99/02/17 クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会議事録 第6回公衆衛生審議会疾病対策部会 クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会 議事録 日 時:平成11年2月17日(水)13:00〜15:08 場 所:厚生省3階 特別第2会議室 1 開 会 2 議  事 (1)「クロイツフェルト・ヤコブ病及びその類縁疾患調査」の調査結果及び解析結果     について (2)感染症新法におけるクロイツフェルト・ヤコブ病の届出について (3)その他 3 閉  会 ○佐藤委員長  少し早いですけれども、委員の先生方お揃いになりましたので、第6回公衆衛生審議 会のクロイツフェルト・ヤコブ病等の専門委員会を開催させていただきたいと思いま す。  遠方からご多忙の先生方、ありがとうございました。会議に先立ちまして、委員の出 欠状況について事務局からお話をお願いします。 ○三丸補佐  本日は小池委員がご欠席されておりますことを報告いたします。また、今回も特定疾 患調査研究事業における遅発性ウイルス感染研究班の中村自治医科大学助教授にご出席 をいただいておりますことを併せて報告いたします。  本日は本来なら当課の課長が出席するところでございますが、所要によりまして欠席 させていただきますことをご了承いただきたいと思います。  続きまして、お手元の配布資料の確認をさせていただきたいと存じます。まず、1枚 紙、本日の議事次第ですけれども、今回新しく委嘱の手続きもさせていただきましたが 公衆衛生審議会のほうで部会の再編成がありまして、公衆衛生審議会、以前は「成人病 難病対策部会」といっておりましたものが、「疾病対策部会」と名称変更になりました ので、今回は「公衆衛生審議会疾病対策部会」の「クロイツフェルト・ヤコブ病等専門 委員会」というかたちに名称が変更になります。議事次第として1枚紙が1枚、それと 委員名簿が1枚。あと座席表があります。  クリップでとめられております資料、これにつきまして説明させていただきます。ま ず資料1としましては、「厚生省 クロイツフェルト・ヤコブ病及び類縁疾患調査解析 結果報告」という2枚紙のものが1部。それと資料2としましては、「感染症新法にお けるクロイツフェルト・ヤコブ病の届出について」。これは1枚紙になっております。 次に参考資料としまして、参考資料1は、前回の「第5回クロイツフェルト・ヤコブ病 専門委員会議事録」で、インターネットで公開しております議事録を付けております。 参考資料2は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律について、を 付けております。関連しまして参考資料3は、感染症の予防及び感染症患者に対する医 療に関する法律施行規則を付けさせていただきました。参考資料4としましては、「感 染症対策に係る新法制定の考え方」。参考資料5は、「感染症新法に基づく感染症発生 動向調査の概要」、及び参考資料6としまして、クロイツフェルト・ヤコブ病発生届の 様式の案を付けさせていただいております。あと、クロイツフェルト・ヤコブ病診療マ ニュアルからの抜粋と、WHOの前回の専門家会合のレポートがまいりましたので、既にお 手持ちの先生も多いかと思いますけれども、一応コピーとして付けさせていただきまし た。それともう一つ、別のクリップでとめてあるほうに、本日検討いただきます報告を 症例別に綴っております調査票。それともう一つ、これは最後にもう一度説明させてい ただきますけれども、日程表が入っております。  以上です。 ○佐藤委員長  ありがとうございました。ご確認いただけましたでしょうか。それではさっそく議事 に入りたいと思います。  まず、調査票の結果について事務局から逐次ご説明をお願いいたします。 ○三丸補佐  では、お手元の調査票のほう、この調査票については会議終了後回収させていただき ますけれども、そちらのほう、クリップを外していただきますとめくれるようになって おりますので、適宜見やすいようにして見ていただきたいと思います。  今回は保留例が前回2例、20番と72番、それと追加情報を取るようにと言われて宿題 をいただいておりましたのが1例ありますので、まず最初にそれから報告させていただ きます。  めくっていただきまして20番の症例は、前々回に保留となりまして、2年後を目途と いうことですので、今回はまだ追加情報をいただいておりません。  4枚めくっていただきまして、72番の症例です。昭和30年生まれの女性の症例ですけ れども、これは進行が遅いということで前回保留ということで、追加情報をもらうよう にということですので、追加情報を3枚後ろにいただいております。  プリオン蛋白遺伝子の検索のほうは、近日中に施行予定ということになっておりま す。あと、CJDにしては進行が遅く、鑑別診断でパーキンソン痴呆症候群およびその他 病因による老年期痴呆疾患との鑑別がつかないという報告ですが、「現在も同様ですか 」という問いに対しましては、「本年2月10日施行の頭部MRI検査において、両側前頭 葉から側頭葉、頭頂葉にかけて強い萎縮が認められました。1年前のものと比べると著 明な変化で、これはCJD以外の疾患では説明できないと思われます。しかし、既に発症 から3年近くたっており、全経過はCJDにしては長すぎると思われ、CJDとの確信は持て ない状況が続いています」という報告をいただいております。  以上です。 ○佐藤委員長  ありがとうございました。それでは保留になりました、いまご説明いただいた2例の 20番からご審議いただきたいと思いますが。 ○三丸補佐  20番は今回取っていません。72番だけです。 ○佐藤委員長  そうすると20番は、保留のまま継続ということですね。 ○三丸補佐  そうです。 ○佐藤委員長  わかりました。その確認ということで。  それでは72番が、画像で非常に強い脳の萎縮が新しい情報として加わったということ ですが。経過後3年なのですが、プリオンの遺伝子検索の結果が出ておりませんので、 この点を含めてご意見を賜りたいと思います。「ほぼ確実例」、あるいは「疑い例」と 診断してよろしいか、もう少し経過を拝見するかということになろうかと思いますが。 いかがでございましょうか。  この方は発症が平成8年ですから、3年ですけれども。数は少ないけれども、そうい う症例も存在するということですから、無動性の無言になった時期はわかりませんが、 画像の変化も出てきているので、私自身は「疑い例」。PSDが不明になっていますので、 いままでの診断基準のクライテリアからいきますと、主治医の先生がつけてこられた 「疑い例」でよろしいように思いますけれども、いかがでございましょうか。  どうぞ、立石先生。 ○立石委員  このケースは遺伝子検索は近々やられますか。 ○三丸補佐  実際には、この追加情報をお送りして、その後でその催促をかけたときに、実は「遺 伝子検索はどこに頼めばいいですか」ということで、北本先生と堂浦先生をご紹介した ところですので、多分そのうちにやられると思います。 ○立石委員  このケースは発症が41歳だったと思いますし、特別な既往歴がありませんから、これ はもう遺伝子検索が決め手になる可能性が多いですから、それが出るまで待ったほうが いいのではないでしょうか。 ○三丸補佐  それでしたら保留というかたちでも。 ○佐藤委員長  そうですね。保留だけれども、もしそのデータで例えば家族性のCJDという結果が出ま したら、ほぼ臨床的に「確実例」に入れてよろしいですか。次回まで待たなくても。ど うしましょうか。 ○三丸補佐  次回のときに決めていただいても、結構です。 ○佐藤委員長  次回まで待ちますか。急ぐことでなければ、そういたしましょうか。では、この症例 は遺伝子異常があるかどうか確認したうえで診断を決定したいということです。  では、次の症例にどうぞ移ってください。101番。 ○三丸補佐  次の症例が、前回宿題になっておりました101番の症例です。前回では、2枚目をめく っていただくとプリオン蛋白遺伝子の異常の検索を施行と書いてありますけれども、そ の内容を問い合わせることという宿題をいただいておりましたので、内容を問い合わせ ましたところ、リコールにおける14-3-3蛋白の免疫ブロット法が陽性であったという内 容を「異常あり」というかたちで書かれたようです。プリオン蛋白遺伝子には異常を認 めませんでしたということと、あとコドンの129の多型はメチオニン/メチオニンという かたちです。「ありませんでした」と書いてありますけれども、一応お電話で確認しま して、メチオニン/メチオニンの多型だということです。  一応、これで宿題のほうは終わったというかたちで、よろしいでしょうか。 ○佐藤委員長  この方は硬膜移植例なのですが、いまのお話のように問い合わせた結果が、プリオン 遺伝子の変異は従来の項目では認めなかったということと、コドン129の多型性はメチオ ニン/メチオニンということと、髄液で14-3-3蛋白が陽性であったということですから 主治医は「ほぼ確実例」に○を付けてきておられますけれども、それで。 ○三丸補佐  これは前回、もうそれでというかたちで。 ○佐藤委員長  遺伝子の確認だけですね。それでは、いまの情報で何かご質問はございませんか。  では、どうもご苦労さまでした。  では、その次の症例に移りたいと思います。 ○三丸補佐  それでは、まずこの保留の分は一応2例とも保留というかたちで、今回は。 ○佐藤委員長  そうですね。 ○三丸補佐  新規報告例は15例。103〜117番までございます。1枚めくっていただいたところに一 覧表を出しております。  まず103番から報告させていただきます。昭和3年生まれの女性で、既往歴等、針灸歴 がここ10年、週1回ぐらいある。あとは小脳症状が不明というお答えをいただいており ます。プリオン蛋白遺伝子は未施行。脳髄液所見で68と増えている。鑑別診断はすべて 鑑別ということで、「ほぼ確実例」として報告いただいております。NSEが高値で、非常 に早期からはっきりしたPSDを認めたこと以外は、典型的なCJDということです。  脳脊髄液については再度問い合わせをかけましたけれども、2枚目に付けております ように、脳脊髄液は増えているけれども、「5月29日、6月20(10?)日、いずれの髄 液でもIgG%、IgG indexは上昇を認めていないので、中枢由来の免疫産物とは考えにく く、CJDという病態の本質に関わる所見ではないように思いますが、いかがでしょうか」 と。「なお、調査票提出後にプリオン蛋白遺伝子の結果が判明しましたので、コピーを 同封します」と。患者は転院しておりますので、フォローアップデータが必要でしたら そちらにご照会くださいということで、ご返事いただいております。  めくっていただいたところに髄液の所見、NSEが一番最後にありますけれどもNSEの所 見、それとプリオン蛋白遺伝子は変異型はなしで、正常多型のメチオニン/メチオニン Glu/Gluという結果をいただいております。 ○佐藤委員長  いまのご説明で、昭和3年生まれの女性ですが、平成10年5月発症。すでに無動性の 無言にこの報告の時期、7月には陥っている換算ですが。髄液の蛋白が少し上昇してお ったので、問い合わせを出しているのですけれども、いまのご説明のように免疫グロブ リンとか、特定のクローナルなバンドが増えているわけではなさそうだということです が。この症例についてご意見をお願いいたします。  主治医の先生は「ほぼ確実例」としておりますが、他疾患をすべて鑑別できるという こと、それから髄液の蛋白も軽度上昇ですので、他の疾患を疑う必要はないように思い ますが、それでよろしいでしょうか。NSEも高値ということになっております。では、こ の症例は主治医のご診断のとおり「ほぼ確実例」と確認したいと思いますけれども、よ ろしいでしょうか。  では、次の症例に移ってください。 ○三丸補佐  104番です。昭和8年生まれの男性です。発症は平成10年5月。手術歴としまして虫垂 炎の手術歴があります。虫垂炎の手術は30歳です。あと、無動性無言はまだありませ ん。めくっていただきまして、プリオン蛋白遺伝子は未施行。すべて鑑別できるという かたちで、「ほぼ確実例」としてご報告いただいております。 ○佐藤委員長  この症例は無動性の無言には。