99/02/17 公衆衛生審議会精神保健福祉部会議事録 公衆衛生審議会精神保健福祉部会 議 事 録 厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課 議 事 次 第   日 時  平成11年2月17日(水) 10:00〜12:20   場 所  厚生省特別第一会議室(7階)    1 開 会    2 議 事    (1)精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案要綱 について(諮問)    (2)国立精神・神経センター及び国立精神療養所の立入調査結果について(報 告)    (3)その他    3 閉 会 〔出席委員〕   高 橋 部会長   北 川 委 員  浅 井 委 員  伊 藤 委 員  池 原 委 員   生 田 委 員  大 熊 委 員  河 ア 委 員  吉 川 委 員   窪 田 委 員  小 西 委 員  佐 野 委 員  白 倉 委 員   仙 波 委 員 新 田 委 員  西 島 委 員  牧野田 委 員   町 野 委 員  谷 中 委 員  吉 澤 委 員 ○部会長 ただいまから公衆衛生審議会精神保健福祉部会を開催いたします。 前回、2月1日でしたか、当部会で決議しましたように、今回、傍聴の方が20名前 後、報道関係の方が見えておりますのでご報告いたします。  それでは、会議に入りますけれども、まず、初めに、本日の委員の出欠について、事 務局から報告をしていただきます。お願いします。 ○杉中補佐  本日は精神保健福祉部会委員23名中、19名の委員にご出席いただくことになっており ます。定数の過半数を満たしておりますので、部会の開催は成立いたしております。な お、窪田委員におかれましては、おくれてご出席いただく旨、ご連絡いただいておりま す。  また、本日、欠席される旨のご連絡いただいている委員は、阿彦委員、木下委員、高 杉委員、冨永委員の計4名でございます。そのほかの委員につきましてはおくれて来ら れるようでございます。以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。  それでは、議事に入ります前に、事務局から本日の資料の確認をお願いしたいと思い ます。どうぞ、お願いします。 ○杉中補佐  それでは、配布資料の確認をさせていただきます。  資料1といたしまして「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律案等の一部を改正 する法律案要綱(諮問)」でございます。  資料2といたしまして「国立精神・神経センター及び国立精神療養所の立入調査結果 の概要」でございます。  資料3といたまして「国立精神・神経センター及び国立精神療養所の立入調査の結 果」でございます。  資料4といたしまして「三重県の精神病院でのインフルエンザ様疾患の集団発生につ いて」、  資料5が、「三重県多度病院の現地調査中間報告」でございます。  参考資料といたしまして「精神病院を有する国立病院・療養所に対する指導につい て」を付けております。  以上、欠落している資料等ございましたら、事務局まで申し出てください。 ○部会長  よろしゅうございますか、皆さん資料はお手元にございますですね。どうもありがと うございました。  それでは、議事に入らせていただきますが、まず、第1の議題でございますけれども これは厚生大臣から「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の改正案要綱」につ いて、この公衆衛生審議会に対して本日諮問がなされております。それでは、まず、そ の諮問の内容につきまして、事務局からご説明願いたいと思います。お願いいたします。 ○三觜課長  お手元の資料1でございます。改正の要綱案が示されておりますが、これを読まさせ ていただきます。        精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の改正案要綱 第一 改正の趣旨  最近の精神医療及び精神障害者の福祉をめぐる状況を踏まえ、精神障害者の人権に配 慮しつつその適正な医療及び保護を確保し、及び精神障害者の社会復帰の一層の推進を 図るため、医療保護入院の対象者を明確にし、精神保健指定医の職務を適正なものとし 精神医療審査会の機能を強化するとともに、緊急に入院が必要となる精神障害者の移送 に関する制度を整備するほか、精神障害者居宅介護等事業等を創設し、在宅の精神障害 者に対する福祉事業を市町村を中心として推進する体制を整備する等の措置を講ずるこ と。 第二 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正 一 障害者の人権に配慮した医療の確保に関する事項 1 精神医療審査会の機能強化に関する事項  1) 都道府県知事は、精神医療審査会の事務を精神保健福祉センターにおいて行わせ ることができることとすること。 2) 精神医療審査会の委員数の制限を廃止すること。 3) 精神医療審査会は、定期病状報告、退院請求等の審査を行うに当たって必要がある と認めるときは、関係者に対して報告等を求め、診療録その他の帳簿書類の提出を命じ 又は関係者の出頭を求めて審問すること等ができるものとすること。 2 精神保健指定医に関する事項 1) 指定医がこの法律に違反したとき等において、厚生大臣は、期間を定めてその職務 の停止を命ずることができることとすること。また、都道府県知事は、指定医が指定の 取消し等の処分事由に該当すると認めるときは、その旨を厚生大臣に通知することがで きるものとすること。 2) 指定医は、医療保護入院を必要とするかどうかの判定等の職務を行った場合には、 遅滞なく、その氏名その他厚生省令で定める事項を診療録に記載しなければならないも のとすること。 3) 指定医は、その勤務する精神病院に入院中の者の処遇が厚生大臣が定める行動の制 限の基準に違反していると認める場合等において、当該精神病院の管理者にその旨を報 告しなければならないものとすること。 3 医療保護入院等に関する事項 1) 医療保護入院及び応急入院の対象者の要件として、精神障害により入院の必要性が 理解できないと判定された者であることを追加すること。 2) 仮入院制度を廃止すること。 4 厚生大臣及び都道府県知事の改善命令等に関する事項 1) 厚生大臣又は都道府県知事は、入院中の者の処遇が厚生大臣が定める基準に違反し ていると認める場合等において、精神病院の管理者に対し、改善計画の提出等を命ずる ことができるものとすること。 2) 厚生大臣又は都道府県知事は、精神病院の管理者が1)の命令等に従わないときは、 期間を定めて入院による医療の提供の全部又は一部を制限することを命ずることができ るものとすること。  二 緊急に入院が必要となる精神障害者の移送に関する事項 1 都道府県知事は、その指定する指定医による診察の結果、直ちに入院させなければ その者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であってその精神障害のため入院 の必要性について理解できないと判定された者につき、保護者の同意があるときは、本 人の同意がなくても、医療保護入院をさせるため、応急入院のため都道府県知事が指定 する病院(以下「応急入院指定病院」という。)に移送することができるものとするこ と。 2 都道府県知事は、1の要件に該当する者につき、急速を要する場合には、保護者の 同意を得ることができない場合であっても応急入院をさせるため、応急入院指定病院に 移送することができるものとすること。 三 保護者に関する事項 1 任意入院者及び通院医療を継続して受けている精神障害者の保護者については、治 療を受けさせる等の義務の対象から除外すること。 2 保護者の自傷他害防止監督義務を廃止すること。 3 新たな成年後見制度における後見人及び保佐人が、保護者となるものとすること。 四 精神障害者の保健福祉の充実に関する事項 1 精神保健福祉センターに関する事項  精神保健福祉センターの名称を弾力化するとともに、その業務の拡充等を行うこと。 2 施設及び事業の利用の調整等に関する事項 1) 精神障害者の社会復帰施設等の利用に関する相談、助言、あっせん等の業務を市町 村が行うものとすること。ただし、市町村は、その業務の一部を精神障害者地域生活支 援センターに委託することができるものとすること。 2) 都道府県は、1)のあっせん等に関し、保健所による市町村相互間の連絡調整等の必 要な援助を行うものとすること。 3) 通院医療の公費負担に係る都道府県知事への申請は、市町村を経由して行うものと すること。 4) 政令で定める精神障害の状態がなくなった場合に精神障害者保健福祉手帳を返還さ せることとすること。 3 精神障害者社会復帰施設に関する事項 1) 精神障害者社会復帰施設に精神障害者地域生活支援センターを追加すること。2) 精神障害者地域生活支援センターは、精神障害者に対する相談及び助言並びに関係機関 との連絡調整等の援助を行う施設とすること。 3) 精神障害者社会復帰施設の設置者は、厚生大臣が公衆衛生審議会の意見を聴いて定 める設備及び運営に関する基準を遵守しなければならないものとすること。 4 精神障害者の居宅生活支援に関する事項 1) 国及び都道府県以外の者は、あらかじめ都道府県知事に届け出て、精神障害者居宅 生活支援事業を行うことができるものとすること。 2) 精神障害者居宅生活支援事業は、精神障害者居宅介護等事業、精神障害者短期入所 事業及び精神障害者地域生活援助事業とすること。 3) 精神障害者居宅介護等事業は、精神障害者の社会復帰の促進を図るため、精神障害 のために日常生活を営むのに支障のある精神障害者につき、その者の居宅における食事 の世話、その者の身体の清潔の保持等の必要な便宜を供与する事業とすること。 4) 精神障害者短期入所事業は、介護等を行う者の疾病その他の理由により、居宅にお いて介護等を受けることが一時的に困難となった精神障害者につき、精神障害者生活訓 練施設等に短期間入所させ、介護等を行う事業とすること。 5 国及び地方公共団体の補助に関する事項 1) 市町村は、精神障害者居宅支援事業を行う者に対し、当該事業に要する費用の一部 を補助することができるものとすること。 2) 都道府県は、市町村に対し、市町村が行う居宅生活支援事業に要する費用の一部及 び1)により市町村が要した費用の一部を補助することができるものとすること。また、 都道府県は、精神障害者社会復帰施設の設置者に対し、当該施設の設置及び運営に要す る費用の一部を補助することができるものとすること。  3) 国は、予算の範囲内において、都道府県に対し、都道府県が設置する精神障害者 社会復帰施設の設置及び運営に要する費用の一部、都道府県が行う精神障害者社会適応 訓練事業に要する費用の一部及び2)による補助に要した費用の一部を補助することがで きるものとすること。 五 その他 覚せい剤の慢性中毒者に係る準用規定を廃止すること。 六 その他の罰則等について所要の規定の整備を行うこと。 第三 社会福祉事業法の一部改正 精神障害者居宅生活支援事業を第二種社会福祉事業に追加すること。 第四 医療法の一部改正 医療法人の業務の範囲に、精神障害者居宅生活支援事業を追加すること。 第五 施行期日等 一 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日 から施行するものとすること。ただし、第二の一の1の1)及び第二の四の1、2及び4 については、平成十四年四月一日から施行するものとすること。 二 この法律の施行に関し所要の経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の 改正を行うものとすること。  以上であります。 ○部会長  どうもありがとうございました。  なお、この改正案というのは、皆さんご存じかと思いますけれども、私どものこの新 しい審議会の前の審議会で検討会などもつくりながら検討を進めてこられて、1月14 日に、今後の精神保健福祉施策についてという審議会の意見をまとめたものをつくって おられます。それに沿って、厚生省の方で種々検討され、調整されてこういう形になっ たものだと理解されます。  ということを前提にしまして、いろいろご質問、ご意見おありかと思いますが、どう ぞ、順次ご発言いただきたいと思います。 ○西島委員  精神保健福祉法の改正につきましては、これは私は賛成でございます。ただ、今回、 法律の内容が初めてこういう形で出てまいりまして、専門家の立場としてご意見を申し 述べさせていただきたいと思います。今、資料が提示されますので。  一度法律になりますと、それが非常に別の形で動くということにもなりますので、こ れを詳細に検討しまして、こういう意見を出させていただきました。  まず、1つには、「指定医は、その勤務する精神病院に入院中の者の処遇が厚生大臣 が定める行動の制限基準に違反していると認める場合等において、当該精神病院の管理 者にその旨を報告しなければならないものとすること」ということでございますが、例 えば、職員間の信頼関係等々について大きな問題が生じるであろうというふうに考えて いるわけでございます。