99/02/04 生殖補助医療技術に関する専門委員会議事録 第3回 厚生科学審議会先端医療技術評価部会 生殖補助医療技術に関する専門委員会   議 事 録 (平成11年2月4日開催) 厚生省児童家庭局母子保健課                             厚生科学審議会先端医療技術評価部会 生殖医療技術に関する専門委員会議事次第 日 時 平成11年2月4日(木) 13:30〜17:00 場 所 厚生省特別第一会議室(7階)  1 開 会  2 議 事   (1)多胎減数手術について   (2)その他  3 閉 会 〔出席委員〕                                    中 谷 委員長   石井(ト)委員  石井(美)委員  高 橋 委 員  辰巳 委 員   田 中 委 員  丸 山 委 員  矢内原 委 員  吉 村 委 員 ○東課長補佐  ただいまから厚生科学審議会先端医療技術評価部会生殖補助医療技術に関する専門委 員会を開催いたします。  本日はお忙しい中、お集まりいただきましてまことにありがとうございました。  本日は、お一方、見えておりませんけれども、おくれて見えられるということでござ います。  それでは、議事に入りたいと思いますので、中谷委員長、議事進行よろしくお願いい たします。 ○中谷委員長  ありがとうございました。  議事に入ります前に、事務局からきょうの資料の確認をお願いいたします。 ○武田主査  それでは本日の資料の確認をさせていただきます。まず「議事次第」が1枚目にござ います。次に資料1でございますが、本委員会の「主な検討項目」でございます。前回 提出したものと順番を変えておりまして、2番に「多胎・減数手術」をもってきており ます。本日「多胎・減数手術」について御議論いただきますが、その部分を四角で囲っ てございます。次、資料2でございますが、本日の「多胎・減数手術」を議論する際の 資料でございます。母体保護法と刑法の関係条文を付けてございます。それから資料3 でございますが、多胎妊娠に関する日本産科婦人科学会の会告でございます。資料4で ございますが、これは後ほど事務局から説明をいたしますが、次回の専門委員会の進め 方についての御提案の資料でございます。  以上が資料でございまして、次に参考資料でございますが、参考資料1となっており ますのが、インターネット等で寄せられました一般の方からの生殖医療に関する御意見 でございます。それから、その次に綴じてありますのは、資料のナンバーが付いてござ いませんが、生殖補助医療技術についての意識調査のアンケート用紙でございます。薄 紫が日本産科婦人科学会体外受精登録機関、水色がそれ以外の産婦人科医、黄緑色が小 児科医、薄ピンクのものが患者用、黄色のものが一般用の調査票となっております。  以上が参考資料でございまして、そのほか、机上配布資料を2部ほど配らせていただ いております。机上配布資料の1番目でございますが、前回、先生たちにお願いしてお りました「精子、卵子、受精卵の提供についての各委員の意見」をまとめたものでござ います。これについては後ほど御説明をさせていただきます。  それから、机上配布の2でございますが、石井トク委員から御提供のありました生殖 補助医療技術の検討に関するマトリックス表でございます。  資料の方は以上でございます。  それから、委員の回覧資料として、本を何冊か、中谷委員長等から提供していただき ます。内容は減数手術についての根津医師の本が3冊、それから、中谷委員から提供さ れた本が1冊ございます。これは回覧させていただきますので御覧ください。以上でご ざいます。 ○中谷委員長  どうもありがとうございました。  それでは、きょうは「多胎・減数手術について」というふうにテーマが決まっており ます。この件については、今回が1回限りなんですね。 ○北島補佐  日程上はそのような形にさせていただいております。 ○中谷委員長  ですからなるべく詰めていろいろな御議論をしていただきたいと思いますが、まずは 矢内原先生の方から。 ○矢内原委員  それでは、宿題でございましたので、減数手術、既に皆さん御存じな方もおられるん ですけれども、その背景から話をさせていただきます。                 (スライド映写) ◎ 御存じのように、3胎以上の多胎妊娠が非常に増えて、特に1983年の国内の第 1号の体外受精・胚移植による出生児以来急激に増えています。一番左肩の方にある数 が出生100万に対して3胎が起こる率と考えていただければいいと思います。ヘリン の法則というのがありますが、80n−1というのがあります。日本人の場合に少し多 胎の数は他国に比べ少のうございますから、双胎は100に1と考えていいと思い ます。双胎が100に1ですから、100万の妊娠に対して1万、その100分の1が 3胎ということですから、日本でしたら100万の妊娠に対して自然では100ぐらい あるのが通常ということになります。4胎になりますと、年に1つあれば、また2つあ るということになります。それがこの過去15年ぐらいの間に3胎以上の多胎が3倍以 上に増えているということであります。 ◎ これは各国との比較した今泉先生の報告です。国によって、人種によって違います けれども、ほかの国でも同じように多胎は増えているということの現実があります。こ れは三つ子の出産、ドイツと比較したものであります。 ◎ これは4胎妊娠をイングランドの比較ですけれども、同様に84年ぐらいから急激 に増えていますが、現在は一定しております。日本はどんどん増え続けているというと ころです。 ◎ グリーンで示したのが多胎の、出産率です。施設数は黄色です。それから、赤で示 したのが体外受精・胚移植による出生児数です。並行して上昇しているということ です。よくおわかりのように、多胎の出産は生殖医療登録施設の数が増えて、それによ る出生数の数が増えれば、それに並行して増えているということがよくわかります。 ◎ 減数または減胎という用語ですが、いろんな言葉が使われています。最初1981 年ぐらいのときには、Selective Birth と言って、子どもがおなかの中で、双胎で片方 に重い奇形があったような場合に、その子を除外して健常な子を産ますというような意 味でとられていたみたいです。ただ、Selective Termination、片方を中絶させるという ような言葉を使いまして、abortionという言葉も使われました。それから「胎児の抹 殺」というような言葉も使われていますけれども、この辺からちょっと考え方が変わっ てきまして、Continuation、つまり健常児を残す、健常児の生育を継続させる手術だと いうような考え方に変わってきております。1987年ぐらいまで、Selective Reducti on というような言葉が提唱されていますが、最終的には、今、方々で使われているのは Multifetal Pregnancy Reduction というのがFIGOでもACOGでも、それからIF FSでもこのごろこういう言葉を使っています。多胎妊娠の数を減らすということ です。  日本でいろいろな言葉が使われています。減数、減胎ということで、Multifetal とい う意味をとれば減胎ということになりますし、Multifetal Pregnancyという言葉は減数 どちらでもいいと思います。最初に使われた言葉はこの辺のところからではないかと思 います。我々の学会のガイドラインでは括弧して両方使っています。 ◎ これまでの歴史的な経緯ですが、1978年と1981年の最初の2例は、双胎の 片方が重篤な遺伝疾患、もう一例はダウンだったんですけれども、その胎児を妊娠の中 期(20週以降)に中絶をして片方の子どもを残したということからスタートしていま す。ただ、1986年のLancet、これがかなりのインパクトを与えたことですが、その 後ずっといろいろなところでかなりの数が行われています。後で数値を出します。FG O(世界産婦人科連合)が1990年に見解を出しております。これはかなりいろいろ な影響を与えていると思いますし、イギリスのHuman Fertilisation and Embryology Authority Actでも合法化をしております。1993年以降の文献検索をしたんですけれ ども、この10年間で約178ぐらいの論文が世界の雑誌に出ております。一番最近の では1998年、2756ケースについて報告、まとめた統計が出ておりました。 ◎ 日本ですが、1986年に関東連合地方部会、産婦人科の関東地方の学会でござい ますが、そこで長野県の根津医師が初めて4胎のうちの2胎を減胎して、そして2胎が 妊娠経過中だという報告がです。  それに対しまして、1987年、この辺のところは非常にポイントだと思うんですが 『日母医報』が翌年見解を出しました。これは「優生保護法」と当時は言っていました けれども、きょうの資料にもありますが、第2条第2項に、子宮内容物を体外に出すこ とは妊娠中絶だというような文言があります。そのため子宮中で子どもを死亡させると いうのは中絶に当たらないのではないかというのがその見解の1つです。したがって、 人工妊娠中絶の適応外に当たるのではないか。適応は幾つかありますが、その中に1つ も入らないのではないかと。  それから、命の選択権が医師にあるのかどうか。つまり多胎の子どもの幾つかを減数 するわけですから、その権利を一体だれが持っているのか。これは今までずっと続いて いる論争であります。  さらに、不妊治療との関係が非常に深いのだから、その辺のところを十分に調査をし てからでなければいけないのではないかということです。ただ、非常に強く会員たる者 は実施してはいけないというような見解が出されました。  そこで実際に行っている当事者と、また、その間に大きな論争があったわけでありま すし、後で出ますが、また、実際に行っておられる方が表に出れなくなっていったとい う経緯があります。  産科婦人科学会としてはこの問題を放置していたわけではありませんで、学会として は1990年から、それでは多胎が一体どういうことだろうか、その予後はどうだろう かということの検討を始めました。3年間統計をとってみました。その結果が1995 年の報告に出てます。それから、1995年には受精着床学会のシンポジウムで、初め て根津医師が参加して討議をいたしました。そのときも私も参加をいたしましたし、委 員長の中谷先生も御参加いただいております。  そして、こういうものを踏まえて、1996年に日本産科婦人科学会の会告が出まし た。これは多胎妊娠に関する会告で減数手術についてではございません。それから19 96年には不妊学会のガイドラインに同様な意見が書かれましたし、その後、厚生省の 心身障害研究の「不妊治療の在り方に関する研究」という中で減数手術の調査をいたし ました。きょうお話しするのはこの辺からのところをさせていただきます。 ◎日本産科婦人科学会が行った3年間の調査ですが、対象が総分娩数約30万ですから 日本の全体の分娩の4分の1をカバーしたと考えていいと思います。そして、その中で は多胎の出生数が3.2%、約1万の多胎児の調査をいたしました。双胎が非常に多か ったので、これは実際の統計にはこの半分ぐらいを使っております。3年間ですから、 右側に双胎は約年間3000、3胎は250、4胎は27、5胎が7ということで、年 間、当時この調査では30万の中で生まれた。これを4倍していただければ、大体日本 の実数が出ると思います。 ◎ 幾つかの調査、この中に項目があるのですけれども、主なものだけ示します。双胎 に関しましては9000はあったので、540の例数について調査をしました。在胎週 数、流産率、早産率、合併症です。胎児数が、増えれば増えるほど合併数が多くなるの は今まで言われているとおりですし、単胎に比べますとはるかに双胎は予後はよくあり ません。いろいろな合併症が出てきます。 ◎ 問題なのは、その後1年間フォローアップをして、子どものフォローアップをした 中で、後障害がある率を検討してます。双胎では4.7%、3胎では3.6%、4胎に なりますと、数は少ないんですけれども、パーセントにしますと10.2%ということ で、3胎児との間に有意の差が出てきます。それから、5胎になりますと30%という ことになる。つまり5胎になりますと、10人のうち、3人は障害を1年後に持つとい うことになる。ただ、双胎でも4.7%ですから、100人のうち5人ぐらいは後遺障 害を持つということであります。このパーセントで論ずるか絶対数で論ずるかというの は数値の統計上の解釈の仕方になりますけれども、これはそれぞれの先生方に考えてい ただきたいと思います。 ◎ これはそのときに試算をしてみました。実際にもし当時の日本全国では多胎によっ てどのくらいの後遺症が出てくる子どもが生まれるのか。したがいまして、厚生省の報 告にありました多胎の実数と正常率と後遺症率、調査の数値から換算してみたわけ です。そうすると双胎では後遺症を持つのが2585名ということになります。これは 3年間です。3胎では78名、4胎では25名ということの計算になります。ですから 1年間に直しますともう少し少ないことになります。  おもしろいのは、3胎と4胎と全部足して、双胎と比べたときに多胎全体の障害を持 つのは3胎以上は全体の4%にしかないということです。4%あるじゃないかと言えば そのとおりですし、逆に言えば、双胎の中でも2585名の後遺症児がいるじゃないか ということにもなります。 ◎ 多胎原因の調査を当時いたしましたけれども、体外受精が35%、排卵誘発が47 %です。自然が18%というのはかなり高いなとは思いましたけれども、こういう数値 が280の3胎以上の場合の例であります。 ◎ その2つの原因、つまり排卵誘発と体外受精・胚移植になりますが、まず、体外受 精の胚移植数との関係を、これは日本産科婦人科学会に生殖・内分泌委員会というのが ありまして、そこで調査をいたしました。当然胚の数が増すほど単胎の数が減っていき ますし双胎が増えていきます。3胎、4胎、5胎ということになります。多いところで は9つ移植したり、10移植したりすることが当時あったわけです。それは妊娠率を上 げようとするためです。 ◎ ところが実際に妊娠率を見ますと、3胎までは直線的に上がってくるんですけれど それ以上移植しても多胎数は増えていきますが、妊娠率はそれほど大きな変化がないと いうことがわかります。つまり3個までがいいところだろうということであります。 ◎ もう一つの原因は排卵誘発剤で最もその原因になるのはゴナドトロピンですから、 ゴナドトロピンでどのくらい多胎になったかということです。このときの統計では17.2 %多胎になっています。多胎の82%強が双胎ですし、3胎が14.6%、先ほど話を した予後の悪い4胎は2.4%ということです。 ◎ そこで産科婦人科学会としてはこういうような見解を出しました。まず、問題は、 多胎妊娠を起こす原因が治療にあるのだということの認識と、それから、まず、4胎以 上ではかなりリスクは高いだろう。それを認めた上で、かつ一番根本はどのくらい多胎 を防止できるだろうかということをまず考えようじゃないかということです。胚移植の 数を3つに限定いたします。それから、ゴナドトロピン製剤の周期当たりの使用量を少 なくして、多胎をどのくらい防げるだろうかをやってみようじゃないかということ です。減数手術に関しては、このときは会告の中では言いませんでしたが、解説に ちょっと触れてありました。まず防止をしようということであります。 ◎ ちょうどそのころ私が医師と患者の意識調査をしてみました。