99/01/28 第1回障害者(児)施設サービス評価基準検討委員会        第1回 障害者(児)施設のサービス評価基準検討委員会                  議 事 録                        日時:平成11年1月28日(木)                           10:30〜12:30                      場所:厚生省特別第2会議室(3階)  事務局  それでは定刻になりましたので、ただいまから第1回「障害者(児)施設のサービス 評価基準検討委員会」を開催させていただきます。まず最初に障害保健福祉部長今田よ り、本検討委員会の開催にあたって挨拶をお願いします。  今田 ご紹介いただきました障害保健福祉部長の今田です。このたびは皆さん方に障 害者あるいは児施設に関するサービス評価基準検討委員会を設けるにあたりまして、快 く委員をお引き受けいただきまして、まずはお礼を申し上げます。私ども障害保健福祉 部が発足いたしましたのは平成8年4月でございますが、その直後から私どもが所管し ております三障害、つまり知的障害、身体障害、精神障害の本来は3つあります。それ ぞれの審議会に合同企画分科会を設けていただきまして、ここでそれぞれについて今後 の障害者施策のあり方について中間的なまとめをいただきました。それが平成9年の12 月になるのですが、その中間報告をいただき提言された内容につきまして、さらに議論 を深めるということから、昨年の3月に合同企画分科会のそのものもさることながら、 それぞれの審議会、つまり身体障害者福祉審議会、あるいは中央児童福祉審議会の障害 福祉に関するもの、それぞれの部会においてもまた並行してご議論をいただいておりま す。今年も1月25日に、3合同審議会それから中央児童審議会からのご意見というもの が出揃ったという状況にございます。  これが私どもの部としての意見ということになりますが、一方で、中央社会福祉審議 会のほうでは社会福祉制度改革の議論が始まっておりまして、昨年の6月に中間的なま とめが出されております。これを受けて、社会福祉事業をはじめとする改定についても 検討している最中でございますが、その中でも指摘されていることではございますが、 いわゆる質の確保という点でどういう枠を作るべきかという点が、先ほどの意見具申の 中でも挙げられています。当然、私どもの審議会のほうでも、質について配慮すべきで あるというご意見をいただいております。そういうこともございまして今回、サービス の評価基準ということについてご意見をうかがいたいという趣旨でございます。とりわ け、第三者による評価というものをどのように構築すればいいかということが、非常に 重要な課題ではないかというふうに認識しております。  意見具申の中で第三者評価制度を導入するべきではないかと言われているわけですが これらについては障害福祉分野だけではなくて高齢者福祉とか、あるいは児童福祉とい った面を含んで念頭に置いたあり方を考えていくということもあろうかと思いますし、 また在宅サービスというものにも考慮するということで、幅広い部分、あるいは基礎的 な部分については、既に社会・援護局のほうで福祉サービスの質に関する検討会という のを設けており、そこで基本的な制度の仕組みなり骨格部分についての議論が行なわれ ております。けれども、一方で障害福祉施設の関係団体におかれましては、たとえば愛 護協会が平成2年に知的障害施設の処遇チェックリストを作っていらっしゃる。あるい は重症児協会につきましても、重症児施設評価チェックリストを作っていらっしゃる。 それから地方自治体でも、東京都のほうで心身障害児(者)の入所施設サービス評価基 準というものを作りました。  いろいろな関係の皆様方が質をどう評価していくかということについて熱心な取り組 みをなされているということを鑑みますと、私どももひとつは社会局で基本的な枠組と しての第三者評価というものの上に乗りまして、身体障害・知的障害・精神障害それぞ れに対応した形で評価基準を新たに設けるべきではないかと思っている次第です。現在 は、施設サービスにつきましてはいわば最低基準が定められておりますが、具体的にど のようなサービスを提供すべきかといった意味での基準というのは私どもでは持ち合わ せていないわけです。とりわけ施設におけるサービスの中に、人権の確保という視点も 必要になるのではないかということも、問題意識として私どもは持っています。  そういうことでございますので、今回の検討された結果が私どもが制度を運用する上 で、本当に意識の向上につなげたいという意図をおくみとりいただくとともに、本当に これが役に立つような形での議論を発表しなければならないという責務も一方にあるわ けでございます。その点を十分におくみとりいただきまして、ご審議いただければとお 願い申し上げます。なお、この座長につきましては岡田先生にお願いすることにしてお ります。無理にお引き受けいただいたわけですけれども、皆さんのご意見の集約も含め てよろしくお願いいたします。この質の問題というのは始まりがあって終わりがないと いう、いつまでも維持していかなければいけない大事な課題ということになりますので 年度を通してという予定ではありますけれども、よろしくお願いいたします。  事務局  それでは第1回ということもありますので、まず検討委員の方々をご紹介させていた だきます。名古屋市総合リハビリテーションセンター・阿部委員。東洋英和女学院・石 渡委員。身体障害者通所授産施設「ワークセンターけやき」・大形委員。全国精神障害 者家族会連合会・大島委員。北星学園大学・岡田委員。筑波大学・奥野委員。東海大 学・北沢委員。伊達市地域生活支援センター・小林委員。身体障害者療護施設自治会全 国ネットワーク・小峰委員。知的障害者通所授産施設「希望園」・柴田委員。全国精神 障害者社会復帰施設協会・新保委員。重症心身障害児施設「旭川児童院」・末光委員。 長谷川総合法律事務所・長谷川委員。知的障害児施設「近江学園」・桧山委員。精神障 害者通所授産施設「ワークショップしらさと」・船田委員。知的障害者授産施設「よる べ沼代」・星野委員。国立精神・神経センターの丸山委員。今日は出席していませんが 一応ご紹介させていただきます。身体障害者療護施設「愛隣館」・三浦委員。青梅市福 祉部・守屋委員。身体障害者療護施設「るりこう園」・山西委員。知的障害者更生施設 「滝乃川学園」・山本委員。以上21名ということです。続きまして、事務局側のご紹介 をさせていただきたいと思います。精神保健福祉課社会復帰対策指導官の内藤でござい ます。ただいまご挨拶いただきました障害保健福祉部長の今田です。障害福祉課長の仁 木です。私は障害福祉課の定月と申します。それでは、先ほど部長のご挨拶の中にもあ りましたが、この検討委員会の座長につきましては岡田委員にお願いをしてございま す。よろしくお願いします。  座長  それでは座長を務めさせていただきますが、どうぞよろしくご協力をお願いいたしま す。それでは事務局のほうから、本日配布してございます資料の確認をお願いしたいと 思いますので、よろしくお願いします。  事務局  それでは、本日配布させていただいている資料の確認をさせていただきます。資料1 としまして、「障害者(児)施設のサービス評価基準検討委員会」について。資料2、 ただいま申し上げた検討委員会の委員名簿でございます。資料3としまして冊子になっ ていますが、全社協の出しています「特別養護老人ホーム・老人保健施設のサービス評 価基準」。資料4としまして、日本重症児福祉協会から出されています「重症心身障害 児施設評価チェックリスト」ならびに「自己点検べからず集」。資料5、東京都「心身 障害者(児)入所施設サービス評価基準」。資料6が、日本知的障害者愛護協会「倫理 綱領」。資料7としまして、社会・援護局の「福祉サービスの質に関する検討会」の関 係資料でございます。資料8としまして、障害関係三審議会合同企画分科会意見具申 「今後の障害保健福祉施策の在り方について」。資料9、各種障害者(児)の設備およ び運営基準(最低基準)。以上、9種類の資料がございますでしょうか。  山本  すみません、私のところは違っているのですが。知的障害「児」施設です。  事務局  山本委員のところが「知的障害者更生施設」となっているのですが、「知的障害児施 設」です。  座長  ありがとうございました。よろしゅうございますか。皆さん、お手元に今ご紹介いた だいた資料がすべて整っておりますね。それでは、今日の検討委員会の具体的な目的な どにつきまして、事務局からご説明をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いし ます。  事務局  先ほどご紹介いただきましたが、障害福祉課長の仁木でございます。本検討委員会で 検討していただく問題の所管は障害福祉課と精神保健福祉課ですが、私の方で庶務を担 当させていただきますので、よろしくお願いいたします。まず、この検討委員会の目 的・趣旨につきましてご説明する前に、この検討委員会の情報開示についてお諮りした いと思います。審議会や、こういう検討委員会につきましては、できるだけ情報開示を するという考え方でまいっておりまして、この委員会自体を一般に公開するというのも 一つの方法でございますが、そういう選択もあるわけでございますが、一般に採用して おりますのは、議事録を公表するという形でございます。公表の仕方は、厚生省のホー ムページをインターネットで公開しておりますので、そのホームページに議事録を載せ るという形です。こういった形で議事録を公表するという形での取扱いとさせていただ いてはどうかと事務局では考えておりますが、お諮りしたいと思います。  座長  今ご説明のとおりですが、この検討委につきまして議事録を公開したいということで すが、これについて皆様方のご意見、あるいはご承諾をいただけますでしょうか。よろ しゅうございますか。では、皆さんのご賛同をいただけたということで、確認をさせて いただきます。どうぞこういう形での公開をお願いします。それでは、引き続いてご説 明をお願いします。  事務局  お手元の資料1に即しまして、本検討委員会の目的等についてご説明させていただき たいと思います。この検討委員会の設置に至りました経緯については、先ほど今田部長 のほうからの挨拶の中にもありましたように、中央社会福祉審議会ならびに障害福祉関 係の3審議会の合同企画分科会の意見具申等の中におきまして、福祉サービスの内容を 第三者機関が客観的に評価する仕組みを作って、それによってサービスの提供者による 改善を促進する必要が指摘されております。そのためには、障害者の特性等に対応した 適切な評価基準を作成する必要があるということも、同時にその意見具申の中で言われ ております。  意見具申の本体につきましても、資料8ということでお配りさせていただいています が、13ページの上のほうに、(2)として「サービス内容の評価に関する第三者評価」 ということで記載がございます。