報告されたのが発症してから3カ月後ですが、全国の 疫学調査で3カ月以内の無動性の無言に陥る人は、正確な数字は忘れましたが35%前後 だと思いましたけれども。もう脳波でも画像でも変化が出ておりますし、他疾患すべて 鑑別できると記載されておりますので、主治医の診断どおり「ほぼ確実例」としてよろ しいでしょうか。  それでは、ご意見がないようでしたら、この症例は主治医の診断どおり「ほぼ確実 例」とさせていただきたいと思います。  では次、105番。 ○三丸補佐  105番です。大正12年生まれの女性で、平成10年5月の発症です。手術歴として子宮筋 腫の手術歴を持っています。小脳症状はありません。視覚異常は不明というかたちにな っております。プリオン遺伝子は不明で、鑑別診断はすべて鑑別できるというかたちで 「ほぼ確実例」として報告を上げていただいております。 ○佐藤委員長  この症例は、大正12年生まれの女性ですが、平成10年の5月に発症して、報告した7 月には既に無動性の無言状態になっているという記載がございますし、脳波のPSD、画像 での所見もありとなって、他疾患すべて鑑別できるとされて、主治医は「ほぼ確実例」 といっておられますし、髄液にも問題ないようですから、この症例も「ほぼ確実例」で よろしいでしょうか。  それでは、ご意見がないようでしたら、次の106番に移りたいと思います。 ○三丸補佐  昭和16年生まれの女性です。平成7年1月の発症になっております。既往歴としまし て脳梗塞が平成6年。初老期痴呆として平成7年の既往歴が書いてあります。現在、無 動性無言の状態があるとなっております。蛋白量、細胞数は記載がございませんけれど も、鑑別診断はすべてできる。「ほぼ確実例」としてご報告いただいております。 ○佐藤委員長  ありがとうございました。昭和16年生まれの女性で、平成7年の1月に発症して、記 載されたのが平成10年の7月ですから、3年近く経過をしておられる症例ですが。症状 的には全部揃っているのですが。画像も脳波でPSD、それから画像は脳の萎縮ありと、こ ういう記載の方法ですから、そこにしか○が付いていないのですが、既往に初老期痴呆 として同じ時期に既往があるので、この点が少しは気になるのですが、脳血管障害性の 痴呆も、老年期の痴呆性の疾患が鑑別できるのところに主治医が○を付けておられます ので、一応このとおり判断しますと、血管障害性の痴呆、あるいは老年期痴呆と書かれ たのが軽かったのかどうか明らかに鑑別できる状態ではなかったかと推定はされますけ れども。髄液の所見が書いていないですね。  この症例はいかがいたしましょうか。既往で書かれた疾患との鑑別が多少問題になり ますけれども、ミオクローヌスが出てPSDが出るということであると、老年期痴呆にしろ 脳梗塞にしろ極めて少ないですから鑑別できるように思いますけれども、いかがいたし ましょうか。祖父江先生、これは主治医が鑑別できると書いているから。このとおりに 判断して。 ○祖父江委員  いま先生が言われたようにPSDが出てミオクローヌスが出るというのは、通常の意味で の老年期痴呆はちょっと考えにくいと思いますから。 ○佐藤委員長  それでは鑑別できるということで、よろしいですね。そうすると、この症例も主治医 が○を付けられた「ほぼ確実例」に入れてよろしいかと思いますが、よろしいでしょう か。  では、次の107番の症例に移りたいと思います。 ○三丸補佐  107番です。昭和11年生まれの女性で、平成9年11月の発症でございます。手術歴とし て甲状腺腫、子宮筋腫がございます。既往歴も同じ記載でございます。プリオン蛋白遺 伝子の異常は施行されておりまして、問い合わせをかけておりますけれども、200番がグ ルタミン酸/リジンのヘテロというご返事をいただいております。鑑別診断はすべて鑑 別できるで、CJDの「ほぼ確実例」というかたちでご報告をいただいております。 ○佐藤委員長  この方は昭和11年生まれで、発症は平成9年の11月、記載されたのが平成10年の7月 ほぼ1年たってからの記載ですが、PSDが確認できて、脳波上の萎縮の所見もありで、プ リオンのコドンの変異は、いまお話しになったように200番がグルタミン酸がリジンに変 異しているということですが、立石先生、これは家族制のCJDの範疇に入ると考えてよろ しいのでしょうか。 ○立石委員  そうですね、典型的な家族制CJDです。 ○佐藤委員長  はい。いまのお話のように、コドン200番の変異は典型的な家族制のCJDだということ で。何か臨床的な特徴はあるのでしょうか。例えば痴呆で少し経過が長いとか、小脳症 状で始まるタイプとか。そういう特徴はあまりなしで。 ○立石委員  スポラディックCJDに非常によく似ています。 ○佐藤委員長  経過そのものが似ているのですね。 ○立石委員  はい。 ○佐藤委員長  いまのようなお話で、家族制のCJDでコドンの200番の変異がある症例は、臨床像、経 過もスポラディックCJDと類似をしているというお話ですが、よろしゅうございましょう か。他に何かご質問はございませんか。 ○北本委員  最近200番のホモのケースを経験したのですが。200番のホモって、なかなか世界的に 見てもいないのですけれども。もちろん、リビアのジューイシュにはいますけれども。 その方も臨床経過はヘテロのタイプとほとんど同じですね。発症が早いとかいう傾向が あります。 ○佐藤委員長  普通はヘテロになっているわけですか。 ○北本委員  普通はヘテロでもう十分発症するのですけれども、ホモの患者さんは日本で初めて で。 ○佐藤委員長  ホモということは、リジン/リジンということなのですか。 ○北本委員  リジン/リジンです。 ○佐藤委員長  ありがとうございました。立石先生、北本先生に、この件について何かご質問ござい ませんか。  また機会を見て教えていただくことにして、では次の症例に移りたいと思います。108 番に移ってください。 ○三丸補佐  108番です。昭和23年生まれの男性です。平成10年2月の発症で、献血歴が30年前にあ ります。十二指腸潰瘍の既往がございます。ミオクローヌスはありません。無動性無言 は現在出ております。PSDがなし、その他異常はあり。MRIで脳萎縮あり。プリオン蛋白 の異常については、232がメチオニン/アルギニン。「家族内発症は見られていません。 家族の遺伝子は調べておりません」というご報告をいただいております。鑑別診断はす べてできるということで、この症例については脳生検を行っているみたいで、脳生検で 「特徴的な病理所見を有する」、「ウエスタンブロット法や免疫染色法で脳に異常なプ リオン蛋白を検出」というご返事をいただいております。 ○佐藤委員長  ありがとうございました。この方もコドン232の変異があって、家族制のCJDの範疇に 入ると立石先生の教科書にも書いてありましたが。外部地のウエスタンブロットは北本 先生のところで。 ○北本委員  いや、うちではないですね。 ○佐藤委員長  では堂浦先生のところですね。 ○三丸補佐  九大に依頼ですので、多分それと一緒なのではないかと思います。 ○佐藤委員長  ああ、九大で。すみません。この症例は脳生検で確認をしてコドンの232の変異がある ということで、いままでの立石・北本先生たちの論文から拝見しますと、家族制のCJDと いうことの範疇に入るのですが、それでよろしゅうございましょうか。立石先生。 ○立石委員  はい。 ○佐藤委員長  北本先生は。 ○北本委員  はい、いいのですけれども、232の場合、普通は PSDも出てきますし、ミオクローヌス も出てきますので、これは後々でいいのですが、保留にするという意味ではないのです けれども、追加情報として組織像とか、そういうのがわかったら普通の232とだいぶ違う のかということ。例えばクールー斑があるとか。普通は232はないのですけれども。 ○三丸補佐  あとで質問項目を教えていただけますか。では、これはこれで「確実例」でよろしい ですか。 ○佐藤委員長  では、この症例は脳組織で確認していますので「確実例」ですけれども、北本先生が おっしゃるようにPSDが認められない点とか、通常の232の変異を有するタイプとは違う かもしれないということで、組織をこの次に提出していただくことにしたいと思いま す。他にご質問なりご意見はございませんでしょうか。  ございませんので、109番に移りたいと思います。 ○三丸補佐  109番です。昭和19年生まれの女性です。平成10年7月の発症で、錐体外路症状、錐体 路症状がなし。小脳症状、視覚異常が不明という返事をいただいております。その他病 因による老年期痴呆性疾患の鑑別ができないというかたちでありますけれども、コメン トとしては「現時点では鑑別診断が否定的であり、CJDと考えざるを得ない」ということ で、「ほぼ確実例」としてご返事いただいております。これについては一応、追加情報 を現時点でどうですかというのをお聞きしたのですけれども、まだ届いておりませんの で、現在の情報はここまでです。 ○佐藤委員長  この方は発症1カ月でこの調査票のご返事をなさっているのですが、いまのお話のよ うに、画像での脳の萎縮が、まだ1カ月ですと出現しない時期ですので、その後の情報 で確認したほうがベターとは思いますが。主治医の先生は老年期痴呆の鑑別が一応問題 になるとされておる症例ですが、診断は、「ほぼ確実例」に○を付けておられます。  他疾患で器質的な疾患が鑑別できて、経過1カ月ですけれども、むしろ逆に例えば老 年期痴呆で経過1カ月でほとんど無動性の無言になる疾患はございませんので。あと、 代謝性の脳症も鑑別しておられるので、そういう点からは主治医の診断のとおりでよろ しいように思いますけれども、どういたしましょうか。ご意見ございますか。いまの追 加情報を確認したほうがよろしいかどうか。NSEも上昇しておりますが。  予想外の追加情報の返事があると、その時点においてあれですけれども、ほぼよろし いように思いますけれども、一応せっかく問い合わせてくださったのですから、その情 報を確認して待ちましょうか。いずれ、もう間もなく返事が来るわけですか。 ○三丸補佐  ただ、この次は6月ぐらいになります。 ○佐藤委員長  そこまで待つわけですね。 ○三丸補佐  どちらでも。ただ、上で鑑別できないとされてますけれども、下では鑑別は否定的と もされていますので。 ○祖父江委員  これは、「ほぼ確実例」でよろしいのではないですか。 ○佐藤委員長  では、このとおりでよろしいですか。では、主治医の診断どおりでお願いします。 ○三丸補佐  はい、わかりました。  次、110番です。昭和13年生まれの男性です。平成10年5月の発症で、視覚異常はない というかたちで、無動性無言とかはございます。あと特に検査所見はすべて脳萎縮等を 認めて、鑑別診断はできるというかたちで、「ほぼ確実例」として報告いただいており ます。 ○佐藤委員長  この症例は発症してから4カ月後の調査票の記入になりますけれども、いまのお話の ように他疾患がすべて鑑別できて、典型的なPSD、それから画像の所見、髄液の異常なし 等の所見が揃っておりますので、主治医の診断どおり「ほぼ確実例」としてよろしいで しょうか。  では、この症例は「ほぼ確実例」として次に進みたいと思います。 ○三丸補佐  111番です。昭和5年生まれの男性です。平成10年5月の発症で、症状として錐体路症 状、錐体外路症状がなし、視覚異常が不明というかたちになっています。プリオン蛋白 遺伝子は施行中ということで、別紙に追加情報をもらっております。鑑別診断はできな いというかたちですが、血清、髄液でNSEが高値。コメントとして、「5月発症の進行性 痴呆、歩行障害にて、8月には無動性無言の状態。PSDを認め、8月下旬よりミオクロー ヌス様の不随運動も見られ、臨床的にはCJDと考えられます」という返事です。  追加情報をいただいて、2月4日のご返事では「遺伝子については異常は認められま せんでした」と。老年期痴呆は現在鑑別できるというご返事をいただいています。 ○佐藤委員長  この症例は平成10年5月発症、記載が9月ですが、画像でまだ変化がないと記載され ていますが、既にPSDは認められて。他疾患は、老年期痴呆を別にしては鑑別できるとな っていますが。先ほどの症例のように無動性の無言に早期に陥っていますので、やはり 主治医の診断どおり「ほぼ確実例」でよろしいと思いますけれども、ご意見はございま すでしょうか。 ○三丸補佐  鑑別診断も追加情報で、もうできるというかたちに。 ○佐藤委員長  できるとなっているのですね。