特に入院中の者の処遇等については、本来は管理者の責務であ ると考えています。報告の義務化によって解決する問題ではないと。指定医も医療施設 の中では被雇用者でありまして、管理者との信頼関係が損なわれることになります。ま た、今回のさまざまの一連の問題は、行政が毎年行っている実地指導が機能すれば、こ れは防げることであると私は考えているわけでございます。  次に、「医療保護入院及び応急入院の対象者の要件として、精神障害により入院の必 要性が理解できないと判断された者であることを追加すること」ということでございま すが、これにつきましても、昭和62年に精神衛生法が改正になりましたときに、当時 最初の案では任意入院の義務化でございました。これに対しまして、医療の現場が大混 乱を起こすということで修正した経緯がございます。医療保護入院は精神保健指定医の 裁量にしていただきませんと、これは非常に大きな混乱を来すことになると。ですから 現状のままでよいと考えます。  特にうつ病患者、アルコール依存者、シンナー依存者の対応はどうなるのでしょうか。 特にうつ病の患者さんに関しましては、軽症の状態で自殺することが非常に多い。これ は専門家は認めるところでございます。しかも、うつ病の患者さんは家族に申しわけな いと、会社に申しわけないということで入院を認めないことが非常に多いわけでござい ます。例え入院を認めて入院になったとしましても、焦燥感から夕方には翌日には退院 させてもらいたいというようなことをよく言われます。そうしますと任意入院ですから いつでも退院できますよという、そういう約束の中で入院をさせるわけでございますか ら、今の状態ではできませんよと言いますと、やはり患者さんと医師との信頼関係がこ こで壊れることになるというふうに考えています。  3番目が「保護者の自傷他害防止監督義務を廃止すること」でございますが、これに 関しましてはまだ周辺がほとんど整備が済んでない状態でございます。昭和62年の精 神法改正のときから触法患者等についてさまざまな問題がございました。しかし、これ は何も済まないまま先送り先送りで現在まで来た状況がございます。一体だれが責任を 持つのか。当然これは医者も責任持つのが当たり前でございますが、現状は一般市民が 殺害されて主治医が訴えられるというような現状がございます。これは一、二の例では ございません。この件に関しましてはたくさんの例がございます。今、提示しろと言わ れればいつでも提示はできます。また、触法患者対策と周辺整備が済んだ状態でこの件 については考えるべきではないかと思っているわけでございます。  その他、「国公立病院の役割、触法患者への精神科医療の対応について、明確に法律 に位置づけるべきである」というふうに考えておりますので、こういう意見を述べさせ ていただきました。  以上でございます。 ○部会長  どうもありがとうございました。現場の立場からすると混乱が予想される箇所もある というご意見かと思いますが、何かこれに関しましてご意見、ないしは今のようにご意 見まとめられて来られている方ございましたら、ご意見いただいて、もし共通するよう な課題がありましたら、一緒に討論したらいかがかと思います。  どうぞ、仙波先生。 ○仙波委員  今、西島委員が言った指定医の件ですが、恐らく今までの不祥事件の中でこれが組み 立てられたものだと理解しております。精神保健法の違反の事項があった場合に、すぐ に同僚の医師である医師が管理者に通告するというのは日常的には極めて異常な状態し か考えられないし、我々チームワークでやっている中で非常にこのことだけは突出する という感じは否めないと思います。  我々指定医は個人の責任において、それぞれ決められたことを施行するということが 原則であります。それらの組み合わせでチームワークの中でお互いに注意し合うという ことはもちろん日常的にやることでありますし、それをすぐに通告するということは非 常に問題があろうかと思います。その場合にどのような、程度とかということもあろう かと思います。物すごくこれは困るなあとしている場合に、例えば、そういうことが積 み重なっているのか、カルテ等記載が1つ漏れるとすぐに通報するということにもあり ますので、その程度ですね。程度もどういうものかということはみんなの不安をかき立 てております。  そういうことがございますので、これから要綱案の次に政省令その他通知等でいろん な現実化へのあれが図られると思いますが、そういう場合のその程度、それはペナルテ ィーがついているのか。それから、どの程度になればどうかというふうなお考えをお示 しいただきたいと思っております。1の問題については。  原則的には普通の社会等もこういうことが、例えば、ある会社で非常に社則に反する ようなことが行われた場合に、そのことをすぐに社長なりあれに通告する義務を課する だろうか、ちょっと唐突ではないかなという印象は否めないんじゃないかと思いますが いかがでしょうか。 ○部会長  ほかの委員の方、いかがですか。 ○河ア委員  恐らくこの問題は大和川病院の問題から出てきた問題だと思います。あそこの場合に 指定医が1名で、その指定医自身が管理者に報告も何もしておらなかったし、制定指定 医責任というのはどうなっておるのか、全部管理者責任だというようなところから議論 されたこともありますし、制限基準に違反しておるということよりも重大なる違反とか 恐らくあるときに議論されたことを文章化したものではないかと。大和川病院の特殊な 場合があったから、それを全部に今度法制化するのだというような印象を我々としては 受けるわけなんで、もう少しこれを深く考えていただいたらどうかなという気持ちはし ます。 ○部会長  事務局の方で、その点何かございますか。 ○杉中補佐  事務局としてのこの条文等についてご説明をさせていただきます。  まず、仙波委員からご指摘があったことでございますけれども、この条項につきまし ては、指定医がその病院内において重大な人権侵害と厚生省の定める行動制限の基準に 違反するような事態を発見したときは、当然処遇について責任を有する管理者に報告を して、その処遇の改善を図る必要があるだろうという指定医と、これは病院内において 医療の確保を図るという責任を持っておりますので、その役割について当然期待される 役割といいましょうか、義務というものを期待したものでございまして、積極的に病院 内における処遇の基準違反を見つけ出して、それを管理者に報告しなければならないと いうようなことまで期待して今回規定するというものではございません。  その辺の趣旨については、当然これは病院内における管理者及び指定医の関係という ようなものに影響を及ぼすものでございますので、今後、通知等で周知徹底させていた だきたいというふうには考えております。 ○部会長  ほかに関連したものでも関連しない問題でも結構ですが、河ア先生、このご意見をこ こでお話しいただけますか。よろしいですか。じゃあ、結構です。ではほかにどうぞ。 ○伊藤委員  今の仙波先生、西島先生のおっしゃるのは、管理者として非常にきつい、病院のチー ムワークが乱れるというのは、私もある程度わかるんですが、ただ、今の説明をお聞き しますと、重大な処遇の違反があったような場合を想定しているということですので、 仙波先生おっしゃるように、よほど病院の中が問題なときにしかこの条項は生きてこな いだろうというふうに想定しまして、これはこれで私は問題ないんじゃないかなと思っ て見ていたんです。  例えば、保護室の中に2人の患者さんを収容した事件があったわけですね、最近。き ちんと法的に、そういうことはいけないと書いてあるわけです。そこに指定医が既に何 人かおられたわけですから、その問題点をお互いにディスカッションすることがあれば この間のようなことは起こらなかったのではないかということなんですね。やはり指定 医が個人の責任で患者さんの処遇をきちんと見ていかなければならないんだと、厚生大 臣から指定医の資格をいただくわけですから、そういう意識をやはり持っていただくと いう意味でこの条項ができてきたのではないかと思うんですね。  そういう意味で、私は日常、悪口をお互いに言い合って病院の中の雰囲気を悪くする というふうには使われないんじゃないかと。これはこれでよろしいんじゃないかなとい う感じで受けとめたわけです。細かな規定のときに、仙波先生おっしゃったように、極 端なことにならないような規定になればよろしいんじゃないかなと思って聞いていたん ですけれども。 ○西島委員  私が申し上げているのは、これが法になりますとひとり歩きするんですね。ですから 今、先生がおっしゃったのは、私は当然そうだろうというふうには思うんですが、ひと り歩きするということと、また、当然管理者はそういう義務を負うのが当たり前であっ て、管理者はそういう責任を負わないから、要するに精神保健指定医がこういうことだ ということはちょっと本末転倒ではないかと思うわけでございます。 ○部会長  ほかの委員の方でどうぞ。 ○北川委員  これは河ア委員が先ほどご発言なさったように、具体的な事例に即してもう少し指定 医の立場を明確にする必要があるということと、あの事件の場合には、指定医を取り消 してしまったんですね。その途中のいろんな手続きとか役割の明確化というものがなく て、お互いに、例えば、病院の管理者が、現場のことまでいちいち一人ひとりのカルテ まで管理者が見れますかという議論があったり、指定医からそういう話は具体的にはな かったというような議論が表に出てきて、それで指定医の立場というものをもう少し明 確にしていく必要があると。これはむしろ指定医に義務を付加をするということよりも 直ちに取り消しをしなければならないというような非常に唐突な行政手続になってしま うことを避けるという面もあったと思うんですね。  そういう意味で、こういう条項がこの場で議論をされて入ってきた、こういう経過だ と思います。 ○部会長  どうもありがとうございました。この項に関しましては、先ほどの仙波委員のお話に もありましたけれども、いろいろどういったこれに条件をつけるかというようなことも 重要かと思いますので、また、そのご意見を要綱に付加するというような形でまとめる のも1つの案かと思いますので、それは後でまたご検討いただきたいと思います。  2番目の医療保護入院及び応急入院の対象者の要件として、精神障害により入院の必 要性が理解できないと判断された者、これに対してご意見ございましたら。これに関し てはいかがでしょうか。 ○池原委員  医療保護入院について、医療保護入院は強制入院の一種類ですので、強制の根拠とい うのが正当化されるためにはやはりご本人に同意能力が欠けているというのは少なくと も法律上不可欠の要件であると思うんですね。  西島委員がおっしゃっていたことは、同意能力というのをどのように判定するのかと。 患者さんによってはいろいろなレベルの能力があると思われるので、その同意能力を具 体的に現場でどう判定するかという内容の問題としては非常に参考になるご意見だと思 っておりますけれども、法定の要件としては同意能力要件を欠かせるわけにはいかない と。これを欠いてしまうと少なくとも強制入院を発動する正当性はどうしても根拠づけ られないことになるだろうと思っておりますので、今回の厚生省でおつくりいただいた 要綱案のとおりの方向に私は賛成です。 ○部会長  ほかにございますか。  それでは、3番目の「保護者の自傷他害防止監督義務の廃止」、これも問題があるの ではないかというご指摘ですが、この件に関してはいかがでございましょうか。どうぞ 仙波先生。 ○仙波委員  確かに、今、保護者が老齢化しているということと、事件等を考えますと、とても保 護者に自傷他害防止義務のことは非常に過大な課題であることは十分に承知しておるの ですが、これをばっとここで廃止するということになるといろんなことが浮かんでくる ように私は思います。この前も茨城県で医師が刺し殺されるというときに、お母さんは その患者が包丁を買うのを知っておって、ついて行って、かつ医者の方には告げられな い。そういうことと関連して、みんなが議論をしておることは事実でございます。  そういうことで、監督義務を廃止するとどういうことになるのかということで、その 辺の議論が、ここは前回こうやって決めたことだということが1つ前提にございますが これらのものについて、どうなるかということで法律家の先生もいらっしゃるのでお尋 ねしたいんですが、例えば民法で扶養者の義務、成年後見制度等で身上監護の問題があ りますね。そういうことと自傷他害防止義務を外したならばどうなるのかということで すね。もしかそういった事故が起こった場合の保障制度、そういうものが埋め合って、 説明されないと、いきなりぽっと外すことがいかがなものかという意見は当然出てくる のではないかと思いますので、その辺ご説明願えれば非常にありがたいと思います。 ○部会長  それでは法律家というお話が出ましたので、町野先生いかがでしょうか。ございます。 ○町野委員  もちろん、私、説明してもよろしいんですけど、これを考えられましたのは、事務局 の方ですので、その方が説明されましてから、もし必要なら、私が。 ○部会長  それでは事務局の方で説明お願いします。 ○杉中補佐  自傷他害防止監督義務等の廃止につきましては、前のこの審議会委員のメンバーが十 分議論を行ったところでございますけれども、今回これを廃止する理由ということにつ きまして再度ご説明をさせていただきます。  もともと自傷他害防止監督義務は、昭和25年当時の精神衛生法制定当時から出たわ けですけれども、あと自傷他害防止監督義務ともう一つ関連する義務として治療を受け させる義務がございました。ところが昭和25年当時に、本来、精神障害者の医療を確 保する法律で、この2つの義務を書き分けていた理由というものでございますけれども 昭和25年当時に自傷他害のおそれのある精神障害者は、現在であれば措置入院という ことで必要な治療を与えるということでございますけれども、当時は精神科病床という ものが非常に不足していたという状況の中で、自傷他害のおそれのある精神障害者につ いても、必ずしも必要な治療を与えることができなかったという社会情勢がございまし た。  そういう状況の下で、自傷他害のおそれのある精神障害者については、この保護者 (当時保護義務者)が都道府県知事等の許可を得て、自宅に監置すると。戦前の自宅監 置制度のなごりみたいな感じですけれども、そういう保護拘束という制度がございまし て、自傷他害防止監督義務は保護者が適切に保護拘束制度というものを行うことを担保 する義務であったと言われております。この保護拘束制度は、その後、精神病床という ものの整備が整うに従って、昭和40年の改正のときに廃止されております。  ということでございまして、現在、自傷他害防止監督義務というものは保護者が履行 することについてどのようなことが期待されているのかということについて、いろんな 判例等ございますが、その判例の傾向等を見ましても、精神障害者に自傷他害のおそれ があることがわかる場合には、まず、保護者は病院に入院させて治療を受けさせる。も しくは保健所等に相談するということを果たさなければならないという役割が期待され ているということで、実質的には治療を受けさせる義務と同じものであると考えており ます。  一方で、自傷他害防止監督義務というものが、これは内容的には治療を受けさせる義 務と同じでございますので、これがあることによって、非常に保護者の心理的な負担が 大きいというようなことがございまして、また、この義務があることが1つ、特に扶養 義務者、兄弟等を中心とする保護者の選任の忌避を起こしているというような状態もご ざいますので、この際、これを整理して廃止するということとしたものでございます。  民法の無能力者の責任行為との関係につきましては、正確な答えが出せるわけではな いんですけれども、これにつきましては、いわゆる保護者の義務と。精神保健福祉法で 規定している保護者の義務をすべて受けて監督義務というものが課されているだろうと いうことだと考えておりますので、そういう点では治療を受けさせる義務というものに 違反した場合にはいわゆる民法上の責任がかかってくるのかなというふうに考えており ます。  ということでございますので、保護者は治療を受けさせる義務と、精神障害者の状態 が悪くなったときに病院に連れて行って治療を受けさせるということについてはそのま ま残って、それではっきりと本来、自傷他害防止監督義務で求められていることも十分 担保されるのではないかという判断をしたために、今回これを廃止することとしたもの でございます。  若干、長くなりましたが、説明は以上でございます。 ○部会長  どうもありがとうございました。ほかの条文でこの項はある程度担保されているだろ うというお話でしたが、どうぞ、町野先生、お願いします。 ○町野委員  今のご説明で尽きていると思うんですけれども、要するに変えても恐らく現状から変 わらないだろうという見通しは私は持っております。ですから、監督義務を廃止すると いうのは、先ほどありましたように、とにかく保護者に対する心理的負担が非常に大き かったことは事実ですから、これをとるところに非常に意味があるだろう。そう考えま すと、この改正は一見大きく見えますけれども、それほど現在の判例の状態を変更する かどうかはちょっとわからない、むしろ、ほとんどしないのではないかというぐあいに 私は思います。  ですから、問題はむしろ先にありまして、そうであるとするならば、保護者が実際的 に、経済的な損害賠償だとかそういうことの負担ですね。それから、やはり免除されな いという可能性もありますし、あるいは保護者からこれを免除する方向をとったといた しますと、だれが責任負うのかという先ほどから出ておりますような疑問、これに応え なければいけないわけですから、この問題は恐らく先送りだというのが私の理解でござ います。  ですから、この改正は余り大きな意味がないのではないかと私は思います。 ○部会長  しかし心理的には保護者の方には、どうなんでしょう、谷中先生、その辺は。 ○谷中委員  ちょっと私、今戸惑っているんですが、私は前の審議会の委員でありますから、ちょ っと責任を感じているんですが、ちょうど移ったのでまた新しい問題も提起されていま す。それはそれなりに検討しなければいけないかと思いますが、私は1、2、3に関し まして、前委員会の中でいろいろ話し合ったこと、そのことの中で、1つは今の保護義 務者に関しましては、実際に実態として保護義務者に重い責任をかけすぎて、そしてそ の実行ができないじゃないか。  それから、この1に関しましても、行政が毎年行っている実地指導が機能すれば防げ るとおっしゃるんだけれども、次から次へといろんな不祥事が出てくるではないかと。 河ア委員がおっしゃったとおりで、それを何とかこの際しなければいけませんね。そう いう流れの中で出てきていると私は判断しているんです。  それから、医療保護入院並びに、ゆくゆくは精神医療そのものを改革して、みずから の判断で入院した人に対しては開放処遇を前提にしよう、こういう全体の流れの中で論 じてきたことですから、1つ、今、部分的に言われるとちょっと戸惑っているところで す。  でも、全体的に見れば、今、まだ、このことによってどういう効果があらわれるかと いうことはともかくとして、1つそこに一歩前進して、そこから起こってくる諸問題に ついては、今後さらに具体的な方策を論じるのが私はよろしいのではないかと思ってい ます。 ○部会長  どうもありがとうございました。どうぞ、池原先生。 ○池原委員  自傷他害防止監督義務のことに関してですけれども、2つほど補足させていただきた いことがあるんですが、まず1つは、先ほど仙波先生からお話があった、お医者さん自 体が被害に遭ったというケースはちょっと別としまして、入院中の患者さんが外出・外 泊をしたときに第三者に危害を与えてしまった。そのときにだれが責任をとるのかとい う問題をとりあえずちょっと考えてみたいんですが、その場合に実は医療機関が訴えら れるという可能性もちろんあるわけです。医療機関が訴えられるのはなぜかというと、 今のところの理論構成としては保護者に自傷他害防止義務があると。つまり保護者は法 定の監督義務者である。そして病院は法定の監督義務者の代理監督者であるという理論 構成をもとにして、医療機関に対して損害賠償請求が起こされているというふうに理解 されるんですね。  であるとすると、むしろ保護者の自傷他害防止義務が消えてしまうと、逆に病院によ り多くの損害賠償請求事件が起こるのかというと、そうではなくて、ある意味では保護 者の自傷他害防止義務が軽減されることによって、代理監督者という立場も根っこが消 えてしまいますから消えるということになる可能性があるので、自傷他害防止義務を消 すことについては、いわゆる保護者になるべき人と医療機関との間での利害対立は本来 ないのではないかというふうに私は考えております。  ただ、もちろん自傷他害防止義務が消えましても、先ほどおっしゃられていた事件、 詳細には知りませんけれども、保護者たるべき人がナイフとか包丁を患者さんが買うの を見て、そのまま放置していたとか、明らかに事件が起きそうであるのに何ら治療に結 びつけようとしていなかったとか、医療機関に対して、最近の病状についてつぶさに報 告をしていなかったということがあれば、そういう事例については自傷他害防止監督義 務という明文の規定がなくても、先ほど来、ご説明されていますように、いわば治療を 受けさせる義務を怠ったということで損害賠償責任が発生する可能性はあるだろうとい うふうに考えられます。  これが1点目ですが、もう一つは、今回の法改正の中でも触れられておりますけれど も、成年後見制度を利用して、後見人、保佐人が保護者になるという余地を広げるとい う政策を今回とろうとしております。この成年後見制度は、さらに従来、親族から後見 人が選ばれることが多かったのに対して、法人あるいはその他の機関、あるいは自然人 が後見人あるいは保佐人になるという道をなるべく開こうと、社会的後見システムを開 いていこうという方向性を打ち出してきているというふうに考えているわけですけれど も、もし、その場合に余り重い自傷他害防止監督義務とか重い損害賠償責任が保護者に もあるんですよという前提になってしまうと、なかなか第三者が成年後見人に立候補し て保護者になってもいいですということにはなりにくくなってしまう。いわば成年後見 制度の利用に対しても非常にマイナス効果を発生してしまうということになると思うん ですね。  そういう意味でも心理的負担という観点も同じかもしれませんけれども、“自傷他害 防止”という明文の規定はやはり廃止した方がよろしかろうというふうに私は考えてお ります。  ごめんなさい、もう一点だけつけ加えたいのは、実は最近皆様もご承知かもしれませ んけれども、仙台の裁判所で保護者が1億円近い損害賠償責任を認められたという判決 が出まして、かなりいろんな議論を巻き起こしているわけですけれども、この事件なん かを通じて考えてみても、やはりこれから大事なのは、保護者が損害賠償するのか医療 機関が損害賠償をするのかというような選択肢ではなくて、やはりもう少し公的な補償 制度というものができないと、最終的には被害者は救済されないという結果になりそう だと。これは諸外国の法令などを見てみますと、最近でもないんですけれども、ここ20 〜30年の間にニュージーランドとかオーストラリアでは総合的な事故補償制度というの がだんだんできてきて、医療事故とか労災事故、交通事故、犯罪被害全部含めた形で補 償がされるというシステムがだんだんできているようでして、そんなものも参考にしな がら、この問題を解決していく方法を今後考えていくべきではないかと考えております。 ○部会長  どうもありがとうございました。それでは河ア先生どうぞ。 ○河ア委員  西島先生が心配していること、例えば保護者の自傷他害防止監督義務を廃止すること あるいは治療を受けさせる等の義務の対象から除外することというような、こういう文 言だけがひとり歩きして、もうおれたち関係ないんだというような、そういう気持ちが 全部の保護者の中に出てきた場合に、現代の治療というのは、やはり治療する側と家族 の保護者の側との協力のもとにやっておると、我々はそれを頼りにもしておるわけなん で、今のこの文章が、法文ができれば、先ほどの1億円という、それは保護者にはいか ないんですか。 ○池原委員  先ほど来、ご説明されていますように、この1億円の判決について、個別的なコメン トはちょっと控えた方がいいかもしれませんが、ただ、治療を受けさせる義務について 明らかに怠っているという事態があれば、これは損害賠償の責任を免れることはできな いだろうということでよろしいと思います。 ○河ア委員  そういう損害賠償の責任を免れるほかに方法はないんですか。例えば、治療を受けさ せる義務とか何とかも全部保護者の方は責任ないんだということになれば大変なことに なるだろうと思うんですね。これは西島先生が心配されることがそのまま我々自身が大 変なことになるんじゃないか。家族の協力、家族の一応医療を受けさせる義務とかどう とかというよりも協力のもとに現在体制が組まれておると思うんです。 ○部会長  先ほどの事務局の説明では、その義務は残るということに理解していますが、ですか ら、そこでこの条文が外れても、それほど大きな変化はないだろうというのが今までの 議論です。 ○河ア委員  でも、この方向がそのままいくと、おれたちは関係ないんだというような、例えば、 この前の、外泊中に自転車に乗って、病院から出た途端にあれでしょう。 ○部会長  池原先生、もう一度お願いできますか。 ○池原委員  再確認いたしますと、治療に協力する義務というか、治療を受けさせるという部分の 義務は残るという前提ですので、全く保護者の責任をなくしてしまうという議論では、 今回の改正はないということを1つ確認したいと思うんですね。  それから、もう一つは、これは実際には本来はアンケート調査などをすべきなんでし ょうけれども、現実の実務で保護者になっていらっしゃる方は大体は医療保護入院目前 になって、保護者の選任が必要ですよということで保護者になる場合が多いように思い ます。それ以外の通院治療とか任意入院の場合にあえて保護者の選任を受けてきてくだ さいというのはかなり病院によってばらつきがあるように思うんですね。  