99/02/05 第16回厚生科学審議会先端医療技術評価部会議事録 第16回厚生科学審議会先端医療技術評価部会議事録 1.日  時 : 平成11年2月5日 (金) 16:00〜17:00 2.場  所 : (社福)全国社会福祉協議会 第3・4・5会議室 3.出席委員 : 高久史麿部会長         (委員:五十音順:敬称略)          木村利人 柴田鐵治 寺田雅昭         (専門委員:五十音順:敬称略)          金城清子 廣井正彦 松田一郎 森岡恭彦 山崎修道 4.参 考 人 : 東京大学医科学研究所附属病院内科  総括責任者  谷 憲三朗  助教授 5.議  事 : (1)東京大学医科学研究所附属病院の遺伝子治療臨床研究            (腎がん)の経過報告について           (2)東京大学医科学研究所附属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画            (肝がん) について           (3)がん遺伝子治療臨床研究作業委員会 (肝がん) 委員 (案) 及び            がん遺伝子治療臨床研究作業委員会 (食道がん及び乳がん) の             開催状況について           (4)岡山大学医学部附属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画            (肺がん)の変更について           (5)生殖医療問題に関する専門委員会からの報告について 6.資 料:1. 東京大学医科学研究所附属病院の遺伝子治療臨床研究         (腎がん)の経過報告について       2-1.東京大学医科学研究所附属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画         (肝がん)について       2-2.患者さんへの第1回目の同意文書(案)       2-3.患者さんへの第2回目の同意文書(案)       3. 厚生科学審議会先端医療技術評価部会がん遺伝子治療臨床研究作業         委員会(肝がん)委員(案)       4. がん遺伝子治療臨床研究作業委員会(第4回)・遺伝子治療臨床研究         (がん)審査ワーキンググループ(第6回)の概要について       5. 岡山大学医学部附属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画(肺がん)         変更報告書       6. 遺伝子治療臨床研究に関する指針 ○事務局  定刻となり、既に定足数の委員もそろっておられますので、ただいまより第16回厚生 科学審議会先端医療技術評価部会を開催いたしたいと思います。  本日は、委員のうち、軽部委員、曽野委員、入村委員、加藤委員から御欠席の旨、御 連絡をいただいております。 それから、議題 (1)の関係で、御多用の中、東京大学医科学研究所附属病院内科助教 授の谷憲三朗先生に御出席をいただいております。 それでは、まず本日の配付資料について、お手元の資料の御確認をお願いいたしたい と存じます。「議事次第」の4番の項目に本日の配付資料一覧、資料1から6まで記載 しております。うち、資料2につきましては3部構成になっておりますので、お手元に は資料1から6まで、計8点の資料があるかと思います。資料1が「東京大学医科学研 究所附属病院遺伝子医療臨床研究(腎がん)の研究報告について」。資料2が、同じく 「東京大学医科学研究所附属病院の遺伝子治療臨床臨床研究(肝がん)について」、こ れが2−1でございます。それに付随いたしまして、2−2が「第1回目の患者さんへ の同意説明文書(案)」、2−3が「第2回目の同意説明文書(案)」でございます。 また、資料3は、この審議をお願いいたします「がん遺伝子治療臨床研究作業委員会 (肝がん)の委員(案)」でございます。参考といたしまして、現行の千葉大学医学部 附属病院(食道がん)及び財団法人癌研究会附属病院(乳がん)の計画に対する作業委 員会名簿も付けております。資料4が、同作業委員会におきます審議の概要についてで ございます。資料5が「岡山大学医学部附属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画(肺が ん)の変更報告書」でございます。資料6が、御参考までに現行の「遺伝子治療臨床研 究に関する指針」で、これは毎回お出ししているものと同じものでございます。以上8 点、もしお手元にないようでありましたら、事務局の方にお申し出を願いたいと思いま す。  それでは、今後の進行につきまして、部会長の方でよろしくお願い申し上げます。 ○高久部会長  それでは、厚生科学審議会先端医療技術評価部会を開かさせていただきます。  本日の部会では、最初に、御案内のように、現在実施されております東京大学医科学 研究所附属病院の「腎細胞がんに対する免疫遺伝子治療−IV期腎細胞がん患者を対象と するGM−CSF遺伝子導入自己複製能喪失自家腫瘍細胞接種に関する臨床研究−」に つきまして、研究の総括責任者の東京大学医科学研究所附属病院内科の谷助教授から、 進捗状況について御説明をよろしくお願いします。 ○谷助教授  大変お世話になっております。御指名によりまして、現在までの経過を簡単に御説明 させていただきたいと存知ます。  配付させていただきました資料に基づいて御説明させていただきますが、昨年8月10 日に、厚生省、文部省から腎癌に対する遺伝子治療に関しまして、開始可能の御許可を 頂き、9月19日、腎細胞がん免疫遺伝子治療臨床検討会で第1例目対象患者についての 検討が開始されました。9月20日に患者さんより第1回目のインフォームド・コンセン トが得られ、9月29日、学内の臨床審査委員会である遺伝子治療臨床研究審査委員会で 対象患者が承認されました。これを受けまして、10月5日、同患者さんの患側(がんの ある側)腎臓の摘出後、本免疫遺伝子治療に必要な細胞処理を開始いたしました。10月 20日には遺伝子導入細胞の凍結が完了し、約80gの腫瘍から、最終的には 4.6×108個の 細胞を回収できました。これらの細胞の安全性検討等に一部使用しておりますので、最 終的にはGM−CSF遺伝子導入細胞として、2×107個のバイヤルが16バイヤル得ら れ、凍結保存致しました。