画像に変化が出てきたのでしょう。それでは、この症 例も「ほぼ確実例」として、次に進みたいと思います。 ○三丸補佐  112番です。大正15年生まれの女性です。平成9年12月の発症で、手術として甲状腺癌 の手術があります。小脳症状、視覚異常は不明というご返事をいただいております。髄 液の蛋白量の増加がございます。鑑別診断は、すべて鑑別できるというかたちで、「ほ ぼ確実例」としてご報告いただいております。  コメントとしましては、「初診時、既に痴呆症状が見られており、一人暮らしであっ たため、それ以前のことは近所の人と義理の妹からしか聴取できていない。臨床経過、 検査所見からCJDと考える」ということをいただいております。 ○佐藤委員長  この症例は平成9年12月発症で、記載が平成10年の9月で、10カ月ぐらいたってから の記載です。無動性の無言に陥っていて、PSD、画像での脳の萎縮も認められております し、他疾患すべて鑑別できるになっておりますので、「ほぼ確実例」としてよろしいと 思いますけれども。よろしゅうございましょうか。  では、次に進みたいと思います。 ○三丸補佐  113番です。昭和13年生まれの男性です。平成10年6月の発症で、中耳炎の既往手術歴 を持っております。献血歴がございます。あと錐体路症状、錐体外路症状がない。視覚 異常が不明というかたちです。脳の萎縮は、まだ認めておりません。鑑別診断はすべて 鑑別できる。またコメントとして、「小脳症状で始まる急速進行性の経過を呈し、無 言・無動の状態でミオクローヌスを認め、脳波においてPSDも認められるため、臨床的に CJDでほぼ間違いないと思われます」というコメントを付けて、「ほぼ確実例」としてご 報告いただいております。 ○佐藤委員長  この症例は平成10年6月発症で、9月に報告されて、3カ月での症例ですが。まだ画 像の変化は出ていない時期と思いますが、脳波のPSDはもう既に認められておりますし、 髄液も他の疾患が鑑別できるという正常なデータを示しておりますので。主治医は「ほ ぼ確実例」としておりますけれども、これでよろしいでしょうか。  献血歴は平5年ですから、もうかなり前になるので、この献血のロットというのはす べて使われていると。これはもう確認されたのですね。 ○三丸補佐  献血歴ありと不明の分は全部、血液対策課のほうに情報提供は下りています。 ○佐藤委員長  少し以前になりますのでね。5年前になりますから、おそらく使われ切ったのではな いかと思います。何かご意見はございますでしょうか。  では次の114番に移りたいと思います。 ○三丸補佐  昭和4年生まれの女性で、平成10年1月の発症です。手術歴として子宮外妊娠と卵巣 嚢腫の既往を持っております。ガンマ免疫グロブリンの静注を平成9年1月から受けて おります。献血歴は10年以上前にあるというかたちで、既往歴としてはGoog症候群で、 心房細動の既往歴の記載がございます。ミオクローヌスはなくて、錐体外路症状はな い。視覚異常は不明。PSDはなしというかたちで、蛋白量は増加、107mg/dl。細胞数も2 2と。単純性ヘルペス等のウイルス性脳炎が鑑別できないという症例です。髄液検査で 14-3-3蛋白は強陽性所見を認めたということで、「疑い例」としてご報告いただいてお ります。  また、この症例につきましては追加情報をいただいておりまして、1枚目が問い合わ せの事項で2枚目が回答になりますけれども、ミオクローヌス錐体外路症状は認めませ ん。PSDも現在のところはありません。蛋白量、細胞数の増加の理由はわかりません。  それで、この症例は死亡されて剖検が行われたようで、その際の所見が、脳重が1,090 g、肉眼的所見は大脳、小脳のび慢性萎縮、髄膜の軽度混濁。cutting所見では大脳白質 はび慢性浮腫状。両側側頭葉白質に層状壊死。頭頂葉白質に小結節状病変を認めたと。  鏡検所見では、小脳皮質、プルキンエ細胞の脱落、歯状核周囲にマクロファージの浸 潤を認める。  小脳深部白質に虫食い様壊死巣の散在。また、同様所見を内包、視床、基底核、脳幹 に見られる。これらの周囲脳組織には反応性グリアの増生、一部血管周囲のリンパ球浸 潤を伴っている。  脳幹、小脳白質はミクログリア、アストロサイトの増生が、広範かつ高度。両側頭頂 葉に層状壊死と海馬の錐体細胞の脱落を認めております。  その他所見としましては、抗プリオン蛋白抗体の免疫染色で異常プリオン蛋白の蓄積 を小脳、頭頂葉、海馬には認めていない。ただし、これは最終報告ではないというコメ ントが付いています。  脳組織には、反応性グリアの増生等が認められており、viral encephalitisの可能性 はあるが、両側側頭葉(両側頭頂葉?)に出血性、壊死性脳炎様所見は認めず、単純ヘ ルペス脳炎は否定的。鑑別はできると思いますが、経過要約をともにお送りいたします ので、ご参照していただければということです。  また、免疫グロブリン製剤を使っていて、一部回収等もかかりましたので、その製剤 が入っていたかどうかも確認させていただきましたけれども、それはないというご返事 はいただいております。  その次に、一応病状の経過要約を送っていただいております。95年の5月にthymomaを 指摘され、同時期に低ガンマグロブリン血症も指摘されて、Good症候群と診断されてお ります。そのため、97年1月より免疫グロブリン静注療法が開始されております。98年 7月ごろから歩行時にふらついてぶつかるようになり、また4月には交通事故を起こし ております。その後、構音障害等が増悪しまして、5月に近医入院し、6月に精査目的 で入院ということです。  入院時は体温が37度5分。血圧が160/90と、ちょっと高くて、J.C.Sは2のdrowsy。 slurred speechがあって、あとスパスティックなミオマスクトーンがあります。バイタ ル9,640、CRPは0.2。IgA、IgG、IgM、IgEは低下と書いてあります。あとCT所見が2枚目 の中程以降にズラッと書いてあります。  以上です。 ○佐藤委員長  ありがとうございました。この症例は、実は主治医の先生から電話で、低ガンマグロ ブリン血症に胸腺腫を合併した症例に長期間グロブリンの補充療法を行っておった症例 が、ヘルペス脳炎かヤコブか鑑別できない症例を経験したということで、電話で相談を 受けまして。1つは、グロブリンのロットの中に、いままで知られているヤコブ病由来 のロットが混じっているかどうか調べてほしいという依頼と、この症例については、電 話で伺ったけれども、なかなか難しそうな症例なので、1回現地に他の委員の先生と一 緒に調査に伺う計画を立てておったのですが、その矢先に亡くなって剖検したので、そ の結果をあとでご連絡しますということになったケースなのですが。  1つは、使用したグロブリンの中には、前の病院にも問い合わせたけれども、厚生省 のほうから通知が出ているコンタミネーションのロットは使用されておらなかったとい うことです。  2つ目の問題点は、次に、ではこの方はヤコブ病の診断ができるかどうかという問題 になりますが、いま三丸さんのほうからご説明されましたが、剖検所見をかなりご丁寧 に書いてくださったのですが。要約いたしますと、頭頂葉と側頭葉の白質に層状壊死と 小結節状の病変が存在しておったということと、小脳病変はプルキンエ細胞の脱落と、 それから歯状核でマクロファージの浸潤が認められ、血管周囲にも程度は書いてありま せんがリンパ球浸潤が認められて。脳組織の周辺には反応性のグリアが増加しておった ということと。それから抗プリオン蛋白の免疫染色では小脳、頭頂葉、海馬を調べてお られますが、現在のところ認めていないけれども、コメントでは「最終報告ではありま せん」として。  実は、昨日学会の会場でこの九大の神経内科のキラ先生にお会いして、この症例につ いて「病理のほうではクロイツフェルト・ヤコブ病も既に否定できるとお話しになって いますが、どうですか」と質問したのですが。今日か明日、臨床病理検討会がかかる予 定で、そこで最終的に病理の見解をお話しになる予定だけれども、非公式だけれども堂 浦先生はCJDではないと思うと話されておったというふうなことをお話しになっていたの ですが。  ここに記載されている病理の所見から、立石先生、北本先生、お二人の先生方、ある 程度クロイツフェルト・ヤコブ病の疑いをまだ残したほうがよろしいか、この記載から もう既に否定してよろしいかということについてのご質問なのですが、いかがでしょう か。 ○立石委員  病理的には、いまの所見からクロイツフェルト・ヤコブを疑うことはできないと思い ますが、しかしせっかく剖検なさって最終診断を待っていらっしゃるのですから、それ を待ってからでもいいのではないかという気はいたしますが。 ○佐藤委員長  堂浦先生のご返事を正式に確認してから。 ○立石委員  はい。 ○三丸補佐  では、これは保留というかたちで、よろしいですか。 ○佐藤委員長  はい。参考のために、CJDでなかったら、どういう病気か。この方は原爆投下の数日後 に広島に行っておられるので、一つは被曝しておられることと、胸腺腫とガンマグロブ リンの低い低ガンマグロブリン血症を伴った、経過そのものも免疫不全も合併する症例 なのですが。この病理所見もいろいろと臨床から考えたのですが、非常に難しいケース なんですよね。これだけでは、この疾患が第一候補だという診断は。これは余談になり ますが。 ○北本委員  この人は呼吸障害とか循環障害とかで虚血になった既往とかは、ないのですかね。 ○三丸補佐  心房細動がベースにありますので、何とも言えないと思います。 ○佐藤委員長  呼吸器をつけたかどうかの記載はないのですね。 ○三丸補佐  呼吸器はつけています。一時期、呼吸状態が悪くなって、挿管して気管切開もやって います。 ○佐藤委員長  それから、サブドラルヘマトームが手術するほどのものがあったと記載されています から、両方でモジがされている可能性がありますね。呼吸不全による循環不全と、脳の 循環不全と。血腫があったということですから。なおのこと病理が難しくなると思いま すが。 ○北本委員  立石先生も言われていましたけれども、私もCJDとは考えにくいと思いまして。一番の 根拠は海馬がかなりやられている。それから層状壊死みたいなものがあるところですの で。 ○三丸補佐  では、これは保留ということで。 ○佐藤委員長  そうですね。堂浦先生のご返事を確認してからですが、おそらく違うだろうというコ メントだけ付けておきます。 ○三丸補佐  次にいかせていただきます。115番です。昭和13年生まれの男性で、平成9年12月の発 症です。脳出血で58年の4月と5月に手術を受けて、硬膜使用があります。他には皮下 腫瘤の手術を受けています。輸血歴がございます。「会社員のころ献血したが、詳細は 不明」という返事をいただいております。視覚異常が不明です。あと、これはすべて鑑 別できるというかたちで、「ほぼ確実例」。「硬膜移植歴と脳波などからCJDと診断でき る症例ではないか」とコメントをいただいております。 ○佐藤委員長  この症例は硬膜使用例ですが、CJD診断そのものは平成9年の12月の発症で、次の年の 平成10年の10月に報告をされておりますが、すべて条件を満たしておって、全疾患鑑別 できるとなって、主治医が「ほぼ確実例」となっておりますが。私自身は、診断は主治 医のご診断のとおりでよろしいかと思いますが。  昭和58年というと、1983年ですね。そうすると、その時期はまだ旧ライオデュラぐら いしかない時期ですね。その意味でも、他の会社の、あるいは他の処理法のライオデュ ラが使用されているといってはおらない症例ですし、いままでの硬膜の疫学的なデータ に付け加える症例かと思いますが。  何かコメントはございませんでしょうか。どうぞ、立石先生。 ○立石委員  このケースの問題点は献血歴があって、会社員のころ献血したとなっていますが。こ れが手術の前か後かはわかりませんでしょうかね。 ○三丸補佐  そこの詳細は不明となっているので、わからないですね。 ○佐藤委員長  会社員のころだから、そうとう前になるのでしょうかね。いまは56歳。 ○立石委員  もしこれが遡及調査ができれば、ぜひしてほしいケースですね、これは。 ○三丸補佐  これは不明ですので、情報提供は出しています。 ○佐藤委員長  それでは、この次の機会にでも、献血歴がどこまでフォローできたかということを教 えていただいて。 ○三丸補佐  この症例ですか。 ○佐藤委員長  この症例ですね。