私が申し上げたいのは、実は家族というのは、あなたは実は保護者なんですよと、法 律にこう書いてあるんですよというふうに六法全書を見せられて初めて、私は責任があ るのだから協力しなければいけないんだと思うわけではなくて、本来、家族として協力 しなければいけないという気持ちは一般的には持ってらっしゃるだろうと。逆に本当に 協力したくないと思っている人は、六法全書を見せられても、おれは嫌だという話に極 端に言えばなる場合があるわけでありまして、ある意味では自傷他害防止義務という規 定があるから保護者が協力しているとか、なければ協力しない、そういう短絡的なこと にはならないだろうと思っております。 ○西島委員  もう一項の保護者に関する事項の中で、「任意入院者及び通院医療を継続して受けて いる……これは治療を受けさせる等の義務の対象から除外すること」と書いてあるんで すね。これは医療保護入院から症状が軽減したら速やかに任意入院へ移すようにという 努力をしているわけですよね。そういう中でやはり事故が起きている。それから、通院 中の患者さんでもやっぱり事故が起きているわけですね。ですから、そういう意味で、 決して先ほどの説明には私は当たらないと思うんですね。治療を受けさせる義務は残る と言われますけれども、医療保護入院から症状が軽減すれば、速やかに任意入院に移し ているわけです。それから、通院中の患者がトラブルを起こしているということは申し 上げたいと思います。  それから、もう一つ、先ほどの池原委員が言われました同意能力の問題でございます が、これはまだ解決してないはずなんです。それを同意能力云々というのは、法的な立 場で言われるのと、我々は臨床の立場の話でございますから、そのあたりの観点でぜひ お考えいただきたいということでございます。 ○部会長  何かございますか。 ○池原委員  特にありませんけど、法律の条文の問題ですので、やはり法定の要件としては同意能 力は必要なんだろうと。それを臨床的にどう判断するかというのはまた次の問題になる だろうと1つは思っております。とりあえずその程度でございます。 ○部会長  どうもありがとうございました。  西島委員から出された4番目の問題で、国公立病院の役割、触法患者の問題への提起 がありますが、事務局から何かございますか。  日精協の方から、河ア先生どうぞ。 ○河ア委員  「触法患者」という言葉自身がどうか、難しいところなんですけれども、この間の自 民党の委員会においてでも、3年をめどに何とかこれを解決していかなければいけない というような、そういう意見もありますし、それはやはり今度の改正の中に入れること はできないのか、できるのか、ちょっと我々はわからないんですけれども、何らかの格 好で文言に残していただきたい。これは何十年来の1つの課題であるのだから、せっか くのいろいろ前向きの法の改正をやっているときに、これを積み残すということのない ようにだけお願いしたいということです。 ○部会長  そういう点はいかがでしょう。 ○三觜課長  触法の問題につきましては、当審議会の中でも今後の課題ということで意見書の方で は整理されていたかと思います。したがいまして、河ア会長のご要望の今回の法律改正 の中で法として対応することは見送るということで、皆さん方のご了解を得たのではな いかと私ども考えておりますが、引き続きこの問題は厚生省のみならず、法務省とかそ ういう関係部局との関連性では大きな課題でありますので、この問題については引き続 き、当審議会も含め関係部局との検討をしていくということで整理をさせていただいた と理解しておりますのでよろしくお願いします。 ○部会長  それではほかに何かございますでしょうか。仙波先生。 ○仙波委員  字句に関することなんですが、字面から見てどう見ても不合理でないかと思う箇所が 1カ所あるものですから、3ページの「緊急に入院が必要となる精神障害者の移送に関 する事項」のところでございますが、1のところに書かれてあるんです。1ページはね ていただいて、4ページですが、「判定された者につき、保護者の同意があるときは、 本人の同意がなくても、医療保護入院をさせるため、応急入院のため都道府県知事が指 定する病院に移送することができるものとすること」。実は「応急入院のため」という のが非常におかしい。以前は医療保護入院について言っているんですね、カテゴリー。 以後、急に応急入院のために応急指定病院に入れるというふうなくだりになっておりま して、これはちょっと理屈が合わない。  応急入院というのを説明しますが、保護者はもちろん見つからないか同意がない。本 人もまた同意がない場合に、例えば意識障害があって、浮浪者みたいに、その場合に応 急入院というので我々はスタンバイしているというふうなところで、72時間入れられ るという制度でありまして、これとは全くちょっと違うんですね。  ということで、「応急入院のため」というのが、「緊急入院を要するので」というふ うに間違って書かれているのではないかと思いますから、これはどうしても不合理では ないかなと。 ○西島委員  要するに、とりあえずこの病院に入院させますという話なんです。 ○部会長  事務局から何かございますか。 ○仙波委員  応急入院は緊急入院という言葉ですか。 ○吉川委員  違います。制度上ある応急入院病院のことをこれは形容しているだけの話ですから。 ○仙波委員  形容して上につながるんですか。 ○吉川委員  はい。ですから、そういう制度しかないから。 ○仙波委員  私、都道府県知事が指定する応急入院指定病院というふうにされた方が明確ではない かと思いますが。 ○吉川委員  だから、括弧してわざわざその下に書いてあるのです。 ○仙波委員  上の「応急入院のため」は消した方が、みんながこれ指摘してくるんですね。だから これはむしろ消された方がいいと思いますが、「応急入院のため」をやめて、都道府県 が指定する病院「応急入院指定病院」に入院すると。 ○部会長  応急入院指定病院という説明が応急入院から始まるわけですね。そういうことになっ ているわけですね。 ○仙波委員  みんな誤解されているようですが。 ○部会長  それは事務局の方で検討していただきたいと思います。 ○仙波委員  本質的なことは変わりないんですが、読み取りの上で、ちょっとおかしいなと、みん なが誤解するのではないかというふうな文言でございます。 ○部会長  それは事務局で検討していただきたいと思います。 ○仙波委員  もう一つ、これに関して、応急入院が今非常に少ないんですよね、指定されているの が。だから、もしかこれを潤滑にするとすれば、応急入院指定病院をもっと増やさない とだめで、全国でも72カ所ぐらいですね。メインなところはとっておりますが、ほか は民間病院ではほとんどとっていないという現状。そうすると緊急入院も含めまして、 この数は圧倒的に足りないということになろうかと思いますが、その辺、増やしていく ということも含めないと、これが現実的には余りならないのではないかという感じがい たします。 ○三觜課長  確かにご指摘のように、現在の応急入院の指定要件が非常に厳しいというご指摘を受 けておりまして、今回、移送に関する体制の整備を図る上で、併せて法改正後に指定の 基準のあり方につきましても見直しを行っていく予定にしております。 ○部会長  よろしいでしょうか。ほかにございますか。新田先生どうぞ。 ○新田委員  確認なんでございます。7ページの「覚せい剤の慢性中毒者に関する準用規定を廃止 すること」、ここなんでございますが、覚せい剤の慢性中毒者はどうなってしまうんで しょうか。準用がされなくなればということでの質問を前の会議でやったときに、いや 準用じゃなくて依存の中で読めるようになりましたので適用ということになるとのお答 えがあったように記憶しているんですが、そのとおりでよろしいでしょうか。事務局に お伺いするわけです。 ○杉中補佐  そのとおりでございます。精神障害者の中でやっていくということでございます。 ○部会長  ほかに、どうぞ、大熊先生。 ○大熊委員  引き続き委員をしている者として、前からのことでちょっと話させていただきたいの と質問が1つです。私としてはこれはとても生ぬるいと、不十分なものだというふうに 思っています。西島委員が指摘された指定医の報告が管理者ではなくて精神医療審査会 にしてもらいたいというふうにむしろ思っているわけでして、大体いろいろ問題がある 病院の場合には、管理者に言ってもだめだというようなことがしばしばあるわけですけ れども、一歩前進ということでやむを得ず納得しているというわけであります。  それから、保護者の義務につきましても、私は措置入院の患者さんについても保護者 の治療を受けさせる義務は外すべきだと思っています。理由は国際的にもそんなことは ないし、この同じ日本国の中でも他のどの法律にもそんなものはないわけで、家族に重 荷に背負わせるということは非常に突出した妙なことだと思っています。  現場においても、措置入院の患者さんが出たいというとしばしばお医者さんが、いや あなたの家族がここに入れたんだということをおっしゃるために、その後、退院したり 治療の中で家族と患者さんの関係が悪くなるという治療上のマイナスもあるので、措置 入院についても外してほしいというふうにも繰り返し申し上げておりましたけれども、 全体の委員の方とのことでやむなくこれも納得しているということで、そういういろい ろなすり合わせの中でこれができています。  それから、情報開示のことなどについては、ここでいろんな団体から意見書が来てい る中にも数限りなく情報開示の規定が述べられておりまして、医療法との関係ももちろ んありますけれども、精神保健の場合は今回の事件でも見られるように、多度病院がど ういうような人員配置でどんなことをしているのかというのが見えないというのはとて も一般病院と違って出入りが自由じゃないというようなことの特殊性がありますから、 ぜひともこの法律に書いていただきたかったんですけれども、それも残念ながらあきら めて、前回同意したという、そういう経緯がありますので、西島委員もご不満はあろう と思いますけれども、とりあえずの第一歩というふうにお考えいただいたらどうかなと 思います。  ちょっとした文言でもう一歩前進できないかということを最後に申し上げたいんです けど、1ページ目に、「精神障害者の人権に配慮し」という言葉が何度か出てきますけ れども、これは「人権を尊重し」というふうになさって、特に実害はないし、患者さん も大変尊重されたということで安心するのではないかと思うんですが、これはそうはい かないものなんでしょうか。 ○部会長  事務局はいかがですか、今の点では。 ○杉中補佐  この「改正の趣旨」というところで書かれているのは、実は法律案の提出の理由と同 文でございまして、ここで、わざわざ「配意」ということで使っている理由でございま すけれども、精神障害者の治療ということにつきましては、どうしても強制入院とかそ ういった本人の意思に反する医療というものもあり得ると。そういう状況の中で、最大 限に尊重するというふうに書いてしまうと、そういった強制入院は読めなくなるのでは ないかというようなご意見等もございまして、「人権に配意し」という言い方をすべき ではないかというご指摘を受けたところでございます。 ○部会長  よろしいでしょうか。 ○大熊委員  「配意」と「配慮」とは使い分けているですね。誤植じゃなくてね。 ○部会長  「配意」が正しいようです。 ○大熊委員  この紙の後ろから4行目は「配慮」となっていますが、これは意味が。 ○杉中補佐  これは法律用語として「配意」ということです。 ○大熊委員  というふうに数々私も生ぬるいと思っているということを表明させていただきます。 ○部会長  どうもありがとうございました。大熊先生にまとめていただいたような感じがいたし ますけれども、時間の関係もございますので、この辺でいろいろな貴重な……どうぞ、 吉川先生。 ○吉川委員  やはり事務当局の方にもお聞きしたいところですけれども、この10回ほど開きまし た専門委員会の中で議論してきたことで、この中には十分に盛られてないものがありま すし、それから公衆衛生審議会の答申のときにも一部私は申し上げたことでもあります けれども、2点だけお願いをしたいと思います。それはお答えいただきたいということ です。  そのうちの第1点は、社会復帰関連施設で精神障害者処遇について問題を感じたとき に、どこがどのような形でそれを明らかにし、その責任を負うのでしょうか。例えばそ れに関して、今回のこの改正の中で、病院の問題については確かにはっきり書かれまし たけれども、社会復帰施設に対する監督権限をどういうふうにするのかということの問 題です。これは当然のことながら、今後起こりうるであろう人権侵害問題を考えると社 会復帰施設に対して十分なその辺のところの防御を法律の上でもつくっておかなければ いけないのではないかというふうに専門委員会の中でも議論が出ました。それが第1点 です。  もう一つは、何としてもこの専門委員会の第1回委員会の3時間ぐらいの時間を使っ て議論したはずの病名問題であります。病名例示の形で今の法律はできていますけれど も、これがどうしてもその専門委員会の中では皆さん方の合意を得られませんでした。 そして病名例示はやめるというふうに、その専門委員会でも決められたことでございま す。このことに関しては、公衆衛生審議会の中では、実は余り論じられないまま答申に なってきました。