当時、生殖医療の施 設は公表されておりませんでしたので、コマーシャルに実際に出している施設、それか ら、学会機関誌の中に体外受精の施設にボランティアベースで成績調査をお願いをして いますが、そこに名前が載ったところにお願いしました。したがいまして、根津先生の ところはこれに入っておりません。減数手術についてのアンケートで、していいだろう か、悪いだろうかの質問では、医師の75%は賛成であります。ところが不妊治療を受 けている患者の2000名のうちの30%は賛成、希望しますけれども、70%は希望 しません。ただ、この患者さんはまだ妊娠をしていませんから、実際に多胎妊娠、5胎 になったり、6胎になったりしたらどうなるか、それは別な問題であります。ただ、患 者さんの心としてはそういうことであったわけです。 ◎ この患者さんたちが希望をなぜしないかというと、自分が子どもが非常に欲しかっ たんだから、せっかくできたんだからということです。それから、もし、そういう操作 をすることによって流産があるとか、または罪悪感があるとか、それからどの子を減数 したらいいかということ、余り人為的すぎるということで70%の方が反対、希望して おりません。 ◎ 医師が減数を賛成する理由と患者が希望する理由です。医師は75%賛成していま すし、患者は30%しか希望しませんけれども、これは共通しています。1つは、医師 の場合には多胎だと早産、未熟児・低出生体重児が出生しますから、それの管理ができ ないということです。患者さんの方では、これも早産、未熟児が産まれること。それか ら育児を助けてくれる人がいないとか、お金がかかるとかで、合併症が多いと医学的な ことをおっしゃっているのは16%しかすぎなかったわけです。これで考えたんですが つまりこの2つを解決すれば、減数手術をする理由はなくなってくるということにもな ります。 ◎ では、多胎とわかった時に何胎のときに減数を希望するかということになりますと 4胎のところぐらいはよくわかるんですけれども、半分ぐらいの方が3多胎でも双胎で も減数をしたいという希望があります。これは後でまた出てまいりますが、つまり一た ん減数ということになりますと3胎も双胎もということになる可能性があります。 ◎ 確かに未熟児の医療はすごく大変です。これは私どものところの未熟児センターの 写真を使わせてもらいましたが、子どもは大変小さいですし、今、6床の認可ベッドで その後方にベットして35床あります。スタッフは医師が8人、看護婦は35人かかり つきでおります。いつも満床です。 ◎ 経営的には赤字になっております。これは東京の中でネットワークがありまして、 周産期センターのコンピュータの画面から撮ったものですが、全部NICUは満杯で入 れません。ほとんど受け入れ不可能な状態です。つまり早産・未熟児または多胎による 未熟児でどこのNICUも一杯だということになります。 ◎ もう一つ、これも私どものところの医療コストを計算してみました。これはお母さ んと第1子と第2子です。これは3胎ですから、お母さんとそれから第1子、第2子、 第3子です。それぞれの入院日数と医療費が示してあります。総計で払ったお金という のは、双胎の場合には307万です。品胎の場合にはその3倍かかっています。つまり かなり双胎でも3胎でも医療費という面ではお金はかかるということです。 ◎ FIGOの会長と前に話をしたときに、このコスト・パフォーマンスが減数手術を 認める非常に大きな要因なんだということを言っておりました。そこで続けて、今度は 平成8年度の研究ですけれども、厚生省の班研究「不妊治療の在り方」で、妊娠12週 までずっと経過を見た場合に多胎妊娠はどうだろうかという調査がなかったのでやって みました。327施設にお願いをいたしまして、平成6年から8年までの約3年間のア ンケート結果であります。 ◎ そうしますと3胎以上の妊娠症例数515例、その86%が3胎ですし、4胎以上 はかなり少なくなってきますけれども、7胎が1例ありましたし6胎が2例あり ました。このときの患者の総数を調査に入れましたが、約10万ぐらいの不妊患者の統 計になっておりますし、IVE−ETを行った症例数から換算しますとほぼ日本の全体 の施行から換算しますと、約半数の不妊治療をカバーしているというふうに考えます。 ◎ 実際にどこで妊娠しているかということですが、御回答いただいた診療所が少なか ったわけですし、それから後でお送りいただいたところが、しめ切り期日があったもの で入っておりませんが、それだけでも病院と医院機関と診療所を比較すると多胎の発生 頻度は診療所に非常に高いということがわかります。 ◎ この多胎の原因ですが、3胎では、これは今までの報告と同称に約半分半分で体外 受精とhMG投与です。このときは体外受精によるものは排卵誘発によるより高くなっ ています。ただ、このときはまだ学会の見解が出た直後ですから、胚移植数の制限がな い時の症例も含まれています。それから、4胎になりますと体外受精が50%、hMG が35%、6胎になりますと、これ以降は全部ARTで自然はほとんどありません。7 胎も1例ありました。 ◎ 妊娠の経過を自然に見た場合と人為的操作を加えた場合、2つに分けてみました。 3胎、4胎、5胎、6胎、7胎別に示しましたが、自然の消失とか流産が3胎でも8% 4胎になりますと27%、5胎になると40%、かなりの数が12週まで見ますと自然 に数が減ったり流産したりする率が多いということになります。それから、5胎以上で は減数する数が増えてまいります。中絶する例が、例えばこの5胎では9例中7例は減 数をしています。それから、この6胎は3例とも減数をしております。3胎でも445 のうち61を減数をしているということです。 ◎ 減数手術した場合にどうなるかということで、幾つに減らしましたかという質問に 対しての答えです。3胎の場合でも、これは3胎にするわけではないので減数ですから 双胎にするのが9割、単胎にしているのが10%。4胎妊娠の場合には双胎にするのが 4分の3(75%)、3胎にするのが12%、5胎になりますと双胎が57%、3胎が 42%ということになります。6胎以上は、双胎と3胎にしております。つまり、ここ で申し上げたいのは、3胎以上の場合に、これを足しますと93%が双胎または単胎と いうことになってしまうわけです。 ◎ 一体どこの施設で減数をやっているかということですけれども、先ほど診療所で多 胎がたくさんできるという話をしましたが、診療所が割合としては非常に多く行われて います。医院機関でも減数をしているところが2機関ほどありましたし、それから他院 に送っているところがあります。これは重複していますので、ここは2倍の差が出てい るという可能性があります。 ◎ 以上のようにかなり減数手術が方々でやられているということがわかったわけ です。それをあらわしているのが4胎以上の出生率で、これは昨年の報告書に書かさせ ていただきました。4胎以上が急激に減ってます。3胎も減っています。この数を見て いただきますと、ちょうどオーダーが1つずつ違いますから、このカーブが、例えば2 7あったものが7になったというふうにお考えください。こっちの場合にはちょっと下 がっていても、50単位で下がってくるということになります。 ◎ 3胎、4胎、5胎で減数手術の施行率を見ますと、これは前回、吉村教授が発表さ れましたけれども、どんどん増えていくということになる。5胎以上になりますと、 70%減数が行われているということであります。 ◎ ここまでが実態ですが、ここでその背景の話をさせていただきます。きょう本が回 ってくるそうですが、私も読まさせていただきました。根津先生の本です。患者さんの 要望があるのにそのまま見ていられないと。患者さんのためにどうしても何かしてあげ なければいけないという事で、患者さんとの間のインフォームドコンセントを得て行っ ている。これは生殖倫理だけでなくて絶対必要なことであります。その気持ちもよくわ かります。実際、我々臨床士も困ることがたくさんあります。ただ、ここに矢印書いて あるのは、これは医学は日進月歩にどんどん進歩するということで、医学の進歩と医療 というのは常に並行はしていますけれども、同じ位置にいる必要はちっともないわけで あります。医療というものはいろいろな規定がありますよということです。当然よく御 存じのことだと思います。 ◎ これは母体の血液の中に胎児の血液を混ざってますから、その胎児の有核赤血球を 1つ採ります。標本の中で幾つか見つかりますので、それを1つ採ってきたところ です。これは妊娠の8週ぐらいからできます。 ◎ この胎児血液の遺伝子診断をやります。これは男女の診断ですし、それからいろい ろな遺伝子診断ができます。これは筋ジストロフィーのエクソンをどうだろうかという ことを見たわけです。 ◎ これは人工妊娠中絶の際、胎嚢から採取した液中に胎児の細胞がたくさん含まれて おりますから、それの遺伝子診断を行った成績です。3時間ぐらいでできます。性別も ちろんわかります。それから、これもわかっておった筋ジストロフィーの遺伝子を見た わけです。そうしますとお母さんの血液から単胎の場合はわかりますし、多胎の場合も 胎嚢を1つずつ見るとすぐ遺伝子診断はできるわけです。 ◎ 最近はもっと進んでまいりました。これは母体血なんですけれども、母体血のFI SH方法を使いますと性別がわかりますし、それから染色体の数が1つ多いのもわかっ てきます。 ◎ これは47XY,21染色体、いわゆるダウン症の診断ができるということです。こ のように色で鑑別をしていきます。 ◎ 同時に幾つかできるかということで、今6つぐらいできるんだそうです。性別、ま ず、これは母体血ですけれども、性別を胎児の細胞だということを決めておいて、それ で18とか21、13、一番染色体異常が多いところに標識ができるようにしておきま すと、このようにカラーできれいなものが同時に1つの細胞から診断できます。 ◎ それから、もう1つ自然消失というのがあります。これは大学の関連施設で起こっ た症例です。5胎妊娠です。胎嚢の数が1、2、3、4、5、あります。ちょっと様子 見ましょうといっているうちに2週間近くたちましたら3胎になりました。無事3胎、 子どもは分娩になりました。 ◎ 研究班のデータの自然消失をみますと、12週までの間に、4胎の場合には3胎に なるのが23%、双胎になるのは16%あります。つまり40%近くが自然な消失が起 こります。5胎でも3胎になるのが57%。つまり12週まで様子を見ていきますと、 妊娠ごく初期の多胎はうんと数が少なくなっていきます。 ◎ これはそのときの調査で、3胎、4胎、5胎で、5胎で出産した例です。予後は悪 くないんですね。むしろ3胎の方が悪いんで、こちらの場合には死産が3胎の場合には 14ぐらいありましたけれども、4胎では15のうち1人しか死亡していません。3胎 の場合は320のうち14死亡しています。予後もそう悪いものでありません。つまり このぐらいの重量の子どもで産まれた場合には、5胎であっても育つわけであります。  この2つのことを考えますと、減数手術をするということで何百人かの子どもが一見 中絶をされないで助かった、または残せたというふうな解釈が1つできると同時に、そ のために生きることができる子どもがどれだけ失われたかという見方もあるわけです。 ◎ これは山下さんの5つ子の写真です。よくこの話をするときに出すんですけれども 今、20歳を超えられました。この写真を使う許可もいただきました。減数した場合に はこの中の何人かいなくなるわけであります。 ◎ ですから多胎妊娠の増加というのをもう一度ここで医師として考えなければいけな いのは、これは医原性だということです。我々医師がつくったことであります。 ◎ これはいい証拠です。多胎妊娠の数と生殖補助医療の施設数と全部並行しておりま す。こういうところの反省がなくて、すぐ減数を認めるということにある1つの抵抗を 感じます。 ◎ もう一つの原因は排卵誘発です。これはゼロにできないだろうといつも言われ ます。いろいろな工夫がされておりますし、厚生省の私どもの班研究でも多胎妊娠の予 防がどのくらいできるかという調査、工夫をいろいろな施設がやっています。ここに多 胎率が書いてありますけれども、例えば低容量のFSHをずっと長い間用いて誘発した 場合には多胎率はゼロだったと報告されてます。例数はまだ少ないのですが。それか ら、徳島大学の青野教授のところではパルス療法というちょっと工夫をした排卵誘発を 使っています。これもゼロ。  したがって、多胎率をうんと抑えるということは、排卵誘発で多胎をゼロにすること はできないかもわかりませんけれども、かなり少なくすることはできる可能性を十分秘 めていることです。 ◎ ちょうど12週ぐらいから11週ぐらいで、減数のビデオを使おうと思ったんです けれども、なかなか手に入りませんで、それから一般に報道されているものを使うと目 的が違うので使用できないということだったので、学生に使う教科書を使いました。ち ょうどこのくらいの子どものところに超音波で見ながら針を指して心臓をとめる、穿刺 を使うことであります。当然安全性ということも問題になります。 ◎ そこで各国の報告と安全性を調べてみました。最近の報告では、先ほど申しました が、約3000ぐらいの報告があります。一人も子どもができなかった Loss Rateが約 10%から24%ということで、一番安全な方法で10.9%。双胎、3胎と4胎、5 胎ということで行われています。これは500例の統計でありますし、減数結果、双胎 と単胎にする場が96%になります。Total Loss Rate が11.5%。 ◎ 日本の報告になりますと、これは根津先生の報告しかありませんので、細かいこと がわかりません。ちょうど1995年のシンポジウムのときのデータを見ますと、 190例で、このときに150例分娩が終了しているということであります。 Loss Rate が5.3%、外国に比べると大変いい成績であります。 ◎ そこで今までの世界の見解を3枚ほどまとめてみました。これはFIGOの見解な んですけれども、赤で書いてあるところだけちょっとお読みください。これは中絶にあ たらないと、FIGOではまず定義をつけています。ただし、Where というところです けれども、胎児の重篤なabnormality 、奇形があった場合、中絶というものをJustify 認めているところにおいては、これはReduction してもやむを得ないだろうという条件 付です。各国の事情に合わせましょうということです。 それから、何もしないよりか、ほっとくと流産をする可能性や非常に未熟のためにハ イリスクになるような場合には減数はいいでしょうということであります。非常に遠回 しな言い方をしています。最後はもっと遠回しです。これは何もしないよりか、倫理的 には、Less un acceptableという表現をしております。acceptableではないことはない んだということです。非常に苦悩していることはよくわかります。 ◎ 昨年、世界不妊学会がありまして、そこでのサーベイ結果を紹介します。このとき も、 Multi Fetal Pregnancy Reductionという言葉を使って、37カ国のアンケートを とっております。実際に37カ国のうち28カ国で行われています。そのうち、ガイド ラインや法的に認めているところは8カ国で、ほかの20カ国はやっていますけれども 法規や規約ではノーメンションです。それから、施行してない国が7カ国あって、その うちの3カ国は法律で禁止されております。それに対して回答がなかったのが2カ国で 37カ国のうち28カ国が減数手術を行っていて、8カ国がガイドラインで認めている ということになります。もちろん行っていない国もあります。 ◎ ここでジレンマがいつも起きます。『Ethical Dilemmas in Assisted Reproductio n』という本がございます。