社会福祉基礎構造改革の意見のほうにも同じような記 載がございます。そこで、この検討委員会におきましては、障害福祉施設についての評 価基準を作るということについての具体的な検討をお願いしたいということでございま す。障害福祉施設と申しますのは、資料1の2枚目の2番目に「対象施設」と書いてあ りますが、身体障害・知的障害・精神障害の三障害のすべてを含むと。同時に、障害を 持つ児童の施設も対象に考えております。また、「いずれも」というところに書いてあ りますように、入所施設のみならず通所施設も対象と考えたいというふうに思っており ます。  そこで今回、評価の基本理念として、事務局としては資料1にあるような基本理念で 評価というものを位置付けてはどうかということで、案として示させていただいており ます。そのひとつは「施設利用者を主体とした自立支援」ということで、利用者の方の 自己決定を尊重した自立の支援ということです。2番目は「施設利用者の権利擁護」と いうことで、施設関係者の人権意識を高めて、人権に配慮した施設運営をめざすという ことです。3番目が「施設運営の透明性の確保」ということで、施設のサービスの内容 どのような処遇が行なわれているのかということを、外からもわかりやすいものにして いくということ。(4)番目が「地域に開かれた施設運営」ということですが、これは たとえばボランティアを受け入れるとか、地域の住民の方々との交流とか、地域との連 携、また地域で暮らす障害者の方々の支援のための活動といったものをめざすという、 そういう理念でございます。事務局の案として4つ掲げさせていただきましたが、これ は後ほどご議論をいただいて、これでは足りないとか、直したほうがいいとか、そうい うご意見をいただきたいと思っております。  次に評価の対象分野ということでございますが、これは9つほど挙げさせていただい ております。まずひとつは「権利擁護への取組・配慮」ということでございます。これ は施設利用者の方のプライバシーの保護、あるいは主体性の尊重、あるいは職員が利用 者にどのように接するか、その接し方。そういうことについての評価でございまして、 利用者の権利擁護ということについて、適切な配慮がなされているかどうかということ を評価するということです。2番目は「施設機能に応じた専門的サービス」ということ で、それぞれの施設に応じた専門サービス、たとえばリハビリテーションとか、あるい は介護とか看護とか、あるいは地域での生活に向けた社会生活力を身につけさせる援 助。それぞれの施設が持つべき専門的機能に対する評価ということです。3番目が「日 常生活支援サービス」ということで、食事・排泄などの日常生活上の基本的サービスが どのような方法で行なわれているか。利用者本位のものになっているかどうかというこ とです。  4番目には「入所時・退所時の対応」ということで、入所時あるいは退所時に施設の 側と利用者あるいは家族などの関係者との間の対応状況の評価ということでございま す。たとえば入所時には、事前に十分に本人の状況とか生活環境を把握するようにして いるかどうか。あるいは施設に入るにあたって、その施設のルールあるいはサービスな どについて事前によく説明をしているかどうか。施設を出るにあたっては、出たあとの アフターケア、または地域での生活支援を行なっているかどうか。そういうふうな評価 になるかと思います。  5番目が「地域との連携」ということでございますが、これはいろいろな面があると 思いますが、ひとつは地域の医療機関なり保健所等の関係機関、さらには就労関係・教 育関係の機関とも連携を維持する。あるいはボランティアの受け入れ、あるいは地域住 民との交流、さらには、在宅でいらっしゃる障害者の方々への支援活動。そういうふう なことがこの5で挙げられると思います。  6番目が「施設内の環境」ということで、これは環境衛生も含めてでございますが、 利用者が快適な生活を送るための配慮についての評価でございまして、施設全体の雰囲 気、あるいは私物の収納スペースが確保されているか。あるいは段差がないような構造 になっているか、あるいは清掃の状況などが考えられるかと思います。  7が「施設の運営管理」ということですが、これはちょっとわかりにくいのですが、 私どもがここで考えておりますのは、職員への研修の実態、あるいはさまざまな業務記 録等の記録の管理あるいは活用、そして施設の利用者の方々の自治会等への関わり、あ るいは個別の援助計画の作成状況。さらには、個別の援助についてのいわば処遇管理の 状況、そういうものを考えております。  8番は「苦情解決体制」ということでございまして、施設の利用者の方からの苦情や 不満とか、そういうものについての解決方法についてどういう体制になっているか。窓 口のようなものを決めているかどうか、あるいは入所者の方と施設の側が意見交換をす る場を設けるようにしているかどうか。あるいは、何か苦情等があった時には第三者に よる調整の仕組みを用意しているかとか、そんなことをここでは考えております。  最後の9番目が「緊急時の対応」ということで、これは災害・事故等が発生した場合 の施設における対応方法ということでございまして、災害時の対応マニュアルを作って いるかどうかというようなことから、そういう時に備えて訓練をしているかどうか、あ るいは緊急時の外部の機関等への連絡網はどうか、あるいは地域から協力をいただく体 制の確保はどうか。そういうことが9番で考えていることでございます。これらの評価 の対象分野につきましては、今までいろいろな団体で取り組まれた例がございますので そういうものを参考にしてとりあえず試案として記載させていただいておりますが、こ れについても、もっと追加すべき項目あるいは修正すべき点についてご議論いただけれ ばと思っております。  次に、資料1の5「検討に当たっての留意点」ということでございますが、まず第1 点は第三者評価の実施体制、つまり第三者評価はどこの機関が実施するのかというよう な、第三者評価の制度の仕組みの在り方については、社会・援護局のほうに「福祉サー ビスの質に関する検討会」というのが設けられておりまして、江草先生が座長をしてお られますが、そちらで検討されておりますので、その検討を踏まえながら、あちらとこ ちらの整合性に留意しながらこちらの委員会の検討を進めていただきたいということで ございます。  なお、本日は社会・援護局でこの「福祉サービスの質に関する検討会」を担当してい る山本補佐にも出席をお願いしておりますので、のちほど社会・援護局のほうの基本的 な仕組みの検討状況について報告をしていただくことにしております。  もうひとつの留意点ですが、これは評価の目的に関する事柄ですけれども、いま考え ておりますこの評価というのは、施設間の優劣を付けるとか、比較をするということを 目的とするものではなくて、個々の施設がサービス提供上の問題を把握していただいて その問題点の改善に向けて努力する契機としていただくというところに、この評価の目 的があろうかと考えております。したがいまして今回の評価基準は、第三者評価のため の基準として検討していただくわけでございますが、同時に、できあがった基準という ものは各施設の自己点検にも使えるものにしていただければということが、2番目の留 意点でございます。  6番目は今後の検討のスケジュールについてですが、私どもとしてお願いしたいと思 っておりますスケジュールは、今年の夏頃を目途に「評価基準」の試案のようなものを 作成していただきまして、この試案に基づきまして、いくつかの施設におきまして試行 的に評価を実施していただきまして、「ここの書き方はわかりにくい」とか「使い勝手 が悪い」という現場のご意見を踏まえまして、試案に修正を加えまして11年度中には最 終的なまとめ、すなわち評価基準を一応完成させる、こんな段取りでご検討をいただけ ればと考えております。  座長  ありがとうございました。具体的なご議論はこれからですが、今ご説明いただきまし た全体的な枠組についてのご質問、あるいは指摘事項はございませんでしょうか。事務 局として考えている大まかな枠を示していただいたわけで、その点について特に大きな 問題があれば、補正をしなければなりませんのでご指摘いただければと思います。  桧山  個々の施設や、あるいは個々の内部的努力といいますか、あるいは自治体レベルでの 独自の評価基準を作る努力というのは、まさに自分たちの足元というか、内に向いた努 力として過去にもありましたし、非常に大事になってくると思うのですが、今回、国の レベルでひとつの大きな合意形成を図ろうとするということを考えますと、その評価基 準が、施設の経営者なり職員なり、関係者の方たちの自主的な努力ということに結果と して使われていくということだけではなくて、サービスの評価で出てきたさまざまな課 題とか問題点が、いわば国や自治体のレベルで、あるいは国民的なレベルで改善に向け た努力へつながっていくような評価基準でないと。うっかりすると、全体の非常に低い ところで評価が揃ってきて、さらに低さの較差だけで問題になって、逆に言えば「トッ プを走っていればそれでいいんだ」というような形の全体の認識が出てくると、私ども のように長く入所型施設で仕事をして、毎日大変につらい状況というか、非常に大きな 夢と希望を持って福祉の仕事に就きながら、現実問題として与えられている条件の中で 自分たちの思いなり感性がどんどん薄れていくという実態を、ほとんどの施設で働いて いる方は経験されていると思いますので、そこを今日極めて厳しい人的・財政的状況の 中で、いわば競争原理とか、あるいは限られた状況の中だけの努力ということで、さら に努力されている方たちにある意味ではストレスを高めたり、過剰な負担を強いること はいかがなものかという感じを持っているのです。  具体的にはこういう議論はもっとやられてしかるべきだと思いますし、独り善がりの 施設になってはならんと思っていますし、とりわけ利用者の方たちが本当に対等な関係 で施設の経営に参加されることは、あってしかるべきだと思いますから、大いに施設の 在り方そのものを厳しくいろいろな方たちと一緒に議論していきたいと思いますが、そ れが結果的に施設に対する否定的なイメージを広げたり、あるいは解決に向けての極め て困難な部分をさらに困難にしていくようなことにならないように、これは最初に厚生 省の皆さんなり関係者の皆さん方に、ぜひ日本の福祉施設が置かれているアベレージの 水準が、物的にもさまざまなソフトの面でも到達レベルにあって、見直しの時期に来て いるのかと。また私のレベルで言えば、特に大人の方たちの施設については量的にも内 容的にもさらに拡大をしていかなければならないところがあるので、その拡大のために コンセンサスを得るためにこのような事柄をひとつの戦略上の大きな武器にしようとい うことなら私は異論のないところでありますが、現状の限られた資源の再配分というこ とで行くようなことに結果として、ようするに、がんばっている施設は残すし、だめな 施設は潰すというような形での乱暴な社会につながらないように、全体の枠組をお願い したいと思います。  