それは当時の恐らく事務局当局である厚生省の方で考えられたことだ からということで、この審議会の中でも通っていったのだと思いますけれども、その際 にも私は申し上げまして、とにかく10回のうちの1回、完全にそれだけのために使っ たこの議論を全くなしにしてしまうのはなぜかということです。ぜひ、その辺はお答え いただきたいと思っています。 ○部会長  それでは事務局からお願いいたします。 ○杉中補佐  まず、社会復帰施設のことでございますけれども、6ページの3)というとこを見てい ただきたいんですけれども、委員ご指摘のように、社会復帰施設につきましては、現在 のところ、その設備及びその中での処遇を含めた運営等に関する基準がないということ でございます。これは実は社会復帰施設、いわゆる福祉施設でも他の社会福祉事業法の 第1種事業に該当するような施設につきましては法定の基準があるというところで、社 会復帰施設というのがその辺で若干見劣りするということは事実でございます。  ということで、今回こういった形で社会復帰施設に係る設備及び運営に関する基準と いうものを法律に基づく基準を設けることといたしまして、この基準を社会復帰施設に 守っていただくと。当然これにつきましては基準を守るということに関して行政(都道 府県等ですけれども)の監督が及ぶということでございます。  あと、第三者機関的なところが見る必要もあるのではないかというご指摘もいただい ているところでございますけれども、これは福祉施設全般に関する第三者機関的なチェ ックというもののあり方ということにつきましては、別途これは社会福祉事業法を含め た福祉全体の体系の中で議論を行っておりますので、そこにおける議論の結果を待つべ きではないかということで、今回の法改正に関する中では取り上げないということにな っているところでございます。  2点目の定義に関することでございますけれども、これにつきましてもご指摘のよう に、個別の疾患名の事例として必ずしも代表的な疾患とは言えない精神病質であるとか そういったものが入っているのは不適切ではないかという議論があったところでござい ます。それにつきましては、なかなか法律的なテクニックにもかかわる問題ですが、実 態としてそういったものを除外するということであれば、ともかくそれを変える現状が ない中で、あえてこれを除外することは難しいのではないかと。  それと含めまして、そもそもそういったものを精神障害者の定義に含めるのかという 本質的な議論もございますところで、そういったことについて、定義のあり方、例示の 方法及びその対象ということも含めまして、引き続き議論をすべきではないかというこ とで、それにつきましては、1月14日につくりました意見書の中でも、今後早急に検 討する必要があるということでご意見をいただいているところでございまして、事務当 局といたしましても、あと関係団体等のご意見も聞きながら早急に検討したいと考えて おります。 ○部会長  先ほどの大熊先生の話にもありましたように、残された問題点はまだまだあるかと思 いますけれども、ここまで意見書に基づいて事務局が調整、検討されてこられて要綱が できたのだと思います。きょう、またたくさんの貴重な意見をいただきましたが、その 要綱自体は1月14日の意見書の内容に沿ったものだと理解しますので、それはご承認 いただいて、今回出た意見に関して、これを審議会のただし書きとして、その意見を付 随するという形で事務局の方にまとめていただきたいと思いますけれども、いかがでし ょうか。 ○西島委員  よろしゅうございますか。 ○部会長  どうぞ。 ○西島委員  今、精神病床は90%が民間病院なんですね。今回のこの法はある意味では病院取締 法みたいな感じの部分もございます。そういう意味で、日本医師会が今回意見という形 で出しましたので、この要綱を今ただちに変えなさいということは私申し上げません。 ただ、この意見をぜひ付記していただいて、そして審議会の方へ上げていただければと いうふうに思います。 ○部会長  それではそういうことで……。 ○河ア委員  もう一点。 ○部会長  どうぞ。 ○河ア委員  前から論じておる公、民の機能分化、これはこの中には全然入ってないと思いますけ れども、それをどこかで入れてもらえないか。 ○部会長  ですから、配慮すべき事項として、ただし書きとして、今回出た意見に対して、この 要綱を認めたいということでございますので、そのただし書きの部分をこれから事務局 の方でおつくり願いたいと思います。それをまた皆さんにご提示いたしますので、よろ しゅうございますか。 ○河ア委員  はい。 ○伊藤委員  そのただし書きの話が出たので、私もそういう意味ではちょっとお願いしたいことが あるんですが、西島委員からだんだん医師の裁量権が狭くなっている、法で取締りの傾 向がこの法律に強くあらわれてきているという危惧がありましたけれども、もし、その ことを危惧されるのであれば、やはりその担保として情報公開が浸透すれば、医師の裁 量権もまた逆に広がるということがあるわけですね。私は医療の立場から、やはり医師 の裁量権、信頼を高めたいという気持ちがあります。そういう意味で、この精神科医療 の情報公開を進めるべきだということを書き込んで、そういう意見があったということ をつけ加えていただければ非常にありがたいと思いますけれども。 ○部会長  それはこの前の意見書のただし書きにもございますね。それはただ、この要綱に沿っ たものかどうか……。 ○伊藤委員  要綱の中身ではないんですけれども、今後の方向としてですね。 ○部会長  ですから、ただし書きに関しては要綱に沿ったものとするか、それよりもう少し広げ るか、その辺も事務局の方に検討していただいて案を出していただきたいと思います。 よろしいでしょうか。 ○伊藤委員  それから時間がなくて申しわけないんですが、もう一つ、気になることがあったんで すが、5ページ目の、市町村の社会復帰施設に関する業務を生活支援センターに委託す ることができる、これは今回初めて出たのではないかと思いますが、できたら市町村み ずから、まずはきちんとやるということから、これが後退させなければいいなという危 惧をちょっと感じましたけれども、その辺はどうなんでしょうか。 ○部会長  事務局の方から何かコメントございますか。 ○杉中補佐  当然、市町村で相談に応じるということにつきましては求めていく考えでございまし て、ただ、それだけではなくて、こういった民間の専門家の力、そういった知見も有効 に活用していくべきではないかということから、相談等に関する業務に関しては委託す ることができることとしたものでございます。 ○部会長  よろしゅうございましょうか。 ○吉澤委員  1点のみ、先ほど大熊委員の方から指摘がございましたが、一番最初、1ページの 「人権に配意し」か「尊重し」かという問題ですけれども、これはやはり「尊重」が正 しいと思います。その理由は、「人権の尊重」ということはそこへ人権侵害、つまり、 この場合、自分の意思に基づかない拘禁状態というふうに法律上はなるかと思いますが そういう状態があればこそなおさら人権を尊重しなければならないということが第一に うたわれるべきだと思います。  非常に重要な問題ということと同時に、先ほど「法律用語」という言葉がありました が、今すべての法律にわたって、なるべくだれにでもわかりやすい言葉を使うという方 向での見直しというか、全体の流れの中で改正が行われています。その点においても、 この「配意」という言葉は、法律用語だという特殊な説明を受けなければだれにも理解 ができないという意味でやはりこの場合は「尊重」にするのが正しいと思います。以上 です。 ○部会長  ただいまのご意見はご意見として、事務局の方でご検討していただくことにしたいと 思います。  それでは、ただし書きの案文については、事務局の方で作成していただくとして、次 の議題に入りたいと思います。「国立精神・神経センター及び国立精神療養所の立入調 査の結果について」、事務局から報告をお願いいたします。 ○阿部補佐  「国立精神・神経センター及び国立精神療養所の立入調査の結果について」ご説明さ せていただきます。資料は資料2と資料3でございます。それでは、概要に従って説明 させていただきます。  今回の調査の趣旨は、国立療養所犀潟病院の精神保健福祉法に基づく事件に対して、 それに基づきます改善命令が出されたことを受けまして、国立精神療養所等に対して、 適切な医療が確保されているかどうかを確認するために立入調査を行ったものです。  調査実施病院につきましては、国立精神・神経センター2病院、それと国立精神療養 所16病院でございます。  調査実施期間としましては、昨年の10月14日から12月18日にかけて調査が行 われたものでございます。  調査項目及び調査方法につきましては、ここに記載してあるとおりでございます。  また、調査対象者につきましても、指定医が診察を行ったもの、そして聞き取りを行 ったものということでここに記載してあるとおりでございます。  調査結果についてご説明させていただきます。  隔離・身体的拘束。  患者の処遇について適正に行われなかったものは、隔離の場合222人中65人、こ れは29.3%に当たります。また、身体的拘束の場合88人中37人、これは42.0 %でございます。これらは調査したすべての病院において見られました。  また「指定医の包括指示により、隔離・身体的拘束が行われていた患者に対して医師 の診察が毎日ない」、これは毎日あるいは頻回に診察することとなっておりますが、こ れにつきましては、隔離について7名、身体的拘束につきましては4名指摘されており ます。  そして「指定医の診察、指示が不明で、看護者の判断により隔離・身体的拘束が行わ れていたもの」が、隔離10名、身体的拘束15名ということでありました。さらに、 「身体的拘束を頻回に行うため、強制入院への入院形態の変更が適当と思われるもの」 が、隔離されている患者のうち11名、身体的拘束中の患者さんにおいては4名という ことでございました。また、「指定医でない医師の診察、指示で12時間以上の隔離が 行われていたもの」が5名あったということでございます。  この詳しい内容につきましては、資料の3枚目に、「患者の処遇についての調査結 果」ということでまとめさせていただいております。  また、通信・面会の制限につきましては、夜間閉鎖される病棟や痴呆病棟において、 公衆電話が設置されてない病院など3病院見られ、夜間の利用を一律に制限していた病 院などが2病院見られた。また、県や地方法務局人権擁護の担当の電話番号を掲示する ことになっておりますが、わかりにくいなどの指摘があった病院が3病院あります。  以下は記載のとおりでございます。  また、犀潟病院に見られましたような死亡患者についての不適切な例は見られません でしたが、2病院におきまして、事故死の際、警察などの届け出を通常行っていないと いうことがわかっております。  なお、今後の対応につきましては、今回の調査結果を踏まえて、精神保健福祉法に基 づく人権に配慮した適正な精神医療を確保するため、各施設に対して、都道府県指定都 市とともに、指摘事項を適切に指導していくということでございます。  なお、参考までにお付けしておりますが、国立病院部が今後の国立病院・療養所に対 する指導ということで、参考資料を1枚紙で付けております。これは国立病院部が、今 回の立入調査の結果を踏まえて、このように指導を徹底するという内容でございます。  以上、簡単でございますが、ご説明でございます。 ○部会長  どうもありがとうございました。  国立の精神神経センターに所属する者としては大変針のむしろの上に座っている心地 でございますが、一言個人的な立場で申し上げさせていただきますと、国立精神療養所 の院長協議会というのがございまして、犀潟の事件が起こった後、ただちに会を開きま していろいろ遺憾であり反省すべきであるということから、やはりスタッフの自覚の乏 しさ、教育の不十分さ、あるいはマニュアルの不備、チェックシステムの機構がうまく 働いてなかったとかいろいろ諸問題を指摘しまして、それを直ちに改善して全施設でそ れを行っているところでございます。また、近々院長協議会が開催されますので、その 席でその後の改善結果を各施設長が報告することで少しでも皆さん方の信頼を取り戻す べく努力をしておりますので、一言申し添えます。  ただいまのご報告につきまして、何かご意見、ご質問ございますでしょうか。どうぞ 大熊先生。 ○大熊委員  この事件の後、犀潟がつくったマニュアルをたたき台にして、全体のマニュアルがつ くられつつあるというところまでは聞いているのですが、それがどうなったかというこ とと、マニュアルをもしつくるとすれば、縛るためのマニュアルではなくて、どのよう にしたら縛らないで済むかというマニュアルをがっちりつくることがまず先決ではない かと思います。これは質問です。  それから、この審議会からはちょっと隣組になるかもしれませんが、今田部長とはご 関係が深いのですが、国立療養所の中には、俗に超重身とか動く重身とか呼ばれている 方たちがいて、そちらの方もかなり盛大に縛っておられると。ただ、このたびの事件が 犀潟の精神だったので、そちらの方の調査は余り行われていないで、妙なことだという ふうに現場で言われていると聞いておりますが、どうなっているでしょうか。 ○部会長  第1のご質問のマニュアルの問題ですが、ちょうどこちらに国立久里浜病院の白倉院 長がおられまして、白倉先生がマニュアルをまとめられておりますので。 ○白倉委員  先ほど部会長が申しましたように、国立病院に身を置くものとして本当に恥じ入る限 りでございます。確かに私どもやっている病院の中で、毎日チェックしなければならな い部分、欠落していた部分かなりあったという反省の上に立ちまして、今後こういう問 題ができるだけ回避できるようにという形で、今、部会長がおっしゃられたような形で 今、国立病院の院長協議会の方でその下案をつくって、今、その作業をやっているとこ ろでございます。限られたマンパワーで、いかに精神保健福祉法の精神を尊重しながら やっていくということでかなり苦心をいたしておりますが、施設によりまして、ある程 度、指定医の先生がかなり大勢いらっしゃるところと、それから、総合病院の中で精神 病棟あるいは精神病床を持って一人ぐらいの指定医でなさっているところといろんなと ころがございまして、その辺から今意見をいただきながら、できるだけ前向きに、拘 束・隔離をしないで済むような方向をできればその中に盛り込みたいという形で一生懸 命苦労いたしておるところでございます。  また、ご意見がありましたり、申し出いただくことがあれば、よろしく、どうぞお願 いしたいと思っております。以上でございます。 ○部会長  どうもありがとうございました。よろしいですか。もう一つ、ありましたですね。重 身その他。 ○大熊委員  1つだけ追加で、この病院の中の、例えば南花巻病院の看護婦さんなどから、かなり 大勢縛っていたけれども、いろいろな工夫をして、もう全然縛らなくて済むようになっ たというようなことを伺っておりますので、そういうものを十分に取り入れて、ぜひと も縛らないマニュアルにしていただきたいと思います。 ○部会長  大熊委員からの第2の質問の、重身その他の拘束については何か。 ○今田部長  国立療養所に重身幾つか持っておりますけれども、それは1つは医療施設としての看 板と1つは福祉施設としての二重看板になっております。私ども福祉施設として見た場 合のいろんな、例えば知的障害者、重度四肢障害者の中における人権上の配慮はどうや って担保すべきかということについては非常に大きな課題ということで、実はこのたび の社会福祉基礎構造改革の中で、処遇を受ける人たちの人権擁護なりがあって、その中 で施設運営における第三者評価のあり方、そういったところに人権問題も十分に配意し た形で基準をつくっていこうということになっておりますので、今回取り立ててやって いないのかいう意味ではやっておりませんが、そういう流れの中で、当然福祉施設とし て受けるべき評価というものについては、今後充実させていかなければならないという 認識に立っております。  あと、病院としての顔ということでありますければ、仮におっしゃるように、もし、 非常に目に余ることがあるというようなことがあれば、また、国立病院部とも相談させ ていただいて、また対処することになると思いますので、いろいろお教えいただければ と思います。 ○部会長  よろしゅうございますか。 ○西島委員  関連でございますけれども、今、介護保険で抑制は禁止するというような条項が運用 基準の中に入りましたけれども、何でこういうのがわざわざ入ったのかというのは実態 がそういう実態があるだろうからというふうに思います。特に痴呆の患者さんがそうい うような処遇を受けている可能性があるということでございますので、痴呆はこれは精 神障害の1つなんですね。ですから、ぜひこの実態についてご調査をいただきたい。今 すぐどうしなさいという話ではございません。ぜひ、精神保健福祉法の中で、これだけ 指定医の義務があるわけでございますけれども、その他の施設ではどうなっているのか という実態だけはぜひ把握していただきたいと思います。これは要望でございます。 ○部会長  ありがとうございました。よろしゅうございますか。資料について、ちょっと私気が ついたことございますが、資料3の一番最後の10ページでございますが、この資料を 眺めていますと、左から7番目に犀潟病院がございます。ここが突出しているわけです が、これは私がお聞きしたところでは、調査の時点が違って、過去にさかのぼった事例 を犀潟病院だけ含めたというふうにお聞きしていますので、そのために数が突出してし まっているということでございます。そういうことで資料説明よろしいですか。 ○今田部長  ご指摘のように、その時点で拘束または隔離をしている人ということであれば、犀潟 は対象者はゼロになるんですが、それを、あったものですからゼロにするというよりも そのときに調査に行ったわけですので、過去にさかのぼったケースを置いたために、あ る意味では突出した状態になっておりますが、調査時点だけを見てみますと、対象者が そういう意味では非常に少ない状態だったということの意味で、若干犀潟だけは、ほか のルールと多少ニュアンスが違うというご指摘のとおりでございますので、そのように 読んでいただきたいと思います。 ○部会長  ほかにご意見、ご質問ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。  それでは、次の議事に入りたいと思いますが、今般、三重県の多度病院でインフルエ ンザ様疾患による19名の患者さんが死亡されたという報道がございます。この点につ きまして、事務局から県の調査状況等、現状報告をお願いいたします。 ○中村補佐  それでは、資料4、資料5に沿ってご説明させていただきます。  まず、資料4でございますが、三重県の精神病院でインフルエンザ様疾患の集団発生 が起こっているということでございました。多度町の精神病院「多度病院」、院長は福 井庫治先生でございますが、1月6日から2月4日に19名が死亡したと。院内でイン フルエンザ様疾患の流行があったということで、病院内の集団感染による死亡が疑われ たものでございます。  三重県は、2月8日に多度病院で死亡者が多数出ている連絡を受け、翌日院長にその 経過の聴取を行い、10日、11日の2日にわたり医療監視・実地指導を実施したもの でございます。  11日の時点で、その原因究明、また今後の対策について、国の技術援助を必要と県 の方で判断されまして、厚生省に技術協力を要請したという流れになってございます。  1枚おめくりいただきたいと思いますが、三重県における医療監視・実地指導の結果 でございます。  ことしに入って死亡した19名のうち、インフルエンザ様疾患で死亡したと考える人 数は8名、残り4名については、インフルエンザ様疾患との関係は薄く、7名について は、調査中。  死亡者の19名の入院形態につきましては、任意入院が7名、医療保護入院が12名 でございます。  2月11日現在で、8名の入院患者に発熱などのインフルエンザ様疾患の症状が見ら れた。その当時、入院患者数は261名ということでございます。ここは定床は286 床ということでございます。  2月10日の調査では、12部屋で患者の超過収容が行われておりまして、11日は 8室に減少しております。治療・処遇面からは、病院側は早急な改善ができない状況に ある。超過収容の解消について協議しているところがございました。  入院患者へのワクチン接種は行われていないことが確認されております。  また、インフルエンザのための院内感染マニュアルも作成されていないと。  感染源の特定、感染拡大の原因などについては、この時点では引き続き調査をする予 定ということでございます。  次のページをごらんいただきますと、これが多度病院における19名の患者さん、亡 くなられた方々の概要ということでございます。  4枚目は、三重県の方から協力をいただいた要請文でございます。  資料5をごらんいただきたいと思いますが、これは厚生省の方で現地を調査したいた しました中間報告ということでございます。  2月12日に桑名保健所、多度病院、また近くにあります一般病院でございます大桑 病院を調査いたしました。  現地調査に当たりまして、精神保健福祉法の観点からの病院管理状況の調査班(精神 班)と、インフルエンザ疾患の集団発生の原因究明の観点からの感染管理対策の調査班 (感染班)の二班体制で現地調査に臨んだものでございます。  精神班の概要といたしまして、まず、超過収容でございますが、病院全体としては超 過収容はございませんが、各病室ごとに見ると、男子病棟の8室について11日時点で 超過収容の報告がありましたが、12日時点では1室に、13日には超過収容は解消さ れておりました。  その理由といたしましては、畳敷きの大部屋が大部分で、超過収容の理由は、患者同 士が同室することを強く要望し、規制すると病状が不安定になることが見込まれたため と、病院関係者は言っております。  死亡者の状況でございますが、当該病院の患者死亡を状況を見ますと、県内精神病院 における100床当たりの年間死亡者数に比して多い。この状況には、高齢者の入院患 者が多いか、重症の疾病に合併するものが多いか、内科的疾患に罹患した場合に他病院 にすぐ転院させる者が少ないかなど、種々の要因が考えられますので、三重県にその分 析を指示しているところでございます。  合併症対策についてでございます。  当該病院より車で4〜5分のところに大桑病院がございます。当該病院・大桑病院関 係者、県担当者からの話では、日ごろの連携は円滑であったということでございます。  次に病棟の状態でございますが、各病棟は、昭和30年開設後増築を重ねたもので、 老朽化しているということでございますが、畳敷きの大部屋という療養環境が、今回の 集団発生の感染管理の困難な要因とも思われます。今後、療養環境水準の改善が望まし いと思われました。  感染班の方の概要でございますけれども、本事案の特徴といたしまして、死亡者19 名の分析を見ますと、死亡者の中で30歳代の壮年層の者がいること、発症から死亡ま での期間が数時間から数日と極めて短い者が多いことが特徴でございます。  三重県の調査が19名の死亡者に重点を置いたものでありまして、その他の患者等の 罹患状況に関するデータが十分でなく、そのための資料を早急に収集する必要があると いうことでございます。  想定すべき感染症といたしましては、三重県、愛知県、岐阜県におきまして、1月中 旬からインフルエンザ様疾患の流行が認められることから、本病院内にインフルエンザ の集団感染があった可能性が極めて高い。  しかし、インフルエンザ以外の原因も検討する必要があります。検討対象といたしま しては、レジオネラ感染症、H3N2以外のインフルエンザウイルス、全く未知の感染 症、二次的合併症としての肺炎、敗血症などが挙げられる。  それらを想定しての対応といたしまして、レジオネラ感染症の検査、これにつきまし ては、衛生研究所において検査を開始している。そのほか、血清抗体、PCRによる遺 伝子診断及び尿中抗原の検出を指示しているということでございます。  また、桑名保健所管内における12月及び1月に死亡した者の死亡個票を調査、多度 病院における死亡例と類似の死亡例が存在するかどうかの検索も指示しているところで ございます。  インフルエンザを想定しての対応でございますが、インフルエンザの流行状況につき ましては以下のとおりでございます。1枚おめくりいただきますと、この表でおわかり のように、三重県、愛知県で流行があることがおわかりいただけるかと思います。  このインフルエンザウイルスの分離状況でございますが、三重県の衛生研究所の検査 速報では、インフルエンザA香港型とB型が分離されてございます。  19名の死亡者の内訳につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。  当該病院の診療録からは、インフルエンザ様疾患発症患者に対する治療、解熱剤・抗 生物質の投与、補液の実施など対症療法はよく行われているということでございました。  感染源、感染経路、拡大要因等の検討のための指示事項といたしましては、流行の全 体把握のための指示と詳細な流行状況把握のための2つということで指示してございま すが、全体把握のためには、病棟別に見た38度以上の発熱患者数及び発熱患者割合、 38度以上の発熱患者についての、発熱の初発日毎の時系列のグラフの作成。  詳細な流行状況把握のための指示といたしましては、診断基準を設定いたしまして、 診断基準該当者の初発症状、出現日の時系列的グラフの作成、発生図の作成。  次のページをごらんいただきたいと思いますが、診断基準合致患者の細かな情報を収 集するということで指示してございます。  病院内における感染症対策の現状でございますが、ふだんからの対応については、う がい、手洗いについては、患者の自主性に任されていた模様でございます。  ワクチン接種は、入院患者については未実施。職員については現在調査中でございま す。  患者発生時の対応については、インフルエンザ様疾患の患者の他の入院患者への接触 は常にあったということでございます。  食堂やホールでの集団での食事、リハビリテーションの中止につきましては、その流 行がピークに達した18日に初めて行われております。  施設構造と院内感染対策につきまして、衛生状況全般として、病棟は古いですが、掃 除はよく行われていると。