1997年の発行です。減胎手術、または減数手術は決して 解決法としてはベストな解決法ではないんだと。だけれども、1つのオプションとして 考えていいでしょうと、こういう御意見。それから、患者は決して望んでいるわけでは ないんですよという認識を持たなければいけません。最後の言葉なんですけれども、こ れは学会の見解と非常に似ていたので、生殖医療をやっている者にとっては、患者の考 えはよくわかりますけれども、まず予防してみようじゃないかと。減数手術をroutine procedure にしてはいけないんだということです。減数手術というものを一般にルーチ ン化してしまいますと、それがどこでもたくさんつくってあとは減らせばいいじゃない かという考えに結びつきかねません。 ◎ そこで私なりにちょっと幾つかのオプションをつくってみました。こういうことを 医療サイドとしては認識をする必要があるということです。まず医原性であるというこ とを考えなければいけない。確かに多胎はリスクは大きいのでどこまでケアをするか、 できるかという問題です。これは先ほどお話しましたように、周産期医療の整備をうん とすれば、かなり育たない子どもが育つということになります。そのためには診療所で 後方病院を常に持っておくということが非常に大切なことになります。 それから、この安全性ということを先ほど申しましたけれども、もっと大切なのは精 神的、また身体的な安全性ということをずっとフォローアップする必要があるだろうと 思います。 それから緊急避難、これは今申し上げたことです。緊急避難ということの名目で、あ る決めをつくってしまいますと、決めをつくっても破る人がいるわけですから決めても 同じだということを言われるんですが、そういう名目で汎用されてしまうとルールも何 もなくなってしまいます。ですから緊急避難の意味はよくわかりますし、患者さんの気 持ちもわかりますし、ただ、この辺のところは非常に難しい決めになると思います。 最後に、これが一番心配な点です。つまり、この子とこの子を残してと、この子とこ の子という選別がおなかの中から始まります。これは産まれる前から子どもが差別をさ れるということで、日本の中では現在の法律では胎児条項が中絶の適用になっておりま せんから、これに対してはかなりディスカッションは必要ではないかと思います。 さらに、もう一つは、自然にも日本で今ほっといても100組の3つ子が産まれるわ けですから、300人の子どもがいるわけです。予後は双子と変わらないわけですから その子どもたちの生存権(Survival Right)が失われていくということになります。極 端にいえば子供は一人でいいやということにもなります。  そこで、いつも狭間に考えるのが、いわゆるReproductive Rightとは一体どういうこ となのかということが1つ。同じように子どもにもSurvival Rightというのがあるじゃ ないかということです。この辺の兼ね合いのことが非常に大きな問題で考えなければな らないということです。 いずれにせよ、先ほどの英語の言葉の中で言いましたけれども、この減数手術をする ということは根本的な解決には決してならないということの認識をまず持たなければい けない。これは私の個人的な意見ですが、ほかの方もおっしゃっていることではありま す。 ◎ 数字ばかりだったので、写真を見ていただきます。これは縦になっているかわいい んですけれども、小さな子どもです。私ども周産期センターでも750グラム、27週 あれば100%助かっています。これは多分600グラムぐらいの子どもだと思います けれども、うちの周産期の専門家から借りてまいりました。  どうもありがとうございました。                        ○中谷委員長  どうもありがとうございました。長期にわたる御研究の成果について非常にわかりや すく、多数のスライドで、私どもにお示しいただきましてまことにありがとうございま した。  この御説明について、皆様からまずは御質問おありの方、挙手の上、矢内原先生にお 尋ねになってください。 ○高橋委員  先生の調査した減数手術をしている施設はどの程度あったのでしょうか。 ○矢内原委員  数ですか。 ○高橋委員 ええ。 ○矢内原委員 さっき出ていましたね。3分の1以上ぐらいだと思います。匿名にしていただいたの で、個々の数は余り気にしなかったので、施設数は出してないと思いますが調べてみま す。 ○中谷委員長  丸山先生、根津さんの本をお読みになって、あの中に出てきませんでしたか。自分の ところじゃなくて、ほかに。 ○矢内原委員  書いてあります。実施しているのは診療所が16施設のうち10施設、病院が3施設 医院機関が2施設、全部で15施設です。 ○高橋委員  どうもありがとうございました。 ○辰巳委員  双胎の場合の後遺障害が起きる率が3.6%ぐらいでしたでしょうか。 ○矢内原委員  4.7。 ○辰巳委員  単胎の場合、これはどれぐらいと考えたらよろしいでしょうか。 ○矢内原委員  単胎の場合は1%以下だと思います。 ○石井(ト)委員  先生が研究なさった最終的な解決策は、要するに多胎児はつくらないということだと 思いますが、そうしますと現在の見通しですか、どのレベルまできていますでしょう か。 ○矢内原委員  まず3胎というところに1つ線を引いて考えましょう。そうすると3胎以上つくらな いというときはIVFでます半分減ると思うんですね。3つ以上移植しないことになり ますから。残りの半分、40%ぐらいになると思うんですけれども、そのうちに早まっ て減数をしなければ、ほっとくと約20%ぐらい数が消えていきます。さらに今の方法 でも注意をしてやれば、これも予測ですが、現在の5分の1にはなると思います。  ですから多胎妊娠、双胎がほとんどで、85%なんですが、それも含めて、実際に多 胎妊娠の率はこの調査で17%ですが、大体我々は20%と思っています。ですから、 それのうちの18%から16%ぐらいは残るだけになっている。失礼しました。例えば 20%が、せいぜい5%ぐらいまでは減らせることはできるんじゃないか。理論的には もっと可能です。 ○辰巳委員  私は多胎をできるだけつくらないような治療を非常に心がけてやってきたつもり です。この7年間で、私のところで1400人ぐらい妊娠していただいているんですけ れども体外受精による3胎が6例です。それ以外に3多胎以上は全く0です。やはり排 卵誘発剤の使い方をうんと注意してやれば、妊娠率もそう下げることなく、それぐらい まで下げることは可能だと思います。  だから、まだまだ使い方については工夫する余地がうんとあるのではないか。でも逆 に、どうしてもそれしかない、最後に幾つも卵胞ができてしまったけれども、この人の 場合はさんざんやってきたけれども、ここで打たないと絶対妊娠のチャンスはない、思 い切って打たざるを得ないといった症例がやっぱりあります。でも私の場合は、これま でラッキーに、それで3胎以上になったことはないんですけれども、どうしても防げな いケースはあると思いますが、まだまだ下げることは十分可能だと思っております。 ○中谷委員長  どうもありがとうございました。矢内原先生、いつかのシンポジウム、受精着床学会 での、あのときに、初めて排卵誘発剤の使用について触れられましたよね。こういうふ うにすればという御提案なさいましたね。あれは大変私印象に残っているんですが、体 外受精の方は、受精卵を戻す数を3個以下にすれば、当然に3胎以上はないわけ。 ○矢内原委員  たまに一卵性双生児、双胎になって4胎になることあるんだそうです。それからもう 一つ、目で見て数を入れますから、たまに混ざって2つ入っちゃうことあるんだそうで す。田中先生、そういうことはたまにありませんか。 ○田中委員  それはないと思います。一卵性双胎というのは案外とありますね。 ○矢内原委員  ありますか。 ○田中委員  ええ。 ○矢内原委員  でもほとんどが3個、理論的には3胎。1ついい歯どめはあそこでできたと思い ます。 ○中谷委員長  そうですね。 ○辰巳委員  最近、私のところでまた3胎、体外受精でできまして、受け入れ施設の方がなかなか うんと言ってくれませんで、幾つかの施設に頼んでようやく受けてもらった経緯ござい まして、東京の方でも3胎でも、それはちゃんとした新生児医療をすれば助かるんだけ れども、ベッド数自身が非常に少なくなっていて、これ以上、3胎が増えてもらうと、 もう東京の未熟児医療の方も結構きつくなってしまうと。戻す数を2個に制限してくれ ませんかというふうなことを言われました。やっぱり2つに制限することも1つ考えな くちゃいけないんじゃないかなというふうに考えております。 ○吉村委員  それは私もそう思うんです。どうしてかと申しますと、3胎だと大体26週か27週 ぐらいからベッドを用意しておかなくちゃいけないと思います。3人の子どものために あけておかなくちゃいけない。普通は3胎だと早い人で32週、遅い人で35週位まで もつ人はいるんですけれども、そうすると28週から32週間というのは、4週間ぐら い、いつ破水かもわからないし、いつ陣痛が来るかもしれない。1カ月間から1カ月半 ぐらいは未熟児用のベッドを用意していかなくちゃいけない。例えば、先生のところは NICUが6床とおっしゃいましたが、もう28週くらいから、3床を3胎のためにと っておきますと3床しか使えなくなってしまいます。私のところなんかでは、36歳以 下は、IVF−ETでも2個にしています。37歳以降は3つというふうに、年齢によ っても考えていかなくちゃいけないというような時期にきていると思います。 ○中谷委員長  ほかに御意見いかがでしょうか。丸山先生いかがですか。 ○丸山委員  矢内原先生のところで、減胎術をしなくても自然に減胎が起きたというのは、先ほど 絵と数字を挙げて拝見したんですけど、あれはすべて排卵誘発剤とか体外受精の例なん でしょうか。それとも18%とかある自然由来のものも。 ○矢内原委員  両方混ざっております。 ○丸山委員  そうなんですか。それから、もう一つは、平成8年の多胎妊娠に関する見解なんです けれど、そこで今もお話になってました3個以内を子宮に戻すということなんですが、 それが守られているのか守られていないのか、年末のテレビ報道なんかでは、今でも妊 娠率なりを上げるためにたくさん戻している施設があるというふうな報道もあるように 思うんですけれども、そのあたりいかがでございましょうか。わからないということに なっているんですか。 ○矢内原委員  わかりませんですね。伺っても3胎、3つしか戻していませんとおっしゃれば、そう ですかということになりますから。だけど、今、吉村教授言われたみたいに、新生児の ことを考えて、多胎のことを考えると受精卵を子宮に移植する数に対しては非常にみん な慎重になっていると思います。だれでもやりたかないですよ、減数手術なんていう の。中絶もやりたくないと同じようにね。ですから困ったなという気持ちがみんな医者 の中に多胎になると起こると思います。 ○丸山委員  そちらの妊娠率、多少、4つと3つでは変わらないということなんですが。 ○矢内原委員  ほとんど変わらない。 ○中谷委員長  丸山委員に伺いますけれども、1991年に比較法学会でやりましたよね、人工生殖 の問題について。 ○丸山委員  ええ。 ○中谷委員長  あの段階ではほかの国でも受精卵を戻すのは3個以下というところが多かったですよ ね。多かったというか、でしたよね、それを決めているところはね。その後、2個とい うふうにしたような国のあれは御存じないですか。 ○吉村委員  私の方ではスウェーデンだけ。 ○矢内原委員  年齢によって変えているところありますですね。 ○田中委員  イギリスもたしか2つ。 ○吉村委員  私はこの前、発表したと思うんですけど、2個というのはスウェーデンだけ。ほかの ところ、4個という規制は結構多かったと思うんですけれども。 ○中谷委員長  4個もありましたか。 ○吉村委員  4個の規制もありました。 ○中谷委員長  そうですか。 ○吉村委員  それから、3個もありましたけど、3個がやはり一番多かったんじゃないか。 ○中谷委員長  3個が多かった。 ○吉村委員  私がこの前出した表では、3分の1ぐらいは制限されてなくて、3分の2ぐらいが制 限されていたと思いました。 ○矢内原委員  この前の最初の資料の中にありますね。制限した国が、ナンバー・オブ・トランスフ ァーというのが、リミットとしての3、4が多いので、それの国が37カ国のうち、1 2カ国が制限しております。 ○吉村委員  2個もありましたね。 ○矢内原委員  2個がありますね。オーストラリア、それからポーランド。 ○中谷委員長  オーストラリアは州によって違いますよね、たしか。 ○吉村委員  スウェーデンも。 ○矢内原委員  それはリメインダーの方ですから、サウスは3つ、ビクトリヤやウエストは unlimited。スイスが2から3。ポーランドが2から3。 ○中谷委員長  法的な立場から石井美智子委員いかがですか。この減胎手術の法的な評価といいます か、どういうふうにお考えですか。 ○石井(美)委員  法的なといいますと。 ○中谷委員長  日母では反対しているわけでしょう。 ○矢内原委員  ええ。ただ、最初の見解は反対のようですけど、これは高橋先生から、多分後で御説 明があると思うんですけれども、私は母体保護法第2条第2項を理由にするのは非常に つまらんと思うんですね。いずれ排出してくるわけですし、実際に臨床士紙様児という のがあって、中で子ども死んでしまいますと紙みたいになって、痕跡になって分娩のと き一緒に出てくることあるんですね。自然消失がいい例ですけど、それは人工的に殺す ということ、いわゆる堕胎罪、中絶にはもしかしたら当たらないという解釈もできるん じゃないかなと思っています。これはどなたの本を見てもそうですし、多分日母の中で もそういう議論は随分あったんじゃないですか。 ○中谷委員長  根津さんが最初にやった事例だと経膣的な中絶ですね、それこそ。ああいう場合はど うでしょう。普通の中絶は。 ○矢内原委員  方法は、私は自分でやったことないんでわからないんですけど、経腹と経膣と経頸管 というのが3つあるんだそうです。経頸管が一番予後がいいという報告が一番最後の2 700症例の論文の中には書いてあります。ただ、ほとんどが今経腹でやっているよう で。 ○中谷委員長  経腹でやっていますよね。 ○石井(美)委員  質問させていただきたいのですが、いずれ出てくるとおっしゃったのですが。 ○矢内原委員  分娩のときです。 ○石井(美)委員  分娩のとき。 ○中谷委員長  残った子どもと一緒に。残した子どもが最後に出産しますね。そのときに一緒に出て くるわけです。 ○石井(美)委員  すべての事例でそうですか。 ○矢内原委員  初期に死んでしまったのはわからなくなることはあるかもしれませんけれども、肉眼 で見えるぐらいの場合もあります。それから、細かく調べていけば必ずあると思い ます。法律的な解釈はわかりませんので。 ○北島課長補佐  追加で、きょう高橋委員の方から資料提供していただいたものを配布させていただき ましたが机上配布ということで取り扱いの方よろしくお願いしたいと思います。 ○高橋委員  よろしいでしょうか。 ○中谷委員長  どうぞ。 ○高橋委員  御承知のように日母(日本母性保護産婦人科医会)というのは、母体保護法に基づき まして、人工妊娠中絶を実施できる資格を与えられた医師を中心とした集団であるわけ です。かつては優生保護法による人工妊娠中絶手術をできる医師だけという時代もあり ましたが、最近はそれに研修とかそのほかのいろんな意味も兼ねまして、その資格を持 ってない方も一部加入しております。  