それから、前にもう1例あったですが。献血歴ありの症例は、もう 過去のことでフォローできないのか、それともフォローしたけれどもその製剤が残って いないのかとか。その情報をこの次に教えてください。 ○立石委員  さっきのケースはスポラディックCJDですから、あとでCJDとわかっても、いまの方針 では、血液製剤の回収はされないということになります。しかしこのケースはデュラの 使用例ですから、ちょっと慎重にやったほうがいいなと。そういう意味です。 ○佐藤委員長  いまの立石先生のお話で、硬膜移植例は神経病理的にもいろいろと問題がありますし 普通のコワセ例とは違っておるということもありますので、この献血歴はできるだけ早 急に詳しく調べたほうがよろしいということですが、それは血液対策課のほうで、よろ しくお願いいたします。  それでは、この方については献血歴の情報をまた教えていただくことにして、他にご ざいませんか。硬膜使用例、115番について。よろしいでしょうか。  では116番の症例に移りたいと思います。 ○三丸補佐  116番です。昭和4年生まれの男性です。平成10年9月の発症で、手術歴として頭部外 傷歴が57年にあります。その他、特に‥‥。プリオン遺伝子の異常は施行で、内容がま だ書かれておりません。脳髄液で蛋白が56と増えています。鑑別診断はすべてできると いうことで、髄液にNSEの上昇。プリオン蛋白遺伝子の結果待ちで、「ほぼ確実例」とい うご報告をいただいておりますが、まず追加情報をいただいておりまして、外傷の既往 はありますが、「脳に及ぶ手術でしょうか」というのは「はい」で、ただし「硬膜移植 については調べたけれども資料がなく不明」。蛋白遺伝子の結果は正常でした。脳脊髄 液、その後再検はしておりません。NSEはRIAで31、EIAで25(2.5?)。「軽度の蛋白増 加はCJDに矛盾しないと思います」という返事をいただいております。 ○佐藤委員長  この方は昭和4年生まれの男性で、平成10年の9月発症で、報告されたのが2カ月後 の11月ですが、比較的早くPSDも、それから画像上の脳の萎縮もありと記載されておっ て。髄液の蛋白が軽度に上昇しておって、NSEのデータは書いてありませんが、上昇あ りとなっておりますし。 ○三丸補佐  データは31と2.5みたいです。追加情報で。 ○佐藤委員長  NSE、31ですか。 ○三丸補佐  はい。そういう返事でいただいております。 ○佐藤委員長  軽度上昇ですね。20までは正常ですから。他の疾患がすべて鑑別できるとしてありま すので、主治医の診断どおり「ほぼ確実例」としてよろしいでしょうか。 ○立石委員  このケースも昭和57年の頭部外傷で手術歴ありですね。これは、もうそれ以上調査は やめますか。 ○三丸補佐  というか、問い合わせましたけれども「資料がない」という返事ですと、もうそれ以 上はどうしようも。 ○佐藤委員長  これは久留米大学なのですか。脳外科の手術をしたところに問い合わせされたのです か。 ○三丸補佐  もう問い合わせをかけて、聞いてもらっているみたいですけれども。 ○佐藤委員長  主治医が問い合わせたのと、直接厚生省、あるいはサーベイランス委員会から問い合 わせると、かなり丁寧に手術記録とか調べてくれますから。立石先生のおっしゃるのは もう少し丁寧に調べたほうがよろしいということでしょうか。 ○立石委員  硬膜製品を使ったかどうか。 ○端委員  いろいろな種類がありますから、どれぐらいの開頭ですとか、そんなことを見ますと 多少見当が付くかもしれませんし。 ○佐藤委員長  それでは、まず手術月日と直接手術場所を確認して、そこの担当の脳外科施設に直接 問い合わせしていただいたほうが、いろいろな記録から丁寧に調べていただけますか ら。直接問い合わせていただいたほうがよろしいですね。実は、ある施設も、おそらく 硬膜を使っているだろうとは判断されるのに、主治医が問い合わせたら「もう記録がな い」という返事で、かなり冷淡に返ってきたというのをこの前聞きましたので。  それでは、この116番については頭部外傷の手術時に硬膜が使用されたかどうか、直接 脳外科の施設に問い合わせていただくということをお願いしたいと思います。 ○三丸補佐  診断はこれで。 ○佐藤委員長  診断は、もうこれでよろしいです。  それから、117番、お願いします。 ○三丸補佐  117番です。昭和21年生まれの女性です。平成10年の10月ごろ発症です。他には、錐体 外路症状がなくて、小脳症状、視覚異常は不明という返事をいただいております。また 萎縮がなくて、プリオン遺伝子異常の施行は未施行。蛋白量の記載はございません。 鑑別診断はすべて鑑別できるということで、「髄液所見において麻疹抗体、細胞診の特 記なし。亜急性痴呆で孤発性、EEGは明らかなPSDを認める。CJD・期と思われるが、現在 のところミオクローヌスはない」というコメントをいただいて、「ほぼ確実例」とのご 報告です。 ○佐藤委員長  この方は昭和21年生まれの女性で、平成10年10月発症、記載が12月ですから2カ月後 の報告ですが、PSDあり、それから脳の萎縮はまだ認められておらないということと、髄 液に異常はなく、他疾患すべて鑑別できるということで、いままでにご検討いただいた 症例と同じだと思いますので、「ほぼ確実例」としてよろしいでしょうか。  ただ、職業が鍼灸師となっておりまして。針をなさるということで。一昨年の疫学班 のまとめのときに、2カ所が、針を受けた既往歴ありと回答のヤコブ病がありまして。 それから2カ所の地で、ヤコブ病のいろいろなカンファレンスとか講演会がありました ときに、フロアから発言があって、「自分の経験した症例はどうも多いように思うので 針のことについてはキチッと調べてほしい」と、神経内科のお医者さんからお話があっ たので、その後注意はしているのですが。  疫学班では、同じ針の鍼灸師の可能性があるかどうか調査したのですが、すべて別々 のところだったので、結論としては非常に狭い範囲ですけれども疫学的には証拠はなか ったということにしておりますが。少し余談なのですが、職業が鍼灸師ということで、 一応そういう経過があったことをお話しいたしました。  117番については、他にご意見ございませんでしょうか。  それでは、症例の検討を終わりたいと思います。いくつか宿題が出ておりますが、よ ろしくお願いいたします。  それでは、ご質問がございませんでしたら、自治医大の中村先生に今回の調査の解析 結果についてのご説明をお願いいたします。 ○中村先生  お手元の資料1に沿ってご報告申し上げます。  今回、新規に15例のご報告をいただいておりますけれども、このうち先ほどのご審議 の結果、1例は保留というかたちで14例というかたちになっております。  これまでのまとめでございますけれども、すみません、資料1の2行目の「平成11年 12月末日」となっていますが、これは「平成10年」の間違いでございます。昨年末まで に先ほどご検討いただきました117番というのが一番最後になっておりまして、117例の 報告が厚生省に届いております。前回、昨年6月末までの到着分で102例がございまし た。それプラス今回の15例ということで、117例になっております。  前回までの102例のうち、重複分、佐藤班の全国調査と重複しているのが18例。それか ら本日も議題になりました判定保留例が2例。それからCJDではないということで除外さ れているものが3例でございました。したがって、前回、第5回の委員会まで全国調査 以降、新たにCJDとして認められたものが79例でございます。それプラス、本日14例加わ っておりますので、合計93例ということになります。  今回、新たに報告されました15例につきまして、あるいは79+15の94例、先ほどの保 留が1例ありますけれども、それまで含めて表しましたのが、そこのお手元の表でござ いまして。今回の15例は男7、女8。それから年齢はすべて50歳以上ということで、若 年発症例はございません。それから、発症年といたしましては95年の発症例というのが 1例ございまして、ちょっと報告の遅れがありますけれども、残りは97年、98年という かたちになっております。性・年齢分布につきましては、いままでの疫学像と違いはな いと考えております。それから、特に患者が増えてきているということも、今回の数か ら見ますと、ないと考えております。  患者の居住地でございますが、今回、栃木県に集中傾向が見られました。これにつき ましては実は内情を申し上げますと、栃木県の特定疾患の担当が私どもの教室の教室員 でございまして。その担当に、実は前回の委員会のときに栃木県も特定疾患治療研究事 業で申請が上がっている数と、本サーベイランスに報告が上がっている数と合わせると ずいぶん少ないぞと。これについて、厚生省がやっていることについてきちんと協力す るようにと。医療機関を指導するようにと申しましたら、さっそく担当が動きまして、 申請が出てきている医療機関に対して、厚生省の実施要領、それから調査票等を送りま して、すぐ送るようにという指導をしたそうでございます。それによりまして栃木県の 居住者がかなり出てきておりますけれども、これは特に栃木県で集中して患者が出てい るといったことではなくて、そういう人為的なものだと考えております。  それから、受療状況はすべて入院です。家族歴があるものは、特に報告されておりま せんでした。それから、先ほど一番最後の例で問題になりました鍼灸師が1名おります けれども、この調査票からは勤務状態については特に詳細はわかりません。  手術歴があるものが8例で、このうち1例が硬膜移植歴が明らかに報告されておりま す。それから先ほどの外傷の例ですけれども、今後の結果を待ちたいと思っておりま す。  この硬膜移植例1例でございますけれども、移植から発病までが14年8カ月でござい ます。前回も硬膜移植を受けてから発病までの期間が延長している傾向があるというこ とをご報告いたしましたけれども、今回の例は前回までの平均13.4年から、さらに延び ておりまして、延長傾向が続いているということが明らかに観察されると思います。  これは、多くの硬膜移植例が80年代の半ば、87年までに移植を受けたものでございま して、移植の時期が固定されていて、なおかつ新たに患者が出てきているということで 当然のことですけれども、移植を受けてから発病までの期間というのは延長してまいり ます。ここに書いていますように、これによりまして佐藤班以来、CJDの患者のデータを 集めておりますけれども、硬膜移植の既往を持つ患者は全部で61例というかたちになっ ております。  その他の臓器製剤といたしまして、先ほど議論がありましたガンマグロブリン投与の 患者がおりますけれども、先ほどのご報告のように、報告されたロットは使われていな いということでございました。  臨床症状につきましては、そこのページの表にありますように、このようなかたちに なっております。その後の追加情報で若干の修正が出てくることと、保留の例を除きま すと若干異なった結果になりますけれども、だいたい臨床症状につきましても、いまま で報告されてきたものと変わりがないと考えております。  診断につきまして、一番最後でございますが、すべてがCJDでございまして、先ほど1 例ありました脳の生検例が「確実例」ということでございます。それから「疑い例」と いうのが、PSDを欠いているものが1例あったのはペンディングの例ですか。保留の分が PSDを欠いております。  ということで、私のほうからの報告は以上でございます。 ○佐藤委員長  どうもありがとうございました。いまの中村先生のおまとめについて、ご質疑をお願 いいたします。 ○山内委員  栃木で調査をちゃんとやったら数が増えてきたというかたちですと、他の都道府県で もちゃんと対応していないところがあって、さらにもっと数が増える可能性があるので すか。 ○中村先生  はい。前回の本委員会でもご報告いたしましたように、特定疾患治療研究事業で申請 が出てきている数と、本サーベイランスに上がってきている数とを照らし合わせますと 明らかにサーベイランスのほうが少ないという結果が出ております。したがって、きち んとすべての医療機関から、診断した医師から届出があれば、もっと数は多いと思って おります。 ○山内委員  実態はもっと多くなると。 ○中村先生  はい。 ○三丸補佐  あともう一つは、治療受給者証については毎年更新ですので、1回報告された人は次 からはこっちには上がってきませんけれども、そっちの分の数は、数としてはカウント されるというところはございます。 ○中村先生  もう一点は、佐藤班の全国調査で94年、95年に新規発症した患者が、いずれも100例を 超えておりまして。そのあと本サーベイランスが引き継いでいるわけですけれども、始 まって2年ほどで100例をちょっと超すぐらいというかたちで。罹患率につきましては、 おそらく増加傾向がある。これは死亡率なんかと照らし合わせても、そういうことがわ かるわけですけれども、94年、95年の100例を超える報告からしますと、本サーベイラン スの報告数というのは、かなり少ない結果になっておりますので、やはり報告漏れとい うのは、かなりあると理解しております。 ○佐藤委員長  いまの方法では、やはりそうとう落ちがあるみたいだし、催促しても出さない施設が ありまして。時々電話で問い合わせがくるから「調査票をお願いします」と言っても、 なかなか出してくれないところがありますね。少しのんびりしてきたみたいですが。た だ、後で今日の議事でご説明がありますが、新しい感染法ということで、今度は全部把 握できるということですので、それに期待したいと思います。  中村先生のおまとめについて、他にご質疑はありませんでしょうか。ないようでした ら、ありがとうございました。  それでは次の資料は、新感染法におけるクロイツフェルト・ヤコブ病の届出について 事務局からご説明お願いします。 ○三丸補佐  資料2及び参考資料等に基づきまして説明させていただきたいと思います。  まずポイントから申し上げますと、新感染症法においてクロイツフェルト・ヤコブ病 は4類感染症として位置づけられております。この4類感染症というのは、インフルエ ンザ等のその他既に知られている感染性の疾患であって、国民の健康に影響を与えるお それがあるものとして厚生省令でさだめるものというかたちになっております。  新感染症のうち、クロイツフェルト・ヤコブ病みたいなものは全数届出の対象となる 疾患ということで位置づけられております。そのとき取れる情報としては、年齢、性別 感染症の名称、当該の症状、診断方法、初診年月日、診断年月日、推定される病原体に 感染した年月日あるいは推定される年月日。感染症患者にあっては、感染症にかかった 原因、感染経路、感染症にかかった地域、またはこれらとして推定されるもの。それに 報告書の情報が報告されます。  現在、方向性としましては、この感染症新法が4月1日より施行されますけれども、 現在実施しておりますクロイツフェルト・ヤコブ病及び類縁疾患調査は、それに伴い廃 止となります。現在の発生動向調査は、感染症新法に基づく届出に移行するかたちにな ります。  その他としまして、現在行っています類縁疾患調査の届出分、1〜3月分が残ります ので、これについては次回の専門委員会で取り上げて検討してもらうことになります。 また、今後CJDの発生情報は、保健所→都道府県知事→厚生大臣と連絡されて、実際の情 報は感染症情報オンラインで把握されるようなかたちになっております。  参考資料として付けております参考資料2、これは法律の条文ですけれども、この第 6条。1ページ目のところの第6条の5項のところに「4類感染症とは」ということで 書いております。クロイツフェルト・ヤコブ病につきましては、このうちの「既に知ら れている感染症の疾病であって、国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして厚 生省令で定めるもの」として、その中で定められております。  それにつきましては、参考資料3を見ていただいたほうが早いと思いますけれども、 これに4類感染症が、アメーバ赤痢だ、ズラズラズラと書いてあるところに傍線を引い てありますけれども、クロイツフェルト・ヤコブ病が入っています。  また、第4条のところで届出の内容について、それぞれ項目を挙げて入っておりま す。法的には、この情報だけしか取れないというかたちになっております。  それと、資料は飛びますけれども、参考資料6につきまして。これは感染症の届出様 式です。佐藤委員長と北本先生と事務局が調整させていただきまして、このような案で つくりました。これは現在の類縁疾患調査で得ている情報等をできるだけ盛り込んだか たちにしてお願いしております。このようなかたちで個票になっておりますのが、クロ イツフェルト・ヤコブ病と、後天性免疫不全症候群のエイズ、それと先天性風疹症候群 で、あとのアメーバ赤痢等は統一様式になっております。このかたちで、医療機関で診 断がついて7日以内に保健所に届出が出るというかたちになります。  あと、感染症新法に関する考え方、及び発生動向調査の概要につきましては、結核感 染症課のほうからご説明をいただきます。 ○結核感染症課・佐野補佐  結核感染症課の佐野と申します。よろしくお願いします。  私のほうからは、いまご紹介がありましたように参考資料4と5にしたがいまして、 感染症新法の制定の考え方、それから新法に基づきます感染症発生動向調査のそれぞれ 概要につきまして簡単にご説明させていただきたいと思います。  まず初めに参考資料4でございますが、新法制定の考え方となってございます。1 ページ目は、制度改正に至ります背景を説明してございます。現代におきます新興感染 症、あるいは再興感染症の驚異でありますとか、感染症を取り巻く最近の状況の変化、 そういったことを背景にしまして、新しい法律体系が構築されていますということが書 いてございますので、簡単に説明させていただきます。  2ページ目をお開きいただきたいのでございますが、見直しの方法となっておりま す。要するに新法のポイントでありまして、5つの柱に分けられてございます。  最初の大きな柱が、事前対応型行政の構築ということでございます。その中でも感染 症発生動向調査体制の整備、いわゆるサーベイランスが今回の法律上の大きな目玉にな ってございます。初めて法律上にキッチリと位置づけられまして、新しい体制を確立し ていくということが決められてございます。  さらに国、あるいは都道府県におきます総合的な取り組みを進めるという観点から、 国が基本指針を策定をし、基本指針の各項目に則して都道府県が予防計画をあらかじめ 策定するということが決められてございます。さらに、特に総合的に予防のための施策 を推進する必要がある感染症につきまして、省令で定めて、特定感染症予防指針という ものをつくることになってございます。省令上、インフルエンザ、それからSTD、さらに エイズ、この3つを想定をしてございまして、現在その策定の準備作業に入っていると ころでございます。  柱の2つ目は、感染症の類型でございます。感染症類型を基本的に4つに分けてござ います。感染症の感染力、あるいは感染した場合のその重篤度を総合的に勘案をしまし て、ここに書いてございますが、ペスト、エボラ等の出血熱などでございますが、1類 感染症。さらにコレラ、細菌性赤痢など6疾病がございますけれども、2類感染症。腸 管出血性大腸菌感染症の3類感染症。そして、その他の4類感染症。4つの類型に分け たところでございます。  さらに一番上にございます、人から人に感染することが明らかであって、感染力であ るとか重篤度が先ほど申しました1類感染症相当以上の疾病、しかも人類未知のもので あるという場合に、新感染症というカテゴリーも設けてございます。  それぞれそれに対応した対人措置、あるいは対物措置というものが設けられておりま して、医療体制もここにございますような特定感染症指定医療機関、あるいは第1種、 第2種といった医療機関を制度として創設をしてございます。さらにそれに見合う医療 費の負担についても、一番右端の欄にございますように、公費負担、ただし医療保険を 優先する保険優先の制度を導入した公費負担制度も設けたところでございます。  3ページ目が3つ目の柱でございますが、患者等の人権尊重に配慮した入院手続とい うことでまとめてございます。感染症の先ほど見たような類型に対応しまして、拡大防 止のために必要最小限の就業制限でありますとか入院措置ということを規定してござい ます。さらに勧告制度を導入するとか、あるいは保健所の勧告に際しまして、感染症の 審査に関する協議会の意見を聞く。そういった行政的な手続きをキチッと書いたという ことになってございます。  4つ目の柱が、従前も行ってきているわけですけれども、必要十分な消毒等の対物の 措置を法律上規定をいたしました。さらに検疫体制、動物由来感染症対策の整備とまと めてございますけれども、1類感染症のうちのエボラ出血熱を当面ターゲットにした動 物由来感染症対策も整備を進めるということになってございます。  最後の箱は法制的な対応でございますが、伝染病予防法を廃止することになりますけ れども、併せて性病予防法、並びにエイズ予防法も廃止をし新法に統合するということ が今回の新法制定の考え方でございます。  参考資料5に移らせていただきますけれども、新法に基づきます「感染症発生動向調 査の概要」ということになってございます。1番目が基本的な考えた方でございますが 1つ目の○は省略をいたしまして、2つ目の○ですけれども、先ほど申しましたように 新法の大きな柱としてこの事業がございますが、感染症の発生情報の正確な把握と分析 そしてその結果の還元、的確な提供は感染症対策の基本であると。すべての対策の前提 となるものであるというようにまとめてございます。  したがいまして、新法におきましては第3章、12〜16条でございますが、3章に新た に発生動向調査体制という章を設けまして、さらに法律に基づいた的確な感染症発生動 向調査を進めるということにしたところでございます。  次のパラグラフですが、現行のことに言及してございますけれども、現在は伝染病予 防法、あるいは先ほど申しました性病予防法、エイズ予防法等の個別の疾病ごとに着目 した法律に基づきまして届出の規定がございます。それから、予算事業で行ってきてい るわけですが、感染症発生動向調査事業というものも、法律には基づかないかたちです けれども、事業として実施してきてございます。  次の○でございますけれども、新法に基づきまして行います発生動向調査につきまし ては、1類感染症、エボラあるいはペスト等の5疾患、さらに赤痢、コレラ等の2類感 染症6疾患、そしてO-157の3類感染症1疾患、合わせて12疾患ございますし、それから 4類感染症のうちの先ほどご紹介がありましたが全数届出、これにはCJDも含まれますけ れども、全数届出の疾患が33疾患ございます。さらに定点医療機関で把握すべき4類感 染症、27疾患。合わせて全体で72疾患の発生動向調査体制の対象疾患がございますが、 これらをすべて同じやり方で、週報単位で分析、そしてその結果を提供、公開していく ということにすることとしております。  1枚おめくりをいただきまして、2ページ目が第2でございますけれども、さらに条 文に則して発生動向調査事業を説明をさせていただきます。  (1)が全数把握でございますが、これは第3章の12条に書いてございます。後ほど 条文もご参照いただきたいと思いますが、ここにございますように1類、2類、3類、 4類の全数、これらの感染症を診断したすべての医師から保健所長を経由いたしまして 各都道府県知事に届出が行われることになります。1類から3類感染症につきましては 氏名、年齢、性別等を届け出ることになってございますし、4類感染症につきましては 氏名等の個人を識別する個人情報は除外するという規定がございます。  それから(2)は、動物由来感染症の全数把握でございますが、エボラ出血熱等にか かりましたサルを診断した獣医師から保健所長を経由して都道府県知事に届出を行うと いうことが新たに設けられたところであります。  (3)は定点把握のサーベイランスでございますが、第14条にございます。法律上、 指定届出機関としてございますが、都道府県知事が開設者の同意を得て指定届出機関を 指定いたしまして、対象となる4類感染症の患者を診断いたしましたら、管理者が年齢 性別等を都道府県知事に届け出るというシステムでございます。  さらに積極的疫学調査という項目が第15条に設けられてございまして、発生の状況で ありますとか原因等を明らかにする場合に、当該感染症の患者等へさらなる質問を行っ たり、あるいは必要な調査を行うということが15条によって行えることになってござい ます。  最後に16条でございますが、感染症情報の公表でございます。