しかし、畳敷きの病室に6人から9人の患者が寝起きしてお り、その流行については感染が広がりやすいという推測がございます。  また、閉鎖病棟であるため、窓の開閉も制限され、冬期のため締め切ったままという ことでございました。  平成7年から院内感染対策委員会を設置しておりまして、月に1回開催しているとい う管理体制でございました。今回の集団発生についても、18日に委員会で対応を協議 ということでございます。  さらに手洗いの場所でございますが、病棟の1階患者のデイルーム、洗面所、看護婦 詰め所、食堂に水道を設置。食堂と詰め所にはウェルパスも置いてありました。しかし 精神疾患患者が誤って飲んでしまうこともありますので、病棟の方には未設置というこ とでございました。  この感染症対策からの現段階での結論でございますが、多度病院内で1月中旬にイン フルエンザ様疾患の流行があったことが疑われると。しかし、レジオネラ感染症やA香 港型以外のインフルエンザウイルス等を想定した調査をしておく必要がある。  感染源、感染経路、感染拡大の要因、流行の規模、始期、ピーク、終期等の正確な把 握のための調査を早急に実施する必要がある。  19名の死亡者について、厚生省、三重県及び専門家の合同会議において一定の結論 が出されましたけれども、さらに死亡個票等のチェックを含めた詳細な検討をしておく 必要がある。  厚生省といたしましては、上記のような現地調査の結果を踏まえまして、さらに必要 な調査の実施、資料の収集、分析手法の指示を行ったところでございます。  県でこれらの作業を早急にまとめているところでございまして、この調査結果がまと まった時点で、集団感染の原因究明、今後の対応などについて改めて協議を行いたいと いうふうに考えております。  以上でございます。 ○部会長  どうもありがとうございました。  それでは、ただいまのご報告についてご質問、ご意見ございましたらお願いいたしま す。どうぞ、大熊先生。 ○大熊委員  資料のコピーをお願いしてあるのでお配りいただきます。  多分、名古屋の方の新聞ではもう少し大きく出ているのではないかと思うんですけれ ども、多度病院で患者さんに痴呆のお年寄りのおむつかえを作業療法として行っていて 1回すると100円というようなことで、これは精神班の方ではこのような事実を把握 しておられたかどうか。それから、委員の先生方はそういうことをどのようにお考えに なるかを伺いたいと思います。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○中村補佐  事務局として、現地の調査では、県からそのような報告も受けておりませんし、現地 でそのような実態については把握してございません。 ○部会長  よろしいですか。ほかの委員の先生方、何かコメント、ご質問ございますか。 ○大熊委員  ないようでしたら、この記事には書いていないんですけれども、私はこの病院に入っ ている痴呆のお年寄りにとって大変お気の毒なことだというふうに思うわけです。ちょ っと見ると、おむつをかえるなどという汚い仕事を作業療法としてさせるなんて、何て ひどい精神病院かという見方も一方ではできるかもしれませんが、人間下半身をはだか にされていろいろということは、それはプロの介護者がしてくれるからやむなく、これ はがまんをするわけですし、そのためにプロの介護者というのは、相手が恥ずかしいと 思わないように、いろんな声かけをしながらということを学んでいるわけですけれども この1回100円というようなことで、全くアマチュアである方が、このようなことを するというのは、痴呆の患者さんに対する人権侵害ではないかというふうに思いますが いかがでしょうか。 ○部会長  事務局からでも、あるいは委員の先生方からでも何か、ただいまの点に関してご意見 ございませんでしょうか。どうぞ、伊藤先生お願いします。 ○伊藤委員  おむつ交換される患者さんの立場のことも当然だと思いますが、これは新聞社が独自 に調査したもので、信頼性について私よくわかりませんけれども、ただ、作業療法と称 して非常にあいまいな形で病院の中のお手伝いをするという実態も、私もたまに耳にす ることありますので、もし精神保健福祉法の改正や何か、細かな規定をもう一回見直す ということであれば、作業療法に関して、たしか作業療法に対する考え方の基準という のは出ていたはずなんですが、それももう一回見直したりするということが必要になる んじゃないかなというふうに思うことがあります。  この問題を今後厚生省でどういうふうに扱うか、それは事実関係がきちんとしなけれ ば動きとれないと思いますけれども、作業療法のあり方についても、もう少し点数化さ れて、作業療法が医療として医療費をいただくようになっているわけですね。そういう ことで、もしこういうことが起こるとすれば、ますます先ほどのお話じゃないけど、医 療の裁量権がどんどん狭まっていってしまうという残念なことになるわけですから、そ の辺も少しこの事件を契機に改善できるところはしていただければというふうに思いま す。 ○部会長  どうもありがとうございました。事務局の方で、ただいまのことに関して。 ○三觜課長  多度病院のこの問題、今、初めて、作業療法の一環でこういうことが行われているこ とを知ったわけでありますけれども、この問題は既に宇都宮事件等々の過去の流れの中 で、こういうことは絶対あってはならないということで、いまだにこんな状態であると いうことが、新聞記事を読んだ限りでは驚いている次第であります。  我々の方といたしましては、この問題につきましては、あってはならないことという 認識の下に、この病院を今県の方が調査に入っておりますので、新聞報道では、県が中 止させたということでありますけれども、この辺のところをきっちりと調べて、適正に 対処していきたいと考えております。 ○部会長  よろしゅうございますね。 ○今田部長  先ほど私の説明で、例の国立療養所は福祉と医療と二枚看板と申し上げたんですけれ ども、機能はそうなんですが、政令上は県の委託を受けているということなんで、二枚 看板ではないんですが、ただ、実態上は先ほどお答え申し上げたことと同じことを適用 するわけですけれども、説明上ちょっと間違っていたという指摘を受けましたので訂正 させていただきます。 ○部会長  よろしゅうございますか。  それでは、ただし書きの項の公衆衛生審議会の答申(案)ができましたので、これを お配りいただけますか。  それでは、全員にお回りになったと思いますが、回っておりますですね。それでは、 これを読み上げていただきたいと思いますので、事務局よろしくお願いします。 ○杉中補佐  答申(案)を読み上げさせていただきます。              公衆衛生審議会 答申(案)  当審議会は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の改正について、精神障害者 の人権に配慮した医療等の提供、緊急時における医療の確保、社会復帰対策の充実、保 護者制度の在り方、関係機関の役割分担の在り方を中心に、制度全般にわたる検討を重 ね、本年1月14日に、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の改正に当たっての 基本的な考え方及び当面改正すべき事項について「今後の精神保健福祉施策について」 を意見具申としてとりまとめ、厚生大臣に提出した。  今回諮問のあった改正案要綱は、この意見具申の考え方に沿って、当面の精神保健及 び精神障害者福祉の推進のために必要な事項が盛り込まれていると認められる。  従って、当審議会としては、諮問の線に沿って精神保健及び精神障害者福祉に関する 法律を改正することを了承する。  なお、下記の点についても十分配慮されたい。                    記 1 医療保護入院の要件の見直しについて、「入院の必要性が理解できない」状態は、 指定医が当該精神障害の状態を総合的に判断して判定するものであることを、医療機関 等関係者に周知すること。 2 指定医の報告義務を規定することによって、病院管理者と指定医との信頼関係が損 なわれるのではないかという指摘があったが、指定医には人権に配慮した医療を確保す る役割があり、院内において重大な処遇違反が行われた場合にその是正について報告す ることが期待されるものであることを周知すること。 3 国公立病院については、措置入院の積極的な受け入れを行うとともに、救急医療機 関としての役割を率先して担う等、民間病院等を支援する病院としての役割を果たすよ う指導していくこと。 4 医療保護入院等のための移送の事務が円滑に実施されるよう、応急入院指定病院の 基準の見直し等を行い、その体制整備を図ること。 5 今回の保護者の義務の軽減によって、医療関係者の責任が加重されるのではないか という指摘があるが、自傷他害防止監督義務の廃止は保護者の過大な負担を軽減し、地 域で精神障害者の生活を支援する体制を整備していくことを目的とするものであり、引 き続き、精神障害者に治療を受けさせる等の役割が求められていることを周知すること。 6 精神医療にかかる情報公開の推進方策について検討していくこと。  以上です。  すいません、前文のところの「従って、当審議会としては、諮問の線」というのを 「諮問に沿って」という形に直させていただきたいと思います。 ○部会長  どうもありがとうございました。  出された意見のすべてを網羅したものではありませんが、例えば、触法その他は今後 も引き続き検討されることだろうと思います。いかがでしょうか、この意見書について どうぞ。 ○河ア委員  重大なる犯罪を起こした方の。 ○部会長  先ほど出された触法、重大な犯罪を起こされた方の問題が抜けているということでご ざいますね。 ○三觜課長  先ほどお答え申し上げた線でつけ加えさせていただきたいと思います。 ○西島委員  確認でございますが、述べさせていただきます。  先ほどの日本医師会が出しました意見書、必ず付記していただくということを前提に 了解いたします。 ○部会長  西島先生、確認いたしますが、先生が出されたこのペーパーをそのまま付けるという ことでございますか。 ○西島委員  そういうことです。 ○部会長  事務局いかがでしょうか。 ○今田部長  ご意見を踏まえてまとめたつもりではありますが、資料ということになると、皆さん また、これもあれもということになるんですけれども、ただ、少なくともこの資料が、 この当審議会に示されて、しかも、それは皆さんにも行き渡り、そして議事録として公 開されますので、そういった意味で、この審議会として残るという意味でご理解させて いただくということでよろしゅうございましょうか。 ○西島委員  ですから、そういう意見があったということを明確にしていただければ、それで結構 でございます。要は今後はこれは国会の議論の問題になってまいりますので。 ○伊藤委員  もう一つだけよろしいでしょうか。 ○部会長  どうぞ、伊藤先生。 ○伊藤委員  今の5番目なんですが、最後の方の「引き続き」ということですが、「精神障害者に 治療を受けさせる等の役割が求められていることを周知すること」ですが、これは前の 審議会の流れから言うと、将来的にはこの治療を受けさせることに対しても軽減してい くべきだという意見が大勢を占めていたと思うんですね。そうするとこれは逆行のこと をここの文に残してしまいます。この法律も何年か後にはだんだん見直していくと思い ますので、そのとき、だんだん時代とともにやはり精神障害者の保護義務者だけが治療 の義務が最後まで残っていくというのは時代の流れとしては、今後のあれとしては、こ れはちょっと後で問題を残しちゃうのではないかとちょっと危惧しているところです。 この辺は皆さん少し意見を言っていただきたい。 ○部会長  ほかの委員の先生方いかがでしょうか。どうぞ。 ○吉川委員  やはり専門委員会の中でもその議論は随分出たと思います。その考え方としては、保 護義務者の受容責任、義務をできるだけ軽減していくという方向で、だからこそ任意入 院や通院患者については、それをまずは減らしていくということで考えてきたことです。 そして、今後は、今、伊藤先生が言われたように、できるだけこうしたものを少なくし ていこう、こういう考え方のプロセスの中で、先ほど提示されたようなものが出てきた んですね。  ですから、任意入院や通院患者という前提があって、初めてあの条項があったわけで ございますので、私も今の意見には賛成です。 ○部会長  そうしますと、伊藤先生、これはどういうふうに直したら、先生はよろしいとお考え でしょうか。 ○伊藤委員  「目的とするものである」で切ってしまっては問題でしょうか。 ○吉川委員  そのとおりだと思います。「ある」でマルをして、そして、以下を取ってしまうと。 ○部会長  それでよろしいでしょうか。 ○西島委員  先ほど河ア委員もおっしゃいましたように、やはり家族や保護者と医師とが密な協力 関係の中で治療をしていかないと精神障害に関しては治療が非常に難しいんですね。そ ういう意味では、私はぜひここの部分は残していただきたいと思います。 ○部会長  自傷他害というところが除かれることに対する不安に対する答えにはなっているわけ ですね、ここの部分が。それでも除いた方がいいということでしょうか。 ○伊藤委員  私は除くべきだというふうに思っておりますけれども。 ○小西委員  もし、ここでそれが除かれるのであれば、やはり自傷他害の責任はだれがとるのか、 将来のことにわたって話すわけですから、そしたら、やはりそちらの方もここに入って くるべきではないかと私は思うんですけれども、担保が一切なしにこれだけを取るとい うのは少し偏っているような気がいたします。 ○部会長  ほかの委員の方、ご意見ございますか。はい、どうぞ。 ○池原委員  私も削除するのが最も理想的だと思いますが、あるいはそういう点でなかなかこの時 間内に意見の一致が得られないのであれば、少なくても要綱案では、通院又は任意入院 の場合には保護義務がないということは合意されているわけですから、その部分につい てだけ確認するということでとどめておいたらいかがと思います。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○牧野田委員  先ほど伊藤委員がおっしゃったように削除すべきだと思います。それで、これが治療 を受けさせる役割というのは、精神保健福祉法の中に今でも入っているわけですから、 ここで改めて書かなくてもよろしいのではないかと思います。 ○部会長  いかがでしょうか、ほかには。河ア先生。 ○河ア委員  おっしゃることはよくわかるんです、我々も。当然そうあるべきだということは認識 はしておるんですけれども、現段階において、やはり家族の方の役割とか義務とかどう とかじゃなしに、治療受けさせるなどの努力という言葉と役割とどれだけ違うのかとい うことなんだけれども、法的な義務とか何とかじゃなしに、やはり家族として、そうい うことに協力を求めるとかという程度の文言でも入れていただかなければ、全然責任な いんだとぽんといくとちょっと……。 ○部会長  池原先生、先ほど言われた内容を文章化していただけますか、参考までに。 ○池原委員  そうであれば、「引き続き、措置入院又は医療保護入院等の精神患者については治療 を受けさせる義務が存続することを確認する」とか、そういう合意できている範囲でと どめてはいかが。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○吉澤委員  私も削除の方に賛成ですけれども、先ほどからの議論というのは、家族とか、そうい ったあいまいな言葉とここで明瞭に述べられている保護者の義務という問題が混同され てまして、ここは保護者の義務というふうに限定していますので、今までの法解釈をあ えて変えるということでもありませんし、むしろ削除をするのが正しいと考えます。 ○部会長  事務局何か、先ほどの池原先生のお示しになられた文章ではいかがでしょうか。措置 入院、医療保護入院に特定するような内容。 ○町野委員  削除してしまいますと、私はある意味が全然ないということなんですね。後段を削除 するなら全部削除した方が私はいいだろうと思いますけど、もしこれを残すということ ですと、やはり先ほどの池原先生言われたような、ただし、医療保護入院とか措置入院 とか、そういうことを具体的にするのでなくて、保護者は依然として、言葉はどうなる かわかりませんけれども、医療関係者と協力しつつ精神障害者の医療及び社会復帰につ いて、これからも義務といいますか、それを担当していくことというような……。 ○部会長  役割でもよろしいですか。 ○町野委員  そうですね。役割を持つこと。そこら辺かなという感じがいたしますけれども。 ○池原委員  もちろんおおむね一致しているんですけど、ただ、今回の入院形態とある程度絡ませ ている部分というのは、当初、保護者の任期あるいは対象を限定するという議論から出 発している議論でして、やはりその辺はある程度はっきりさせないと、漠然と役割があ るというのと、一定の場合に保護義務があるというのはかなりの違いがあると私は認識 していますので、できれば、むしろなかなか意見がまとまらないのであれば、かなり具 体的に要綱案になっておりますので、その一致している部分で表現するのが一番落ちつ きがいいのではないかと思っております。 ○部会長  一致する部分を探しているんですけど、なかなかそれが見つからないところが……。 ○西島委員  もう一度ようございますか。 ○部会長  はい、どうぞ。 ○西島委員  先ほども申しましたが、任意入院、通院、これでまたトラブルが起きているんですね。 ですから、やはり「引き続き」という言葉で、今後考えていけばいいわけでございます ので、精神治療を受けさせる等の役割が求められているということで、今後検討してい ったらどうでしょうか。ですから、この部分をこのまま残していただいて、要は今後も し見直しがあるのであれば、そのときにきちんと検討されたらどうかというふうに考え ます。ですから、この部分は残しておいていただきたいと思います。 ○部会長  このままということですね。 ○西島委員  はい。 ○伊藤委員  よろしいですか。 ○部会長  はい、どうぞ。 ○伊藤委員  小西委員が発言されたことは大事だと思うんですね。恐らく混乱するんじゃないかと いうことが、何か担保が必要だろうということですね。 ○小西委員  はい。 ○伊藤委員  それであれば、今後その問題について検討すべきであるということで、混乱起こるか ら、どこまでも家族にというのはもう通じないということは、小西委員も恐らくわかっ てらっしゃると思うんですが。 ○小西委員  もちろん、それは基本的な路線としては当然そうだと思っているんですね。ただ、こ この中で義務を外すということは確かにいいことですけれども、それが全体に及ぼす影 響の中でバランスを欠いてはいけないというところもやっぱり考慮していただきたい。 ○伊藤委員  ですから、それにかわって、何か対応できるシステムをつくっていかなければならん というようなことが。 ○小西委員  そういうことを述べるべきだと私は思います。 ○仙波委員  私は残していただきたいと思うんですが、先ほどの論議で、自傷他害防止監督義務は 非常に過大なものですね。心理的な意味でも取った方がいいというのが1つありますね。 現実的には我々は家族に治療協力を求めるのは毎日やっているわけですよね。それにひ びが入るようなことがあってはちょっと臨床医としてはやり切れないなというような感 じがあります。  ここは、私は「引き続き、精神障害者に治療協力の役割が求められていること」とい うふうに、治療協力を入れまして、「を受けさせる」ということになるとちょっと義務 的な感じがありますので、「精神障害者に治療協力の役割が求められる」というふうに はならないものでしょうか。 ○部会長  いかがでしょう。非常に最後にまとまりのいい意見をお出しいただけたと思いますが 皆さんよろしゅうございますか。どうぞ。 ○池原委員  ある程度、落ちつかせるためには仙波先生がおっしゃるようなことでもよろしかろう と思いますが、できれば、もう少し加えていただきたいのは、余り具体的な表現をする となかなか意見が一致しないとすれば、例えば「一定の場合には」とか、「一定の場合 には治療協力義務がある」とか、さらにもう少し、できれば、「治療協力」というのも 非常にある意味では、お医者さん方には大変失礼な言い方なんですけど、医療に偏った 1つの価値観で問題を処理することになりますので、例えば「適切な治療を受けられる ように努める役割がある」とか、そんなような、もう少しニュートラルな治療協力の責 任、役割という表現にして、「一定の」という表現を入れていただければ、何とか合意 できないものかと思っています。 ○部会長  そうしますと「引き続き、精神障害者の適切な治療協力を行う役割が求められてい る」。 ○池原委員  「一定の場合には」です。 ○部会長  最初にですね。 ○池原委員  ええ。 ○部会長  「引き続き、一定の場合には精神障害者の治療協力を行う役割が求めてられているこ とを周知すること」。事務局。 ○今田部長  一定じゃなくて「必要な場合には」というのはまずいですか。 ○池原委員  大体似ているんですけれども、必要というのは、どちらかというと不定型な要件だと 思うんですね。一定というのはやはりある程度法律に定められた場合を想定していると 思いますので、「一定」の方がよりよいと思います。 ○西島委員  要は、先ほどから私申し上げていますが、臨床の場面と法律の場面が違うわけですよ ね。そのあたりがごちゃ混ぜになって今議論が行われていますので、私どもは、あくま でも臨床の現場が混乱するという観点からこの話をしているわけですね。ですから、ぜ ひ、今、今田部長がおっしゃったように、「必要な」という表現が私は適切だろうとい うふうに思います。 ○池原委員  余りこだわりませんけど、これはあくまでも法律の要件を議論する問題ですので、そ の中でまた臨床の場面は臨機応変にお考えいただくということで。 ○部会長  これは主として臨床サイドから危惧を出されておりますので、それに対する答えとい うような意味もございますので、ただいまの西島委員の意見を入れて修正させていただ きたいと思います。よろしゅうございますか。  ほかにございませんでしょうか。 ○大熊委員  さっきの「配意」と「配慮」なんですけど、私は法律に暗いので、事務局がおっしゃ ったら、ああ、そうかと思ったら、吉澤先生がご専門の立場から「尊重」でよかろうと いうことでありましたので、それは変えていただけないものでしょうかしら。 ○三觜課長  「配慮」に直していただきます。「配意」を「配慮」に。 ○吉澤委員  「配慮」と「尊重」とは基本的に違いまして、それの侵害のおそれがあるからこそ積 極的に人権を尊重しようということと、それは一応わかっているけど、配慮しています よというのではニュアンスがまるきり違うし意味も違うと。現在、この答申の方向とし ては、「人権の尊重」ということが大前提にあるというふうに私は理解しておりますの で、これは単に「配意」を「配慮」にするのではなく「尊重」にしていただきたいと思 います。 ○部会長  事務局の方、いかがですか。 ○遠藤課長  確かに「尊重」とかいう表現も、そういうご意見理解できるわけですけれども、昨年 感染症の予防法の関係で法律案を国会に提出させていただきまして、そして、国会で 種々議論ございまして、議員修正ということで、法律の前文と言われるものを議事修正 で追加したという経緯がございました。そのときにその前文の中で、「人権に配慮」と いう使い方をしておりまして、そこは先ほど事務局からご説明しましたような、そうい う観点からの用語の使い方があったものと理解しております。  そういうことで、これは今回法律案の要綱ということで、そのまま使わせていただき ましたので、そういうようなことも踏まえまして、「配慮」という用語でやらせていた だきたいと思っております。 ○部会長  基本的には、私、先ほど提案させていただいたのは、要綱は認めて、かつそれにただ し書きを付けるということですので、これはこのままの諮問でよろしいかと思いますが 「配慮」というところまでは変えるという形で出しますか。 ○遠藤課長  すいません、今、ちょっと説明間違いまして、前文の方では「尊重」となっておりま したけれども、法律の実態的な規定の中で「配慮」という使い方をしておりますので、 法律的に何かを定めるというときには「配慮」ということでとどまっていたということ でございます。ちょっと説明間違いまして恐縮でございます。 ○部会長  それでは、ただいまの説明もございますし、ここを「配慮」と直すことには問題ない ということなので、「人権に配慮し」ということに、この審議会ではしてまいりたいと 思います。 ○大熊委員  私が「尊重」ということを言いましたのは、感染症予防法での国会論議を聞いていた からでありまして、そして、そこでは前文に「尊重」が入ったわけです。それから、時 代はさらに進んでいるのに、また「配慮」に逆戻りというのでは困るのではないか。 「配意」が「配慮」に変えられるなら、「配慮」をさらに「尊重」にしてはいかがと思 います。 ○吉澤委員  一点だけよろしいですか。 ○部会長  どうぞ。 ○吉澤委員  このもとになるものとして、1991年12月の国連決議で、「精神病院の入院患者 の人権を尊重し」ということで決議が行われているんですが、それを受けた形で今回の 法改正も行われていくという意味でも、その決議の中の「尊重」という言葉をこの場合 も使うのが正しいと思います。 ○部会長  わかりました。まだ即答が出ないというところもあると思いますし、ただいまのご意 見を尊重いたしまして、事務局とも相談いたしますので、ここの問題は部会長に一任し ていただけますと幸いですが、よろしいでしょうか。               (「はい」という声あり) ○部会長  それでは、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、これで本日の部会は終わらせていただきます。委員の皆様方には大変お忙 しいところをご出席いただきまして、また、貴重なご意見をいただきありがとうござい ました。  次回につきましては、今後、事務局の方で調整して、事務局からご連絡申し上げます ので、どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。 照会先 障害保健福祉部精神保健福祉課 医療第一係 高橋(内3057)