10月21日、安全性検査のために、一部の細胞並びに細胞培養 上清を米国のMA Bioservices社へ輸送致しました。  その結果が出る時期を考慮し、11月30日、腎細胞がん免疫遺伝子治療臨床検討会で遺 伝子治療の第2段階の検討、すなわち、ワクチン細胞の接種開始の判断に関しまして、 学内の専門委員会で検討を行いました。その結果、患者さんの状態に問題がないという 判断のもと、12月8日に米国のMA Bioservices社より導入遺伝子細胞の安全性確認が得 られた後、12月9日に第2回目のインフォームド・コンセントを得ました。これに基づ きまして、12月10日より細胞の接種が開始されまして、同日には2バイヤル、すなわち 4×107個の細胞を右の上腕外側4か所に皮内接種致しました。続きまして、2週間お きに計4回、2×107個の細胞を皮内接種致しました。接種箇所は、12月24日に左の上 腕、1月7日に右の大腿前面、1月21日に再度右の上腕外側、そして昨日2月4日に左 の上腕外側でした。さらに2週間後の2月18日に予定最終の6回目の接種が行われる予 定です。  以上のように、おかげさまで現在のところ予定どおり臨床試験は進行しておりますの で、御報告させていただきました。 ○高久部会長  どうもありがとうございました。今の谷助教授からの御報告につきまして、何か御質 問がおありでしょうか。 ○木村委員  これは、既に内容的には、このスタートについては、当部会で話し合ってこういうこ とになった訳ですが、9月20日に第1回目のインフォームド・コンセントがありまして そして12月9日に第2回目のインフォームド・コンセントが得られたということがある 訳ですが、この1回目と2回目というのは、具体的に言いますと、何か内容的に違うの ですか。 ○谷助教授  説明及び同意書の内容は全く一緒でございます。ただし、第1回目は手術が可能かど うかが主体になります。第2回目に関しましては、手術後2か月の時期に実施致します ので、それまでの間の患者さんの病状の変化や、心情の変化等がないことを確認する目 的を持っています。 ○高久部会長  注射局所の発赤というのはどれぐらい続いたのですか。 ○谷助教授  第1例目では注射局所の発赤は、24〜48時間をピークに認められ、3〜4日間で消退 致しました。 ○寺田委員  同じことですけれども、なかなか難しいかもわかりませんが、植えたところでGM− CSFが発現しているというような証拠は何かありますか。 ○谷助教授  それは、16バイヤルのうち1バイヤルを接種直前に解凍いたしまして細胞培養を行い GM−CSFの産生があるかどうかを再度確認いたしました。接種局所でGM−CSF の発現が維持されているかについては、これ以外には現時点での直接的な確認はなされ ておりません。(なおその後、接種後の患者血清中GM-CSFレベル検査の結果が得られ、 接種後に血清中のGM-CSFレベルは上昇していました) ○寺田委員   Bioservices社より安全性の確認を得るというふうに書いてございますが、確認を得 るというのは、どういう形で確認を得るのですか。 ○谷助教授  正式な書類のファクシミリをいただいております。その原本は、ファクシミリ受領に 10日ぐらい遅れて得ております。 ○木村委員 具体的なインフォームド・コンセントの内容ですが、病状を改善出来る可能性が低い こと、あるいは、ある程度の有用性ということについて13ページに書いてありまして、 それから22ページを見ますと、先ほど質問申し上げましたけれども、今回と同じ説明を もう一度行ったということで、25ページにいきますと、ここのところをちょっとお伺し たいのですが、「予想される副作用とその対策」というところで、「予期しないような 副作用が起こるかもしれません。例えばベクターとして用いたマウス白血病ウイルスが 増殖したり、他の遺伝子と組換えられて新しいウイルスが生じたりする可能性です」と いうことですが、その次のところを読みますと、「安全性が飛躍的に向上していると考 えられます」というところで文章が終わっているんです。「可能性がある」と言ってい るのですが、「飛躍的に向上していると考えられます」という文章で終わって、ここの ところは飛躍があるような気がするのですが、これはデータとして、今までそういう データがなかったとか、あるいは動物実験の結果、そういうことはあり得ないというふ うに考えられるという内容ですか。 ○谷助教授 既に米国で同様の臨床治験が行われておりまして、その場合に、ここで言う主な「予 期されない」副作用は実際には起こっておりません。ただし統計的には、例えば患者数 が50人程度だったらいいのか、100人程度だったらいいのかについては現在の科学ではま だ明らかになっていない状況だと思いますので、このような記載にとどめさせていただ いております。 ○高久部会長 ほかにどなたか。 ○廣井委員 これからはどのような方法で患者のフォローアップをしていきますか。 ○谷助教授 現在、逐次、定期的に患者さんの全身のチェック、画像診断及び生化学・血算等のチ ェックを行っております。これは、6回終了後も定期的に行い効果を判定していく予定 です。 ○高久部会長  今のところはまだ経過の報告ということですので、谷先生、今日はお忙しいところ、 どうもありがとうございました。御退席になって結構です。 ○谷助教授  どうもありがとうございました。今後ともご指導よろしくお願いいたします。 (総括責任者 谷助教授 退席) ○高久部会長  それでは、次に、平成11年1月22日に厚生大臣から厚生科学審議会に諮問がありまし て、1月27日付で厚生科学審議会会長からこの部会に付議されました、今年の1月5日 に東京大学医科学研究所附属病院長から提出されました「原発性及び転移性の肝がんに 対するp53遺伝子治療臨床研究実施計画」について、今後の取り扱いを含めまして、部 会としての御審議をいただきたいと思います。まず、事務局の方から、申請の経緯につ いて説明をよろしくお願いします。 ○事務局 それでは、事務局の方から資料2、特に2−1に基づきまして御説明申し上げます。  まず、1ページ目、2ページ目でございますが、1ページの方には、厚生大臣より厚 生科学審議会会長あて、意見を求めるという形の諮問書の写が付いてございます。2 ページ目の方に、審議会会長より先端医療技術部会の高久部会長あて、この部会に付議 するというような形の付議書が付いてございます。  そして、3枚目に申請書の表紙の写が付いてございます。