座長  ありがとうございます。施設の立場での思いもあって今のご発言がいただけたと思い ますが、私どもとしてはおそらくこの評価は、最も身近な利用する人にとって意味のあ る評価でなければいけないだろうと思います。利用する人、あるいはそのご家族が納得 してそのサービスを受けられるようにするためのひとつの役割もあろうかと思いますの で、今いただいたご意見も十分に配慮しながら進めていきたいというふうに思います。 その他いかがでしょうか。  大島  私は精神障害の団体から参加させていただいております。対象施設に「精神障害者社 会復帰施設」となっておりますが、社会復帰施設はできてから10年くらいで、法律がで きたあと活動が盛んになって数も増えておりますが、精神障害者全体の中で施設ケア サービスを受けている方はごくごく限られております。ご承知のように、精神病院で社 会復帰も含めて施設ケアサービスを受けている人たちが10〜20万ということです。もう ひとつ、福祉施設ということからいうと救護・更生施設の中に1万人くらいの人たちが いるわけです。今回この委員会の趣旨から考えて、これらの施設が入らないことは十分 承知しているわけですが、ただ、障害者団体の立場からすると、この委員会の対象にな らない施設にいる人たちの問題というのを忘れてはならないのではないかと思います。  特に精神病院については、おそらく施設ケアサービスを受けているサービスの質とい うことから言うと、おそらく厳しい施設のひとつではないかと思います。ここで検討す るような基準をそのまま当てはめられる生活施設という側面も持っておりまして、実際 にわれわれ全家連のほうで全国の精神病院140ヵ所くらいを対象に、従来挙げられて きた資料を参考にしながら結果をまとめているのですが、これは資料としてできれば皆 さん方にお配りしたいと思いますが、同じ基準で当てはめることができるのではないか と思います。その状況は、なかなか厳しいものがあると思います。そういう現状をご理 解いただきまして、ここで主に検討するのが社会福祉施設というのは私はやむを得ない と思っているのですが、その影響が及ぶ範囲として精神病院であるとか、社会救護施 設・更生施設も含まれるという。更生施設については知的障害・身体障害の中に書かれ ているわけですが、そのへんも射程に入れて、検討に当たっての留意点の中に第三者機 関と自己点検という2つの軸が立てられておりますが、第三者評価に関してはなかなか 適用するのが難しいかもしれませんが、少なくとも自己点検のほうで使えるような仕組 みを考えていただけるとありがたいと思います。  座長  確かにこの委員会の役割として、別に限定する思想はありませんね。むしろ、今おっ しゃったような施設にも影響が及ぶことを前提として、進んでいったほうがいいのでは ないでしょうか。ぜひそのような考え方で行きたいと思います。  柴田  同じ趣旨ですけれども、重度の知的障害者を対象にした通所施設の制度というのはご ざいませんで、現在は通所更生施設にたくさん入っているのですが、通所授産施設、あ るいはここには載っておりませんが、デイサービスにおいて処遇されている方もたくさ んおられますので、同じことなのですが、この施設に限定しないで。ここには重症心身 障害児施設も入っていないのですが、そういうものも含めて。対象施設に掲げてある3 施設に限定しないでと言いましょうか。とりあえずはこれが対象なのでしょうが、接点 を持っている施設にも影響を及ぼすような形のまとめをしていただきたいと思います。  事務局  「重症心身障害児施設が入っていない」というご指摘ですが、入れているつもりでご ざいますので、資料1の書き方では重症心身障害児施設は読めないということであれば 誤解がないように表現を改めたいと思います。  座長  ご趣旨はよくわかりましたので、整理する段階でこちらもきちんと整理させていただ きたいと思います。  大島  確認なのですが、資料の9を見ますと「グループホームについては、これは施設では ないので含めない」ということですね。  座長  とりあえずは対象とはしておりませんね。  事務局  施設という概念で一応くくっておりまして、グループホームは施設という定義にはし ておりません。ただ、「この施設以外は関係ないんだ」という考えは私どもは持ってお りませんで、ここでまとめられたことは広くその他の施設にも及ぼしていくように活用 していきたいと思っております。デイサービスも実は、施設ということではなくて事業 という言い方をしていたりして、この施設の最低基準には出ておりませんけれども、共 通する部分はデイサービスにも活用したいというふうには思っております。  座長  そういう理解で進ませていただきます。  大形  評価の基本理念というところで「施設運営の透明性の確保」とあるのですが、一方で 留意点のところでは、「施設の比較を行う趣旨のものではない」とあるのですが、それ は矛盾することのような気がするのです。やはり評価のフィードバック、どういうふう にフィードバックされるのかとか、この情報というのはサービスを選択する人たちにと って重要な情報だと思うのですね。そういうことから考えると、将来的にはやはり施設 を比較するものとして使われるという方向が必要だと思うのですが、いかがでしょう か。  事務局  私どもも評価をしていただいて、評価の結果というものは公表するということを前提 に考えております。先ほど申しましたように、第三者評価の結果をどう活用するかとい うのは基本的な仕組みなものですから、それについては社会・援護局のほうで、老人福 祉等も含めたサービス評価の全体の在り方の中で検討していただくということです。た だ、総合評点を付けて「あそこはAの施設だ」「あそこはCの施設だ」というふうな使 われ方をすることが趣旨ではないということです。しかし、評価結果の内容は公表され るということが前提ですので、利用者の方が施設を選択する際の重要な情報になること を期待しているわけです。  阿部  今のに補足したいのですが、利用者が施設を選ぶ時に、その施設がいろいろな意味で 基準を満たしているかどうかということもあるのですが、もっと積極的に「ここに行く とどういうサービスが受けられるのだろう」というような、そういう選択というのが今 は重要になってくる時代だと思いますので、ABCという意味ではなくて、基準として はあるのですが、プラスαで「こんなサービスが受けられますよ」みたいな情報をこの 中に組み込んでいくような、そういう仕組みは考えられるのでしょうか。  事務局  今おっしゃった「この施設の売り(特徴)はこういうところですよ」というのは、そ れはどちらかといえば、サービスの内容を積極的に情報提供するべきだということ、つ まり施設のさまざまな情報はできるだけ利用者に伝えていくということは、評価とはま た別の問題として情報提供のあり方の問題として考えていきたいと思っているところで す。  座長  よろしゅうございますか。それでは次に進みたいと思います。次に、サービス評価基 準などにおきまして事務局のほうからご説明をいただけますか。  事務局  資料3〜6についての説明をそれぞれさせていただきます。いろいろと国が考える以 前から、ここにありますような施設団体や自治体等で取り組んできているという経過が ございます。今後の検討委員会において国としての基準作りを考えていく上で、参考に していただければという趣旨でご説明をさせていただきます。膨大な資料ですので、基 本的なところだけご説明させていただきたいと思っております。  まず資料3の冊子になっております「特別養護老人ホーム・老人保健施設のサービス 評価基準」というものでございますが、これは平成4年に特別養護老人ホームならびに 老人保健施設では当時「高齢者の保健福祉推進10ヵ年戦略」、ゴールドプランというも のが始まりまして、そこで量的整備のみならず、痴呆性老人とか入所者の重度化に対応 した専門的機能の充実とか、生活の質の向上とかサービスの質の確保を図ろうというの が、当時の課題になっておりました。そんな形を受けて、特別養護老人ホーム・老人保 健福祉施設の諸基準に関する検討委員会において、この冊子ができたという経過がござ います。もうひとつは、この評価基準ができまして、これを受けて平成5年度から施設 自らがサービスの質の向上を図るという観点から、特別養護老人ホーム・老人保健福祉 施設サービス評価事業実施要綱というものを作成しまして、現在、評価事業が実施され ているということでございます。  その中身ですが、11ページをお開きいただいて、「サービス評価策定にともなう基本 理念」。この老人関係のサービス評価基準では、3つの基本理念を掲げているというこ とでございます。1番目は「自己決定」。「施設利用者は、選択可能なサービスの内容 を事前に知らされ、自らの決定により開始されたサービスを評価する権利を有する。た だし、なんらかの理由で利用者が自ら決定できない場合にあっては、個人を尊重した個 別的ケアが家族または第三者によって選択される」。2つ目としまして「残存能力の活 用」。「サービスは、利用者の残存能力に着目して、自立を援助および促進する目的で 提供される。利用者は、一度失われた能力を回復するためのリハビリテーションに努め るとともに、残存能力を維持・開発し、日常生活に活用することが求められる」。3つ 目の基本理念は「サービスの継続性」。「サービスの提供にあたっては、利用者の生活 を制限することは必要最小限にし、家庭的雰囲気を重視するべきである。さらに、適切 なサービスの可能性を常に検討し、施設サービスと在宅サービスとの連続・連携をはじ め、保健・医療・福祉の連携を積極的に進めるべきである。いかなるサービスも、利用 者の生活の継続性を尊重しなければならない」。このような3つの基本理念の下に成り 立っています。  次に7ページを見ていただくと、具体的な評価の項目の構成や項目数がございます。 評価の項目は6つの分野から構成されているということでございます。8ページを見て いただくと水色で書かれておりますが、日常生活援助サービス、専門的サービス、その 他のサービス、地域連携、施設整備環境、運営・管理という形の中で書かれているとこ ろです。具体的にどんな項目があるか見てみたいと思いますが、14ページを見ていただ きまして、これは日常援助生活サービスの中の「食事」というところで、たとえば「食 事をおいしく、楽しく食べるための食堂の雰囲気づくりを行っていますか」ということ に関して、ABCDという4段階に分けた段階評価項目が作られております。たとえば A「Bを満たしている上で、観葉植物を置いたり、音楽を流したり定期的にイベントメ ニューを設ける等、施設独自の工夫をしている」。Bを見ますと、「食堂の採光に気を 配っている。照明設備に工夫している。椅子・テーブルに工夫している。食器類に気を 配っている。見ても楽しめるような盛りつけ等の工夫をしている」。Cになると、「B のいずれかは実施している」。Dは「雰囲気作りの工夫はみられない」。このような形 の評価になっております。  