優生保護法が母体保護法に変わりました時点で、優生保護法をもっと抜本的に変えよ うという動きがあったのですが、その時は御承知のように「優生」という言葉を取るこ とだけに主眼を置きましたので、「母体保護法」という名前に変わって、あとは主とし て文章の中の「優生」の箇所だけ削除したような形で改正されたのです。  これについて、さらにいろいろな面で現代に合う形にこの条文を改めようということ になり、私の知っている限りでは、6年前になるでしょうか、優生保護法の法制検討委 員会というのが日母の組織の中にできまして、そこで検討を始めたわけでございます。 その構成は、大学の産婦人科の教授の方が5名くらいいるでしょうか、それから開業の 先生。 ○中谷委員長  すいません、コウセイというのは。 ○高橋委員  要するに人員構成です。 ○矢内原委員  人員構成。 ○高橋委員  ええ。そういうことで、産婦人科以外の外部の方は入っておりません。会長から、十 分に検討して案をまとめてくれということでいろんな方々の意見を聞きました。現在ま だ会長に答申するところまでいっていませんけれども、大体ここにお配りしましたよう な改正案が今現在出ております。 〇中谷委員長  確定なものじゃありませんので、また、それはもっとはっきりした段階でみんなで考 えてみるということだろうと思いますけれども、石井美智子委員、現在の母体保護法の 第2条の第2項では、減数とか減胎とかいうものは、これに反することになりますか。 〇石井(美)委員  もともと優生保護法の時にはこの手術を考えていなかったので、これに当てはまるか どうかということ自体の問題はあったと思うのですが、今後、母体保護法に改正して、 そのままの文章を残したときには、この手術が存在したわけです。そのまま残したこと をどう評価するのかという事が1つあるだろうと思うのです。私、その時の議論、フォ ローしていませんが、その点について議論したという話も聞いてはいないのですけれど も、今度あえてこのような手術を前提にしていなかった定義をそのまま残すと言うこと は、新しいものを含めないという趣旨にとるのかどうかです。 ○中谷委員長  そういうことです。どちらかということです。 ○石井(美)委員  どちらかということをはっきり言うことはできないと思うのですが。拡大的に解釈す るならば、分娩のときに出てくるので含めるという解釈もあり得ると思うのですが。そ れは自然に出てくるので人工的に出したということではないというのが、日母の解釈な のでしょうか。そういう解釈も両方ともあり得るのだろうと思います。もともとつくら れたときにはそういうものは予定してなかったということは確かだろうと思います。 ○中谷委員長  それをどう解釈するかということですけれども、いかがでしょうか、丸山委員は。 ○丸山委員  私は、最後に痕跡のようなのが生産児と一緒に出てくるからといって、母体保護法の 2条2項に当たるというのは、そのように根津先生の御本には根津先生の主張として書 いてあるんですけど、ちょっとおかしいのではないかと思いますね。根津先生の本の中 には30週かけて、胎児を母体外に排出しているというようにあるんですが、ちょっと 認めるのは難しいのではないかと思います。私は減胎術は、文言どおり素直に読んで2 条2項に当たらないのではないかと思います。この2条2項では、胎児及びその付属物 を母体外に排出することしか書いてありません。だけど、刑法の堕胎の方は排出するこ とも言うし、排出しなくても母体内で、人としては産まれてないんですけど、胎児とし て殺すんですね。殺すことも堕胎に含まれるというのが、ちょっと予習しまして、注釈 刑法とか前田先生の教科書とか見ましたら、堕胎にはその2つのタイプがあるように書 いていますから、その刑法上の堕胎に減胎術も含まれる。  日母の先生方のおっしゃるところでは、刑法上の堕胎に該当して、母体保護法上認め られなければ、即犯罪が成立するようにおっしゃるんですけど、そうではなくて刑法上 の堕胎には該当するけれども、母体の健康、生命維持のために必要であれば、正当行為 になる、あるいは違法性が阻却されると考えてよろしいのではないかと思います。  先ほどから、この多胎を減らす努力をしなければならないということを強調されてい るのですが、それは確かにその努力が怠られてはいけないと思いますが、現実に起きた 場合、医学的に後遺障害がなくも、やっぱり私個人の経験では1人ずつだったんですけ れども、2人で精いっぱい、同時に3人育てることはちょっと無理ではないか、という 感じしますですね。だから、医学的な側面で後遺障害がないというだけで、あと社会が 十分養育してくれるという体制であれば、そういうのは必要でないという考えもあるか もしれませんけれども、やっぱり親子の関係なんかを考えると、普通に育てられる状況 というので、頑張れることが、振り返ってよい経験になることも少なくないんですけれ ど、すべての人に頑張れというのは、少なくとも刑法が刑罰を持って強制というか、そ う仕向けるのはおかしいのではないかということで、堕胎に該当しても母体の救命、あ るいは健康保護のために必要な場合であれば許されることを認めてよい。  それも緊急避難ですか、緊急避難よくおっしゃるんですけど、緊急避難の要件、ちょ っとすべて満たすのは難しいこともあるようですので。 ○中谷委員長  満たす場合もある。 ○丸山委員  満たす場合ももちろんあります。満たす場合はそちらのほうでいいんですけれども、 緊急避難が成立しない場合でも違法性阻却を認めてよいんじゃないかと。私のように刑 法専門ではない者が違法性阻却をと言うとまたお叱りを受けるかもしれないんですけれ ども。 ○中谷委員長  十分あり得ると思います、正当行為ということであり得ると思いますけれども、ただ イギリスでは、1990年法で、1967年のAbortion Actを改正しているわけですが その規定ができた。そこではselective reduction とselective feticideと両方正当化 しているわけなんですが、その法律ができたときにアンドリュー・グラブというどこか の大学の。 ○丸山委員 現在はカーディフの先生ですね、法律の。 ○中谷委員長 その方が書いていますよね。それで、仮にそういう特別な規定ができてはいるけれど も、これはこれでいいのだということで正当化しているわけなんですけどね。 ○丸山委員 第1回か第2回で先生の御論文をいただいた中にございましたですね。 ○中谷委員長  書いておいたと思いますけれども。ですから解釈としても、母体保護法の2条の2項 に、立法当時は予定はしていなかったけれども、後の状況でこういう方法ができて、そ れも含ませようと思えば含ませるというふうに考えることもできるし、もし、それが厳 密に解釈すれば、この中には含まれないとしたとしても、少なくとも堕胎罪にも当たら ないといったことで正当化することはできるんじゃないでしょうか。 〇石井(美)委員  丸山先生、そして、刑法の御専門の中谷先生が正当化されるとおっしゃられたんです けれども、私、民法で刑法専門ではないのですが、母体保護法に当てはまらないとした 上で、そう簡単に違法性阻却、刑法の犯罪に当たるとした上で違法性阻却とか正当化さ れるということをそう簡単に言えるのだろうかという疑問を私は持っています。 ○矢内原委員  田中先生、何か御意見おありのようです。 ○中谷委員長  田中先生。 ○田中委員  要するに、今ここで話し合われている委員会の意見が1つガイドラインとして形づけ られるわけですね。そのためのディスカッションですね。 ○中谷委員長  はい。それはどういう形のガイドラインにせ、どこでそういうガイドラインをつくる のかとか策定するのかとか、あるいはその実施についてはどういう保証をするのかしな いのかと。 ○田中委員  そういう意味で、今の日母のそういうものとかかわりが出てきますよね。 ○中谷委員長  はい。 ○田中委員  それで、この問題は非常に難しい問題だと思うんですよ。矢内原先生は反対という立 場であることは有名で、我々知っていますし、吉村先生も反対の立場というのも知って いますから、その中で、反対というのは非常につらい立場なんですけれども、私として は、私個人の意見というより、実際やっている人間はたくさんいますから、そういう人 間の代弁者という気持ちもありまして、少し皆様にお話ししたい点があります。  矢内原先生のお示しになられたスライドについて少しずつ違う立場から言いたいと思 います。1つは、子どもの正常な発育というものは、生後1年、2年では正確にわから ない部分があります。就学して、能力、運動機能が最終的にわかるのはかなり遅くなり ます。また、最近、一見正常に見えても、NICU、未熟児の集中管理室から退院はで きても、後で歩けないというPVLという病気が発生することもあります。  先ほど矢内原先生の話は、28週で何百グラムあればよろしいという話出ましたけど 私たちの考えは34週以上の発育が必要と考えます。新生児34週未満ではPVLの発 生率が高いということであります。従来は30週、28週まで胎内で成長すればその後 の胎外発育は大丈夫と言われた時代がありましたけど、私たちは未熟児センターの先生 言われていることは何とか、34週までもたせてくれということです。ですから重さが あればいいというのではなくて、在胎周数をしっかり伸ばしたい。このためにやはり多 胎という条件は危険だということになります。  それから、医者の75%が認めたということと、その反対に患者が30%しか希望し てない、このギャップはやはり意識の差だと思います。だれだって自分のできた子ども を減らしたくないですし、当然減らすことだって罪悪感あります。ただ、やはりその中 で、あえて、多胎における危険性ということは医師は認識しておりますから、この差が 出たのだと思います。  患者さんはだれも将来、みんな元気に3人、4人産まれると思っておられます。とこ ろが実際はそうじゃないよという話をして、そういう悲惨な話もします。山下さんのよ うな優秀な5つ子もいますけれど、そうじゃない悲惨な3つ子、双子もいます。そうい う話を偏らないで話して、最終的には本人たちに選んでもらうというふうに私は考えて おります。 それと先ほどお話出ましたけれど、排卵誘発法を改善して、とれる卵を減 らして多胎を減らす、これは正論です。だれでもそうしたいんです。ただ、大きな問題 として妊娠率を下げたくない、ということがあります。高いお金払います。年齢的に時 間がない。そういう人たちにやはり1回でも早く妊娠させてあげたい。これは各施設の 医者の気持ちだと思いますし、また患者も願うことだと思います。  副作用を減らすために卵の数を減らすのはそんなに難しくないんです。但し、卵の数 が減れば妊娠率は下がります。一番難しいのは副作用を起こさないで妊娠率を下げない ということなのです。ここが腕の見せどころだと思います。辰巳先生のように腕がよけ れば、問題はないと思いますが、現実にはうまくいかないことも多くあります。  ですから、まず、卵をある程度排卵したとしても、多胎ができないような方法を確立 することが大事であると考えます。けれども、現実の問題として、多胎妊娠と直面して いる以上、私としては患者希望があれば、そういうニーズが産科的にある場合には、減 数手術は臨床上必要な処置であり、私は認めてほしいと思います。  次は分割卵の凍結の問題があります。2つだけを戻すということは理想ですばらしい と思います。双子以上できませんから。ただ、残った分割卵を責任持ってその医師が凍 結保存できる技術があるかどうか、これも大事なことだと思うんですね。そういう技術 がなければ、その卵は無用となるわけでしょう。非常に稚拙な技術で凍結して、そのと き戻すと全部だめになるということはよくあると思います。こういう問題もあるん です。  ですから、私は今申し上げた点より、なるべく多胎をつくらない努力が必要ですし、 又、これから先は長期培養といって、2日目で戻すんじゃなくて、さらに3日培養して 胚盤胞の段階で戻すと着床率上がるという方法があり、世界的なブームとなっておりま す。それでもやはりこの多胎は、不妊治療にさけられない副作用ですので、これに対し ては、ぜひ、絶対やってはいけないということではなくて、含みを持った、先ほどのこ の改定案にありましたような、ああいうふうなところで認めていただければ非常に助か ると念じております。 ○中谷委員長  どうもありがとうございました。  それでは、先生の方から反対だとおっしゃった理由を。 ○吉村委員  私は、今、田中先生のおっしゃったことも実際に私たちがやっている医療として、現 実的なことは非常によくわかります。私は今のこの生殖医療、非配偶者間の体外受精も これから話される問題も全部含めて、今の生殖医療というのはもう一回考え直すべきと きに来ていると思うんですね。こう言うと、あなたは理想論ばっかり言ってといつも私 言われるんですが、これまでに日本の狭い国の中に400施設という大きな施設、要す るにART(生殖補助医療)をやっている施設があるわけです。こういった国は世界中 でアメリカ以外にはないんですね。これはまさに生殖産業になっているわけです。それ は減数も同じなんです。  私たちがつくっておいて、多かったから減らしましょう、これは法律家の先生方も現 実に起こった場合どうするんですかと、おっしゃるんですけれども、果たして生殖医療 やっている私たちが多胎をつくらないような努力を本当に真剣に今まで考えてきたか と。  例えば、田中先生もおっしゃいました。発育状況、8歳、10歳、そういう統計をと っているところは、限られた機関しかないわけですね。私達のところでは関連病院にお いて6歳まで位の身体発育および精神発達についての統計をとっています。考えてみれ ば、つくりっぱなしというのが産婦人科の今の在り方ではないでしょうか。できた子ど もは、みんな小児科の先生にお任せします。例えば、生殖医療を開業する。医師が、例 えば3胎産まれたどうしよう、4胎産まれたらどうしようか、どこへ運ぼうかというこ とを考えて開業される人がいるか。多胎ができたから減数は仕方がないんじゃないかと いう考え方は、私はこれはおかしいんじゃないか。生殖医療を行う際には、多胎がおこ りうることをよく考えるべきです。多胎を認めるか否かという問題点は、私はこの専門 委員会で話すようなことではないかもしれません。 ○矢内原委員  私は田中先生のおっしゃっていることも、現場の人としても全面的に全然反対してな い。田中先生がおっしゃるとおり。ですけれども、スタンスとして、見方を、現実はよ ろしいですよと。これはリプロダクティブライツですから、女性は好きな数を好きなと きに好きなだけ産みなさいということの解釈の仕方に根本があると思うんですね。どん なに予防しても、これは交通事故と同じように必ず多胎は出てくる、6胎以上は育ちま せんから。ただ、さっきのパーセントで論じないでください、数で見てくださいという のは、つまり5胎や6胎や7胎ができるということは非常に例外的な事象であるという ことをみんな認識してほしいんですね。そういうスタンスがないと、ただ現実がよろし いというようなことをぽっと、それだけがひとり歩きするのは怖いんです。  ですから、みんなが注意してやるというスタンスを持っておけば、かなりの数が 減る。そうすると、どうしても減数をしなければならないという症例が非常に例外的な ものになっていくだろう。そのときに、その中で、あるレギュレーションが生まれてい くべきだと思うんですね。具体的に現実的なことを言いますと、減数をする施設の、 例えば認定をするとか、できる人の資格を決めるとか、または、そのときに、なぜ5胎 以上になったかとか、その報告をさせるとか、何か1つの歯どめをして、今の堕胎罪と 同じなんですね。