実施施設につきましては、 先ほど部会長から御紹介がありましたように、東京大学医科学研究所附属病院、浅野病 院長からの申請でございまして、遺伝子治療臨床研究の課題名は「原発性及び転移性の 肝がんに対するp53遺伝子治療臨床研究」でございます。総括責任者は、附属病院外科 教授の武藤徹一郎先生でございます。なお、内々に伺っています限りにおきましては、 武藤先生は定年等の関係で近々御退官の予定もございまして、今後の御審議の過程にお きましては、総括責任者の変更も施設としてあり得るという形の御報告をいただいてお ります。  4ページ目が、総括責任者以外の研究者の概要でございまして、副総括責任者等も用 意しておるということでございます。  5ページ目は審査委員会の結論でございますが、これは別添でございます。  6ページ目の方から研究の目的等が記載してございます。研究の目的につきましては 『本遺伝子治療臨床研究では、原発性及び転移性の肝がん患者に対して正常p53遺伝子 発現アデノウイルスベクター(SCH58500)を5日間連日投与し、SCH58500 の安全性、薬物 動態及び導入されたp53遺伝子の確認を検討することにより、この治療法に対する重要 な知見を得ることを目的とする。』また、併せて第I相試験の位置付けでございますが、 がんの縮小効果、関連する腫瘍マーカー及び腫瘍組織の検討により抗腫瘍効果について も評価を行うということでございます。この臨床研究につきましては、カリフォルニア 大学サンフランシスコメディカルセンターのプロトコールに準じて実施する。また、使 用する遺伝子ベクターであるSCH58500は、米国シェリング・プラウ社より、その日本法 人であるシェリング・プラウ株式会社を経由して供給される予定でございます。したが いまして、現在までに御審議いただいた計画の中では、岡山大学の計画に類似した形の ベクターの供給体制でございます。このベクターにつきましては、シェリング・プラウ 社より医薬安全局の方に品質の確認の申請が出される予定でございまして、その後、中 央薬事審議会の方で審査される予定でございます。 続きまして、対象疾患でございますが、p53変異を有する原発性及び転移性の肝がん で、外科的切除術が不可能であり、他の治療法では効果が見込めない患者を対象として いるということでございます。以下に幾つかの理由がございますが、とにかくこういう 患者に対しては適切な新しい治療法の開発が望まれているということで、こういう研究 を実施したいということでございます。 また、その次のところに安全性について記載がございますが、7ページ目の上の方に おきまして、このベクターにつきましては、アメリカのGMPの基準に従って生産され 純度試験とか、RCA検出試験、エンドトキシン試験等々につきまして試験を行って、米国 の規制当局から確認を受けた品質規格に適合した製剤であるということでございます。 また、諸外国におきましては、各種癌を対象とした臨床試験が実施されているというこ とで、米国でも同様のものが実施中であるということでございます。  最終的には、その下に実施が可能であると判断する理由が書いてございまして、特に 後半部分、SCH58500 については、実験動物及び培養細胞を用いた種々の前臨床安全性試 験、薬理試験等が実施され、ヒトに応用するための基礎的な知見が得られている。その 結果、SCH58500 を肝動脈内に投与すると、選択的に肝臓の腫瘍細胞にp53遺伝子が導入 され、抗腫瘍効果が得られることが確認されているということ。 さらに、次のページでございますが、本遺伝子治療臨床研究は臨床開発の初期段階で あり、確実な治療効果が期待出来るものではないが、この点を踏まえて患者に対して十 分な説明を行い、患者自身の自主的な判断による同意を得た上で実施することについて は問題ないと判断しているということでございます。 また、次の9ページ目以下につきましては、審査委員会での審議及びその結論が出て ございます。  そして、13ページ目からは、投与方法等につきましての詳しいものが付いてございま す。 最終ページにつきましては、東京大学医科学研究所倫理委員会委員と遺伝子治療臨床 研究審査会委員の対比表が添付されてございます。 あと、資料2−2、2−3につきましては、第1回目の同意文書、第2回目の同意文 書の案ということで、当初に提出があったものを本部会に提出させていただいておりま す。  以上でございます。 ○高久部会長  どうもありがとうございました。この東京大学医科学研究所から出されました臨床研 究実施計画については、従来の遺伝子治療の実施計画と同じように、本部会の下に作業 委員会(がん遺伝子治療臨床研究作業委員会)を設けまして、その作業委員会で、主と して科学的な面について論点を整理していただくということになっておりますが、それ に先立ちまして、本部会で少し時間をいただいて、社会的な側面などについて御審議を いただきたいと思います。  それでは、お手元の資料2−1、2−2、2−3に基づいて、東京大学医科学研究所 から出されている遺伝子治療臨床研究について御意見をお伺いしたいと思います。  まず、私がお聞きしたいのは、1回目と2回目の説明というのはどう区別されている のですか。今までは一回しかしていなかったと思いますが。 ○事務局  今、手元の資料を確認いたしております。 ○高久部会長  腎臓がんの場合には、1回取り出して、in vitroでトランスフェクトして、それから もう一回やるから、確かに2回必要だと思いますが、これはダイレクトにアデノウイル スを入れるので、2回というのはよく分からないのですが。 ○事務局  本日はその資料につきましては提出されてございませんが、当初の計画につきまして 同意の説明方法につきましては、本部会、あるいは文部省の方の専門委員会におきまし て御議論いただきまして、その意見を踏まえて最終的なものをつくりまして患者さんに 説明を行うということで、一つは、附属病院内で症例検討委員会での適応性確認後、第 1回目の説明をした上での自主的な意思に基づく同意を得る。次に、投与前観察におい て対象症例であると確認された後、すなわち、このベクターが投与される直前にもう一 度説明を行い、同意を取るという形でございます。あと、図で研究の流れが出てござい まして、資料2−2の右端の方にページ数が打っておりますが、その11ページに記載さ れてございます。 ○高久部会長 分かりました。今日出されたので、急に何か意見をと言っても難しいと思います。が ん遺伝子治療臨床研究作業委員会で科学的な面について討論した後、当然、もう一回御 議論願うことになると思いますので、今日は気付かれた点だけ言っていただければ、最 終的にもう一回御議論願うことになると思います。 ○木村委員  以前、審議の内容についての関係書類をお送りいただいたこともありまして、そうい うことですと前もって読めるということもありますので準備が出来るのではないかと思 うんですが、その他、関連書類につきまして、事務当局で各専門委員、あるいは私を含 めて、関連事項について、厚生省で持っている資料につきましては、いつもいろいろお 送りいただいて大変ありがたく思っております。  今のに関連しているのですが、お配りいただきました資料2−1のところを先ほど事 務当局の方からお話しいただきましたが、その8ページを見ますと、これは関連するこ となのでお伺いさせていただきたいと思っているんですが、この文章がどうこうという のじゃなくて、実施施設、これは、今日も谷先生がおいでになってお話しいただいた訳 ですが、東京大学医科学研究所は、8ページを見ますと、「実施計画」の上のところで すが、「基礎部門から臨床部門に至る十分な設備とスタッフを有し、特に本遺伝子治療 臨床研究のような先端医療に対する研究体制が整っている」ということで、大変すばら しい施設だと思うのですが、「ような」というのは、本遺伝子治療臨床研究以外に、先 端医療に対する研究体制というのは例えばどういうものがあるかということについては 事務当局としては何か把握しているのでしょうか。 ○事務局  これは、東京大学医科学研究所附属病院におきます二つめのプロトコールという点も ございますし、それ以外にも、実は細胞治療をはじめとしましたいろいろな研究、それ から基礎部門におきましては、トランスジェニックアニマルをはじめとしました、いわ ゆる先端技術によります医学基礎研究等で数々の発表をしていただいているところとい うふうに承知しております。あくまでこれは研究所の委員会といいますか、研究所とし てこのようなお考えであるということかとは思いますが、このような肝がんに対する遺 伝子治療も含めて、先端的研究について相応の施設、人材を持つという趣旨ではなかろ うかと思います。 ○木村委員  分かりました。 ○山崎委員  今の御説明ですと、これはまだ「がん遺伝子治療臨床研究作業委員会」にかかってい ないということですか。 ○高久部会長  そうです。 ○山崎委員  それでは、私から「がん遺伝子治療臨床研究作業委員会」にお願いですが、今、これ を急いで見せてもらったんですけれども、アデノウイルス5型を使っているときに、安 全性の面でやらなければいけないのは、前のと同じように、RCV(Replication Compe tent Virus(増殖性ウイルス))があるかないかということを勿論見なければいけないん ですけれども、そのことよりも、このアデノウイルス5型というのは非常に広く人々に 感染しているウイルスですよね。人によって、5型に対する抗体は非常に差が あります。ですから、アデノは1型から47型までありますから、5型に対してどのぐら い特異的な抗体を持っているかというのが安全面よりも治療の効果に影響がある。せっ かくこれを入れた場合に、血中で中和されてしまったのでは細胞の中に入る効率が悪く なるわけです。だから、どのぐらいの特異抗体、つまり5型に対する中和抗体を持って る場合に、効果はどのぐらい減るのかというようなデータが当然出されているんじゃな いかと思うのですが、今まで聞いたところでは、余りそういうデータはないような気が するんです。 ですから、「がん遺伝子治療臨床研究作業委員会」でそこはちゃんと調べていただきた いというふうにお願いいたします。 ○高久部会長  あれはアデノウイルスベクターに使ったときの一番大きな問題で、恐らく外国の今ま での資料でも、中和抗体は特にチェックしないでやって、結局、イムノロジカル(免疫 学的)にリジェクトしたということじゃないんですか。 ○松田委員 今まで使われているのは局所だと思います。つまり、嚢胞性線維症患者の肺をターゲ ットにしてです。この場合も肝動脈というふうに考えていますので、全身投与ではなく て、肝臓にともかく1回入るという想定をしていますので、先生がおっしゃるとおり、 私も最初は抗体が非常に心配だったのでずっと見てみたんですけど、方法論としては、 肝動脈に直接入れると書いていますので、1回肝臓に入れてしまう。そのときに肝臓に 入るんじゃないかという想定をしているんだろうというふうに思って、抗体の問題は大 事ですけれども、そのように解釈しました。  ただ、一つ、2−1の13ページの「評価項目」の中に、「血中薬物動態」という言い 方をしているんです。その次のページを見ますと、2日目〜5日目と書いていますが、 「4日目及び5日目には、末梢静脈から薬物動態用血清サンプルを採取する」と書いて あります。投与してしまってから4日ないし5日に採血しても薬物動態などというデー タは出てこないです。だから、こういう表現はちょっと問題じゃないか。どうなってい るかを確認するという意味ではいいと思いますけれども。その上の方に、1日目に「血 行動態をモニターする」と書いていますから、多分これは血行動態をモニターしている だけで、薬物動態とは全く関係ないと思うんです。そうすると、わずか4日及び5日目 に採血したということだけで「薬物動態」という表現まで持っていくのはサイエンティ フィックにはちょっと問題じゃないかというふうに思いました。そこは、山崎先生と同 じように、作業委員会の方で表現を考えていただくなりしていただきたいと思います。 ○高久部会長  わかりました。これは、薬物動態はp53のフォローアップをする訳でしょうね。 ○松田委員 そうだと思います。 ○高久部会長  ほかにどなたか。 ○事務局 ただいまの件につきまして、事務局がつかんでいる範囲で御説明申し上げますと、一 つ、この臨床研究につきましては、薬の開発の中での第I相試験的なイメージを研究施設 の方、あるいはベクターを供給されるシェリング・プラウ社の方で考えでございまして その面では、第一義的には安全性のチェックとともに、このような薬物の動態がどうな るかということも確認項目として挙げたいという形で、このような形で記載されたのだ と思います。御指摘の点につきましては、今後設置されます作業委員会の方、あるいは ベクターの方の審査につきましては中央薬事審議会の方で行なわれますので、中央薬事 審議会の事務局の方にも、何か適当な表現がないかという形でお伝えさせていただきた いと思います。 ○金城委員  全く素人なんですけれども、こういう同じような臨床試験というのはアメリカで行わ れている訳ですよね。