次は「食事の選択が可能になっていますか」という項目で、Aは「Bを満たしている 上で、毎日複式献立にしたり、行事日には、バイキング方式をとったり、常設喫茶等を 設けさらに献立を増やし選択できる等、施設独自の工夫をしている」。Bは「一日の内 何度かは複式献立にし選択できるようにしている」。Cは「毎日ではないが、1週間に 1度以上は複式献立にしている」。Dは「複式献立は、1週間に1度未満である」。こ のような形の中で6項目を見て、評価しているということです。  資料の6ページを見ていただきますと、段階評価項目の考え方が示されております。 たとえば段階評価Aというのは、「Bランクの基準を満たした施設が、施設独自の工夫 をこらしたサービスを実施していれば、このAランクになります。なお、『サービス評 価基準』に示されているAランクのサービス内容は、あくまで例示であり、この例示を 施設として実施していなければAにならないという意味ではありません」。Bは「施設 として将来的に目標としていただきたい“最適基準”を示しています」。Cは「この 『サービス評価基準』では、このCランクが全国的にみた施設サービスの現状であると 考えています」。Dは「A・B・Cランクとの比較をする目的で設けられたランクです が、あくまで施設サービスの現状を把握していただく上でのランク付けですので、この Dランクが即「良くない施設」という意味ではありません」。こんな形の中で行われて いるわけです。  続きまして資料4、日本重症児福祉協会で出しております「重症心身障害児施設の施 設評価チェックリスト」と、もうひとつ「自己点検べからず集」というものが後半のほ うについております。これは平成元年頃に作られたということで、1997年に改訂版とな っておりますが、この「べからず集」は、その時つけたものです。このチェックリスト そのものは、施設および法人が自己評価をするためのものだ、という位置付けで作成さ れたというふうに聞いております。ページをめくっていただきまして、「1997年・改訂 版「施設評価チェックリスト」の使用について」というところに、基本的な考え方が述 べられております。目次というところを見ていただきますと、具体的なチェック項目が 書いてあります。例をちょっと見てみますと、上から「1職員」「2事業計画および処 遇計画」「3施設運営」「4入退所に関して」「5施設での生活」「6衣食住」「7家 族」「8在宅・地域活動」「9医療機能」「10安全と人権」「11環境衛生」「12教育・ レクリエーション」「13災害対策」という13項目から構成されているということです。 重症心身障害児施設というのは児童福祉施設であるとともに病院でもあるということで そういう項目もございます。  後半のほうに「自己点検べからず集」がありますが、これも同じく日本重症児福祉協 会のガイドライン小委員会が作成されたものです。これは1997年に初めて出されたもの です。チェックリストは改訂版ということですが、この時点で改定されたということで す。この「自己点検べからず集」の基本的な位置付けとしましては、重症心身障害児施 設が基本的に守るべき事項を中心として策定されております。見ていただけばわかるよ うに、◎、○、×という形の3段階で記入します。◎というのは確実に守っている、○ は不確実ながら守っている、その他という評価でやっております。この項目というのは 大きく4つに分かれていまして、全部で33項目になっているわけですが、「1入所者に 対して」「2保護者・家族への対応」「3職員として」「4見学者・実習生・ボランテ ィアなどの外部者に対して」という形で、重症心身障害児施設として基本的に守るべき 事項ということで作られているものでございます。  続きまして資料5は、東京都心身障害者(児)入所施設サービス評価委員会で策定さ れたもので、これは平成9年11月に東京都のほうで入所施設のサービス評価委員会を設 置しまして、平成10年5月に権利擁護への配慮、または日常生活の援助などの73項目か らなる評価基準を策定したということでございます。施設運営に関わる方々がサービス の評価基準の検定を行うことで、利用者の権利に対する理解というものが進んで、生活 の質が高められていくということを期待して作られたとお聞きしております。また同時 に、このサービスの評価基準というのは、心身障害者(児)施設の「サービス点検調整 委員会」、いわゆる施設のオンブズマンのようなものなのですが、それが当該施設の サービス基準を定期的に評価していく際の基準としても同時に用いるという仕組みにな っておりまして、施設自身の自己評価と合わせて、外部の第三者からなる「サービス点 検調整委員会」がサービス内容を点検することで、評価のほうに一層の客観性をもたせ ようとしています。  1ページを見ていただいて、基本理念ということで書いてございます。これも3つの 基本理念の下に構成されているということで、1は「個人意思の尊重」。「利用者は自 分の生活の仕方を決めるにあたって、その意思を最大限に尊重される権利をもってい る。サービスの選択にあたっては事前に十分な説明を受け、自らの意思で決定すること が当然であるし、自己決定を内容あるものにするため、できるだけ多様な選択肢が用意 されていることが必要である。何らかの理由で、利用者が自ら選択することができない ときは、家族などの代理人によって、利用者に望ましい生活の仕方が選択されるべきで ある」。2つ目の基本理念といたしまして「生活者の視点」。「利用者には社会の同年 代の人々と同じく、できるだけ自分らしい生活を送る権利が保障されている。施設は地 域における居住の場のひとつであり、そこでは利用者こそが主体であり、職員は利用者 の希望や意思を反映したサービスを提供することで、利用者の基本的人権を支える援助 者である。利用者は提供されるサービスの内容について、自分の意思や意見、そして苦 情を自由に述べることができなければならない」。3つ目の基本理念としまして「地域 に開かれた施設」。「利用者は地域社会の一員であるから、地域の人々と自由に交流し たり、地域の活動に積極的に参加する権利が保障されている。地域社会での自立生活に 向けた支援も積極的に保障される必要がある。施設の運営に関する情報は社会に公開さ れていることが重要である」。このような3つの理念から成り立っております。  次に評価対象と分野ですが、「評価対象とするサービス分野」ということで2ページ に書かれております。項目としては6項目ございます。1は「利用者の権利擁護への配 慮」。「施設全体で、利用者の権利擁護に対する適切な配慮がされているかどうかを評 価する項目です。施設長の施設運営の姿勢や利用者に対する職員の態度、プライバシー や自己決定権に対する意識を評価します」。2は「日常生活の援助」。「食事や入浴、 排泄など日常生活を送るうえでの基本的なサービスが利用者本位のやり方で行われてい るかどうかを評価する基準です」。3は「専門的サービス」。「介護や看護、リハビリ テーション、地域社会での自立生活に向けた支援など、施設の専門的な機能に関する評 価の基準です」。4は「地域福祉」。「医療機関や福祉事務所、他機関との連携、ボラ ンティアの受け入れなどに関する評価の基準です」。5は「施設設備環境」。「施設の 設備や環境に関する評価の基準です」。6は「運営管理」。「職員研修や会議、各種記 録の整備、利用者参加等、施設の運営管理に関する評価の基準です」。このような対象 分野になっています。  評価の方法は3ページをご覧いただきたいと思いますが、1に「評価基準の用い方」 ということで書いてございます。サービス評価基準は、まず、施設の設置者が、その施 設で行っているサービスの内容を自己評価する際のリストとして活用してほしいと考え ていますが、同時に、外部の第三者で構成される「サービス点検調整委員会」がサービ ス水準をチェックするリストとして用いることも大きな目的です。サービス点検調整委 員会は、日常的に施設に出入りをしながら、分野ごと、評価項目ごとに施設のサービス 内容を観察し、利用者と交流しながら、時間をかけて評価をすすめ、その結果をサービ ス評価委員会に報告します。施設設置者の自己評価の結果も同時に報告してもらうこと になっております。同一のサービス項目について、施設の内と外から評価し、食い違い の大きい部分については、サービス評価委員会が調査をすることを考えています。  「項目ごとの評価基準」ということでは、ここでもABCDの4段階に分けた評価に なっています。「サービス評価基準では、評価項目ごとに、施設が目標とすべきサービ スの水準を示すとともに、施設独自の工夫をこらした、より望ましい水準、より一層の サービス向上が求められる水準、さらにこのまま是認することができず、改善を要する 水準を示すように心がけました。今後、実際に点検を行う中で、項目の加除や評定基準 の修正を行っていきたいと考えています。各評定基準の意味合いは次のとおりです。A  Bの水準を満たしている上に、利用者の希望をできる限り受け入れて、個別的なサー ビスの実現に努力しているなど、独自の工夫をこらしたサービス水準です。B 必要な 水準を満たしていると考えられるサービス水準です。C 施設としての最低基準は満た しているものの、より一層のサービス向上が求められる水準です。D 是認することが できない、改善を要する水準です。このような処遇が行われているときは、直ちに是正 しなければなりません」。このような形の4段階の評価ということになっております。  さらにいくつか具体的な項目を見てみたいと思いますが、たとえば5ページを見てい ただきますと、「利用者の権利擁護への配慮」という項目の中で、たとえば「施設長の 姿勢に利用者主体の考え方が貫かれていますか」ということで、ABCDとございま す。Aとしましては「Bを満たしている上に、施設で倫理規定を設けたり、苦情処理委 員会を設置しているほか、定期的に研修を行って利用者主体のサービスを施設内に行き 渡らせる努力をしている」。Bとして「(1)施設のサービスに利用者の希望を反映する ためにアンケートや懇談会を実施したりして利用者の意見を聞く努力をしている。(2) 施設長は利用者一人ひとりの特性を十分把握し、職員が対応方法等で困っているときは 適切な助言指導を行っている。(3)職員の意見をよく聞き、民主的な施設運営を行って いる。(4)体罰など利用者の権利侵害を是認する職員に対しては厳しい指導を行ってい る」。Cとして「Bのいずれかは実施している」。Dとして「Bの事柄をまったく実施 していない」。  21ページを見ていただいて、「日常生活の援助」という項目の中に「自立の援助」と いうのがございます。たとえば「本人がするつもりでいることを、職員が早く済ませよ うとして、手っ取り早く片づけたりしていませんか」についてです。Aの評価としまし ては「利用者が自力でできることは自分でするように配慮されており、そのための設備 や環境の整備が行われている。(具体的な配慮や設備・環境整備の状況を備考欄に記載 してください)」。Bは「利用者ができることは時間がかかっても自分でしてもらうと いう方針が、職員全体で確認されている」。