実際にそれに対して問題を何十年も起こしてないかもわかりませんけ れども、そのあれがあるために、優生母体保護法というものがあって、1つの逃げ道と いったらおかしいですけれども、それが出てきますね。だけど、あの堕胎罪というのが あるのは決して悪い法律ではないと思うんですね。  ですから吉村先生の理想論もそのとおりですし、田中先生の現実論もそのとおり。実 際に医療の現場では起こってきていることなんです。ただ、姿勢は、それに対して全面 的にオーケイということを示したら歯どめがなくなっていくということを申し上げたい わけです。 ○中谷委員長  どうもありがとうございました。大変建設的な、かつ非常に厳しいといいますか、反 省を込めた御意見が出て大変うれしいと思いますけれども、私、生殖医療に携わってい らっしゃる委員の先生方に伺いますが、生殖医療を治療を始められるときのカウンセリ ングはどういうふうになさっていらっしゃいますか。ちゃんとカウンセラーみたいな方 がいらっしゃいますか。その場合には多胎妊娠をすることがある、そういう場合も含め ていろいろな説明をきちんとしておられますでしょうか。ほかの国ではきちんとそれを しなければいけないようになっていますけれども、やってらっしゃいますか。 ○吉村委員  大体カウンセラーという職業自体、日本では存在しないんです。ライセンス持った方 がいらっしゃらない。 ○中谷委員長  メディカル・ソーシャルワーカーはおられますね。 ○吉村委員  ソーシャルワーカーはおります。ソーシャルワーカーはもちろんいますけれども、た だ、生殖カウンセリングという職業というのは日本では存在しないので、結局は医者が やっているということだと思います。 ○中谷委員長  そうしますと、例えば多胎のときに減数をというふうに考えたときに、その減胎をし た御本人のトラウマといいますか、心の痛みといいますか、そういうものに対応するこ とのできる人はいないんですか。 ○吉村委員  それはいないと思います。ただ、心理カウンセラーはうちもおりますけれども、それ はあくまでも精神科にいる心理カウンセラー。それは、だから現実の臨床においては、 こういう話をしていいのかどうかわかりませんが、現実、減数をどこかでやってきた来 られた方はおります。その人たちは何もしゃべりません。3胎を2胎にしてみえたので すが、3胎だったら3胎のままでいいんじゃないかと思ったんですが、2胎にして来院 されました。それが12週で児がなくなり、19週で最後の1児もなくなってしまいま した。こういう方というのは必ずお見えになるわけです。それは私のところにも2例ぐ らい来ていますから。ということはほかの病院にも行って見えると思うんです。そうい う方というのは、全く顕在化しないわけですね。お一人で悩まれている。自分も悪いこ とをしたと思っておられますから、お一人で悩まれて、お一人でじっとされている。  そういうカウンセリングは、先生がおっしゃるように、欧米では非常に発達していま すし、日本でもそういうことが必要ですけれども、現実面において、生殖医学における カウンセラーというのはほとんどない。私のところではソーシャルワーカーと心理カウ ンセラーがお二人でお話をしていただくというふうにしていますが、これはまだ恵まれ ている方じゃないかと思います。 ○中谷委員長  要するに減胎した、うべかりしといいますか、お子さんについて、むしろ、あの子を 残した方がよかったのではないかとか、そういう功利的な問題も含めまして、母親とな る人はいろいろ心を悩むことが多いだろうと思うんですよね。そういうこともあるとい うことは、やっぱり生殖治療を受けられる方にはまずはお話をなさっておかれた方がい いような気がしますけれども、そういうことは余りお考えになっておられないんでしょ うか。 ○矢内原委員  第44回日本不妊学会を私やらさせていただくんですけれども、そのプログラムの中 に、不妊のカウンセラーという1つのワークショップをつくります。これもこれから日 本でやらなければいけない大切なことです。現実にやられているクリニックがあるんで す。 ○辰巳委員  自治医大の荒木先生なんかが中心になりまして、カウンセラーの養成講座みたいなこ とで、看護婦とかパラ・メディカルの方で不妊医療に関する高度の知識を持ってカウン セリングができるような方を養成しようといった試みで、セミナーなんかが何回か開か れております。それが欠けているということは認識は非常にしています。今現実的には 私たち医者が直接そのことをしているわけなんですけれども、そういうふうな方を養成 していこうという講座を今何回かセミナーが行われているところです。 ○中谷委員長  医療の知識とカウンセリングのときのあれとは違いますのでね。だからお医者さんが 兼ねるというのはなかなか難しい。ちょうど臓器移植幇助を受けるコーディネーターの 養成みたいなもので、厚生省としては、余りそういうことはお考えになっておられない わけですか。 ○母子保健課長  その前に、この多胎減数手術そのものがどうかというところが非常に大事な問題ある と考えています。ただ、カウンセラー云々については、この問題だけではなくて、それ こそ出生前診断も含めた、いろいろ生殖医療関係で、あるいは生殖医療よりももっと広 い女性の疾患やもっと広い医学全体の問題、そういったものに対する相談とかカウンセ リング、体制は考えていかなければいけないんでしょうけれども、なかなか今は、医療 保険とか、どうしても経済的な問題が出てきまして、そういう経済的裏打ちがないと医 療機関はほとんど民間ですので難しいという様な状況はあるんですが、我々も例えば、 今回出生前診断で遺伝相談の体制を全国的に整えていこうと考えています。これは遺伝 相談に当たるカウンセラーの方が、ドクターでも構わないですけれども、専門的に相談 を受けようというふうな形でやっていこうとしていますので、そういう形でひとつひと つ、分野分野で対応していくのかなと考えております。  ですから、生殖補助医療についても、こういう分野のカウンセラーはぜひ必要だと、 こういう先生方の中で御意見があって、報告書に書かれるような形になれば、それは 我々としてはやはり検討していく1つのテーマだろうと思います。 ○中谷委員長  減胎のお考えをもう少し伺います。こちらの両先生はどちらかというと、消極派とい いますか、あれですよね。田中先生のところはやっぱりそれはどうしても必要な場合が あると考えていらっしゃるわけでしょう。 ○田中委員  カウンセラーですか。 ○中谷委員長  いえいえ、減胎手術そのものです。 ○田中委員  減胎はぜひ認めてほしいと思います。 ○中谷委員長  認めてほしい。 ○高橋委員  私どもの検討している委員会で、こういう手術について意見を聞きますと、「要する に多胎妊娠をしている女性の意思を尊重して、その方がもし望むならば、いろんな条件 をつけて認めたらどうか」、そういう意見が一番多かったですね。だからといって、日 母の方でそれをすぐ認めるというのではありません。委員会ではそういう意見でしたの で、このような改正案文になったわけです。  それで、私もいろんな不妊治療しながら、いかにしたら多胎妊娠を防げるかというこ とをやっていますけれども、どうしても多胎妊娠が出る場合があります。それについて あらかじめ患者に説明しておいたので、一人として問題になったことはありません。紹 介してIVFをしてもらい、3胎になった人もいますけれども、その人は、今までこれ だけ苦労していたのですから、3つ子のままでいいという方もいるし、先ほどどなたか からか出ましたが、もう2回目なので、今度3つ子じゃ困る、何とかしてくれと言う場 合もあり、ケース・バイ・ケースなんですね。ですから最後はやはり1995年の北京 の世界女性会議での宣言のように女性の権利の1つとして減退手術を認める方向で考え るのがよいと思います。  ただ、これは日母の代表としての発言ではありません。 ○中谷委員長  石井美智子委員は家族法の関係から見てどうですか、この減胎そのものは。 ○石井(美)委員  先ほども申しましたように、まず第1は、多胎を防ぐためにどれだけのことができる かということだろうと思っております。その上で、最終的に、極端な場合には母体その ものの生命の危険がある場合には現行法でも許されるということは確かだと思います。 そうでない場合でも、母体保護法で中絶が許される事由に該当する場合に、減胎手術が 認められないこともないと思うのです。身体的理由等。  私は母体保護法なしでは、かなり違法性阻却は制限されるのではないかと思っている ので、母体保護法の中に含まれる形で、同じ条件が満たされる場合に許される。ただ、 現行は大変ザル法と言われる法律ですから、母体保護法でできるということになれば広 がってしまうという危険はあると思いますけれども。最終的には、私自身は女性自身の 決定権を重視する立場をとりますから、女性が決定できるだけの情報がきちんと与えら れることが重要だと思います。そもそもは多胎になる時点から情報が必要ですけれども 減胎手術をするかどうか、した場合にどうなるのか、残される子どもについての影響、 流産の危険性その他すべてを含む情報が与えられた上で決断は、女性自身ができるとい うふうにした方が望ましいだろうとは思っております。 ○中谷委員長  やっぱり多胎になるのも一種の医原病というか、医原的なものだから、医療サイドで 十分な努力をしてほしいと。その上で、なおかつ避け得ない場合には御本人がそういう ことを意思決定すれば、それはやむを得ないというか、認められていいんじゃないか、 そういう御結論ですね。 ○石井(美)委員  認められるような条件整備の必要性があるんじゃないか。ここではそのための手続き を考えるということなんじゃないか。まずは、第1段階の多胎を防ぐための最大限の措 置ということであり、それでもだめな場合があり得るということになれば、だから、吉 村先生と矢内原先生は反対だと言われたのは、人工妊娠中絶なら許される場合でも、そ れは一部の胎児の生命を奪うということに当たる減胎手術はだめという、そういう区分 けをされるのかどうか。 ○吉村委員  そういう区分けではありません。 ○石井(ト)委員  減数中絶を、母体保護法を改正して合法的に認めようということには反対です。現行 の人工妊娠中絶の条文でいくらでも解釈は可能だと思います。  ただし、前回、矢内原先生に質問しましたが、不妊治療の認定基準について聞きまし たら、1年間の実績があれば、それでオーケイということでした。その後、全く質の評 価をしてないということがとても気になったところです。先ほど先生がおっしゃったよ うに、やはり不妊治療施行施設にはしかるべき医療の質、技術的にある程度高度な医者 のレベルを保証するような形の条件づけをする必要があると思います。更にリプロダク ティブ・カウンセラー、これは私の案ですが、助産婦を専門的に教育し、カウンセラー としての役割を義務づけるとか、そのような形で整備することが必要と思っています。 このような条件付けを学会の会告で示すのか国のガイドラインで示すのか、法の改正で はなく、そのようなレベルで私は抑えておきたいなという意見を持っています。 ○中谷委員長  大体いろんな方の御意見を伺いましたので、次に。 ○辰巳委員  中谷先生、私、まだ意見を。 ○中谷委員長  どうもすいません。 ○辰巳委員  基本的に私は努力をうんとすることがまず先決ですが、それで4胎以上が出てきた場 合には減数中絶をする。 ○中谷委員長  3胎まではそのまま。 ○辰巳委員  はい、というふうに考えています。 ○中谷委員長  3胎で減胎はできないと。 ○辰巳委員  私はそういうふうに考えていたんですが、今、田中先生の御発言だと、3胎でも減数 中絶するということは結構あるのでしょうか。 ○田中委員  3胎か、2胎で、1つの線引きするんじゃなくて、産科的な色々なリスクファクター を考える必要があると思います。ですから、許可するのなら何胎以上とするのではなく て、その行為自体を認めるとして欲しいと思います。 ○中谷委員長  矢内原先生は、先ほど、たしか3人まではということをおっしゃっていましたね。 ○矢内原委員  要するにそれの裏づけがほしいんですね。今のままで、ただ減胎はいいですよと、違 法性はありません。これは患者さんとの話し合い、患者さんの希望ということになった ときに、九十何%が双胎か単胎になりますから、ですから3胎まで医学的にはケアをち ゃんとすれば育つということですし、それと同様に双胎も同じでぐあい悪いわけです。 ですから3胎までというところの線をある意味では崩さない方がいいのではないかと思 います。4胎以上はほとんど稀ですから。ただ、お母さんのリスクが多胎を持つこと、 2人以上持つことのリスクを上回った場合、この場合には単胎にしてもやむを得ない。  ですから、これを表立って、ある原則をぴしっとつくってスタンスを置いておかない といけない。 ○中谷委員長  一応の原則をつくっておいて、あとはケース・バイ・ケースで、特殊事情を考慮する という。 ○矢内原委員  その幅、ある線を引かないと、無制限ではいけないと思うんです。根本的には反対で すよ。やむを得ない場合がどうしても生じてくると思います。 ○中谷委員長  胚の移植については3個までというふうに考えまして、そのほかに排卵誘発剤の使用 方法で完全に多胎を予防することは可能ですか。 ○矢内原委員  ゼロにすることは不可能だと思います。 ○中谷委員長  でも先生のあれで大分減りましたよね。 ○矢内原委員  減数が減ったのかちょっとわからないんですけれども、やはりそういう意識を持つと いうことが非常に大切だと思っています。 ○中谷委員長  その次に減数手術の意義というものをもう一度振り返って考えてみたいと思いますが どういう場合、減数手術は。 ○丸山委員  私は相対的に許容する立場だと思うんですけれども、好みの数に減らすというところ までは認める意思はありませんで、患者が単胎にしてくれと言ったら、それをそのまま 認めるんじゃなくて、先ほど言っておりますところから、母体の健康を著しく害するお それがなくなる最小限度の減胎のみが違法性を否定されるという歯どめはかけておきた いと思います。 ○中谷委員長  それは今までのお話でも出ておりますので、一応原則といいますか、3胎まではとい うことで、それでも。 ○丸山委員  それもやっぱり3胎も難しい場合、先ほどもおっしゃいましたけれども、双胎も難し い場合というよりも、ケース・バイ・ケースですね。 ○中谷委員長  その個人の健康上の理由とか家族的な理由とかいろんな問題がありますので、それを 勘案した上で、最終決定をするということになるのではなかろうかと思いますが、それ で問題ありますか。 ○石井(美)委員  先ほど戻す数を3個から2個にするという話が少し出ていたと思うのですが、その可 能性についてはどうなのでしょうか。 ○母子保健課長  それに関連して、私どもでも一つお聞きしたい点があるんですが、例えば、先ほどの ご説明の中で経済的理由によるものが減数手術の中で20%ぐらいあったような気がす るんですが、卵を3個入れれば、最大3胎までは育つ可能性があるわけですね。その3 胎が育ったときに、いや、私は実は一人しか育てられないんですよとか一人しか希望し てないんですよという話は当然あるわけですね。そうすると2つ減胎してしまうとか、 そんなことに今なっているわけですよね。そこら辺で、最大3胎というよりも相手の希 望で、何人育てられるかということによって、入れる数を変えてしまうとか、その方が 合理的なような気もしないでもないんですが。 ○中谷委員長  そうすると、なるべく早く妊娠するという。 ○母子保健課長  妊娠率を上げようという観点からたくさん入れた方がいいのではないかという田中先 生のお話あったんですが、そうすると、3胎ぐらいまで妊娠率は上がりますので、そう いうことになるのかもしれませんが、でも、一方で3胎になれば、一人しか欲しくない 人に対しては、二人、人為的に減らすということになりますよね。