そして、余り効果がないということも1995年あたりに一つ反省が あると思うんです。そういう意味では、この臨床試験は何か新しいところ、日本独特の 工夫をしたところとか、そんなところが何かあるのでしたら教えていただきたいと思い ます。 ○事務局 今の質問については、本来的には治験者の方から御報告すべきところかと思いますが 本日は出席しておりませんので、事務局として聞き及んでいる範囲で申し上げたいと思 います。 本試験研究につきましては、そこの記載にありますとおり、米国で同様の試験が現在 進行中であるというものでございまして、我が国で独特の部分を付け加えたという部分 はないものというふうに聞いております。強いて言いますと、日本の中で日本の患者さ んを対象としたというところかと思いますが、これは別に新規でも何でもないもの です。 ただ、金城委員から、御指摘のとおり、がんを対象としました米国におきますたくさ んの遺伝子治療臨床研究について、NIHを中心に解析を行いまして、必ずしも有効性 が確認出来たものはないんじゃないかという厳しい趣旨の報告が出ていることは先生方 も御承知のとおりかと思います。ただ、その中で、当時、最初使われておりましたレト ロバイラス系、あるいは直接投与系から、更に導入効果の高いベクターの開発とか、そ ういった方向に進んで、引き続きアクティブに米国を中心にしまして遺伝子治療臨床研 究の取り組みが進んで居ります。そういった中で、世界的にもこのタイプの取り組みが 引き続き盛んに行われているものという点で、少なくとも無効であることが確認された ものを追試するというものではないのではないかというふうに考えて、事務局としては 当部会に検討のお願いをしてはどうかということで出させていただいたものでございま す。 ○高久部会長  2−1の申請書にありますカリフォルニア大学サンフランシスコメディカルセンター ではどのがんを対象にしているか、知らないのですが、肝がんは日本に非常に多いとい うことと、この場合に、ダイレクトに肝動脈に入れるという点が新しいのではないかと 思っています。寺田委員、そうですね。 ○寺田委員  そうだと思います。それに付け加えて、NIHの所長Dr.Vermusの諮問委員会が Dr.Vermaを委員長として、またDr.Motulskyを委員長として『基礎研究をしっかりやり なさい』が結論で、その後『今まで副作用がないということに対して遺伝子治療を許可 してきた傾向が強い。副作用があってもやれという訳じゃ当然ないけれども、これから は効果ということに重点をおいて考える』というようなことをDr.Vermaが 言っています。それが、一部だけを取られて、変に曲げられて伝えられているところが 一つあります。それから金城委員がおっしゃったように、p53ばかり次から次と出てき まして、本当のところは「ちょっと待ってくれ」という感じがなきにしもあらずです。 ですから、そこはサイエンティストをやられる方は、あそこでp53をやっているのだか ら大丈夫だろうというような安易な気持ちにくれぐれもならないように、インフォーム ド・コンセント、あるいはいろいろなプロセスをきちんととおって、しかも科学的に判 断していただきたいと思っております。 ○高久部会長 まだいろいろ御意見があると思います。一応、本日の審議時間は1時間ということに なっています。 ○木村委員  資料2−1の8ページでございますけれども、今、我々が討議している資料2−2の 1ページとこれは連動している訳ですね。「患者さんへの第1回目の同意説明文書 (案)」というのが資料2−2の1ページに大変詳しく書いてあって、これは非常に大 事なことですけれども、一番下の小節で「たとえ参加に同意してからでも、また、遺伝 子治療臨床研究が始まってからでも、あなたが遺伝子治療臨床研究に参加するのをやめ たいと思ったときは、いつでも申し出てください。いつでも中止することができます」 と大変はっきりと書いていただいている訳ですが、前の資料2−1のところを見ますと 「備考」のところにそれが非常に要約されて入っていて、これは以前こういうふうな形 で「備考」に入っていなかったものですから、これを入れていただいたのは大変いいこ とだと思うんです。ただ、文章をもう少し練っていただいてと思うのは、被験者の同意 取得のところの次の行から読みますと、「その内容と期待される治療効果及び危険性を 十分に理解し」、これは「危険性」という言葉が入ったのは非常によかったと思うんで すが、「自主的に同意した上で、同意書に署名した者とする」。被験者というのは、そ ういう署名をした者だと。その次の文章が問題なんですが、「なお、被験者はその申し 出により同意を撤回し、本遺伝子治療臨床研究を中止することができる。」、これは、 遺伝子治療臨床研究をやっているのは研究者でありますので、「本遺伝子治療研究への 参加、あるいは継続を中止することができる」というふうにした方が、今、討議してい ます2−2の1枚目の説明文書の内容と合致するんじゃないかと思うんです。これは主 語と述語の関係ですけれども、本遺伝子治療臨床研究を中止するのは臨床研究を行って いる人であって、それへの参加、あるいは継続の中止をすることができるというふうに した方が分かりやすいのではないかと思いますので、そう提案させていただきますが、 いかがでしょうか。 ○高久部会長  おっしゃるとおりだと思います。これは受ける方の問題ですから。  それでは、2−2と2−3をお持ち帰りくださりご覧になって、作業委員会から答申 といいますか、回答が出た時点で改めて御議論願いたいと思いますので、よろしくお願 いします。  次に、作業委員会の設置について、事務局の方から説明をお願いします。 ○事務局  事務局より、資料3に基づきまして、東京大学医科学研究所附属病院の肝臓がんに対 する臨床研究の計画に対する作業委員会につきまして御報告申し上げます。  この計画が提出されました以降、厚生科学審議会の豊島会長、高久部会長、それとが ん遺伝子治療臨床研究作業委員会の寺田委員長の方に御相談申し上げまして、資料3の 1枚目にありますとおりの委員会の委員構成でどうかということの御示唆をいただきま した。具体的には、p53を中心として、アデノウイルス系の遺伝子治療臨床研究でござ いますので、1枚めくっていただきまして、2枚目の方に千葉大学医学部附属病院の食 道がんに対する遺伝子治療臨床研究に対する作業委員会の委員構成が出てございまして この部分で共通部分につきまして、あるいは化学療法的な面につきましては、こちらの 計画と同様でございますので、そういう経験のある先生方をもとに、肝臓がんに対する あるいは肝臓という組織に対して、専門家に入っていただく形で御検討いただきまして 御推薦いただきましたのが山岡義生京都大学医学部教授でございます。