Cは「Bを原則にしているが、ときとして 職員がやってしまうことがある」。Dは「自立を促す努力が見られない」。  もうひとつ35ページを見ていただいて、これは「地域福祉」という分野の中の項目で ございます。「在宅支援の活動を行っていますか」という項目です。Aの評価としまし て、「Bを満たしている上に、地域の人々を対象に介護講習や講演会を開催するなど施 設独自の工夫をしている」。Bとしては「(1)デイサービスまたはショートステイ事業を 実施している。(2)地域交流のためのスペースを用意するなどして、施設の一部を地域の 人々に開放している。(3)地域の人々の専門的な相談に応じている」。Cは「Bのいずれ かは実施している」。Dは「地域支援への配慮は見られない」。以上が東京都の評価基 準でございます。  最後に「倫理綱領」。ここには「日本精神薄弱者愛護協会」とありますが、今は「日 本知的障害者愛護協会」となっておりますが、この倫理綱領は平成9年5月に作成した ものでございまして、施設利用者の人権擁護と知的関係援護施設の倫理観の確立を目的 として、出されたというふうにお聞きしています。現在では聞くところによりますと、 これは倫理綱領なのですが、細かい部分では職員の行動規範みたいなものも、愛護協会 の倫理委員会において検討しているということです。先ほど部長の挨拶の中にもちょっ とありましたが、愛護協会は平成2年に愛護協会の評価検討委員会の中で、精神薄弱施 設処遇チェックリストというものが作成された経過がございます。現在その平成2年に 作ったものの改訂版を作成中だということで、今年の5月、6月くらいをめどに完成さ せたいということをお聞きしています。  参考までに資料9を見てください。先ほど課長からも説明がありましたが、「各種障 害者(児)施設の設備・運営基準(最低基準)」ということでございます。いわゆる対 象施設のイメージとしては1枚目のものですが、先ほどご議論がありましたが、それを もう少し検討する必要があれば検討していきたいと思います。策定基準の項目的なもの は、ここにあるものとだぶるところもあるかなと思いますので、参考にしていただけれ ばと思います。以上です。  座長  ありがとうございました。大変にたくさんの資料をかいつまんでご説明いただいたわ けで、十分なことはできなかったと思いますが、この中にはこういったサービス基準を お作りになった方もいらっしゃると思いますが、そういった方々のご意見も含めて、ご 説明に対するご意見やご質問がございましたら、遠慮なくおっしゃっていただきたいと 思います。  桧山  最初なので苦情めいたことばかりで申し訳ないのですが、ここにいらっしゃる方々は お一人ずつ大変に大きなお仕事もされていますし、お一人ずつ私どももご意見を得たい 方々がお集まりになっているのですから、このような基礎的な資料は会議の前にちゃん と用意していただいて、私たちも非常に問題意識をもっていますから、可能な限り予習 をしてくるというか目を通してきて、主に議論に、それぞれの立場から意見なり資料を 出しあって、いま注目されている皆さんが納得できるような情報開示ということが私た ちの仕事だと思いますので、基本的なレクチャーにあまり時間を割くのはいかがなもの かと思いますので。今回は1回目なのでこういうことになったと思いますが、次回以降 は早めにいただければと思います。  事務局  資料はなるべく事前にお送りするようにさせていただきたいと思います。  座長  よろしくお願いします。その他はよろしいですか。  小峰  平成10年の3月に大阪府の障害福祉課が知的障害者入所施設の利用者の生活支援のあ り方に関するガイドラインとして、東京都と同じようなものを出されているのですが、 それは資料の中には入っていなかったようですが。  事務局  今回は入っていません。  座長  もしあれでしたら、次回はご手配いただければと思います。その内容として、ご推薦 いただけるようなものですか。  小峰  東京都と同じようなものです。  座長  そうですか。また何かの機会にぜひご提供いただければと思います。  柴田  追加の資料で次回にお願いしたいと思うのですが、デイサービスに関わる要綱とグ ループホーム、それから重症心身障害児(者)の通園事業に関する資料があると思いま すので、用意していただければと思います。  阿部  今たくさんご説明いただいたのですが、実際にこれを使ってやったことがある、ない しはやった結果についてまとめた資料がありましたら、いただきたい。  石渡  ちょうどこの評価基準を作った場合に、「結果を公開してサービスの質の向上に」と いうお話だったのですが、高齢者施設の場合にはもうそういったことが既にやられてい るのでしょうか。  事務局  高齢者施設につきましては、先ほどご説明しましたように平成5年度から各都道府県 がこの基準に基づきまして、県によって数は違うのですが、毎年各県数ヵ所の評価をし ていると。その結果は改善すべき事項について、改善した後に「こういう改善をしまし た」ということを公表するというような要綱になっております。評価したらこういう問 題が出てきたということですぐ公表するということではない仕組みになっております。 一方で東京都の基準につきましては、私どもが聞いておりますところでは、平成10年度 に東京都が11ヵ所。これは施設の側でやりたいと言うところを募集して11ヵ所をお選び になって、各施設のサービス点検調整委員会というものを施設に設けまして、その委員 の選考にあたっては施設側が任意に選ぶというのではなくて、利用者の方の意見なども 聞いて委員を選ぶわけですが、そういう形で10年度に事業が始まったばかりでありまし て、その結果は集約中という段階ではないかと思っております。守屋委員がこの東京都 の検討評価委員会に委員として参画されておりまして、ご事情をご存じであればご紹介 いただければと思います。  守屋  私は東京都の評価委員会の作業部会のメンバーになっておりました。このお手元の サービス評価基準につきましては、昨年6月に始まったということで、10年度には第三 者評価につきまして11施設でモデル事業として実施しております。今回、自己評価とし て都内の入所施設、全施設120ヵ所をこの評価基準によって調査を実施したというこ とで、今はその2点について事務局のほうでとりまとめ中ということで、いずれにして も2月の初めには評価委員会が開かれ、中で評価結果についての検討がなされるという ことです。  末光  評価の出し方ということで、先ほど定月専門官からお話がありましたように、資料4 の重症心身障害児施設の施設評価チェックリストを、1989年に最初のチェックリストを 作成させていただきました。その時には先ほどご紹介にありましたようにどこまでも、 自己点検による自己改善の手がかり、指針にしようということで作成したということで す。それには評価の基準としては、だいたいそれぞれの項目について8割程度はクリア できるくらい、80点くらいを目標にしたいと。したがって、20点くらいはDの項目もあ るだろうと。それはそれぞれの施設でぜひ改善の努力をしてもらいたいという形で、作 成したわけです。それはそれぞれの施設の独自の取組になるのですが、私ども重症心身 障害児施設の現場の職員のいわゆる学会のようなものを年2回開いております。そこで いくつかの施設がこれを使用してどういう改善努力をしたかというようなことを発表し ていただいています。さらには、いくつかの施設では月ごとの会報とか、あるいは年に 1回の年報のようなものに発表されているところがあります。そういうところではやは り職員も、幹部職員だけではなくて現場職員、保護者の方々にもこれを使って。これは イエス・ノーだけなのですが、3段階や4段階に評価項目をより細かくしていただいた ものをまとめて、そういう方々に使っていただいたりしています。  必要があれば、またそれもお示しできるのではないかと思いますが、その作業の中で やはり、先ほど申しましたようにこちらでも改善努力をしなければいけないということ で、平成元年の時点では80点。それだと当然、現在は90点くらいになっていなければい けないということですので、5年程度で改定作業をしようというのが少しずれまして8 年経ったわけなのですが、この1997年版になりました。前回の平成元年版はございませ んけれども、少し変化を申し上げますと、資料4の目次をご覧いただければと思います が、1〜11はほぼ項目も同じでございますが、12・13は新たに付け加えております。さ らにはそれぞれの項目の中で、たとえば4の入退所につきましては、最初の段階では入 所に関することはかなりいろいろチェックをしておりましたが、やはり退所に関するこ ともかなり加えました。また、在宅・地域活動、安全・人権に関する項目を修正したり 新たに加えたりという形にさせていただきました。  それぞれの施設の詳細はわかりませんけれども、やってみて思いますのは、結局、理 事長さんとか施設長さんの姿勢が一番大きいなというふうに思っています。それ以前に 仲間うちで「あの施設は」というようななんとなくの評価があるわけですが、必ずしも 良くないと思っていたところがこれを通じて本当によく改善努力をしていただいた施設 もありますし、それから着実にいろいろな方面で前進していかれている施設、それから 何も変わらないという、3つに分かれるのではないかと思っております。やはり誰がこ れを生かして改善の努力をするかというと、責任者の姿勢が大きいのではないかと強く 思っております。  座長  ありがとうございました。それでは次に、社会・援護局の「福祉サービスの質に関す る検討会」の検討状況について、地域福祉課の山本課長補佐にご出席いただいておりま すので、ご説明をいただきたいと思います。  山本  社会・援護局のほうで11月に「福祉サービスの質に関する検討会」というのを発足し 既に3回ほど会を設けております。その状況としまして、簡単にご報告させていただき たいと思います。資料7でございますが、まず8ページをご覧いただきたいと思いま す。これは福祉サービスの質に関する検討会の趣旨を書いたものでございますが、これ はご存じのとおり現在、社会福祉基礎構造改革について議論しているところでございま すがその中でもとりわけ、テーマとしては社会福祉法人制度の見直し、利用方式の見直 し、権利擁護の仕組みの導入といったことがテーマになっているわけですが、基礎構造 改革の中でも福祉サービスの質の向上というのが非常に大きな柱になっています。そこ でこの中間まとめ等を受けまして、福祉サービスの質を確保するためにサービスの内容 に関する基準の作成、第三者評価機関によるサービス内容の評価などの内容や、基本的 な考え方について、この検討会でまとめていただこうというものでございます。  1ページをご覧いただければと思います。もともと社会福祉基礎構造改革の中間まと めで指摘されましたことは、1ページの下の2つの○が太字で書かれておりますが、現 在はサービスの質に関してはサービスの提供過程、評価など内容に関する基準というも のが非常に手薄いのではないか。