そういう医原性の減 胎みたいな感じの話を矢内原先生も吉村先生もおっしゃっているんですが、その辺がや っぱり倫理的に一番問題になるのだろうと思うんですね。 もう一方の排卵誘発剤の方 はなかなか卵の数コントロールできませんので、そちらの方は、誘発剤の使い方によっ てできるだけ多胎妊娠を減らすような方法しかできないと思うんですが、受精卵を戻す 場合は数の制限を人為的にすることが明らかに可能なわけですね。そこら辺を、先生方 議論していただいたければという気がするんです。 ○中谷委員長  課長から大変いい議題が与えられましたので、いかがでしょうか。あらかじめ体外受 精をやりますと多胎になることがありますよと。そういう場合に、どうしても自分は一 人だけだという場合は、妊娠率が下がっても1個だけ胚移植しましょうかというような お話をなさいますか。 ○吉村委員  うちは当然やっていますし、現実面で2個に、36歳以下は2個にしています。 ○中谷委員長  36以下というのは。 ○吉村委員  やっぱり卵のクォリティーがだんだん年齢が増すにつれて悪くなってまいります。一 応患者さんにお聞きし、40歳以上の方でも3つまでは返せるんですよということは言 いますけど、私たちは、36歳以下は2個にしておりますということはお話しします。 ただ、今、課長さんもおっしゃったんですけど、体外受精は、私はやっぱり2個にして もいいと思いますし、2個にしている国もありますし、日本は3個にしていてレギュ レーションはとれているんです。  ただ、排卵誘発に関しましても、私の経験では3胎まではつくったことは ありません。2胎までしかありません。ただし、私がこれからやりまして、6胎できる 可能性は絶対ゼロではないんです。ただ、そのやり方も、私たちは余りにも妊娠率を希 求しすぎているんです。要するにそれは発展途上国が一生懸命頑張ろうとしているのと 一緒なんですね。妊娠率は、ある程度頭打ちになってもしようがないと思うんです。私 のところは妊娠率20%ですと。私のところは25%です、高いですよと言っているこ と自体がおかしいのであって、私のところは堂々と18%なんですと言っていいと思う んですね。それが余りにも「妊娠率、妊娠率」と希求されるから、今までも問題起こっ ているんですね。  排卵誘発に関しても、先生がおっしゃったようにゼロには絶対にならないです、こう いう多胎は。双胎までは起こってくると思います。4胎、5胎も起こる可能性はありま す。私の患者でも明日、3胎以上ができてしまうかもしれません。患者さんにおこりう る可能性を全てお話しすれば例えば排卵誘発だって、あしたhCGという注射を打つと 4つ排卵する可能性ありますよということはわかるわけですから。お話をすれば「注射 を打つのをやめてください」という患者さんも最近はいらっしゃいます。そういうよう なことをやっていけばいいので、私はIVFに関しては、2個という制限をしても私は 構わないと思います。 ○辰巳委員  私も2個にしてもいいと思っております。田中先生、凍結するとうんと落ちる施設が 多い。でも田中先生のところはきっと落ちないんじゃないでしょうか。私のところでは 去年なんかは、新鮮胚移植よりも凍結胚移植の方が成績がいいんですね。 ○中谷委員長  そうですか。胚移植だと新鮮の方が率がいいように。 ○辰巳委員  随分凍結の方がいいんですね。田中先生のところいかがでしょうか。 ○田中委員  絶対凍結の方がいいです。 ○丸山委員  新鮮胚の場合、母体の状態が悪くなっているんですか。 ○辰巳委員  やっぱり排卵誘発した周期になりますから、エストロジェンなんかすごく上がって、 ホルモン的には非常に不利な環境になっているわけですね。そういうときに戻すよりも 凍結……。 ○中谷委員長  統計数値だと新鮮胚の方が多いですよね。 ○辰巳委員  だから施設を限って、凍結プログラムが完成したというか、ある程度のレベルに達し た施設だけをとれば、多分凍結の方がいい結果が出ると思うんですね。だから、凍結の レベルを上げて2つ戻すというふうな形が本当は理想だと思いますし、それも可能だと 思いますが。 ○吉村委員  欧米では体外受精をやっている施設と凍結施設はほぼ一緒なんです。日本産婦人学会 の統計では400施設以上の統計がありますが、最近、凍結してできる施設は非常に増 えてきたんですが、100施設ぐらいなんですよ。3分の1か4分の1しか凍結をして ないわけです。だから、凍結できる施設が増えてくれば、2個にしても問題はないので はないか。 ○中谷委員長  2個にするという様なことはどこで決めますか、学会で決めるんですか。 ○辰巳委員  2個が望ましいというようなことを……。 ○中谷委員長  会告でいたしますか。 ○吉村委員  ここの意見として2個が望ましいでいいんじゃないですか。それを日本産婦人科学会 がそれを見てどう対応するかということになると思いますね。 ○母子保健課長  倫理的な問題であれば、やはりここで御意見を出していただいて、報告書等に記載す るという形になると思うんですね。その際に学会でこういう方向で考えていった方がい いのではないかと提案する場合と、それから、この専門委員会としては、これこれこう いうふうに考えますということで、専門委員会としての意見として出す場合といろいろ あると思います。 ○中谷委員長  それはガイドラインをどういうふうにするかというのは当然に後から出てくる問題で ございますのであれですけれども、よろしゅうございましょうか。 ○丸山委員  先ほど田中先生のお話で初めて伺ったんですけど、吉村先生も、400施設あって、 100施設ぐらいでしか凍結できない。私は現場を知りませんで、大体凍結施設はある ものかなと思っていたんですが、こういう凍結保存できる機械といいますか、それは体 外受精を実施するに際して不可欠とまでは言えないものなんですか。凍結施設がないと やっちゃいけないよというふうな。 ○吉村委員  凍結を行うことになると人的な面が必要になりますね。それから、機械が当然必要に なってくる。保存の場所も必要になってきますね。 ○矢内原委員  間違える。 ○吉村委員  間違いはまあ……。 ○中谷委員長  イギリスなんかでも凍結だけの機関があるんですよ。凍結だけの施設がありまして、 それでDIとIVFと別々、あるいはその両方やる施設、凍結は凍結だけで独立の施設 がありますから。 ○吉村委員  田中先生のところとか先生のところみたいに非常に機能的に回っているところだった ら非常にいいんでしょうけれども、新しい開業される先生が凍結まで初めからやるとい うのは結構大変なんじゃないでしょうか。ただ、最近では意識のレベルも高くなってき て、3個という制限が出てきて会告が出たために、この3〜4年、凍結できる施設も増 えてきています。 ○中谷委員長  400のうち。 ○吉村委員  ええ、300ぐらいのうち40施設ぐらいしかなかったわけですが、それが100施 設まで増えてきたということは、新しく開業される先生方も、凍結はやらなくちゃいけ ないんだというような意識が少し出てきたのではないでしょうか。 ○矢内原委員  よろしいですか。 ○中谷委員長  どうぞ、矢内原先生。 ○矢内原委員  私はきょうどうしても結論出さなければならない問題でもないと思うんですね。むし ろ出していただきたくないと思うんです。というのは、一番最初に吉村委員が言ってら れたように、生殖医療のこの前、石井委員の方から私は説明を受けて、学会で凍結申請 書から何から調べて、ずっと委員会で討議したことが、そういう施設のクォリティー・ コントロールとピュアレビューなんですね。これがなってなかった。なってなかったと 言ったら怒られますが。 ○中谷委員長  本当にそう思います。 ○矢内原委員  これをぴしっとしない限り、学会が責任を持って会告を出すこともできない。これは この1年間そういう問題を会長からの諮問で倫理委員会で検討をやっておる。ですから その辺の整備が多分かなり早い時期にできてくると思うんですね。  そういうふうになったときに、今言った幾つかの条件が具体的な数値として出てくる と思います。非常に大切な御質問いただいて反省もしましたし、それから、今、吉村委 員が言っていたとおりなんです。ですから多分世界の情勢がもう少したったら手に入っ てまいります。例えば、人口比に対してどのくらいの施設があるか、日本は抜群に多い と思うんですね。それから、実際にどのくらいの割合が適当なのか、一番最近の『JC EM』という我々がよく読む学会誌なんですけれども、そこに「不妊治療」の在り方と いうようなことが古くて新しい問題として取り上げられている。それはIVFにいくま での過程が書いてあるんですね。だからすぐIVFに飛びつくという今の姿勢が非常に 大きな問題です。無排卵でも同じです。不妊症の患者さんすぐ排卵誘発剤使う方おられ るわけですね。これも間違い。  その辺のところの整備をして、もしこの委員会が1年、2年続くならば、その辺の段 階を整理して出してもいいので、むしろきょう今のままで、それほど大きな波風立ちま せんし、逆に言えば、この委員会が減数を本日認めましたというようなことの方がおそ ろしい。 ○中谷委員長  それもおそろしいし、あるいは日本産婦人科学会の会長がすべての人工生殖技術につ いてはガイドラインは会告で決まっていると言われるのも私おそろしいんですよ。です から、それは徐々に整備していかなければいけないと考えます。大体減数手術の意味と か、どういう場合にそれが認められるかということについては折々触れていただきまし たけれども、仮に減数が認められた場合としての対象胎児、あるいは数をどういうふう に決めるのかという問題がありますね。selective feticideの方はそういう障害のある 子をやるわけですからはっきりしていますけれども、ただ、数だけをどうかしようとい うときにはどういうふうに決めるんですか。やりやすい。 ○吉村委員 やりやすい方ですね。 ○矢内原委員 今はやりやすいのからやっているようですけど、selective はいいんですか、胎児条 項はいいんですか。つまり奇形、この子は正常じゃないという胎児を。 ○中谷委員長 feticideですか。 ○矢内原委員 feticide。 ○吉村委員 現実面として、減数を行う場合、大体早いと8週ぐらいから9週、12週までに行い ますので、胎児が奇形であるか奇形でないかなんてわからないですよ。奇形が診断され る前にやっていますから、12週以前に。 ○矢内原委員  私はいずれわかるようになると思っているんですね。 ○中谷委員長  いずれわかるようになる。 ○矢内原委員  近い将来わかるようになる。 ○吉村委員  さっき出されたのはそういうことであって、例えば、胎児細胞とか……。 ○矢内原委員  胎児条項はないでしょう。 ○中谷委員長  えっ? ○矢内原委員  胎児条項が今ありませんよね、母体保護法では。胎児の異常による……。 ○中谷委員長  でも14条1項1号ですか、4号ですか、あれもうんと拡大した解釈で、それも含め てますよね。例えば、風疹症候群なんかもあれでやっているわけでしょう。 ○矢内原委員  はい。実際にはいろんな拡大解釈してやってますでしょうけれども、それを条文に、 条文と言ったらおかしいですけど、1つの委員会の決定として、アブノマリティーがあ るときはやむを得ないというような言葉も私は非常に危険じゃないかと思うんですね。 そういう条文があるわけですから、胎児条項はいけないと、ならないと。ですから、そ の辺のところを……。 ○中谷委員長  それも確かにほかの国ですと、いわゆる胎児条項のような場合は、出産中でもできる んですよね。分娩が始まってもできる、ドイツなんかそうですからね。それから、イギ リスもそうです。ですから週のあれを問わないんですよね。そういうのもおそろしいし いろんな問題が出てきますね、関連しては。 ○矢内原委員  出生前診断であれだけ大きな問題になっているわけですから、妊娠して成立をしまっ ている子どもが胎児条項を入れるか入れないかというのは、減数どころじゃなくて、中 絶含めて大問題だと思うんですね。ですから、そういうどちらかのスタンスに立たない と、認めるか認めないかということも。 ○中谷委員長  またいろいろ宿題が残りそうでございますけれども。どうぞ、高橋委員。 ○高橋委員  胎児条項についてもいろんな議論が交わされたんですけれども、特に日本では胎児条 項を母体保護法で認めていないにもかかわらず、風疹症候群に罹患し妊婦に異常児が生 まれたときには実際敗訴しているわけですよ。 ○中谷委員長  4例あります。 ○高橋委員  そうですね。そうすると条文に合わないわけです。単に医者が法を守ったために敗訴 になって、賠償を払わされているわけですね。ですから、こういうことについての議論 も母体保護法の中でしなくちゃならないと思っています。 ○中谷委員長  宿題がだんだん多くなってきて大変なことになりそうでございますけれども、ではそ のほかの問題といたしまして、こういう場合に国などの行政または学会をしなければな らないような分野、事項というものは何かお考えになられますか。 ○吉村委員  先生、減数手術の適応についてはどうなったんでしょうか、数とかその辺については ……。 ○中谷委員長  数は先ほどあれがありましたね。 ○吉村委員  体外受精に関しては、例えば2個戻すのが望ましい。 ○中谷委員長  ええ。 ○吉村委員  排卵誘発に関しては……。 ○中谷委員長  なるべく。 ○吉村委員  なるべくやるんですけど、現実に起きた場合どうするかというようなこととか、そう いうようなことについてはよろしいんですか。 ○中谷委員長  説明をしてあれでしょうね。 ○矢内原委員  きょうは結論を出さない方がいい。 ○中谷委員長  きょうは結論はとても出ないんじゃないんでしょうかね。 ○吉村委員  先ほど先生がおっしゃった、例えば何胎を幾つかにするとかということですよね。こ れはどうなるのでしょうか。そのことも出ないんですか。 ○丸山委員  この前、最初の会合のときに、先端医療技術評価部会の発言を問題ごとに並べていた だいたように、いずれ事務局の方からきょうの発言も問題ごとに並べていただいて、最 後の結論をつくる際に参考にできるようにやっていただけるんですよね。 ○母子保健課長  多分、最終的にはそれなりの1つの報告のような形になるかと思うんですが、その際 に「多胎減数手術については」ということで、この項目ごとにほぼ先生方の全体のトー ンからそれなりに委員長先生と相談しながら、ある程度のものを示して、それで先生方 にいろいろとまた細かく御議論いただくことになろうかと思います。ですから、きょう はできるだけ多くの意見を出していただければ、その方が1つのまとめるときには非常 にいろいろやりやすいのかなと思っています。 ○石井(ト)委員  確認していただきたいんですけど、胎児条項のところで風疹症候群を高橋先生が例に 出しましたが、たしか解釈が違っていると思います。十分なインフォームド・コンセン トがなかったので22週未満の人工妊娠・中絶の選択権を母親に与えなかったというと ころで、母親の選択権の機会を与えなかったということで、医師が訴えられたように思 います。 ○中谷委員長  ケースがいろいろあるんです。4例ありまして、最初は妊娠初期に母親が風疹にかか ったので、そういう場合には障害のある子どもが産まれることがありますよと。全員が 障害を持って産まれるわけではありませんというような説明だったもので、不十分だっ たということで、これが最初が600万でしたか、600万の損害賠償だか慰謝料だっ たんですね。その次は、家族に風疹の子どもがいたけれども、本人は風疹にはかからな かったという場合だった。