山岡先生につき ましては、既に厚生科学審議会の専門委員として、「ヒト組織を用いた研究開発のあり 方に関する専門委員会」に所属いただきまして、いろいろ御意見をいただいた先生でご ざいます。したがいまして、1ページ目にありますような委員の構成で作業委員会を構 成いたしまして、実際の開催にあたりましては、2枚目にあります千葉大学、あるいは 財団法人癌研究会附属病院の臨床研究に対する委員会と同時に開催していく形で作業を 進めるという形で会長ほかより御指示をいただいているところでございます。  以上です。 ○高久部会長  どうもありがとうございました。今、事務局から説明がありましたように、東京大学 医科学研究所附属病院から出ています肝がんの遺伝子治療臨床研究に関しましては、従 来のがんの遺伝子治療についての共通のメンバーの方に加えまして、肝がんとして御専 門の京都大学山岡義生教授に入っていただきたい。千葉大学医学部附属病院の食道がん と財団法人癌研究会附属病院の乳がんの作業委員会に入っていただいた東海大学医学部 幕内博康教授、大阪大学医学部野口眞三郎教授は、今回は入っていただかないというこ とになると思います。委員長は、また引き続いて御苦労ですけれども、寺田委員にお願 いしたいと思いますが、何か御意見おありでしょうか。 ○森岡委員  気になるんですけれども、総括責任者の武藤徹一郎教授は当て職なのか、彼は本年3 月定年退官予定なのですがその後もやるのか、その点をはっきりさせておいた方がいい と思うんです。 ○高久部会長  従来、総括責任者の方は、例えば北海道大学の遺伝子治療臨床研究(アデノシンデア ミナーゼ欠損症における遺伝子治療臨床研究)のときも、助教授を辞められたら代わっ ていただいていました。 ○森岡委員  それがはっきりわかっているなら、そういうことを前提にしてやった方がいい ですね。 ○高久部会長  そうですね。先ほど事務局から説明がありましたけれども。 ○森岡委員  職が代わったからといって、責任者をまた代えるというのもちょっとおかしな感じも しないでもないですね。でも、そういうことを前提にしてやっていただければと思いま す。 ○高久部会長  ですから、東京大学医科学研究所附属病院の肝がんの場合には、従来ない副総括責任 者というのを置いておられますから、恐らく武藤教授が退官された後はその方がなられ ると思います。退官されたら総括責任者は無理じゃないかと思います。 ○森岡委員  責任者がどこかへ移って、その人が引き続きやるということも可能性としてはないわ けじゃないですね。 ○高久部会長  ですけど、東京大学医科学研究所にはもうおられないから。 ○森岡委員  だから、最初からそういう前提をはっきりさせておいて審査した方がいいと思い ます。 ○高久部会長  そうですね。 ○寺田委員  今言われたように、施設で許可をしていますから、施設が変わられてどこかになられ た場合はなかなか難しいようです。それから、また作業委員会長をやるようなことにな った訳ですけれども、今ここで御意見が出ましたように、アデノウイルス5型の中和抗 体の問題とか、薬物動態、それから、どこが独特なのかとか、同意書の取り方など、大 変貴重な御意見を頂きました。そういうことを含めまして検討したいと思いますので、 また御意見がございましたら、是非、事務局なり私のところへおっしゃってくだされば 大変ありがたいと思います。 ○高久部会長  それでは、寺田委員、御苦労さまですけれども、もう一回お願いしたいと思います。 先ほどからもいろいろ御意見がありましたけれども、寺田委員が作業委員長会ですので もう十分にご存じだと思いますけれども、皆さん方の御意見を反映しながら作業委員会 での検討をお願いしたいと思います。いつもと同じで、作業委員会での検討を終えた後 に、当部会で総合的に御審議願いますので、よろしくお願いしたいと思います。  引き続きまして、千葉大学医学部附属病院並びに財団法人癌研究会附属病院の遺伝子 治療臨床研究実施計画に関する作業委員会の開催状況について、事務局の方からよろし くお願いします。 ○事務局  それでは、資料4に基づきまして御報告させていただきます。簡単なものでございま すが、用意させていただきました。  前回、11月の部会以降につきまして、12月17日に千葉大学医学部附属病院の遺伝子治 療臨床研究実施計画に対する作業委員会を文部省と合同で開催させていただきました。 そして、それ以前に、10月に第1回目のがん遺伝子治療臨床研究作業委員会を開催いた しまして、先生方から意見が提出されていたものについて、11月30日付で取りまとめて 千葉大学の方に事務局より伝達させていただきまして、それに対する病院からの回答案 につきまして提出いただきまして、また、審議の参考人として委員会の方で招致しまし た実施計画の総括責任者より御説明を受けまして、先生方との間で御議論されました。 そして、その議論の経過を踏まえて、申請者の方で回答書の整備ということ、あるいは 実施計画書の整備ということを行っているというような状況でございます。一番下にあ りますように、次回予定していますのは3月9日でございますので、恐らくそれまでに は申請者の方で最終的な整備を行われて、必要な検討を行いまして再提出されるものと 思われます。  また、もう一つ出ております財団法人癌研究会附属病院の計画につきましては、同じ く11月末で意見書を事務局より施設の方に伝達した訳でございますが、膨大な意見が出 てございまして、施設の方で慎重に検討を行っているという状況でございます。今後、 下にありますとおり、次回の日程が出ておりますので、恐らくそれ以前に何らかの回答 をまとめて提出されるのではないかと思われます。その回答があった場合につきまして また、施設側の協力が得られましたら、作業委員会の方で総括責任者等から回答につき まして御説明いただいて、委員会の方で議論するという形でございます。 参考までに、千葉大学の方につきましては、次回の作業委員会でほぼ議論が終了した といたしましたときには、ベクターの方がアールピーアール・ジェンセル社から供給さ れますので、中央薬事審議会の状況を見まして、部会長と相談の上、本部会の方に報告 させていただくものと存じております。 以上でございます。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。