むしろ施設等の外形的な基準が中心になっているので 内容に関する基準を設ける必要があると指摘されています。もうひとつは、そのサービ ス内容の評価は、サービス提供者が自らの問題点を具体的に把握し改善を図るための重 要な手段となる。そこで、こうした評価が利用者の意見も取り入れた形で客観的に行わ れることが重要であり、専門的な第三者機関によって行われることを推進するという2 つの意見が指摘されているということです。  そこでまた8ページでございますが、私どもの検討会は検討内容といたしまして、主 に最低基準を念頭に置いたサービス基準に関する基本的な考え方と具体的な内容につい てということが、検討内容のひとつでございます。2点目が、第三者評価機関による評 価に関する基本的な考え方と具体的な内容を検討する。またその実施体制、評価結果の 活用方法について基本的な考え方をまとめるという形で考えておりまして、メンバーと いたしましては(3)にありますとおりで、江草先生に座長をお願いしております。  既に11月に第1回目を開きまして、3回ほど行っております。私どものほうで簡単な 資料を出しまして、自由討論をしていただくという形で進めておりまして、年末の第3 回目の会におきましては各委員からの説明とありますが、これは主にバックに団体がご ざいます委員のほうから、その団体の中で検討したことを報告してもらうという形をと っております。具体的には、社団法人の日本社会福祉士会と全社協の経営協、それから 日本社会福祉事業大学、最後に社団法人のシルバーサービス振興会という4者からお話 を聞いております。このあとの開催といたしましては、2月に2回開催いたしまして、 最終的には3月くらいまでにサービスの内容に関する基準と、第三者評価に関する基本 的な考え方をまとめていきたいと考えております。さらにそれ以降は、こちらの検討会 の取組も見ながら、具体的な内容について検討を行うということにしております。  ただ、この検討会の性格というものをもう一度確認させていただきますと、私どもで 開いております検討会は、特定分野を想定しているということではなくて、福祉サービ ス全体を通じまして共通する基本的な考え方をご議論いただこうというものです。特に 今年度中は基本的な考え方の整理になりますので、特定の施設について整理をしていた だくというスタンスは取っていないということです。  続きまして資料の3ページをご覧ください。これは、現行の進展というものを確認し ながら、この検討会の議論として焦点を当てるべきものは何かということで書いたもの でございます。今回の基礎構造改革の中で、契約による利用というものを検討している 部分もあるわけですが、そうした仕組みの導入と合わせて、やはり本人の適切な選択に よるサービス利用を支援していくためのさまざまな仕組みが必要です。そこで別途、 サービスの質の検討の他に、一人ひとりの方が最も適切なサービスを使うという意味で 権利擁護という観点からのサービス利用支援の仕組みを検討しております。また2つ目 に苦情解決の重層的な仕組みを作ろうということで、これも質の問題とは切り離して別 途議論をしていただいております。さらに4にございますように、事業の透明性の確保 ということもございまして、これは情報開示という問題も含めてその仕組みのあり方に ついても検討しております。こういうものも別途検討しているという背景の中で、この 検討会では、サービスの内容に関する基準と評価の仕組みに集中してご議論をいただい ているということです。  そこで4ページでございますが、これは検討すべき事項を、簡単に事務局でそのイ メージを叩き台として作らせていただいたものでございます。これは委員会の中で既に 決まった事項ということではなくて、今は自由討論という形で進んでいるのが実態でご ざいます。簡単にご説明させていただきますが、ひとつ目はサービスの内容に関する基 準ということでございます。どういった論点を検討していただくべきかということが書 いてございますが、これはイメージとして持っていただきたいものは最低基準というこ とです。この最低基準につきましては、やはり外形的に見て明らかなものについては、 比較的利用者が判断可能な事項については簡素化していくという一方で、サービスの内 容に関する利用者がなかなか判断できないといったような専門的事項については、従来 より充実させていく必要があるというのが、基本的な考え方ではないかということを書 いてあります。  そこで具体的なサービスの内容に関する基準として、取り組むべき事項といたしまし ては、(3)以下に書いてございますように、利用者の状況把握をする、あるいは個別の支 援計画を作って実施して、さらにそれを評価していくといったようなサービス提供過程 に関する基準を設けるべきではないか。この他に目的達成度とか利用者満足度等を入れ ましたサービス評価の仕組みであるとか、あるいは施設内の改善委員会の設置などサー ビス改善のための措置がどのようにとられているかといったような点を、新しく検討し て盛り込んでいきたいということを打ち出しております。  続きまして5ページでございますが、2つ目の論点としては第三者評価の内容という ことですが、これにつきましては基本は最低基準を念頭に置いたサービスの内容に関す る基準というものがございますが、その中でも第三者評価として取り組むべき内容とい うのは、サービスの提供過程とかその評価とか、改善措置というものが各事業者におい て適切に行われているかどうかということについて、専門家による評価をしてはどうだ ろうかという提案をさせていただいております。また、なぜ評価をするのかということ でございますが、これは単に事業者の格付けをしていくということが目的なのではなく て、個々の事業者が事業運営における具体的な問題点を把握し、改善に結びつけていく ということが第一義的な目的ではないかということです。続きまして(2)・(3)にござい ますように、評価項目や評価基準というのは、先ほど申しました(1)の考え方からどのよ うな項目をひっぱってくればいいかとか、また、基準としてはできるだけ客観的な評価 が可能となるものとしたいと。ここはまさに、検討会に検討を委ねられている部分とい うことになります。  それから(3)に第三者評価の実施体制、結果の活用ということがございます。これ についても視野に入れて検討するわけですが、評価機関の要件としては第三者性である とか、評価能力、実行能力が必要になってくると思われます。それから評価実施者とし て、どのような資格の方がどのようなやり方でされるか。やり方というのは(3)になりま すが。それから最後に評価基準の活用方法ということで、公表の方法でありますとか、 また評価を受けたときのメリットといったことが大きな論点になるだろうということで こうした点を中心に検討をいただいているということです。  6・7ページには、特にこちらのほうに関係いたしますサービス評価事業の既存のも のをいくつか例を挙げて、ご紹介させていただいています。これについては既にいくつ か紹介がございましたが、概略だけ説明させていただきますと、最初に3つ紹介してご ざいますのは日本の制度ということでございます。一番最初の「心身障害者(児)入所 施設サービス評価事業」というのは、先ほど説明のありました平成10年度から東京都で 実施されているものです。これは全施設で行われます自己評価と、モデル的に11ヵ所で 行われる評価とがございますが、第三者評価のほうでサービス点検調整委員会というも のがございまして、これは施設のサービス水準の客観的評価をするということだけでは なく、苦情処理の窓口にもなっております。いわゆる施設オンブズマンといわれるよう な制度になっています。評価項目は記載されておりますような項目で、各項目ごとに4 段階評価をしているという仕組みです。結果の公開は非公開ということでございますが これは自主評価と第三者評価の結果に相当な乖離がある場合などでは、都のサービス評 価委員会に報告されまして、そちらのほうで調査をされて改善勧告をされるというよう な形で、サービスの改善につなげていくという仕組みになっています。  それから特養と老健のサービス評価事業は、平成5年からスタートしている事業。そ れから高齢者在宅福祉サービス事業については、平成8年度からスタートしている事業 でございまして、これはいずれも都道府県の中にサービス評価委員会というものを設け まして、第三者評価を行うという仕組みになっています。第三者評価の前段として自主 評価というものがあって、事業者が自主評価をした上で、申し立てによって第三者評価 が行われます。実地視察をやるわけですが、約1日かけて実施するということでござい ます。流れとしましては、その結果、さまざまな問題点が指摘されましたら、それを改 善していただいて、さらに改善後に再評価をする。そこで再評価の結果につきましては 事業者の合意が得られましたら公表をするという扱いになっております。これも最初の 例と同じように、各項目ごとに4段階評価でございまして、総合評価というものは行わ ないという仕組みでございます。  このようにわが国でスタートしている評価事業というのは、やはりまだまだ第三者性 が乏しいというのが実態でございまして、自主評価が今の仕組みになっている形です。 ところが次のページに揚げている、諸外国で既に長い歴史のある評価事業につきまして は、純然たる第三者評価事業になっております。例をいくつか出させていただきます。 アメリカにありますJCAHOによるサービス評価というのは、1959年からスタートし ていて非常に歴史が長く、対象になりますのは病院・介護施設・在宅サービス事業者な どです。これはJCAHOというアメリカの医師会であるとか、あるいは医学会等で作 られました合同認定委員会という非営利の民間機関が、医師等のさまざまな専門職の方 の通常3人程度で編成して、施設等を訪問されて評価をされています。評価項目として は、(1)〜(5)にありますように入居者に着眼した視点と、(6)〜(11)にありますように施 設機能に着眼した視点と大きく2つございますが、全体としては大きな項目でも446 項目くらいあるという非常に膨大な評価項目を持っているということです。  この特徴は、それぞれのポイントを評価していくというよりも、それらすべての総合 評価を行って、認定するか認定しないかというところまでいくんだということでござい ます。しかも認定でもさまざまなレベルがございまして、推薦付きの認定とか条件付き の認定といういろいろなランクに分かれております。結果はすべて公開しており、イン ターネットでも公開されております。この制度が非常に成長した理由としては、備考に ありますように、連邦制度のメディケアとかメディケイドの機能評価の対象となります 指定機関の指定の扱いになるのだということです。そういう公法的な指定と結びつくこ とによって、非常に成長してきたということが言われております。  それからISO(国際標準化機構)というものがございます。これはジュネーブに本 拠のある国際機関でございますが、ここが認定する仕組みをたとえばISO9001と かいう言い方で呼んでいるわけです。