この場合は300万だったんですね。それから、その次だっ たでしょうか、風疹にかかったかかからなかったか検査をする、あるいは注射するとか 1回やったけれども、2回目をやらなかったと、お医者さんがさぼったということで、 これは医者の方に不備があったということで900万だったと思います。もう一件も9 00万だったと思いますけれどもね。 ○石井(ト)委員  そうしますと、高橋先生のご説明は。 ○中谷委員長  600万から300万。 ○石井(ト)委員  胎児条項がないにもかかわらず中絶するという論理ではないですね。現行の22週未 満は中絶ができるがインフォームド・コンセントが十分でなかったので、選択権を与え なかったという解釈だと思います。 ○中谷委員長  判例の理由は医師の説明義務違反なんです。 ○石井(ト)委員  はい、説明義務違反です。ですから胎児条項がないのに人工妊娠中絶を許していると いう解釈をすると、これからいろいろな議論が発展する際に混乱するかなと思って確認 させていただきました。ありがとうございました。 ○高橋委員  そのときの理由は、胎児条項に該当することを社会的理由とか経済的理由というよう な適応にして実際やられているということを言っているのであって。 ○吉村委員  そうですね。 ○高橋委員  そうです。 ○中谷委員長  産婦人科のお医者さんとしては、胎児条項がないのにそういうので責任を求められる のは甚だおかしいということをクレームが出ましたよね。それに対して司法の方では、 いや、そんなこと言って、おまえさんたち、いろんな場合に何もかも14条1項4号で やっているじゃないのと。だから、これもその1つなんだというような対応だったよう な気がします。あれは非常に問題はあるような気がしますけど。 ○丸山委員  3例目、4例目のどちらかだったかちょっとすぐ思い出せないんですけれども(校閲 時追記:前橋地裁判決平成4年12月15日判時1474号134頁、判夕809号189頁で4例目 の事例でした)、では中絶はできないけれども、障害を持って子どもが産まれる準備を する機会が奪われたという、ちょっと理屈として成立するかどうかわからないんですけ ど……。 ○吉村委員  それは一番いい理屈だと思いますけれどもね。 ○丸山委員  それを風疹症候群の3例目か4例目でいいながら、今度京都のダウン症の事例(校閲 時追記:京都地裁判決平成9年1月24日判夕956号239頁)ではそういうことはないと 裁判所によって言うこと違うんですね。ですからそういう危険があるということを検査 で調べて説明するというのは、胎児条項ある、なしにかかわらず必要だと思いますね。 ○中谷委員長  よろしゅうございましょうか。  それでは、先ほどのあれに戻りまして、一体こういうことについて国等の行政の関与 が必要なのか、あるいはどうなのか、不要なのか、自主的に学会なり何なりで決めてい けばいいのか、ガイドラインというのは今の会告かなんかの形でやっていけば、それで 十分なのかどうかという点についていかがでしょうか。産婦人科学会委員の先生方に伺 いますが。 ○矢内原委員  もし会員がそれを遵守するということであるならば、これはなるたけ自主規制にとど めておいていただきたいんです。というのは、よく法律のことわかりませんけれども、 法制化するためには非常に時間がかかるということと、これだけ進歩していますといろ いろな対応がそれに追いついてこない。ある意味で研究がストップされるおそれがある ということで、できるならばなるたけ、法制化してくれということ自体がある意味で医 学の進歩に対して自縛行為になってしまう。さらにそれに条件があって、学会員である ということと、それを遵守するということが大切な約束事になっていないと意味がない んですね。目の前でそれを思い知らされましたから、これは削除してください。  ですから、その辺のところ、この委員会としてはそうなんだよということのサポート をいただければ、なるたけ学会の自主規制というか、ガイドラインのレベルにしていた だきたい。どうしても必要なところは法制化さぜるを得ないと思います。 ○中谷委員長  吉村先生いかがですか。 ○吉村委員  現実的にはその方がいいと思います。今後のものについてはまたそれなりの対応あり ますけれども、現実に関してはその方がいいのではないかと思います。 ○中谷委員長  学会もそれで期待できますか。きっちりガイドラインをつくっていただけますか。 ○吉村委員  それはここでこういうことは望ましいという御意見が出れば、ガイドラインを作る非 常に強いモチベーションになりますから。 ○中谷委員長  先生いかがですか。 ○辰巳委員  また、こういうふうなことは学会に任されちゃっているというふうな形で、法ではな くて、やっぱり国としてのガイドラインがあった方がいいんじゃないでしょうか。どう でしょう。何となく中だけで処理しちゃっているといった印象がすごく強いように思う んですけれども、学会の自主規制ということになりますと。 ○中谷委員長  いろいろな国のいろいろなやり方を見ますと参考になるものがたくさんあります よね。だから、そういう中で参考になるものがあれば、参考にしていっていいような気 がしますよね。例えば、全部の施設の妊娠率とか多胎率とか、幾らかかったとか、それ が全部表になっているんです。その中で患者さんはどの施設に行きますか、それを御自 分で選びなさいというような本が出ている国もありますよね。それから、ガイドライン も国ではないけれども、まあ公的な機関でガイドラインを決めて、そして、きちんと やっているという国もあるわけです。大変詳細な、きょう私持ってきたかと思いますけ れども、コード・オブ・プラクティスという実施要綱みたいなものにして、そういう機 関が認可をいたしまして、国立ではありませんけど、認可しまして、ライセンスを与え るも剥奪するも、それに違反したときにどうかするのもみんなその機関で決めるとか、 そういう方法をあるし、フランスみたいに全部法律で決める国もありますし、いろいろ ありますので、そういうものも他山の石にして、これからも考えていったらどうかなと 私は考えております。 ○石井(ト)委員  最終的にはやはり全体、生殖補助技術というところで、どこの部分は法として規制し なければいけないかということですか。 ○中谷委員長  1つしかないと思います。 ○石井(ト)委員  最終的にそうするのか、それともある程度学会の自主規制というところで会告にする のか、ガイドラインのレベルにするのかというところでおさまるのではないかなと思っ ています。そのような方向で考えているということで、先生間違いないですね。ですか ら、今、減数中絶もどうだこうだというのでなくて、包括的に見たときにここの部分は 定めなければいけないというところはきちんと抑えておかなければいけないと 思います。 ○中谷委員長  石井美智子委員はいかがですか。 ○石井(美)委員  私も、全体をどうするのかという中での位置づけだろうと思うのですが、減数手術そ のものは先ほどからあるように、堕胎罪との関係がありますから、法的な問題をクリア にする必要性があるのではないか、学会のガイドラインだけで済む問題ではないのでは ないかと思います。一つは、先ほど矢内原先生が施設のクォリティーを上げるための努 力を始められるということですが、先ほど吉村委員は急速に伸びていると いわれました。現実にもうできてしまっている施設を制限することは、そう簡単なこと ではないのではないかということがあります。  もう一つは、学会の方に任せてほしいということですが、私も本来プロフェッション の自主規制を尊重したいのです。大枠自体はやはり法で定め、その中の細かい、すぐに 進歩して変わるような部分は専門家の判断に任せるけれども、大枠の基準、だれがどの ような条件を満たしている人が行えるか等々のことについては法で定める。大枠の中で 自主規制できるところ、そういう形で順序をつけてやっていく必要があると思います。 ○中谷委員長  なかなかいろいろな問題点が指摘されるように思いますけれども。 ○吉村委員  だから、先生おっしゃっていることでいいと思うんですけど、別に矢内原先生と対立 するわけではないと思うんですけれども、例えば、学会としてはつくらない努力目標を 会告で掲げる。そして、現実に起きた場合には、例えば、医学的にどういうときに何を するかということはガイドラインで決められるわけです。そこで例えば、先生が先ほど おっしゃったように、法的などうしても問題点がある、その点については学会だけでは できませんので、医学的に決められるところは学会で決めてということでよろしいんじ ゃないですか。 ○中谷委員長  矢内原先生いかがですか。 ○矢内原委員  石井委員のことで、400も増えたものを減らせるかということは、今、各施設に問 い合わせを行って成績を義務づけています。今まではボランティアベースの成績だった んですけれども、それはある程度クオリティーはできてくるだろうと。それから、クォ リティー・コントロールはできるだろうと。その辺で外れていくのもできてくるに違い ない。倫理委員会の中でも、各地方部会からでもやっていこうということはしておりま すから、そういう方向に向いていると思います。  それから、もう一つ、法的なイエスかノーかでないところはたくさんあります。です からちょっと時間をいただきたいなと思うんです。 ○中谷委員長  1つ伺いたいんですけれども、四百幾つかある登録施設、そこには倫理委員会がある んですか、各施設に。ほかの国は倫理委員会があって、ちゃんとあれするわけです けど。 ○矢内原委員  まだ、そこの基準がないんですけれども、何をもって倫理委員会にするかという基準 がないんですね。例えば、長野県の某産婦人科医院では、婦長と医師が2人と院長と4 人で、これは倫理委員会と称しているんですね。それも倫理委員会といえば倫理委員会 で、それはいけないという理由もない。だから倫理委員会がどういうものの規模をもっ て倫理委員会とするかということの基準、こういうことは出していただきたいんですね こういうところで。 ○中谷委員長  そうですね。そういうのははっきりしないといけないと思う。 ○矢内原委員  これははっきりしておく。それから、もう一つ、これは質問なんですけれども、イギ リスがいいモデルで、後ほど事務局からお願いがあると思いますが、イギリスであるよ うなHFEAですか、オーソリティ、ああいうものが日本でつくることができるんです か。 ○中谷委員長  だから、私はああいうものが欲しいと考えているんです。そこでのガイドライン、 コード・オブ・・プラクティスみたいなもの、大変な詳細なものがありますので、一番 新しいのを先生お目にかけたと思うんです。 ○矢内原委員  この間いただきました。 ○中谷委員長  そういうものも念頭に入れながら話をだんだん煮詰めていきたいと考えております。 ○矢内原委員  あれの場合にはかなりそういう専門集団としての……。 ○中谷委員長  今度、幸い3月11日にいらっしゃいますね、イギリスの。 ○矢内原委員  それをお願いしようと思っています。 ○中谷委員長  だから、あの方にたくさん質問して教えていただいてというふうに楽しみにしており ます。 ○矢内原委員  かなり学会はそうなると、学会の意見が中央というか政府に反映するということにな ります。それでもいいんですか。 ○中谷委員長  いいと思いますけど。でもあの委員会はあの機関、オーソリティーそのものはマスコ ミの人も入っているし、教育者も入っているし主婦も入っているし、裁判官とか司祭さ んなんかも入っているしいろんな人が入っていますのでね。  それでは、もうそろそろ時間でしょうか。補足意見おありでしたら、どうぞ御随意に 御発言いただきたいと思います。補足的な御意見いかがでしょうか。 ○石井(ト)委員  先ほど根津先生のところで、それなりの倫理委員会をしているような話でしたが、確 か倫理委員会というからにはそれなりの約束があったような気がします。丸山先生、多 分御存じじゃないかと思いますが、構成メンバーの結成とか、その中で女性も入れなけ ればいけないとか、このような出典があったような気がしますが、ありませんか。 ○丸山委員  国によって違うんじゃないですか。今、日本でしたらGCPの治験審査委員会がモデ ルになるかと思うんですけど、5人以上の委員から構成され、非科学、サイエンスが専 門でない委員1人と施設外委員1人というふうな基準が、あれは3極で、日本、アメリ カ、ヨーロッパで合意された、普遍的なルールにのっとってGCPの規則をつくったん ですね。ですから、あれあたりがモデルとなるんじゃないかと思うのですけれども。 ○中谷委員長  どうぞ、高橋委員。 ○高橋委員  IVFが東北大学で初めて成功して、その後、いろいろと問題がおきたときに、倫理 委員会を学内だけでなしに宗教家、大学の法学部、文学部の教授、などいろんな方に入 って頂いてつくり、3人目の成功例まで対応してまいりました。しかしながら、現在の IVFは臨床医療レベルになっており、開業してポピュラーにやられる段階まできてい ます。そうすると、小さな診療所で倫理委員会をつくるといっても実際はできない話だ と思うんです。  先ほどの自主規制、規制という問題にまた入りますが、規制は最小限にしていただき たい。現在はある程度のキャリア、要するにIVFの経験がある人は、届け出ればすべ てが認められるような状況なんです。  規制されると困るのは、研究や学問の進歩まで規制されるのではないかというおそれ なんです。医療面での規制は必要ですけれども、どこまで規制するかは異論が出るでし ょうが、研究面についての規制は学会にお任せいただきたい。 ○中谷委員長  いかがですか。 ○辰巳委員  第1回のときもお話しましたが、生殖医療自身が本当に開かれて、この生殖補助医療 の技術、この生殖補助医療がみんなの認められるもの、ちゃんとまともに見られていな いところがあるんですね。こんなに一生懸命私らもやっているし、患者さんもこれを受 けたがっているのに、どうもそれがきっちりとした認知されていないというところがあ るので、ぜひお墨つきというか、私たちが胸を張ってこの仕事をして、だれもそれに対 して懐疑的な目で見られないような医療をしたいと思っているんです。そういうふうに すれば、本当にもっともっと多くの人が恩恵を受けると思うので、だから、そういう意 味で、私は学会内だけじゃなくて、やっぱり国として、ある程度ガイドラインみたいな ものを、あるいはHFEAですか、そういうふうなところをつくってもらってもいいと 思うんですけれども、非常に生殖補助医療技術がオープンなものになっていってほしい そういうふうに思っております。 ○中谷委員長  ありがとうございました。ほとんど時間がなくなってしまいました。司会の不手際で 大変申しわけありません。ただ、議事の2のその他についてですけれども、次回議題と いたします。「精子、卵子、受精卵の提供について」、先生方から御意見をいただきま したので、事務局がそれを整理してくださいましたから、事務局から御説明いただきた いと思います。すいません、時間10分ばかりオーバーしますが、お許しください。 ○武田主査  机上配布資料の1で、「精子、卵子、受精卵の提供について」ということで、各委員 の意見をまとめさせていただいております。なるべく先生たちの意見を、一部わかりづ らいようなところは直させていただきましたが、忠実に載せてございます。これを見て いただきまして、恐らく御自分の意見はどれであろうかというのはわかると思いますの で、次回、3月11日予定しておりますが、2月末ぐらいまでに訂正等、また補足的な 意見等ございましたら、こちらに御記入の上、私どもの方にお送りいただければと思い ます。