こうして収集しました 感染症情報を分析をいたしまして、国民に広く、あるいは医療機関に的確に情報を提供 するということでございます。  3ページでございますが、3番に具体的な情報収集、分析等の体制の説明がございま す。フローの図が付いてございますので、ご参照いただきたいのですが、保健所に集め られました情報の流れを先ほど申しましたように、すべて同一にして取り扱おうと。現 在は、伝染病統計でありますとか、あるいは予算事業で行いますサーベイランスのオン ラインでありますとか、いろいろな情報が錯綜してございますけれども、今回すべて同 じ流れに乗せる。オンラインシステムの現行のシステムを改善いたしまして、保健所か ら都道府県本庁、あるいは厚生省へ情報がスムーズに流れるように。そして情報の提供 と公開を的確に、あるいは迅速に行うようにしていくということでございます。  さらに4ページ目、4番でございますが、届出対象感染症の説明がございます。 (1)が、診断した医師が直ちに保健所に届け出るべき旨規定されている疾病でござい ます。(1)に1類感染症とございます。ここにございますような出血熱系、あるいはペス ト、そういった5つの疾患が対象となります。この場合には疑似症患者、さらに患者、 そして無症状病原体保有者、このいずれの場合であっても届出を行うということになっ てございます。  2類感染症は、疑似症を適応するコレラ、細菌性赤痢等の4つの疾患と、疑似症を適 応しないジフテリア、ポリオの2つの疾患に分かれますが、合わせて6つの疾患が対象 になるということでございます。  3類感染症につきましては、腸管出血性大腸菌感染症が対象ということになってござ います。  (2)が、7日以内に保健所に届出をしていただく感染症でございます。最初の全数 把握対象、これが33疾患ございます。ここに本日、議題になっておりますCJDも先ほどご 紹介がありましたように含まれております。  それから5ページですが、指定届出機関、いわゆる定点医療機関からの届出の記載で ございます。この指定届出機関は3行目でございますが、インフルエンザ定点、さらに 小児科定点、眼科定点、STD定点、そして基幹定点と、5つの種類の定点からなることに なっておりまして、都道府県知事がそれぞれの定点を開設者の同意のもとに指定をする ということになっております。報告は原則週報単位でございますが、STD、その他一部に つきましては月報単位で報告をしていただくということになっております。  今回、定点の数を充実をいたしまして、インフルエンザ定点につきましては、小児科 定点と内科定点を合わせて5,000。それから小児科定点は、これら12疾患を対象にいたし まして約3,000、それから眼科定点は600、STDが900、さらに基幹定点といたしまして約 500カ所ということを目指して現在、各都道府県におきまして指定届出機関の選定作業を 進めているということころでございます。  以降は参考資料といたしまして重複しますが条文が付いておりますので、後ほどご覧 いただければと思います。  以上、簡単ですがご説明させていただきました。ありがとうございました。 ○佐藤委員長  ありがとうございました。 ○三丸補佐  参考資料6に戻らせていただきますけれども、参考資料6に基づいて、医療機関のほ うで診断していただいた結果が上がってくるというかたちで、ここでクロイツフェル ト・ヤコブ病で孤発型であれば1番で、「確実例」、「ほぼ確実例」、「疑い例」であ れば、ア、イ、ウに○が付いてくると。そういうのが1つのデータベースとしてオンラ インで上がってくるというかたちに今後なります。  以上です。 ○佐藤委員長  感染症の新法について、お二人の事務局の方からご説明がありましたが、これを制定 されるのに非常にご苦労が多かったことと思いますが。ご質問はございませんでしょう か。山内先生、どうぞ。 ○山内委員  この場合、国が感染症予防の基本指針とか、都道府県が予防計画を策定するとなって いるのですが、こういったものをこれからつくられるということなのでしょうか。 ○結核感染症課・佐野補佐  基本指針の案を昨年の末に公衆衛生審議会に諮問いたしまして、同日答申をいただき ました。いま告示のための準備をしております。新法が施行されますのが今年の4月1 日ですので、4月1日付けになるのだろうと思いますが、基本指針というかたちで告示 がされると。内容につきましては、既に案というかたちで各県に周知をいたしておりま す。 ○山内委員  クロイツフェルト・ヤコブなんかの場合は、かなり特殊なものになると思うのですが そういった特定の疾患に関しても、やはり基本指針を独自につくっていくというかたち なのですか。それとも、大きな枠でつくるのですか。 ○結核感染症課・佐野補佐  感染症予防行政全体を捉えまして、基本的な考え方を、発生動向調査でありますとか あるいは医療体制の提供でありますとか、人材の養成・育成でありますとか、そういっ た大きな括り方をいたしまして、個別の疾患に着目したものではございませんので、そ ういったかたちで示してございます。 ○佐藤委員長  1つ私のほうからお伺いしたいのは、平成11年の4月から施行されるということです けれども、先ほどもちょっとお話がありましたが、クロイツフェルト・ヤコブ病の発生 状況の把握率がこの2年間非常に低いのですが、過去に遡って、例えば1年前の症例で 死亡した症例も、今回一斉にここに登録するということになりますか。 ○三丸補佐  なりません。診断時から7日以内の届出というかたちになりますので。あと、死亡さ れたときにわかったものは、懸案というかたちで出てきます。 ○佐藤委員長  出てくるのですね。7日というのは、例えば1年間入院して‥‥。 ○三丸補佐  発症から7日ではなくて、鑑別診断等を全部やって、クロイツフェルト・ヤコブ病だ と診断できた時点から7日です。 ○佐藤委員長  7日以上。 ○三丸補佐  7日以内に届け出る。 ○佐藤委員長  以内ですね。そうすると、1カ月も2カ月もたっている人は、例えば平成10年の8月 に診断した人がまだ入院しているという場合には、その人の届出は。 ○三丸補佐  それは今回は上がってきません。 ○佐藤委員長  これは上がってこないですね。そうすると、この2年間の把握率が低いということに ついては、何か対策を講じないと、日本の実数というのか、疫学的な発生数がつかまら ないと思いますけれども。 ○三丸補佐  ただ、これは発生動向を見るというかたちですので、過去を掘り起こしてずっと1例 1例というかたちの法律ではございませんので。新しく発症してくる分をずっと正確に 捉えるというかたちで動いております。 ○佐藤委員長  平成11年4月からはよくなるわけですけれども、その間が問題になります。 ○三丸補佐  ただ、これも年次を過ぎていくにしたがって、だんだんそこは薄まってくるとは思い ます。 ○佐藤委員長  北本班で、欠陥のある2年間については、やはり何とか対策を講じられないと、正確 な発症率が、有病数がつかまっていないですよね。 ○中村先生  いくつか方法はあるとは思うのですけれども。1つは、研究班として全国調査をもう 一度行って、ここ2年間のを補完するというかたちがあると思います。  もう一つは、死亡の統計は人口動態統計で上がってまいりますから、これについては 95年からICDの変更がありまして、疾病区分が異なっておりますけれども、クロイツフェ ルト・ヤコブ病については、ほとんど影響ないと思います。ですから、死亡数について は、ここ20〜30年分の一貫したデータがありますので。ちょっと時間がかかると思うの ですけれども、例えば5年なりたった後で振り返ってみて、95年までの佐藤班のデータ それから96〜98年のサーベイランスのデータ、それから99年4月以降の感染症新法によ る届出のデータというのを見て、もう一つ死亡率をにらみながら何とかつなぎ合わせ る。例えば報告された割合が何%であろうということを考えて、その逆数を掛けてやる というようなかたちで推定するという、その2つの方法が可能性としてはあると思いま す。 ○佐藤委員長  ありがとうございました。では、死亡統計の数がわかってから、改めて検討されるこ とになりますね。  いまご説明のありました感染症の新法について、他のご質疑はございませんでしょう か。どうぞ、祖父江先生。 ○祖父江委員  この参考資料6についてなのですが、「確実」、「ほぼ確実」、「疑い」とあります ね。これはいまのサーベイランスのクライテリアとまったく同じですか。 ○三丸補佐  はい。 ○祖父江委員  そうすると、これは各ドクターがこのクライテリアを把握しているという前提で、こ れを書いてもらうというかたちになりますか。 ○三丸補佐  そうです。それともう一点は、診断基準を一緒に付けようかという考え方もありまし たけれども、1点は、大抵この病気を診断される時点においては神経内科の先生方が、 あるいは精神科の先生方、脳神経外科の先生方、そっちの関係で診断されると思われま す。それとともに、まだこの病気について、特に新変異型については1回基準を出して も研究のほうがどんどん進んでいくようなかたちがあって、行政として追いかけ、追い かけというかたちで遅れるよりは、新しい情報をどんどん取り入れられておられますの で、そこのところで診断された分を上げていただくという考え方を取っております。 ○祖父江委員  わかりました。そうすると、いまの診断基準から、だんだんズレてくる可能性もあり ますね。 ○三丸補佐  そのへんは集計結果をずっと見ていった段階で、診断基準がどういうかたちなのかと いう検討は必要になるかとは思いますけれども、現状として出している分は、昨年ぐら いからだいぶクロイツフェルト・ヤコブ病は話題になっていまして、神経内科の先生方 も関心を持たれて診断基準も広まったと思うのですけれども、それでもまだ、これで最 終の診断基準とも言いにくいとも思いますので、一番情報が早いところは先生方だと思 いますので、そこの判断でやっていただくというふうに考えております。 ○祖父江委員  そうすると、「ほぼ確実」と「疑い」というのの診断基準を付けないということです か。 ○三丸補佐  反対に言えば、マニュアルの改訂でどんどんやっていくようなかたちになると思いま す。 ○品川委員  発生届というのが「疑い」というかたちで届出が出てしまった場合、あと変わった場 合というのは、この届出が取り消せるということは。「疑い」ということでですね。 「確実」になっていない場合に届け出るということはあるわけですよね。 ○三丸補佐  というよりも、CJDというのは診断基準、「疑い」というのは言葉がちょっと紛らわし いですけれども、疑似例ではなくて、鑑別診断が全部できていてPSDがないというやつが 「疑い」になりますので。 ○品川委員  ああ、そういう意味ですね。CJDに関しては確実だということ。 ○三丸補佐  はい、そうです。 ○佐藤委員長  私も誤解していたのですけれども、臨床的にまだ確定しない、できないということで はなくて、CJDという診断をしたうえでPSDがあるかないかということで「疑い例」に。 ○三丸補佐  これはWHOのクライテリアもそういうかたちになっております。 ○佐藤委員長  少し紛らわしいんですね。やはり絶えずマニュアルを手元に置いて、「疑い例」のク ライテリアを見ないと。通常の常識的な「疑い」だと、例えば多発性硬化症の「疑い 例」ですと、我々の頭にあるように、例えばある検査データがある、なしで「疑い」に 入れるわけではないですから。これは少し違っているのですよね。 ○三丸補佐  いまの類縁疾患も同じクライテリアでやらせていただいていますので。 ○佐藤委員長  そこのところを徹底しないと混乱するかもしれませんね。 ○三丸補佐  この調査票について、できるだけ新変異型をつかまえたいということで、詳しく取ら せていただくようにお願いして、ここまでなりましたけれども、反対に言えば、こうい うかたちまで取れたのが精一杯というところです。 ○佐藤委員長  非常に事務局の三丸さんに、いろいろと努力していただきまして、CJDに関しては従来 のこの委員会で把握しておった情報、それ以上の情報も盛り込まれておりますけれども その情報がこの感染症新法から手に入るようになった。これは非常にありがたいことだ と思います。 ○立石委員  従来の調査票と比べてみて、確かにいまお話しになったような点が充実していると思 いますが、1つ今後の届出様式には「献血の有無」という項目は出てきません。前のに は出ておった項目ですね。