これは、各国において認定機関をさらに認定する 機関というのが1ヵ所ございますが、日本では財団法人日本適合性認定協会というとこ ろでございます。この特徴といたしましては、ISO9001には1〜20までの要求項 目がございますが、全体の規格というのは製品・サービスそのものの絶対的な品質その ものを評価していくというのではなくて、一定水準の品質を保つということに対してど のような管理体制になっているかという、その管理体制、プロセスそのものを評価して いくというのが特徴でございます。ですから、質の水準を保つための管理システムがま ずきちんとマニュアル化しているということが必要である。そのマニュアルが基準に達 しているかどうかを見るということと、マニュアルどおりに実施されているかという2 点を評価して、認証するか認証しないかを決定するということです。これは結果は公開 という扱いになっています。  最後に参考までに、隣接分野ということで、医療の第三者評価機能の仕組みというの をご紹介させていただいております。これはわが国で平成9年4月から評価事業が始ま っておりまして、昨年6月の時点で既に95の医療機関が認定を受けております。これも 自主評価と第三者評価の組み合わせで、あらかじめ行います自主評価の結果に基づきま して、財団法人の調査員、下にありますようにそれぞれの分野から選ばれた方々が評価 をされるということになっています。評価項目としては、病院の提供する医療の質その ものに関する項目、あるいは病院管理に関する評価項目という大きな2つの柱からなる 評価項目になっております。これは最終的には認証という形にしますが、おおむね標準 以上に達していれば認証していると。公開するかどうかは任意であるという仕組みにな っています。  こういう事例を紹介しながらご議論等いただいておりますが、ごく簡単に今まで出ま した主要意見を口頭でご説明させていただきます。まず、評価をする評価者の構成員で ございます。日本の場合、ピア・レビューといいますか、仲間同士のチェックがなかな か働かないと。専門家だけではなくて市民オンブズマンであるとか、利用者や家族の評 価がどう入ってくるかという点が重要ではないかというご意見が出ています。それと関 連する意見として、利用者側が参加することによって参加意識も養成され、情報公開も でき、評価事業そのものへの信頼を得ることができるのではないかという意見も出てい ます。  それから、質の評価を担保する方法としては、大きく3つのシステムがあるのではな いかと。ひとつ目は法令による規制という意味で、最低基準の確保という形での質の担 保。2つ目は、医療保険であれば保険給付の対象とするかどうかということになります が、いわゆるお金を配るという形でさらに適正な基準を確保するというやり方。3つ目 は、まさにそれより上なのですが、理想的な基準を達成するために、第三者評価と情報 公開による操作によって理想的な水準を確保したいということ。このような3つの仕組 みを考えたらどうであろうかというご意見が出ております。  それから、評価事業というのは評価結果の情報の消費者は誰であるかということによ って、評価事業の作り方が変わるのではないかというご指摘もございました。その情報 の受け手は国とか地方公共団体なのか。それともお金を配る主体、医療ですと保険者、 介護サービスですと介護保険者なのか。また、本人・家族ということなのか。それによ って何に力点を置くかが変わってくる。また、評価の仕方という意味では、結果を評価 するという意味での評価なのか、それともプロセスが適性かどうかということを評価す るプロセス評価なのか。そのどちらを追求するかによって、評価が変わってくるのでは ないかと。  それからもう1点は、利用者の満足度といったような要素では非常に主観的であって その部分を評価の項目に入れるということは難しいのではないかというご意見に対して やはり当事者グループとか、あるいは一人ひとりのクライアントの情報というものも、 評価していかなければいけない。ユーザーの苦情とか満足度というものを、正当に評価 の中に組み込むべきではないだろうかというご意見もございました。  最後に、そもそも最低基準すら満たしていない中で、より実効性のある評価事業の内 容について検討するべきではないかというご意見もございました。また第三者評価機関 について、最低基準の見直しなども含めて、行政に対する監督権を持たせたほうがいい のではないかというご意見もございました。ただそれに対しまして、最低基準というの は所詮行政が使うツールのひとつなので、いくら基準を精緻にしても行政のツールであ る以上、なかなか難しい面がある。むしろそれとは別の重層的な仕組みを作っていかな いと、公的なものをいくらかさ上げしても質の向上はできないだろうというご意見もご ざいました。  主に以上のようなご意見でございましたが、こうしたものを受けまして2月・3月に 再度の検討会を開いて、非常に大まかな形になるとは思いますが、基本的な考え方をま とめたいと考えております。以上です。  座長  ありがとうございました。今のご説明について、ご質問やご意見はございませんか。  守屋  今のご説明の中で、6ページのさっきの東京都のサービス評価事業のところで、結果 の公開は非公開となっているのですが、東京都のほうでは昨年、東京都行政改革プラン が発表されていまして、それによりますと13年度あたりに公表していきたいというよう な考え方が出ております。といいますのは、先ほどの第三者評価としてサービス点検調 整委員会ということで、11年度60ヵ所、12年度は全施設に取り組もうという中で13年度 公表というスケジュールが出ている。いずれにしても、これからの評価委員会の中で決 定がされていくというふうに考えています。  座長  ありがとうございました。その他にいかがでしょうか。  桧山  ちょっと不勉強で教えていただきたいのですが、アメリカの例を挙げられましたが、 アメリカの福祉制度そのものについて私はあまり認識がないもので。基本的に日本のよ うに公的な福祉という形で、規制と逆に財源保障があって監査という形での日常的な指 導が入っているのか、それとも営利事業体というか企業のような形で、このような具体 的なチェックがないと品質の担保ができないのか。そのへんの基本的な制度だけ簡単に 教えてください。  山本  基本的には日本と同じように、州政府のほうでございますが、最低基準のようなもの を満たしているかどうかということについては、州政府の監査のようなものがございま す。そういう意味では公的な規制というのがあるわけなのですが、このアメリカの評価 事業というのはまさに民間で自主的に起こってきた動きでございます。しかも、医療分 野から出てきているということで、もともと1951年当時にできましたのが、アメリカの 場合は医療の管理者と専門職というのはまったく分断されていますので、専門職の医師 グループなど機関がより診療環境をよくするために、むしろ病院管理者に圧力をかける ために自主的に始めたというような、そういうスタンスで出てきた仕組みであると。そ れがより介護分野にまで広がってきていると。いわゆる日本で言うところの福祉サービ スのようなものについても評価をしておりますが、州政府との関係でいけば両方並び立 っていると。しかしながら先ほど申し上げましたように、公的な医療保険制度との結び つきがあることによって、民間の自主的な評価事業であるとはいえ、成長していってい るということでございます。  末光  最低基準についておうかがいしたいのですが、いま検討されているのは最低基準をと いうことでしたね。  山本  最低基準のようなものを基本的な考え方として、サービスの内容に関わるものを検討 していきたいと。  末光  最低基準であれば、既に児童相談所や福祉事務所などの判断が定期的に行われている ので、それを補うといいますか、それでは不十分な部分を検討するということでしょう か。そうではなくて、それプラスということでしょうか。  山本  最低基準と第三者評価基準との関係で言えば、最低基準をまず満たした上で、第三者 評価というのはさらに、やっていますと言っても適切にやれているのかどうかをみるも のと考えています。しかも、それは専門家が見なければわからない事項についてピック アップいたしまして、第三者評価にかけるという形になるのではないか。そういうふう に私どもとしては考えておりますが、それも検討会議の審議項目のひとつになっており ます。  奥野  そのへんのことで、社会・援護局の検討会のほうにも私は参加させていただいており ますので、最低基準についての議論を少し明確にしたいと思います。現在ある各地の施 設は、現状のままで基準がある。その前提に基づいて、第三者評価というものを容認さ れるだけでいいのかどうかという議論だったと思うのです。現在は最低基準というもの があって、たとえば障害者の場合ですと、いわゆるリハビリテーションを行う更生施設 とか生活施設に最低基準があって、職員をこれだけ置かなければいけないというような 基準がある。その中で実際にリハビリテーションを行うはずの更生施設に、本当にリハ ビリテーションを実施する職員が最低基準だけ置かれているのかどうか。最低基準その ものも、私は実際には足りない数だと思うのですが、それすら置かれていない施設が現 状にはあるのではないか。そのような現状の施設の状況もきちんと踏まえ、これでいい のかどうか、最低基準でいいのかどうか、最低基準が満たされているのかどうか。それ をきちんとチェックした上でなければ、第三者評価という理想的なものだけ作っても意 味がないのではないかという議論がありました。  座長  今後とも、この検討委員会とは綿密な連携が必要になってきますし、あるいは考え方 の整合性も必要になってきますね。折りに触れて、また情報をご提供いただきますよう に。われわれのほうもまた提供していかなければいけないと思いますね。  柴田  その委員会の審議のほうの文書化したものは、やがて公開されるのですか。  山本  予定では、だいたい3月くらいに基本的な考え方をまとめるということにしておりま すので、成果物としてはそこで出したいと思っております。  柴田  途中では出てこないのですか。  山本  毎回の審議の資料と議事録は公開されております。  柴田  今おっしゃったことも、もう公開されているのですか。  山本  はい。  奥野  ちょっと言い足りなかったと思うのですが、今の最低基準がこれでいいのかどうか。 それから、それが本当に全国の施設で満たされているかどうかという検討が必要である が、それについては社会・援護局のほうでは検討しない。障害者の関係はこちらに新た なものができるので、それはこちらで検討してほしいということでした。  座長  わかりました。だいたいよろしいでしょうか。今日は基本的な議論は今後もまた続け ていきますが、提案いただきました評価の基本理念、あるいは評価の対象分野。 これは事務局案としてお示しいただいたわけですが、これについてご指摘あるいはご質 問、ご提案はございませんでしょうか。