寺田委員、何か御追加ありますか。 ○寺田委員 特にございません。 ○高久部会長 それでは、千葉大学医学部附属病院と財団法人癌研究会附属病院につきましては今の ような状況でございます。 次に、岡山大学医学部附属病院から出されております遺伝子治療臨床研究実施計画の 変更について、これも事務局の方からよろしくお願いします。 ○事務局 事務局より、資料5に基づきまして御報告させていただきます。  岡山大学の肺がんに対する遺伝子治療臨床研究実施計画につきましては、最終的に10 月に大臣名で附属病院長に対して実施して差し支えない旨の文書を伝達したところでご ざいますが、その後、このベクター関係につきまして、アールピーアール・ジェンセル 社から治験の形に基づきまして供給されますので、その際、薬事法に関するGCP、医 薬品の臨床試験に関する基準がかかりますので、それに照らし合わせて、再度、治験と いう目で中身を施設内で検討し、更に、その結果を施設内の遺伝子治療臨床研究審査委 員会に報告したところ、新GCPの適用に伴う記載の変更とともに、海外の状況を再度 精査して変更いたしたいというような報告が昨年12月にまいりました。 具体的な事項としましては5ページ、6ページにございますが、表現が適切でないと ころの項目変更とか、あるいは副作用の観察期間を長くするような変更、あるいは海外 等から新たな安全性情報を入手したときには速やかに患者さんに伝えるというような、 GCPに沿った変更。あるいは、安全性情報の追加といった形でございます。  あと、岡山大学につきましては、治験につきまして、新GCP施行等も含めて、定型 の治験に対しての同意書の様式がございますので、それを踏まえ、本部会で御議論して いただいて、御検討いただきました事項を盛り込んだ形での同意書というものを定めて その形に切り換えたいということでございまして、それは7ページ目、8ページ目に新 旧対比でございますが、7ページ目に御議論いただいた事項が8ページ目の最終的なも のに盛り込まれる形でのものでございます。このような形での変更をいたしたいという ことでございます。また、この変更報告をした後、再度の調整をしておりまして、今後 岡山大学の方で具体的に患者さんの選考とか、そういうものを行いまして、あるいは委 員会を行いまして、おそらく早ければ本年3月ぐらいには実際的な研究を始めたいとい うことでございます。  以上でございます。 ○高久部会長  これは治験ということですので、新GCPに沿った記載の変更ということに なります。 ○木村委員  大変詳しく御説明していただいて、ありがとうございました。4ページの「変更理 由」のところですが、今、御説明いただきましたことに沿ってこの文章を読んでみます と、少しわかりにくいところがありますので、もし御変更を御検討いただければと思っ て提案したいのですが、「変更理由」の中の下から4行目ですけれども、「これらは、 いずれも患者の倫理性、安全性、権利を保証し」と。一見すると良いみたいですが、今 お伺いしますと、要するに、研究内容の倫理性ということであって、「患者の倫理性」 というのは文章としてもおかしいですね。ですから、いずれも研究内容の倫理性と、患 者の安全性、患者の権利を保証するということであって、患者の倫理性を保証するとい うのは文章としてはちょっとおかしいんじゃないかというふうに思いましたものですか ら、修正方よろしくお願いします。 ○高久部会長  おっしゃるとおりだと思いますので、直していただければと思います。ほかにどなた か。 ○寺田委員  部会・作業委員会で一旦承認したものを、夫々の現場が変えたというときは、手続的 には「これでよろしいですよ」で済む訳ですか。 ○事務局  変更と申しましても、内容的に、例えば誤字の訂正から、最終的にはプロトコールそ のものの変更までいろいろなものがありまして、誤字の変更とか、あるいは規則等に基 づく軽微な変更であれば、報告ということでここで御確認いただければよろしいのでは なかろうかと考えております。もしも新しい情報が入りまして、プロトコールそのもの の変更が必要という場合には、本部会から、更に必要に応じて作業委員会を再度開催し ていただいて、それに基づいてここで決定をいただくという手続になろうかと 思います。今回のものにつきましては、先ほど事務局の方から御説明したとおり、どち らかといいますと、新GCPに合致させるための形式的な変更がほとんどであろうとい うことで、部会の方にこのような変更の御報告ということでよろしいでしょうかという 趣旨でございます。 ○高久部会長  そういうことでございます。この場合にはわずかな変更ですので、この場でお認め願 えればと思います。  次に、生殖医療技術に係る議論の取りまとめに向けまして、御案内のように、この部 会の下に専門委員会をつくらせていただいて審議をしていただいている訳であります。 前回の当部会で途中経過を御報告いただきましたが、その後の状況について、事務局の 方から報告をお願いします。 ○母子保健課  児童家庭局母子保健課でございます。それでは、特に資料はございませんが、「生殖 補助医療技術に関する専門委員会」及び「出生前診断に関する専門委員会」の審議の進 捗状況について御報告いたします。  まず、「生殖補助医療技術に関する専門委員会」につきましては、昨年10月から審議 を行っており、昨日2月4日の第3回専門委員会においては、多胎減数手術について御 議論いただいております。また、この問題についての国民の意識を把握する必要がある ことから、矢内原昭和大学教授を主任研究者とする研究班によりまして、生殖補助医療 技術についての意識調査を現在実施しております。この調査は、一般国民、患者、産婦 人科医、小児科医の計約 6,000名を対象にしておりまして、一般国民については全国の 保健所により、それ以外の対象者については郵送により調査を実施しております。この 調査につきましては、2月末までを締切として現在実施しておるところでございます。  それから、審議の今後の予定でございますが、3月11日に第4回、5月6日に第5回 6月22日に第6回を開催する予定でございまして、次回第4回につきましては、ヨーロ ッパの生殖補助医療の現状と法制度について、イギリスとドイツから専門家をお招きし まして、厚生省等とともに公開の講演会を開催し、その後、議論を行うこととしており ます。本委員会はこの後、精子・卵子・受精卵の提供、代理出産、配偶者死亡後の配偶 子の利用等を議題に、これまでの審議と併せて計10回程度審議を行い、報告書をまとめ る予定でございます。 