これは発生届出様式だから、いらないといえばいらないです が。 ○三丸補佐  いえ、これ自体が法律で取る項目が決まっているので、献血歴は取れないんです。 ○立石委員  あとから遡及して調べることはできますか。 ○三丸補佐  いわゆるこのサーベイランス自体が個人情報を全部落とすかたちでしかやってはいけ ないというかたちになっていますので、現行法上ではこれが精一杯というかたちになり ますので、そういった献血例等についての対策は今後また検討していかなくてはとは思 っています。一応、見直し規定としては5年後の見直し規定というのが入っております けれども、そのへん、現行法上でどう対応していくかというのは今後検討していきたい と思っています。 ○立石委員  手術などの既往歴は、ちゃんと取れるわけですか。 ○三丸補佐  取れます。 ○佐藤委員長  献血は入らないですね、確かに。 ○三丸補佐  それは規定上でどうしても取れないというかたちで、入れません。 ○立石委員  だけれども「輸血等」という項目もありますから、受けたほうはチェックできるけれ ども、献血したほうはできないということですね。 ○北本委員  CJDの場合、特定疾患の治療疾患という面がありますよね。これは引き続き続くのです ね。 ○三丸補佐  これは続きます。 ○北本委員  そうすると、いわゆる認定を受けた‥‥。 ○三丸補佐  はい、ただそこについても県でも個人情報の問題もありますので、そのへんどう動か せるかを検討していきたいというかたちです。 ○佐藤委員長  この届出票をつくられるときに、そうとう努力されて、できるだけ情報を取られるよ うにされたんですけれども、やはりいまのご議論のように例えば献血歴のようにどうし ても調べないとダメな情報がありますから、これはどう対応したらよろしいでしょうか ね。改めて全例について問い合わせする必要があるかどうか。 ○三丸補佐  いえ、それは現行法ではできないです。 ○佐藤委員長  でも、この票は継続してどういうかたちになるのか。サーベイランス委員会なり、北 本班の疫学班で。 ○三丸補佐  いわゆる、これは発生動向をチェックするためというかたちでしかなっておりません ので。そこの部分はエイズも同じ問題がありますけれども、取れないというかたちに現 行法ではなります。 ○佐藤委員長  いや、それはよくわかったのですが、これは患者さんのイニシャルも書いていないの かな。 ○三丸補佐  個人情報は全部ダメです。 ○佐藤委員長  全部ダメなんですね。そうすると、新たな形式の疫学班として、あるいはサーベイラ ンス委員会として、必要な情報の問い合わせをどういうふうにしたらよろしいですか。 上がってきた症例について。 ○三丸補佐  これについての問い合わせというかたちは、アクティブサーベイランスというかたち でのご発言だと思いますけれども、特に何らかの緊急に対応する必要、例えば新変異型 が出たとか、そういうかたちでないと通常のかたちでは、どうしても今回の法律ではプ ライバシーの保護が非常にメインに立っているところもございますので、難しいかなと 思います。そこのあたりは、今後も検討させていただきたい。できるだけ、血液のほう でもいま伝達性海綿状脳症対策部会の中央薬事審議会のほうでも検討されておりますの で、そちらの動きを見ながら、なるべく現行法上で無理のないような対応法を検討して いきたいと考えております。 ○北本委員  いま中央薬事審議会のことが出ましたので、その後の安全局等への情報提供とかとい う意味でも、ここでちょっと発言させていただきますけれども。  血液製剤ということでは、いま孤発性のCJD以外に関しては、つまり孤発性のCJDと診 断されたときは、もう回収はしないというふうになったのですが、その後、品川先生等 の班会議で、実は血液製剤中で頭に入れるものがあると。これは人の血液製剤からつく って、しかも、いま硬膜移植の代わりにゴアテックスを使ったりという、何というんで すか‥‥。 ○品川委員  糸で縫ったあとの漏れてくるのを。 ○北本委員  髄液が漏れるのを防ぐために、フィブリンのりを使うということになりますと、いま までの血液を血管内に投与するから脳は問題ないというのを頭に投与しだしますと、立 石先生がされたような感染実験と同じことになってしまいます。ネズミの頭に。という ことになって。もちろん安全局のほうも、それらを考えられているのですが。つまり投 与法の違うものもありますので、私は今後、かなり血液製剤というのは問題になってく る可能性はあると思います。これは私もつい最近知ったニュースですので。血液製剤を 血管だけではないというのをちょっと認識していただいてですね。頭に入れるとなると これはかなり感染力の強い投与法になってしまいますので、そういう点があるのだとい う認識をしていただければと。 ○三丸補佐  そちらのほうにつきまして、いま医薬安全局のほうも来ていますので、一応検討され るという話で。そっちも知っているんですよね。 ○北本委員  もちろん安全局にも情報提供しています。 ○医薬安全局・山本補佐  安全対策課のほうへも情報をいただいていますので、血液製剤とは、また違ってリス クが高いものと認識して対応したいと思います。 ○北本委員  同じ血液からできるものですからね。 ○佐藤委員長  先ほどのサーベイランスをどういうかたちで。いまいろいろとご意見をいただいたよ うに、やはり血液製剤の安全性を今後の場合は疫学のデータを見ながらさらに確認する という意味でも、個人情報の必要な情報は1例ごとに確かめないとダメなのですけれど も。 ○三丸補佐  そこは無理です。 ○佐藤委員長  この票からは無理なんですよね。ですから、例えば北本班で、やはり独自に疫学サー ベイランス委員会をつくられて、専門部会のようなものをつくられて、ここで上がって きた‥‥。主治医名があるわけですから。 ○三丸補佐  研究班のほうで疫学調査をやられる分と、これとは別ですから。 ○佐藤委員長  そうですね。そうすると、ここでいただいた主治医のもとに、さらにアンケート用紙 を出すかどうかということですね。 ○北本委員  いや、それはできないのではないですか。個人情報が得られないわけですから。 ○佐藤委員長  主治医の情報は上がってくる。この票は公開になるわけですよね。 ○三丸補佐  いえ、この票は公開になりません。これの全部のワークシートは公開になりますけれ ども。 ○佐藤委員長  そうすると、主治医名は公開にならないわけですか。 ○三丸補佐  ならないです。 ○佐藤委員長  そうすると調べようがないですね。 ○北本委員  ここから調べることは無理だと思います。 ○結核感染症課・佐野補佐  ただ、各保健所はCJDの報告があったということはわかっております。それがどの先生 から来たかというのはわかっておりますから、協力ベースといいましょうか、法律に基 づく調査というのは先ほど三丸技官がおっしゃったように困難だと思いますけれども、 何らかのアプローチというものが、クロイツフェルト・ヤコブ病対策固有の問題として あるのかもしれないなという気がいたします。 ○佐藤委員長  ある点で例えば年間10例の報告があると、それに該当する回答が来なければダメなわ けですから、その県に調査票を送って、その数だけ報告してほしいという依頼はできる わけですか。 ○結核感染症課・佐野補佐  感染症新法の範疇からは外れるものであるとは思いますけれども。 ○佐藤委員長  私が伺っているのは、できるだけ正確に有病率を把握して、それからまだ懸案になっ ていて、これからフォローの必要があります血液製剤の問題とか、いま新たに指摘のあ りましたイビリンノリの安全性の問題とか、さらに毎年の疫学的な背景に必要なデータ が必要なので、どういう方法でそのデータを吸い上げるかという技術的な問題なのです けれども。 ○三丸補佐  全部個人情報というかたちは、ちょっと難しいかとは思いますけれども、何らかで、 安全対策としても公衆衛生上としても対策をとらなければという問題点は持っておりま すので、現行法制度でどう動けるかというかたちで検討させていただきたいと思ってい ます。それまでしか、現在のところは。 ○佐藤委員長  少し他の委員の先生方に、北本先生と中村先生、それから柳川先生とご相談した経緯 を申し上げますと、いくつか新法のことで私もわからないことがあったのですが、そう いう時点において、一応現在のサーベイランス委員会の機能の話も100%で機能している かどうかの問題はありますけれども、こういうかたちをぜひ。サーベイランス委員会の かたちで半年に1回ずつ、国内のCJDの患者の発生状況を把握しているわけですけれども それについてぜひそういう体制を継続してほしいという要望書のたたき台をつくりまし て、それを中谷課長と三丸補佐にご相談して、提出するかどうかの段階なのですが。 ○三丸補佐  この委員会につきましては、先日も委嘱状をお送りしたと思いますけれども、また2 年間よろしくお願いしたいと思っています。 ○佐藤委員長  継続になるのですね。この委員会に上がってくる情報は、いままでの調査票の情報で はなくて、今度はこれの情報ですか。 ○三丸補佐  そうです。そうなると思います。感染症予防法の届出に基づく情報です。 ○佐藤委員長  そうすると、この委員会として、例えばある県に10例の発生があったとすると、その 10例に見合うような追加情報の問い合わせというのは、その県に依頼することは可能な のですね。 ○三丸補佐  公的には難しいと思います。 ○佐藤補佐  この発生届けは、少なくとも公表されるのは、例えば何々県にいつからいつまで何例 発生したという‥‥。 ○三丸補佐  いや、県の情報とかは‥‥。 ○佐藤委員長  それも上がってこないですか。 ○結核感染症課・佐野補佐  出ます。県に何件とか、性別とかですね。 ○佐藤委員長  それは出てくるんですよね。だから、その県の担当のところに依頼して、何々県でこ れだけあったから、管内でそれに見合うところにアンケートを出してほしいという、そ ういう方法でしかできないですか。具体的には。このサーベイランス委員会の名前か厚 生省の名前で。 ○三丸補佐  ちょっと検討させてもらわないと、いまは即答できません。 ○佐藤委員長  いまのご指摘のように、これでは情報が不十分ですし、いまのお話を伺いますと、例 えば生年月日とか、もう少し詳しい情報すら、まだ把握できないものがありますから。 ○三丸補佐  そこについては取れません。明確に。 ○佐藤委員長  取れないんですよね。やはり、どうしても別な調査票で問い合わせることが必要にな りますね。これからはですね。 ○三丸補佐  研究班での疫学調査というのであれば、全然関係はないですけれども、いわゆる公的 に取るというかたちでは、この法律に則ったかたちでしか取れないと。 ○佐藤委員長  この感染症新法ではですね。だから、別途にサーベイランスが継続できるような技術 を教わって、やはりいままでにさらにいくつか新しい指摘のあった情報を加えたものに ついては情報収集を続けるということの体制についての検討は必要だと思いますので。 今日、この場ですべて詳しい議論はできませんでしたが、いま申し上げましたように北 本班の班長としての北本先生と、このサーベイランス委員会の委員長として私の立場で いま厚生省に相談しているところですので。それをもう少し具体的に詰めさせていただ いて、また委員の先生方にご相談するというかたちをとりたいと思いますけれども。  時間のこともありますので、一応この問題はこのへんで打ち切りたいと思いますけれ ども。どうぞ、北本先生。 ○北本委員  僕はやはり、この数の把握というのは非常に重要なことになってくるのだろうと思う んですよ。もう一つ、例えば特定疾患の班会議で、何かに絞った疫学調査をするという ときも、その把握率というのは、今後この数を目標にしてなされるべきであると思いま すので。基本的には第4類の感染症のこの個票ができて、数、それからある程度の情報 が得られるというのはですね。個人情報は別ですけれど、やはり我々が調査するときの 目標になる数字である。ただ、今後の例えば公衆衛生対策とか、今後の輸血の問題とか 血液製剤等の問題を目指したような調査をするというのには、どう考えてもこれでは無 理ではないかなと。だから、もう別に考えていったほうがいいのではないかと思うんで すね。その別に考えていくときの我々の目標とする患者数、ないし全体情報ということ からすれば、非常に有用な情報ではないかと思います。 ○佐藤委員長  数の把握ではですね。