決まったからという理由づけでは全然ないです。 〇河原補佐  鎌田先生が委員で出られているわけですが、署名の件で、順番は後の方になるのかは わかりませんが、一度、審議ということは伺ってます。現在までの経過を今説明したま でで、臍帯血の関係については、移植医療の一貫ということで、後送りになるかも知れ ませんが、現在はまだ審議に上がってません。議題に上がってないというのは訂正しま す。 〇有田委員  これは署名の問題としてではなく、要望書として前の「血液事業に関する在り方懇談 会」に提出しております。署名もそうですが、厚生大臣に出してますが、「血液事業に 関する在り方懇談会」というところに要望書として出しております。それが今度の薬事 審議会の方に引き継がれているということですね。それでよろしいですね。わかりまし た。これはこれで結構です。ありがとうございました。 〇鎌田部会長  いずれにしても、これは薬事法上はこういうものは認められないよという議論と直結 するということは全然ないです。ただ、従来の厚生行政の中では、全部を人にやらせて おいて、自分が製造者という形態のものは、あまり安全管理の面から認めてこなかった という経緯もあったりするので、こういう場合にどう考えるべきかというふうな問題提 起の視点もありうるという、一つの比喩的な例でしかないということでございます。  いずれにしても、これで将来的に公的な臍帯血バンクが、一つの団体なりにまとまっ たときには、そこは自分で全部保存して事業展開していくのか、あるいは今やっている ようなことろが発展していって、そういうところが実際の事業を担っていくのか、そう いうこととも多少は関連する部分があるのかなという気もします。  頂点に協議会があるとすると、実際にやっているのは孫請け的な形になるわけです。 協議会があって地域バンクがあって、その下に実際にやっているところがあるというも のでの対処の仕方、将来的にはそういう問題も係わってくるという部分もないわけでは ないですね。 〇児玉委員  外部委託の話です。外部というのは完全に全く関係のないところの外部という考え方 もあると思うのですが、例えば全体の協議会参加バンクの中で、相互に分離・保存の施 設を融通しあう、キャパシティの大きいところに保存委託をするとか、そういう流れが できていけば、人の繋がりというソフトの部分は維持したまま、保存施設の効率的利用 という意味で、当初、迫田委員がなんとか上手くまとまっていく方法はないのかという お話があったのですが、分離・保存というハードウエア的なお金のかかるところで、私 は現状をよく存じあげないのですが、各バンク間の特に地域的に近いバンク間の施設の 相互利用を、何とか促進する方向性というのがあるといいのではないかと思うのです が、いかがでございましょうか。 〇鎌田部会長  これは例えば近畿臍帯血バンクで幾つかの大学が関与しているというのですが、法人 格に着目すると複数になるが、それらのものがもっている臍帯血バンクの機能の部分だ けが一つに切り離されて結ばれて、ジョイントベンチャー的な仕事のやり方をしてい る。他の部分でも法人的な組織に着目しているのではなく、バンク機能の方に着目して 作り上げていっているので、そちらの機能面からいえば、複数のところに分散している のではなく、複数のバンク機能をもったものの集合体が一個のバンク事業をやってい る、というふうな物の見方ができるのではないかと思います。  ただそれによって責任体制があやふやになるとか、あるいは相互の間の業務の分担 が、不鮮明であるということがあると困るわけですので、その意味での責任の一元化と か、あるいは相互の委託条件を明確化させるとか、そういう内容がガイドラインの中に 上手く盛り込めれば、当面、少なくともそういうものを積極的に排除するというふうな 必要はないのではないかと思いますがいかがでしょうか。 〇陽田委員  この外部委託という言葉がイメージがわかりにくいのです。例えば近畿とか神奈川と か、複数の施設がその地域でネットワークを作ってバンク事業をやるということで、ど こかの施設が責任施設というか代表施設というか、そういうものを担って、相互の契約 関係を結んでやりますよということは、それは排除されるべきことではないと思いま す。実態的にきちんと一つの事業が管理運営されているのかどうかという実態的な審査 の方が重要です。その辺のところを評価をして、問題があれば改善していただくという 形でいけば、良いのではないでしょうか。この外部委託という言葉ではイメージがわか らないのですがね。 〇鎌田部会長  厳密にいえば、ここでも事務局の原案で3つの◎がありますが、1がそういう連合体 で2はソフトとハードの分離、3の外部委託になると、どこかの冷凍会社に預けるとい うようなものになって、少し形態が違ってます。上の二つは多分問題なく認めてもいい のだろうと思います。3番目をどうするのか少し考える必要があるということですね。 〇有田委員  近畿にしろ神奈川にしろ成り立ちというのがありまして、最初はこういう形でとにか く患者さんを助けようということで、それぞれのところができる形でやってきたのだと 思います。それぞれ施設が別れているところも、どういうふうにしていくのだよという ことになれば、それに向けてこの間のヒアリングのときも、そうしていくというふうに おっしゃっておりましたので、そこについては決まればそのようにやっていくというこ とは十分に考えておられるようですので、配慮して、実際にどのように運営されて機能 されているのかというところで、見ていただければ有り難いかなと思います。  ですから参加している医療機関が、自分のところがどうしてもやるのだということを おっしゃっていたのではなかったと思います。 〇鎌田部会長  予定の時間を大分超過してしまいました。本日のご検討の内容を踏まえまして、事務 局にガイドラインの案をまとめていただく、次回にそれを再度ご確認いただくというこ とです。これは4月1日にできるだけスムーズに発足させたい。それの中間には、この ガイドラインに基づいて、厚生省の方で具体的に個々のバンクとの議論を詰めてくとい う作業がありますので、できるだけ次回にはまとめたいと思っております。細かな字句 の修正等は私も意見がないわけではないのですが、それらはまた個別にご意見を頂戴し て事務局の方で次回までに案をおまとめいただく、次回、できるだけ早めにとりまとめ ていただいて事前に各委員に配付していただいて、出来るかぎり次回で最終的なとりま とめができるようにと思っております。よろしいでしょうか。では次回のご案内等をお 願いします。 〇事務局  次回につきましては既に先生方に一回日程表を調整させていただいております。次回 の開催につきましては3月4日木曜日、時間は10時から12時と考えております。会議の 場所ですが、新霞が関ビルの社会福祉協議会の会議室を今のところ予定しております。 先生方よろしくお願いします。 〇鎌田部会長  不手際で、ご発言の予定があったのに、ご発言の機会を与えることができなかった部 分もございますが、ぜひ、ご協力いただきまして次回には取りまとめができるようにと 思っておりますので、よろしくお願いします。では本日はこれで終わります。                            −終了− 問い合わせ先  厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当  山本(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03−3503−1711