次に、「出生前診断に関する専門委員会」につきましては、昨年10月以来、御審議を いただいておりまして、1月19日に第3回専門委員会を開催しており、第2回専門委員 会に提示されました母体血清マーカー検査に関する見解、こちらは当専門委員会の議論 のたたき台として2回目に提示されたものでございますが、これについての議論及び関 係団体からのヒアリングを行っております。母体血清マーカー検査に関する見解につき ましては、第3回に行われました委員会で関係団体や委員の方々から多様な意見が出さ れましたので、2月中にワーキンググループを開催しまして修正案を作成し、次回第4 回委員会が3月19日に行われますが、そこでこの修正案に基づき議論を行いまして、委 員会としての見解を取りまとめるべく議論を行う予定でございます。 以上でございます。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。 ○木村委員 大変詳しく御説明していただきましたが、今まで開かれた専門委員会の中で、今お伺 いしたところによりますと、公開で関連諸団体の方々に御意見をお伺いする時も持った ということですが、何回ぐらい公開でやって、大体どれぐらいの人間が参加したという ようなデータはございませんでしょうか。毎回、全面公開でやった方が望ましいという ことを何回も繰り返して申し上げた訳ですが、専門委員会としては、公開のときもある し、公開でないときもあるということでおやりになったというお話でございますけれど も、その点はいかがでございましょうか。 ○母子保健課 「生殖補助医療技術に関する専門委員会」につきましては、過去3回、専門委員会を 開催しておりますが、すべて非公開で行っております。ただ、第4回につきましては、 公開での講演会を設ける予定でございます。「出生前診断に関する専門委員会」につき ましては、前回第3回の1月19日に開催しました専門委員会を公開でヒアリングを行っ ております。ヒアリングの対象者としましては、日本ダウン症協会と母体血清マーカー 検査の検査会社でございますイデニクスカンパニーとSRL社の2社からヒアリングを 行っております。それから、傍聴に来られた方でございますが、一般の方が30名ぐらい 報道機関から20名程度、合計50名程度の方が見えられております。以上でございます。 ○木村委員 そうしますと、公開ではないけれども、議事録については、今、全部インターネット に載って、それは国民が目にすることが出来て、しかも、何らかの形でインプットの機 会もあるということになる訳ですか。 ○母子保健課 はい。議事録の方はすべて公開しております。それから、生殖補助医療技術につきま しても、母体血清マーカー検査に関しましても、インターネットの厚生省のホームペー ジで御意見を募集しておりまして、多数の御意見が寄せられております。寄せられた御 意見については、専門委員会で全て御紹介もしておるところでございます。 ○柴田委員 生殖医療についての意識調査ですけれども、6,000人対象というのは世論調査方式でや るのか。それとも、専門家別に、あるいはそれのミックスでやられるのか。それと同時 に、いつ頃その結果が出そうなのかについて。 ○母子保健課 今日は部数を持ってきてございませんが、このような形(1部表示)で対象者別に5 種類、アンケートの方式で調査を行う予定でございます。これについては、2月末まで に回収する予定でございまして、その後、3月いっぱいぐらいかけて集計を行い、5月 頃までに何とかインターネットのホームページ等で公表したいと考えております。 ○柴田委員  そうすると、純粋な世論調査対象はないんですね。 ○母子保健課  一般の方は世論調査ということになります。 ○柴田委員  それも5種類の中に入っている訳ですか。 ○母子保健課  はい。一般の方は 4,000人を対象としておりまして、アンケートの世論調査というよ うな形でやっております。 ○高久部会長 ほかにどなたか。 ○廣井委員 胚形成による着床前診断については、「生殖補助医療技術に関する専門委員会」がや っているのでしょうか。それとも、「出生前診断に関する専門委員会」でやっているの でしょうか。 ○母子保健課 着床前診断につきましては、どちらかというと出生前診断の範疇に入るものでござい ますが、出生前診断の専門委員会につきましては、現在、急速に普及しておりまして、 かつ緊急な対応が求められております母体血清マーカー検査に関する専門委員会の方で 見解を取りまとめるべく審議しておるところでございまして、今回のような着床前診断 につきましては、今後の状況推移を見ながら、議論をするかどうかの判断をしてまいり たいと考えております。 ○金城委員 議事が非公開だというのは大変残念だと思うんですけれども、仕方がないと思うんで すが、議事録は公開していらっしゃるということですね。それで、お願いですけれども その議事録を公開したものを資料として先端医療技術評価部会委員に送っていただけな いでしょうかということです。 それからもう一つ、今、世論調査をしていらっしゃるということですが、それのサン プルも送っていただきたい。最終的には、私達が結論を出したものに対してまたいろい ろ審議をする訳ですから、出来るだけフォローアップをしておきたいと思いますので、 そういうことをしていただけたら大変ありがたいと思います。 ○高久部会長 最終的にはこの部会の責任になりますので、皆さん、インターネットの前に座ってご 覧になる時間はなかなかないでしょうから、御面倒でもプリントアウトして、この部会 のメンバーに送っていただければ非常にありがたいと思います。 それでは、予定の時間を過ぎましたので、本日の部会を終わらせていただきます。い ろいろ貴重な御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。 ○事務局 ありがとうございました。もし可能であれば3月、4月にも本部会を開きたいという ことで、各先生方には日程の御都合を伺う用紙をお届けしております。今おわかりであ れば、記入の上、残していただければと思いますし、後日、ファクシミリ等で事務局の 方へ御返送いただければ大変助かります。では、よろしくお願いいたします。 ○高久部会長  それでは、どうもありがとうございました。 <以上> 問い合わせ先 厚生省大臣官房厚生科学課 担 当 須田(内線3804) 電 話 (代表)03-3503-1711 (直通)03-3595-2171