時間がありませんので、以上で御説明を終わらせていただきます。 ○中谷委員長  ありがとうございました。  それでは、よろしゅうございますか。大体2月末までにこの表について御異論のある 方は、これが不備だというところがおありでしたら御指摘の上、事務局の方へ御提出い ただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、3月11日の件についてお願いいたします。 ○北島補佐  それでは、資料4をごらんいただきたいと思います。実は次回は、第三者の精子、卵 子の提供等について御議論いただく予定になってございましたけれども、実は矢内原委 員の方にお願いしておりました生殖補助医療技術に関する研究班がございまして、その 研究班の方で、イギリスとドイツの研究者をお招きいただいております。時期的にちょ うどその時期に来ていただくということがございますので、せっかくの機会ですので、 この委員会とそれから研究班、そして、厚生省の三者の主催でこういった講演会を開か せていただいたらどうかということで御承認いただければ、このような段取りにさせて いただきたいと思います。  資料4にございますように、一応せっかく外国の専門家の方がいらっしゃいますので できれば同時通訳も入れたような形で広い会場で、一般の方も聞けるような形で開かせ ていただければと思います。3月11日が次回の開催日になっておりまして、1時半か ら4時半までの会議の予定になっておりましたが、会場の都合がございまして、4時ま でに完全に閉めなければいけないということがございますので、できれば、1時から開 会させていただきまして、それで少し質疑等が延びることも考慮しますと、大体3時半 ぐらいまでこの講演会を開催していただき、3時半から1時間くらいの予定で別室で、 もともとの議題である精子、卵子の提供等の御議論、おそらく資料の確認くらいになっ てしまうかもしれませんけれども、そういったことを1時間ほど御議論いただければと 思っております。会場の方が築地の国立がんセンターなんですけれども、この中に国際 研究交流会館というのがございまして、1階が国際会議場になっております。同時通訳 のブース等も入っておりますので、それで、この会議場の2階に別途会議室がございま すので、この講演会終了後1時間ほどそちらの方で会を開催していただければというこ とで案をつくらせていただきました。御承認いただければと思いますので、よろしくお 願いいたします。 ○中谷委員長  どうもありがとうございました。もちろん皆様大賛成ですよね。  それでは、御承認いただきましたので、よろしくお願いいたします。丸山先生いらっ しゃられますね。 ○丸山委員  もちろん。 ○北島課長補佐  先ほど事務局の方から説明申し上げましたこの先生方の御意見を集約したB4の大き な紙でございますけれども、2月末ぐらいまでに修正があれば御連絡いただきたいとい うことで申し上げましたが、次回、3月11日のときに、この紙を正式な資料としてよ ろしいかどうかというところなんですが、いかがでしょうか。正式な資料にいたします と、マスコミ等にも配布させていただきますし、一般の方の閲覧も可能ということにな りますが、まだ、これからの議論の途中のものなので、机上配布にするということであ れば、そういった取り扱いも可能かと思いますけれども、この資料の取り扱いについて 先生方の方でちょっと御検討いただけますでしょうか。 ○中谷委員長  いかがでしょうか。これは全部名なしなんですね、匿名なんですね。 ○北島課長補佐  お名前は入れてございませんが、先生方の御意見はすべて入っております。 ○田中委員  マルの数が頭数と。 ○武田主査  重複しているようなものが入っておりますので、大体委員の方、お一人につき1つと いうような感じだと思います。 ○中谷委員長  名なしでいいか、それとも名前が入った方がいいか、どちらでしょうか。このままで よろしいですか。 ○吉村委員  このままでよろしいと思います。 ○石井(美)委員  3月11日に資料にするとおっしゃったのですが、きょう、これから見るので、3月 11日に取り扱いを決めるのではまずいですか。 ○北島課長補佐  それでも結構でございます。これを使って何回か御議論をいただくことになると思い ますので、次回はとりあえず、また机上配布の形で最終的な御確認をいただいて、次々 回にきちんとした資料としてお出し頂くということでも結構かと思います。 ○中谷委員長  いかがですか、どちらがよろしいです。そんなまだろっこしいことをしないで、2月 末までに出して、次回、3月11日にはちゃんとまとめた方がいいと。 ○辰巳委員  今の所の私の意見ということで、これからできるだけ余り偏見というか、最初からの 考えを入れずに入っていって、皆さんの意見を聞きながら、自分の考えをまとめていこ うと考えておりますので、最終的な意見でないと。一番最初にここに参加した時点では こういうふうに思っているということが明らかにしていただければ、その方がありがた いと思います。 ○母子保健課長  日付を入れます。何月何日時点の先生方の意見ということで。 ○丸山委員  こういう形で、あと内容が、私どもが見て、2月末までに直すわけですね。だから、 こういう形だと次回から公表していいんじゃないかと思うんです、私は。 ○中谷委員長  名前を。 ○丸山委員  名前でなくて、こういう形で。 ○中谷委員長  こういう形で。 ○丸山委員  マルですね。 ○田中委員  ディスカッションでこういう内容が出てくると思うんですね。書いた人がこれをしゃ べると思うので、いいんじゃないですか。 ○北島課長補佐  資料には個別の委員の先生方のお名前は記入しませんが、資料としては正式な資料に させていただくということでよろしいでしょうか。  これにはまだ直前に提出いただいた委員の先生の御意見が入っておりませんので、そ こはまた追加させていただきたいと思っております。 ○矢内原委員  項目で「認める。(条件つきで認める。)、「認める・認めない」とそれぞれありま すよね。これで皆困るんじゃないですか。そういうことを書かないで、意見だけのもの を出されたらどうでしょうか。つまり、何対何というような感じじゃなくて、みんな最 初の第1項目のところだけ「認める」で、あとは「認める・認めない」。「認める。 (条件付きで認める)認めない」とみんな全部入っているんですね。  ですから、そうだとしたら、認めるとした場合はどう、認めないとした場合はどうと いうような形で、何人が認めて何人が認めなかったというようなことではなくて、これ に関する意見という形だったら公表されてもいいんじゃないか。  と申しますのは、今、アンケートをやっておりますですね。この結果が、2月の末ま でに出ると。 ○中谷委員長  2月末には出ない、3月11日。 ○矢内原委員  つまり、そのアンケートが非常に左右されるんじゃないかというように思います。そ れを持っていたもので、公開することに関しては一向構いませんが。 ○中谷委員長  アンケートの回収はいつでしたっけ。 ○北島課長補佐  スケジュールでございますけれども、印刷等々でちょっと時間かかりまして、2月1 日から発送させていただいているところでございまして、2月末までが締切りでござい ます。それで3月中くらいに粗い入力をいたしますが、ちょっと項目数が多いというこ とで、集計についてはまた矢内原先生とちょっと御相談をさせていただこうと思ってお ります。 ○中谷委員長  そうすると回収が終わればいいんじゃないですか。 ○矢内原委員  回収が終わればいいんです。ただ、もう一つ、「是非」のところ、「認める・認めな い」とか、そこのところですね。結局みんな「認める・認めない」人、それから「条件 付きで認める」というのがありますから、そこは削除されて認めた場合、認めない場合 と。いろいろ意見があるとおもしろいと思います。 ○吉村委員  しかし、項目が、先生、「是非」ということですから、書き方としてはしようがない んじゃないですか。 ○中谷委員長  しようがないですね。 ○吉村委員  AIDに関してはみんな認めたわけですよ。次の精子提供による体外受精に関しては 認めないという人がいたわけですよ。この書き方するしかしようがないんじゃないです か。これ、項目があるわけですから、何か書かなくちゃいけませんので、初め見たら、 私も非常に奇異に思ったんですが、ちょっと見ていれば、おかしくはないと思うんです けど、どうでしょうか。このままでよろしいじゃないでしょうか。 ○北島課長補佐  そういったことで、何月何日現在ということで、どんどん議論していくと、また御意 見も変わる場合もございますので、時点を入れて、それで少しずつ更新をしていただけ れば結構なんじゃないかと思いますが、まだ、私どもの取り扱いとしましても、何月何 日現在のラフな意見ということで取り扱わせていただきたいと思いますので。 ○母子保健課長  何月何日に意見を回収というふうに書いておけばいいんでしょう。 ○北島課長補佐  そうですね。 ○母子保健課長  これは「認める」とか「認めない」とか、多分マスコミの方は、何人が認めて何人が 認めないかというのを知りたいと思うんですが、そこについては一応こういう形で私ど もとしては特に人数を出させてもらっていません。その人数が多い、少ないというのは 見る人にかなり影響しますので、こういう形だけでまとめさせていただいたということ でございます。 ○石井(美)委員  どうしても反対するわけではないのですけれども、やっぱりマスコミなどが飛びつき ますよね。委員がどういう意見を持っているか。この委員会の委員のメンバーの意見分 布を明らかにして議論することも重要と認めるのですか。  他方において、ああいう人たちが議論した結論、そういう人が議論しているという印 象を与えてしまうことが果たしていいのだろうか。マスコミなどで、委員会のイメージ ができてしまうことについての危険も感じるのです。なぜ、ここでこれを明らかにしな くてはいけないのか、それが委員会の議論のためにどのように必要かということをおい てほしいという気がしますけれども。 ○中谷委員長  いかがですか、丸山委員、何か御意見。 ○丸山委員  はっきりさせれば、これを出すことはあえて反対はなさらないとおっしゃったんです ね。 ○石井(美)委員  はい。 ○中谷委員長  ほかに御意見、よろしゅうございましょうか。定刻を少し回りましたけれども、これ でよろしゅうございますか。ほかに何か。 ○矢内原委員  これは次回に確認してそれを出す。 ○丸山委員  4月以降の予定は。 ○中谷委員長  3月までは決まっていて、4月以降の予定は。             (次々回専門委員会日程調整) ○母子保健福祉課長  5月6日(木)ということで、ちょっとあきますけれども。  ついでに6月についてもちょっと。              (6月専門委員会日程調整) ○母子保健福祉課長  それでは6月22日(火曜日)ということで、1時半ぐらいからということでお願い します。多分、6月の22日には調査結果が全面的に公表できると思いますが、次回は 速報程度ということになると思います。  次回は石井先生ですか、宿題は。 ○石井(美)委員  講演会との関係でどういうことになるのか伺いたかったのですが。 ○北島課長補佐  スライド等をお使いになられますか。1時間くらいの時間をとっておりますので、そ の日に石井先生からのお話を伺って、それで、この先生方からのペーパーを確認して終 わりくらいの時間でちょうどいいのかなとは思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○石井(美)委員  1時間の中で、私が話しをするということですね。 ○母子保健課長  中谷先生、そんなことでよろしいですか。 ○中谷委員長  はい。 ○母子保健課長  石井先生、どれくらいの時間が必要ですか。 ○石井(美)委員  1時間の中で、30分ぐらいですね。 ○母子保健課長  それだけあればよろしいですか。 ○石井(美)委員  時間設定からいくと、そうならざるを得ないですね。 ○母子保健課長  先生の必要最小限の時間をとっていただいて、あと、若干ディスカッションというか 多分前のシンポジウムの感想みたいなものとかいろいろあると思うので。 ○石井(美)委員  そうですね。 ○母子保健課長  では、そういうことで、次回は講演を聞く時間がすごく多いと思います。シンポジウ ムの関係は多分両方とも英語でやられるかもしれませんが、いずれにしろ、同時通訳入 っていただくことになっていますので、それぞれの机のところに同時通訳のヘッドホー ンがあると思いますので、それで聞いていただくことは可能です。  マスコミの方も多分相当入りますし、一般の人も入りますので、一応委員の先生方の 席は前の方に設けさせていただきたいと思います。  ディスカッションは一応公開でやっていますので、フリーで委員の先生でも、それ以 外のマスコミ、あるいは一般の方でもディスカッションに参加していただくということ になろうかと思います。  その後で、もし、さらにこの委員会で先生を呼んで、何か質疑をする必要があるかど うかなんですけれども、私どもとしては一応先生方はそこのシンポジウムだけでお引き 取り願おうかなと思っていますが、よろしいでしょうか。  そういうことで、あとは石井先生のお話とディスカッションというふうなことでおさ めさせていただきます。 ○石井(美)委員  もし、その先生方から、お話を伺えるのでしたら、私の話よりは、先生方と質疑でき た方が望ましい。 ○吉村委員  そうじゃないと思います。先生のお話の方がいい。 ○石井(美)委員  重複する話が出てこないようにしないといけない。 ○中谷委員長  イギリスの方はドクターですか。 ○矢内原委員  イギリスの方お一人とドイツの方お一人。 ○吉村委員  実際にやっている。 ○中谷委員長  産婦人科。 ○吉村委員  エドワード・ステプトーのお弟子さんにあたるそうですね。 ○中谷委員長  そうですか。 ○吉村委員  日本によく見えています。 ○矢内原委員  各国でこういうレギュレーションの話、何回も講義している。ただ、非常にお忙しい んで、その日か翌日ぐらいなんで、どんどん質問していただければと思います。特別こ ういうことを特に話してほしいということがございましたら、私、来週会いますので、 イギリスに行きますから、おっしゃっていただければ、その項目についてお願いしてお きますけれども、何かありますか。特にこういうことを話してほしい。 ○中谷委員長  イギリスの場合、実際どうやってらっしゃるのかということをきちんと伺わせていた だければ何よりも。 ○矢内原委員  レギュレーションだとか、法律のつくり方とかそういうことですか。 ○中谷委員長  ええ。それで、アニュアル・レポートを毎年出しているし、コード・オブ・プラクテ ィスも何回も出して、第4版が、去年、随分また変えましたから、いろいろ教えていた だくことはたくさんありますので。 ○母子保健課長  一応、今の方向でいきますが、また、何か予定が変わりましたら、あるいは変える必 要がありましたら委員長先生とも御相談申し上げた上で決めさせていただきます。その 後、講師の先生方に後までいらしていただいて、質疑を別なところでやるという風なこ とも1つの方法論としてあります。石井先生にお話をお願いするということで、一応と りあえずの予定とさせていただきたいと思います。 ○中谷委員長  それでは、どうも大変長時間にわたりまして、いろいろ貴重な御意見を賜りまして、 まことにありがとうございました。  事務局の方たちも大変御苦労さまでした。ありがとうございました。  問い合わせ先:   所 属 児童家庭局母子保健課    担当者 北島智子 武田康祐    電 話 3173 3179