こういう内容で考えているけれども、どうだろ うかということでございます。  柴田  これは施設サービスの評価ですね。在宅利用に関するこういう評価を検討する委員会 というのは、あるのですか。  事務局  それはございません。われわれも、在宅サービスについても同じようなことを考えて いかなければいけないと思っておりますが、まずは施設サービスから立ち上げたという ことでございます。  石渡  先ほどの説明の中にもあったかと思うのですが、利用している方の満足度みたいなも のは、この中には入っていませんよね。利用している側の声を聞く項目というあたりは より主観的な評価になるという恐れはあるのですが、やはりそこを聞かないとよくない のではないかという気がするのですが。  座長  それは大事なご指摘だと思います。利用している方々から見たときの満足度とか、あ るいは要望に応えているか否かといった面ですね。そういった分野が対象分野として必 要になるのではないかというご指摘です。  事務局  今のご意見は、この(1)〜(9)の他にそういうものを立てるという意味なのか、 (1)〜(9)を評価するにあたって利用者の方の声も聞くべきだという意味なのでし ょうか。  石渡  質問した側としては、そこまで深く考えたわけではないのですが。  星野  評価の対象分野の(2)のところで、これは将来そういう形の説明になっていくのだ ろうと思いますが、障害種別あるいは施設種別の施設機能が性格上目的とされている部 分で議論するのか、具体的に今ある姿をどういうふうに考えるかという、共通認識をど こで持てばいいのかなと思います。  座長  なかなか難しい問題ですね。本来のいわゆる法律などに規定されている施設の性格・ 目的といったものと、現実には既にずいぶんかけ離れているものもあるわけですね。そ してむしろ、望ましい施設機能というのは別に、既にみんなのイメージの中に定着して いるものがあるというわけですね。そういったものを、どのへんで整理していくかとい うことですね。これについてはどうでしょうか、皆さんのご意見は。事務局としての考 え方は特に求めなくて、皆さんのご意見をいただければと思います。一番典型的なのが 知的障害のほうでは入所更生施設ですか。  星野  あと授産施設も。  柴田  ここでは包括的な基準を作るわけですよね。だから、個々の施設のということではな いですよね。  座長  でもおそらく、この作業を進めていきますと、基本的な分野を積み上げなければいけ ない段階に来ると思います。たとえば共通の施設の評価も必要ですけれども、同時に独 自性を評価するという部分も強まるのではないかと思いますので、そういう意味では今 のご指摘は、十分に考えなければいけないのではないかと思いますが。  星野  そこの認識がお互いにばらばらで議論していたら、ばらばらになってしまう。  柴田  制度が変わっていこうという時ですから、どういうふうに変わっていくかの方向は、 今日の資料などを見てもまだ明確ではありませんが、やはりこれから変わっていく制度 というのを見据えながら提案していかないと、制度が変わる前のものを基準にしてもあ まり意味がないことではないかと思います。  座長  私も座長でこういう意見を言うことはおこがましいことでお許しいただきたいのです が、現行の制度にかたくなにこだわるという形よりも、むしろ皆さんの意識の中にある あるべき姿としてのイメージをできるだけ盛り込んだほうがいいのではないかという、 そういう感じがいたしますが、どうでしょうか。  桧山  おっしゃるとおりだと思うのですが、この限られた障害ということでくくられた最少 範囲の中でも成人と児童があって、成人の分野についてはおおむね管理者の間で、サー ビスという考え方で私たちの仕事を規定しようというふうに努力して変えていこうと。 保護とか管理ということではなくてというコンセンサスができていると思うのですが、 児童の分野で言えば、通過ということで考えていくならば、サービスというよりも教育 とか指導、場合によっては最近の家庭環境を考えれば保護という事柄が、まだ大きな仕 事としてあるのだというのが現場の認識だと思うのですが、それがここで児・者一貫し てサービスという形の中で、残りの基本的な形は援助者だという前提において具体的な 項目を上げていくということが、実際に現場の中で、法律もそうですけれども、まだ保 護指導職員という形の養成が厳としてある状況の中で、片方でサービスということと援 助という事柄がそれを前提として近代化を図るという形は、仮にひとつの論理としては 構築されたとしても、有効性の問題からすればやはりいろいろあると思いますので、で きるだけ種別とか現場の実態に即して議論していただけるとありがたいと思います。  座長  児童の問題はかなり本質的な問題を含んでおりまして、世界の趨勢でもそうですし、 日本の一般的な表面的な傾向でも、児童が入所施設を利用するというのは極めて大きく 変わりつつある状況にありますから、今ご指摘のような事柄は今後、各論的な部分で検 討を重ねながらいきたいと思います。冒頭の会議でもってこれをやることよりも、むし ろ皆さんと議論を少し深めながら、お互いの信頼関係を持った上で思い切った議論がで きればと思いますので、そんなおつもりでお願いしたいと思います。  大形  私は通所の身体障害者の授産施設の職員なのですが、通所の授産施設というと職場の 提供だとか技能訓練、社会参加の支援を行っているのですが、職員の仕事は利用者の方 に職場を提供したり支援をすることなので、その項目というのがここに挙げられた対象 項目のどこに入るのかなという気がするのです。さっき言われたことの集約的なことに なるかもしれませんが。ですので、今の段階でこの評価の対象分野をこれで可・不可と するのではなくて、もうちょっと突っ込んでみるべきかなと思います。施設の機能のあ り方についても、基礎構造改革のほうでいろいろと話し合われていると思いますので、 施設の社会的役割に合ったサービスというところから入っていかないと、いけないよう な気がします。  座長  おそらく事務局が今日出したものは、これで縛りをかけていこうなどという気持ちは まったくないと思います。むしろ、事務局としてはこういうものをとりあえず考えられ るままに羅列してみましたと。ですから今おっしゃったように、もっと幅広く私たちが 対象にしなければならないものが、今後も出てくると思っていいのではないでしょう か。それでいいでしょう。  事務局  はい。今おっしゃった通所授産施設での技能訓練であるとか社会参加の支援というの は、施設機能に応じた専門的サービスの中で、授産施設という施設の機能として検討す べきサービスは何かということで、共通事項の他に施設種別ごとの機能ということで、 この(2)の中で整理しているつもりでございます。(1)〜(9)以外にも追加して いただければいいと思います。一方で、議論をしていく中でまた集約されてくるという そういう過程の繰り返しになるのではないかと思っております。  奥野  今日はこのようにたくさんの資料をいただいて、事前に送られてきて私たちが従前に 読んだとしても、今日のようなご説明をいただかないかぎり、わからなかった部分がた くさんあったと思うのですね。そういう意味で、定月専門官や山本補佐からかいつまん だご説明をいただくことで私たちの理解も深まったと思うのですが、まだまだ時間が十 分ではないのですべては読み切れていないと思うのです。ですから、今回いただいた資 料を各自が持ち帰って十分に読み、ここに今後検討すべき内容として挙げられている項 目についても、それぞれの委員が考えた上で次回に臨むことが望ましいのではないかと 思うのです。もうひとつは、社会・援護局のほうの検討過程の中でいろいろな団体のお 話を聞く機会があり、その中で私自身の個人的な感想としては、日本社会福祉士会にお ける検討、日本社会事業大学における検討というのがかなり専門的な検討をされている と思いますので、そのあたりのことについても、もし可能であればこの委員会において もお話を聞く機会を作っていただけたらと思います。本日の資料の中で、それぞれ年代 順により良いものがどんどんできていっていると思うのです。ですから、最終的にはこ れまでの検討研究とか検討結果を踏まえた上で、より効率的な検討ができると思いま す。  座長  ありがとうございました。おそらく皆さんにご賛同いただけるご意見だったと思いま すので、その線に沿っていきたいと思います。  桧山  本日用意していただいた評価の対象分野の(1)〜(9)については、基本的に安定 的な収入があれば非常にやりやすいというか、どんどん改善が可能になってくると思う のですが、安定的な収入を得ようとしますと、利用者の方をできるだけ長く満員にして お預かりするという形になると、大人の関係も就職していきますから特別な費用が要り ませんから、常に安定的な財源が保証されるというようなシステムがありますので、そ うすると新しい施設整備にお金が回せますし、いろいろなことにチャレンジもできると いうことになるのですが、基本的なところで、その施設の目的から言えば常に通過施設 ということでいろいろな方をお送りし、またお受けするということになってくると、財 源が不安定になってきますので、そうなると特に施設整備とかそういった事柄になかな かお金が回らないという実態があると思いますので、評価の中に、生活の具体的なサー ビスの中身だけではなくて、その施設が本来果たすべき、たとえば平均在所年数ですと か、非常に障害の重い方たちも相談機関から依頼があれば思い切って受けているとか、 中軽度の方たちだけを長期にお預かりするということになると、ずいぶんスタートが違 ってきますので、そのへんの基本的な事柄も何かどこかで、言い訳がましくなるかと思 いますが、そういう施設の特徴として評価の対象になるようなことを検討いただけたら と思います。  座長  今の施設の置かれている実情の中から考えますと、今言ったようなご意見も出てくる かもしれません。ただ、私たちとしては施設のあり方が、私も長いこと公立・公営施設 におりまして、その良さも悪さも噛み締めてきたつもりでおりますが、そういうカテゴ リーを超えてもう一度私たちは利用者本位の立場に立って、これからの社会福祉のあり 方、あるいは施設サービスのあり方といったものを検討するということもございますの で、今おっしゃったようなご意見も十分に踏まえながら、なおかつそれをできるだけ乗 り越えていくような努力も一方ではお願いしておりますので、どうかご協力をお願いい たします。それでは、予定の時刻をだいぶ過ぎてしまいました。十分なご協議はいただ けなかったのですが、第1回目として盛り沢山の資料の中で時間を過ごしてしまいまし たので、次回以降に実質的なご意見、ご審議をいただきたいと思います。今日はこれで 終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(了) ○照会先  大臣官房障害保健福祉部障害福祉課    定月、小田島(内 3033)