具体的な案を検討していただいて、できるだけむしろさらに発 展的に新しいいろいろなデータが把握できるように、またご提案をお願いしたいと思い ますけれども。よろしくお願いします。そういうことでよろしいでしょうか。  少し時間を取りましたが、いまの感染症新法のことについて他にご意見はございませ んでしょうか。 ○中村先生  私は委員ではないのですけれども。届出票の推定される感染経路等のところに、ヒト 乾燥硬膜というのがありますけれども、これは移植の年月日が入っていないですね。 ○三丸補佐  それは推定される年月日というのが上のほうの欄に。感染が推定される年月日という ところで。 ○中村先生  ここでわかるということですか。 ○三丸補佐  はい。 ○中村先生  書き漏れなどがあったときには、きちんとやるということですね。本当にキチッとで きるかという気が、ちょっとしたのですけれども。 ○三丸補佐  反対に言うと、感染が推定されるというかたちであれば、そこの情報が入るというか たちになると思いますので。 ○中村先生  わかりました。ありがとうございました。 ○三丸補佐  というよりも、他の様式がそうなので、あまり全部というかたちにはできないので。 ○佐藤委員長  他に、いままでのお二人のご説明で質疑はございませんでしょうか。 ○北本委員  この個票を使われるのは、HIV感染と‥‥。 ○三丸補佐  いえ、クロイツフェルト・ヤコブ病とエイズ、つまり後天性免疫不全症候群、これは 別の形式での個票になります。それと先天性風疹症候群、この3つです。 ○結核感染症課・佐野補佐  1類から3類までが共通の様式でございまして、33の4類感染症のうち3疾病だけが それぞれ別々の様式ということになっております。まだ現段階での案ということでござ いますが。 ○佐藤委員長  よろしいでしょうか。それでは次に事務局で用意された議題に移りたいと思います。 ○三丸補佐  一応今回、記者レクもございますので、前回までの内容を含めまして、今回の検討事 項も合わせて数の確認をさせていただきたいと思います。 ○佐藤委員長  では、お願いします。 ○三丸補佐  現在、暫定版となっておりますけれども、1番は本日、疾病対策部会の専門委員会が 開催されましたということを書いております。  類縁疾患調査の平成10年12月末日での集計結果が報告・検討されました。その概要は 以下のとおりですということで、平成10年7月1日より12月末日までに報告された15例 及び前回の専門委員会で保留とされた2例のうち1例。このクエスチョンマークは外し ます。その計16例を検討いたしました。  新規報告の15例のうち、一昨年の全国調査との重複例はありませんでした。検討され た16例(保留の1例を含む)のうち、保留が2例。72番の前回の保留1例と、今回114番 の症例ですね。その1例が保留。除外はありませんので落とさせていただいて、新たに 確認された症例は14例になります。若年発症及び新変異型‥‥新変異型はないというこ とでよろしいでしょうか。 ○佐藤委員長  はい。 ○三丸補佐  新変異型はありませんでした。手術歴の既往を持つ症例は8例。保留になった症例は 手術歴の既往はございませんので、8例です。 ○中村先生  既往あるよ。 ○三丸補佐  ありますか。どちらが。 ○中村先生  114番。 ○三丸補佐  では7例です。失礼いたしました。7例で、硬膜移植歴の既往があるのが1例。  クロイツフェルト・ヤコブ病が感染症新法における4類感染症となり、平成11年4月 以降は法的に届出がされるようになる旨、事務局より報告がありましたというかたち で。  次を開いていただきまして、症例の一覧ですけれども、保留例の2例はこのまま動き ません。114番が女性の症例ですので、性別で7と7の。保留のところが3例になって、 新規が14例ですね。全体は、これは15を足し上げていますので、93例です。この全体に は保留の数は入れていませんので。 ○中村先生  ちょっと待って。いいのかな。 ○三丸補佐  前回までの分が、ちょうど訂正版で一番後ろに付いています。前回、申し訳ありませ ん、男女が反対になっていましたので、訂正させていただきます。  47に7例加わりますので、女性が54例、全体は93例と。 ○中村先生  はい、そうですね。 ○三丸補佐  ですから、上から言いますと全体が93例。1例保留になりましたので、保留が1例増 えて3例。新規が1例保留になりましたので14例。男性39例、1例、7例は変わらず、 女性が54と2例と7例に変わります。  年齢のところは、2、1、4。4と2は変わらずに、この症例が68歳ですから、41例 が40例に変わります。ここが6例になります。 ○中村先生  保留のところが1ですね。 ○三丸補佐  保留が1です。それと、これは発症が98年ですから、98年のところは14になって、保 留が1と新規は10例です。硬膜移植の既往を持つ症例は、変わりはありません。  それとあと、全国調査との足し上げですけれども、今回の報告総数は14例になるんで すね。1例保留になりましたので。これは保留分はカウントしておりません。若年者、 49歳以下は、前回保留分がまだ保留のままでしたので0です。硬膜移植例は1例報告さ れております。全数としましては、922例。若年は20例の11例。硬膜移植歴の既往を持つ 症例が61例と。  それと次の1枚は、前回集計で記者発表した際に男女がひっくり返っていましたので それを訂正させていただきます。  このかたちで報道機関のほうに発表させていただきたいと思います。 ○佐藤委員長  どうもご苦労さまでした。 ○中村先生  ちょっといいですか。参考資料の調査2の今回の16でいいのですか。 ○三丸補佐  14です。調査2の下のほうですね。14の0の1。 ○中村先生  はい、わかりました。それだけです。 ○佐藤委員長  何かご質問なりご意見はございませんか。 ○山内委員  いま口で直された資料ですが、最終的に打ち上がったものをいただけますか。 ○三丸補佐  では、各先生にはお送りさせていただきます。 ○佐藤委員長  他に全般を通じて、ご意見はございませんか。ちょうど定刻になりましたが。北本先 生。 ○北本委員  実は、今日はここに我々がやっている病理のほうに集まってくるクロイツフェルト・ ヤコブ病の症例をいくつか持っていったんです。これは北海道大学で、たまたま3例剖 検されたものがありまして。去年の秋ぐらいですけれども。1例は硬膜移植の既往があ るということで、おそらくこの中でもディスカッションに入っている症例があります。  もう1例は、これはあとでコピーを取っていただいてもいいのですが、ちょうど小脳 橋角部の腫瘍の手術の既往歴ということだけで、別に硬膜移植例に入っていなかったん ですね。ところが私が検索させていただいたら、これは典型的な硬膜移植例の新型CJDに 近いような病理像を持つものであったということでして。それからも何回も調べていた だいたのですが、結局1988年に小脳橋角部の手術をしたというだけで、硬膜の移植の既 往歴はありませんでした。  もう1例は、典型的なCJDということで見たのですが、ここに写真を持ってきています が、これは立石先生にも見ていただいたのですが、小脳に小さな小さなクールー斑みた いなものがあってですね。こういうのは、いままでの日本のCJDではないのではないかと いうことで、我々病理のところには、こういうアティピカルな例といいますか、非典型 的な例などもよく来ますのでね。  いままでの、例えばサーベイランスというのは、やはりニューバリアントを目標にし てきたとか、途中から硬膜というのが問題になってきましたけれども、1つは今後の問 題提起として、病理像を中心としたですね。つまり解剖例を中心としたサーベイランス というものも、この3例を見て実はいるのではないかなという気がして、最後にちょっ とコメントを。臨床的に診断するというのは、私は非常に重要だと思うのですが、レト ロスペクティブでも、いままでの日本のクロイツフェルト・ヤコブのタイプはどうだっ たという、こういう神経病理、病理学的な検索を中心とするサーベイランスチームとい うものを日本で立ち上げることは非常に重要ではないかということを感じましたので、 付け加えさせていただきました。 ○佐藤委員長  ありがとうございました。先ほどの臨床的な情報をどういうテクニックで収集するか ということと、やはり裏腹で、いまの剖検例の病理標本をキチッと一定の委員会で見直 すということが必要だというお話も当然必要だと思いますし。それは北本班でまた技術 的な検討とご提案をいただいてということになりましょうか。いまのお話に何かご意見 ございませんか。 ○立石委員  いまの硬膜の話ですね。これは明らかに日本人の硬膜で感染したものではなくて、外 国のCJDが入ってきているわけで。それで私は、これに関してはかなり厳重に振り返って みたり、あるいは将来注意していく必要があると思うんです。  1つは、人種差の問題がありますから、日本人の129番コドンは、ご存じのようにM/M のホモ細胞部が大部分ですから、そこへもってきてヨーロッパから新しい株が入ってき た場合に、どういう反応を起こすかは、これは現在わかっていないわけです。ただ一つ 日本の硬膜移植例が多いということの背景になっている可能性は、私は否定できないと 思うんですよ。外国にこれほど出ている国がないのは、調査不十分のせいか、あるいは 129番のせいか。それを含めて私は、やはり疑問症例はかなり遡及して調べる必要がある と思いますし、今後もそれに対する検討をしていかないと、日本にこのタイプのCJDが今 後増えてこないという保障はないと思います。  だから、そういう意味で私は硬膜ケースは、ちょっと神経質に考えたほうがいいので はないかと思います。従来なかったような病理を出すケースがあったら、やはりフォ ローしてきちんとしておかないといけないと思います。 ○佐藤委員長  北本先生、いまの剖検例の年齢を教えていただけますか。その3例のそれぞれ硬膜移 植年の年齢と、セルボロ本体に受けた年齢と。 ○北本委員  まず硬膜移植のあとがありという人は63歳です。それから、小脳橋角部腫瘍で、多分 硬膜移植だろうなという人は68歳です。 ○佐藤委員長  若くはないのですね。典型例で小さいクールー斑があったという。 ○北本委員  小さいクールー斑があったケースは70歳です。 ○佐藤委員長  すべて高年齢ですね。 ○北本委員  高年齢ですね。硬膜移植例だと思われる、その2例というのは、全部国府台のCJDとま ったく同じです。 ○佐藤委員長  そうですか。ありがとうございました。 ○端委員  いまのは60例の中には入っていない症例ですか。 ○北本委員  それは確実に入っていないです。だから、もうちょっと多い。 ○佐藤委員長  いまの立石先生のお話のように、新たな感染性のプリオンがもし日本に入ってきたと すると、やはりこれからのいろいろな疫学のデータというのは非常に貴重になりますの で、ぜひ厚生省のほうにも、いろいろとご指導とご協力をお願いしたいと思いますが。 よろしくお願いします。 ○三丸補佐  先ほど、報告が上がっていないと。 ○北本委員  これは多分。 ○佐藤委員長  まだなんですね。 ○三丸補佐  上がっていなければ、上げてもらうように言ってもらったほうがいいです。 ○北本委員  はい、わかりました。少なくとも、硬膜使用としての報告はしていないわけです。 ○佐藤委員長  少し時間が超過して、すみませんでした。今日はどうも長い間ご意見を賜って、あり がとうございました。これで閉会してよろしいですか。 ○三丸補佐  本日はお忙しいところ、ありがとうございました。ただいま配布しました記者レク資 料につきましては、本日11以降公表となります。また、記者会見も行う予定でおり ます。  次回の開催は、平成11年の6月ごろ、1月から3月までの分の集計が。6月でよろし いでしょうか。 ○中村先生  はい、結構です。 ○三丸補佐  6月ごろ予定させていただきたいと思いますが、机の上に予定表がありますので、ご 記入いただいている方は出していただきまして、もし確認される必要があれば、後で当 課のほうにFAXをいただければと思いますけれども。よろしくお願いします。 ○佐藤委員長  では、どうもご苦労さまでした。 −了− 照会先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課     代表:03-3503-1711     内線:2355     担当:金谷